説明

チロシンキナーゼ阻害剤

本発明は、細胞増殖性疾患を治療するため、MET活性に関連する疾患を治療するため、及び受容体チロシンキナーゼMETを阻害するために有用である、4−インドール−3−イル−N−フェニルピリミジン−2−アミン誘導体に関する。本発明はまた、これらの化合物を含んでなる組成物、及び哺乳類において癌を治療するためにそれらを使用する方法にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チロシンキナーゼ、特に受容体チロシンキナーゼMETの阻害剤であり、かつ細胞増殖性疾患、例えば癌、過形成、再狭窄、心肥大、免疫疾患、及び炎症の治療において有用である、4−インドール−3−イル−N−フェニルピリミジン−2−アミン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、MET癌原遺伝子ファミリーのメンバー、受容体チロシンキナーゼのサブファミリーは、浸潤と転移との間の関連性に特別の注意を引いてきた。MET(c−Metとも呼ばれる)及びRON受容体を含め、METファミリーは、殆どのチロシンキナーゼと同様に、発癌遺伝子として機能し得る。METは、様々な悪性疾患において、過剰発現及び/又は突然変異されることが示されてきた。多くのMET活性化突然変異は、その多くがチロシンキナーゼドメインに局在するが、種々の固形腫瘍において検出されてきており、かつ腫瘍細胞の浸潤及び転移に関連づけられてきた。
【0003】
c−MET癌原遺伝子は、MET受容体チロシンキナーゼをコードしている。MET受容体は、190kDaのグリコシル化されたダイマー型の複合体であり、145kDaのベータ鎖へジスルフィド結合された50kDaのアルファ鎖から構成される。アルファ鎖は、細胞外で検出されるのに対し、ベータ鎖は細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ゾルドメインを含有する。METは前駆体として合成され、タンパク質分解的に切断されて、成熟型のアルファ及びベータサブユニットを生じる。それは、細胞−細胞相互作用に関与するリガンド−受容体ファミリー、セマフォリン及びプレキシンに構造上の類似性を示す。
【0004】
肝細胞成長因子(散乱因子、HGF/SFとしても知られる)によるMETの刺激は、結果として、多血という生物学的及び生化学的作用を細胞において生じることが知られている。c−Metシグナリングの活性化は、増殖、生存、血管形成、損傷治癒、組織再生、散乱、運動性、浸潤、及び分枝形態形成を含む広いアレイの細胞応答もたらし得る。HGF/METシグナリングはまた、軟骨、骨、血管、及びニューロンを含む、殆どの組織において検出される浸潤性増殖においても、重要な役割を果たす。
【0005】
様々なc−MET突然変異が、多数の固形腫瘍及びいくつかの血液学的悪性疾患において、充分に記載されてきた。プロトタイプ型c−MET突然変異の例は、遺伝性及び散発性のヒト乳頭状腎癌において見られる(シュミット(Schmidt,L.)ら著、「(Nat.Tenet.)」、1997年、第16巻、p.68−73;ジェファース(Jeffers,M.)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(Proc.Nat.Acad.Sci.)」、1997年、第94巻、p.11445−11500)。他の報告されたc−MET突然変異の例は、卵巣癌、小児肝細胞癌、転移性頭頸部扁平上皮細胞癌、及び胃癌を包含する。HGF/METは、アノイキス、懸濁誘導性のプログラムされた細胞死(アポトーシス)を、頭頸部扁平上皮細胞癌の細胞において阻害することが示されている。
【0006】
METシグナリングは、種々の癌、特に腎臓癌に関係づけられる。METと結腸直腸癌との間の関連性もまた確立されてきた。加えて、原発腫瘍に比較した場合、結腸直腸癌肝転移の70%が、METの過剰発現を示した。METはまた、グリア芽細胞腫にも関連づけられる。神経膠腫MET発現は、神経膠腫グレードと相互関係があり、ヒトの腫瘍標本の分析は、悪性神経膠腫が、低グレードの神経膠腫よりも7倍高いHGF含量をもつことを示した。多くの研究は、ヒト神経膠腫が、しばしばHGF及びMETを同時発現すること、及び、高レベルの発現が悪性の進行に関連づけられることを示してきた。さらに、インビトロ及びインビボの双方において、HGF−METがAktを活性化しかつ神経膠腫細胞系をアポトーシス死から防御し得ることが示された。
【0007】
RONは、METと類似の構造、生化学的特徴、及び生物学的性質を共有している。研究は、RONの過剰発現を、乳癌及び結腸直腸腺癌のかなりの部分において示してきたが、正常な乳腺上皮及び良性病変においては示していない。架橋実験は、RON及びMETが、細胞表面上で非共有結合性の複合体を形成し、かつ細胞内シグナリングにおいて協同作用することを示してきた。RON及びMET遺伝子は、卵巣癌細胞の運動性及び侵襲性において有意に同時発現される。このことは、これら2つの関連受容体の同時発現が、腫瘍の発症又は進行の間に、卵巣癌細胞に対し選択的な利点を与えるかもしれないことを示唆している。
【0008】
MET及び、発癌遺伝子としてのその機能については、最近いくつかの総説が出版された:「キャンサー・アンド・メタスタシス・レビュー(Cancer and Metastasis Review)」、2003年、第22巻、p.309−325;「ネイチャー・レビューズ/モレキュラー・セル・バイオロジー(Nature Reviews/Molecular Cell Biology)」、2003年、第4巻、p.915−925;「ネイチャー・レビューズ/キャンサー(Nature Reviews/Cancer)」、2002年、第2巻、p.289−300。
【0009】
JAK2は、タンパク質チロシンキナーゼのJANUSファミリーのメンバーであり、シグナル伝達分子における特定のチロシン残基のヒドロキシル基への、アデノシン三リン酸のガンマ−リン酸基転移を触媒する細胞質タンパク質チロシンキナーゼである。JAK2は、受容体及び酵素双方のリガンド誘導自己リン酸化後の、サイトカイン受容体の下流のシグナリングを媒介する。JAK2の主要な下流のエフェクターは、転写のシグナルトランスデューサー及びアクチベータ(STAT)タンパク質として知られる、転写因子のファミリーである。研究は、JAK2突然変異(JAK2V617F)の活性化と、いくつかの骨髄増殖性疾患との間の関連性を開示してきた。
【0010】
多くの腫瘍において、HGF/METシグナリングの異常調節が、腫瘍発生及び疾病進行の一因子として関係づけられてきたことから、この重要なRTK分子の治療的阻害に向けて、様々な戦略が研究されるべきである。HGF/METシグナリングに対する、またRON/METシグナリングに対する、特異的な低分子阻害剤は、浸潤性/転移性の表現型にMet活性が寄与している癌の治療のために、重要な治療的価値をもつ。かかる低分子の、HGF/METシグナリング及びRON/METシグナリングの阻害剤の、付加的なJAK2阻害活性もまた、利益をもたらすかもしれない。
【発明の開示】
【0011】
発明の要旨
本発明は、細胞増殖性疾患を治療するため、MET活性に関連する疾患を治療するため、及び受容体チロシンキナーゼMETを阻害するために有用である、4−インドール−3−イル−N−フェニルピリミジン−2−アミン誘導体に関する。本化合物はまた、JAK2チロシンキナーゼ活性に対し、予想外の阻害活性も示す。本発明化合物は、式I:
【0012】
【化1】

【0013】
によって例示されてよい。
【0014】
発明の詳細な記載
本化合物は、チロシンキナーゼ、特に受容体チロシンキナーゼMETの阻害において有用であり、かつ、式I:
【0015】
【化2】

【0016】
[式中、
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
nは、0、1、又は2であり;
pは、0、1、又は2であり;
Xは、NR又はSであり;
Yは、CH又はNであり;
1a及びR1bは、独立して、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、及びC−Cシクロアルキルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく、或いは
1a及びR1bは、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され;前記アルキル、アルケニル、アリール、及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、及びNR1011から選択され;前記アルキル基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、OH、−O−C1−6アルキル、−C(=O)C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
及びR5’は、独立して、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−C(=O)C1−6アルキル、−S(O)、及び−C(=O)NR1011、から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、アリール、及びNR1011から選択され;前記アルキル及びアリール基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cペルフルオロアルキル、O(C=O)NR1011、S(O)、S(O)NR1011、OS(=O)R、オキソ、CHO、(N=O)R1011、又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は,独立して、(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)ペルフルオロアルキル、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C=O)(C−C)シクロアルキル、(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C=O)(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、(C−C)アルキレン−COH、C(O)N(R1011、S(O)、及びS(O)NR1011から選択され;
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rb)から選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
10及びR11は、独立して、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO、及び(C=O)NRから選択され;前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;及び
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体により例示される。
【0017】
1つの実施態様においては、本発明化合物は、式II:
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
nは、0、1、又は2であり;
pは、0、1、又は2であり;
Xは、NR又はSであり;
1a及びR1bは、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され;前記アルキル、アルケニル、アリール、及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、及びNR1011から選択され;前記アルキル基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、OH、−O−C1−6アルキル、−C(=O)C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
及びR5’は、独立して、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−C(=O)C1−6アルキル、−S(O)、−C(=O)NR1011、から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、水素、及びC1−6アルキルから選択され;前記アルキル基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cペルフルオロアルキル、O(C=O)NR1011、S(O)、S(O)NR1011、OS(=O)R、オキソ、CHO、(N=O)R1011、又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてよく;
は,独立して、(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)ペルフルオロアルキル、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C=O)(C−C)シクロアルキル、(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C=O)(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、(C−C)アルキレン−COH、C(O)N(R1011、S(O)、及びS(O)NR1011から選択され;
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rb)から選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
10及びR11は、独立して、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、S(O)、及び(C=O)NRから選択され;前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;及び
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体により例示される。
【0020】
1つの実施態様においては、本発明化合物は、式III:
【0021】
【化4】

【0022】
[式中、
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
pは、0、1、又は2であり;
Xは、NR又はSであり;
1a及びR1bは、それらが結合する窒素と一緒になって、
【0023】
【化5】

