説明

チーズおよびこのようなチーズの製造方法

スラリーをチーズ前駆物質と合わせて混合物を形成し、この混合物が続いて加工されてチーズ製品が形成される、チーズを調製するための方法が提供される。このスラリーは代表的に、液体(例えば、水、乳および/またはクリーム)および最終的なチーズ製品に含まるのに有用である1以上の成分を含む。このようなスラリーおよびチーズ製品を調製するためのシステムもまた、提供される。例えば、チーズ製品を調製する方法は、(a)1以上の成分を含むスラリーを提供する工程;(b)該スラリーをチーズ前駆物質と合わせて混合物を形成する工程;および(c)該混合物を加工して該チーズ製品を形成する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2004年5月3日に出願した「Soft or Firm/Semi−Hard Ripened or Unripened Cheese and Methods of Making Such Cheeses」という表題のアメリカ仮出願番号第60/568,029号に対する優先権を主張する。この出願の内容は全て、全ての目的で、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本願はまた、以下の米国特許出願と関連する。これらの特許出願は全て、全ての目的で、本明細書中に参考として援用される:
1.2004年5月3日に出願された、「Soft or Finn/Semi−Hard Ripened or Unripened Blended Cheeses and Methods of Making Such Cheeses」との表題の、代理人文書番号040179−000500USを有する、米国仮出願番号第60/568,022号;
2.2004年5月3日に出願された、「Methods for Making Soft or Firm/Semi−Hard Ripened and Unripened Cheese」との表題の、代理人文書番号040179−000600USを有する、米国仮出願番号第60/568,017号;
3.本願と同日に出願されて、「Blended Cheeses and Method for Making Such Cheeses」との表題の、代理人文書番号040179−000510USを有する、米国特許出願;および
4.本願と同日に出願されて、「Methods for Making Soft or Firm/Semi−Hard Ripened and Unripened Cheese and Cheeses Prepared by Such Methods」との表題の、代理人文書番号040179−000610USを有する、米国特許出願。
【背景技術】
【0003】
(背景)
近年、広範に異なっている性能特性を有するチーズについての需要が増加している。この特定の需要は、この種のチーズが含まれる調理済みの食品の多様性の増加に部分的に起因する。事実、異なる方法でチーズが利用されるので、または、チーズが異なる調理環境または調理条件にさらされるので、しばしば、同じ一般的なタイプの食品についてさえの異なる性能品質についての必要性がある。ピザには非常に多く異なるタイプがあるので、ピザはこの点をよく例示する。例えば、ピザは、厚いもの、薄いもの、またはその間の程度のものを含め、非常に異なるクラストを有する。チーズはまた、露出されてもよく、またはクラストの縁部に包まれてもよい。さらに、クラストは、完全に未調理でもよく、または、クラストは、チーズとともにオーブンに入れられる前に半焼成(parbake)されてもよい。これらの変動要因の各々は、潜在的に、満足な性能を与えるために必要とされるチーズの組成に影響を与える。
【0004】
様々な性能特性を有するチーズについての需要はまた、チーズを含んでいる食品を調製するために用いられる異なるタイプの焼成装置および焼成条件の重大な増加に部分的による。いくらかの焼成操作は、例えば、短い焼成時間(例えば、約30秒間〜15分間の範囲)での比較的高いオーブン温度(例えば、約350°F〜950°F(177℃〜510℃)の範囲)を必要とする。このような条件は、例えば、薄いクラストを有するピザを焼く場合に、衝突オーブンにおいて使用され得る。対照的に、他のオーブン(例えば、デッキオーブン)は、時々、比較的長い焼成時間(例えば、約6分間〜60分環)および対応する、より低いオーブン温度(例えば、約300°F〜750°F(149℃〜399℃)を使用する。焼成する代わりに、チーズをトッピングするかまたはチーズを含むいくつかの食品は、電子レンジで調理する(例えば、1〜6分間)ことにより調製される。
【0005】
栄養的な内容(例えば、栄養のバランスが取れている、より低脂肪)が改善されたチーズに関する消費者の需要はまた、チーズの新しい種類に関する需要を増やした。
【0006】
所望の性能特性および栄養品質を満たす組成を有するチーズを提供することへの種々の挑戦が行われている。例えば、チーズにおいては、いくつかの成分の所望の濃度レベルを得ることは、困難であり得る。別の課題は、特定の成分の潜在的な機能的特性を活性化させるプロセスを開発することである。別の課題は、チーズを調製するための多くの方法が、加工の間の、相当の量の何らかのチーズ成分の損失を含むということである。これは、例えば、この種のチーズがパスタフィラータ(pasta filata)プロセスの加熱および伸張プロセスを受ける場合に起こり得る。しばしば、加熱は、加熱した水中で実施され、そしてこのことは、相当量のチーズ成分を除去し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
チーズに関する高い需要および所望の性能特性を有するこの種のチーズを調製するためのいくつかの既存の方法と関連する前述の欠点を考慮すると、このように、これらのタイプのチーズを調製するためのさらなる方法に関する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要旨)
種々のチーズ製品を調製するための方法が開示される。この種のチーズおよびスラリーを調製するためのシステム、ならびに開示された方法によって製造されたチーズもまた、提供される。
【0009】
チーズ加工方法のうちのいくつかは、最終的なチーズ製品に組み込むことが所望される1以上の成分を含むスラリーを最初に提供する工程を含む。次いで、スラリーは、チーズ前駆物質と合わされて、混合物が形成される。次いで、得られる混合物は加工されて、最終的なチーズ製品が形成される。このスラリーは、種々のチーズ前駆物質と合わされ得る。このチーズ前駆物質としては、チーズ凝乳成分、チーズ凝乳成分の混合物、凝塊、チーズ凝乳、チーズの加熱された塊(例えば、チーズ凝乳の加熱塊)、乾燥した混合チーズ、または同日の立方体にしたチーズ(same day diced cheese)。いくつかの方法において、このスラリーは、チーズ凝乳を欠いている。他の方法におけるスラリーは、1以上の類似チーズ成分(例えば、油、脂肪、タンパク質、澱粉、金属イオン封鎖剤および/または、塩)を欠いている。
【0010】
種々の成分は、スラリーに組み込まれ得る。この成分としては、脱脂粉乳、乳タンパク質、酸性度調節物質、酸、固化防止剤(anticaking agent)、消泡剤、着色剤、乳化剤、酵素調製物、香料、硬化剤(firming agen)、食用タンパク質、ゲル化剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、安定剤、澱粉、増粘剤、油、脂肪、チーズ粉末、塩、栄養補助剤(nutritional supplement)、酸、酵素、栄養補助食品(neutraceutical)、炭水化物、ビタミンおよびミネラルが挙げられるがこれらに限定されない。例としては、プロクリーム(procream)、ホエイクリーム、乳固形分(dairy solid)、ならびに野菜、果物および/または動物起源の食材(foodstuff)がさらに挙げられ得る。他の食材の中でも、食材としては、果物、野菜、ナッツ、肉およびスパイスが挙げられ得る。
【0011】
いくつかの方法において、スラリーは、チーズ前駆物質と合わされる前に、加工される。代表的な加工工程は、以下のプロセスのうちの1つ以上を含む:スラリーを加熱すること、スラリーを高剪断条件に供すること、スラリーを均質化すること、およびスラリーの水分含量を調整すること。
【0012】
チーズを調製するための他の方法は、スラリーをチーズ凝乳の加熱塊と合わせて混合物を形成し、次いでこの混合物を成形し、冷却して最終的なチーズ製品を形成することを含む。これらの方法のうちのいくつかにおいて、スラリーは、チーズが以下の特徴のうちの1つを有するように、充分な澱粉、脱脂粉乳、ガムまたはセルロースを含む:(i)約0.5〜20重量%澱粉濃度、または(ii)約0.5〜25重量%の脱脂粉乳濃度、または(iii)約0.5〜20重量%のガム濃度もしくはセルロース濃度。
【0013】
チーズの調製において使用され得る加熱したスラリーを調製するための方法もまた、本明細書において記載されている。これらの方法のうちのいくつかは、液体と1以上のGRAS成分とを一緒にブレンドしてスラリーを形成し、次いでこのスラリーを加工することを含む。加工は代表的に、スラリーを約90°F〜約300°Fの温度まで加熱すること、ならびにスラリーを高剪断条件に供すること、スラリーを均質化することおよびスラリーの水分含量を調整することからなる群から選択される1以上のさらなる加工工程を実施することを含む。
【0014】
チーズ製品を製造するための様々なシステムが提供される。これらのシステムのうちのいくつかは、スラリー調製システムを含み、このスラリー調製システムは、(i)液体と1以上の安全と一般に認定された(GRAS)成分とを一緒にブレンドしてスラリーを形成するために適応したブレンダー、および(ii)このブレンダーからこのスラリーを受け取るために作動するように配置されており、かつこのスラリーを約90°F〜約300°Fの温度まで加熱するのに適応したクッカー、とを備える。これらのシステムはまた、このスラリー調製システムからこのスラリーを受け取るために作動するように配置されており、かつこのスラリーとチーズ凝乳の加熱塊とを混合して混合物を形成するのに適応した、第1ミキサーを備える。この混合物を受け取るために作動するように配置されており、かつ最終的なチーズ製品を形成するのに適応した最終加工システムもまた備えられる。
【0015】
このようなシステムはまた、必要に応じて、スラリー混合および水分制御サブシステムを備えることができる。これらのサブシステムは、以下のユニットのうちの1つ以上を備え得る:(i)このスラリーを高剪断条件に供するのに適応した剪断ポンプ;(ii)このスラリー中の水と1以上の成分とを均質化するのに適応したホモジナイザー;および(iii)このスラリーの水分含量を約5〜95重量%に調整するのに適応したエバポレーター。これらのシステムにおけるサブシステムは、クッカーと連絡しており、そして、第1ミキサーおよびサブシステム内のユニットは流体連絡している。
【0016】
いくつかのサブシステムの配置は、剪断ポンプがこのヒーターからスラリーを受け取るために作動するように配置されていて、かつホモジナイザーと連絡しているような配置である。次いで、ホモジナイザーは、剪断ポンプとエバポレーターとの間に作動するように配置されており、かつこの剪断ポンプからスラリーを受け取るのに適している。このエバポレーターは、ホモジナイザーからスラリーを受けるために作動するように配置されており、かつ第1ミキサーと連絡している。
【0017】
いくつかのシステムはまた、乾式または湿式の第2ミキサーを備えており、この第2ミキサーは、(i)その中に導入されるチーズ凝乳の塊を加熱および捏和するのに適しており、そして(ii)第1ミキサー中で生成されるチーズ凝乳の加熱塊が第2ミキサーに運搬され得るように、第1ミキサーと連絡している。
【0018】
スラリー調製システムもまた、提供される。これらのシステムのうちのいくつかは、以下を備える:
a)スラリーを調製するのに適応したブレンダーであって、このスラリーが、水および1以上の安全と一般に認定された(GRAS)成分を含む、ブレンダー;b)このスラリーを約90°F〜約300°Fの温度まで加熱するのに適応したクッカー;およびc)スラリー混合および水分制御サブシステム。このサブシステムは、それ自体が、以下のユニットのうちの1つ以上を備える:(i)スラリーを高剪断条件に供するのに適応した剪断ポンプ;(ii)このスラリー中の水と1以上の成分とを混合するのに適応したホモジナイザー;および(iii)該スラリーの水分含量を約5〜95重量%に調整するのに適応したエバポレーターユニット。このようなサブシステムにおいては、このサブシステムを構成するユニットは、流体連絡しており、かつこのブレンダー、ヒーター、およびスラリー混合および水分制御サブシステムは、流体連絡している。
【0019】
種々のチーズ(例えば、軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ製品)が提供される。これらのうちのいくつかは、以下の特徴のうちの1つ以上を有する:(i)11重量%より高い脱脂粉乳濃度、または(ii)11重量%より高い澱粉濃度、または(iii)11重量%より高いガム濃度もしくはセルロース濃度。これらのうちのいくつかは、以下の特徴のうちの1つ以上を有する:(i)10重量%より高い脱脂粉乳濃度、または(ii)10重量%より高い澱粉濃度、または(iii)10重量%より高いガム濃度もしくはセルロース濃度。
