説明

チューブリンインヒビターおよびその調製のためのプロセス

本発明は、癌の治療に有用なチューブリン阻害剤である、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩および当該ヘミフマル酸塩を産生するプロセスを提供する。1つの実施形態において、本発明は、有効な量の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を投与することによって、哺乳類において癌性腫瘍細胞の増殖および関連する疾患を治療または阻害する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年6月13日に出願された、米国仮特許出願番号第60/690016、および2006年5月24日に出願された米国仮特許出願(出願番号不明)の利益を主張する(これらの出願は、その全体が本明細書に参考として援用される。)。
【0002】
発明の分野
本発明は、癌の治療に有用なチューブリンインヒビターである、5−[(トリ置換)フェニル]−ピラジニルピリミジン化合物およびその調製のプロセスに関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
当該分野において、癌治療に使用するための細胞毒性薬剤の必要性が依然として存在する。微小管阻害薬は、抗癌剤の主なカテゴリーである(V.T.Devita,Jr.、S.Hellman、およびS.A.Rosenberg(編)、Cancer Principles and Practice、第6版、431−452頁、Philadelphia:Lippincott Williams and Wilkins、2001における、Rowinsky,E.K.およびTolcher,A.W. Antimicrotubule agents(非特許文献1))。微小管阻害薬は、細胞微小管、特に紡錘体の機能に干渉することによって作用する。正常な紡錘体機能の崩壊は、アポトーシス細胞死を引き起こす。
【0004】
多くの腫瘍は、生得的に耐性である(例えば大腸癌)、または少なくとも部分的には、薬剤を細胞外にくみ出し、そしてそれによってその有効性を減少させる、癌細胞膜にある薬剤トランスポーターの発現のために、複数回の治療後に耐性になる(Gottesman,M.M. Mechanisms of cancer drug resistance、Annu.Rev.Med.、53:615−627、2002(非特許文献2))。これらのトランスポーターのうち最もよく知られたものは、P−糖タンパク質である。よって、P−糖タンパク質または他のそのようなポンプの基質ではなく、そして従って患者におけるタキサン耐性のこの原因を克服する、微小管の重合に対してタキサン様の効果を有する新しい薬剤の必要性が存在する。
【0005】
よって、新規の臨床的候補に関する進行中の研究が存在する。それらの選択された臨床的候補の調製の新規および改善された方法に関する探索も存在する。
【0006】
殺菌剤として以下の一般式を有する5−フェニルピリミジンの調製および使用が、国際公開第02/074753号パンフレット(特許文献1)において開示される。
【0007】
【化21】

殺菌性の活性物質として以下の一般式を有する4−アミノ−2−(ピリン−2−イル)ピリミジンの調製および使用が、米国特許出願公開第2003/0092718号明細書(特許文献2)において開示される。
【0008】
【化22】

米国特許出願公開第2005−0075357号明細書(特許文献3)は、抗癌剤として5−アリールピリミジンを記載する。その参考文献は、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンおよびその塩酸塩を開示する。塩酸塩は、非常に吸湿性であるという不都合を有することが見出された。
【0009】
本発明は、その塩酸塩の吸湿性の不都合を克服する。
【特許文献1】国際公開第02/074753号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0092718号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005−0075357号明細書
【非特許文献1】V.T.Devita,Jr.、S.Hellman、およびS.A.Rosenberg(編)、Cancer Principles and Practice、第6版、431−452頁、Philadelphia:Lippincott Williams and Wilkins、2001における、Rowinsky,E.K.およびTolcher,A.W. Antimicrotubule agents
【非特許文献2】Gottesman,M.M. Mechanisms of cancer drug resistance、Annu.Rev.Med.、53:615−627、2002
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンのヘミフマル酸塩の選択は、塩酸塩に伴う吸湿性の性質の不都合を、本質的に回避するという予期しない発見に基づく。
【0011】
本発明は、1つの実施態様において、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩に関する。
【0012】
本発明の別の実施態様において、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の調製のためのプロセスが提供される;そのプロセスは:
非プロトン溶媒中の式
【0013】
【化23】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを、アルコール中のフマル酸と反応させて、当該ヘミフマル酸塩を得ることを含む。
【0014】
さらなる実施態様において、本発明はまた、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の調製のためのプロセスに関する;
そのプロセスは、以下の工程を含む:
a.ピラジン−2−カルボニトリルを、塩基Aとアルコール中で反応させ、そして無機酸のアンモニウム塩で処理してピラジン−2−カルボキサミジン無機酸塩を得ること;
b.ピラジン−2−カルボキサミジン無機酸塩を、塩基の存在下で、非プロトン溶媒中で、式
【0015】
【化24】

のマロン酸エステルと反応させること、ここでRおよびRは独立にC−Cアルキルである、および酸性化して式
【0016】
【化25】

の2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールを得ること;
c.非プロトン溶媒中で、アミン塩基の存在下で、塩素化試薬としてオキシ塩化リン(POCl)で、2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールを塩素化して、式
【0017】
【化26】