【0024】
から選択される単環式ヘテロ環を形成し、前記単環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、OH、−O−C1−6アルキル、−C(=O)C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−C(=O)C1−6アルキル、−S(O)、−C(=O)NR1011、から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてよく;
は、独立して、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cペルフルオロアルキル、O(C=O)NR1011、S(O)、S(O)NR1011、OS(=O)R、オキソ、CHO、(N=O)R1011、又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は,独立して、(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)ペルフルオロアルキル、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C=O)(C−C)シクロアルキル、(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C=O)(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、(C−C)アルキレン−COH、C(O)N(R1011、S(O)、及びS(O)NR1011から選択され;
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
10及びR11は、独立して、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、S(O)、及び(C=O)NRから選択され;前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;かつ
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体により例示される。
【0025】
本発明化合物の具体的な例は、
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−[3−フルオロ−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]−4−(1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(4−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−[7−(4−フルオロフェニル)−1H−インドール−3−イル]−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−[4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェニル]−4−(1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(1H−インドール−3−イル)−N−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]ピリミジン−2−アミン;
4−(4,7−ジフルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
5−フルオロ−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
5−フルオロ−4−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5,7−ジフルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(6−クロロ−5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−[4−(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)フェニル]−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−[5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−3−イル]−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
5−フルオロ−4−(1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(1−ベンゾチエン−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−{4−[4−(シクロプロピルカルボニル)ピペラジン−1−イル]フェニル}−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[3−(ジメチルアミノ)−プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
2−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエタノール;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(4−メチルモルホリン−2−イル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−{4−[4−(1−オキシドイソニコチノイル)ピペラジン−1−イル]フェニル}ピリミジン−2−アミン;
3−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1,2−ジオール;
3−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1−オール;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[3−(1H−ピラゾール−1−イル)プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−[4−(4−{[1−(トリフルオロメチル)シクロブチル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)フェニル]ピリミジン−2−アミン;
4−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−4−オキソブタン−1−スルホンアミド;
3−{2−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−{4−[4−(3,3,3−トリフルオロ−2,2−ジメチルプロパノイル)ピペラジン−1−イル]フェニル}ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[(2R)−2−アミノ−2−シクロプロピルアセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5,7−ジフルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチルピペリジン−4−イル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(6−クロロ−5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[(3,3−ジフルオロシクロブチル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(2−メトキシエトキシ)アセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(2−N−アセチル−B−アラニニル)アセチル−1]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
3−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリル;
N−(4−{4−[(2S)−2−アミノ−2−シクロプロピルアセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
1−{[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}シクロプロパノール;
N−[4−(4−{[1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)フェニル]−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)−4−(5−フェニル−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル]−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−インドール−3−イル]−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)スルホニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)スルホニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシアミド;
2−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート;及び
4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルピペラジン−1−スルホンアミド;
又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体を包含する。
【0026】
本発明化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面(エリエル(E.L.Eliel)及びウィレン(S.H.Wilen)著、「ステレオケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Stereochemistry of Carbon Compounds)(炭素化合物の立体化学)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons)、ニューヨーク、1994年、p.1119−1190に記載されたような)を有してよく、またラセミ体、ラセミ混合物として、及び個々のジアステレオマーとして生じてもよく、光学異性体を含むその可能な異性体及びそれらの混合物とともに、かかる立体異性体の全てが本発明に包含される。加えて、本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在してもよく、一方の互変異性構造のみが描かれている場合でも、双方の互変異性体型が、本発明の範囲により包含されることを意図している。
【0027】
化学的に安定な化合物であり、かつ、容易に入手可能な出発物質から当該技術分野における技術上既知の方法により容易に合成可能である化合物を提供するため、1個以上の炭素原子の代わりに1個以上のケイ素(Si)原子が、当業者により本発明化合物に取込まれ得ることが理解される。炭素及びケイ素は、その共有結合半径において異なり、類似のC−エレメント及びSi−エレメントの結合を比較した場合、結合距離及び立体配置に差異をもたらす。これらの差異は、炭素に比較した場合、ケイ素含有化合物のサイズ及び形状に微妙な変化をもたらす。当業者は、サイズ及び形状の差異が、効力、可溶性、オフターゲット活性の欠如、パッケージング特性などにおいて、微妙な、又は劇的な変化をもたらし得ることを理解するであろう。(ディアス(Diass,J.O)ら著、「オルガノメタリクス(Organometallics)」、2006年、第5巻、p.1188−1198;ショーウエル(Showell,G.A.)ら著、「バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters)」、2006年、第16巻、p.2555−2558)。
【0028】
任意の構造において、任意の可変基(例えば、R、R、Rなど)が1回以上存在する場合、その存在ごとの定義は、異なる存在ごとに独立している。同様に、置換基及び変数の組合せは、かかる組合せが結果として安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。置換基から環系内へ引かれた直線は、示された結合が置換可能な任意の環原子へ結合されてよいことを表わしている。環系が多環である場合、結合は、近位の環のみの、任意の適当な炭素原子へ結合することを意図している。
【0029】
化学的に安定な化合物であり、かつ、容易に入手可能な出発物質から当該技術分野における技術上既知の方法により、並びに以下に示した方法により容易に合成可能である化合物を提供するため、本発明化合物上の置換基及び置換パターンが、当業者により選択され得ることが理解される。置換基がそれ自体1個以上の基によって置換されている場合には、結果として安定な構造を生じる限り、こうした多数の基が、同一の炭素又は異なる炭素上にあってもよいことが理解される。句「1個以上の置換基で置換されてもよい」は、句「少なくとも1つの置換基で置換されてもよい」と同等であると理解されるべきであり、かかる場合、もう1つの実施態様は、ゼロから3個までの置換基を有することができる。
【0030】
本明細書で用いる場合、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、分枝鎖及び直鎖双方の脂肪族飽和炭化水素基を包含することが意図される。例えば、「C−C10アルキル」におけるC−C10は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の炭素を、直線的又は分枝した配列中に有する基を包含することが意図される。例えば、「C−C10アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルなどを包含する。用語「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、単環式の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどを包含する。本発明の1つの実施態様においては、用語「シクロアルキル」は、すぐ上に記載された基を包含し、さらに、単環式の脂肪族不飽和炭化水素基を包含する。例えば、本実施態様に定義された「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、及びシクロブテニルなどを包含する。
【0031】
用語「アルキレン」は、特定の数の炭素原子を含有する、炭化水素ジラジカル基を意味する。例えば、「アルキレン」は、−CH−、及び−CHCH−などを包含する。
【0032】
句「C−Cアラルキル」及び「C−Cヘテロアラルキル」において使用される場合、用語「C−C」は、該基のアルキル部分を指し、該基のアリール及びヘテロアリール部分の原子数は記載していない。
【0033】
「アルコキシ」は、1つの酸素架橋を介して結合した、特定の数の炭素原子からなる環式又は非環式のアルキル基を表わす。それゆえ「アルコキシ」は、上記のアルキル及びシクロアルキルの定義を包含する。
【0034】
炭素原子の数が明記されていない場合、用語「アルケニル」は、2から10個までの炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合とを含有する、直鎖、分枝鎖、又は環式の、非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、4個までの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してもよい。したがって、「C−Cアルケニル」は、2から6個までの炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基は、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル、及びシクロヘキセニルを包含する。アルケニル基の直鎖、分枝鎖、又は環式の部分は、二重結合を含有してもよく、置換アルケニル基が指示される場合には置換されてもよい。
【0035】
用語「アルキニル」は、2から10個までの炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合とを含有する、直鎖、分枝鎖、又は環式の炭化水素基を指す。3個までの炭素−炭素三重結合が存在してもよい。したがって、「C−Cアルキニル」は、2から6個までの炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、及び3−メチルブチニルなどを包含する。アルキニル基の直鎖、分枝鎖、又は環式の部分は、三重結合を含有してもよく、置換アルキニル基が指示される場合には置換されてもよい。
【0036】
いくつかの例においては、置換基は、(C−C)アルキレン−アリールのように、ゼロを含むある範囲の炭素を用いて定義されてもよい。アリールがフェニルであると理解される場合、この定義はフェニル自体、並びに、−CHPh、−CHCHPh、及びCH(CH)CHCH(CH)Phなどを包含するであろう。
【0037】
本明細書で用いる場合、「アリール」は、各環に7個までの原子を含有する、任意の安定な単環式又は二環式の炭素環を意味することを意図しており、ここで少なくとも1つの環は芳香族である。かかるアリールエレメントの例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、及びビフェニルを包含する。アリール置換基が二環式であって、一方の環が非芳香族である場合、結合は芳香環を介することが理解される。
【0038】
本明細書で用いる場合、用語ヘテロアリールは、各環7個までの原子からなる、安定な単環式又は二環式の環を表わし、これにおいて、少なくとも1つの環は芳香族でありかつ、O、N、及びSからなる群より選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する。この定義の範囲内にあるヘテロアリール基は、制限されることなく:アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンを包含する。以下のヘテロ環の定義と同様に、「ヘテロアリール」はまた、任意の含窒素ヘテロアリールのN−オキシド誘導体を包含することが理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であり、かつ一方の環が非芳香族であるか又はヘテロ原子を含有しない場合、結合は各々、芳香環を介するか、又はヘテロ原子含有環を介することが理解される。
【0039】
本明細書で用いる場合、用語「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」は、O、N、及びSからなる群より選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する3〜10員の芳香族又は非芳香族ヘテロ環を意味することを意図しており、かつ二環基を包含する。それゆえ「ヘテロシクリル」は、上記記載のヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体を包含する。「ヘテロシクリル」のさらなる例は、制限されることなく以下の:アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキシエタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、及びそのN−オキシドを包含する。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介するか、又はヘテロ原子を介して生じ得る。
【0040】
1つの実施態様においては、本明細書で用いる用語「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」は、O、N、及びSからなる群より選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する5〜10員の芳香族又は非芳香族ヘテロ環を意味することを意図しており、かつ二環基を包含する。それゆえ、この実施態様においては「ヘテロシクリル」は、上記記載のヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体を包含する。「ヘテロシクリル」のさらなる例は、制限されることなく以下の:ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキシエタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、及びそのN−オキシドを包含する。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介するか、又はヘテロ原子を介して生じ得る。
【0041】
もう1つの実施態様においては、ヘテロ環は、2−アゼピノン、ベンゾイミダゾリル、2−ジアザピノン、イミダゾリル、2−イミダゾリジノン、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノン、2−ピリミジノン、2−ピロリジノン、キノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、及びチエニルから選択される。
【0042】
当業者に理解されるように、本明細書で用いる場合、「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを包含することを意図している。
【0043】
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル置換基は、他に特に定義されない限り、置換又は未置換であってよい。例えば、(C−C)アルキルは、モルホリニル及びピペリジニルなどのように、OH、オキソ、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はヘテロシクリルから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよい。この場合、1つの置換基がオキソであり、他がOHである場合には、以下のものが定義に包含される:
−C=O)CHCH(OH)CH、−(C=O)OH、及び−CH(OH)CHCH(O)など。
【0044】
同一炭素原子上の、定義内の2つのR又は2つのRが一緒になって、−(CH)u−を形成する場合に形成される基は、以下のものによって例示される:
【0045】
【化6】

【0046】
さらに、かかる環式基は、1又は2個のヘテロ原子を含有してもよい。かかるヘテロ原子含有環式基の例は、制限されることなく:
【0047】
【化7】

【0048】
を包含する。
【0049】
いくつかの例においては、R10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式のヘテロ環(各環において5〜7員)を形成可能であると定義され、前記ヘテロ環は、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよい。そのように形成し得るヘテロ環の例は、当該ヘテロ環がRから選択される1個以上(及びもう1つの実施態様では、1、2、又は3個)の置換基で置換されてもよいことに留意して、制限されことなく以下:
【0050】
【化8】

【0051】
を包含する。
【0052】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、YはCHである。
【0053】
式Iの1つの実施態様においては、R1a及びR1bは、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式のヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式のヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよい。
【0054】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、nは0である。
【0055】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、Rは、水素及びハロゲンから選択される。式Iの化合物のさらなる実施態様においては、Rは、水素及びフルオロから選択される。
【0056】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、pは0又は1であり、Rは、独立して、フルオロから選択される。
【0057】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、R5’は、水素である。
【0058】
式Iの化合物の1つの実施態様においては、Rは、水素及びC1−6アルキルから選択される。
【0059】
式IIの1つの実施態様においては、R1a及びR1bは、それらが結合する窒素と一緒になって、
【0060】
【化9】

【0061】
から選択される単環式ヘテロ環を形成し、前記単環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよい。
【0062】
式IIの1つの実施態様においては、nは0である。
【0063】
式IIの化合物の1つの実施態様においては、Rは、水素及びフルオロから選択される。
【0064】
式IIの化合物の1つの実施態様においては、pは0又は1であり、Rは、独立して、フルオロから選択される。
【0065】
式IIの化合物の1つの実施態様においては、Rは、水素である。
【0066】
式IIの化合物の1つの実施態様においては、pは0又は1であり、Rは、独立して、フルオロから選択される。
【0067】
本発明に包含されるのは、遊離型の式Iの化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び立体異性体である。本明細書に列挙された具体的な化合物のいくつかは、アミン化合物のプロトン化塩である。用語「遊離型」は、非塩型のアミン化合物を指す。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書に記載された具体的な化合物に代表される塩のみならず、遊離型の式Iの化合物の、全ての典型的な薬学的に許容される塩も包含する。記載された具体的な塩化合物の遊離型は、当該技術分野における技術上既知の方法を用いて単離されてよい。例えば、遊離型は、塩を、適当な希釈塩基水溶液、例えばNaOH、炭酸カリウム、アンモニア、及び炭酸水素ナトリウムの希釈水溶液を用いて処理することにより再生してもよい。遊離型は、極性溶媒中の溶解性のようないくつかの物理的性質が、個々の塩型と幾分異なってもよいが、本発明では、酸性及び塩基性塩はその個々の遊離型と他の点では薬学的に同等である。
【0068】
本化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性又は酸性基を含有する本発明化合物から、通常の化学的方法により合成可能である。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は、遊離塩基を、化学量論量の又は過剰の、所望の塩形性無機又は有機酸と、適当な溶媒又は種々の組合せの溶媒中で反応させることにより調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適当な無機又は有機塩基との反応によって形成される。
【0069】
したがって、本発明化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性の本発明化合物を、無機又は有機酸と反応させることにより形成される、本発明化合物の通常の非毒性塩を包含する。例えば、通常の非毒性塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸など)から誘導される塩、並びに、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、及びトリフルオロ酢酸など)から調製される塩を包含する。
【0070】
本発明化合物が酸性である場合、適当な「薬学的に許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む、薬学的に許容される非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛などの塩を包含する。特に好適な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級、及び第三級のアミンの塩;天然産置換アミンを含む置換アミンの塩;環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン トリプロピルアミン、及びトロメタミンなどの塩を包含する。本発明化合物が酸性である場合、用語「遊離型」は、酸性官能基がまだプロトン化されているような、その非塩型の化合物を指す。
【0071】
上記記載の薬学的に許容される塩、及び他の典型的な薬学的に許容される塩の調製は、バーグ(Berg)ら著、「ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(J.Pharm.Sci.)(ファーマシューティカル・ソルツ(Pharmaceutical Salts))」、1977年、第66巻、p.1−19により、さらに充分に記載されている。
【0072】
生理的条件下では、本発明化合物中の脱プロトン化された酸性成分、例えばカルボキシル基はアニオン性であってよく、この電子電荷が次に、プロトン化又はアルキル化された塩基性成分、例えば第四級窒素原子のカチオン性電荷に対し、内部でバランスがとられてもよいことから、本発明化合物が、潜在的に内部塩又は両性イオンであってよいこともまた注目されよう。内部的にバランス電荷を有しており、したがって分子間カウンターイオンと結合していない、単離された化合物もまた、「遊離型」の化合物であるとみなされてよい。
【0073】
スキーム及び実施例において使用されるいくつかの略語が、以下に定義される:
【0074】
【化10】

【0075】
本発明化合物は、文献において周知であるか又は実験法において例示された、他の標準的な操作に加えて、以下のスキームに示された反応を用いることにより調製されてよい。それゆえ以下の例証的なスキームは、リストされた化合物により、或いは、説明を目的として用いられた任意の特定の置換基により制限されない。スキームに示された置換基の番号付けは、クレームにおいて使用されたものと必ずしも相関せず、かつ、しばしば明確さのため、上記の式Iの定義下に多数の置換基が可能である場合、単一の置換基を化合物に結合して示している。
【0076】
スキーム
スキームAに示されたように、インドール環への2−置換ピリミジン基の取込みは、まず、保護されたインドールをその位置において選択的に臭素化すること、及びそれに続く、対応するボロン酸の形成により達成し得る。種々の置換2,4−ジクロロピリミジンに対するスズキカップリングは、中間体A−1を与える。中間体A−1は、多様なアミンと反応して、本化合物A−2を与える。XがSであるか又はYがNである式Iの化合物を調製するため、類似した一連の反応はまた、置換ベンゾチオフェン又は置換アザインドールを用いて開始してもよい。
【0077】
スキームBは、本化合物における、適宜置換されたピペリジンRの取込みを例示している。
【0078】
多様なR置換基が、スキームCに例示されたような、インドリル/ベンゾチオフェンボロン酸の形成に先立つスズキカップリングにより、本発明化合物中に取込まれてよい。XがSであるか又はYがNである式Iの化合物を調製するため、類似した一連の反応はまた、置換ベンゾチオフェン又は置換アザインドールを用いて開始してもよい。
【0079】
【化11】

