説明

チューブリン阻害化合物のナノ粒子組成物

【課題】チューブリン阻害化合物のナノ粒子組成物の提供。
【解決手段】本発明は、インドール系化学物質クラスの水に難溶性のチューブリン阻害剤、好ましくは、N−置換インドール−3−グリオキシアミド及び、より好ましくは「インジブリン」としても知られているN−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)−インドール−3−イル]グリオキシル酸アミド(D−24851)のナノ及びミクロ微粒子製剤を含む新規の薬剤組成物、並びに抗腫瘍薬抵抗性癌及び他の疾患の治療用のそのような組成物の製造及び使用の方法を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール系チューブリン阻害剤のナノ及びミクロ微粒子製剤、製造の方法並びに使用の方法を対象とする。好ましいインドール系チューブリン阻害剤は、N−置換インドール−3−グリオキシアミド及び、より好ましくは「インジブリン」としても知られているN−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)−インドール−3−イル]グリオキシル酸アミド(D−24851)を含む。インドール系チューブリン阻害剤の微粒子組成物は様々な方法により調製することができるが、好ましい方法は、チューブリン阻害化合物を水性媒体中、界面活性剤の存在下で沈殿させて前懸濁液を調製した後、エネルギーを加えて、懸濁液中所望の粒径分布のナノ粒子を得ることを含む。該組成物は、様々な治療、並びに好ましくは抗腫瘍薬抵抗性癌及び他の疾患の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
A.難溶性薬物のナノ粒子に関する背景
水溶液に難溶性又は不溶性であるますます多くの薬物が調合されている。そのような薬物は非経口投与用の注射剤として調合することが困難である。しかし、水に不溶性の薬物は、水性媒体中サブミクロン粒子の懸濁液として調合するとき、安定性という重要な利点を備えている。これらの製剤を安全且つ有効に使用するには、粒径を精密に制御することが必須である。塞栓を引き起こすことなく、毛細管を安全に通過させるためには、粒子は一般的に直径が数ミクロン未満でなければならない(Allenら、1987;Davis及びTaube、1978;Schroederら、1978;Yokelら、1981)。
【0003】
不溶性薬物を送達することに対する1つのアプローチが特許文献1に開示されている。この特許は、非経口投与に適するペニシリンGのN,N‘−ジベンジルエチレンジアミン塩の管状又は板状結晶を調製する方法を開示している。該方法は、ペニシリンGの溶解度を減少させるために水を加えることによってホルムアミド溶液からペニシリンGを再結晶する工程を含む。この特許文献1はさらに、ペニシリンG塩粒子をレシチンのような湿潤剤、乳化剤、界面活性消泡剤、ソルビタンの部分高級脂肪酸エステル、そのポリオキシアルキレン誘導体及びアリールアルキルポリエーテルアルコール又はその塩で被覆することができることを示している。該特許文献1はさらに、約5〜20ミクロンの結晶を生成させるために加圧下での爆風によるペニシリンGの微粉化を開示している。
【0004】
特許文献2に開示されている他のアプローチは、ナノ粒子を調製する方法を述べている。該方法は、(1)1つ又は複数の界面活性剤を加えることができる溶媒又は溶媒の混合物中で物質の液相を調製し、(2)該物質の溶媒又は溶媒の混合物と混和する非溶媒又は非溶媒の混合物の第2の液相を調製し、(3)撹拌しながら(1)と(2)の溶液を合わせ、(4)不要な溶媒を除去して、ナノ粒子のコロイド懸濁液を調製する工程を含む。該第528号特許は、エネルギーを加えることなく調製される500nm未満の粒子を開示している。特に該特許文献2は、超音波細胞破砕装置又はホモジナイザーなどの高エネルギー装置を使用することは望ましくないことを述べている。
【0005】
特許文献3は、水に不溶性の薬物又は他の有機化合物から均一なサイズの粒子を調製する方法を開示している。最初に、適切な固体有機化合物を有機溶媒に溶解し、溶液を非溶媒で希釈することができる。次いで、水性沈殿液を注入し、実質的に均一の平均径を有する非凝集性粒子を沈殿させる。次いで、該粒子を有機溶媒から分離する。有機化合物及び所望の粒径によって、温度、非溶媒と有機溶媒との比率、注入速度、撹拌速度及び体積などのパラメーターを該発明により変化させることができる。この方法は、熱力学的に不安定であり、最終的により安定な結晶状態に転換する、準安定状態の薬物を生成させる。該薬物は、自由エネルギーが出発薬液と安定な結晶形の自由エネルギーの間にある準安定状態に保持されている。該特許文献3は、遠心分離、膜ろ過又は逆浸透により分離されるのに足りるほどに沈殿物を十分に安定にするために、結晶化阻害剤(例えば、ポリビニルピロリドン)及び界面活性剤(例えば、ポリ(オキシエチレン)−co−オキシプロピレン)を用いることを開示している。
【0006】
特許文献4、特許文献5及び特許文献6は、(a)小薬物粒子を天然若しくは合成リン脂質で被覆すること、又は(b)薬物を適切な親油性担体に溶解し、天然若しくは半合成リン脂質で安定化された乳剤を生成することを開示している。これらのアプローチの1つの欠点は、それらが薬物の原材料の品質に頼ることであり、原材料を砕け易く、より容易に加工される形にするために、その形態を変化させる工程を開示していないことである。
【0007】
非経口送達用の不溶性薬物の製剤を提供する他のアプローチは、特許文献7に開示されている。該特許文献7は、400nm未満の平均有効粒径を有する薬物粒子を提供するための表面改質剤の存在下での不溶性薬物の湿式粉砕を開示している。表面改質剤は、より大きい粒子への凝集を防ぐのに十分な量で薬物粒子の表面に吸着される。
【0008】
非経口送達用の不溶性薬物製剤を提供する他の試みは、特許文献8に開示されている。該特許文献8は、表面改質剤とリン脂質との組合せを用いた後、音波処理、均質化、粉砕、微小流動化、沈殿又は再結晶化などの技術を用いた粒径の低減によるサブミクロンサイズの不溶性薬物粒子の提供を開示している。該特許文献8には、結晶をより砕け易い形にするために工程条件を変更する開示は存在しない。
【0009】
特許文献9は、(1)薬物を第1の水混和性溶媒に溶解し、(2)薬物が実質的に不溶性である第2の水性溶媒中ポリマー及び両親媒性化合物の第2溶液を調製し、それによりポリマー/両親媒性化合物複合体を生成させ、(3)第1及び第2工程の溶液を混合して、薬物及びポリマー/両親媒性化合物複合体の凝集体を沈殿させることによる不溶性薬物の小粒子を調製する方法を開示している。
【0010】
特許文献10は、非経口投与に適する薬剤ナノサスペンションを開示している。該特許文献10は、溶媒中に分散された少なくとも1つの固体の治療上有効な化合物をピストンギャップホモジナイザーにおける高圧均質化にかける方法を開示している。形成された粒子は光子相関分光法(PCS)により測定した10nm〜1000nmの平均直径を有し、融解物への事前の変換のない場合、全集団における5μmより大きい粒子の割合は0.1%未満である(コールターカウンタにより測定した数分布)。該特許文献10における実施例は、均質化の前のジェット粉砕を開示している。溶媒の使用は、そのような使用が大きすぎる結晶の形成をもたらす点が思わしくない。
【0011】
特許文献11は、固体化合物から均一のサイズの粒子を調製する方法を開示している。該方法は、固体化合物を適切な溶媒に溶解した後、沈殿液を注入し、それにより、実質的に均一な平均径を有する非凝集性粒子を沈殿させる工程を含む。次いで、粒子を溶媒から分離する。該特許文献11は、沈殿操作中に結晶は溶解し、再結晶し、それにより粒径分布範囲を拡大するため、結晶状態の粒子を形成させることを断念している。該特許文献11は、沈殿操作中に粒子を準安定粒子状態に保持することを奨励している。
【0012】
特許文献12は、写真術上有用な化合物のナノ非晶質分散体を形成する方法を開示している。ナノ非晶質分散体を形成する方法は、非晶質粒子を有する分散相を発生させる乳化の既知の方法を含む。
【0013】
特許文献13は、有機化合物のサブミクロンサイズの粒子を調製する方法を開示している。
【0014】
特許文献14は、溶解度が第1の水混和性溶媒中において水性である第2の溶媒中より大きい有機化合物のサブミクロンサイズの粒子を調製する方法であって、(i)該有機化合物を第1の水混和性溶媒に溶解して溶液を生成させ、(ii)該溶液を第2の溶媒と混合して前懸濁液を明確にし、(iii)前懸濁液にエネルギーを加えて400nm〜2μmの平均有効粒径を有する粒子を形成させる工程を含む方法を開示している。
【0015】
B.インドール誘導体及び抗腫瘍薬としてのそれらの使用に関する背景
特許文献15は、インドール及びヘテロインドール誘導体並びに抗腫瘍薬としてのそれらの使用を開示している。
【0016】
特許文献16、特許文献17及び特許文献18は、N−置換インドール−3−グリオキシルアミド、調製方法並びに癌、喘息、アレルギーの治療のためのそれらの使用及び免疫抑制薬としての使用を開示している。該化合物は、抗腫瘍薬抵抗性腫瘍、転移の発生及び広がりを含む転移性癌、血管新生阻害剤に感受性の腫瘍又は抗腫瘍薬抵抗性であり且つ血管新生阻害剤に感受性の腫瘍の治療に特に有用である。
【0017】
特許文献19は、インドール化合物並びに癌及び血管新生関連障害の治療のためのそれらの使用を開示している。特許文献19にはそのような誘導体のナノ粒子製剤の調製又は使用を記述する開示は存在しない。
【0018】
特許文献20は、血管新生阻害剤を含むナノ粒子組成物を開示している。
【0019】
C.チューブリン阻害剤に関する背景
有糸分裂中、細胞のDNAは複製され、次いで、2つの新しい細胞に分裂する。新たに複製された染色体が2つの形成細胞に分離する過程は、それら自体がチューブリンと呼ばれているより小さいタンパク質サブユニットの長鎖によって形成されている微小管で構成されている紡錘体線維を必要とする。紡錘体微小管は、複製染色体に付着し、1つのコピーを分裂性細胞の各側に引張る。これらの微小管がなければ、細胞分裂は可能ではない。Cancerquest(2003):「Cancer Treatments−Chemotherapy」www.cancerquest.org/index.cfm?page=520又は同様なウェブサイトを参照のこと。
【0020】
したがって、微小管は、すべての細胞に存在し、有糸分裂、間期及び細胞維持機能(例えば、細胞内輸送、細胞形状の発現及び維持、細胞運動性、並びに細胞膜上の分子のおそらく分布)に必要であるため、抗癌化学療法のとりわけ最も重要な細胞下標的である。チューブリンと相互作用する化合物は、チューブリンの沈殿及び隔離(sequestration)をもたらし、それにより、細胞下細胞小器官の微小管クラスに依存する多くの重要な生物学的機能を中断させることにより、細胞周期を阻害することができる。そのような化合物は、種々の器官由来の腫瘍細胞系の増殖を潜在的に阻害することができる。例えば、非特許文献1並びに非特許文献2を参照のこと。
【0021】
十分に特徴付けられ、臨床的に使用されている抗有糸分裂薬の1つのクラスは、天然由来のもの、すなわち、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン)及びポドフィロトキシン/コルヒチンである。これらの薬剤は、チューブリンの重合を阻害する(ビンカアルカロイド/コルヒチン)か、又は微小管の分解を妨げる(タキサン)。タキサン及びビンカアルカロイドの主な欠点は、これらの薬物がニューロン小胞輸送を媒介する軸索における微小管の機能を妨げるので、神経毒性の発現である。
【0022】
エポチロンA及びB並びにそれらの類似体は、高い細胞毒性及び微小管の良好な安定化を示す。これらの天然産物は、最初にミクソバクテリアから分離された。タキソール抵抗性腫瘍細胞系を阻害するそれらの特有の能力とそれらの良好な溶解性は、タキサンと比較して最も大きい利点である。しかし、複雑な化学構造と天然資源の入手の手段が限られていることが、薬物耐性の発生とあいまって、一般的にこれらの天然産物の可能性を狭めている。
【0023】
他の天然産物又は誘導類似体は、高い溶解度又は効力を特徴とするが、化学構造が複雑である。
【0024】
D.インジブリンに関する背景
チューブリンに結合するが、トランスメンブランポンプの基質でもなく、軸索微小管の機能も妨害しない新規の合成小分子化合物は、悪性腫瘍の治療における治療指数を著しく増加させるであろう。
【0025】
チューブリンに結合する一連の合成分子は、前臨床又は初期臨床工程で現在評価されている。それらのうちの主なものは、D−24851と称され、「インジブリン」としても知られている合成化合物であるN−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)−インドール−3−イル]グリオキシル酸アミドである。
【0026】
D−24851は、インビトロ及びインビボで著しい抗腫瘍活性を有するインドール系の合成小分子チューブリン阻害物質である。D−24851は、腫瘍細胞並びに無細胞システムにおける微小管を不安定にする。D−24851の結合部位は、十分に特徴付けがなされた微小管不安定化剤であるビンクリスチン又はコルヒチンのチューブリン結合部位と重複していないと思われる。さらに、該分子は中期の細胞周期の進行を選択的に阻害する。
【0027】
インビトロでは、D−24851は種々の悪性腫瘍(例えば、前立腺、脳、乳房、膵臓及び結腸)に対して著しい抗腫瘍活性を示す。D−24851は、動物における高いインビボ抗腫瘍効力を示す。その作用機序に基づいて、D−24851はすべての種類の充実性腫瘍を標的にすると予想される。D−24851は抗喘息、抗アレルギー、免疫抑制及び免疫調節作用も示すと予想される。動物実験において神経学的症状はこれまでに認められていない。げっ歯類における前臨床実験において、該化合物は高度に有効な用量で非常に耐容性が良好である。さらなる開発における他の利点は、他のチューブリン阻害性化合物と異なり、合成が容易であることである。
【0028】
インドール化学物質クラスの他のチューブリン阻害性化合物は、非特許文献3に記載されているように、2−アリールインドール誘導体であるD−64131を含むが、これに限定されないインジブリンと同様な作用機序を有する潜在的薬物候補と特定された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】米国特許第2745785号明細書
【特許文献2】米国特許第5118528号明細書
【特許文献3】米国特許第4826689号明細書
【特許文献4】米国特許第5091188号明細書
【特許文献5】米国特許第5091187号明細書
【特許文献6】米国特許第4725442号明細書
【特許文献7】米国特許第5145684号明細書
【特許文献8】米国特許第5922355号明細書
【特許文献9】米国特許第5780062号明細書
【特許文献10】米国特許第5858410号明細書
【特許文献11】米国特許第4997454号明細書
【特許文献12】米国特許第5605785号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2002/0127278号明細書
【特許文献14】米国特許第6607784号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2002/0091124号明細書
【特許文献16】米国特許第6008231号明細書
【特許文献17】米国特許第6232327号明細書
【特許文献18】米国特許第6693119号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2003/0195244号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2004/0033267号明細書
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】Bacherら(2001)Pure Appl.Chem.73:9、1459〜1464頁
【非特許文献2】Rowinsky及びDonehower(1991)Pharmac.Ther.52:35〜84頁
【非特許文献3】「New Small−Molecule Tubulin Inhibitors」、Pure Appl.Chem.、第73巻、第9号、2001年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
発明の要旨
本発明は、インドールベースのチューブリン阻害剤の微粒子組成物を対象とする。好ましい組成物は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、アミノ酸及びそれらの誘導体並びにそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤で被覆されたインドールベースのチューブリン阻害剤のナノ粒子の水性懸濁液を含む。
【0032】
該組成物は、動物、特にヒトに投与することができる。該組成物及びそれらの関連する投与方法は、非経口又は経口投与により組成物を送達することができること、毒性の低減及び生物学的利用能の改善などの多くの便益を提供する。さらに、本発明の粒子(例えば、ナノ粒子)は高い割合の抗チューブリン薬を含むので、本発明のナノ懸濁液は、さもなければ投与のために薬剤を可溶化するためにより多量を必要とする界面活性剤又は他の可溶化剤などの賦形剤の著しく低い濃度を含む。賦形剤の濃度の低下は、活性薬のかなり高い用量の投与が可能になる(賦形剤により引き起こされる合併症は賦形剤の濃度の低下に伴って低減するので)。さらに、本発明の好ましい懸濁液は、溶媒をほとんど又は全く含まず、患者に対する溶媒毒性の低減と同時に活性薬のより多くの投与を可能にする。
【0033】
本発明の製剤を提供する際に、従来技術の多くの欠点を避けることができる。そのような欠点としては、毒性、多剤耐性(MDR)腫瘍に対する無効、低い吸収率、不十分な生物学的利用能及び複雑な化学構造(合成を困難にする)などがある。
【0034】
本発明はまた、少なくとも1つのチューブリン阻害化合物及び、場合によって少なくとも1つの界面活性剤の粒子を調製し、投与のための適切な媒体中に得られた粒子を配合することにより、チューブリン阻害剤の微粒子組成物を調製する方法を対象とする。好ましい方法は、非経口投与用のチューブリン阻害剤の水性ベースのナノ懸濁液の調製を対象とする。
【0035】
本発明はさらに、治療上有効な量の抗チューブリン懸濁液を投与することにより、哺乳動物、好ましくはヒト患者を治療する方法を対象とする。好ましくは、投与される組成物は、抗癌、抗喘息、抗アレルギー、免疫抑制又は免疫調節活性を有する。最も好ましい方法は、癌の治療のためにインジブリンナノ懸濁液の投与を対象とする。
【0036】
本発明の他の利点及び態様は、以下の本発明の詳細な説明を読むことによって明らかになる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
次の式(1)の少なくとも1つのチューブリン阻害化合物の約15nm〜約50μmの有効平均サイズを有する粒子を含むナノ粒子薬剤組成物、
【化1】


