説明

チークメーキャップのための顔分類方法、分類見極めマップ、顔分類プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体

【課題】ほおの形態的特徴別に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提供する。
【解決手段】被験者のほおを予め設定された条件により分類するチークメーキャップのための顔分類方法において、少なくともほおの長さ及びほおの骨格・肉付き感の2つの指標に基づいて、前記被験者の顔を分析する分析段階と、前記分析段階により分析された結果を予め分類された少なくとも4種類のタイプの何れかに位置付ける分類段階とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チークメーキャップのための顔分類方法、分類見極めマップ、顔分類プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体に係り、特にほおの形態的特徴別に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提供するための顔分類方法、分類見極めマップ、顔分類プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チークメーキャップにおける使用者のアンケートの上位には、「チークを塗布する位置がわからない」又は「チークを上手にぼかせない」といった悩みがランクされている。そこで、従来では、使用者がメーキャップイメージタイプを選択するだけで、選択した各タイプに応じて顔画像に頬紅を塗布して表示する頬紅メーキャップシミュレーションシステムが存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、被験者の顔立ちを顔の形態の特徴別に分類し、分類したタイプに基づいてメーキャップのガイドラインを示す手法も存在する(例えば、特許文献2を参照。)。
【0004】
更に、一般的なチークメーキャップ法のアドバイスやカウンセリングでは、チークを施す位置については、「ほお骨に沿ってチークを施す」、「笑って一番高い位置にチークを施す」等の表現が用いられている。また、チークメーキャップの目的としては、「かわいらしい」、「大人っぽい」等イメージの演出と、「ほおをすっきりとみせる」、「こけたほおをふっくらと見せる」等の立体補正とが主である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−279228号公報
【特許文献2】特開2001−224430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、チークメーキャップは、顔の輪郭やほおの長さ等の形態的特徴に応じて、それぞれに適したメークを施すことが好ましい。しかしながら、従来技術においては、自分の顔を形態的特徴に対応させ、チークを塗布する位置やぼかす範囲、形を的確に示すものはなかった。また、チークを用いて顔の血色をよく見せながら、立体感のバランスを整えて見せるという切り口のメーキャップによる顔の調整方法は提案されていなかった。
【0007】
また、上述した従来手法に示すように、「ほお骨に沿ってチークを施す」、「笑って一番高い位置にチークを施す」といった表現では解釈が個々に異なったり、笑い方の程度に左右されるため、意図する仕上がりにならない可能性がある。
【0008】
また、イメージの演出や立体補正の方法については、個々のほおの異なる特徴を考慮したチークメーキャップの方法を的確に示すものはなかった。更に、チークメーキャップではそれを施す範囲と形とが仕上がりの評価に影響するが、その範囲と形についても明確に示されていなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ほおの形態的特徴別に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提供するための顔分類方法、分類見極めマップ、顔分類プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0011】
請求項1に記載された発明は、被験者のほおを予め設定された条件により分類するチークメーキャップのための顔分類方法において、少なくともほおの長さ及びほおの骨格・肉付き感の2つの指標に基づいて、前記被験者の顔を分析する分析段階と、前記分析段階により分析された結果を予め分類された少なくとも4種類のタイプの何れかに位置付ける分類段階とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項1記載の発明によれば、少なくともほおの長さ及びほおの顔全体の骨格・肉付き感の2つの指標に基づいて、ほおの分類を簡易かつ効果的に行うことができる。これにより、形態的特徴毎に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提供することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明は、前記分析段階は、前記被験者の顔を評価するため、予め設定される平均顔と前記4種類のタイプの各代表顔を用いることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、平均顔画像と4種類のタイプの各代表顔画像を用いることにより、ほおの分析の精度を高めると共に、分類を簡便に効率よく行うことができる。
【0015】
請求項3に記載された発明は、前記分析段階は、瞳の真下から顔の輪郭まで引いた垂直線を縦幅とし小鼻の横から顔の輪郭までの水平線を横幅として、前記ほおの縦幅と横幅の比率の度合いを前記平均顔に基づいて評価し、また前記骨格・肉付き感が、ほお骨が目立ちほっそり直線的である度合い又はほお骨が目立たないふっくら曲線的である度合いにより評価することを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、ほおの長さ及び骨格・肉付き感を適切な尺度により評価することができる。
【0017】
請求項4に記載された発明は、前記分類段階により分類された顔のタイプを、前記平均顔と前記4種類のタイプとが平面座標空間の各象限に位置付けられたマップ上に対応させて表示し、更に前記4種類の各タイプの骨格・肉付き感を前記平均顔が有するほおの長さ及び骨格・肉付き感に近づけるため、前記4種類の各タイプ毎にほおの長さ及び骨格・肉付き感の見え方をチークメーキャップで調整するための調整方法を表示する表示段階を有することを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、ほおの長さ及び骨格・肉付き感をチークメーキャップで調整するための調整方法を表示することにより、被験者等が各タイプ毎に適切なチークメーキャップ方法を容易に把握することができる。
【0019】
請求項5に記載された発明は、前記チークメーキャップは、チークを入れる起点を鼻先からアリキュラを結んだ線と、目の中心から引いた水平線と顔の輪郭と交わる点から口角に引いた線の交点とすることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、各タイプ毎に共通のチークを入れる起点を指定することができるため、容易に高精度なチークメーキャップを実現することができる。
【0021】
請求項6に記載された発明は、前記チークのぼかしの範囲は、目の中心を通る水平線が顔の輪郭と交わる点から鼻先に引いた第1の線と、前記第1の線から平行に口角まで下ろした第2の線と、口角から上に垂直に引いた第3の線と、前記第3の線を目の中心を通る水平線が顔の輪郭と交わるところまで平行に移動させた第4の線とにより囲まれる平行四辺形を基準にして設定されていることを特徴とする。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、各タイプ毎に共通のチークのぼかし範囲を指定することができるため、容易に高精度なチークメーキャップを実現することができる。
