チューブタグ
【課題】しわやよじれが発生しても、読み取りが可能な色彩配列コードのタグを提供する。
【解決手段】孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に整列挿入された複数個の色彩物と、を含み、前記各色彩物には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、前記複数個の色彩物の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグを構成する。チューブは、通過する光を複雑に屈折・反射させ、色彩を拡散させる作用をもつ。この拡散作用は、色彩配列コードにはほとんど影響しないが、背景には強く影響し、背景の色彩の彩度を著しく低下させる。この彩度の差を利用すれば、チューブを通して見える背景部分をQz(クワイアットゾーン)として認識させることができる。色彩配列コードは、必ずQzに囲まれるように写るので、タグにしわやよじれが発生しても、Qzに基づいて色彩配列コードを切り出し、読み取ることができる。
【解決手段】孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に整列挿入された複数個の色彩物と、を含み、前記各色彩物には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、前記複数個の色彩物の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグを構成する。チューブは、通過する光を複雑に屈折・反射させ、色彩を拡散させる作用をもつ。この拡散作用は、色彩配列コードにはほとんど影響しないが、背景には強く影響し、背景の色彩の彩度を著しく低下させる。この彩度の差を利用すれば、チューブを通して見える背景部分をQz(クワイアットゾーン)として認識させることができる。色彩配列コードは、必ずQzに囲まれるように写るので、タグにしわやよじれが発生しても、Qzに基づいて色彩配列コードを切り出し、読み取ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明者は、寸法形状に依存せず、色彩の配列・組み合わせ・並び・順番によってデータを表現するコードシステム(いわゆる「色彩配列コード」)について、種々の研究開発を行っている。例えば、このようなコードの一種である1Dカラービットコード(特願2006−196705号他)を本願発明者はこれまでに出願している。
【0002】
本発明は光学的な自動認識コードに関し、特に、上記1Dカラービットコードを利用するのに適したタグの形状を提案する。
【背景技術】
【0003】
1Dカラービットコードは、色彩配列コードのうち、特に、色彩が一列に配列されているものをいう。この場合、色彩の「配列」が検出できれば良く、直線状に配列されていなくても、曲線状に曲がりくねっていても良い。その理由は、色彩配列コードが以下に述べるような特徴を有することに基づくものである。
【0004】
色彩配列コードとは、色彩の並びによってデータを表すコードであり、この色彩配列コードを構成する色彩が付されている領域を、一般的に「セル」と呼ぶ。すなわち、色彩配列コードは、所定の色彩が付されたセルを並べることによって構成されている。1Dカラービットコードは、このセルを「一列状に」並べたものである。
【0005】
色彩配列コードは、色彩の配列のみに依存してデータを表す。そのため、色彩配列コードを構成する各セルの形状や配列方向の自由度が大きい。1Dカラービットコードも、色彩の「配列」のみにデータを担持させるから、上述のように、その配列は「直線状」に限られず「曲がりくねって」いる場合も、データに影響を与えないのである。
【0006】
また、色彩配列コードの読み取りに際しては、CCDカメラ等で対象物を撮像した撮像画像から色彩配列コードを読み取る。この場合、撮像画像には、一般的に、色彩配列コードそのものと、色彩配列コードではない背景の領域とが1つの画像に写り込む。従って、この画像からデータを読み取るためには、キャプチャした画像の中から色彩配列コードを切り出す工夫が必要となる。
【0007】
そこで、従来より、色彩配列コードの周囲に、それをとりまくように「色彩配列コードを構成する色以外の色彩」の領域を設けることにより、画像から色彩配列コードを切り出し易くしている。この色彩配列コードを構成する色以外の色彩が付された領域を、「クワイアットゾーン」という。以下では、このクワイアットゾーンを「Qz」と記す。通常、1Dカラービットコードは、上述の色彩配列と、その切り出しを容易とするためのQzにより構成されている。
【0008】
このような特徴を有する色彩配列コードを「タグ」として利用すれば、コードの変形が生じやすい環境下においても正確にデータを認識することができるタグを実現することができる。色彩配列コードを付したタグを、以下「色彩配列タグ」または単に「タグ」という。
【0009】
色彩配列タグは、担体に印刷することによってマーキングするだけはなく、色彩が付された複数個の物体を予め定められた色彩配列ルールに則って並べることによっても実現することができる。この場合には、物体群をキャプチャしてデコードを行う。例えば、物体群として複数個のビーズを並べて色彩配列コードを形作れば、ビーズの並びが曲がったりしても、読み取りが可能な色彩配列タグとすることができる。
【0010】
なお、このように物体群を並べて色彩配列コードを構成する場合も、色彩配列コードは、基本的には、色彩配列コードを切り出すためにQzに囲まれていることが好ましい。もし、このビーズの色彩配列コードが、例えば赤色などの、色彩配列コードに使っている色彩の背景上にある場合には、デコードが困難になる場合があるからである。
【0011】
また、紙や布などに、印刷や刺繍によって色彩配列コードを表して、色彩配列タグとすることもできる。この場合、色彩配列コードの周囲に「余白」等を設けることによって、色彩配列コードの周囲にQzを設けることが容易にできる。しかし、この色彩配列タグを物体に装着した場合には、よじれたり、しわになったりして色彩の「配列」がうまく現れないこともある。例えば、衣服にこのような色彩配列タグを付けて読み取ろうとしても、しわ、よじれ等により読み取りができなくなることは容易に想像できる。
【0012】
また、衣服等の物体に、色彩配列コードを印刷した「ラベル」を装着する場合は、ラベルを物体に貼り付けたり、ぶら下げたりするのが普通であるが、「貼り付ける」という装着方法が好ましくない場合がある。また、ぶら下げてもラベルが裏向きであったり横を向いていたりして読み取りが困難な場合もある。
【0013】
さらに、色彩配列コードは、色彩の配列のみに依存してデータを表すので、形が変形しやすい物へのマーキングに適している。例えば、複数本の各ワイヤの個別IDを認識する場合、ワイヤが変形してもデータに影響を及ぼさないので、個別IDを正確に認識することができるのである。しかし、ワイヤに色彩配列コードを直接マーキングすると、色彩配列コードの周囲にQzを設けることが困難な場合がある。そのため、1つの画像にワイヤが複数本写った場合には、色彩配列コードが直接他の色彩配列コードとが接し、読み取り対象の色彩配列コードの切り出しが困難になることがある。
【0014】
先行特許文献
下記特許文献1には、支持層に再帰反射材層を積層した再帰性反射層と、再帰性反射層の反射面側に具備したカラーシート層と、からなるタグが開示されている。この特許文献1のタグは、再帰性反射光の可視光領域の色でデータを符号化して表し、特に、湾曲した箇所に貼り付けた場合でもデータを正確に認識することができることを特徴とする旨が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−20813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、色彩配列コードは、Qzが周囲に存在することによって切り出しが容易になる。しかしながら、紙や布などにマーキングした色彩配列コードは、Qzを設けることはできても、しわやよじれによって「色彩の配列」が表出せず、色彩配列コードを読み取れないことがある。また、線材に直接マーキングした色彩配列コードは、よじれてもデータに影響を受けないが、Qzを設けることが困難な場合があり、その場合は対象となる色彩配列コードを正確に読み取れないことがある。
【0017】
本件発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、しわやよじれ等の変形があっても正確に読み取ることができるという色彩配列コードの特徴を備え、かつ、周囲に必ずQzを設けることができる色彩配列タグの仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に整列挿入された複数個の色彩物と、を含み、前記各色彩物には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、前記複数個の色彩物の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグによって色彩配列タグを実現するものである。
