チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する抗肥満剤又は血中トリグリセリド降下剤
【課題】長期間にわたり安全に投与又は摂取が可能な薬用植物由来の肥満の予防又は治療剤、或いは抗肥満作用を有する食品組成物を提供する。また、長期間にわたり安全に投与又は摂取が可能な薬用植物由来の高トリグリセリド血症の予防又は治療剤、或いは血中中性脂肪(トリグリセリド)の低下作用を有する食品組成物を提供する。
【解決手段】チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する医薬組成物、又は食品組成物は、優れた体重増加抑制効果、体脂肪増加抑制効果及び血中中性脂肪(トリグリセリド)低下作用を示し、副作用の恐れも少ないことから、肥満、高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療用途に有用である。
【解決手段】チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する医薬組成物、又は食品組成物は、優れた体重増加抑制効果、体脂肪増加抑制効果及び血中中性脂肪(トリグリセリド)低下作用を示し、副作用の恐れも少ないことから、肥満、高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療用途に有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬用植物から収得した抗肥満活性及び血中トリグリセリド低下作用を有する抽出物に関する。より詳しくは、伝統的に東洋で用いられてきた薬用植物であるチョウセンゴミシからの水抽出エキスを有効成分として含有する、肥満又は高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療のための医薬組成物、或いは抗肥満作用又は血中トリグリセリド低下作用を有する食品組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、体内において、過剰エネルギーが脂肪に変換されて脂肪組織に過多蓄積されることによって体脂肪が異常に多くなる代謝異常により誘発される疾病である。肥満の発生原因には、主として遺伝的原因と環境的原因(食生活、運動不足等)が挙げられ、これら以外に、神経内分泌的原因、薬物原因等による肥満も知られている。
【0003】
近年、高脂肪食を中心とした食生活、運動不足等による体重増加、その結果としての肥満が、糖尿病、高血圧症、高脂血症等の生活習慣病の発症リスクとなることから、社会的に大きな問題となっており、体重増加を抑制することが生活習慣病の発生率を抑える上で重要だと考えられている。また、容姿、美容の観点からも、肥満は好ましくないとする風潮があり、これは時として拒食症や過食症を引き起こし、医療が必要となる場合が生じることも多い。
【0004】
体重増加を抑制するためには、食事内容を改善したり、十分な運動をする等、生活習慣を改善することが重要であることは広く認識されているものの、生活習慣を変えることは実際上容易ではなく、また、それだけでは賄いきれないことも少なくない。そこで、肥満や体重増加を抑制する薬剤や食品に対する強い要望がある。
【0005】
肥満を治療するための標的としては、食欲調節、脂肪代謝調節、脂肪細胞分化調節、脂肪吸収調節、及びエネルギー代謝調節等が挙げられ、活発に研究が行われている。現在までに承認されている抗肥満薬としては、カテコールアミン・セロトニン再取り込み阻害剤であるシブトラミン(sibutramine)、脂質代謝に関与する膵リパーゼの阻害薬であるオルリスタット(orlistat)、カンナビノイド(CB1)受容体阻害剤であるリモナバント(rimonabant)等が知られている。
【0006】
しかし、シブトラミンには、血圧上昇、不眠症、口腔乾燥、目眩等の副作用が報告されており、オルリスタットには、下痢、脂肪便、大便失禁等の副作用が知られ、またリモナバントには、情動面(うつ状態)での副作用が知られることから、上記抗肥満薬を用いる薬物療法は、重度の肥満症の患者に限られている。
【0007】
一方、民間療法や伝統医学(例えば、漢方医学)で古くから用いられてきた植物抽出エキスは、副作用等の恐れが少なく、長期間、安全に服用、又は摂取可能であるという長所を有している。このため、医薬品や機能性食品として使用し得る抗肥満効果を示す植物由来の医薬、又は食品素材の探索研究が国内外において盛んに行われている。
【0008】
チョウセンゴミシ(北五味子:Schisandra chinensis)は、マツブサ科(Schisandraceae)マツブサ属の植物で、その成熟果実を乾燥したものを五味子という。漢方ではその水又はアルコール抽出エキスは、鎮咳、精力減退、滋養強壮、肝臓障害、神経衰弱の治療用途に用いられてきた(非特許文献1及び2)。しかし、五味子抽出エキスが、肥満の予防、改善、又は治療の用途に有用であるか否かについての報告例は皆無であった。
【0009】
また、近年、血中の中性脂肪(トリグリセリド)濃度と肥満とが必ずしも相関しないことが明らかとなってきた。L. Nanniらは、家族性高脂血症の群では、対照群とBMI(Body Mass Index)値が同等であっても、その2倍程度の血中トリグリセリド値を示したことを報告しており(非特許文献3)、M. Millerらは、血中トリグリセリド値が150mg/dL以上の被験者の約80%が前肥満(BMI値が25kg/m2以上〜30kg/m2未満)および肥満(BMI値が30kg/m2以上)であったが、20.1%の被験者はBMI値が25kg/m2未満であったことを報告している(非特許文献4)。さらに、H. Nakaraiらは、日本人被験者162名を対象とした調査において、中程度のBMI(21.5kg/m2〜27.0kg/m2)値を有する被験者では、血中トリグリセリド値と腹囲およびBMI値との間に相関は見られなかったと報告している(非特許文献5)。
すなわち、肥満症と血中トリグリセリド濃度とは必ずしも相関せず、低体重でありながら、血中のトリグリセリド濃度が高い場合も存在することが示される。血中のトリグリセリド濃度が高いことは、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患(coronary artery disease;CAD)の重要なバイオマーカーであることが示されている(非特許文献4)。
従って、血中のトリグリセリドを直接的に低下させ得る薬剤が、CAD予防の観点からも望まれる。
【0010】
しかしながら、現在血中トリグリセリド降下薬としては、主としてクロフィブラート、クリノフィブラート等のフィブラート系薬、及びニコチン酸トコフェロール、ニコモール等のニコチン酸系薬が用いられているに過ぎない。フィブラート系薬については、横紋筋融解症という重篤な副作用が報告され、特にスタチン系の高コレステロール血症治療薬を併用した場合に、その危険性が高まることが報告されている(非特許文献6)。一方、ニコチン酸系薬については、顔面潮紅、熱感、下痢、便秘等の消化器症状等、QOL低下に結びつく副作用が報告され、かかる副作用を生ずることなく、血中トリグリセリドを良好に低下させ得る薬剤はあまり知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】北川勲他,生薬学,第3版,廣川書店,p.256-257
【非特許文献2】山形県衛生研究所編,衛研ニュース,No.134,2004.10.10,p.4
【非特許文献3】L. Nanni et al.; Atherosclerosis 213 206-211 (2010)
【非特許文献4】M. Miller et al.; Circulation 123 2292-2333 (2011)
【非特許文献5】H. Nkarai et al.; Metabolism Clinical and Experimental 60 823-829 (2011)
【非特許文献6】前田ら;日病薬誌 39 (8) 991-994 (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、優れた体重増加抑制作用、体脂肪蓄積抑制作用等の抗肥満作用を有し、安全で、長期間にわたり服用、又は摂取しても副作用等の心配の少ない植物抽出エキスを含有する医薬、又は食品を提供することを目的とする。
さらにまた本発明は、特に血中のトリグリセリドを良好に低下させ得る医薬又は食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、古くから漢方、又は民間療法において用いられてきたチョウセンゴミシの成熟果実を乾燥させた生薬「五味子」から容易に得られる水抽出エキスが、優れた体重増加抑制作用、及び体脂肪蓄積抑制作用を有し、肥満の予防、改善、及び/又は治療に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する抗肥満剤、すなわち、抗肥満用医薬組成物、又はチョウセンゴミシ水抽出エキスからなる抗肥満剤を含有する食品組成物に関する。
また、本発明は、チョウセンゴミシ水抽出エキスを使用する、肥満の予防、改善、及び/又は治療方法にも関する。
さらに、本発明は、肥満の予防、改善、及び/又は治療用の組成物を製造するための、チョウセンゴミシ水抽出エキスの使用方法にも関する。
【0014】
さらにまた、本発明者らは、上記チョウセンゴミシ水抽出エキスが特に血中の中性脂肪(トリグリセリド)を良好に低下させ得ることを見出した。すなわち本発明は、血中トリグリセリド降下剤、及び血中のトリグリセリドを低下させ得る食品組成物に関する。また、チョウセンゴミシ水抽出エキスを使用する、高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療方法にも関する。
さらに、本発明は、高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療用の組成物を製造するための、チョウセンゴミシ水抽出エキスの使用方法にも関する。
【0015】
すなわち、本発明は、
[1]チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する抗肥満剤、
[2]チョウセンゴミシ水抽出エキスからなる上記[1]に記載の抗肥満剤、
[3]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、60℃〜100℃で0.5〜8時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[1]又は[2]に記載の抗肥満剤、
[4]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、80℃〜100℃で1〜4時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[3]に記載の抗肥満剤、
[5]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、100℃で1時間煮沸抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[4]に記載の抗肥満剤、
[6]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、室温で8〜12時間冷浸し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[1]又は[2]に記載の抗肥満剤、
[7]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、前記水溶液を乾燥して得られる粉末である、上記[3]〜[6]のいずれか一つに記載の抗肥満剤、
[8]上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の抗肥満剤からなる体重増加抑制剤、
[9]体重増加が、肥満に至る前の体重増加である、上記[8]に記載の体重増加抑制剤、
[10]体重増加が、肥満患者の体重増加である、上記[8]に記載の体重増加抑制剤、
[11]チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が、体重増加を抑制する有効量である、上記[8]〜[10]のいずれか一つに記載の体重増加抑制剤、
[12]有効量が、乾燥重量として0.1mg〜2000mg/kg体重/日である、上記[11]に記載の体重増加抑制剤、
[13]上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の抗肥満剤からなる体脂肪増加抑制剤、
[14]体脂肪増加が、中性脂肪増加である、上記[13]に記載の体脂肪増加抑制剤、
[15]チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する血中トリグリセリド降下剤、
[16]チョウセンゴミシ水抽出エキスからなる上記[15]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[17]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、60℃〜100℃で0.5〜8時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[15]又は[16]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[18]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、80℃〜100℃で1〜4時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[17]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[19]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、100℃で1時間煮沸抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[18]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[20]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、室温で8〜12時間冷浸し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[15]又は[16]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[21]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、前記水溶液を乾燥して得られる粉末である、上記[17]〜[20]のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤、及び
[22]上記[15]〜[21]のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤を含有する、高トリグリセリド血症治療剤、
に関する。
【0016】
また、本発明は、動物、特に、哺乳動物に対し、体重増加、及び体脂肪蓄積を抑制する有効量のチョウセンゴミシ水抽出エキスを摂取させ、あるいは投与することを特徴とする肥満の予防、改善、及び/又は治療方法;並びに体重増加抑制剤、体脂肪蓄積抑制剤、肥満の予防及び治療剤、抗肥満作用を有する食品組成物、ペットフード、飼料、或いは餌料(以下、食品組成物等ともいう)、及び抗肥満作用を有する食品組成物等の製造のための、チョウセンゴミシ水抽出エキスの使用方法も提供する。
【0017】
またさらに本発明は、動物、特に、哺乳動物に対し、血中のトリグリセリドを低下させる有効量のチョウセンゴミシ水抽出エキスを摂取させ、あるいは投与することを特徴とする高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療方法;並びに高トリグリセリド血症の予防及び治療剤、血中トリグリセリド低下作用を有する食品組成物等、及び該食品組成物等の製造のための、チョウセンゴミシ水抽出エキスの使用方法をも提供する。
【発明の効果】
【0018】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する本発明の体重増加抑制作用、体脂肪蓄積抑制作用等を有する抗肥満剤、又は抗肥満作用を有する食品組成物等は、肥満の予防、改善、及び/又は治療用途に使用することができる。また、チョウセンゴミシが食経験のある植物由来成分であるため、副作用が少なく、長期間にわたり安全に服用、又は摂取することが可能である。
【0019】
また、本発明の好ましい態様によれば、例えば、嗜好性や摂食量に影響を与えることなく体重増加、及び体脂肪蓄積を抑制することにより、肥満の予防、改善、及び/又は治療等を無理なく行うことができる。
【0020】
さらに、本発明の抗肥満用組成物は、健康維持に必要な栄養成分の吸収を阻害することなく、安全に体重増加、及び体脂肪蓄積を抑制することにより、肥満の予防、改善、及び/又は治療を行うことが期待できる。
【0021】
さらにまた、本発明の血中トリグリセリド降下剤は、肥満や体脂肪の蓄積とは関係なく血中のトリグリセリドが上昇するような状態においても、血中トリグリセリドを良好に低下させることができる。従って、本発明の血中トリグリセリド降下剤を含有する高トリグリセリド血症治療剤は、高トリグリセリド血症を良好に予防、改善、及び/又は治療することができ、特にCADの発症リスクを有効に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】チョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を投与したラットの体重変化を示すグラフである。
【図2】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食についてのラットによる摂食量の比較を示すグラフである。
【図3】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットに対する経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果を示すグラフである。
【図4】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットの総コレステロール量の比較を示すグラフである。