【0023】
請求項7に記載された発明は、ほおの長さを含む顔のタイプを示す第1の軸、及びほおの骨格・肉付き感からなる顔のタイプを示す第2の軸の2軸と、前記2軸によって分類される象限及び2軸の交差する中央に予め設定される標準的且つ理想的なほおの長さ及び骨格・肉付き感を有する顔画像を配置した座標空間とからなることを特徴とする。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、少なくともほおの長さ及びほおの顔全体の骨格・肉付き感の2つの指標に基づいて、ほおの分類を簡易かつ効果的に行うことができる。これにより、形態的特徴毎に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提供することができる。
【0025】
請求項8に記載された発明は、前記第1の軸は、予め設定される平均顔に対して前記顔の瞳の真下から顔の輪郭まで引いた垂直線を縦幅、小鼻の横から顔の輪郭までの水平線を横幅とし、前記ほおの縦幅と横幅の比率の度合いを示すものであり、前記第2の軸は、一方が、骨格・肉付き感がほお骨が目立ちほっそり直線的である度合いを示し、他方が、ほお骨が目立たないふっくら曲線的である度合いを示すものであることを特徴とする。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、ほおの長さ及び骨格・肉付き感を適切な尺度により評価することができる。
【0027】
請求項9に記載された発明は、前記2軸によって分類される象限に、前記平均顔が有するほおの長さ及び骨格・肉付き感に近づけるため、ほおの長さ及び骨格・肉付き感の見え方をチークメーキャップで調整するための調整方法が表示されていることを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明によれば、ほおの長さ及び骨格・肉付き感をチークメーキャップで調整するための調整方法を表示することにより、各タイプ毎に適切なチークメーキャップ方法を容易に把握することができる。
【0029】
請求項10に記載された発明は、前記チークメーキャップは、チークを入れる起点を鼻先からアリキュラを結んだ線と、目の中心から引いた水平線と顔の輪郭と交わる点から口角に引いた線の交点とすることを特徴とする。
【0030】
請求項10記載の発明によれば、各タイプ毎に共通のチークを入れる起点を指定することができるため、容易に高精度なチークメーキャップを実現することができる。
【0031】
請求項11に記載された発明は、前記チークのぼかしの範囲は、目の中心を通る水平線が顔の輪郭と交わる点から鼻先に引いた第1の線と、前記第1の線から平行に口角まで下ろした第2の線と、口角から上に垂直に引いた第3の線と、前記第3の線を目の中心を通る水平線が顔の輪郭と交わるところまで平行に移動させた第4の線とにより囲まれる平行四辺形を基準にして設定されていることを特徴とする。
【0032】
請求項11記載の発明によれば、各タイプ毎に共通のチークのぼかし範囲を指定することができるため、容易に高精度なチークメーキャップを実現することができる。
【0033】
請求項12に記載された発明は、被験者のほおを予め設定された条件により分類するチークメーキャップのための顔分類プログラムにおいて、コンピュータに、少なくともほおの長さ及びほおの骨格・肉付き感の2つの指標に基づいて、前記被験者の顔を分析する分析処理、及び、前記分析処理により分析された結果を予め分類された少なくとも4種類のタイプの何れかに位置付ける分類処理を実行させる。
【0034】
請求項12記載の発明によれば、ほおの分類を簡易かつ効果的に行うことができる。また、形態的特徴毎に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提供することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における顔分類を容易に実現することができる。
【0035】
請求項13に記載された発明は、請求項12に記載の顔分類プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0036】
請求項13記載の発明によれば、記録媒体により他の複数のコンピュータに容易に顔分類プログラムをインストールすることができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における顔分類、チークメーキャップによる顔の調整方法の提示を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ほおを簡易かつ効果的に形態的な特徴別に分類することができる。また、形態的特徴毎に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明における顔分類装置の装置構成の一例を示す図である。
【図2】ほおの特徴について想起されたキーワードの一例を示す図である。
【図3】予備検討に用いた評価用語が記載された評価用紙の一例を示す図である。
【図4】ほおの分析指標抽出のために用いた評価項目の一例を示す図である。
【図5】因子分析結果から得られる因子負荷量を示す図である。
【図6】抽出された第1及び第2因子の得点に基づき各対象をプロットした一例を示す図である。
【図7】骨格・肉付き感の高い顔の画像解析の一例を示す図である。
【図8】ほおの分類見極めマップの一例を示す図である。
【図9】ほおの分析における見極めのポイントを説明するための一例の図である。
【図10】血色を演出するチークメーキャップを施す中心・起点の集計結果の一例を示す図である。
【図11】血色を演出するチークメーキャップをぼかす範囲の集計結果の一例を示す図である。
【図12】チークメーキャップの仕上がり評価結果の一例を示す図である。
【図13】美容技術者が想定した形態的特徴別のチークメーキャップの形状を所定の位置に配置したマップの一例を示す図である。
【図14】ほおの形態的特徴別のチークメーキャップの形状と範囲を所定の位置に配置したマップの一例を示す図である。
【図15】内接楕円について説明するための一例の図である。
【図16】チークメーキャップのぼかし方法について説明するための一例の図である。
【図17】上述の各12段階に分けた各エリアと最外エリアに近接する部分の肌の明度、色相、彩度の計測値の一例を示す図である。
【図18】チークメーキャップによる調整の方向性を記載したマップの一例を示す図である。
【図19】ほおの長さに対応した筆の向きを所定の位置に配置したマップの一例を示す図である。
【図20】ほおの骨格・肉付きに対応した筆の動かし方を所定の位置に配置したマップの一例を示す図である。
【図21】本発明における分類見極めマップを利用した顔分類及びチークメーキャップ手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<本発明の概要>
本発明は、ほおの形態的特徴を長さ、広さ、骨格感、肉付き感を分析し、ほおを形態特徴別に分類するための見極め手法をマップ(MAP)化し、分類された結果に沿って効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提示する。
【0040】
更に、本発明は、チークメーキャップを塗布する位置と範囲、形を適切に示し、個々のほおの特徴を考慮して、血色を好ましく演出し、ほおの立体感を整えるための好適なチークメーキャップ方法を提供する。
【0041】
更に具体的に説明すると、本発明は、ほおの特徴に合わせてチークメーキャップを施す形を変える手法において、ほおの長さと骨格・肉づき感の見え方を好ましくするのに重要であることを検討し、個々のほおの長さと骨格・肉づき感をマップ化したツールで分析、分類し、分類したタイプ、すなわちマップ上の位置によりチークメーキャップを施す形を提示することで、個々のほおの特徴に応じた好適なチークメーキャップを簡単に効率よく行う。
【0042】