【0019】
(2)また、本発明は、孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に挿入された一連の複数個の色彩物と、を含み、前記色彩物は孔部を有する有孔体であり、前記有孔体の前記孔部に糸状体が通されることにより前記複数の有孔体が一連になっており、かつ、前記各有孔体には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、前記一筋に連なったの有孔体の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0020】
(3)また、本発明は、孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に挿入された線状部材と、を含み、前記線状部材には、色彩配列コードを表す所定の色彩が付されていることを特徴とするチューブタグである。
【0021】
(4)また、本発明は、孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に挿入された色彩配列シートと、を含み、前記色彩配列シートには、色彩配列コードを表す所定の色彩が付されていることを特徴とするチューブタグである。
【0022】
(5)また、本発明は、(1)に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩物とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0023】
(6)また、本発明は、(2)に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩物と、前記糸状体とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0024】
(7)また、本発明は、(3)に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記線状部材とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0025】
(8)また、本発明は、(4)に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩シートとが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0026】
(9)また、本発明は、(1)から(4)のいずれかに記載のチューブタグにおいて、前記色彩配列コードの所定のパターンが繰り返し連続的に配列されており、前記色彩配列中の任意の位置から開始される前記色彩配列コードが、同一のデータを表すことを特徴とするチューブタグである。
【発明の効果】
【0027】
本件発明によれば、従来Qzが得られなかった環境でも色彩配列コードの周囲にQzを設けることができる。また、色彩配列コードが変形する環境であっても読み取れる色彩配列タグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】チューブタグを示す図である。
【図2】様々な色彩が付された背景の手前にチューブタグを配置してキャプチャした画像を示す図である。
【図3】半透明のチューブによってQzが形成されることを示す説明図である。
【図4】チューブタグの作成例1を示す説明図である。
【図5】チューブタグの作成例2を示す説明図である。
【図6】チューブタグの作成例3を示す説明図である。
【図7】板状体の1つの面に色彩配列コードを付したチューブタグを示す図である。
【図8】チューブタグを人の腕に巻き付けた例を示す図である。
【図9】チューブタグを棒に巻き付けた例を示す図である。
【図10】チューブタグを商品からぶら下げた例を示す図である。
【図11】任意位置で同一データを返すチューブタグ及びそのチューブタグを物体に巻き付けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本実施の形態における色彩配列タグを、図面に基づいて詳細に説明する。
(1)色彩配列コード
色彩配列コードの代表的な例である1Dカラービットコードは、複数個のセルを1列状に並べて構成される。ここで、「セル」とは、上述のように、1Dカラービットコードを構成する所定の色彩が付されたものを言い、例えば、色彩配列コードが物品上に付される場合には、各色彩が付された物品上の領域が上記セルとなる。また、色彩配列コードは、所定の色彩が付された物体(例えばビーズなど。以下「色彩物」とも言う。)を所定の順番に並べることにより構成される場合もある。この場合には、それぞれの色彩が付された物体(ビーズなど)が色彩配列コード上の「セル」に相当する。
色彩配列コードは、色彩の順序によってデータを表すので、セルの大きさ、及びセルが一列上に並んだその長さ、その並びの太さ、さらに、その並びの曲がっている状態などは、デコードで得られるデータに対して影響を及ぼさない。
例えば、色彩が線状に配列されたタグ(例えば、色彩が付されたビーズを糸で数珠繋ぎに繋げて構成したタグ)を利用する場合には、このタグは、3次元の自由な方向に曲げることが可能である。さらに、そのように曲げたタグをキャプチャする方向についても特段制限はなく自由である。
しかし、このビーズをつなげた線状のタグは、Qzを設けることが一般的には困難である。すなわち、一般的には、このような線状のタグは、その背景画像がQzとなる。そのため、その背景画像の中に色彩配列コードを構成する色彩と同様の又は近い色彩が存在した場合、色彩配列コードの切り出しが困難となり、その結果、色彩配列コードの読み取りができない場合も想定される。
(2)本実施の形態における色彩配列コード
そこで、本実施の形態では、図1に示されるように、所定の色彩を付した複数個の色彩物10群を、全体として色彩配列コード12を成すように順番に半透明のチューブ14の中空部に挿入して色彩配列タグを構成した。このように、半透明のチューブ14を用いて構成する色彩配列タグを、以下「チューブタグ16」という。
本実施の形態において特徴的な事項の1つは、チューブ14(半透明部分)がQzの役割を果たすことである。このQzの存在によって、色彩配列コード12を切り出すことができるので、背景に含まれる色彩の如何に寄らずに、その色彩配列コードを構成するセルの色彩を認識できる。
2つ目の特徴的な事項は、色彩物10群に付された色彩が、半透明のチューブ14を透かして外部に呈示されることである。従って、本実施の形態におけるチューブタグ16は、チューブ14によってQzを設けるとともに色彩配列コード12を呈示することが可能となる。
さらに、本実施の形態におけるチューブタグ16は、チューブ14によって覆われているため、あらゆる方向からこのチューブタグ16を見た場合においても、常にQzが存在するという特徴を有する。これは、従来の商品タグに印刷するような色彩配列コードでは実現できない本実施の形態において極めて特徴的な効果である。
上記背景技術で述べたように、従来のタグにおいては、そのタグにQzを設けたとしても、そのタグにしわが寄ったり、ねじれが生じた場合にはQzが認識しにくい場合が生じていた。それに対して本実施の形態におけるチューブタグ16によれば、すべての方向から見ても常にQzを認識することができるため、色彩配列コードの読み取り精度が大幅に改善されるという効果を奏するものである。
なお、図1では色彩配列コードのうち、特に色彩が1列に配列される「1Dカラービットコード」の例が示されているが、他の色彩配列コードであっても同様に実現することは可能である。
Qzの詳細
図2には、様々な色彩からなる背景18の前に図1のチューブタグ16を置いてキャプチャしたキャプチャ画面20の例が示されている。
図1中の複数個の色彩物10群に付された色彩は、半透明のチューブ14を透かしてキャプチャ画像20に写り込む。この色彩物10群が写り込んだ像が、図2中の色彩配列コード22である。
図2に示されるように、色彩配列コード22は、画像上、Qz24に囲まれているように写る。このQz24は、背景18の一部分が、この半透明のチューブ14を通して見えている部分である。本実施の形態において特徴的な事項の1つは、このQz(半透明部分)が、背景の色彩模様を遮って(背景の色彩模様の彩度を低くして)Qzを形成することである。
