説明

チャンネル情報書込システム

【課題】 複数の受信装置にチャンネル情報をきわめて安価で容易に書き込むことができるチャンネル情報書込システムを提供すること。
【解決手段】 チャンネル情報書込システムは、チャンネル情報を書込可能な第1の記憶デバイス2を有する受信装置101と、チャンネル情報を書込可能な第2の記憶デバイス9を有する書込治具とを備える。受信装置101は、第2の記憶デバイス9を直接制御して、第2の記憶デバイスからチャンネル情報を読み出す読出手段と、読出手段が読み出したチャンネル情報を第1の記憶デバイス2に書き込む書込手段とをさらに有する。書込治具102は、読出手段によって読み出されたチャンネル情報を受信装置101に送信する送信手段をさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置にチャンネル情報を書き込むチャンネル情報書込システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テレビジョン受像機(以下、テレビとする)は、設置する地域によって受信できるチャンネル(周波数)が異なっているので、テレビ毎に周波数等のチャンネル情報を設定する必要がある。ホテルや病院などでは多数のテレビを設置する必要があり、また、ホテルや病院などで有線放送される専用のチャンネルを設定する必要があるので、全てのテレビにこれらのチャンネル情報を設定するのは非常に大変な作業になる。この問題を解決するために、テレビを設置する地域のチャンネル情報をPC(パーソナルコンピュータ)内に予め作成しておき、TVをPCに接続して、PC内のチャンネル情報をTVに書き込む方法が採用されている。または、PC内のチャンネル情報を一旦リモコン送信機に格納して、リモコン信号を使ってTVにチャンネル情報を書き込む方法が採用されている。しかし、いずれの方法も、PC内でチャンネル情報を作成する必要があり、かつ、TVにPCを接続する必要があるので、それらの作業が非常に面倒であるという問題を有している。
【0003】
また、下記特許文献1に、無線送受信機同士を接続し、一方の無線送受信機に書き込まれたチャンネル情報を他方の無線送受信機に転送して、書き込む方法が提案されている。しかし、この方法では、異なる場所に設置されるテレビ同士を接続する必要があるので、接続作業が非常に面倒である。
【0004】
【特許文献1】特開平6−188778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、複数の受信装置にチャンネル情報をきわめて安価で容易に書き込むことができるチャンネル情報書込システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態によるチャンネル情報書込システムは、チャンネル情報を書込可能な第1の記憶デバイスを有する受信装置と、該チャンネル情報を書込可能な第2の記憶デバイスを有する書込治具とを備える。該受信装置は、該第2の記憶デバイスを直接制御して、該第2の記憶デバイスから該チャンネル情報を読み出す読出手段と、該読出手段が読み出したチャンネル情報を該第1の記憶デバイスに書き込む書込手段とをさらに有する。
【0007】
書込治具の第2の記憶デバイスに書き込まれたチャンネル情報を読み出して、受信装置の第1の記憶デバイスに書き込むことにより、きわめて容易に受信装置にチャンネル情報を書き込むことができる。すなわち、PCを使う必要も、受信装置同士を接続する必要もない。また、読出手段は、第2の記憶デバイスを直接制御して、第2の記憶デバイスからチャンネル情報を読み出す。ここで、第2の記憶デバイスを直接制御するとは、相手側装置(ここでは、書込治具)の制御手段(マイコン)を介さずに第2の記憶デバイスを制御することである。従って、書込治具には、第2の記憶デバイスを制御するマイコンを設ける必要がなく、非常に簡易な構成にすることができる。さらに、書込治具は、マイコンを設けないことにより、消費される電力をきわめて小さくできる。
【0008】
好ましい実施形態においては、上記読出手段は、上記第1の記憶デバイスに書き込まれたチャンネル情報を読み出し、上記書込手段は、該第2の記憶デバイスを直接制御して、該読出手段が該第1の記憶デバイスから読み出したチャンネル情報を該第2の記憶デバイスに書き込む。