また、マップにおける分析、分類の指標は、スペース軸(ほおの長さ)とフォルム軸(ほおの骨格・肉付き感)で表され、スペース軸はほおが長いか短いか、骨格・肉付き感はほお骨が目立ちほっそり直線的であるか、ほお骨が目立ちふっくら曲線的であるかを意味する。また、2軸によって分類される象限及び2軸の交差する中央に、例えば平均顔等の標準バランスのほおの形態を有する顔の例を配することで、分析、分類の精度を高めるとともに、分析、分類を簡便に効率よく行うことができる。
【0043】
<実施の形態例>
次に、本発明におけるチークメーキャップのための顔分類方法、分類見極めマップ、顔分類プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
【0044】
<装置構成>
まず、被験者の顔に関する評価情報を入力し、予め作成されているほおの分類見極めマップに基づいて、マップ上のどの分類に属しているかを分析、評価し、更にチークメーキャップ方法を表示するための顔分類装置の装置構成例について説明する。なお、後述する顔分類装置は、後述する分類見極めマップの作成に係る解析処理等を行う際にも利用することができる。
【0045】
ここで、顔分類装置は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等を用い、本発明に係る各処理をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(顔分類プログラム)等をインストールすることにより、本発明における顔分類処理を実現することができる。
【0046】
図1は、本発明における顔分類装置の装置構成の一例を示す図である。図1に示す顔分類装置10は、入力装置11と、出力装置12と、ドライブ装置13と、補助記憶装置14と、メモリ15と、各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)16と、ネットワーク接続装置17と、撮像装置18とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
【0047】
入力装置11は、ユーザが操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを有しており、ユーザからのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。出力装置12は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU16が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。また、出力装置12は、プリンタ等の機能を有していてもよく、その場合には、後述する評価項目データや、分類見極めマップ、顔分類結果、チークメーキャップ方法等、取得可能な各種情報を紙等の印刷媒体に印刷して被験者等に提供することができる。
【0048】
ここで、本発明において、コンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、CD−ROM等の記録媒体19等により提供される。プログラムを記録した記録媒体19は、ドライブ装置13にセット可能であり、記録媒体19に含まれる実行プログラムが、記録媒体19からドライブ装置13を介して補助記憶装置14にインストールされる。なお、記録媒体19としては、CD−ROM以外でも、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0049】
また、補助記憶装置14は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム、マップに表示される各形態的特徴別の顔画像、平均顔画像等の各種画像データ、被験者のほおの分類結果、ほおの形態的特徴別のチークメーキャップ方法等の情報を蓄積し、必要に応じて入出力を行うことができる。
【0050】
CPU16は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ15により読み出され格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、顔分類処理等における後述する各処理を実現することができる。また、CPU16は、プログラムの実行中に必要な被験者のほおの分類結果等の各種情報や、本発明における分類見極めマップを出力手段12に表示するために必要な情報等を、補助記憶装置14から取得することができ、またプログラムにより実行された結果等を補助記憶装置14に格納することができる。
【0051】
ネットワーク接続装置17は、通信ネットワーク等と接続することにより、実行プログラムをインターネット等やLAN(Local Area Network)等に代表される通信ネットワークに接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を他の端末等に提供することができる。
【0052】
また、撮像装置18は、CCD(Charge Coupled Devices)カメラ等からなり、被験者の正面顔画像や所定の角度からの斜め顔画像等を撮影する。撮影された画像は、補助記憶装置14等に蓄積され、必要に応じて読み出されて顔分類等の処理が行われる。
【0053】
上述したような装置構成により、本発明における顔分類処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における顔分類処理を容易に実現することができる。
【0054】
<本発明における顔の分類法>
次に、本発明における顔の分類法、及びチークメーキャップ方法のガイドラインとして利用される分類見極めマップについて、本発明に至るまでの各検討内容も含めて具体的に説明する。
【0055】
<1.ほおの特徴の分析及び分類法の検討>
<1−1.評価用語抽出のためのサンプル収集>
まず、ほおの特徴を捉えるにあたり、どのような表現が用いられているかを検討するため、顔の特徴が異なる人物の顔写真を収集した。具体的には、化粧品会社に勤務する20代から40代の女性21名の顔を正面と斜め45度の向きの顔画像を撮影してサンプルを収集した。
【0056】
<1−2.表現用語の検討>
次に、ほおの特徴評価に適する表現用語について検討した。上述した21名分の顔写真を研究担当者4人で1枚ずつ観察し、それぞれのほおの表現として想起される事項を口頭で述べ、その内容を記録した。ここで、図2は、ほおの特徴について想起されたキーワードの一例を示す図である。図2に示す例では、ほおについて想起された語数は49語であった。
【0057】
<1−3.要素の整理>
次に、記録した表現用語を意味内容に基づき要素毎に整理を行った。ここで、要素は「ほおの上側」、「ほお骨」、「ほおの下側」、「肉付き」、「隆起形状」、「重心」、「くぼみ」、「長さ」、及び「広さ」とした。次に、各語の内容を検討して意味的類似性が高いものは一つに集約し、一般的な表現に適さないものを除外して12の形容詞対を予備検討に用いる評価用語として選定した。
【0058】
ここで、図3は、予備検討に用いた評価用語が記載された評価用紙の一例を示す図である。なお、図3において設けられているメモリ20は、左右の要素に対する評価の段階を5段階で示すものであり、メモリの中央は左右の要素(例えば、図3において「肉付き感がある」、「骨格感がある」等)がどちらいえないとしたものである。
【0059】
なお、本発明における評価用紙のレイアウト、各要素の配列等はこの限りではなく、例えばメモリではなく数字を入力できる領域を設け、その領域に5段階の数字を書き込むようにしてもよい。その場合は、例えば、図3(1)において、「肉付き感がある」を“1”とし、「骨格感がある」を“5”、「どちらともいえない」を“3”とする等、予めどの数値が何に対応するかが設定されているものとする。また、本発明において評価の段階は5段階に限定されるものではない。
【0060】
更に、図3に示す評価用紙による評価は、例えば上述した顔分類装置10のディスプレイに図3に示す評価用紙を表示させて、評価者等が入力装置11等により、被験者の顔に対する所定の評価情報を入力することで評価を行ってもよい。なお、評価情報の入力手法は、例えばマウス等のポインティングデバイスにより、カーソルを所定の評価項目の所定位置に位置づけて選択することにより設定することができる。なお、データの入力手法はこの限りではなく、例えば、キーボード等を用いて評価情報を入力してもよい。