【0080】
【化12】

【0081】
【化13】

【0082】
有用性
本発明化合物は、チロシンキナーゼ、特に受容体チロシンキナーゼに結合及び/又は活性調節するために有用である。1つの実施態様においては、受容体チロシンキナーゼは、METサブファミリーの一員である。さらなる実施態様においては、METはヒトMETであるが、他の生物からの受容体チロシンキナーゼの活性もまた、本発明化合物により調節してもよい。この文脈においては、調節は、METのキナーゼ活性を増大すること又は低減することを意味する。1つの実施態様においては、本発明化合物は、METのキナーゼ活性を阻害する。
【0083】
本発明化合物は、様々な適用に用途がある。当業者に理解されるように、METのキナーゼ活性は、種々の方法で調節してもよい:すなわち、当該タンパク質の最初のリン酸化を調節することによるか、又は当該タンパク質の別の活性部位の自己リン酸化を調節することにより、METのリン酸化/活性化に影響を及ぼすことができる。別法として、METのキナーゼ活性は、METリン酸化の基質結合に影響を及ぼすことにより調節してもよい。
【0084】
本発明のもう1つの実施態様は、野生型又は突然変異体JAK2チロシンキナーゼを阻害するための方法であって、治療上有効な量の、上記記載の任意の化合物又は任意の医薬組成物を哺乳類へ投与することを含んでなる、該方法を提供する。
【0085】
本発明のもう1つの実施態様は、JAK2V617Fチロシンキナーゼを阻害するための方法であって、治療上有効な量の、上記記載の任意の化合物又は任意の医薬組成物を哺乳類へ投与することを含んでなる、該方法を提供する。
【0086】
本発明化合物は、細胞増殖性疾患を治療又は予防するべく使用される。本明細書に提供された方法及び組成物により治療可能な疾病状態は、制限されることなく、癌(以下にさらに議論される)、自己免疫疾患、関節炎、移植拒絶、炎症性腸疾患、制限されることなく外科手術及び血管形成などを含む、医学的処置の後に誘導される増殖を包含する。いくつかの症例においては、細胞は高−又は低増殖状態(異常状態)にないが、なお治療を必要としてもよいことが理解される。したがって、1つの実施態様においては、本発明は、これらの疾患又は状態の任意の1つに苦しんでいるか、又は最終的に苦しむことになるかもしれない、細胞又は個体に対する適用を包含する。
【0087】
本明細書に提供された化合物、組成物、及び方法は、皮膚、乳、脳、子宮頸部の癌、精巣癌などといった、固形腫瘍を含む癌の治療及び予防のために、特に有用であると考えられる。1つの実施態様においては、本化合物は癌の治療のために有用である。特に、本発明の化合物、組成物、及び方法によって治療されてもよい癌は、制限されることなく: 心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫;:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、非小細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、直腸、結腸直腸、及び結腸;尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病、乳頭状腎癌)、膀胱及び尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛上皮腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄種、悪性巨細胞腫軟骨腫、(骨軟骨腫)(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び、巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘種、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚(子宮頚癌、前腫瘍性子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);血液系:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、脊髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、色素性異形成毋斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維種、ケロイド、乾癬;及び、副腎:神経芽細胞腫を包含する。したがって、本明細書に提供された、用語「癌性細胞」は、前文に定義された症状の任意の1つに苦しむ細胞を包含する。もう1つの実施態様においては、本発明化合物は、頭頸部扁平上皮細胞癌、組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膵臓癌、乳頭状腎癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、多発性骨髄腫、神経膠芽細胞腫、及び乳癌から選択される癌を、治療又は予防するために有用である。
【0088】
もう1つの実施態様においては、本発明化合物は、癌細胞及び癌の、転移の予防又は調節のために有用である。特に、本発明化合物は、卵巣癌、小児肝細胞癌、転移性頭頸部扁平上皮細胞癌、胃癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮頚癌、肺癌、鼻咽頭癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、及び肉腫の、転移を予防又は調節するために有用である。
【0089】
さらなる実施態様においては、本明細書に提供された化合物、組成物、及び方法は、骨髄増殖性疾患の治療のために有用である。治療されてよい骨髄増殖性疾患は、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板症(ET)、骨髄様化生を伴う骨髄線維症(MMM)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄単球性白血病(CMML)、過好酸性症候群(HES)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、及び全身性肥満細胞症(SMCD)を包含する。
【0090】
JAK2の阻害剤が、骨髄増殖性疾患の治療及び/又は予防において有用であることは、文献において知られている。例えば、テフェリ(Tefferi,A.)及びギリランド(Gilliland,D.G.)著、「メイヨー・クリニック・プロシーディングズ(Mayo Clin.Proc.)」、2005年、第80巻、第7号、p.947−958;フェルナンデス−ルナ(Fernandez−Luna,J.L.)ら著、「ヘマトロジカ(Haematologica)」、1998年、第83巻、第2号、p.97−98;ハリソン(Harrison,C.N.)著、「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ヘマトロジー(Br.J.Haematolo.)」、2005年、第130巻、第2号、p.153−165;「リューケミア(Leukemia)」、2005年、第19巻、p.1843−1844;及び、テフェリ(Tefferi,A.)及びバルブイ(Barubui,T.)著、「メイヨー・クリニック・プロシーディングズ」、2005年、第80巻、第9号、p.1220−1232参照。
【0091】
本発明化合物はまた、上記記載の疾患、特に癌の治療において有用な医薬品の調製においても有用である。
【0092】
本発明化合物は、ヒトを含む哺乳類に対し、単独で、又は、医薬組成物において、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤と組合せて、標準的薬学のプラクティスに従って投与してもよい。当該化合物は、経口的に、又は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経直腸、及び局所の投与経路を含め、非経口的に投与可能である。
【0093】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば、タブレット、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、又は、シロップ又はエリキシルであってよい。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための、当該技術分野における技術上既知の任意の方法により製造されてよく、かかる組成物は、医薬的にエレガントで美味な製剤を提供するため、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群より選ばれる1個以上の薬剤を含有してもよい。タブレットは、活性成分を、タブレットの製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、たとえば微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、たとえばデンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、又はアラビアゴム、及び潤滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクでよい。タブレットは、コートされていないか、又は既知の技術によりコートされて、薬剤の不快な味覚をマスクするか、又は、胃腸管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それにより、より長期間の持続作用を提供するようにしてもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース又はヒドロキシプロピルセルロースのような、水溶性の味マスキング物質か、又はエチルセルロース、セルロースアセテートブチレートのようなタイムディレイ物質を用いてもよい。
【0094】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が、不活性な固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合される硬ゼラチンカプセルとして、或は、活性成分が、ポリエチレングリコールのような水溶性担体か、又は油性媒体、たとえば、ラッカセイ油、流動パラフィン、又はオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセルとして提供してもよい。
【0095】
水性懸濁液は、活性物質を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含有する。かかる賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然産ホスファチド、たとえば、レシチンか、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えばヘプタデカエチレン−オキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタンでよい。水性懸濁液はまた、1種以上の保存剤、例えばエチル、又は、n−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1種以上の着色剤、1種以上の着香料、及び、スクロース、サッカリン、又はアスパルテームといった、1種上の甘味剤を含有してもよい。
【0096】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、又はヤシ油か、又は鉱物油、例えば流動パラフィン中に懸濁することにより製剤してもよい。油性懸濁液は、増粘剤、たとえば蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコールを含有してもよい。前文に示した甘味剤及び着香剤を、美味な経口製剤を提供するために添加してもよい。これらの組成物を、ブチル化ヒドロキシアニソール、又はアルファ−トコフェロールのような酸化防止剤の添加により、保存してもよい。
【0097】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、活性成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1種以上の保存剤との混合物において提供する。適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、既に前文に記載されたものにより例示される。付加的な賦形剤、例えば、甘味、着香、及び着色剤もまた存在してよい。これらの化合物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存してもよい。
【0098】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形状であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油又はラッカセイ油か、又は鉱物油、例えば流動パラフィンか、或はそれらの混合物でよい。適当な乳化剤は、天然産のホスファチド、例えば大豆レシチン、及び、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、及び、前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンでよい。エマルジョンはまた、甘味剤、着香剤、保存剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0099】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースを用いて製剤してもよい。かかる製剤はまた、粘滑薬、保存剤、着香剤、着色剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0100】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水溶液の形状でもよい。許容される担体及び溶媒の中でも、水、リンガー液、及び等張の塩化ナトリウム溶液を使用してよい。
【0101】
無菌の注射可能な製剤はまた、活性成分が油性相中に溶解されている、無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルジョンでよい。例えば、活性成分を、まず大豆油及びレシチンの混合物中に溶解してもよい。次に、油性溶液を、水及びグリセロール混合物中に投入して加工し、マイクロエマルジョンを形成する。
【0102】
注射可能な溶液又はマイクロエマルジョンは、局所のボーラス注射により、患者の血流中へ導入してもよい。別法として、溶液又はマイクロエマルジョンを、本化合物の一定の循環濃度を維持するような方法で投与することが有利であってよい。かかる一定濃度を維持する目的で、持続的な静脈内送達装置を利用してもよい。かかる装置の一例は、デルテック(Deltec)CADD−PLUSTMモデル5400静脈内ポンプである。
【0103】
医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与のための、無菌の注射可能な水性又は油脂性懸濁液の形状でもよい。この懸濁液は、当該技術分野における既知の方法により、上記記載の適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤を用いて製剤してもよい。無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の、無菌の注射可能な溶液又は懸濁液であってよい。さらに、無菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として便利に使用される。この目的のためには、合成モノ−又はジグリセリドを含め、任意の無刺激固定油を使用してよい。加えて、オレイン酸のような脂肪酸は、注射可能な製剤において用途がある。
【0104】
本発明化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形状で投与してもよい。これらの化合物は、薬物を、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、それゆえ直腸内では溶解して薬物を放出する、適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより製剤可能である。かかる物質は、カカオバター、グリセロゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを包含する。
【0105】
局所使用には、本発明化合物を含有する、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液、又は懸濁液などが用いられる(本出願では、局所適用は、マウスウォッシュ及びうがい剤を包含するものとする)。
【0106】
本発明の化合物は、適当な鼻腔内ビヒクル及び送達装置の局所的使用により鼻腔内に、或いは、当業者に周知の経皮パッチの形状のものを用いて経皮経路により投与可能である。経皮送達系の形状において投与するためには、用量投与は、むろん投薬レジメン全体を通して間欠的よりもむしろ連続的となるであろう。本発明化合物はまた、カカオバター、グリセロゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルといった基剤を用いた坐剤として送達してもよい。
【0107】
本発明化合物を利用する投薬レジメンは、タイプ、種、年齢、体重、性別、及び、治療される癌のタイプ;治療されるべき癌の重さ(すなわち病期);投与経路;患者の腎及び肝機能;及び、用いられる特定の化合物又はその塩、を含めた多様な因子によって選択可能である。熟練した医師又は獣医師は、疾患を治療するため、例えば予防するか、(完全に又は部分的に)阻害するか、又は進行を止めるために、必要な薬剤の有効量を容易に決定及び処方し得る。
【0108】
例えば、本発明化合物は、1000mgまでの合計1日用量で投与可能である。本発明化合物は、1日1回投与される(QD)か、又は、1日2回(BID)及び1日3回(TID)のように、複数の日用量に分けてもよい。本発明化合物は、1000mgまで、例えば、200mg、300mg、400mg、600mg、800mg、1000mgの合計1日用量で投与可能であり、これは上記記載のように、1日1回用量で投与されてよく、或いは複数の日用量に分けてもよい。
【0109】
さらに、投与は連続的、すなわち毎日か、又は断続的であることが可能である。本明細書で用いる用語「断続的」又は「断続的に」は、規則的又は不規則的な間隔で、停止すること及び開始することを意味する。例えば、本発明化合物の断続的な投与は、週当たり1〜6日の投与であってよく、又は周期的な投与(例えば、毎日投与を連続2〜8週間、次いで投与なしの休止期間を1週間まで)を意味してもよく、或いは1日おきの投与を意味してもよい。
【0110】
さらに、本発明化合物は、上記記載の任意のスケジュールに従って、数週間にわたり連続的に投与し、それに休止期を続けてもよい。例えば、本発明化合物は、上記記載の任意のスケジュールに従って、2から8週間まで、その後に1週間の休止期間を続けるか、或いは、100〜500mg用量での1日2回用量で、1週間に3〜5日にわたり投与してもよい。もう1つの特別の実施態様においては、本発明化合物は、1日3回、連続2週間にわたり投与し、その後に1週間の休止期間を続けてもよい。
【0111】
本化合物はまた、治療薬、化学療法薬、及び抗癌剤との併用においても有用である。本開示化合物と、治療薬、化学療法薬、及び抗癌剤との組合せは、本発明の範囲内である。かかる薬剤の例は、デビータ(V.T.Devita)及びヘルマン(S.Hellman)共編、「キャンサー・プリンシプルズ・アンド・プラクティス・オブ・オンコロジー(Cancer Principles and Practice of Oncology)(癌の原理及び腫瘍学のプラクティス)」、第6版、リピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス出版(Lippincott Williams&Wilkins Publishers)、2001年2月15日、において見出すことができる。当業者は、薬物及び関係する癌の、特定の性質に基づき、どの薬剤の組合せが有用となるかを識別することができるであろう。かかる抗癌剤は、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤及び他の血管形成阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤を包含する。本化合物は、放射線療法と同時投与された場合、特に有用である。
【0112】
「エストロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのエストロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレータの例は、制限されることなく、タモキシフェン、ラロキシフェン、ヨードキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646を包含する。
【0113】
「アンドロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのアンドロゲンの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレータの例は、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、及び酢酸アビラテロンを包含する。
【0114】
「レチノイド受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのレチノイドの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。かかるレチノイド受容体モジュレータの例は、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチンアミドを包含する。
【0115】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤」は、主として細胞の機能を直接妨害するか又は細胞有糸分裂を阻害又は妨害することにより、細胞死を引き起こすか又は細胞増殖を阻害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、成長因子及びサイトカインシグナリング伝達経路に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗物質、生物応答調節剤、ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、及びオーロラキナーゼ阻害剤を包含する。
【0116】
細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤の例は、制限なされることなく、セルテネフ、カケクチン、イフォスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキザリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、インプロスルファントシラート、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニル(diarizidinyl)スペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO00/50032参照)、Rafキナーゼ阻害剤(例えばBay43−9006)、及びmTOR阻害剤(例えばワイス(Wyeth’s)CCI−779)を包含する。
【0117】
低酸素活性化化合物の一例は、チラパザミンである。
【0118】
プロテオソーム阻害剤の例は、制限されることなく、ラクタシスチン及びMLN−341(ベルケード(Velcade))を包含する。
【0119】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオナート、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば米国特許第6,284,781及び6,288,237号参照)、及び、BMS188797を包含する。1つの実施態様においては、エポチロンは、微小管阻害剤/微小管安定化剤に包含されない。
【0120】
トポイソメラーゼラーゼ阻害剤のいくつかの例は、トポテカン、ハイカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−シャールトルーシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスファート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキシアミド、アスラクライン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロオキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキシアミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及び、ジメスナである。
【0121】
有糸分裂キネシン、及び特にヒト有糸分裂キネシンKSP、の阻害剤の例は、PCT
公開WO03/039460、WO03/050064、WO03/050122、WO03/049527、WO03/049679、WO03/049678、WO04/039774、WO03/079973、WO03/099211、WO03/105855、WO03/106417、WO04/037171、WO04/058148、WO04/058700、WO04/126699、WO05/018638、WO05/019206、WO05/019205、WO05/018547、WO05/017190、及びUS2005/0176776に記載されている。1つの実施態様においては、有糸分裂キネシンの阻害剤は、制限されることなく、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、及びRab6−KIFLの阻害剤を包含する。
【0122】
「ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤」の例は、制限されることなく、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98、及びスクリプタイドを包含する。他のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤に関するさらなる参考文献は、以下の文書に見出されてよい;ミラー(Miller,T.A.)ら著、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)」、2003年、第46巻、第24号、p.5097−5116。
【0123】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」は、制限されることなく、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼの阻害剤(PLK;特にPLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤、及びbub−R1の阻害剤を包含する。「オーロラキナーゼ阻害剤」の1つの例は、VX−680である。
【0124】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001、及び、代謝拮抗物質、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスファート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デキシラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、及び3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、及びトラスツズマブを包含する。
【0125】
モノクローナル抗体標的化治療薬の例は、癌細胞特異又は標的細胞特異モノクローナル抗体へ結合した、細胞傷害剤又は放射性同位元素を有する治療剤を包含する。例は、ベクサール(Bexxar)を包含する。
【0126】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。使用してもよいHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例は、制限されることなく、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR)(登録商標));米国特許第4,231,938、4,294,926、及び4,319,039号参照)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR)(登録商標));米国特許第4,444,784、4,820,850、及び4,916,239号参照)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL)(登録商標));米国特許第4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447、及び5,180,589号参照)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL)(登録商標));米国特許第5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946、及び5,356,896号参照)、及びアトルバスタチン(リピトール(LIPITOR)(登録商標));米国特許第5,273,995、4,681,893、5,489,691、及び5,342,952号参照)、及びセリバスタチン(リバスタチン及びバイコール(BAYCHOL)(登録商標))としても知られる;米国特許第5,177,080号参照)を包含する。これらの、及び、本方法において使用されてもよい付加的なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、ヤルパニ(M.Yalpani)著、「コレステロール・ロワリング・ドラッグズ(Cholesterol Lowering Drugs)(コレステロール低下薬)」、ケミストリー・アンド・インダストリー(Chemistry&Industry)、1996年2月5日、p.85−89の第87頁、及び、米国特許第4,782,084及び4,885,314号に記載されている。本明細書において用いる用語、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、全ての薬学的に許容されるラクトン及びオープン酸型(すなわち、ラクトン環が開裂されて遊離酸を形成する場合)、並びに、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する塩及びエステル型の化合物であり、それ故、かかる塩、エステル、オープン酸、及びラクトン型の使用は、本発明の範囲内に包含される。