[式中、
Xは水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アシル、カルボキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、機能的に修飾されたヒドロキシ基、アリール、ヘテロアリール、
【化2】


であり、
式中、Y及びZは独立にNR、O又はSであり、ここで、Rは水素、アルキル、アリール、アシル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アミノカルボニルであり、
及びR’は独立に、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、
或いはXはNRであり、ここで、R及びRは独立に水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アシル、アリール又はヘテロアリールであり、
A、B、C及びDは独立に窒素又は炭素であり、
ただし、Aが窒素である場合には、Rは存在せず、Aが炭素である場合には、Rは水素、ハロゲン又はアルキルであり、
Bが窒素である場合には、Rは存在せず、Bが炭素である場合には、Rは水素、ハロゲン又はアルキルであり、
Cが窒素である場合には、Rは存在せず、Cが炭素である場合には、Rは水素、ハロゲン又はアルキルであり、
Dが窒素である場合には、Rは存在せず、Dが炭素である場合には、Rは水素、ハロゲン又はアルキルであり、
は水素、アルキル、アルキルアリール、アシル又はアリールであり、
は水素、アルキル、アシル、アリール、アルコシキカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、ヘテロシクロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、シクロアルケニルオキシカルボニル及びヘテロシクロアルケニルオキシカルボニルである]、
組成物。
(項目2)
Xが以下:
【化3】


である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
Y及びZが酸素であり、Rがアリール又はヘテロアリールであり、R’が水素であり、Rがアルキルアリールである、項目2に記載の組成物。
(項目4)
Xがアシル、アシルアリール又はアシルヘテロアリールである、項目1に記載の組成物。
(項目5)
がハロゲン化ベンジル基であり、A、B、C及びDが炭素であり、R、R、R、R及びRが水素であり、Rがピリジンである、項目3に記載の組成物。
(項目6)
前記チューブリン阻害化合物が以下:
【化4】


である、項目1に記載の組成物。
(項目7)
チューブリン阻害化合物が
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−(4−メチルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−[1−(2−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−ニトロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(2−クロロピリジン−3−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(3−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(2−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(3−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−2−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−2−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−6−エトキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−エトキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−)−[1−(4−フルオロベンジル)−6−シクロペンチルオキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)−N−(アリルアミノカルボニル−2−メチルプロプ−1−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−メトキシインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシインドール−3−イル]グリオキシルアミド;及び
N−(ピリジン−4−イル−[1−(4−フルオロベンジル)−5−エトキシカルボニルアミノメチルインドール−3−イル]グリオキシルアミド
からなる群から選択される、項目1に記載の組成物。
(項目8)
非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤,陽イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、並びにアミノ酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目9)
非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポロキサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、多糖、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸トリエタノールアミン、アミン酸化物、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを含む4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー、ポロキサマー、スルホン酸アルキルアリールポリエーテル、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースとの混合物、C1837CHC(O)N(CH)CH(CHOH)(CHOH)、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−β−デシル−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE及び酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーからなる群から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目10)
陰イオン界面活性剤が、スルホン酸アルキル、スルホン酸アリール、リン酸アルキル、ホスホン酸アルキル、ラウリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硫酸アルキル、アルギン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ホスファチジン酸及びそれらの塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、胆汁酸及びそれらの塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸及びグリコデオキシコール酸、並びにカルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸及びその塩、ステアリン酸カルシウム、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム及びリン脂質からなる群から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目11)
前記リン脂質が天然又は合成である、項目10に記載の組成物。
(項目12)
前記リン脂質が、ホスファチド、陰イオンリン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシン、ホスファチジル酸、リソリン脂質、ポリエチレングリコール−リン脂質複合体、卵リン脂質及びダイズリン脂質、陰イオンPEG−リン脂質及び陰イオンメトキシPEG−リン脂質からなる群から選択される、項目11に記載の組成物。
(項目13)
前記リン脂質がさらにリガンドに共有結合する官能基を含む、項目11に記載の組成物。
(項目14)
前記リガンドがタンパク質、ペプチド、炭水化物、糖タンパク質、抗体及び製薬上活性な作用物質からなる群から選択される、項目13に記載の組成物。
(項目15)
陽イオン界面活性剤が、第四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、キトサン、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩酸アシルカルニチン、ハロゲン化アルキルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、陽イオン性脂質、臭化ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウム、スルホニウム化合物、硫酸ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチル、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、臭化ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウム、塩化ココナツトリメチルアンモニウム、臭化ココナツトリメチルアンモニウム、塩化ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウム、臭化ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化C12〜15−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化臭化C12〜15−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、臭化ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、塩化N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化N−アルキル(C14〜18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化N−テトラデシリドメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、塩化N−アルキル及び(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウム、ハロゲン化トリメチルアンモニウムアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシ化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、塩化N−ジデシルジメチルアンモニウム、塩化N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、臭化C12トリメチルアンモニウム、臭化C15トリメチルアンモニウム、臭化C17トリメチルアンモニウム、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、POLYQUAT、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、第四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAROL、ALKAQUAT、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマー、及び陽イオングアールガム、塩化ベンザルコニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、トリエタノールアミン及びポロキサミンからなる群から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目16)
両性イオン性界面活性剤が、両性イオンリン脂質、ホスファチジルコリン、ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン(DSPE)、ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、ペグ化リン脂質、PEG−ホスファチジルコリン、PEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)−リン脂質、mPEG−ホスファチジルコリン、mPEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ホスファチジルエタノールアミン、mPEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン及びmPEG−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミンからなる群から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目17)
前記生物学的に誘導された界面活性剤が、リポタンパク質、ゼラチン、カゼイン、リゾチーム、アルブミン、カゼイン、ヘパリン、ヒルジン又は他のタンパク質からなる群から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目18)
前記アミノ酸及びそれらの誘導体が、ロイシン、アラニン、バリン、イソロイシン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン及びフェニルアラニンからなる群から選択される、項目8に記載の組成物。
(項目19)
pH調整剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目20)
前記pH調整剤が、水酸化ナトリウム、塩酸、トリス緩衝液、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びそれらの塩、クエン酸緩衝液、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノ糖、モノアルキル化アミン、ジアルキル化アミン、トリアルキル化アミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)及びアミノ酸からなる群から選択される、項目19に記載の組成物。
(項目21)
浸透圧調整剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目22)
前記浸透圧調整剤がグリセリン、単糖、無機塩及び糖アルコールからなる群から選択される、項目21に記載の組成物。
(項目23)
前記チューブリン阻害化合物が0.1mg/g〜200mg/gの量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目24)
前記チューブリン阻害化合物が0.5mg/g〜50mg/gの量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目25)
前記チューブリン阻害化合物が1mg/g〜50mg/gの量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目26)
前記粒子が約10μm以下の有効平均粒径を有する、項目1に記載の組成物。
(項目27)
前記ナノ粒子が約2μm以下の有効平均粒径を有する、項目1に記載の組成物。
(項目28)
非経口、経口、口腔、歯周、直腸、鼻、肺、局所、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、眼内、脳内、リンパ腺内、肺、関節内、髄腔内及び腹腔内からなる群から選択される経路により投与される、項目1に記載の組成物。
(項目29)
注射製剤、液剤、遅延放出製剤、制御放出製剤、持続放出製剤、拍動性放出製剤及び即時放出からなる群から選択される液体分散形態に製剤化される、項目1に記載の組成物。
(項目30)
錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、アンプル、坐剤、凍結乾燥製剤、遅延放出製剤、制御放出製剤、持続放出製剤、拍動性放出製剤、即時放出及び制御放出製剤からなる群から選択される固体剤形に製剤化される、項目1に記載の組成物。
(項目31)
パッチ、吸入させることができる散剤、懸濁剤、クリーム剤及び軟膏剤からなる群からなる形態に製剤化される、項目28に記載の組成物。
(項目32)
チューブリン阻害化合物粒子の懸濁液を形成するのに十分な時間と条件下で項目1に記載の少なくとも1つのチューブリン阻害化合物を少なくとも1つの界面活性剤と混ぜ合わせることを含む、少なくとも1つのチューブリン阻害化合物を含む薬剤組成物を調製する方法。
(項目33)
チューブリン阻害粒子を形成するために懸濁液にエネルギーを加えることを含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記エネルギー工程が音波処理、均質化、粉砕、高剪断押出し又は微小流動化を含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
前懸濁液の形成が、
(i)有効な量の少なくとも1つのチューブリン阻害剤を水混和性の第1の溶媒に溶解して溶液を形成する工程と、
(ii)該溶液を第2の溶媒と混合して砕け易い形態の粒子の前懸濁液を規定する工程と
を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記第1の溶媒が、N−メチル−2−ピロリジノン、乳酸、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、乳酸、メタノール、エタノール、イソプロパノール、3−ペンタノール、n−プロパノール、グリセロール、ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノ及びジアシル化モノグリセリド、ジメチルイソソルビド、アセトン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールソルビタン、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール、アルギン酸ポリプロピレン、PPG−10ブタンジオール、PPG−10メチルグルコースエーテル、PPG−20メチルグルコースエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコール、炭酸プロピレングリコール、乳酸及び酢酸からなる群から選択される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記第2の溶媒が水、緩衝液、塩、界面活性剤、水溶性ポリマー及び賦形剤の組合せからなる群から選択される、項目35に記載の方法。
(項目38)
界面活性剤又は界面活性剤の組合せを前記第1の溶媒に加える工程をさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、生物学的に誘導された界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、並びにアミノ酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポロキサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、多糖、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸トリエタノールアミン、アミン酸化物、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを含む4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー、ポロキサマー、スルホン酸アルキルアリールポリエーテル、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースとの混合物、C1837CHC(O)N(CH)CH(CHOH)(CHOH)、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE及び酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーからなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記陰イオン界面活性剤が、スルホン酸アルキル、スルホン酸アリール、リン酸アルキル、ホスホン酸アルキル、ラウリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硫酸アルキル、アルギン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ホスファチジン酸及びそれらの塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、胆汁酸及びそれらの塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸及びグリコデオキシコール酸、並びにカルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸及びその塩、ステアリン酸カルシウム、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム及びリン脂質からなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記リン脂質が天然又は合成である、項目39に記載の方法。
(項目43)
前記リン脂質が、ホスファチド、陰イオンリン脂質、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシン、ホスファチジン酸、リソリン脂質、ポリエチレングリコール−リン脂質複合体、卵リン脂質及びダイズリン脂質、陰イオンPEG−リン脂質及び陰イオンメトキシPEG−リン脂質からなる群から選択される、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記リン脂質がさらにリガンドに共有結合する官能基を含む、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記リガンドがタンパク質、ペプチド、炭水化物、糖タンパク質、抗体及び製薬上活性な作用物質からなる群から選択される、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記陽イオン界面活性剤が、第四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、キトサン、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩酸アシルカルニチン、ハロゲン化アルキルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、陽イオン性脂質、臭化ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウム、スルホニウム化合物、硫酸ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチル、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、臭化ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウム、塩化ココナツトリメチルアンモニウム、臭化ココナツトリメチルアンモニウム、塩化ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウム、臭化ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化C12〜15−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化臭化C12〜15−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、臭化ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、塩化N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化N−アルキル(C14〜18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化N−テトラデシリドメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、塩化N−アルキル及び(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウム、ハロゲン化トリメチルアンモニウムアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシ化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、塩化N−ジデシルジメチルアンモニウム、塩化N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、臭化C12トリメチルアンモニウム、臭化C15トリメチルアンモニウム、臭化C17トリメチルアンモニウム、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、POLYQUAT10、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、第四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL、ALKAQUAT、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマー、及び陽イオングアールガム、塩化ベンザルコニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、トリエタノールアミン及びポロキサミンからなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目47)
前記両性イオン性界面活性剤が、両性イオンリン脂質、ホスファチジルコリン、ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン(DSPE)、ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、ペグ化リン脂質、PEG−ホスファチジルコリン、PEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)−リン脂質、mPEG−ホスファチジルコリン、mPEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ホスファチジルエタノールアミン、mPEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン及びmPEG−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミンからなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目48)
前記生物学的に誘導された界面活性剤が、リポタンパク質、ゼラチン、カゼイン、リゾチーム、アルブミン、カゼイン、ヘパリン、ヒルジン又は他のタンパク質からなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目49)
前記アミノ酸及びそれらの誘導体が、ロイシン、アラニン、バリン、イソロイシン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、メチオニン及びフェニルアラニンからなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目50)
Xが以下:
【化5】