の4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンを得ること;
d.非プロトン溶媒中で、4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンを、式
【0018】
【化27】

を有する(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミンと反応させて、式
【0019】
【化28】

を有する6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを得ること;
e.非プロトン溶媒中で、3−メチルアミノ−プロパン−1−オールを塩基Bと反応させ、そして6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを加えて、式
【0020】
【化29】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを得ること;および
f.非プロトン溶媒中で、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを、アルコール中のフマル酸と反応させて、当該ヘミフマル酸塩を得ること。
【0021】
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンは、S−{6−クロロ−5−[2,6−ジフルオロ−4−(3−メチルアミノ−プロポキシ)−フェニル]−2−ピラジン−2−イル−ピリミジン−4−イル}−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチル)−アミンとも呼び得る。
【0022】
特に、本発明の実施態様は、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の調製のためのプロセスであり、それは以下の工程を含む:
a.ピラジン−2−カルボニトリルを、メチルアルコール中でナトリウムメトキシドと反応させ、そして塩化アンモニウムで処理してピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩を得ること;
b.炭酸カリウムの存在下で、ジグリム中でピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩を、式
【0023】
【化30】

のマロン酸ジエチルエステルと反応させ、そして酸性化して、式
【0024】
【化31】

の2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールを得ること;
c.2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールを、トルエン中のN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、オキシ塩化リンでハロゲン化して、式
【0025】
【化32】

の6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンを得ること;
d.6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンを、1−メチル−2−ピロリジノン中で、式
【0026】
【化33】

を有する(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミンと反応させて、式
【0027】
【化34】

の6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを得ること;
e.アミノアルコールHO−(CH−NHCHを、テトラヒドロフラン中でカリウムt−ブトキシドと反応させ、そして6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを加えて、式
【0028】
【化35】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを得ること;
f.酢酸エチル中の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを、エチルアルコール中のフマル酸と反応させて、当該ヘミフマル酸塩を得ること。
【0029】
本発明の特定の実施態様は、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の調製のためのプロセスであり、そのプロセスは以下の工程を含む:
a.アミノアルコールHO−(CH−NHCHを、テトラヒドロフラン中でカリウムt−ブトキシドと反応させ、そして式
【0030】
【化36】

の6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを加えて、式
【0031】
【化37】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを得ること;
b.エチルアルコール中のフマル酸溶液を、酢酸エチル中の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミン溶液に加えて、当該ヘミフマル酸塩を得ること、および
c.当該ヘミフマル酸塩を単離すること。
【0032】
好ましくは、酢酸エチル対エチルアルコールの比は1:1V/Vである。
【0033】
本発明の化合物を含むあらゆる化合物の絶対配置を、従来のX線結晶解析によって決定し得る。
【0034】
本発明は、癌治療において有用である6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩、および当該ヘミフマル酸塩を合成する方法を提供する。
【0035】
本発明は、哺乳類において、有効な量の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を投与することによって、癌性腫瘍細胞および随伴する疾患を治療または増殖を阻害する方法を提供する。
【0036】
本発明はさらに、薬剤学的に許容可能な担体と共に、有効な量の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を含む医薬品組成物を提供する。
【0037】
本発明はさらに、以下を含むプロセスによって産生された、化合物6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を提供する:
a.環境温度において、アミノアルコールHO−(CH−NHCHを、テトラヒドロフラン中でカリウムt−ブトキシドと反応させ、そして式
【0038】
【化38】

の6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを加えて、式
【0039】
【化39】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを得ること;
b.エチルアルコール中のフマル酸溶液を、酢酸エチル中の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミン溶液に加えて、当該ヘミフマル酸塩を得ること、および
c.当該ヘミフマル酸を単離すること。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
定義
アルキルという用語は、1から3炭素原子の直鎖または分岐アルキルを意味する。
【0041】
ハロゲン化剤は、塩素化剤、オキシ塩化リン(POCl)を意味する。
【0042】
非プロトン溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノンおよびジグリムを含む。本発明のいくつかの実施態様において、非プロトン溶媒はさらに、テトラヒドロフラン(THF)またはトルエンを含む。本発明のさらなる実施態様において、非プロトン溶媒は、トルエンおよび酢酸エチルを含む。
【0043】
アルカリ金属水素化物は、リチウム、カリウム、またはナトリウム水素化物を含む。
【0044】
アルカリ金属アルコキシドは、リチウム、カリウム、またはナトリウムアルコキシドを含む。本発明のいくつかの実施態様において、アルカリ金属アルコキシドは、カリウムt−ブトキシドを含む。
【0045】
アルコールは、メチル、エチルおよびイソプロピルアルコールを含む。
【0046】
塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、およびアルカリ金属水素化物から選択される。本発明のいくつかの実施態様において、アルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウムまたはカリウムである。好ましい実施態様は、炭酸カリウムである。
【0047】
塩基Aは、アルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ金属水酸化物である。
【0048】
塩基Bは、アルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ金属水素化物である。本発明のいくつかの実施態様において、アルカリ金属アルコキシドは、好ましくはカリウムt−ブトキシドであり、そしてアルカリ金属水素化物は、好ましくはナトリウム水素化物である。
【0049】
アミン塩基は、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBU)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、およびトリエチルアミンから選択される。
【0050】
無機酸のアンモニウム塩は、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、および硝酸アンモニウムを含む。
【0051】
無機酸塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩および硝酸塩を含む。
【0052】
発明の詳細な説明
本発明の反応スキーム1は、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩(I)を調製するプロセスを説明する。
【0053】
【化40】