【0127】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ酵素の任意の1つ又は任意の組合せを阻害する化合物を指し、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、及び、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、またRab GGPTアーゼとも呼ばれる)を包含する。
【0128】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の例は、以下の出版物及び特許に見出すことができる:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公開第0 618 221号、欧州特許公開第0 675 112号、欧州特許公開第0 604 181号、欧州特許公開第0 696 593号、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5,661,152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5,571,792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、及び米国特許第5,532,359号。血管新生に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の1つの例については、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー(European J.of Cancer)」、1999年、第35巻、第9号、p.13941401参照。
【0129】
「血管形成阻害剤」は、メカニズムにかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を指す。血管形成阻害剤の例は、制限されることなく、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、上皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来の成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン阻害剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、アスピリン及びイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)並びに、セレコキシブ及びロフェコキシブのような選択的シクロオキシ−ゲナーゼ−2阻害剤を含めた、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ」、1992年、第89巻、p.7384;「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスチチュート(JNCI)」、1982年、第69巻、p.475;「アーカイブズ・オブ・オフサルモロジー(Arch.Opthalmol.)」、1990年、第108巻、p.573;「ディ・アナトミカル・レコード(Anat.Rec.)」、1994年、第238巻、p.68;「フェブス・レターズ(FEBS Letters)」、1995年、第372巻、p.83;「クリニカル・オルソペディックス(Clin.Orthop.)」、1995年、第313巻、p.76;「ジャーナル・オブ・モレキュラー・エンドクリノロジー(J.Mol.Endocrinol.)」、1996年、第16巻、p.107;「ザ・ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Jpn.J.Pharmacol.)」、1997年、第75巻、p.105;「キャンサー・リサーチ」、1997年、第57巻、p.1625;「セル」、1998年、第93巻、p.705;「インターナショナル・ジャーナル・オブ・モレキュラー・メディズン(Intl.J.Mol.Med.)」、1998年、第2巻、p.715;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116)、ステロイド系抗炎症剤(例えばコルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(フェルナンデス(Fernandez)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・ラボラトリー・アンド・クリニカル・メディスン(J.Lab.Clin.Med.)」、1985年、第105巻、p.141−145参照)、及びVEGFに対する抗体(「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」、1999年10月、第17巻、p.963−968;キム(Kim)ら著、「ネイチャー」、1993年、第362巻、p.841−844;WO00/44777;及び、WO00/61186参照)を包含する。
【0130】
血管新生を調節又は阻害し、かつ本発明化合物と組合せて使用されてもよい他の治療薬は、凝固及び線溶系を調節又は阻害する薬剤を包含する(「クリニカル・ケミストリー・アンド・ラボラトリー・メディスン(Clin.Chem.La.Med.)」、2000年、第38巻、p.679−692の総説を参照)。凝固及び線溶経路を調節又は阻害するかかる薬剤の例は、制限されることなく、ヘパリン(「トロンボーシス・アンド・ヘモスタシス(Thromb.Haemost.)」、1998年、第80巻、p.10−23)、低分子ヘパリン、及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型のトロンビン活性化線溶抑制因子[TAFIa]の阻害剤としても公知)(「トロンボーシス・リサーチ(Thrombosis Res.)」、2001年、第101巻、p.329−354参照)を包含する。TAFIa阻害剤は、米国特許出願番号60/310,927(2001年8月8日出願)、及び60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0131】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを変換するプロテインキナーゼを阻害し、それにより癌細胞をDNA損傷剤に対し感受性化する化合物を指す。かかる薬剤は、ATR、ATM、CHK11及びCHK12キナーゼの阻害剤、及び、cdk及びcdcキナーゼ阻害剤を包含し、特に、7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(サイクラセル(Cyclacel))、及びBMS−387032に代表される。
【0132】
「受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤」は、RTKを、それ故、発癌及び腫瘍進行に関与するメカニズムを阻害する化合物を指す。かかる薬剤は、c−Kit、Eph、PDGF、Flt3、及びc−Metの阻害剤を包含する。さらなる薬剤は、ブーム・ジェンセン(Bume−Jensen)及びハンター(Hunter)著、「ネイチャー」、2001年、第411巻、p.355−365により記載された、RTKの阻害剤を包含する。
【0133】
「細胞増殖及び生存シグナリング経路の阻害剤」は、細胞表面受容体の下流のシグナル伝達カスケードを阻害する医薬品を指す。かかる薬剤は、セリン/スレオニンキナーゼ(制限されることなく、Aktの阻害剤、例えば、WO02/083064、WO02/083139、WO02/083140、US2004−0116432、WO02/083138、US2004−0102360、WO03/086404、WO03/086279、WO03/086394、WO03/084473、WO03/086403、WO2004/041162、WO2004/096131、WO2004/096129、WO2004/096135、WO2004/096130、WO2005/100356、WO2005/100344、US2005/029941、US2005/44294、US2005/43361、60/734188、60/652737、60/670469に開示されたものを包含する)、Rafキナーゼの阻害剤(例えばBAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)、mTORの阻害剤(例えばワイス(Wyeth)CCI−779)、及びPI3Kの阻害剤(例えばLY294002)を包含する。
【0134】
上記記載のように、NASAIDとの併用は、強力なCOX−2阻害剤であるNASAIDの使用に向けられている。本明細書では、NASAIDは、もしそれが細胞又はミクロゾームアッセイにより測定されるCOX−2の阻害について、1μM以下のIC50を有していれば効力がある。
【0135】
本発明はまた、選択的なCOX−2阻害剤である、NSAIDとの併用も包含する。本明細書では、選択的COX−2阻害剤であるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより評価される、COX−1のIC50に対するCOX−2のIC50の比率によって測定されるとき、少なくとも100倍の、COX−1に対するCOX−2阻害特異性を有するものとして定義される。かかる化合物は、制限されることなく、米国特許5,474,995、米国特許5,861,419、米国特許6,001,843、米国特許6,020,343、米国特許5,409,944、米国特許5,436,265、米国特許5,536,752、米国特許5,550,142、米国特許5,604,260、米国特許5,698,584、米国特許5,710,140、WO94/15932、米国特許5,344,991、米国特許5,134,142、米国特許5,380,738、米国特許5,393,790、米国特許5,466,823、米国特許5,633,272、及び米国特許5,932,598に開示されているものを包含し、これらは全て参考として本明細書に含まれる。
【0136】
本治療法において特に有用であるCOX−2の阻害剤は、3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;及び5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又は、その薬学的に許容される塩である。
【0137】
COX−2の特異的阻害剤として記載されており、それ故本発明において有用な化合物は、制限されることなく、以下の:パレコキシブ、ベクストラ(BEXTRA(登録商標))、及びセレブレックス(CELEBREX(登録商標))、又はその薬学的に許容される塩を包含する。
【0138】
血管形成阻害剤の他の例は、制限されることなく、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキシアミド、CM101、スクワラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスファート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホネート)、及び、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)を包含する。
【0139】
前記に使いたように、「インテグリン阻害剤」は、生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物、生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物、生理的リガンドの、αβインテグリン及びαβインテグリン双方への結合を拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物、及び、毛細血管内皮細胞上に発現された特定のインテグリンの活性を拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物を指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンのアンタゴニストも指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンの任意の組合せのアンタゴニストも指す。
【0140】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体的な例は、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキシアミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD121974を包含する。
【0141】
抗癌化合物以外の化合物との併用もまた、本方法に包含される。例えば、本願にクレームされた化合物と、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの併用は、いくつかの悪性疾患の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核のペルオキイゾーム増殖剤活性化受容体γ及びδである。PPAR−γの、内皮細胞上での発現及び、その血管新生における関与は、文献に報告されている(「ジャーナル・オブ・カルディオバスキュラー・ファーマコロジー(J.Cardiovasc.Pharmacol.)」、1998年、第31巻、p.909−913;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116−9121;「インベスティゲイティブ・オフサルモロジー・アンド・ビジュアル・サイエンス(Invest.Ophthalmol Vis.Sci.)」、2000年、第41巻、p.2309−2317参照)。より最近では、PPAR−γアゴニストが、VEGFに対する血管新生応答をインビトロで阻害することが開示された;トログリタゾン及びマレイン酸ロシグリタゾンの双方は、マウスにおいて、網膜血管新生の発生を阻害する(「アーカイブズ・オブ・オフサルモロジー」、2001年、第119巻、p.709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例は、制限されることなく、チアゾリジンジオン(例えばDRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、及びピオグリタゾン)、フェノフィブラート、ゲンフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN 09/782,856に開示された)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN 60/235,708及び60/244,697に開示された)を包含する。
【0142】
本発明の別の実施態様は、癌の治療のための、遺伝子療法と組合せた本開示化合物の使用である。癌を治療するための遺伝学的戦略の概要に関しては、ホール(Hall)ら(「アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(Am.J.Hum,Genet.)」、1997年、第61巻、p.785−789)、及びクーフェ(Kufe)ら(「キャンサー・メディスン(Cancer Medicine)(癌医療)」、第5版、BCデッカー(Decker)、ハミルトン、2000年、p.876−889)を参照のこと。遺伝子療法は、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達するために使用可能である。かかる遺伝子の例は、制限されることなく、組換えウイルス媒介性の遺伝子導入により送達可能であるp53(例えば、米国特許第6,069,134号参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(「Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice(uPA/uPARアンタゴニストのアデノウイルス媒介送達は、血管新生依存性の腫瘍増殖及び播種をマウスにおいて抑制する)」、ジーン・セラピー(Gene Therapy)、1998年8月、第5巻、第8号、p.1105−13)、及びインターフェロンガンマ(「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)」、2000年、第164巻、p.217−222)を包含する。
【0143】
本発明化合物はまた、生来多剤耐性(MDR)、特に、高レベルのトランスポータタンパク質の発現に関与しているMDR、の阻害剤と併用して投与されてもよい。かかるMDR阻害剤は、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤、例えばLY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853、及びPSC833(バルスポダール)を包含する。
【0144】
本発明化合物は、本発明化合物の、単独の又は放射線療法との使用の結果として生じるかもしれない急性、遅発性、遅延相、及び予測性嘔吐を含めた、悪心又は嘔吐を治療するための、抗嘔吐薬と一緒に用いられてもよい。嘔吐の予防又は治療のためには、本発明化合物は、他の抗嘔吐薬、特にニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン、GABAB受容体アゴニスト、例えばバクロフェン、コルチコステロイド、例えばデカドロン(Decadron)(デキサメタゾン)、ケナログ(Kenalog)、アリストコート(Aristocort)、ナサライド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は他の、米国特許第2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326、及び3,749,712号に開示されたもの、抗ドーパミン作動薬、例えばフェノチアジン類(例えばプロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、及びメソリダジン)、メトクロプラマイド、又はドロナビノールと一緒に使用されてもよい。もう1つの実施態様においては、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選ばれる抗嘔吐薬との併用療法が、本化合物の投与の結果として生じるかもしれない嘔吐の治療又は予防用に開示されている。
【0145】
本発明化合物との併用使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339、5,232,929、5,242,930、5,373,003、5,387,595、5,459,270、5,494,926、5,496,833、5,637,699、5,719,147号;欧州特許公開番号EP 0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、0 536 817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 152、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632、及び0 776 893;PCT国際特許公開番号WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942、及び97/21702;及び英国特許公開番号2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 169、及び2 302 689に充分に記載されている。かかる化合物の調製は、上述の特許及び出版物において充分に記載されており、それらは参考として本明細書に含まれている。
【0146】
1つの実施態様においては、本発明化合物との併用使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又は、その薬学的に許容される塩から選ばれ、それは、米国特許第5,719,147号に記載されている。
【0147】
本発明化合物はまた、貧血症の治療において有用な薬剤とともに投与されてよい。かかる貧血症治療薬は、例えば、持続性の(赤血球生成)受容体活性化剤(例えばエポエチン・アルファ)である。
【0148】
本発明化合物はまた、好中球減少症の治療において有用な薬剤とともに投与されてよい。かかる好中球減少症治療薬は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のような、好中球の産生及び機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの例は、フィルグラスチムを包含する。
【0149】
本発明化合物はまた、レバミソール、イソプリノシン、及びザダキシン(Zadaxin)のような、免疫強化薬とともに投与されてもよい。
【0150】
本発明化合物はまた、ビスホスホネート(ビスホスホナート、ジホスホナート、ビスホスホン酸、及びジホスホン酸を包含すると理解される)と併用して、骨癌を含む癌の治療又は予防のために有用であってよい。ビホスホネートの例は、制限されることなく:エチドロネート(ダイドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレディア(Aredia))、アレンドロネート(フォサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート(piridronate)、及びチルドロネートを包含し、任意の及び全ての、その薬学的に許容される塩、誘導体、水和物、及び混合物を包含する。
【0151】
本発明化合物はまた、アロマターゼ阻害剤と組合せて、乳癌を治療又は予防するために有用であってもよい。アロマターゼ阻害剤の例は、制限されることなく、アナストロゾール、レトロゾール、及びエキセメスタンを包含する。
【0152】
本発明化合物はまた、siRNA治療薬との併用において、癌を治療又は予防するために有用であってよい。
【0153】
本発明化合物はまた、γ−セクレターゼ阻害剤、及び/又はNOTCHシグナリングの阻害剤と併用して投与してもよい。かかる阻害剤は、WO01/90084、WO02/30912、WO01/70677、WO03/013506、WO02/36555、WO03/093252、WO03/093264、WO03/093251、WO03/093253、WO2004/039800、WO2004/039370、WO2005/030731、WO2005/014553、USSN10/957,251、WO2004/089911、WO02/081435、WO02/081433、WO03/018543、WO2004/031137、WO2004/031139、WO2004/031138、WO2004/101538、WO2004/101539、及びWO02/47671(LY−450139を含む)に記載されている化合物を包含する。
【0154】
本発明化合物はまた、PARP阻害剤との併用において、癌の治療又は予防のために有用であってよい。
【0155】
本発明化合物はまた、以下の治療薬:アバレリックス(プレナキシス・デポ(Plenaxis depot)(登録商標));アルデスロイキン(プロカイン(Prokine)(登録商標));アルデスロイキン(プロロイキン(Proleukin)(登録商標));アレムツズマブ(キャンパス(Campath)(登録商標));アリトレチノイン(パンレチン(Panretin)(登録商標));アロプリノール(ザイロプリム(Zyloprim)(登録商標));アルトレタミン(ヘキサレン(Hexalen)(登録商標));アミフォスチン(エチヨル(Ethyol)(登録商標));アナストロゾール(アリミデックス(Arimidex)(登録商標));三酸化ヒ素(トリセノックス(Trisenox)(登録商標));アスパラギナーゼ(エルスパル(Elspar)(登録商標));アザシチジン(ビダザ(Vidaza)(登録商標));ベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標));ベキサロテン・カプセル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ベキサロテン・ゲル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ブレオマイシン(ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標));ボルテゾミブ(ベルケード(Velcade)(登録商標));ブスルファン・静脈内(ブスルフェックス(Busulfex)(登録商標));ブスルファン・経口(マイレラン(Myleran)(登録商標));カルステロン(メトサーブ(Methosarb)(登録商標));カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin)(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(グリアデル(Gliadel)(登録商標));インプラント型ポリフェプロサン20カルムスチン(グリアデル・ウエファー(Gliadel Wafer)(登録商標));セレコキシブ(セレブレックス((Celebex)(登録商標));セツキシマブ(アービタックス(Erbitux)(登録商標));クロランブシル(ロイケラン(Leukeran)(登録商標));シスプラチン(プラチノール(Platinol)(登録商標));クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(クロラール(Clolar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)(登録商標)、ネオサール(Neosar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン注射薬(Cytoxan Injection)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン・タブレット(Cytoxan Tablet)(登録商標));シタラビン(サイトサール−U(Cytosar−U)(登録商標));リポソーム化シタラビン(DepoCyt(登録商標));デカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(コスメゲン(Cosmegen)(登録商標));ダルベポエチン・アルファ(アラネスプ(Arnesp)(登録商標));リポソーム化ダウノルビシン(ダウノゾーム(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(ダウノルビシン(Daunorubicin)(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(セルビジン(Cerbidine)(登録商標));デニロイキン・ディフィトックス(オンタック(Ontak)(登録商標));デクスラゾキサン(ザインカード(Zinecard)(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(Taxotere)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS(Adriamycin PFS)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射薬(Adriamycin PFS Injection)(登録商標));リポソーム化ドキソルビシン(ドキシル(Doxil)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(ドロモスタノロン(DROMOSTANOLONE)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(マステロン注射薬(MASTERONE INJECTION)(登録商標));エリオットのB溶液(エリオットのB溶液(Elliott’s B Solution)(登録商標));エピルビシン(エレンス(Ellence)(登録商標));エポエチン・アルファ(エポジェン(epogen)(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(登録商標));エストラムスチン(Emcyte(登録商標));エトポシドリン酸塩(エトフォス(Etopophos)(登録商標));エトポシド、VP−16(ベペシド(Vepesid)(登録商標));エキセメスタン(アロマシン(Aromasin)(登録商標));フィルグラスチム(ノイポゲン(Neupogen)(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(フルダラ(Fludara)(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(アドルシル(Adrucil)(登録商標));フルベストラント(ファスロデックス(Faslodex)(登録商標));ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(登録商標));ゲムシタビン(ゲムザール(Gemzar)(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(マイロターグ(Mylotarg)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス・インプラント(Zoladex