説明

チャージポンプ、周波数シンセサイザ、及び、制御方法

【課題】出力電圧が変化したときでも、電流値の変化を抑制できるチャージポンプを提供する。
【解決手段】電流源101は、出力端子157に向けて電流を流し、電流源102は、出力端子157から電流を引き抜く。電流調整回路108は、電流源101及び102の電流を制御する。電流調整回路108は、電流源102を所定の電流が流れるように制御しつつ電流源101を電流源102を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、電流源101を所定の電流が流れるように制御しつつ電流源102を電流源101を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとを切り替え可能である。判定回路105は、出力端子157の電圧に応じて、第1のモードと第2のモードとを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージポンプ及びその制御方法に関し、更に詳しくは、注ぎ込み側の電流源と引き抜き側の電流源とを含むチャージポンプ及びその制御方法に関する。また、本発明は、そのようなチャージポンプを含む周波数シンセサイザ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周波数シンセサイザなどに用いられるチャージポンプがある。周波数シンセサイザでは、チャージポンプは、位相比較器の後段に設けられる。チャージポンプは、位相比較器が出力する位相差情報を有する入力パルスを、電荷へ変換する。チャージポンプは、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されている。周波数シンセサイザでは、チャージポンプで変換された電荷をフィルタなどで電圧へ変換し、この電圧を、電圧制御発振器の制御電圧として用いる。周波数シンセサイザの出力位相は、電圧制御発振器の制御電圧に従って調整される。
【0003】
一般に、チャージポンプは、出力端子に電荷を注入する注ぎ込み側の電流源と、出力端子から電荷を引き抜く引き抜き側の電流源とを有する。チャージポンプでは、注ぎ込み側の電流源の電流と、引き抜き側の電流源の電流とが一致していることが好ましい。しかし、実際には、両電流源の電流を完全に一致させることは困難である。そこで、両電流源の電流を一致させるために、電流調整手段を用いる。特許文献1では、電流調整手段を用いて引き抜き側の電流源の電流を調整し、注ぎ込み側の電流源の電流と一致させている。
【0004】
図23に、特許文献1に記載のチャージポンプを示す。チャージポンプは、注ぎ込み側(吐き出し側)の電流源511、引き抜き側(吸い込み側)の電流源512、スイッチ501〜504、及び、電流調整手段513を有する。電流源511と電流源512は、それぞれ、スイッチ503及び504を介して出力端子OUTに接続されている。スイッチ503及び504は、位相差情報を有するパルスに基づいてオン/オフする。電流源511は、スイッチ503がオンのとき、出力端子OUTに向けて電流(電荷)を流す。一方、電流源512は、スイッチ504がオンのとき、出力端子OUTから電荷を引き抜く。
【0005】
電流源511の電流は、一定である。これに対し、電流源512の電流は、可変に制御可能である。電流調整手段513は、電流源512を構成するトランジスタのゲート電圧を変化させ、電流源512の電流を制御する。特許文献1では、チャージポンプ出力を含まない別途の経路を設けている。電流調整手段513は、スイッチ501、502間の電圧に応じて電流源512を制御し、引き抜き電流を調整する。注ぎ込み側と引き抜き側との電流量を一致させることで、周波数シンセサイザで発生するスプリアス電力を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−101043号公報
【特許文献2】特開2001−274680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、電流源511の電流と電流源512の電流とを一致させることはできるものの、その電流値を、チャージポンプの出力電圧の変動に対して一定に保つことはできないという問題がある。すなわち、電流源に用いられるMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタは、ソース・ドレイン間電圧に依存して流れる電流が変化する。特に、ソース・ドレイン間電圧が低く、トランジスタが飽和領域ではなく線形領域で動作する電圧範囲では、電流源の電流が、出力電圧の変動に依存して大きく変化する。電流源の電流の変動は、周波数シンセサイザのループ特性を変動させ、しばしば位相雑音或いはジッタ特性の劣化を招く。
【0008】
一方で、電流源の電流を一定に維持しようとすると、利用できるチャージポンプの出力電圧の範囲が制限されることになる。その結果、後段に用いられる電圧制御発振器の入力電圧範囲が制限され、電圧制御発振器の可変周波数範囲を有効に利用することができなくなる。とくに、CMOS(Complementary MOS)プロセスの微細化に伴い、電源電圧は低く設定されてきているため、今後、この問題はより重大になってくる。
【0009】
本発明は、出力電圧が変化したときでも、電流値の変化を抑制できるチャージポンプ、周波数シンセサイザ、及び、それらの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源と、前記第1及び第2の電流源の電流を制御する電流調整回路であって、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとを切り替え可能な電流調整回路と、前記出力端子の電圧に応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える切替回路とを備えるチャージポンプを提供する。
【0011】
本発明は、本発明のチャージポンプと、前記チャージポンプの出力端子の電圧に応じた周期で発振する電圧制御発振器と、前記電圧制御発振器の出力信号と基準信号との位相差を検出し、該検出した位相差に応じた位相差信号を前記チャージポンプに出力する位相比較器とを有する周波数シンセサイザを提供する。
【0012】
本発明は、出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有するチャージポンプにて、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとを、前記出力端子の電圧に応じて切り替えるチャージポンプの制御方法を提供する。
【0013】
本発明は、出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有し、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとの何れかで動作するチャージポンプの動作モードを、前記出力端子の電圧に応じて切り替え、周波数同期動作を行う周波数シンセサイザの制御方法を提供する。
【0014】
本発明は、入力電圧に応じた周期で発振する電圧制御発振器に所定の参照電圧を入力した状態で、前記電圧制御発振器の出力信号の周波数が所望の周波数に近づくように前記電圧制御発振器の粗調整を行い、前記粗調整後、前記電圧制御発振器の出力信号の周波数と所定の基準周波数とを比較し、出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有し、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとの何れかで動作するチャージポンプの動作モードを前記比較結果に基づいて決定し、
前記電圧制御発振器に前記チャージポンプの出力端子の電圧に応じた電圧を入力して周波数同期動作を行う周波数シンセサイザの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のチャージポンプ、周波数シンセサイザ、及び、その制御方法は、出力電圧が変化したときでも、電流値の変化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態のチャージポンプを示すブロック図。
【図2】電流源を示す回路図。
【図3】適応バイアス発生回路とセクレタ部分を示す回路図。
【図4】固定バイアス発生回路を示す回路図。
【図5】(a)及び(b)は、モードを固定した際の出力電圧と電流源の電流との関係を示すグラフ。
【図6】第1実施形態のチャージポンプにおける出力電圧と電流源の電流との関係を示すグラフ。
【図7】第1実施形態の動作手順を示すフローチャート。
【図8】(a)及び(b)は、シミュレーション結果を示すグラフ。
【図9】電流源の第1の変形例を示す回路図。
【図10】電流源の第2の変形例を示す回路図。
【図11】適応バイアス発生回路とセクレタ部分の変形例を示す回路図。
【図12】本発明の第2実施形態のチャージポンプにおける適応バイアス発生回路とスイッチ部分を示す回路。
【図13】(a)は、出力電流と電流源の電流との関係を示すグラフ、(b)は、電源の状態を示す図。
【図14】本発明の第3実施形態のチャージポンプを示すブロック図。
【図15】(a)及び(b)は、参照電圧発生回路及びセレクタ部分を示す回路図。
【図16】電圧制御発振器を示す回路図。
【図17】周波数判定回路を示すブロック図。
【図18】周波数シンセサイザを示すブロック図。
【図19】第3実施形態における動作手順を示すフローチャート。
【図20】電圧制御発振器の出力信号周波数と入力電圧との関係を示すグラフ。
【図21】複数の電流経路を持つ電流源を示す回路図。
【図22】図21の電流源に使用する適応バイアス発生回路及びスイッチ部分を示す回路図。