【0009】
受信装置の第1の記憶デバイスに書き込まれたチャンネル情報を読み出して、書込治具の第2の記憶デバイスに書き込むことにより、書込治具にチャンネル情報を書き込む作業がきわめて容易になる。つまり、1台の受信装置に作業者がチャンネル情報を従来の方法で書き込んだ後、この受信装置に書込治具を接続し、書込治具にチャンネル情報を送信して書き込む。その後、別の受信装置に書込治具を接続し、書込治具に書き込まれたチャンネル情報を読み出して、受信装置に送信して書き込むことができる。その結果、PC等でチャンネル情報を生成する必要がない。さらに、書込手段は、第2の記憶デバイスを直接制御して、第2の記憶デバイスにチャンネル情報を書き込む。従って、書込治具にマイコンを設ける必要がなく、書込治具の構成をきわめて簡易にすることができる。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記書込治具は、書込要求信号または読出要求信号を生成し上記受信装置に送信する信号生成手段をさらに有し、上記受信装置は、該書込要求信号または該読出要求信号を受信する信号受信手段をさらに有する。該信号受信装置が該書込要求信号を受信した場合、上記読出手段は上記第2の記憶デバイスから上記チャンネル情報を読み出して、上記書込手段が上記第1の記憶デバイスに該チャンネル情報を書き込む。該信号受信手段が該読出要求信号を受信した場合、上記読出手段は該第1の記憶デバイスから該チャンネル情報を読み出して、該書込手段が該第2の記憶デバイスに該チャンネル情報を書き込む。
【0011】
書込治具に書き込まれたチャンネル情報を受信装置に書き込む場合に、書込治具が書込要求信号を受信装置に送信する。受信装置が書込要求信号を受信すると、読出手段が第2の記憶デバイスからチャンネル情報を読み出して、書込手段が第1の記憶デバイスにチャンネル情報を書き込む。受信装置に書き込まれたチャンネル情報を書込治具に書き込む場合に、書込治具が読出要求信号を受信装置に送信する。受信装置が読出要求信号を受信すると、読出手段が第1の記憶デバイスからチャンネル情報を読み出して、書込手段が第2の記憶デバイスにチャンネル情報を書き込む。これにより、作業者が書込治具を操作することによって、受信装置と書込治具との間でチャンネル情報の読み出しおよび書き込みを実行できるので、作業者の作業が非常に容易になる。また、書込治具に信号生成手段を設けているので、複数の受信装置に信号生成手段を設ける必要がなく、コストを安価にするとができる。また、書込治具からの信号によって受信装置が書き込みおよび読み出しを実行するので、例えば、利用者が受信装置の視聴時に受信装置の他の操作と間違ってチャンネル情報の書き込みまたは読み出しが実行されることはない。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記受信装置および前記書込治具がI2C規格に基づいて通信可能である。上記読出手段は、上記チャンネル情報を読み出す該第2の記憶デバイスのアドレスを含むSDAを該第2の記憶デバイスに送信し、該第2の記憶デバイスが、該読出手段から受信したSDAに基づいて、該チャンネル情報を読み出す。上記書込手段は、該チャンネル情報を書き込む該第2の記憶デバイスのアドレスと、該チャンネル情報とを含むSDAを該第2の記憶デバイスに送信し、該第2の記憶デバイスが、該書込手段から受信したSDAに基づいて、該チャンネル情報を書き込む。
【0013】
I2C規格に基づいて受信装置と第2の記憶デバイスとが通信するので、非常に簡単な構成で受信装置が第2の記憶デバイスを直接制御できる。書込治具に書き込まれたチャンネル情報を受信装置に書き込む場合に、読出手段がアドレスを含むSDAを第2の記憶デバイスに送信すると、第2の記憶デバイスはSDAで特定されたアドレスからチャンネル情報を読み出すことができる。一方、受信装置に書き込まれたチャンネル情報を書込治具に書き込む場合に、書込手段がアドレスおよびチャンネル情報を含むSDAを第2の記憶デバイスに送信すると、第2の記憶デバイスはSDAで特定されたアドレスにチャンネル情報を書き込むことができる。