Implant)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス(Zoladex)(登録商標));ヒストレリン酢酸塩(ヒストレリン・インプラント(Histrelin implant)(登録商標));ヒドロキシウレア(ハイドレア(Hydrea)(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(ゼヴァリン(Zevalin)(登録商標));イダルビシン(イダマイシン(Idamycin)(登録商標));イフォスファミド(IFEX(登録商標));イマチニブメシル酸塩(グリベック(Gleevec)(登録商標));インターフェロンアルファ2a(ロフェロンA(Roferon A)(登録商標));インターフェロンアルファ−2b(イントロンA(Intron A)(登録商標));イリノテカン(カンプトサール(Camptosar)(登録商標));レナリドマイド(レブリミド(Revlimid)(登録商標));レトロゾール(フェマーラ(Femara)(登録商標));ロイコボリン(ウェルコボリン(Wellcovorin)(登録商標)、ロイコボリン(Leucovorin)(登録商標));酢酸ロイプロリド(エリガード(Eligard)(登録商標));レバミソール(エルガミゾール(Ergamisol)(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン・ナイトロジェンマスタード(マスタルゲン(Mustargen)(登録商標));酢酸メゲストロール(メゲース(Megace)(登録商標));メルファラン、L−PAM(アルケラン(Alkeran)(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(プリネトール(Purinethol)(登録商標));メスナ(メスネックス(Mesnex)(登録商標));メスナ(メスネックス錠(Mesnex tabs)(登録商標));メトトレキサート(メトトレキセート(Methotrexate)(登録商標));メトキサレン(ウヴァデクス(Uvadex)(登録商標));マイトマイシンC(ミュータマイシン(Mutamycin)(登録商標));ミトタン(リソドレン(Lysodren)(登録商標));ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone)(登録商標));フェンプロピオン酸ナンドロロン(デュラボリン−50(Durabolin−50)(登録商標));ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標));ノフェツモマブ(ヴァールマ(Verluma)(登録商標));オプレルベキン(ニューメガ(Neumega)(登録商標));オキサリプラチン(エロキサチン(Eloxatin)(登録商標));パクリタキセル(パクセン(Paxene)(登録商標));パクリタキセル(タキソール(Taxol)(登録商標));パクリタキセル・タンパク質結合粒子(アブラキサン(Abraxane)(登録商標));パリフェルミン(ケピバンス(Kepivance)(登録商標));パミドロネート(アレディア(Aredia)(登録商標));ペグアデマーゼ(アダジェン(Adagen)(ウシ・ペグアデマーゼ(Pegademase Bovine))(登録商標));ペグアスパラガーゼ(オンキャスパー(Oncaspar)(登録商標));ペグフィルグラスチム(ニューラスタ(Neulasta)(登録商標));ペメトレキセド2ナトリウム(アリムタ(Alimta)(登録商標));ペントスタチン(ナイペント(Nipent)(登録商標));ピポブロマン(バーサイト(Vercyte)(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(ミトラシン(Mythracin)(登録商標));ポルフィマー・ナトリウム(フォトフリン(Photofrin)(登録商標));プロカルバジン(マツラン(Matulane)(登録商標));キナクリン(アタブリン(Atabrine)(登録商標));ラスブリカーゼ(エリテック(Elitek)(登録商標));リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(登録商標));サルグラモスチン(リューカイン(Leukine)(登録商標));サルグラモスチン(プロカイン(Prokine)(登録商標));ソラフェニブ(ネクサバール(Nexavar)(登録商標));ストレプトゾシン(ザノサール(Zanosar)(登録商標));スニチニブ・マレイン酸塩(スーテント(Sutent)(登録商標));タルク(スクレロゾール(Sclerosol)(登録商標));タモキシフェン(ノルバデックス(Nolvadex)(登録商標));テモゾロミド(テモダール(Temodar)(登録商標));テニポシド、VM−26(ヴァモン(Vumon)(登録商標));テストラクトン(テスラク(Teslac)(登録商標));チオグアニン、6−TG(チオグアニン(Thioguanine)(登録商標));チオテパ(チオプレックス(Thioplex)(登録商標));トポテカン(ハイカムチン(Hycamtin)(登録商標));トレミフェン(フェアストン(Fareston)(登録商標));トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トシツモマブ/I−131 トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トラツズマブ(ハーセプチン(Herceptin)(登録商標));トレチノイン、ATRA(ベサノイド(Vesanoid)(登録商標));ウラシル・マスタード(ウラシル・マスタード・カプセル(Uracil Mustard Capsules)(登録商標));バルルビシン(バルスター(Valstar)(登録商標));ビンブラスチン(ベルバン(Velban)(登録商標));ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(登録商標));ビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標));及びゾレドロネート(ゾメタ(Zometa)(登録商標))との併用において、癌を治療又は予防するために有用であってよい。
【0156】
したがって、本発明の範囲は、今クレームした化合物の、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管形成阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、及び上記にリストされた任意の治療薬から選ばれる、第2の化合物との併用における使用を包含する。
【0157】
本発明化合物の任意の1つ以上の特別の投薬量及び投与計画はまた、併用療法において使用されるべき任意の1つ以上の治療薬(以後「第2治療薬」と呼ぶ)にも適用されてよい。
【0158】
さらになお、該第2治療薬の特別の投薬量又は投与計画はさらに変更可能であり、最適の用量、投薬計画、及び投与経路は、使用されている特定の第2治療薬に基づき決定されるであろう。
【0159】
もちろん、本発明化合物の投与経路は、第2治療薬の投与経路とは無関係である。1つの実施態様においては、本発明化合物の投与は、経口投与である。もう1つの実施態様においては、本発明化合物の投与は、静脈内投与である。したがって、これらの実施態様によれば、本発明化合物は、経口又は静脈内投与され、第2治療薬は経口的、非経口的、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮的、舌下、筋肉内、直腸内、経口腔粘膜的、鼻腔内、リポソーム封入的、吸入的、経膣的、眼内、カテーテル又はステントにより局所的に、皮下的、脂肪組織内、関節内、髄腔内に、又は徐放剤形において投与される。
【0160】
さらに、本発明化合物及び第2治療薬は、同じ投与様式により投与されてよく、すなわち、双方の薬剤が、例えば経口的に、静注により投与されてよい。しかしながら、本発明化合物を1つの投与様式、例えば経口的に投与し、かつ第2治療薬をもう1つの投与様式、例えば静注又は上記記載の投与様式の1つの任意の他の投与様式により投与することもまた、本発明の範囲内にある。
【0161】
第1の治療手順、本発明化合物の投与は、第2の治療手順、すなわち第2治療薬に先行するか、第2治療薬による治療の後か、第2治療薬による治療と同時か、又はそれらを組合せて行ない得る。例えば、全治療期間を、本発明化合物について決定し得る。第2治療薬は、本発明化合物による治療の開始に先行するか、又は本発明化合物による治療に続いて投与可能である。加えて、本発明化合物の投与期間を通じ、抗癌剤治療薬が投与可能であるが、本発明化合物の全治療期間にわたり行われる必要はない。
【0162】
本発明化合物に関して、用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、化合物又は化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系内に投入することを意味する。本発明化合物又はそのプロドラッグが1以上の他の活性成分(例えば、細胞毒剤など)と組合せて提供される場合、「投与」及びその変形は、各々、当該化合物又はそのプロドラッグと他の薬剤との、同時の及び連続した投入を包含するものと理解される。
【0163】
本明細書で用いる場合、用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含んでなる製品、並びに特定の量の特定の成分の組合せから、結果として直接又は間接的に得られる任意の製品を包含することを意図している。
【0164】
本明細書で用いる場合、用語「治療上有効な量」は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって探し求められる、組織、系、動物、又はヒトにおいて生物学的又は医学的応答を誘起する活性化合物又は医薬物質の量を意味する。
【0165】
用語「癌を治療すること」又は「癌の治療」は、癌の症状に苦しむ哺乳類への投与を指し、かつ癌性細胞を殺すことにより癌性症状を緩和する作用を指すが、また、結果として癌の増殖及び/又は転移の阻害を生じる作用も指す。
【0166】
1つの実施態様においては、第2の化合物として使用されるべき血管新生阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来成長因子の阻害剤、線維芽細胞由来成長因子の阻害剤、血小板由来成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン阻害剤、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体から選ばれる。1つの実施態様においては、エストロゲン受容体モジュレータは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0167】
また本発明の範囲内に含まれるのは、癌を治療する方法であって、治療上有効な量の本発明化合物を、放射線療法と併用して、及び/又は、エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒・増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、及び前文にリストされた任意の治療薬から選ばれる、第2の化合物と組合せて投与することを含んでなる該方法である。
【0168】
本発明のさらにもう1つの実施態様は、治療上有効な量の本発明化合物を、パクリタキセル又はトラツズマブと組合せて投与することを含んでなる、癌を治療する方法である。
【0169】
本発明はさらに、癌を治療又は予防する方法であって、治療上有効な量の本発明化合物を、COX−2阻害剤と組合せて投与することを含んでなる方法を包含する。
【0170】
本発明は又、癌の治療又は予防のために有用である医薬組成物であって、治療上有効な量の本発明化合物と:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、及び前文にリストされた任意の治療薬から選ばれる、第2の化合物とを含んでなる該組成物も包含する。
【0171】
さらに本発明の範囲内に含まれるのは、血管新生が関与する疾患を治療又は予防する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳類に対し、治療上有効な量の本発明化合物を投与することを含んでなる該方法である。METの他の阻害剤もまた、この治療法のために投与されてよい。結果としていくつかの失明形態を生じることがある眼内血管新生疾患は、結果として生じる組織破壊の多くを、眼内の血管の異常な血管浸潤に帰すことができる症状の例である。望ましくない浸潤は、静脈うっ血性網膜症、例えば糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症などからの結果として生じるものにより、或いは、変性性疾患、例えば加齢黄班変性において観察される脈絡膜血管新生により、トリガーされ得る。それ故、本発明化合物の投与により血管増殖を阻害することは、血管の浸潤を防止し、かつ血管新生が関与する疾病、例えば網膜血管新生、糖尿病性網膜症、加齢黄班変性などを防止又は治療することになるであろう。
【0172】
上記記載の本発明化合物の全身投与の経路を、かかる眼内血管新生疾患の治療において使用してもよい。局所、眼周囲、硝子体内投与などといった、他の眼内投与もまた使用してよい。薬物:ポリマーマトリックスでコートされた硝子体内インプラントもまた使用してよい。
【0173】
眼に対する局所投与用に適合した眼科用医薬組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、又は固形挿入物の形態でよい。本化合物の眼用製剤は、0.01ppmから1%まで、及び特に0.1ppmから1%までの薬物を含有してよい。単回用量には、0.01から5000ngまでの間、好ましくは0.1から500ngまで、及び特に1から100ngまでの化合物が、ヒトの眼に対し適用可能である。硝子体内投与用に有用な製剤は、静脈内投与用に先に記載された塩類溶液と同様である。
【0174】
全ての特許、出版物、及び同定された係属中の特許出願は、参考として本明細書に含まれている。
【0175】
アッセイ
実施例に記載された本発明化合物は、以下に記載のアッセイにより試験され、MET阻害活性を有することが判明した。他のアッセイは文献において公知であり、当業者により容易に実行可能であろう(例えば、米国特許出願公開US 2005/0075340 A1、2005年4月7日、p.18−19;及びPCT公開WO 2005/028475、2005年3月31日、p.236−248参照)。
【0176】
I.インビトロのキナーゼアッセイ
ヒトc−Met及び他の、マウスc−MET、ヒトRon、KDR、IGFR、EGFR、FGFR、Mer、TrkA、及びTie2を含む受容体チロシンキナーゼの、細胞質ゾルドメインのGSTタグ付き組換え体を使用して、本発明化合物がこれらのキナーゼの酵素活性を調節するかどうかを測定する。
【0177】
c−MET及び他の受容体チロシンキナーゼの、細胞質ゾルドメインのGSTタグ付きの可溶性組換え体を、バキュロウイルス系(ファーミンジェン(Pharmingen))において、製造業者により推奨されたプロトコールに従って発現させる。各細胞質ゾルドメインをコードしているc−DNAを、インフレーム6xヒスチジンタグ及びGSTタグを含有するバキュロウイルス発現ベクター(pGcGHLT−A、B、又はC、ファーミンジェン)へサブクローニングする。結果として得たプラスミド構築物、及びバキュロゴールド(BaculoGold)バキュロウイルスDNA(ファーミンジェン)を用いて、Sf9又はSf21昆虫細胞をコトランスフェクトする。GSTタグキナーゼ融合物の発現を確認した後、高力価の組換えバキュロウイルスストックを産生し、発現条件を最適化し、ラットKDR−GST融合物のスケールアップ発現を実行する。融合キナーゼを次に、昆虫細胞ライゼートから、グルコースタチオンアガロース(ファーミンジェン)を用いたアフィニティクロマトグラフィーにより精製する。精製されたタンパク質を、50%グリセロール、2mM DTT、50mMトリス−HCl(pH7.4)に対し透析し、−20℃に貯蔵する。融合タンパク質のタンパク質濃度は、クーマシー・プラス・プロテイン・アッセイ(Coomassie Plus Protein Assay)(ピアース(Pierce))を使用し、BSAを標準として測定する。
【0178】
c−Met及び他のキナーゼのキナーゼ活性を、パーク(Park)ら(「アナリティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)」、1999年、第269巻、p.94−104)により記載された、ホモジニアス時間分解チロシンキナーゼアッセイの修正バージョンを用いて測定する。
【0179】
化合物のc−Metキナーゼ阻害能を測定するための方法は、以下の段階を含んでなる:
1. 100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に3倍連続希釈した化合物溶液を、96穴プレートにおいて所望の終濃度の20倍に調製する。
2. 6.67mM MgCl、133.3mM NaCl、66.7mM トリス−HCl(pH7.4)、0.13mg/BSA、2.67mM ジチオスレイトール、0.27nM 組換えc−Met、及び666.7nM ビオチニル化合成ペプチド基質(ビオチン−ahx−EQEDEPEGDYFEWLE−CONH)(配列番号1)を含有する、主反応混合物を調製する。
3. 黒色のアッセイプレート中で、ウエル当たり2.5μlの化合物溶液(又はDMSO)及び、37.5μlの主反応混合物を添加する。ウエル当たり10μlの0.25mM MgATPを添加することにより、キナーゼ反応を開始する。反応を、室温で80分間進行させる。反応のための最終的な条件は、0.2nM c−Met、0.5μM 基質、50μM MgATP、5mM MgCl、100mM NaCl、2mM DTT、0.1mg/ml BSA、50mM トリス(pH7.4)、及び5%DMSOである。
4. 10mM EDTA、25mM HEPES、0.1%トリトンX−100、0.126μg/mlのEuキレート標識抗ホスホチロシン抗体PY20(カタログ番号AD0067、パーキンエルマー(PerkinElmer))、及び45μg/mlのストレプトアビジン−アロフィコシアニンコンジュゲート(カタログ番号PJ25S、プロザイム(Prozyme))を含有する、50μlの停止/検出用緩衝液により、キナーゼ反応を停止する。
5. 60分後、ビクター(Victor)リーダ(パーキンエルマー)のHTRFモードで、HTRFシグナルを読取る。
6. IC50を、化合物濃度とHTRFシグナルとの間に観察された関係を、4パラメータロジスティック式に当てはめることにより測定する。
【0180】
アッセイごとに酵素濃度が変わること(0.2nM マウスc−Met;2.5nM Ron;8nM KDR;0.24nM IGFR;0.24nM EGFR;0.14nM FGFR;16nM Mer;8nM TrkA;8nM Tie2)を除いて本質的に同一の方法を、化合物の、マウスc−Met、ヒトRon、KDR、IGFR、EGFR、FGFR、Mer、TrkA、及びTie2を阻害する能力を測定するために使用した。
【0181】
実施例の化合物3及び5−235を、上記のアッセイにおいて試験し、IC5050μMを有することが判明した。
【0182】
II.細胞ベースのc−Met自己リン酸化アッセイ
サンドイッチELISAアッセイを、MKN45胃癌細胞におけるMET自己リン酸化を評価するために使用し、これにおいてMETは、構成的に活性化される。手短にいえば、単層の細胞を、化合物又はビヒクルで前処理し、次いで溶解した。細胞ライゼート中のMETを、プラスチック表面に固定された抗MET抗体により捕捉した。次いで、包括的な抗ホスホチロシン抗体か、又はいくつかの特異的な抗ホスホMET抗体の1つを、捕捉されたMETに結合させ、HRPコンジュゲートされた二次抗体を用いて検出する。
化合物のc−MET自己リン酸化阻害能を、MKN45細胞において測定するための方法は、以下の段階を含んでなる:
1日目
1. 96穴ELISAプレートを、4℃において、100μl/ウエルの1μg/ml捕捉抗体溶液(Af276、R&D)により一晩コートする。
2. 個々の96穴培養プレートに、MKN45細胞を、0.1mlの増殖培地(RPMI 1640、10%FBS、100ug/mL ペニシリン・ストレプトマイシン(Pen−Strep)、100ug/mL L−グルタミン、及び10mM HEPES)中に、90,000細胞/ウエルで播種し、37℃/5%COにおいて、80〜90%コンフルエントまで一晩培養する。
2日目
1. ELISAプレートを、200μl/ウエルの洗浄緩衝液(TBST+0.25%BSA)で4回洗浄する。ELISAプレートを、200μl/ウエルのブロッキング緩衝液(TBST+1.5%BSA)で、室温で3〜5時間インキュベートする。
2. DMSO中の200倍の化合物の、半対数希釈シリーズを調製する。該シリーズを、アッセイ緩衝液(RPMI 1640、10%FBS、及び10mM HEPES)で10倍に希釈する。
3. 10倍化合物溶液(11μl/ウエル)を、MKN45細胞を含有する培養プレートへ添加する。プレートを、37℃/5%COにおいて60分間インキュベートする。
4. 細胞を、100μl/ウエルの溶解緩衝液(30mM トリス、pH7.5、5mM EDTA、50mM NaCl、30mM ピロリン酸ナトリウム、50mM NaF、0.5mM NaVO、0.25mM カリウムビスペルオキソ(1,10−フェナントロリン)−オキソバナデート、0.5%NP40、1%トリトンX−100、10%グリセロール、及びプロテアーゼ阻害剤カクテル)で、4℃で90分間溶解する。
5. ELISAプレートからブロッキング緩衝液を除去し、200μl/ウエルの洗浄緩衝液でプレートを4回洗浄する。90μl/ウエルのMKN45細胞ライゼートを、培養プレートからELISAプレートへ移す。密封したアッセイプレートを、4℃で一晩、穏やかに振とうしながらインキュベートする。
3日目
1. ELISAプレートを、200μl/ウエルの洗浄緩衝液で4回洗浄する。
2. 100μl/ウエルの一次検出抗体(TBST+1%BSA中、1μg/ml)を用いて、室温で1.5時間インキュベートする。以下の一次抗体を用いてきた:アップステート(UpState)からの4G10、ともにバイオソース(Biosource)からの抗pMet(1349)及び抗pMet(1369)。
3. ELISAプレートを洗浄緩衝液で4回洗浄する。100μl/ウエルの二次抗体(4G10用には、TBST+1%BSA中に希釈したI:1000の抗マウスIgG−HRP、又は、抗pMet(1349)及び抗pMet(1365)用には、1:1000の抗ウサギIgG−HRP)を添加する。穏やかに攪拌しながら、室温で1.5時間インキュベートする。200ul/ウエルの洗浄緩衝液で4回洗浄する。
4. 100μl/ウエルのクォンタ(Quanta)Blu試薬(ピアース)を添加し、室温で8分間インキュベートする。スペクトラマックス・ジェミニEMプレートリーダ(モレキュラー・デバイス(Molecular Devices))で、蛍光を読取る(励起波長:314nm、放出波長:425nm)。
5. IC50を、化合物濃度と蛍光シグナルとの間の関係を4パラメータロジスティック式に当てはめることにより計算する。
【0183】
III.MNK45細胞の増殖/生存度アッセイ
MKN45ヒト胃癌細胞は、構成的に活性化されたc−metを過剰発現することが知られている。c−Metの、siRNA媒介性の部分ノックダウンは、顕著な増殖阻害及びアポトーシスをMKN45細胞において誘導することが見出され、この細胞系におけるc−Metの、生命維持に必要な役割が示唆している。本明細書に記載のアッセイは、MKN45細胞の増殖/生存度に対するc−Met阻害剤の影響を測定する。化合物の、MKN45細胞の増殖/生存度を阻害する能力を測定するための方法は、以下の段階を含んでなる。
【0184】
1日目、MKN45細胞を96穴プレートに、3000細胞/ウエル当たり95μlの培地(RPMI/10%FCS、100mM HEPES、ペニシリン、及びストレプトマイシン)にてプレートする。プレートを、37℃/5%COでインキュベータ中に維持する。3倍の連続希釈された化合物溶液を、DMSO中に所望の終濃度の1000倍に調製する。
【0185】
2日目、1000倍の化合物溶液を培地で希釈することにより、50倍の化合物溶液を調製する。ウエル当たり5μlの20倍化合物溶液を、上記記載のMKN45細胞培養物へ添加する。プレートをインキュベータへ戻す。
【0186】
5日目、ウエル当たり、50μlの溶解緩衝液(バイアライト試薬キット(ViaLight Reagent Kit)(カタログ番号LT07−221)(キャンブレックス(Cambrex))を添加する。細胞を、室温で15分間溶解する。次いで、50μlの検出試薬(バイアライト試薬キット)を添加し、3分間インキュベートする。プレートを、トップカウント(TOPCOUNT)(パーキンエルマー)で、ルミネッセンスモードにおいて読取る。IC50を、化合物濃度とルミネッセンスシグナルとの間の関係を4パラメータロジスティック式に当てはめることにより計算する。
【0187】
IV.HGF誘導性の細胞移動アッセイ
HGFに誘導されるHPAF膵臓癌細胞の移動を、BDファルコン・フルオロブロック96マルチウエル・インサートプレート(BD Falcon Fluoroblock 96−Multiwell Insert plate)(カタログ番号351164、BDディスカバリ・ラボウエア(BD Discovery Labware)を用いて評価した。プレートは、各々が微孔性膜で上部及び下部チャンバーに仕切られているウエルからなる。膵臓癌細胞は、膜の上側にプレートされ、下部チャンバーに添加された化学誘引物質に反応して、膜の下側へ移動する。膜の下側の細胞は、蛍光色素で標識され、蛍光プレートリーダにより検出される。細胞移動を阻害する化合物の能力を測定するための方法は、以下の段階を含んでなる。
【0188】
1. 終濃度の1000倍の試験化合物溶液を、100%DMSO中に調製する。
2. 上記の溶液を、50倍のDMEM/10%FCSで希釈し、終濃度の20倍の化合物溶液を得る。
3. フルオロブロック96マルチウエル・インサートプレートの下部チャンバーを、180μlのDMEM/10%FCSで満たし、上部チャンバーの各々に、50μlのDMEM/10%FCS中の、8000個のHPAF膵臓癌細胞をプレートする。
4. プレーティングの1−2時間後、2.5μl及び10μlの20倍化合物溶液を、上部及び下部チャンバーに各々添加する。プレートを37℃で60分間インキュベートし、次いで濃縮されたHGFを、最終HGF濃度15ng/mlまで下部チャンバーに添加する。インサートプレートを一晩、20時間にわたり時間インキュベートする。
5. 濃縮カルセイン(Calcein)色素(モレキュラー・プローブ(Molecular Probes))のアリコートを、各下部チャンバーに添加して、最終色素濃度5μg/mlとし、細胞を1時間標識する。各下部チャンバーを、200μlのDMEM/10%FCSで洗浄する。
6. ビクターリーダ(パーキンエルマー)のボトムリードモードで、蛍光を読取る(励起波長:485nm、放出波長:535nm)。
7. IC50を、化合物濃度と蛍光シグナルとの間の関係を4パラメータロジスティック式に当てはめることにより計算する。
【0189】
JAK2キナーゼ活性阻害アッセイ及びIC50の測定
キナーゼ活性を、パーク(Park)ら(「アナリティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)」、1999年、第269巻、p.94−104)により記載された、ホモジニアス時間分解チロシンキナーゼアッセイの修正バージョンを用いて測定する。
【0190】
化合物のJAK2キナーゼ阻害能を測定するための方法は、以下の段階を含んでなる:
1. 100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に3倍連続希釈した化合物/阻害剤溶液を、96穴プレートにおいて所望の終濃度の20倍に調製する;
2. 6.67mM MgCl、133.3mM NaCl、66.7mM トリス−HCl(pH7.4)、0.13mg/ml BSA、2.67mM ジチオスレイトール、0.27nM 組換えJAK2、及び666.7nM ビオチニル化合成ペプチド基質(ビオチン−ahx−EQEDEPEGDYFEWLE−CONH)(配列番号1)を含有する、主反応混合物を調製する;
3. 黒色のアッセイプレート中で、ウエル当たり2.5μlの化合物/阻害剤溶液(又はDMSO)及び、37.5μlの主反応混合物を添加する;ウエル当たり10μlの75μM MgATPを添加することにより、キナーゼ反応を開始し、室温で80分間、反応を進行させる;(反応のための最終的な条件は、50nM JAK2 JH1ドメイン(アップステート(UpState))、2.0μM 基質、15μM MgATP、5mM MgCl、100mM NaCl、2mM DTT、0.1mg/ml BSA、50mM トリス(pH7.4)、及び5%DMSOである);
4. 10mM EDTA、25mM HEPES、0.1%トリトンX−100、0.126μg/mlのEuキレート標識抗ホスホチロシン抗体PY20(カタログ番号AD0067、パーキンエルマー(PerkinElmer))、及び45μg/mlのストレプトアビジン−アロフィコシアニンコンジュゲート(カタログ番号PJ25S、プロザイム(Prozyme))を含有する、50μlの停止/検出用緩衝液により、キナーゼ反応を停止し;かつ
5. 60分後、ビクター(Victor)リーダ(パーキンエルマー)のHTRFモードで、HTRFシグナルを読取る。
【0191】
IC50を、化合物/阻害剤濃度とHTRFシグナルとの間に観察された関係を4パラメータロジスティック式に当てはめることにより測定する。
【実施例】
【0192】
提供した実施例は、本発明のさらなる理解を手助けすることを意図したものである。用いた特定の材料、種類、及び条件は、本発明の例示となることを意図したものであり、その適正な範囲を制限するものではない。
【0193】
実施例1
【0194】
【化14】

