説明

チューブ容器の供給方法及び供給装置

【課題】チューブ容器をスムーズに充填機に供給でき、供給口近傍での詰まりを容易に修正できると共に、設置面積を取らない。
【解決手段】チューブ容器6を内容物充填機20に供給するための通箱1であって、該通箱の供給口5が、軸方向下向きになるように、支持手段により通箱を支持したことを特徴とするチューブ容器の供給方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器製造工場から内容物充填工場へ、空のチューブ容器を収納して輸送される通箱に関し、空のチューブ容器を内容物充填機に供給するチューブ容器の充填方法及び充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的にチューブ容器内には、内容物として歯磨粉、薬剤、接着剤、食品等の内容物が充填され市場で販売されている。チューブ容器内にクリーム状の医薬品、化粧品等の内容物が充填されるチューブ容器は、内容物が充填されるまでは、口部にキャップが螺合され、かつチューブ容器の胴部の末端が開口された状態で、通箱の箱本体に収納されている。箱本体の多くは合成樹脂で造られ、容器製造工場からトラック等に積載されて内容物充填工場に送られる。内容物充填工場では、予め準備された蓋を箱本体に被せた後、設置された内容物充填機に固定されるものである。通箱内のチューブ容器は、内容物充填機に供給され、空のチューブ容器内に内容物が充填され製品となる。そして、チューブ容器の供給後の空の通箱は、再度容器製造工場に送られチューブ容器が収納される。このような通箱としては、従来図7に示すようなものがある。
【0003】
図7において、通箱50内には、複数の空のチューブ容器51が収納されている。通箱50には、容器製造工場で空のチューブ容器51が箱本体内に詰められている。通箱50は、内容物充填工場において、内容物充填機52の架台53上に固定される。なお、箱本体の側面の供給孔54には、内側から当接板(図示せず)が配設され、供給孔54を閉鎖しているので、運送中に空のチューブ容器51が外に流出することがない。通箱50は、内容物充填機52に、若干傾斜して固定された架台53上に、2個の通箱50が取付けられている。傾斜角γは8〜20°である。架台53に通箱50が固定された後、通箱50から当接板が取り外されると、チューブ容器51は通箱50の供給孔54から傾斜している架台53に沿って外に流出し、内容物充填機52に供給される。このような、本発明に関連する先行技術に関する文献としては、特許文献1及び特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3890815号
【特許文献2】特許第4196022号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような従来のチューブ容器の充填方法及び充填装置は、以下に示すような欠点があった。
(1)通箱が、8〜20°傾斜しているが、通箱50の供給口54で、チューブ容器51が折り重なったり、供給口54を塞いだりするため、チューブ容器51をスムーズに内容物充填機52に供給することができない欠点があった。
(2)従来、チューブ容器51が供給口54を塞いだ場合、通箱50を内容物充填機52から下ろし、通箱50の蓋を外して、チューブ容器51を整理、整頓してから、再度内容物充填機52に通箱50を固定し、チューブ容器51を供給する必要があり作業が頗る面倒であるという欠点があった。
(3)さらに、従来の内容物充填機52には、通箱50が横方向に固定されるので、内容物充填機52を設置するために、工場内でより広い設置面積を必要とする欠点があった。
この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、チューブ容器をスムーズに内容物充填機に供給できると共に、チューブ容器の供給口近傍での詰まりを容易に修正できると共に、工場内で設置面積を取らないチューブ容器の充填方法及び充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、チューブ容器を内容物充填機に供給するための通箱であって、該通箱の供給口が、軸方向下向きになるように、支持手段により通箱を支持したことを特徴とするチューブ容器の供給方法である。
【0007】
請求項2記載の発明の解決手段は、通箱の軸方向下向きの傾斜角が、軸に対して5〜45°であることを特徴とするチューブ容器の供給方法である。
【0008】
請求項3記載の発明の解決手段は、通箱内のチューブ容器を、内容物充填機へ供給する際に、チューブ容器が損傷しないように、種々のガイド手段により緩衝されながら、チューブ容器が供給されることを特徴とするチューブ容器の供給方法である。
【0009】
請求項4記載の発明の解決手段は、通箱の蓋に、通箱内のチューブ容器を整理、整頓するための窓が形成されていることを特徴とするチューブ容器の供給方法である。
【0010】