【図5】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットの血漿中の中性脂肪量(TG量)の比較を示すグラフである。
【図6】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットの内臓脂肪の組織重量の比較を示すグラフである。
【図7】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットの血中レプチン量の比較を示すグラフである。
【図8】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食後、解剖したラットの脂肪組織をヘマトキシリン染色した顕微鏡写真である。
【図9】普通食又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合食を投与したdb/dbマウスの摂取量の変化を示すグラフである。
【図10】普通食又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合食を投与したdb/dbマウスにおける血中トリグリセリド(TG)値を示すグラフである。
【図11】チョウセンゴミシ水抽出エキスを投与したラットと対照群のラットにおいて、オリーブ油を経口投与した後の血中中性脂肪(トリグリセリド)濃度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0024】
1.チョウセンゴミシ水抽出エキス
本発明で使用する「チョウセンゴミシ」とは、マツブサ科マツブサ属の植物であり、チョウセンゴミシ水抽出エキスとしては、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものである生薬「五味子」(本発明においては、市販の日局「五味子」)を使用することが好ましい。また、マツブサ科(Scisandraceae)サネカズラ属の植物である「南五味子(Kadsura japonica)」もチョウセンゴミシと同様に使用することができる。
【0025】
抽出に際しては、例えば、五味子に対し、1〜50倍量(好ましくは2〜20倍量、より好ましくは5〜15倍量、特に好ましくは10倍量)の水を使用し、60〜100℃、(好ましくは80〜100℃、より好ましくは90〜100℃、特に好ましくは100℃)にて、0.5〜8時間(好ましくは1〜4時間、より好ましくは1〜2時間、特に好ましくは1時間)抽出し(温浸法)、濾過により生薬を除去し、1/2〜1/20量(好ましくは1/5〜1/10量、より好ましくは1/10量)まで濃縮した水溶液をそのまま使用することができる。また、五味子に対し、1〜50倍量(好ましくは2〜20倍量、より好ましくは5〜15倍量、特に好ましくは10倍量)の水を使用し、冷浸法(室温下、8〜12時間抽出)により得られるエキスも、上記温浸法により得られるエキスと同様の効果が得られる。さらに、上記温浸法、又は冷浸法により得られる水溶液を濃縮乾燥、噴霧乾燥(スプレードライヤーによる粉末化)、又は凍結乾燥して粉末状にしたものを使用することもできる。
【0026】
本明細書において、「室温」とは、実験室内の大気の通常温度(65〜80°F(18.3〜26.7℃))を意味する。
【0027】
2.チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する製剤及び食品組成物
チョウセンゴミシ水抽出エキスは、体重増加抑制活性、体脂肪蓄積抑制活性及び血中トリグリセリド低下作用を有しているので、該エキスは、動物に対し、例えば、肥満又は高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療剤、或いは痩身剤(以下、「本発明の製剤」と略称することがある。)として、並びに、例えば、体重増加抑制作用、体脂肪蓄積抑制作用、肥満改善作用及び血中トリグリセリド低下作用を有する食品組成物等(以下、「本発明の食品組成物」と略称することがある。)として用いることができる。
【0028】
本発明の製剤、又は食品組成物の投与、又は摂取の好ましい方法としては、食事の時、又は食後の投与、又は摂取が特に好ましいが、定時的な投与、又は摂取形態でも構わない。本発明の食品組成物の場合は、投与、又は摂取方法には特に限定はない。
【0029】
適用対象の動物としては、ヒト、イヌ、ネコ、インコ、キュウカンチョウ、オウム、モルモット、ラット、マウス、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、サル、ウサギ、カエル、サンショウウオ、キンギョ、コイ、フナ等の脊椎動物であるのが好ましく、哺乳動物であるのがより好ましく、ヒトであるのが特に好ましい。適用対象の動物は、体重増加若しくは体脂肪蓄積を回避したい、すなわち、肥満の予防、改善、若しくは治療を行いたい動物であればよく、遺伝的に体重増加のリスクを有している動物であってもよいし、糖尿病、高血圧症、及び/又は高脂血症等の生活習慣病を患っている動物であってもよい。
また、特に高トリグリセリド血症を有し、又は高トリグリセリド血症を発症するおそれがあり、CADの予防の望まれる動物に対し、好適に使用することができる。
【0030】
体重増加は、肥満に至るまえの体重増加であってもよいし、肥満患者の体重増加であってもよい。肥満とは、WHOの基準によれば、BMI(ボディー・マス・インデックス:体重(kg)/[身長(m)]2)が30以上と定義されるが、日本人については、BMIが25以上であることを意味する(日本肥満学会の基準による)。本発明でも同義で使用している。
【0031】
チョウセンゴミシ水抽出エキスは、前述のように体脂肪蓄積抑制剤、又は体脂肪蓄積抑制作用を有する食品組成物として用いることができるが、なかでも、中性脂肪量増加抑制剤、又は中性脂肪量増加抑制作用を有する食品組成物として好ましく用いることができ、とりわけ、トリグリセリド量増加抑制剤、又はトリグリセリド量増加抑制作用を有する食品組成物として好適に用いることができる。
【0032】
本発明の製剤、又は食品組成物によって体脂肪の蓄積が抑制される組織又は器官としては、例えば、肝臓、精巣上体周囲脂肪組織、腹腔脂肪組織(腎臓周囲、後腹壁脂肪)、側腹部脂肪組織等、脂肪細胞を多く含む組織又は器官が挙げられる。具体的には、本発明の製剤、又は食品組成物は、前記脂肪組織重量、及び前記脂肪細胞の肥大化を抑制することができる。
【0033】
また、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、血中の総コレステロールの増加を抑制する作用を有する。より具体的には、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、血中の高密度リポタンパク(HDL)コレステロールに影響を与えることなくHDL以外のコレステロールの増加を抑制する作用を有する。したがって、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、コレステロール増加抑制剤、又はコレステロール増加抑制作用を有する食品組成物として好適に用いることができる。
【0034】
さらに、本発明の製剤、又は食品組成物は、肥満により分泌が増加し、血中濃度が上昇するレプチンの分泌量を抑制する作用も有する。
【0035】
また、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、前述のように、肥満や体脂肪の蓄積とは無関係に見られる血中トリグリセリドの上昇に対して、良好な低下作用を有する。従って、チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する本発明の製剤又は食品組成物は、肥満、体脂肪蓄積とは関係なく生ずる高トリグリセリド血症に対して、良好な予防、改善、及び/又は治療効果を有する。その結果、CADの発症リスクを良好に低減することができる。
【0036】
(1)本発明の製剤
チョウセンゴミシ水抽出エキスを上述の製剤として使用する場合には、公知の方法によって実施することができる。具体的には、例えば、以下に記載するとおりに実施することができる。
【0037】
本発明の製剤は、必要に応じて糖衣やコーティングを施した錠剤、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、細粒剤、トローチ剤、液剤(シロップ剤、乳剤、懸濁剤を含む)等として経口的に使用するのが好ましい。
【0038】
本発明の製剤には、本発明の効果を阻害しない限り、薬理学的に許容される担体等を配合することができる。薬理学的に許容される担体等としては、製剤材料として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、増粘剤、乳化剤等が挙げられる。また、必要に応じて、着色剤、甘味剤、抗酸化剤等の製剤添加剤も用いることができる。さらに本発明の製剤をコーティングしてもよい。
【0039】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース(例えば、微結晶セルロース等)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。結合剤としては、例えば、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、マクロゴール、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋ポリビニルピロリドン、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、陽イオン交換樹脂、部分α化でんぷん、トウモロコシデンプン等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ワックス類、コロイドシリカ、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール、エアロジル等が挙げられる。
【0040】
溶剤としては、例えば、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、植物油(例えば、サフラワー油、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、大豆レシチン等)等が挙げられる。
【0041】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0042】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0043】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0044】
増粘剤としては、例えば、天然ガム類、セルロース誘導体等が挙げられる。
【0045】
乳化剤としては、例えば、脂肪酸エステル類(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等)、ワックス(例えば、ミツロウ、菜種水素添加油、サフラワー水素添加油、パーム水素添加油、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、カカオ脂粉末、カルナウバロウ、ライスワックス、モクロウ、パラフィン等)、レシチン(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン等)等が挙げられる。
【0046】
着色剤としては、例えば、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号及び3号、食用黄色4号及び5号、食用青色1号及び2号等の食用色素)、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩等)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ等)等が挙げられる。
【0047】
甘味剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0048】
錠剤、顆粒剤、細粒剤等に関しては、味のマスキング、光安定性の向上、外観の向上あるいは腸溶性等の目的のため、コーティング基材を用いて通常の方法でコーティングしてもよい。このコーティング基剤としては、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基材、腸溶性フィルムコーティング基材等が挙げられる。
【0049】
糖衣基剤としては、例えば、白糖が挙げられ、さらにタルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ等から選ばれる1種又は2種以上を併用してもよい。
【0050】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(オイドラギットE(商品名)、ロームファルマ社)、ポリビニルピロリドン等の合成高分子;プルラン等の多糖類等が挙げられる。
【0051】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL(オイドラギットL(商品名)ロームファルマ社)、メタアクリル酸コポリマーLD(オイドラギットL−30D55(商品名)ロームファルマ社)、メタアクリル酸コポリマーS(オイドラギットS(商品名)ロームファルマ社)等のアクリル酸系高分子;セラック等の天然物等が挙げられる。
【0052】
これらのコーティング基剤は、単独で、又は2種以上を適宜の割合で混合してコーティングしてもよく、また2種以上を順次コーティングしてもよい。
【0053】
本発明の製剤中におけるチョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量は、製剤全体に対して通常約0.001〜99質量%、好ましくは、約0.01〜80質量%、より好ましくは、約0.1〜50質量%の任意の範囲である。
【0054】
本発明の製剤で用いられるチョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量は、チョウセンゴミシ水抽出エキスの体重増加もしくは体脂肪蓄積を抑制する有効量の範囲内、または血中トリグリセリドを低下させる有効量の範囲内であればよく、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。例えば、体重増加を抑制する目的で成人に投与する場合、投与対象、投与形態、摂食量等によっても異なるが、チョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量として、一般的に一日につき、体重1kgあたり、乾燥重量として、0.1〜2000mg、好ましくは0.1〜800mg、より好ましくは0.1〜400mg、特に好ましくは1〜100mg、最も好ましくは5〜60mgである。また、高トリグリセリド血症の改善を目的として成人に投与する場合も、投与対象の状態、投与形態、摂食量等により異なるが、チョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量として、一般的に一日につき、体重1kgあたり、乾燥重量として、0.1〜2000mg、好ましくは0.1〜800mg、より好ましくは0.1〜400mg、特に好ましくは1〜100mg、最も好ましくは5〜60mgである。なお、前記の量は、1回で投与してもよいが、数回に分けて投与してもよい。チョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量が少なすぎても効果が発現しないし、多すぎると脂溶性ビタミン等の他の栄養成分の吸収を阻害する恐れがある。また、嗜好性や摂食量に影響をあたえずに効果が発現するという観点からも、上記に例示した各投与量が好ましい。他の動物の場合も、同様の量を投与することができる。
【0055】
本発明の製剤の投与方法としては、特に限定されるものではなく、一般に上記のような経口投与による投与方法が挙げられるが、患者の状態、重症度等に応じて、非経口投与(血管内(静脈内、動脈内)投与、皮下投与、直腸内投与等)を適宜選択してもよい。
【0056】
本発明の製剤は、体脂肪、特に内臓脂肪、の蓄積を抑制することができ、特に、食事直後に血中の中性脂肪量が増加してしまうのを抑制し、経時的に正常値に戻すことができるため、食事により摂取した脂肪の吸収を抑制し、肥満を予防、改善、及び/又は治療することができる。これにより、肥満に伴う各種疾患(例えば、糖尿病、高脂血症、動脈硬化症、脳梗塞、心筋梗塞等のメタボリックシンドローム)を予防、改善、又は治療することができる。
また、血中の中性脂肪(トリグリセリド)に対して、良好な低下作用を有するため、血中の中性脂肪(トリグリセリド)が高い状態を正常な状態とすることができる。従って、高脂血症の予防、改善又は治療効果に優れ、CADの発症リスクを良好に低減することができる。
【0057】
さらに、本発明の製剤で有効成分として用いられるチョウセンゴミシ水抽出エキスは、1種以上の他の抗肥満剤、食欲抑制剤、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、利尿剤等の薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。本明細書においては、「組み合わせて用いる」とは、別々の製剤として投与する形態、及び一つの製剤として合剤にする形態のいずれであってもよい。
【0058】
別々の製剤として組み合わせて使用する際、本発明の製剤で用いられるチョウセンゴミシ水抽出エキス及び併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。
【0059】
(2)本発明の食品組成物
チョウセンゴミシ水抽出エキスを上述の食品組成物として使用する場合には、通常の方法によって実施することができる。具体的には、例えば、以下に記載するとおりに実施することができる。
【0060】