【図23】特許文献1に記載のチャージポンプを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態のチャージポンプを示している。チャージポンプ100は、電流源101、102、適応バイアス発生回路103、固定バイアス発生回路104、判定回路105、及び、セレクタ106、107を有する。電流源(第1の電流源)101は、出力端子157に向けて電流を流す注ぎ込み側の電流源である。電流源(第2の電流源)102は、出力端子157から電流を引き抜く引き抜き側の電流源である。電流源101及び102は、それぞれ内部にスイッチを有する。電流源101内のスイッチは、端子151から入力される信号に基づいてオン/オフが制御される。電流源102内のスイッチは、端子152から入力される信号に基づいてオン/オフが制御される。
【0018】
適応バイアス発生回路103、固定バイアス発生回路104、及び、セレクタ106、107は、電流調整回路108を構成する。電流調整回路108は、電流源101及び102の電流を制御する。電流調整回路108は、2つのモード(第1のモードと第2のモード)を切替え可能である。第1のモード(モードH)は、引き抜き側の電流源102を所定電流に制御しつつ、注ぎ込み側の電流源101の電流を、引き抜き側の電流源102の電流とバランスさせるように制御するモードである。第2のモード(モードL)は、注ぎ込み側の電流源101を所定電流に制御しつつ、引き抜き側の電流源102の電流を、注ぎ込み側の電流源101の電流とバランスさせるように制御するモードである。
【0019】
固定バイアス発生回路104は、電流源101及び電流源102に所定の電流が流れるように制御するバイアス信号(固定バイアス信号)を生成する。適応バイアス発生回路103は、電流源101及び102の一方に固定バイアス信号が供給されるときに、他方の電流源の電流を、固定バイアス信号が供給される電流源の電流とバランスするように制御する適応バイアス信号を生成する。適応バイアス発生回路103は、出力端子157に接続されており、出力端子157から出力される電圧(チャージポンプの出力電圧)に応じて、注ぎ込み側と引き抜き側とで電流のバランスを維持するような適応バイアス信号を発生する。
【0020】
セレクタ106及び107は、2入力1出力のセレクタである。セレクタ106の入力端子は、適応バイアス発生回路103の出力(適応バイアス信号)155及び固定バイアス発生回路104の出力(固定バイアス信号)156に接続される。セレクタ106は、入力された適応バイアス信号又は固定バイアス信号の何れかを選択し、出力する。セレクタ106の出力端子153は、電流源101のバイアス端子に接続される。言い換えれば、セレクタ106は、適応バイアス信号又は固定バイアス信号の何れかを、電流源101のバイアス端子に入力する。
【0021】
セレクタ107の入力端子は、適応バイアス発生回路103の出力155及び固定バイアス発生回路104の出力156に接続される。セレクタ107は、適応バイアス信号又は固定バイアス信号の何れかを選択し、出力する。セレクタ107の出力端子154は、電流源102のバイアス端子に接続されている。言い換えれば、セレクタ107は、適応バイアス信号又は固定バイアス信号の何れかを、電流源102のバイアス端子に入力する。
【0022】
ここで、セレクタ106及び107は、相補動作を行う。すなわち、セレクタ106が適応バイアス発生回路103の出力155側の信号(適応バイアス信号)を選択するとき、セレクタ107は、固定バイアス発生回路104の出力156側の信号(固定バイアス信号)信号を選択する。また、セレクタ106が固定バイアス信号を選択するとき、セレクタ107は適応バイアス信号を選択する。セレクタ106及び107が相補動作を行うことで、電流源101と電流源102の何れか一方に適応バイアス信号が供給され、他方には固定バイアス信号が供給される。
【0023】
判定回路105は、出力端子157の電圧に応じて、電流調整回路108の動作モードを切り替える切替回路に相当する。判定回路105は、出力電圧と、所定の基準電圧とを比較し、比較結果を出力する。判定回路105の出力158は、セレクタ106及び107の制御端子に接続されている。セレクタ106及び107は、制御端子に入力される信号に応じて、適応バイアス信号又は固定バイアス信号を選択する。セレクタ106及び107の選択が切り替わることで、モードHとモードLとが切り替わる。すなわち、判定回路105は、出力端子157の電圧と基準電圧との大小関係に応じて、モードHとモードLとの切替えを行う。
【0024】
図2は、電流源の具体的な回路例を示している。電流源101は、トランジスタ201とスイッチ203とを有する。トランジスタ201は、p型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。トランジスタ201のソース電位は、VDD電位に設定される。トランジスタ201のゲートは、セレクタ106(図1)の出力端子(バイアス端子)153に接続されており、トランジスタ201を流れる電流は、バイアス端子153から入力されるバイアス信号で制御される。スイッチ203は、トランジスタ201と出力端子157との間に挿入されている。スイッチ203は、入力端子151に入力される信号に応じて、オン/オフが制御される。
【0025】
電流源102は、トランジスタ202とスイッチ204とを有する。トランジスタ202は、n型のMOSトランジスタである。トランジスタ202のソース電位は、GND電位に設定されている。トランジスタ202のゲートは、セレクタ107(図1)の出力端子(バイアス端子)154に接続されており、トランジスタ202を流れる電流は、バイアス端子154から入力されるバイアス信号で制御される。スイッチ204は、トランジスタ202と出力端子157との間に挿入される。スイッチ204は、入力端子152に入力される信号に応じて、オン/オフが制御される。
【0026】
図3は、適応バイアス発生回路103とセレクタ106、107部分の具体的な回路例を示している。適応バイアス発生回路103は、トランジスタ301、302、スイッチ303、304、及び、オペアンプ305を有する。トランジスタ301、302、スイッチ303、304は、電流源101、102(図2)を模擬した部分である。トランジスタ301及び302は、それぞれ図2のトランジスタ201及び202に対応する。また、スイッチ303及び304は、それぞれ図2のスイッチ203及び204に対応する。模擬スイッチであるスイッチ303及び304は、常時オンで使用する。スイッチ303とスイッチ304の接続ノード353は、模擬回路の出力端子(模擬チャージポンプの出力端子)に相当する。
【0027】
オペアンプ305は、レールトゥーレールアンプ(Rail-to-Rail)で構成される。オペアンプ305には、チャージポンプの出力端子157の電圧と、模擬チャージポンプの出力端子に相当する接続ノード353の電圧とが入力される。
【0028】
セレクタ106の入力端子の一方(入力端子351)には、固定バイアス発生回路104(図1)が出力する、電流源101を構成するトランジスタ201に入力すべき固定バイアス信号が入力される。セレクタ106の入力端子の他方は、オペアンプ305の出力354に接続される。セレクタ106が選択する信号(電圧)は、トランジスタ301のゲートに供給されると共に、出力端子153から出力される。
【0029】
セレクタ107の入力端子の一方(入力端子352)には、固定バイアス発生回路104が出力する、電流源102を構成するトランジスタ202に入力すべき固定バイアス信号が入力される。セレクタ107の入力端子の他方は、オペアンプ305の出力354に出力される。セレクタ107が選択する信号(電圧)は、トランジスタ302のゲートに供給されると共に、出力端子154から出力される。
【0030】
セレクタ106とセレクタ107とは、相補動作を行う。従って、トランジスタ301のゲートに固定バイアス信号が供給されるとき、トランジスタ302のゲートにはオペアンプ305の出力354が供給される。逆に、トランジスタ301のゲートにオペアンプ305の出力354が供給されるとき、トランジスタ302のゲートには固定バイアス信号が供給される。オペアンプ305の出力354は、適応バイアス信号に相当する。
【0031】
適応バイアス発生回路103は、モードHでは、引き抜き側の電流源の模擬回路に相当するトランジスタ302に、セレクタ107を介して固定バイアス信号を供給した状態で、オペアンプ305の出力354を、セレクタ106を介して注ぎ込み側の電流源の模擬回路に相当するトランジスタ301に供給する。適応バイアス発生回路103は、トランジスタ301に供給するオペアンプ305の出力354を、端子153から、電流源101(図1)に供給すべき適応バイアス信号として出力する。
【0032】
適応バイアス発生回路103は、モードLでは、注ぎ込み側の電流源の模擬回路に相当するトランジスタ301に、セレクタ106を介して固定バイアス信号を供給した状態で、オペアンプ305の出力354を、セレクタ107を介して引く抜き側の電流源の模擬回路に相当するトランジスタ302に供給する。適応バイアス発生回路103は、トランジスタ302に供給するオペアンプ305の出力354を、端子154から、電流源102に供給すべき適応バイアス信号として出力する。
【0033】
例えば、セレクタ107が固定バイアス信号側を選択しているとする(モードH)。セレクタ107は、入力端子352から入力される固定バイアス信号をトランジスタ302に供給する。このとき、セレクタ106は、オペアンプ305の出力354である適応バイアス信号をトランジスタ301のゲートに印加する。オペアンプ305は、入力電圧差が0になるように動作し、模擬チャージポンプ出力である接続ノード353の電圧が、チャージポンプの出力端子157の電圧と等しくなるような適応バイアス信号を発生する。このような動作で、適応バイアス発生回路103は、トランジスタ301を流れる電流と、トランジスタ302を流れる電流との釣り合い(バランス)を保つような適応バイアス信号を発生する。この適応バイアス信号を電流源101のトランジスタに供給することで、チャージポンプの出力電圧が変動しても、注ぎ込み側と引き抜き側とで電流バランスを維持できる。