である、項目32に記載の方法。
(項目51)
Y及びZが酸素であり、Rがアリール又はヘテロアリールであり、R’が水素であり、Rがアルキルアリールである、項目50に記載の方法。
(項目52)
Xがアシル、アシルアリール又はアシルヘテロアリールである、項目32に記載の方法。
(項目53)
がハロゲン化ベンジル基であり、A、B、C及びDが炭素であり、R、R、R、R及びRが水素であり、Rがピリジンである、項目51に記載の方法。
(項目54)
前記チューブリン阻害化合物が、以下:
【化6】


である、項目32に記載の方法。
(項目55)
前記チューブリン阻害化合物が
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−(4−メチルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−[1−(2−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−ニトロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(2−クロロピリジン−3−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(3−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(2−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(3−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−2−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−2−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−6−エトキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−エトキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−)−[1−(4−フルオロベンジル)−6−シクロペンチルオキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)−N−(アリルアミノカルボニル−2−メチルプロプ−1−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−メトキシインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシインドール−3−イル]グリオキシルアミド;及び
N−(ピリジン−4−イル−[1−(4−フルオロベンジル)−5−エトキシカルボニルアミノメチルインドール−3−イル]グリオキシルアミド
からなる群から選択される、項目32に記載の方法。
(項目56)
前記ナノ粒子が約10μm以下の平均粒径を有する、項目32に記載の方法。
(項目57)
前記ナノ粒子が約2μm以下の平均粒径を有する、項目32に記載の方法。
(項目58)
有効な量の項目1に記載の組成物を哺乳動物に投与することにより哺乳動物を治療する方法。
(項目59)
前記組成物が抗腫瘍活性、抗喘息活性、抗アレルギー活性、免疫抑制活性又は免疫調節活性を有する、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記哺乳動物がヒトである、項目58に記載の方法。
(項目61)
免疫学的障害と特徴付けられる医学的障害を治療するために使用される、項目58に記載の方法。
(項目62)
抗腫瘍薬抵抗性腫瘍、転移の発生及び広がりを含む転移性癌、チューブリン阻害剤に対して感受性の腫瘍、又は抗腫瘍薬抵抗性であり且つチューブリン阻害剤に対して感受性である腫瘍を治療するために使用される、項目58に記載の方法。
(項目63)
炎症性障害と特徴付けられる医学的障害を治療するために使用される、項目58に記載の方法。
(項目64)
前記医学的障害が膵炎、敗血症性ショック、アレルギー鼻炎、関節リウマチ、及び自己免疫疾患からなる群から選択されるものをさらに含む、項目63に記載の方法。
(項目65)
哺乳動物の治療のための医薬の製造における、項目1に記載の少なくとも1つのチューブリン阻害化合物の約15nm〜約50μmの粒子の使用。
(項目66)
前記哺乳動物が、免疫学的障害、炎症性障害、抗腫瘍薬抵抗性腫瘍、転移の発生及び広がりを含む転移性癌、チューブリン阻害剤に対して感受性の腫瘍、又は抗腫瘍薬抵抗性であり且つチューブリン阻害剤に対して感受性である腫瘍、膵炎、敗血症性ショック、アレルギー鼻炎、及び関節リウマチ、及び自己免疫疾患からなる群から選択される医学的障害について治療される、項目65に記載の使用。
(項目67)
Xが以下:
【化7】


である、項目66に記載の使用。
(項目68)
Y及びZが酸素であり、Rがアリール又はヘテロアリールであり、R’が水素であり、Rがアルキルアリールである、項目67に記載の使用。
(項目69)
Xがアシル、アシルアリール又はアシルヘテロアリールである、項目66に記載の使用。
(項目70)
がハロゲン化ベンジル基であり、A、B、C及びDが炭素であり、R、R、R、R及びRが水素であり、Rがピリジンである、項目68に記載の使用。
(項目71)
前記チューブリン阻害化合物が以下:
【化8】


である、項目66に記載の使用。
(項目72)
前記チューブリン阻害化合物が
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−(4−メチルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−[1−(2−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−ニトロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(2−クロロピリジン−3−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(3−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(2−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(3−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−2−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−2−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−6−エトキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−エトキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−)−[1−(4−フルオロベンジル)−6−シクロペンチルオキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)−N−(アリルアミノカルボニル−2−メチルプロプ−1−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−メトキシインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシインドール−3−イル]グリオキシルアミド;及び
N−(ピリジン−4−イル−[1−(4−フルオロベンジル)−5−エトキシカルボニルアミノメチルインドール−3−イル]グリオキシルアミド
からなる群から選択される、項目66に記載の使用。
(項目73)
前記チューブリン阻害化合物が以下:
【化9】