【0014】
本発明の別の局面においては、受信装置が提供され得る。この受信装置は、チャンネル情報を書込可能な第2の記憶デバイスを有する書込治具を接続可能であり、該チャンネル情報を書込可能な第1の記憶デバイスと、該第2の記憶デバイスを直接制御して、該第2の記憶デバイスから該チャンネル情報を読み出す読出手段と、該読出手段が読み出したチャンネル情報を該第1の記憶デバイスに書き込む書込手段とを備える。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記読出手段は、上記第1の記憶デバイスに書き込まれたチャンネル情報を読み出し、上記書込手段は、該第2の記憶デバイスを直接制御して、該読出手段が読み出したチャンネル情報を該第2の記憶デバイスに書き込む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、1台の受信装置に書き込まれたチャンネル情報を書込治具に書き込み、他の複数の受信装置に書込治具に書き込まれたチャンネル情報を書き込むことにより、きわめて容易に複数の受信装置にチャンネル情報を書き込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態によるチャンネル情報書込システム100を示す概略図である。チャンネル情報書込システム100は、複数の受信装置101(本例では、2台のテレビジョン受像機101A、101B)および書込治具102を備える。受信装置101A、101Bは、従来の方法でチャンネル情報(周波数など)を書き込むことができ、また、書込治具102を使ってチャンネル情報を自動的に書き込むこともできる。すなわち、操作者は、受信装置101Aに書込治具102を使用せずにオートサーチまたはマニュアル設定等の従来の方法を用いてチャンネル情報を書き込む(フラッシュメモリ2にチャンネル情報を書き込む)。次に、受信装置101Aと書込治具102とをケーブルを介して接続し、受信装置101Aに書き込まれているチャンネル情報を書込治具102(EEPROM9)に送信し書き込む。次に、書込治具102を受信装置101Bにケーブルを介して接続し、書込治具102(EEPROM9)に書き込まれているチャンネル情報を受信装置101B(フラッシュメモリ2)に送信し書き込む。これにより、操作者は1台の受信装置101Aのみにチャンネル情報を従来の方法で書き込めば、他の複数台の受信装置(例えば、101B)には書込治具102からチャンネル情報を自動的に書き込むことができる。
【0018】
受信装置101(101Aおよび101B)は、第1の記憶デバイス2、制御手段3、第1の接続手段4、受信手段5、映像再生手段6、音声再生手段7および電源回路8を備える。
【0019】
第1の記憶デバイス2は、代表的にはフラッシュメモリ(またはEEPROM)等の不揮発性メモリであり、受信手段5が受信するテレビジョン信号に関するチャンネル情報が書き込まれ、書き込まれたチャンネル情報を記憶する。フラッシュメモリ2には、表1に示すチャンネル情報テーブルが格納され、当該チャンネル情報テーブルにチャンネル情報が書き込まれる。
【表1】

【0020】
チャンネル情報は、受信手段5がテレビジョン信号(映像信号および音声信号)を受信して映像再生手段6および音声再生手段7が映像および音声を再生するために必要な情報である。チャンネル情報は、代表的には、チャンネル番号と、受信周波数と、チャンネル表示番号と、調整周波数と、スキップの有無と、有料チャンネルか否かの情報とを含む。チャンネル番号は、チャンネル毎に付与される番号である。受信周波数は、当該チャネルのテレビジョン信号を受信するための周波数である。チャンネル表示番号は、受信装置101および受信装置101のリモコン送信機などに表示される番号である。調整周波数は、受信装置が配置される場所によって、受信周波数を微調整する量を表す。スキップは、受信装置が当該チャンネルを再生可能にするか否かを表す。つまり、スキップが「有」とされたチャンネルは、操作者によって選択されないように受信装置101が設定される。有料は、有料チャンネルか否かを示す。有料チャンネルのテレビジョン信号は、利用者によって料金が支払われたときのみ再生可能である。本例では、表1に記載の全てのチャンネル情報がフラッシュメモリ2内のチャンネル情報テーブルに書き込まれるが、チャンネル番号のみをチャンネル情報テーブルに書き込んでもよい。この場合、チャンネル番号とその他のチャンネル情報とを対応付けるテーブルを受信装置101が例えばROM内に有している。