【0034】
図4は、固定バイアス発生回路104の具体的な回路例を示している。固定バイアス発生回路104は、トランジスタ401、402、405と、スイッチ403、404と、抵抗406とを有する。トランジスタ401、402とスイッチ403、404とは、チャージポンプの電流源101、102(図2)を模擬した部分である。スイッチ403、404は、常時オンで使用される。スイッチ403、404は、オン状態のスイッチ203、204のオン抵抗を疑似するために用いられる。
【0035】
トランジスタ405と抵抗406とは、高電位側の電源(VDD)と低電位側の電源(GND)との間に直列に接続される。トランジスタ405のゲートは、ドレインに接続されている。抵抗406の抵抗値は、トランジスタ405を流れる電流が所望の電流値となるように選定されている。トランジスタ405のゲートは、トランジスタ402のゲートに接続されており、トランジスタ405を流れる電流は、トランジスタ402にミラー化される。また、トランジスタ402のゲートは、端子352に接続されている。このトランジスタ402(405)のゲート電圧が、電流源102のトランジスタ202に供給すべき固定バイアス信号に該当する。
【0036】
トランジスタ401のゲートは、ドレインに接続されている。トランジスタ401には、トランジスタ402に流れる電流と同じ量の電流が流れる。固定バイアス発生回路104は、このときのトランジスタ401のゲート電圧を、端子351に出力する。トランジスタ401のゲート電圧が、電流源101のトランジスタ201に供給すべき固定バイアス信号に該当する。
【0037】
図5(a)は、引き抜き側の電流源102に固定バイアスを供給し、注ぎ込み側の電流源101に適応バイアスを供給したときの、出力電圧と2つの電流源の電流との関係を示している。注ぎ込み側の電流源101の電流をIUPとし、引き抜き側の電流源102の電流をIDNとする。また、チャージポンプの出力電圧はVCTRLとする。なお、図5(a)のグラフでは、IUPとIDNとをずらして図示しているが、電流IUPは、電流IDNとバランスする(一致する)ように制御されるので、理論上、両者は、グラフ上で重なることになる。
【0038】
引き抜き側の電流源には、通常、n型のMOSトランジスタが用いられる。このnMOSトランジスタは、チャージポンプ電圧VCTRLが高い領域では飽和領域で動作し、チャージポンプ電圧VCTRLが変化しても、電流IDNはほぼ一定に保たれる。しかし、チャージポンプ電圧VCTRLが低い領域では線形領域で動作し、ゲート電圧が一定でも、チャージポンプ電圧VCTRLが低下すると電流IDNが大きく変動(減少)する。注ぎ込み側の電流源は、適応バイアス信号を用いて、電流IUPが、引き抜き側の電流IDNとバランスするように制御されるので、電流IUPも同様の傾向となる。つまり、チャージポンプ電圧VCTRLの変化に伴って、双方の電流源の電流値が大きく変動する。
【0039】
図5(b)は、上記とは逆に、注ぎ込み側の電流源101に固定バイアスを供給し、引き抜き側の電流源102に適応バイアスを供給したときの、出力電圧と2つの電流源の電流との関係を示している。注ぎ込み側の電流源には、通常、p型のMOSトランジスタが用いられる。このpMOSトランジスタは、チャージポンプ電圧VCTRLが低い領域では飽和領域で動作し、チャージポンプ電圧VCTRLが変化しても、電流IUPはほぼ一定に保たれる。しかし、チャージポンプ電圧VCTRLが高い領域では線形領域で動作し、ゲート電圧が一定でも、チャージポンプ電圧VCTRLが上昇すると電流IUPが大きく変動(減少)する。引き抜き側の電流源は、適応バイアス信号を用いて、電流IDNが、注ぎ込み側の電流IUPとバランスするように制御されるので、電流IDNも同様の傾向となる。つまり、チャージポンプ電圧VTCRLの変化に伴って、双方の電流源の電流値が大きく変動する。
【0040】
そこで、本実施形態では、所定の基準電圧を境に、引き抜き側の電流源に固定バイアスを供給し、注ぎ込み側の電流源に適応バイアスを供給するモード(モードH)と、注ぎ込み側の電流源に固定バイアスを供給し、引き抜き側の電流源に適応バイアスを供給するモード(モードL)とを切り替える。チャージポンプ電圧VCTRLが基準電圧よりも低いときは、モードLとすることで、電流IUPがチャージポンプ電圧VCTRLの変化に対してほとんど変化しない領域で電流源101を動作させることができる。電流源102は、電流IUPとバランスするように制御されるので、結果として、電流IDNも、チャージポンプ電圧VCTRLの変化に対してほとんど変動しない。
【0041】
また、チャージポンプ電圧VCTRLが基準電圧よりも高いときは、モードHとする。この場合、電流IDNがチャージポンプVCTRLの変化に対してほとんど変化しない領域で電流源102を動作させることができる。電流源101は、電流IDNとバランスするように制御されるので、結果として、電流IUPも、チャージポンプ電圧VCTRLの変化に対してほとんど変動しない。
【0042】
図6は、本実施形態のチャージポンプ100の出力電圧と2つの電流源101、102の電流との関係を示している。所定の基準電圧は、例えば電源電圧(VDD)の半分とし、VDD/2を境に、モードLとモードHとを切り替える。チャージポンプ100は、出力電圧VCTRLが0からVDD/2の電圧範囲では、モードLで動作する。この電圧範囲における出力電圧と電流源の電流との関係は、図5(b)に示すグラフにおける、出力電圧VCTRLが0からVDD/2までの電圧範囲の出力電圧と電流との関係と同じである。また、チャージポンプは、出力電圧VCTRLがVDD/2よりも高い電圧範囲では、モードHで動作する。この電圧範囲における出力電圧と電流源の電流との関係は、図5(a)に示すグラフにおける、出力電圧VCTRLがVDD/2よりも高い電圧範囲の出力電圧と電流との関係と同じである。
【0043】
電圧範囲がVDD/2よりも低いとき、注ぎ込み側の電流源101に固定バイアス信号を供給し、電流源101の電流を所定の電流に固定する。電流源101を構成するトランジスタ201は、飽和領域で動作するので、電流源101の電流は、チャージポンプ出力電圧VCTRLに依存せず、一定の値となる。また、電圧範囲がVDD/2よりも高いとき、引き抜き側の電流源102に固定バイアス信号を供給し、電流源102の電流を所定の電流に固定する。電流源102を構成するトランジスタ202は、飽和領域で動作するので、電流源102の電流は、チャージポンプ出力電圧VCTRLに依存せず、一定の値いとなる。従って、広いチャージポンプ出力電圧範囲で、電流バランスを維持しながら、電流量を一定にできる。
【0044】
図7は、チャージポンプ100を用いた周波数シンセサイザの動作手順を示している。動作開始時、セレクタ107は固定バイアス信号を選択し、セレクタ106は適応バイアス信号を選択する(ステップA1)。すなわち、動作開始時のモードは、モードHとする。初期モードは、モードLでもよい。チャージポンプを含む周波数シンセサイザ(PLL:Phase Locked Loop)が動作を開始し(ステップA2)、入力端子151、152に、位相差に応じた位相差信号が入力される。チャージポンプの出力電圧VCTRLは、ある電圧に収束していく。
【0045】
判定回路105は、チャージポンプ出力電圧VCTRLと所定の基準電圧とを比較し、チャージポンプ出力電圧が基準電圧よりも高いか否かを判断する(ステップA3)。この比較は、ハンチング防止の観点から、チャージポンプ出力電圧VCTRLがある程度収束した後に行うことが好ましい。例えば、判定回路105は、周波数シンセサイザが動作を開始してから、所定時間の経過後に、電圧の比較を行う。或いは、判定回路105は、周波数シンセサイザのロックを検出し、ロック検出後に電圧の比較を行ってもよい。
【0046】
判定回路105は、チャージポンプ出力電圧VCTRLが基準電圧よりも低いと判断すると、セレクタ106、107の制御端子に入力する信号を変化させ、セレクタ106に固定バイアス信号を選択させ、セレクタ107に適応バイアス信号を選択させる(ステップA4)。セレクタ106、107の選択が切り替わることで、チャージポンプの動作モードは、モードHからモードLへと切り替わる。以後、チャージポンプは、モードLで動作を継続する。チャージポンプ出力電圧VCTRLが基準電圧よりも高いときは、モードの切り替えは行わず、チャージポンプは、引き続き、モードHで動作する。
【0047】
ここで、判定回路105には、チャージポンプの出力電圧と基準電圧とが入力される単純な1段のオペアンプを用いればよい。これは、判定回路105には、高ゲイン、高精度な判定は必要ないためである。すなわち、例えば、基準電圧が電源電圧の半分であるとすれば、チャージポンプ出力電圧が基準電圧付近の電圧のとき、固定バイアス信号が供給される電流源は、飽和領域で動作している。このため、出力電圧が少し変化したとしても、電流源の電流はほとんど変化しない。従って、仮に、チャージポンプ出力電圧が基準電圧よりも少し低いときに、出力電圧が基準電圧よりも高いと判定したとしても問題にはならい。
【0048】
図8(a)及び(b)は、シミュレーション結果を示している。図8(a)に示すグラフでは、モードHで動作させたときの電流源101の電流IUPと電流源102の電流IDNとを実線で示し、モードLで動作させたときの電流IUPと電流IDNとを破線で示している。出力電圧VCTRLが低い電圧範囲を見ると、実線で示すモードHでは、出力電圧が200mVのとき電流IDNが150μA程度まで低下している。これに対し、破線で示すモードLでは、出力電圧が200mVのとき、出力電圧が600mVのときと同様に、電流IDNは160μA程度に維持されている。図8(a)を参照することで、出力電圧が低い電圧範囲では、チャージポンプをモードLで動作させることで、出力電圧の変化に対する電流源の電流の変化を抑えることができることがわかる。
【0049】
