チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤としての化合物および組成物
本発明は、チャネル活性化プロテアーゼを調節するために有用である化合物および医薬組成物ならびにプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼを含む(これらに限定はされない)、チャネル活性化プロテアーゼと関連する状態を処置、改善または予防するためのこのような化合物を使用するための方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年2月9日出願の米国仮出願番号60/889,008の優先権の利益を主張し、それは引用により、その全体を、本出願に包含させる。
【0002】
技術分野
一般的に、本発明は、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP)阻害剤に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
プロスタシンは種々の哺乳動物組織に存在するトリプシン様セリンプロテアーゼである。それは、細胞の細胞外膜上に発現するが、また、体液、例えば、精液、尿および気道表面液に分泌され得る膜固定プロテアーゼである。プロスタシン(PRSS8)はマトリプターゼ、CAP2、CAP3、トリプシン、PRSS22、TMPRSS11、カテプシンAおよび好中球エラスターゼのようなプロテアーゼと共に、アミロリド感受性の上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)の活性を刺激することができる。これらの酵素の阻害は上皮性イオン移動の変化、したがって上皮性膜を介する体液ホメオスタシスの変化を誘導することができる。例えば、腎臓のCAP阻害は利尿を促進すると考えられ、一方で気道のCAP阻害は肺の粘液または唾液のクリアランスを促進する。したがって、腎臓のCAP阻害は高血圧を処置するために治療的に使用され得る。気道のCAP阻害は、そうしなければ患者を続発性細菌感染にかかりやすくする傾向がある呼吸器分泌物の停滞を防ぐ。
【発明の概要】
【0004】
発明の開示
本発明はチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)を調節するための化合物、医薬組成物およびこのような化合物を使用する方法を提供する。例えば、本発明の化合物および組成物はプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAおよび好中球エラスターゼを調節するために使用され得る。
【0005】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化1】
〔式中、
Bは
【化2】
または(CR2)k−R5であり;
Yは−SO2−、−NHCO−、−CO−または−O−C(=O)−である。ただし、R2がC1−6アルキルまたはフェニルであるとき、YはSO2であり;
Jは、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、所望により置換されている5−12員単環式または縮合ヘテロ環式環であり;
R1はH、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;シアノ、OH、O(CR2)lR6、SO2R6、CONR(CR2)lR6、CONR7R8または
【化3】
であり、ここで、R7およびR8は、NR7R8中のNと一体となって、窒素原子を介して(CR2)mに結合している所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成するか;または、R1は所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたは窒素原子を有さない5−7員ヘテロ環式環もしくはヘテロアリールであるか;または、
【化4】
であり、ここで、環Pは所望により置換されている5−7員炭素環式環であり;
R2はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリールまたは−L−(CR2)p−R5であり、ここで、LはO、S、S(O)、SO2またはOC(O)であり;
R3はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR2)l−R5であり;
R4はH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR=CR−R6、C2−6アルキニルまたは所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリールであるか;または、R4は
【化5】
であり、ここで、環Eは所望により置換されている5−12員単環式または縮合炭素環式またはヘテロ環式環であり;
R5およびR6は、独立して所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、R6はC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであってよく;
それぞれのRはHまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;そして、
k、m、nおよびpは独立して1−6である〕
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
上記式(1)において、R2はC1−6アルキル、所望により置換されているフェニルまたは−L−(CR2)p−R5であってよく、ここで、LはOである。
【0007】
1つの態様において、本発明は式(2):
【化6】
〔式中、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されており;
YはSO2または−O−C(=O)−であり;
qは1−5であり;
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)であり;そして、
R、R1、R3、R4、R5、mおよびnは式(1)に定義のとおりである〕
を有する化合物を提供する。
【0008】
いくつかの例において、式(2)のYはSO2であり、そして、R3はC1−6アルキルである。他の例において、R4は所望により置換されているピペリジニル、シクロヘキシル、フェニル、
【化7】
または
【化8】
である。特定の例において、R4はピペリジニルである。
【0009】
他の態様において、本発明は式(3):
【化9】
〔式中、R1はC3−7シクロアルキルまたはフェニルであり;
qは1−5であり;
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)であり;そして、
R、R5、J、kおよびmは式(1)に定義のとおりである〕
を有する化合物を提供する。
【0010】
上記式(2)および(3)において、qは1−2であってよく、そして、R9はハロである。いくつかの例において、式(3)のR5は所望により置換されているシクロヘキシル、ピペリジニルまたはチアゾリルであってよい。特定の例において、R5は所望によりピペリジニルで置換されているチアゾリルである。
【0011】
上記式(1)、(2)および(3)において、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであってよく、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されている。特定の例において、Jは所望により、例えば、C1−6アルキル、CF3または−(CR2)l−R5で置換されていてもよい1,2,4−オキサジアゾール−3−イルであり、ここで、R5は所望により置換されているフェニルまたはC3−7シクロアルキルである。
【0012】
上記式(1)、(2)および(3)において、R1はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、CF3、OH、C1−6アルコキシ、O(ベンジル)、SO2(C1−6アルキル)、CONH(C1−6アルキル)、CON(C1−6アルキル)2またはシアノであり得るか;または、R1がフェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、フラニル、ピペリジン−2−オニル、ピロリジン−2−オニル、ピロリジン−1−カルボニル、
【化10】
または
【化11】
であり、これらのいずれも所望によりハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、シアノ、OHまたはC1−6アルコキシで置換されている。
【0013】
他の局面において、本発明は、式(1)、(2)または(3)の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明は、また、チャネル活性化プロテアーゼを調節するための方法であって、治療有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を系または哺乳動物に投与し、それによって、該チャネル活性化プロテアーゼを調節することを含む方法を提供する。
【0015】
1つの態様において、本発明はチャネル活性化プロテアーゼを阻害するための方法であって、治療有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を細胞もしくは組織系または哺乳動物に投与し、それによって、該チャネル活性化プロテアーゼを阻害する方法であって;ここで、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼである方法を提供する。特定の例において、本発明はプロスタシンを阻害するための方法を提供する。
【0016】
他の局面において、本発明はチャネル活性化プロテアーゼが介在する状態を改善または処置するための方法であって、有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を、所望により第2の治療剤と共に細胞もしくは組織系または哺乳動物に投与し、それによって、該状態を処置する方法であって;ここで、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼである方法を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、チャネル活性化プロテアーゼが介在する状態を処置するための方法において使用するための式(1)、(2)または(3)の化合物を提供する。本発明は、また、チャネル活性化プロテアーゼが介在する状態を処置するための薬剤の製造における、式(1)、(2)または(3)の化合物の、所望により第2の治療剤と組み合わせた使用を提供する。
【0018】
特定の例において、本発明の化合物はプロスタシン−介在状態を処置するために使用され得る。1つの態様において、第2の治療剤は抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNaseであってよく、式(1)、(2)または(3)の化合物に対して前、同時または後に投与される。いくつかの例において、本発明の化合物は気管支上皮性細胞、特にヒト気管支上皮性細胞に投与される。
【0019】
本発明の化合物を使用して改善または処置され得る状態の例は、イオンを輸送する上皮を介する体液の移動または呼吸器組織における粘液または唾液の蓄積と関連する状態、またはそれらの組合せを含むが、これらに限定はされない。いくつかの例において、本発明の化合物を使用して介在され得る状態は嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全症、肺癌腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息または呼吸器感染症である。
【0020】
定義
基および他の基、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシの構造成分としての“アルキル”は、直鎖または分岐鎖であり得る。本明細書で使用される所望により置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、所望によりハロゲン化されているか(例えば、CF3)、または、ヘテロ原子、例えば、NR、OまたはSで置換されている、または、置き換えられている1個以上の炭素を有してもよい(例えば、−OCH2CH2O−、アルキルチオール、チオアルコキシ、アルキルアミン等)。
【0021】
“アリール”は炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチルであり得る。“アリーレン”はアリール基から生じる二価のラジカルを意味する。
【0022】
“ヘテロアリール”は1個以上の環員がヘテロ原子であるときの上記アリールを定義する。ヘテロアリールの例は、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含むが、これらに限定はされない。
【0023】
本明細書で使用される“炭素環式環”は、所望により、例えば、=Oで置換されていてもよい、炭素原子を含む飽和または部分的に不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環を意味する。炭素環式環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノンなどを含むが、これらに限定はされない。
【0024】
本明細書で使用される“ヘテロ環式環”は、1個以上の環炭素がヘテロ原子であるときの上記炭素環式環を定義する。例えば、ヘテロ環式環は、N、O、S、N=、S、S(O)、S(O)2またはNRを含んでよく、ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは保護基であり得る。ヘテロ環式環の例は、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イルなどを含むが、これらに限定はされない。
【0025】
他に記載のない限り、置換基が“所望により置換”されていると考えられるとき、それは、その置換基が、個々に、かつ独立して、例えば、所望により、ハロゲン化されているアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、モノおよびジ置換アミノ基を含むアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、カルボニル、炭素環式、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ環式、ヒドロキシ、イソシアネート、イソチオシアネート、メルカプト、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、パーハロアルキル、パーフルオロアルキル、シリル、スルホニル、チオカルボニル、チオシアネート、トリハロメタンスルホニルおよびそれらの保護された化合物から選択される1個以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。上記置換基の保護された化合物を形成し得る保護基は、当業者に既知であり、そして、文献、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999、およびKocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994で見つけることができる(これらを出典明示によりそれらの内容を本明細書に包含させる)。
【0026】
本明細書で使用される“共投与”または“組合せ投与”などの用語は、一人の患者に選択された複数治療剤を投与することを含むことを意味し、そして必ずしも複数薬剤が同じ投与経路によりまたは同時に投与されない処置レジメンを含むことを意図する。
【0027】
本明細書で使用される“薬学的組合せ”なる用語は、複数の活性成分の混合または組合せから得られる生産物を意味し、そして複数の活性成分の固定された組合せおよび固定されていない組合せの両方を含む。“固定された組合せ”なる用語は、複数の活性成分、例えば式(1)の化合物、および共薬剤両方が、単一の物または投与形で同時に患者に投与されることを意味する。“固定されていない組合せ”なる用語は、複数の活性成分、例えば式(1)の化合物、および共薬剤両方が、同時に、共にまたは特定の時間制限なしに連続してのいずれかで、別々の物として投与することを意味し、このような投与は、治療有効量の活性成分を患者の体内に提供する。後者は、カクテル療法、例えば3つ以上の活性成分の投与にも適用する。
【0028】
“治療有効量”なる用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医により求められる、細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトの生物または医学応答を誘導する対象化合物の量を意味する。
【0029】
対象化合物の“投与”または“投与する”なる用語は、処置を必要とする個体に本発明の化合物のプロドラッグを含む本発明の化合物を提供することを意味すると理解すべきである。
【0030】
本明細書で使用される、“処置する”、“処置し”および“処置”なる用語は疾患および/またはそれに付随する症候群を緩和または寛解する方法を意味する。
【0031】
“プロスタシン”なる用語は、また、ヒトチャネル活性化プロテアーゼ(hCAP);チャネル活性化プロテアーゼ−1;およびPRSS8、MERPOPS ID S01.159を意味し得る。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明を実施するための形態
本発明はチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)を調節するための化合物、医薬組成物およびこのような化合物を使用する方法を提供する。
【0033】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化12】
〔式中、
Bは
【化13】
または(CR2)k−R5であり;
Yは−SO2−、−NHCO−、−CO−または−O−C(=O)−である、ただし、R2がC1−6アルキルまたはフェニルであるとき、YはSO2であり;
Jは、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、所望により置換されている5−12員単環式または縮合ヘテロ環式環であり;
R1はH、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;シアノ、OH、O(CR2)lR6、SO2R6、CONR(CR2)lR6、CONR7R8または
【化14】
であり、ここで、R7およびR8は、NR7R8中のNと一体となって、窒素原子を介して(CR2)mに結合している所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成するか;または、R1は所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたは窒素原子を有さない5−7員ヘテロ環式環もしくはヘテロアリールであるか;または、
【化15】
であり、ここで、環Pは所望により置換されている5−7員炭素環式環であり;
R2はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリールまたは−L−(CR2)p−R5であり、ここで、LはO、S、S(O)、SO2またはOC(O)であり;
R3はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR2)l−R5であり;
R4はH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR=CR−R6、C2−6アルキニルまたは所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリールであるか;または、R4は
【化16】
であり、ここで、環Eは所望により置換されている5−12員単環式または縮合炭素環式またはヘテロ環式環であり;
R5およびR6は、独立して所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、R6はC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであってよく;
それぞれのRはHまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;そして、
k、m、nおよびpは独立して1−6である〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0034】
1つの態様において、本発明は式(2):
【化17】
〔式中、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されており;
YはSO2または−O−C(=O)−であり;
qは1−5であり;
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)であり;そして、
R、R1、R3、R4、R5、mおよびnは式(1)に定義のとおりである〕
を有する化合物を提供する。
【0035】
他の態様において、本発明は式(3):
【化18】
〔式中、R1はC3−7シクロアルキルまたはフェニルであり;
qは1−5であり;
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)であり;そして、
R、R5、J、kおよびmは式(1)に定義のとおりである〕
を有する化合物を提供する。
【0036】
他の態様において、上記式(1)、(2)および(3)のJはイミダゾリン−2−イル;イミダゾール−2−イル;オキサゾリン−2−イル;オキサゾール−2−イル;チアゾリン−2−イル;チアゾル−2−イル;チアゾル−5−イル;1,3,4−チアジアゾール−2−イル;1,2,4−チアジアゾール−3−イル;1,2,4−チアジアゾール−5−イル;イソチアゾル−3−イル;1,2,3−トリアゾール−4−イル;1,2,3−トリアゾール−5−イル;1,2,4−トリアジン−3−イル;1,3,5−トリアジン−2−イル;テトラゾール−5−イル;イソキサゾール−3−イル;1,2,3,4−オキサトリアゾール−5−イル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;2−ピラゾリン−3−イル;ピラゾール−3−イル;ピラジン−2−イル;ピリダジン−3−イル;ピリミジン−2−イル;1H−インダゾール−3−イル;ベンゾキサゾール−2−イル;ベンゾイミダゾール−2−イル;ベンゾチアゾル−2−イル;4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾル−2−イル;シンノリン−3−イル;フタラジン−1−イル;ナフト[2,1−d]チアゾル−2−イル;ナフト[1,2−d]チアゾル−2−イル;キノキサリン−2−イル;4−オキソキナゾリン−2−イル;キナゾリン−2−イル;キナゾリン−4−イル;プリン−2−イル;プリン−8−イル;プテリジン−2−イル;プテリジン−6−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル;オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル;オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イル;オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル;チアゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル;チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルおよびチアゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルを含むが、これらに限定はされない群から選択される。特定の例において、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されている。
【0037】
上記式(1)、(2)および(3)において、R1は非塩基性置換基、または、例えば、pKa<5、pKa<2またはpKa<0を有する比較的弱い塩基の基である。R1の例は、H、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;シアノ、OH、O(CR2)lR6、SO2R6、CONR(CR2)lR6、CONR7R8または
【化19】
であり、ここで、R7およびR8は、NR7R8中のNと一体となって、所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成するか;または、R1は所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたは窒素原子を有さない5−7員ヘテロ環式環もしくはヘテロアリールであるか;または、
【化20】
であり、ここで、環Pは所望により置換されている5−7員炭素環式環であるが、これらに限定はされない。
【0038】