【0021】
制御手段3は、代表的にはマイコン(マイクロコンピュータ)であり、内蔵するROM(図示せず)内に格納されたプログラムを実行することにより、受信装置101の各部を制御する。マイコン3は、書込読出部(書込手段および読出手段としての機能を含む)3aを含み、フラッシュメモリ2および書込治具102のEEPROM9にアクセスする。つまり、書込読出部3aは、フラッシュメモリ2からチャンネル情報を読み出し、EEPROM9にチャンネル情報を書き込む。また、書込読出部3aは、書込治具102のEEPROM9からチャンネル情報を読み出し、読み出したチャンネル情報をフラッシュメモリ2に書き込む。言い換えると、書込読出部3aは、書込治具102のEEPROM9を直接制御する。ここで、直接制御するとは、相手装置のマイコンを介さずに、相手装置のデバイス自体を制御することをいう。より具体的には、書込読出部3aは、I2C(Inter Integrated Circuit)規格に基づいて書込治具102のEEPROM9と通信する。I2Cは、2本の信号線SDA(Sirial DAta)およびSCL(Serial CLock)によって通信するシリアルインターフェースである。
【0022】
図2は、本例に用いられるSDAのデータ構造を示す概略図である。(a)は、書込読出部3aが、EEPROM9にチャンネル情報を書き込む際に、EEPROM9に送信するSDAである。このSDAは、アドレス201、制御内容(読出(R)/書込(W))202、およびチャンネル情報のデータ本体203を含む。アドレス201は、チャンネル情報を書き込むEEPROM9のアドレスを示す。制御内容202は、その値が「0」であるときEEPROM9にチャンネル情報を書き込むことを示し、その値が「1」であるときEEPROM9からチャンネル情報を読み出すことを示す。(a)の場合、制御内容202は、値が「0」になっている。データ本体203は、フラッシュメモリ2から読み出したチャンネル情報であり、例えば7ビットのデータとして表されている。一方、(b)は、書込読出部3aが、EEPROM9からチャンネル情報を読み出す際に、EEPROM9に送信するSDAである。アドレス201は、チャンネル情報を読み出すEEPROM9のアドレスを示す。制御内容202は、この場合、その値がチャンネル情報を読み出すことを示す「1」になっている。
【0023】
マイコン3は、複数の入力(および/または出力)端子(3A〜3F)を含む。端子3Aは、書込治具102からReady(準備)信号が入力される端子である。Ready信号は、マイコン3がRead信号またはWrite信号を受信待ちの状態になる信号である。端子3Bは、書込治具102からRead(読出要求)信号が入力される端子である。Read信号は、マイコン3がフラッシュメモリ2からチャンネル情報を読み出して、書込治具102への書き込みを開始するトリガとなる信号である。端子3Cは、書込治具102からWrite(書込要求)信号が入力される端子である。Write信号は、マイコン3が書込治具102からチャンネル情報を読み出して、フラッシュメモリ2への書き込みを開始するトリガとなる信号である。端子3Dは、書込治具102のLED12を発光させるための電圧を出力する端子である。端子3Eは、書込治具102のEEPROM9との間でSDA(すなわち、チャンネル情報)を送受信する端子である。端子3Fは、書込治具102のEEPROM9にSCLを出力する端子である。
【0024】