本発明の食品組成物としては、チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、かつ、動物が経口的に摂取しうるものであればよく、食品組成物の種類、形状等に特に制限はない。食品組成物としては、例えば、ドロップ、キャンディー、ラムネ、グミ、チューインガム等の菓子類;クッキー、クラッカー、ビスケット、ポテトチップス、ケーキ、チョコレート、ドーナツ、プリン、ゼリー等の洋菓子;煎餅、羊羹、大福、おはぎ、饅頭、カステラ等の和菓子;アイスクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、ジェラート等の冷菓;食パン、フランスパン、クロワッサン等のパン類;うどん、そば、中華めん、きしめん等の麺類;かまぼこ、ちくわ、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品;ハム、ソーセージ、ハンバーグ、コーンビーフ等の畜肉製品;塩、胡椒、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、甘味料(例えば、砂糖、ハチミツ、粉末あめ、水あめ、ジャム、マーマレード等)、辛味料(例えば、からし、コショウ等)等の調味料類;明石焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、お好み焼き、焼きそば、焼きうどん等の鉄板焼き食品;チーズ、バター、マーガリン、ヨーグルト等の乳製品;納豆、厚揚げ、豆腐、こんにゃく、団子、漬物、佃煮、餃子、シューマイ、コロッケ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、サラダ等の各種総菜;ビーフ、ポーク、チキン等の畜産物;海老、帆立、蜆、昆布等の水産物;野菜・果実類、植物、酵母、藻類等を粉末にした各種粉末;油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したもの;飲料等が挙げられる。
【0061】
飲料としては、スープ、味噌汁等の飲食品;インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ、インスタント味噌汁等の粉末飲食品;ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、発泡酒、酎ハイ等のアルコール飲料;果汁(例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、ウメの果汁等)入り飲料、野菜汁(例えば、トマト、ニンジン、セロリ、キュウリ、スイカの野菜汁等)入り飲料、果汁及び野菜汁入り飲料、清涼飲料水、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、コーヒー、ココア、茶飲料(紅茶、緑茶、麦茶、玄米茶、煎茶、玉露茶、ほうじ茶、ウーロン茶、ウコン茶、プーアル茶、ルイボスティー茶、ローズ茶、キク茶、ハーブ茶(例えば、ミント茶、ジャスミン茶)等)、栄養ドリンク、スポーツ飲料、ミネラルウォーター等の非アルコール飲料等が挙げられる。
【0062】
このような食品組成物として好ましい例としては、例えば、ゼリー、茶飲料、アルコール飲料ドロップ、キャンディ、ラムネ、クッキー、クラッカー、ビスケット、チョコレート、チーズ、バター、マーガリン、チューインガム等が挙げられる。
【0063】
また、本発明の食品組成物は、機能性食品、健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品等の保健機能食品、特別用途食品(例えば、病者用食品)、健康補助食品、サプリメント等として調製されてもよく、特定保健用食品、特別用途食品、健康補助食品又はサプリメントとして調製されるのが好ましい。
【0064】
このような本発明の食品組成物の形状としては、例えば、タブレット状、丸状、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状(シロップ状、乳状、懸濁状を含む)等が挙げられ、タブレット状、カプセル状であるのが好ましい。
【0065】
本発明の食品組成物としては、特にタブレット状、又はカプセル状の特定保健用食品、特別用途食品、健康補助食品又はサプリメントであるのが好ましい。
【0066】
本明細書において、サプリメントとは、栄養素等を補うための栄養補助食品等を意味するだけではなく、健康の保持、回復、増進等のために役立つ機能(例えば、体重増加抑制、体脂肪蓄積抑制等の抗肥満作用、又は痩身作用)等を有する健康機能食品等をも意味する。
【0067】
本発明の食品組成物は、例えば、公知の方法によって食品中にチョウセンゴミシ水抽出エキスを添加することによって製造することができる。具体的には、例えば、タブレット状の食品組成物は、例えば、チョウセンゴミシ水抽出エキス、及び、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、マンニトール等)、甘味剤、着香剤等の原料を添加、混合し、打錠機等で圧力をかけてタブレット状に成形することにより製造することができる。必要に応じて、その他の材料(例えば、ビタミンC等のビタミン類、鉄等ミネラル類、食物繊維等)を添加することもできる。カプセル状の食品組成物は、例えば、チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する液状、懸濁状、のり状、粉末状、又は顆粒状の食品組成物をカプセルに充填するか、又はカプセル基剤で被包成形して製造することができる。
【0068】
本発明の食品組成物には、本発明の効果を阻害しない限り、通常用いられる食品素材、食品添加物、各種の栄養素、ビタミン類、風味物質(例えば、チーズやチョコレート等)等に加え、生理学的に許容される担体等を配合することができる。生理学的に許容される担体等としては、慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤、増粘剤、乳化剤等が挙げられる。また食品添加物としては、着色剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤、着香剤等が挙げられる。さらに、その他の材料、例えば、鉄等のミネラル類、ペクチン、カラギーナン、マンナン等の食物繊維等を含有していてもよい。
【0069】
賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、増粘剤、着色剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤としては、それぞれ前記した本発明の製剤に用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0070】
ビタミン類としては、水溶性であっても脂溶性であってもよく、例えばパルミチン酸レチノール、トコフェロール、ビスベンチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、アスコルビン酸ナトリウム、コレカルシフェロール、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、葉酸、ビオチン、重酒石酸コリン等が挙げられる。
【0071】
タブレット状、顆粒状、細粒状の食品組成物等に関しては、味のマスキング、光安定性の向上、外観の向上あるいは腸溶性等の目的のため、コーティング基材を用いて自体公知の方法でコーティングしてもよい。そのコーティング基材としては、前記した本発明の製剤に用いられるものと同様のものが挙げられ、同様にして実施することができる。
【0072】
本発明の食品組成物中におけるチョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量は、食品組成物全体に対して通常約0.1〜20質量%、好ましくは、約0.5〜10質量%、より好ましくは、約1〜5質量%である。チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が少なすぎても効果が発現しないし、多すぎると脂溶性ビタミン等の他の栄養成分の吸収を阻害する恐れがある。
【0073】
また、食品組成物が脂肪を含有する場合には、本発明の食品組成物中の脂肪に対するチョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量は、通常1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%という範囲である。チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が少なすぎても効果が発現しないし、多すぎると脂溶性ビタミン等の他の栄養成分の吸収を阻害する恐れがある。
【0074】
このようにして得られる食品組成物は、安全であるので、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、特に好ましくはヒトに対して継続的に与えることができる。
【0075】
本発明の食品組成物の摂取量は、チョウセンゴミシ水抽出エキスの体重増加、及び体脂肪蓄積を抑制する有効量の範囲内、又は血中トリグリセリドを低下させる有効量の範囲内であればよい。例えば、本発明の食品組成物を体重増加抑制目的で成人に摂取させる場合、摂取させる対象、摂取形態、摂食量等によっても異なるが、チョウセンゴミシ水抽出エキスの摂取量として、一般的に一日につき、体重1kgあたり、乾燥重量として、0.1〜800mg、好ましくは0.1〜400mg、より好ましくは1〜400mg、特に好ましくは40〜400mgである。また、血中トリグリセリドの上昇抑制、高トリグリセリド血症の改善を目的として成人に摂取させる場合も、摂取させる対象の状態、摂取形態、摂食量等により異なるが、チョウセンゴミシ水抽出エキスの摂取量として、一般的に一日につき、体重1kgあたり、乾燥重量として、0.1〜800mg、好ましくは0.1〜400mg、より好ましくは1〜400mg、特に好ましくは40〜400mgである。なお、前記の量は1回で摂取させてもよいが、数回に分けて摂取させてもよい。チョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量が少なすぎても効果が発現しないし、多すぎると脂溶性ビタミン等の他の栄養成分の吸収を阻害する恐れがある。また、嗜好性や摂食量に影響をあたえずに効果が発現するという観点からも、上記の各摂取量が好ましい。他の動物の場合も、同様の量を摂取することができる。
【0076】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを健康補助食品、特定保健用食品等の保健機能食品、病者用食品等の特別用途食品に添加する場合には、チョウセンゴミシ水抽出エキスの1回あたりの摂取量を、1食摂取量単位で包装または充填された形態の飲料又は食品中に含むことが好ましい。ここで、「1食摂取量単位で包装または充填された形態の飲料又は食品」とは、1回に摂取するべき量の飲料又は食品が、1個の袋や箱、ビン等の容器に包装または充填されていることをいう。
【0077】
さらに、本発明の食品組成物は、それのみで使用してもよいが、その他の抗肥満効果又は血中トリグリセリド低下作用を有する医薬組成物、食品組成物、又は飼料と組み合わせて用いてもよい。組み合わせて用いることによって、体重増加抑制効果、体脂肪蓄積抑制効果等の抗肥満効果、痩身効果又は高トリグリセリド血症の予防、改善効果をより高めることができる。
【0078】
また本発明の食品組成物には、健康食品、機能性食品、健康補助食品、特定保健用食品等の保健機能食品、疾病リスク低減表示を付した食品、又は特別用途食品(例えば、病者用食品)のような分類のものも包含される。疾病リスク低減表示としては、例えば肥満を治療、改善、抑制、及び/又は予防するためのものである旨の表示、或いは高トリグリセリド血症を改善及び/又は予防するためのものである旨の表示が挙げられる。従って、本発明の組成物は、例えば、チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する肥満を改善、及び/又は予防するためのもの、或いは痩身のためのもの、又は高トリグリセリド血症を改善及び/又は予防するためのものである旨の表示を付した飲食品である。
【0079】
ここでこれら食品組成物に付される機能表示は、製品の本体、容器、包装、説明書、添付文書、又は宣伝物のいずれかにされてなることができる。
【実施例】
【0080】
以下の実施例、試験例、及び処方例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0081】
実施例1:チョウセンゴミシ水抽出エキスの調製(温浸法)
五味子に10倍量の水を加え、100℃にて1時間煮沸抽出し、濾過により生薬残渣を除去し、得られた水溶液をチョウセンゴミシ水抽出エキスとして使用した。
【0082】
実施例2:チョウセンゴミシ水抽出エキスの調製(冷浸法)
五味子に10倍量の水を加え、室温にて一晩(8〜12時間)抽出し、濾過により生薬残渣を除去し、得られた水溶液をチョウセンゴミシ水抽出エキスとして使用した。
【0083】
実施例3:チョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末)の調製
実施例1又は2で得られたチョウセンゴミシ水抽出エキスを減圧濃縮により乾燥するか、凍結乾燥するか、又はスプレードライヤーにより噴霧乾燥して粉末状にしたものを使用した。
【0084】
試験例1:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの体重増加に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を3日間普通食(MF:オリエンタル酵母工業株式会社)で予備飼育した後、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。チョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食(以下、「ゴミシ配合高脂肪食」、又は「ゴミシ+高脂肪食」と略称することもある。)群は、高脂肪食1gあたり実施例1で調製したチョウセンゴミシ水抽出エキス0.05ml(五味子0.1g相当)含む飼料を自由摂食させた。動物は、全て温度23±2℃、湿度50±10%、明暗周期12時間(明期8時から20時)で飼育した。
【0085】
【表1】
【0086】
普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、10週目までの摂食量を毎日測定し、2週間毎に体重を測定した。
【0087】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群は、対照群と比較して体重増加が抑制されることが示された(図1)。なお、通常の食品カロリー表により換算したエネルギー摂取量(摂食量)は、高脂肪食群、及びゴミシ配合高脂肪食群のいずれの群においても有意差はみられなかった(図2)。
【0088】
試験例2:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食摂食ラットに対する経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。一晩絶食させた後、普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、OGTTにより耐糖能を測定した。糖負荷量は、1g/kgとした。血糖値の測定は糖負荷時を0分として糖負荷直前、30分後、60分後、90分後、120分後に尾静脈より採血を行い、血糖値測定器(Glucose Pilot:Awenitir Biotech,Carlsbad,CA,USA)にて血糖値を測定した。
【0089】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群は、対照群と比較して90分後の血中グルコース濃度が有意かつ顕著に低下することが示された(図3)。このことからチョウセンゴミシ水抽出エキスの配合により、耐糖能が向上することが分かった。
【0090】
試験例3:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの血中脂質量に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、10週経過後のラットから血液を採取し、血中の総コレステロール量、及び中性脂肪(トリグリセリド(TG))量をそれぞれ測定した。総コレステロール量の測定は、測定キット(コレステロールE−テストワコー、和光純薬工業株式会社)により行い、TG量の測定は、測定キット(トリグリセライドE−テストワコー、和光純薬工業株式会社)により行った。
【0091】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群は、対照群と比較して、血中の総コレステロール量(図4)、特に、TG量(図5)が有意に低下することが明らかとなった。
【0092】
試験例4:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの内臓脂肪量に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、10週経過後屠殺し、組織重量(肝臓、腎臓、精巣上体周囲脂肪組織)の測定を行った。
【0093】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群の10週経過後の内臓脂肪の組織重量は、対照群と比較して有意に少なく、高脂肪食を摂食したにも拘らず、普通食群とほぼ同様の重量となることが示された(図6)。
【0094】
試験例5:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの血中レプチン量に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間
、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、10週経過後のラットから血液を採取し、血中のレプチン量を測定した。測定はキット(レプチン測定キット、森永生科学研究所)により行った。
【0095】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群の10週経過後の血中レプチン量は、対照群と比較して有意に少なく、高脂肪食を摂食したにも拘らず、普通食群とほぼ同様の血中量となることが示された(図7)。レプチンは脂肪組織から分泌されるアディポサイトカインであり、肥満により分泌量が増加することが知られているが、ゴミシ配合高脂肪食群において分泌量が低下したことから、ゴミシはレプチン分泌を抑制する作用を有することが示された。
【0096】
試験例6:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの脂肪組織の肥大化に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育し、10週経過後屠殺、解剖後、精巣上体周囲脂肪組織(内臓脂肪)を採取し、2日間10%ホルムアルデヒドに浸した。パラフィン包理後、薄切化し、スライドガラスに張り付けた。スライドガラスに張り付けたパラフィン切片をキシレン、エタノールで脱パラフィン後、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行った。封入剤にて組織切片を覆い、ZEISS AXIOSCOPE(ZEISS社製)にて100倍下で観察した。
