説明

チューブリン結合剤

【課題】新規チューブリン結合剤、チューブリン重合促進剤または微小官安定剤を提供する。
【解決手段】本発明のチューブリン結合剤、チューブリン重合促進剤、または微小官安定剤は、いずれもガノリックアシッドDM(ganoderic acid DM)、またはその塩若しくはエステル;またはこれらを含む天然物抽出物を有効成分として含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチューブリン結合剤に関する。またチューブリン重合促進剤または微小管安定剤に関する。
【背景技術】
【0002】
微小管は真核細胞において細胞分裂のために必要であり、紡錘体が染色体の分配および分離を確実に遂行するための部分として機能する。微小管の主成分はα-チューブリンおよびβ-チューブリンであり、これらはヘテロ二量体を形成する(非特許文献1)。ヒトではこれまでに少なくとも7種類のβ-チューブリンアイソタイプが同定されている。これらのアイソタイプは、カルボキシ末端ドメインの配列に従って、クラスI(HM40)、クラスII(Hβ9)、クラスIII(Hβ4)、クラスIVa(H5β)、クラスIVb(Hβ2)、クラスVおよびクラスVI(Hβ1)の7種類に分類される(ローマ数字の分類番号はタンパク質アイソタイプを、括弧内の表示はヒト遺伝子分類を指す)。異なるアイソタイプはそれぞれ異なる別個の組織発現パターンを呈する。例えば、クラスIII β-チューブリンは、通常、神経細胞のみで発現される(非特許文献2)。
【0003】
チューブリン結合剤は、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、進行期神経芽細胞腫および種々のリンパ腫を含む、多くのヒト癌の治療における重要な構成要素である。これらの臨床的に重要な薬剤には、α/β-チューブリン由来のβ-チューブリンと結合して微小管動態を撹乱させ、それによって有糸分裂停止およびアポトーシスを誘導する、パクリタキセル(タキソール)などのタキサン系薬剤、エポチロン系薬剤、およびビンブラスチンなどのビンカアルカロイドが含まれる(非特許文献3)。
【0004】
チューブリンと結合すると、タキサン系薬剤およびエポチロン系薬剤は微小管の集成を強化し、その結果、重合した微小管の安定化、異常な紡錘体エステル(spindle ester)および有糸分裂中の細胞周期停止をもたらすことが知られている。一方、ビンカアルカロイドは、チューブリン二量体の付着に関与する領域を遮断することによって重合チューブリンの不安定化を誘導し、それによって微小管集成を妨げる、第2のクラスのチューブリン結合剤である(非特許文献3)。
【0005】
微小管は、細胞骨格系の一つであり、細胞運動、細胞分裂、輸送など様々な細胞機能に係わっており、それらは、微小管の動的不安定性に依存している(非特許文献4)。すなわち, 微小管が多様な生理機能を正常に果たすためには、その構成成分であるチューブリン分子が必要に応じて自由に重合と脱重合を繰り返さなければならない。つまり、チューブリン分子に特異的に結合して、その重合や脱重合を阻害する物質は、細胞機能に重大な影響を与えることになる。微小管が、真核細胞の有糸分裂装置である紡錘体の主成分であることにより、チューブリンの重合または脱重合を阻害する作用を有する化合物は、上記した抗がん剤のみならず、防カビ剤、駆虫剤、除草剤に応用可能である。
【0006】
さらに、前述するように微小管は様々な生命活動に重要であることから、微小管に影響を与えうるチューブリン結合物質は、様々な疾患に対する治療効果が期待されている。たとえば、近年、チューブリン結合物質は、乾癬、狭窄症、心筋梗塞、糸球体腎炎、移植拒絶などに対する有効性が期待されている。
【0007】
たとえば、コルヒチンは、Colchicum autummaleから抽出される薬用成分であり、チューブリンに結合し、微小管形成を阻害し、有糸分裂および他の微小管が関わる機能を阻害することが知られている。コルヒチンは、痛風の治療に対し米国FDAから許可されているが、家族性地中海熱、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、ベ-チェット病、アフタ性口内炎等の治療にも用いられている(非特許文献5)。すなわち、チューブリン結合物質は、コルヒチンと同様な薬理効果が期待できる。
【0008】
また、ブタに冠動脈狭窄により反復心筋虚血処理を行ったところ、微小管関連蛋白質などの増加が認められることも報告されている(非特許文献6)。このように、狭窄症等の症状においても微小管が関与しており、微小管に係わる機能を阻害することが期待できるチューブリン結合剤やチューブリン重合促進剤または微小管安定剤においても、改善効果が期待できる。
【0009】
また、心筋梗塞時に、微小管形成や多核形成など分化が促進されることから、微小管形成や機能を阻害することが可能なチューブリン結合剤は、心筋梗塞改善効果も期待できる(非特許文献7)。
【0010】
また、糸球体腎炎の患者においては、腎生検において、糸球体基底膜(BGM)において、微小管構造が存在することが見いだされており、微小管形成と疾患の関係が示唆されている(非特許文献8)このように微小管の形成を阻害しうるチューブリン結合物質において、本疾患への治療効果も期待できる。