一方、出力電圧VCTRLが高い電圧範囲を見ると、実線で示すモードHでは、出力電圧の増加に伴って電流IUP、IDNが低下し始める電圧が、破線で示すモードLに比して、少し高電位側に移動している。出力電圧が高い電圧範囲では、チャージポンプをモードHで動作させることで、電流変動が少ない電圧範囲を、モードLで動作させる場合に比して、広げることができることがわかる。つまり、出力電圧が低い電圧範囲と高い電圧範囲とでモードを切り替えることで、広く電圧範囲で電流変動を抑えることができていることがわかる。
【0050】
図8(b)は、出力電圧と電流アンバランスとの関係を示している。電流アンバランスは、電流IUPと電流IDNとの差で与えられる。本実施形態では、基準電圧を境にモードHとモードLとを切り替えて使用しており、モードを何れか一方に固定する場合に比して、電流アンバランスが劣化することはない。すなわち、出力電圧に応じてモードを切り替えることで、出力電圧の変化に対して、電流IUPと電流IDNとのアンバランスが、モードを固定する場合に比して増加することはない。
【0051】
本実施形態では、チャージポンプ出力電圧に応じて、モードHとモードLとを切り替える。例えば、基準電圧を電源電圧の半分とする。チャージポンプ出力電圧が基準電圧よりも高い領域では、引き抜き側の電流源102に固定バイアス信号を供給すると(モードH)、電流源102を構成するnMOSトランジス202(図2)は飽和領域で動作し、出力電圧変動に対する電流量の変動が少なくなる。逆に、チャージポンプ出力電圧が基準電圧よりも低い領域では、固定バイアス信号を供給する電流源を入れ替え、注ぎ込み側の電流源101に固定バイアス信号を供給する(モードL)。このようにする場合、電流源101を構成するpMOSトランジスタ201は飽和領域で動作し、出力電圧変動に対する電流量の変動を抑えることができる。このように、チャージポンプ出力電圧に応じて、モードHとモードLとを切り替えて使用することで、広い電圧範囲で、電流量の変動が少ないチャージポンプを提供できる。
【0052】
なお、特許文献2には、出力電圧の大小判定に代えて、基準周波数と電圧制御発振器の周波数とを比較し、電流を調整する構成が記載されている。しかし、特許文献2の構成は、チャージポンプオン出力電圧が変動しても、電流を一定することができる構成ではない。その理由は、特許文献3では、周波数差が大きければ電流を増やし、逆に周波数差が小さければ電流を減らしているに過ぎないからである。
【0053】
ここで、電流源101、102の構成は、図2に示すものには限定されない。図9は、電流源の別の構成例(第1の変形例)を示している。電流源101aは、図2に示す電流源101にて、トランジスタ201とスイッチ203の位置を入れ替えた構成である。また、電流源102aは、図2に示す電流源102にて、トランジスタ202とスイッチ204の位置を入れ替えた構成である。図2に示す構成では、スイッチとトランジスタとがカスコード接続されており、電流変動量が少ないという利点がある。また、高速なスイッチング動作も可能である。一方で、カスコード接続であるため、飽和領域動作範囲は狭くなる。また、スイッチングノイズがカップリングして、出力に現れやすいというデメリットもある。図9に示す構成は、図2に示す利点と同様な利点があると共に、スイッチングノイズの出力へのカップリング量を低減できるという利点がある。
【0054】
図10は、電流源の更に別の構成例(第2の変形例)を示している。電流源101bは、トランジスタ201のゲート側にスイッチ203を有している。スイッチ203は、セレクタとして機能し、端子151からの信号に応じて、バイアス端子153又は電源電圧VDDを、トランジスタ201のゲートに接続する。トランジスタ201は、スイッチ203がバイアス端子153を選択するとき、出力端子157に向けてバイアス信号に応じた電流を流す。また、トランジスタ201は、スイッチ203が電源電圧VDDを選択するときは、出力端子157に向けて電流を流さない。
【0055】
電流源102bは、トランジスタ202のゲート側にスイッチ204を有している。スイッチ204は、セレクタとして機能し、端子152からの信号に応じて、バイアス端子154又はGND電位を、トランジスタ202のゲートに接続する。トランジスタ202は、スイッチ204がバイアス端子154を選択するとき、出力端子157からバイアス信号に応じた電流を流す。また、トランジスタ202は、スイッチ204がGND電位を選択するときは、出力端子157から電流を流さない。電流源の構成を図10に示す構成とすることで、図2や図9に示す構成を採用する場合に比して、より広い出力電圧範囲で、電流源を飽和領域で動作させることができる。一方で、カスコード接続の効果が得られないので、電流量の変動が大きくなるというデメリットがある。
【0056】
電流源の構成を図9や図10に示す構成とする場合、適応バイアス発生回路103及び固定バイアス発生回路104内の電流源を模擬した部分は、電流源の構成に合わせた構成とすればよい。例えば、電流源を図9に示す構成とした場合は、図3に示す適応バイアス発生回路103にて、トランジスタ301とスイッチ303の位置を入れ替え、トランジスタ302とスイッチ304の位置を入れ替えればよい。また、図4に示す固定バイアス発生回路104にて、トランジスタ401とスイッチ403の位置を入れ替え、トランジスタ402とスイッチ404の位置を入れ替えればよい。
【0057】
図11は、適応バイアス発生回路とセレクタ部分の変形例を示している。図3では、オペアンプ305が、注ぎ込み側と引き抜き側の双方の電流源に供給すべき適応バイアス信号を生成した。変形例の適応バイアス発生回路103aは、注ぎ込み側の電流源に供給すべき適応バイアス信号を生成するオペアンプ(第1のオペアンプ)1101と、引き抜き側の電流源に供給すべき適応バイアス信号を生成するオペアンプ1102とを有する。オペアンプ1101の出力1151は、セレクタ106を介して、出力端子153から出力される。オペアンプ1102の出力1152は、セレクタ107を介して、出力端子154から出力される。
【0058】
図3に示す構成では、オペアンプの入力電圧範囲はGNDからVDDと非常に広いため、オペアンプ305には、構成が複雑なRail-to-Railオペアンプを用意する必要がある。これに対し図11に示す構成では、オペアンプ1101、1102の入力電圧範囲を約半分にできるので、オペアンプ1101、1102に、単純なpMOSトランジスタ或いはnMOSトランジスタ差動入力段のオペアンプを用いることができる。従って、図11に示す構成を採用する場合、オペアンプの設計が容易であるという利点がある。
【0059】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態のチャージポンプの構成は、図1に示す第1実施形態の構成と同様である。本実施形態のチャージポンプは、適応バイアス発生回路104内の回路構成が、第1実施形態と相違する。図12は、本実施形態で用いる適応バイアス発生回路とセレクタ106、107部分の具体的回路構成を示している。図12に示す適応バイアス発生回路103bは、図11に示す構成に、スイッチ1201とスイッチ1202とを追加した構成である。スイッチ1201は、オペアンプ1101の電源スイッチに相当する。スイッチ1202は、オペアンプ1102の電源スイッチに相当する。
【0060】
スイッチ1201、1202の制御端子1251は、判定回路105の出力158に接続される。スイッチ1201、1202は、判定回路105の出力158に応じて、オン/オフが制御される。スイッチ1201、1202は、相補動作を行う。つまり、スイッチ1201がオンのときスイッチ1202はオフで、スイッチ1201がオフのときスイッチ1202はオンになる。スイッチ1201は、セレクタ106がオペアンプ1101の出力1151を選択するとき、オンになる。スイッチ1202は、セレクタ107がオペアンプ1102の出力1152を選択するとき、オンになる。
【0061】
図13(a)は、チャージポンプの出力電圧と電流源の電流との関係を示し、(b)は、オペアンプ1101、1102の電源供給状態を示している。図13(a)に示すグラフは、第1実施形態で説明した図6に示すグラフと同様である。すなわち、チャージポンプは、判定回路105がチャージポンプの出力電圧VCTRLが基準電圧よりも低いと判断する電圧範囲ではモードHで動作し、判定回路105がチャージポンプの出力電圧VCTRLが基準電圧よりも高いと判断する電圧範囲ではモードLで動作する。
【0062】
スイッチ1201は、モードL動作時、つまり、判定回路105の出力158が、チャージポンプ出力電圧VCTRLが基準電圧よりも低いと判断した旨を示す信号であるとき、オフになる。このとき、スイッチ1202はオンする。スイッチ1201がオフすることで、オペアンプ1101への電源供給が遮断される。モードL動作時は、セレクタ106は固定バイアス信号側を選択するので、オペアンプ1101は動作する必要がない。本実施形態では、モードL動作時にオペアンプ1101への電源供給を遮断するので、不要な電力消費を抑えることができる。
【0063】
スイッチ1202は、モードH動作時、つまり、判定回路105の出力158が、チャージポンプ出力電圧VCTRLが基準電圧よりも高いと判断した旨を示す信号であるとき、オフになる。このとき、スイッチ1201はオンする。スイッチ1202がオフすることで、オペアンプ1102への電源供給が遮断される。モードH動作時は、セレクタ107は固定バイアス信号側を選択するので、オペアンプ1102は、動作する必要がない。本実施形態では、モードH動作時にオペアンプ1102への電源供給を遮断するので、不要な電力消費を抑えることができる。動作モードと、オペアンプ1101、1102の電源供給状態との対応は、図13(b)に示すようになる。
【0064】