上記式(1)、(2)および(3)において、所望により置換されている部分のそれぞれはハロ、=O、C1−6アルコキシ、アミノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルで置換されていてよく、その各々は所望によりハロゲン化されていてよく、または、所望によりN、OまたはS;CO2R10、O−(CR2)l−C(O)−R10;−(CR2)l−R10、−(CR2)l−C(O)−R10または−(CR2)l−SO2−R10;で置き換えられているか、または置換されていてもよい炭素を有してよく、またはそれらの組合せであってよく、ここでそれぞれのR10はH、アミノ、C1−6アルキルまたは所望により置換されている炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリールである。
【0039】
本発明は、また、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の全ての適当な同位体化合物(variation)を含む。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は少なくとも1個の原子が同じ原子数を有するが、通常天然で見られる原子質量と異なる原子質量を有する原子により置換されているものとして定義される。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩に包含され得る同位体の例は水素、炭素、窒素および酸素の同位体、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18F、36Clおよび123Iを含むが、これらに限定されない。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩の特定の同位体化合物、例えば、放射性同位体、例えば、3Hまたは14Cが包含される同位体化合物は、薬剤および/または基質組織分布研究において有用である。特定の例において、3Hおよび14C同位体は製造および検出の容易さのため使用され得る。他の例において、同位体、例えば、2Hでの置換は、より大きな代謝安定性からもたらされる特定の治療利益、例えば、インビボで半減期の増加または必要用量の減少を提供し得る。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は、一般的に適当な試薬の適当な同位体化合物を使用する慣用の製造法により製造することができる。
【0040】
本発明の化合物および組成物はチャネル活性化プロテアーゼを調節するために有用であり得る。本発明の化合物および組成物を使用して調節され得るチャネル活性化プロテアーゼの例はプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼを含むが、これらに限定はされない。本発明の化合物は、また、イオンチャネル、例えば、上皮性ナトリウムチャネルの活性を刺激するプロテアーゼの活性を阻害し得、CAP−関連疾患の処置に有用であり得る。
【0041】
薬理学および有用性
本発明の化合物はチャネル活性化プロテアーゼ、特にトリプシン様セリンプロテアーゼ、例えば、プロスタシンおよびそれ自体の活性を調節し、プロスタシンが、例えば、疾患の病状および/または総体症状に関与する疾患または障害を処置するために有用である。
【0042】
特にトリプシン様セリンプロテアーゼ、例えば、プロスタシンによりチャネル活性化プロテアーゼが介在する疾患は上皮膜を介する体液量の調節と関連する疾患を含む。例えば、気道表面の体液の量は粘膜毛様体クリアランスおよび肺の健康の保持の重要な調節因子である。チャネル活性化プロテアーゼの阻害は気道上皮の粘膜側の液体貯留を促進し、それにより粘液クリアランスを促進し、呼吸器組織(肺気道を含む)における粘液または唾液の蓄積を防止する。このような疾患は呼吸器疾患、例えば、嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全症、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、呼吸器感染症(急性および慢性;ウイルス性および細菌性)および肺癌腫を含む。チャネル活性化プロテアーゼが介在する疾患は、また、上皮を通過する体液の異常調節と関連する、あるいは表面の表面保護体液の異常な生理機能を伴う、呼吸器疾患以外の疾患、例えば、口腔乾燥症(ドライマウス)または乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)(ドライアイ)を含む。さらに、腎臓におけるENaCのCAP調節は利尿を促進し、それにより血圧低下作用を誘導するために使用することができる。
【0043】
慢性閉塞性肺疾患は慢性気管支炎またはそれらに付随する呼吸困難、気腫、ならびに他の薬剤治療、特に他の吸入薬剤治療の後の気道過敏性の再燃を含む。本発明は、また、例えば、急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含むすべてのタイプのまたは起源の気管支炎の処置に適用できる。
【0044】
喘息は内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息、軽度の喘息、中度の喘息、重度の喘息、気管支炎喘息、運動誘発喘息、職業的喘息および下記の細菌感染誘導喘息を含む。喘息は、また、喘鳴症候群を示し、主要な医学的懸念の確立された患者カテゴリーであり、しばしば初期のまたは早期の喘息として同定される“喘鳴小児”と診断されるまたは診断できる、4または5歳以下の対象を包含する“喘鳴小児症候群”と称される状態を包含する。
【0045】
チャネル活性化プロテアーゼが介在する疾患を処置するためのチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤、例えば、プロスタシン阻害剤の適合性は当分野で既知の上記および下記アッセイ方法にしたがってチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の阻害効果を同定することにより試験され得る。
【0046】
前記によって、本発明は、さらに、処置を必要とする対象における、上記のいずれかの疾患または障害を予防または処置する方法であって、治療的有効量の式(1)、(2)または(3)の化合物またはその薬学的に許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。上記の全ての使用に関して、必要な投与量は投与形態、処置すべき特定の状態および所望の効果に依存して変化する(下記“投与および医薬組成物”参照)。
【0047】
投与および医薬組成物:
一般的に、本発明の化合物は単独でまたは1種以上の治療剤との組合せのいずれかで当分野で既知の通常のおよび許容される形式のいずれかを介して、治療有効量を投与される。
【0048】
本発明のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、また、他の治療剤と組合せて使用するための共治療剤として有用である。例えば、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤または鎮咳剤、抗生物質またはDNase治療剤と組合せて使用され得る。チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤および他の治療剤は同じもしくは異なる医薬組成物であり得る。チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は固定された医薬組成物中の他の治療剤と混合され得、または他の治療剤に対して別々に、前に、同時にまたは後に投与され得る。組合せは、例えば、このような薬剤の治療効果の増強剤として、またはこのような薬剤の必要用量もしくは潜在的副作用減少の手段として、特に嚢胞性線維症または閉塞性もしくは炎症性気道疾患、例えば、上記のものの処置において有用であり得る。
【0049】
適当な抗炎症治療剤はステロイド、特にグルココルチコステロイド、例えば、ブデソニド、ベクロメタゾン(beclamethasone)ジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドもしくはモメタゾンフロエート、または国際特許出願WO02/88167、WO02/12266、WO02/100879、WO02/00679(例えば、実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101)、WO03/35668、WO03/48181、WO03/62259、WO03/64445、WO03/72592、WO04/39827およびWO04/66920に記載されているステロイド;非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト、例えば、DE10261874、WO00/00531、WO02/10143、WO03/82280、WO03/82787、WO03/86294、WO03/104195、WO03/101932、WO04/05229、WO04/18429、WO04/19935およびWO04/26248に記載されているもの;LTD4アンタゴニスト、例えば、モンテルカストおよびザフィルカスト;PDE4阻害剤、例えば、シロミラスト(ARIFLO(登録商標) GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(登録商標)(Byk Gulden)、V−11294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH−351591(Schering−Plough)、AROFYLLINE(登録商標)(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke−Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SelCID(TM)CC−10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T−440(田辺)、KW−4490(協和発酵工業)、およびWO92/19594、WO93/19749、WO93/19750、WO93/19751、WO98/18796、WO99/16766、WO01/13953、WO03/104204、WO03/104205、WO03/39544、WO04/000814、WO04/000839、WO04/005258、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/018431、WO04/018449、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/019944、WO04/019945、WO04/045607およびWO04/037805に記載されているもの;ならびに、アデノシンA2B受容体アンタゴニスト、例えば、WO02/42298(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)に記載されているものを含む。
【0050】
適当な気管支拡張治療剤はベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、アルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロールフェノテロール、プロカテロール、フォルモテロール、カルモテロールまたはそれらの薬学的に許容される塩;および、WO00/75114に記載されている式(1)の化合物(遊離形または塩形または溶媒和物形)、式:
【化21】
の化合物、WO04/16601の式(1)の化合物(遊離形または塩形または溶媒和物形)、およびEP1440966、JP05025045、WO93/18007、WO99/64035、US2002/0055651、WO01/42193、WO01/83462、WO02/66422、WO02/70490、WO02/76933、WO03/24439、WO03/42160、WO03/42164、WO03/72539、WO03/91204、WO03/99764、WO04/16578、WO04/22547、WO04/32921、WO04/33412、WO04/37768、WO04/37773、WO04/37807、WO04/39762、WO04/39766、WO04/45618WO04/46083およびWO04/80964(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0051】
適当な気管支拡張治療剤は、また、抗コリン剤または抗ムスカリン性薬剤、特にイプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、チオトロピウム塩およびCHF 4226(Chiesi)、およびグリコピロレート、また、EP424021、US3714357、US5171744、WO01/04118、WO02/00652、WO02/51841、WO02/53564、WO03/00840、WO03/33495、WO03/53966、WO03/87094、WO04/018422およびWO04/05285(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)に記載されているものを含む。
【0052】
適当なデュアル抗炎症および気管支拡張治療剤はデュアルベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリンアンタゴニスト、例えば、US2004/0167167、WO04/74246およびWO04/74812に記載されているものを含む。
【0053】
適当な抗ヒスタミン剤治療剤はセチリジンヒドロクロライド、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン(loratidine)、デスロラチジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライド、アクチバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテフェナジン(tefenadine)ならびにJP2004107299、WO03/099807およびWO04/026841(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)に記載されているものを含む。
【0054】
適当な抗生物質はマクロライド系抗生物質、例えば、トブラマイシン(TOBITM)を含む。
【0055】
適当なDNase治療剤は選択的にDNAを開裂する組み換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の非常に精製された溶液であるドルナーゼアルファ(PULMOZYMETM)を含む。ドルナーゼアルファが嚢胞性線維症を処置するために使用される。
【0056】
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤と抗炎症治療剤の他の有用な組合せは、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えば、CCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR−5アンタゴニスト、例えば、Schering−PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D、Takedaアンタゴニスト、例えば、N−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチル−フェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロライド(TAK−770)ならびにUS6166037、WO00/66558、WO00/66559、WO04/018425およびWO04/026873(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)に記載されているCCR−5アンタゴニストとである。
【0057】
本発明のプロスタシンが介在する疾患の処置において、遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、適当な経路で、例えば、経口的に、例えば、錠剤、カプセルまたは液体形態で、非経腸的に、例えば、注射可能溶液または懸濁液の形態で、または鼻腔内に、例えば適当な鼻腔内送達デバイスで、例えば、当分野で既知の鼻腔用スプレーを使用する、エアロゾル形態または他の噴霧可能製剤により、または特に噴霧器で使用するための吸入により投与され得る。
【0058】
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に医薬組成物で投与され得る。このような組成物は、例えば、乾燥粉末、錠剤、カプセルおよび液体だけでなく、また、当分野で既知の他の製剤成分および技術を使用して製造され得る、注射溶液、輸液または吸入懸濁液でもあり得る。
【0059】
遊離形または薬学的に許容される塩形のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の用量は種々の因子、例えば、活性成分の活性および持続時間、処置される状態の重症度、投与経路、対象の種、性別、人種、年齢および体重および/またはその個々の状態に依存し得る。温血動物、特に約75kgのヒトに投与、例えば経口投与する典型的な1日用量は、約0.7mgから約1400mg、特に約5mgから約200mgと概算される。該用量は、例えば、単回投与または例えば、5から200mgの複数回投与で投与され得る。
【0060】
組成物がエアロゾル製剤を構成するとき、それは、例えば、ヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)高圧ガス、例えば、HFA134aもしくはHFA227またはこれらの混合物を含み、そして1種以上の当分野で既知の共溶媒、例えば、エタノール(20重量%まで)、および/または1種以上の界面活性剤、例えば、オレイン酸またはトリオレイン酸ソルビタン、および/または1種以上の充てん剤、例えば、ラクトースを含み得る。組成物が乾燥粉末製剤を構成するとき、それは、例えば、10ミクロンまでの粒径を有するチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤と、所望により所望の粒径分布の希釈剤または担体、例えば、ラクトース、および製品の湿度による性能悪化に対する保護に役立つ化合物、例えば、ステアリン酸マグネシウムを一緒に含む。組成物が噴霧製剤を構成するとき、それは、例えば、水、共溶媒、例えば、エタノールまたはプロピレングリコールおよび界面活性剤であり得る安定剤を含むビヒクル中に溶解されたまたは懸濁されたチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤を含み得る。
【0061】
特定の態様において、本発明は吸入可能形の、例えば、エアロゾルまたは他の噴霧組成物または吸入可能粒子の、例えば、微粉化形の式(1)、(2)または(3)の化合物を提供する。本発明は、また、吸入可能形の本発明の化合物を含む吸入可能薬剤;吸入可能形の本発明の薬剤と吸入デバイスを一緒に含む医薬品;および吸入可能形の本発明の化合物を含む吸入デバイスを提供する。
【0062】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物は下記実施例の例示的な製造法で製造され得る。
【0063】
記載されている反応において、最終産物において望まれる反応性官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基)を、反応へのこれらの望まない参加を避けるために当分野で既知の保護基を使用して保護し得る。慣用の保護基は、標準的技法にしたがって使用し得る。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991参照。
【0064】
本発明の化合物は、また、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることにより薬学的に許容される酸付加塩として製造し得る。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることにより製造し得る。あるいは、塩形の本発明の化合物を出発物質または中間体の塩を使用して製造し得る。
【0065】
遊離酸形または遊離塩基形の本発明の化合物を、対応する塩基付加塩形または酸付加塩形、各々から製造し得る。例えば酸付加塩形の本発明の化合物は、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)と処理することにより対応する遊離塩基に変換し得る。塩基付加塩形の本発明の化合物は、適当な酸(例えば、塩酸など)と処理することにより対応する遊離酸に変換し得る。
【0066】
非酸化形の本発明の化合物を、適当な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、ジオキサン溶液など)中で、0から80℃で還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、リン三塩化物、三臭化物など)と処理することにより本発明の化合物のN−オキシドから製造し得る。
【0067】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を当業者に既知の方法で製造し得る(例えばさらなる詳細のためにSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグを本発明の非誘導化化合物を適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより製造し得る。
【0068】
本発明の化合物の保護された誘導体を当業者に既知の方法で製造し得る。保護基の創造およびその除去に適用できる技術の詳細な説明はT. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999において見ることができる。
【0069】
本発明の化合物を、溶媒和物(例えば、水和物)として都合良く製造するか、または本発明の工程中に形成し得る。本発明の化合物の水和物を、有機溶媒、例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを使用して、水性/有機溶媒混合物から再結晶することにより都合良く製造し得る。
【0070】
本発明の化合物を、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、一組のジアステレオマー化合物を形成し、該ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、それらの個々の立体異性体として製造し得る。エナンチオマーの分離は本発明の化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を使用して行うとき、分離できる複合体が好ましい(例えば、結晶のジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、そしてこれらの相違を利用して容易に分離し得る。ジアステレオマーをクロマトグラフィー、または溶解度の差異に基づく分割/分離技術により分割し得る。次に光学的に純粋なエナンチオマーを、ラセミ化をもたらさないであろう実用的手段により分割剤と共に回収する。ラセミ混合物から化合物の立体異性体の分離に適用できる技術のより詳細な説明はJean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981において見ることができる。
【0071】
手短に言えば、本発明の化合物は実施例で例示されているとおりに製造し得、式(1)、(2)または(3)の化合物は下記の工程を含む方法により製造し得る:
(a)所望により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(b)所望により塩形の本発明の化合物の非塩形への変換;
(c)所望により非酸化形の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(d)所望によりN−オキシド形の本発明の化合物の非酸化形への変換;
(e)所望により異性体の混合物からの本発明の化合物の個々の異性体への分離;
(f)所望により本発明の非誘導化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(g)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体のその非誘導化形態への変換。
【0072】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、その化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に準じてもしくは下記の実施例に記載のとおりに製造し得る。当業者は、上記変換が本発明の化合物の製造法の単なる代表例であり、そして他の既知の方法を同様に使用し得ることを理解できよう。本発明は、さらに本発明の化合物の製造を説明する下記中間体(参考化合物)および実施例により例示される。
【0073】
参照化合物1
【化22】