【0061】
<1−4.評価用語の選定>
次に、評価用語の適切性を検討するため、上述した図3に示す12形容詞対を用いて、実際に顔の評価を行った。具体的には、上述した女性21名から収集したサンプルを対象に、上述の図3に示す評価用紙を用いて、研究担当者4人による対象の評価を行った。このとき、顔全体の骨格感、肉付き感や顔の輪郭についても、ほおの評価との関連性を検討するために評価項目に加えた。
【0062】
上述した検討結果から、評価に差が出ている項目を評価項目として重要であると判断した。また、相関の高い語は一語で代表するようにし、わかりにくい表現についても修正してほおの評価用語を選定した。更に、ほおの肉付き感と骨格感については、顔全体の肉付き感、骨格感の評価と相関が高いことから、以降、顔全体を対象として判断し、ほおの判断と共通化することとした。
【0063】
<1−5.ほおの分析指標の抽出>
<1−5−1.顔評価実験>
次に、ほおの特徴を分析する指標を抽出するために、選定した語による評価用紙を用い、20代を中心とする40代までの一般モニターの34名の顔を実際に評価した。ここで、図4は、ほおの分析指標抽出のために用いた評価項目の一例を示す図である。図4に示すように評価に用いた手法は、ほおについて「ぽっちゃり」、「すっきり」、「広い」、「狭い」等の8項目と、顔全体について「肉付き感がある−骨格感がある」の1項目の計9項目とした。また、図4においても図3と同様に両極尺度(メモリ)を5段階としている。
【0064】
なお、評価は、研究担当者に加え美容技術者、商品開発担当者を含む4〜6名で行った。評価者の人数を増やしたのは、個人による評価のばらつきを回避するためである。ただし、評価項目については定義を共有し、評価のばらつきが小さくなるように予め確認を行った。
【0065】
また、上述の評価は、顔分類装置10を用いても行うことができる。つまり、図4に示す評価用紙を顔分類装置10のディスプレイに表示させて、評価者等が入力装置11を用いて上述した手法等により所定の評価情報を入力することで評価を行うことができる。
【0066】
<1−5−2.因子分析による指標の抽出>
次に、上述の各評価者の評価得点から、各対象者の平均評価得点を項目毎に算出した。また、この値を用いて因子分析を行った。ここで、因子分析とは、互いに相関のある変量の持つ情報を、少数個の潜在的な因子に縮約する統計的手法である。ここでいう変数は、本件では各項目の平均評価得点が該当する。したがって、因子分析を行うことで、相関のある項目を纏め、少数個の評価因子を抽出することができる。
【0067】
また、因子分析には市販の統計解析ソフトウエア(例えば、SPSS(Statistical Package for Social Science) ver.11.0J等)を用い、そのソフトを例えば顔分類装置10等のコンピュータ機器にインストールすることで、因子分析を行うことができる。また、因子の分析方法には主成分法を指定し、回転法にはバリマックス法を指定した。
【0068】
上述の内容に基づいて分析した結果、2つの因子が抽出された。図5は、因子分析結果から得られる因子負荷量を示す図である。ここで、図5に示す数値は絶対値が大きい程各因子との関連性が強いことを示している。また、因子構造を明確にするために「ほおが広い−狭い」、「ほおがたるんでいる−たるんでいない」の2項目は、この分析からは削除した。
【0069】
図5に示すように、第1因子で値の大きい項目は「骨格感がある−肉付き感がある」、「ほおがすっきり−ぽっちゃり」、「ほお骨が横にはっていない−はっている」の項目で構成されていることから、「骨格・肉付き感」の因子と解釈する。
【0070】
また、第2因子で値の大きい項目は「ほおが短い−長い」、「ほお骨が前に出ていない−出ている」、「ほおが出ている−平ら」、「ほおの盛り上がりの位置が小鼻より下−上」の項目で構成されていることから、「ほおの長さと凹凸」の因子と解釈する。なお、説明の程度の指標となる累積寄与は70.1%であった。
【0071】
ここで、図6は、抽出された第1及び第2因子の得点に基づき各対象をプロットした一例を示す図である。図6に示す布置を分析すると、骨格・肉付き感の軸と、ほおの長さ・凹凸の軸とで各対象(上述した20代を中心とする40代までの一般モニターの34名)が位置付けられ、分離されていることがわかる。
【0072】
したがって、「ほおが長い−短い・凹凸大−小」の軸と、「骨格感−肉付き感」の軸の2軸で、ほおの特徴を捉えることができると推定することができる。しかしながら、これだけでは、特徴を見極める着目点は曖昧であるため更に分析を行った。
【0073】
<1−5−3.指標の着目点の整理>
図6のプロットから各軸の特徴が最も高い顔、すなわち各得点の絶対値が高い顔を抽出して特徴を更に詳しく検討した。検討結果について代表例で説明する。
【0074】
<骨格・肉付き感>
まず、「骨格・肉付き感」の軸について、マイナスの得点が高いS15及びプラスの得点が高いS8のサンプルを例に説明する。なお、骨格肉付きの特徴をより明確に分析するため、例えば顔分類装置10等により2つのサンプルについて画像解析を施して検討を行った。なお、顔分類装置10にインストールされる画像解析には、市販の画像加工ソフト(例えば、Photoshop等)を用いることができる。また、画像処理として、明暗の階調を段階的に示すモノクロ化ポスタリゼーション処理を行い、顔上の陰影の分布を検討した。ここで、図7は、骨格・肉付き感の高い顔の画像解析の一例を示す図である。図7では、S15及びS8の画像を16段階で階調を表示した例を示している。
【0075】
図7において、マイナスの得点が高い、すなわち骨格感の評価が高いS15の顔画像21−1において、ほお骨のライン22−1は、角張っており、目から口元にかけての肉付きのラインが直線的で、ほおのライン23−1がシャープであることがわかる。
【0076】
一方、プラスの得点が高い、すなわち肉付き感の評価が高いS8の顔画像21−2において、ほお骨のライン22-2はなだらかで丸みを帯びており、目から口元にかけての肉付きのライン23−2も曲線的で丸みを帯びている。また、肉付きがよいためほおのライン23−2の隆起がはっきりしており、左右の目の下の領域に最も高い部分の隆起、すなわち明るいエリア24があることがわかる。この検討により、骨格感と肉付き感の特徴差を明らかにすることが可能となった。つまり、これらの要素が、骨格・肉付き感の判断の基準とすることができる。
【0077】
<ほおの長さ・凹凸>
次に、ほおの長さについては、評価対象とした顔の正面写真から寸法を測り、適切な判定基準を検討した。例えば、ほおの縦幅については、下瞼から口角位置までの距離や、瞳孔からフェースラインに降ろした垂直線の長さ等、数箇所を候補として測定をした。
【0078】
最終的には、ほおが長いと判断する人の感覚に基づき、その人との合致性の高さを考慮して判定基準を決定した。その基準は、横幅を小鼻の横から輪郭までの水平線、縦幅は瞳の真下から顔の輪郭までの垂直線とし、横幅対縦幅の比を用いる。
【0079】
ここで、20代女性の顔写真を画像合成で平均化して作成した「標準バランスの顔」、すなわち20代女性の平均値が反映された平均顔では、その比は1:約2であった。この値と、上述した34人の寸法計測から得られた値の分布を考慮し、1.95〜2.05の範囲内を標準の長さ、1.95に満たない場合はほおが短い、2.05を超える場合はほおが長いと判定することにした。
【0080】
<1−6.ほおの分類見極めマップの作成>
以上の結果を総合し、ほおの特徴を分析、分類するためのマップ(MAP)を作成した。作成に際しては、美容カウンセリング等の利便性、汎用性を考慮し、得られた指標を更に整理した。
【0081】
図8は、ほおの分類見極めマップの一例を示す図である。ここで、上述した第2因子の「ほおの長さ・凹凸」については、分析を簡便にして判定基準が一意に定まることを考慮し、ほおの長さのみを指標として用いることとした。したがって、第1因子の「骨格・肉付き感」と、第2因子を整理した「ほおの長さ」との2つの要素を組み合わせてほおの分析、分類の指標とした。
