説明

チロシンキナーゼのトリメトキシフェニルインヒビター

本発明は、チロシンキナーゼの新しいトリメトキシフェニルインヒビター、医薬組成物、及びそれらの使用の方法に関する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年2月24日出願の米国仮特許出願第61/307,742号の利益を主張するものであり、この開示は、全体において本明細書に書かれるように、引用文によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
障害の処置のための医薬として、新しいトリメトキシフェニル化合物及び組成物並びにそれらの適用が本明細書に開示される。被験体におけるチロシンキナーゼ活性の阻害の方法も、関節リウマチ、特発性血小板減少性紫斑病、固形腫瘍、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、糸球体腎炎、溶血性貧血、急性骨髄性白血病、大腸癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌、肝臓癌、腎臓癌、褐色細胞腫、甲状腺癌、肝細胞癌、及び腎細胞癌などの障害の処置のために提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ホスタマチニブ(Fostamatinib)(NSC−745942、R−788、R−935788、Tamatinib fosdium、CAS#901119−35−5)、6−[[5−フルオロ−2−[(3,4,5−トリメトキシフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]−2,2−ジメチル−4−[(ホスホノオキシ(phosphonooxy))メチル]−2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンは、チロシンキナーゼインヒビターR−406(CAS#841290−80−0)のプロドラッグ、6−[[5−フルオロ−2−[(3,4,5−トリメトキシフェニル)アミノ]−4−ピリミジニル]アミノ]−2,2−ジメチル−2H−ピリド[3,2−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンである。ホスタマチニブは、関節リウマチ、特発性血小板減少性紫斑病、固形腫瘍、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、糸球体腎炎、溶血性貧血、急性骨髄性白血病、大腸癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌、肝臓癌、腎臓癌、褐色細胞腫、甲状腺癌、肝細胞癌、及び腎細胞癌の処置のため、現在研究中である。WO2005/012294;WO2006/078846;「Weinblatt et al., Arthritis Rheum.,2008, 58(11),3309−3318」;「Cha et al., J. Pharmacol.Exp. Ther., 2006, 317(2), 571−578」;「Bajhat et al., Arthritis & Rheumatism, 2008, 58(5), 1433−1444」;及び「Brasselmann et al., J. Pharmacol.Exp. Ther., 2006, 319(3), 998−1008」。ホスタマチニブはまた、リンパ腫、アナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応、花粉症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、粘膜障害、組織障害、骨関節炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、突発性炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、痙攣性結腸、軽度の瘢痕化、皮膚硬化症、線維症、ケロイド、手術後瘢痕、肺線維症、血管痙攣、偏頭痛、再灌流損傷、後心筋梗塞、合併乾燥症又は眼球乾燥症候群、肺筋肉の変化又はリモデリング、慢性障害肺疾患、橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血の自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性精巣炎、グッドパスチャー病、自己免疫性血小板減少、交感性眼炎、重症筋無力症、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、慢性攻撃的肝炎、潰瘍性大腸炎及び膜性糸球体症、紅斑性狼瘡、シェーグレン症候群、ライター症候群、多発性‐皮膚筋炎、全身性硬化症、結節性多発動脈炎、多発性硬化症、水疱性類天疱瘡、自己免疫性脱毛症、I型糖尿病、及び甲状腺炎の処置においても効果を発揮した。WO2005/012294;WO2008/064274;及びWO2006/078846。
【0004】
【化1】

【0005】
ホスタマチニブは、ホスファターゼによってR−406へと急速に転換され、少量のホスタマチニブのみが、経口投与後にヒト血漿において観察され、R−406は血漿において観察された主要な薬物関連化合物である。「Sweeny et al., Drug Metab.Disp., 2010, 38(7), 1166−1176」。R−406は、ルクロン酸又は無機硫酸との結合と同様に、肝臓シトクロムP450によるパラメトキシ基での酸化脱メチル反応にさらされる。「Sweeny et al., Drug Metab.Disp., 2010, 38(7), 1166−1176 and Sweeny et al., Xenobiotica, 2010, 40(6), 415−423」。3,5−ベンゼンジオール代謝物質は排泄物から分離され、腸管中の嫌気性菌による脱メチル化及び脱ヒドロキシルから生じると信じられている。「Sweeny et al., Drug Metab.Disp., 2010, 38(7), 1166−1176」及び「Sweeny et al., Xenobiotica, 2010, 40(6), 415−423」。ホスタマチニブに関連する副作用は、胃腸障害、下痢、高血圧、好中球減少、トランスアミナーゼの増加、及び感染の増加を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〈重水素速度論的同位体効果〉
治療薬などの外来性物質を除去するために、動物の身体は、シトクロムP450酵素(CYPs)、エステラーゼ、プロテアーゼ、レダクターゼ、脱水素酵素、及びモノアミンオキシダーゼなどの、様々な酵素を発現し、これら異物により反応し、腎排泄のためこれら異物をより極性の中間体又は代謝物質へと転換する。そのような代謝反応は、炭素−酸素(C−O)又は炭素−炭素(C−C)π−結合のいずれかへのとの炭素−水素(C−H)結合の酸化に頻繁に関係する。結果として生じる代謝物質は、生理学的な条件下で安定又は不安定であってもよく、親化合物に関する、実質的に異なる薬物動態学的、薬力学的、及び急性並びに長期の毒性の特性を有し得る。ほとんどの薬物に関して、そのような酸化は一般に急速であり、最後には複数又は高い一日量の投与に通じる。
【0007】
活性化エネルギーと反応速度との関係は、アレニウスの式、k=Ae−Eact/RTにより定量化される。アレニウスの式は、所定の温度にて、化学反応の速度が活性化エネルギー(Eact)に指数関数的に依存することを述べている。
【0008】
反応における転移状態は、最初の結合がその限界まで引き延ばす間、反応径路に沿った短命の状態である。定義によれば、反応のための活性化エネルギーEactは、その反応の転移状態に達するために必要とされるエネルギーである。一度転移状態に達すると、分子は最初の反応物質に戻るか、又は反応生成物を生じさせる新しい結合を形成し得る。触媒は、転移状態に通じる活性化エネルギーを低下させることにより反応プロセスを促進する。酵素は、生物学的な触媒の一例である。
【0009】
炭素−水素結合の強度は、結合の基底状態の振動性エネルギーの絶対的な値に直接比例する。この振動性エネルギーは、結合を形成する原子の質量に依存し、結合を増加させる原子の1つ又は両方の質量として増加する。重水素(D)がプロチウム(H)の質量の二倍を有しているため、C−D結合は、対応するC−H結合よりも強い。C−H結合が化学反応における律速工程(即ち、最も高い転移状態エネルギーを伴う工程)中に壊れる場合、その後プロチウムの代わりに重水素を置換することで、反応速度の減少を引き起こすであろう。この現象は、重水素速度論的同位体効果(DKIE)として知られている。DKIEの規模は、C−H結合が壊される際の所与の反応の速度と、プロチウムに代わり重水素を置換する場合の同じ反応との比率として発現され得る。DKIEは、約1(同位体効果が無い)から、50以上といった非常に大きな数にまで及ぶ。水素に代わりトリチウムの置換は、重水素よりも強い結合をもたらし、数値的により大きな同位体効果を与える。
【0010】
重水素(H又はD)は、プロチウム(H)のおよそ2倍の質量を有する水素の安定した、及び非放射性の同位体、水素の最も一般的な同位体である。酸化重水素(DO又は「重水」)は、HOのように見え、そのような味がするが、異なる物質的な特性を有する。
【0011】
純粋なDOがげっ歯類に与えられると、それは容易に吸収される。毒性を誘発するのに必要とされる重水素の量は、極めて多い。体水分の約0−15%がDOで置換されると、動物は健康になるが、対照(未処置)のグループ程速く体重が増えない。体水分の15−20%がDOで置換されると、動物は興奮しやすくなる。体水分の約20−25%がDOで置換されると、動物は非常に興奮しやすくなり、刺激されると頻繁に痙攣状態になる。皮膚障害、足及び鼻口部の潰瘍、及び尾の壊死が現れる。動物はまた、非常に攻撃的になる。体水分の30%がDOで置換されると、動物は食事を拒み、昏睡状態になる。その体重は急激に落ち、代謝速度は標準よりもはるか下にまで落ち、DOでの約30乃至35%の置換で死が生じる。前の体重の30%以上がDOにより失われない限り、効果は可逆性である。研究はまた、DOの使用が癌細胞の成長を遅くし、特定の抗腫瘍薬の細胞毒性を高めることができることを示してきた。
【0012】
薬物動態学(PK)、薬力学(PD)、及び毒性の特性を改善するための医薬品の重水素化は、幾つかの種類の薬物によって以前に実証された。例えば、DKIEは、塩化トリフルオロアセチルなどの反応種の産生を推測上制限することにより、ハロタンの肝毒性を減少させるために使用された。しかしながら、この方法はすべての薬物の種類に適用可能ではないかもしれない。例えば、重水素の取り込みは、代謝交換につながり得る。第I相酵素によって隔離された異種(xenogens)が一時的に結合し、化学反応(例えば、酸化)前に様々な構造で再び結合するときに、代謝交換は生じる。多くの第I相酵素中の結合ポケットの比較的巨大なサイズ及び多くの代謝反応の乱雑な性質によって、代謝交換は可能になる。代謝交換は、全く新しい代謝物質と同様に既知の代謝物質の異なる比率につながり得る。この新しい代謝特性は、多かれ少なかれ毒性を与え得る。このような落とし穴は明白ではなく、任意の薬物の種類に関して先天的に予測可能ではない。
【0013】
ホスタマチニブは、チロシンキナーゼインヒビターである。ホスマタチニブの炭素−水素結合は、自然に生じる水素同位体の分布、すなわち、H又はプロチウム(約99.9844%)、H又は重水素(約0.0156%)、及びH又はトリチウム(1018のプロチウム原子につき約0.5乃至67のトリチウム原子間の範囲内)を含む。重水素の取り込みの増加したレベルは、重水素の自然発生のレベルを有する化合物と比較して、そのようなホスタマチニブの薬物動態学、薬理学、及び/又は毒物学の特性に影響を与え得る、検出可能な重水素速度論同位体効果(DKIE)を作り得る。
【0014】
文献の考慮と同様、我々の研究室でなされた発見に基づき、ホスタマチニブは、O−メチル基及び対環(geminal ring)メチル基にて、ヒトにおいておそらく代謝される。現在の手法は、これらの部位で代謝を防ぐ潜在性を有する。分子上の他の部位はまた、まだ知られていない薬物学/毒物学を伴う代謝物質につながる形質転換を受け得る。これらの代謝物質の産生の制限は、このような薬物の投与の危険を減少させる潜在性を有し、増加した用量及び/又は増加した有効性さえ許容し得る。これらの形質転換のすべてが、多形的に発現された酵素を介して起こり、患者間の変異性を悪化させる。さらに、被験体が一日中又は長時間の間、薬で治療されるとき、幾つかの障害は最も良く処置される。すべての前述の理由のために、より長い半減期を有する薬は、より大きな有効性及び経費節約をもたらし得る。様々な重水素化のパターンは、(a)不要な代謝物質を減少する又は除去する、(b)親薬物の半減期を増加させる、(c)所望の効果を達成するために必要とされる投与量の数を減少させる、(d)所望の効果を達成するために必要とされる投与量を減少させる、(e)活性代謝物の形成を、その何れかが形成されれば、増加させる、(f)特定の組織において有害な代謝物の産生を減少させる、及び/又は(g)多薬療法が意図的であろうと、そうでないにしても、多薬療法のためのより有効な薬物及び/又はより安全な薬物を作り出すために使用され得る。重水素化の手法は、ホスタマチニブの代謝を遅くし、患者間の変異性を軽減する、強い潜在性を有する。
【0015】
幾つかがチロシンキナーゼを阻害することが分かった新しい化合物及び医薬組成物は、化合物を投与することによる、患者におけるチロシンキナーゼ媒介性の障害の処置方法を含む、化合物を合成し、使用する方法と一緒に発見された。
【0016】
本発明の特定の実施形態において、化合物は、構造式I:
【0017】
【化2】