1−B:出発物質のCbz−Phe−OH(15.0g、50.0mmol)をTHF(150mL)に溶解し、溶液を−10℃に冷却し、次にトリエチルアミン(7.1ml、50.0mmol)を加え、イソブチルクロロホルメート(7.1ml、55mmol)を滴下する。得られた懸濁液を2時間0℃で撹拌する。反応混合物を濾過し、−10℃に冷却する。NaBH4(3.97g、105mmol)を水(50ml)に0℃で溶解し、溶液をTHF溶液に少しずつ加える。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌する。反応混合物を1NのHCl溶液で酸性化し、水相をEtOAcで数回抽出する。合わせた有機層を水、飽和NaHCO3水溶液および塩水で洗浄し;MgSO4で乾燥させ;溶媒を真空除去する。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、所望の生成物を白色の泡状物として得る。
【0074】
1−C:アルコール(12.02g、42.1mmol)をDCM(100ml)に溶解し、0℃に冷却する。DCM(100ml)中のデス・マーチン試薬(19.5g、46.2mmol)の溶液を少しずつ加える。懸濁液を室温に温め、変換が完了するまで(〜2時間)撹拌する。飽和NaHCO3水溶液および1MのNa2S2O3溶液の1:1混合物を加え、得られた二相系を20分激しく撹拌する。有機層を分離し、水層をDCMで1回抽出する。合わせた有機層を真空蒸留し、得られた油状物をEtOAcに取り;6回NaHCO3/Na2S2O3混合物、水および塩水で洗浄し;MgSO4で乾燥させ;溶媒を真空除去させ、粗アルデヒドを黄色がかった油状物として得る。物質をさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0075】
1−D:THF(100ml)中のイソ−PrMgCl(70.3mmol、Sigma−Aldrichの2M−THF溶液35ml)の溶液にTHF(20ml)中のベンゾオキサゾール(8.36g、70.3mmol)を−20℃で加える。反応混合物を−20℃で30分撹拌し(色の変化:深赤色)、THF(20ml)中のアルデヒド(11.9g、42.0mmol)の溶液を−20℃から−15℃の温度制御下でゆっくり加える。反応混合物を室温に温め、完了まで撹拌する。反応を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、溶媒を真空除去する。水相をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を1NのHCl溶液、水および塩水で過剰に洗浄し;MgSO4で乾燥させ;溶媒を真空除去させ、粗ベンゾオキサゾールを深赤色の油状物として得る。EtOAc/ヘキサン(1:5から1:1)のシリカで精製し、ベンゾオキサゾールを薄い黄色の固体として得る。
【0076】
1−E:化合物5(1.6g、5.96mmol)をエタノール(3mL)に溶解する。Pd/C(10%、湿性、Degussaタイプ)を加え、フラスコをParr攪拌機に一晩置き、40psiの水素ガスに付す。触媒をセライトを介して濾過し、溶媒を真空除去する。粗物質を最初にヘキサン/EtOAcの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、より低い極性の着色不純物を除き、次にDCM/MeOHの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物5を溶離する。溶媒を真空除去させ、所望の化合物を白色の固体として得る。
【0077】
参照化合物2
【化23】
2−B:この化合物は参照化合物1−Bの製造で記載されている方法と類似の方法を使用してL−Boc−アリルグリシンから製造する。
2−C:この化合物は参照化合物1−Cの製造で記載されている方法と類似の方法を使用して参照化合物2−Bから製造する。
2−D:この化合物は参照化合物1−Dの製造で記載されている方法と類似の方法を使用して参照化合物2−Cから製造する。
2−E:参照化合物2−D(350mg、1.10mmol)を塩化メチレン(3mL)に溶解する。TFA(2mL)を加え、反応物を出発物質が消費されるまで室温で撹拌する。溶媒を真空除去させ、TFA塩として生成物2−Eを得、これをさらなる精製なしに使用する。
【0078】
参照化合物3
【化24】
微粉末化されたKOH(19.4g、0.346mol)をDMSOに溶解し、室温で20分撹拌し、次に0℃に冷却する。DMSO(10mL)に溶解したN−Boc−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(Boc−Hyp−OH)(10g、43.3mmol)を加え、反応混合物をさらに10分0℃で撹拌する。次に、4−クロロベンジルクロライド(33.0g、0.204mol)を加え、反応混合物を0℃でさらに15分撹拌し、氷浴を除去した後、反応混合物を室温に温め、4時間撹拌する。反応混合物を水(300mL)に注ぎ、反応容器を等量の水(300mL)で濯ぐ。合わせた水層をエーテル(2×300mL)で抽出し、捨てる。水層を87%のH3PO4でpH2.3に酸性化し、次にエーテル(3×300mL)で抽出する。合わせたエーテル抽出物を水(2×400mL)および塩水(2×400mL)で洗浄し、次にMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮する。残渣をEtOAc/ヘキサン(勾配 0から100%)のシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物3を透明な油状物として得る。MS m/z 256.1(M+1−Boc);1H NMR (DMSO-D6, 400 MHz) δ 7.39-7.31 (4H, m), 4.52-4.40 (2H, m), 4.16-4.10 (2H, m), 3.48-3.41 (2H, m), 2.40-2.30 (1H, m), 2.03-1.94 (1H, m), 1.39-1.34 (9H, m)。
【0079】
参照化合物4
【化25】
4−B:4−ピペリジンエタノール(4−A)(5g、39.7mmol)をTHF(120mL)に溶解する。トリエチルアミン(5.6mL、40mmol)を加え、溶液を0℃に冷却する。Boc2O(9.59g、44mmol)を加え、反応物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、酢酸エチル(120mL)に溶解した粗残渣を加え、溶液を0.1NのHCl(3×100mL)および塩水(1×100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空蒸発し、化合物4−Bを透明な油状物として得る。
【0080】
4−C:トリクロロイソシアヌル酸(2.66g、11.46mmol)をDCM中のアルコール(2.39g、10.42mmol)の溶液に加え、溶液を撹拌し、0℃で維持し、次に触媒量のTEMPOを加える。添加後、混合物を室温に温め、1時間撹拌し、次にセライトで濾過する。有機相を飽和Na2CO3水溶液、次に1NのHCLおよび塩水で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発させ、4−Cを得る。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 9.72 (1H, s), 4.07-4.01 (2H, m), 2.70-2.57 (2H, m), 2.35-2.31 (2H, m), 2.05-1.94 (1H, m), 1.64-1.46 (2H, m), 1.39 (9H, s), 1.30-1.02 (2H, m)。
【0081】
4−D:THF中のCbz−α−ホスホノグリシントリメチルエステル、(2.8g、8.45mmol)の溶液に−78℃で1,1,3,3−テトラメチル−グアニジン(1.022ml、8.14mmol)を加える。10分後、アルデヒド3(1.76g、7.76mmol)を加える。次に溶液を氷浴に0℃で1時間置き、室温に温め、1時間以上撹拌する。溶液をEtOAcで希釈し、1MのNaHSO4で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空濃縮する。残渣を酢酸エチル/ヘキサン0から100%のクロマトグラフィー(ISCO)により精製し、4−Dを白色の固体として得る。MS m/z 333.2(M+1)、1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.35-7.33 (5H, m), 6.63 (1H, t, J = 8 Hz), 6.30 (1H, bs), 5.12 (2H, s), 4.10-4.04 (2H, m), 3.73 (3H, s), 2.67-2.62 (2H, m), 2.14 (2H, t, J = 6.8 Hz), 1.63-1.46 (3H, m), 1.43 (9H, s), 1.14-1.06 (2H, m)。
【0082】
4−F(工程dおよびe):Parr容器に、4−D(1g、2.31mmol)およびMeOH(100ml)を窒素下で充填する。溶液を真空および窒素バブリングの3サイクルに付し、触媒(R,R)−エチル−DuPHOS−Rh(COD)トリフレートを加える(30mg、0.04mmol)。混合物を60psiの水素ガス下に室温で24時間置く。4−Eへの変換は24時間後に完了し、単離せずに次の工程(e)に使用する。溶液を窒素でフラッシュし、Pd/C(5%wt)を加える。混合物を50psiのH2下に室温でさらに24時間置く。混合物を窒素でフラッシュし、セライトで濾過する。セライトケーキをMeOHで洗浄し、有機溶液を真空下で濃縮する。ヘキサンを加え、次に真空蒸発させ、残りのメタノールを共沸させ、油状物として4−Fを得、次にこれをさらなる精製なしに次工程に使用する。
【0083】
4−G:粗4−F(0.6g、1.99mmol)をTHF(10mL)に溶解し、2,4,6−コリジン(315mg、2.38mmol)およびメタンスルホニルクロライド(0.170ml、2.19mmol)を溶液に加え、2時間撹拌する。反応物をEtOAc(50mL)で希釈し;1MのNaHSO4(2×25mL)および塩水(25mL)で洗浄し;乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去し、粗残渣をヘキサンおよびEtOAcの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物4−Gを得る。
【0084】
4−H:化合物4−G(0.70g、1.84mmol)をジオキサン(7mL)に溶解し、水(4mL)に溶解したLiOH・H2O(232mg、5.55mmol)を加える。反応混合物を1時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAc(25mL)で希釈し、1NのNaHSO4(25mL)および塩水(25mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去させ、粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc勾配)により精製し、参照化合物4を白色の固体として得る。
【0085】
参照化合物5
【化26】
参照化合物3の反応スキームにおいて、反応剤および条件は下記のとおりである:(a)SOCl2(3.0当量)、MeOH、0℃、100%;(b)塩化メシル(1.2当量)、Et3N(3.0当量)、触媒DMAP、THF、23℃、79%;(c)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒(8mol%)、N−Boc−4−メチレンピペリジン(3.0当量)、DCM、40℃、51%;(d)LiOH、ジオキサン、H2O、23℃、100%。
【0086】
5−A:D−アリルグリシン(5.03g、43.73mmol、1.0当量)を氷−水浴中でメタノール(70mL)の懸濁液でスラリーにする。塩化チオニル(9.6mL、131.19mmol、3.0当量)を10分にわたって滴下する。LC/MSにより完了と示されるまで反応物を室温に温める。溶媒を蒸発させ、5−Aの得られた白色の固体を次の工程に直接使用する。
【0087】
5−B:D−アリルグリシンメチルエステル塩酸塩(5−A、7.20g、43.73mmol)、Et3N(18mL、131.19mmol、3.0当量)およびDMAP(10mg、触媒)をTHF(110mL)に溶解し、室温で撹拌する。塩化メシル(4.0mL、52.48mmol、1.2当量)を滴下し、反応物を6時間、室温で撹拌する。THFを蒸発させ、粗反応生成物をEtOAc(100mL)に溶解し、水(100mL)、1NのHCl(2×100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製し、5−Bを黄色の油状物として得る。
【0088】
5−C:無水ジクロロメタン(10mL、0.1M)をシリンジを介して5−B(2.15g、10.37mmol、1.0当量)に、Hoveyda−Grubbs第2世代メタセシス触媒(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムIIジクロライド)(510mg、0.815mmol、8mol%)を窒素雰囲気下で加える。
N−Boc−4−メチレンピペリジン(6mL、31.11mmol、3.0当量)をシリンジを介して加え、反応物を還流冷却器に置き、40℃に12時間加熱する。反応がLC/MSにより完了を示した後、反応混合物を自動シリカ−ゲル精製(ヘキサン中で0−100%の酢酸エチル)により直接精製し、5−Cを暗緑色の油状物として得る。MS m/z 277.2(M−Boc+1)。
【0089】
参照化合物5:5−Cの鹸化は前記参照化合物4の製造における製造法(工程g)を使用して成し遂げる。
【0090】
参照化合物6
【化27】
6−A:塩化チオニル(9.1mL、125mmol)を氷浴中で0℃で撹拌しながらメタノール(250mL)にゆっくり加える。30分、撹拌後、N−アルファ−Cbz−L−2,3−ジアミノプロピオン酸(Z−Dap−OH)(15g、63mmol)を加え、反応物を一晩、室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、得られた白色の固体をエーテル(300mL)でトリチュレートし、濾過し、メチルエステル6−Aを塩酸塩として得る。
【0091】
6−B:参照化合物6−A(5.0g、17.4mmol)をCH2Cl2(70mL)に取り、0℃に冷却する。この溶液にトリエチルアミン(5.4ml、39.0mmol)、次に5−クロロバレロイルクロライド(2.63g、18.7mmol)を加える。反応混合物を室温に温め、4時間撹拌する。反応物を塩水(100mL)に注ぎ、有機層をDCM(2×50mL)で抽出し、1NのHClで洗浄し、乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製し、所望の生成物を透明な油状物として得る。
【0092】
6−C:クロライド6−B(4.1g、11.1mmol)をDMF(110mL)に溶解し、0℃に冷却する。この溶液にNaH(鉱油中で60%分散の0.53g、13.3mmol)を加え、混合物を室温で4時間撹拌する。DMFを真空除去し、残渣をEtOAcに取り;1NのHCl、飽和NaHCO3および塩水で洗浄し;MgSO4で乾燥させる。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ラクタム6−Cを透明な油状物として得る。
【0093】
6−D:6−Cの鹸化は前記参照化合物4の製造における製造法(工程g)を使用して成し遂げる。
【0094】
参照化合物6(工程e、f、gおよびh):参照化合物6への6−Dの変換は前記参照化合物1の製造における製造法を使用して成し遂げる。
【0095】
参照化合物7
【化28】
D−ホモフェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(5.00g、20.5mmol)およびDIEA(8.7mL、51.25mmol)をTHF(100mL)に溶解し、室温で撹拌する。塩化メシル(1.67mL、21.52mmol)を滴下し、反応物を6時間、室温で撹拌する。THFを蒸発させ、粗物質をEtOAc(100mL)に溶解し、水(100mL)、1NのHCl(2×100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製し、エチルエステルを得る。得られたエチルエステルをジオキサン(50mL)に溶解し、室温で撹拌する。水(20mL)に溶解したLiOH・H2O(1.00mg、24mmol)を加え、反応物をエチルエステルが消失するまで(TLCおよびLCMSにより)撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をEtOAc(50mL)および1NのHCl(50mL)に分配する。水層をEtOAc(2×50mL)で抽出し、合わせた有機相を1MのNaHSO4(2×50mL)および塩水(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。溶媒を蒸発させ、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 勾配)により精製し、参照化合物7を白色の粉末として得る。
【0096】
参照化合物8
【化29】
この化合物は前記参照化合物7の製造方法に類似の方法を使用して、D−ホモシクロヘキシルアラニンエチルエステル塩酸塩から出発して製造する。
【0097】
参照化合物9
【化30】
この化合物は前記参照化合物7の製造方法に類似の方法を使用して、3−シアノフェニルアラニンから出発して製造する。
【0098】
参照化合物10
【化31】
参照化合物10の反応スキームにおいて、反応剤および条件は下記のとおりである:(a)Cbz−OSu、Et3N、THF、水、76%;(b)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、N−Boc−4−メチレンピペリジン、DCM、40℃、47%。
【0099】
10−B:D−アリルグリシン(2.07g、18.0mmol)およびN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(Cbz−OSu)(4.49g、18.0mmol)をTHF(60mL)および水(20mL)を含む丸底フラスコに加える。混合物を室温で撹拌し、Et3N(10.1mL、72.0mmol)を加え、反応物を一晩、室温で撹拌する。透明な溶液をEtOAc(200mL)で希釈し、1NのHCl(3×100mL)および塩水(1×100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。溶媒を真空蒸発させ、10−Bを白色の固体として得、これをさらなる精製なしに使用する。
【0100】
参照化合物10:無水ジクロロメタン(4mL、0.2M)をシリンジを介して10−B(193mg、0.766mmol、1.0当量)に加え、Hoveyda−Grubbs第2世代メタセシス触媒(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムIIジクロライド)(98mg、0.115mmol、15mol%)を窒素雰囲気下で加える。N−Boc−4−メチレンピペリジン(604mg、3.06mmol、4.0当量)をシリンジを介して加え、反応に還流冷却器を取り付け、40℃に12時間加熱する。反応がLC/MSにより完了が示された後、反応混合物を自動シリカ−ゲル精製(ヘキサン中で0−100%の酢酸エチル)により直接精製し、参照化合物10を暗緑色の油状物として得る。MS m/z 422.3(M−Boc+1)。
【0101】
参照化合物11
【化32】
メチレンシクロヘキサンでの2−Dの交差−メタセシスは参照化合物10の合成のために使用される方法に類似の方法を使用して成し遂げる。次にBoc脱保護は2−Eの合成で使用される方法に類似の方法を使用して成し遂げ、参照化合物11を得る。
【0102】
参照化合物12
【化33】
12−B:Cbz−Asp−OMe(2.5g、8.89mmol)をDCM(50mL)に溶解し、ジメチルアミン塩酸塩(797mg、9.78mmol)およびHATU(3.72g、9.78mmol)を加え、溶液を室温で10分撹拌する。次にDIEA(3.8mL、22.23mmol)を加え、反応混合物を一晩、室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc勾配)により直接精製する。溶媒を真空除去させ、参照化合物12−Bを得る。
【0103】
12−C:100mLの無水DCM中のメチルエステル12−B(2.71g、8.8mmol)の冷(−78℃)溶液にヘキサン(22mL、21.1mmol)中のDiBAL−Hの1Mの溶液を−70℃より低い反応温度を維持しながら滴下する。得られた溶液を−78℃で1時間撹拌し、5%のクエン酸(60mL)水溶液を反応混合物に加える。混合物を室温で10分撹拌し、次に層を分離する。水層をDCMで2回抽出する。合わせたDCM溶液を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮し、アルデヒド12−Cを得、これをさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0104】
参照化合物12への12−Cの変換は前記参照化合物1の製造方法(工程cおよびd)を使用して成し遂げる。
【0105】
参照化合物13
【化34】
13−B(工程aおよびb):アルデヒド13−Bへの市販のBoc−Cha−OHの変換は前記参照化合物1−Cの製造方法(工程aおよびb)を使用して成し遂げる。
【0106】
13−C:ジオキサン(10mL)に溶解させたアルデヒド13−B(5.06g、19.8mmol)を水(10mL)中の重亜硫酸ナトリウム(2.07g、19.8mmol)の冷(−5℃)溶液に加える。水(5mL)に溶解させたKCN(1.29g、19.8mmol)を加え、反応物を一晩撹拌しながら徐々に室温に温める。反応物を真空濃縮し、次に水で希釈する。pHを1MのNaHSO4で5に調節し、水相をEtOAcで抽出する。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製し、シアノヒドリン13−Cを得る。
【0107】
13−D:シアノヒドリン13−C(3.61g、12.8mmol)をEtOAc(50mL)に溶解し、50%のヒドロキシルアミン水溶液(1mL)で処理する。溶液を撹拌し、60℃に2時間加熱し、このとき反応がLCMSにより完了する。溶媒を真空除去し、得られた粗物質をさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0108】
13−E:ヒドロキシルアミジン13−D(1.0g、3.17mmol)をSMITH PROCESS VIALTM中でジオキサン(10mL)に溶解する。プロピオン酸無水物(0.45mL、3.49mmol)を加え、溶液をマイクロ波反応器(例えば、Personal Chemistry Emrys Optimizerマイクロ波反応器)に置き、150℃に35分加熱する。溶媒を真空除去し、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 溶離剤として)により精製し、オキサジアゾール13−Eを得る。
【0109】
参照化合物13:(515mg、1.46mmol)を塩化メチレン(30mL)に溶解する。TFA(20mL)を加え、出発物質が消費されるまで反応物を室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、ヘキサンと共沸し、蒸発させ、乾燥させ、生成物をTFA塩として得、これをさらなる精製なしに使用する。
【0110】
参照化合物14
【化35】
14−B:市販シクロプロパンカルボン酸ヒドラジド14−A(1.0、10.0mmol)をオルトギ酸トリメチル(10mL)に加える。p−トルエンスルホン酸一水和物(5mg)を加え、反応混合物を撹拌し、還流温度に一晩加熱する。溶媒を真空除去し、得られた粗残渣を真空蒸留し、2−シクロプロピル−[1,3,4]オキサジアゾール14−Bを得る。
【0111】
14−C:無水THF(12mL)中の2−シクロプロピル−[1,3,4]オキサジアゾール14−B(257mg、2.33mmol)の溶液を−78℃に冷却する。n−BuLi(ヘキサン中で1.6M、1.46mL、2.33mmol)を滴下し、反応混合物を−78℃で40分撹拌する。MgBr2・OEt(603mg、2.33mmol)を加え、反応物を−45℃に温め、次にこの温度で90分撹拌する。THF(5mL)中のアルデヒド13−B(595mg、2.33mmol)の溶液を加え、反応物を−20℃に温め、さらに4時間撹拌する。反応物を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、次にEtOAcで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。溶媒を真空除去し、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製し、所望の生成物14−Cを得る。
【0112】
参照化合物14:14−Cの脱保護は前記参照化合物13の製造方法(工程f)を使用して成し遂げる。
【0113】
参照化合物15
【化36】