【0020】
チーズの調製において使用され得る、種々の組成のスラリーが提供される。例えば、いくつかのスラリーは、約90°F〜約300°Fの温度を有し、そして以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する:(i)少なくとも12重量%の澱粉濃度、または(ii)少なくとも12重量%の乳固形分濃度。
【0021】
種々のチーズ(例えば、軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ製品)が提供される。これらのうちのいくつかは、チーズの調製において使用される、(i)種々の組成のスラリー、および/または(ii)成分乾燥粉末の形態で添加される1以上の成分を有する。例えば、いくつかのチーズは、成分の0.5〜25%が最終的なチーズに添加されるように、スラリーを経て添加される成分を有する。他のチーズは、成分の0.5〜15%が最終的なチーズに添加されるように、乾燥粉末を経て添加された成分を有し得る。そしてさらに他のチーズは、スラリーと粉末との組合せが約0.5〜25%の成分量に結果としてなるように同時に添加されたスラリーおよび乾燥粉末の両方を有し得る。
【0022】
(詳細な説明)
(I.定義)
「軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズ」とは、本明細書中で使用される場合、一般に、約54重量%以上の無脂肪基準水分(MFFB)百分率を有するチーズを含む。この用語また、例えば、約54重量%〜約80重量%のMFFBを有する、硬質/半硬質のチーズ、ならびに、例えば、約58重量%〜約75重量%のMFFBを有するチーズを包含する。この用語は、コルビーチーズ、ハバーティチーズ、モンテレージャックチーズ、ゴルゴンゾーラチーズ、ゴーダチーズ、チェシャーチーズおよびムンスターチーズが挙げられるがこれらに限定されない種々の周知のチーズを包含する。これらは「硬質/半硬質チーズ」の例である。また、この用語に包含されるのは、人気のある「軟質チーズ」(例えば、モッツァレッラチーズ、クリームチーズおよびカテージチーズ)である。種々のモッツァレッラチーズは、この用語によって含まれる。これらは、その水分含量によって、軟質または硬質/半硬質のカテゴリーに入ったり、またはこれらの2つのカテゴリーの間に入ったりする。標準のモッツァレッラは、例えば、軟質チーズであり、部分脱脂モッツァレッラ(part−skim mozzarella)は、軟質チーズと硬質/半硬質チーズとの間にあり、そして低水分モッツァレッラおよび低水分部分脱脂モッツァレッラは両方とも、硬質/半硬質チーズと称される。軟質または硬質/半硬質という用語は、本明細書で用いられる場合、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズのCODEX定義を満たすチーズを含む。この用語はまた、他の地方、地域、国または国際的な機関または組織により定義されるような軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを包含する。
【0023】
本明細書で定義される場合の「軟質または硬質/半硬質」のカテゴリー内のチーズは、従来法を含めた種々の方法を使用して、ならびに「代替製造」設備(「alternative make」 provision)によって、調製され得る。この用語は、例えば、チーズ凝乳が加熱され、捏和されて、最終的なチーズの伸縮性または糸引きが改善されて、上記に示すMFFBパラメータに入るチーズが提供されるプロセスによって製造されるチーズを包含する。このプロセスおよび関連したプロセスは、時々、パスタフィラータ(pasta filata)製造プロセスと称される。このプロセスによって製造されるチーズは、種々の名称で知られる。この名称としては、モッツァレッラ、パスタフィラータ、プロボローネ、メキシカンスタイル、スカモルツァ(scamorze)およびピザチーズが挙げられる。代替的製造手順によって製造されるチーズは、指定したプロセス(例えば、規制機関によって指定されるプロセス)によって製造されるタイプのチーズと同じ物理的特性および化学的特性を有するチーズがその手順によって製造され、上記のMFFBパラメータに入る限り、代替的チーズ製造方法によって調製される。
【0024】
提供される「軟質」チーズおよび「硬質/半硬質」チーズは、上記の水分特性を有する、標準的なチーズおよびチーズ製品、ならびに標準的でないチーズおよびチーズ製品を包含する。標準的なチーズは、特定の種類のチーズに関する規制機関によって示される通りの基準を満たすチーズである。標準的でないチーズは、その組成が基準を満たさないチーズである。軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズはまた、プロセスチーズであり得る。軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズはまた、熟成されてもよく、または熟成されなくてもよい。
【0025】
「モッツァレッラ」チーズは、固体の45重量%という最小限の乳脂肪含有量、および52重量%を超えるが60重量%以下の水分含量を有する。「低水分モッツァレッラ」チーズは、固体の45重量%の最小限の乳脂肪含有量を有し。そして水分含量は、45重量%を超えるが、52重量%以下である。「部分脱脂モッツァレッラ」は。52重量%を超えるが60重量%以下の水分含量、および固形分基準で計算して、45重量%未満であるが、30重量%以下である乳脂肪含有量を有する。「低水分部分脱脂」モッツァレッラは、45重量%を超えるが52重量%以下の水分含量、および固形分基準で計算して45重量%未満だが30重量%以上の乳脂肪含有量を有する。これらの様々なモッツァレッラチーズに関するさらなる詳細は、21 C.F.R.1.33.155−133.158によって提供される。
【0026】
用語「チーズ前駆物質」とは、本明細書中で使用される場合、チーズ凝乳を調製するために用いられる任意の成分、この種の成分の混合物および最終的なチーズ製品以外のその後の加工された形態のチーズ凝乳を広く言及する。成分であるチーズ前駆物質の例としては、非低温殺菌乳(時々、当該産業では、「生乳」といわれる)、チーズ製造プロセスにおいて用いられる増殖培地および細菌(時々、当該産業では「スターター」といわれる)およびクリームが挙げられるが、これらに限定されない。この種の成分の混合物もまた、包含される。この種の混合物の1つの具体例は「バット液体」である。これは、低温殺菌乳、スターターおよびクリームの組合せを言及するために使用される用語である。この用語はまた、凝塊、チーズ凝乳およびプロセスチーズ凝乳(例えば、加熱および/または伸長させられて均質なチーズ塊が形成された凝乳)を包含する。
【0027】
用語「クリーム」とは、それに対して添加することにより調整され得る乳から分離される、脂肪分が高い液体乳製品を意味する:乳、濃縮乳、乾燥全乳、脱脂乳、濃縮脱脂乳、脱脂粉乳または他のGRAS成分。「ホエイクリーム」は、ホエイ(チーズ、カゼインなど)から分離され、それにホエイ、濃縮ホエイ、乾燥ホエイまたは他のGRAS成分を添加することにより調整され得る、脂肪分が高い液体の乳製品である。「プロクリーム」は、それに対してホエイ、濃縮ホエイ、乾燥ホエイまたは他のGRAS成分が添加されることにより調整されていてもよい、ホエイ濾過プロセス(例えば、マイクロフィルトレーション)から保留物として集められる、脂肪分が高い液体の乳製品である。
【0028】
用語「凝乳前駆物質」とは、チーズ凝乳の形成の前に存在するかまたは形成される、任意の軟質または硬質/半硬質チーズ成分、混合物または組成物をいう。従って、この用語は、例えば、生乳、スターター、クリーム、チーズバット液体および凝塊を包含する。
【0029】
(II.概要)
例えば、軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズを含め、種々の異なる種類のチーズを調製するための方法が提供される。一般に提供される方法は、スラリーをチーズ前駆物質と合わせて混合物を形成し、続いてこの混合物を加工して最終製品を形成することを含む。このスラリーは、代表的には、所望される最終的なチーズ製品に従って選択される、液体(例えば、水、乳および/またはクリーム)および1以上の成分(例えば、液体または乾燥粉末のいずれかとして添加される)を含む。一旦スラリーおよびチーズ前駆物質が完全に混合されると、得られる混合物を加工して、最終的な軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品が得られる。この種のチーズおよびスラリーを調製するためのシステムもまた、開示される。
【0030】
これらの方法は、例えば、様々な成分をスラリーに導入して、および/または様々な成分をチーズの別の成分とともに導入して、以下を制御するために使用され得る:1)最終的なチーズ製品の融解および流動性(これは、好ましくはチーズの個々の断片がほとんどまたは全く検出可能でないままで、チーズがどれくらいよく融解して流動して均質な塊になるかという尺度である);2)伸び(これは、加熱したチーズを引っ張った場合に、チーズが相互に連結した糸を形成する能力の尺度である);3)テクスチャ(これは、咀嚼性および平滑性の尺度である);4)着色(これは、融解したチーズの実際の色の尺度である);5)膨れ特性(これは、サイズ、色および被覆範囲を含み得る);および/または6)栄養組成。
【0031】
本明細書に開示される方法におけるスラリーの使用はまた、収率の有意な改善を提供し得る。その基本的アプローチにおける代表的なチーズプロセスは、乳を酸性化および凝固してチーズ凝乳およびホエイを含む凝塊を形成する工程、この凝乳からホエイを除去する工程、次いでこの凝乳を加工して最終的なチーズ製品にする工程を含む。従来のチーズ製造において除去されるホエイはしばしば、多くの溶解または懸濁した成分を含み、このことは、ホエイが凝乳から分離されるときに、かなりの量の溶解した物質(例えば、タンパク質、脂肪、炭水化物およびミネラル)が失われることをしばしば意味する。ホエイが凝乳から分離される前に何らかの成分が添加される場合、それらはホエイ画分に少なくとも部分的に可溶性であるので、これらの成分の多くもまた、失われる。
【0032】
この課題の範囲の具体例として、チーズを調製するために用いられる乳100ポンドあたり、従来のチーズ製造技術を使用して、ほんの数十ポンドのチーズしか生産できないことはまれでない。本明細書に開示されるスラリーに基づく方法のうちのいくつかを用いて、収量は、いくつかの例において、乳100ポンドあたり、チーズ約15ポンド、18ポンド、20ポンド、22ポンドもしくは50ポンドまたはそれより多くまで増加し得る。このように、いくつかの方法については、収率は、1.5〜2倍上昇し得る。収率の増加は、添加した成分のかなりの部分が失われる以前のプロセスと比較して、スラリー中の本質的に全ての成分が保持される場合に、成分が最終的なチーズ製品の前駆物質に組み込まることを可能にするスラリーを使うことに一部起因する。
【0033】
1つのアプローチは、脱脂粉乳を乳に加え、これを用いてチーズを調製することである。この段階で添加される場合、脱脂粉乳に含まれるタンパク質、ラクトースおよびミネラルを含め、脱脂粉乳の約75%が失われることはまれでない。脱脂粉乳がその代わりに、提供されるスラリーのうちのいくつかに組み込まれ、そして得られるスラリーを混合して例えば、本明細書に記載されるようなチーズ前駆物質(例えば、チーズ凝乳の均質化塊)にする場合、脱脂粉乳の本質的に全てでなくても多くは、最終的なチーズ製品に組み込まれ得る。
【0034】
いくつかの方法において、それが最終的なチーズ製品に役立つ特性を与える形態および/またはチーズの調製を促進する形態であるように、スラリーは加工される。いくつかの方法は、例えば、また、剪断および/または均質化され得る、加熱されたスラリーを利用する。この種の加工は、様々な方法で、最終的なチーズ製品の性能に影響を与え得る。例えば、この加工は、最終的なチーズ製品において、従来の方法と比較して、より高い濃度の特定の成分を達成するために使用され得る。理論に束縛されることを意図しないが、剪断および均質化のプロセスにより、いくつかのチーズ成分の構成要素の粒子サイズを小さくすることができると考えられる。得られるサイズが小さいので、得られるこれらの分子は、従って、チーズマトリックス全体に組み込まれることがより良好に可能であり、それによって、より多くの成分が最終的なチーズ製品に導入され得る。
【0035】
粒子サイズの低下によってまた、製造プロセス中に過剰な水を、後の製造段階において望ましいレベルまで取り除くことがより容易になる。水分含量を制御する能力は、チーズの安定性、従ってその貯蔵寿命を制御することが可能であることにおいて重要な要因である。粒子サイズの低下はまた、容易に加工され得る(例えば、シュレッドにされるか、スライスされるか、またはダイスにされる)コンパクトなチーズを形成するのを容易にする。剪断および均質化はまた、スラリーの粘度の低下の際に重要であり得る。粘度の低下は、様々な加工工程(例えば、スラリーの輸送)を補助する。