【0018】
又はその塩を有し、ここで:
−Rは、水素、重水素、−CH、−CHD、−CDH、及びCDから成る群から独立して選択され;
−Rは、−CH、−CHD、−CDH、及びCDから成る群から独立して選択され;
−R12及びR14−R15は、水素と重水素から成る群から独立して選択され;
13は、水素、重水素、及び以下の式から成る群から選択され;
【0019】
【化3】

【0020】
−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0021】
本明細書に開示の特定の化合物は、有用なチロシンキナーゼ阻害活性を有し、チロシンキナーゼが活発な役割を果たす障害の処置又は予防において使用され得る。したがって、特定の実施形態はまた、化合物及び組成物を作り使用する方法と同様、薬学的に許容可能な担体と一緒に、本明細書に開示の1以上の化合物を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態は、チロシンキナーゼを阻害するための方法を提供する。他の実施形態は、本発明に従って、患者に治療上効果的な量の化合物又は組成物を投与する工程を含む、そのような処置を必要とする前記患者におけるチロシンキナーゼ媒介性の障害を処置するための方法を提供する。また、チロシンキナーゼの阻害により改善された障害の予防又は処置のための薬の製造において使用するための、本明細書に開示の特定の化合物の使用が提供される。
【0022】
本明細書に開示の化合物はまた、限定されないが、炭素に関する13C又は14C、硫黄に関する33S、34S、又は36S、窒素に関する15N、及び酸素に関する17O又は18Oを含む、他の要素に関するあまり流行性のない同位体を含み得る。
【0023】
特定の実施形態において、本明細書に開示の化合物におけるすべてのC−D結合が、DO又はDHOとして代謝され、放出されると仮定すれば、本明細書に開示の化合物は、最大約0.000005%のDO又は約0.00001%のDHOに患者をさらし得る。特定の実施形態において、動物において毒性を引き起こすと示されたDOのレベルは、本明細書に開示されるような重水素が濃縮された化合物の投与によって引き起こされた曝露の最大限度よりもはるかに大きい。したがって、特定の実施形態において、本明細書に開示の重水素が濃縮された化合物は、薬物代謝上のDO又はDHOの形成により、任意のさらなる毒性を引き起こすはずはない。
【0024】
特定の実施形態において、本明細書に開示の重水素化の化合物は、対応する非同位体的に濃縮された分子の有益な面を維持する一方で、最大耐用量を実質的に増加させ、毒性を減少させ、半減期(T1/2)を増加させ、最小有効量(MED)の最大血漿濃度(Cmax)を低下させ、有効量を低下させ、それによって、非機構関連の(non−mechanism−related)毒性を減少させ、及び/又は薬物−薬物相互作用の可能性を低下させる。
【0025】
特定の実施形態において、Rが−CDである場合、R−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0026】
特定の実施形態において、Rが−CDであり、Rが−CHである場合、R−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0027】
特定の実施形態において、R−Rが各々−CDである場合、R−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0028】
特定の実施形態において、Rが−CDである場合、R−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0029】
特定の実施形態において、R14−R15が各々重水素である場合、R−R12の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0030】
特定の実施形態において、Rが重水素である場合、R−R又はR10−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0031】
特定の実施形態において、RとRが各々−CDである場合、その後R−R又はR−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0032】
特定の実施形態において、Rが−CDである場合、R−R又はR−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含む。
【0033】
本明細書で引用される全ての公報及び引用文は、それらの全体の引用によって明白に本明細書に組み込まれる。しかしながら、組み込まれた公報又は引用文及びこの文献に明確に提示された又は定義されたものの両方において見出される、任意の類似又は同一の用語に関して、その後、この文献に明確に提示されたそれらの用語、定義又は意味は、すべての点で規制するものとする。
【0034】
本明細書で使用されるように、下記の用語は、示される意味を有する。
【0035】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に明記されない限り複数の冠詞を指し得る。
【0036】
用語「約(about)」は、本明細書に使用されるように、用語が修正する数値を修飾するように意図され、そのような値を許容誤差内の変数として示す。データの図又は表で与えられた平均値に対する標準偏差などの、特定の許容誤差が詳述されないとき、用語「約」は、詳述された値を包含する範囲及びその数字を四捨五入することによって含まれる範囲も同様に意味し、有効数字を考慮に入れることを理解されたい。
【0037】
値の範囲が開示され、表記法「nから...nまで」又は「n−n」が使用されるとき、n及びnが数字である場合、その後特に指定のない限り、この表記法は、数字自体及びそれらの間の範囲を含むように意図される。この範囲は、終値の間で複合的又は連続的であり(integral or continuous between)、及び終値を含み得る。
【0038】
用語「重水素濃縮(deuterium enrichment)」は、水素に代わる、分子における所与の位置での重水素の取り込みのパーセンテージを指す。例えば、所与の位置での1%の重水素濃縮は、所与のサンプル内の分子の1%が、特定の位置で重水素を含むことを意味する。自然発生する重水素の分布が約0.0156%であるため、濃縮されない出発物質を使用して合成された化合物における任意の位置での重水素濃縮は、約0.0156%である。重水素濃縮は、質量分析法及び核磁気共鳴法を含む、当業者に知られる従来の分析法を使用して、測定され得る。
【0039】
−R15又は記号「D」などの分子における所与の位置を記載するために使用されるとき、分子構造の図面における所与の位置を表わすために使用されるときの、用語「重水素である(is/are deuterium)」は、特定の位置が自然発生する重水素の分布上で、重水素で濃縮されることを意味する。1つの実施形態において、重水素濃縮は、特定の位置での重水素の約1%もあり、別の実施形態において、約5%もあり、別の実施形態において、約10%もあり、別の実施形態において、約20%もあり、別の実施形態において、約50もあり、別の実施形態において、約70%もあり、別の実施形態において、約80%もあり、別の実施形態において、約90%もあり、又は別の実施形態において、約98%もある。
【0040】
用語「同位体濃縮」は、要素のより進行性のある同位体に代わって、分子における所与の位置での、要素のあまり進行性のない同位体の取り込みのパーセンテージを指す。
【0041】
用語「非同位体的に濃縮された(non−isotopically enriched)」は、様々な同位体のパーセンテージが自然発生のパーセンテージと実質的に同様である分子を指す。
【0042】
不斉中心は、本明細書に開示される化合物中に存在する。これらの中心は、記号「R」又は「S」で示され、キラル炭素原子のまわりの置換基の配置に依存する。本発明が、d−異性体及び1−異性体、及びそれらの混合物と同様に、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマーの形態を含む、すべての立体化学の異性体の形態を包含することを理解されたい。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含む市販の出発物質から、又はエナンチオマー生成物の混合物の調製、その後ジアステレオマーの混合物への転換などの分離、その後分離又は再結晶、クロマトグラフ法、キラルクロマトグラフィーカラム上のエナンチオマーの直接分離、又は当該技術分野で既知の任意の他の適切な方法によって合成的に調製され得る。特定の立体化学の出発化合物は、市販であるか、又は当該技術分野で既知の技術によって作られて分解され得る。さらに、本明細書に開示の化合物は、幾何異性体として存在し得る。本発明は、すべてのシス(cis)、トランス(trans)、合成(syn)、抗(anti)、エントゲーゲン(entgegen)(E)、及びツザメン(zusammen)(Z)の異性体に加え、それらの適切な混合物を含む。さらに、化合物は、互変異性体として存在し得る。すべての互変異性体は、本発明によって提供される。さらに、本明細書に開示の化合物は、非溶媒和の形態に加え、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和の形態で存在し得る。一般に、溶媒和の形態は、非溶媒和の形態と等価であると考えられる。
【0043】
用語「結合(bond)」は、2つの原子間、又は結合によって連結された原子がより大きな下部構造の一部であると考えられるときの2つの部分間の共有結合を指す。結合は、特に指定のない限り、単一、二重、又は三重であり得る。分子の図面における2つの原子の間の破線は、さらなる結合がその位置で存在し得る又は存在し得ないことを示す。
【0044】
本明細書に使用されるような用語「障害(disorder)」は、(健康状態におけるような)用語「疾患」及び「疾病」と一般に同義語であるように意図され、それらと互換的に使用され、それらすべては、正常な機能を害する、ヒト又は動物の身体の、又はその部分の一つの異常状態を表し、兆候及び症状を見分けることによって、典型的に明らかとなる。
【0045】
用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、及び「処置(treatment)」は、障害又は障害に関連する1以上の症状を緩和又は抑制する工程;又は障害自体の原因を緩和又は根絶する工程を含むように意図されている。本明細書で使用されるように、障害の「処置」への言及は、予防を含むように意図されている。用語「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、及び「予防(prevention)」は、障害の発症;及び/又はその付随症状を遅らせる又は排除する、被験体が障害にかかることを防ぐ、又は障害にかかる被験体のリスクを減らす方法を指す。
【0046】
用語「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」は、投与される時、処置される障害の1以上の症状の進行を防ぐ、又はある程度まで緩和するのに十分な化合物の量を指す。用語「治療上有効な量」はまた、研究者、獣医、医師、又は臨床医によって求められている、細胞、組織、系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発するのに十分な化合物の量を指す。
【0047】
用語「被験体(subject)」は、限定されないが、霊長類(例えば、ヒト、猿、チンパンジー、ゴリラなど)、齧歯類(例えば、ラット、マウス、スナネズミ、ハムスター、フェレットなど)、ウサギ、ブタ類(例えば、ブタ、ミニブタ)、ウマ、イヌ、ネコなどを含む動物を指す。用語「被験体」及び「患者(patient)」は、本明細書の引用において、例えば、ヒト患者などの哺乳類の被験体と互換的に使用される。
【0048】
用語「併用療法(combination therapy)」は、本開示に記載される治療上の障害を処置するための2つ以上の治療薬の投与を意味する。このような投与は、有効成分の固定比率を有する単一のカプセル、又は各有効成分のための多数の、別々のカプセルなどのように、実質的に同時の方法でのこれらの治療薬の同時投与を包含する。さらに、このような投与はまた、連続的な方法で、各タイプの治療薬の使用を包含する。いずれの場合においても、処置レジメンは、本明細書に記載される障害を処置する際に、複合薬の有益な効果を提供するであろう。
【0049】
用語「チロシンキナーゼ(tyrosine kinase)」は、タンパク質中のATPからチロシン残留物までリン酸基を伝送することができる酵素を指す。チロシンキナーゼによるタンパク質のリン酸化は、酵素活性及び細胞生存又は増殖などの細胞イベントの調整のためのシグナル伝達における重要な機構である。本明細書に開示の化合物によって阻害された特異的なチロシンキナーゼは、SYKキナーゼ及びFLT3を含む。FMSのような(FMS−like)チロシンキナーゼ3(FLT3)は、未熟な造血細胞によって発現された受容体チロシンキナーゼであり、幹細胞及び免疫系の正常な発達にとって重要である。SYKは、造血組織において主として発現され、Sykの異常な機能は、造血(hematopoeitic)悪性腫瘍、様々なアレルギー及び自己免疫障害の様々な例に結び付けられてきた。