スキーム1、工程aによって、ピラジン−2−カルボニトリル1を、アルコール溶媒、好ましくはメチルアルコール中で、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシドから選択される塩基A、好ましくはナトリウムメトキシド、およびより好ましくは約1:1(モル/モル)の比におけるナトリウムメトキシドの存在下で、約20−40℃の温度範囲、好ましくは約28−32℃の範囲で、約3−12時間、好ましくは4−5時間の範囲で反応させ、続いて無機酸のアンモニウム塩、例えば塩化アンモニウムで、約16−48時間の期間、好ましくは20−24時間の範囲で約25℃で、または任意で約3−6時間還流して処理する。メチルt−ブチルエーテルを加え、そして混合物を約15−30分間攪拌し、そして形成した固体をろ過によって回収し、メチルt−ブチルエーテルで洗浄し、次いで約40℃の減圧下で乾燥して、ピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩2を白色固体として得る。任意で還流後、揮発性物質を残渣まで除去して、そしてその残渣をエタノール−ジエチルエーテルから結晶化し、そしてその産物を回収する。特に、記載された手順は、当該技術と比較してより高い収率を有する(S.Kushnerら、J.Amer.Chem.Soc.、74、3617−3621(1952)および公開特許出願US2005−0075357A1)。
【0054】
スキーム1、工程bにおいて、RおよびRが独立に1から3炭素原子のアルキル、好ましくはエチルである、2−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−マロン酸ジエステル3を、ピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩2と、約1:1から1:1.5モル/モルの比、好ましくは1:1.2モル/モルの範囲で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、およびアルカリ金属水素化物から選択される塩基、または任意で1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBU)、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびトリエチルアミンから選択されるアミン塩基の存在下で、非プロトン溶媒中で反応させて、2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオール4を形成する。好ましい実施態様において、塩基はアルカリ金属炭酸塩である。より好ましい実施態様において、塩基はジグリム中1:1.2モル/モルの比の炭酸カリウム、またはあるいは1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)中1:2モル/モルの比のDBUである。好ましい実施態様において、2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオール4を形成するために、約80℃から180℃の温度範囲で、好ましくは炭酸カリウムを含むジグリム中で120−140℃、および好ましくはDBUを含むNMP中で約95℃で、約3−10時間、好ましくは4−6時間の範囲で、非プロトン溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)および2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)から、より好ましくはジグリムおよびNMPから選択される。炭酸カリウムを含むジグリム中の反応混合物を、25−30℃に冷却し、水を加え、続いて酢酸、続いて水性HClまたは他の鉱酸を約1−3、好ましくは約2−3のpHまで加えて固体を形成し、それをろ過、水で洗浄および任意でイソプロピルアルコールでそれぞれ洗浄する。その固体を、約60℃/0−10mmHgで約24時間乾燥し、2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオール4を固体として得て、それを次の工程で直接使用する。
【0055】
非プロトン溶媒NMPを含むアミン塩基DBUの第2の条件下の反応混合物を、約50℃に冷却し、そして水性HClを加えて固体を形成し、それをろ過および水で洗浄する。その固体を約60℃/0−10mmHgで約24時間乾燥し、2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオール4を固体として得て、それを次の工程で直接使用する。
【0056】
スキーム1、工程cによって、非プロトン溶媒、好ましくはトルエン(g/ml)中の、2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオール4の、好ましくは5−15部、より好ましくは5−10部、最も好ましくは7部の混合物に、オキシ塩化リンを約10−15℃でゆっくりと加える。オキシ塩化リンを完全に加えた後に、約1:1から1:5、好ましくは1:4の範囲のモル比で、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを、約10−15℃でゆっくりと加え、そしてその混合物を加熱して約6から24時間、好ましくは約6時間還流する。蒸留によって揮発性物質を残渣まで除去し、それをさらにトルエンで好ましくは2回蒸留してさらなる残渣を得る。そのさらなる残渣を、酢酸エチル、ジクロロメタン、およびトルエンから選択される溶媒、好ましくは酢酸エチルに溶解し、次いで温度を約5−15℃の間に保ったまま水に注ぐことによって分配する。溶媒層は分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして珪藻土のようなフィルターエイド(aid)の束を通して、または含水珪酸マグネシウムを通してろ過し、そしてほとんどの揮発性物質は残渣まで除去され、それにヘプタンに加えて沈殿産物を形成する。沈殿産物4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン5を回収し、そして高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって示されるように、>95%の純度を有する。さらに、4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン5が形成され、そしてクロマトグラフィー無しで単離される。
【0057】
