説明

チュービング装置

【課題】チャックフレームの昇降位置に拘わらず、チャックフレームに取り付けられたデッキ上に安全に昇降できる梯子を備えたチュービング装置を提供する。
【解決手段】地上に据え付けられるベースフレーム12と、ベースフレーム12に昇降シリンダを介して昇降可能に取り付けられたチャックフレーム14とを備えたチュービング装置11のチャックフレーム14に取り付けられる梯子16を備えている、この梯子16は、チャックフレーム14が最も上昇した際の地上からチャックフレーム14までの高さ寸法と略同一の長さ寸法を備えた一対の脚部16a,16aと、脚部間に配置される複数の足載せ部材16bとを備え、チャックフレーム14の一側部には、脚部16a,16aを包持すると共に、脚部16a,16aに沿ってスライド可能に設けられる一対の脚部保持部材17,17を突設している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チュービング装置に関し、詳しくは、ベースフレームに対して昇降可能に設けられたチャックフレームに梯子を取り付ける構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チュービング装置では、地上に据え付けられるベースフレームに昇降シリンダを介して、チャックフレームとドライブフレームとが昇降可能に取り付けられている。このようなチュービング装置では、作業者がチャックフレームに取り付けられているデッキ上で作業する際には、梯子を用いて前記デッキに昇降していた。この梯子として、チャックフレームの昇降位置に対応して、伸縮可能に形成された梯子が用いられることがあった(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−283468号公報
【特許文献2】特開2007−224573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1及び特許文献2のものでは、チャックフレームの高さに応じて、梯子の長さを調整しなければならず、また、最大近くまで伸ばすと不安定になることがあった。
【0005】
そこで本発明は、チャックフレームの昇降位置に拘わらず、チャックフレームに取り付けられたデッキ上に安全に昇降できる梯子を備えたチュービング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のチュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームに昇降シリンダを介して昇降可能に取り付けられたチャックフレームとを備えたチュービング装置において、前記チャックフレームに着脱可能に取り付けられる梯子を備え、前記梯子は、前記チャックフレームが最も上昇した際の地上から前記チャックフレームまでの高さ寸法以上の長さ寸法を有する一対の脚部と、該脚部間に配置される複数の足載せ部材とを備え、前記チャックフレームの一側部には、前記脚部を、該脚部に沿ってスライド可能な状態で包持する一対の脚部保持部材を突設したことを特徴としている。また、前記一対の脚部は、上端部を逆U字状に折り返して前記チャックフレームの昇降方向に対して平行な方向に配置される折返し部が一体に形成され、該折返し部を前記脚部保持部材に包持させると共に、前記折返し部は、前記チャックフレームが最も下降した際に、前記脚部保持部材が前記折返し部の下端側を包持可能な長さ寸法を備えていると好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のチュービング装置によれば、チャックフレームの一側部に、梯子の脚部を包持すると共に、脚部に沿ってスライド可能に設けられる一対の脚部保持部材を設けたので、チャックフレームの昇降に応じて、脚部保持部材が梯子の脚部を上下方向にスライドし、チャックフレームの昇降位置に関係なく梯子を確実に保持できる。さらに、脚部は、チャックフレームが最も上昇した際の地上からチャックフレームまでの高さ寸法と略同一の長さ寸法を備えていることから、チャックフレームの昇降に拘わらず、梯子を良好な状態で保持することができ、梯子の高さ調整を行う必要もない。
【0008】
また、一対の脚部の上端部に、逆U字状の折返し部を形成し、該折返し部を前記脚部保持部材に包持させることにより、脚部保持部材に折返し部を簡単に連結させることができる。さらに、折返し部は、チャックフレームが最も下降した際に、脚部保持部材が包持可能な長さ寸法を備えていることから、チャックフレームが最も下降した際でも、梯子を良好な状態でチャックフレームに保持しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1形態例を示す梯子を取り付けた状態のチュービング装置の正面図である。
【図2】同じくチャックフレーム上昇時における梯子を取り付けた状態のチュービング装置の正面図である。
【図3】同じく梯子の斜視図である。
【図4】本発明の第2形態例を示す梯子を取り付けた状態のチュービング装置の正面図である。
【図5】同じくチャックフレーム上昇時における梯子を取り付けた状態のチュービング装置の正面図である。
【図6】同じく梯子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図3は本発明の第1形態例を示すもので、チュービング装置11は、地上に据え付けられるベースフレーム12に立設した4本の昇降シリンダ13に、チャックフレーム14とドライブフレーム15とが昇降可能に取り付けられている。各フレーム12,14,15の中央部には、ケーシング挿通孔がそれぞれ設けられ、該ケーシング挿通孔に挿通したケーシングチューブをチャック手段にて把持し、回転駆動手段によりケーシングチューブを揺動させたり、回転させたりしながらケーシングチューブを地中に押し込んだり、地中から引き抜いたりする。最も上方に配置されるチャックフレーム14には、作業者がチャックフレーム14に取り付けられたデッキ上に昇って作業を行うために使用する梯子16が取り付けられている。