【0097】
(2)結果
高脂肪食摂食群の内臓脂肪組織を形成する脂肪細胞の大きさは図8に示すように、殆どが100μm以上と、肥大化がみられたのに対し、ゴミシ配合高脂肪食群は、普通食群と同様に脂肪細胞の大きさは100μm以下であり、肥大化がみられなかった。従って、ゴミシは何らかの原因で脂肪細胞の肥大化や蓄積を抑制し、その結果、体重増加を抑制させたのではないかと考えられる。内臓脂肪は糖尿病、高血圧、高脂血症等の生活習慣病を引き起こす原因と考えられていることから、ゴミシの内臓脂肪組織における脂肪細胞の肥大化、及び/又は蓄積の抑制は生活習慣病の予防につながると考えられる。
【0098】
試験例7:チョウセンゴミシ水抽出エキスのdb/dbマウス血中トリグリセリドに対する作用
(1)実験方法
db/dbマウス(雄、14週齢、日本クレア株式会社)を対照群(n=6)及びゴミシエキス群(n=6)に分け、対照群には普通食を、ゴミシエキス群には普通食に加えてチョウセンゴミシ水抽出エキスを10mg/g/day経口投与し、34日間飼育した。3日ごとに体重及び摂取量を測定し、試験終了後、1日絶食させて、上記と同様の方法により、血中中性脂肪(トリグリセリド;TG)値の測定を行った。
【0099】
(2)結果
レプチン受容体を欠損し、II型糖尿病を発症するdb/dbマウスにおいて、ゴミシエキス群の摂取量と、対照群の摂取量との間に差は見られなかった(図9)。一方、血中中性脂肪(TG)値については、図10に示すように、ゴミシエキス群において有意な減少が認められた(p<0.005)。
すなわち、肥満を伴うII型糖尿病モデル動物であるdb/dbマウスにおいても、チョウセンゴミシ水抽出エキスは血中の中性脂肪(トリグリセリド)の上昇を有意に抑制する効果を示しており、高トリグリセリド血症の予防、改善、さらにはCADの発症リスクの低減に有効であることが示された。
【0100】
試験例8:チョウセンゴミシ水抽出エキスの脂質摂取ラットの血中中性脂肪(トリグリセリド)に対する作用
(1)実験方法
Wister系ラット(雄、6週齢、日本クレア株式会社)を対照群(n=6)及びゴミシエキス群(n=6)に分け、対照群にはvehicle(水)を、ゴミシエキス群にはチョウセンゴミシ水抽出エキス(生薬量にして5g/kg)を経口投与し、その後すぐに両群にオリーブ油(5ml/kg)を経口投与し、経時的に血中の中性脂肪(トリグリセリド)濃度を上記と同様の方法により測定した。
【0101】
(2)結果
図11に示すように、ゴミシエキス群では、対照群に比べて血中中性脂肪濃度が有意に減少しており(p<0.01)、オリーブ油経口投与後の血中中性脂肪濃度の上昇も有意に抑制されていた(p<0.001)。
すなわち、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、脂質摂取時の血中中性脂肪(トリグリセリド)濃度の上昇を抑制することが示された。
【0102】
処方例1:液剤の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 1g
(2)異性化糖 10g
(3)マンニトール 5g
(4)精製水 適量
通常の液剤の製造方法に従い、精製水に各成分を加えて溶解させ、レモン香を適量加えてから上記成分(1)〜(4)を混合後、精製水を加えて全体体積が100mlとなるように調節してから、褐色瓶に充填し、滅菌して液剤を製造する。
【0103】
処方例2:散剤の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 10mg
(2)ラクトース 100mg
(3)タルク 10mg
上記成分(1)〜(3)を混合し、気密包材に充填して散剤を製造する。
【0104】
処方例3:錠剤の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 5mg
(2)コーンスターチ 30mg
(3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 20mg
(4)微結晶セルロース 30mg
(5)ポリビニルピロリドン 10mg
(6)タルク 5mg
上記成分(1)〜(6)を混合後、通常の錠剤製造方法に従い、打錠して錠剤を製造する。
【0105】
処方例4:カプセル剤の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 10mg
(2)コーンスターチ 100mg
(3)ラクトース 100mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 2mg
通常のカプセル剤の製造方法に従い、上記成分(1)〜(4)を混合し、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0106】
処方例5:タブレット状の機能性食品の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 60mg
(2)ラクトース 55mg
(3)コーンスターチ 100mg
(4)微結晶セルロース 30mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 5mg
1タブレット 250mg
上記成分(1)〜(4)を、適宜、水をバインダーとして加熱・造粒しながら添加し、(5)を加え、混合物を得る。その後、1粒あたり250mgになるよう打錠し、タブレット状の機能性食品を得る。
【0107】
処方例6:ハードカプセル状の機能性食品の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 60mg
(2)ラクトース 60mg
(3)微結晶セルロース 70mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 10mg
1カプセル 200mg
上記成分(1)〜(3)、及び(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をプルラン、植物油、カラギーナン、塩化カリウムからなるハードゼラチンカプセルに封入し、ハードカプセル状の機能性食品を得る。
【0108】
処方例7:ソフトカプセル状の機能性食品の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 60mg
(2)中鎖脂肪酸トリグリセリド 320mg
(3)カルナウバロウ 20mg
1カプセル 400mg
上記成分(1)〜(3)を混和した後、全体をカラギーナン、デンプン、グリセリンを主成分とするソフトゼラチンカプセルに封入し、ソフトカプセル状の機能性食品を得る。
【0109】
処方例8: 顆粒状の機能性食品の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 50mg
(2)デキストリン 450mg
(3)水 適量
1スティック 500mg
1kgの(1)に、9kgの(2)を添加し、(3)をバインダーとして流動層造粒機を用いて、均等に混和・加熱・造粒を行い、造粒物10kgを得る。この造粒物を、スティック充填機にて、1スティック500mgとなるように充填し、顆粒状の機能性食品を得る。
【0110】
処方例9:粉末状の機能性食品の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 50mg
(2)デキストリン 450mg
(3)水 適量
1スティック 500mg
1kgの(1)に、9kgの(2)を添加し、(3)をバインダーとして流動層造粒機を用いて、均等に混和・加熱・造粒を行い、造粒物10kgを得る。この造粒物を、18号篩を全量通過するまで粉砕し、スティック充填機にて、1スティック500mgとなるように充填し、粉末状の機能性食品を得る。
【0111】
処方例10:液状の機能性食品の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 6g
(2)ブドウ糖 700g
(3)精製水 5.3kg
上記成分(1)〜(3)、及び香料5gを混和し、加熱殺菌後、1本60mlの密封容器に無菌的に充填し、液状の機能性食品を得る。
【0112】
処方例11:ゲル状の機能性食品の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 60g
(2)κカラギーナン 1kg
(3)ブドウ糖果糖液糖 17kg
(4)クエン酸 0.36kg
(5)クエン酸ナトリウム 0.24kg
(6)精製水 82kg
上記成分(1)〜(6)を混合した後、80℃に加温し、密封容器に充填する。ついで定法に従って加熱殺菌した後、冷却し、ゲル状の機能性食品を得る。
【0113】
処方例12:飲料の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 1g
(2)ステビア 0.2g
(3)リンゴ酸 3g
(4)香料 0.1g
(5)精製水 45.7g
上記成分(1)〜(4)を成分(5)の一部に攪拌溶解する。次いで、成分(5)の残りを加えて混合し、90℃に加熱して50mLのガラス瓶に充填する。
【0114】
処方例13:菓子(クッキー)の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 10mg
(2)薄力粉 32.0g
(3)全卵 16.0g
(4)バター 16.0g
(5)砂糖 25.0g
(6)水 10.7g
(7)ベーキングパウダー 0.29g
上記成分(1)〜(7)を用いて、常法に従い、クッキーを製造する。
【産業上の利用可能性】
【0115】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する本発明の医薬組成物、又は食品組成物は、優れた体重増加抑制効果、及び体脂肪蓄積抑制効果を示し、副作用等の恐れも少なく、安全に長期間投与、又は摂食することができることから、肥満の予防、改善、又は治療用途に有用である。本発明の医薬組成物、又は食品組成物は、痩身用途、並びに肥満により誘発される各種メタボリックシンドロームの予防、改善、又は治療用途にも有用となり得る。
【0116】
また、本発明の医薬組成物又は食品組成物は、肥満や体脂肪の蓄積と関係なく生ずる血中の中性脂肪(トリグリセリド)上昇に対し、該トリグリセリドを良好に低下させる効果を有し、高トリグリセリド血症の予防、改善、又は治療用途に有用であり、ひいては冠動脈疾患(CAD)の発症リスクを良好に低減することができる。さらに、本発明の医薬組成物又は食品組成物は、脂質摂取に伴う血中トリグリセリドに対しても、良好な低下作用を有する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬用植物から収得した抗肥満活性及び血中トリグリセリド低下作用を有する抽出物に関する。より詳しくは、伝統的に東洋で用いられてきた薬用植物であるチョウセンゴミシからの水抽出エキスを有効成分として含有する、肥満又は高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療のための医薬組成物、或いは抗肥満作用又は血中トリグリセリド低下作用を有する食品組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、体内において、過剰エネルギーが脂肪に変換されて脂肪組織に過多蓄積されることによって体脂肪が異常に多くなる代謝異常により誘発される疾病である。肥満の発生原因には、主として遺伝的原因と環境的原因(食生活、運動不足等)が挙げられ、これら以外に、神経内分泌的原因、薬物原因等による肥満も知られている。
【0003】
近年、高脂肪食を中心とした食生活、運動不足等による体重増加、その結果としての肥満が、糖尿病、高血圧症、高脂血症等の生活習慣病の発症リスクとなることから、社会的に大きな問題となっており、体重増加を抑制することが生活習慣病の発生率を抑える上で重要だと考えられている。また、容姿、美容の観点からも、肥満は好ましくないとする風潮があり、これは時として拒食症や過食症を引き起こし、医療が必要となる場合が生じることも多い。
【0004】
体重増加を抑制するためには、食事内容を改善したり、十分な運動をする等、生活習慣を改善することが重要であることは広く認識されているものの、生活習慣を変えることは実際上容易ではなく、また、それだけでは賄いきれないことも少なくない。そこで、肥満や体重増加を抑制する薬剤や食品に対する強い要望がある。
【0005】
肥満を治療するための標的としては、食欲調節、脂肪代謝調節、脂肪細胞分化調節、脂肪吸収調節、及びエネルギー代謝調節等が挙げられ、活発に研究が行われている。現在までに承認されている抗肥満薬としては、カテコールアミン・セロトニン再取り込み阻害剤であるシブトラミン(sibutramine)、脂質代謝に関与する膵リパーゼの阻害薬であるオルリスタット(orlistat)、カンナビノイド(CB1)受容体阻害剤であるリモナバント(rimonabant)等が知られている。
【0006】
しかし、シブトラミンには、血圧上昇、不眠症、口腔乾燥、目眩等の副作用が報告されており、オルリスタットには、下痢、脂肪便、大便失禁等の副作用が知られ、またリモナバントには、情動面(うつ状態)での副作用が知られることから、上記抗肥満薬を用いる薬物療法は、重度の肥満症の患者に限られている。
【0007】
一方、民間療法や伝統医学(例えば、漢方医学)で古くから用いられてきた植物抽出エキスは、副作用等の恐れが少なく、長期間、安全に服用、又は摂取可能であるという長所を有している。このため、医薬品や機能性食品として使用し得る抗肥満効果を示す植物由来の医薬、又は食品素材の探索研究が国内外において盛んに行われている。
【0008】
チョウセンゴミシ(北五味子:Schisandra chinensis)は、マツブサ科(Schisandraceae)マツブサ属の植物で、その成熟果実を乾燥したものを五味子という。漢方ではその水又はアルコール抽出エキスは、鎮咳、精力減退、滋養強壮、肝臓障害、神経衰弱の治療用途に用いられてきた(非特許文献1及び2)。しかし、五味子抽出エキスが、肥満の予防、改善、又は治療の用途に有用であるか否かについての報告例は皆無であった。
【0009】
また、近年、血中の中性脂肪(トリグリセリド)濃度と肥満とが必ずしも相関しないことが明らかとなってきた。L. Nanniらは、家族性高脂血症の群では、対照群とBMI(Body Mass Index)値が同等であっても、その2倍程度の血中トリグリセリド値を示したことを報告しており(非特許文献3)、M. Millerらは、血中トリグリセリド値が150mg/dL以上の被験者の約80%が前肥満(BMI値が25kg/m2以上〜30kg/m2未満)および肥満(BMI値が30kg/m2以上)であったが、20.1%の被験者はBMI値が25kg/m2未満であったことを報告している(非特許文献4)。さらに、H. Nakaraiらは、日本人被験者162名を対象とした調査において、中程度のBMI(21.5kg/m2〜27.0kg/m2)値を有する被験者では、血中トリグリセリド値と腹囲およびBMI値との間に相関は見られなかったと報告している(非特許文献5)。
すなわち、肥満症と血中トリグリセリド濃度とは必ずしも相関せず、低体重でありながら、血中のトリグリセリド濃度が高い場合も存在することが示される。血中のトリグリセリド濃度が高いことは、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患(coronary artery disease;CAD)の重要なバイオマーカーであることが示されている(非特許文献4)。
従って、血中のトリグリセリドを直接的に低下させ得る薬剤が、CAD予防の観点からも望まれる。
【0010】
しかしながら、現在血中トリグリセリド降下薬としては、主としてクロフィブラート、クリノフィブラート等のフィブラート系薬、及びニコチン酸トコフェロール、ニコモール等のニコチン酸系薬が用いられているに過ぎない。フィブラート系薬については、横紋筋融解症という重篤な副作用が報告され、特にスタチン系の高コレステロール血症治療薬を併用した場合に、その危険性が高まることが報告されている(非特許文献6)。一方、ニコチン酸系薬については、顔面潮紅、熱感、下痢、便秘等の消化器症状等、QOL低下に結びつく副作用が報告され、かかる副作用を生ずることなく、血中トリグリセリドを良好に低下させ得る薬剤はあまり知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】北川勲他,生薬学,第3版,廣川書店,p.256-257
【非特許文献2】山形県衛生研究所編,衛研ニュース,No.134,2004.10.10,p.4
【非特許文献3】L. Nanni et al.; Atherosclerosis 213 206-211 (2010)
【非特許文献4】M. Miller et al.; Circulation 123 2292-2333 (2011)
【非特許文献5】H. Nkarai et al.; Metabolism Clinical and Experimental 60 823-829 (2011)
【非特許文献6】前田ら;日病薬誌 39 (8) 991-994 (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、優れた体重増加抑制作用、体脂肪蓄積抑制作用等の抗肥満作用を有し、安全で、長期間にわたり服用、又は摂取しても副作用等の心配の少ない植物抽出エキスを含有する医薬、又は食品を提供することを目的とする。
さらにまた本発明は、特に血中のトリグリセリドを良好に低下させ得る医薬又は食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、古くから漢方、又は民間療法において用いられてきたチョウセンゴミシの成熟果実を乾燥させた生薬「五味子」から容易に得られる水抽出エキスが、優れた体重増加抑制作用、及び体脂肪蓄積抑制作用を有し、肥満の予防、改善、及び/又は治療に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する抗肥満剤、すなわち、抗肥満用医薬組成物、又はチョウセンゴミシ水抽出エキスからなる抗肥満剤を含有する食品組成物に関する。
また、本発明は、チョウセンゴミシ水抽出エキスを使用する、肥満の予防、改善、及び/又は治療方法にも関する。
さらに、本発明は、肥満の予防、改善、及び/又は治療用の組成物を製造するための、チョウセンゴミシ水抽出エキスの使用方法にも関する。