本実施形態では、モードHでは、スイッチ1202を用いて、引き抜き側の電流源102に供給すべき適応バイアス信号の生成を行うオペアンプ1102の電源供給を停止する。また、モードLでは、スイッチ1201を用いて、注ぎ込み側の電流源101に供給すべき適応バイアス信号の生成を行うオペアンプ1101の電源供給を停止する。モードHでは、電流源102には固定バイアス信号を供給するので、電流源102に供給すべき適応バイアス信号を生成する必要はない。また、モードLでは、電流源101には固定バイアス信号を供給するので、電流源101に供給すべき適応バイアス信号を生成する必要はない。本実施形態では、使用されない側の電流源に供給すべき適応バイアス信号を生成する回路の電源を停止するので、不要な電力消費を抑えることができ、低消費電力化が可能である。その他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0065】
本発明の第3実施形態について説明する。図14は、本発明の第3実施形態のチャージポンプを示している。図14に示す構成は、本実施形態のチャージポンプを含む周波数シンセサイザの一部の構成に相当する。本実施形態のチャージポンプ100aは、図1に示す構成に加えて、セレクタ1401、参照信号発生回路1402、及び、周波数判定回路1404を備える。周波数シンセサイザは、まずオープンループで電圧制御発振器1403の出力信号周波数の粗調整を行い、粗調整後に、クローズドループで電圧制御発振器1403の出力信号の微調整を行う。
【0066】
参照信号発生回路1402は、所定の参照電圧を発生する。セレクタ1401は、入力電圧切替回路に相当する。セレクタ1401は、参照信号発生回路1402が生成する参照電圧1451、又は、チャージポンプの出力端子157から出力される電圧を、出力端子1452から、チャージポンプの後段の電圧制御発振器1403に出力する。周波数判定回路1404は、モードHとモードLの切り替えを行う切り替え手段に相当する。周波数判定回路1404は、電圧制御発振器1403の出力信号1453の周波数と、所定の周波数とを比較し、出力端子1454から比較結果を出力する。周波数判定回路1404は、電圧制御発振器1403の出力信号周波数と基準周波数との大小関係(高低)に応じて、モードHとモードLとの切替えを行う。
【0067】
図15(a)及び(b)は、参照電圧発生回路1402とセレクタ1401部分の具体的な回路例を示している。参照電圧発生回路1402は、ダイオード接続されたMOSトランジスタを2段積みした構成である。参照電圧発生回路1402は、参照電圧として、電源電圧の半分の電圧を生成する。セクレタ1401は、参照電圧発生回路1402と電源との間、及び、参照電圧発生回路1402の出力と電圧制御発振器1403の入力端子との間の接続を制御する。なお、図15では、チャージポンプ100aの電流源部分を、等価回路1501で示している。
【0068】
図15(a)は、クローズドループで周波数シンセサイザを動作させるときの状態を示している。クローズドループで使用する場合、チャージポンプ1501の電流源(図14の電流源101、102)は、所定の電流値に制御されると共に、セレクタ1401が、オフに設定される。セレクタ1401がオフすることで、参照電圧発生回路1402の出力端子は電圧制御発振器1403の入力端子から切り離され、電圧制御発振器1403(図14)への入力電圧は、チャージポンプ1501の電流で決まる。このとき、セレクタ1404が、参照電圧発生回路1402への電源供給も停止することで、参照電圧発生回路で不要に電流が消費されることを防ぐことができる。
【0069】
図15(b)は、オープンループで周波数シンセサイザを動作させるときの状態を示している。オープンループ動作時、チャージポンプ1501の電流は0に設定し、チャージポンプ1501の出力電圧が電圧制御発振器1403に入力されないようにする。また、オープンループ動作時は、セレクタ1401をオンにする。セレクタ1401がオンすることで、参照電圧発生回路1402は参照電圧生成を行い、生成した参照電圧を電圧制御発振器1403に入力する。電圧制御発振器1403は、参照電圧に応じた周期(周波数)の出力信号を出力する。
【0070】
図16は、電圧制御発振器1403の具体的な回路例を示している。この電圧制御発振器1403は、容量を調整することで、発振周波数が制御される。電圧制御発振器1403は、周波数粗調整部1601と周波数微調整部1602とを有する。周波数粗調整部1601の入力端子には、1ビット以上の2進数で表される粗調整コードが入力される。図16では、粗調整コードを2ビットとしている。周波数粗調整部1601は、粗調整コードに応じて、容量を変化させる。周波数微調整部1602の入力端子は、セレクタ1401(図14)の出力に接続される。周波数微調整部1602は、セレクタ1401から入力する電圧に応じて容量を変化させる。
【0071】
図17は、周波数判定回路1404の具体的な回路例を示している。周波数判定回路1404は、カウンタ1701、1702と、コンパレータ1703とを有する。カウンタ1702は、タイミング生成用のカウンタである。カウンタ1702の入力端子1751には、例えば水晶発振器が出力する所定周期の周期信号が入力される。カウンタ1702は、周期信号をカウントする。カウンタ1702は、周期信号のカウント数が所定の値になると、タイミング信号1752を出力する。カウンタ1702がカウントする周期信号は一定周期の信号なので、カウンタ1702は、一定時間ごとに、タイミング信号1752をカウンタ1701に入力する。
【0072】
カウンタ1701の入力端子には、電圧制御発振器1403の出力1453が入力される。カウンタ1701は、電圧制御発振器1403の出力信号をカウントする。カウンタ1701は、タイミング信号1752が入力されるごとに、カウント値をリセットする。カウンタ1701は、タイミング信号1752が入力されてから、次のタイミング信号1752が入力されるまでのカウント値を、コンパレータ1703に出力する。
【0073】
コンパレータ1703は、カウンタ1701から入力するカウント値と、入力端子1753から入力する基準カウント値とを比較する。基準カウント値は、周波数シンセサイザが所望の周波数に制御された状態で電圧制御発振器1403の出力信号をカウンタ1701でカウントしたときのカウント値に対応した値である。コンパレータ1703は、比較結果を、出力端子1454から出力する。
【0074】
図18に、周波数シンセサイザを示す。周波数シンセサイザは、位相比較器1801、チャージポンプ1802、ローパスフィルタ1803、電圧制御発振器1804、及び、分周器1805を有する。位相比較器1801は、基準信号(REF)と分周器1805の出力との位相誤差を検出し、チャージポンプ1802に位相誤差信号を出力する。チャージポンプ1802には、図14のチャージポンプ100aを用いることができる。チャージポンプ1802は、位相誤差信号に基づいて、出力電圧を制御する。
【0075】
電圧制御発振器1804は、図14の電圧制御発振器1403に相当する。電圧制御発振器1804は、ローパスフィルタ1803を介してチャージポンプ出力を入力し、入力電圧に応じた周期の出力信号を出力する。分周器1805は、電圧制御発振器1804の出力信号を所定の分周比で分周し、分周信号を位相比較器にループバックする。なお、図14では、電圧制御発振器1403の出力信号を周波数判定器1404に入力しているが、電圧制御発振器1403の出力信号を分周器1805で分周した信号を周波数判定器1404に入力してもよい。また、電圧制御発振器1804の出力信号の周波数と基準信号の周波数とが等しい場合などは、分周器1805を省いてもよい。
【0076】
図19は、周波数シンセサイザを動作させる際の動作手順を示している。はじめ、セレクタ1401は参照信号発生回路1402側を選択する。チャージポンプを構成する電流源101及び102の電流値は0にしておく。参照信号発生回路1402は、参照電圧を電圧制御発振器1403に出力する(ステップB1)。参照電圧は、例えば、電源電圧の1/2とする。電圧制御発振器1403は、参照電圧に応じた周期で発振する。
【0077】
図示しない周波数粗調整手段は、電圧制御発振器1403の周波数粗調整部1601に、粗調整コードを入力する(ステップB2)。粗調整コードが入力されることで、電圧制御発振器1403の出力信号周波数が変化する。周波数判定回路1404は、電圧制御発振器1403の出力信号をカウントし、出力信号周波数(fVCO)と基準周波数(f)とを比較する(ステップB3)。周波数粗調整手段は、出力信号周波数と基準周波数との差が最小になったか否かを判断する(ステップB4)。周波数差が最小になっていないときは、粗調整コードを変更し(ステップB5)、ステップB3に戻る。ステップB3〜B5を実行することで、電圧制御発振器1403に参照電圧が入力されるときの出力信号周波数が、基準周波数に近づくように粗調整される。
【0078】
粗調整後、周波数判定回路1404は、電圧制御発振器1403の出力信号周波数と基準周波数とを比較し、出力信号周波数fVCOが基準周波数fよりも大きいか否かを判断する(ステップB6)。周波数判定回路1404は、出力信号周波数fVCOが基準周波数fよりも高いときは、電流調整回路108をモードLに設定する(ステップB7)。周波数判定回路1404は、出力信号周波数fVCOが基準周波数fよりも低いときは、電流調整回路108にモードHを設定する(ステップB8)。
【0079】
モード設定後、セレクタ1401は、チャージポンプの出力電圧を電圧制御発振器1403に入力し、周波数シンセサイザは、クローズドループで周波数同期動作を行う(ステップB9)。電圧制御発振器1403の周波数微調整部1602の入力端子し、チャージポンプ出力電圧VCTRLが供給されることで、電圧制御発振器1403の出力信号周波数fVCOは、所望の周波数fになるように制御される。
【0080】
図20は、電圧制御発振器1403の入力電圧と出力信号周波数fVCOとの関係を示している。出力信号周波数fVCOは、入力電圧に対して単調に増加するものとする。電圧制御発振器1403の出力信号周波数fVCO、ステップB1〜B5までの周波数粗調整で、入力電圧が参照電圧(例えばVDD/2)のときに、所望の周波数fに近い周波数となるように調整される。