である、項目58に記載の方法。
(項目74)
前記チューブリン阻害化合物が
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−(4−メチルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−3−イル)−[1−(2−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−ニトロフェニル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(2−クロロピリジン−3−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(3−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(2−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(4−フルオロフェニル)−[1−(3−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−クロロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−2−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(2−ピリジルメチル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−2−イル)−(1−ベンジルインドール−3−イル)グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−6−エトキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−エトキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−)−[1−(4−フルオロベンジル)−6−シクロペンチルオキシカルボニルアミノインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(3,4,5−トリメトキシベンジル)−N−(アリルアミノカルボニル−2−メチルプロプ−1−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)インドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−メトキシインドール−3−イル]グリオキシルアミド;
N−(ピリジン−4−イル)−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシインドール−3−イル]グリオキシルアミド;及び
N−(ピリジン−4−イル−[1−(4−フルオロベンジル)−5−エトキシカルボニルアミノメチルインドール−3−イル]グリオキシルアミド
からなる群から選択される、項目58に記載の方法。
(項目75)
前記ナノ粒子組成物が哺乳動物における生物学的利用能の改善を示す、項目58に記載の方法。
(項目76)
前記ナノ粒子組成物が哺乳動物における徐放性活性を示す、項目58に記載の方法。
(項目77)
前記哺乳動物が組成物の耐容性の改善を経験する、項目58に記載の方法。
(項目78)
前記耐容性の改善が、ナノ粒子の形態でないチューブリン阻害剤を含む組成物の投与の時間間隔と比較して、ナノ粒子組成物の投与の間の時間間隔の増加の結果である、項目77に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、組成物4及び5の静脈内注射後のD−24851の血漿中濃度を比較したグラフである。
【図2】図2は、イヌに静脈内投与した後の(1日目、組成物4)、D−24851の平均血漿中濃度を示すグラフである。
【図3】図3は、イヌに静脈内投与した後の(27日目、組成物4)、D−24851の平均血漿中濃度を示すグラフである。
【図4】図4は、粒子懸濁液を調製する好ましい方法である方法「A」を示す図である。
【図5】図5は、粒子懸濁液を調製する好ましい方法である方法「B」を概略的に示す図である。
【図6】図6は、ラットAH13腫瘍モデルにおけるD−24851ナノ懸濁液(組成物4)の用量依存性を対照溶液と比較したグラフである。
【図7】図7は、ラットにおける各種用量のD−24851ナノ懸濁液(組成物4)の静脈内投与後の血漿中濃度を示すグラフである。
【図8】図8は、ラットにおける1日目及び15日目におけるD−24851ナノ懸濁液(組成物4)の静脈内投与後の血漿中濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
本発明は多くの異なる形の実施形態が可能であるが、そのような実施形態は本発明の原理の典型的な具体例であるとみなすべきであり、本発明の広い態様を限定することを意図するものでないという理解のもとに、本発明の好ましい実施形態に特に焦点を合わせることとする。
【0039】
本発明は、下及び本願書を通して述べるように、いくつかの定義を用いて本明細書に述べる。
【0040】
「約」は、当業者により理解され、それが用いられている文脈によってある程度異なる。用いられている文脈を考慮して当業者に明らかでない項の使用がある場合、「約」はその特定の項の±10%までであることを意味する。
【0041】
薬剤組成物の薬物動態学的性能に関する「生物学的利用能」は、製剤のインビボ性能を記述するために当技術分野で一般的に用いられている。製剤のインビボ性能(又は生物学的利用能)を記述するために当技術分野で一般的に用いられているパラメーターは、血液中の有効成分の最高濃度であるCmax、薬物がCmaxに到達する投与後経過時間であるTmax及び患者により吸収された薬物の総量の尺度であるAUC(曲線下面積)である。したがって、本発明のナノ懸濁液に関する「生物学的利用能の改善」は、本発明の所与のインドール系チューブリン阻害剤のナノ粒子組成物以外の製剤と比較したそのようなナノ懸濁液の性能の改善(例えば、Cmax、Tmax、AUC又は他の性能基準の改善)を指す。この生物学的利用能の改善は、同じ薬物を含む他の製剤の反復投与法と比較しての本発明のナノ懸濁液反復の投与法にも当てはまる。投与する薬物、投与を受ける患者及び治療を受ける患者の状態の重症度によって、生物学的利用能の改善を得るためにCmax、Tmax、AUC又は他の性能基準値を増加又は減少させることができる。例えば、薬物の有効性(すなわち、効力及び安全性)を改善するために所与の薬物のCmaxを減少させることが必要な場合、投与したとき、同じ薬物を含む他の投与製剤と比較してCmaxを低下させた本発明のナノ懸濁液は生物学的利用能を改善したことになる。同様に、薬物の有効性を改善するためにTmaxを延長することが必要な場合、そのパラメーターを増加させる本発明のナノ懸濁液は生物学的利用能を改善したことになる。
【0042】
微粒子(例えば、ナノ又はミクロ微粒子)組成物の界面活性剤又は他の賦形剤に関する「被覆された」は、粒子の表面又はほぼ表面上にそのような化合物の存在を指す。そのような化合物で「被覆された」粒子は、化合物で部分的又は完全に被覆されていてよく、そのような化合物は、粒子内に部分的に混入されてよく、又はされてはならない。
【0043】
「砕け易い」は、脆く、より小さい粒子により容易に粉砕される粒子を指す。
【0044】
「ミクロ懸濁液」はミクロ粒子の懸濁液を指し、「ミクロ粒子」は、特に断らない限り、約200nm〜約5μmの平均粒径を有する活性薬の粒子を指す。
【0045】
「ナノ懸濁液」はナノ粒子の懸濁液を指し、「ナノ粒子」及び「ナノ粒子」は、特に断らない限り、約15nm〜約2μmの平均粒径を有する活性薬の粒子を指す。「粒子懸濁液」は、様々なサイズ分布のものであってよい粒子の懸濁液を指す。
【0046】
本明細書で用いるように、「粒径」又は「サイズ」(粒子に関する)は、当業者によく知られている従来の粒径測定技術により測定される体積加重平均粒径に基づいて求める。そのような技術としては、例えば、流動場沈降分画法、光子相関分光法、光散乱法、ディスク遠心分離法、光学顕微鏡法又は電子顕微鏡法などがある。
【0047】
「前懸濁液」は、非晶質、半結晶性又は結晶性であってよい固体分散系を指し、サイズが所望の範囲に十分に減少されておらず、且つ/又は該固体分散系を安定化するためにエネルギーを加える必要があるものである。
【0048】
「水に難溶性」は、化合物の水溶解度が約10mg/ml未満であることを意味する。
【0049】
安定な薬物粒子に関して、「安定な」は、認めうるほどに凝集又は集合又は別の仕方で粒径を増加しないチューブリン阻害剤粒子を意味する。
【0050】
「徐放性」は、投与後の血流中の活性薬成分の有効な濃度が比較的に長い時間、又は同じ活性薬成分を含む他の製剤の投与後の有効な濃度の期間と比較して長い期間維持される、本発明のナノ懸濁液の投与を指す。
【0051】
「治療上有効な量」は、投与患者に一般的に改善効果をもたらす薬物投与量を指す。疾患の状態及び個々の反応の変動性のため、特定の場合に特定の患者に投与された本発明の組成物の「治療上有効な量」は、そのような用量が当業者によって「治療上有効な量」と考えられたとしても、本明細書に記載した疾患の治療に必ずしも有効であるとは限らないことが強調される。薬物の用量は、個々の場合に、非経口若しくは経口投与量として測定するか、又は血液若しくは血漿中で測定される薬物濃度を基準とすることをさらに理解されたい。
【0052】
「耐容性」は、連続的に、ボーラスで、反復投与で、又は同じ活性薬成分の他の製剤により投与されるよりも大きい用量で、そのような製剤が連続的に、ボーラスで、又は反復投与されるかどうかにかかわりなく、有害若しくは望ましくない影響なしに、或いは個人におけるそのような他の製剤の投与の影響に比較して少ない有害若しくは望ましくない影響で、本発明のナノ懸濁液(活性薬成分を含む)の投与を受ける個人の能力を指す。
【0053】
化合物/粒子
以下の用語は、本発明の説明において意味を有するものとする。
【0054】
「遊離ヒドロキシ基」という用語は、OH基を意味する。「機能的に修飾されたヒドロキシ基」という用語は、官能基化されて、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アシルアルキル、アルキニル又はヘテロアリール基で水素が置換されているエーテルを、アシル基で水素が置換されているエステルを、アミノカルボニル基で水素が置換されているカルバメートを、或いはアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アルケニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ又はアルキニルオキシカルボニル基で水素が置換されているカーボネートを形成したOH基を意味する。好ましい部分としては、OH、OCH、C(O)CH、OCHC(O)C、OCH、OCHCH、OC(O)CH及びOC(O)Cなどがある。
【0055】
「遊離アミノ基」という用語は、NHを意味する。「機能的に修飾されたアミノ基」という用語は、官能基化されて、適切な基で1つの水素が置換されているアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルキニル又はヒドロキシアミノ基を、適切な基で1つ又は両方の水素が置換されているアリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アシルアルキル又はアルキニルアミノ基を、アシル基で1つの水素が置換されているアミドを、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル又はアルキニルカルボニル基で1つの水素が置換されているカルバメートを、或いはアミノカルボニル基で1つの水素が置換されている尿素を形成したNH基を意味する。これらの置換パターンの組合せ、例えば、1つの水素がアルキル基により置換され、他の水素がアルコキシカルボニル基により置換されているNHも、機能的に修飾されたアミノ基の定義に含まれ、また本発明の範囲内に含まれる。好ましい部分としては、NH、NHCH、NHC、N(CH、NHC(O)CH、NHOH及びNH(OCH)などがある。
【0056】
「遊離チオール基」という用語は、SH基を意味する。「機能的に修飾されたチオール基」という用語は、官能基化されて、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルキニル、アシルアルキル又はヘテロアリール基で水素が置換されているチオエーテルを、或いはアシル基で水素が置換されているチオエステルを形成したSH基を意味する。好ましい部分としては、SH、SC(O)CH、SCH、SC、SCHC(O)C及びSCHC(O)(CH)などがある。
【0057】
「アシル」という用語は、酸素原子に対して二重結合を、他の炭素原子に対して単結合を有する炭素原子により連結されている基を意味する。
【0058】
「アルキル」という用語は、飽和されている、すなわち、炭素−炭素二重結合を含まない直鎖又は枝分れ鎖脂肪族炭化水素基を含む。アルキル基は、酸素、窒素又は硫黄などの1つ又は複数のヘテロ原子によって中断されていてよく、ハロゲン、ヒドロキシル、アリール、シクロアルキル、アリールオキシ又はアルコキシなどの他の基で置換されていてよい。好ましい線状又は分枝アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル及びt−ブチルなどがある。
【0059】
「シクロアルキル」という用語は、結合して、縮合又は孤立していてよい、1つ又は複数の環を形成する直鎖又は枝分れ鎖飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基を含む。環は、ハロゲン、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、アルコキシ又はアルキルなどの他の基で置換されていてよい。好ましいシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルなどがある。
【0060】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環にO、S又はNなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含み、縮合又は孤立していてよいシクロアルキル環を指す。環は、ハロゲン、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、アルコキシ又はアルキルなどの他の基で置換されていてよい。好ましいヘテロシクロアルキル基としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル及びテトラヒドロピラニルなどがある。
【0061】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、鎖が場合によって1つ又は複数のヘテロ原子によって中断されている直鎖又は枝分れ鎖炭化水素基を含む。鎖の水素は、ハロゲンなどの他の基で置換されていてよい。好ましい線状又は分枝アルケニル基としては、アリル、1−ブテニル、1−メチル−2−プロペニル及び4−ペンテニルなどがある。
【0062】
「シクロアルケニル」という用語は、結合して、縮合又は孤立していてよい、炭素−炭素二重結合を含む1つ又は複数の非芳香環を形成する直鎖又は枝分れ鎖飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基を含む。環は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ又はアルキルなどの他の基で置換されていてよい。好ましいシクロアルケニル基としては、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルなどがある。
【0063】
「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、環にO、N又はSなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含み、縮合又は孤立していてよいシクロアルケニル環を指す。環は、ハロゲン、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、アルコキシ又はアルキルなどの他の基で置換されていてよい。好ましいヘテロシクロアルケニル基としては、ピロリジニル、ジヒドロピラニル及びジヒドロフラニルなどがある。
【0064】
「カルボニル基」という用語は、酸素原子に二重結合し、2つの自由原子価を有する炭素原子を表す。
【0065】
「アミノカルボニル」という用語は、カルボニル基の炭素原子にその窒素原子により結合した遊離又は機能的に修飾されたアミノ基を表し、カルボニル基自体はその炭素原子により他の原子に結合している。
【0066】
「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0067】
「アリール」という用語は、芳香族である炭素環を指す。環は、フェニルのように孤立又はナフチルのように縮合していてよい。環水素は、アルキル、ハロゲン、遊離又は官能基化ヒドロキシ、トリハロメチル等の他の基で置換されていてよい。アリール基の例としては、フェニル、並びに2−、3−又は4−ハロフェニル、アルキルフェニル及び3−(トリフルオロメチル)フェニルの置換フェニル基などがある。
【0068】
「アリールアルキル」という用語は、アルキル置換基上の水素の少なくとも1つがアリール基により置換されているアルキル基を指す。例としては、ベンジル基、並びに2−、3−又は(4−ハロフェニル)メチル及び(4−アルキルフェニル)メチルなどの置換ベンジル基などがある。
【0069】
「ヘテロアリール」という用語は、環にO、S又はNなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族炭化水素環を指す。ヘテロアリール環は、5〜6環原子を有し孤立又は8〜10原子を有し縮合していてよい。開放原子価を有するヘテロアリール環水素又はヘテロ原子は、アルキル又はハロゲンなどの他の基で置換されていてよい。ヘテロアリール基の例としては、イミダゾール、ピリジン、インドール、キノリン、フラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、テトラヒドロキノリン、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン及びジヒドロベンズインドールなどがある。
【0070】
「アリールオキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「アルコキシ」、「シクロアルコキシ」、「ヘテロシクロアルコキシ」、「アルケニルオキシ」、「シクロアルケニルオキシ」、「ヘテロシクロアルケニルオキシ」及び「アルキニルオキシ」という用語は、それぞれ酸素結合により結合したアリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル又はアルキニル基を表す。
【0071】
「アルコキシカルボニル」、「アリールオキシカルボニル」、「ヘテロアリールオキシカルボニル」、「シクロアルコシキカルボニル」、「ヘテロシクロアルコキシカルボニル」、「アルケニルオキシカルボニル」、「シクロアルケニルオキシカルボニル」、「ヘテロシクロアルケニルオキシカルボニル」及び「アルキニルオキシカルボニル」という用語は、それぞれカルボニル基の炭素にその酸素原子により結合したアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アルケニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ又はアルキニルオキシ基を表し、カルボニル基自体はその炭素原子により他の原子に結合している。
【0072】
本発明のインドール系チューブリン阻害化合物は、以下の一般式(1)に属する。
【0073】
【化10】

[式中、
Xは水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アシル、カルボキシ(−C=OOR)、アルコキシ、ヒドロキシ、機能的に修飾されたヒドロキシ基(例えば、アシルオキシ)、アリール、ヘテロアリールであり、
【0074】
【化11】

式中、Y及びZは独立にNR、O又はSであり、ただし、Rは水素、アルキル、アリール、アシル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アミノカルボニルであり、
及びR’は独立にアルキル、アリール、ヘテロアリールであり、
或いはXはNRであり、ただし、R及びRは独立に水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アシル、アリール又はヘテロアリールであり、
A、B、C及びDは独立に窒素又は炭素であり、
ただし、Aが窒素である場合には、Rは存在せず、Aが炭素である場合には、Rは水素、ハロゲン又はアルキルであり、
Bが窒素である場合には、Rは存在せず、Bが炭素である場合には、Rは水素、ハロゲン又はアルキルであり、
Cが窒素である場合には、Rは存在せず、Cが炭素である場合には、Rは水素、ハロゲン又はアルキルであり、
Dが窒素である場合には、Rは存在せず、Dが炭素である場合には、Rは水素、ハロゲン又はアルキルであり、
は水素、アルキル、アルキルアリール、アシル又はアリールであり、
は水素、アルキル、アシル、アリール、アルコシキカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、ヘテロシクロアルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、シクロアルケニルオキシカルボニル及びヘテロシクロアルケニルオキシカルボニルである]。
【0075】
好ましくは、Rは置換ベンジル基であり、より好ましくはハロゲン化ベンジル基(2−、3−又は(4−ハロフェニル)メチル)であり、最も好ましくは(4−クロロフェニル)メチル基である。
【0076】
好ましくは、R、R、R及びRは水素原子である。
【0077】
好ましくは、R又はR’は水素であり、残りの置換基(R又はR’)はピリジニル基(ピリジン環)である。より好ましくは、R又はR’は水素であり、残りの置換基(R又はR’)は4−ピリジニル基である。
【0078】
本発明のインドール系チューブリン阻害剤の好ましい種は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第2003/0195244号に記載されているもの(特にN−置換及び3−置換)である。
【0079】
本発明のインドール系チューブリン阻害剤の好ましい種は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許出願公開第2002/0091124A1号に記載されているもの(2−アシルインドール)である。
【0080】
本発明のインドールの最も好ましい種は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第6008231号、第6232327号及び第6693119号に記載されているもの(N−置換インドール−3−グリオキシルアミド)である。
【0081】
本発明の最も好ましいインドールは、以下の式2の化学構造を有するD−24851である。
【0082】
【化12】