【0036】
製造プロセスの間に加熱、剪断および/または均質化されたスラリーの使用はまた、成分が、対応する非加熱の成分とは異なる特性を有するように、官能性を活性化する際、官能性を露出させる際、および/または成分を水和する際に有用である。特定の例として、脱脂粉乳は決して完全には水和しないので、特定のチーズ製造法においては、乾燥粉末として脱脂粉乳をチーズに組み込むことは困難であり得る。このことにより、例えば、調理される場合、脱脂粉乳は燃えやすくなる。本明細書に開示されるスラリーに基づく方法のうちのあるものを使用することにより、脱脂粉乳のような成分は、よりよく水和でき、従って、燃えるという課題を緩和する。他の成分の水和は、他の有益な結果を有し得る。
【0037】
いくつかの方法はまた、スラリーの水分含量が調整されるプロセスを含む。チーズにおける水分含量は、安定性、貯蔵寿命および最終的なチーズ製品をスライスして、シュレッドにして、ダイスにする能力における重要な要因であるので、これは有用である。
【0038】
要するに、製造プロセスの特定の段階で成分をチーズに導入するためにスラリーを使用することを用いて、最終的なチーズ製品の性能および栄養特性を調節するのを補助し得る。
【0039】
(III.軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製するための方法)
(A.概論)
図1は、チーズ製品(例えば、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズ)を調製するための1つの一般的なスキーム10を要約するフローダイアグラムを提供する。この図が示すように、いくつかの方法は、1以上の成分を含むスラリー12を提供することを含む。このスラリーの成分は、所望される最終的なチーズ製品に従って選択され、そしてこれらの成分は、以下に詳細に記載されている。本明細書に記載されている方法のスラリーは代表的に、凝乳を含まず、従って、チーズ凝乳を欠いているが、例えば、その代わりに、最終的なチーズ製品に対して味覚、性能および/または栄養の特性(例えば、口あたり、膨れサイズ、溶融特性、テクスチャまたは色)を与えるために選択される他の成分を含み得る。いくつかのスラリーはまた、類似チーズ(analog cheese)の調製において通常使用される成分を含まない。従って、この種のスラリーを用いた方法は、代表的に、以下のうちの1つ以上または全てを省略する:油、脂肪、タンパク質、澱粉、金属イオン封鎖剤(sequestrant)および塩。しかし、他の方法は、これらの成分のうちの一部または全てを含むスラリーを利用する。このスラリーは、チーズ前駆物質と合わされて混合物が形成される(14)。次いで、この混合物は加工されて、最終的なチーズ製品が形成される(16)。
【0040】
一般的方法の別の例は、図2Aに示される。このプロセス20は、1以上の成分を含むスラリーを提供すること(22)、およびチーズ前駆物質を提供すること(24)を含む。この特定の方法において、チーズ前駆物質(例えば、乳、クリーム、凝塊および/または凝乳)は、1以上の成分と混合される(26)。次いで、この混合物は、スラリーと合わされて、混合物が形成される(28)。さらなる成分は、その後、混合物に添加され、それにより、最終的なチーズ製品の組成を制御する別の機会を提供することが可能である(30)。次いで、この混合物は、最終的な加工に供されて、所望のチーズ製品が得られ得る(32)。図2Aにおける方法は、さらなる成分が添加される2つのプロセス(すなわち、プロセス26およびプロセス30)を含むにもかかわらず、他の方法は、これらのプロセスのうちの1つだけを含むかまたはこれらの方法のいずれも含まない。
【0041】
図2Bは、図2Aに示される一般的方法のバリエーションを示す。この方法30において、チーズ前駆物質が提供され(24)、1以上の成分と混合され(26)、次いで、スラリー22と合わされて混合物が形成される(28)。しかし、図2Aに示される方法とは対照的に、得られる混合物は次いで、複数部分(例えば、第1混合物および第2混合物)に分けられる(29)。各々の混合物は次いで、別々に加工される。例えば、第1成分または成分セットは、第1混合物部分に添加され得(30a)、そして、得られる混合物はさらに加工されて(32a)、第1のチーズ製品が形成され得る。第2成分または成分セット(代表的には、第1成分または成分セットとは異なる)は次いで、第2の混合物部分に添加され得(30b)、次いで、さらなる加工32bに供されて、第2の最終的なチーズ製品が形成され得る。このアプローチは、例えば、類似の基本組成を有するが幾分異なる成分を有するチーズを調製するために有用である。図2Bは、最初の混合物がたった2つの別々の部分に分けられる方法を示すが、最初の混合物が、図2Bに示されるような各々の部分の並行加工を用いて、より大きな数の部分へと分けられ得ることが理解されるべきである。さらに、図2Bにおける方法は、チーズ前駆物質およびスラリーが混合される前にチーズ前駆物質に対して成分が添加される(26)ことを示すが、この工程は、全ての方法で実施される必要があるわけではない。
【0042】
図2Aに示される方法の第2のバリエーションを図2Cにおいて示す。この方法40において、提供プロセス22,24および混合プロセス26は、図2Aに関して記載した通りである。しかし、この特定の方法において、一旦スラリーおよびチーズ前駆物質が合わされると(28)、複数の成分は、(図2Bに図示される並行プロセスと比較して)連続プロセスで添加される。従って、例えば、1以上の第1成分が添加されて(30)、最初の混合物が形成され、次いで、1以上の第2成分が添加されて(31)、最終的な混合物が形成され、これを引き続いてさらに加工して(32)、最終的なチーズ製品が形成される。第1成分と第2成分とは、同じであっても異なっていてもよい。第1成分および第2成分はまた、単一の成分であっても、複数の成分であってもよい。図2Cは成分の2回の連続添加がある方法を図示するが、より多くの連続添加が行われ得ることがさらに理解されるべきである。
【0043】
図2Cに示される一般的なタイプの方法は、例えば、成分の別々の添加により、チーズへの改善された組み込みが可能になる場合(例えば、全ての成分をいっぺんに添加することにより、成分が混合物に完全に混入されるのが妨げられ得る場合)に有用である。
【0044】
提供される方法に関与する様々な一次プロセス(例えば、図1および図2A〜2Cに記載されるプロセス)を、以下の節で詳述する。
【0045】
(1.スラリー調製および予備混合プロセス)
スラリーを提供するプロセスは、いくつかの局面を含み得る。いくつかの方法は、例えば、一般に、液体(例えば、水、油、乳および/またはクリーム)と1以上の成分とをブレンドしてスラリーを形成する工程を含む。得られるスラリーは、次いで、予備混合プロセスに供されて、スラリーが混合されるチーズ前駆物質によく組み込まれる形態にスラリーが調整される。予備混合プロセスは通常、スラリーを、代表的には約90〜300°F、90〜293°Fまたは100〜250°F(38〜121℃)で調理する工程を含むが、しかし、これは必須ではない。この予備混合加工もまた、必要に応じて、以下のプロセスのうちの1、2または全てを含む:(1)スラリーを高剪断条件に供する工程、(2)スラリーを均質化する工程、および/または(3)スラリーの水分含量を通常約5〜95%または15〜80重量%に調整する工程。上記の通り、これらのプロセスは、加工パラメータおよび最終的なチーズ製品の最終的な性能特性を制御するのに有用である。
【0046】
異なる方法は、上記の必要に応じたプロセスのうちの2つまたは3つ全ての異なる組合せを組み込み得る。それゆえ、例えば、いくつかの方法では、予備混合加工は、(1)および(2)を含むが(3)を含まない。他のプロセスは、(1)および(3)を含むが(2)を含まない。さらに他の予備混合プロセスは、(2)および(3)を含むが(1)を含まない。そして、さらに他のプロセスは、(1)、(2)および(3)を含む。他の残りの組合せもまた、適用の特定の必要条件に依存して利用され得る。いくつかの場合では、これは、スラリーを均質化することなくスラリーを単に剪断するのに十分である。しかし、予備混合プロセスは両方とも含み得、その場合には、スラリーは最初に代表的には剪断され、次いで均質化されるが、その順番は逆にされ得る。
【0047】
いくつかの方法において、予備混合プロセスのうちのいくつかは、必要に応じて同時に実施される(例えば、スラリーを均質化しながらスラリーを高剪断条件に供する;またはスラリーを高剪断条件に供しそして/またはスラリーを均質化しながらスラリーを加熱する)。調理は、剪断および/または均質化の間、必要に応じて実施され得る。しかし、一般に、予備混合加工工程は、スラリーの水分含量を調整することにより終了する。
【0048】
いくつかの成分は、高剪断条件に供されて機能的になる(例えば、水和されるかまたは官能性結合基を示す形に変換される)ことを必要とする。本明細書中で使用される高剪断条件とは一般に、10,000〜500,000s−1の剪断が適用される条件をいう。いくつかの方法において、スラリーは、約90〜293°F(15〜82℃)の温度で約0.01〜0.5秒間、高剪断ミキサーまたはコロイドミルによって代表的に剪断される。
【0049】
実施される場合、スラリーの均質化は通常、極圧、剪断、乱流、加速および衝撃の条件下で流体産物の粒子サイズを減らして、それらをより安定にし、より良好なテクスチャを有するようにするプロセスを含む。効果は代表的には、スラリーを非常に高圧で特別な均質化弁に強制的に通すことによって達成される。均質化は、1工程または複数工程で実施され得る。大部分の方法に関しては、2工程で充分である。主均質化が第1の均質化弁で行われ、軽度の均質化が第2の弁において行われることは一般的である。第2の均質化弁は、製品品質を向上させ得る。例えば、この工程は、再凝集に起因した第1の弁の後で直接形成される新しく形成された脂肪球クラスタを破壊し得る。均質化は通常、約90〜293°F(32〜145℃)または100〜250°F(38〜121℃)の温度で約0.01〜0.5秒間行われる。
【0050】
上記に示すように、スラリーの水分含量が調整される場合、水分含量は、通常約5〜95パーセントに、いくつかの例では約15〜80パーセントに、他の例では20〜75%に、そしてさらに他の例では30〜60%に調整される。この種の加工後、チーズ前駆物質と混合されるスラリーは、通常、約100〜180°F(37〜83℃)または約120〜165°F(48〜74℃)の温度を有する。スラリーはまた、代表的に、この温度範囲において1000から約1,000,000センチポアズより大きな粘度を有する。
【0051】
(2.チーズ前駆物質を提供するための例示的方法)
上記の通り、様々なチーズ成分またはそれらの混合物は、チーズ前駆物質として役立ち得る。他のチーズ前駆物質としては、例えば以下を含め、スターティング(starting)成分の加工中に形成される組成物が挙げられる:1)低温殺菌乳;2)低温殺菌乳の酸性化によって形成されるチーズ乳;3)凝集プロセス中に形成される凝塊、および/または4)チーズ凝乳。
【0052】
チーズ凝乳は、例えば、低温殺菌された牛乳、水牛乳、山羊乳または他の乳源(例えば、濃縮乳、再構成乳または乳タンパク質粉末)から調製され得る。乳を酸性化させて、チーズ乳が形成される。酸性化工程は、微生物的もしくは直接的に、または微生物的酸性化と直接酸性化との組合せにより、実施され得る。微生物的酸性化は、乳に1以上の乳酸産生細菌のスターター培養物を添加し、次いでこの細菌を増殖および増やすことにより達成される。モッツァレッラ種のチーズを製造する場合、球菌、桿菌またはその両方の組合せから構成される細菌スターター培養物が好ましくは使用される。酸性化のいくつかの方法において、加工助剤として添加される酸(例えば、酢酸(例えば、酢)、リン酸、クエン酸、乳酸、塩酸、硫酸またはグルコノデルタラクトン(GdL)、ラクトビオン酸(lactobionic acid)など)を添加してpHを標準化し、続いて微生物スターターが添加されて、酸性化プロセスが完了する。
【0053】
微生物および/またはGRAS酸の添加後、チーズ乳を凝固させて、チーズ凝乳およびホエイから構成される凝塊が形成される。レンネットまたは別の適切な酵素は代表的に、凝固活性を強化するために乳に添加される。得られる凝塊は切断され、そしてホエイが捨てられて、チーズ凝乳が得られる。凝乳は必要に応じて、約86〜120°F(30〜49℃)にて約0.08〜1.0時間、熱処理(調理)され得る。
【0054】
酪農乳が前駆物質として使用される場合、乳の甘いクリーム画分またはその一部は分離されて酸性化の前に他の型のクリームおよび/または脂肪で置換され得る。例えば、甘いクリームは、チーズ凝乳から分離されるホエイ画分とともに含まれるホエイクリームおよび/またはプロクリーム(すなわち、タンパク質とクリームとの混合物)で置換され得る。甘い酪農クリームまたはその一部をホエイクリームおよびプロクリームで置換することは、ホエイクリームおよびプロクリームを利用すること、ならびに市場において販売に利用可能な、より有益な甘いクリームを作製することにより、無駄を減らす。
【0055】