第1の接続手段4は、書込治具102の第2の接続手段10に接続され、各種信号および電圧が入出力される。第1の接続手段4は、代表的にはコネクタであり、複数の入力(および/または出力)端子4A〜4Fを含む。Ready端子4Aは、書込治具102からのReady信号を端子3Aに与える。Ready端子4Aは、抵抗R1を介して端子3Aに接続され、抵抗R2を介して電源回路8に接続されている。Read端子4Bは、書込治具102からのRead信号を端子3Bに与える。Read端子4Bは、抵抗R3を介して端子3Bに接続され、抵抗R4を介して電源回路8に接続されている。Write端子4Cは、書込治具102からのWrite信号を端子3Cに与える。Write端子4Cは、抵抗R5を介して端子3Cに接続され、抵抗R6を介して電源回路8に接続されている。上記の通り、端子4A〜4Cおよび端子3A〜3Cは、Ready信号、Read信号およびWrite信号を受信する信号受信手段としての機能を有する。
【0025】
LED端子4Dは、端子3Dに接続され、書込治具102のLED12を発光させる電圧を出力する端子である。SDA端子4Eは、書込治具102との間でSDA(チャンネル情報)を送受信する端子である。SDA端子4Eは、抵抗R7を介して端子3Eに接続され、抵抗R8を介して電源回路8に接続されている。SCL端子4Fは、書込治具3にSCLを出力する端子である。SCL端子4Fは、抵抗R9を介して端子3Fに接続され、抵抗R10を介して電源回路8に接続されている。Vcc端子4Gは、電源回路8に接続され、書込治具102に電圧を供給する端子である。Vss端子4Hは、接地電位GNDに接続されている。
【0026】
受信手段5は、マイコン3によって制御され、フラッシュメモリ2に書き込まれたチャンネル情報に基づいてテレビジョン信号を受信する。受信手段5は、受信したテレビジョン信号のうち、映像信号を映像再生手段6に与え、音声信号を音声再生手段7に与える。映像再生手段6は、受信手段5から映像信号を受けて映像信号を再生する。映像再生手段6は、図示しない映像信号処理回路、およびブラウン管や液晶パネル等の表示部等を含む。表示部は、さらに、マイコン3からの指示に基づいて「読出中」、「書込中」、「読出完了」、「書込完了」または「設定入力待ち」等を表示する。音声再生手段7は、受信手段5から音声信号を受けて音声信号を再生する。音声再生手段7は、図示しない音声信号処理回路およびスピーカー等を含む。
【0027】
電源回路8は、商用交流電源電圧が入力され、当該電圧を整流および平滑して、受信装置101の各部に供給する。また、電源回路8は、Vcc端子4Gを介して、書込治具102のEEPROM9およびLED13に電圧を供給する。
【0028】
書込治具102は、第2の記憶デバイス9、第2の接続手段10および信号生成手段11を備える。書込治具102は、自身の各部を制御するマイコンを有しておらず、受信装置101に接続されることにより、受信装置101のマイコン3によって各部が制御される。
【0029】
第2の記憶デバイス9は、代表的にはEEPROM等の不揮発性メモリであり、受信装置101のマイコン3によって、マイコン3から受信したチャンネル情報を書き込むよう制御される(受信手段)。EEPROM9は、書き込んだチャンネル情報を記憶する。また、EEPROM9は、マイコン3によって、チャンネル情報を読み出して受信装置101に送信するよう制御される(送信手段)。具体的には、EEPROM9は、マイコン3から受信したSDAのアドレス201および制御内容202に基づいて、チャンネル情報を書き込んだり、チャンネル情報を読み出したりする。EEPROM9は、表1に模式的に示すチャンネル情報テーブルを有し、チャンネル情報テーブルにチャンネル情報を書き込む。具体的には、チャンネル情報の各情報が、例えば7ビットのデータとして記憶される。チャンネル情報テーブルのアドレスは、SDAのアドレスで特定される。
【0030】
EEPROM9は、複数の入力(および/または出力)端子9A〜9Hを含む。SDA端子9Aは、マイコン3との間でSDAを送受信する端子である。SCL端子9Bは、マイコン3からのSCLを入力する端子である。VCC端子9Cは、電源回路8からの電圧をEEPROM9に入力する端子である。E0端子9D、E1端子9E、E2端子9F、Vss端子9GおよびWc端子9Hは、接地電位GNDに接続される。
【0031】