15−A:n−ブチルリチウム(ヘキサン中で2.5M、19.8mL、49.7mmol)を10分にわたってTHF(135mL)中のトリス(メチルチオ)メタン(7.0mL、49.7mmol)の撹拌溶液に−65℃で加える。沈殿が形成して20分後、THF(50mL)中のアルデヒド13−B(2.96g、11.6mmol)のあらかじめ冷やした(−65℃)溶液を30分にわたって加え、沈殿を溶解する。撹拌を5時間−65℃で続ける。次に反応混合物を飽和NH4Cl/DCM水溶液の撹拌混合物(400mL、1:12)に注ぐ。層を分離し、水層をDCM(3×100mL)で抽出する。合わせた有機相を水および塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、真空乾燥させる。シリカゲルクロマトグラフィーにより粗生成物を精製し、15−Aを油状物として得る。
【0114】
15−B:MeOH(46mL)および水(4mL)中のオルトチオエステル15−A(0.988g、2.41mmol)の溶液をHgCl2(2.20g、8.10mmol)およびHgO(0.658g、3.04mmol)と3日間撹拌する。反応混合物をセライトを介して濾過し、残渣をDCM(300mL)、MeOH(50mL)および水(50mL)で洗浄する。二相濾液を分離し、水層をDCM(3×50mL)で抽出する。合わせた有機相を飽和NH4OAc水溶液(3×100mL)および飽和NH4Cl水溶液(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮する。得られた粗油状物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、メチルエステル15−Bを得る。
【0115】
15−C:THF/MeOH/H2O(20mL/5mL/5mL)中のメチルエステル15−B(302mg、0.96mmol)の撹拌溶液に粉末化LiOH・H2O(112mg、2.67mmol)を加える。15分後、1MのNaHSO4水溶液(8mL)を加え、溶媒を減圧下蒸発する。残渣をH2O(10mL)で希釈し、1MのNaHSO4水溶液でpH=2に酸性化し、EtOAc(3×10mL)で抽出する。合わせた有機相をH2Oおよび塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、酸15−Cを得る。
【0116】
15−D:酸15−C(50mg、0.16mmol)をDCM(5mL)に溶解する。N−ヒドロキシプロピオンアミジン(15mg、0.16mmol)およびDCC(34mg、0.16)を加え、反応物を2時間撹拌する。ジシクロヘキシルウレア副産物を濾過し、溶媒を減圧下除去する。残渣をTHF(5mL)に溶解し、SMITHPROCESSVIALTMに移し、PersonalChemistryEmrysOptimizerマイクロ波反応器に置き、180℃に10分加熱する。溶媒を真空除去し、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 溶離剤として)により精製し、オキサジアゾール15−Dを得る。
【0117】
参照化合物15:15−Dの脱保護は前記参照化合物13の製造方法(工程f)を使用して成し遂げる。
【実施例】
【0118】
実施例1
【化37】
1−A:TFA塩の参照化合物1(895mg、3.34mmol)をCH2Cl2(50mL)に溶解する。参照化合物3(1.30g、3.67mmol)およびHATU(1.40g、3.67mmol)を加え、溶液を室温で10分撹拌する。DIEA(1.5mL、8.4mmol)をシリンジを介して加え、反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(100gのシリカ、ヘキサン/EtOAc 勾配)により直接精製する。溶媒を真空除去させ、1−Aを泡状物として得る。
【0119】
1−B:20mLスクリューキャップバイアルを撹拌棒および1−A(100mg、0.16mmol)で充填する。DCM(5mL)中のTFA(20%)を加え、バイアルを閉じ、溶液を1時間、室温で撹拌する。溶媒を真空除去、ヘキサンを加え、次に再び真空蒸発させ、乾燥させ、残りのTFAを共沸蒸留するために必要であれば繰り返す。粗物質をさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0120】
1−C:TFA塩の化合物1−B(99mg、0.16mmol)をCH2Cl2(5mL)に溶解する。参照化合物4(55mg、0.152mmol)およびHATU(67mg、0.176mmol)を加え、溶液を室温で10分撹拌する。DIEA(0.1mL、0.19mmol)をシリンジを介して加え、反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc勾配)により直接精製する。溶媒を真空除去させ、1−Cを泡状物として得る。
【0121】
1−D:アルコール1−C(113mg、0.13mmol)をDCM(10mL)に溶解し、デス−マーチン・ペルヨージナン(66mg、0.15mmol)を加える。反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をEtOAc:ヘキサンの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ケトンを白色の泡状物として得る。
【0122】
実施例1:ケトン1−D(59mg、0.069mmol)をDCM(1mL)に溶解し、DCM(5mL)中のTFA50%を加える。反応物を室温で2時間撹拌し、溶媒を真空除去する。粗物質を逆相HPLCにより精製し、溶媒を凍結乾燥させ、実施例1を白色の粉末として得る。
【0123】
実施例2−74
実施例2−74は、当業者には容易に明白である適当な酸およびアミン成分を使用して、実施例1に類似の方法にしたがって製造する。
【0124】
実施例75
【化38】
75−A:(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ジエチルエーテル中で2M)(4.7ml、9.45mmol)の溶液をCH2Cl2/MeOH 5:1(25mL)に溶解した参照化合物3(2.4g、8.6mmol)に室温で加える。LC/MSにより測定したとき出発物質が消費されたとき、反応混合物を酢酸でクエンチし、真空濃縮し、粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(勾配 EtOAc:ヘキサン)により精製し、メチルエステル75−Aを透明な油状物として得る。
【0125】
75−B:丸底フラスコを撹拌棒および75−A(510mg、1.38mmol)で充填する。DCM(6mL)中のTFA(50%)を加え、溶液を1時間、室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、ヘキサンを加え、次に再び真空蒸発させ、乾燥させ、必要なとき繰り返し、残りのTFAを共沸する。粗物質をさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0126】
75−C:TFA塩のプロリン75−B(1.07g、2.8mmol)をCH2Cl2(30mL)に溶解し;参照化合物4(1.02g、2.7mmol)およびHATU(1.12g、2.94mmol)を加え、溶液を室温で10分撹拌する。DIEA(1.5mL、8.4mmol)をシリンジを介して加え、反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(120gのシリカ、ヘキサン/EtOAc勾配)により直接精製する。溶媒を真空除去させ、75−Cを油半固体として得る。
【0127】
75−D:メチルエステル75−C(1.15g、1.87mmol)をジオキサン(15mL)に溶解する。水酸化リチウム(120mg、2.8mmol)を水(15mL)に溶解し、メチルエステル75−Cの溶液に滴下し、3時間、室温で撹拌する。反応混合物を真空濃縮し、ジオキサンを除去し、1MのNaHSO4で酸性化し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。溶媒を真空除去させ、カルボン酸75−Dをロウ状の固体として得る。
【0128】
75−E:カルボン酸75−D(102mg、0.17mmol)をDCM(5mL)に溶解する。参照化合物13(62mg、0.17mmol)およびHATU(71mg、0.19mmol)を加え、混合物を10分、室温で撹拌する。次にDIEA(0.10mL、0.51mmol)を加え、反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をEtOAc(15mL)に再溶解し、1MのHCl(2×15mL)、次に飽和NaHCO3水溶液(2×15mL)および塩水(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させる。溶媒を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製し、所望の生成物を白色の泡状物として得る。
【0129】
75−F:アルコール75−E(94mg、0.11mmol)をDCM(10mL)に溶解し、デス・マーチン・ペルヨージナン(56mg、0.13mmol)を加える。反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をEtOAc:ヘキサンの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ケトンを白色の泡状物として得る。
【0130】
実施例75:ケトン75−F(60mg、0.072mmol)をDCM(1mL)に溶解し、DCM(5mL)中のTFA50%を加える。反応物を室温で2時間撹拌し、溶媒を真空除去する。粗物質を逆相HPLCにより精製し、溶媒を白色の粉末に凍結乾燥させる。
【0131】
実施例76−91
実施例76−91は、当業者には容易に明白である適当な酸およびアミン成分を使用して、実施例1および75に類似の方法にしたがって製造する。
【0132】
表1は実施例1−91に記載されている式(1)の化合物を示す。
表1
【表1】
【表2】
【0133】
【表3】
【表4】
【0134】
【表5】
【表6】
【0135】
【表7】
【表8】
【0136】
【表9】
【表10】
【0137】
【表11】
【表12】
【0138】
【表13】
【表14】
【0139】
【表15】
【表16】
【0140】
【表17】
【表18】
【0141】
【表19】
【表20】
【0142】
【表21】
【表22】
【0143】
【表23】
【0144】
アッセイ
チャネル活性化プロテアーゼが介在する疾患を処置するためのチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤、例えば、プロスタシン阻害剤の適合性は、(1)Shipway et al.; Biochemical and Biophysical Research Communications 2004; 324(2):953-63に記載されている方法を使用する適当な生化学アッセイフォーマットを使用して、天然の、単離された、精製されたまたは組み換えのチャネル活性化プロテアーゼに対する;および/または(2)Bridges et al.; American Journal of Physiology Lung Cell Molecular Physiology 2001; 281(1):L16-23;およびDonaldson et al.; Journal of Biological Chemistry 2002; 277(10):8338-45に記載されている方法を使用して、適当な単離された細胞またはコンフルエントな上皮のイオンチャネル/イオン輸送機能に対する、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の阻害効果を測定することにより試験され得る。
【0145】
生化学アッセイ
組み換えヒトプロスタシンおよびマトリプターゼならびにモルモットプロスタシンはShipway et al., Biochem. and Biophys. Res. Commun. 2004; 324(2):953-63に記載されている方法にしたがって製造する。組み換え酵素を適当なマルチウェルアッセイプレート、例えば、96または384ウェルプレート中、試験化合物またはビヒクルを含む電解質バッファー中でインキュベートする。酵素と化合物またはビヒクルの混合一定時間後に、適当な蛍光ペプチド基質をアッセイ混合物に加える。基質が活性酵素により開裂されたとき、蛍光(適当な蛍光プレートリーダーを使用して測定される)が増加し、基質(すなわち酵素活性)のターンオーバー率、したがって全ての試験化合物の阻害効果を定量し得る。試験化合物の効力は酵素活性の50%減衰を誘導する濃度として示される(Ki)。
【0146】
一般的に、本発明の化合物は0.1nMから5μMのKi値を有し得る。いくつかの例において、本発明の化合物は0.1nMから500nM;0.1nMから50nM;0.1nMから5nM;または0.1nMから0.5nMのKi値を有し得る。特定の例において、本発明の化合物は0.1nMから0.5nM;0.5nMから5nM;5nMから50nM;50nMから500nM;または500nMから5μMのKi値を有し得る。さらに他の実施例において、化合物は0.1nM未満または5μM以上のKi値を有し得る。
【0147】
上皮性イオン輸送
ヒト気管支上皮性細胞をDanahay et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2002; 282(2):L226-36に記載されている方法にしたがって培養する。適当に分化したとき(先端−空気界面の構築から14−21日後)、上皮性細胞をビヒクル、アプロチニン(200μg/ml)または試験化合物のいずれかで90分間試験する。次に、上皮の先端側のビヒクル、アプロチニンまたは試験化合物の濃度を維持しながら、上皮を上記Danahay et al., に記載されているとおりにチャンバーに置く。次に短絡回路電流(ISC)を上皮を0ミリボルトに留めるボルトにより測定する。次にアミロリド感受性のISCを上皮の先端表面にアミロリド(10μM)を加えることにより測定する。試験化合物の効力はアミロリド感受性ISCの全アプロチニン感受性因子の50%阻害を誘導する濃度として示される。
【0148】
一般的に、本発明の化合物は1nMから10μMのIC50値を有し得る。いくつかの例において、本発明の化合物は1nMから1μM;または、さらに特に1nMから100nMのIC50値を有し得る。さらに他の実施例において、本発明の化合物は100nMから1μMまたは1μMから10μMのIC50値を有し得る。さらに他の実施例において、化合物は1nM未満または10μM以上のIC50値を有し得る。
【0149】
気管電位差(インビボ)
モルモットを短期作用型の吸入麻酔、例えば、ハロセインおよびN2Oを使用して麻酔する。短時間作用型の麻酔下、胃ゾンデを口腔咽頭経路を介して気管に挿入する。気管に入ったら、適当な水性ベース希釈剤中の少量(50−200μl)のビヒクルまたは試験化合物を気道に注入する。その後動物は回復し、完全に歩行するようになる。あるいは、試験化合物を、エアロゾルまたは乾燥粉末投与を使用して、動物に投与してよい。投与一定時間後に、動物を、適当な麻酔剤、例えば、ケタミンおよびキシラジンを使用して、外科的に麻酔する。次に気管を暴露し、プラスチック寒天架橋電極を気管内腔に挿入する。基準電極を、また、動物の首の筋肉の層に挿入する。次に気管電位差を、Takahashi et al., Toxicol Appl Pharmacol. 1995; 131(1):31-6に記載されている適当な高インピーダンス電圧計を使用して、測定する。試験化合物の効力は気管電位差の感受性因子の50%減少を誘導する用量として示される。
【0150】
ここに記載の例および態様は、説明の目的のためのみであり、それに照らした様々な修飾または変化が当業者には示唆され、それらは本発明の精神および範囲内および添付の特許請求の範囲内に包含されることは理解されるべきである。本明細書で引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的のために引用して本明細書に包含する。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年2月9日出願の米国仮出願番号60/889,008の優先権の利益を主張し、それは引用により、その全体を、本出願に包含させる。
【0002】
技術分野
一般的に、本発明は、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP)阻害剤に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
プロスタシンは種々の哺乳動物組織に存在するトリプシン様セリンプロテアーゼである。それは、細胞の細胞外膜上に発現するが、また、体液、例えば、精液、尿および気道表面液に分泌され得る膜固定プロテアーゼである。プロスタシン(PRSS8)はマトリプターゼ、CAP2、CAP3、トリプシン、PRSS22、TMPRSS11、カテプシンAおよび好中球エラスターゼのようなプロテアーゼと共に、アミロリド感受性の上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)の活性を刺激することができる。これらの酵素の阻害は上皮性イオン移動の変化、したがって上皮性膜を介する体液ホメオスタシスの変化を誘導することができる。例えば、腎臓のCAP阻害は利尿を促進すると考えられ、一方で気道のCAP阻害は肺の粘液または唾液のクリアランスを促進する。したがって、腎臓のCAP阻害は高血圧を処置するために治療的に使用され得る。気道のCAP阻害は、そうしなければ患者を続発性細菌感染にかかりやすくする傾向がある呼吸器分泌物の停滞を防ぐ。
【発明の概要】
【0004】
発明の開示
本発明はチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)を調節するための化合物、医薬組成物およびこのような化合物を使用する方法を提供する。例えば、本発明の化合物および組成物はプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAおよび好中球エラスターゼを調節するために使用され得る。
【0005】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化1】
〔式中、
Bは
【化2】
または(CR2)k−R5であり;
Yは−SO2−、−NHCO−、−CO−または−O−C(=O)−である。ただし、R2がC1−6アルキルまたはフェニルであるとき、YはSO2であり;
Jは、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、所望により置換されている5−12員単環式または縮合ヘテロ環式環であり;
R1はH、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;シアノ、OH、O(CR2)lR6、SO2R6、CONR(CR2)lR6、CONR7R8または
【化3】
であり、ここで、R7およびR8は、NR7R8中のNと一体となって、窒素原子を介して(CR2)mに結合している所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成するか;または、R1は所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたは窒素原子を有さない5−7員ヘテロ環式環もしくはヘテロアリールであるか;または、
【化4】
であり、ここで、環Pは所望により置換されている5−7員炭素環式環であり;
R2はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリールまたは−L−(CR2)p−R5であり、ここで、LはO、S、S(O)、SO2またはOC(O)であり;
R3はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR2)l−R5であり;
R4はH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR=CR−R6、C2−6アルキニルまたは所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリールであるか;または、R4は
【化5】
であり、ここで、環Eは所望により置換されている5−12員単環式または縮合炭素環式またはヘテロ環式環であり;
R5およびR6は、独立して所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、R6はC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであってよく;
それぞれのRはHまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;そして、
k、m、nおよびpは独立して1−6である〕
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
上記式(1)において、R2はC1−6アルキル、所望により置換されているフェニルまたは−L−(CR2)p−R5であってよく、ここで、LはOである。
【0007】
1つの態様において、本発明は式(2):
【化6】
〔式中、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されており;
YはSO2または−O−C(=O)−であり;
qは1−5であり;
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)であり;そして、
R、R1、R3、R4、R5、mおよびnは式(1)に定義のとおりである〕
を有する化合物を提供する。
【0008】
いくつかの例において、式(2)のYはSO2であり、そして、R3はC1−6アルキルである。他の例において、R4は所望により置換されているピペリジニル、シクロヘキシル、フェニル、
【化7】
または
【化8】
である。特定の例において、R4はピペリジニルである。
【0009】
他の態様において、本発明は式(3):
【化9】
〔式中、R1はC3−7シクロアルキルまたはフェニルであり;
qは1−5であり;
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)であり;そして、
R、R5、J、kおよびmは式(1)に定義のとおりである〕
を有する化合物を提供する。
【0010】
上記式(2)および(3)において、qは1−2であってよく、そして、R9はハロである。いくつかの例において、式(3)のR5は所望により置換されているシクロヘキシル、ピペリジニルまたはチアゾリルであってよい。特定の例において、R5は所望によりピペリジニルで置換されているチアゾリルである。
【0011】
上記式(1)、(2)および(3)において、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであってよく、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されている。特定の例において、Jは所望により、例えば、C1−6アルキル、CF3または−(CR2)l−R5で置換されていてもよい1,2,4−オキサジアゾール−3−イルであり、ここで、R5は所望により置換されているフェニルまたはC3−7シクロアルキルである。
【0012】
上記式(1)、(2)および(3)において、R1はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、CF3、OH、C1−6アルコキシ、O(ベンジル)、SO2(C1−6アルキル)、CONH(C1−6アルキル)、CON(C1−6アルキル)2またはシアノであり得るか;または、R1がフェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、フラニル、ピペリジン−2−オニル、ピロリジン−2−オニル、ピロリジン−1−カルボニル、
【化10】
または
【化11】
であり、これらのいずれも所望によりハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、シアノ、OHまたはC1−6アルコキシで置換されている。
【0013】
他の局面において、本発明は、式(1)、(2)または(3)の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明は、また、チャネル活性化プロテアーゼを調節するための方法であって、治療有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を系または哺乳動物に投与し、それによって、該チャネル活性化プロテアーゼを調節することを含む方法を提供する。
【0015】
1つの態様において、本発明はチャネル活性化プロテアーゼを阻害するための方法であって、治療有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を細胞もしくは組織系または哺乳動物に投与し、それによって、該チャネル活性化プロテアーゼを阻害する方法であって;ここで、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼである方法を提供する。特定の例において、本発明はプロスタシンを阻害するための方法を提供する。
【0016】
