説明

チューブマウント構造

【課題】本発明は、チューブを保持する保持板に設けたボールプランジャのボールをチューブの周面に当接させて、各チューブの確実な保持を行うことを目的とする。
【解決手段】本発明によるチューブマウント構造は、各保持孔(4,5)に対応して保持板(2,3)に形成されたねじ穴(20,21)と、前記各ねじ穴(20,21)に螺入されたボールプランジャ(24)と、前記各ボールプランジャ(24)のボール(22)がスプリングにより各チューブ(13,14)の周面に当接する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブマウント構造に関し、特に、チューブの周面にボールプランジャを当接させることにより、鍔の有無に拘わらず、チューブを所定位置に固定し、分注を確実に行うことができるようにするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のチューブマウント構造としては、例えば、特許文献1に開示されている構成を挙げることができるが、具体的には図3から図10で示される構成が採用されていた。
すなわち、図3において符号1で示されるものは、上部開放型の箱体であり、この箱体1内には一対の第1、第2保持板2,3が並設されている。
【0003】
前記第1保持板2には、その長手方向に沿って複数の第1保持孔4が形成され、前記第2保持板3には、その長手方向に沿って複数の第2保持孔5が所定の間隔で形成されている。
【0004】
次に、図4は図3の断面構造を示すもので、前記箱体1の底面10には、前記第1、第2保持孔4,5に対応して第1、第2保持凹部11,12が形成されている。
前記各第1保持孔4に挿入して設けられ図8〜図10で示される第1チューブ13の下端部13Aは前記第1保持凹部11内に係合して位置決めされ、前記各第2保持孔5に挿入して設けられ図5から図7で示される第2チューブ14の下端部14Aは前記第2保持凹部12内に係合して位置決めされている。
【0005】
前記第2保持板3の近傍位置には、この第2保持板3と一部が重合する状態で押え板15が設けられ、この押え板15の両端は、前記底面10上に植設された一対の柱16とねじ体17によって保持されている。
前記押え板15の一側に形成された各凹溝15aは、前記第2チューブ14の周面の一部で各鍔部14a,14b間に係合し、各第2チューブ14の上部を支持している。
【0006】
【特許文献1】特開2006−194671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のチューブマウント構造は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、各保持板の各保持孔に保持された各チューブは垂直に支持されていないと、試薬を吸入/吐出する際に分注装置のノズルがチューブ内に入れない等の支障を起こすことがあるため、図4のように、押え板を用いて第2チューブの上部の鍔部を押えなければならず、各チューブを交換する場合には、この押え板を外す必要があり、チューブの脱着には時間と労力を必要としていた。
また、この押え板を用いないで支持する第1チューブの場合には、鍔部を用いていないため、第1保持孔と第1チューブとの位置決めが十分ではなく、第1チューブを垂直に保持することは極めて困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるチューブマウント構造は、箱体内に設けられ複数の保持孔を有する長手形状の保持板と、前記箱体の底面に形成された保持凹部と、前記保持孔を貫通して設けられたチューブとを備え、前記チューブの下端部は前記保持凹部に係合されているチューブマウント構造において、前記各保持孔に対応して前記保持板に形成されたねじ穴と、前記ねじ穴に螺合されたボールプランジャとを備え、前記ボールプランジャの先端のボールが、前記ボールプランジャ内のスプリングにより、前記チューブの周面に当接するようにした構成であり、また、前記保持板は、複数個並列に設けられている構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるチューブマウント構造は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、チューブの周面にボールプランジャの先端のボールをスプリングの付勢によって押付けているため、チューブに対して摩擦抵抗が発生し、ある一定の挿抜方向の力に対してチューブが移動しにくく、チューブの垂直な保持を達成することができる。
また、ボールプランジャはねじで固定されているため、ねじ込み量を調整することにより、容易に摩擦力の調整を行うことができる。