より正確に言えば、半透明のチューブ14は、背景18の色彩模様を複雑に屈折・反射させて、一般に拡散する作用を有している。特に、このチューブ14は半透明であるため、この背景18の色彩を拡散させる作用は、一層強くなる。従って、背景18の色彩模様がこのように拡散され、光同士が混じり、彩度が低下した無彩色系の(例えば灰色系の)色彩を呈することになる。
従って、キャプチャ画像20上では、色彩配列コード22の周囲が彩度の低下した無彩色系の色彩で囲まれているように画像上見え、その結果、色彩配列コード22と背景18との間に実質的なQzが設けられているように画像上現れるのである。
ここでは、チューブ14が「半透明」である場合について説明したが、もちろん、チューブ14が「透明」である場合でも、チューブの外側の背景と、チューブの中の色彩配列コードとは、チューブによる光の屈折の影響を受ける度合いが異なるから、この差を利用してQzを設けることができる。従って、以下では、一般的に光を屈折・拡散させる影響が大きい「半透明」の場合について述べるが、チューブが「透明」である場合でも同様の効果が期待できる。すなわち、ここでいう「半透明」とは、「不透明でない」という意味である。
図3は、図1中のチューブタグ16を背景18上に置いたときの断面図である。
色彩物10に付された色彩の光は、図3中の光路Aを通過してキャプチャカメラに到達する。この光路Aの距離はaである。この距離aはチューブ14の肉厚とほぼ等しい。
一方、背景18の色彩の光は、図3中の光路Bを通過してキャプチャカメラに到達する。この光路Bの距離はbである。チューブ14そのものは半透明なので、背景色の若干の成分は透過するが、光路Bは、光路Aに比べてその透過する光学的な距離が長くなる(すなわち、厚みが厚くなる)ので、光路Aに比べて半透明のチューブの不透過機能(濁り)の影響を強く受ける。そのため、半透明のチューブによる拡散・屈折等による影響を強く受けることになる。
この結果、半透明のチューブ(半透明部分)が色彩配列コード部分に対して与える影響と背景部分に対して与える影響とでは大きく異なる。すなわち、色彩配列コード部分に対してはほとんど影響を与えない。一方、背景部分に対しては強い影響を与えることになり、相対的に背景部分は色彩配列コード部分よりもより強くこの半透明部分の影響を受けることなる。この彩度の差を利用すれば、半透明部分の影響の強さの差を利用して、この半透明部分を透過した背景部分をQzとして認識させることが可能となる。
このとき、上記半透明部分の半透明部の不透過仕様、色彩、光沢、チューブの外径及び内径、さらに、色彩配列コードを構成する色彩物の色彩仕様などを変化させることによって、チューブタグの読み取り特性を調節することができる。このような調節を行うことによって、カメラ仕様、照明仕様、背景の色彩の状況などの状況それぞれに対応した好ましい読み取り特性のチューブタグを作ることが可能となる。
(2)チューブタグの作成方法
本節では、本実施の形態におけるチューブタグの作成例を、図4、図5、図6に基づいて説明する。
チューブタグの作り方(作成例1)
作成例1は、ビーズを用いて色彩配列コードを表すチューブタグである。複数個のビーズをつなぎ合わせて構成する色彩部材を用いて色彩配列コードを表す。なお、色彩部材とは、ビーズ等の色彩物の集合体であり、色彩物を組み合わせることによって色彩配列コードを構成する物品をいう。図4(1)には、5個のビーズ26群の糸通し孔に糸28を通してつなぎ合わせて構成される色彩部材30が示されている。各ビーズ26は、1個のビーズ26につき色彩配列コードを表す所定の1種類の色彩を呈示する。すなわち、ビーズ26群の1個1個が、それぞれセルの役割を果たす。そして、5個のビーズ26群は、全体として色彩配列コードを表すように各糸通し孔に順番に糸28を通しつなぎ合わされて1つの色彩部材30を構成している。
本作成例1におけるビーズ26は特許請求の範囲に記載されている有孔体の好適な一例に相当する。また、有孔体として、ビーズではなく、例えば小径チューブの小片のような物を用いてもよい。
色彩部材30は、図4(2)に示されるように、半透明のチューブ32の孔部に挿入される。こうして、ビーズを用いて色彩配列コードを表すチューブタグが完成する。なお、色彩部材30の脱落を防止するために、チューブ32の孔部を端部で塞いでもよい。
上記チューブタグの作り方(作成例1)の変形例
なお、上記作成例1でチューブタグは色彩配列コードを付す対象物に巻き付けて使用することも好適である。
このように巻き付けて使用する場合は、このチューブタグは柔軟性を備えていることが好ましい。柔軟性を持たせるためには、チューブそのものが柔軟であり、また、チューブの孔部に挿入される色彩部材(色彩物の集合体)が柔軟である必要がある。さらに、チューブとチューブの孔部に挿入される色彩部材との間の間隙を広めに設定することが好適であることは明らかであろう。このように、チューブと色彩部材との間隙を広めに設定しても、この色彩部材は、ビーズを糸によって数珠繋ぎによって連結しているので、大きな間隙を設けてもビーズの並びは糸によって維持される。
また、色彩部材が柔軟であるためには、色彩部材を構成するビーズ(色彩物)を柔軟な材料で構成することや伸縮性のある糸を用いることが好ましい。柔軟なビーズや伸縮性のある糸を用いることによって、色彩部材を柔軟に構成することが可能となる。
この結果、柔軟性のあるチューブタグを構成することが可能となり、物体に巻き付けて使用することが容易となる。
チューブタグの作り方(作成例2)
作成例2は、線状部材を用いて色彩配列コードを表すチューブタグである。なお、この線状部材とは、ある程度の太さを有し、色彩配列コードのマーキングができる程度の表面積を有する部材をいう。図5(1)に示されるように、線状部材34の表面は、軸と平行な方向に複数の領域に分けられている。1つの領域は、線状部材34の表面を周回するように設けられており、1つの領域に色彩配列コードを構成する所定の1種類の色彩が付される。このように色彩が付された領域が、線状部材34の軸と平行な方向に連続して設けられる。この結果、線状部材34の表面全体としては、色彩配列コードを表す複数の色彩に塗り分けられることとなる。
この線状部材34は、図5(2)に示されるように、半透明のチューブ36の孔部に挿入されて、チューブタグが完成する。なお、上記作成例1の変形例と同様に、柔軟性のある線状部材34と柔軟性のあるチューブ36とからチューブタグを構成し、チューブタグを物体に巻き付けて使用するすることも好適である。
チューブタグの作り方(作成例3)
作成例3は、色彩配列シートを用いて色彩配列コードを表すチューブタグである。色彩配列シートとは、色彩配列コードが付されたシート状の物体(例えば、紙や布等)をいう。図6(1)には、色彩配列シート38が示されている。この図6に示されるように、色彩配列シート38の表面には、複数の矩形の領域に区分けされる。1つの領域には、色彩配列コードを表す所定の色彩のうち1種類の色彩が施される。
この色彩配列シート38は、図6(2)に示されるように、表面に施された色彩配列コードが表出するように筒状に丸められる。そして、この丸められた色彩配列コード38は、半透明のチューブ40の孔部に挿入され、チューブタグが完成する。
このように、シート状の物体に色彩配列コードを付して、これを丸めてチューブに挿入する方法によれば、上記シート状の物体に対して印刷等の手法を用いて色彩配列コードをマーキングすることができる。そのため、従来の安価なプリンター装置などを利用して色彩配列コードを印刷し、これを用いてチューブタグを構成することができるので、容易にチューブタグを作成することが可能である。
これに対して、上記線状部材の周囲に色彩配列コードを付すためには、線状部材の周囲を周回しながら染料等を塗布する必要があり、特殊なマーキング手法を採用しなければならない場合もある。
なお、色彩配列コードを印刷するシートは、紙などの部材を用いることができるが、上述した作成例1や2と同様に、柔軟なチューブタグを構成するためには、チューブと同様に、このシートも柔軟性のある材質を用いることが好ましい。例えば、ビニールシートや伸縮性のあるゴムシートなどが好適である。
チューブタグの作り方(その他の作成例)
上で述べた例の他に、半透明チューブの孔部分に、色彩配列コードを構成する物(例えば、着色された固形樹脂)を挿入してチューブタグを構成することも好適である。
また、半透明チューブの孔部分に、色彩が施された紛状体(例えば、砂など)を色彩配列コードを構成するように順番に充填し、チューブタグを構成することも好適である。
また、さらに、色彩配列コードを構成する流動体(例えば、溶かした着色樹脂)を注射器等に入れ、半透明チューブの複数の位置から半透明チューブの孔部分に注射・充填することによってチューブタグを構成することも好適である。
(3)チューブタグの基本的な考え方