【0082】
なお、図8には、縦軸を「ほおの長さ」、横軸を「骨格・肉付き感」とし、ほおの長さの軸をスペース軸、骨格・肉付き感の軸をフォルム軸とした例を示しているが、本発明において2軸の配置(縦横)については特に限定されるものではなく、例えば2軸の要素を逆に構成してもよい。
【0083】
ここで、図8では、ほおの分析を容易にするため、各軸の特徴を示す表現(文字)を付与してもよい。また、各象限の特徴を顕著に表す顔画像(写真)を顔分類装置10でコンピュータグラフィクスにより作成して対応する位置に配置してもよい。このとき、正面顔画像だけでなく斜め方向(例えば、斜め45度等)からの顔画像も作成して配置してもよい。これにより、上述したように正面顔だけでは評価精度が悪くなる点を解決して、ほおの骨格・肉付き感を分析する際に、ほお骨とほおの肉付きの特徴を高精度に把握することができる。
【0084】
つまり、図8に示すように、顔のスペースのバランスを含む顔のタイプを示す第1の軸、及び骨格−肉付き感からなる顔のタイプを示す第2の軸の2軸と、その2軸によって分類される象限及び2軸の交差する中央に、予め設定される標準的且つ理想的な立体陰影感を有する顔画像(例えば、平均顔画像)を配置した座標空間とからなる。
【0085】
ここで、ほおの分析、分類指標と見極めのポイントについて説明する。図9は、ほおの分析における見極めのポイントを説明するための一例の図である。ほおの評価因子は、「骨格・肉付き感」と「ほおの長さ・凹凸」の2つの指標からなる。また、見極めのポイントについては、「骨格・肉付き感」は、ほお骨のはり、内側の肉付き、耳の下からあごにかけてのフェースラインにより判断する。
【0086】
ここで、具体的に説明すると、「骨格感」の見極めのポイントについては、図9(a)の斜め顔画像30に示すように被験者が斜めを向いたとき「奥側のほお骨のライン31が張り出して見えること」、「手前側の耳から下のフェースライン32が直線的であること」、「手前側の口元の横のライン33が直線的であること」等が見極めのポイントとなる。
【0087】
また、「肉付き感」の見極めのポイントについては、図9(a)の斜め顔画像30に示すように被験者が斜めを向いたとき「奥側のほお骨のライン31がなだらかに丸みをもって見えること」、「手前側の耳から下のフェースライン32が曲線的であること」、「手前側の口元の横のライン33が曲線的であること」等が見極めのポイントとなる。
【0088】
また、「ほおの長さ」は、図9(b)の正面顔画像34に示すように、小鼻から顔の輪郭までの水平ライン35を横幅とし、黒目の真下から顔の輪郭への垂直ライン36を縦幅とした場合に、例えば横幅対横幅比が1:2±0.05を基準として判断する。具体的には、上述の水平ライン35及び垂直ラインの横幅対横幅比が1:1.8であれば、ほおの長さが短めであると判断し、横幅対縦幅比が1:2.2であれば、ほおの長さが長めであると判断する。
【0089】
以上のように、図8に示すほおの分類見極めマップ及び上述した各指標における見極めのポイントに沿って判断することで、ほおの特徴を的確に分析し、分類することが可能となる。
【0090】
なお、上述した分析に用いられる被験者の顔画像は、予め顔分類装置10の撮像装置18等により撮影して補助記憶装置14に蓄積しておき、その蓄積しておいた画像を用いて分析を行うことができる。また、分析の際には、上述した評価情報の各項目における評価結果を集計し、その結果と予め設定される値とを比較して、被験者の分類結果を図8に示すほおの分類見極めマップ上の所定位置に丸印や星印等により位置付けが行われ、ディスプレイや印刷される紙等に表示される。
【0091】
<2.チークメーキャップ方法の検討>
<2−1.目指すチークメーキャップの検討>
次に、上述したほおの分類見極めマップにより分類された形態的特徴別に応じたチークメーキャップによる顔の調整方法について説明する。一般に、チークメーキャップは、演出するイメージによって施す方法が異なる。そこで、本発明では、「血色の演出」に絞って検討を行った。
【0092】
なお、血色に着目した理由は以下の3点に基づくものである。まず1つ目は、血色というのは健康な状態である場合、本来は誰でもが持っている要素であるため、個々に持つ本来の健康的な美しさを自然に引き出すことに通じると考えたからである。
【0093】
また、血色が良好であるほおの例としては、例えば乳児のほおが自明な例であるが「血色が良く好ましい」と感じられる例では、血色は目、鼻、口、耳を結ぶエリア内に現れる。そこで、血色に着目した理由の2つ目は、目、鼻、口、耳をガイドラインとして、全ての人に共通した法則で、チークメーキャップを施す位置を導出せるのではないかと考えたからである。更に、血色に着目した理由の3つ目は、血色の演出は多くの人がチークを使用する目的としており、かつ、美しいと感じるほおの要素であるため、多くの人の要望に合致するからである。
【0094】
また、チークを使用する目的について、普段チークメーキャップを行う20代と30代の女性68名を対象としてアンケートを行った。その結果、「血色をよく見せるため」が最も多く選択された。また、美しいと思うほおについて、普段チークメーキャップを行う20代女性40名を対象としてアンケートを行った結果、回答の多い順に、「はりがある」、「ほどよくふっくら」、「血色が良い」であった。
【0095】
また、一般に化粧をする際は、化粧下地やファンデーション等を用い、素肌の色むらを整える。この際、素肌では自然にあった血色がほとんど消されてしまう。したがって、チークメーキャップで血色を加えることは、本来持っている血色の要素を取り戻すという自然な演出方法であるといえる。
【0096】
<2−2.チークメーキャップを施す位置と範囲の検討>
美容技術者が施すチークメーキャップは、一般の人が自分自身で施すものよりも美しい仕上がりとなる。これは、美容技術者は経験則と専門知識によって個々の顔の特徴をとらえ、各々に似合って美しい仕上がりとなる方法を身につけているからだと考えられる。そこで、美容技術者のチークメーキャップの施し方を分析し、法則性を抽出することを試みた。
【0097】
まず、ほおの特徴が異なるモデル10名の顔写真を使用し、美容技術者27名に「自然な血色をチークメーキャップで表現するとしたら、どの辺りを中心にどこまでぼかしますか?」というアンケートを実施した。また、チークメーキャップを施す位置の中心と範囲は、各顔を印刷した紙に直接、書き込みをしてもらった。
【0098】
図10は、血色を演出するチークメーキャップを施す中心・起点の集計結果の一例を示す図である。なお、図10では、あるモデル(モデルA)に対して、上述した美容技術者の書き込みを集計したものを示すと共に、チークメーキャップの中心を導く線を描いた例である。
【0099】
まず、血色を表現するチークメーキャップの中心の位置であるが、図10に示すようにほぼ同じ箇所に集中し、それは、目、鼻、口、耳を結ぶエリアの中心付近であることがわかる。
【0100】
更に、その箇所を顔の特定し易い要素を基準として導くことを検討した結果、図10に示すように鼻先からアリキュラ(耳の前の口を開けると窪む箇所)を線41で結び、目の中心から引いた水平線42が顔の輪郭と交わる点から口角に線43を引くと、両者の交点が美容技術者の回答と一致することがわかった。
【0101】
次に、チークメーキャップをぼかす範囲について説明する。図11は、血色を演出するチークメーキャップをぼかす範囲の集計結果の一例を示す図である。なお、図11においても図10と同様にモデルAを用いた。メーキャップをぼかす範囲についても、図11に示すように、目、鼻、口、耳を結ぶエリアの中にあることがわかった。更に、この範囲は先程のチークメーキャップを施す中心を導く線を利用して描かれる平行四辺形の中に入ることがわかった。
【0102】