他の局面において、本発明はチャネル活性化プロテアーゼが介在する状態を改善または処置するための方法であって、有効量の式(1)、(2)または(3)を有する化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を、所望により第2の治療剤と共に細胞もしくは組織系または哺乳動物に投与し、それによって、該状態を処置する方法であって;ここで、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼである方法を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、チャネル活性化プロテアーゼが介在する状態を処置するための方法において使用するための式(1)、(2)または(3)の化合物を提供する。本発明は、また、チャネル活性化プロテアーゼが介在する状態を処置するための薬剤の製造における、式(1)、(2)または(3)の化合物の、所望により第2の治療剤と組み合わせた使用を提供する。
【0018】
特定の例において、本発明の化合物はプロスタシン−介在状態を処置するために使用され得る。1つの態様において、第2の治療剤は抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNaseであってよく、式(1)、(2)または(3)の化合物に対して前、同時または後に投与される。いくつかの例において、本発明の化合物は気管支上皮性細胞、特にヒト気管支上皮性細胞に投与される。
【0019】
本発明の化合物を使用して改善または処置され得る状態の例は、イオンを輸送する上皮を介する体液の移動または呼吸器組織における粘液または唾液の蓄積と関連する状態、またはそれらの組合せを含むが、これらに限定はされない。いくつかの例において、本発明の化合物を使用して介在され得る状態は嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全症、肺癌腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息または呼吸器感染症である。
【0020】
定義
基および他の基、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシの構造成分としての“アルキル”は、直鎖または分岐鎖であり得る。本明細書で使用される所望により置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、所望によりハロゲン化されているか(例えば、CF3)、または、ヘテロ原子、例えば、NR、OまたはSで置換されている、または、置き換えられている1個以上の炭素を有してもよい(例えば、−OCH2CH2O−、アルキルチオール、チオアルコキシ、アルキルアミン等)。
【0021】
“アリール”は炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチルであり得る。“アリーレン”はアリール基から生じる二価のラジカルを意味する。
【0022】
“ヘテロアリール”は1個以上の環員がヘテロ原子であるときの上記アリールを定義する。ヘテロアリールの例は、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含むが、これらに限定はされない。
【0023】
本明細書で使用される“炭素環式環”は、所望により、例えば、=Oで置換されていてもよい、炭素原子を含む飽和または部分的に不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環を意味する。炭素環式環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノンなどを含むが、これらに限定はされない。
【0024】
本明細書で使用される“ヘテロ環式環”は、1個以上の環炭素がヘテロ原子であるときの上記炭素環式環を定義する。例えば、ヘテロ環式環は、N、O、S、N=、S、S(O)、S(O)2またはNRを含んでよく、ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは保護基であり得る。ヘテロ環式環の例は、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イルなどを含むが、これらに限定はされない。
【0025】
他に記載のない限り、置換基が“所望により置換”されていると考えられるとき、それは、その置換基が、個々に、かつ独立して、例えば、所望により、ハロゲン化されているアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、モノおよびジ置換アミノ基を含むアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、カルボニル、炭素環式、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ環式、ヒドロキシ、イソシアネート、イソチオシアネート、メルカプト、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、パーハロアルキル、パーフルオロアルキル、シリル、スルホニル、チオカルボニル、チオシアネート、トリハロメタンスルホニルおよびそれらの保護された化合物から選択される1個以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。上記置換基の保護された化合物を形成し得る保護基は、当業者に既知であり、そして、文献、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999、およびKocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994で見つけることができる(これらを出典明示によりそれらの内容を本明細書に包含させる)。
【0026】
本明細書で使用される“共投与”または“組合せ投与”などの用語は、一人の患者に選択された複数治療剤を投与することを含むことを意味し、そして必ずしも複数薬剤が同じ投与経路によりまたは同時に投与されない処置レジメンを含むことを意図する。
【0027】
本明細書で使用される“薬学的組合せ”なる用語は、複数の活性成分の混合または組合せから得られる生産物を意味し、そして複数の活性成分の固定された組合せおよび固定されていない組合せの両方を含む。“固定された組合せ”なる用語は、複数の活性成分、例えば式(1)の化合物、および共薬剤両方が、単一の物または投与形で同時に患者に投与されることを意味する。“固定されていない組合せ”なる用語は、複数の活性成分、例えば式(1)の化合物、および共薬剤両方が、同時に、共にまたは特定の時間制限なしに連続してのいずれかで、別々の物として投与することを意味し、このような投与は、治療有効量の活性成分を患者の体内に提供する。後者は、カクテル療法、例えば3つ以上の活性成分の投与にも適用する。
【0028】
“治療有効量”なる用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医により求められる、細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトの生物または医学応答を誘導する対象化合物の量を意味する。
【0029】
対象化合物の“投与”または“投与する”なる用語は、処置を必要とする個体に本発明の化合物のプロドラッグを含む本発明の化合物を提供することを意味すると理解すべきである。
【0030】
本明細書で使用される、“処置する”、“処置し”および“処置”なる用語は疾患および/またはそれに付随する症候群を緩和または寛解する方法を意味する。
【0031】
“プロスタシン”なる用語は、また、ヒトチャネル活性化プロテアーゼ(hCAP);チャネル活性化プロテアーゼ−1;およびPRSS8、MERPOPS ID S01.159を意味し得る。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明を実施するための形態
本発明はチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)を調節するための化合物、医薬組成物およびこのような化合物を使用する方法を提供する。
【0033】
1つの局面において、本発明は、式(1):
【化12】
〔式中、
Bは
【化13】
または(CR2)k−R5であり;
Yは−SO2−、−NHCO−、−CO−または−O−C(=O)−である、ただし、R2がC1−6アルキルまたはフェニルであるとき、YはSO2であり;
Jは、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、所望により置換されている5−12員単環式または縮合ヘテロ環式環であり;
R1はH、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;シアノ、OH、O(CR2)lR6、SO2R6、CONR(CR2)lR6、CONR7R8または
【化14】
であり、ここで、R7およびR8は、NR7R8中のNと一体となって、窒素原子を介して(CR2)mに結合している所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成するか;または、R1は所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたは窒素原子を有さない5−7員ヘテロ環式環もしくはヘテロアリールであるか;または、
【化15】
であり、ここで、環Pは所望により置換されている5−7員炭素環式環であり;
R2はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリールまたは−L−(CR2)p−R5であり、ここで、LはO、S、S(O)、SO2またはOC(O)であり;
R3はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR2)l−R5であり;
R4はH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR=CR−R6、C2−6アルキニルまたは所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリールであるか;または、R4は
【化16】
であり、ここで、環Eは所望により置換されている5−12員単環式または縮合炭素環式またはヘテロ環式環であり;
R5およびR6は、独立して所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、R6はC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであってよく;
それぞれのRはHまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;そして、
k、m、nおよびpは独立して1−6である〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0034】
1つの態様において、本発明は式(2):
【化17】
〔式中、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されており;
YはSO2または−O−C(=O)−であり;
qは1−5であり;
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)であり;そして、
R、R1、R3、R4、R5、mおよびnは式(1)に定義のとおりである〕
を有する化合物を提供する。
【0035】
他の態様において、本発明は式(3):
【化18】
〔式中、R1はC3−7シクロアルキルまたはフェニルであり;
qは1−5であり;
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)であり;そして、
R、R5、J、kおよびmは式(1)に定義のとおりである〕
を有する化合物を提供する。
【0036】
他の態様において、上記式(1)、(2)および(3)のJはイミダゾリン−2−イル;イミダゾール−2−イル;オキサゾリン−2−イル;オキサゾール−2−イル;チアゾリン−2−イル;チアゾル−2−イル;チアゾル−5−イル;1,3,4−チアジアゾール−2−イル;1,2,4−チアジアゾール−3−イル;1,2,4−チアジアゾール−5−イル;イソチアゾル−3−イル;1,2,3−トリアゾール−4−イル;1,2,3−トリアゾール−5−イル;1,2,4−トリアジン−3−イル;1,3,5−トリアジン−2−イル;テトラゾール−5−イル;イソキサゾール−3−イル;1,2,3,4−オキサトリアゾール−5−イル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;2−ピラゾリン−3−イル;ピラゾール−3−イル;ピラジン−2−イル;ピリダジン−3−イル;ピリミジン−2−イル;1H−インダゾール−3−イル;ベンゾキサゾール−2−イル;ベンゾイミダゾール−2−イル;ベンゾチアゾル−2−イル;4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾル−2−イル;シンノリン−3−イル;フタラジン−1−イル;ナフト[2,1−d]チアゾル−2−イル;ナフト[1,2−d]チアゾル−2−イル;キノキサリン−2−イル;4−オキソキナゾリン−2−イル;キナゾリン−2−イル;キナゾリン−4−イル;プリン−2−イル;プリン−8−イル;プテリジン−2−イル;プテリジン−6−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル;オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル;オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イル;オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル;チアゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル;チアゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルおよびチアゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルを含むが、これらに限定はされない群から選択される。特定の例において、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されている。
【0037】
上記式(1)、(2)および(3)において、R1は非塩基性置換基、または、例えば、pKa<5、pKa<2またはpKa<0を有する比較的弱い塩基の基である。R1の例は、H、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;シアノ、OH、O(CR2)lR6、SO2R6、CONR(CR2)lR6、CONR7R8または
【化19】
であり、ここで、R7およびR8は、NR7R8中のNと一体となって、所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成するか;または、R1は所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたは窒素原子を有さない5−7員ヘテロ環式環もしくはヘテロアリールであるか;または、
【化20】
であり、ここで、環Pは所望により置換されている5−7員炭素環式環であるが、これらに限定はされない。
【0038】
上記式(1)、(2)および(3)において、所望により置換されている部分のそれぞれはハロ、=O、C1−6アルコキシ、アミノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルで置換されていてよく、その各々は所望によりハロゲン化されていてよく、または、所望によりN、OまたはS;CO2R10、O−(CR2)l−C(O)−R10;−(CR2)l−R10、−(CR2)l−C(O)−R10または−(CR2)l−SO2−R10;で置き換えられているか、または置換されていてもよい炭素を有してよく、またはそれらの組合せであってよく、ここでそれぞれのR10はH、アミノ、C1−6アルキルまたは所望により置換されている炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリールである。
【0039】
本発明は、また、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の全ての適当な同位体化合物(variation)を含む。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は少なくとも1個の原子が同じ原子数を有するが、通常天然で見られる原子質量と異なる原子質量を有する原子により置換されているものとして定義される。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩に包含され得る同位体の例は水素、炭素、窒素および酸素の同位体、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18F、36Clおよび123Iを含むが、これらに限定されない。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩の特定の同位体化合物、例えば、放射性同位体、例えば、3Hまたは14Cが包含される同位体化合物は、薬剤および/または基質組織分布研究において有用である。特定の例において、3Hおよび14C同位体は製造および検出の容易さのため使用され得る。他の例において、同位体、例えば、2Hでの置換は、より大きな代謝安定性からもたらされる特定の治療利益、例えば、インビボで半減期の増加または必要用量の減少を提供し得る。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は、一般的に適当な試薬の適当な同位体化合物を使用する慣用の製造法により製造することができる。
【0040】
本発明の化合物および組成物はチャネル活性化プロテアーゼを調節するために有用であり得る。本発明の化合物および組成物を使用して調節され得るチャネル活性化プロテアーゼの例はプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼを含むが、これらに限定はされない。本発明の化合物は、また、イオンチャネル、例えば、上皮性ナトリウムチャネルの活性を刺激するプロテアーゼの活性を阻害し得、CAP−関連疾患の処置に有用であり得る。
【0041】
薬理学および有用性
本発明の化合物はチャネル活性化プロテアーゼ、特にトリプシン様セリンプロテアーゼ、例えば、プロスタシンおよびそれ自体の活性を調節し、プロスタシンが、例えば、疾患の病状および/または総体症状に関与する疾患または障害を処置するために有用である。
【0042】
特にトリプシン様セリンプロテアーゼ、例えば、プロスタシンによりチャネル活性化プロテアーゼが介在する疾患は上皮膜を介する体液量の調節と関連する疾患を含む。例えば、気道表面の体液の量は粘膜毛様体クリアランスおよび肺の健康の保持の重要な調節因子である。チャネル活性化プロテアーゼの阻害は気道上皮の粘膜側の液体貯留を促進し、それにより粘液クリアランスを促進し、呼吸器組織(肺気道を含む)における粘液または唾液の蓄積を防止する。このような疾患は呼吸器疾患、例えば、嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全症、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、呼吸器感染症(急性および慢性;ウイルス性および細菌性)および肺癌腫を含む。チャネル活性化プロテアーゼが介在する疾患は、また、上皮を通過する体液の異常調節と関連する、あるいは表面の表面保護体液の異常な生理機能を伴う、呼吸器疾患以外の疾患、例えば、口腔乾燥症(ドライマウス)または乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)(ドライアイ)を含む。さらに、腎臓におけるENaCのCAP調節は利尿を促進し、それにより血圧低下作用を誘導するために使用することができる。
【0043】
慢性閉塞性肺疾患は慢性気管支炎またはそれらに付随する呼吸困難、気腫、ならびに他の薬剤治療、特に他の吸入薬剤治療の後の気道過敏性の再燃を含む。本発明は、また、例えば、急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含むすべてのタイプのまたは起源の気管支炎の処置に適用できる。
【0044】
喘息は内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息、軽度の喘息、中度の喘息、重度の喘息、気管支炎喘息、運動誘発喘息、職業的喘息および下記の細菌感染誘導喘息を含む。喘息は、また、喘鳴症候群を示し、主要な医学的懸念の確立された患者カテゴリーであり、しばしば初期のまたは早期の喘息として同定される“喘鳴小児”と診断されるまたは診断できる、4または5歳以下の対象を包含する“喘鳴小児症候群”と称される状態を包含する。
【0045】
チャネル活性化プロテアーゼが介在する疾患を処置するためのチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤、例えば、プロスタシン阻害剤の適合性は当分野で既知の上記および下記アッセイ方法にしたがってチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の阻害効果を同定することにより試験され得る。
【0046】
前記によって、本発明は、さらに、処置を必要とする対象における、上記のいずれかの疾患または障害を予防または処置する方法であって、治療的有効量の式(1)、(2)または(3)の化合物またはその薬学的に許容される塩を該対象に投与することを含む、方法を提供する。上記の全ての使用に関して、必要な投与量は投与形態、処置すべき特定の状態および所望の効果に依存して変化する(下記“投与および医薬組成物”参照)。
【0047】
投与および医薬組成物:
一般的に、本発明の化合物は単独でまたは1種以上の治療剤との組合せのいずれかで当分野で既知の通常のおよび許容される形式のいずれかを介して、治療有効量を投与される。
【0048】
本発明のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、また、他の治療剤と組合せて使用するための共治療剤として有用である。例えば、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤または鎮咳剤、抗生物質またはDNase治療剤と組合せて使用され得る。チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤および他の治療剤は同じもしくは異なる医薬組成物であり得る。チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は固定された医薬組成物中の他の治療剤と混合され得、または他の治療剤に対して別々に、前に、同時にまたは後に投与され得る。組合せは、例えば、このような薬剤の治療効果の増強剤として、またはこのような薬剤の必要用量もしくは潜在的副作用減少の手段として、特に嚢胞性線維症または閉塞性もしくは炎症性気道疾患、例えば、上記のものの処置において有用であり得る。
【0049】
適当な抗炎症治療剤はステロイド、特にグルココルチコステロイド、例えば、ブデソニド、ベクロメタゾン(beclamethasone)ジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドもしくはモメタゾンフロエート、または国際特許出願WO02/88167、WO02/12266、WO02/100879、WO02/00679(例えば、実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101)、WO03/35668、WO03/48181、WO03/62259、WO03/64445、WO03/72592、WO04/39827およびWO04/66920に記載されているステロイド;非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト、例えば、DE10261874、WO00/00531、WO02/10143、WO03/82280、WO03/82787、WO03/86294、WO03/104195、WO03/101932、WO04/05229、WO04/18429、WO04/19935およびWO04/26248に記載されているもの;LTD4アンタゴニスト、例えば、モンテルカストおよびザフィルカスト;PDE4阻害剤、例えば、シロミラスト(ARIFLO(登録商標) GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(登録商標)(Byk Gulden)、V−11294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH−351591(Schering−Plough)、AROFYLLINE(登録商標)(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke−Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SelCID(TM)CC−10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T−440(田辺)、KW−4490(協和発酵工業)、およびWO92/19594、WO93/19749、WO93/19750、WO93/19751、WO98/18796、WO99/16766、WO01/13953、WO03/104204、WO03/104205、WO03/39544、WO04/000814、WO04/000839、WO04/005258、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/018431、WO04/018449、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/019944、WO04/019945、WO04/045607およびWO04/037805に記載されているもの;ならびに、アデノシンA2B受容体アンタゴニスト、例えば、WO02/42298(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)に記載されているものを含む。