【0011】
移植の前に移植心臓は冷蔵される。しかし低温に長くさらすと心筋の微細構造の傷害,特に微小管(MT)の破壊が起こることがしられている。チュ-ブリンに結合するものが低温による細胞骨格の変化を抑えるというデ-タがあり,ドセタキセル(DX,チューブリン結合タキサン)が4℃の低温の効果に及ぼす影響を調べたところ、DXは微小管重合およびチューブリンアセチル化を促進し、酸化的ストレスを低下させることがわかった。このことから、チューブリン結合物質は、臓器移植におけるストレスを低減させることが期待される(非特許文献9)。
【0012】
上記したように、チューブリン結合物質は、微小管自身が、細胞運動、細胞分裂、輸送など、様々な細胞機能に係わっていることから、さまざまな薬理活性を、本質的に有することになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Downing, K. H., Nogales, E., Tubulin structure: insights into microtubule properties and functions, Current Opinion in Structural Biology, 8(6): 785-791 (1998)
【非特許文献2】Kastsetos, C. D., Herman, M. M., Mork, S. J., Class III b-tubulin in human development and cancer, Cell motility and the Cytoskeleton, 55: 77-96 (2003)
【非特許文献3】Checchi, P. M., nettles, J. H., Zhou, J., Snyder, J. P, Joshi, H. C., Microtubule-interacting drugs for cancer treatment, 24(7)361-365(2003)
【非特許文献4】Downing, K. H., Nogales, E., Cryoelectron microscopy applications in the study of tubulin structure, microtubule architecture, dynamics and assemblies and interaction of microtubules with motor, Methods in Enzymology, 483, 121-142 (2010)
【非特許文献5】Colchicine revisited, Bhat, A., Naguwa, S. M., Cheema, G. S., Gershwin, M.E., Ann NY Acad Sci, 1173, 766-773 (2009)
【非特許文献6】YAN Lin, VATNER Dorothy E., KIM Song-Jung, GE Hui, MASUREKAR Malthi, MASSOVER William H., YANG Guiping, MATSUI Yutaka, SADOSHIMA Junichi, VATNER Stephen F. Autophagy in chronically ischemic myocardium, Proc Natl Acad Sci USA, 102(39)13807-13812 (2005)
【非特許文献7】AU Ka-Wing, KOU Cecy Y.C., WOO Anthony Y.H., CHIM Stephen S.C., FUNG Kwok-Pui, CHENG Christopher H.K., WAYE Mary M.Y., TSUI Stephen K.W、Calcyclin Binding Protein Promotes DNA Synthesis and Differentiation in Rat Neonatal Cardiomyocytes、J Cell Biochem, Vol.98 No.3 Page.555-566(2006)
【非特許文献8】KOIKE Kentaro, UTSUNOMIYA Yasunori, ITO Yoriko, TOKUDOME Satori, MIYAZAKI Yoichi, SUZUKI Takahide, OKONOGI Hideo, KAWAMURA Tetsuya, YAMADA Akio, HOSOYA Tatsuo, A case of glomerulopathy showing podocytic infolding in association with Sjoegren's syndrome and primary biliary cirrhosis. Clin Exp Nephrol, Vol.12 No.6 Page.489-493(2008)