上の(2)では、半透明チューブの孔部分に色彩配列部材を挿入してチューブタグを作成する例をいくつか挙げてきた。これらの作成例は、比較的に作りやすい手法の例であるが、いずれも以下に述べるa〜eの特徴を備える。
a.第1に、色彩配列コードを表す部材が半透明状の物体の内部に存在することを特徴とする。色彩配列コードを表す部材が半透明状の物体の内部にあれば、チューブタグをキャプチャした画像上では、色彩配列コードと背景との間に必ず半透明状の物体が見える。上述したように、半透明状の物体を通して見える背景がQzとなるので、この結果、色彩配列コードは常にQzに囲まれて見えるのである。
b.第2に、チューブタグをキャプチャする場合に、色彩配列コードを表す色彩を、様々な角度から認識できることを特徴とする。このbの特徴について、図7に基づいて説明する。
図7には、半透明の板状体42の内部に色彩部材44群が存在する例が示されている。この板状体42は、半透明の薄い板状体の表面上に色彩部材44群を配置し、さらにその上に半透明の薄い板状体を重ねるようにして構成されている。この場合には、少なくとも板状体42の表側と裏側から色彩配列コードを認識することができ、板状体42の上方及び下方の周囲360度のどこからでも色彩配列コードを認識することができる。なお、この場合には、板状体42の側方から色彩部材44群を認識することは困難である。
c.第3に、チューブは、背景の模様をほとんど透過しない一方、色彩配列コードの色彩を外部からでも認識できる程度に透過することを特徴とする。このように透過の度合いに差を生じさせることによって、背景の模様の彩度を低下させ、Qzを設けることができる。
以上述べたa〜cの特徴が本実施の形態におけるチューブタグの必須の要件であるが、これらa〜cの特徴に加えて以下のd、eの特徴を備えることも好適である。
d.本実施の形態におけるチューブタグは、可撓性を有することを特徴とする。従って、チューブタグを装着する対象物の物体形状に合わせて装着し易い。
e.本実施の形態におけるチューブタグは、紐状の形状及び特性を備えることを特徴とする。従って、後述するように、チューブタグを物体に巻き付けて装着することができる。
以上述べたa〜eの特徴が、本実施の形態の主たる技術的特徴である。
(4)本実施の形態におけるチューブタグの利用例
本節では、本実施の形態におけるチューブタグの利用例を3つ挙げる。
チューブタグの利用例1
図8には、本実施の形態におけるチューブタグ46を人48の腕に巻き付けた例が示されている。
もし、布などに色彩配列コードを付して作ったタグを、図8と同様に人の腕に巻き付けて用いた場合には、タグによじれがなければ、キャプチャカメラは色彩配列コードがQzに囲まれた画像を取得することができる。しかし、タグがよじれて色彩配列コードがキャプチャカメラの方向に向いていないときには、キャプチャカメラから色彩配列コードが見えなくなるので読み取ることはできない。
しかし、本実施の形態におけるチューブタグ46であれば、色彩配列コードはあらゆる方向に呈示されているので、人が腕を動かしたりしてもキャプチャカメラ50に対して色彩配列コードが隠れることはない。この結果、キャプチャカメラ50は、タグがよじれているか否かに寄らず、色彩配列コードを読み取ることができるのである。
チューブタグの利用例2
図9には、本実施の形態におけるチューブタグ52を棒状部材54に縛り付けた例が示されている。
本利用例2におけるチューブタグ52は、チューブ状の形状なので、棒状部材54に縛り付けて装着することができる。また、チューブタグ52がよじれても色彩配列コードは読み取られるので、チューブタグの装着方向(例えば、裏表の向き)を気にする必要がない。その結果、チューブタグの取り付け作業が非常に簡単である。
チューブタグの利用例3
図10には、本実施の形態におけるチューブタグ56を商品58からぶら下げた例が示されている。
本利用例におけるチューブタグ56によれば、全方位からチューブタグ56が表す色彩配列コードを読み取ることができる。また、背景の状況によらず、色彩配列コードは常にQzに囲まれるので、読み取り作業の効率を飛躍的に高めることができる。
チューブタグの利用例4
上で説明した図8、9の利用例のように、チューブタグを対象物に巻き付けたり縛り付けたりする場合、一部の色彩配列コードが対象物の陰に隠れるため、読み取り対象の色彩配列コードがキャプチャカメラの読み取り可能な方向に正対するとは限らない。
そこで、本件発明の発明者がすでに出願している特許出願(特願2008−231481号)に係る発明を、本実施の形態におけるチューブタグに応用することも好ましい。
この特許出願(特願2008−231481号)には、所定の色彩が付されたセルをm個並べてなるコードシンボル(コードを形成する色彩配列)が繰り返し連続的に配列されている場合に、それら繰り返されたコードシンボルのうち、任意の位置のコードシンボルがすべて同じデータを表現することを特徴とするコードシンボルが記載されている。
このコードシンボルを付した色彩配列部材を、本実施の形態における図8や9中のチューブに挿入すれば、キャプチャカメラに正対する位置に、少なくとも1つのコードシンボルが位置する。従って、キャプチャカメラは、その読み取り可能な位置にあるコードシンボルからデータを読み取れるので、読み取り操作が大幅に簡略化される。
上記利用例4のチューブタグの作成例
上記利用例4で挙げたチューブタグは、図11(1)に示されるように、非常に長いチューブタグ60をカットして作成される。このチューブタグ60は、非常に長いチューブに、上記特許出願(特願2008−231481号)に開示された色彩配列を構成する色彩配列部材を連綿と挿入したものである。このチューブタグ60を任意の位置でカットして作成する。
図11(2)には、このカットしたチューブタグ62を物体64に巻き付けた例が示されている。このカットされたチューブタグ62は、任意の位置から開始される色彩配列コードがすべて同一のデータを示す。ただし、コードシンボル1つ当たりのセル数(色彩を付した領域の数)は一定である。
本例の作成方法は、チューブタグの製作において、量産効果的に有利である。
【符号の説明】
【0030】
10 色彩物
12 色彩配列コード
14 チューブ
16 チューブタグ
18 背景
20 キャプチャ画面
22 色彩配列コード
24 Qz
26 ビーズ
28 糸
30 色彩部材
32 チューブ
34 線状部材
36 チューブ
38 色彩配列シート
40 チューブ
42 板状体
44 色彩部材
46 チューブタグ
48 人
50 キャプチャカメラ
52 チューブタグ
54 棒状部材
56 チューブタグ
58 商品
60 チューブタグ
62 チューブタグ
64 物体
A、B 光路
a、b 距離
【技術分野】
【0001】
本願発明者は、寸法形状に依存せず、色彩の配列・組み合わせ・並び・順番によってデータを表現するコードシステム(いわゆる「色彩配列コード」)について、種々の研究開発を行っている。例えば、このようなコードの一種である1Dカラービットコード(特願2006−196705号他)を本願発明者はこれまでに出願している。
【0002】
本発明は光学的な自動認識コードに関し、特に、上記1Dカラービットコードを利用するのに適したタグの形状を提案する。
【背景技術】
【0003】
1Dカラービットコードは、色彩配列コードのうち、特に、色彩が一列に配列されているものをいう。この場合、色彩の「配列」が検出できれば良く、直線状に配列されていなくても、曲線状に曲がりくねっていても良い。その理由は、色彩配列コードが以下に述べるような特徴を有することに基づくものである。
【0004】
色彩配列コードとは、色彩の並びによってデータを表すコードであり、この色彩配列コードを構成する色彩が付されている領域を、一般的に「セル」と呼ぶ。すなわち、色彩配列コードは、所定の色彩が付されたセルを並べることによって構成されている。1Dカラービットコードは、このセルを「一列状に」並べたものである。
【0005】
色彩配列コードは、色彩の配列のみに依存してデータを表す。そのため、色彩配列コードを構成する各セルの形状や配列方向の自由度が大きい。1Dカラービットコードも、色彩の「配列」のみにデータを担持させるから、上述のように、その配列は「直線状」に限られず「曲がりくねって」いる場合も、データに影響を与えないのである。
【0006】
また、色彩配列コードの読み取りに際しては、CCDカメラ等で対象物を撮像した撮像画像から色彩配列コードを読み取る。この場合、撮像画像には、一般的に、色彩配列コードそのものと、色彩配列コードではない背景の領域とが1つの画像に写り込む。従って、この画像からデータを読み取るためには、キャプチャした画像の中から色彩配列コードを切り出す工夫が必要となる。
【0007】