具体的には、図11に示すようにまずチークメーキャップの中心を導く際に引いた目の中心を通る水平線42が顔の輪郭と交わる点から鼻先に引いた線(第1の線)44を平行に口角まで下ろした線(第2の線)45を設ける。更に、口角から上に向かって垂直線(第3の線)46を引き、その垂直線46を目の中心を通る水平線42が顔の輪郭と交わるところまで平行に移動させた線(第4の線)47を設ける。これらの線44〜47により、図11に示すように平行四辺形を構成することができる。また、美容技術者が書き込んだチークメーキャップをぼかす範囲は、この平行四辺形の中に収まっていることがわかる。
【0103】
<2−3.チークメーキャップを施す位置と範囲の定義>
上述により、全ての顔に対して共通の方法でチークを施す起点の位置と、ぼかす範囲の目安を顔のスペースを決める三大要素である目・口・鼻により導出することが可能となった。なお、以下の説明において、チークメーキャップを施す起点の位置を「ベストポイント」と呼ぶこととする。
【0104】
つまり、血色演出チークメーキャップの起点は、鼻先からアリキュラを結んだ線と、目の中心から引いた水平線と顔の輪郭と交わる点から口角に引いた線の交点である。また、ぼかしの範囲はベストポイントをガイドラインとして描いた平行四辺形である。具体的には、目の中心を通る水平線と顔の輪郭との交点から鼻先に線を引き、次にその線を平行に口角まで下ろす。更に、口角から上に向かって垂直な線を引き、その垂直線を目の中心を通る水平線と交わる地点まで平行に移動したときにできる平行四辺形である。
【0105】
このように、チークを施す起点のベストポイントとぼかしの範囲は、どのタイプにも共通の方法で導出することができることがわかった。
【0106】
<2−4.ほおの特徴によるチークメーキャップの形の検討>
美容技術者の経験則からは、ほおの特徴を考慮してチークメーキャップの形を操作することがその人に似合って美しい仕上がりとなるという予測があった。実際に、導かれたチークを施す起点及びぼかす範囲の条件を満たしても、似合わない仕上がりとなることがある。
【0107】
そこで、ほおの分類見極めマップの位置によって調整の方向を考慮し、チークメーキャップの形もその方向性に合わせて変えるという仮説を立てた。すなわち、ほおが短い人は長く見えるように、長い人は短く見えるようにする、また、骨格感の目立つ人はふっくらと、肉付き感の目立つ人はすっきりと見えるように調整する。
【0108】
ここで、上述の仮説を検証するためアンケートを行った。アンケートでは、ほおの分類見極めマップの4象限にそれぞれ該当するほおの特徴の異なるモデル4名に対して、2種類のチークメーキャップを施した。チークメーキャップの一つは、ベストポイントとぼかしの範囲の目安の法則を使い、更にほおの特徴に合わせてぼかしの形を変えて入れた「OKチーク」である。もう一方は、ぼかしの形を考慮せずに入れた「NGチーク」である。この2種類について、「OK」と「NG」の情報は隠しておき、一般女性(20代女性40名)に評価をしてもらった。
【0109】
具体的には、各写真を1枚ずつ見てもらい、それぞれのチークメーキャップの仕上がりについて両極5段階尺度で評価してもらった。また、評価項目は、「自然な−不自然な」、「合っている−合っていない」等であった。4名のモデルに対する40名の評価の平均値を算出し検討した。図12は、チークメーキャップの仕上がり評価結果の一例を示す図である。
【0110】
評価について統計的な検定を行ったところ、「OKチーク」と「NGチーク」の評価には有意な差があることがわかった(チークメーキャップ2水準とモデル4水準の2要因の分散分析の結果、チークメーキャップの主効果は、全ての評価項目で0.5%水準で有意)。その結果、「OKチーク」は、「NGチーク」よりも、自然な仕上がりでほおの立体感が整いほおの肉付きがややふっくらと見えることがわかった。この結果は、上述した美しいほおの要素である「ハリがあり、ほどよくふっくら」にも合致する。また、このチークメーキャップをすることで、顔全体のバランスまでもが整って見えることがわかった。つまり、上述した「OKチーク」により、ほおが立体的に見え、ほどよくふっくらとした肌のハリを感じることができ、本来その人が持っている自然で健康的な血色の美しさを取り戻すことができる。また、血色演出は、個々の美しさを自然に引き出しながら、バランスを調整することができる。
【0111】
<2−5.ほおの特徴によるチークメーキャップの形の違い>
上述のアンケートで各モデルに施したチークメーキャップの形は、ほおの長さと骨格・肉付きの見え方を調整する考えに基づいたものである。図13は、美容技術者が想定した形態的特徴別のチークメーキャップの形状を所定の位置に配置したマップの一例を示す図である。図13に示すこの形を表現したものがアンケートで用いた「OKチーク」である。
【0112】
また、「OKチーク」を行った4つの分類に属するモデルのチークメーキャップの形を画像解析によって赤みの色を抽出することで分析したところ、美容技術者が想定したメーク領域と一致していることがわかった。
【0113】
ここで、図14は、ほおの形態的特徴別のチークメーキャップの形状と範囲を所定の位置に配置したマップの一例を示す図である。なお、図14において、標準顔に対応するチーク形状51−1は、目安となる平行四辺形に内接する楕円となっている。また、図14では、その標準の内接楕円52を点線で併記し、ほおの特徴別の形を塗りつぶして示している。このことから、ほおの分類見極めマップの位置に対応し、調整の方向性と形とを示すことが可能であることがわかる。
【0114】
ここで、図15は、内接楕円について説明するための一例の図である。上述した図11に示すような平行四辺形内に内接する楕円は、長軸Aをぼかしの目安の平行四辺形の縦の辺の中点53−1,53−2を結ぶ直線とし、短軸Bを長軸Aの中点54と直交し、平行四辺形の上下の辺に接する直線とする。更に、各軸A,Bのそれぞれの半分の長さをa,bとするとき、内接楕円は、(x/a)+(y/b)=1で表すことができる。また、平均顔の場合、a:b=1:0.55±0.02の関係となる。
【0115】
なお、図14では、形を単純化して表したため、チークメーキャップを施す濃さについては表現していないが、チークメーキャップのぼかし方法については、基本的には実際には起点がもっとも濃く、ぼかしの形の境界に向かって淡くなり、境界部分のぼかしは肌に自然に溶け込むように塗布する。
【0116】
ここで、図16は、チークメーキャップのぼかし方法について説明するための一例の図である。なお、図16(a)は、チークメーキャップの中心(起点)から外側まで12段階にエリアを分けて明度(濃度)を計測した結果の一例を示し、図16(b)は、チークの中心から外側まで12段階にエリアを分けてRGB値を計測した結果の一例を示している。
【0117】
まず、図16(a)に示すように、チークメーキャップのぼかし方法については、中心が最も濃く、外側に向かって淡くなるように塗布する。ここで、最外エリアに近接する部分の肌の明度についても測定し、その結果を図16(a)にプロットすると、チークメーキャップの塗布状態は中心から外側に向かって明るく(淡く)、最外エリアは肌の明度と略同等になっていることがわかった。
【0118】
また、エリアの段階に応じた明度の理想的な値を数式によって予測することが可能かどうかを調べるため、エリアの段階数を独立変数、明度の計測値を従属変数とし、回帰分析法を行った。その結果、予測のあてはまりを表す決定計数Rは、0.936となった。また、得られた回帰式は、y=1.203x+68.682であった。この式を用いることで、各段階で参照する明度の値を予測できることがわかった。
【0119】
次に、ぼかしの色の変化について計測値に基づき検討した。12段階に分けた各エリアと、最外エリアに近接する部分の肌のRGB値を計測した。その値を図16(b)に示すR、G、Bの各グラフにプロットすると、エリアの中心から外側に向かって肌のRGB値に近づくことがわかった。
【0120】
R値については、エリアの半分について右肩上がりに変化し赤みが段階的に増加するが、それより外のエリアでは値は横ばいになり、値の変化幅が小さくなることがわかった。また、G値とB値については、各段階毎に比例した変化を示し、中心の値と肌の値とを繋ぐように直線的に変化することがわかった。
【0121】