いくつかの方法において、チーズ凝乳は、クッカー/ミキサーにおいて加熱され、捏和されて、チーズ凝乳の加熱塊(単に、チーズの加熱塊ともいう)が形成される。加熱および捏和のプロセスは通常、約120〜180°F(48〜82℃)の温度にて約1〜15分間で行われる。代表的に、得られる塊は、約120〜150°F(48〜66℃)の温度を有する。加熱および捏和のプロセスは、同時に実施してもよく、または別々に実施してもよい。
【0056】
加熱および捏和のプロセスは通常、低剪断条件下で実施される。加熱は、例えば、捏和ミキサー/押出成形機において、1)熱水または塩水中での浸漬、2)直接上記注入、3)間接的熱交換器による間接的加熱により、そして/または4)マイクロ波により、実施され得る。水蒸気注入の選択肢は一般に、捏和および伸張チャンバへの生蒸気の放出を含む。生蒸気を用いて凝乳を加熱する場合、蒸気凝縮液は凝乳により吸収されて、最終的なチーズ塊の一部を形成する。ミキサー/クッカーにおいて生蒸気を使用する場合、代表的に、ミキサー/クッカーに入る直前の凝乳の水分含量は、約45〜65重量%であり、そして捏和および伸張チャンバに充分な蒸気が放出され、その結果、機械を出た直後のチーズ塊の水分含量は、約5百分率の点まで高まる(例えば、約0.5〜10ポイント高くなる)。しばしば、それは、約2.5〜8.5ポイント高い。それゆえ、例えば、機械に入る凝乳の水分含量が45重量%である場合、通常、均質なチーズ塊を得るために凝乳を必要な温度まであげるために用いられる注入される蒸気の量は、水分含量を約55重量%以下まで上げる量である。間接的な加熱は、例えば、熱水ジャケットを用いて、捏和および伸張チャンバの壁を通して、伝導により達成され得る。
【0057】
いくつかの方法において、加熱および捏和は、外因性水がまったく存在せずに実施され得る。「外因性水」とは、凝乳を浸すために用いられ、続いて形成される均質なチーズ塊から分離される水を意味する。加熱および捏和プロセス中で外因性水を使用すること欠点は、水を分離する際に、そうでなければ完成したチーズ中で固まる、有益なタンパク質、脂肪および他の固体が除去されるということである。様々なクッカーは、この様式でチーズ凝乳を加熱するために使用され得る。1つの選択肢は、Gold Peg International Pty.Ltd(Moorabbin,Vic,Australia)から入手可能なRotaThermTMクッカーである。
【0058】
捏和は、一重らせんまたは二重らせんのインターメッシュスクリューにより圧力をかけながら加熱されたチーズ凝乳を動かすことによって、しばしば達成される。加熱および捏和工程の全体は、時々、可塑化またはパスタフィラータプロセスといわれ、これは、約120〜155°F(48〜69℃)での凝乳の加熱および熱い凝乳の捏和をいう。凝乳の成功裏の可塑化は、粘弾性パラカゼインマトリックスが破断せずに制限された流れおよび伸びを受けることが必要である。可塑化は、パラカゼインゲルマトリックスの部分的凝集および締め付け、続いてを含め、高い引張り強さでの線形パラカゼイン繊維の形成を含め、凝乳内での微細構造レベルでの変化を伴うと考えられている。チーズ脂肪は、それらの同じ方向を示しているパラカゼイン繊維の間に取り込まれた細長いプールに合着する。このプロセスは、最終製品において適切な機能を得ることを補助する。
【0059】
本明細書に記載される加熱および捏和のプロセスは、加熱された凝乳の完全混合を確実にする。不完全な混合は、脂肪および水の分離ならびにこれらの成分および他の成分(例えば、脂肪、ラクトースおよびミネラル)の喪失をもたらすので、これは重要である。
【0060】
(3.スラリーおよびチーズ前駆物質の混合)
スラリーはチーズ前駆物質と合わされて、混合物を形成する。それゆえ、例えば、スラリーは、先の節で概説した通りの軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製するためのプロセスの任意の段階で合わされ得る。スラリーとチーズ前駆物質との混合は、当該産業において公知である標準的な混合装置を使用して達成され得る。
【0061】
いくつかの方法において、スラリーは、パスタフィラータプロセスと関係している加熱および捏和のプロセスを受けた、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの加熱塊と混合される。参照を容易にするため、このような加熱および捏和のプロセスを受けたチーズ凝乳は、本明細書において単純に「チーズの加熱塊」ともいわれる。このような方法において、混合は代表的に、約120〜約170°F(49〜77℃)の温度で実施される。いくつかの適用における温度は、比較的高い(例えば、150〜170°Fの間)。他の方法において、温度は、低温殺菌の温度(65℃、150°F)であるかまたはそれより低く、例えば、約120〜150°F(49〜65℃)の範囲にある。混合は通常、約2〜15分間または5〜10分間実施される。混合、一般に、低剪断条件下で実施される。
【0062】
スラリーは、混合プロセスおよびその後の加工工程中に成分の損失を最少にしながらもチーズの加熱塊に完全に混合され得るので、スラリーとチーズの加熱塊とを合わせることは、有用なアプローチである。従って、これはこのように製造プロセスからの廃棄物の流れを低減することに有用であり、それによって、重要なコストの利点を与え、そして廃棄物処理の問題を減らす。
【0063】
(4.成分の必要に応じた添加)
いくつかの方法は、成分と液体とをブレンドして最初のスラリーを形成する工程以外の、チーズ調製プロセスに沿ったある時点での成分のさらなる添加を必要に応じて含む。成分は、例えば、上記に列挙したチーズ前駆物質(例えば、凝乳成分、凝塊および/またはチーズ凝乳)に添加され得る。これらの成分は、液体および/または粉末として添加され得る。
【0064】
特定の方法において、一旦加熱スラリーおよびチーズの加熱塊が一緒に混合されるならば、成分は、形成されるチーズの加熱塊、加工されたスラリー(例えば、スラリーが加熱され、均質化され、剪断され、そして/または水分含量が調整された後)、または形成された混合物に添加される。これらの成分はしばしば、乾燥形態で(例えば、粉末として)添加されるが、いくつかの例では、液体状態で添加されてもよい。粉末化された固体は、通常、チーズ塊の表面全体にわたって、そして代表的には(存在する場合)液体形態の薬剤または成分の適用後にチーズ塊に固体を撒くことを含め、多くの従来のアプローチのいずれを使用して添加してもよい。液体の薬剤または成分は、チーズ塊が混合チャンバを通過するにつれて、通常、チーズの実質的に表面全体を覆うスプレーにおいて、チーズ塊の表面上へと、下に向けて噴霧され得る。
【0065】
(5.最終加工)
一旦スラリーとチーズ前駆物質とを合わせると、混合物は、所望の最終的な軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品を得るためにさらに加工される。必要とされる特定の加工工程は、スラリーを混合するチーズ前駆物質に部分的に依存する。例えば、チーズ前駆物質が乳またはクリームのようなチーズ成分である場合、最終的な加工は、チーズ製造プロセスを完了して、添加されたスラリーを含むチーズ凝乳を形成すること、続いてそのさらなる加工によって最終製品を得ることを含む。スラリーをチーズ凝乳と混合する場合、スラリー/凝乳混合物は必要に応じて加熱されてパスタフィラータ型プロセスで伸ばされてもよく、またはこの混合物は一緒に加圧されて最終的なチーズ製品が形成されてもよい。それゆえ、いくつかの例では、最終的な加工は、従来のチーズ圧縮および成形操作を使用してチーズ凝乳を圧縮および成形してチーズ塊を形成することを単に含む。
【0066】
プロセスがチーズ凝乳の加熱を含む場合、まだ温かいチーズ(例えば、約110〜175°F(43〜80℃)の範囲の温度で)は、最終的な意図される用途に依存して、任意の所望の形状に形成され得る。一般的な選択肢としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:1)包装される、比較的大きなチーズ片を形成すること、2)冷凍されずに冷蔵されて包装される、より小さい破片へとチーズを粉砕すること、3)チーズを粉砕し、包装し、そして冷凍すること、および4)チーズを粉砕し、冷凍し、次いで包装すること。
【0067】
いくつかの方法では、例えば、混合物は、連続した寸法的に平坦なRibbonTMとして押出成形され、これは、例えば、Kielsmeierに対する米国特許第4,339,468号またはBarzらに対する米国特許第5,200,216号(これらは両方とも、それらの全体が本明細書中に参考として援用される)において記載される通り、冷たい塩化ナトリウム塩水チャネルまたはタンクに放出される。チーズRibbonTMは時々、その中心温度が約75°F(24℃)以下に低下するまで、(1以上のタンクまたは容器において)冷たい塩化ナトリウム塩水と接触させられる。次いで、冷却されたRibbonTMは、チーズの意図された用途に適した寸法を有する部分へと切リ分けら得る。
【0068】
他の選択肢としては、以下が挙げられる:1)冷却剤中にチーズを浮かせること;2)チーズを有孔ベルト上に配置し、そして冷却剤をチーズ表面に噴霧すること;3)チーズを中実ベルト上に配置し、そしてベルトの下側に冷却剤を噴霧すること;4)冷却チャンバを通して移動させること;および5)加熱されたチーズを冷蔵すること。
【0069】
ストリングチーズ[例えば(約1/8〜1.0インチ(0.32〜2.54cm)の直径を有するチーズ)]が所望の製品である場合、ストリング部分の長さは一般に、約1 1/2〜12インチ(4〜30.5cm)である。ストリングチーズが(例えば、詰め物をしたクラストピザにおいて)ピザクラストに入れられてのみ焼かれる場合、使用する前にチーズを熟成することは不必要である。所望の場合、ストリングチーズは、冷凍および保存され得る。
【0070】
温かいチーズはまた、成形/押出成形されて、便利である任意の種々のサイズのブロックにされ得る。いくつかのブロックは、例えば、高さ約4インチ、幅4〜8インチおよび長さ4〜24インチである。
【0071】
完成したチーズがピザ用の露出したトッピングとして使用されるべき場合、連続RibbonTMは代表的に、横断が矩形であり、例えば、約4〜36インチ(10〜92cm)の幅、約1/16〜4インチ(0.15〜10cm)の高さおよび約4〜36インチ(10〜92cm)の長さを有するローフに切り分けられ得る。ローフは次いで、塩化ナトリウム塩水中で、例えば、中心温度が約26〜75°F(−16〜24℃)の範囲になるまでさらに冷却され、次いで塩水から取り出され、そして粉砕され得、そして、破片が、例えば、本明細書中に参考として援用されるKielsmeierらに対する米国特許第5,030,470号に記載されるプロセスによって個々に急速に凍結され得る。
【0072】
チーズの組成に従って、チーズを最後の塩水タンクから取り出された後、そしてチーズを粉砕して冷凍する前に、一定期間[例えば、約35〜45°F(2〜7℃)で約7〜21日間]保存することが好適であり得る。しかし、米国特許第5,200,216号(Barzら)にて記載されるように、塩水から取り出され冷却されたチーズが約45〜60重量%の水分含量、少なくとも約30重量%(乾燥固体基準)の乳脂肪含量および少なくとも約70重量%の水分含量と湿乳脂肪含量との合計を有するようにプロセスが制御される場合、チーズは、直ちに冷凍されてもよく、種々の条件下で加熱された場合、それでもまだ満足な性能を発揮する。
【0073】
最終的な加工手順はまた、米国特許第5,902,625号に記載された通りであり得る。米国特許第5,902,625号は、全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0074】
上記のプロセスに基づく方法は、バッチ様式でまたは連続的に実施され得る。バッチ法は、例えば、スラリーのバッチおよびバッチにその後組み込まれるチーズ前駆物質を提供する工程を含む。得られる混合物はその後加工されて、所望の最終的なチーズ製品が得られる。次いで、このプロセスが繰り返される。
【0075】
連続法では、少なくともスラリー調製プロセスおよびスラリーをチーズ前駆物質と合わせるプロセスが、連続プロセスにおいて実施される。いくつかの方法において、上記に列挙した工程の本質的に各々の工程は、連続的に実施され、その結果、スラリーの調製、チーズ前駆物質の調製、スラリーと前駆物質とを合わせること、必要に応じて成分を添加することおよび最終加工工程の全てが連続的に進行する。
【0076】
(B.例示的な方法)
図3Aは、加熱されたスラリーおよびチーズの加熱塊を合わせて混合物を形成し、この混合物を続いて加工して最終的なチーズ製品(例えば、軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品)が得られる方法の特定の例を提供する。上記の通り、いくつかの例において、スラリーは加熱される。なぜなら、加熱は、最終的なチーズ製品に組み込まれ得る特定の成分の量を増やす際に、およびいくつかの成分の官能基を脱マスキングする際に有用であり得るからである。
【0077】