【0050】
用語「チロシンキナーゼ媒介性の障害(tyrosine kinase−mediated disorder)」は、異常なチロシンキナーゼ活性又は調節された時に他の異常な生物学的プロセスの回復につながるチロシンキナーゼ活性を特徴とする障害を指す。チロシンキナーゼ媒介性の障害は、チロシンキナーゼを調節することによって、完全に又は部分的に媒介され得る。特に、チロシンキナーゼ媒介性の障害は、チロシンキナーゼの阻害によって根本的な障害にある程度の影響をもたらすものであり、例えば、チロシンキナーゼインヒビターの投与が、少なくとも何人かの処置されている患者においてある程度の改善をもたらす障害である。
【0051】
用語「チロシンキナーゼインヒビター(tyrosine kinase−inhibitor)」は、チロシンキナーゼの機能を変える、本明細書に開示の化合物の能力を指す。インヒビターは、インヒビターとチロシンキナーゼの間の可逆的又は不可逆的な共有結合の形成により、又は非共有結合的に結合された複合体の形成を介して、チロシンキナーゼ活性を遮断又は減少し得る。そのような阻害は、特定の細胞タイプにおいてのみ明白であり得る、又は特定の生物学的イベントに左右され得る。用語「阻害する(inhibit)」又は「阻害(inhibitation)」はまた、複合体がチロシンキナーゼと天然基質の間で形成する確率を下げることによって、チロシンキナーゼの機能を変えることを指す。幾つかの実施形態において、チロシンキナーゼの阻害は、WO2005/012294;WO2003/048162;WO2003/048162;「Weinblatt et al., Arthritis Rheum., 2008, 58(11), 3309−3318」;「Cha et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 2006, 317(2), 571−578」;「Bajhat et al., Arthritis & Rheumatism, 2008, 58(5), 1433−1444」;及び「Brasselmann et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 2006, 319(3), 998−1008」に記載される方法を使用して評価されてもよい。
【0052】
用語「治療上許容可能な(therapeutically acceptable)」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性の無い患者の組織に接触する使用に適し、合理的な利点/リスクの比率と比例し、及びそれらの意図された使用に効果的な化合物(又は塩、プロドラッグ、互変異性体、両性イオンの形態など)を指す。
【0053】
用語「薬学的に許容可能な担体(pharmaceutically acceptable carrier)」、「薬学的に許容可能な賦形剤(pharmaceutically acceptable excipient)」、生理学的に許容可能な担体(physiologically acceptable carrier)」、又は生理学的に許容可能な賦形剤(physiologically acceptable excipient)」は、液体又は固形の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、又は封入材料などの薬学的に許容可能な材料、組成物、又はビヒクルを指す。各構成要素は、医薬製剤の他の成分と適合している意味で、「薬学的に許容可能」でなければならない。また、合理的な利点/リスクの比率と比例して、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又は他の問題又は合併症の無い、ヒト及び動物の組織又は器官に接触する使用に適していなければならない。「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition」;「Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005」;「Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Edition」;「Rowe et al., Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2005」;及び「Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Edition」;「Ash and Ash Eds., Gower Publishing Company: 2007」;「Pharmaceutical Preformulation and Formulation, Gibson Ed., CRC Press LLC: Boca Raton, FL, 2004」」を参照。
【0054】
用語「活性成分(active ingredient)」、「活性化合物(active compound)」、及び「活性物質(active substance)は、1以上の障害の症状を処置、予防、又は改善するために、被験体に単独で又は1以上の薬学的に許容可能な賦形剤又は担体と組み合わせて投与される化合物を指す。
【0055】
用語「薬物(drug)」、「治療薬(therapeutic agent)」、及び「化学療法薬(chemotherapeutic agent)は、1以上の障害の症状を処置、予防、又は改善するために、被験体に投与される、化合物、又はその医薬組成物を指す。
【0056】
用語「放出制御賦形剤(release controlling excipient)」は、主要な機能が、従来の即時放出剤形と比較して、投薬形態から活性物質を放出する期間又は場所を修正することである、賦形剤を指す。
【0057】
用語「非放出制御賦形剤(nonrelease controlling excipient)」は、主要な機能が、従来の即時放出剤形と比較して、投薬形態から活性物質を放出する期間又は場所を修正する工程を含まない賦形剤を指す。
【0058】
用語「プロドラッグ(prodrug)」は、本明細書に開示されるような化合物の化合物機能的な(compound functional)誘導体を指し、インビボの親化合物に容易に変換可能である。プロドラッグは、幾つかの状況において、親化合物よりも投与しやすいという理由から、しばしば有用である。プロドラッグは、例えば、経口投与により生物学的に利用可能であり得る一方で、親化合物はそうではない。プロドラッグはまた、親化合物を超える医薬組成物の高められた溶解度を有し得る。プロドラッグは、酵素法及び代謝の加水分解を含む、様々なメカニズムによって親薬物に変換され得る。「Harper, Progress in Drug Research 1962, 4, 221−294」;「Morozowich et al. in ”Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs,” Roche Ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1977」;「“Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design, Theory and Application,” Roche Ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1987」;「“Design of Prodrugs,” Bundgaard, Elsevier, 1985」;「Wang et al., Curr. Pharm. Design 1999, 5, 265−287」;「Pauletti et al., Adv. Drug. Delivery Rev. 1997, 27, 235−256」;「Mizen et al., Pharm. Biotech. 1998, 11, 345−365」;「Gaignault et al., Pract. Med. Chem. 1996, 671−696」;「Asgharnejad in “Transport Processes in Pharmaceutical Systems,” Amidon et al., Ed., Marcell Dekker, 185−218, 2000」;「Balant et al., Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 1990, 15, 143−53」;「Balimane and Sinko, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 183−209;「Browne, Clin. Neuropharmacol. 1997, 20, 1‐12; Bundgaard, Arch. Pharm. Chem. 1979, 86, 1‐39」;「Bundgaard, Controlled Drug Delivery 1987, 17, 179−96」;「Bundgaard, Adv. Drug Delivery Rev.1992, 8, 1‐38」;「Fleisher et al., Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 115‐130」;「Fleisher et al., Methods Enzymol. 1985, 112, 360−381」;「Farquhar et al., J. Pharm. Sci. 1983, 72, 324−325」;「Freeman et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1991, 875−877」;「Friis and Bundgaard, Eur. J. Pharm. Sci. 1996, 4, 49‐59」;「Gangwar et al., Des. Biopharm. Prop. Prodrugs Analogs, 1977, 409−421;「Nathwani and Wood, Drugs 1993, 45, 866−94」;「Sinhababu and Thakker, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 241−273」;「Stella et al., Drugs 1985, 29, 455−73」;「Tan et al., Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 117−151」;「Taylor, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 131−148」;「Valentino and Borchardt, Drug Discovery Today 1997, 2, 148−155」;「Wiebe and Knaus, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 63‐80」;「Waller et al., Br. J. Clin. Pharmac. 1989, 28, 497−507」を参照。
【0059】
本明細書に開示の化合物は、治療上許容可能な塩として存在し得る。本明細書に使用されるように、用語「治療上許容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」は、本明細書に定義されるように治療上許容可能である、本明細書に開示の化合物の塩又は両性イオンの形態を表わす。塩は、化合物の最終的な分離及び精製の間に、又は適切な化合物を適切な酸又は塩基と反応させることにより別々に調製され得る。治療上許容可能な塩は、酸及び塩基付加塩を含む。塩の調製及び選択のより十分な考察については、“Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, and Use,” Stah and Wermuth, Ed.;( Wiley−VCH and VHCA, Zurich, 2002) and Berge et al., J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1‐19を参照。
【0060】
薬学的に許容可能な塩の調製における使用に適切な酸は、限定されないが、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化されたアミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)−樟脳酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−二スルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコペプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタール酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸(pamoic acid)、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、糖酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、及び吉草酸を含む。