【0050】
適当な気管支拡張治療剤はベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、アルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロールフェノテロール、プロカテロール、フォルモテロール、カルモテロールまたはそれらの薬学的に許容される塩;および、WO00/75114に記載されている式(1)の化合物(遊離形または塩形または溶媒和物形)、式:
【化21】
の化合物、WO04/16601の式(1)の化合物(遊離形または塩形または溶媒和物形)、およびEP1440966、JP05025045、WO93/18007、WO99/64035、US2002/0055651、WO01/42193、WO01/83462、WO02/66422、WO02/70490、WO02/76933、WO03/24439、WO03/42160、WO03/42164、WO03/72539、WO03/91204、WO03/99764、WO04/16578、WO04/22547、WO04/32921、WO04/33412、WO04/37768、WO04/37773、WO04/37807、WO04/39762、WO04/39766、WO04/45618WO04/46083およびWO04/80964(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0051】
適当な気管支拡張治療剤は、また、抗コリン剤または抗ムスカリン性薬剤、特にイプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、チオトロピウム塩およびCHF 4226(Chiesi)、およびグリコピロレート、また、EP424021、US3714357、US5171744、WO01/04118、WO02/00652、WO02/51841、WO02/53564、WO03/00840、WO03/33495、WO03/53966、WO03/87094、WO04/018422およびWO04/05285(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)に記載されているものを含む。
【0052】
適当なデュアル抗炎症および気管支拡張治療剤はデュアルベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリンアンタゴニスト、例えば、US2004/0167167、WO04/74246およびWO04/74812に記載されているものを含む。
【0053】
適当な抗ヒスタミン剤治療剤はセチリジンヒドロクロライド、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン(loratidine)、デスロラチジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライド、アクチバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテフェナジン(tefenadine)ならびにJP2004107299、WO03/099807およびWO04/026841(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)に記載されているものを含む。
【0054】
適当な抗生物質はマクロライド系抗生物質、例えば、トブラマイシン(TOBITM)を含む。
【0055】
適当なDNase治療剤は選択的にDNAを開裂する組み換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の非常に精製された溶液であるドルナーゼアルファ(PULMOZYMETM)を含む。ドルナーゼアルファが嚢胞性線維症を処置するために使用される。
【0056】
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤と抗炎症治療剤の他の有用な組合せは、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えば、CCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR−5アンタゴニスト、例えば、Schering−PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D、Takedaアンタゴニスト、例えば、N−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチル−フェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロライド(TAK−770)ならびにUS6166037、WO00/66558、WO00/66559、WO04/018425およびWO04/026873(これらのいずれもその内容を本明細書に包含させる)に記載されているCCR−5アンタゴニストとである。
【0057】
本発明のプロスタシンが介在する疾患の処置において、遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、適当な経路で、例えば、経口的に、例えば、錠剤、カプセルまたは液体形態で、非経腸的に、例えば、注射可能溶液または懸濁液の形態で、または鼻腔内に、例えば適当な鼻腔内送達デバイスで、例えば、当分野で既知の鼻腔用スプレーを使用する、エアロゾル形態または他の噴霧可能製剤により、または特に噴霧器で使用するための吸入により投与され得る。
【0058】
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に医薬組成物で投与され得る。このような組成物は、例えば、乾燥粉末、錠剤、カプセルおよび液体だけでなく、また、当分野で既知の他の製剤成分および技術を使用して製造され得る、注射溶液、輸液または吸入懸濁液でもあり得る。
【0059】
遊離形または薬学的に許容される塩形のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の用量は種々の因子、例えば、活性成分の活性および持続時間、処置される状態の重症度、投与経路、対象の種、性別、人種、年齢および体重および/またはその個々の状態に依存し得る。温血動物、特に約75kgのヒトに投与、例えば経口投与する典型的な1日用量は、約0.7mgから約1400mg、特に約5mgから約200mgと概算される。該用量は、例えば、単回投与または例えば、5から200mgの複数回投与で投与され得る。
【0060】
組成物がエアロゾル製剤を構成するとき、それは、例えば、ヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)高圧ガス、例えば、HFA134aもしくはHFA227またはこれらの混合物を含み、そして1種以上の当分野で既知の共溶媒、例えば、エタノール(20重量%まで)、および/または1種以上の界面活性剤、例えば、オレイン酸またはトリオレイン酸ソルビタン、および/または1種以上の充てん剤、例えば、ラクトースを含み得る。組成物が乾燥粉末製剤を構成するとき、それは、例えば、10ミクロンまでの粒径を有するチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤と、所望により所望の粒径分布の希釈剤または担体、例えば、ラクトース、および製品の湿度による性能悪化に対する保護に役立つ化合物、例えば、ステアリン酸マグネシウムを一緒に含む。組成物が噴霧製剤を構成するとき、それは、例えば、水、共溶媒、例えば、エタノールまたはプロピレングリコールおよび界面活性剤であり得る安定剤を含むビヒクル中に溶解されたまたは懸濁されたチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤を含み得る。
【0061】
特定の態様において、本発明は吸入可能形の、例えば、エアロゾルまたは他の噴霧組成物または吸入可能粒子の、例えば、微粉化形の式(1)、(2)または(3)の化合物を提供する。本発明は、また、吸入可能形の本発明の化合物を含む吸入可能薬剤;吸入可能形の本発明の薬剤と吸入デバイスを一緒に含む医薬品;および吸入可能形の本発明の化合物を含む吸入デバイスを提供する。
【0062】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物は下記実施例の例示的な製造法で製造され得る。
【0063】
記載されている反応において、最終産物において望まれる反応性官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基)を、反応へのこれらの望まない参加を避けるために当分野で既知の保護基を使用して保護し得る。慣用の保護基は、標準的技法にしたがって使用し得る。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991参照。
【0064】
本発明の化合物は、また、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることにより薬学的に許容される酸付加塩として製造し得る。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離塩基形の化合物を薬学的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることにより製造し得る。あるいは、塩形の本発明の化合物を出発物質または中間体の塩を使用して製造し得る。
【0065】
遊離酸形または遊離塩基形の本発明の化合物を、対応する塩基付加塩形または酸付加塩形、各々から製造し得る。例えば酸付加塩形の本発明の化合物は、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)と処理することにより対応する遊離塩基に変換し得る。塩基付加塩形の本発明の化合物は、適当な酸(例えば、塩酸など)と処理することにより対応する遊離酸に変換し得る。
【0066】
非酸化形の本発明の化合物を、適当な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、ジオキサン溶液など)中で、0から80℃で還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、リン三塩化物、三臭化物など)と処理することにより本発明の化合物のN−オキシドから製造し得る。
【0067】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を当業者に既知の方法で製造し得る(例えばさらなる詳細のためにSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグを本発明の非誘導化化合物を適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより製造し得る。
【0068】
本発明の化合物の保護された誘導体を当業者に既知の方法で製造し得る。保護基の創造およびその除去に適用できる技術の詳細な説明はT. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999において見ることができる。
【0069】
本発明の化合物を、溶媒和物(例えば、水和物)として都合良く製造するか、または本発明の工程中に形成し得る。本発明の化合物の水和物を、有機溶媒、例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを使用して、水性/有機溶媒混合物から再結晶することにより都合良く製造し得る。
【0070】
本発明の化合物を、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、一組のジアステレオマー化合物を形成し、該ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、それらの個々の立体異性体として製造し得る。エナンチオマーの分離は本発明の化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を使用して行うとき、分離できる複合体が好ましい(例えば、結晶のジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、そしてこれらの相違を利用して容易に分離し得る。ジアステレオマーをクロマトグラフィー、または溶解度の差異に基づく分割/分離技術により分割し得る。次に光学的に純粋なエナンチオマーを、ラセミ化をもたらさないであろう実用的手段により分割剤と共に回収する。ラセミ混合物から化合物の立体異性体の分離に適用できる技術のより詳細な説明はJean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981において見ることができる。
【0071】
手短に言えば、本発明の化合物は実施例で例示されているとおりに製造し得、式(1)、(2)または(3)の化合物は下記の工程を含む方法により製造し得る:
(a)所望により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(b)所望により塩形の本発明の化合物の非塩形への変換;
(c)所望により非酸化形の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(d)所望によりN−オキシド形の本発明の化合物の非酸化形への変換;
(e)所望により異性体の混合物からの本発明の化合物の個々の異性体への分離;
(f)所望により本発明の非誘導化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(g)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体のその非誘導化形態への変換。
【0072】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、その化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に準じてもしくは下記の実施例に記載のとおりに製造し得る。当業者は、上記変換が本発明の化合物の製造法の単なる代表例であり、そして他の既知の方法を同様に使用し得ることを理解できよう。本発明は、さらに本発明の化合物の製造を説明する下記中間体(参考化合物)および実施例により例示される。
【0073】
参照化合物1
【化22】
1−B:出発物質のCbz−Phe−OH(15.0g、50.0mmol)をTHF(150mL)に溶解し、溶液を−10℃に冷却し、次にトリエチルアミン(7.1ml、50.0mmol)を加え、イソブチルクロロホルメート(7.1ml、55mmol)を滴下する。得られた懸濁液を2時間0℃で撹拌する。反応混合物を濾過し、−10℃に冷却する。NaBH4(3.97g、105mmol)を水(50ml)に0℃で溶解し、溶液をTHF溶液に少しずつ加える。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌する。反応混合物を1NのHCl溶液で酸性化し、水相をEtOAcで数回抽出する。合わせた有機層を水、飽和NaHCO3水溶液および塩水で洗浄し;MgSO4で乾燥させ;溶媒を真空除去する。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、所望の生成物を白色の泡状物として得る。
【0074】
1−C:アルコール(12.02g、42.1mmol)をDCM(100ml)に溶解し、0℃に冷却する。DCM(100ml)中のデス・マーチン試薬(19.5g、46.2mmol)の溶液を少しずつ加える。懸濁液を室温に温め、変換が完了するまで(〜2時間)撹拌する。飽和NaHCO3水溶液および1MのNa2S2O3溶液の1:1混合物を加え、得られた二相系を20分激しく撹拌する。有機層を分離し、水層をDCMで1回抽出する。合わせた有機層を真空蒸留し、得られた油状物をEtOAcに取り;6回NaHCO3/Na2S2O3混合物、水および塩水で洗浄し;MgSO4で乾燥させ;溶媒を真空除去させ、粗アルデヒドを黄色がかった油状物として得る。物質をさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0075】
1−D:THF(100ml)中のイソ−PrMgCl(70.3mmol、Sigma−Aldrichの2M−THF溶液35ml)の溶液にTHF(20ml)中のベンゾオキサゾール(8.36g、70.3mmol)を−20℃で加える。反応混合物を−20℃で30分撹拌し(色の変化:深赤色)、THF(20ml)中のアルデヒド(11.9g、42.0mmol)の溶液を−20℃から−15℃の温度制御下でゆっくり加える。反応混合物を室温に温め、完了まで撹拌する。反応を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、溶媒を真空除去する。水相をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を1NのHCl溶液、水および塩水で過剰に洗浄し;MgSO4で乾燥させ;溶媒を真空除去させ、粗ベンゾオキサゾールを深赤色の油状物として得る。EtOAc/ヘキサン(1:5から1:1)のシリカで精製し、ベンゾオキサゾールを薄い黄色の固体として得る。
【0076】
1−E:化合物5(1.6g、5.96mmol)をエタノール(3mL)に溶解する。Pd/C(10%、湿性、Degussaタイプ)を加え、フラスコをParr攪拌機に一晩置き、40psiの水素ガスに付す。触媒をセライトを介して濾過し、溶媒を真空除去する。粗物質を最初にヘキサン/EtOAcの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、より低い極性の着色不純物を除き、次にDCM/MeOHの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物5を溶離する。溶媒を真空除去させ、所望の化合物を白色の固体として得る。
【0077】
参照化合物2
【化23】
2−B:この化合物は参照化合物1−Bの製造で記載されている方法と類似の方法を使用してL−Boc−アリルグリシンから製造する。
2−C:この化合物は参照化合物1−Cの製造で記載されている方法と類似の方法を使用して参照化合物2−Bから製造する。
2−D:この化合物は参照化合物1−Dの製造で記載されている方法と類似の方法を使用して参照化合物2−Cから製造する。
2−E:参照化合物2−D(350mg、1.10mmol)を塩化メチレン(3mL)に溶解する。TFA(2mL)を加え、反応物を出発物質が消費されるまで室温で撹拌する。溶媒を真空除去させ、TFA塩として生成物2−Eを得、これをさらなる精製なしに使用する。
【0078】
参照化合物3
【化24】
微粉末化されたKOH(19.4g、0.346mol)をDMSOに溶解し、室温で20分撹拌し、次に0℃に冷却する。DMSO(10mL)に溶解したN−Boc−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(Boc−Hyp−OH)(10g、43.3mmol)を加え、反応混合物をさらに10分0℃で撹拌する。次に、4−クロロベンジルクロライド(33.0g、0.204mol)を加え、反応混合物を0℃でさらに15分撹拌し、氷浴を除去した後、反応混合物を室温に温め、4時間撹拌する。反応混合物を水(300mL)に注ぎ、反応容器を等量の水(300mL)で濯ぐ。合わせた水層をエーテル(2×300mL)で抽出し、捨てる。水層を87%のH3PO4でpH2.3に酸性化し、次にエーテル(3×300mL)で抽出する。合わせたエーテル抽出物を水(2×400mL)および塩水(2×400mL)で洗浄し、次にMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮する。残渣をEtOAc/ヘキサン(勾配 0から100%)のシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物3を透明な油状物として得る。MS m/z 256.1(M+1−Boc);1H NMR (DMSO-D6, 400 MHz) δ 7.39-7.31 (4H, m), 4.52-4.40 (2H, m), 4.16-4.10 (2H, m), 3.48-3.41 (2H, m), 2.40-2.30 (1H, m), 2.03-1.94 (1H, m), 1.39-1.34 (9H, m)。
【0079】
参照化合物4
【化25】
4−B:4−ピペリジンエタノール(4−A)(5g、39.7mmol)をTHF(120mL)に溶解する。トリエチルアミン(5.6mL、40mmol)を加え、溶液を0℃に冷却する。Boc2O(9.59g、44mmol)を加え、反応物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、酢酸エチル(120mL)に溶解した粗残渣を加え、溶液を0.1NのHCl(3×100mL)および塩水(1×100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空蒸発し、化合物4−Bを透明な油状物として得る。
【0080】
4−C:トリクロロイソシアヌル酸(2.66g、11.46mmol)をDCM中のアルコール(2.39g、10.42mmol)の溶液に加え、溶液を撹拌し、0℃で維持し、次に触媒量のTEMPOを加える。添加後、混合物を室温に温め、1時間撹拌し、次にセライトで濾過する。有機相を飽和Na2CO3水溶液、次に1NのHCLおよび塩水で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発させ、4−Cを得る。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 9.72 (1H, s), 4.07-4.01 (2H, m), 2.70-2.57 (2H, m), 2.35-2.31 (2H, m), 2.05-1.94 (1H, m), 1.64-1.46 (2H, m), 1.39 (9H, s), 1.30-1.02 (2H, m)。
【0081】
4−D:THF中のCbz−α−ホスホノグリシントリメチルエステル、(2.8g、8.45mmol)の溶液に−78℃で1,1,3,3−テトラメチル−グアニジン(1.022ml、8.14mmol)を加える。10分後、アルデヒド3(1.76g、7.76mmol)を加える。次に溶液を氷浴に0℃で1時間置き、室温に温め、1時間以上撹拌する。溶液をEtOAcで希釈し、1MのNaHSO4で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空濃縮する。残渣を酢酸エチル/ヘキサン0から100%のクロマトグラフィー(ISCO)により精製し、4−Dを白色の固体として得る。MS m/z 333.2(M+1)、1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.35-7.33 (5H, m), 6.63 (1H, t, J = 8 Hz), 6.30 (1H, bs), 5.12 (2H, s), 4.10-4.04 (2H, m), 3.73 (3H, s), 2.67-2.62 (2H, m), 2.14 (2H, t, J = 6.8 Hz), 1.63-1.46 (3H, m), 1.43 (9H, s), 1.14-1.06 (2H, m)。
【0082】
4−F(工程dおよびe):Parr容器に、4−D(1g、2.31mmol)およびMeOH(100ml)を窒素下で充填する。溶液を真空および窒素バブリングの3サイクルに付し、触媒(R,R)−エチル−DuPHOS−Rh(COD)トリフレートを加える(30mg、0.04mmol)。混合物を60psiの水素ガス下に室温で24時間置く。4−Eへの変換は24時間後に完了し、単離せずに次の工程(e)に使用する。溶液を窒素でフラッシュし、Pd/C(5%wt)を加える。混合物を50psiのH2下に室温でさらに24時間置く。混合物を窒素でフラッシュし、セライトで濾過する。セライトケーキをMeOHで洗浄し、有機溶液を真空下で濃縮する。ヘキサンを加え、次に真空蒸発させ、残りのメタノールを共沸させ、油状物として4−Fを得、次にこれをさらなる精製なしに次工程に使用する。
【0083】