この特定の方法100は、成分がそうである液体(例えば、水、乳および/またはクリーム)および1以上の成分が一緒にブレンドされて最初のスラリーが形成される(110)、スラリー調製プロセス105を含む。予備混合プロセス107は、得られるスラリーを約90〜300°Fの温度に調理/加熱すること(115)を含む。この加熱されたスラリーは続いて、高剪断条件に供され(120)、次いで均質化されて(125)、成分が所望の粒子サイズにあるスラリーが得られる。その後、加熱されたスラリーの水分含量は、代表的には約5〜95重量%に調整される(130)。スラリーは、サージホッパーの放出時にポンプを使用することにより、合わせて混合する状態(170)に移される。サージホッパーは、スラリーを一定の体積に保持する(131)。スラリーが移されるにつれて、スラリーは濾過されて(132)、調理/加熱工程115中にスラリー中に形成されたあらゆる大きな粒子(または他の外来の材料)が除去され、そしてまた磁界に曝されて、加工装置の可動部分の金属間接触によって生じる、スラリー中のあらゆる金属断片が除去される(133)。
【0078】
図3Aにおいてさらに示すように、この特定の方法においてチーズ前駆物質を提供するプロセス(150)は、チーズの加熱塊を得るためのいくつかのプロセスを含む。このプロセスは、チーズ凝乳を形成すること(155)によって開始される。一旦形成されると、チーズ凝乳は加熱および捏和されて、チーズの加熱塊が形成される(160)。加熱プロセス中、凝乳は代表的には、約120〜155°Fに加熱される。
【0079】
一旦加熱されたスラリーおよびチーズの加熱塊が形成されると、これらは一緒に混合されて混合物が形成される(170)。この特定の方法は、混合物に1以上の必要に応じた成分を混合して入れるプロセス(175)を含む。しかし、上記の通り、このような添加は必要に応じてであり、そして全ての方法がこのプロセスを含むというわけではない。さらに、この特定の方法は、スラリーとチーズの加熱塊との混合物にさらなる成分が添加されることを示すにもかかわらず、これらの成分はまた、スラリーに、または混合直前のチーズの加熱塊に添加され得る。あるいは、スラリー、チーズの加熱塊および成分は、同時に合わされ得る。形成される混合物はその後、加工されて、最終的な軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品が形成される(180)。図3Aに示される特定の方法では、最終的な加工180は、混合物を成形して所望の形にする工程(185)および成形されたチーズを冷却して最終的なチーズ製品を形成する工程(190)を含む。図3Aは最終的な加工工程が、最初に冷却プロセスがあって続いて成形プロセスを含むことを示すが、この順序は逆にしてもよく、同時に実施されてもよい。
【0080】
図3Aに図示される特定の方法は、スラリーとチーズの加熱塊とが一緒に混合されることを示すが、他の方法では、スラリーは別のチーズ前駆物質(例えば、乳、凝塊または未加工のチーズ凝乳)と混合される。このような方法を実施するためのシステムを図4Cに示す。
【0081】
軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製するための方法の別の例を図3Bに示す。一般に、方法102は、凝乳または凝乳前駆物質が、チーズの加熱塊の代わりにスラリーと合わされる特定の方法を図示する。図3Bに図示される方法では、スラリーは、図3Aについて記載したとおりに提供される(105)。しかし、この種の方法においてチーズ前駆物質を提供するプロセス(150)は、凝乳または凝乳前駆物質を提供する工程(151)を含む。この特定の方法では、1以上のさらなる成分は、凝乳または凝乳前駆物質に混合され得る(152)が、全ての方法がこのような添加を含むというわけではない。次いで、凝乳または凝乳前駆物質はスラリーと合わされて、混合物が形成される(153)。次いで、得られる混合物は加熱および捏和されて、パスタフィラータプロセスでのように、チーズの加熱塊が形成される(171)。方法102はまた、1以上のさらなる成分が添加され(162)、そして混合物と混合される(172)プロセスを含む。しかし、ここでまた、全ての方法がこのような添加を含むというわけではない。次いで、混合物は加工されて、最終的な軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品が形成される(180)。
【0082】
図3Aおよび図3Bに示される各々の代表的な方法の最終的な加工180は、上記の、および当該分野で一般的に公知の任意の加工選択肢を含み得る。それゆえ、例えば、いくつかの方法では、最終的な加工は、米国特許第5,030,470号に記載した通り、チーズ片を個々に迅速に冷凍することを含む。他の方法は、例えば、米国特許第5,200,216号に記載された通りの同日ダイス手順を含む。さらに他の方法では、チーズは粉砕されず、しかしブロックに形成されて、このブロックは直接包装されて、冷蔵される。当業者は、種々の他の加工選択肢が利用可能であると認識する。さらなる例は、上記の「最終的な加工」の節に示される。
【0083】
(IV.成分)
(A.概論)
多数の種々の種類の安全と一般に認定された(GRAS)成分は、本明細書に記載される通り、スラリーに組み込まれ得、そして全体の製造プロセスの他の段階において必要に応じて添加され得る。スラリー以外の段階で添加される場合、大部分の成分は一般に、粉末として、または溶液の一部として添加され得る。組み込まれる成分は、最終的な軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品の、例えば、性能、栄養特性、および風味特性を調整するために選択される。
【0084】
上記の通り、スラリー中に含まれる成分のうちのいくつかは一般に、2つの一般的なカテゴリーに分類される:1)比較的高い濃度レベルで組み込もうとする成分、および2)感応化されるために(すなわち、所望の特徴を最終的な軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品に与えるためにとって重要である化学的および/または物理的な特性を有する形態に変換されるために)加熱および/または水和されることが必要な成分。しかし、種々の他の成分もまた、スラリーに含まれ得る。
【0085】
このような成分の例としては、脱脂粉乳、乳タンパク質、酸性度調節物質、酸、固化防止剤(anticaking agent)、消泡剤、着色剤、乳化剤、酵素調製物、香料、硬化剤(firming agent)、食用タンパク質、ゲル化剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、安定剤、澱粉、増粘剤、油、脂肪、チーズ粉末、塩、栄養補助剤、酸、酵素、栄養補助食品、炭水化物、ビタミンおよびミネラルが挙げられるが、これらに限定されない。例としては、野菜、果物および/または動物源のプロクリーム、ホエイクリーム、乳固形分および食品がさらに挙げられ得る。他の食品の中でも、食品としては、果物、野菜、ナッツ、肉およびスパイスが挙げられ得る。
【0086】
最終的な軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品の性能、栄養特性および味覚特性を調整するために含まれ得る種類の成分に関する例およびさらなる特定の情報は、以下に続く。
【0087】
乳固形分。乳固形分は、以下のような最終的なチーズ製品の様々な特徴を改善するために添加され得る:チーズを堅くすること、水結合能を改善すること、調理したチーズの溶融外観を改善すること、および/または調理したチーズの膨れを増やすこと。利用され得る乳固形分としては、ホエイタンパク質濃縮物、カゼイン加水分解物、乳脂、ラクトアルブミン、クリーム、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、ラクトース、カゼイン、ホエイタンパク質単離物、加水分解されたホエイタンパク質、変性したホエイタンパク質、脱脂チーズ粉末、天然カゼイン単離物、脱脂粉乳、脱ラクトース浸透液、プロクリーム、ミキサーオーバフロー液および乳ミネラルが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、乳固形分は、約0.5〜25重量%で、最終製品に組み込まれ得る。
【0088】
加熱されたスラリーへの脱脂粉乳のような乳固形分の組み込みは、最終製品において比較的高い濃度レベルを得るための1つのアプローチである。例えば、本明細書に開示される方法に従って調製されるいくつかの軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの乳固形分濃度は、少なくとも11、12または13重量%であり得、例えば、最終製品の約16重量%まで、約17重量%まで、約18重量%まで、約19重量%まで、約20重量%まで、または25重量%までが挙げられ得る。従って、スラリー中の乳固形分の濃度は一般に、最終的なチーズ製品中の乳固形分のレベルが約0.5〜25重量%、約3〜18重量%、約4〜16重量%または約11〜25重量%であるように調整される。これは、スラリー自体中の乳固形分の濃度が一般に、約0.5〜95重量%の範囲内にある(例えば、約10〜80重量%または約30〜70重量%)ことを意味する。
【0089】
澱粉。いくつかの澱粉の官能性は、加熱され、水和し、そして/または高剪断条件に供されたときに増大するので、加熱されたスラリーに澱粉を組み込むこともまた、いくつかの例において有益である。一旦この様式で官能化されると、澱粉は、より厚くなるかまたはゲル化して、チーズ中のタンパク質(例えば、カゼイン)と結合し得る。一般に、澱粉は、約0.5〜20重量%の範囲で最終製品に組み込まれ得る。
【0090】
いくつかの方法は、最終的なチーズ製品中の澱粉濃度が少なくとも4、6、11、12、13または20重量%になるように澱粉を添加する。従って、いくつかの例では、澱粉濃度は、最終的なチーズ製品中、約4〜20重量%または約5〜16重量%の範囲にわたり得る。これは、スラリー自体中の澱粉濃度が代表的に、約0〜95重量%(例えば、約0.5〜50重量%または約1〜25重量%)であることを意味する。
【0091】
多数の種々の種類の澱粉は、最終的なチーズ製品に組み込まれ得る。適切な澱粉としては、野菜澱粉(例えば、馬鈴薯澱粉、エンドウ澱粉、およびタピオカ)および穀物澱粉(例えば、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、および米澱粉)が挙げられる。適切なトウモロコシ澱粉の特定の例としては、馬歯トウモロコシ澱粉、ワキシートウモロコシ澱粉およびハイアミローストウモロコシ澱粉が挙げられる。澱粉は、個々に、または組み合わせて使用され得る。
【0092】
澱粉は、化工澱粉であっても天然澱粉であってもよい。食用化工澱粉は、架橋の程度、化学置換の種類、酸化レベル、分子切断の程度およびアミロースとアミロペクチンとの比率が異なる。適切であるいくつかの市販の食用化工澱粉の例としては、Mira−Cleer 516、Pencling 200、Purity 660、Batterbind SC、Penbind 100、MiraQuick MGL、Novation 3300およびGel−n−Meltが挙げられる。適切な市販の天然(非改変)澱粉は、Hylon Vである。
【0093】
Mira−Cleer 516(A.E.Staley Company製)は、架橋され、ヒドロキシプロピル基で置換された馬歯トウモロコシ澱粉である。この架橋より、その糊化温度および耐酸性が増す。ヒドロキシプロピル置換により、その水結合能力、粘度および凍結融解安定性が増す。MiraQuick MGL(これもまたA.E.Staley Company製)は、酸で低粘稠化した馬鈴薯澱粉である。酸による低粘稠化は、澱粉中のアミロペクチン分岐を切断して、より堅いゲルをつくる。Batterbind SC(National Starch製)は、架橋されて酸化された馬歯トウモロコシ澱粉である。Purity 660(これもまたNational Starch製)は、架橋され、ヒドロキシプロピル置換された馬歯トウモロコシ澱粉である。Hylon V(これもまたNational Starch製)は、改変されていないハイアミローストウモロコシ澱粉である。Pencling 200(Penwest Foods製)は、酸化された馬鈴薯澱粉である。酸化により、水およびタンパク質に結合するその能力が増大する。Penbind 100(これもまたPenwest Foods製)は、架橋された馬鈴薯澱粉である。
【0094】
乳化剤、ゲル化剤、安定剤および増粘剤。ガム、セルロースおよびアルギネートは、乳化剤、ゲル化剤、安定剤および増粘剤のうちのいくつかの例である。澱粉に適用される考慮事項のうちの多くは、ガムおよびセルロースにもあてはまる。特定のガムおよびセルロースは、例えば、水和および/または加熱されて、それらの完全な官能特性を実現すべきである。加熱および水和はまた、上昇したレベルのガム、セルロースまたはアルギネートが最終製品に含まれることを可能にする。本明細書に提供されるいくつかの軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、少なくとも約0.01、0.5、または3.0重量%のガム、セルロースまたはアルギネートを含む。従って、製品は一般に、約0.01〜3.0重量%のガム、セルロースまたはアルギネート濃度を有する。これは、スラリー自体中のガム、セルロースまたはアルギネートの濃度が代表的に、約0.02〜6.0重量%または0.05〜5.0重量%であることを意味する。