そこで、従来より、色彩配列コードの周囲に、それをとりまくように「色彩配列コードを構成する色以外の色彩」の領域を設けることにより、画像から色彩配列コードを切り出し易くしている。この色彩配列コードを構成する色以外の色彩が付された領域を、「クワイアットゾーン」という。以下では、このクワイアットゾーンを「Qz」と記す。通常、1Dカラービットコードは、上述の色彩配列と、その切り出しを容易とするためのQzにより構成されている。
【0008】
このような特徴を有する色彩配列コードを「タグ」として利用すれば、コードの変形が生じやすい環境下においても正確にデータを認識することができるタグを実現することができる。色彩配列コードを付したタグを、以下「色彩配列タグ」または単に「タグ」という。
【0009】
色彩配列タグは、担体に印刷することによってマーキングするだけはなく、色彩が付された複数個の物体を予め定められた色彩配列ルールに則って並べることによっても実現することができる。この場合には、物体群をキャプチャしてデコードを行う。例えば、物体群として複数個のビーズを並べて色彩配列コードを形作れば、ビーズの並びが曲がったりしても、読み取りが可能な色彩配列タグとすることができる。
【0010】
なお、このように物体群を並べて色彩配列コードを構成する場合も、色彩配列コードは、基本的には、色彩配列コードを切り出すためにQzに囲まれていることが好ましい。もし、このビーズの色彩配列コードが、例えば赤色などの、色彩配列コードに使っている色彩の背景上にある場合には、デコードが困難になる場合があるからである。
【0011】
また、紙や布などに、印刷や刺繍によって色彩配列コードを表して、色彩配列タグとすることもできる。この場合、色彩配列コードの周囲に「余白」等を設けることによって、色彩配列コードの周囲にQzを設けることが容易にできる。しかし、この色彩配列タグを物体に装着した場合には、よじれたり、しわになったりして色彩の「配列」がうまく現れないこともある。例えば、衣服にこのような色彩配列タグを付けて読み取ろうとしても、しわ、よじれ等により読み取りができなくなることは容易に想像できる。
【0012】
また、衣服等の物体に、色彩配列コードを印刷した「ラベル」を装着する場合は、ラベルを物体に貼り付けたり、ぶら下げたりするのが普通であるが、「貼り付ける」という装着方法が好ましくない場合がある。また、ぶら下げてもラベルが裏向きであったり横を向いていたりして読み取りが困難な場合もある。
【0013】
さらに、色彩配列コードは、色彩の配列のみに依存してデータを表すので、形が変形しやすい物へのマーキングに適している。例えば、複数本の各ワイヤの個別IDを認識する場合、ワイヤが変形してもデータに影響を及ぼさないので、個別IDを正確に認識することができるのである。しかし、ワイヤに色彩配列コードを直接マーキングすると、色彩配列コードの周囲にQzを設けることが困難な場合がある。そのため、1つの画像にワイヤが複数本写った場合には、色彩配列コードが直接他の色彩配列コードとが接し、読み取り対象の色彩配列コードの切り出しが困難になることがある。
【0014】
先行特許文献
下記特許文献1には、支持層に再帰反射材層を積層した再帰性反射層と、再帰性反射層の反射面側に具備したカラーシート層と、からなるタグが開示されている。この特許文献1のタグは、再帰性反射光の可視光領域の色でデータを符号化して表し、特に、湾曲した箇所に貼り付けた場合でもデータを正確に認識することができることを特徴とする旨が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−20813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、色彩配列コードは、Qzが周囲に存在することによって切り出しが容易になる。しかしながら、紙や布などにマーキングした色彩配列コードは、Qzを設けることはできても、しわやよじれによって「色彩の配列」が表出せず、色彩配列コードを読み取れないことがある。また、線材に直接マーキングした色彩配列コードは、よじれてもデータに影響を受けないが、Qzを設けることが困難な場合があり、その場合は対象となる色彩配列コードを正確に読み取れないことがある。
【0017】
本件発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、しわやよじれ等の変形があっても正確に読み取ることができるという色彩配列コードの特徴を備え、かつ、周囲に必ずQzを設けることができる色彩配列タグの仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に整列挿入された複数個の色彩物と、を含み、前記各色彩物には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、前記複数個の色彩物の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグによって色彩配列タグを実現するものである。
【0019】
(2)また、本発明は、孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に挿入された一連の複数個の色彩物と、を含み、前記色彩物は孔部を有する有孔体であり、前記有孔体の前記孔部に糸状体が通されることにより前記複数の有孔体が一連になっており、かつ、前記各有孔体には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、前記一筋に連なったの有孔体の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0020】
(3)また、本発明は、孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に挿入された線状部材と、を含み、前記線状部材には、色彩配列コードを表す所定の色彩が付されていることを特徴とするチューブタグである。
【0021】
(4)また、本発明は、孔部を有する半透明のチューブと、前記孔部に挿入された色彩配列シートと、を含み、前記色彩配列シートには、色彩配列コードを表す所定の色彩が付されていることを特徴とするチューブタグである。
【0022】
(5)また、本発明は、(1)に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩物とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0023】
(6)また、本発明は、(2)に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩物と、前記糸状体とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0024】
(7)また、本発明は、(3)に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記線状部材とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0025】
(8)また、本発明は、(4)に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩シートとが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグである。
【0026】
(9)また、本発明は、(1)から(4)のいずれかに記載のチューブタグにおいて、前記色彩配列コードの所定のパターンが繰り返し連続的に配列されており、前記色彩配列中の任意の位置から開始される前記色彩配列コードが、同一のデータを表すことを特徴とするチューブタグである。
【発明の効果】
【0027】
本件発明によれば、従来Qzが得られなかった環境でも色彩配列コードの周囲にQzを設けることができる。また、色彩配列コードが変形する環境であっても読み取れる色彩配列タグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】チューブタグを示す図である。
【図2】様々な色彩が付された背景の手前にチューブタグを配置してキャプチャした画像を示す図である。
【図3】半透明のチューブによってQzが形成されることを示す説明図である。
【図4】チューブタグの作成例1を示す説明図である。
【図5】チューブタグの作成例2を示す説明図である。
【図6】チューブタグの作成例3を示す説明図である。
【図7】板状体の1つの面に色彩配列コードを付したチューブタグを示す図である。
【図8】チューブタグを人の腕に巻き付けた例を示す図である。
【図9】チューブタグを棒に巻き付けた例を示す図である。
【図10】チューブタグを商品からぶら下げた例を示す図である。
【図11】任意位置で同一データを返すチューブタグ及びそのチューブタグを物体に巻き付けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本実施の形態における色彩配列タグを、図面に基づいて詳細に説明する。