4−G:粗4−F(0.6g、1.99mmol)をTHF(10mL)に溶解し、2,4,6−コリジン(315mg、2.38mmol)およびメタンスルホニルクロライド(0.170ml、2.19mmol)を溶液に加え、2時間撹拌する。反応物をEtOAc(50mL)で希釈し;1MのNaHSO4(2×25mL)および塩水(25mL)で洗浄し;乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去し、粗残渣をヘキサンおよびEtOAcの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物4−Gを得る。
【0084】
4−H:化合物4−G(0.70g、1.84mmol)をジオキサン(7mL)に溶解し、水(4mL)に溶解したLiOH・H2O(232mg、5.55mmol)を加える。反応混合物を1時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAc(25mL)で希釈し、1NのNaHSO4(25mL)および塩水(25mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去させ、粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc勾配)により精製し、参照化合物4を白色の固体として得る。
【0085】
参照化合物5
【化26】
参照化合物3の反応スキームにおいて、反応剤および条件は下記のとおりである:(a)SOCl2(3.0当量)、MeOH、0℃、100%;(b)塩化メシル(1.2当量)、Et3N(3.0当量)、触媒DMAP、THF、23℃、79%;(c)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒(8mol%)、N−Boc−4−メチレンピペリジン(3.0当量)、DCM、40℃、51%;(d)LiOH、ジオキサン、H2O、23℃、100%。
【0086】
5−A:D−アリルグリシン(5.03g、43.73mmol、1.0当量)を氷−水浴中でメタノール(70mL)の懸濁液でスラリーにする。塩化チオニル(9.6mL、131.19mmol、3.0当量)を10分にわたって滴下する。LC/MSにより完了と示されるまで反応物を室温に温める。溶媒を蒸発させ、5−Aの得られた白色の固体を次の工程に直接使用する。
【0087】
5−B:D−アリルグリシンメチルエステル塩酸塩(5−A、7.20g、43.73mmol)、Et3N(18mL、131.19mmol、3.0当量)およびDMAP(10mg、触媒)をTHF(110mL)に溶解し、室温で撹拌する。塩化メシル(4.0mL、52.48mmol、1.2当量)を滴下し、反応物を6時間、室温で撹拌する。THFを蒸発させ、粗反応生成物をEtOAc(100mL)に溶解し、水(100mL)、1NのHCl(2×100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製し、5−Bを黄色の油状物として得る。
【0088】
5−C:無水ジクロロメタン(10mL、0.1M)をシリンジを介して5−B(2.15g、10.37mmol、1.0当量)に、Hoveyda−Grubbs第2世代メタセシス触媒(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムIIジクロライド)(510mg、0.815mmol、8mol%)を窒素雰囲気下で加える。
N−Boc−4−メチレンピペリジン(6mL、31.11mmol、3.0当量)をシリンジを介して加え、反応物を還流冷却器に置き、40℃に12時間加熱する。反応がLC/MSにより完了を示した後、反応混合物を自動シリカ−ゲル精製(ヘキサン中で0−100%の酢酸エチル)により直接精製し、5−Cを暗緑色の油状物として得る。MS m/z 277.2(M−Boc+1)。
【0089】
参照化合物5:5−Cの鹸化は前記参照化合物4の製造における製造法(工程g)を使用して成し遂げる。
【0090】
参照化合物6
【化27】
6−A:塩化チオニル(9.1mL、125mmol)を氷浴中で0℃で撹拌しながらメタノール(250mL)にゆっくり加える。30分、撹拌後、N−アルファ−Cbz−L−2,3−ジアミノプロピオン酸(Z−Dap−OH)(15g、63mmol)を加え、反応物を一晩、室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、得られた白色の固体をエーテル(300mL)でトリチュレートし、濾過し、メチルエステル6−Aを塩酸塩として得る。
【0091】
6−B:参照化合物6−A(5.0g、17.4mmol)をCH2Cl2(70mL)に取り、0℃に冷却する。この溶液にトリエチルアミン(5.4ml、39.0mmol)、次に5−クロロバレロイルクロライド(2.63g、18.7mmol)を加える。反応混合物を室温に温め、4時間撹拌する。反応物を塩水(100mL)に注ぎ、有機層をDCM(2×50mL)で抽出し、1NのHClで洗浄し、乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製し、所望の生成物を透明な油状物として得る。
【0092】
6−C:クロライド6−B(4.1g、11.1mmol)をDMF(110mL)に溶解し、0℃に冷却する。この溶液にNaH(鉱油中で60%分散の0.53g、13.3mmol)を加え、混合物を室温で4時間撹拌する。DMFを真空除去し、残渣をEtOAcに取り;1NのHCl、飽和NaHCO3および塩水で洗浄し;MgSO4で乾燥させる。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ラクタム6−Cを透明な油状物として得る。
【0093】
6−D:6−Cの鹸化は前記参照化合物4の製造における製造法(工程g)を使用して成し遂げる。
【0094】
参照化合物6(工程e、f、gおよびh):参照化合物6への6−Dの変換は前記参照化合物1の製造における製造法を使用して成し遂げる。
【0095】
参照化合物7
【化28】
D−ホモフェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(5.00g、20.5mmol)およびDIEA(8.7mL、51.25mmol)をTHF(100mL)に溶解し、室温で撹拌する。塩化メシル(1.67mL、21.52mmol)を滴下し、反応物を6時間、室温で撹拌する。THFを蒸発させ、粗物質をEtOAc(100mL)に溶解し、水(100mL)、1NのHCl(2×100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO4)。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製し、エチルエステルを得る。得られたエチルエステルをジオキサン(50mL)に溶解し、室温で撹拌する。水(20mL)に溶解したLiOH・H2O(1.00mg、24mmol)を加え、反応物をエチルエステルが消失するまで(TLCおよびLCMSにより)撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をEtOAc(50mL)および1NのHCl(50mL)に分配する。水層をEtOAc(2×50mL)で抽出し、合わせた有機相を1MのNaHSO4(2×50mL)および塩水(50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。溶媒を蒸発させ、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン 勾配)により精製し、参照化合物7を白色の粉末として得る。
【0096】
参照化合物8
【化29】
この化合物は前記参照化合物7の製造方法に類似の方法を使用して、D−ホモシクロヘキシルアラニンエチルエステル塩酸塩から出発して製造する。
【0097】
参照化合物9
【化30】
この化合物は前記参照化合物7の製造方法に類似の方法を使用して、3−シアノフェニルアラニンから出発して製造する。
【0098】
参照化合物10
【化31】
参照化合物10の反応スキームにおいて、反応剤および条件は下記のとおりである:(a)Cbz−OSu、Et3N、THF、水、76%;(b)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、N−Boc−4−メチレンピペリジン、DCM、40℃、47%。
【0099】
10−B:D−アリルグリシン(2.07g、18.0mmol)およびN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(Cbz−OSu)(4.49g、18.0mmol)をTHF(60mL)および水(20mL)を含む丸底フラスコに加える。混合物を室温で撹拌し、Et3N(10.1mL、72.0mmol)を加え、反応物を一晩、室温で撹拌する。透明な溶液をEtOAc(200mL)で希釈し、1NのHCl(3×100mL)および塩水(1×100mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。溶媒を真空蒸発させ、10−Bを白色の固体として得、これをさらなる精製なしに使用する。
【0100】
参照化合物10:無水ジクロロメタン(4mL、0.2M)をシリンジを介して10−B(193mg、0.766mmol、1.0当量)に加え、Hoveyda−Grubbs第2世代メタセシス触媒(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムIIジクロライド)(98mg、0.115mmol、15mol%)を窒素雰囲気下で加える。N−Boc−4−メチレンピペリジン(604mg、3.06mmol、4.0当量)をシリンジを介して加え、反応に還流冷却器を取り付け、40℃に12時間加熱する。反応がLC/MSにより完了が示された後、反応混合物を自動シリカ−ゲル精製(ヘキサン中で0−100%の酢酸エチル)により直接精製し、参照化合物10を暗緑色の油状物として得る。MS m/z 422.3(M−Boc+1)。
【0101】
参照化合物11
【化32】
メチレンシクロヘキサンでの2−Dの交差−メタセシスは参照化合物10の合成のために使用される方法に類似の方法を使用して成し遂げる。次にBoc脱保護は2−Eの合成で使用される方法に類似の方法を使用して成し遂げ、参照化合物11を得る。
【0102】
参照化合物12
【化33】
12−B:Cbz−Asp−OMe(2.5g、8.89mmol)をDCM(50mL)に溶解し、ジメチルアミン塩酸塩(797mg、9.78mmol)およびHATU(3.72g、9.78mmol)を加え、溶液を室温で10分撹拌する。次にDIEA(3.8mL、22.23mmol)を加え、反応混合物を一晩、室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc勾配)により直接精製する。溶媒を真空除去させ、参照化合物12−Bを得る。
【0103】
12−C:100mLの無水DCM中のメチルエステル12−B(2.71g、8.8mmol)の冷(−78℃)溶液にヘキサン(22mL、21.1mmol)中のDiBAL−Hの1Mの溶液を−70℃より低い反応温度を維持しながら滴下する。得られた溶液を−78℃で1時間撹拌し、5%のクエン酸(60mL)水溶液を反応混合物に加える。混合物を室温で10分撹拌し、次に層を分離する。水層をDCMで2回抽出する。合わせたDCM溶液を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過する。濾液を濃縮し、アルデヒド12−Cを得、これをさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0104】
参照化合物12への12−Cの変換は前記参照化合物1の製造方法(工程cおよびd)を使用して成し遂げる。
【0105】
参照化合物13
【化34】
13−B(工程aおよびb):アルデヒド13−Bへの市販のBoc−Cha−OHの変換は前記参照化合物1−Cの製造方法(工程aおよびb)を使用して成し遂げる。
【0106】
13−C:ジオキサン(10mL)に溶解させたアルデヒド13−B(5.06g、19.8mmol)を水(10mL)中の重亜硫酸ナトリウム(2.07g、19.8mmol)の冷(−5℃)溶液に加える。水(5mL)に溶解させたKCN(1.29g、19.8mmol)を加え、反応物を一晩撹拌しながら徐々に室温に温める。反応物を真空濃縮し、次に水で希釈する。pHを1MのNaHSO4で5に調節し、水相をEtOAcで抽出する。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮する。粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製し、シアノヒドリン13−Cを得る。
【0107】
13−D:シアノヒドリン13−C(3.61g、12.8mmol)をEtOAc(50mL)に溶解し、50%のヒドロキシルアミン水溶液(1mL)で処理する。溶液を撹拌し、60℃に2時間加熱し、このとき反応がLCMSにより完了する。溶媒を真空除去し、得られた粗物質をさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0108】
13−E:ヒドロキシルアミジン13−D(1.0g、3.17mmol)をSMITH PROCESS VIALTM中でジオキサン(10mL)に溶解する。プロピオン酸無水物(0.45mL、3.49mmol)を加え、溶液をマイクロ波反応器(例えば、Personal Chemistry Emrys Optimizerマイクロ波反応器)に置き、150℃に35分加熱する。溶媒を真空除去し、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 溶離剤として)により精製し、オキサジアゾール13−Eを得る。
【0109】
参照化合物13:(515mg、1.46mmol)を塩化メチレン(30mL)に溶解する。TFA(20mL)を加え、出発物質が消費されるまで反応物を室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、ヘキサンと共沸し、蒸発させ、乾燥させ、生成物をTFA塩として得、これをさらなる精製なしに使用する。
【0110】
参照化合物14
【化35】
14−B:市販シクロプロパンカルボン酸ヒドラジド14−A(1.0、10.0mmol)をオルトギ酸トリメチル(10mL)に加える。p−トルエンスルホン酸一水和物(5mg)を加え、反応混合物を撹拌し、還流温度に一晩加熱する。溶媒を真空除去し、得られた粗残渣を真空蒸留し、2−シクロプロピル−[1,3,4]オキサジアゾール14−Bを得る。
【0111】
14−C:無水THF(12mL)中の2−シクロプロピル−[1,3,4]オキサジアゾール14−B(257mg、2.33mmol)の溶液を−78℃に冷却する。n−BuLi(ヘキサン中で1.6M、1.46mL、2.33mmol)を滴下し、反応混合物を−78℃で40分撹拌する。MgBr2・OEt(603mg、2.33mmol)を加え、反応物を−45℃に温め、次にこの温度で90分撹拌する。THF(5mL)中のアルデヒド13−B(595mg、2.33mmol)の溶液を加え、反応物を−20℃に温め、さらに4時間撹拌する。反応物を飽和NH4Cl水溶液でクエンチし、次にEtOAcで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。溶媒を真空除去し、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製し、所望の生成物14−Cを得る。
【0112】
参照化合物14:14−Cの脱保護は前記参照化合物13の製造方法(工程f)を使用して成し遂げる。
【0113】
参照化合物15
【化36】
15−A:n−ブチルリチウム(ヘキサン中で2.5M、19.8mL、49.7mmol)を10分にわたってTHF(135mL)中のトリス(メチルチオ)メタン(7.0mL、49.7mmol)の撹拌溶液に−65℃で加える。沈殿が形成して20分後、THF(50mL)中のアルデヒド13−B(2.96g、11.6mmol)のあらかじめ冷やした(−65℃)溶液を30分にわたって加え、沈殿を溶解する。撹拌を5時間−65℃で続ける。次に反応混合物を飽和NH4Cl/DCM水溶液の撹拌混合物(400mL、1:12)に注ぐ。層を分離し、水層をDCM(3×100mL)で抽出する。合わせた有機相を水および塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、真空乾燥させる。シリカゲルクロマトグラフィーにより粗生成物を精製し、15−Aを油状物として得る。
【0114】
15−B:MeOH(46mL)および水(4mL)中のオルトチオエステル15−A(0.988g、2.41mmol)の溶液をHgCl2(2.20g、8.10mmol)およびHgO(0.658g、3.04mmol)と3日間撹拌する。反応混合物をセライトを介して濾過し、残渣をDCM(300mL)、MeOH(50mL)および水(50mL)で洗浄する。二相濾液を分離し、水層をDCM(3×50mL)で抽出する。合わせた有機相を飽和NH4OAc水溶液(3×100mL)および飽和NH4Cl水溶液(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮する。得られた粗油状物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、メチルエステル15−Bを得る。
【0115】
15−C:THF/MeOH/H2O(20mL/5mL/5mL)中のメチルエステル15−B(302mg、0.96mmol)の撹拌溶液に粉末化LiOH・H2O(112mg、2.67mmol)を加える。15分後、1MのNaHSO4水溶液(8mL)を加え、溶媒を減圧下蒸発する。残渣をH2O(10mL)で希釈し、1MのNaHSO4水溶液でpH=2に酸性化し、EtOAc(3×10mL)で抽出する。合わせた有機相をH2Oおよび塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、酸15−Cを得る。
【0116】
15−D:酸15−C(50mg、0.16mmol)をDCM(5mL)に溶解する。N−ヒドロキシプロピオンアミジン(15mg、0.16mmol)およびDCC(34mg、0.16)を加え、反応物を2時間撹拌する。ジシクロヘキシルウレア副産物を濾過し、溶媒を減圧下除去する。残渣をTHF(5mL)に溶解し、SMITHPROCESSVIALTMに移し、PersonalChemistryEmrysOptimizerマイクロ波反応器に置き、180℃に10分加熱する。溶媒を真空除去し、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 溶離剤として)により精製し、オキサジアゾール15−Dを得る。
【0117】
参照化合物15:15−Dの脱保護は前記参照化合物13の製造方法(工程f)を使用して成し遂げる。
【実施例】
【0118】
実施例1
【化37】
1−A:TFA塩の参照化合物1(895mg、3.34mmol)をCH2Cl2(50mL)に溶解する。参照化合物3(1.30g、3.67mmol)およびHATU(1.40g、3.67mmol)を加え、溶液を室温で10分撹拌する。DIEA(1.5mL、8.4mmol)をシリンジを介して加え、反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(100gのシリカ、ヘキサン/EtOAc 勾配)により直接精製する。溶媒を真空除去させ、1−Aを泡状物として得る。
【0119】
1−B:20mLスクリューキャップバイアルを撹拌棒および1−A(100mg、0.16mmol)で充填する。DCM(5mL)中のTFA(20%)を加え、バイアルを閉じ、溶液を1時間、室温で撹拌する。溶媒を真空除去、ヘキサンを加え、次に再び真空蒸発させ、乾燥させ、残りのTFAを共沸蒸留するために必要であれば繰り返す。粗物質をさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0120】
1−C:TFA塩の化合物1−B(99mg、0.16mmol)をCH2Cl2(5mL)に溶解する。参照化合物4(55mg、0.152mmol)およびHATU(67mg、0.176mmol)を加え、溶液を室温で10分撹拌する。DIEA(0.1mL、0.19mmol)をシリンジを介して加え、反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc勾配)により直接精製する。溶媒を真空除去させ、1−Cを泡状物として得る。
【0121】
1−D:アルコール1−C(113mg、0.13mmol)をDCM(10mL)に溶解し、デス−マーチン・ペルヨージナン(66mg、0.15mmol)を加える。反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をEtOAc:ヘキサンの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ケトンを白色の泡状物として得る。
【0122】
実施例1:ケトン1−D(59mg、0.069mmol)をDCM(1mL)に溶解し、DCM(5mL)中のTFA50%を加える。反応物を室温で2時間撹拌し、溶媒を真空除去する。粗物質を逆相HPLCにより精製し、溶媒を凍結乾燥させ、実施例1を白色の粉末として得る。
【0123】
実施例2−74
実施例2−74は、当業者には容易に明白である適当な酸およびアミン成分を使用して、実施例1に類似の方法にしたがって製造する。
【0124】
実施例75
【化38】
75−A:(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ジエチルエーテル中で2M)(4.7ml、9.45mmol)の溶液をCH2Cl2/MeOH 5:1(25mL)に溶解した参照化合物3(2.4g、8.6mmol)に室温で加える。LC/MSにより測定したとき出発物質が消費されたとき、反応混合物を酢酸でクエンチし、真空濃縮し、粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(勾配 EtOAc:ヘキサン)により精製し、メチルエステル75−Aを透明な油状物として得る。
【0125】
75−B:丸底フラスコを撹拌棒および75−A(510mg、1.38mmol)で充填する。DCM(6mL)中のTFA(50%)を加え、溶液を1時間、室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、ヘキサンを加え、次に再び真空蒸発させ、乾燥させ、必要なとき繰り返し、残りのTFAを共沸する。粗物質をさらなる精製なしに次の工程に直接使用する。
【0126】
75−C:TFA塩のプロリン75−B(1.07g、2.8mmol)をCH2Cl2(30mL)に溶解し;参照化合物4(1.02g、2.7mmol)およびHATU(1.12g、2.94mmol)を加え、溶液を室温で10分撹拌する。DIEA(1.5mL、8.4mmol)をシリンジを介して加え、反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(120gのシリカ、ヘキサン/EtOAc勾配)により直接精製する。溶媒を真空除去させ、75−Cを油半固体として得る。
【0127】
75−D:メチルエステル75−C(1.15g、1.87mmol)をジオキサン(15mL)に溶解する。水酸化リチウム(120mg、2.8mmol)を水(15mL)に溶解し、メチルエステル75−Cの溶液に滴下し、3時間、室温で撹拌する。反応混合物を真空濃縮し、ジオキサンを除去し、1MのNaHSO4で酸性化し、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。溶媒を真空除去させ、カルボン酸75−Dをロウ状の固体として得る。
【0128】
75−E:カルボン酸75−D(102mg、0.17mmol)をDCM(5mL)に溶解する。参照化合物13(62mg、0.17mmol)およびHATU(71mg、0.19mmol)を加え、混合物を10分、室温で撹拌する。次にDIEA(0.10mL、0.51mmol)を加え、反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をEtOAc(15mL)に再溶解し、1MのHCl(2×15mL)、次に飽和NaHCO3水溶液(2×15mL)および塩水(15mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させる。溶媒を除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)により精製し、所望の生成物を白色の泡状物として得る。
【0129】
75−F:アルコール75−E(94mg、0.11mmol)をDCM(10mL)に溶解し、デス・マーチン・ペルヨージナン(56mg、0.13mmol)を加える。反応混合物を一晩室温で撹拌する。溶媒を真空除去し、粗物質をEtOAc:ヘキサンの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ケトンを白色の泡状物として得る。
【0130】
実施例75:ケトン75−F(60mg、0.072mmol)をDCM(1mL)に溶解し、DCM(5mL)中のTFA50%を加える。反応物を室温で2時間撹拌し、溶媒を真空除去する。粗物質を逆相HPLCにより精製し、溶媒を白色の粉末に凍結乾燥させる。
【0131】
実施例76−91