【0095】
種々の種類のセルロースもまた、チーズに組み込まれ得る。セルロースは、天然物または改変物であり得る。1種類のセルロースまたは異なるセルロースの組合せが利用され得る。利用され得る種類のセルロースとしては、微結晶性セルロース、粉末セルロース、メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。市販の改質セルロースの1つの特定の例は、Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能であるMETHOCEL A−15TMである。
【0096】
組み込まれ得る適切なガムの例としては、キサンタンガム、グァーガム、コンニャク粉およびローカストビーンガムが挙げられるが、これらに限定されない。適切な安定剤の例としては、ツノマタ抽出物(カラギナン)、ペクチン、ゼラチンおよび寒天が挙げられる。
【0097】
最終的なチーズ製品に含まれるガムおよび安定剤の総量は代表的に、約0.01重量%まで、約0.50重量%まで、または約3.0重量%までである。より詳しくは、ガムおよび/または安定剤の量は、最終的なチーズ製品の約0.01〜3.0重量%、約0.25〜2.5重量%、約0.5〜2.0重量%、または約0.75〜1.5重量%の範囲にわたり得る。スラリー中のガムおよび安定剤の濃度は代表的に、約0.02〜6.0重量%または約0.50〜5.0重量%の範囲に及ぶ。
【0098】
酸性度調節物質、固化防止剤および硬化剤。様々な種類の酸性度調節物質、固化防止剤および硬化剤がチーズに含まれ得る。代表的に、これらの薬剤は無機塩であるが、他の種類の酸性度調節物質、固化防止剤および硬化剤もまた、使用され得る。酸性度調節物質、固化防止剤および硬化剤の例としては、塩化カルシウム、リン酸三カルシウム、水酸化カルシウム、粉末セルロース、リン酸二ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられ得る。これらの薬剤は代表的に、スラリーに組み込むことまたはスラリーとチーズの加熱塊との混合物に組み込まれる加熱されていない液体に組み込むことのいずれかによって、溶液の一部として添加される(しかし、粉末としても使用され得る)。
【0099】
スラリー中に組み込まれる酸性度調節物質、固化防止剤および硬化剤の総量は、最終的なチーズ製品中の酸性度調節物質、固化防止剤および硬化剤の濃度が通常、約0.05重量%まで、約1.2重量%までまたは約3.0重量%までであるに充分である。より詳しくは、酸性度調節物質、固化防止剤および硬化剤の量は、約0.05〜3.0%、約0.1〜2.5%まで、または約0.5〜2.0重量%の範囲にわたり得る。これは、スラリー中の酸性度調節物質、固化防止剤および硬化剤の濃度が代表的に約2〜95重量%であることを意味する。
【0100】
金属イオン封鎖剤。多くの様々な金属イオン封鎖剤が、最終的なチーズ製品に組み込まれ得る。利用され得る金属イオン封鎖剤としては、様々なリン酸塩(例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウムおよびリン酸カリウム)、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、オキシステアリンおよびソルビトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
金属イオン封鎖剤の総量は通常、最終的なチーズ製品の約0.1重量%まで、約1重量%まで、または約4重量%までである。それゆえ、例えば、最終的なチーズ製品中の金属イオン封鎖剤の量は、約0.1〜4%、約0.25〜3.0%、または約0.4〜2.5重量%の範囲にわたり得る。スラリー自体中の金属イオン封鎖剤の濃度は一般に、約0.1〜95重量%である。
【0102】
酸。酸は、完成したチーズのpHを所望のレベルに調整するために組み込まれ得る。様々な酸が使用され得る;適切な酸の例としては、アジピン酸、乳酸、グルコノデルタラクトン、リン酸、ラクトビオン酸、塩酸、酢酸またはGenlac Cが挙げられるが、これらに限定されず、この後者は、水、クエン酸、乳酸、酢酸および人工香料のブレンドである。酸は代表的には、完成したチーズのpHが約5〜6のpH(より代表的にはpH5.10〜5.70)に到達させるために調整するために添加される。
【0103】
スラリー中に含まれる場合、酸性剤は、スラリーのpHを、約0.0〜8.0の範囲内(例えば、約0.5〜6.5または1〜5))に調整するのに十分な量で含まれる。
【0104】
チーズ粉末。チーズ粉末はまた、様々なチーズ味を完成品に与えるために、チーズに混入され得る。このような粉末は代表的に、スラリーの一部としてよりむしろ粉末としてパスタフィラータプロセス中に形成されるチーズの加熱塊に添加される。
【0105】
適切なチーズ粉末の例としては、パルメザン粉末、チェダー粉末、モンテレージャック粉末、ロマーノ粉末、ミュンスター粉末、スイス粉末およびプロボローネ粉末が挙げられるが、これらに限定されない。完成したチーズ中のチーズ粉末の量は一般に、約0.25〜10%であり、そしていくつかの例では、約1〜5重量%である。チーズ粉末は、例えば、Armour Foods(Springfield,Ky)を含め、種々の商業的な供給元から入手可能である。
【0106】
着色剤。着色剤は、その天然色を調整するために、チーズに組み込まれ得る。例えば、消費者が天然で生じる色以外の色を好む場合、これは有用であり得る。適切な着色剤の例としては、アナトー、ターメリック、二酸化チタンおよびβカロチンが挙げられる。着色剤は、天然色または人工色の両方のものであり得る。チーズを赤に着色することを希望する場合、FD&C赤#40のような人工色を使用し得る。アナトーは、モッツァレッラチーズにチェダーの外観を与えるために有用である。これにより、モッツァレッラの所望の溶融特性を有するが、伝統的な白いモッツァレッラの外観とは異なる外観を有する、ピザ焼成用チーズを製造することが可能になる。アナトー色のモッツァレッラは、多くの食品(例えば、メキシコ様式に調製された食品)においてチェダーチーズの代用品として使用され得る。ターメリックは、黄色がかった色をモッツァレッラに与える。モッツァレッラはもともと白い。黄色がかった色はしばしば、ピザにおいて調理する際に「よりリッチな」製品を示すと認めている消費者によって好まれる。アナトーおよびターメリックのような着色剤は、例えば、Chris Hansens Labs(Milwaukee,WI)から入手され得る。
【0107】
着色剤は、スラリー中に含めることによって最終的なチーズ製品に組み込まれ得る。スラリーとは別に添加される場合、着色剤は通常、水中の未加熱の溶液または分散物としてチーズの加熱塊上に噴霧される。添加される着色剤の量は代表的に、完成したチーズの重量に基づいて約0.01〜2%の範囲にある。使用される場合、ターメリックは一般に、約0.05〜0.5%の量で添加される。アナトーが添加される場合、それは通常、約0.1〜0.9重量%に添加される。
【0108】
香料。様々な香料はまた、チーズの味覚面を消費者の嗜好に合わせるように調整するために、チーズに組み込まれ得る。加熱されたチーズに混入するために適切な香料としては、例えば、チェダーチーズ香料およびパルメザンチーズ香料が挙げられる。
【0109】
香料は代表的に、最終的なチーズ製品中の濃度が約0.01〜5重量%の範囲内にあるような量で添加される。スラリー中に組み込まれる場合、スラリー中の香料の濃度は一般的に、約0.02〜5重量%の範囲にある。
【0110】
非乳タンパク質単離物(non−dairy protein isolate)。非乳タンパク質単離物もまた、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズに組み込まれ得る。これは、チーズのテクスチャを変え、そして/または、チーズがピザ上で焼成されるときに形成される膨れのサイズ、色または完全性、ならびに他の調理特性を変えるためである。適切な非乳タンパク質単離物の例としては、ダイズタンパク質(時々、「大豆粉末」と呼ばれる)、ゼラチン、コムギ麦芽、トウモロコシ胚芽、グルテンおよび卵固形分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
タンパク質単離物は、最終的なチーズ製品中のタンパク質単離物の濃度が約1重量%まで、約15重量%まで、または約30重量%までであるように添加される。従って、スラリー中のタンパク質単離物の濃度は、その濃度がスラリーの約2〜95重量%であるように調整される。
【0112】
油。様々な油もまた、チーズに組み込まれ得る。それらは一般に、チーズの脂肪酸プロフィールおよび/もしくはコストを変えるため、ならびに/またはチーズが焼成されるときに形成される膨れのサイズ、色または完全性、および他の調理特性を変えるために添加される。適切な油の例としては、とりわけ、植物油、大豆油、トウモロコシ油、亜麻仁油、胡桃油、パーム油、リノール酸、魚油、ω3脂肪酸、および中鎖トリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。油のいずれかは、部分的にまたは完全に水素化され得る。最初のスラリーにブレンドされる場合、油は、最終的なチーズ製品中の油の濃度が約1.0重量%まで、約20重量%まで、または約35重量%までであるような濃度で添加される。従って、スラリー中の油の濃度は、その濃度がスラリーの約0〜65重量%(例えば、約5〜50重量%)であるように調整される。
【0113】
塩。様々なタイプの塩類、しかし、代表的には塩化ナトリウムは、最終的なチーズの風味を調整するために添加され得る。塩は、塩を加熱スラリーに含めることによって、または顆粒形態で、もしくはスラリーとは別の加熱されていない溶液として添加することによって、最終的なチーズ製品に組み込まれ得る。どのようにして導入するかに関係なく、最終的なチーズ製品中の塩濃度は通常、約0.1〜5重量%のレベルに添加される。スラリーの成分として添加される場合、これは、スラリー中の塩濃度が一般に、約0.0〜25.0重量%(例えば、約0.5〜22重量%または約1〜18重量%)であることを意味する。
【0114】
消泡剤。様々な消泡剤は、加工を容易にするために組み込まれ得る。例としては、微結晶ワックス、オキシステアリンおよびポリジメチルシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
炭水化物。種々の単純糖(例えば、単糖および二糖)ならびに複合糖質がチーズ中に含まれ得る。例としては、グルコース、スクロースおよびフルクトースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
酵素。酵素は、最終的なチーズ製品中での、および/または一旦スラリーおよびチーズが混合されたらその後最終的なチーズ製品中に移動し得るスラリー中の、風味、テクスチャ、溶融および/または他の官能特性を生じるために使用され得る。このような酵素の例(これは、網羅したリストでは全くない)は、リパーゼ、プロテアーゼ、オキシドレダクターゼおよびトランスグルタミナーゼである。
【0117】
栄養補助食品。栄養補助食品は、チーズ中に通常存在しない栄養分を送達するために含まれ得る。栄養補助食品の例としては、リコピン、抗酸化剤、プロバイオティックス(probiotics)、プレバイオティックス(prebiotics)、ホスファチジルセリン、植物性ステロール、免疫グロブリンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの製品は特に、スラリーの一部としてまたはミキサー(ミキサー290、図4B)に添加され得る。
【0118】
(V.スラリーおよびスラリー調製方法)
チーズ前駆物質と合わされて軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品を生じるスラリーもまた提供される。記載の通り、これらの組成物は、上記の節に列挙された成分のうちの1以上を含む。一般に、これらの成分の濃度は、所望の濃度の成分を有する最終的な軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品を得るのに十分である(上記の節を参照のこと)。より詳しくは、成分濃度は、上記に列挙した範囲内にある。
【0119】
提供される軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製するために利用されるスラリーは代表的に、水に基づく組成物である。しかし、いくつかのスラリーは、代わりにまたは加えて、別の液体(例えば、乳またはクリーム)を含む。いくつかの組成物中の水は代表的に、スラリーの約5〜95重量%を占める。スラリーはまた、水ならびに油および/または脂肪のエマルジョンを含み得る。
【0120】
スラリーは必要に応じて、成分の溶解を促進する、および/または所望の加工もしくは性能特性を付与する別のチーズ成分(例えば、凝乳または加熱したチーズ塊)とよく混ざる形態であるように加工される。スラリー調製プロセスに関する詳細は、図3Aおよび3Bならびに添付の本文を含め、上記に記載される。
【0121】