請求項5記載の発明の解決手段は、通箱と、該通箱を支持する支持架台及び横支持板を設けると共に、通箱の供給口から流出するチューブ容器を、内容物充填機へ誘導するための手段として、少なくとも案内ガイド及びチューブ案内板を、支持本体に設けたことを特徴とするチューブ容器充填装置であって、(1)前記通箱は、チューブ容器を内容物充填機に供給する供給口を有する箱本体と、該箱本体に被せられる蓋体とから成り、(2)前記支持架台は、前記通箱の供給口が、軸方向下向きになるように、通箱を下方から支持するように、支持本体に固定又は一体的に設けられ、(3)前記横支持板は、前記通箱を横方向から支持するように、支持本体に固定又は一体的に設けられ、(4)前記案内ガイド及びチューブ案内板は、通箱の供給口から落下するチューブ容器を緩衝的に受け止めることができる位置に、支持本体に固定又は一体的に設けられていることを特徴とするチューブ容器供給装置である。
【0011】
請求項6記載の発明の解決手段は、通箱の蓋に、通箱内のチューブ容器を整理、整頓するための窓が形成されていることを特徴とするチューブ容器供給装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るチューブ容器は、チューブ容器をスムーズに充填機に供給できると共に、通箱の供給口近傍で、チューブ容器の詰まりを容易に修正できると共に、内容物充填機の設置面積をとらない効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るチューブ容器の供給方法及び供給装置を示す実施例であり、チューブ容器を内容物充填機に供給している状態を示す正面図。
【図2】本発明に係るチューブ容器の供給方法及び供給装置を示す実施例であり、通箱を支持する支持本体を示す正面図。
【図3】本発明に係るチューブ容器の供給方法及び供給装置を示す実施例に使用される、通箱を示す斜視図。
【図4】本発明に係るチューブ容器の供給方法及び供給装置を示す実施例に使用される、通箱を示す斜視図。
【図5】本発明に係るチューブ容器の供給方法及び供給装置を示す実施例に使用される、通箱を示す平面図。
【図6】本発明に係るチューブ容器の供給方法及び供給装置を示す実施例に使用される通箱の箱本体を、複数積み重ねた状態を示す平面図、正面図、側面図。
【図7】従来のチューブ容器の供給方法及び供給装置を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、この発明に係るチューブ容器の充填方法及び充填装置の実施例を示す図面である。この発明に係るチューブ容器の充填方法及び充填装置に固定される通箱1は、図3に示すように、蓋2、箱本体3及び当接板4から構成されている。蓋2はポリカーボネート等の透明な合成樹脂等で造られている。又蓋2には金具2bが付いており、金具2bにより、蓋2は箱本体3の縁に固定される。箱本体3も合成樹脂等で造られている。当接板4は、箱本体3に収納されたチューブ容器6が、運搬中に供給口5から外に流出するのを防止しており、同様に合成樹脂等で造られている。箱本体3の短い側面部3aに形成されている供給口5は、チューブ容器6を、内容物充填機に供給するための出口である。
【0016】
当接板4は箱本体3の供給口5を塞ぐと共に、抜き取り自在に箱本体3の縁に係合されている。実施例では、本発明に用いられる通箱1は、相対向する位置に、2ヶ所の供給口5が形成されているが、供給口5が1個でもよい。又蓋2は、プラスチックダンボール、木材又は紙等で造られてもよく、不透明であってもよい。さらに、他の実施例として、本発明に係るチューブ容器の充填方法及び充填装置に用いられる通箱は、蓋を取らなければ、当接板を箱本体から取り去ることができないタイプの通箱であってもよい。
【0017】
本発明に用いられる通箱1は、図6に示すように、チューブ容器製造工場で箱本体3内に、複数のチューブ容器6が収納される。そして、複数のチューブ容器6が収納された箱本体3は多段(通常は5〜7箱)に積み重ねられる。一番上の箱本体3には、合成樹脂シート7が被せられ、ゴミ等の混入が防止されている。この状態でトラック等に載せられ、チューブ製造工場から内容物充填工場へ出荷される。内容物充填工場に到着した複数の箱本体3は、1箱ずつ内容物充填機20に固定される。内容物充填機20に固定される際には、図4に示すように、箱本体3の上に蓋2が被せられ、金具2bにより蓋2が、箱本体3の縁に確実に固定される。これによりチューブ容器6を内容物充填機20へ供給中に、通箱1内にゴミが混入するのを防止することができる。次に、図1に示すように、通箱1は支持本体10に支持、固定される。固定された後、供給口5を塞いでいる当接板4を、通箱1から取外すことにより、チューブ容器6は下方に落下し、チューブ容器6は内容物充填機20に供給される。
【0018】
本発明に係るチューブ容器6の内容物充填機20への充填方法は、通箱1の供給口5が軸方向下向きになるように、支持本体10により支持され、チューブ容器6が内容物充填機20に供給される供給方法である。通箱1の軸方向に対する傾斜角θは5〜45°が適し、好ましくは15〜25°の範囲が適する。チューブ容器6を軸方向下向きで供給する場合、θ=0°にすると、チューブ容器6が箱本体3の短い側面部3aの内側に溜まるという欠点があり、発明者等は、通箱1全体を若干傾斜させることを見出した。
【0019】
具体的には、通箱1は、図2に示すように、ボルト、溶接等の方法で支持本体10に固定された支持架台11及び横支持板12により固定、支持されている。すなわち、支持架台11は、通箱1の軸方向の傾斜角θに対応して、水平方向の傾斜角αの角度で、ボルト、溶接等の方法で支持本体10に固定されている。傾斜角αは、傾斜角θと同様に5〜45°が適し、好ましくは15〜25°の範囲が適する。又通箱1を、横方向から支持する横支持板12が所定の位置にボルト、溶接等の方法で支持本体10に固定されている。