スキーム1、工程dにおいて、非プロトン溶媒、好ましくは1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)中、1gの4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン5あたり1−10mLのNMP、好ましくは1gの4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン5あたり1−5mLのNMP、最も好ましくは1gの4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン5あたり1mLのNMPの比における、4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン5の溶液を、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミン6に、4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン5対(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミン6の比が1:2−1:3(モル/モル)、好ましくは1:2.5(モル/モル)で、24−48時間、好ましくは約24時間かけて攪拌しながら、約90−125℃の温度範囲で、より好ましくは約110℃で約24時間加える。本発明の任意の実施態様において、反応を密封して(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミン6の損失を防ぐ。反応混合物を、イソプロピルアルコール(IPA)で、約1:1−1:5、好ましくは約1:3のIPA対NMP(V/V)で希釈し、次いで水を攪拌しながら約10−20℃で、約1:1−1:5(v/v)、好ましくは約1:3のNMP対水(v/v)の比で加え、約30分間さらに攪拌し、そして回収し、クロマトグラフィーの必要はなく、固体産物を、水で洗浄し、そして乾燥して6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリミジン−4−アミン7を得る。本発明の好ましい実施態様において、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)中の4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンを、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミンで、約110℃で約24時間処理し、そして反応混合物をIPAで希釈し、次いで水1:3(v/v)をゆっくりと加えて沈殿産物を形成する。沈殿産物をろ過し、水で洗浄し、そして乾燥して92%の収率で、96%のHPLC純度および>99%超の鏡像体過剰率を有する固体産物を得る。その産物6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリミジン−4−アミン7を、クロマトグラフィーの必要なく回収する。
【0058】
スキーム1、工程eにおいて、アルカリ金属アルコキシドから選択される塩基B、好ましくはカリウムt−ブトキシドの溶液、またはアルカリ金属水素化物、好ましくはナトリウム水素化物(鉱油中60%)の非プロトン溶媒、好ましくは無水テトラヒドロフラン(THF)、任意でジメチルスルホキシド(DMSO)中の懸濁液に、アミノアルコールHO−(CH−NHCHを1滴ずつ、約10−40℃の温度範囲で、好ましくは約23℃で約30分間加え、ここで非プロトン溶媒対アミノアルコールの比は、好ましくは1gのアミノアルコールHO−(CH−NHCHあたり約5mLのTHFである。好ましくは1gあたり約2mLのTHFのTHF対6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリミジン−4−アミン7の比における、テトラヒドロフラン中の6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリミジン−4−アミン7の溶液を、約10−30分かけて加える。混合物を、23±2℃で約18−40時間、好ましくは約24時間攪拌する。反応混合物を、約5−15℃、好ましくは約10℃の冷たい水に、約14mL/gの水対6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリミジン−4−アミン7の比で加える。その反応混合物を、酢酸エチルまたはトルエンで抽出し、そして酢酸エチルまたはトルエン、好ましくは酢酸エチルの有機相を分離し、水で洗浄し、そして乾燥する。工程fにおいて、エタノール中のフマル酸の溶液を、有機相、好ましくは酢酸エチルに、1:1(V/V)のより好ましい比で加えて、薬剤学的に許容可能なヘミフマル酸塩を得て、それを回収する。全体の収率は80−90%であり、〜98%HPLCの純度である。任意で、工程eおよびfを、単一の工程に組み合わせ得る。
【0059】
薬剤学的に許容可能な担体に付随する、またはそれと組み合わせた、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を含む医薬品組成物も、本発明によって提供される。さらに、本発明は、その必要がある哺乳類において、腫瘍を治療、その増殖を阻害、または根絶する方法を提供し、ここで当該腫瘍は、少なくとも1つの化学療法剤に対して耐性であり、それは当該哺乳類に有効な量の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を投与することを含む。
【0060】
採用される6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の有効な投与量は、投与の方式および治療される状態の重症度に依存して変動し得る。しかし、一般的に1日あたり約0.10から約100mg/kg体重の範囲の量で投与した場合、良好な結果が得られる。最適な結果のために好ましいレジメは、1日あたり約1mgから約20mg/kg体重であり、そして約70kgの体重のヒト患者に関して、全部で約70mgから約1400mgの6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を、24時間の間に投与するような投与量単位を採用する。
【0061】
投与レジメを調整して、最適な治療反応を提供し得る。例えば、いくつかの分割した投与量を毎日投与し得る、または治療状況の緊急性によって示されるように、比例的に投与量を減少させ得る。決定的に実用的な利点は、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩は、経口、静脈内、筋肉内、または皮下経路のような、あらゆる簡便な方法において投与し得ることである。
【0062】
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を、例えば不活性の希釈剤、または同化できる食用の担体と共に経口投与し得る、またはそれらをハードまたはソフトシェルのゼラチンカプセル中に封入し得る、または錠剤に圧縮し得る、またはそれらを食事の食物に直接組み入れ得る。経口治療投与に関して、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を、賦形剤と共に組み入れ、そして摂取可能な錠剤、頬側錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハ等の形式で使用し得る。そのような組成物および調製物は、少なくとも0.1%の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を含む。もちろん、組成物および調製物のパーセンテージは変動し得、そして都合のよいことに単位重量の約2%から約60%の間であり得る。そのような治療的に有用な組成物中の、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の量は、適当な投与量が得られるような量である。本発明による、好ましい組成物または調製物は、経口投与量単位形式が、10および1000mgの間の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を含むように調製される。