【0061】
薬学的に許容可能な塩の調製における使用に適切な塩基は、限定されないが、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、又は水酸化ナトリウムなどの無機塩基;及びL−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リジン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第二級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、及びトロメタミンを含む、第1級、第2級、第3級、及び第4級、脂肪族及び芳香族のアミンなどの有機塩基を含む。
【0062】
本発明の化合物が、未加工の化学物質として投与されることは可能であり得る一方で、それらを医薬組成物として与えることも可能である。従って、本明細書には、本明細書に開示される1以上の特定の化合物、またはその1以上の薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、または溶媒和物を、薬学的に許容可能な担体および随意に1以上の他の治療成分と一緒に含む、医薬組成物が提供される。適切な製剤は、選択される投与の経路に依存する。周知の技術、担体、及び賦形剤はどれも、適切なものとして、及び当該技術分野において、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesにおいて理解されるものとして、使用され得る。本明細書に開示される医薬組成物は、当該技術分野に公知の任意の方法で、例えば、従来の、混合、溶解、造粒、ドラゼー製法、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、又は圧縮のプロセスによって製造され得る。医薬組成物はまた、遅延放出、持続放出、徐放、パルス放出、制御放出、促進放出、および即時放出、標的放出、プログラム放出を含む、修正された放出剤形、および胃貯留の剤形として製剤され得る。これらの剤形は、当業者に公知の従来の方法と技術に従って調製され得る(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, supra; Modified−Release Drug Deliver Technology, Rathbone et al., Eds., Drugs and the Pharmaceutical Science, Marcel Dekker, Inc., New York, NY, 2002, Vol. 126を参照)。
【0063】
最も適切な経路は、例えば、レシピエントの疾病および障害に依存し得るが、組成物は、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、および髄内を含む)、腹腔内、口腔粘膜、経皮、直腸および局所(真皮、バッカル、舌下および眼内)の投与に適した組成物を含む。組成物は、ユニット剤形で好都合に与えられ得、薬学の技術分野に周知の方法のいずれかによって調製され得る。典型的に、これらの方法は、本発明の化合物またはその薬学的な塩、プロドラッグ、または溶媒和物(「活性成分」)を、1以上の副成分を構成する担体と関連させる工程を含む。一般に、組成物は、活性成分を、液体担体または微粉固体担体またはその両方を一律にかつ密接に関連させ、その後、必要であれば、生成物を所望の製剤に形作ることによって調製される。
【0064】
経口投与に適した本明細書に開示される化合物の製剤は、各々が活性成分の所定量を含んでいる、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別々のユニットとして、パウダーまたは果粒剤として、水性液または非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油の液状エマルションまたは油中水の液状エマルションとして与えられ得る。活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペースト剤として与えられ得る。
【0065】
経口に利用可能な医薬製剤は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤に加え、グリセロールまたはソルビトールなどの、ゼラチンおよび可塑剤で作られた軟カプセル剤、密閉カプセル剤を含む。錠剤は、随意に1以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られ得る。圧縮錠剤は、パウダーまたは果粒剤などの自由流動形態で、活性成分を適切な機械において圧縮することによって調製され得、結合剤、不活性希釈剤、または平滑剤、界面活性剤または分散剤と随意に混合される。湿製錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らされた粉末化合物の混合物を適切な機械において成型することにより作られ得る。錠剤は、随意にコーティングまたはスコア化され得、錠剤中に活性成分の遅効放出または制御放出を提供するように製剤され得る。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した用量であるべきである。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、スターチなどの結合剤、及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び随意に安定剤との混合によって、活性成分を含み得る。軟カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、液動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体において溶解又は懸濁され得る。さらに、安定剤が加えられ得る。ドラゼーコアは、適切なコーティングとともに提供される。この目的のために、濃縮された糖溶液が使用され得、これは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合液を随意に含み得る。色素又はピグメントは、識別のために、又は活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤又はドラゼーのコーティングに加えられ得る。
【0066】
化合物は、注射、例えば、大量注射または持続注入によって非経口投与のために製剤され得る。注入のための製剤は、ユニット剤形、例えば、アンプルまたは複数回用量の容器において、加えられた防腐剤とともに与えられ得る。組成物は、油性または水溶性のビヒクルにおいて、懸濁液、溶液またはエマルションのような形態をとり得、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含み得る。製剤は、単一用量または複数用量の容器、例えば密閉されたアンプルおよびバイアルにおいて与えられ得、使用の直前に、無菌の液体担体、例えば、塩性または無菌の発熱性物質のない水の付加のみを必要とする、粉末形態または冷凍乾燥(凍結乾燥)された状態で貯蔵され得る。即席の注射液および懸濁液は、以前に記載された種類の無菌の粉末剤、果粒剤および錠剤から調製され得る。
【0067】
非経口投与のための製剤は、指定されたレシピエントの血液によって製剤を等張性にする、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含み得る活性化合物の水性および非水性(油性)の無菌の注射溶液、および懸濁剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性の無菌の懸濁液を含む。適切な親油性溶媒又はビヒクルは、胡麻油などの脂肪油、オレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水溶性の注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、又はデキストランなどの、懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁液はまた、化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤を含み得、高濃縮溶液の調製を可能にする。
【0068】
以前に記載された製剤に加えて、化合物もデポ製剤として製剤され得る。このような長時間作用する製剤は、(例えば皮下または筋肉内の)注入または筋肉内注射によって投与され得る。したがって、例えば、化合物は、適切なポリマーまたは(例えば許容可能な油内でのエマルションのような)疎水性材料またはイオン交換樹脂によって、または難溶性の誘導体、例えば、難溶性の塩として製剤され得る。
【0069】
口腔内または舌下投与のために、組成物は、従来の方法で製剤された、錠剤、ロゼンジ、香錠、またはゲルの形態をとり得る。このような組成物は、蔗糖およびアカシアまたはトラガントなどの香料ベースの活性成分を含み得る。
【0070】
化合物はまた、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含む、坐剤または停留浣腸剤などの直腸の組成物において製剤され得る。
【0071】
本明細書に開示される特定の化合物は、局所的に、すなわち非全身性の投与によって投与され得る。これは、化合物が著しく血流に入らないように、表皮または口腔の外側への本明細書に開示される化合物の適用、および耳、目および鼻へのそのような化合物の注入を含む。対照的に、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内および筋肉内の投与を指す。
【0072】
局所投与に適した製剤は、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤またはペースト剤などの、皮膚を介する炎症の部位への浸透に適した液体または半液体の製剤、および目、耳または鼻への投与に適した点滴剤を含む。
【0073】
吸入による投与のために、化合物は、注入器、噴霧器で加圧したパック、またはエアゾルスプレー送達する他の好都合な手段から送達され得る。加圧したパックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスなどの適切な噴霧剤を含み得る。加圧したエアロゾルの場合において、投与ユニットは、測定された量を送達するための弁を提供することによって決定され得る。代わりに、吸入またはガス注入による投与のために、本発明による化合物は、乾燥粉組成物、例えば化合物の粉末混合の形態、およびラクトースまたはスターチなどの適切な粉末基剤の形態をとり得る。粉末組成物は、ユニット剤形において、例えば、カプセル剤、カートリッジ、ゼラチンまたはブリスターパックにおいて与えられ得、それらから粉末剤は、吸入器または注入器の助けで投与され得る。
【0074】
好ましいユニット投与の製剤は、本明細書の下記に詳述されるような有効量、またはその適切なわずかな活性成分を含む製剤である。
【0075】
化合物は、1日当たり0.1〜500mg/kgの用量で経口にまたは注射によって投与され得る。成人のヒトのための用量範囲は、一般に、5mg〜2g/日までである。別々のユニットで提供される錠剤または他の提示の形態は、そのような投与量で有効である、または多数の同様の量、例えば、通常約10mg〜200mgまでである、5mg〜500mgまでを含むユニットとして有効である1以上の化合物の量を、好都合に含み得る。
【0076】
単一の剤形をもたらすために担体物質と組み合わせられ得る活性成分の量は、処置される宿主および投与の特定の様式に依存して変化する。
【0077】
化合物は、様々な様式で、例えば、経口、局所、または注射によって投与され得る。患者に投与される化合物の正確な量は、担当する医師の責任となる。任意の特定の患者のための具体的な用量レベルは、利用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与の時間、投与の経路、分泌の速度、複合薬、処置されている正確な障害、および処置されている障害の重症度を含む、様々な要因に依存する。また、投与の経路は、障害およびその重症度に依存して変化し得る。
【0078】
患者の症状が改善しない場合、医者の判断に基づき、化合物の投与は、慢性的に、すなわち、患者の障害の症状を回復させる、またはそうでなくとも抑制または制限するために、患者の生涯を通した期間を含む、長期間の間投与され得る。
【0079】
患者の状態が改善する場合において、医者の判断に基づいて、化合物の投与は、継続的に与えられ得る、または一定時間の間一時的に停止され得る(即ち、「休薬期間」)。