また、エリアの段階に応じた理想的な値を数式によって予測できるかどうかを回帰分析法で検討したところ、各値についてあてはまりのよい回帰式が得られた。このとき、エリアの段階数を独立変数とし、R、G、Bの値のそれぞれを従属変数とした。
【0122】
R値については、2次曲線での回帰式のあてはまりがよく、得られた回帰式はy=−0.284x+5.940x+222.591であり、決定係数Rは0.946と高かった。この結果からも外側のエリアでは値の変化が小さいことは妥当であることがわかった。
【0123】
また、G値とB値については、1次式による線形回帰式のあてはまりがよく、得られた回帰式は、G値がy=4.269x+141.833、B値がy=4.269x+125.333であり、決定係数RはG値が0.986、B値が0.964と共に高かった。この結果からもG値、B値については段階に比例した変化をすることが示された。
【0124】
ここで、図17は、上述の各12段階に分けた各エリアと最外エリアに近接する部分の肌の明度、色相、彩度の計測値の一例を示す図である。なお、図17(a)は、明度と色相との関係の一例を示し、図17(b)は、明度と彩度との関係の一例を示している。
【0125】
図17(a)によれば、チークメーキャップを施した中心のエリアは赤みがあるが、外側に行くほど赤みが減少して黄みに変化し肌の色に近づくことがわかる。また、図17(b)によれば、チークメーキャップを施した中心から半分(6段階)のエリアまでは彩度が高く鮮やかであり、肌の彩度と差があるが、それより外側は肌の彩度に近づき、肌に自然になじむよう塗布されていることがわかる。
【0126】
<ほおの特徴別の形状の特定>
ここで、図14に示す標準のほおでのチークメーキャップの形状と、各特徴別のほおでのチークメーキャップの形状は以下のように記述できる。まず、標準のほおの場合のメーク形状51−1は、ぼかしの形の目安となる平行四辺形に対し描いた内接楕円52とする。また、ほおが短い場合のメーク形状51−2,51−5は、標準の内接楕円52に対して下側を短くする。また、ほおが長い場合のメーク形状51−3,51−4は、標準の内接楕円52よりも下側をやや長くする。
【0127】
また、ほお骨が目立つ場合のメーク形状51−4,51−5は、標準の内接楕円52の上側を変更する。具体的には、顔中央寄りの上部は標準の内接楕円52より円弧を大きくする。また、顔の輪郭寄りの上部は標準の内接楕円52よりも円弧を小さめにする。更に、ほお骨が目立たない場合のメーク形状51−2,51−3は、顔中央寄りの上部は標準の内接楕円52より位置を下げてインカーブにする。
【0128】
<2−6.ほお特徴別の調整方向>
次に、上述の仮説検証を通じて明らかになったマップ上の位置と対応した調整の方向性について、図を用いて説明する。図18は、チークメーキャップによる調整の方向性を記載したマップの一例を示す図である。図18に示すように、スペース軸(縦軸)に対してほおが短い人は長く見える方向に調整を行い、逆にほおが長い人は短く見える方向に調整を行う。また、フォルム軸(横軸)に対してほお骨が目立たずふっくら曲線的な人はほおをほっそりと見せるように調整を行い、逆にほお骨が目立ち、ほっそり直線的な人はほお骨を目立たせず、ほおをふっくらみせる方向に調整を行う。図18に示すように、ほおの分類見極めマップがあることで、簡単にほおの調整の方向性を示すことができる。
【0129】
<メークブラシの使用方法>
また、図14に示すような各タイプ毎における各チークメーキャップ形状を簡単に実現するためには、チークメーキャップの際に使用するメークブラシ(筆)の置き方と動かし方を変えることも有効な手段である。ここで、図19は、ほおの長さに対応した筆の向きを所定の位置に配置したマップの一例を示す図である。
【0130】
図19に示すように、ほおが長い場合は、起点に対して楕円形のメークブラシ(筆)61の先のカット面62を垂直、すなわち長軸が垂直になるように置く。これにより、ほおが短く見えないように調整することができる。また、ほおが短い場合は、起点に対してメークブラシ(筆)61の先カット面を水平に置く、すなわち長軸が水平になるように置く。これにより、ほおを長く見えないように調整する。これらのメーク方法により、ほおの長さの見え方の調整をより容易に行うことができる。
【0131】
また、ほおの骨格・肉づき感の調整についても上述のように、メークブラシの使用方法により調整することができる。図20は、ほおの骨格・肉付きに対応した筆の動かし方を所定の位置に配置したマップの一例を示す図である。図20に示すように肉付き感が目立つ場合は、ぼかしの範囲内で耳側から顔の中央、中央から耳側へとV字を描くように筆を直線的に動かすようにする。これにより、ほおをすっきり見えるように調整することができる。また、骨格感が目立つ場合は、ぼかしの範囲内で耳側から顔中央、顔の中央から耳側へとU字を描くように筆を曲線的に動かすとようにする。これにより、ほおをふっくら見えるように調整することができる。
【0132】
ここで、標準のほおの場合は、2軸の中心に位置するため、両端の方法の中間を用いればよい。つまり、起点に対し筆は斜めに置き、V字とU字の中間的な筆の動かし方をすればよい。
【0133】
なお、上述した分類見極めマップ(図8、図13、図14、図18〜図20)は、美容カウンセラー等により印刷物を選択的に被験者に提示することもでき、また顔分類装置10を用いて美容カウンセラー等が説明をしながら段階的にディスプレイに表示させるようにしてもよい。
【0134】
<2−8.本発明による顔分類及びチークメーキャップ手順>
本発明を適用し、実際に店頭でお客様(被験者)にチークメーキャップを実施する場合、つまり本発明における上述した分類見極めマップ(図8、図13、図14、図18〜図20)を利用して、顔分類装置10により実行される被験者の顔の分類と、分類結果に基づくチークメーキャップによる顔の調整方法の表示までの一連の顔分類処理の一例についてフローチャートを用いて説明する。
【0135】
図21は、本発明における分類見極めマップを利用した顔分類及びチークメーキャップ手順を説明するためのフローチャートである。まず、メーキャップを行う対象の被験者の顔画像を取得する(S01)。なお、S01では、例えば撮像装置18により被験者の正面顔画像及び所定の角度(例えば、斜め45度)横を向いた顔画像等を取得する。
【0136】
次に、取得した画像データから被験者のほおの特徴を分析する(S02)。具体的には、上述した図8に示すような標準のほおの長さ(バランス)、及びほお骨が目立つか否か、ほっそり・直線的であるか、ふっくら・曲線的であるか等の判断評価を行う。
【0137】
また、S02の分析結果において、図8に示す分類見極めマップ等を用いて被験者がどの分類に属するかの分析を行い(S03)、分類結果の評価を行う。なお、分類は、被験者の顔の分析情報を各項目毎に集計し、その結果と予め設定される値とに基づいて対応するマップ上の所定の分類に位置付けられる。また、分類結果は、マップ上の所定の位置にプロットされて、ディスプレイ等に表示されるか、印刷物として被験者等に表示される(S04)。
【0138】
次に、分類結果に基づいて、対応するチークメーキャップ方法を図13、図14、図18〜図20に示すような分類見極めマップ等により表示する(S05)。このとき、分類されるほおのタイプのうち、被験者が対応するタイプに対応するメーキャップ調整方法のみ表示してもよい。最後に、被験者又はメーキャップ等を担当するカウンセラーもしくは美容技術者により対応するメーキャップを施す(S06)。
【0139】
具体的には、チークを施す起点への筆の置き方を決め、起点の位置が筆の中心になるよう筆を置く。このとき、すでに分析した被験者のほおの特徴から、ほおが短ければ水平に、長ければ垂直に置くようにする。また、標準のほおの長さの場合は、斜めに置くようにする。
【0140】
更に、分析したほおの特徴を考慮した形でチークメーキャップを施す。具体的には、上述したようにぼかしの範囲となる平行四辺形を目安としてチークメーキャップを施す。このとき、標準のほおのバランスであれば、その平行四辺形に内接する楕円をイメージし、起点から外側に向かって自然に淡くぼかしを施す。また、ほおが短ければ内接楕円よりも下側を短めにし、長ければ内接楕円よりも下側をやや長めにする。