【0063】
錠剤、トローチ、丸剤、カプセル等はまた、以下のものを含み得る:トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチンのような結合剤;リン酸ジカルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギニン酸等のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;およびスクロース、乳糖、またはサッカリンのような甘味料、またはペパーミント、冬緑油またはチェリー味のような香料。投与量単位形式がカプセルである場合、上記の型の物質に加えて、液体担体を含み得る。様々な他の物質が、コーティングとして、または他の方法で投与量単位の物理的形式を修飾するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルを、セラック、糖または両方でコーティングし得る。シロップまたはエリキシルは、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩、甘味料としてスクロース、保存料としてメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジ味のような香料を含み得る。もちろん、あらゆる投与量単位形式を調製するのに使用されるあらゆる物質は、薬剤学的に純粋であり、使用される量で実質的に無毒性であるべきである。
【0064】
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩をまた、非経口的または腹腔内に投与し得る。溶液または懸濁液を、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適当に混合した水中で調製し得る。分散剤をまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、および油中のその混合物中で調製し得る。通常の保存および使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために保存料を含む。
【0065】
注射可能な使用のために適当な医薬品形式は、滅菌水性溶液または分散剤および滅菌注射溶液または分散剤を即時調製するための滅菌粉末を含む。全ての場合において、その形式は滅菌でなければならず、そして容易な注入可能性が存在する程度まで流動性でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の混入作用に対抗して調製しなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、その適当な混合物、および植物油を含む、溶媒または分散媒であり得る。
【0066】
静脈内投与は、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の好ましい投与方法である。静脈内投与に関して、制限しない適当な担体の例は、生理的食塩水、静菌性の水、CremophorELTM(BASF、Parsippany、N.J.)、またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。その組成物は、滅菌でなければならず、そして容易な注入可能性が存在する程度まで流動性でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の混入作用に対抗して保存しなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)、およびその適当な混合物を含む、溶媒または分散媒であり得る。微生物の活動の予防を、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成し得る。多くの場合において、等張性薬剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。注射組成物の吸収の延長を、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含むことによって引き起こし得る。
【0067】
以下の実施例は、本発明のある実施態様を説明するために示されるが、本発明の範囲を制限すると解釈されない。
【実施例】
【0068】
実施例1
ピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩
メタノール(3800ml)中のナトリウムメトキシド(NaOCH)(51.4g、0.952モル)の溶液に、シアノピラジン(1.00KG、9.53モル)を室温でゆっくりと加える。その混合物を30℃に加熱し、そして6時間攪拌する。その混合物を25℃に冷却し、続いて塩化アンモニウム(NHCl)(572g、10.5モル)を加える。反応混合物を22時間攪拌し、そしてメチルt−ブチルエーテル(4000mL)を加え、そしてその混合物を15分間攪拌して固体を形成する。その固体をろ過およびメチルt−ブチルエーテル(2×1000mL)で洗浄し、次いで40℃/0−10mmHgで17時間乾燥して、95%のHPLC純度を有する白色の固体産物を95%の収率で得る(1435g)。H NMR(DMSO−D):d 9.7(bs,3H),9.49(d,1H,J=1.5 Hz),9.04(m,1H),8.93(t,1H,J=1.5 Hz)
【0069】
実施例2
2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオール
2−メトキシエチルエーテル(ジグリム、600mL)中の2−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−マロン酸ジエチルエステル(200g、0.67モル)、ピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩(132g、0.828モル)および炭酸カリウム(114g、0.828モル)の混合物を、120℃まで加熱し、そして4時間攪拌し、次いで140℃まで加熱し、そしてさらに2時間攪拌する。混合物を室温(25−30℃)まで冷却し、そして水(1200mL)を約15分かけて加える。酢酸(50g)を15分かけて加え、そして82mlの濃縮HClを15分かけて加え、そして混合物を約2−3のpHで、室温で約15分間攪拌する。固体をろ過し、そして水(2×400mL)およびイソプロピルアルコール(IPA)(400mL)で洗浄し、そして60℃/10mmHgで24時間乾燥して、95%HPLC純度を有する白色固体を69%の収率で得る。H NMR(DMSO−d):d 12.45(bs,2H),9.41(s,1H),8.91(s,1H),8.46(m,1 H),7.23(m,2H).
【0070】
実施例3