【0014】
さらにまた、本発明者らは、上記チョウセンゴミシ水抽出エキスが特に血中の中性脂肪(トリグリセリド)を良好に低下させ得ることを見出した。すなわち本発明は、血中トリグリセリド降下剤、及び血中のトリグリセリドを低下させ得る食品組成物に関する。また、チョウセンゴミシ水抽出エキスを使用する、高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療方法にも関する。
さらに、本発明は、高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療用の組成物を製造するための、チョウセンゴミシ水抽出エキスの使用方法にも関する。
【0015】
すなわち、本発明は、
[1]チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する抗肥満剤、
[2]チョウセンゴミシ水抽出エキスからなる上記[1]に記載の抗肥満剤、
[3]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、60℃〜100℃で0.5〜8時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[1]又は[2]に記載の抗肥満剤、
[4]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、80℃〜100℃で1〜4時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[3]に記載の抗肥満剤、
[5]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、100℃で1時間煮沸抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[4]に記載の抗肥満剤、
[6]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、室温で8〜12時間冷浸し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[1]又は[2]に記載の抗肥満剤、
[7]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、前記水溶液を乾燥して得られる粉末である、上記[3]〜[6]のいずれか一つに記載の抗肥満剤、
[8]上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の抗肥満剤からなる体重増加抑制剤、
[9]体重増加が、肥満に至る前の体重増加である、上記[8]に記載の体重増加抑制剤、
[10]体重増加が、肥満患者の体重増加である、上記[8]に記載の体重増加抑制剤、
[11]チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が、体重増加を抑制する有効量である、上記[8]〜[10]のいずれか一つに記載の体重増加抑制剤、
[12]有効量が、乾燥重量として0.1mg〜2000mg/kg体重/日である、上記[11]に記載の体重増加抑制剤、
[13]上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の抗肥満剤からなる体脂肪増加抑制剤、
[14]体脂肪増加が、中性脂肪増加である、上記[13]に記載の体脂肪増加抑制剤、
[15]チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する血中トリグリセリド降下剤、
[16]チョウセンゴミシ水抽出エキスからなる上記[15]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[17]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、60℃〜100℃で0.5〜8時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[15]又は[16]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[18]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、80℃〜100℃で1〜4時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[17]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[19]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、100℃で1時間煮沸抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[18]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[20]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、室温で8〜12時間冷浸し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、上記[15]又は[16]に記載の血中トリグリセリド降下剤、
[21]チョウセンゴミシ水抽出エキスが、前記水溶液を乾燥して得られる粉末である、上記[17]〜[20]のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤、及び
[22]上記[15]〜[21]のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤を含有する、高トリグリセリド血症治療剤、
に関する。
【0016】
また、本発明は、動物、特に、哺乳動物に対し、体重増加、及び体脂肪蓄積を抑制する有効量のチョウセンゴミシ水抽出エキスを摂取させ、あるいは投与することを特徴とする肥満の予防、改善、及び/又は治療方法;並びに体重増加抑制剤、体脂肪蓄積抑制剤、肥満の予防及び治療剤、抗肥満作用を有する食品組成物、ペットフード、飼料、或いは餌料(以下、食品組成物等ともいう)、及び抗肥満作用を有する食品組成物等の製造のための、チョウセンゴミシ水抽出エキスの使用方法も提供する。
【0017】
またさらに本発明は、動物、特に、哺乳動物に対し、血中のトリグリセリドを低下させる有効量のチョウセンゴミシ水抽出エキスを摂取させ、あるいは投与することを特徴とする高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療方法;並びに高トリグリセリド血症の予防及び治療剤、血中トリグリセリド低下作用を有する食品組成物等、及び該食品組成物等の製造のための、チョウセンゴミシ水抽出エキスの使用方法をも提供する。
【発明の効果】
【0018】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する本発明の体重増加抑制作用、体脂肪蓄積抑制作用等を有する抗肥満剤、又は抗肥満作用を有する食品組成物等は、肥満の予防、改善、及び/又は治療用途に使用することができる。また、チョウセンゴミシが食経験のある植物由来成分であるため、副作用が少なく、長期間にわたり安全に服用、又は摂取することが可能である。
【0019】
また、本発明の好ましい態様によれば、例えば、嗜好性や摂食量に影響を与えることなく体重増加、及び体脂肪蓄積を抑制することにより、肥満の予防、改善、及び/又は治療等を無理なく行うことができる。
【0020】
さらに、本発明の抗肥満用組成物は、健康維持に必要な栄養成分の吸収を阻害することなく、安全に体重増加、及び体脂肪蓄積を抑制することにより、肥満の予防、改善、及び/又は治療を行うことが期待できる。
【0021】
さらにまた、本発明の血中トリグリセリド降下剤は、肥満や体脂肪の蓄積とは関係なく血中のトリグリセリドが上昇するような状態においても、血中トリグリセリドを良好に低下させることができる。従って、本発明の血中トリグリセリド降下剤を含有する高トリグリセリド血症治療剤は、高トリグリセリド血症を良好に予防、改善、及び/又は治療することができ、特にCADの発症リスクを有効に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】チョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を投与したラットの体重変化を示すグラフである。
【図2】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食についてのラットによる摂食量の比較を示すグラフである。
【図3】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットに対する経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果を示すグラフである。
【図4】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットの総コレステロール量の比較を示すグラフである。
【図5】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットの血漿中の中性脂肪量(TG量)の比較を示すグラフである。
【図6】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットの内臓脂肪の組織重量の比較を示すグラフである。
【図7】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食したラットの血中レプチン量の比較を示すグラフである。
【図8】普通食、高脂肪食、又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食を10週間摂食後、解剖したラットの脂肪組織をヘマトキシリン染色した顕微鏡写真である。
【図9】普通食又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合食を投与したdb/dbマウスの摂取量の変化を示すグラフである。
【図10】普通食又はチョウセンゴミシ水抽出エキス配合食を投与したdb/dbマウスにおける血中トリグリセリド(TG)値を示すグラフである。
【図11】チョウセンゴミシ水抽出エキスを投与したラットと対照群のラットにおいて、オリーブ油を経口投与した後の血中中性脂肪(トリグリセリド)濃度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0024】
1.チョウセンゴミシ水抽出エキス
本発明で使用する「チョウセンゴミシ」とは、マツブサ科マツブサ属の植物であり、チョウセンゴミシ水抽出エキスとしては、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものである生薬「五味子」(本発明においては、市販の日局「五味子」)を使用することが好ましい。また、マツブサ科(Scisandraceae)サネカズラ属の植物である「南五味子(Kadsura japonica)」もチョウセンゴミシと同様に使用することができる。
【0025】
抽出に際しては、例えば、五味子に対し、1〜50倍量(好ましくは2〜20倍量、より好ましくは5〜15倍量、特に好ましくは10倍量)の水を使用し、60〜100℃、(好ましくは80〜100℃、より好ましくは90〜100℃、特に好ましくは100℃)にて、0.5〜8時間(好ましくは1〜4時間、より好ましくは1〜2時間、特に好ましくは1時間)抽出し(温浸法)、濾過により生薬を除去し、1/2〜1/20量(好ましくは1/5〜1/10量、より好ましくは1/10量)まで濃縮した水溶液をそのまま使用することができる。また、五味子に対し、1〜50倍量(好ましくは2〜20倍量、より好ましくは5〜15倍量、特に好ましくは10倍量)の水を使用し、冷浸法(室温下、8〜12時間抽出)により得られるエキスも、上記温浸法により得られるエキスと同様の効果が得られる。さらに、上記温浸法、又は冷浸法により得られる水溶液を濃縮乾燥、噴霧乾燥(スプレードライヤーによる粉末化)、又は凍結乾燥して粉末状にしたものを使用することもできる。
【0026】
本明細書において、「室温」とは、実験室内の大気の通常温度(65〜80°F(18.3〜26.7℃))を意味する。
【0027】
2.チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する製剤及び食品組成物
チョウセンゴミシ水抽出エキスは、体重増加抑制活性、体脂肪蓄積抑制活性及び血中トリグリセリド低下作用を有しているので、該エキスは、動物に対し、例えば、肥満又は高トリグリセリド血症の予防、改善、及び/又は治療剤、或いは痩身剤(以下、「本発明の製剤」と略称することがある。)として、並びに、例えば、体重増加抑制作用、体脂肪蓄積抑制作用、肥満改善作用及び血中トリグリセリド低下作用を有する食品組成物等(以下、「本発明の食品組成物」と略称することがある。)として用いることができる。
【0028】
本発明の製剤、又は食品組成物の投与、又は摂取の好ましい方法としては、食事の時、又は食後の投与、又は摂取が特に好ましいが、定時的な投与、又は摂取形態でも構わない。本発明の食品組成物の場合は、投与、又は摂取方法には特に限定はない。
【0029】
適用対象の動物としては、ヒト、イヌ、ネコ、インコ、キュウカンチョウ、オウム、モルモット、ラット、マウス、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、サル、ウサギ、カエル、サンショウウオ、キンギョ、コイ、フナ等の脊椎動物であるのが好ましく、哺乳動物であるのがより好ましく、ヒトであるのが特に好ましい。適用対象の動物は、体重増加若しくは体脂肪蓄積を回避したい、すなわち、肥満の予防、改善、若しくは治療を行いたい動物であればよく、遺伝的に体重増加のリスクを有している動物であってもよいし、糖尿病、高血圧症、及び/又は高脂血症等の生活習慣病を患っている動物であってもよい。
また、特に高トリグリセリド血症を有し、又は高トリグリセリド血症を発症するおそれがあり、CADの予防の望まれる動物に対し、好適に使用することができる。
【0030】
体重増加は、肥満に至るまえの体重増加であってもよいし、肥満患者の体重増加であってもよい。肥満とは、WHOの基準によれば、BMI(ボディー・マス・インデックス:体重(kg)/[身長(m)]2)が30以上と定義されるが、日本人については、BMIが25以上であることを意味する(日本肥満学会の基準による)。本発明でも同義で使用している。
【0031】
チョウセンゴミシ水抽出エキスは、前述のように体脂肪蓄積抑制剤、又は体脂肪蓄積抑制作用を有する食品組成物として用いることができるが、なかでも、中性脂肪量増加抑制剤、又は中性脂肪量増加抑制作用を有する食品組成物として好ましく用いることができ、とりわけ、トリグリセリド量増加抑制剤、又はトリグリセリド量増加抑制作用を有する食品組成物として好適に用いることができる。
【0032】
本発明の製剤、又は食品組成物によって体脂肪の蓄積が抑制される組織又は器官としては、例えば、肝臓、精巣上体周囲脂肪組織、腹腔脂肪組織(腎臓周囲、後腹壁脂肪)、側腹部脂肪組織等、脂肪細胞を多く含む組織又は器官が挙げられる。具体的には、本発明の製剤、又は食品組成物は、前記脂肪組織重量、及び前記脂肪細胞の肥大化を抑制することができる。
【0033】
また、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、血中の総コレステロールの増加を抑制する作用を有する。より具体的には、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、血中の高密度リポタンパク(HDL)コレステロールに影響を与えることなくHDL以外のコレステロールの増加を抑制する作用を有する。したがって、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、コレステロール増加抑制剤、又はコレステロール増加抑制作用を有する食品組成物として好適に用いることができる。
【0034】
さらに、本発明の製剤、又は食品組成物は、肥満により分泌が増加し、血中濃度が上昇するレプチンの分泌量を抑制する作用も有する。
【0035】
また、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、前述のように、肥満や体脂肪の蓄積とは無関係に見られる血中トリグリセリドの上昇に対して、良好な低下作用を有する。従って、チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する本発明の製剤又は食品組成物は、肥満、体脂肪蓄積とは関係なく生ずる高トリグリセリド血症に対して、良好な予防、改善、及び/又は治療効果を有する。その結果、CADの発症リスクを良好に低減することができる。
【0036】
(1)本発明の製剤
チョウセンゴミシ水抽出エキスを上述の製剤として使用する場合には、公知の方法によって実施することができる。具体的には、例えば、以下に記載するとおりに実施することができる。
【0037】
本発明の製剤は、必要に応じて糖衣やコーティングを施した錠剤、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、細粒剤、トローチ剤、液剤(シロップ剤、乳剤、懸濁剤を含む)等として経口的に使用するのが好ましい。
【0038】
本発明の製剤には、本発明の効果を阻害しない限り、薬理学的に許容される担体等を配合することができる。薬理学的に許容される担体等としては、製剤材料として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、増粘剤、乳化剤等が挙げられる。また、必要に応じて、着色剤、甘味剤、抗酸化剤等の製剤添加剤も用いることができる。さらに本発明の製剤をコーティングしてもよい。
【0039】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース(例えば、微結晶セルロース等)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。結合剤としては、例えば、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、マクロゴール、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋ポリビニルピロリドン、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、陽イオン交換樹脂、部分α化でんぷん、トウモロコシデンプン等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ワックス類、コロイドシリカ、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、マクロゴール、エアロジル等が挙げられる。