【0195】
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン
段階1tert−ブチル5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート
CHCl(15mL)中の5−フルオロインドール(1.5g、11.2mmol)の溶液に対し、ジ−tert−ブチルジカルボナートを、続いてトリエチルアミン(3.1mL、22mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(56mg、0.5%)を添加した。溶液を12時間攪拌し、飽和NaHCOでクエンチした。溶液をCHClで抽出し、MgSOで脱水し、濾過し、かつ減圧下に濃縮して、tert−ブチル5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラートを得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:236.1、実測値:236.9。
【0196】
段階2[1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−フルオロ−1H−インドール−3−イル]ボロン酸
CHCl中のtert−ブチル5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート(7.0g、28.8mmol)の溶液に対し、N−ブロモスクシンアミド(5.23g、30mmol)を添加し、12時間攪拌した。反応を飽和NaHCOでクエンチし、MgSOで脱水し、濾過し、かつ減圧下に濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(100%Hex−70%Hex/30%EtOAc)は、tert−ブチル3−ブロモ−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラートを与えた。この物質の一部(5g、16.9mmol)を無水THF(35mL)中に溶解し、続いてホウ酸トリイソプロピル(3.17g、16.9mmol)を添加した。溶液を−78℃に冷却し、続いてsec−BuLi(シクロヘキサン中1.4M、12mL、16.9mmol)を滴下添加した。反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、続いてホウ酸トリメチル(1.73g、16.9mmol)を添加し、2.5時間にわたり室温に加温した。反応混合物を飽和NaHCOでクエンチし、EtOAcによる抽出に先立ち、30分間攪拌した。有機層を収集し、MgSOで脱水し、濾過し、かつ減圧下に濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(100%Hex−100%EtOAc)は、[1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−フルオロ−1H−インドール−3−イル]ボロン酸を与えた。
LRMS m/z(M+H) 計算値:280.1、実測値:280.1。
【0197】
段階3tert−ブチル3−(2−クロロピリミジン−4−イル)−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート
耐圧バイアル中の、ジオキサン(2mL)中の[1−(tert−ブトキシカルボニル)−5−フルオロ−1H−インドール−3−イル]ボロン酸(300mg、1.1mmol)の溶液に対し、2,4−ジクロロピリミジン(160mg、1.1mmol)を、続いてテトラキストリフェニルホスフィン・パラジウム(53.5mg、0.05mmol)及びNaHCO(2.0M、1.5mL)を添加した。バイアルのキャップを閉め、油浴にて80℃で2時間加熱した。冷却した溶液をEtOAcで抽出し、MgSOで脱水し、濾過し、かつ減圧下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(100%Hex−40%Hex/60%EtOAc)は、tert−ブチル3−(2−クロロピリミジン−4−イル)−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラートを与えた。
LRMS m/z(M+H) 計算値:348.1、実測値:348.0。
【0198】
段階44−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン(化合物1−1)
ジオキサン(1mL)中の、tert−ブチル3−(2−クロロピリミジン−4−イル)−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート(60mg、0.17mmol)及びN−(4−アミノフェニル)モルホリン(30.8mg、0.17mmol)の溶液を、キャップを閉めたバイアル中で150℃に加熱した。12時間後、反応を冷却し、濃縮し、逆相クロマトグラフィー(MeCN/HO、0%−100%MeCN)により精製し、4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミンを、HCl塩として得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:390.1、実測値:390.1。
【0199】
以下の化合物を、実施例1に記載の方法に従い、しかし適宜アミンを置換して作成した。表1の化合物は、他に示さない限り、TFA塩として単離した。
【0200】
【表1−1】