2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオール
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU;14.4g、0.0944モル)を、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP;50mL)溶媒中の、2−(2,4,6−トリフルオロフェニル)マロン酸ジエチルエステル(14.3g、0.0472モル)およびピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩(9.00g、0.0566モル)の混合物に加える。できた混合物を、7時間攪拌しながら、95℃に加熱する。混合物を約50℃に冷却し、そして次いでHCl溶液(37%、5.6mL)を1滴ずつ加え、温度を50℃より低く維持する。混合物を次いで約20℃に冷却する。水(50mL)を20分かけて1滴ずつ加え、産物を混合物から固体として沈殿させる(20−25℃)。その固体をろ過によって回収し、そして産物の塊を水(300mL)で洗浄する。固体を23℃で、気圧下で24時間乾燥させ、黄色の固体を得る(11.5g、97%HPLCエリア、76%収率)。H NMR(DMSO−d):d 12.45(bs,2H),9.41(s,1H),8.91(s,1H),8.46(m,1 H),7.23(m,2H).
【0071】
実施例4
4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン
トルエン(1600mL)中の2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオール(228g、0.713モル)の混合物に、オキシ塩化リン(682mL)を、10−15℃で30分かけて加える。混合物を10℃に冷却し、そしてジイソプロピルエチルアミン(367g、2.85モル)を、30分かけて1滴ずつ加え、そして次いで混合物を約6時間加熱して還流する。蒸留によって溶媒を残渣まで除去し、そして残渣をトルエンで蒸留する(2×500mL)。次いで、残渣を酢酸エチル(EtOAc)(1000mL)に溶解し、そして温度を5−15℃の間に保ちながら、できた混合物を水(3000g)に注ぐ。反応混合物を珪藻土の束を通してろ過する。有機相を分離し、そして水相をEtOAc(1000mL)で抽出する。あわせた有機相を水(1000mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、そして含水珪酸マグネシウムの束を通してろ過する。揮発性物質を乾燥するまで蒸留することによって除去して固体(234g、92%、95%HPLCエリア純度)を得る。H NMR(DMSO−D):9.56(d,1H,J=0.9 Hz),8.93(m,2H),7.60(m,2H).
【0072】
実施例5
6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミン
1−メチル−2−ピロリジノン(40mL)中の、4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン(40g、0.112モル)に、(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミン(31.6g、0.28モル)を加える。混合物を密封し、そして110℃まで過熱し、そして24時間攪拌する。反応混合物を室温まで冷却し、そしてIPA(120mL)で希釈し、そして水(120mL)を30分かけてゆっくり加えて固体を形成する。固体をろ過し、そして水(2×60mL)で洗浄して、6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを84%の収率で得て、そして98%のHPLC純度および>99%の鏡像体過剰率を有する。H NMR(DMSO−D):9.58(d,1H,J=1.1 Hz),8.85(m,2H),7.72(d,1H,J=8.8 Hz),7.49(m,2H),5.52(m,1H),1.35(d,3H,J=7.0 Hz).
【0073】
実施例6
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンおよびそのヘミフマル酸塩
無水テトラヒドロフラン(THF)(175mL)中のカリウムt−ブトキシド(KOt−Bu)(27.1g、0.242モル)の溶液に、3−メチルアミノ−プロパン−1−オール(18.5g、0.208モル)を、室温(23±2℃)で、30分かけて1滴ずつ加える。混合物を30分間攪拌し、続いてTHF(70mL)中の6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミン(35.0g、0.0806モル)を15分かけて加える。混合物を23時間攪拌する。温度を5−15℃の間に維持しながら、反応混合物を、冷却水(245mL)(5−15℃)に加える。反応混合物を、EtOAc(250mL)で抽出する。有機相を10%の塩化ナトリウム(NaCl)水性溶液で洗浄し、そして硫酸マグネシウム(MgSO)上で乾燥し、そしてろ過して6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを含むろ液を得る。
【0074】
エタノール(250mL)中のフマル酸(4.67g、0.0403モル)の溶液を、ろ液にゆっくりと加え、そして混合物を1時間攪拌する。固体産物をろ過し、エタノール(3×70mL)で洗浄し、そして25℃/10mmHgで20時間乾燥して、白色の固体を80%の収率および>99%のHPLCエリア純度および99% eeで得た。
【0075】
NMRは、酸対塩基の比が0.5対1であることを示す。H NMR(DMSO−D):d 9.57(d,1H,J=1.2 Hz),8.84(m,2H),7.71(d,1H,J=8.8 Hz),6.96(m,2H),6.40(s,1H,フマル酸二重結合上のプロトン),5.53(m,1H),4.16(t,2H,J=6.1),2.85(t,2H,J=7.1),2.45(s,3H),2.04(m,2H),1.37(d,J=7.1,3H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩。
【請求項2】
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の調製のためのプロセスであって、該プロセスは、以下:
非プロトン溶媒中の式
【化1】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンと、アルコール中のフマル酸とを反応させて、当該ヘミフマル酸塩を得ることを含む、プロセス。
【請求項3】
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の調製のためのプロセスであって、該プロセスは、以下:
a.ピラジン−2−カルボニトリルと、塩基Aとをアルコール中で反応させ、そして無機酸のアンモニウム塩で処理してピラジン−2−カルボキサミジン無機酸塩を得ること;
b.ピラジン−2−カルボキサミジン無機酸塩と、塩基の存在下で、非プロトン溶媒中で、式
【化2】

