説明

チューブ容器絞り出し器具

【課題】内容物を迅速に同量に注出でき、かつ内容物の残量が少ないチューブ容器絞り出し器具を提供する。
【解決手段】内容物が充填されたチューブ容器5と、該チューブ容器5の裾部及び胴部を挟んで、両側から押圧して、内容物を注出するための押板1と、該押板1にチューブ容器5を固定するチューブ固定手段とからなり、前記チューブ容器5は、その胴部が押板表面と向かい合うように、押板上に少なくとも1本載置され、前記押板1は、順次独立して押圧できるように、仕切手段で仕切られた複数の押板片2a、2b、2c、2dから構成され、前記チューブ固定手段は、押板1でチューブ容器5が挟着、嵌合又は接着して固定されたチューブ容器絞り出し器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器絞り出し器具に関し、さらに詳しくは、少なくとも1本のチューブ容器から内容物を迅速に同量に注出でき、かつチューブ内の内容物の残量が少ないチューブ容器絞り出し器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に、チューブ容器から内容物を注出する場合、指でチューブ容器の胴部を押圧して絞り出している。そして、2本のチューブ容器から各々の内容物を注出し、使用時にこれらの内容物を混合して使用する場合、2本のチューブ容器の染毛剤を、2本ずつ指で押圧してトレイ内に絞り出し、トレイ内で混合して使用していた。又器具を使用して、2本のチューブ容器を一度に絞り出す場合は、2本のチューブ容器を器具で固定し、かつチューブ容器を回転しながら巻上具等で巻いていくことにより、1剤、2剤の染毛剤を一度にトレイ内に絞り出していた。従来の特許公報としては、特許文献1及び文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭47−37340号公報
【特許文献2】実開昭63−21245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、指でチューブ容器の胴部を押圧して絞り出す場合、1枚の平板で2本のチューブ容器を同時に押すため、染毛剤等の内容物を、段階的に同量だけ絞り出すのが困難であり、いずれかの内容物の用量が多くなったり、又絞り出すために時間がかかるという欠点があった。又従来の器具を使用して染毛剤等の内容物を絞り出す場合、器具の構造が複雑かつ部品点数が多い場合があり、製造コストが高くなるという欠点があった。
この発明は、このような課題に着目してなされたものであり、チューブ容器から染毛剤等の内容物を迅速かつ同量だけ注出でき、又2本以上のチューブ容器にあっては、段階的に迅速かつ同量注出できると共に、簡単な構造で部品点数を少なく安価に製造でき、さらには内容物の残量が少ないチューブ容器絞り出し器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、内容物が充填されたチューブ容器と、該チューブ容器の裾部及び胴部を挟んで、両側から押圧して、内容物を注出するための押板と、該押板にチューブ容器を固定するチューブ固定手段とからなり、(a)前記チューブ容器は、その胴部が押板表面と向かい合うように、押板上に少なくとも1本載置され、(b)前記押板は、順次独立して押圧できるように、仕切手段で仕切られた複数の押板片から構成され、(c)前記チューブ固定手段は、押板でチューブ容器が挟着、嵌合又は接着して固定されたことを特徴とするチューブ容器絞り出し器具である。
【0006】
請求項2記載の発明の解決手段は、複数の押板片からなる押板の側面に、薄いシートを設けたことを特徴とするチューブ容器絞り出し器具である。
【0007】
請求項3記載の発明の解決手段は、1本のチューブ容器には染毛1剤、他の1本には染毛2剤が各々充填されたチューブ容器が、押板上に2本載置されたことを特徴とするチューブ容器絞り出し器具である。
【0008】
請求項4記載の発明の解決手段は、仕切手段に、補強部が設けられたことを特徴とするチューブ容器絞り出し器具である。
【0009】
請求項5記載の発明の解決手段は、押板の端部に、チューブ容器の口部を挿入又は係合する孔を形成したことを特徴とするチューブ容器絞り出し器具である。
【0010】
請求項6記載の発明の解決手段は、チューブ容器の絞り出しにおいて、チューブ容器の裾部近傍に対応する押板片を初期押圧とし、次に胴部近傍、肩部近傍に順次対応する各々の押板片を押圧することにより、同量の内容物を段階的に注出することを特徴とするチューブ容器の絞り出し方法である。
【0011】
請求項7記載の発明の解決手段は、チューブ容器の絞り出しにおいて、チューブ容器の口部を、押圧板に形成した孔に挿入し、押板を両側から指で押圧し、チューブ容器の口部、肩部の残留内容物を最後まで注出することを特徴とするチューブ容器の絞り出し方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るチューブ容器絞り出し器具は、チューブ容器から染毛剤等の内容物を迅速に注出でき、又2本以上のチューブ容器にあっては、染毛剤等の内容物を、段階的に迅速かつ同量注出できる効果を有する。又内容物の残量を少なくできると共に、構造が簡単で部品点数が少なく安価に製造することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、押板にチューブ容器を挟んだ状態で、内容物を注出している状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、押板にチューブ容器を挟んだ状態で、内容物を注出している状態を示す断面図である。