【0081】
出力信号周波数fVCOが所望の周波数fよりも高い場合、出力信号周波数fVCOが所望の周波数fに等しくなるときのチャージポンプ100a(図14)の出力電圧は、参照電圧よりも低い電圧となる。これは、第1実施形態で、電圧収束時のチャージポンプ出力電圧VCTRLが基準電圧よりも低い場合に相当する。このような場合は、チャージポンプをモードLで動作させることで、チャージポンプ出力電圧VCTRLの変化に対する電流源101、102の電流変動を抑制した状態で、チャージポンプを動作させることができる。
【0082】
また、出力信号周波数fVCOが所望の周波数fよりも低い場合、出力信号周波数fVCOが所望の周波数fに等しくなるときのチャージポンプ100aの出力電圧は、参照電圧よりも高い電圧となる。これは、第1実施形態で、電圧収束時のチャージポンプ出力電圧VCTRLが基準電圧よりも高い場合に相当する。このような場合は、チャージポンプをモードHで動作させることで、チャージポンプ出力電圧VCTRLの変化に対する電流源101、102の電流変動を抑制した状態で、チャージポンプを動作させることができる。
【0083】
なお、電圧制御発振器1403の出力信号周波数fVCOの入力電圧特性が図20とは逆の特性、つまり、出力信号周波数fVCOが入力電圧の増加に対して単調に減少していく特性の場合は、上記とは逆の動作となる。すなわち、出力信号周波数fVCOが基準周波数fがよりも高いときはモードHに設定し、低いときはモードLに設定すればよい。そのようにすることで、チャージポンプ出力電圧VCTRLのへ変化に対する電流源101、102の変動を抑制した状態で、チャージポンプを動作させることができる。
【0084】
本実施形態では、参照電圧を電圧制御発振器1403に入力した状態で出力信号周波数の粗調整を行い、出力信号周波数を、所望の周波数(基準周波数)に近付ける。周波数判定回路1404は、出力信号周波数の粗調整後、参照電圧入力時の電圧制御発振器1403の出力信号周波数が、基準周波数よりも高いか低いかに応じて、動作モードを、モードH又はモードLに設定する。
【0085】
電圧制御発振器1403の出力信号周波数の電圧特性が入力電圧の増加に対して単調増加すると仮定すれば、出力信号周波数が基準周波数よりも高いとき、所望の出力信号周波数が得られるときのチャージポンプ出力電圧は、参照電圧よりも低くなる。逆に、出力信号周波数が基準周波数よりも低いとき、所望の出力信号周波数が得られるときのチャージポンプ出力電圧は、参照電圧よりも高くなる。従って、周波数の大小関係に応じてモードHとモードLとを切り替えて使用することで、第1実施形態と同様に、広い電圧範囲で、電流量の変動が少ないチャージポンプを提供できる。また、チャージポンプを電流変動が少ない状態で使用することで、周波数シンセサイザにて、ループ特性を安定させることができ、位相雑音或いはジッタ特性の劣化を抑制できる。
【0086】
本実施形態では、周波数判定回路1404を用いて、所望の出力信号周波数が得られるときのチャージポンプ出力電圧が、参照電圧(基準電圧)よりも高くなるか、低くなるかを判断している。周波数判定回路1404は、電圧制御発振器1403の出力信号周波数の粗調整で用いられる。本実施形態では、その周波数判定回路1404を用いてモードHとモードLとの切替えを行う。つまり、周波数判定回路1404を、出力信号周波数の粗調整とモード切り替えとで共用する。本実施形態では、別途、チャージポンプ出力電圧と基準電圧とを比較する判定回路105(図1)を設ける必要がないという利点がある。
【0087】
本発明の第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態のチャージポンプの構成は、図14に示す第3実施形態の構成と同様である。本実施形態では、第2実施形態と同様に、適応バイアス回路が、電源スイッチ1201、1202(図12)を有する。その他の点は、第3実施形態と同様である。適応バイアス発生回路は、図19のステップB7でモードLに設定すると、スイッチ1201をオフにし、オペアンプ1101への電源供給を停止する。また、適応バイアス発生回路は、図19のステップB8でモードHに設定すると、スイッチ1202をオフにし、オペアンプ1102への電源供給を停止する。このように制御することで、不要な電力消費を抑えることができる。
【0088】
なお、電流源101、102が、並列に接続された複数の電流経路を持ち、複数の電流経路のうちの何れを用いるかを、バイナリコードで決定する構成としてもよい。図21は、複数の電流経路を持つ電流源を示している。ベースとなる構成は、図10に示す構成である。図21では、×1、×2、×4の3つの電流経路を設けている。トランジスタ201a〜201cは、図10のトランジスタ201に対応する。トランジスタ202a〜202cは、トランジスタ202に対応する。トランジスタ203a及び203bは、スイッチ203に対応する。トランジスタ204a及び204bは、スイッチ204に対応する。図21では、スイッチがオンしたときのチャージシェアを防止するために、相補動作する疑似スイッチと、ユニティゲインバッファ2107とを用いている。
【0089】
トランジスタ201a〜201cは、サイズが異なる。トランジスタ201bは、同じゲート電圧で、トランジスタ201aの2倍の電流が流れるサイズである。トランジスタ201cは、同じゲート電圧で、トランジスタ201aの4倍の電流が流れるサイズである。トランジスタ202a〜202cは、サイズが異なる。トランジスタ202bは、同じゲート電圧で、トランジスタ202aの2倍の電流が流れるサイズである。トランジスタ202cは、同じゲート電圧で、トランジスタ202aの4倍の電流が流れるサイズである。
【0090】
スイッチ2101〜2103は、トランジスタ201a〜201cの使用/不使用を制御するスイッチである。スイッチ2104〜スイッチ2106は、トランジスタ202a〜202cの使用/不使用を制御するスイッチである。スイッチ2101〜2103及びスイッチ2104〜2106は、3ビットのバイナリコードで制御される。バイナリコードは、“1”が使用に対応し、“0”が不使用に対応する。例えば、バイナリコードが“011”であれば、スイッチ2103及び2106がオフになり、その他のスイッチはオンになる。この場合、電流源の電流は、×3となる。バイナリコードを“000”〜“111”まで変化させることで、電流源の電流を、×0〜×7までの8通りに制御できる。×0は、チャージポンプ停止状態を意味する。
【0091】
図22は、図21に示す電流源に使用する適応バイアス発生回路及びスイッチ部分を示している。ベースとなる構成は、図12に示す適応バイアス発生回路103bである。トランジスタ301a〜301cは、図21のトランジスタ201a〜201cを模擬した部分であり、トランジスタ302a〜302cは、トランジスタ202a〜202cを模擬した部分である。また、スイッチ2201〜2203は、図21のスイッチ2101〜2103を模擬した部分であり、スイッチ2204〜2206は、スイッチ2104〜2106を模擬した部分である。
【0092】
スイッチ2201〜2206は、適応バイアス発生回路と同じバイナリコードで制御される。従って、適応バイアス発生回路内の模擬電流源を流れる電流は、電流源と同様に、×0〜×7までの8通りに制御される。その他の動作は、図12に示す適応バイアス発生回路103bと同様である。すなわち、適応バイアス発生回路は、オペアンプ1101からスイッチ2201〜2203を介してトランジスタ301a〜301cのゲートに供給する電圧を、電流源101に供給すべき適応バイアス信号として生成する。また、適応バイアス発生回路は、オペアンプ1102からスイッチ2204〜2206を介してトランジスタ302a〜302cのゲートに供給する電圧を、電流源102に供給すべき適応バイアス信号として生成する。
【0093】
図14では、周波数判定回路1404を用いて粗調整を行ったが、粗調整を行わずに、チャージポンプ出力電圧と基準電圧との大小関係を、電圧制御発振器1403の出力信号周波数で判断し、モードHとモードLとの切替えを行ってもよい。例えば、コンパレータ1703(図17)で比較する基準カウント値を、電圧制御発振器に基準電圧(VDD/2)が入力されているときの出力信号周波数(基準周波数)に対応したカウント値に設定しておく。周波数同期動作を開始した後に、周波数判定回路1404で、基準カウント値と、電圧制御発振器の出力信号周波数のカウント値とを比較する。出力信号周波数が基準カウント値よりも高ければ、チャージポンプの出力電圧が基準電圧よりも高いと判断できる(電圧制御発振器の出力周波数特性が単調増加の場合)。
【0094】
図18では、チャージポンプ1802は、図14に示すチャージポンプ100aであるとして説明したが、チャージポンプ1802は、第3実施形態のチャージポンプ100aには限定されない。チャージポンプ1802は、第1実施形態のチャージポンプ(図1)でも、第2実施形態のチャージポンプでも、第4実施形態のチャージポンプでもよい。
【0095】
上記各実施形態では、基準電圧及び参照電圧を電源電圧の半分としたが、これには限定されない。基準電圧は、固定バイアス信号を供給する電流源が飽和領域で動作する電圧範囲内の任意の電圧とすることができる。また、基準電圧にヒステリシスを持たせてもよい。つまり、モードHとモードLとの切替えを同一の基準電圧を境に行うのではなく、モードHからモードLへの切替えの際の基準電圧と、モードLからモードHへの切替えの際の基準電圧とを、異なる電圧にしてもよい。例えば、モードHで動作しているとき、チャージポンプ出力電圧がVDD/2よりもΔV(ΔV>0)低い電圧になったときに、モードHからモードLへの切替えを行う。また、モードLで動作しているときは、チャージポンプ出力電圧がVDD/2よりもΔV高い電圧になったときに、モードLからモードHへの切替えを行う。ヒステリシスを持たせない場合、チャージポンプ出力電圧がVDD/2の近傍で変化すると、モード切替えが頻発することも考えられる。基準電圧にヒステリシスを持たせることで、ハンチング防止の効果がある。