【0080】
一旦患者の症状が改善すると、必要ならば維持量が投与される。続いて、投与の用量または頻度、またはその両方は、改善された障害が持続されるレベルまで、症状に応じて減らされ得る。しかしながら、患者は、症状が再発すると、長期的に間欠処置を必要とし得る。
【0081】
本明細書には、本明細書に開示されるような治療上有効な量の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグを、そのような障害を有するまたは有する疑いのある被験体に投与する工程を含む、チロシンキナーゼ媒介性の障害を処置する方法が開示される。
【0082】
チロシンキナーゼ媒介性の障害は、限定されないが、関節リウマチ、特発性血小板減少性紫斑病、固形腫瘍、B細胞リンパ腫、T細胞性リンパ腫、糸球体腎炎、溶血性貧血、急性骨髄性白血病、結腸直腸癌、肺非小細胞癌、頭頚部癌、肝臓癌、腎臓癌、クロム親和細胞腫、甲状腺癌、肝細胞性の癌、腎細胞癌、リンパ腫、アナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応、花粉症、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、粘膜の障害、組織障害、変形性関節症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、特発性の炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、結腸痙攣、軽度の瘢痕化、強皮症、線維症、ケロイド、手術後の瘢痕化、肺線維症、血管痙攣、偏頭痛、再潅流傷害、心筋梗塞後、複合乾燥症または乾燥症候群、肺筋肉の変化またはリモデリング、慢性閉塞性肺疾患、橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血の自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性精巣炎、グッドパスチャー病、自己免疫性血小板減少、交感性眼炎、重症筋無力症、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、慢性攻撃的肝炎、潰瘍性大腸炎および膜性糸球体症、紅斑性狼瘡、シェーグレン症候群、ライター症候群、多発性皮膚筋炎、全身性硬化症、結節性多発動脈炎、多発性硬化症、水疱性類天疱瘡、自己免疫性脱毛症、I型糖尿病、甲状腺炎、及び/又はチロシンキナーゼインヒビターの投与によって減少、緩和、または予防され得る任意の障害を含む。
【0083】
特定の実施形態において、チロシンキナーゼ媒介性の障害を処置する方法は、(1)化合物またはその代謝物質の血漿レベルの減少した個対間変動、(2)化合物の増加した平均血漿レベル、化合物の投与ユニットごとの少なくとも1つの代謝物質の減少した平均血漿レベル、(3)被験体における、少なくとも1つのシトクロムP450またはモノアミンオキシダーゼアイソフォームによる代謝物質の減少した阻害、及び/又は減少した代謝物質、(4)被験体における、少なくとも1つの多形的に発現されたシトクロムP450アイソフォームを介した減少した代謝物質、(5)少なくとも1つの統計学的に有意に改善された障害抑制及び/又は障害根絶のエンドポイント、(6)障害の処置の間の改善された臨床効果、(7)再発の予防、または主要な臨床的有用性としての異常な栄養性または肝臓のパラメーターの衰弱また出現の遅延、(8)対応する非同位体的に濃縮された化合物と比べた、任意の診断上の肝胆道機能エンドポイントの悪化の低減または除去に影響を与えるように、本明細書に開示されるような治療上有効な量の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグを、被験体に投与する工程を含む。
【0084】
特定の実施形態において、本明細書に開示されるような化合物、またはその代謝物質の血漿レベルの個対間変動は減少され、本明細書に開示されるような化合物の平均血漿レベルは増加され、本明細書に開示されるような化合物の代謝物質の平均血漿レベルは減少され、本明細書に開示されるような化合物によるシトクロムP450またはモノアミンオキシダーゼのアイソフォームの阻害は減少され、または、少なくとも1つの多形的に発現されたシトクロムP450のアイソフォームによる本明細書に開示されるような化合物の代謝物質は、対応する非同位体的に濃縮された化合物と比べて、約5%、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、または約50%以上減少される。
【0085】
本明細書に開示されるような化合物、またはその代謝物質の血漿レベルは、Li et al. Rapid Communications in Mass Spectrometry 2005, 19, 1943−1950, Sweeny et al., Drug Metab. Disp., 2010, 38(7), 1166−1176, and Sweeny et al., Xenobiotica, 2010, 40(6), 415−423.によって記載される方法を使用して測定され得る。
【0086】
哺乳類の被験体におけるシトクロムP450のアイソフォームの例は、限定されないが、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、およびCYP51を含む。
【0087】
哺乳類の被験体におけるモノアミンオキシダーゼのアイソフォームの例は、限定されないが、MAO、およびMAOを含む。
【0088】
シトクロムP450のアイソフォームの阻害は、Ko et al. (British Journal of Clinical Pharmacology, 2000, 49, 343−351)の方法によって測定される。MAOのアイソフォームの阻害は、Weyler et al. (J. Biol Chem. 1985, 260, 13199−13207)の方法によって測定される。MAOのアイソフォームの阻害は、Uebelhack et al. (Pharmacopsychiatry, 1998, 31, 187−192)の方法によって測定される。
【0089】
哺乳類の被験体における多形的に発現されたシトクロムP450のアイソフォームの例は、限定されないが、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6を含む。
【0090】
肝ミクロソーム、シトクロムP450のアイソフォーム、およびモノアミンオキシダーゼのアイソフォームの代謝活性は、本明細書に記載される方法によって測定される。
【0091】
改善された障害抑制及び/又は障害根絶のエンドポイントの例、または改善された臨床効果は、限定されないが、American College of Rheumatology20、50、または70(ACR20、ACR50、またはACR70[20%、50%、または70%の臨床的改善のためのACR基準])を含み、これは、圧痛関節数及び関節腫脹数における20%、50%、または70%の改善に加え、以下の5つのパラメーター:患者の全体的な評価、医師の全体的な評価、患者の疼痛の評価、障害の程度、および急性期反応体のレベル;Pauluの基準;画像所見の進行(radiographic progression);Sharpスコア;疼痛;CRPレベル;修正されたHealth Assessment Questionnaire [M−HAQ]スコア;患者および医師の全体的な評価;個々のACR基準成分の改善;28の関節のDisease Activity Score(DAS28);全体的な反応率;臨床的有用性;SELENA−SLEDAIスコアの改善;および医師の全体的な評価のスコア.WO 2008/064274;Weinblatt et al., Arthritis Rheum., 2008, 58(11), 3309−3318;およびwww.clinicaltrials.govのうちの3つにおける20%、50%、または70%の改善を必要とする。
【0092】
診断上の肝胆道機能エンドポイントの例は、限定されないが、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、血清グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」または「SGOT」)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ(「ALP」)、アンモニアレベル、ビリルビン、ガンマグルタミントランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、または「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝超音波検査、肝臓の核走査、5’−ヌクレオチダーゼ、および血液タンパク質を含む。肝胆道エンドポイントは、”Diagnostic and Laboratory Test Reference”, 4th edition, Mosby, 1999で与えられるような定められた正常レベルと比較される。これらのアッセイは、標準プロトコルに従って信用された研究所によって実行される。
【0093】
ヒトの処置のために有用であることに加えて、本明細書に開示される特定の化合物および製剤はまた、哺乳動物、齧歯類などを含む、コンパニオンアニマル、エキゾチックアニマルおよび家畜の獣医学的処置にも有用である。より好ましい動物は、馬、犬、および猫を含む。
【0094】
(併用療法)
本明細書に開示される化合物はまた、チロシンキナーゼ媒介性の障害の処置に有用な他の薬剤と組み合わせられ得るか、または組み合わされて使用され得る。あるいは、ほんの一例として、本明細書に記載される化合物の1つの治療効果は、アジュバントの投与によって高められ得る(すなわち、アジュバント自体は、最小の治療的有用性を有し得るだけであるが、別の治療剤と併用することで、患者に対する全体的な治療的有用性が高められる)。
【0095】
このような他の薬剤、アジュバント、または薬物は、経路によって、またそのために一般に使用される量で、本明細書に開示されるような化合物と同時にまたは連続して投与され得る。本明細書に開示されるような化合物が1つ以上の他の薬物で同時に使用されるとき、本明細書に開示される化合物に加えてこのような他の薬物を含む医薬組成物は、利用され得るが、必要ではない。
【0096】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、1以上のアルキル化剤、抗代謝薬剤、有糸分裂インヒビター、チロシンキナーゼインヒビター、トポイソメラーゼインヒビター、癌免疫療法のモノクローナル抗体、抗腫瘍の抗生物質、抗癌剤、非ステロイド性抗炎症剤、アニリド鎮痛薬、疾患修飾性抗リウマチ剤、グルココルチコイド、および免疫抑制剤と組み合わされ得る。
【0097】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、カルマスティン、ホテムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、BBR3464、ブスルファン、ダカルバジン、プロカルバジン、テモゾロミド、チオTEPA、およびウラマスチンから成る群から選択されるアルキル化剤と組み合わされ得る。
【0098】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、アミノプテリン、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、テガフール、カルモフール、カペシタビンおよびゲムシタビンから成る群から選択される抗代謝薬剤と組み合わされ得る。
【0099】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビンから成る群から選択される有糸分裂インヒビターと組み合わされ得る。
【0100】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、イマチニブ、BIBW−2992、BIBF−1120、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、ペリチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、およびスニチニブから成る群から選択されるチロシンキナーゼインヒビターと組み合わされ得る。
【0101】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、カンプトテシン、トポテカン、およびイリノテカンから成る群から選択されるトポイソメラーゼインヒビターと組み合わされ得る。
【0102】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、リツキシマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、およびトラスツズマブから成る群から選択される癌免疫療法のモノクローナル抗体と組み合わされ得る。