第2の接続手段10は、受信装置101の第1の接続手段4に接続され、各種信号および電圧が入出力される。第2の接続手段10は、代表的にはコネクタであり、第1の接続手段4の各端子に対応する複数の入力(および/または出力)端子10A〜10Fを含む。各端子10A〜10Fは、チャンネル情報の読出時または書込時に、第1の接続手段4の対応する各端子4A〜4Fにケーブルを介して接続される。第2の接続手段10は、Ready端子10A、Read端子10B、Write端子10C、LED端子10D、SDA端子10E、SCL端子10F、Vcc端子10GおよびVss端子10Hを含む。SDA端子10Eは、受信装置101との間でSDAが入出力される。SDA端子10Eは、抵抗R11を介してEEPROM9のSDA端子9Aに接続されている。SCL端子10Fは、受信装置101からSCLが入力される。SCL端子10Fは、抵抗R12を介してEEPROM9のSCL端子9Bに接続されている。
【0032】
LED端子10Dには、抵抗R13を介してLED(動作完了報知部)12が接続されている。LED12は、マイコン3のLED端子3Dから所定の電圧がLED端子4D、10Dを介して与えられ、発光することにより、例えば、受信装置101に書込治具102に書き込まれているチャンネル情報を書き込み完了したこと、または、受信装置101に書き込まれているチャンネル情報を書込治具102に書き込み完了したことを操作者に報知する。
【0033】
Vcc端子10Gは、EEPROM9のVcc端子に接続され、かつ、抵抗R14を介してLED(電源報知部)13に接続されている。LED13は、書込治具102が受信装置101に接続されると、電源回路8から電圧がVcc端子4G、10Gを介して与えられ、発光することにより、書込治具102が動作可能な状態であることを操作者に報知する。なお、コンデンサC4はノイズ除去のために設けられている。
【0034】
信号生成手段11は、操作者の操作に基づいて、書込治具102から受信装置101へのチャンネル情報の書き込み、または受信装置101から書込治具102へのチャンネル情報の書き込みを開始させるための信号を生成し、マイコン3に送信する。信号生成手段11は、Ready信号を生成してマイコン3の端子3Aに送信するReadyスイッチ(Ready信号生成部)11A、Read信号を生成してマイコン3の端子3Bに送信するReadスイッチ(Read信号生成部)11B、およびWrite信号を生成してマイコン3の端子3Cに送信するWriteスイッチ(Write信号生成部)11Cを含む。Readyスイッチ11Aは、一端がReady端子10Aに接続され、他端がグランド電位GNDに接続されている。Read端子11Bは、一端がRead端子10Bに接続され、他端がグランド電位GNDに接続されている。Writeスイッチ11Cは、一端がWrite端子10Cに接続され、他端がグランド電位GNDに接続されている。なお、コンデンサC1〜C3はノイズ除去用のコンデンサである。
【0035】
マイコン3は、Readyスイッチ11Aがオフ状態のときは、端子3Aに電源回路8からの電圧(ハイレベル)が入力されるので、Ready信号が入力されていないと判断する。一方、Readyスイッチ11Aがオン状態になると、マイコン3の端子3Aは、Ready端子4A、10AおよびReadyスイッチ11Aを介してグランド電位GNDに接続されて、ローレベルの信号が入力される。従って、マイコン3は、Ready信号(ローレベルの信号)が入力されていると判断する。Readスイッチ11BおよびWriteスイッチ11Cの場合も同様に、オフ状態のときはマイコン3の端子3Bおよび3Cに電源回路8からの電圧(ハイレベル)が与えられ、Read信号またはWrite信号が入力されていないと判断する。一方、これらのスイッチがオン状態のときには、マイコン3の端子3Bまたは3Cはグランド電位GNDに接続され、ローレベルの信号が与えられるので、マイコン3はRead信号またはWrite信号が入力されていると判断する。
【0036】