【0096】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のチャージポンプ、周波数シンセサイザ、及び、それらの制御方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【0097】
最後に、本発明の最小構成について説明する。本発明のチャージポンプは、最小構成として、出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、出力端子から電流を引き抜く第2の電流源と、第1及び第2の電流源の電流を制御する電流調整回路であって、第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ第1の電流源を第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ第2の電流源を第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとを切り替え可能な電流調整回路と、出力端子の電圧に応じて、第1のモードと第2のモードとを切り替える切替回路とを備える。
【0098】
本発明の周波数シンセサイザは、最小構成として、本発明のチャージポンプと、チャージポンプの出力端子の電圧に応じた周期で発振する電圧制御発振器と、電圧制御発振器の出力信号と基準信号との位相差を検出し、検出した位相差に応じた位相差信号をチャージポンプに出力する位相比較器とを有する。
【0099】
本発明のチャージポンプの制御方法の最小構成は、出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有するチャージポンプにて、第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ第1の電流源を第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ第2の電流源を第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとを、出力端子の電圧に応じて切り替えるという構成である。
【0100】
本発明のチャージポンプ、周波数シンセサイザ、及び、チャージポンプの制御方法では、チャージポンプの出力電圧に応じて、チャージポンプの動作モードを、第1モード又は第2のモードに切り替える。チャージポンプの動作モードを、所定電流が流れるように制御する側の電流源が飽和領域で動作するように切り替えることで、その電流源を流れる電流の、出力端子の電圧の変化に対する変動を抑えることができる。電流源の他方は、所定電流が流れるように制御する電流源の電流とバランスするように制御されるので、他方の電流源についても、その電流源の電流の、出力電圧の変化に対する変動を抑えることができる。つまり、本発明では、チャージポンプの出力電圧の変化に対して、第1及び第2の電流源の電流値の変化を抑制することができる。
【0101】
本発明の第1の周波数シンセサイザの制御方法の最小構成は、出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有し、第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ第1の電流源を第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ第2の電流源を第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとの何れかで動作するチャージポンプの動作モードを、出力端子の電圧に応じて切り替え、周波数同期動作を行うという構成である。
【0102】
本発明の第1の周波数シンセサイザの制御方法では、チャージポンプの出力電圧に応じて、チャージポンプの動作モードを、第1モード又は第2のモードに切り替え、周波数同期動作を行う。チャージポンプの動作モードを、所定電流が流れるように制御する側の電流源が飽和領域で動作するように切り替えることで、その電流源を流れる電流の、出力端子の電圧の変化に対する変動を抑えることができる。電流源の他方は、所定電流が流れるように制御する電流源の電流とバランスするように制御されるので、他方の電流源についても、その電流源の電流の、出力電圧の変化に対する変動を抑えることができる。つまり、本発明では、チャージポンプの出力電圧の変化に対して、第1及び第2の電流源の電流値の変化を抑制することができる。その結果として、周波数シンセサイザのループ特性を安定させることができ、位相雑音或いはジッタ特性の劣化を抑制できる。
【0103】
本発明の第2の周波数シンセサイザの制御方法の最小構成は、入力電圧に応じた周期で発振する電圧制御発振器に所定の参照電圧を入力した状態で、前記電圧制御発振器の出力信号の周波数が所望の周波数に近づくように前記電圧制御発振器の粗調整を行い、前記粗調整後、前記電圧制御発振器の出力信号の周波数と所定の基準周波数とを比較し、出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有し、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとの何れかで動作するチャージポンプの動作モードを前記比較結果に基づいて決定し、前記電圧制御発振器に前記チャージポンプの出力端子の電圧に応じた電圧を入力して周波数同期動作を行うという構成である。
【0104】
本発明の第2の周波数シンセサイザの制御方法では、クローズループで周波数シンセサイザを動作させる前に、所定の参照電圧を電圧制御発振器に入力し、出力信号周波数の粗調整を行っておく。次いで、粗調整で調整した周波数と所望の周波数とを比較する。周波数を比較することで、粗調整後にクローズドループで周波数同期動作を行ったときに、チャージポンプの出力電圧が、参照電圧よりも高い電圧となるか、低い電圧となるかがわかる。それに応じて、チャージポンプの動作モードを決定し、所定の電流となるように制御する側の電流源が飽和領域で動作するようにすることで、チャージポンプの出力電圧の変化に対して、第1及び第2の電流源の電流値の変化を抑制することができる。また、その結果として、周波数シンセサイザのループ特性を安定させることができ、位相雑音或いはジッタ特性の劣化を抑制できる。
【符号の説明】
【0105】
100:チャージポンプ
101、102:電流源
103:適応バイアス発生回路
104:固定バイアス発生回路
105:判定回路
106、107:セクレタ
108:電流調整回路
201、202:トランジスタ
203、204:スイッチ
301、302:トランジスタ
303、304:スイッチ
305:オペアンプ
401、402、405:トランジスタ
403、404:スイッチ
406:抵抗
1101、1102:オペアンプ
1201、1202:スイッチ
1401:セレクタ
1402:参照信号発生回路
1403:電圧制御発振器
1404:周波数判定回路
1601:周波数粗調整部
1602:周波数微調整部
1701、1702:カウンタ
1703:コンパレータ
1801:位相比較器
1802:チャージポンプ
1803:ローパスフィルタ
1804:電圧制御発振器
1805:分周器
2101〜2106:スイッチ
2107:ユニティゲインバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、
前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源と、
前記第1及び第2の電流源の電流を制御する電流調整回路であって、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとを切り替え可能な電流調整回路と、
前記出力端子の電圧に応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える切替回路とを備えるチャージポンプ。
【請求項2】
前記切替回路は、前記所定の電流が流れるように制御する電流源が飽和領域で動作するように、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える、請求項1に記載のチャージポンプ。
【請求項3】
前記第1の電流源がp型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを含み、前記第2の電流源がn型のMOSトランジスタを含む、請求項1又は2に記載のチャージポンプ。
【請求項4】
前記電流調整回路は、
前記電流源を所定電流が流れるように制御する固定バイアス信号を生成する固定バイアス信号発生回路と、
前記所定電流が流れるように制御する電流源を流れる電流とバランスするように前記電流源を制御する適応バイアス信号を生成する適応バイアス信号発生回路と、
前記固定バイアス信号と前記適応バイアス信号とを入力し、何れか一方を選択して前記第1の電流源に供給する第1のセレクタと、
前記第1のセレクタと相補動作を行い、前記固定バイアス信号と前記適応バイアス信号とを入力し何れか一方を選択して前記第2の電流源に供給する第2のセレクタとを含む、請求項1乃至3の何れか一に記載のチャージポンプ。
【請求項5】
前記適応バイアス信号発生回路は、前記第1の電流源及び前記第2の電流源を模擬した第1及び第2の模擬電流源と、前記第1及び前記第2の模擬電流源の出力端子に相当する模擬出力端子の電圧と、前記出力端子の電圧とを入力し適応バイアス信号を生成するオペアンプとを含む、請求項4に記載のチャージポンプ。
【請求項6】
前記適応バイアス信号発生回路は、前記第1のモードでは、前記第2の模擬電流源に前記固定バイアス信号を供給した状態で前記オペアンプの出力を前記第1の模擬電流源に供給すると共に、前記オペアンプの出力を前記第1の電流源に供給すべき適応バイアス信号として出力し、前記第2のモードでは、前記第1の模擬電流源に前記固定バイアス信号を供給した状態で前記オペアンプの出力を前記第2の模擬電流源に供給すると共に、前記オペアンプの出力を前記第2の電流源に供給すべき適応バイアス信号として出力する、請求項5に記載のチャージポンプ。