有用なベーススラリーの1例は、クリーム、脱脂粉乳および水を含むものである。脱脂粉乳の高濃度を得るために、酸および塩を含むことは有用であり得る。例えば、脱脂粉乳が約60%を超えると、スラリーは非常に粘性になり得、従って上記のスラリー加工システムを通して吸い上げることが困難になり得る。加工助剤としての酸と、塩とをスラリーに添加することにより、所望の高レベルの脱脂粉乳を含むスラリーが加工システムを通して輸送され得るように、粘性は十分に低減され得る。任意の酸および塩が、プロセス中のどこかで添加され得るが、スラリーに含めることは、ちょうど列挙した理由から、有用であり得る。
【0122】
上記で行った点を繰り返すために、スラリーを使用して、収量の増加を含め、チーズ製造プロセス中に様々な利点を提供し得る。脱脂粉乳は、約27重量%のカゼインタンパク質および約73%の他の成分(例えば、灰、ラクトース、ホエイタンパク質など)を含む。脱脂粉乳が、チーズ製造プロセスの初めに乳に添加される場合、カゼインの多くはチーズに組み込まれるようになるが、他の成分の多くまたは全ては失われる。本明細書に提供されるようなスラリーおよび方法を使用して、カゼインおよびホエイタンパク質の本質的に全てが、最終的なチーズ製品に組み込まれ得、従って、プロセス全体の収率が有意に増加する。
【0123】
(VI.軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品を調製するためのシステム)
図4Aは、本明細書に記載される軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製するために上記の方法を実施するために用いられ得る一般化したシステム200の1例を表す。この例示的なシステムは、以下のサブシステムを含む:(1)スラリー調製システム205;(2)スラリー調製システム205と流体連絡している、チーズ前駆物質調製システム260;および(3)チーズ前駆物質調製システム260と流体連絡している、最終加工システム300。このスラリー調製システムは、最終的なチーズ製品に含めるために選択される1以上の成分を含むスラリーを調製するのに必要な装置を備える。チーズ前駆物質調製システムは一般に、チーズ前駆物質を調製するために必要な装置およびデバイスを備え、そしてスラリーと前駆物質とを合わせるためにミキサーまたは関連したデバイスを備え得る。最終的な加工システムは、スラリーとチーズ前駆物質との混合物を所望の最終製品に変換するための装置を備える。
【0124】
広範な多種多様なシステムは、この一般的な設計を有する。このようなシステムの特定の例を以下に記載するが、これらのシステムは単なる例であって、本明細書に記載されるチーズ加工プロセスを実施するために用いられ得る種類のシステム、または本明細書に開示される種類の軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製するために用いられ得るシステムを網羅したリストであることを意図しないことが理解されるべきである。
【0125】
本明細書に開示される方法を実施するために用いられ得る1つの例示的なシステムを図4Bに示す。この特定のシステム202は、スラリーをチーズの加熱塊と合わせる方法において主に使用するためにある(例えば、図3Aを参照のこと)。システム200のチーズ前駆物質調製システム260は一般に、移送チューブによってクッカー/ニーダー270に接続している凝乳調製サブシステム261を備える。クッカー/ニーダー270は次いで、移送チューブ269によってミキサー290と接続しており、ミキサー290はまた、移送チューブ255によってスラリー調製システム205と連絡している。作動時には、凝乳は、凝乳調製サブシステム261においてこのようにして調製される。そして移送チューブ268によりクッカー/ニーダー270に輸送され得、クッカー/ニーダー270において、チーズ凝乳は加熱され、捏和されてチーズの加熱塊が形成される。次いで、この塊は、スラリー調製システム205で調製されたスラリーと合わされ得る。チーズ前駆物質調製システム260もまた、凝乳調製システム261に接続しているディスペンサ251を備える。従って、最終的なチーズ製品の組成および調製のさらなる制御は、ディスペンサ251から成分を移送チューブ252によってチーズ凝乳調製システム261中の組成物へと添加することによって達成され得る。しかし、全てのシステムが、このようなディスペンサを備えるというわけではない。
【0126】
システム200のスラリー調製システム205は一般に、ブレンドし、加熱し、剪断し、均質化し、そしてスラリーの水分含量を調整して所望のスラリー組成物を得るのに必要な装置を備える。より詳しくは、システム205は、移送チューブ215によった互いに接続しているブレンダー210およびクッカー220を備える。移送チューブ215は、スラリーをクッカー220へと移動させるポンプスタッファを備え得る。ポンプスタッファは、スラリーを移動させる2つのオーガーと、ブレンダー210からオーガーへとスラリーを持ち上げるホッパーとを備える。液体(例えば、水、乳および/またはクリーム)および1以上のスラリー成分は、このようにブレンダー210に導入され得、ブレンダー210では、これらは一緒にブレンドされた最初のスラリーが形成される。次いで、この得られたスラリーは、クッカー220に輸送され得、クッカー220では、スラリーが加熱されて、加熱されたスラリーが形成される。このシステムでのスラリー調製システム205はまた、スラリー混合および水分制御サブシステム208を備える。図4Bに示される特定のサブシステム208は、剪断ポンプ230、ホモジナイザー240およびエバポレーター250を備える。サブシステム208は、クッカー220およびミキサー290と連絡している。
【0127】
図4Bに示される特定のサブシステムにおいて、剪断ポンプ230が移送チューブ225によってクッカー220に接続しているので、クッカー220との連結を確立するのは、サブシステム208の剪断ポンプ230である。剪断ポンプ230はまた、移送チューブ235によってホモジナイザー240に接続しており、ホモジナイザー240は次いで、移送チューブ245によってエバポレーター250に接続している。サブシステム208は移送チューブ255によってミキサー290に接続しており、移送チューブ255はエバポレーター250とミキサー290とを接続する。
【0128】
従って、クッカー220からの加熱されたスラリーは、移送チューブ225によって剪断ポンプ230へと流入し得、剪断ポンプ230では、スラリーは剪断条件に供される。剪断されたスラリーはその後、移送チューブ235によってホモジナイザー240へと移送され得、ホモジナイザー240では、それが含むスラリーおよび成分が均質化される。得られる均質化されたスラリーはその後、移送チューブ245を流れて通ってエバポレーター250に到達し得る。エバポレーター250は、水分含量が所望の範囲内にあるように水分含量を調整する。次いで、最終的なスラリーは、エバポレーター250から移送チューブ255によりミキサー290へと流入する。
【0129】
次いで、スラリー調製システム205からの加熱されたスラリーは、ミキサー290中でチーズ前駆物質調製システム260からのチーズの加熱塊と合わされ得る。成分はまた、添加ディスペンサ286からミキサー290へと必要に応じて導入され得、添加ディスペンサ286は、移送チューブ287によってミキサー290と連絡している。次いで、ミキサー290において形成される混合物は、チューブ291によって輸送され得、そして最終加工システム300において加工され得る。この特定のシステムにて図示した通りの最終加工システム300は、チューブ310によって冷却システム315に接続している押出成形機305を含む。しかし、様々な他の最終加工システムもまた、本明細書に記載される通りに利用され得る。
【0130】
スラリー調製システム205内の特定のユニット(例えば、クッカー220、剪断ポンプ230、ホモジナイザー240、およびエバポレーター250)が含まれる必要はないことが当業者によって認識される。大部分のスラリー調製システムは、液体と成分とを一緒にブレンドするためのブレンダーを備える。しかし、スラリー調製システムは、適用の特定の必要条件に依存して、ちょうど列挙した他のユニット(すなわち、クッカー、剪断ポンプ、ホモジナイザーおよびエバポレーター)の全て、個々のユニット、複数のユニットの組合せまたは全てのユニットを含まなくともよい。これらのユニットが種々の他の構成で配置され得ることもまた理解されるべきである。例えば、図2Cの別々の装置ユニットとして示されるにもかかわらず、剪断ポンプ230およびホモジナイザー240は他のシステムにおける単一ユニットの一部であり得る。さらに他のシステムで必要に応じて利用され得る他の組合せは、クッカー220と剪断ポンプ230とが同じ装置の一部であるもの、ならびにクッカー220、剪断ポンプ230およびホモジナイザー240の全てが、同じ一体化されたユニットの一部であるシステムである。
【0131】
クッカー220、剪断ポンプ230およびホモジナイザー240が図4Bに現れる順序はまた、他のシステムで変更され得、その結果、様々な順列の全てが可能である。他のシステムで利用され得る必要に応じた配置の例としては、以下が挙げられる:1)クッカー−ホモジナイザー−剪断ポンプ、2)剪断ポンプ−ホモジナイザー−クッカー、3)剪断ポンプ−クッカー−ホモジナイザー、4)ホモジナイザー−剪断ポンプ−クッカー、5)ホモジナイザー−クッカー−剪断ポンプおよび他の様々な順列。
【0132】
別の例示的なシステムを図4Cに例示する。この図は、スラリーをチーズ凝乳または凝乳前駆物質と混合する方法を実施するために代表的に用いられるシステム203を表す(例えば、図3Bを参照のこと)。次いで、得られる混合物は、パスタフィラータプロセスにおいての通りに加熱および捏和され得る。
【0133】
システム203のためのスラリー調製システム205は、システム202について記載された通りである。チーズ前駆物質調製システム260は、チーズ凝乳の調製において利用される様々なユニットを備える。従って、図4Cに示される特定のシステムのチーズ前駆物質調製システム260は、例えば、凝乳調製システム261を備え、凝乳調製システム261は、チーズ成分(例えば、牛乳、スターターおよびクリーム)またはその混合物の凝乳コンテナ262(例えば、チーズバット)、凝塊を形成するためのシステム264および凝乳のコンテナ266を備える。チーズ前駆物質調製システム260もまた、ミキサー290を備えるが、いくつかのシステムはこのミキサーを省略する。作動中、コンテナ262中の成分またはその混合物は、移送チューブ263によって凝塊264を作製するためのシステムへと移動され得る。凝塊は続いて、システム264からチューブ265によってコンテナ266へと輸送され得る。次いで凝乳は、コンテナ266から移送チューブ267によってミキサー290へと移動され得る。凝乳調製システム261はまた、成分ディスペンサ251を備え得、成分ディスペンサ251は、それぞれ移送ライン253a、253b、253cによって、成分コンテナ262、凝固システム264および/または凝乳コンテナ266に接続され得る。従って、これにより、このプロセスのこれらの段階の各々で成分を添加するという選択肢が可能になる。
【0134】
システム203において、スラリーはライン255ならびにライン256a、256bおよび/または256cにより輸送され、その結果、スラリーは、コンテナ262中の成分または混合物、凝固システム264中の凝塊および/またはコンテナ266中の凝乳と合わされ得る。システム203は、一旦スラリーとチーズ前駆物質とが合わされて凝乳/スラリー混合物が可能になったら様々な加工選択肢を可能にするように設計される。1つの選択肢は、例えば、チューブ291によって最終加工システム300へと混合物を輸送して最終製品を形成することである。しかし、代替の配置において、凝乳調製システム261は、チューブ267によってクッカー270と連絡しており、クッカー270は次いで、チューブ267によってミキサー290へと接続している。ミキサー290は、移送チューブ291によって最終加工システム300へと接続され得る。あるいは、移送チューブ291は、着色ユニット293および着色ユニット294の間で混合物の流れを変更できる。着色ユニット293は、着色剤(例えば、オレンジ着色剤)を混合物に添加して、混合物に、例えば、チェダーチーズの外観を与え得るが、着色ユニット294は、色を加えず、チーズの色を実質的に白いままにしてもよい。混合物全体は、一方または他方の着色ユニット293および294によって変更され、そして着色ユニット間で混合物を分割して、例えば、この混合物からチーズの組合せを作製するように調節され得る。
【0135】
別の選択肢は、チューブ267によってクッカー270へと移動される混合物に関してである。一旦混合物が加熱され捏和されると、得られる加熱された混合物は、チューブ288によってミキサー290へと輸送され得る。従って、これにより、さらなる成分がシステム202に関して記載されたとおりにディスペンサ286から混合物に導入され得る。一旦添加された成分がスラリーおよびチーズ前駆物質混合物と混合されると、得られる混合物は、チューブ291によって最終加工システム300へと輸送され得る。
【0136】