【0020】
このように、支持本体10により支持される通箱1から、内容物充填機20にチューブ容器6が供給される場合、チューブ容器6の落下方向を制御すると共に、落下による衝撃を和らげる緩衝機能を有する種々のガイド手段が、支持本体10に設けられている。具体的には、まず案内ガイド13及びストッパ14が設けられている。通箱1の供給口5は、この案内ガイド13及びストッパ14の間に固定され、チューブ容器6が通箱1の供給口5から落下すると、この案内ガイド13及びストッパ14により、落下方向が制御される。次にストッパ14の下方に設けられた案内ガイド15により、チューブ容器6の落下の衝撃が緩和されつつ、さらに、その下方に設けられたチューブ案内板16へと落下する。
【0021】
チューブ案内板16は、傾斜角βで支持本体10にボルト、溶接等の方法で固定されている。傾斜角βは、5〜45°が適し、好ましくは15〜25°の範囲が適する。このチューブ案内板16は、チューブ容器6の落下による衝撃を、和らげる機能を有すると共に、チューブ容器6を、搬出ガイド17に送る役割を有する。そして、チューブ容器6は、スターホイール18を経由して、内容物充填機20の供給口21へ供給される。チューブ容器案内板16の他の機能として、横板19と連動することにより、チューブ容器案内板16上のチューブ容器6の重なりを、揺動することにより解消し、チューブ容器6を搬出ガイド17にスムーズに送ることができる。そして、内容物充填機20内では、内容物がチューブ容器6に充填される。なお、支持本体10は、内容物充填機20の近傍、特に内容物充填機20上に設けられることにより、工場内において設置面積を取らない利点がある。
【0022】
さらに、本発明の実施例では、通箱1の蓋2に窓2aが開閉自在に設けられている。窓2aは、通箱1の蓋2の供給口5に近い部位に設けられているので、例えば、チューブ容器6の整列状態が乱れた場合やチューブ容器6が供給口5近傍で詰まった場合、窓2aを開けて、チューブ容器6を容易に、整理、整頓することができ、チューブ容器6をスムーズに内容物充填機20へ供給することができる。従来は、蓋2に窓2aが設けられていなかったので、その都度通箱1の蓋2を取って、チューブ容器6を整理、整頓する必要があり、頗る面倒であった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係るチューブ容器の充填方法及び充填装置は、歯磨、接着剤、薬品、食料品等の内容物を充填する内容物充填工場において、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 通箱
2 蓋
2a 窓
3 箱本体
5 供給口
6 チューブ容器
10 支持本体
11 支持架台
12 横支持板
13,15 案内ガイド
14 ストッパー
16 チューブ案内板
20 内容物充填機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ容器を内容物充填機に供給するための通箱であって、該通箱の供給口が、軸方向下向きになるように、支持手段により通箱を支持したことを特徴とするチューブ容器の供給方法。
【請求項2】
前記通箱の軸方向下向きの傾斜角が、軸に対して5〜45°であることを特徴とする請求項1記載のチューブ容器の供給方法。
【請求項3】
通箱内のチューブ容器を、内容物充填機へ供給する際に、チューブ容器が損傷しないように、種々のガイド手段により緩衝されながら、チューブ容器が供給されることを特徴とする請求項1又は2記載のチューブ容器の供給方法。
【請求項4】
前記通箱の蓋に、通箱内のチューブ容器を整理、整頓するための窓が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載のチューブ容器の供給方法。
【請求項5】
通箱と、該通箱を支持する支持架台及び横支持板を設けると共に、通箱の供給口から流出するチューブ容器を、内容物充填機へ誘導するための手段として、少なくとも案内ガイド及びチューブ案内板を、支持本体に設けたことを特徴とするチューブ容器充填装置であって、
(1)前記通箱は、チューブ容器を内容物充填機に供給する供給口を有する箱本体と、該箱本体に被せられる蓋体とから成り、
(2)前記支持架台は、前記通箱の供給口が、軸方向下向きになるように、通箱を下方から支持するように、支持本体に固定又は一体的に設けられ、
(3)前記横支持板は、前記通箱を横方向から支持するように、支持本体に固定又は一体的に設けられ、
(4)前記案内ガイド及びチューブ案内板は、通箱の供給口から落下するチューブ容器を緩衝的に受け止めることができる位置に、支持本体に固定又は一体的に設けられていることを特徴とするチューブ容器供給装置。
【請求項6】
前記通箱の蓋に、通箱内のチューブ容器を整理、整頓するための窓が形成されていることを特徴とする請求項5記載のチューブ容器供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−107689(P2013−107689A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255915(P2011−255915)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】