実施例76−91は、当業者には容易に明白である適当な酸およびアミン成分を使用して、実施例1および75に類似の方法にしたがって製造する。
【0132】
表1は実施例1−91に記載されている式(1)の化合物を示す。
表1
【表1】
【表2】
【0133】
【表3】
【表4】
【0134】
【表5】
【表6】
【0135】
【表7】
【表8】
【0136】
【表9】
【表10】
【0137】
【表11】
【表12】
【0138】
【表13】
【表14】
【0139】
【表15】
【表16】
【0140】
【表17】
【表18】
【0141】
【表19】
【表20】
【0142】
【表21】
【表22】
【0143】
【表23】
【0144】
アッセイ
チャネル活性化プロテアーゼが介在する疾患を処置するためのチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤、例えば、プロスタシン阻害剤の適合性は、(1)Shipway et al.; Biochemical and Biophysical Research Communications 2004; 324(2):953-63に記載されている方法を使用する適当な生化学アッセイフォーマットを使用して、天然の、単離された、精製されたまたは組み換えのチャネル活性化プロテアーゼに対する;および/または(2)Bridges et al.; American Journal of Physiology Lung Cell Molecular Physiology 2001; 281(1):L16-23;およびDonaldson et al.; Journal of Biological Chemistry 2002; 277(10):8338-45に記載されている方法を使用して、適当な単離された細胞またはコンフルエントな上皮のイオンチャネル/イオン輸送機能に対する、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の阻害効果を測定することにより試験され得る。
【0145】
生化学アッセイ
組み換えヒトプロスタシンおよびマトリプターゼならびにモルモットプロスタシンはShipway et al., Biochem. and Biophys. Res. Commun. 2004; 324(2):953-63に記載されている方法にしたがって製造する。組み換え酵素を適当なマルチウェルアッセイプレート、例えば、96または384ウェルプレート中、試験化合物またはビヒクルを含む電解質バッファー中でインキュベートする。酵素と化合物またはビヒクルの混合一定時間後に、適当な蛍光ペプチド基質をアッセイ混合物に加える。基質が活性酵素により開裂されたとき、蛍光(適当な蛍光プレートリーダーを使用して測定される)が増加し、基質(すなわち酵素活性)のターンオーバー率、したがって全ての試験化合物の阻害効果を定量し得る。試験化合物の効力は酵素活性の50%減衰を誘導する濃度として示される(Ki)。
【0146】
一般的に、本発明の化合物は0.1nMから5μMのKi値を有し得る。いくつかの例において、本発明の化合物は0.1nMから500nM;0.1nMから50nM;0.1nMから5nM;または0.1nMから0.5nMのKi値を有し得る。特定の例において、本発明の化合物は0.1nMから0.5nM;0.5nMから5nM;5nMから50nM;50nMから500nM;または500nMから5μMのKi値を有し得る。さらに他の実施例において、化合物は0.1nM未満または5μM以上のKi値を有し得る。
【0147】
上皮性イオン輸送
ヒト気管支上皮性細胞をDanahay et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2002; 282(2):L226-36に記載されている方法にしたがって培養する。適当に分化したとき(先端−空気界面の構築から14−21日後)、上皮性細胞をビヒクル、アプロチニン(200μg/ml)または試験化合物のいずれかで90分間試験する。次に、上皮の先端側のビヒクル、アプロチニンまたは試験化合物の濃度を維持しながら、上皮を上記Danahay et al., に記載されているとおりにチャンバーに置く。次に短絡回路電流(ISC)を上皮を0ミリボルトに留めるボルトにより測定する。次にアミロリド感受性のISCを上皮の先端表面にアミロリド(10μM)を加えることにより測定する。試験化合物の効力はアミロリド感受性ISCの全アプロチニン感受性因子の50%阻害を誘導する濃度として示される。
【0148】
一般的に、本発明の化合物は1nMから10μMのIC50値を有し得る。いくつかの例において、本発明の化合物は1nMから1μM;または、さらに特に1nMから100nMのIC50値を有し得る。さらに他の実施例において、本発明の化合物は100nMから1μMまたは1μMから10μMのIC50値を有し得る。さらに他の実施例において、化合物は1nM未満または10μM以上のIC50値を有し得る。
【0149】
気管電位差(インビボ)
モルモットを短期作用型の吸入麻酔、例えば、ハロセインおよびN2Oを使用して麻酔する。短時間作用型の麻酔下、胃ゾンデを口腔咽頭経路を介して気管に挿入する。気管に入ったら、適当な水性ベース希釈剤中の少量(50−200μl)のビヒクルまたは試験化合物を気道に注入する。その後動物は回復し、完全に歩行するようになる。あるいは、試験化合物を、エアロゾルまたは乾燥粉末投与を使用して、動物に投与してよい。投与一定時間後に、動物を、適当な麻酔剤、例えば、ケタミンおよびキシラジンを使用して、外科的に麻酔する。次に気管を暴露し、プラスチック寒天架橋電極を気管内腔に挿入する。基準電極を、また、動物の首の筋肉の層に挿入する。次に気管電位差を、Takahashi et al., Toxicol Appl Pharmacol. 1995; 131(1):31-6に記載されている適当な高インピーダンス電圧計を使用して、測定する。試験化合物の効力は気管電位差の感受性因子の50%減少を誘導する用量として示される。
【0150】
ここに記載の例および態様は、説明の目的のためのみであり、それに照らした様々な修飾または変化が当業者には示唆され、それらは本発明の精神および範囲内および添付の特許請求の範囲内に包含されることは理解されるべきである。本明細書で引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的のために引用して本明細書に包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
〔式中、
Bは
【化2】
または(CR2)k−R5であり;
Yは−SO2−、−NHCO−、−CO−または−O−C(=O)−である。ただし、R2がC1−6アルキルまたはフェニルであるとき、YはSO2であり;
Jは、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、所望により置換されている5−12員単環式または縮合ヘテロ環式環であり;
R1はH、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;シアノ、OH、O(CR2)lR6、SO2R6、CONR(CR2)lR6、CONR7R8または
【化3】
であり、ここで、R7およびR8は、NR7R8中のNと一体となって、窒素原子を介して(CR2)mに結合している所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成するか;または、R1は所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたは窒素原子を有さない5−7員ヘテロ環式環もしくはヘテロアリールであるか;または、
【化4】
であり、ここで、環Pは所望により置換されている5−7員炭素環式環であり;
R2はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリールまたは−L−(CR2)p−R5であり、ここで、LはO、S、S(O)、SO2またはOC(O)であり;
R3はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR2)l−R5であり;
R4はH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR=CR−R6、C2−6アルキニルまたは所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリールであるか;または、R4は
【化5】
であり、ここで、環Eは所望により置換されている5−12員単環式または縮合炭素環式またはヘテロ環式環であり;
R5およびR6は、独立して所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、R6はC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであってよく;
それぞれのRはHまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;そして、
k、m、nおよびpは独立して1−6である〕
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Jがベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Jが1,2,4−オキサジアゾール−3−イルであり、そして、所望によりC1−6アルキル、CF3または−(CR2)0−1−R5で置換されており、ここで、R5は所望により置換されているフェニルまたはC3−7シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1がC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、CF3、OH、C1−6アルコキシ、O(ベンジル)、SO2(C1−6アルキル)、CONH(C1−6アルキル)、CON(C1−6アルキル)2またはシアノであるか;または、R1がフェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、フラニル、ピペリジン−2−オニル、ピロリジン−2−オニル、ピロリジン−1−カルボニル、
【化6】
または
【化7】
であり、これらのいずれも所望によりハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、シアノ、OHまたはC1−6アルコキシで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R2がC1−6アルキル、所望により置換されているフェニルまたは−L−(CR2)p−R5であり、ここで、LはOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
該化合物が式(2):
【化8】
〔式中、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されており;
YはSO2または−O−C(=O)−であり;
qは1−5であり;そして、
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)である〕
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Jが1,2,4−オキサジアゾール−3−イルであり、所望によりC1−6アルキル、CF3または−(CR2)0−1−R5で置換されており、ここで、R5は所望により置換されているフェニルまたはC3−7シクロアルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
YがSO2であり、そして、R3がC1−6アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
qが1−2であり、そして、R9がハロである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R4が所望により置換されているピペリジニル、シクロヘキシル、フェニル、
【化9】
または
【化10】
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
R4がピペリジニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
該化合物が式(3):
【化11】
〔式中、R1はC3−7シクロアルキルまたはフェニルであり;
qは1−5であり;そして、
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)である〕
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R5が所望により置換されているシクロヘキシル、ピペリジニルまたはチアゾリルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
下記式からなる群から選択される請求項1に記載の化合物:
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【請求項15】
治療有効量の請求項1−14のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項16】
細胞もしくは組織系または哺乳動物のチャネル活性化プロテアーゼを阻害するための請求項1−14のいずれかに記載の化合物の使用であって、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼである、使用。
【請求項17】
細胞もしくは組織系または哺乳動物のチャネル活性化プロテアーゼが介在する状態を処置するための薬物を製造するための請求項1−14のいずれかに記載の化合物の、所望により第2の治療剤と組み合わせた使用であって;該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼである、使用。
【請求項18】
該状態がイオンを輸送する上皮を介する体液の移動または呼吸器組織における粘液および唾液の蓄積、またはそれらの組合せと関連する、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
該状態が嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全症、肺癌腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息または呼吸器感染症である、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
該第2の治療剤が抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNaseであり、請求項1−13のいずれかに記載の化合物に対して前に、同時にまたは後に投与される、請求項17に記載の使用。
【請求項21】
該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシンである、請求項16または17に記載の使用。
【請求項22】
該細胞または組織系が気管支上皮性細胞を含む、請求項16または17に記載の使用。
【請求項1】
式(1):
【化1】
〔式中、
Bは
【化2】
または(CR2)k−R5であり;
Yは−SO2−、−NHCO−、−CO−または−O−C(=O)−である。ただし、R2がC1−6アルキルまたはフェニルであるとき、YはSO2であり;
Jは、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む、所望により置換されている5−12員単環式または縮合ヘテロ環式環であり;
R1はH、所望によりハロゲン化されているC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6アルキニル;シアノ、OH、O(CR2)lR6、SO2R6、CONR(CR2)lR6、CONR7R8または
【化3】
であり、ここで、R7およびR8は、NR7R8中のNと一体となって、窒素原子を介して(CR2)mに結合している所望により置換されている5−7員ヘテロ環式環を形成するか;または、R1は所望により置換されているC3−7シクロアルキル、アリールまたは窒素原子を有さない5−7員ヘテロ環式環もしくはヘテロアリールであるか;または、
【化4】
であり、ここで、環Pは所望により置換されている5−7員炭素環式環であり;
R2はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリールまたは−L−(CR2)p−R5であり、ここで、LはO、S、S(O)、SO2またはOC(O)であり;
R3はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR2)l−R5であり;
R4はH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR=CR−R6、C2−6アルキニルまたは所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールもしくはヘテロアリールであるか;または、R4は
【化5】
であり、ここで、環Eは所望により置換されている5−12員単環式または縮合炭素環式またはヘテロ環式環であり;
R5およびR6は、独立して所望により置換されている5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、R6はC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであってよく;
それぞれのRはHまたはC1−6アルキル、C2−6アルケニルもしくはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;そして、
k、m、nおよびpは独立して1−6である〕
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Jがベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Jが1,2,4−オキサジアゾール−3−イルであり、そして、所望によりC1−6アルキル、CF3または−(CR2)0−1−R5で置換されており、ここで、R5は所望により置換されているフェニルまたはC3−7シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1がC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、CF3、OH、C1−6アルコキシ、O(ベンジル)、SO2(C1−6アルキル)、CONH(C1−6アルキル)、CON(C1−6アルキル)2またはシアノであるか;または、R1がフェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、フラニル、ピペリジン−2−オニル、ピロリジン−2−オニル、ピロリジン−1−カルボニル、
【化6】
または
【化7】
であり、これらのいずれも所望によりハロ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、シアノ、OHまたはC1−6アルコキシで置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R2がC1−6アルキル、所望により置換されているフェニルまたは−L−(CR2)p−R5であり、ここで、LはOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
該化合物が式(2):
【化8】
〔式中、Jはベンゾオキサゾリル;1,2,3−オキサジアゾール−4−イル;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル;1,2,4−オキサジアゾール−3−イル;オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル、オキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2−イルまたはオキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イルであり、これらのいずれも所望によりC1−6アルキル、ハロ、シクロプロピル、SO2(C1−6アルキル)、OCH3、SO2N(CH3)2、SO2NH2、CF3または−(CR2)l−R5で置換されており;
YはSO2または−O−C(=O)−であり;
qは1−5であり;そして、
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)である〕
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Jが1,2,4−オキサジアゾール−3−イルであり、所望によりC1−6アルキル、CF3または−(CR2)0−1−R5で置換されており、ここで、R5は所望により置換されているフェニルまたはC3−7シクロアルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
YがSO2であり、そして、R3がC1−6アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
qが1−2であり、そして、R9がハロである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R4が所望により置換されているピペリジニル、シクロヘキシル、フェニル、
【化9】
または
【化10】
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
R4がピペリジニルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
該化合物が式(3):
【化11】
〔式中、R1はC3−7シクロアルキルまたはフェニルであり;
qは1−5であり;そして、
R9はハロ、C1−6アルキルまたはO(C1−6アルキル)である〕
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R5が所望により置換されているシクロヘキシル、ピペリジニルまたはチアゾリルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
下記式からなる群から選択される請求項1に記載の化合物:
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【請求項15】
治療有効量の請求項1−14のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項16】
細胞もしくは組織系または哺乳動物のチャネル活性化プロテアーゼを阻害するための請求項1−14のいずれかに記載の化合物の使用であって、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼである、使用。
【請求項17】
細胞もしくは組織系または哺乳動物のチャネル活性化プロテアーゼが介在する状態を処置するための薬物を製造するための請求項1−14のいずれかに記載の化合物の、所望により第2の治療剤と組み合わせた使用であって;該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼである、使用。
【請求項18】
該状態がイオンを輸送する上皮を介する体液の移動または呼吸器組織における粘液および唾液の蓄積、またはそれらの組合せと関連する、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
該状態が嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全症、肺癌腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息または呼吸器感染症である、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
該第2の治療剤が抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNaseであり、請求項1−13のいずれかに記載の化合物に対して前に、同時にまたは後に投与される、請求項17に記載の使用。
【請求項21】
該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタシンである、請求項16または17に記載の使用。
【請求項22】
該細胞または組織系が気管支上皮性細胞を含む、請求項16または17に記載の使用。
【公表番号】特表2010−518097(P2010−518097A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549148(P2009−549148)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/050289
【国際公開番号】WO2008/097673
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/050289
【国際公開番号】WO2008/097673
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】
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