本発明のインドールは、当業者に知られており、また前述の参照により組み込まれた特許及び刊行物に開示されている方法により合成することができる。
【0083】
1つ又は複数のチューブリン阻害剤が本発明の組成物中に約0.01%〜約20%重量/容積(w/v)、好ましくは約0.05%〜約15%w/v、より好ましくは約0.1%〜約10%w/vの量で存在する。
【0084】
本発明の粒子は、活性薬、存在する界面活性剤、投与経路及び投与方法などの多くの因子によって粒径分布が異なる。一般的に、粒子は、約15nm〜50μm、好ましくは約50nm〜10μm、より好ましくは約50nm〜2μm粒径分布を有する。粒子を注射投与用に調製する場合、粒子は有効粒子径を有するものとする。好ましくは、そのような粒子はサイズが約5μm未満(ミクロ粒子)、より好ましくはサイズが約2μm未満(ナノ粒子)であるものとする。
【0085】
界面活性剤/懸濁液
本発明における粒子を被覆するための適切な界面活性剤は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、リン脂質、生物学的に誘導された界面活性剤又はアミノ酸及びそれらの誘導体から選択することができる。イオン性界面活性剤は、陰イオン性又は陽イオン性であってよい。界面活性剤は、組成物中に約0.01%〜10%w/v、好ましくは約0.05%〜約5%w/vの量で存在する。
【0086】
適切な陰イオン界面活性剤は、スルホン酸アルキル、スルホン酸アリール、リン酸アルキル、ホスホン酸アルキル、ラウリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硫酸アルキル、アルギン酸ナトリウム、ホスファチジン酸及びそれらの塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム、胆汁酸及びそれらの塩(例えば、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸及びグリコデオキシコール酸の塩)、並びにカルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸及びその塩(例えば、ステアリン酸ナトリウム及びカルシウム)、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム及びリン脂質を含むが、これらに限定されない。
【0087】
適切な陽イオン界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、キトサン、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩酸アシルカルニチン、ハロゲン化アルキルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、陽イオン性脂質、臭化ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウム、スルホニウム化合物、硫酸ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチル、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、臭化ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウム、塩化ココナツトリメチルアンモニウム、臭化ココナツトリメチルアンモニウム、塩化ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウム、臭化ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化C12〜15−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化臭化C12〜15−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、臭化ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、塩化N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化N−アルキル(C14〜18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化N−テトラデシリドメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、塩化N−アルキル及び(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウム、ハロゲン化トリメチルアンモニウムアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシ化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、塩化N−ジデシルジメチルアンモニウム、塩化N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、臭化C12トリメチルアンモニウム、臭化C15トリメチルアンモニウム、臭化C17トリメチルアンモニウム、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、「POLYQUAT 10」(重合第四級アンモニウム化合物の混合物)、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、第四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマー、陽イオングアールガム、塩化ベンザルコニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、トリエタノールアミン及びポロキサミンを含むが、これらに限定されない。
【0088】
適切な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、モノステアリン酸グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポロキサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、多糖、デンプン、デンプン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸トリエタノールアミン、アミン酸化物、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非晶質セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを含む4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマー、ポロキサマー、スルホン酸アルキルアリールポリエーテル、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースとの混合物、C1837CHC(O)N(CH)CH(CHOH)(CHOH)、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE及び酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーを含むがこれらに限定されない。
【0089】
両性イオン性界面活性剤は、電気的に中性であるが、同じ分子内に局所的な正及び負電荷を有する。分子上の正味の電荷はpHに依存し、したがって、ある種の両性イオン性界面活性剤は、低いpHでは、陽イオン界面活性剤として作用するが、高いpHでは陰イオン界面活性剤としても作用する。適切な両性イオン性界面活性剤は、両性イオンリン脂質を含むが、これに限定されない。これらのリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシルグリセロホスホエタノールアミン(ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン(DSPE)及びジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)など)、ペグ化リン脂質、PEG−ホスファチジルコリン、PEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン、PEG−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)−リン脂質、mPEG−ホスファチジルコリン、mPEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ホスファチジルエタノールアミン、mPEG−ジアシルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジミリストイルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジパルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、mPEG−ジステアロイルグリセロホスホエタノールアミン及びmPEG−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミンなどである。
【0090】
陰イオン及び両性イオンリン脂質を含むリン脂質の混合物を本発明に用いることができる。そのような混合物は、リソリン脂質、卵若しくはダイズリン脂質又はそのいずれかの組合せを含むがそれらに限定されない。
【0091】
適切な生物学的に誘導された界面活性剤は、リポタンパク質、ゼラチン、カゼイン、リゾチーム、アルブミン、カゼイン、ヘパリン、ヒルジン又は他のタンパク質を含むが、これらに限定されない。
【0092】
好ましいイオン性界面活性剤は、胆汁酸塩であり、好ましい胆汁酸塩は、デオキシコール酸ナトリウムである。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポリアルコキシエーテルであり、好ましいポリアルコキシエーテルは、ポロキサマー188及びポロキサマー407などのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマーである。他の好ましい界面活性剤は、ポリアルコキシエーテルがエーテル結合により脂質に共有結合している脂質である。このクラスの好ましい界面活性剤は、ペグ化リン脂質である。他の好ましい界面活性剤は、ペグ化リン脂質メチルエーテル(例えば、mPEG−DSPE)である。
【0093】
本発明の好ましい実施形態において、粒子が、pH調整剤をさらに含む水性媒体に懸濁されている。適切なpH調整剤は、水酸化ナトリウム、塩酸、トリス緩衝液、モノ、ジ、トリカルボン酸及びそれらの塩、クエン酸緩衝液、リン酸塩、グリセロ−1−リン酸塩、グリセロ−2−リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノサッカライド、モノ、ジ、トリアルキル化アミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)及びアミノ酸を含むが、これらに限定されない。水性媒体は、グリセリンなどであるが、これに限定されない浸透圧調整剤、デキストロースなどの単糖、スクロースなどの二糖、マルトースなどのトレハロース、ラフィノースなどの三糖並びにマンニトール及びソルビトールなどの糖アルコールをさらに含んでいてよい。
【0094】
本発明の1つの実施形態において、粒子懸濁液組成物の水性媒体を除去して乾燥粒子を生成させる。水性媒体を除去する方法は、当技術分野で知られているいずれかの方法であってよい。1つの例は、蒸発である。他の例は、凍結乾燥である。乾燥粒子は、次に、水剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、クリーム剤、ローション剤、乳剤、エアゾール剤、散剤、持続性放出のためのリザーバー又はマトリックスデバイス(インプラント又は経皮パッチなど)への組込み等を含むが、これらに限定されないいずれかの許容できる物理的形態に製剤化することができる。本発明の水性懸濁液は、保存時の安定性を改善するために凍結することもできる。安定性を改善するための水性懸濁液の凍結は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした、本発明の譲受人に譲渡され、同時係属中の米国特許出願第10/270267号に開示されている。
【0095】
好ましい組成物は、0.05%〜10%w/vで存在するチューブリン阻害剤の粒子の水性懸濁液を含み、粒子が0.05%〜5%w/vのイオン性界面活性剤(例えば、デオキシコール酸塩)又は両性イオン性界面活性剤(例えば、mPEG−DSPE)及び0.05%〜5%w/vのポリアルコキシエーテル(例えば、ポロキサマー188)で被覆されており、製剤の浸透圧を調整するためにグリセリンが添加されている。
【0096】
本発明の粒子懸濁液は、当業者に知られている方法及び下記の方法により調製することができる。
【0097】
粒子/懸濁液の調製の方法
本発明の粒子懸濁液を調製するためのエネルギー付加方法は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした、本発明の譲受人に譲渡され、同時係属中の米国特許出願第60/258160号、同第09/874799号、同第09/874637号、同第09/874499号、同第09/964273号、同第10/035821号、同第60/347548号、同第10/021692号、同第10/183035号、同第10/213352号、同第10/246802号、同第10/270268号、同第10/270267号及び同第10/390333号に開示されている。本発明の実施において有用な懸濁液を調製する一般的な手順は、以下のとおりである。
【0098】
方法は3つの一般的カテゴリーに分けることができる。方法のカテゴリーのそれぞれは、(1)チューブリン阻害化合物を水混和性の第1の有機溶媒に溶解して、第1の溶液を調製する工程と、(2)チューブリン阻害剤を沈殿させるために第1の溶液を水の第2の溶媒と混合して、前懸濁液を調製する工程と、(3)前懸濁液に高剪断混合又は熱の形のエネルギーを加えて、上で定義した所望のサイズを有する安定な形態のチューブリン阻害剤を得る工程とを共有する。
【0099】
方法の3つのカテゴリーは、エネルギー付加工程の前及びエネルギー付加工程の後に実施するX線回折試験、示差走査熱量測定(DSC)試験又は他の適切な試験により測定するチューブリン阻害剤の物理的特性に基づいて区別される。
【0100】
I.第1の方法カテゴリー
第1の方法カテゴリーの方法は、一般的にチューブリン阻害剤を水混和性の第1の溶媒に溶解する工程の後にこの溶液を水性溶液と混合して前懸濁液を生成させる工程を含み、チューブリン阻害剤は、X線回折試験、DSC、光学若しくは電子顕微鏡又は他の分析技術により測定される非晶質の形態、半結晶の形態又は過冷却液体の形態にあり、上述の有効粒径範囲の1つの範囲内の平均有効粒径を有する。混合工程の後にエネルギー付加工程が続くが、これは、本発明の好ましい形態においてはアニーリング工程である。
【0101】
II.第2の方法カテゴリー
第2の方法カテゴリーの方法は、第1の方法カテゴリーと本質的に同じ工程を含むが、次の点が異なる。前懸濁液のX線回折、DSC又は他の適切な分析は、結晶の形態であり、平均有効粒径を有するチューブリン阻害剤を示す。エネルギー付加工程の後のチューブリン阻害剤は、エネルギー付加工程の前と本質的に同じ平均有効粒径を有するが、前懸濁液の粒子と比較したとき、より大きい粒子に凝集する傾向がより少ない。理論に拘束されることなく、粒子の安定性の差は固体−液体界面での界面活性剤分子の再配列に起因すると考えられている。
【0102】
III.第3の方法カテゴリー
第3のカテゴリーの方法は、前懸濁液中のチューブリン阻害剤が平均有効粒径を有する砕け易い形態(例えば、細長い針状及び薄い板状)であることを保証するために、第1及び第2の方法カテゴリーの最初の2つの工程を修正したものである。砕け易い粒子は、適切な溶媒、界面活性剤又は界面活性剤の組合せ、個々の溶液の温度、混合速度及び沈殿速度等を選択することにより形成させることができる。砕け易さは、第1の溶液と水溶液を混合する工程において格子欠陥(例えば、へき開面)の導入によっても増大させることもできる。これは、沈殿工程でもたらされるような急速な結晶化によって生ずると思われる。エネルギー付加工程において、これらの砕け易い結晶は、動力学的に安定化されており、前懸濁液の平均有効粒子径より小さい平均有効粒子径を有する結晶に変換させる。動力学的に安定化されたとは、粒子が、動力学的に安定化されていない粒子と比較して凝集する低い傾向を有することを意味する。そのような場合には、エネルギー付加工程は砕け易い粒子の粉砕と被覆をもたらす。前懸濁液の粒子が砕け易い状態にあることを保証することにより、有機化合物は、粒子を砕け易い形にするための工程が設けられなかった有機化合物の処理と比較して、所望のサイズ範囲内の粒子に容易且つ速やかに調製することができる。
【0103】
エネルギー付加工程は、前懸濁液がキャビテーション、剪断又は衝撃力に曝露されるいずれかの方法で実施することができる。本発明の1つの好ましい形態において、エネルギー付加工程はアニーリング工程である。アニーリングは、本発明では、エネルギー(直接加熱又は機械的応力)を1回又は繰返し加えた後の熱緩和によって熱力学的に不安定である物質をより安定な形に変換する方法と定義する。このエネルギーの低下は、秩序がより低い格子構造から秩序がより高い格子構造へと固体の形態を変換することによって達成することができる。或いは、この安定化は、固体−液体界面における界面活性剤分子の再配列によって起り得る。
【0104】
これらの3つの方法カテゴリーは、下で別個に述べることとする。しかし、界面活性剤又は界面活性剤の組合せの選択、用いる界面活性剤の量、反応温度、溶液の混合速度、沈殿速度等の方法の条件は、次に述べるカテゴリーのいずれか1つのもとに薬物を処理することができように選択することができることを理解されたい。
【0105】
第1の方法カテゴリー並びに第2及び第3の方法カテゴリーは、2つのサブカテゴリー、すなわち、それぞれ図4及び図5に図式的に示す方法A及びBにさらに分けることができる。
【0106】
本発明の第1の溶媒は、問題の有機化合物が比較的溶け易く、第2の溶媒と混和できる溶媒又は溶媒の混合物である。そのような溶媒は、分子内の水素原子が酸素、窒素などの電気陰性原子又は元素の周期表の他のVA、VIA及びVIIA族に結合している水混和性プロトン性化合物を含むが、これらに限定されない。そのような溶媒の例は、アルコール、アミン(第一級又は第二級)、オキシム、ヒドロキサム酸、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、リン酸、アミド及び尿素を含むが、これらに限定されない。
【0107】
第1の溶媒の他の例は、非プロトン性有機溶媒も含む。これらの非プロトン性溶媒の一部は、水との水素結合を形成することができるが、有効なプロトン供与基を欠くため、プロトン受容体としてのみ作用することができる。非プロトン性溶媒の1つのクラスは、国際純正応用化学連合(IUPAC Compendium of Chemical Terminology、第2版、1997年)により以下のように定義されている極性非プロトン性溶媒である:
活性水素原子を適切に供与して強い水素結合を形成することができない、約15を超える比較的高い相対誘電率(又は比誘電率)及びかなり大きい永久双極子モーメントを有する溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド。
【0108】
極性非プロトン性溶媒は、アミド(完全に置換、結合水素原子を欠く窒素を有する)、尿素(完全に置換、窒素に結合した水素原子を有さない)、エーテル、環状エーテル、ニトリル、ケトン、スルホン、スルホキシド、完全に置換されたリン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスホルアミド、ニトロ化合物等からなる群から選択することができる。ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、アセトニトリル及びヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、ニトロメタン、1,2−プロピレングリコールカーボネートがとりわけこのクラスのメンバーである。
【0109】
一般的に水と混和しないが、低容積(10%未満)で十分な水溶解度を有し、これらの低容積で水混和性の第1の溶媒として働く溶媒も選択することもできる。例としては、芳香族炭化水素、アルケン、アルカン、並びにハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化アルケン及びハロゲン化アルカンなどがある。芳香族化合物は、ベンゼン(置換又は非置換)及び単環式又は多環式アレンを含むが、これらに限定されない。置換ベンゼンの例は、キシレン(オルト、メタ又はパラ)及びトルエンを含むが、これらに限定されない。アルカンの例は、ヘキサン、ネオペンタン、ヘプタン、イソオクタン及びシクロヘキサンを含むが、これらに限定されない。ハロゲン化芳香族化合物の例は、クロロベンゼン、ブロモベンゼン及びクロロトルエンを含むが、これらに限定されない。ハロゲン化アルカン及びアルケンの例は、トリクロロエタン、塩化メチレン、二塩化エチレン(EDC)等を含むが、これらに限定されない。
【0110】
