説明

チロシナーゼ活性阻害剤

【課題】 チロシナーゼ活性阻害剤、および化粧料を提供すること。
【解決手段】 本発明は、松樹皮抽出物と茶抽出物とを含有する、チロシナーゼ活性阻害剤に関する。好ましくは、松樹皮抽出物が、OPC(oligomeric proanthocyanidin:オリゴメリック・プロアントシアニジン)20質量%以上、カテキン類5質量%以上含有し、茶抽出物が、カテキン類60質量%以上含有し、より好ましくは、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤または液剤等の固形または溶液の形態である、上記のチロシナーゼ活性阻害剤に関する。また、上記のチロシナーゼ活性阻害剤を含有する化粧料に関であって、好ましくは、美容液、化粧水、美容クリーム、ローション、パック、軟膏、乳液、洗顔フォーム、洗顔ジェルまたは石鹸を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、松樹皮抽出物と茶抽出物とを含有する、チロシナーゼ活性阻害剤、および化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
シミやソバカスは、ホルモン分泌の異常や紫外線を受けて活性化した色素細胞中でチロシナーゼの作用により必須アミノ酸であるチロシンからメラニンが生成し、これが皮膚組織に沈着するために生じる。メラニンの生成は、チロシンがチロシナーゼの作用を受けることが引き金となり、酵素的または非酵素的酸化作用を受けて黒色のメラニンへ変化することにより起こる。そのため、反応の第1段階であるチロシナーゼの作用を抑制することがメラニン生成の抑制に重要である。従って、メラニンの生成を防止するため、チロシナーゼの作用を阻害する種々の物質が化粧品や食品の分野で従来から使われ、または研究されている。チロシナーゼ活性阻害剤の代表的なものとして、松樹皮抽出物(特許文献1)および茶抽出物(特許文献2)が知られている。しかしながら、松樹皮抽出物と茶抽出物との相乗効果によるチロシナーゼ活性阻害剤は知られていない。
【特許文献1】特開2003−238425号公報
【特許文献2】特開平6−65085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、松樹皮抽出物と茶抽出物との相乗効果が得られた、チロシナーゼ活性阻害剤、および化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、松樹皮抽出物と茶抽出物によるチロシナーゼ活性阻害の相乗効果を見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、松樹皮抽出物と茶抽出物とを含有する、チロシナーゼ活性阻害剤に関する。
【0006】
好ましくは、松樹皮抽出物が、OPC(oligomeric
proanthocyanidin:オリゴメリック・プロアントシアニジン)20質量%以上、カテキン類5質量%以上含有する、上記のチロシナーゼ活性阻害剤に関する。
【0007】
さらに好ましくは、茶抽出物が、カテキン類60質量%以上含有する、上記のチロシナーゼ活性阻害剤に関する。
【0008】
より好ましくは、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、軟剤、ゲル剤、ジェル剤、液剤等の固形または溶液の形態である、上記のチロシナーゼ活性阻害剤に関する。
【0009】
さらに、上記のチロシナーゼ活性阻害剤を含有する化粧料に関する。
【0010】
好ましくは、美容液、化粧水、美容クリーム、ローション、パック、軟膏、乳液、洗顔フォーム、洗顔ジェルまたは石鹸である、上記の化粧料に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、チロシナーゼ阻害に有用である、チロシナーゼ活性阻害剤および化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0013】
(松樹皮抽出物)
本発明の松樹皮抽出物としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダ等の樹皮抽出物が好ましく用いられる。中でも、フランス海岸松の樹皮抽出物が好ましく用いられる。
【0014】
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、フラボノイド類であるプロアントシアニジン(proanthocyanidin)を主要成分として含有する他に、有機酸並びにその他の生理活性成分等を含有している。この主要成分であるプロアントシアニジンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
【0015】
松樹皮抽出物は、上記松の樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には温水、または熱水が用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテン等の食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が好ましく用いられる。これらの水、有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、含水プロピレングリコール等が好ましく用いられる。
【0016】
松樹皮からの抽出方法は特に制限はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0017】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0018】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0019】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2〜20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類などの目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0020】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0021】
また、松樹皮からの抽出は、上記の抽出法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等により行ってもよい。
【0022】
松樹皮のからの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0023】