【0103】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、プリカマイシン、およびヒドロキシ尿素から成る群から選択される抗腫瘍の抗生物質と組み合わされ得る。
【0104】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、アムサクリン、アスパラギナーゼ、アルトレタミン、ヒドロキシカルバミド、ロニダミン、ペントスタチン、ミルテホシン、マソプロコール、エストラムスチン、トレチノイン、ミトグアゾン、トポテカン、チアゾフリン 、イリノテカン、アリトレチノイン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ベキサロテン、三酸化ヒ素、イマチニブ、デニロイキンジフチトクス、ボルテゾミブ、セレコキシブ、およびアナグレリドから成る群から選択される抗癌剤と組み合わされ得る。
【0105】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、アセクロフェナク、アセメタシン、アモキシプリン、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、コリンサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、エトラコキシブ、ファイスラミン、フェンブテン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メロキシカム、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルサリチル酸塩、スリンダク、スルフィンピラゾン、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸、およびトルメチンから成る群から選択される非ステロイド性抗炎症剤と組み合わされ得る
【0106】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、アセトアミノフェンおよびフェナセチンから成る群から選択されるアニリド鎮痛薬と組み合わされ得る。
【0107】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、アザチオプリン、シクロスポリンA、D−ペニシラミン、金塩、水酸化クロロキン、レフルノミド、メトトレキサート、ミノサイクリン、スルファサラジン、シクロホスファミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、アナキンラ、リツキシマブ、およびアバタセプから成る群から選択される疾患修飾性抗リウマチ剤と組み合わされ得る。
【0108】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、ベータメタゾン、フルチカゾン、トリアムシノロン、モメタゾン、シクレソニド、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニソロン、およびデキサメタゾンから成る群から選択されるグルココルチコイドと組み合わされ得る。
【0109】
特定の実施形態において、本明細書に開示される化合物は、フィンゴリモド、シクロスポリンA、アザチオプリン、デキサメタゾン、タクロリムス、シロリムス、ピメクロリムス、ミコフェノラート塩、エベロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、抗胸腺細胞グロブリン、抗リンパ球グロブリン、CTLA4IgG、およびCP−690550から成る群から選択される免疫抑制剤と組み合わされ得る。
【0110】
本明細書に開示される化合物はまた、限定されないが、アトモキセチンなどのノルエピネフリン再取込みインヒビター(NRI);メチルフェニデートなどの、ドーパミン再取込みインヒビター(DARI);ミルナシプランなどの、セロトニン−ノルエピネフリン再取込みインヒビター(SNRI);ジアゼパムなどの、鎮静剤;ブプロピオンなどの、ノルエピネフリン−ドーパミン再取込みインヒビター(NDRI);ベンラファキシンなどの、セロトニン−ノルエピネフリン−ドーパミン−再取込み−インヒビター(SNDRI);セレギリンなどの、モノアミンオキシダーゼインヒビター;視床下部のリン脂質;フォスフォラミドンなどの、エンドセリン変換酵素(ECE)インヒビター;トラマドールなどの、オピオイド;イフェトロバンなどの、トロンボキサン受容体アンタゴニスト;カリウムチャネル開口薬;ヒルジンなどの、トロンビンインヒビター;視床下部のリン脂質;PDGF活性のモジュレーターなどの成長因子インヒビター;血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y(AC)アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジンおよびCS−747)、およびアスピリンなどの、抗血小板剤;ワルファリンなどの、抗凝血剤;エノキサパリンなどの、低分子ヘパリン;Factor Vila InhibitorsおよびFactor Xa Inhibitors;レニンインヒビター;中性エンドペプチダーゼ(NEP)インヒビター;オマパトリラトおよびゲモパトリアトなどの、バソペプチダーゼインヒビター(デュアルNEP−ACEインヒビター);プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104(別名、イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)、またはニスバスタチン(nisbastatin))、および(ロスバスタチン、またはアトルバスタチン(atavastatin)またはビサスタチンとしても知られる)ZD−4522などの、HMG CoAリダクターゼインヒビター;スクアレンシンセターゼインヒビター;フィブラート;クエストランなどの、胆汁酸捕捉剤;ナイアシン;ACATインヒビターなどの、抗アテローム性動脈硬化剤;MTPインヒビター;ベシル酸アムロジピンなどの、カルシウムチャネル遮断薬;カリウムチャンネル活性化因子;アルファムスカリン性薬物;カルベジロールおよびメトプロロールなどの、ベータムスカリン性薬物;抗不整脈薬;クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンゾチアジド、エタクリン酸、チクリナフェン、クロルサリドン、フロセミド、ムゾリミン、ブメタニド、トリアムテレン、アミロライド、およびスピロノラクトンなどの、利尿剤;組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組み換えtPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、およびアニソイル化プラスミノゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC)などの、血栓溶解剤;ビグアニド(例えばメトホルミン)、グルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース)、インシュリン、メグリチニド(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブライド、およびグリピジド)、チアゾリジンジオン(例えばトログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、およびPPARガンマアゴニストなどの、抗糖尿病薬;スピロノラクトンおよびエプレレノンなどの、無機質コルチコイド受容体アンタゴニスト;成長ホルモン分泌促進因子;aP2インヒビター;PDE IIIインヒビター(例えば、シロスタゾール)およびPDE Vインヒビター(例えば、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル)などのホスホジエステラーゼインヒビター;タンパク質チロシンキナーゼインヒビター;抗炎症薬;メトトレキサート、FK506(タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノール酸モフェチルなどの、抗増殖剤;化学療法剤;免疫抑制剤;抗癌剤および細胞毒性薬剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、エチレンイミン、およびトリアゼンなどの、アルキル化剤);葉酸アンタゴニスト、プリンアナログ、およびピリジンアナログなどの、代謝拮抗剤;アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、およびプリカマイシンなどの、抗生物質;L−アスパラギナーゼなどの、酵素;ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター;グルココルチコイド(例えば、コルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、および黄体形成ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト、および酢酸オクトレオチドなどの、ホルモン剤;エクテイナシジンなどの、微小管かく乱剤;パシタキセル、ドセタキセル、およびエポチロン A−Fなどの、微小管安定剤;ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、およびタキサンなどの植物由来の生成物;およびトポイソメラーゼインヒビター;プレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター;及びシクロスポリン;プレドニゾンおよびデキサメタゾンなどの、ステロイド;アザチオプリンおよびシクロホスファミドなどの、細胞毒性薬物;テニダップなどの、TNF−アルファインヒビター;エタネルセプト、ラパマイシン、およびレフルノミドなどの、抗TNF抗体または可溶性のTNF受容体;およびセレコキシブおよびロフェコキシブなどの、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)インヒビター;およびヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、金化合物などの種々の薬剤、シスプラチン、サトラプラチン、およびカルボプラチンなどのプラチナ配位化合物を含む、他の種類の化合物と組み合わせて投与され得る。
【0111】
したがって、別の態様において、特定の実施形態は、処置を必要とするヒトまたは動物の被験体においてチロシンキナーゼ媒介の障害を処置するための方法を提供し、該処置は、当該技術分野に公知の前記障害の処置のための少なくとも1つの追加の薬剤と組み合わせて、被験体において前記障害を有効に低減または予防するために、本明細書に開示される化合物の量を前記被験体に投与する工程を含む。関連する態様において、特定の実施形態は、チロシンキナーゼを媒介性の障害の処置のために、1以上の追加の薬剤と組み合わせて、本明細書に開示される少なくとも1つの化合物を含む治療上の組成物を提供する。
【0112】
(化合物を調製するための一般的な合成方法)
同位体の水素は、重水素化した試薬を利用する合成技術(それによって取り込み率(incorporation rates)は予め決められる)によって;及び/又は交換技術(ここで、取り込み率は、平衡条件によって測定される)によって、本明細書に開示されるものとして化合物へ導入され得、反応条件に依存して非常に変わりやすくなり得る。トリチウムまたは重水素が既知の同位体の内容物のトリチウム化した又は重水素化した試薬によって直接および特別に挿入される、合成技術は、豊富な高いトリチウムまたは重水素を生み出し得るが、必要とされる化学検査によって限定され得る。交換技術は、他方で、より低いトリチウムまたは重水素の取り込みをもたらし得、しばしば、同位体は、分子上の多くの部位にわたって分散される。
【0113】
本明細書に開示されるような化合物は、当業者に公知の方法およびそれらの日常的な修正、及び/又は本明細書の実施例のセクションに記載される手順と同様の次の手順およびそれらの日常的な修正、及び/又はWO 2004/014382; WO 2005/012294; WO 2008/064274; WO 2006/078846; Gong et al., Bioorg. Med. Chem., 2009, 17, 3414−3425; Clauson−Hass et al., Acta Chem. Scand., 1969, 23, 2322−2324に見られる手順によって調製され得、これらは、それらの全体、およびそれらに言及される引用およびそれらの日常的な修正が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示されるような化合物はまた、次の模式図およびそれらの日常的な修正のいずれかにおいて示されるように調製され得る。
【発明を実施するための形態】
【0114】
次の模式図は、本発明を実行するために使用され得る。水素として示される任意の位置は、随意に重水素と置換され得る。
【0115】
【化4】