【0201】
【表1−2】

【0202】
【表1−3】

【0203】
【表1−4】

【0204】
実施例2
【0205】
【化15】

【0206】
N−{4−[4−(シクロプロピルカルボニル)ピペラジン−1−イル]フェニル}−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン(化合物2−1)
段階1tert−ブチル3−[2−({4−[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)ピリミジン−4−イル]−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート
ジオキサン(1mL)中のtert−ブチル3−(2−クロロピリミジン−4−イル)−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート(400mg、1.15mmol)の溶液に対し、炭酸セシウム(2.25g、6.90mmol)、キサントフォス(XANTPHOS)(39.8mg、0.069mmol)、1−(4−アミノ−フェニル)−ピペラジン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(604mg、1.72mmol)、及びビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(21.1mg、0.023mmol)を添加した。反応混合物バイアルのキャップを閉め、100℃で12時間加熱した。反応混合物を冷却し、HOで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を収集し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(100%Hex−100%EtOAc)は、tert−ブチル3−[2−({4−[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)ピリミジン−4−イル]−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラートを生成した。
LRMS m/z(M+H) 計算値:589.3、実測値:589.3。
【0207】
段階2N−{4−[4−(シクロプロピルカルボニル)ピペラジン−1−イル]フェニル}−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン
tert−ブチル3−[2−({4−[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]フェニル}アミノ)ピリミジン−4−イル]−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート(202mg、0.34mmol)を、CHCl(5mL)及びトリフルオロ酢酸(5mL)中に取り、室温で6時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮して、4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−ピペラジン−1−イルフェニル)ピリミジン−2−アミンを得た。CHCl(3mL)中に溶解した4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−ピペラジン−1−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン(20mg、0.05mmol)の一部に、シクロプロパンカルボン酸(1mg、0.01mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(19.6mg、0.051mmol)、及びトリエチルアミン(43uL、0.31mmol)を添加した。反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応の完了時に、混合物を濃縮し、逆相クロマトグラフィー(100%HO−100%MeCN)により精製し、N−{4−[4−(シクロプロピルカルボニル)ピペラジン−1−イル]フェニル}−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミンを、トリフルオロ酢酸モノ塩として得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:457.2、実測値:457.2。
【0208】
以下の化合物を、実施例2に記載の方法に従い、しかし適宜カルボン酸を置換して作成した。表2にリストした化合物は全て、TFA塩として単離した。
【0209】
【表2−1】

【0210】
【表2−2】

【0211】
【表2−3】

【0212】
【表2−4】

【0213】
【表2−5】

【0214】
【表2−6】

【0215】
【表2−7】

【0216】
実施例3
【0217】
【化16】

【0218】
N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)−4−(5−フェニル−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン(化合物3−1)
ジオキサン(10mL)中の5ブロモ−インドール(2.0g、10.2mmol)の溶液に対し、フェニルボロン酸(1.2g、10.2mmol)、テトラキストリフェニルホスフィン・パラジウム(O)(584mg、0.51mmol)及びNaCO(2.0M、5mL)を添加した。溶液を90℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物溶液をEtOAc中に取り、HOで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(100%Hex−50%Hex/50%EtOAc)は、5−フェニル−1H−インドールを与えた。この物質を、施例1と同じ方法を用いて標題化合物へ転換した(TFA塩として単離した)。
LRMS m/z(M+H) 計算値:448.2、実測値:448.2。
【0219】
化合物3−2及び3−3を、類似の方法により調製し、TFA塩として単離した。
【0220】
【化17】

【0221】
実施例4
【0222】
【化18】

【0223】
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)スルホニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン(化合物4−1)
ジメチルホルムアミド(1mL)中の4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−ピペラジン−1−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン(20mg、0.051mmol)の溶液に対し、1−メチル−1H−ピラゾール−4−スルホニルクロリド(9.3mg、0.051mmol)、トリエチルアミン(31.3mg、0.309mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(触媒量)を添加した。溶液を12時間攪拌した。反応の完了後、反応混合物を濃縮し、逆相クロマトグラフィー(100%HO−100%MeCN)により精製し、4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)スルホニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミンをトリフルオロ酢酸モノ塩として得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:533.2、実測値:533.1。
【0224】
実施例5
【0225】
【化19】