上記抽出により得られた松樹皮抽出物は、限外濾過、あるいは吸着性担体(ダイヤイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチンなど)を用いたカラム法またはバッチ法により精製を行うことが安全性の面から好ましい。
【0024】
本発明のチロシナーゼ活性阻害剤に用いられる松樹皮抽出物は、具体的には、以下のような方法により調製されるが、これは例示であり、この方法に限定されない。
【0025】
フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和水溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る(抽出工程)。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mLで洗浄し、洗浄液を得る(洗浄工程)。この抽出液と洗浄液を合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
【0026】
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mLを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回繰り返す。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過して回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mLに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して洗浄するため沈殿させる工程を2回繰り返す。この方法により、例えば、重合度が2〜4のプロアントシアニジンを20質量%以上含有し、かつカテキン類を5質量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物が得られる。ここで、抽出物中の特定成分の含有量は、抽出物の乾燥質量を基準とした値である。以下、同様である。
【0027】
(松樹皮抽出物の組成)
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、主な有効成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果実の皮および種に集中的に含まれている。このプロアントシアニジンは、ヒトの体内では生成することができない物質である。
【0028】
このプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物を摂取した場合に、優れた脂質代謝改善効果が得られる。松樹皮抽出物には、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有され、さらにカテキンなどが含有される。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましく用いられる。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)のプロアントシアニジンは、特に体内に吸収されやすい。本明細書では、上記の重合度が2〜4の重合体を、オリゴメリック・プロアントシアニジン(oligomeric proanthocyanidin、以下「OPC」という)という。
【0029】
また、松樹皮抽出物としては、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体;すなわち、OPC)を15質量%、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%の割合で含有し、5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上、好ましくは15質量%以上の割合で含有する抽出物が好ましい。
【0030】
上記松樹皮抽出物には、さらにカテキン(catechin)類が含有され、このカテキン類は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上の割合で含有される。カテキン類は、上記抽出方法によって、プロアントシアニジン(OPC)とともに抽出され得る。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン(狭義のカテキンといわれる)、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、およびアフゼレキンなどが知られている。上記松樹皮抽出物からは、上記の(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキンまたはガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類には、発癌抑制作用、活性酸素やフリーラジカルの消去作用、および抗酸化作用などがあることが知られている。また、カテキン類には、血糖の上昇を抑制する抗糖尿病効果があることが知られている。カテキン類は、単独では水溶性が乏しく、その生理活性が低いが、OPCの存在下では、水溶性が増すと同時に活性化する性質がある。従って、カテキン類はOPCとともに摂取することで効果的に作用する。
【0031】
カテキン類は、上記松樹皮抽出物に、5質量%以上含有されていることが好ましい。より好ましくは、OPCを20質量%以上、かつ5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上含有する松樹皮抽出物に、カテキン類が5質量%以上含有されるのが好ましい。例えば、松樹皮抽出物のカテキン類含有量が5質量%未満の場合、含有量が5質量%以上となるようにカテキン類を添加してもよい。カテキン類を5質量%以上含有し、OPCを20質量%以上、かつ5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上含有する松樹皮抽出物を用いることが最も好ましい。
【0032】
(茶抽出物)
本発明の茶抽出物は、茶葉より抽出することができるが、その抽出方法については、特に限定されず、カテキン類が高濃度で抽出される方法であることが望ましい。原料として使用する茶葉は、生葉から仕上げ茶(乾燥茶)まで、通常の製茶工程のいずれの段階のものでも良く、かつ発酵の程度に関係なく不発酵茶、半発酵茶、発酵茶いずれでも使用できる。これら化合物の調製法は、例えば、特開昭64−90124号および特開平1−265023号に開示されている。
【0033】