のマロン酸エステルとを反応させ、ここでRおよびRは独立にC−Cアルキルである、および酸性化して式
【化3】

の2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールを得ること;
c.非プロトン溶媒中で、アミン塩基の存在下で、塩素化試薬としてオキシ塩化リン(POCl)で、2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールを塩素化して、式
【化4】

の4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンを得ること;
d.非プロトン溶媒中で、4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンと、式
【化5】

を有する(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミンとを反応させて、式
【化6】

を有する6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを得ること;
e.非プロトン溶媒中で、3−メチルアミノ−プロパン−1−オールと塩基Bとを反応させ、そして6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを加えて、式
【化7】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを得ること;および
f.非プロトン溶媒中で、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンと、アルコール中のフマル酸とを反応させて、当該ヘミフマル酸を得ること
を含む、プロセス。
【請求項4】
工程aにおいて、前記アルコールはメタノールである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
工程aにおいて、前記無機酸のアンモニウム塩は塩化アンモニウムである、請求項3または4に記載のプロセス。
【請求項6】
工程aは、さらにメチルt−ブチルエーテルによる希釈およびピラジン−2−カルボキサミジン無機酸塩を回収することを含む、請求項3,4または5に記載のプロセス。
【請求項7】
工程aにおいて、前記塩基Aは、アルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ金属水酸化物から選択される、請求項3、4、5または6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記塩基Aはアルカリ金属アルコキシドである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記アルカリ金属アルコキシドは、ピラジン−2−カルボニトリルと約1:1のモル比のナトリウムメトキシドである、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
工程aは約20−40℃の温度で、約3−12時間行われる、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項3から10のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程aは約25℃の温度で、約16−48時間行われ、そしてメチルt−ブチルエーテルを加える、プロセス。
【請求項12】
請求項3から11のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程bにおいて、前記ピラジン−2−カルボキサミド無機酸塩 対 式
【化8】

のマロン酸エステルの比は、約1:1(モル/モル)から約1:1.5(モル/モル)である、プロセス。
【請求項13】
請求項3から12のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程bにおいて、前記塩基はアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属水素化物、または1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBU)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、およびトリエチルアミンから選択されるアミン塩基から選択される、プロセス。
【請求項14】
請求項12に記載のプロセスであって、前記ピラジン−2−カルボキサミド無機酸塩 対 式
【化9】

のマロン酸エステルの比は、約1:1.2(モル/モル)である、プロセス。
【請求項15】
前記塩基はアルカリ金属炭酸塩である、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記塩基は炭酸カリウムである、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
請求項3から16のいずれか1項に記載のプロセスであって、ここで工程bにおいて、前記非プロトン溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)および2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)から選択される、プロセス。
【請求項18】
請求項3から16のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程bにおいて、前記非プロトン溶媒は、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)であり、そして塩基は炭酸カリウムである、プロセス。
【請求項19】
請求項3から16のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程bにおいて、前記非プロトン溶媒は、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)であり、そして塩基はDBUである、プロセス。
【請求項20】
請求項3から19のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程bにおいて、ピラジン−2−カルボキサミド無機酸塩 対 式
【化10】