以上の構成を有するチャンネル情報書込システム100について、その動作を図1および図3を参照して説明する。図3は、マイコン3の処理を説明するフロー図である。まず、受信装置101Aに書き込まれたチャンネル情報を書込治具102に書き込む処理を説明する。受信装置101Aに書込治具102が接続され、作業者の操作によってReadyスイッチ11Aがオン状態になると、マイコン3の端子3AにReady信号であるローレベルの信号が入力される(S301:YES)。そのため、マイコン3は、Read信号またはWrite信号を入力待ちの状態になる(S302、S303)。このとき、受信装置101Aの表示部には「設定入力待ち」が表示される。操作者の操作によって、Readスイッチ11Bがオン状態になると、マイコン3の端子3BにRead信号であるローレベルの信号が入力される(S302:YES)。マイコン3は、Read信号に応答して、フラッシュメモリ2からチャンネル情報を読み出す(S304)。このとき、受信装置101Aの表示部には「読出中」が表示される。そして、マイコン3は、読み出したチャンネル情報に基づいてSDAおよびSCLを生成し、端子3Eおよび3Fを介して書込治具102のEEPROM9に送信する(S305)。書込治具3のEEPROM9は、マイコン3から受信したSDAおよびSCLに基づいて、チャンネル情報を書き込む。具体的には、EEPROM9は、SCLがハイレベルの時にSDAを読み込んで、アドレス201に示すアドレスにデータ本体203のチャンネル情報を書き込む。EEPROM9は、全てのSDAを受信してチャンネル情報を書込終了すると、ACK(完了通知)をSDAとしてマイコン3に返信する。マイコン3は、ACKを受信すると、端子3DからLED12を発光させるための電圧を出力し(S308)、LED12はこの信号に基づいて発光することにより、書込治具102に書込終了したことを作業者に報知する。このとき、受信装置101Aの表示部には「読出完了」が表示される。
【0037】
次に、書込治具102に書き込まれたチャンネル情報を、受信装置101Bに書き込む処理を説明する。受信装置101Bに書込治具102が接続され、操作者の操作によってReadyスイッチ11Aがオン状態になると、マイコン3の端子3AにReady信号であるローレベルの信号が入力される(S301:YES)。このとき、受信装置101Aの表示部には「設定入力待ち」が表示される。操作者の操作によって、Writeスイッチ11Cがオン状態になると、マイコン3の端子3CにWrite信号であるローレベルの信号が入力される(S303:YES)。マイコン3はWrite信号に応答して、SDAおよびSCLを生成し、端子3Eおよび3Fから、書込治具102のEEPROM9に送信する(S306)。書込治具102のEEPROM9は、マイコン3から受信したSDAおよびSCLに基づいてチャンネル情報を読み出す。具体的には、SCLがハイレベルの時にSDAを読み込んで、アドレス201に示すアドレスからチャンネル情報を読み出して、7ビットのデータ本体を含むSDAとして、マイコン3に送信する。マイコン3は、EEPROM9からSDAを受信すると、チャンネル情報をフラッシュメモリ2に書き込む(S307)。このとき、受信装置101Aの表示部には「書込中」が表示される。マイコン3は、フラッシュメモリ2への書き込みを終了すると、端子3DからLED12を発光させるための電圧を出力し(S308)、LED12はこの電圧に基づいて発光することにより、受信装置101Bにチャンネル情報を書き込みを終了したことを作業者に報知する。このとき、受信装置101Aの表示部には「書込完了」が表示される。
【0038】
以上のように、1台の受信装置101Aにチャンネル情報を従来の方法で書き込めば、書込治具102にその設定したチャンネル情報を書き込んで、別の受信装置101Bに書込治具102に書き込まれたチャンネル情報を自動的に書き込ませることができる。しかも、書込治具102は受信装置101とI2Cで通信するので、書込治具102にマイコンを設ける必要がなく、書込治具をきわめて安価で簡易な構成にすることができる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、書込治具102に複数の第2の接続手段を並列に設けることにより、書込治具102を同時に複数の受信装置101に接続し、同時に複数の受信装置101にチャンネル情報を書き込むことができる。また、チャンネル情報は、BAND情報や発信周波数等が含まれていてもよい。また、本発明は、上記の受信装置の動作をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムという形態で提供することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、テレビジョン受像機またはラジオ受信機などのチャンネル情報を設定する必要がある電気機器に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】チャンネル情報書込システム100を示す概略図である。