【非特許文献9】DEVILLARD Lisa, VANDROUX David, TISSIER Cindy, DUMONT Laure, BORGEOT Jessica, ROCHETTE Luc, ATHIAS Pierr、Involvement of microtubules in the tolerance of cardiomyocytes to cold ischemia-reperfusion、Mol Cell Biochem、Vol.307 No.1-2 Page.149-157 (2008)
【非特許文献10】Bonne, D.; Heusele, C.; Simon, C.; Pantaloni, D. 4',6-Diamidino-2-phenylindole, a fluorescent probe for tubulin and microtubulesJ. Biol. Chem. 1985, 260, 2819-25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述するように、従来より、タキサン系薬剤やエポチロン系薬剤などのチューブリン結合剤が、α-チューブリンまたはβ-チューブリンに結合することで両チューブリンのダイマー形成及び重合を促進し、微小管の集成を安定化することで有糸分裂中の細胞周期を停止させる等、細胞分裂装置の主体である微小管の不全をもたらし、細胞分裂を阻害することが知られている。こうしたチューブリン結合剤の細胞分裂に対する阻害作用は、前述するように抗がん剤の機能として利用されているほか、乾癬、狭窄症、心筋梗塞及び糸球体腎炎の治療剤の機能として、また移植拒絶を抑制する機能としても利用されている。
【0015】
そこで本発明は、新規チューブリン結合剤、並びに新規なチューブリン重合促進剤または微小管安定剤を提供すること、特に、上記するように医薬品として臨床応用が可能な、チューブリン結合剤、並びに新規なチューブリン重合促進剤または微小管安定剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、ガノデリックアシッドDM(ganoderic acid DM:以下、単に「GADM」ともいう)が、ビンカアルカロイドの1種であるビンブラスチンとほぼ同様にチューブリンに強く結合することを見出し(実験例1参照)、さらにGADM−OH(7-Oxo-ganoderic acid Z)及び Ganoderic acid Aは、いずれもGADMと構造が類似するにもかかわらず、チューブリンと殆ど結合しないことを確認した。このことから、チューブリンとの結合には、GADMの構造中、ステロイド骨格の領域(図5のAで示す領域)が関与し、カルボキシル基を含む領域(図5のBで示す領域)は関与しないことを確認した(実験例3参照)。
【0017】
さらに本発明者らは、上記知見に基づいて、GADMのチューブリン重合に及ぼす作用を調べたところ、GADMは、タキサン系薬剤やエポチロン系薬剤などのチューブリン結合剤と同様に、チューブリンに結合し、チューブリンの重合を促進し、重合を安定化させる作用を有することを確認した(実験例2)。この結果から、GADMがタキサン系薬剤やエポチロン系薬剤などと同様の薬理作用を有することが強く示唆された。本発明はかかる知見に基づいて、さらに検討をかさねて完成したものであり、下記の実施態様を包含するものである。
【0018】
(I)チューブリン結合剤
(I−1)ガノデリックアシッドDM、またはその塩若しくはエステルを有効成分とするチューブリン結合剤。
(I−2)ガノデリックアシッドDM、またはその塩若しくはエステルを含む天然加工物を含有する、(I−1)記載のチューブリン結合剤。
【0019】
(II)チューブリン重合促進剤または微小管安定剤
(II−1)ガノデリックアシッドDM、またはその塩若しくはエステルを有効成分とするチューブリン重合促進剤または微小管安定剤。
(II−2)ガノデリックアシッドDM、またはその塩若しくはエステルを含む天然加工物を含有する、(II−1)記載のチューブリン重合促進剤または微小管安定剤。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、ガノデリックアシッドDM(GADM)にチューブリン結合作用があること、当該チューブリン結合作用は、GADMの構造中、ステロイド骨格の領域が関与することが判明した。さらに本発明により、GADMは、タキサン系薬剤やエポチロン系薬剤などのチューブリン結合剤と同様に、チューブリンに結合して、チューブリンの重合を促進することが判明し、微小管の集成を強化し安定化するように作用することが示唆された。これらのことは、GADM、またはその塩若しくはエステルが、チューブリン結合剤として、またチューブリン重合促進剤若しくは微小管安定剤として、創薬のリード化合物になり得ることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実験例1(1)において、GADMの26位のカルボキシル基をFGビーズ(NH2ビーズ)表面のリンカーとアミド結合させて、当該ビーズ表面に固定化する様を示した概念図である。
【図2】実験例1(2)において、前立腺癌細胞由来培養細胞株PC-3細胞の細胞質画分と細胞膜画分から、GADMと結合するタンパク質を一次元ゲル電気泳動に供した結果を示す。