上のすべての溶媒クラスの例は、N−メチル−2−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)、2−ピロリジノン(2−ピロリドン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、カルボン酸(酢酸及び乳酸など)、脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、3−ペンタノール及びn−プロパノールなど)、ベンジルアルコール、グリセロール、ブチレングリコール(1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール及び2,3−ブタンジオール)、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノ及びジアシル化グリセリド、ジメチルイソソルビド、アセトン、ジメチルスルホン、ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、アセトニトリル、ニトロメタン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)、芳香族炭化水素、アルケン、アルカン、ハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化アルケン、ハロゲン化アルカン、キシレン、トルエン、ベンゼン、置換ベンゼン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン、トリクロロエタン、塩化メチレン、二塩化エチレン(EDC)、ヘキサン、ネオペンタン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGエステル、PEG−4、PEG−8、PEG−9、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−120、PEG−75、PEG−150、ポリエチレングリコールエステル、二ラウリン酸PEG−4、二ラウリン酸PEG−20、イソステアリン酸PEG−6、パルミトステアリン酸PEG−8、パルミトステアリン酸PEG−150、ポリエチレングリコールソルビタン、イソステアリン酸PEG−20ソルビタン、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、PEG−3ジメチルエーテル、PEG−4ジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(PPG)、アルギン酸ポリプロピレン、PEG−10ブタンジオール、PEG−10メチルグルコースエーテル、PEG−20メチルグルコースエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、二カプリル酸/二カプリン酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコール及びグリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)を含むが、これらに限定されない。
【0111】
好ましい第1の溶媒は、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)である。他の好ましい第1の溶媒は、乳酸である。
【0112】
第2の溶媒は、水性溶媒である。この水性溶媒は、水単独であってよい。この溶媒は、緩衝剤、塩、界面活性剤、水溶性ポリマー及びこれらの賦形剤の組合せも含んでいてよい。
【0113】
方法A
方法Aにおいては、チューブリン阻害剤を最初に第1の溶媒に溶解して第1の溶液を調製する。チューブリン阻害剤は、第1の溶媒に対するチューブリン阻害剤の溶解度によって約0.01%〜約20%重量/容積(w/v)で加えることができる。第1の溶媒におけるチューブリン阻害剤の完全な溶解を保証するために濃縮物の約30℃〜約100℃への加熱が必要であることがある。
【0114】
第2の水溶液を準備し、それに1つ又は複数の界面活性剤を加える。界面活性剤は、上記のイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、リン脂質又は生物学的に誘導された界面活性剤から選択することができる。
【0115】
水酸化ナトリウム、塩酸、グリシンなどのアミノ酸、トリス緩衝液又はクエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メグルミン等のpH調整剤を第2の溶液に加えることも望ましい場合がある。第2の溶液は、約2〜約12の範囲内のpHを有するべきである。
【0116】
次いで、第1及び第2の溶液を合わせる。好ましくは、第1の溶液を制御された速度で第2の溶液に加える。添加速度は、バッチサイズとチューブリン阻害剤の沈殿速度過程に依存する。一般的に、小規模実験法(1リットルの調製)では、添加速度は1分当たり約0.05ccから1分当たり約50ccである。添加中、溶液は絶えず撹拌すべきである。非晶質粒子、半結晶性固体又は過冷却液体が生成して前懸濁液を形成することが光学顕微鏡を用いて観察された。方法はさらに、前懸濁液をアニーリング工程にかけて、非晶質粒子、過冷却液体又は半結晶性固体を結晶性のより安定な固体状態に転換する工程を含む。得られる粒子は、動的光散乱法(例えば、光相関分光法、レーザー回折、小角レーザー光散乱(LALLS)、中角レーザー光散乱(MALIS))、光オブスキュレーション法(例えば、コールター法)、レオロジー又は顕微鏡法(光学又は電子)により測定される上記の範囲内の平均有効粒径を有する。
【0117】
エネルギー付加工程は、音波処理、均質化、向流均質化(例えば、液体のジェット流が第1の経路に沿って導かれ、構造物が第1の経路に挿入されていて、液体が新たな経路に沿って制御された流路に向きを変えさせられて、液体の乳化又は混合を引き起こす、BEE Incorporated、NCから入手されるMini DeBEE 2000ホモジナイザー)、微小流動化又は衝撃、剪断又はキャビテーション力を与える他の方法によってエネルギーを加えることを含む。試料は、この工程中に冷却又は加熱することができる。本発明の1つの好ましい形態において、アニーリング工程を均質化により実施する。本発明の他の好ましい形態において、アニーリングは、超音波処理により達成することができる。本発明の他の好ましい形態において、アニーリングは、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第5720551号に記載されている乳化装置を用いて達成することができる。
【0118】
アニーリングの速度によって、処理済みの試料の温度を約0℃〜30℃の範囲内に調節することが望ましいことがある。或いは、処理済み固体の所望の相変化を生じさせるために、前懸濁液の温度をアニーリング工程中に約3℃〜約100℃の範囲内の温度に調節することが必要なこともある。
【0119】
方法B
方法Bは以下の点が方法Aと異なる。第1の相違点は、第1の溶液に加える界面活性剤又は界面活性剤の組合せである。界面活性剤は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、リン脂質又は上記のように生物学的に誘導されたものから選択することができる。本発明において述べた方法の適用により得られる薬物懸濁液は、溶液の滅菌のための適切な手段が適用されるならば、注射液として直接投与することができる。
【0120】
滅菌
滅菌は、前懸濁液を調製するために混合する前に、薬物濃縮物(薬物、溶媒及び任意選択の界面活性剤)と希釈媒体(水並びに任意選択の緩衝液及び界面活性剤)の別個の滅菌によって達成することができる。滅菌方法は、最初に3.0μmフィルターによる前ろ過に続く0.45μm粒子フィルターによるろ過の後の蒸気若しくは熱滅菌又は2つの重複する0.2μmメンブランフィルターによるろ過滅菌を含むが、これらに限定されない。
【0121】
溶媒を含まない懸濁液の調製
場合によって、沈殿の後の溶媒の除去により溶媒を含まない懸濁液を調製することができる。これは、遠心分離、透析、透析ろ過、力場分別、高圧ろ過又は当技術分野でよく知られている他の分離技術により達成することができる。乳酸又はN−メチル−2−ピロリジノンの完全な除去は、一般的に1〜3回の連続遠心分離により行われ、各遠心分離の後に、上清を傾斜し、捨てた。有機溶媒を含まない新たな量の懸濁媒体を残りの固体に加え、混合物を均質化により分散させた。他の高剪断混合技術をこの再構成工程に適用することができることは、当業者により認識されよう。
【0122】
賦形剤の置換
さらに、界面活性剤のような望ましくない賦形剤は、上のパラグラフで述べた分離法を用いてより望ましい賦形剤で置換することができる。溶媒及び第1の賦形剤は、遠心分離又はろ過の後に上清とともに捨てることができる。次いで、溶媒及び第1の賦形剤を含まない新たな量の懸濁媒体を加えることができる。或いは、新たな界面活性剤を加えてもよい。例えば、薬物、N−メチル−2−ピロリジノン(溶媒)、ポロキサマー188(第1の賦形剤)、デオキシコール酸ナトリウム、グリセロール及び水からなる懸濁液は、遠心分離と上清の除去の後にリン脂質(新たな界面活性剤)、グリセロール及び水で置換することができる。
【0123】
凍結乾燥
懸濁液は、投与に適する懸濁液に再構成するために、凍結乾燥により乾燥して凍結乾燥懸濁液を調製することができる。安定化乾燥固体を調製する目的のために、マンニトール、ソルビトール、スクロース、デンプン、ラクトース、トレハロース又はラフィノースなどの充填剤を凍結乾燥の前に加えることができる。懸濁液は、例えば以下のような凍結乾燥の適用可能なプログラムを用いて凍結乾燥することができる。
【0124】
+25℃で装填する
1時間で−45℃に冷却する
保持時間−45℃で3.5時間
0.4ミリバールの圧力で+15℃まで温度を連続的に上昇させながら平均33時間乾燥させる
0.03ミリバールの圧力で+20℃で10時間の最終乾燥
凍結保護剤:マンニトール。
【0125】
上記の微小沈澱法に加えて、当技術分野における活性薬の粒子(及びより好ましくはナノ粒子)を調製するための他の既知の沈澱法を本発明とともに用いることができる。以下は、他の沈澱法の例の記述である。例は、例示の目的のためのものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0126】
エマルジョン沈澱法
1つの適切なエマルジョン沈澱法は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした、同時係属中であり、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第09/964273号に開示されている。このアプローチでは、該方法は、(1)有機相と水相を有し、該有機相が製薬上有効な化合物を有する多相システムを準備し、(2)該システムを音波処理して有機相の一部を蒸発させて、水相中にあり、約2μm未満の平均有効粒径を有する化合物の沈澱を引き起こすという工程を含む。多相システムを準備する工程は、(1)水混和性溶媒を有機溶液を限定するための製薬上有効な化合物と混合し、(2)1つ又は複数の界面活性化合物を含む水溶液を調製し、(3)該有機溶液を該水溶液と混合して多相システムを形成させるという工程を含む。有機相を水相と混合する工程には、ピストンギャップホモジナイザー、コロイドミル、高速撹拌装置、押出し装置、手動撹拌機又は振とう装置、小型流動層又は高剪断状態をもたらす他の装置若しくは技術の使用を含み得る。粗エマルジョンは、水中に直径が約1ミクロンm未満の油滴を有する。粗エマルジョンを音波処理してミクロエマルジョンとし、最終的にサブミクロンサイズの粒子懸濁液とする。
【0127】
サブミクロンサイズの粒子を調製することに対する他のアプローチは、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした、同時係属中であり、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/183035号に開示されている。該方法は、(1)有機相と水相を有し、有機相が薬剤化合物を含む、多相系の粗分散系を準備する工程と、(2)粗分散系にエネルギーを与えて微細分散系を形成さえる工程と、(3)微細分散系を凍結する工程と、(4)微細分散系を凍結乾燥して、薬剤化合物のサブミクロンサイズの粒子を得る工程からなる工程を含む。多相系を準備する工程は、(1)水混和性溶媒を製薬上有効な化合物と混合して有機溶液を得る工程と、(2)1つ又は複数の界面活性化合物を含む水溶液を調製する工程と、(3)該有機溶液を該水溶液と混合して多相系を生成させる工程からなる工程を含む。有機相と水相とを混合する工程は、ピストンギャップホモジナイザー、コロイドミル、高速撹拌装置、押出し装置、手動撹拌機又は振とう装置、小型流動層又は高剪断状態をもたらす他の装置若しくは技術の使用を含む。
【0128】
溶媒抗溶媒沈澱
適切な溶媒抗溶媒沈澱法は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第5118528号及び第5100591号に開示されている。該方法は、(1)1つ又は複数の界面活性剤を加えてもよい溶媒又は溶媒の混合物中生物学的に活性な物質の液相を調製する工程と、(2)物質に対する溶媒又は溶媒の混合物と混和する非溶媒又は非溶媒の混合物の第2の液相を調製する工程と、(3)(1)及び(2)の溶液を撹拌しながら混ぜ合わせる工程と、(4)望ましくない溶媒を除去してナノ粒子のコロイド懸濁液を生成させる工程とを含む。該第528号特許は、エネルギーを加えることなく500nmより小さい物質の粒子を製造することを開示している。
【0129】
転相沈澱
1つの適切な転相沈澱は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第6235224号、第6143211号及び米国特許出願第2001/0042932号に開示されている。転相は、連続相溶媒系に溶解しているポリマーが、ポリマーが連続相である固体巨大分子ネットワーク中に転位する物理的現象を記述するのに用いられている用語である。転相を誘導する1つの方法は、連続相に非溶媒を加えることによるものである。ポリマーは、単相からポリマーに富む部分とポリマーに乏しい部分の不安定な2相混合物への転移を受ける。ポリマーに富む相中の非溶媒のミセル小滴が核形成部位として働き、ポリマーで覆われた状態になる。第224号特許は、特定の条件下でのポリマー溶液の転相がナノ粒子を含む不連続のミクロ粒子の自発的形成をもたらし得ることを開示している。第224号特許は、溶媒中のポリマーの溶解又は分散を開示している。薬剤も溶媒に溶解又は分散している。この方法において結晶接種工程が有効であるためには、薬剤が溶媒に溶解していることが望ましい。ポリマー、薬剤及び溶媒が連続相を有する混合物をともに形成していて、溶媒が連続相である。次いで、混合物を少なくとも10倍過剰の混和性非溶媒中に導入して、10nm〜10μmの平均粒径を有する薬剤のマイクロカプセル化ミクロ粒子を自発的に形成させる。粒径は、溶媒:非溶媒容積比、ポリマー濃度、ポリマー−溶媒溶液の粘性、ポリマーの分子量及び溶媒−非溶媒対の特性により影響される。該方法は、溶媒のエマルジョンを形成させることなどによる、微小滴を形成させる工程を必要としない。該方法は、撹拌及び/又は剪断力も回避する。
【0130】
pHシフト沈澱
pHシフト沈澱法は一般的に、薬物が可溶性であるpHを有する溶液に薬物を溶解する工程に続き、薬物がもはや可溶性でない値までpHを変化させる工程を含む。pHは、個々の薬剤化合物によって酸性又は塩基性であり得る。次いで、溶液を中和して、製薬上活性な化合物のサブミクロンサイズの粒子の前懸濁液を形成させる。1つの適切なpHシフト沈澱法は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第5665331号に開示されている。該方法は、薬剤を結晶成長調整剤(CGM)とともにアルカリ溶液に溶解し、次いで、適切な表面修飾性界面活性剤の存在下で酸で溶液を中和して薬剤の微粒子分散系を形成させる工程を含む。沈澱工程に続いて、分散系の透析ろ過浄化とその後の分散系の濃度を所望のレベルに調整する工程を設けることができる。この方法により、光子相関分光法により測定したとき、400nmより小さいZ平均直径の微小結晶粒子が得られると報告されている。
【0131】
pHシフト沈澱法の他の例は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第5716642号、第5662883号、第5560932号及び第4608278号に開示されている。
【0132】
注入沈澱法
適切な注入沈澱法は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第4997454号及び第4826689号に開示されている。最初に、適切な固体化合物を適切な有機溶媒に溶解して溶媒混合物を生成させる。次いで、有機溶媒と混和できる沈澱非溶媒を、約−10℃〜約100℃の温度で、50mlの容積当たり毎分約0.01ml〜毎分約1000mlの注入速度で溶媒混合物中に注入して、10μm未満の実質的に均一な平均直径を有する化合物の非凝集性沈澱固体粒子の懸濁液を調製する。沈澱非溶媒を注入する溶液の撹拌(例えば、かき混ぜによる)が好ましい。非溶媒は、撹拌に対して粒子を安定化するための界面活性剤を含んでいてよい。次いで、粒子を溶媒から分離する。固体化合物及び所望の粒径によって、温度、非溶媒と溶媒との比、注入速度、撹拌速度及び容積などのパラメーターを本発明により変化させることができる。粒径は、非溶媒:溶媒容積の比及び注入の温度に比例し、注入速度及び撹拌速度に逆比例する。沈澱非溶媒は、化合物の相対溶解性及び所望の懸濁化媒体によって、水性又は非水性であってよい。
【0133】
温度シフト沈澱
熱溶融法としても知られている、温度シフト沈澱法は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした、Dombへの米国特許第5188837号に開示されている。本発明の実施形態において、(1)送達する薬物などの物質を溶融するか、又は溶融媒体に溶解して、送達する液状の物質を形成する工程と、(2)リン脂質を水性媒体とともに該溶融物質又は媒体の融解温度より高い温度で該溶融物質又は媒体に加える工程と、(3)媒体の融解温度より高い温度で均一な微細沈澱物が得られるまで懸濁液を混合する工程と、次いで、(4)調合物を室温又はそれ以下に急速に冷却する工程とによりリポスフェアを調製する。
【0134】
溶媒蒸発沈澱
溶媒蒸発沈澱法は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第4973465号に開示されている。該第465号特許は、(1)一般的な有機溶媒又は溶媒の組合せに溶解した薬剤組成物及びリン脂質の溶液を準備する工程と、(2)溶媒又は複数の溶媒を蒸発させる工程と、(3)溶媒又は複数の溶媒の蒸発により得られた薄膜を、激しく撹拌することにより水溶液中に懸濁させる工程からなる工程を含む微結晶を調製する方法を開示している。溶媒は、化合物の沈澱をもたらすのに十分な量の溶媒を蒸発させるためにエネルギーを溶液に加えることにより除去することができる。溶媒は、溶液に真空を適用又は溶液上に窒素を吹き付けるなどの他のよく知られている手法によっても除去することができる。
【0135】
反応沈澱
反応沈澱は、薬剤化合物を適切な溶媒に溶解して溶液を調製する工程を含む。化合物は、溶媒中の化合物の飽和点又はそれを下回る量で加えるべきである。化合物は、修飾された化合物が溶媒中でより低い溶解度を有し、溶液から沈澱するように、化学物質と反応させることにより、又は熱若しくはUV光等のエネルギーの付加に応じた修飾により修飾する。
【0136】
圧縮流体沈澱
液体を圧縮することにより沈澱させる適切な技術は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第6576264号に開示されている。該方法は、水に不溶性の薬物を溶媒に溶解して溶液を生成させる工程を含む。次いで、溶液を、ガス、液体又は超臨界流体であってよい、圧縮流体中に噴霧する。溶媒中の溶質への圧縮流体の添加により、溶質が過飽和状態に到達又は近づき、微粒子が析出する。この場合、圧縮流体は、薬物が溶解している溶媒の凝集エネルギー密度を低下させる抗溶媒として作用する。
【0137】
或いは、薬物を圧縮流体に溶解し、次いで、これを水相中に噴霧することができる。圧縮流体の急速な膨張が流体の溶媒能力を低下させ、これがひいては溶質を微粒子として水相中に析出させる。この場合、圧縮流体が溶媒として働く。
【0138】
粒子を調製する他の方法
本発明の粒子は、活性薬の機械的粉砕によっても調製することができる。機械的粉砕は、参照により本明細書に組み込み、本明細書の一部とした米国特許第5145684号に開示されているようなジェットミル粉砕、パールミル粉砕、ボールミル粉砕、ハンマーミル粉砕、流体エネルギーミル粉砕又は湿式粉砕法などの方法を含む。
【0139】
本発明の粒子を調製する他の方法は、活性薬を懸濁することによる。この方法では、粒子を水性媒体に直接加えることにより、活性薬の粒子を水性媒体中に分散させて前懸濁液を得る。粒子の凝集を抑制するために、粒子は通常、表面改質剤で被覆されている。他の1つ又は複数の賦形剤を活性薬又は水性媒体に加えることができる。
【実施例】
【0140】
実施例1:D−24851の懸濁液の小規模調製(300g)(組成物1)
0.1%デオキシコール酸ナトリウム、2.2%グリセリン(等張化剤)及び0.142%リン酸水素二ナトリウム(緩衝剤)を含む水性界面活性剤溶液を低温(<10℃)に冷却した。乳酸中D−24851及びポロキサマー188の溶液を上の界面活性剤溶液に加えた。2つの溶液を混合することにより、懸濁液が形成された。総懸濁液重量は300gであり、薬物濃度は約1%(w/w)であった。沈澱の直後に約10,000psiの圧力、<70℃の温度で高圧均質化を行った。遠心分離により乳酸を除去し、約10,000psi及び<70℃の温度で懸濁液を再び均質化した。均質化後に、光散乱法を用いて懸濁液の粒径を検査した。平均粒径は、約190nmであった。
【0141】
実施例2:D−24851の2000gの懸濁液の調製(組成物2)
0.1%デオキシコール酸ナトリウム、2.2%グリセリン(等張化剤)及び0.142%リン酸水素二ナトリウム(緩衝剤)を含む水性界面活性剤溶液を低温(<10℃)に冷却した。乳酸中D−24851及びポロキサマー188の溶液を上の界面活性剤溶液に加えた。2つの溶液を混合することにより、懸濁液が形成された。総懸濁液重量は2000gであり、薬物濃度は約1%(w/w)であった。沈澱の直後に約10,000psiの圧力、<70℃の温度で高圧均質化を行った。遠心分離により乳酸を除去し、約10,000psi及び<70℃の温度で懸濁液を再び均質化した。均質化後に、光散乱法を用いて懸濁液の粒径を検査した。平均粒径は、約325nmであった。
【0142】
実施例3:D−24851の懸濁液の大規模調製(6000g)(組成物3)
0.1%デオキシコール酸ナトリウム、2.2%グリセリン(等張化剤)及び0.142%リン酸水素二ナトリウム(緩衝剤)を含む水性界面活性剤溶液を低温(<10℃)に冷却した。乳酸中D−24851及びポロキサマー188の溶液を上の界面活性剤溶液に加えた。2つの溶液を混合することにより、懸濁液が形成された。総懸濁液重量は6000gであり、薬物濃度は約1%(w/w)であった。沈澱の直後に約10,000psiの圧力、<70℃の温度で高圧均質化を行った。遠心分離により乳酸を除去し、約10,000psi及び<70℃の温度で懸濁液を再び均質化した。均質化後に、光散乱法を用いて懸濁液の粒径を検査した。平均粒径は、約370nmであった。
【0143】
実施例4:本発明のナノ懸濁液の安定性
懸濁液の安定性を、加速ストレス(熱サイクリング、撹拌、凍結−解凍及び遠心分離)並びに最長6ヵ月間にわたる5℃での保存を用いて試験した。粒径平均値、99百分位数及び100百分位数値の有意な変化はなかった(組成物3について)。さらに、ストレス試験のいずれにおいても凝集は認められなかった。凝集は、1分間の音波処理の前後に粒子径を測定し、以下の式を用いて凝集率(%)を計算することによって推定した。
【0144】
【化13】