(1)色彩配列コード
色彩配列コードの代表的な例である1Dカラービットコードは、複数個のセルを1列状に並べて構成される。ここで、「セル」とは、上述のように、1Dカラービットコードを構成する所定の色彩が付されたものを言い、例えば、色彩配列コードが物品上に付される場合には、各色彩が付された物品上の領域が上記セルとなる。また、色彩配列コードは、所定の色彩が付された物体(例えばビーズなど。以下「色彩物」とも言う。)を所定の順番に並べることにより構成される場合もある。この場合には、それぞれの色彩が付された物体(ビーズなど)が色彩配列コード上の「セル」に相当する。
色彩配列コードは、色彩の順序によってデータを表すので、セルの大きさ、及びセルが一列上に並んだその長さ、その並びの太さ、さらに、その並びの曲がっている状態などは、デコードで得られるデータに対して影響を及ぼさない。
例えば、色彩が線状に配列されたタグ(例えば、色彩が付されたビーズを糸で数珠繋ぎに繋げて構成したタグ)を利用する場合には、このタグは、3次元の自由な方向に曲げることが可能である。さらに、そのように曲げたタグをキャプチャする方向についても特段制限はなく自由である。
しかし、このビーズをつなげた線状のタグは、Qzを設けることが一般的には困難である。すなわち、一般的には、このような線状のタグは、その背景画像がQzとなる。そのため、その背景画像の中に色彩配列コードを構成する色彩と同様の又は近い色彩が存在した場合、色彩配列コードの切り出しが困難となり、その結果、色彩配列コードの読み取りができない場合も想定される。
(2)本実施の形態における色彩配列コード
そこで、本実施の形態では、図1に示されるように、所定の色彩を付した複数個の色彩物10群を、全体として色彩配列コード12を成すように順番に半透明のチューブ14の中空部に挿入して色彩配列タグを構成した。このように、半透明のチューブ14を用いて構成する色彩配列タグを、以下「チューブタグ16」という。
本実施の形態において特徴的な事項の1つは、チューブ14(半透明部分)がQzの役割を果たすことである。このQzの存在によって、色彩配列コード12を切り出すことができるので、背景に含まれる色彩の如何に寄らずに、その色彩配列コードを構成するセルの色彩を認識できる。
2つ目の特徴的な事項は、色彩物10群に付された色彩が、半透明のチューブ14を透かして外部に呈示されることである。従って、本実施の形態におけるチューブタグ16は、チューブ14によってQzを設けるとともに色彩配列コード12を呈示することが可能となる。
さらに、本実施の形態におけるチューブタグ16は、チューブ14によって覆われているため、あらゆる方向からこのチューブタグ16を見た場合においても、常にQzが存在するという特徴を有する。これは、従来の商品タグに印刷するような色彩配列コードでは実現できない本実施の形態において極めて特徴的な効果である。
上記背景技術で述べたように、従来のタグにおいては、そのタグにQzを設けたとしても、そのタグにしわが寄ったり、ねじれが生じた場合にはQzが認識しにくい場合が生じていた。それに対して本実施の形態におけるチューブタグ16によれば、すべての方向から見ても常にQzを認識することができるため、色彩配列コードの読み取り精度が大幅に改善されるという効果を奏するものである。
なお、図1では色彩配列コードのうち、特に色彩が1列に配列される「1Dカラービットコード」の例が示されているが、他の色彩配列コードであっても同様に実現することは可能である。
Qzの詳細
図2には、様々な色彩からなる背景18の前に図1のチューブタグ16を置いてキャプチャしたキャプチャ画面20の例が示されている。
図1中の複数個の色彩物10群に付された色彩は、半透明のチューブ14を透かしてキャプチャ画像20に写り込む。この色彩物10群が写り込んだ像が、図2中の色彩配列コード22である。
図2に示されるように、色彩配列コード22は、画像上、Qz24に囲まれているように写る。このQz24は、背景18の一部分が、この半透明のチューブ14を通して見えている部分である。本実施の形態において特徴的な事項の1つは、このQz(半透明部分)が、背景の色彩模様を遮って(背景の色彩模様の彩度を低くして)Qzを形成することである。
より正確に言えば、半透明のチューブ14は、背景18の色彩模様を複雑に屈折・反射させて、一般に拡散する作用を有している。特に、このチューブ14は半透明であるため、この背景18の色彩を拡散させる作用は、一層強くなる。従って、背景18の色彩模様がこのように拡散され、光同士が混じり、彩度が低下した無彩色系の(例えば灰色系の)色彩を呈することになる。
従って、キャプチャ画像20上では、色彩配列コード22の周囲が彩度の低下した無彩色系の色彩で囲まれているように画像上見え、その結果、色彩配列コード22と背景18との間に実質的なQzが設けられているように画像上現れるのである。
ここでは、チューブ14が「半透明」である場合について説明したが、もちろん、チューブ14が「透明」である場合でも、チューブの外側の背景と、チューブの中の色彩配列コードとは、チューブによる光の屈折の影響を受ける度合いが異なるから、この差を利用してQzを設けることができる。従って、以下では、一般的に光を屈折・拡散させる影響が大きい「半透明」の場合について述べるが、チューブが「透明」である場合でも同様の効果が期待できる。すなわち、ここでいう「半透明」とは、「不透明でない」という意味である。
図3は、図1中のチューブタグ16を背景18上に置いたときの断面図である。
色彩物10に付された色彩の光は、図3中の光路Aを通過してキャプチャカメラに到達する。この光路Aの距離はaである。この距離aはチューブ14の肉厚とほぼ等しい。
一方、背景18の色彩の光は、図3中の光路Bを通過してキャプチャカメラに到達する。この光路Bの距離はbである。チューブ14そのものは半透明なので、背景色の若干の成分は透過するが、光路Bは、光路Aに比べてその透過する光学的な距離が長くなる(すなわち、厚みが厚くなる)ので、光路Aに比べて半透明のチューブの不透過機能(濁り)の影響を強く受ける。そのため、半透明のチューブによる拡散・屈折等による影響を強く受けることになる。
この結果、半透明のチューブ(半透明部分)が色彩配列コード部分に対して与える影響と背景部分に対して与える影響とでは大きく異なる。すなわち、色彩配列コード部分に対してはほとんど影響を与えない。一方、背景部分に対しては強い影響を与えることになり、相対的に背景部分は色彩配列コード部分よりもより強くこの半透明部分の影響を受けることなる。この彩度の差を利用すれば、半透明部分の影響の強さの差を利用して、この半透明部分を透過した背景部分をQzとして認識させることが可能となる。
このとき、上記半透明部分の半透明部の不透過仕様、色彩、光沢、チューブの外径及び内径、さらに、色彩配列コードを構成する色彩物の色彩仕様などを変化させることによって、チューブタグの読み取り特性を調節することができる。このような調節を行うことによって、カメラ仕様、照明仕様、背景の色彩の状況などの状況それぞれに対応した好ましい読み取り特性のチューブタグを作ることが可能となる。
(2)チューブタグの作成方法
本節では、本実施の形態におけるチューブタグの作成例を、図4、図5、図6に基づいて説明する。
チューブタグの作り方(作成例1)
作成例1は、ビーズを用いて色彩配列コードを表すチューブタグである。複数個のビーズをつなぎ合わせて構成する色彩部材を用いて色彩配列コードを表す。なお、色彩部材とは、ビーズ等の色彩物の集合体であり、色彩物を組み合わせることによって色彩配列コードを構成する物品をいう。図4(1)には、5個のビーズ26群の糸通し孔に糸28を通してつなぎ合わせて構成される色彩部材30が示されている。各ビーズ26は、1個のビーズ26につき色彩配列コードを表す所定の1種類の色彩を呈示する。すなわち、ビーズ26群の1個1個が、それぞれセルの役割を果たす。そして、5個のビーズ26群は、全体として色彩配列コードを表すように各糸通し孔に順番に糸28を通しつなぎ合わされて1つの色彩部材30を構成している。
本作成例1におけるビーズ26は特許請求の範囲に記載されている有孔体の好適な一例に相当する。また、有孔体として、ビーズではなく、例えば小径チューブの小片のような物を用いてもよい。
色彩部材30は、図4(2)に示されるように、半透明のチューブ32の孔部に挿入される。こうして、ビーズを用いて色彩配列コードを表すチューブタグが完成する。なお、色彩部材30の脱落を防止するために、チューブ32の孔部を端部で塞いでもよい。
上記チューブタグの作り方(作成例1)の変形例
なお、上記作成例1でチューブタグは色彩配列コードを付す対象物に巻き付けて使用することも好適である。