上記茶抽出物には、主な有効成分の一つとして、カテキン(catechin)類を含有する。このカテキン類は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上の割合で含有される。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン(狭義のカテキンといわれる)、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、およびアフゼレキンなどが知られている。上記茶抽出物からは、上記の(+)−カテキンの他、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、ならびに(+)−カテキンまたはガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類には、発癌抑制作用、活性酸素やフリーラジカルの消去作用、および抗酸化作用などがあることが知られている。
【0034】
(チロシナーゼ活性阻害剤)
本発明のチロシナーゼ活性阻害剤は、松樹皮抽出物と茶抽出物とを含有し、その割合は任意である。好ましくは、松樹皮抽出物100質重部に対して、茶抽出物が0.1〜1000質量部、好ましくは1〜200質量部、より好ましくは10〜100質量部の割合で含有される。
【0035】
本発明の製剤中の松樹皮抽出物と茶抽出物との量は特に制限はないが、松樹皮抽出物と茶抽出との優れた効果を得ることを目的とする場合は、製剤全体に対して、通常0.01〜90質量%、好ましくは、0.1〜90質量%である。
【0036】
本発明のチロシナーゼ活性阻害剤は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、軟剤、ゲル剤、ジェル剤、液剤等の固形または溶液の形態に公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明の製剤として有用な固形製剤または液状製剤は、松樹皮抽出物と茶抽出物および所望により添加剤とを混合し、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。添加剤としては、例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤または香料などが挙げられる。
【0037】
上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、β−シクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0038】
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸二カリウムなどが挙げられる。
【0039】
上記清涼化剤としては、例えばl−メントールまたはハッカ水などが挙げられる。
【0040】
上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロースまたはトラガントなどが挙げられる。
【0041】
上記希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油または乳化剤等が挙げられる。
【0042】
上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンまたはシリコン消泡剤などが挙げられる。
【0043】
上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロースまたはデキストリンなどが挙げられる。
【0044】
上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステルまたはマクロゴールなどが挙げられる。
【0045】
上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチまたは部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
【0046】
上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0047】
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウまたはサラシミツロウなどが挙げられる。
【0048】
上記抗酸化剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)またはクエン酸などが挙げられる。
【0049】
上記コーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテートまたはセラックなどが挙げられる。
【0050】
上記着色剤としては、例えばリボフラビンまたは酸化チタンなどが挙げられる。
【0051】
上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、果糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、単シロップ、白糖、ハチミツ、アマチャ、カンゾウ、クエン酸、アジピン酸、オレンジ油、トウヒチンキ、ウイキョウ油、ハッカまたはメントールなどが挙げられる。
【0052】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類またはショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0053】
上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチンまたはセタノールなどが挙げられる。
【0054】
上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、または単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。
【0055】
(本発明の化粧料)
本発明の化粧料は、化粧料製造時に松樹皮抽出物と茶抽出物、または上記チロシナーゼ活性阻害剤を化粧料として化粧品に配合することにより製造される。例えば、美容液、化粧水、美容クリーム、ローション、パック、軟膏、乳液、洗顔フォーム、洗顔ジェル、石鹸等のあらゆる化粧品形態にすることが可能である。松樹皮抽出物と茶抽出物、または上記チロシナーゼ活性阻害剤の化粧料への配合量は、特に限定されないが、通常約0.00001〜0.1質量%、好ましくは約0.00005〜0.05質量%、より好ましくは0.001〜0.01質量%である。
【0056】