【図2】SDAのデータ構造を示す概略図である。
【図3】マイコン3の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
2 第1の記憶デバイス
3 書込手段、読出手段
9 第2の記憶デバイス
100 チャンネル情報書込システム
101 受信装置
102 書込治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンネル情報を書込可能な第1の記憶デバイスを有する受信装置と、
該チャンネル情報を書込可能な第2の記憶デバイスを有する書込治具とを備え、
該受信装置が、該第2の記憶デバイスを直接制御して、該第2の記憶デバイスから該チャンネル情報を読み出す読出手段と、
該読出手段が読み出したチャンネル情報を該第1の記憶デバイスに書き込む書込手段とをさらに有する、チャンネル情報書込システム。
【請求項2】
前記読出手段が、前記第1の記憶デバイスに書き込まれたチャンネル情報を読み出し、
前記書込手段が、該第2の記憶デバイスを直接制御して、該読出手段が該第1の記憶デバイスから読み出したチャンネル情報を該第2の記憶デバイスに書き込む、請求項1に記載のチャンネル情報書込システム。
【請求項3】
前記書込治具が、書込要求信号または読出要求信号を生成し前記受信装置に送信する信号生成手段をさらに有し、
前記受信装置が、該書込要求信号または該読出要求信号を受信する信号受信手段をさらに有し、
該信号受信手段が該書込要求信号を受信した場合、前記読出手段が前記第2の記憶デバイスから前記チャンネル情報を読み出して、前記書込手段が前記第1の記憶デバイスに該チャンネル情報を書き込み、
該信号受信手段が該読出要求信号を受信した場合、前記読出手段が該第1の記憶デバイスから該チャンネル情報を読み出して、該書込手段が該第2の記憶デバイスに該チャンネル情報を書き込む、請求項2に記載のチャンネル情報書込システム。
【請求項4】
前記受信装置および前記書込治具がI2C規格に基づいて通信可能であり、
前記読出手段が、前記チャンネル情報を読み出す該第2の記憶デバイスのアドレスを含むSDAを該第2の記憶デバイスに送信し、
該第2の記憶デバイスが、該読出手段から受信したSDAに基づいて、該チャンネル情報を読み出し、かつ、
前記書込手段が、該チャンネル情報を書き込む該第2の記憶デバイスのアドレスと、該チャンネル情報とを含むSDAを該第2の記憶デバイスに送信し、
該第2の記憶デバイスが、該書込手段から受信したSDAに基づいて、該チャンネル情報を書き込む、請求項2または3に記載のチャンネル情報書込システム。
【請求項5】
チャンネル情報を書込可能な第2の記憶デバイスを有する書込治具を接続可能であり、
該チャンネル情報を書込可能な第1の記憶デバイスと、
該第2の記憶デバイスを直接制御して、該第2の記憶デバイスから該チャンネル情報を読み出す読出手段と、
該読出手段が読み出したチャンネル情報を該第1の記憶デバイスに書き込む書込手段とを備える、受信装置。
【請求項6】
前記読出手段が、前記第1の記憶デバイスに書き込まれたチャンネル情報を読み出し、
前記書込手段が、該第2の記憶デバイスを直接制御して、該読出手段が読み出したチャンネル情報を該第2の記憶デバイスに書き込む、請求項5に記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−270134(P2006−270134A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80889(P2005−80889)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】