【図3】GADMは、チューブリンに結合して、チューブリンの重合を促進し、重合を安定化することを示す図である(実験例2)。
【図4】実験例3において、水晶振動子(Quartz Crystal Microbalance: QCM)の質量付加効果を利用して、Ganoderic acid DM(GADM)、GADM-OH(GADMの3位のカルボニル基がヒドロキシ基に置換したもの)、Ganoderic acid A、並びにチューブリンに結合することが知られているパクリタキセル(タキサン系抗がん剤)、およびビンブラスチン(ビンカアルカノイド系抗がん剤)について、チューブリンに対する結合性を測定した結果を示す。
【図5】図4の結果から、Ganoderic acid DM(GADM)の構造のうち、カルボキシ基の領域[B]ではなく、ステロイド骨格領域[A]がチューブリンへの結合に関与することが判明したことを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(I)チューブリン結合剤
本発明のチューブリン結合剤は、ガノデリックアシッドDMを有効成分とすることを特徴とする。
【0023】
当該ガノデリックアシッドDM(GADM)は、下式で示される公知化合物である。
【0024】
【化1】

【0025】
当該GADMは、例えばChromaDex Inc (Santa Ana, CA)等から、商業的に入手することができる。
【0026】
後述する実験例3に示すように、当該GADMのチューブリンとの結合部位は、GADMのカルボキシル基を含む領域(図5のB参照)ではなく、ステロイド骨格の領域(図5のA)である。このため、GADMは、26位のカルボキシル基がアルコールと反応してエステル化されたものであってもよいし、当該カルボキシル基がアルコールに還元されてもよいし、また当該カルボキシル基に塩基が反応して形成された塩の形態を有するものであってもよい。エステル基としては、特に制限されるものではないが、通常、メチルエステル基、エチルエステル基等、炭素数1〜11、好ましくは炭素数1〜6を有する直鎖または分岐状のアルキルエステル基を挙げることができ、また塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩;アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0027】
かかるエステル体および塩は、上記GADMを出発原料として定法に従って調製することができる。
【0028】
本発明のチューブリン結合剤に含有されるGADM、またはその塩若しくはエステルの割合は、当該チューブリン結合剤がチューブリンに対して結合作用を発揮することを限度として特に制限されず、チューブリン結合剤100重量%中、0.1〜100重量%の範囲から適宜設定することができる。なお、チューブリンに対して結合作用を発揮するか否かの判断は、例えば後述する実験例2に記載するように水晶振動子(Quartz Crystal Microbalance: QCM)の質量付加効果を利用して測定評価することができる。かかる水晶振動子の質量付加効果は、後述するように、例えば市販の水晶振動子式センサーによる計測装置(NAPiCOS(登録商標)システム:日本電波工業)等を用いて測定することができる。
【0029】
本発明のチューブリン結合剤に配合するGADM、またはその塩若しくはエステルは、精製されたものであっても、また粗精製状態のものであってもよく、粗精製状態のものとしては、天然物から得られる加工物を挙げることができる。
【0030】
ここで天然物としては、GADMを含むもの(動物、植物、キノコ、微生物など)を広く挙げることができる。例えば、キノコの例示として、マンネンタケを挙げることができる。マンネンタケは、学名がGanoderma lucidumであり、ヒダナシタケ目マンネンタケ科に属するキノコである。マンネンタケは、一般的に霊芝と呼ばれており、古来中国では霊芝又は芝草と呼ばれ、日本ではレイシ、サイワイタケと呼ばれることもある。
【0031】
これら天然物の加工物としては、天然物を乾燥、破砕または抽出等の加工処理に供して調製したものを挙げることができる。好ましくは、天然物の抽出物である。抽出物を得るための抽出溶媒としては、通常、水;メタノール、n−ヘキサン、エタノール、エーテル、酢酸エチル等の有機溶媒;又は水と有機溶媒との混合物が用いられる。また、抽出処理は、特に制限されないが、例えば、天然物を、必要に応じて乾燥または粉砕した後、抽出溶媒に浸漬し放置することにより抽出する浸漬法(冷浸法、温浸法)、及びソックスレー抽出器を用いた加熱還流によるソックスレー抽出法等の公知の抽出法を適用することができる。斯くして抽出された抽出液は、必要に応じて、溶媒を濃縮または乾固してもよく、固体又はその粉末の形態として調製することができる。
【0032】
また、必要に応じて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相分取液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)などの各種クロマトグラフィーによって、さらに分画操作を繰り返し、GADM、またはその塩若しくはエステルの含有量及び純度を高めてもよい。また、斯くして天然物から分離し、精製することによって取得したGADMもまた、本発明のチューブリン結合剤の有効成分として用いることができる。