【0141】
また、ほお骨が目立つ場合は顔中央寄りの上部は標準の内接楕円より円弧を大きくし、顔の輪郭寄りの上部は、標準の内接楕円よりも円弧を小さめにする。また、ほお骨が目立たない場合は、顔中央寄りの上部は、標準の内接楕円より位置を下げ、インカーブにする。
【0142】
更に、ほお骨が目立つ場合は筆の動かし方をU字を描くように曲線的に動かし、ほお骨が目立たない場合は筆の動かし方をV字を描くように直線的に動かすことで、骨格・肉付きの特徴に対応した上記の形を表現しやすくなる。これにより、被験者毎のほおの特徴に合わせて血色をよく見せ、美しい仕上がりを実現するチークメーキャップが簡便で的確に行うことができる。
【0143】
上述したように本発明によれば、ほおを簡易かつ効果的に形態的な特徴別に分類することができる。また、形態的特徴毎に効果的なチークメーキャップによる顔の調整方法を提供することができる。具体的には、ほおを形態的特徴別に分類し、分類した結果によりそれぞれの顔の形状毎に効果的なチークメーキャップを行うことができる。つまり、本発明により、ほおの血色を美しく演出し、同時にほおの長さと骨格・肉付き感の見え方を好適に調整するためのチークメーキャップ法を、簡単に行うことができる。
【0144】
また、本発明は、個々のほおの長さと骨格・肉づき感をマップ化したツールを用いて顔の分析及び予め設定された顔のタイプに分類を行い、分類したタイプに応じてマップ上の位置によりチークメーキャップを施す形状を示して個々のほおの特徴に応じた好適なチークメーキャップを提示することで、誰もが簡単で効率よくチークメーキャップを行うことができる。
【0145】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0146】
10 顔分類装置
11 入力装置
12 出力装置
13 ドライブ装置
14 補助記憶装置
15 メモリ
16 CPU
17 ネットワーク接続装置
18 撮像装置
19 記録媒体
20 メモリ
21,30 顔画像
22,23,31,32,33 ライン
24 エリア
34 正面顔画像
35 水平ライン
36 垂直ライン
41〜47 線
51 チーク形状
52 内接楕円
53、54 中点
61 メークブラシ(筆)
62 カット面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者のほおを予め設定された条件により分類するチークメーキャップのための顔分類方法において、
少なくともほおの長さ及びほおの骨格・肉付き感の2つの指標に基づいて、前記被験者の顔を分析する分析段階と、
前記分析段階により分析された結果を予め分類された少なくとも4種類のタイプの何れかに位置付ける分類段階とを有することを特徴とする顔分類方法。
【請求項2】
前記分析段階は、
前記被験者の顔を評価するため、予め設定される平均顔と前記4種類のタイプの各代表顔を用いることを特徴とする請求項1に記載の顔分類方法。
【請求項3】
前記分析段階は、
瞳の真下から顔の輪郭まで引いた垂直線を縦幅とし小鼻の横から顔の輪郭までの水平線を横幅として、前記ほおの縦幅と横幅の比率の度合いを前記平均顔に基づいて評価し、また前記骨格・肉付き感が、ほお骨が目立ちほっそり直線的である度合い又はほお骨が目立たないふっくら曲線的である度合いにより評価することを特徴とする請求項2に記載の顔分類方法。
【請求項4】
前記分類段階により分類された顔のタイプを、前記平均顔と前記4種類のタイプとが平面座標空間の各象限に位置付けられたマップ上に対応させて表示し、更に前記4種類の各タイプの骨格・肉付き感を前記平均顔が有するほおの長さ及び骨格・肉付き感に近づけるため、前記4種類の各タイプ毎にほおの長さ及び骨格・肉付き感の見え方をチークメーキャップで調整するための調整方法を表示する表示段階を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の顔分類方法。
【請求項5】
前記チークメーキャップは、
チークを入れる起点を鼻先からアリキュラを結んだ線と、目の中心から引いた水平線と顔の輪郭と交わる点から口角に引いた線の交点とすることを特徴とする請求項4に記載の顔分類方法。
【請求項6】
前記チークのぼかしの範囲は、目の中心を通る水平線が顔の輪郭と交わる点から鼻先に引いた第1の線と、前記第1の線から平行に口角まで下ろした第2の線と、口角から上に垂直に引いた第3の線と、前記第3の線を目の中心を通る水平線が顔の輪郭と交わるところまで平行に移動させた第4の線とにより囲まれる平行四辺形を基準にして設定されていることを特徴とする請求項5に記載の顔分類方法。
【請求項7】
ほおの長さを含む顔のタイプを示す第1の軸、及びほおの骨格・肉付き感からなる顔のタイプを示す第2の軸の2軸と、前記2軸によって分類される象限及び2軸の交差する中央に予め設定される標準的且つ理想的なほおの長さ及び骨格・肉付き感を有する顔画像を配置した座標空間とからなることを特徴とする分類見極めマップ。
【請求項8】
前記第1の軸は、予め設定される平均顔に対して前記顔の瞳の真下から顔の輪郭まで引いた垂直線を縦幅、小鼻の横から顔の輪郭までの水平線を横幅とし、前記ほおの縦幅と横幅の比率の度合いを示すものであり、前記第2の軸は、一方が、骨格・肉付き感がほお骨が目立ちほっそり直線的である度合いを示し、他方が、ほお骨が目立たないふっくら曲線的である度合いを示すものであることを特徴とする請求項7に記載の分類見極めマップ。
【請求項9】
前記2軸によって分類される象限に、前記平均顔が有するほおの長さ及び骨格・肉付き感に近づけるため、ほおの長さ及び骨格・肉付き感の見え方をチークメーキャップで調整するための調整方法が表示されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の分類見極めマップ。
【請求項10】
前記チークメーキャップは、
チークを入れる起点を鼻先からアリキュラを結んだ線と、目の中心から引いた水平線と顔の輪郭と交わる点から口角に引いた線の交点とすることを特徴とする請求項9に分類見極めマップ。
【請求項11】
前記チークのぼかしの範囲は、目の中心を通る水平線が顔の輪郭と交わる点から鼻先に引いた第1の線と、前記第1の線から平行に口角まで下ろした第2の線と、口角から上に垂直に引いた第3の線と、前記第3の線を目の中心を通る水平線が顔の輪郭と交わるところまで平行に移動させた第4の線とにより囲まれる平行四辺形を基準にして設定されていることを特徴とする請求項10に記載の分類見極めマップ。
【請求項12】
被験者のほおを予め設定された条件により分類するチークメーキャップのための顔分類プログラムにおいて、
コンピュータに、
少なくともほおの長さ及びほおの骨格・肉付き感の2つの指標に基づいて、前記被験者の顔を分析する分析処理、及び、
前記分析処理により分析された結果を予め分類された少なくとも4種類のタイプの何れかに位置付ける分類処理を実行させるための顔分類プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の顔分類プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図16】
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【図17】
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【図21】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−224397(P2011−224397A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161006(P2011−161006)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【分割の表示】特願2005−379349(P2005−379349)の分割
【原出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)