このように巻き付けて使用する場合は、このチューブタグは柔軟性を備えていることが好ましい。柔軟性を持たせるためには、チューブそのものが柔軟であり、また、チューブの孔部に挿入される色彩部材(色彩物の集合体)が柔軟である必要がある。さらに、チューブとチューブの孔部に挿入される色彩部材との間の間隙を広めに設定することが好適であることは明らかであろう。このように、チューブと色彩部材との間隙を広めに設定しても、この色彩部材は、ビーズを糸によって数珠繋ぎによって連結しているので、大きな間隙を設けてもビーズの並びは糸によって維持される。
また、色彩部材が柔軟であるためには、色彩部材を構成するビーズ(色彩物)を柔軟な材料で構成することや伸縮性のある糸を用いることが好ましい。柔軟なビーズや伸縮性のある糸を用いることによって、色彩部材を柔軟に構成することが可能となる。
この結果、柔軟性のあるチューブタグを構成することが可能となり、物体に巻き付けて使用することが容易となる。
チューブタグの作り方(作成例2)
作成例2は、線状部材を用いて色彩配列コードを表すチューブタグである。なお、この線状部材とは、ある程度の太さを有し、色彩配列コードのマーキングができる程度の表面積を有する部材をいう。図5(1)に示されるように、線状部材34の表面は、軸と平行な方向に複数の領域に分けられている。1つの領域は、線状部材34の表面を周回するように設けられており、1つの領域に色彩配列コードを構成する所定の1種類の色彩が付される。このように色彩が付された領域が、線状部材34の軸と平行な方向に連続して設けられる。この結果、線状部材34の表面全体としては、色彩配列コードを表す複数の色彩に塗り分けられることとなる。
この線状部材34は、図5(2)に示されるように、半透明のチューブ36の孔部に挿入されて、チューブタグが完成する。なお、上記作成例1の変形例と同様に、柔軟性のある線状部材34と柔軟性のあるチューブ36とからチューブタグを構成し、チューブタグを物体に巻き付けて使用するすることも好適である。
チューブタグの作り方(作成例3)
作成例3は、色彩配列シートを用いて色彩配列コードを表すチューブタグである。色彩配列シートとは、色彩配列コードが付されたシート状の物体(例えば、紙や布等)をいう。図6(1)には、色彩配列シート38が示されている。この図6に示されるように、色彩配列シート38の表面には、複数の矩形の領域に区分けされる。1つの領域には、色彩配列コードを表す所定の色彩のうち1種類の色彩が施される。
この色彩配列シート38は、図6(2)に示されるように、表面に施された色彩配列コードが表出するように筒状に丸められる。そして、この丸められた色彩配列コード38は、半透明のチューブ40の孔部に挿入され、チューブタグが完成する。
このように、シート状の物体に色彩配列コードを付して、これを丸めてチューブに挿入する方法によれば、上記シート状の物体に対して印刷等の手法を用いて色彩配列コードをマーキングすることができる。そのため、従来の安価なプリンター装置などを利用して色彩配列コードを印刷し、これを用いてチューブタグを構成することができるので、容易にチューブタグを作成することが可能である。
これに対して、上記線状部材の周囲に色彩配列コードを付すためには、線状部材の周囲を周回しながら染料等を塗布する必要があり、特殊なマーキング手法を採用しなければならない場合もある。
なお、色彩配列コードを印刷するシートは、紙などの部材を用いることができるが、上述した作成例1や2と同様に、柔軟なチューブタグを構成するためには、チューブと同様に、このシートも柔軟性のある材質を用いることが好ましい。例えば、ビニールシートや伸縮性のあるゴムシートなどが好適である。
チューブタグの作り方(その他の作成例)
上で述べた例の他に、半透明チューブの孔部分に、色彩配列コードを構成する物(例えば、着色された固形樹脂)を挿入してチューブタグを構成することも好適である。
また、半透明チューブの孔部分に、色彩が施された紛状体(例えば、砂など)を色彩配列コードを構成するように順番に充填し、チューブタグを構成することも好適である。
また、さらに、色彩配列コードを構成する流動体(例えば、溶かした着色樹脂)を注射器等に入れ、半透明チューブの複数の位置から半透明チューブの孔部分に注射・充填することによってチューブタグを構成することも好適である。
(3)チューブタグの基本的な考え方
上の(2)では、半透明チューブの孔部分に色彩配列部材を挿入してチューブタグを作成する例をいくつか挙げてきた。これらの作成例は、比較的に作りやすい手法の例であるが、いずれも以下に述べるa〜eの特徴を備える。
a.第1に、色彩配列コードを表す部材が半透明状の物体の内部に存在することを特徴とする。色彩配列コードを表す部材が半透明状の物体の内部にあれば、チューブタグをキャプチャした画像上では、色彩配列コードと背景との間に必ず半透明状の物体が見える。上述したように、半透明状の物体を通して見える背景がQzとなるので、この結果、色彩配列コードは常にQzに囲まれて見えるのである。
b.第2に、チューブタグをキャプチャする場合に、色彩配列コードを表す色彩を、様々な角度から認識できることを特徴とする。このbの特徴について、図7に基づいて説明する。
図7には、半透明の板状体42の内部に色彩部材44群が存在する例が示されている。この板状体42は、半透明の薄い板状体の表面上に色彩部材44群を配置し、さらにその上に半透明の薄い板状体を重ねるようにして構成されている。この場合には、少なくとも板状体42の表側と裏側から色彩配列コードを認識することができ、板状体42の上方及び下方の周囲360度のどこからでも色彩配列コードを認識することができる。なお、この場合には、板状体42の側方から色彩部材44群を認識することは困難である。
c.第3に、チューブは、背景の模様をほとんど透過しない一方、色彩配列コードの色彩を外部からでも認識できる程度に透過することを特徴とする。このように透過の度合いに差を生じさせることによって、背景の模様の彩度を低下させ、Qzを設けることができる。
以上述べたa〜cの特徴が本実施の形態におけるチューブタグの必須の要件であるが、これらa〜cの特徴に加えて以下のd、eの特徴を備えることも好適である。
d.本実施の形態におけるチューブタグは、可撓性を有することを特徴とする。従って、チューブタグを装着する対象物の物体形状に合わせて装着し易い。
e.本実施の形態におけるチューブタグは、紐状の形状及び特性を備えることを特徴とする。従って、後述するように、チューブタグを物体に巻き付けて装着することができる。
以上述べたa〜eの特徴が、本実施の形態の主たる技術的特徴である。
(4)本実施の形態におけるチューブタグの利用例
本節では、本実施の形態におけるチューブタグの利用例を3つ挙げる。
チューブタグの利用例1
図8には、本実施の形態におけるチューブタグ46を人48の腕に巻き付けた例が示されている。
もし、布などに色彩配列コードを付して作ったタグを、図8と同様に人の腕に巻き付けて用いた場合には、タグによじれがなければ、キャプチャカメラは色彩配列コードがQzに囲まれた画像を取得することができる。しかし、タグがよじれて色彩配列コードがキャプチャカメラの方向に向いていないときには、キャプチャカメラから色彩配列コードが見えなくなるので読み取ることはできない。
しかし、本実施の形態におけるチューブタグ46であれば、色彩配列コードはあらゆる方向に呈示されているので、人が腕を動かしたりしてもキャプチャカメラ50に対して色彩配列コードが隠れることはない。この結果、キャプチャカメラ50は、タグがよじれているか否かに寄らず、色彩配列コードを読み取ることができるのである。
チューブタグの利用例2
図9には、本実施の形態におけるチューブタグ52を棒状部材54に縛り付けた例が示されている。
本利用例2におけるチューブタグ52は、チューブ状の形状なので、棒状部材54に縛り付けて装着することができる。また、チューブタグ52がよじれても色彩配列コードは読み取られるので、チューブタグの装着方向(例えば、裏表の向き)を気にする必要がない。その結果、チューブタグの取り付け作業が非常に簡単である。
チューブタグの利用例3
図10には、本実施の形態におけるチューブタグ56を商品58からぶら下げた例が示されている。
本利用例におけるチューブタグ56によれば、全方位からチューブタグ56が表す色彩配列コードを読み取ることができる。また、背景の状況によらず、色彩配列コードは常にQzに囲まれるので、読み取り作業の効率を飛躍的に高めることができる。
チューブタグの利用例4
上で説明した図8、9の利用例のように、チューブタグを対象物に巻き付けたり縛り付けたりする場合、一部の色彩配列コードが対象物の陰に隠れるため、読み取り対象の色彩配列コードがキャプチャカメラの読み取り可能な方向に正対するとは限らない。