本発明によれば、松樹皮抽出物と茶抽出物とを含有するチロシナーゼ活性阻害剤および化粧料が得られる。この化粧料を使用することによって、チロシナーゼ活性阻害効果が高められる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0058】
(実施例1:性能評価試験)
松樹皮抽出物と茶抽出物とを用いた本発明のチロシナーゼ活性阻害剤の阻害活性を、以下のようにして評価した。
【0059】
(サンプル溶液の調製)
1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて松樹皮抽出物と茶抽出物とをそれぞれ30μg/mlとなるようにチロシナーゼ活性阻害剤を調製し、サンプル溶液とした。
【0060】
(酵素溶液の調製)
チロシナーゼ(マッシュルーム由来、シグマ製)を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて11000units/mlを550units/mlとなるように調製し、酵素溶液とした。
【0061】
(基質溶液の調製)
L−DOPA溶液(シグマ製)を1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて0.15%を0.03%となるように調製し、基質溶液とした。
【0062】
(被験溶液の調製)
96ウェルプレートにサンプル溶液を100μl/wellで添加を行った。その後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液を100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、480nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。
【0063】
(被験溶液blankの調製)
96ウェルプレートにサンプル溶液を100μl/wellで添加を行った。その後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液に変えて1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、480nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。
【0064】
(対照溶液の調製)
96ウェルプレートに1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加を行った。その後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、基質溶液を100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、480nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。
【0065】
(対照溶液blankの調製)
96ウェルプレートに1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加を行った。その後、酵素溶液を100μl/wellで添加し、37℃で10分間インキュベートを行った。さらに、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を100μl/wellで添加し、37℃で5分間インキュベートを行った後、480nmにおける吸光度を分光光度計で測定した。
【0066】
(チロシナーゼ活性の測定)
チロシナーゼ阻害活性は次の式から求められる阻害率で表した。
【0067】
阻害率(%)=[100−[(A−B)/(C−D)]×100]
A:被験溶液の480nmにおける吸光度。
B:被験溶液blankの480nmにおける吸光度。
C:対照溶液の480nmにおける吸光度。
D:対照溶液blankの480nmにおける吸光度。
【0068】
上記した方法でチロシナーゼ活性阻害率を求めた。結果を表1に示す。
【0069】
(比較例1:サンプル溶液の調製)
松樹皮抽出物30μg/mLを1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて調製し、サンプル溶液とした。その後、上述した方法でチロシナーゼ活性阻害率を求めた。結果を表1に示す。
【0070】
(比較例2:サンプル溶液の調製)
茶抽出物30μg/mLを1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて調製し、サンプル溶液とした。その後、上述した方法でチロシナーゼ活性阻害率を求めた。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1に示すように、実施例1は比較例1および比較例2に対してチロシナーゼ活性阻害が有意に示された。以上の結果より、松樹皮抽出物と茶抽出物とを併用した本発明に係るチロシナーゼ活性阻害剤が、相乗的に効果を発揮することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、松樹皮抽出物と茶抽出物との相乗効果が得られた、チロシナーゼ活性阻害剤、および化粧料を提供することを目的とする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
松樹皮抽出物と茶抽出物とを含有する、チロシナーゼ活性阻害剤。
【請求項2】
松樹皮抽出物が、OPC(oligomeric proanthocyanidin:オリゴメリック・プロアントシアニジン)20質量%以上、カテキン類5質量%以上含有する、請求項1に記載のチロシナーゼ活性阻害剤。
【請求項3】
茶抽出物が、カテキン類60質量%以上含有する、請求項1または2に記載のチロシナーゼ活性阻害剤。
【請求項4】
錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、軟剤、ゲル剤、ジェル剤、液剤等の固形または溶液の形態である請求項1〜3のいずれかに記載のチロシナーゼ活性阻害剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のチロシナーゼ活性阻害剤を含有する化粧料。
【請求項6】
美容液、化粧水、美容クリーム、ローション、パック、軟膏、乳液、洗顔フォーム、洗顔ジェルまたは石鹸である請求項5に記載の化粧料。


【公開番号】特開2009−40736(P2009−40736A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208661(P2007−208661)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】