また、チューブの周面にボールプランジャが当接しているため、鍔の有無に関係なくチューブの確実な固定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、チューブの周面にボールプランジャを当接させることにより、鍔の有無に拘わらず、チューブを所定位置に固定し、分注を確実に行うことができるようにしたチューブマウント構造を提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明によるチューブマウント構造の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
図1において符号1で示されるものは、上部開放型の箱体であり、この箱体1内には一対の第1、第2保持板2,3が並設されている。
【0012】
前記第1保持板2には、その長手方向に沿って複数の第1保持孔4が形成され、前記第2保持板3には、その長手方向に沿って複数の第2保持孔5が所定の間隔で形成されている。
【0013】
次に、図2は図1の断面構造を示すもので、前記箱体1の底面10には、前記第1、第2保持孔4,5に対応して第1、第2保持凹部11,12が形成されている。
前記各第1保持孔4に挿入して設けられた第1チューブ13の下端部13Aは前記第1保持凹部11内に係合して位置決めされ、前記各第2保持孔5に挿入して設けられた第2チューブ14の下端部14Aは前記第2保持凹部12内に係合して位置決めされている。
【0014】
前記各保持板2,3内に形成されたねじ孔20,21内には、周知の構造、すなわち、ボール22とスプリング(図示せず)とねじ部23とからなるボールプランジャ24が螺合されている。
【0015】
前記各保持板2,3に形成された各ねじ穴20,21は、各保持板2,3の面と平行な方向に形成され、各ボールプランジャ24のボール22が各チューブ13,14の周面13B,14Bに当接して、各チューブ13,14が各保持孔4,5内に確実に位置決めかつ保持されている。
【0016】
前述の場合、各チューブ13,14の周面13B,14Bのボールプランジャ24のボール22をスプリング(図示せず)の付勢によって押付けているため、各チューブ13,14に対して十分な摩擦抵抗が発生し、ある一定の挿抜方向の力に対して各チューブ13,14が移動しにくく、各チューブ13,14の垂直な保持を達成することができる。
【0017】
また、ボールプランジャ24はねじ部23で固定されているため、このねじ部23のねじ込み量を調整することにより、容易に摩擦力の調整を行うことができる。
また、各チューブ13,14の周面13B,14Bにボールプランジャ24が当接しているため、各鍔部14a,14bの有無に関係なく各チューブ13,14の確実な固定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるチューブマウント構造を示す平面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】従来の構成を示す平面図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】本発明及び従来の複数のチューブを示す平面図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】本発明及び従来の他の複数のチューブを示す平面図である。
【図9】図8の正面図である。
【図10】図9の側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 箱体
2 第1保持板
3 第2保持板
4 第1保持孔
5 第2保持孔
10 底面
11 第1保持凹部
12 第2保持凹部
13 第1チューブ
13A,14A 下端部
13B,14B 周面
14 第2チューブ
14a,14b 鍔部
20,21 ねじ穴
22 ボール
23 ねじ部
24 ボールプランジャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体(1)内に設けられ複数の保持孔(4,5)を有する長手形状の保持板(2,3)と、前記箱体(1)の底面(10)に形成された保持凹部(11,12)と、前記保持孔(4,5)を貫通して設けられたチューブ(13,14)とを備え、
前記チューブ(13,14)の下端部(13A,14A)は前記保持凹部(11,12)に係合されているチューブマウント構造において、
前記各保持孔(4,5)に対応して前記保持板(2,3)に形成されたねじ穴(20,21)と、前記ねじ穴(20,21)に螺合されたボールプランジャ(24)とを備え、
前記ボールプランジャ(24)の先端のボール(22)が、前記ボールプランジャ(24)内のスプリングにより、前記チューブ(13,14)の周面(13B,14B)に当接するように構成したことを特徴とするチューブマウント構造。
【請求項2】
前記保持板(2,3)は、複数個並列に設けられていることを特徴とする請求項1記載のチューブマウント構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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