【0033】
本発明のチューブリン結合剤は、GADMまたはその塩若しくはエステル、または上記のようにして調製される天然物の加工物だけを含有するものであってもよいし、またさらに薬学的に許容される担体や添加剤または可食性成分を含有するものであってもよい。
【0034】
チューブリン結合剤は、固形製剤、液状製剤、及び乳液製剤等の慣用の製剤の形態に調製することができ、例えば固形製剤の形態に調製する場合、担体として賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、及び増粘剤などが用いられる。また、液状製剤の形態に調製する場合、担体として溶剤、分散剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが、また乳液製剤の場合は、これらに加えて乳化剤が用いられる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの添加物も用いることができる。
【0035】
賦形剤の好適な例としては、制限されないが、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、制限されないが、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイド、シリカ等が挙げられる。結合剤の好適な例としては、制限されないが、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、制限されないが、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられる。増粘剤の好適な例としては、制限されないが、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、アクリル酸重合体等が挙げられる。溶剤の好適な例としては、制限されないが、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が挙げられる。分散剤の好適な例としては、例えばTween80、HCO60、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。溶解補助剤の好適な例としては、制限されないが、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。懸濁化剤の好適な例としては、制限されないが、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸クセリセリン等の界面活性剤、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。等張化剤の好適な例としては、制限されないが、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、制限されないが、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、制限されないが、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤の好適な例としては、制限されないが、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
【0036】
本発明のチューブリン結合剤は、投与経路(全身投与経路、局所投与経路)に応じて各種の形状に調製することができる。例えば経口投与(経口摂取)する場合は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤などの経口投与形態に;また静脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与または経腸投与する場合は、注射剤や点滴剤などの非経口投与形態に;直腸投与する場合は坐剤等の非経口投与形態に;経皮投与する場合は、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤などの外用剤の非経口投与形態にそれぞれ調製することができる。
【0037】
本発明のチューブリン結合剤は、有効成分であるGADMまたはそのエステル若しくは塩の量に換算して、体重1kgあたり通常0.01μg〜10000mg、好ましくは0.1μg〜1000mg、より好ましくは1μg〜100mgの投与量の割合で1日に1〜数回に分けて投与されてもよいし、2〜数日に1回、間欠的に投与されてもよい。かかる薬学的な有効量、投与方法又は投与手段及び投与期間は、投与対象者の病理状態、性別、年齢、体重などによって左右され、当業者であれば適宜設定することができる。
【0038】