ここで、P99は音波処理の前の粒径分布の99百分位数を表し、P99Sは音波処理の後の粒径分布の99百分位数を表す。
【0145】
実施例5:D−24851(組成物4)
本発明の好ましい組成物:
成分 濃度
D−24851 10mg/g
ポロキサマー188 1mg/g
デオキシコール酸ナトリウム塩 1mg/g
グリセリン 22mg/g
リン酸水素二ナトリウム 1.42mg/g
NaOH溶液、HCl溶液 pH調整用
注射用水 100gの総重量に調整
pH 8.5。
【0146】
実施例6:ソルトール/プロパンジオール製剤(組成物5)
以下の組成物は、本発明の組成物との比較のために調製した。
【0147】
500gの溶液当たりの組成:
D−24851 1.0g(0.2%、w/w)
ソルトールHS15 375.0g
1,2−プロパンジオール 125.0g。
【0148】
実施例7:乳酸製剤(組成物6)
以下の組成物は、本発明の組成物との比較のために調製した。乳酸製剤は、経口投与用のD−24851の過飽和溶液である。過飽和の薬物濃度と物理的不安定性のため、溶液を投与前に新たに調製しなければならないことが重要である。薬物は、製剤セットとして提供する。これらのセットは、以下のような3つのバイアル又は3つのコンパートメント用具を含む。
【0149】
薬物バイアル(バイアル1)の内容
1バイアル/コンパートメント(100mL容器)は以下のものを含む。
インジブリン(D−24851) 60.0mg
溶媒バイアルA(バイアル2)の内容
1バイアル/コンパートメント(10mL容器)は以下のものを含む。
乳酸90% 9041.3g
溶媒バイアルB(バイアル3)の内容
1バイアル/コンパートメント(75mL容器)は以下のものを含む。
グルコース 5705.0mg
パッションフルーツ着香料 10.0mg
精製水 51347.0mg
調製後のD−24851−乳酸飲料溶液の組成
1バイアル/溶液は以下のものを含む。
【0150】
【化14】