【0116】
【化5】

【0117】
化合物1を、高い温度で、オキシ塩化リンおよび亜リン酸ペンタクロリドの組み合わせなどの、適切な塩素化剤によって処置し、化合物2を得た。化合物2を、水とメタノールの混合物などの、適切な溶媒において、化合物3と反応させ、化合物4を得た。化合物4を、高い温度で、水とメタノールの混合物などの、適切な溶媒において、化合物5と反応させ、式Iの化合物6を得た。化合物6を、ジメチルホルムアミドなどの、適切な溶媒において、炭酸セシウムなどの、適切な塩基の存在下で化合物7と反応させ、化合物8を得た。化合物8を、高い温度で、酢酸と水の混合物などの、適切な脱保護試薬によって処置し、化合物9を得た。化合物9を、水などの、適切な溶媒において、水酸化ナトリウムなどの、適切な塩基と反応させ、式Iの化合物10を得た。
【0118】
重水素は、適切な重水素化の中間物を使用することによって、模式図Iに示されるような合成手順に従って、合成的に異なる位置に組み込まれ得る。例えば、Rで重水素を導入するために、対応する重水素で置換する化合物1が使用され得る。R−RおよびR11−R12の1以上の位置で重水素を導入するために、対応する重水素で置換する化合物3が使用され得る。R−RおよびR−Rの1以上の位置で重水素を導入するために、対応する重水素で置換する化合物5が使用され得る。R14−R15の1以上の位置で重水素を導入するために、対応する重水素で置換する化合物7が使用され得る。
【0119】
重水素は、プロトン−重水素の平衡交換を介して、アミンN−Hなどの交換可能なプロトンを有する様々な位置へ組み込まれ得る。例えば、R、R10、およびR13で重水素を導入するために、これらのプロトンは、当該技術分野に公知のプロトン−重水素の交換方法を介して、選択的にまたは非選択的に重水素と置換され得る。
【0120】
【化6】

【0121】
化合物11を、ジメチルスルホキシドなどの、適切な溶媒において、水素化ナトリウムなどの、適切な塩基の存在下で、化合物12と反応させ、化合物3を得た。
【0122】
重水素は、適切な重水素化の中間物を使用することにより、模式図IIに示されるような合成手順に従って、合成的に異なる位置へ組み込まれ得る。例えば、R11−R12で重水素を導入するために、対応する重水素で置換する化合物11が使用され得る。R−Rの1以上の位置で重水素を導入するために、対応する重水素で置換する化合物12が使用され得る。
【0123】
【化7】

【0124】
化合物13を、アセトンなどの、適切な溶媒において、炭酸カリウムなどの、適切な塩基の存在下で、化合物14と反応させ、化合物15を得た。化合物15を、エタノールと水の混合物などの、適切な溶媒において、水酸化ナトリウムなどの、適切な塩基によって処置し、化合物16を得た。化合物16を、酢酸などの、適切な溶媒において、硝酸などの、適切なニトロ化剤によって処置し、化合物17を得た。化合物17を、エタノールなどの、適切な溶媒において、ヒドラジン水化物と、炭素上のパラジウムなどの、適切な触媒の組み合わせなどの適切な還元剤によって処置し、化合物5を得た。
【0125】
重水素は、適切な重水素化の中間物を使用することにより、模式図IIIに示されるような合成手順に従って、合成的に異なる位置へ組み込まれ得る。例えば、R−Rで重水素を導入するために、対応する重水素で置換する化合物13が使用され得る。R−Rの1以上の位置で重水素を導入するために、対応する重水素で置換する化合物14が使用され得る。
【0126】
本発明は、以下の例によってさらに示される。すべてのIUPAC名は、CambridgeSoft’s ChemDraw 10.0を使用して生み出された。
【0127】
以下の化合物は、一般に上に記載される方法を使用して作られ得る。作られる時に、これらの化合物は、上記の実施例に記載される化合物に類似した活性を有することが予期される。
【0128】
【化8】

【0129】
【化9】

【0130】
【化10】

【0131】
【化11】

【0132】
【化12】

【0133】
【化13】

【0134】
【化14】

【0135】
【化15】

【0136】
【化16】

【0137】
本明細書に開示される化合物の代謝特性の変化は、それらの非同位体的に濃縮したアナログと比較して、以下のアッセイを使用して示され得る。まだ作られていない及び/又は試験されていない、上にリストされる化合物は、同様にこれらのアッセイの1以上によって示されるような、変化した代謝特性を有すると予想される。
【0138】
<生物学的活性のアッセイ>
(インビトロの肝臓ミクロソームの安定性アッセイ)
肝臓ミクロソームの安定性アッセイを、2%のNaHCO(2.2mMのNADPH、25.6mMのグルコース6−リン酸、1mL当たり6ユニットのグルコース‐6‐リン酸デヒドロゲナーゼおよび3.3mMのMgCl)中で、NADPH生成システムによって、1mL当たり1mgの肝臓ミクロソームタンパク質で行う。試験化合物を、20%のアセトニトリル−水中で溶液として調製し、アッセイの混合物(1mL当たり5マイクログラムの終末のアッセイ濃度)に加え、37℃でインキュベートする。アッセイ中のアセトニトリルの終末濃度は<1%であるべきである。アリコート(50μL)を、0、15、30、45、および60分の時間に取り出し、氷冷のアセトニトリル(200μL)で希釈し、反応を止めた。サンプルを、12,000RPMで10分間遠心分離にかけ、タンパク質を沈殿させた。上清を、微小遠心管に移動させ、試験化合物の分解半減期のLC/MS/MS分析のために保管する。
【0139】
(ヒトシトクロムP450酵素を使用するインビトロの代謝)
シトクロムP450酵素は、バキュロウィルス発現系(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して、対応するヒトcDNAから発現される。1ミリリットル当たり0.8ミリグラムのタンパク質、1.3ミリモルのNADP、3.3ミリモルのグルコース−6−フォスフェート、0.4U/mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、3.3ミリモルの塩化マグネシウムおよび0.2ミリモルの式Iの化合物、100ミリモルのリン酸カリウム(pH 7.4)中の対応する非同位体的に濃縮した化合物または標準または対照を含む、0.25ミリリットルの反応混合物を、37℃で20分間インキュベートする。インキュベーション後、反応は、適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、20%のトリクロロ酢酸、94%のアセトニトリル/6%の氷酢酸、70%の過塩素酸、94%のアセトニトリル/6%の氷酢酸)を加えることよって終了し、3分間遠心分離にかける(10,000g)。上清を、HPLC/MS/MSによって分析する。
【0140】
【表1】

【0141】
(モノアミンオキシダーゼA阻害および酸化交代(Oxidative Turnover))
その手順を、Weyler, Journal of Biological Chemistry 1985, 260, 13199−13207によって記載される方法を使用して行い、それはその全体が引用によって本明細書組み込まれる。モノアミンオキシダーゼA活性を、4−ヒドロキシキノリンの形成を有するキヌラミンの酸化による314nmでの吸収率の増加をモニタリングすることによって、分光測定で測定する。その測定を、0.2%のトリトンX−100を含む、50mMのNaPi緩衝液、pH 7.2(モノアミンオキシダーゼアッセイ緩衝液)に加えて、1mMのキヌラミン、および1mL全容積中の酵素の所望量において、30℃で行う。
【0142】
(モノアミンオキシダーゼB阻害および酸化交代)
その手順を、Uebelhack, Pharmacopsychiatry 1998, 31(5), 187−192に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0143】
(逆受身アルツス反応モデル)
その手順を、WO 2005/012294、WO 2008/064274、および2006/078846に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0144】
(動物毒性アッセイ)
その手順を、WO 2008/064274および2006/078846に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0145】
(FcεRI依存のマスト細胞活性化)
その手順を、WO 2008/064274および2006/078846に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0146】
(逆受身アルツス反応モデル)
その手順を、WO 2008/064274および2006/078846に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0147】
(コラーゲンの抗体誘発性の関節炎モデル)
その手順を、WO 2008/064274および2006/078846に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0148】
(コラーゲン誘発性の関節炎モデル)
その手順を、WO 2008/064274および2006/078846に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0149】
(経口のバイオアベイラビリティーアッセイ)
その手順を、WO 2008/064274および2006/078846に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0150】
(ヒト関節リウマチ試験)
その手順を、Weinblatt et al., Arthritis Rheum., 2008, 58(11), 3309−3318に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0151】
(マウス狼瘡モデル)
その手順を、Bajhat et al., Arthritis & Rheumatism, 2008, 58(5), 1433−1444に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0152】
(Sykキナーゼ阻害研究)
その手順を、Brasselmann et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 2006, 319(3), 998−1008に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0153】
(ホスタマチニブおよびR−406のヒト薬物動態研究)
その手順を、Sweeny et al., Drug Metab. Disp., 2010, 38(7), 1166−1176に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0154】
(カニクイザル中のホスタマチニブおよびR−406の薬物動態研究)
その手順を、Sweeny et al., Xenobiotica, 2010, 40(6), 415−423に記載されるように行い、それはその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
【0155】
前述の記載から、当業者は、本発明の本質的特質を容易に確認でき、およびその精神および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件にそれを適応させるために、本発明の様々な変更および修正を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式I
【化1】