【請求項7】
前記オペアンプが、前記第1の電流源に供給すべき適応バイアス信号を出力する第1のオペアンプと、前記第2の電流源に供給すべき適応バイアス信号を出力する第2のオペアンプとを含む、請求項5又は6に記載のチャージポンプ。
【請求項8】
前記適応バイアス信号発生回路は、前記第2のモード時に、前記第1のオペアンプへの電源供給を停止する第1の電源スイッチと、前記第1のモード時に、前記第2のオペアンプへの電源供給を停止する第2の電源スイッチとを更に有する、請求項7に記載のチャージポンプ。
【請求項9】
前記オペアンプが、レールトゥーレールアンプで構成される、請求項5又は6に記載のチャージポンプ。
【請求項10】
前記切替回路は、前記出力端子の電圧と所定の基準電圧とを比較する電圧判定回路を含み、前記出力端子の電圧と前記基準電圧との大小関係に応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとの切替えを行う、請求項1乃至9の何れか一に記載のチャージポンプ。
【請求項11】
前記切替回路は、前記出力端子の電圧が前記基準電圧よりも高いときは前記電流調整回路を前記第1のモードで動作させ、前記出力端子の電圧が前記基準電圧よりも低いとき前記電流調整回路を前記第2のモードで動作させる、請求項10に記載のチャージポンプ。
【請求項12】
前記切替回路は、前記出力端子の電圧に応じた周期で発振する電圧制御発振器の出力信号周波数と、所定の基準周波数とを比較する周波数判定回路を含み、前記出力信号周波数と前記基準周波数との大小関係に応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとの切替えを行う、請求項1乃至9の何れか一に記載のチャージポンプ。
【請求項13】
前記切替回路は、前記電圧制御発振器の出力信号周波数が前記基準周波数よりも高いときは前記電流調整回路を前記第1のモードで動作させ、前記電圧制御発振器の出力信号周波数が前記基準周波数よりも低いときは前記電流調整回路を前記第2のモードで動作させる、請求項12に記載のチャージポンプ。
【請求項14】
請求項1乃至9の何れか一に記載のチャージポンプと、
前記チャージポンプの出力端子の電圧に応じた周期で発振する電圧制御発振器と、
前記電圧制御発振器の出力信号と基準信号との位相差を検出し、該検出した位相差に応じた位相差信号を前記チャージポンプに出力する位相比較器とを有する周波数シンセサイザ。
【請求項15】
前記切替回路は、前記出力端子の電圧と所定の基準電圧とを比較する電圧判定回路を含み、前記出力端子の電圧と前記基準電圧との大小関係に応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとの切替えを行う、請求項14に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項16】
前記切替回路は、前記電圧制御発振器の出力信号周波数と、所定の基準周波数とを比較する周波数判定回路を含み、前記電圧制御発振器の出力信号周波数と前記基準周波数との大小関係に応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとの切替えを行う、請求項14に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項17】
前記チャージポンプと前記電圧制御発振器との間に、前記電圧制御発振器に入力する電圧を、前記出力端子の電圧と所定の参照電圧との間で切り替える入力電圧切替回路を更に有し、
前記入力電圧切替回路が前記参照電圧を前記電圧制御発振器に入力している状態で、前記電圧制御発振器の出力信号周波数が前記基準周波数に近づくように前記電圧制御発振器を粗調整し、粗調整後、前記入力電圧切替回路は、前記出力端子の電圧を前記電圧制御発振器に入力し、前記切替回路は、前記電圧制御発振器の出力信号周波数と前記基準周波数とを比較し、前記第1のモードと前記第2のモードとの切替えを行う、請求項16に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項18】
出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有するチャージポンプにて、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとを、前記出力端子の電圧に応じて切り替えるチャージポンプの制御方法。
【請求項19】
前記第1のモードと前記第2のモードとを、前記所定の電流が流れるように制御する電流源が飽和領域で動作するように切り替える、請求項18に記載のチャージポンプの制御方法。
【請求項20】
前記電流源を所定電流が流れるように制御する固定バイアス信号を生成し、前記所定電流が流れるように制御する電流源を流れる電流とバランスするように前記電流源を制御する適応バイアス信号を生成し、前記第1の電流源に、前記出力端子の電圧に応じて、前記固定バイアス信号及び前記適応バイアス信号の何れか一方を供給し、前記第2の電流源に、前記固定バイアス信号及び前記適応バイアス信号の他方を供給する、請求項18又は19に記載のチャージポンプの制御方法。
【請求項21】
前記第1の電流源及び前記第2の電流源を模擬した第1及び第2の模擬電流源の何れか一方に前記固定バイアス信号を供給した状態で、前記第1及び前記第2の模擬電流源の出力端子に相当する模擬出力端子の電圧が前記出力端子の電圧と等しくなるように前記第1及び第2の模擬電流源の他方を制御するときに該他方の模擬電流源に供給する信号を、適応バイアス信号として生成する、請求項20に記載のチャージポンプの制御方法。
【請求項22】
前記第1のモードでは、前記第2の模擬電流源に前記固定バイアス信号を供給した状態で、前記模擬出力端子の電圧が前記出力端子の電圧と等しくなるように前記第1の模擬電流源を制御するときに前記第1の模擬電流源に供給する信号を前記第1の電流源に供給すべき適応バイアス信号として生成する、請求項21に記載のチャージポンプの制御方法。
【請求項23】
前記第2のモードでは、前記第1の模擬電流源に前記固定バイアス信号を供給した状態で、前記模擬出力端子の電圧が前記出力端子の電圧と等しくなるように前記第2の模擬電流源を制御するときに前記第2の模擬電流源に供給する信号を前記第2の電流源に供給すべき適応バイアス信号として生成する、請求項21に記載のチャージポンプの制御方法。
【請求項24】
前記第1のモードでは、前記第2の電流源に供給すべき適応バイアス信号を生成する回路の電源供給を遮断し、前記第2のモードでは、前記第1の電流源に供給すべき適応バイアス信号を生成する回路の電源供給を遮断する、請求項21乃至23の何れか位置に記載のチャージポンプの制御方法。
【請求項25】
前記出力端子の電圧と所定の基準電圧とを比較し、前記出力端子の電圧と前記基準電圧との大小関係に応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える、請求項18乃至24の何れか一に記載のチャージポンプの制御方法。
【請求項26】
前記出力端子の電圧に応じた周期で発振する電圧制御発振器の出力信号周波数と、所定の基準周波数とを比較し、前記出力信号周波数と前記基準周波数との大小関係に応じて、前記第1のモードと前記第2のモードとを切り替える、請求項18乃至24の何れか一に記載のチャージポンプの制御方法。
【請求項27】
出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有し、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとの何れかで動作するチャージポンプの動作モードを、前記出力端子の電圧に応じて切り替え、周波数同期動作を行う周波数シンセサイザの制御方法。
【請求項28】
前記チャージポンプを前記第1モードと前記第2のモードの何れか一方で動作させて周波数同期動作を開始し、前記出力端子の電圧を所定の基準電圧と比較し、前記出力端子の電圧と前記基準電圧との大小関係に応じて、前記動作モードを、前記第1のモードと前記第2のモードとの他方に切り替え、周波数同期動作を継続する、請求項27に記載の周波数シンセサイザの制御方法。
【請求項29】
入力電圧に応じた周期で発振する電圧制御発振器に所定の参照電圧を入力した状態で、前記電圧制御発振器の出力信号の周波数が所望の周波数に近づくように前記電圧制御発振器の粗調整を行い、
前記粗調整後、前記電圧制御発振器の出力信号の周波数と所定の基準周波数とを比較し、
出力端子に向けて電流を流す第1の電流源と、前記出力端子から電流を引き抜く第2の電流源とを有し、前記第2の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第1の電流源を前記第2の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第1のモードと、前記第1の電流源を所定の電流が流れるように制御しつつ前記第2の電流源を前記第1の電流源を流れる電流とバランスするように制御する第2のモードとの何れかで動作するチャージポンプの動作モードを前記比較結果に基づいて決定し、
前記電圧制御発振器に前記チャージポンプの出力端子の電圧に応じた電圧を入力して周波数同期動作を行う周波数シンセサイザの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−239554(P2010−239554A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87499(P2009−87499)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】