本発明のチューブリン結合剤は、チューブリンに対して結合することを特徴とする。かかるチューブリン結合剤の機能としては、一般に、α−チューブリンとβ−チューブリンとのダイマー形成やチューブリンの重合並びに微小官の集成を阻害するか、またはチューブリンの重合を促進し、微小官の集成を安定化することによって、微小管の機能を不全化することが挙げられる。本発明のチューブリン結合剤は、後述する実験例2で示すように、チューブリンの重合を促進するように機能する。すなわち、本発明のチューブリン結合剤は、タキソールと同様に、重合したチューブリンを安定化し、脱重合を阻害することによって、微小管の機能の不全化を引き起こすと考えられる。
【0039】
このため、前述する各種の投与形態を有する本発明のチューブリン結合剤によれば、微小管の機能が過剰に亢進することによって発症するような疾患の予防や治療に有効に使用することができる。かかる疾患としては、腫瘍、特に悪性腫瘍のほか、乾癬、狭窄症、心筋梗塞、及び糸球体腎炎を挙げることができる。斯くして、本発明のチューブリン結合剤は、ヒトを含む被験哺乳動物を対象として、上記疾患の予防または治療を目的として、医薬品、医薬部外品、化粧品、及び食品等への応用が可能である。
【0040】
さらに、本発明のチューブリン結合剤、特にその有効成分は、チューブリンに結合するため、チューブリンに結合する他の物質をスクリーニングするために使用することができる。すなわち、被験物質の存在下又は非存在下において、標識したGADMまたはそのエステル若しくは塩とチューブリンとの結合活性を測定し、比較することにより、チューブリンに結合し、GADMまたはそのエステル若しくは塩とチューブリンとの結合量を変化させる物質をスクリーニングすることができる。この場合、GADMまたはそのエステル若しくは塩には、放射ラベル、蛍光ラベルなどで標識されたものを用いることができる。この場合、被験物質非存在下に比べて放射活性または蛍光量などが変化した被験物質は、チューブリンに対して結合能を有する物質(チューブリン結合剤)として同定することができる。
【0041】
(II)チューブリン重合促進剤または微小管安定剤
前述するように、本発明のチューブリン結合剤は、チューブリンの重合を促進するように機能する(実験例2)。すなわち、本発明のチューブリン結合剤は、チューブリンの重合を促進し、重合したチューブリン(集成した微小管)を安定化し、脱重合を阻害することによって、微小管の機能の不全化を引き起こすと考えられる。
【0042】
この観点から、本発明のGADMまたはそのエステル若しくは塩を有効成分とするチューブリン結合剤は、別の角度から、チューブリン重合促進剤またはチューブリン微小管安定剤として機能する。
【0043】
従って、本発明は、前述するチューブリン結合剤について、チューブリン重合促進剤またはチューブリン微小管安定剤としての用途を提供するものでもある。
【0044】
当該チューブリン重合促進剤またはチューブリン微小管安定剤について、その有効成分やその含有量、剤型、投与経路、投与形態、投与方法、適用疾患、及び適用被験者は、いずれも前述するチューブリン結合剤に関して説明した通りであり、(I)での説明は、そのままここに援用することができる。
【実施例】
【0045】
実験例1 Ganoderic acid DMが結合する標的生体分子の同定
下式で示されるganoderic acid DM(以下、単に「GADM」という)に結合する標的生体分子を、GADMを表面に結合させたナノ磁性微粒子を用いてスクリーニングした。
【0046】
【化2】

【0047】
(1)ガンデリックアシッドDM固定化ナノ磁性ビーズの作製
ナノ磁性微粒子(FGビーズ)(多摩川精機(株)製)は、フェライト粒子をポリグリシジルメタクリレート(ポリGMA)で強固に被覆した約200nmの粒子であり、表面に設けられたリンカーの先端にタンパク質や薬剤などをリガンドとして固定化し、その標的分子を、上記リガンドとのアフィニティーを利用してスクリーニングまたは精製するために使用される担体である。
【0048】
本実験では、FGビーズのリンカーの末端のアミノ基を介して、GADMの側鎖のカルボキシル基とアミド結合をさせることにより、固定化した。(図1)。具体的には、図1に示すように、GADMの26位のカルボキシル基をFGビーズ(NH2ビーズ:型式「TAS8848 N1130」、多摩川精機(株)製)表面のリンカーとアミド結合させて、当該ビーズ表面に固定化した。斯くしてGADMを固定化したFGビーズをアフィニティFGビーズとして、GADMに結合する標的生体分子の探索に用いた。
【0049】
(2)GADMの標的生体分子のスクリーニングと同定
前立腺癌細胞由来培養細胞株LNCaP細胞を、プロテオエクストラクトタンパク抽出・調製キット(ProteoExtractTM Subcellar Proteome Extraction Kit: Calbinochem)を用いて、細胞質、細胞膜、細胞骨格、及び細胞核に分画した。これらのLNCaP細胞の各分画を上記(1)で作製したアフィニティFGビーズと混合し、当該FGビーズ表面のGADMに結合するタンパク質を結合させた後、当該FGビーズを磁石を用いて回収し、当該FGビーズからGADMに結合したタンパク質を溶出させて回収した。次いで、回収したタンパク質を一次元ゲル電気泳動に供し、分画後、特異的スポットを切り出した。LC-MS分析によりタンパク質を解析し、ライブラリー検索を行い、GADMの標的生体分子の同定を行った。