【0011】
梯子16は、パイプ材で形成された一対の脚部16a,16aと、該脚部16a,16aを繋ぐ複数の足載せ部材16bとを備えたもので、脚部16aは、上端部に設けられる逆U字状の折返し部16c,16cと、該折返し部16c,16cの先端を繋ぐ連結部16dとを備えると共に、下端部に、円形の接地板16e,16eが設けられている。
【0012】
チャックフレーム14の一側部には、板部材を折返し部16cの外面に対応した形状に湾曲させて、折返し部16cの外側を包持可能に形成した一対の脚部保持部材17,17が湾曲部内面を対向して設けられている。この脚部保持部材17は、チャックフレーム14の昇降に伴って、折返し部16cを包持して保持した状態で上下方向にスライド可能に設けられている。また、各脚部16aの長さ寸法は、チャックフレーム14を最も上昇させた際の地上からチャックフレーム14までの高さ寸法と略同一に形成されると共に、折返し部16c,16cは、チャックフレーム14が最も下降した際に、脚部保持部材17,17が折返し部16c,16cを包持可能な長さ寸法に形成されている。
【0013】
この梯子16は、チュービング装置11を建設現場に設置し、チャックフレーム14が最も下降している状態で、脚部保持部材17,17の上部から、連結部16d及び折返し部16c,16cを脚部保持部材17,17に挿入することにより、梯子16が脚部保持部材17を介してチャックフレーム14に取り付けられる。このとき、図1に示されるように、折返し部16c,16cは下端側が脚部保持部材17,17に包持され、頂部がチャックフレーム14よりも上方に突出した状態となっている。また、チャックフレーム14の上昇時には、脚部保持部材17,17が折返し部16c,16cを上方にスライドし、図2に示されるように、折返し部16c,16cの中間部乃至上部を保持する状態となる。
【0014】
本形態例は、上述のように形成されることにより、チュービング装置11を建設現場に設置する際に、チャックフレーム14に設けた脚部保持部材17に梯子16を保持させるだけで、梯子16の高さ調整を行うことなく、チャックフレーム14の昇降に拘わらず梯子16を使用可能な状態とすることができ、作業者は、チャックフレーム14がどの高さにあっても、良好な状態でチャックフレーム14に取り付けられたデッキ上に昇降することができる。また、各脚部16aが連続した1本の部材で形成されているので、十分な強度を得ることができ、伸縮するものに比べてがたつくことがほとんどなく、安全に昇降することができる。
【0015】
さらに、折返し部16c,16cは、チャックフレーム14の昇降方向に対して平行な方向に配置されるが、足載せ部材16bを設けた脚部16aは、チャックフレーム14の昇降方向に対して平行である必要はなく、傾斜させた状態とすることもできる。また、脚部16aの上端部から逆U字状に折り返した折返し部16cを脚部保持部材17で包持するように形成しているので、脚部16aに手摺や落下防止部材を設けることもできる。
【0016】
図5及び図6は本発明の第2形態例を示すもので、第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。本形態例の梯子16は、前述の折返し部と連結部とを備えていない直線状の脚部16a,16aと、足載せ部材16bとで形成されるもので、脚部16a,16aを脚部保持部材17,17に包持させるようにしている。脚部16aの長さは、チャックフレーム14が最も上昇したときでも、脚部保持部材17から脚部16aが外れない長さに形成されている。
【0017】
尚、本発明の梯子は、上述の形態例のようにパイプ材で形成されるものに限らず、丸棒や角材で形成することもできる。また、脚部保持部材は、脚部や折返し部をスライド可能に包持できればよく、Z形鋼や溝形鋼をチャックフレームの外面に溶接して脚部を包持するように形成することもできる。
【符号の説明】
【0018】
11…チュービング装置、12…ベースフレーム、13…昇降シリンダ、14…チャックフレーム、15…ドライブフレーム、16…梯子、16a…脚部、16b…足載せ部材、16c…折返し部、16d…連結部、16e…接地板、17…脚部保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームに昇降シリンダを介して昇降可能に取り付けられたチャックフレームとを備えたチュービング装置において、前記チャックフレームに取り付けられる梯子を備え、前記梯子は、前記チャックフレームが最も上昇した際の地上から前記チャックフレームまでの高さ寸法以上の長さ寸法を有する一対の脚部と、該脚部間に配置される複数の足載せ部材とを備え、前記チャックフレームの一側部には、前記脚部を、該脚部に沿ってスライド可能な状態で包持する一対の脚部保持部材を突設したことを特徴とするチュービング装置。
【請求項2】
前記一対の脚部は、上端部を逆U字状に折り返して前記チャックフレームの昇降方向に対して平行な方向に配置される折返し部が一体に形成され、該折返し部を前記脚部保持部材に包持させると共に、前記折返し部は、前記チャックフレームが最も下降した際に、前記脚部保持部材が前記折返し部の下端側を包持可能な長さ寸法を備えていることを特徴とする請求項1記載のチュービング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−67508(P2012−67508A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213159(P2010−213159)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】