【0226】
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)スルホニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン(化合物5−1)
実施例4と同じ方法で、TFA塩として単離した。
LRMS m/z(M+H) 計算値:533.2、実測値:533.2。
【0227】
実施例6
【0228】
【化20】

【0229】
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシアミド(化合物6−1)
段階14−ニトロフェニル4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート
CHCl(20mL)中の1−(4−ニトロフェニル)ピペラジン(2.0g、9.66mmol)の溶液に対し、トリエチルアミン(2.67mL、19.3mmol)及び4−ニトロフェニルクロロホルマート(1.94g、9.66mmol)を添加した。溶液を室温で12時間攪拌した。反応混合物をHOで希釈し、CHClで抽出した。有機層をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(100%Hex−100%EtOAc)は、4−ニトロフェニル4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラートを与えた。
LRMS m/z(M+H) 計算値:373.1、実測値:373.1。
【0230】
段階2N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシアミド
マイクロウェーブバイアルにおいて、4−ニトロフェニル4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート(200mg、0.54mmol)に対し、N,N−ジメチルエチルアミン(2mL)を添加した。混合物をマイクロウェーブ反応器内で、100℃で40分間加熱した。完了後、反応混合物をEtOAc中に溶解し、HOで洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(100%CHCl−60%CHCl40%MeOHは、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシアミドを与えた。
LRMS m/z(M+H) 計算値:322.2、実測値:322.2。
【0231】
段階34−(4−アミノフェニル)−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]ピペラジン−1−カルボキシアミド
MeOH(5mL)中のN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシアミド(130mg、0.4mmol)の溶液に対し、酸化白金(IV)(18.3mg、0.08mmol)を添加した。丸底フラスコにセプタムつきキャップを閉め、バルーンからのH雰囲気下に、反応を3時間攪拌した。反応の完了後、反応混合物を、セライトを通して濾過し、追加のMeOHで洗浄した。収集したMeOH溶液を減圧下に濃縮して、4−(4−アミノフェニル)−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]ピペラジン−1−カルボキシアミドを得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:292.2、実測値:292.2。
【0232】
段階4N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシアミド
ジオキサン(2mL)中のtert−ブチル3−(2−クロロピリミジン−4−イル)−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート(50mg、0.14mmol)の溶液に対し、4−(4−アミノフェニル)−N−[2(ジメチルアミノ)エチル]ピペラジン−1−カルボキシアミド(42mg、0.14mmol)を添加し、150℃で12時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を濃縮乾燥し、CHCl(2mL)及びトリフルオロ酢酸(2mL)中に取った。溶液を室温で2時間攪拌し、濃縮乾燥し、逆相クロマトグラフィー(100%HO−100%MeCN)により精製して、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシアミドを、トリフルオロ酢酸モノ塩として得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:503.2、実測値:503.2。
【0233】
実施例7
【0234】
【化21】

【0235】
2−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート
段階12−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート
4−ニトロフェニル4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート(220mg、0.59mmol)に対し、2−(ジメチルアミノ)エタノール(1mL)を添加し、溶液をマイクロウェーブ反応器内で、150℃で20分間加熱した。反応混合物をEtOAc及びHO中に取り、EtOAcで抽出した。有機層を収集し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、2−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラートを得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:323.2、実測値:323.2。
【0236】
段階22−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート
MeOH(5mL)中の2−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート(309mg、0.96mmol)の溶液に対し、酸化白金(IV)(43.5mg、0.192mmol)を添加した。丸底フラスコにセプタムつきキャップを閉め、バルーンからのH雰囲気下に、反応を3時間攪拌した。反応の完了後、反応混合物を、セライトを通して濾過し、追加のMeOHで洗浄した。収集したMeOH溶液を減圧下に濃縮して、2−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラートを得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:293.2、実測値:293.2。
【0237】
段階32−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート
ジオキサン(2mL)中のtert−ブチル3−(2−クロロピリミジン−4−イル)−5−フルオロ−1H−インドール−1−カルボキシラート(50mg、0.14mmol)の溶液に対し、2−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−アミノフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート(42mg、0.14mmol)を添加し、150℃で12時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を濃縮乾燥し、CHCl(2mL)及びトリフルオロ酢酸(2mL)中に取った。溶液を室温で2時間攪拌し、続いて濃縮乾燥し、逆相クロマトグラフィー(100%HO−100%MeCN)により精製して、2−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシラートを、トリフフルオロ酢酸モノ塩として得た。
LRMS m/z(M+H) 計算値:504.3、実測値:504.2。
【0238】
実施例8
【0239】
【化22】

【0240】
段階1N,N−ジメチル−4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−スルホンアミド
THF(8mL)中の1−(4−ニトロフェニル)ピペラジン(700mg、3.4mmol)の溶液に対し、水素化ナトリウム(油中60%分散、203mg、5.0mmol)を添加した。反応を30分間攪拌し、続いてジメチルスルファモイルクロリド(256uL、3.4mmol)を添加した。2時間後、反応をMeOHでクエンチし、EtOAcで希釈した。溶液をHOで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(100%Hex−40%Hex/60%EtOAc)は、N,N−ジメチル−4−(4−ニトロフェニル)ピペラジン−1−スルホンアミドを与えた。
LRMS m/z(M+H) 計算値:315.1、実測値:315.1。
【0241】
段階24−(4−アミノフェニル)−N,N−ジメチルピペラジン−1−スルホンアミド
実施例7段階2と同じ方法。
LRMS m/z(M+H) 計算値:285.1、実測値:285.1。
【0242】
段階34−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルピペラジン−1−スルホンアミド
実施例7段階3と同じ方法;TFA塩として単離した。
LRMS m/z(M+H) 計算値:496.2、実測値:496.2。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
nは、0、1、又は2であり;
pは、0、1、又は2であり;
Xは、NR又はSであり;
Yは、CH又はNであり;
1a及びR1bは、独立して、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、及びC−Cシクロアルキルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく、或いは
1a及びR1bは、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され;前記アルキル、アルケニル、アリール、及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、及びNR1011から選択され;前記アルキル基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、OH、−O−C1−6アルキル、−C(=O)C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
及びR5’は、独立して、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−C(=O)C1−6アルキル、−S(O)、及び−C(=O)NR1011、から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、アリール、及びNR1011から選択され;前記アルキル及びアリール基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cペルフルオロアルキル、O(C=O)NR1011、S(O)、S(O)NR1011、OS(=O)R、オキソ、CHO、(N=O)R1011、又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は,独立して、(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)ペルフルオロアルキル、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C=O)(C−C)シクロアルキル、(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C=O)(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、(C−C)アルキレン−COH、C(O)N(R1011、S(O)、及びS(O)NR1011から選択され;
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rb)から選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
10及びR11は、独立して、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO、及び(C=O)NRから選択され;前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;及び
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体。
【請求項2】
式II:
【化2】

[式中、
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
nは、0、1、又は2であり;
pは、0、1、又は2であり;
Xは、NR又はSであり;
1a及びR1bは、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、アリール、ヘテロ環、及びNR1011から選択され;前記アルキル、アルケニル、アリール、及びヘテロ環基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、及びNR1011から選択され;前記アルキル基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、OH、−O−C1−6アルキル、−C(=O)C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
及びR5’は、独立して、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−C(=O)C1−6アルキル、−S(O)、及び−C(=O)NR1011、から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、水素、及びC1−6アルキルから選択され;前記アルキル基は、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cペルフルオロアルキル、O(C=O)NR1011、S(O)、S(O)NR1011、OS(=O)R、オキソ、CHO、(N=O)R1011、又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてよく;
は,独立して、(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)ペルフルオロアルキル、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C=O)(C−C)シクロアルキル、(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C=O)(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、(C−C)アルキレン−COH、C(O)N(R1011、S(O)、及びS(O)NR1011から選択され;
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rb)から選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
10及びR11は、独立して、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、S(O)、及び(C=O)NRから選択され;前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;及び
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体。
【請求項3】
式III:
【化3】

[式中、
aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1、又は2であり;
pは、0、1、又は2であり;
Xは、NR又はSであり;
1a及びR1bは、それらが結合する窒素と一緒になって、
【化4】

から選択される単環式ヘテロ環を形成し、前記単環式へテロ環又は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、OH、−O−C1−6アルキル、−C(=O)C1−6アルキル、−O−C(=O)C1−6アルキル、−O−アリール、S(O)、−C(=O)NR1011、−NHS(O)NR1011、及びNR1011から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてもよく;
は、独立して、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−C(=O)C1−6アルキル、−S(O)、−C(=O)NR1011、から選択され、各アルキル、アルケニル、及びアリールは、各置換基が独立してRから選択される、1から5個までの置換基で置換されてよく;
は、独立して、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cペルフルオロアルキル、O(C=O)NR1011、S(O)、S(O)NR1011、OS(=O)R、オキソ、CHO、(N=O)R1011、又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は,独立して、(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)ペルフルオロアルキル、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C=O)(C−C)シクロアルキル、(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C=O)(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、(C−C)アルキレン−COH、C(O)N(R1011、S(O)、及びS(O)NR1011から選択され;
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される、1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
10及びR11は、独立して、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、S(O)、及び(C=O)NRから選択され;前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく、或いは
10及びR11は、それらが結合する窒素と一緒になって、該窒素に加えて、N、O、及びSから選択される1又は2個の付加的なヘテロ原子を含有してもよい、単環式又は二環式ヘテロ環(各環において5〜7員)を形成し、前記単環式又は二環式ヘテロ環は、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)シクロアルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、及び−(C−C)アルキレンヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、Rから選択される1、2、又は3個の置換基で置換されてもよく;及び
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、−(C−C)アルキレンアリール、ヘテロシクリル、−(C−C)アルキレンヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、又はS(O)から選択される]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体。
【請求項4】
以下の:
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−[3−フルオロ−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]−4−(1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(4−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−[7−(4−フルオロフェニル)−1H−インドール−3−イル]−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−[4−(4−アセチルピペラジン−1−イル)フェニル]−4−(1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(1H−インドール−3−イル)−N−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル]ピリミジン−2−アミン;
4−(4,7−ジフルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
5−フルオロ−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
5−フルオロ−4−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5,7−ジフルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(6−クロロ−5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−[4−(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)フェニル]−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−[5−(ベンジルオキシ)−1H−インドール−3−イル]−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
5−フルオロ−4−(1H−インドール−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(1−ベンゾチエン−3−イル)−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−{4−[4−(シクロプロピルカルボニル)ピペラジン−1−イル]フェニル}−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[3−(ジメチルアミノ)−プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
2−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエタノール;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(4−メチルモルホリン−2−イル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−{4−[4−(1−オキシドイソニコチノイル)ピペラジン−1−イル]フェニル}ピリミジン−2−アミン;
3−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1,2−ジオール;
3−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1−オール;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[3−(1H−ピラゾール−1−イル)プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−[4−(4−{[1−(トリフルオロメチル)シクロブチル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)フェニル]ピリミジン−2−アミン;
4−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−4−オキソブタン−1−スルホンアミド;
3−{2−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル}−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−{4−[4−(3,3,3−トリフルオロ−2,2−ジメチルプロパノイル)ピペラジン−1−イル]フェニル}ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[(2R)−2−アミノ−2−シクロプロピルアセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5,7−ジフルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチルピペリジン−4−イル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(6−クロロ−5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[(3,3−ジフルオロシクロブチル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(2−メトキシエトキシ)アセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(2−N−アセチル−B−アラニニル)アセチル−1]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
3−[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]−3−オキソプロパンニトリル;
N−(4−{4−[(2S)−2−アミノ−2−シクロプロピルアセチル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)カルボニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
1−{[4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}シクロプロパノール;
N−[4−(4−{[1−(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]カルボニル}ピペラジン−1−イル)フェニル]−4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−{4−[3−(ジメチルアミノ)プロパノイル]ピペラジン−1−イル}フェニル)−4−(7−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)−4−(5−フェニル−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−インドール−3−イル]−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−1H−インドール−3−イル]−N−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)スルホニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−N−(4−{4−[(1−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)スルホニル]ピペラジン−1−イル}フェニル)ピリミジン−2−アミン;
N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシアミド;
2−(ジメチルアミノ)エチル4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)ピペラジン−1−カルボキシラート;及び
4−(4−{[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}フェニル)−N,N−ジメチルピペラジン−1−スルホンアミド;
から選択される化合物、
又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体。
【請求項5】
請求項1記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項6】
薬学的に有効な量の請求項1記載の化合物を哺乳類へ投与することを含んでなる、かかる治療を必要とする哺乳類において癌を治療又は予防する方法。
【請求項7】
前記癌が、脳、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭、及び肺の癌から選択される、請求項6記載の、癌を治療又は予防する方法。
【請求項8】
前記癌が、組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、多発性骨髄腫、神経膠芽細胞腫、及び乳癌から選択される、癌を治療又は予防する、請求項6記載の方法。
【請求項9】
癌を、かかる治療の必要な哺乳類において治療又は予防する上で有用な、医薬品の調製のための、請求項1記載の化合物の使用法。
【請求項10】
受容体チロシンキナーゼMETを、かかる治療の必要な哺乳類において阻害する上で有用な、医薬品の調製のための、請求項1記載の化合物の使用法。
【請求項11】
癌の転移を、かかる治療の必要な哺乳類において予防又は調節する上で有用な、医薬品の調製のための、請求項1記載の化合物の使用法。
【請求項12】
前記癌が、卵巣癌、小児肝細胞癌、転移性頭頸部扁平上皮細胞癌、胃癌、乳癌、結腸直腸癌、子宮頚癌、肺癌、鼻咽頭癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、及び肉腫から選択される、請求項9記載の化合物の使用法。

【公表番号】特表2009−541318(P2009−541318A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516540(P2009−516540)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/014259
【国際公開番号】WO2007/149427
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】