【0040】
溶剤としては、例えば、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、植物油(例えば、サフラワー油、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、大豆レシチン等)等が挙げられる。
【0041】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0042】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0043】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0044】
増粘剤としては、例えば、天然ガム類、セルロース誘導体等が挙げられる。
【0045】
乳化剤としては、例えば、脂肪酸エステル類(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等)、ワックス(例えば、ミツロウ、菜種水素添加油、サフラワー水素添加油、パーム水素添加油、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、カカオ脂粉末、カルナウバロウ、ライスワックス、モクロウ、パラフィン等)、レシチン(例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン等)等が挙げられる。
【0046】
着色剤としては、例えば、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号及び3号、食用黄色4号及び5号、食用青色1号及び2号等の食用色素)、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩等)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ等)等が挙げられる。
【0047】
甘味剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸及びそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0048】
錠剤、顆粒剤、細粒剤等に関しては、味のマスキング、光安定性の向上、外観の向上あるいは腸溶性等の目的のため、コーティング基材を用いて通常の方法でコーティングしてもよい。このコーティング基剤としては、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基材、腸溶性フィルムコーティング基材等が挙げられる。
【0049】
糖衣基剤としては、例えば、白糖が挙げられ、さらにタルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ等から選ばれる1種又は2種以上を併用してもよい。
【0050】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(オイドラギットE(商品名)、ロームファルマ社)、ポリビニルピロリドン等の合成高分子;プルラン等の多糖類等が挙げられる。
【0051】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース等のセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL(オイドラギットL(商品名)ロームファルマ社)、メタアクリル酸コポリマーLD(オイドラギットL−30D55(商品名)ロームファルマ社)、メタアクリル酸コポリマーS(オイドラギットS(商品名)ロームファルマ社)等のアクリル酸系高分子;セラック等の天然物等が挙げられる。
【0052】
これらのコーティング基剤は、単独で、又は2種以上を適宜の割合で混合してコーティングしてもよく、また2種以上を順次コーティングしてもよい。
【0053】
本発明の製剤中におけるチョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量は、製剤全体に対して通常約0.001〜99質量%、好ましくは、約0.01〜80質量%、より好ましくは、約0.1〜50質量%の任意の範囲である。
【0054】
本発明の製剤で用いられるチョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量は、チョウセンゴミシ水抽出エキスの体重増加もしくは体脂肪蓄積を抑制する有効量の範囲内、または血中トリグリセリドを低下させる有効量の範囲内であればよく、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。例えば、体重増加を抑制する目的で成人に投与する場合、投与対象、投与形態、摂食量等によっても異なるが、チョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量として、一般的に一日につき、体重1kgあたり、乾燥重量として、0.1〜2000mg、好ましくは0.1〜800mg、より好ましくは0.1〜400mg、特に好ましくは1〜100mg、最も好ましくは5〜60mgである。また、高トリグリセリド血症の改善を目的として成人に投与する場合も、投与対象の状態、投与形態、摂食量等により異なるが、チョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量として、一般的に一日につき、体重1kgあたり、乾燥重量として、0.1〜2000mg、好ましくは0.1〜800mg、より好ましくは0.1〜400mg、特に好ましくは1〜100mg、最も好ましくは5〜60mgである。なお、前記の量は、1回で投与してもよいが、数回に分けて投与してもよい。チョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量が少なすぎても効果が発現しないし、多すぎると脂溶性ビタミン等の他の栄養成分の吸収を阻害する恐れがある。また、嗜好性や摂食量に影響をあたえずに効果が発現するという観点からも、上記に例示した各投与量が好ましい。他の動物の場合も、同様の量を投与することができる。
【0055】
本発明の製剤の投与方法としては、特に限定されるものではなく、一般に上記のような経口投与による投与方法が挙げられるが、患者の状態、重症度等に応じて、非経口投与(血管内(静脈内、動脈内)投与、皮下投与、直腸内投与等)を適宜選択してもよい。
【0056】
本発明の製剤は、体脂肪、特に内臓脂肪、の蓄積を抑制することができ、特に、食事直後に血中の中性脂肪量が増加してしまうのを抑制し、経時的に正常値に戻すことができるため、食事により摂取した脂肪の吸収を抑制し、肥満を予防、改善、及び/又は治療することができる。これにより、肥満に伴う各種疾患(例えば、糖尿病、高脂血症、動脈硬化症、脳梗塞、心筋梗塞等のメタボリックシンドローム)を予防、改善、又は治療することができる。
また、血中の中性脂肪(トリグリセリド)に対して、良好な低下作用を有するため、血中の中性脂肪(トリグリセリド)が高い状態を正常な状態とすることができる。従って、高脂血症の予防、改善又は治療効果に優れ、CADの発症リスクを良好に低減することができる。
【0057】
さらに、本発明の製剤で有効成分として用いられるチョウセンゴミシ水抽出エキスは、1種以上の他の抗肥満剤、食欲抑制剤、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、利尿剤等の薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。本明細書においては、「組み合わせて用いる」とは、別々の製剤として投与する形態、及び一つの製剤として合剤にする形態のいずれであってもよい。
【0058】
別々の製剤として組み合わせて使用する際、本発明の製剤で用いられるチョウセンゴミシ水抽出エキス及び併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。
【0059】
(2)本発明の食品組成物
チョウセンゴミシ水抽出エキスを上述の食品組成物として使用する場合には、通常の方法によって実施することができる。具体的には、例えば、以下に記載するとおりに実施することができる。
【0060】
本発明の食品組成物としては、チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、かつ、動物が経口的に摂取しうるものであればよく、食品組成物の種類、形状等に特に制限はない。食品組成物としては、例えば、ドロップ、キャンディー、ラムネ、グミ、チューインガム等の菓子類;クッキー、クラッカー、ビスケット、ポテトチップス、ケーキ、チョコレート、ドーナツ、プリン、ゼリー等の洋菓子;煎餅、羊羹、大福、おはぎ、饅頭、カステラ等の和菓子;アイスクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、ジェラート等の冷菓;食パン、フランスパン、クロワッサン等のパン類;うどん、そば、中華めん、きしめん等の麺類;かまぼこ、ちくわ、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品;ハム、ソーセージ、ハンバーグ、コーンビーフ等の畜肉製品;塩、胡椒、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、甘味料(例えば、砂糖、ハチミツ、粉末あめ、水あめ、ジャム、マーマレード等)、辛味料(例えば、からし、コショウ等)等の調味料類;明石焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、お好み焼き、焼きそば、焼きうどん等の鉄板焼き食品;チーズ、バター、マーガリン、ヨーグルト等の乳製品;納豆、厚揚げ、豆腐、こんにゃく、団子、漬物、佃煮、餃子、シューマイ、コロッケ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、サラダ等の各種総菜;ビーフ、ポーク、チキン等の畜産物;海老、帆立、蜆、昆布等の水産物;野菜・果実類、植物、酵母、藻類等を粉末にした各種粉末;油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したもの;飲料等が挙げられる。
【0061】
飲料としては、スープ、味噌汁等の飲食品;インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ、インスタント味噌汁等の粉末飲食品;ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、発泡酒、酎ハイ等のアルコール飲料;果汁(例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、ウメの果汁等)入り飲料、野菜汁(例えば、トマト、ニンジン、セロリ、キュウリ、スイカの野菜汁等)入り飲料、果汁及び野菜汁入り飲料、清涼飲料水、牛乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、コーヒー、ココア、茶飲料(紅茶、緑茶、麦茶、玄米茶、煎茶、玉露茶、ほうじ茶、ウーロン茶、ウコン茶、プーアル茶、ルイボスティー茶、ローズ茶、キク茶、ハーブ茶(例えば、ミント茶、ジャスミン茶)等)、栄養ドリンク、スポーツ飲料、ミネラルウォーター等の非アルコール飲料等が挙げられる。
【0062】
このような食品組成物として好ましい例としては、例えば、ゼリー、茶飲料、アルコール飲料ドロップ、キャンディ、ラムネ、クッキー、クラッカー、ビスケット、チョコレート、チーズ、バター、マーガリン、チューインガム等が挙げられる。
【0063】
また、本発明の食品組成物は、機能性食品、健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品等の保健機能食品、特別用途食品(例えば、病者用食品)、健康補助食品、サプリメント等として調製されてもよく、特定保健用食品、特別用途食品、健康補助食品又はサプリメントとして調製されるのが好ましい。
【0064】
このような本発明の食品組成物の形状としては、例えば、タブレット状、丸状、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状(シロップ状、乳状、懸濁状を含む)等が挙げられ、タブレット状、カプセル状であるのが好ましい。
【0065】
本発明の食品組成物としては、特にタブレット状、又はカプセル状の特定保健用食品、特別用途食品、健康補助食品又はサプリメントであるのが好ましい。
【0066】
本明細書において、サプリメントとは、栄養素等を補うための栄養補助食品等を意味するだけではなく、健康の保持、回復、増進等のために役立つ機能(例えば、体重増加抑制、体脂肪蓄積抑制等の抗肥満作用、又は痩身作用)等を有する健康機能食品等をも意味する。
【0067】
本発明の食品組成物は、例えば、公知の方法によって食品中にチョウセンゴミシ水抽出エキスを添加することによって製造することができる。具体的には、例えば、タブレット状の食品組成物は、例えば、チョウセンゴミシ水抽出エキス、及び、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、マンニトール等)、甘味剤、着香剤等の原料を添加、混合し、打錠機等で圧力をかけてタブレット状に成形することにより製造することができる。必要に応じて、その他の材料(例えば、ビタミンC等のビタミン類、鉄等ミネラル類、食物繊維等)を添加することもできる。カプセル状の食品組成物は、例えば、チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する液状、懸濁状、のり状、粉末状、又は顆粒状の食品組成物をカプセルに充填するか、又はカプセル基剤で被包成形して製造することができる。
【0068】
本発明の食品組成物には、本発明の効果を阻害しない限り、通常用いられる食品素材、食品添加物、各種の栄養素、ビタミン類、風味物質(例えば、チーズやチョコレート等)等に加え、生理学的に許容される担体等を配合することができる。生理学的に許容される担体等としては、慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤、増粘剤、乳化剤等が挙げられる。また食品添加物としては、着色剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤、着香剤等が挙げられる。さらに、その他の材料、例えば、鉄等のミネラル類、ペクチン、カラギーナン、マンナン等の食物繊維等を含有していてもよい。
【0069】
賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、増粘剤、着色剤、甘味剤、防腐剤、抗酸化剤としては、それぞれ前記した本発明の製剤に用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0070】
ビタミン類としては、水溶性であっても脂溶性であってもよく、例えばパルミチン酸レチノール、トコフェロール、ビスベンチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、アスコルビン酸ナトリウム、コレカルシフェロール、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、葉酸、ビオチン、重酒石酸コリン等が挙げられる。
【0071】
タブレット状、顆粒状、細粒状の食品組成物等に関しては、味のマスキング、光安定性の向上、外観の向上あるいは腸溶性等の目的のため、コーティング基材を用いて自体公知の方法でコーティングしてもよい。そのコーティング基材としては、前記した本発明の製剤に用いられるものと同様のものが挙げられ、同様にして実施することができる。
【0072】
本発明の食品組成物中におけるチョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量は、食品組成物全体に対して通常約0.1〜20質量%、好ましくは、約0.5〜10質量%、より好ましくは、約1〜5質量%である。チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が少なすぎても効果が発現しないし、多すぎると脂溶性ビタミン等の他の栄養成分の吸収を阻害する恐れがある。
【0073】
また、食品組成物が脂肪を含有する場合には、本発明の食品組成物中の脂肪に対するチョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量は、通常1〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%という範囲である。チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が少なすぎても効果が発現しないし、多すぎると脂溶性ビタミン等の他の栄養成分の吸収を阻害する恐れがある。
【0074】
このようにして得られる食品組成物は、安全であるので、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、特に好ましくはヒトに対して継続的に与えることができる。
【0075】
本発明の食品組成物の摂取量は、チョウセンゴミシ水抽出エキスの体重増加、及び体脂肪蓄積を抑制する有効量の範囲内、又は血中トリグリセリドを低下させる有効量の範囲内であればよい。例えば、本発明の食品組成物を体重増加抑制目的で成人に摂取させる場合、摂取させる対象、摂取形態、摂食量等によっても異なるが、チョウセンゴミシ水抽出エキスの摂取量として、一般的に一日につき、体重1kgあたり、乾燥重量として、0.1〜800mg、好ましくは0.1〜400mg、より好ましくは1〜400mg、特に好ましくは40〜400mgである。また、血中トリグリセリドの上昇抑制、高トリグリセリド血症の改善を目的として成人に摂取させる場合も、摂取させる対象の状態、摂取形態、摂食量等により異なるが、チョウセンゴミシ水抽出エキスの摂取量として、一般的に一日につき、体重1kgあたり、乾燥重量として、0.1〜800mg、好ましくは0.1〜400mg、より好ましくは1〜400mg、特に好ましくは40〜400mgである。なお、前記の量は1回で摂取させてもよいが、数回に分けて摂取させてもよい。チョウセンゴミシ水抽出エキスの投与量が少なすぎても効果が発現しないし、多すぎると脂溶性ビタミン等の他の栄養成分の吸収を阻害する恐れがある。また、嗜好性や摂食量に影響をあたえずに効果が発現するという観点からも、上記の各摂取量が好ましい。他の動物の場合も、同様の量を摂取することができる。