のマロン酸エステルの比は、1:1.2であり、ここで塩基はNMP中のDBUである、プロセス。
【請求項21】
請求項3から20のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程bはさらにpHを約1から3に調整することを含む、プロセス。
【請求項22】
pHを酢酸に続いて鉱酸で調整する、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
請求項3から22のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程bにおいて、前記反応を約80℃から約180℃の温度で、ジグリム中で行い、そして塩基は炭酸カリウムである、プロセス。
【請求項24】
請求項3から22のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程bにおいて、前記反応温度は、塩基DBUを含むNMP中で約95℃である、プロセス。
【請求項25】
請求項3から24のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程cにおいて、前記非プロトン溶媒はトルエンである、プロセス。
【請求項26】
請求項25に記載のプロセスであって、前記トルエンは、1gの2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールあたり約5−15mLである、プロセス。
【請求項27】
請求項3から24のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程cにおいてオキシ塩化リン(POCl) 対 N,N−ジイソプロピルエチルアミンのモル比は、約1:1から約1:5である、プロセス。
【請求項28】
請求項27の記載のプロセスであって、POCl 対 N,N−ジイソプロピルエチルアミンのモル比は、約1:4である、プロセス。
【請求項29】
請求項3から28のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程cにおいて、前記混合物を約6から24時間加熱して還流する、プロセス。
【請求項30】
請求項3から24のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程dにおいて、前記非プロトン溶媒は1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)である、プロセス。
【請求項31】
請求項30に記載のプロセスであって、1gの4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンあたりのNMP(ml)の比は、1gあたり約1−10mlである、プロセス。
【請求項32】
請求項31に記載のプロセスであって、1gの4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリミジンあたりのNMP(ml)の比は、約1−5ml/gである、プロセス。
【請求項33】
請求項3から32のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程dにおいて4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリミジン 対 (S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミンの比は、約1:2−1:3である、プロセス。
【請求項34】
請求項33に記載のプロセスであって、4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−ピリミジン 対 (S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミンの比は、約1:2.5であり、そしてその工程はさらに約90℃から約125℃で約24−48時間加熱することを含む、プロセス。
【請求項35】
請求項3から34のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程dを密封したシステムにおいて行う、プロセス。
【請求項36】
請求項3から35のいずれか1項に記載のプロセスであって、工程dにおいて、前記混合物を約10−20℃の水に、NMP 対 水(v/v)の比が約1:1−1:5で注ぐ、プロセス。
【請求項37】
前記NMP 対 水の比は約1:2(v/v)である、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
工程eにおいて、前記塩基Bはアルカリ金属アルコキシドである、請求項3から37のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項39】
前記アルカリ金属アルコキシドはカリウムt−ブトキシドである、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
工程eにおいて、前記非プロトン溶媒は無水テトラヒドロフラン(THF)またはジメチルスルホキシド(DMSO)である、請求項3から39のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項41】
工程fにおいて、前記非プロトン溶媒は酢酸エチルであり、そして前記アルコールはエチルアルコールである、請求項2から40のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項42】
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の調製のためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
a.ピラジン−2−カルボニトリルと、メチルアルコール中でナトリウムメトキシドとを反応させ、そして塩化アンモニウムで処理してピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩を得ること;
b.炭酸カリウムの存在下で、ジグリム中で、ピラジン−2−カルボキサミジン塩酸塩と、式
【化11】

の2−(2,4,6−トリフルオロフェニル)マロン酸ジエチルエステルとを反応させること、および酸性化して式
【化12】

の2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールを得ること;
c.トルエン中で、N,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、オキシ塩化リンで、2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン−4,6−ジオールをハロゲン化して、式
【化13】

の4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジンを得ること;
d.1−メチル−2−ピロリジノン中で、4,6−ジクロロ−2−ピラジン−2−イル−5−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−ピリミジン化合物と、式
【化14】

を有する(S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エチルアミンとを反応させて、式
【化15】

の6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを得ること;
e.テトラヒドロフラン中で、アミノアルコールHO−(CH−NHCHとカリウムt−ブトキシドとを反応させ、そして6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを加えて、式
【化16】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを得ること;および
f.酢酸エチル中で、6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンと、エチルアルコール中のフマル酸とを反応させて、当該ヘミフマル酸塩を得ること。
を含む、プロセス。
【請求項43】
工程fにおいて、前記酢酸エチル 対 エチルアルコールの比は1:1(v/v)である、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩の調製のためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
a.テトラヒドロフラン中で、アミノアルコールHO−(CH−NHCHとカリウムt−ブトキシドとを反応させ、そして式
【化17】

の6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを環境温度で加えて、式
【化18】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを得ること;
b.エチルアルコール中のフマル酸溶液を、酢酸エチル中の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミン溶液に加えて、当該ヘミフマル酸塩を得ること;そして
c.当該ヘミフマル酸塩を単離すること
を含む、プロセス。
【請求項45】
以下を含むプロセスによって産生された、化合物6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩であって、該プロセスは、以下:
a.テトラヒドロフラン中で、アミノアルコールHO−(CH−NHCHとカリウムt−ブトキシドとを反応させ、そして式
【化19】

の6−クロロ−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]−5−(2,4,6−トリフルオロフェニル)ピリミジン−4−アミンを環境温度で加えて、式
【化20】

の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンを得ること;
b.エチルアルコール中のフマル酸溶液を、酢酸エチル中の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミン溶液に加えて、当該ヘミフマル酸塩を得ること;そして
c.当該ヘミフマル酸塩を単離すること
を含む、化合物。
【請求項46】
有効な量の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩を投与することによって、哺乳類において癌性腫瘍細胞の増殖および関連する疾患を治療または阻害する方法。
【請求項47】
有効な量の6−クロロ−5−{2,6−ジフルオロ−4−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−2−ピラジン−2−イル−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル]ピリミジン−4−アミンヘミフマル酸塩と、薬剤学的に許容可能な担体とを含む、医薬品組成物。

【公表番号】特表2008−543838(P2008−543838A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516956(P2008−516956)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/022574
【国際公開番号】WO2006/138180
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】