又はその塩を有し、ここで:
−Rは、水素、重水素、−CH、−CHD、−CDH、及びCDから成る群から独立して選択され;
−Rは、−CH、−CHD、−CDH、及びCDから成る群から独立して選択され;
−R12及びR14−R15は、水素と重水素から成る群から独立して選択され;
13は、水素、重水素、及び以下の式から成る群から選択され;
【化2】

−R15の少なくとも1つは重水素である、又は重水素を含むことを特徴とする化合物。
【請求項2】
−R15の少なくとも1つが、約10%もの重水素濃縮を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
−R15の少なくとも1つが、約50%もの重水素濃縮を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
−R15の少なくとも1つが、約90%もの重水素濃縮を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
−R15の少なくとも1つが、約98%もの重水素濃縮を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、以下のものから成る群から選択される構造式を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【請求項7】
前記化合物が、以下のものから成る群から選択される構造式を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化11】

【化12】

【請求項8】
Dとして表わされる各々の位置が、約10%もの重水素濃縮を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Dとして表わされる各々の位置が、約50%もの重水素濃縮を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
Dとして表わされる各々の位置が、約90%もの重水素濃縮を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
Dとして表わされる各々の位置が、約98%もの重水素濃縮を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化13】

【請求項13】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化14】

【請求項14】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化15】

【請求項15】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化16】

【請求項16】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化17】

【請求項17】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化18】

【請求項18】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化19】

【請求項19】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化20】

【請求項20】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化21】

【請求項21】
前記化合物が、以下の構造式を有することを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【化22】

【請求項22】
薬学的に許容可能な担体と共に、請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項23】
治療上効果的な量の請求項1に記載の化合物を、それを必要とする患者に投与する工程を含む、チロシンキナーゼ媒介性の障害の処置方法。
【請求項24】
前記障害が、関節リウマチ、特発性血小板減少性紫斑病、固形腫瘍、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、糸球体腎炎、溶血性貧血、急性骨髄性白血病、大腸癌、非小細胞肺癌、頭頚部癌、肝臓癌、腎臓癌、褐色細胞腫、甲状腺癌、肝細胞癌、及び腎細胞癌から成る群から選択されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
追加の治療薬の投与をさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記追加の治療薬が、アルキル化剤、抗代謝薬剤、有糸分裂インヒビター、チロシンキナーゼインヒビター、トポイソメラーゼインヒビター、癌免疫療法のモノクローナル抗体、抗腫瘍の抗生物質、抗癌剤、非ステロイド性抗炎症剤、アニリド鎮痛薬、疾患修飾性抗リウマチ剤、グルココルチコイド、及び免疫抑制剤から成る群から選択されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記アルキル化剤が、クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、カルマスチン、ホテムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、BBR3464、ブスルファン、ダカルバジン、プロカルバジン、テモゾロミド、チオTEPA、及びウラマスチンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記抗代謝薬剤が、アミノプテリン、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、テガフール、カルモフール、カペシタビン、及びゲムシタビンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記有糸分裂インヒビターは、ドセタキセル、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、及びビノレルビンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記チロシンキナーゼインヒビターが、イマチニブ、BIBW−2992、BIBF−1120、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、ペリチニブ、ニロチニブ、ソラフェニブ、及びスニチニブから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記トポイソメラーゼインヒビターは、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、カンプトテシン、トポテカン、及びイリノテカンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記癌免疫療法のモノクローナル抗体が、リツキシマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、及びトラスツズマブから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記抗腫瘍の抗生物質が、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、プリカマイシン、及びヒドロキシ尿素から成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記抗癌剤が、アムサクリン、アスパラギナーゼ、アルトレタミン、ヒドロキシカルバミド、ロニダミン、ペントスタチン、ミルテホシン、マソプロコール、エストラムスチン、トレチノイン、ミトグアゾン、トポテカン、チアゾフリン、イリノテカン、アリトレチノイン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ベキサロテン、三酸化ヒ素、イマチニブ、デニロイキンジフチトクス、ボルテゾミブ、セレコキシブ、及びアナグレリドから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記非ステロイド性抗炎症剤は、アセクロフェナク、アセメタシン、アモキシプリン、アスピリン、アザプロパゾン、ベノリラート、ブロムフェナク、カルプロフェン、セレコキシブ、コリンサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、エトラコキシブ、ファイスラミン、フェンブテン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、ルミラコキシブ、メロキシカム、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メタミゾール、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、オキシフェンブタゾン、パレコキシブ、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サリチルサリチル酸塩、スリンダク、スルフィンピラゾン、スプロフェン、テノキシカム、チアプロフェン酸、及びトルメチンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記アニリド鎮痛薬が、アセトアミノフェン及びフェナセチンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記疾患修飾性抗リウマチ剤が、アザチオプリン、シクロスポリンA、D−ペニシラミン、金塩、水酸化クロロキン、レフルノミド、メトトレキサート、ミノサイクリン、スルファサラジン、シクロホスファミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、アナキンラ、リツキシマブ、及びアバタセプトから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記グルココルチコイドが、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、ベータメタゾン、フルチカゾン、トリアムシノロン、モメタゾン、シクレソニド、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニソロン、及びデキサメタゾンから成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記免疫抑制剤が、フィンゴリモド、シクロスポリンA、アザチオプリン、デキサメタゾン、タクロリムス、シロリムス、ピメクロリムス、ミコフェノラート塩、エベロリムス、バシリキシマブ、ダクリズマブ、抗胸腺細胞グロブリン、抗リンパ球グロブリン、CTLA4IgG、及びCP−690550から成る群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
請求項19に記載の方法であって、該方法は、
a.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記化合物又はその代謝物質の血漿レベルの減少した個対間変動;
b.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記化合物のその投与ユニットごとの増加した平均血漿レベル;
c.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記化合物のその投与ユニットごとの少なくとも1つの代謝物質の減少した平均血漿レベル;
d.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記化合物のその投与ユニットごとの少なくとも1つの代謝物質の増加した平均血漿レベル;及び
e.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、被験体におけるその投与ユニットごとの処置の間の改善された臨床効果、
から成る群から選択される、少なくとも1つの効果をさらにもたらすことを特徴とする、方法。
【請求項41】
請求項19に記載の方法であって、該方法は、
a.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記化合物又はその代謝物質の血漿レベルの減少した個対間変動;
b.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記化合物のその投与ユニットごとの増加した平均血漿レベル;
c.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記化合物のその投与ユニットごとの少なくとも1つの代謝物質の減少した平均血漿レベル;
d.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記化合物のその投与ユニットごとの少なくとも1つの代謝物質の増加した平均血漿レベル;及び
e.非同位体的に濃縮された化合物と比べた、被験体におけるその投与ユニットごとの処置の間の改善された臨床効果、
から成る群から選択される、少なくとも2つの効果をさらにもたらすことを特徴とする、方法。
【請求項42】
請求項19に記載の方法であって、該方法は、対応する非同位体的に濃縮された化合物と比べた、被験体における少なくとも1つの多形的に発現されたシトクロムP450のアイソフォームによる、化合物のその投与ユニットごとの減少した代謝物質に影響を及ぼすことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項43】
前記シトクロムP450のアイソフォームが、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、及びCYP2D6から成る群から選択されることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物が、非同位体的に濃縮された化合物と比べた、前記被験体におけるその投与ユニットごとの少なくとも1つのシトクロムP450又はモノアミンオキシダーゼアイソフォームの減少した阻害によって特徴付けられることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項45】
前記シトクロムP450又はモノアミンオキシダーゼアイソフォームは、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAO、及びMAOから成る群から選択されることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
請求項19に記載の方法であって、該方法は、対応する非同位体的に濃縮された化合物と比べた、診断上の肝胆道機能エンドポイントの悪化を減少することを特徴とする、方法。
【請求項47】
前記診断上の肝胆道機能エンドポイントが、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、血清グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」、「SGOT」)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ(「ALP」)、アンモニアレベル、ビリルビン、ガンマグルタミルトランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、「GGT」)、ロイシンアミノペプチターゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓超音波診断、肝臓の核走査、5’−ヌクレオチダーゼ、及び血液タンパク質から成る群から選択されることを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
薬として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項49】
チロシンキナーゼを阻害することによって改善される障害の予防又は処置のための薬の製造において使用されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−520501(P2013−520501A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555051(P2012−555051)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2011/025368
【国際公開番号】WO2011/106248
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512019697)オースペックス ファーマシューティカルズ,インク. (2)
【Fターム(参考)】