そこで、本件発明の発明者がすでに出願している特許出願(特願2008−231481号)に係る発明を、本実施の形態におけるチューブタグに応用することも好ましい。
この特許出願(特願2008−231481号)には、所定の色彩が付されたセルをm個並べてなるコードシンボル(コードを形成する色彩配列)が繰り返し連続的に配列されている場合に、それら繰り返されたコードシンボルのうち、任意の位置のコードシンボルがすべて同じデータを表現することを特徴とするコードシンボルが記載されている。
このコードシンボルを付した色彩配列部材を、本実施の形態における図8や9中のチューブに挿入すれば、キャプチャカメラに正対する位置に、少なくとも1つのコードシンボルが位置する。従って、キャプチャカメラは、その読み取り可能な位置にあるコードシンボルからデータを読み取れるので、読み取り操作が大幅に簡略化される。
上記利用例4のチューブタグの作成例
上記利用例4で挙げたチューブタグは、図11(1)に示されるように、非常に長いチューブタグ60をカットして作成される。このチューブタグ60は、非常に長いチューブに、上記特許出願(特願2008−231481号)に開示された色彩配列を構成する色彩配列部材を連綿と挿入したものである。このチューブタグ60を任意の位置でカットして作成する。
図11(2)には、このカットしたチューブタグ62を物体64に巻き付けた例が示されている。このカットされたチューブタグ62は、任意の位置から開始される色彩配列コードがすべて同一のデータを示す。ただし、コードシンボル1つ当たりのセル数(色彩を付した領域の数)は一定である。
本例の作成方法は、チューブタグの製作において、量産効果的に有利である。
【符号の説明】
【0030】
10 色彩物
12 色彩配列コード
14 チューブ
16 チューブタグ
18 背景
20 キャプチャ画面
22 色彩配列コード
24 Qz
26 ビーズ
28 糸
30 色彩部材
32 チューブ
34 線状部材
36 チューブ
38 色彩配列シート
40 チューブ
42 板状体
44 色彩部材
46 チューブタグ
48 人
50 キャプチャカメラ
52 チューブタグ
54 棒状部材
56 チューブタグ
58 商品
60 チューブタグ
62 チューブタグ
64 物体
A、B 光路
a、b 距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部を有する半透明のチューブと、
前記孔部に整列挿入された複数個の色彩物と、を含み、
前記各色彩物には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、
前記複数個の色彩物の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項2】
孔部を有する半透明のチューブと、
前記孔部に挿入された一連の複数個の色彩物と、を含み、
前記色彩物は孔部を有する有孔体であり、前記有孔体の前記孔部に糸状体が通されることにより前記複数の有孔体が一連になっており、
かつ、前記各有孔体には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、
前記一筋に連なったの有孔体の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項3】
孔部を有する半透明のチューブと、
前記孔部に挿入された線状部材と、を含み、
前記線状部材には、色彩配列コードを表す所定の色彩が付されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項4】
孔部を有する半透明のチューブと、
前記孔部に挿入された色彩配列シートと、を含み、
前記色彩配列シートには、色彩配列コードを表す所定の色彩が付されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項5】
請求項1に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩物とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項6】
請求項2に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩物と、前記糸状体とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項7】
請求項3に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記線状部材とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項8】
請求項4に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩シートとが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載のチューブタグにおいて、
前記色彩配列コードの所定のパターンが繰り返し連続的に配列されており、
前記色彩配列中の任意の位置から開始される前記色彩配列コードが、同一のデータを表すことを特徴とするチューブタグ。
【請求項1】
孔部を有する半透明のチューブと、
前記孔部に整列挿入された複数個の色彩物と、を含み、
前記各色彩物には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、
前記複数個の色彩物の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項2】
孔部を有する半透明のチューブと、
前記孔部に挿入された一連の複数個の色彩物と、を含み、
前記色彩物は孔部を有する有孔体であり、前記有孔体の前記孔部に糸状体が通されることにより前記複数の有孔体が一連になっており、
かつ、前記各有孔体には、色彩配列コードを表す所定の色彩が1種類付されており、
前記一筋に連なったの有孔体の並びによって前記色彩配列コードが構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項3】
孔部を有する半透明のチューブと、
前記孔部に挿入された線状部材と、を含み、
前記線状部材には、色彩配列コードを表す所定の色彩が付されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項4】
孔部を有する半透明のチューブと、
前記孔部に挿入された色彩配列シートと、を含み、
前記色彩配列シートには、色彩配列コードを表す所定の色彩が付されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項5】
請求項1に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩物とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項6】
請求項2に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩物と、前記糸状体とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項7】
請求項3に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記線状部材とが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項8】
請求項4に記載のチューブタグにおいて、前記チューブと、前記色彩シートとが、柔軟な素材により構成されていることを特徴とするチューブタグ。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載のチューブタグにおいて、
前記色彩配列コードの所定のパターンが繰り返し連続的に配列されており、
前記色彩配列中の任意の位置から開始される前記色彩配列コードが、同一のデータを表すことを特徴とするチューブタグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−95954(P2011−95954A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248551(P2009−248551)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(506226175)ビーコア株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(506226175)ビーコア株式会社 (39)
【Fターム(参考)】
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