【0050】
その結果、LNCaP細胞の細胞核画分と細胞骨格画分からは、GADMに結合する標的生体分子は検出されなかった(データ未掲載)。一方、図2に示すように、LNCaP細胞の細胞質画分と細胞膜画分については、ビーズを回収後、加熱することによって、結合しているタンパク質を溶出させたところ、特異的なタンパク質が見いだされた。つまり、GADMの固定量を0、2、及び10 mMと増加させたアフィニティFGビーズを用いることで、当該GADMの固定量に伴って、当該ビーズに結合する特異的タンパク質のバンドが増加していることが判明した。
【0051】
当該細胞質画分と細胞膜画分について検出された特異的タンパク質のバンドを切り出し、LC-MS/MSで分析を行った。LC-MS/MSで得たMS/MSスペクトルのすべてのプロダクトイオン測定データを用いて、Mascotデータベース検索を行った。その結果、細胞質画分から微小管の主要タンパク質であるαならびにβ-チュ−ブリンが検出された。細胞膜画分からは、数多くのタンパク質が検出された。非特異的結合タンパク質の存在も示唆されるために、標的タンパク質の同定には至らなかった。
【0052】
以上の実験から、GADMはチュ−ブリンと結合すること、つまりGADMが結合する標的生体分子はチュ−ブリンであることが確認された。
【0053】
実験例2 チューブリン重合試験
上記実験により、GADMがチュ−ブリンと結合することが判明したことから、GADMのチュ−ブリン重合に及ぼす作用を調べた。
【0054】
(1)試験方法
チュ−ブリン重合試験は、チューブリン重合アッセイキット(Cytoskeleton Inc., Denver, CO, USA)を用いて行った。まず、GADMをDMSOに溶解し、2 mM濃度に調製し、これを被験溶液とした。またコントロール溶液としてDMSOを用いた。次いで、37℃に暖めた96 well plateに、5 μLの被験溶液またはコントロール溶液と、チューブリンを含む50 μLの Reaction mixture (1 × Buffer 1, 10% Glycerol, 1mM GTP, 2 mg/mL Tublin)を加え、反応溶液の蛍光の変化を1時間かけて測定した。蛍光強度が高いとチューブリンの重合が進展していることを意味する(非特許文献10)。
【0055】
Buffer 1の組成と、分析に使用した蛍光測定の条件を以下に示す。
【0056】
<1 × Buffer 1 (pH 6.9)の組成>
80 mM Piperazine-N,N'-bis[2-ethanesulfonic acid] sequisodium salt
2.0 mM Magnesium chloride
0.5 mM Ethylene glycol-bis(b-amino-ethyl ether) N,N,N',N'-tetra-acetic acid
10 μM fluorescent reporter。
【0057】
<蛍光測定の条件>
測定波長 励起波長: 360 nm、発光波長: 450 nm
測定時間 60 min (1 cycle/min)
積分 40 μs。
【0058】
(2)試験結果
結果を図3に示す。横軸は反応時間、縦軸は蛍光強度を示す。図3からわかるように、GADMを含む被験溶液は、GADMを含まないコントロール溶液と比べて、Reaction mixtureと混合することで速やかに蛍光強度が上昇し、また上昇した蛍光強度は安定であった。このことから、GADMは、チューブリン重合を促進し、安定化する作用を有していると考えられる。この挙動は、タキソールと類似した挙動であり、ビンブラスチン等の重合阻害剤とは相違するものである。
【0059】
この結果から、GADMは、タキソールと同様に、チューブリンの重合を促進ならびに、重合体の安定化を促すことにより、微小管の集成を強化し、その結果、重合した微小管の安定化、異常な紡錘体エステル(spindle ester)および有糸分裂中の細胞周期停止をもたらすと考えられる。
【0060】
実験例3 Ganoderic acid DMが結合する標的生体分子の同定
水晶振動子(Quartz Crystal Microbalance: QCM)の質量付加効果を利用して、下式(1)で示されるGanoderic acid DM(GADM)、下式(2)で示されるGADM-OH(GADMの3位のカルボニル基がヒドロキシ基に置換したもの)、下式(3)で示されるGanoderic acid A、並びにチューブリンに結合することが知られているパクリタキセル(タキサン系抗がん剤)、およびビンブラスチン(ビンカアルカノイド系抗がん剤)について、β−チューブリン(総称して「被験化合物」という)に対する結合性を測定した。
【0061】
【化3】

【0062】
なお、水晶振動子(Quartz Crystal Microbalance: QCM)の質量付加効果は、下記条件の水晶振動子式センサーによる計測装置(NAPiCOS(登録商標)システム:日本電波工業)を用いて測定した。
【0063】
<NAPiCOS(登録商標)システムによる測定条件>
(1)センサー:
仕様:30MHzツインセンサー
電極材料:金
(2)フロー条件