【0151】
実施例8:好ましい組成物
【0152】
【化15】


【0153】
実施例9:好ましい組成物
表1−直接均質化により調合したD−24851懸濁液製剤のバッチ
【0154】
【表1】

表2−微小沈澱法/直接均質化により調合したD−24851懸濁液製剤のバッチ
【0155】
【表2】


【0156】
実施例10:組成物4、5及び6の生物学的利用能及び薬物動態の比較試験
本試験は、6匹のカニクイザル(雄3匹、雌3匹)においてクロスオーバーデザインで実施した。試験薬物組成物は、経口及び静脈内の両方で投与した。
【0157】
以下の投与法を用いた。
【0158】
A:組成物6、経口、5mg/kg/投与
B:組成物4、経口、5mg/kg/投与
C:組成物4、静脈内、5mg/kg/投与
D:組成物5、静脈内、0.2mg/kg/投与
血液試料をすべての動物から以下の時点に採取した。
【0159】
経口:投与前並びに投与後0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、24、30、36、42、48及び54時間目。追加の血液試料を投与後60時間目に採取した(組成物4)。
【0160】
静脈内:投与前並びに投与後0.033、0.083、0.17、0.25、0.5、0.75、1、2、3、4、5及び6時間目。追加の血液試料を投与後10、16、24、36、48及び60時間目に採取した(組成物4)。
【0161】
試料採取:血液試料をLi−ヘパリンを含む管に採取し、遠心分離して血漿を得た。静脈内組成物4投与動物については、試料を2つの同様な一定分量に分割した。1つの試料を遠心分離して血漿を得て、他の全血の試料は試験血漿試料とともに約−20℃で保存した。インジブリンの血漿及び血液中濃度をバリデートされたHPLC法により測定した。定量限界(LOQ)は、2ng/mlである。試験試料の得られた容積は、約100〜300μlであった。得られた血漿及び血液中濃度は、非コンパートメント薬物動態評価に用いた。
【0162】
経口及び静脈内投与後のD−24851の血漿及び血液中濃度メジアン−時間プロファイルを表1及び2に示す。
【0163】
表3
【0164】
【表3】

表3 静脈内投与又は経口投与後のD−24851の薬物動態パラメーター(血漿中濃度)
1)n=6、2)n=5、3)n=4
血漿中濃度は吸収相を含む非典型的曲線経過を示した。したがって、見かけのf分布容積は全身に利用可能であった投与量の分率を用いて計算した。
【0165】
表4
【0166】
【表4】

1)n=5、2)n=6
表4 静脈内投与又は経口投与後のD−24851の薬物動態パラメーター(血液中濃度)
実施例10に記載した投与法のもとでは、D−24851のナノ懸濁製剤、好ましくは組成物4は、静脈内注射後に徐放性薬物動態により特徴付けられる。表1及び2に示すように、また図1に例示するように、組成物4の静脈内注射は、組成物5と比較して、典型的な静脈内血漿曲線をもたらさない。D−24851の高いcmax値及び血漿中濃度の速やかな指数関数的低下の代わりに、徐放性プロファイルが認められた。D−24851の有効濃度は100mg/ml以上であると予想されるので、ナノ懸濁液(組成物4)は15時間以上にわたる有効性をもたらすが、ソルトール溶液(組成物5)は2時間未満有効であるにすぎない。
【0167】
各種組成物の絶対生物学的利用能の計算は、0.2〜5mg/kgの範囲における用量線型性の仮定のもとでの0.2mg/kgの用量の組成物5ソルトール/プロパンジオール溶液の静脈内投与での値を基準としたそれらの血漿中AUC値に基づいている。
【0168】
10%水性乳酸溶液としての5mg/kgの単回経口投与後の組成物4の絶対生物学的利用能は、11.5%と計算された。
【0169】
その乳酸濃度が高いため、乳酸溶液(組成物6)は、非常ににがく、嘔吐を引き起こし、耐容性が不良である。他方で、ナノ懸濁液(組成物4)は、すべての乳酸が除去されているため、魅力的な代替物であり、したがって、ナノ懸濁液の耐容性ははるかに良好である。
【0170】
組成物4の静脈内注射後のD−24851の示された薬物動態特性及びしたがって血漿中半減期の延長のため、Cmax値がより低いので注射後により良好な耐容性が達成される。哺乳動物に投与されるD−24851の総投与量を全治療サイクルにわたって減少させることができるため、組成物4の全般的な耐容性も改善される。また、組成物4は、組成物5より7倍以上長時間にわたり有効血漿中濃度を示すので、投与間隔の延長が達成され、また、より頻繁に投与される溶液と比較して、哺乳動物への投与頻度を全治療サイクルにわたって減少させることができ、著しく少ない副作用で、腫瘍抑制に関する同等の有効性を達成する。
【0171】
実施例11:組成物4の毒性プロファイルの比較
組成物4の亜慢性毒性を評価するために、イヌ(雄3匹、雌3匹)に4週間の時間枠にわたって投与した。組成物4を2.61mg/kg、5.62mg/kg及び12.1mg/kgの異なる用量レベルで静脈内注射した。
【0172】
すべての動物から血液試料を次の時点に採取した。投与後1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、24時間、36時間及び48時間目。D−24851の濃度は、HPLCを用いて測定した。
【0173】
表3及び4に示すように、D−24851の血漿中濃度は用量に依存する。血漿プロファイルは、投与1日目と27日目とで同様な大きさであった。
【0174】
表5
【0175】
【表5】

*これらの値は、曲線適合が不十分であるため、状況を示すだけのものである。
【0176】
表5 D−24851の薬物動態パラメーター(1日目)
表6
【0177】
【表6】

*これらの値は、曲線適合が不十分であるため、状況を示すだけのものである。
【0178】
表6 D−24851の薬物動態パラメーター(27日目)
得られた徐放性プロファイルは、その作用機序のため、D−24851及び本発明の他のチューブリン阻害剤について、特に興味深いものである。チューブリン阻害剤については、増殖性細胞の特殊な周期において有効な薬物濃度を与えることが重要である。すべての細胞が同時に同じ細胞周期にあるとは限らないため、できる限り多くの癌細胞に治療的に作用するのに十分な血漿中濃度を長時間にわたって与えることが必要である。本発明は、総投与の低減を可能にし、したがって、治療法の変化をもたらす可能性があるので、D−24851のような高度に有毒な抗腫瘍薬に対して特に有用である。したがって、非経口的に投与した組成物4の薬物動態プロファイルの優位性は、伝統的な組成物と比較して薬物の高い有効性につながるはずである。
【0179】
本発明はまた、治療上有効な量の本発明の組成物を哺乳動物に投与することにより、哺乳動物、好ましくはヒトを治療する方法を対象とする。一般的に、そのような量は、ボーラス又は制御された速度で投与されるチューブリン阻害剤の約0.01mg/kg〜約100mg/kgである。好ましくは、投与量は、約0.1mg/kg〜約10mg/kgである。
【0180】
投与経路(例えば、局所、非経口又は経口)及び投与法は、患者の治療する状態の正確な性質、状態の重症度、年齢及び一般的身体状態などの要素に基づいて当業者により決定される。選択される特定の種類の製剤は、化合物、投与頻度及び治療する疾患などの種々の因子に依存する。
【0181】
上で示したように、癌を治療するための本発明の組成物の使用は、本発明の特に重要な態様である。治療する癌の種類は、転移の広がりを含む転移性癌、抗腫瘍薬抵抗性腫瘍、チューブリン阻害剤に対して感受性の腫瘍又はその組合せを含むが、これらに限定されない。治療することができる他の医学的障害は、自己免疫疾患、喘息及びアレルギー反応並びに膵炎、敗血症性ショック、アレルギー鼻炎及び関節リウマチを含むが、これらに限定されない炎症性障害を含むが、これらに限定されない。本発明の組成物はまた、免疫抑制薬として、及び他の免疫調節活性のために投与することができる。
【0182】
実施例12:組成物4及び5のラットにおけるIV薬物動態比較試験
D−24851ナノ懸濁液(組成物4)の静脈内薬物動態をラットにおいて試験した。用量と頻度を変化させることにより投与スケジュールを最適化し、Yoshida(登録商標)AH13肉腫をラットモデルにSC移植し、その後の腫瘍の成長を確認した。尾静脈へのIV投与を0.1gの腫瘍重量で開始した。ラットにおける薬物動態を、2、5及び10mg/kgでIV q2d投与し、血漿及び全血試料をHPLCにより分析した1ヵ月試験において測定した。組織分布は、有機溶液中0.25mg/kgIV D−24851(n=4)と比較して雄ラット(n=3)における10mg/kgIV投与後に14C−D−24851により測定し、PK比較にも用いた。
【0183】
ナノ懸濁液の平均粒径は、260nmであり、99%が0.540μm未満であった。同時に用量レベルを増加させることにより、投与頻度を1週当たり2回に減らすことができ、98%の腫瘍抑制がもたらされた(表7)。この最適化スケジュールにおいて、薬物レベルの重要性が図6に示されている。
【0184】
表7
【0185】
【表7】

表7 投与頻度及び用量に対する腫瘍抑制の依存性
単回投与後の静脈内薬物動態から、血漿中濃度が上昇し、2時間のtmaxでCmaxとなった後、排泄相の開始前に多くの時間にわたりレベルが持続したことが明らかになった(図7)。Cmaxに関して用量比例性が認められるが、AUCはより大きい程度まで増加する。これは、多分、代謝酵素の飽和を反映していると考えられる(表8)。有機溶液中の極めて小さい濃度は、はるかに低いAUC、tmax及びt1/2をもたらした。
【0186】
表8
【0187】
【表8】

表8 ラットへのD−24851ナノ懸濁液(組成物4)及びソルトール/プロパンジオール溶液(組成物5)の単回IV投与のPKパラメーター
ラットにおける10mg/kg q2dの反復IV投与は、1日目の後と同等のAUC及びCmaxを示した(図8)。したがって、測定し得る薬物の蓄積は認められなかった。雌ラットは、雄ラットと比較して高いAUC及びt1/2を示している。一般的に、高薬物量の頻繁な投与に伴う、高負荷による薬物動態の延長は、観測されたスケジュール依存性を裏付けている。これと対照的に、ソルトール/プロパンジオール溶液製剤(組成物5)は、限られた投与をもたらし、薬物レベル持続時間が非常に短い。
【0188】
PKの延長は、14C ADME試験で認められた組織分布結果と一致している。最初はIV投与後にMPSの器官、すなわち肝臓及び脾臓に高レベルが認められ、その後は低下する。これに対して、薬物のソルトール/プロパンジオール溶液(組成物5)の場合、肝臓におけるレベルは時間とともに徐々に上昇する。D−24851ナノ懸濁液調合薬(組成物4)はMPSの組織から徐々に放出されるので、脂肪及び腸のような他の器官におけるレベルが上昇する。組成物5の場合、これと対照的に、薬物レベルは、これらの他の組織において最初に最高になり、その後低下する(表9)。毒性のため、0.25mg/kgの薬物のみをソルトール/プロパンジオール溶液媒体でラットに投与することができた。これに対して、D−24851ナノ懸濁液中10mg/kgの薬物を投与した。
【0189】
表9
【0190】
【表9】

表9 IV投与後の組織分布:D−24851対ソルトール/プロパンジオール溶液
D−24851について認められた用量依存的抗腫瘍効果は、IV送達のための十分な負荷を有する製剤を必要とする。これは、結晶ナノ懸濁液により十分に達成された。組織分布は、MPSの器官、すなわち肝臓及び脾臓へのナノ懸濁液の初期の標的を示すものであった。その後、薬物は明らかに放出され、疎水性薬物に対する親和性を有すると予想される他の器官、例えば、脂肪における薬物の組織レベルは増加した。薬物動態から、IV投与後の血漿中濃度の増加は、有効性に必要な長時間持続する薬物レベルをもたらす、最初の貯留槽からの可溶性薬物の放出と一致することが明らかになった。
【0191】
ソルトール/プロパンジオール溶液製剤である組成物5と比較して、D−24851ナノ懸濁液、すなわち組成物4は、かなり高い投与を可能にし(15mg/kg対0.25mg/kg)、長時間持続する血漿濃度レベルをもたらす。細胞周期感受性腫瘍崩壊薬の作用機序に基づいて、この持続性活性は、予備有効性試験で示されたように、高度に有効であると予想される。薬物動態により示されたように、組織分布試験はIV貯留槽効果と一致していた。
【0192】
本発明による組成物を用いることにより、生物学的利用能の問題を引き起こすと以前にみなされた薬物を優れた生物学的利用能を有する剤形で提供することができることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−97120(P2012−97120A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−30443(P2012−30443)
【出願日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【分割の表示】特願2007−540058(P2007−540058)の分割
【原出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】