【0076】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを健康補助食品、特定保健用食品等の保健機能食品、病者用食品等の特別用途食品に添加する場合には、チョウセンゴミシ水抽出エキスの1回あたりの摂取量を、1食摂取量単位で包装または充填された形態の飲料又は食品中に含むことが好ましい。ここで、「1食摂取量単位で包装または充填された形態の飲料又は食品」とは、1回に摂取するべき量の飲料又は食品が、1個の袋や箱、ビン等の容器に包装または充填されていることをいう。
【0077】
さらに、本発明の食品組成物は、それのみで使用してもよいが、その他の抗肥満効果又は血中トリグリセリド低下作用を有する医薬組成物、食品組成物、又は飼料と組み合わせて用いてもよい。組み合わせて用いることによって、体重増加抑制効果、体脂肪蓄積抑制効果等の抗肥満効果、痩身効果又は高トリグリセリド血症の予防、改善効果をより高めることができる。
【0078】
また本発明の食品組成物には、健康食品、機能性食品、健康補助食品、特定保健用食品等の保健機能食品、疾病リスク低減表示を付した食品、又は特別用途食品(例えば、病者用食品)のような分類のものも包含される。疾病リスク低減表示としては、例えば肥満を治療、改善、抑制、及び/又は予防するためのものである旨の表示、或いは高トリグリセリド血症を改善及び/又は予防するためのものである旨の表示が挙げられる。従って、本発明の組成物は、例えば、チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有する肥満を改善、及び/又は予防するためのもの、或いは痩身のためのもの、又は高トリグリセリド血症を改善及び/又は予防するためのものである旨の表示を付した飲食品である。
【0079】
ここでこれら食品組成物に付される機能表示は、製品の本体、容器、包装、説明書、添付文書、又は宣伝物のいずれかにされてなることができる。
【実施例】
【0080】
以下の実施例、試験例、及び処方例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0081】
実施例1:チョウセンゴミシ水抽出エキスの調製(温浸法)
五味子に10倍量の水を加え、100℃にて1時間煮沸抽出し、濾過により生薬残渣を除去し、得られた水溶液をチョウセンゴミシ水抽出エキスとして使用した。
【0082】
実施例2:チョウセンゴミシ水抽出エキスの調製(冷浸法)
五味子に10倍量の水を加え、室温にて一晩(8〜12時間)抽出し、濾過により生薬残渣を除去し、得られた水溶液をチョウセンゴミシ水抽出エキスとして使用した。
【0083】
実施例3:チョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末)の調製
実施例1又は2で得られたチョウセンゴミシ水抽出エキスを減圧濃縮により乾燥するか、凍結乾燥するか、又はスプレードライヤーにより噴霧乾燥して粉末状にしたものを使用した。
【0084】
試験例1:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの体重増加に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を3日間普通食(MF:オリエンタル酵母工業株式会社)で予備飼育した後、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。チョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食(以下、「ゴミシ配合高脂肪食」、又は「ゴミシ+高脂肪食」と略称することもある。)群は、高脂肪食1gあたり実施例1で調製したチョウセンゴミシ水抽出エキス0.05ml(五味子0.1g相当)含む飼料を自由摂食させた。動物は、全て温度23±2℃、湿度50±10%、明暗周期12時間(明期8時から20時)で飼育した。
【0085】
【表1】
【0086】
普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、10週目までの摂食量を毎日測定し、2週間毎に体重を測定した。
【0087】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群は、対照群と比較して体重増加が抑制されることが示された(図1)。なお、通常の食品カロリー表により換算したエネルギー摂取量(摂食量)は、高脂肪食群、及びゴミシ配合高脂肪食群のいずれの群においても有意差はみられなかった(図2)。
【0088】
試験例2:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合高脂肪食摂食ラットに対する経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。一晩絶食させた後、普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、OGTTにより耐糖能を測定した。糖負荷量は、1g/kgとした。血糖値の測定は糖負荷時を0分として糖負荷直前、30分後、60分後、90分後、120分後に尾静脈より採血を行い、血糖値測定器(Glucose Pilot:Awenitir Biotech,Carlsbad,CA,USA)にて血糖値を測定した。
【0089】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群は、対照群と比較して90分後の血中グルコース濃度が有意かつ顕著に低下することが示された(図3)。このことからチョウセンゴミシ水抽出エキスの配合により、耐糖能が向上することが分かった。
【0090】
試験例3:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの血中脂質量に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、10週経過後のラットから血液を採取し、血中の総コレステロール量、及び中性脂肪(トリグリセリド(TG))量をそれぞれ測定した。総コレステロール量の測定は、測定キット(コレステロールE−テストワコー、和光純薬工業株式会社)により行い、TG量の測定は、測定キット(トリグリセライドE−テストワコー、和光純薬工業株式会社)により行った。
【0091】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群は、対照群と比較して、血中の総コレステロール量(図4)、特に、TG量(図5)が有意に低下することが明らかとなった。
【0092】
試験例4:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの内臓脂肪量に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、10週経過後屠殺し、組織重量(肝臓、腎臓、精巣上体周囲脂肪組織)の測定を行った。
【0093】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群の10週経過後の内臓脂肪の組織重量は、対照群と比較して有意に少なく、高脂肪食を摂食したにも拘らず、普通食群とほぼ同様の重量となることが示された(図6)。
【0094】
試験例5:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの血中レプチン量に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間
、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育した。普通食群(6匹/群)、高脂肪食群(対照群)(6匹/群)、及びゴミシ配合高脂肪食群(6匹/群)について、10週経過後のラットから血液を採取し、血中のレプチン量を測定した。測定はキット(レプチン測定キット、森永生科学研究所)により行った。
【0095】
(2)結果
ゴミシ配合高脂肪食群の10週経過後の血中レプチン量は、対照群と比較して有意に少なく、高脂肪食を摂食したにも拘らず、普通食群とほぼ同様の血中量となることが示された(図7)。レプチンは脂肪組織から分泌されるアディポサイトカインであり、肥満により分泌量が増加することが知られているが、ゴミシ配合高脂肪食群において分泌量が低下したことから、ゴミシはレプチン分泌を抑制する作用を有することが示された。
【0096】
試験例6:チョウセンゴミシ水抽出エキス配合によるラットの脂肪組織の肥大化に対する作用
(1)実験方法
ラット(雄、5週齢、BrlHan:WIST@Jcl (GALAS)、日本クレア株式会社)を、10週間、群ごとに表1に示す配合組成の飼料、及び水を自由に摂食させて飼育し、10週経過後屠殺、解剖後、精巣上体周囲脂肪組織(内臓脂肪)を採取し、2日間10%ホルムアルデヒドに浸した。パラフィン包理後、薄切化し、スライドガラスに張り付けた。スライドガラスに張り付けたパラフィン切片をキシレン、エタノールで脱パラフィン後、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行った。封入剤にて組織切片を覆い、ZEISS AXIOSCOPE(ZEISS社製)にて100倍下で観察した。
【0097】
(2)結果
高脂肪食摂食群の内臓脂肪組織を形成する脂肪細胞の大きさは図8に示すように、殆どが100μm以上と、肥大化がみられたのに対し、ゴミシ配合高脂肪食群は、普通食群と同様に脂肪細胞の大きさは100μm以下であり、肥大化がみられなかった。従って、ゴミシは何らかの原因で脂肪細胞の肥大化や蓄積を抑制し、その結果、体重増加を抑制させたのではないかと考えられる。内臓脂肪は糖尿病、高血圧、高脂血症等の生活習慣病を引き起こす原因と考えられていることから、ゴミシの内臓脂肪組織における脂肪細胞の肥大化、及び/又は蓄積の抑制は生活習慣病の予防につながると考えられる。
【0098】
試験例7:チョウセンゴミシ水抽出エキスのdb/dbマウス血中トリグリセリドに対する作用
(1)実験方法
db/dbマウス(雄、14週齢、日本クレア株式会社)を対照群(n=6)及びゴミシエキス群(n=6)に分け、対照群には普通食を、ゴミシエキス群には普通食に加えてチョウセンゴミシ水抽出エキスを10mg/g/day経口投与し、34日間飼育した。3日ごとに体重及び摂取量を測定し、試験終了後、1日絶食させて、上記と同様の方法により、血中中性脂肪(トリグリセリド;TG)値の測定を行った。
【0099】
(2)結果
レプチン受容体を欠損し、II型糖尿病を発症するdb/dbマウスにおいて、ゴミシエキス群の摂取量と、対照群の摂取量との間に差は見られなかった(図9)。一方、血中中性脂肪(TG)値については、図10に示すように、ゴミシエキス群において有意な減少が認められた(p<0.005)。
すなわち、肥満を伴うII型糖尿病モデル動物であるdb/dbマウスにおいても、チョウセンゴミシ水抽出エキスは血中の中性脂肪(トリグリセリド)の上昇を有意に抑制する効果を示しており、高トリグリセリド血症の予防、改善、さらにはCADの発症リスクの低減に有効であることが示された。
【0100】
試験例8:チョウセンゴミシ水抽出エキスの脂質摂取ラットの血中中性脂肪(トリグリセリド)に対する作用
(1)実験方法
Wister系ラット(雄、6週齢、日本クレア株式会社)を対照群(n=6)及びゴミシエキス群(n=6)に分け、対照群にはvehicle(水)を、ゴミシエキス群にはチョウセンゴミシ水抽出エキス(生薬量にして5g/kg)を経口投与し、その後すぐに両群にオリーブ油(5ml/kg)を経口投与し、経時的に血中の中性脂肪(トリグリセリド)濃度を上記と同様の方法により測定した。
【0101】
(2)結果
図11に示すように、ゴミシエキス群では、対照群に比べて血中中性脂肪濃度が有意に減少しており(p<0.01)、オリーブ油経口投与後の血中中性脂肪濃度の上昇も有意に抑制されていた(p<0.001)。
すなわち、チョウセンゴミシ水抽出エキスは、脂質摂取時の血中中性脂肪(トリグリセリド)濃度の上昇を抑制することが示された。
【0102】
処方例1:液剤の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 1g
(2)異性化糖 10g
(3)マンニトール 5g
(4)精製水 適量
通常の液剤の製造方法に従い、精製水に各成分を加えて溶解させ、レモン香を適量加えてから上記成分(1)〜(4)を混合後、精製水を加えて全体体積が100mlとなるように調節してから、褐色瓶に充填し、滅菌して液剤を製造する。
【0103】
処方例2:散剤の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 10mg
(2)ラクトース 100mg
(3)タルク 10mg
上記成分(1)〜(3)を混合し、気密包材に充填して散剤を製造する。
【0104】
処方例3:錠剤の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 5mg
(2)コーンスターチ 30mg
(3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 20mg
(4)微結晶セルロース 30mg
(5)ポリビニルピロリドン 10mg
(6)タルク 5mg
上記成分(1)〜(6)を混合後、通常の錠剤製造方法に従い、打錠して錠剤を製造する。
【0105】
処方例4:カプセル剤の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 10mg
(2)コーンスターチ 100mg
(3)ラクトース 100mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 2mg
通常のカプセル剤の製造方法に従い、上記成分(1)〜(4)を混合し、ゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0106】
処方例5:タブレット状の機能性食品の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 60mg
(2)ラクトース 55mg
(3)コーンスターチ 100mg
(4)微結晶セルロース 30mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 5mg
1タブレット 250mg
上記成分(1)〜(4)を、適宜、水をバインダーとして加熱・造粒しながら添加し、(5)を加え、混合物を得る。その後、1粒あたり250mgになるよう打錠し、タブレット状の機能性食品を得る。
【0107】
処方例6:ハードカプセル状の機能性食品の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 60mg
(2)ラクトース 60mg
(3)微結晶セルロース 70mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 10mg
1カプセル 200mg
上記成分(1)〜(3)、及び(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をプルラン、植物油、カラギーナン、塩化カリウムからなるハードゼラチンカプセルに封入し、ハードカプセル状の機能性食品を得る。
【0108】
処方例7:ソフトカプセル状の機能性食品の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 60mg
(2)中鎖脂肪酸トリグリセリド 320mg
(3)カルナウバロウ 20mg
1カプセル 400mg
上記成分(1)〜(3)を混和した後、全体をカラギーナン、デンプン、グリセリンを主成分とするソフトゼラチンカプセルに封入し、ソフトカプセル状の機能性食品を得る。
【0109】
処方例8: 顆粒状の機能性食品の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 50mg
(2)デキストリン 450mg
(3)水 適量
1スティック 500mg
1kgの(1)に、9kgの(2)を添加し、(3)をバインダーとして流動層造粒機を用いて、均等に混和・加熱・造粒を行い、造粒物10kgを得る。この造粒物を、スティック充填機にて、1スティック500mgとなるように充填し、顆粒状の機能性食品を得る。
【0110】
処方例9:粉末状の機能性食品の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 50mg
(2)デキストリン 450mg
(3)水 適量
1スティック 500mg
1kgの(1)に、9kgの(2)を添加し、(3)をバインダーとして流動層造粒機を用いて、均等に混和・加熱・造粒を行い、造粒物10kgを得る。この造粒物を、18号篩を全量通過するまで粉砕し、スティック充填機にて、1スティック500mgとなるように充填し、粉末状の機能性食品を得る。
【0111】
処方例10:液状の機能性食品の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 6g
(2)ブドウ糖 700g
(3)精製水 5.3kg
上記成分(1)〜(3)、及び香料5gを混和し、加熱殺菌後、1本60mlの密封容器に無菌的に充填し、液状の機能性食品を得る。
【0112】
処方例11:ゲル状の機能性食品の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 60g
(2)κカラギーナン 1kg
(3)ブドウ糖果糖液糖 17kg
(4)クエン酸 0.36kg
(5)クエン酸ナトリウム 0.24kg
(6)精製水 82kg
上記成分(1)〜(6)を混合した後、80℃に加温し、密封容器に充填する。ついで定法に従って加熱殺菌した後、冷却し、ゲル状の機能性食品を得る。
【0113】
処方例12:飲料の製造
(1)実施例1又は2のチョウセンゴミシ水抽出エキス 1g
(2)ステビア 0.2g
(3)リンゴ酸 3g
(4)香料 0.1g
(5)精製水 45.7g
上記成分(1)〜(4)を成分(5)の一部に攪拌溶解する。次いで、成分(5)の残りを加えて混合し、90℃に加熱して50mLのガラス瓶に充填する。
【0114】
処方例13:菓子(クッキー)の製造
(1)実施例3のチョウセンゴミシ水抽出エキス(粉末) 10mg
(2)薄力粉 32.0g
(3)全卵 16.0g
(4)バター 16.0g