送液バッファー:50% エタノール水溶液
流速: 20μL/min
サンプル量:100μL。
【0064】
(1)実験方法
まず、NAPiCOS(登録商標)システムの、水晶センサーの一方の電極(反応電極:1ch)にチューブリンダイマー(99% pure from porcine brain、Cytoskeleton Inc., St.Denver, CO)を物理吸着させて固定した。次いで、水晶センサーのもう一方の電極(リファレンス電極:2ch)をBSA(ウシ血清アルブミン)で処理し、ブロッキングした。これらの水晶センサーをNAPiCOS(登録商標)システムにセットして、水晶センサーの表面に、上記被験化合物(それぞれ213マイクロモル濃度になるように、50%エタノール水溶液にて調製)を添加した。斯くして、被験化合物添加後の周波数の低下量から、チューブリンに対する被験化合物の結合量を測定した。
【0065】
結果を図4に示す。図4の縦軸は、周波数の変化量(低下量)(Hz)を示し、変化量(低下量)が大きいほど、チューブリンに対する結合量が大きいことを示す。
【0066】
図4に示すように、GADM-OH(GAOH)(2)及びGanoderic acid A(GAA)(3)は、いずれもGADM(1)と構造が類似するにもかかわらず、チューブリンと全く結合しなかった。このことから、チューブリンとの結合には、GADMの構造中、図4に示すAの部分が関与し、Bの部分は関与しないと考えられる。
【0067】
チューブリンは、分子量約5万のα-チューブリンとβ-チューブリンがあり、これらが1個ずつ結合したチューブリンダイマーが直線上に重合し、微小管のプロトフィラメントを構成する。このプロトフィラメントが管状に 11-16本程度結合したものが微小管である。チューブリンはGTP結合タンパク質であり、GTPの結合・加水分解により微小管の伸長と短縮が調節される。また中心体にはγ-チューブリンがあって微小管形成において重要な役割を演じている。GADMは前立腺ガン細胞のチューブリンに結合して微小管の機能を攪乱し、細胞分裂を阻害することにより、前立腺ガン細胞の細胞増殖を抑制していることを示唆された。
【0068】
また、図4に示すように、チューブリンに結合するGADM量は、パクリタキセル(タキサン系抗がん剤)よりも格段に多く、ビンブラスチン(ビンカアルカノイド系抗がん剤)とほぼ同等またはそれ以上であった。前述するように、パクリタキセルは、β−チューブリンに結合することで微小管の集成を強化し、その結果、重合した微小管を安定させて細胞の有糸分裂を停止させアポトーシスへ導くのに対して、ビンブラスチンは、チューブリンに結合し、チューブリン二量体の付着に関与する領域を遮断することで重合を阻害し、それによって微小管の集成及び形成を妨げることが分かっている。
【0069】
上記に示すように、GADMは、ビンブラスチンと同様にチューブリンに対して強い結合力を有するが、前述する実験例2に示すように、ビンブラスチンの機能とは異なり、パクリタクセルと同様に、微小管の集成(チューブリンの重合)を促進、安定化させるように機能する。つまり、GADMは、微小管の集成(チューブリンの重合)を促進し、安定化させることにより、微小管の機能を妨げるように作用するものと考えられる。
【0070】
さらに、その結合活性は、GADMに特異的であることが、図4の結果から明らかである。3位のカルボニル基をアルコールに還元した構造では、チューブリンへの結合活性は劇的に低下した。さらに、GAAにおいても、全く結合活性を示さなかった。このことから、GADMの構造特異的に、活性が発現するものと考えられた。GADMとGAOHとの比較の結果から、図5に示すように、Aの構造部分が活性発現には、重要であることが示された。
【0071】
このことから、GADMは微小管の機能亢進に関係する疾患に対する予防または治療薬として有効に利用できる可能性があると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガノデリックアシッドDM(ganoderic acid DM)、またはその塩若しくはエステルを有効成分とするチューブリン結合剤。
【請求項2】
ガノデリックアシッドDM(ganoderic acid DM)、またはその塩若しくはエステルを含む天然物抽出物を含有する、請求項1記載のチューブリン結合剤。
【請求項3】
ガノデリックアシッドDM(ganoderic acid DM)、またはその塩若しくはエステルを有効成分とするチューブリン重合促進剤または微小管安定剤。
【請求項4】
ガノデリックアシッドDM(ganoderic acid DM)、またはその塩若しくはエステルを含む天然物抽出物を含有する、請求項3に記載するチューブリン重合促進剤または微小管安定剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43874(P2013−43874A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184105(P2011−184105)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】