【図3】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、押板にチューブ容器を挟んだ状態で、内容物を注出している状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、押板にチューブ容器を挟んだ状態で、内容物を注出している状態を示す断面図である。
【図5】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、押板上にチューブ容器を載置する状態を示す実施例1を示す平面図。
【図6】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、押板上にチューブ容器を載置する状態を示す実施例2を示す平面図。
【図7】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、1本のチューブ容器から内容物を注出している状態を示す平面図。
【図8】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、2本のチューブ容器から内容物を注出している状態を示す平面図。
【図9】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、押板に形成した孔に、チューブ容器の口部を挿入している状態を示す斜視図。
【図10】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、チューブ容器の口部、肩部の残留内容物を注出している状態を示す断面図。
【図11】本発明に係るチューブ容器絞り出し器具において、押板の側面に薄いシートを設けた実施例3を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1〜図4は、この発明に係る実施例1を示す図面である。1は押板であり、ポリプロピレン等の合成樹脂の薄板、ボール紙、金属の薄板等の材料で造られている。押板1の肉厚は0.5〜5mmが適し、好ましくは1〜1.5mmが適する。そして、押板1は、相互に折り曲げられてもよいが、2枚の押板1をヒンジ等の薄板で連結或いは接着されてもよい(図示せず)。この押板1の間には、染毛剤等の内容物が充填されたチューブ容器5が挟み込まれている。押板の長さは、チューブ容器1の丈に合わせて任意に決定できる。さらに、押板1は複数に分割され、各々押板片2a、2b、2c、2dから構成されている。そして、押板片2a、2b、2c、2dの境目には、分割される部位に仕切り手段3が形成されている。このように、押板1は複数の押板片に分割されているので、押板片2a、2b、2c、2dは、順次独立してチューブ容器5を押圧することができる。
【0016】
仕切り手段3は、実施例1では溝部3aであり、溝部3aの押板長手方向における寸法は0.5〜3mmが適し、好ましくは1mmが適する。又押板1の分割数は、実施例1では4分割されているが、チューブ容器5の長さに応じて分割数を任意に決定することができる。押板片の長さは、チューブ容器1の丈に合わせて任意に決定できる。仕切り手段3は、他の実施例として、自由に折曲げが可能な折曲部或いは薄肉のヒンジ等であってもよい(図示せず)。実施例1の仕切手段3の溝部3aでは、溝部3aの幅の拡大を防止するために、補強部4が形成され、各々押板片2a、2b、2c、2dの溝部3aの連結が強化されている。補強部4の押板幅方向における寸法は0.5〜3mmが適し、好ましくは1mmが適する。
【0017】
この発明に係るチューブ容器絞り出し器具は、押板1の間には、1本のチューブ容器(図7参照)又は2本のチューブ容器(図8参照)が挟み込まれる。さらに2本以上であってもよい。図1〜図4及び図8は、2本のチューブ容器5が挟み込まれた実施例を示す図面である。2本のチューブ容器5が挟み込まれた場合は、例えばチューブ容器5には、各々染毛1剤(塩基性酸化染料)と染毛2剤(過酸化水素を主成分とする酸化剤)が充填されている。2本のチューブ容器5の裾部及び胴部は、押板1の表面と接触するように、押板1に、チューブ容器4を単に挟み込むだけか、嵌合又は接着等の方法で載置される。
【0018】
チューブ容器5から、例えば各々染毛1剤(塩基性酸化染料)と染毛2剤(過酸化水素)を注出する場合、まず図1に示すように、チューブ容器5の裾部近傍を、押板1の押圧片2aを両側から押圧すると、裾部近傍の染毛1剤及び染毛2剤が同量注出される。次に、図2に示すように、胴下部近傍を、押板1の押圧片2bで両側から押圧すると、2bにより胴下部近傍の染毛1剤及び染毛2剤が同量注出される。このようにして、図3、図4に示すように、段階的に2c、2dと押圧することにより、チューブ容器5からすべての染毛剤を注出することができる。これら各押圧片2a、2b、2c、2dの押圧によって注出された染毛剤の注出量は、ほぼ同量である。また、最後まで確実に同量の染毛剤を注出することができるように、押圧片又はチューブ容器5に押圧順序を示す表示(図示せず)を付してもよい。この表示は、番号や矢印等の文字、記号、図形あるいは色彩等のいずれか又はこれらの組合せによって表現することができる。このような表示を付すには、例えば、印刷、フィルムやラベルの貼着、刻印、彫刻等の方法や、各押圧片を複数色からなる材料で形成する方法など公知の方法を用いることができる。なお、チューブ容器5から注出された染毛剤は、トレイ(図示せず)等内で混合した後毛髪に塗布される。