(5)砂糖 25.0g
(6)水 10.7g
(7)ベーキングパウダー 0.29g
上記成分(1)〜(7)を用いて、常法に従い、クッキーを製造する。
【産業上の利用可能性】
【0115】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する本発明の医薬組成物、又は食品組成物は、優れた体重増加抑制効果、及び体脂肪蓄積抑制効果を示し、副作用等の恐れも少なく、安全に長期間投与、又は摂食することができることから、肥満の予防、改善、又は治療用途に有用である。本発明の医薬組成物、又は食品組成物は、痩身用途、並びに肥満により誘発される各種メタボリックシンドロームの予防、改善、又は治療用途にも有用となり得る。
【0116】
また、本発明の医薬組成物又は食品組成物は、肥満や体脂肪の蓄積と関係なく生ずる血中の中性脂肪(トリグリセリド)上昇に対し、該トリグリセリドを良好に低下させる効果を有し、高トリグリセリド血症の予防、改善、又は治療用途に有用であり、ひいては冠動脈疾患(CAD)の発症リスクを良好に低減することができる。さらに、本発明の医薬組成物又は食品組成物は、脂質摂取に伴う血中トリグリセリドに対しても、良好な低下作用を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する抗肥満剤。
【請求項2】
チョウセンゴミシ水抽出エキスからなる請求項1に記載の抗肥満剤。
【請求項3】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、60℃〜100℃で0.5〜8時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項1又は2に記載の抗肥満剤。
【請求項4】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、80℃〜100℃で1〜4時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項3に記載の抗肥満剤。
【請求項5】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、100℃で1時間煮沸抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項4に記載の抗肥満剤。
【請求項6】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、室温で8〜12時間冷浸し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項1又は2に記載の抗肥満剤。
【請求項7】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、前記水溶液を乾燥して得られる粉末である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の抗肥満剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗肥満剤からなる体重増加抑制剤。
【請求項9】
体重増加が、肥満に至る前の体重増加である、請求項8に記載の体重増加抑制剤。
【請求項10】
体重増加が、肥満患者の体重増加である、請求項8に記載の体重増加抑制剤。
【請求項11】
チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が、体重増加を抑制する有効量である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の体重増加抑制剤。
【請求項12】
有効量が、乾燥重量として0.1mg〜2000mg/kg体重/日である、請求項11に記載の体重増加抑制剤。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗肥満剤からなる体脂肪増加抑制剤。
【請求項14】
体脂肪増加が、中性脂肪増加である、請求項13に記載の体脂肪増加抑制剤。
【請求項15】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する血中トリグリセリド降下剤。
【請求項16】
チョウセンゴミシ水抽出エキスからなる請求項15に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項17】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、60℃〜100℃で0.5〜8時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項15又は16に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項18】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、80℃〜100℃で1〜4時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項17に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項19】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、100℃で1時間煮沸抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項18に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項20】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、室温で8〜12時間冷浸し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項15又は16に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項21】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、前記水溶液を乾燥して得られる粉末である、請求項17〜20のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項22】
請求項15〜21のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤を含有する、高トリグリセリド血症治療剤。
【請求項23】
タブレット状、丸状、カプセル状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、又は液状の形態として調製されていることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
経口投与用である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
さらに、抗肥満剤、食欲抑制剤、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、及び利尿剤からなる群より選択される一種以上の薬剤と組み合わせて使用することを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項26】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗肥満剤、又は請求項15〜21のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤を含有する食品組成物。
【請求項27】
チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が、食品組成物全量に対して、1〜5質量%である、請求項26に記載の食品組成物。
【請求項28】
サプリメント、機能性食品、健康食品、経腸栄養食品、特別用途食品、健康補助食品、特定保健用食品、又は栄養機能食品として調製されていることを特徴とする、請求項26又は27に記載の食品組成物。
【請求項29】
特別用途食品、又は特定保健用食品である、請求項28に記載の食品組成物。
【請求項30】
特別用途食品が病者用食品である、請求項29に記載の食品組成物。
【請求項31】
タブレット状、丸状、カプセル状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、又は液状の形態として調製されていることを特徴とする、請求項26〜30のいずれか一項に記載の食品組成物。
【請求項32】
飲料、菓子類、冷菓、麺類、水産加工食品、畜産加工食品、乳製品、油脂及び油脂加工食品、調味料、経腸栄養食、スープ、シチュー、惣菜、漬物、又はパンとして調製されていることを特徴とする、請求項26〜30のいずれか一項に記載の食品組成物。
【請求項33】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、肥満の予防又は改善用、体重増加抑制用、体脂肪蓄積抑制用、或いは痩身用の特定保健用食品。
【請求項34】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、肥満の予防又は改善用、体重増加抑制用、体脂肪蓄積抑制用、或いは痩身用の特別用途食品。
【請求項35】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、高トリグリセリド血症の予防又は改善用の特定保健用食品。
【請求項36】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、高トリグリセリド血症の予防又は改善用の特別用途食品。
【請求項1】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する抗肥満剤。
【請求項2】
チョウセンゴミシ水抽出エキスからなる請求項1に記載の抗肥満剤。
【請求項3】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、60℃〜100℃で0.5〜8時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項1又は2に記載の抗肥満剤。
【請求項4】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、80℃〜100℃で1〜4時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項3に記載の抗肥満剤。
【請求項5】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、100℃で1時間煮沸抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項4に記載の抗肥満剤。
【請求項6】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、室温で8〜12時間冷浸し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項1又は2に記載の抗肥満剤。
【請求項7】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、前記水溶液を乾燥して得られる粉末である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の抗肥満剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗肥満剤からなる体重増加抑制剤。
【請求項9】
体重増加が、肥満に至る前の体重増加である、請求項8に記載の体重増加抑制剤。
【請求項10】
体重増加が、肥満患者の体重増加である、請求項8に記載の体重増加抑制剤。
【請求項11】
チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が、体重増加を抑制する有効量である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の体重増加抑制剤。
【請求項12】
有効量が、乾燥重量として0.1mg〜2000mg/kg体重/日である、請求項11に記載の体重増加抑制剤。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗肥満剤からなる体脂肪増加抑制剤。
【請求項14】
体脂肪増加が、中性脂肪増加である、請求項13に記載の体脂肪増加抑制剤。
【請求項15】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有する血中トリグリセリド降下剤。
【請求項16】
チョウセンゴミシ水抽出エキスからなる請求項15に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項17】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、60℃〜100℃で0.5〜8時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項15又は16に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項18】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、80℃〜100℃で1〜4時間抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項17に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項19】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、100℃で1時間煮沸抽出し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項18に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項20】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、チョウセンゴミシの成熟果実を乾燥したものに水を加え、室温で8〜12時間冷浸し、濾過により残渣を除去して得られる水溶液である、請求項15又は16に記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項21】
チョウセンゴミシ水抽出エキスが、前記水溶液を乾燥して得られる粉末である、請求項17〜20のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤。
【請求項22】
請求項15〜21のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤を含有する、高トリグリセリド血症治療剤。
【請求項23】
タブレット状、丸状、カプセル状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、又は液状の形態として調製されていることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
経口投与用である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
さらに、抗肥満剤、食欲抑制剤、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、及び利尿剤からなる群より選択される一種以上の薬剤と組み合わせて使用することを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項26】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗肥満剤、又は請求項15〜21のいずれか一つに記載の血中トリグリセリド降下剤を含有する食品組成物。
【請求項27】
チョウセンゴミシ水抽出エキスの含有量が、食品組成物全量に対して、1〜5質量%である、請求項26に記載の食品組成物。
【請求項28】
サプリメント、機能性食品、健康食品、経腸栄養食品、特別用途食品、健康補助食品、特定保健用食品、又は栄養機能食品として調製されていることを特徴とする、請求項26又は27に記載の食品組成物。
【請求項29】
特別用途食品、又は特定保健用食品である、請求項28に記載の食品組成物。
【請求項30】
特別用途食品が病者用食品である、請求項29に記載の食品組成物。
【請求項31】
タブレット状、丸状、カプセル状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、又は液状の形態として調製されていることを特徴とする、請求項26〜30のいずれか一項に記載の食品組成物。
【請求項32】
飲料、菓子類、冷菓、麺類、水産加工食品、畜産加工食品、乳製品、油脂及び油脂加工食品、調味料、経腸栄養食、スープ、シチュー、惣菜、漬物、又はパンとして調製されていることを特徴とする、請求項26〜30のいずれか一項に記載の食品組成物。
【請求項33】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、肥満の予防又は改善用、体重増加抑制用、体脂肪蓄積抑制用、或いは痩身用の特定保健用食品。
【請求項34】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、肥満の予防又は改善用、体重増加抑制用、体脂肪蓄積抑制用、或いは痩身用の特別用途食品。
【請求項35】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、高トリグリセリド血症の予防又は改善用の特定保健用食品。
【請求項36】
チョウセンゴミシ水抽出エキスを含有し、高トリグリセリド血症の予防又は改善用の特別用途食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図8】
【公開番号】特開2012−97077(P2012−97077A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220427(P2011−220427)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】
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