【実施例2】
【0019】
図6、図9及び図10は、この発明に係る実施例2を示す図面である。実施例1と異なる点は、押板11の一端に、チューブ容器15の口部16が挿入される孔17が形成されている実施例である。この実施例2は、押板11の押板片12a、12b、12c、12dにより、チューブ容器15の裾部及び胴部の内容物を注出するだけでなく、チューブ容器15の肩部に残留する内容物を、完全に注出するための実施例である。図9(a)は孔17にチューブ容器15の口部16を挿入している実施例である。図10に示すように、指で肩部を挟みながら、押板11を両側から、指で強く押圧して潰すことにより、肩部に残留する内容物を最後まで絞り出すことができる。なお、図9(b)に示すように、孔17の側部に切欠き17aを形成し、チューブ容器15の口部16を、押板11の横方向からスライドさせて孔17に係合してもよい。また、実施例1と同様に、最後まで確実に同量の染毛剤を注出することができるように、押圧片又はチューブ容器5に押圧順序を示す表示(図示せず)を付してもよい。
【実施例3】
【0020】
図11(a)及び(b)は、この発明に係る実施例3を示す図面である。実施例1と異なる点は、押板片22a、22b、22c、22dの側面に、合成樹脂、ボール紙又は金属等の材料で造られた薄いシート25が設けられた点である。この薄いシート25の肉厚は、0.1〜3mmが適し、好ましくは0.2〜1mmである。押板片22a、22b、22c、22dからなる押板21と薄いシート25は、接着剤24等で接着されるか、或いは押板片22a、22b、22c、22dからなる押板21と薄いシート25とは一体成形で造られる。また、実施例1と同様に、最後まで確実に同量の染毛剤を注出することができるように、押圧片又はチューブ容器5に押圧順序を示す表示(図示せず)を付してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係るチューブ容器絞り出し器具は、チューブ容器から内容物を、段階的に迅速かつ同量注出できるので、特に染毛剤の注出に便利である。そして、チューブ容器内の内容物の残量を極力少なくでき、又簡単な構造で安価に製造することができるので、薬品、食料品等のチューブ容器の絞り出し器具としても広く用いることができる。
【符号の説明】
【0022】
押板 1,11,21
押板片 2a,2b,2c,2d,12a,12b,12c,12d,22a,22b,22c,22d
仕切手段 3
溝部 3a,13a,23a
補強部 4,14
チューブ容器 5,15
口部 6,16
孔 17

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填されたチューブ容器と、該チューブ容器の裾部及び胴部を挟んで、両側から押圧して、内容物を注出するための押板と、該押板にチューブ容器を固定するチューブ固定手段とからなり、
(a)前記チューブ容器は、その胴部が押板表面と向かい合うように、押板上に少なくとも1本載置され、
(b)前記押板は、順次独立して押圧できるように、仕切手段で仕切られた複数の押板片から構成され、
(c)前記チューブ固定手段は、押板でチューブ容器が挟着、嵌合又は接着して固定されたことを特徴とするチューブ容器絞り出し器具。
【請求項2】
前記複数の押板片からなる押板の側面に、薄いシートを設けたことを特徴とする請求項1記載のチューブ容器絞り出し器具。
【請求項3】
1本のチューブ容器には染毛1剤、他の1本には染毛2剤が各々充填されたチューブ容器が、押板上に2本載置されたことを特徴とする請求項1又は2記載のチューブ容器絞り出し器具。
【請求項4】
前記仕切り手段に、補強部が設けられたことを特徴とする請求項1〜3記載のチューブ容器絞り出し器具。
【請求項5】
前記押板の端部に、チューブ容器の口部を挿入又は係合する孔を形成したことを特徴とする請求項1〜4記載のチューブ容器絞り出し器具。
【請求項6】
チューブ容器の絞り出しにおいて、チューブ容器の裾部近傍に対応する押板片を初期押圧とし、次に胴部近傍、肩部近傍に順次対応する各々の押板片を押圧することにより、同量の内容物を段階的に注出することを特徴とするチューブ容器の絞り出し方法。
【請求項7】
前記チューブ容器の絞り出しにおいて、チューブ容器の口部を、押板に形成した孔に挿入し、押板を両側から指で押圧し、チューブ容器の口部、肩部の残留内容物を最後まで注出することを特徴とするチューブ容器の絞り出し方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−218774(P2012−218774A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86350(P2011−86350)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】