このシステムの実施形態はまた、並行様式および連続様式での成分の導入を含む。図4Dを参照して、例えば、混合物をミキサー320から2つのミキサー290aおよび290bへと変更している移送チューブ321の構成を有するシステム400を示す。移送管287aおよび287bは、ミキサー290aおよび290bをそれぞれ、成分ディスペンサ286aおよび286bに接続する。成分ディスペンサ286aおよび286bは、同じかまたは異なる成分を混合物に添加し得る。次いで、最終的な混合物は、移送チューブ291および291bによってそれぞれ、最終加工システム300aおよび300bへと送られ得る。別の例では、図4Eは、成分ディスペンサ286および332から順次添加される1以上の成分を有するシステム410を示す。システム410において、第1成分(または複数の第1成分)は、移送チューブ287によって成分ディスペンサ286からミキサー290へと分配される。得られる混合物は、移送チューブ336によってミキサー330へと送られ得る。ここで、1以上のさらなる成分は、移送チューブ334によってミキサー330へと連結する第2成分ディスペンサ332によって添加され得る。さらなる成分は、第1成分(または複数の第1成分)と同じであっても異なっていてもよい。ミキサー330において形成される得られる混合物は、移送チューブ338によって最終加工システム300へと送られ得る。
【0137】
これらの例示的なシステムで利用される最終加工システムは、異なり得るが、溶融したチーズまたはチーズリボンが流動し得る超寒冷塩化ナトリウム塩水を含む事前塩水タンクを備え得る。カッターは、チーズリボンが事前塩水タンクを出るにつれて、チーズを切断してローフにし得る。次いで、冷却されて加塩されたローフは、主塩水タンクへと移され、ここで、ローフは、コンベヤによって取り出されまでとどまる。この一般的な設計の例示的なシステムは、米国特許第5,902,625号に記載される。米国特許第5,902,625号は、全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0138】
種々の様々な種類の装置は、上記のシステムにおいて利用され得る。例えば、様々なタイプのブレンダーを用いて成分を一緒に混合して、最初のスラリーを形成し得る。一般に、ブレンダーは単に、比較的粘性の流体を混合し得ることを必要とする。1つの一般的なブレンダーは、例えば食品産業において一般的であるような、二軸スクリューミキサーまたは押出成形機である。一連のポンプおよびスタティックミキサを備えるリボンブレンダーまたはパイプラインもまた、利用され得る。
【0139】
スラリー調製システムで使用されるクッカーは、レイダウンクッカー、掃引表面熱交換器、攪拌直接加熱パイプラインクッカーを含め、様々な種類のものであり得る。クッカーは、本明細書において規定される組成物のスラリーを約90〜293°Fの範囲の温度に加熱し得る。適切なクッカーの特定の例としては、Gold Peg International Pty.Ltd.(Moorabbin,Vic,Australia)から入手可能なRotaThermTMクッカー、またはBlentech Corporation(Rohnert Part,CA)から入手可能なFusionCookerTM、連続ミキサー(READCO Manufacturing、York,PA製)またはシングルもしくはEvolum 145二軸スクリュー押出成形機(Clextral Inc.,Tampa FL製)が挙げられる。クッカーは、対流(例えば、加熱されたブランケットが、クッカーを取り囲む)、伝導もしくは放射によって、またはクッカーに蒸気を直接注入することによって、スラリーを加熱し得る。
【0140】
様々な種類の剪断ポンプが利用され得る。適切な種類の剪断ポンプとしては、インラインミキサーまたはコロイドミルが挙げられる。使用され得るポンプの例としては、Silversonインラインミキサー(East Longmeadow,MA)およびStephanクッカー(Stephan Machinery Corporation(Columbus,OH)またはWaukesha Cherry Burrell(Charlotte,NC)によって供給されるコロイドミルが挙げられる。剪断ポンプは、少なくとも10,000〜500,000s−1の剪断速度を生じ得るべきである。
【0141】
多くのホモジナイザーはまた、提供されるシステムにおいて使用するために適切である。使用され得るホモジナイザーの例としては、APV Gaulin(Kansas City,MO)によって製造されるものおよびWaukesha Cherry Burrell(Charlotte,NC)が挙げられる。種々の種類のエバポレーターもまた、利用され得る。一般に、エバポレーターは、比較的粘性の溶液を扱うことが可能であるべきである。フラッシュ真空容器は、適切なエバポレーターの1例である。この種類のエバポレーターは、Invensys APV(Lake Mills,WI)またはDe Dietrich Process Systems(Bridgeton,MO)から入手可能である。いくつかのシステムは、エバポレーターに接続したフィードバックシステム(例えば、近赤外モニター)を備える。このシステムは、エバポレーターから来るスラリー中の水分レベルをモニタリングして、エバポレーターに信号を送信して、スラリー中の所望の水分含量が達成されるように、スラリーから水を除去するレベルを増加するか、減少するかまたは維持する信号をエバポレーターに送り得るセンサを備え得る。
【0142】
チーズ凝乳を加熱して捏和するシステムに関しては、多くの種々の捏和ミキサーを使用して、チーズの加熱塊を形成し得る。この操作を実施するための1つの例示的なデバイスは、水蒸気噴射に適しているか、もしくは加熱ジャケットを有するか、または両方の組合せを有する、一軸もしくは二軸のスクリューミキサーまたは二軸スクリュー押出成形機である。二軸スクリューミキサーまたは押出成形機を使用して加熱および捏和を実施する場合、スクリュー(すなわち、オーガ)は代表的に、完全な混合を保証するために、重なるように配置される。
【0143】
(VII.軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズ)
本明細書に記載される方法を利用して、成分のうちの1以上を本明細書に記載される濃度範囲で含む、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製し得る。上記のように、本明細書に開示される方法のうちのいくつかを利用して、スラリー中に含まれた場合に感応化され、そして加熱および/または水和に供される成分を含む、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを製造し得る。軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズのうちのいくつかはまた、比較的高濃度の特定成分を含み得る。上記のように、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズのうちのいくつかは、少なくとも10、11、12、13または14重量%の上記に列挙した1以上の成分を含み得る。それゆえ、例えば、提供されるチーズのうちのいくつかは、以下の特徴のうちの1、2、または3以上を有する。
【0144】
提供される軟質チーズまたは半軟質チーズのうちのいくつかは、少なくとも10、11、12、13または14重量%の澱粉濃度を有することによって特徴付けられる。それゆえ、例えば、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズのうちのいくつかは、約12〜14重量%の澱粉濃度を有し、他のものは、約14〜16重量%の澱粉濃度を有し、なお別のものは、約16〜20重量%の澱粉濃度を有する。
【0145】
提供される他の軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの特徴は、それらが少なくとも10、11、12、13または14重量%の乳固形分(例えば、脱脂粉乳)濃度を有するということである。他の軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、約16、17、18、19または20重量%までの乳固形分濃度を有する。この種類のいくつかの軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは従って、約12〜14重量%の乳固形分濃度を有する。他の軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、約14〜16重量%または約16〜20重量%の乳固形分濃度を有する。
【0146】
提供される他の軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、少なくとも0.01、0.5または3.0重量%のセルロース濃度を有する。このようなチーズは、例えば、従って、約0.01〜3.0または0.25〜2.5、または0.5〜2.0重量%の範囲に及ぶセルロース濃度を有する。
【0147】
提供される軟質または硬質/半硬質チーズは一般に、乾燥量基準(FDB)で、約10〜40重量%のタンパク含有量、約35〜65%の水分含量および約0〜60%の脂肪含量を有する。実際の組成は、製造されるべき特定の種類のチーズに依存していくぶん変化する。提供される特定の軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズ(例えば、モッツァレッラチーズ)については、乳脂肪含量は固形分の少なくとも45重量%であり、そして水分含量は約52〜60重量%である。提供される低水分の軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズ(時々、低水分モッツァレッラチーズともいわれる)は一般に、固形分の45重量%の最少乳脂肪含量および約45〜52重量%の水分含量を有する。対照的に、提供される部分脱脂乳の軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ(部分脱脂モッツァレッラチーズとも呼ばれる)は、固形分の約30〜45重量%の範囲に及ぶ乳脂肪含量および約52〜60重量%の水分含量を有する。提供される低水分の部分脱脂の軟質または硬質/半硬質の熟成および未熟成のチーズ(低水分部分脱脂モッツァレッラチーズともいう)は、固形分の約30〜45重量%の乳脂肪含量および約45〜52重量%の水分含量を有する。上記の水分百分率は結合水+自由水(すなわち、チーズを100℃のオーブン中で17時間±1時間乾燥する場合に失われる重量のパーセント)についてである。
【0148】
提供される軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、ローフ、RibbonsTM、粉砕形態(例えば、ダイス形態またはシュレッド形態)および当該分野で公知の他の形態を含め、種々の様々な形態であり得る。軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズのpHは一般に、約5.00〜約6.00(例えば約5.10〜約5.90)の範囲に及ぶ。
【0149】
(VIII.食品およびこのような食品を製造する方法)
提供される軟質チーズまたは硬質/半硬質のチーズは、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの使用を含む本質的に任意の焼成適用において利用され得、そして多種多様な食材および食品に組み込まれ得る。軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、例えば、主要料理、スナック食品および前菜を含め、種々の簡便な食品において成分として含まれ得る。
【0150】
用語「食品」は、チーズを添加し得る任意の種類の食品を広範に包含することが意図される。提供されるチーズが添加され得る適切な種類の食品の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:穀物ベースの製品;家禽、牛肉、豚肉またはシーフードに基づく主要料理;ジャガイモ;野菜;果物;キャンディおよびナッツ。穀物ベースの製品は、例えば、ピザ、ブリート、ドウで覆ったサンドイッチ、携帯食品、パン、ベーグル、ペストリーおよび穀物ベースのスナック食品(例えば、クラッカーおよびプレッツェル)を含め、多様な種類のものであり得る。チーズは、チップ、フレンチフライ、ハッシュブラウンズおよびストリングを含めた種々の様々な形態のジャガイモとともに含まれ得る。同様に、様々な種類の野菜は、提供されるチーズと合わされ得る。代表的な野菜としては、キノコ、ズッキーニ、唐辛子(例えば、ハラペーニョ)およびカリフラワーが挙げられる。
【0151】
軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、食品に組み込まれてもよく、食品上へまたは食品中で積層されてもよく、またはコーティングとして使用されてもよい。1つの一般的な用途は、例えば、ピザ上に露出したチーズとして、またはピザクラスト(いわゆる「詰め物をしたクラストピザ」)の外側のへりに巻き込まれるストリングチーズとしてである。
【0152】
当業者が認識するように、上記のリストは、単なる例示であり、本明細書で提供されるチーズと合わされ得る種類の食品の網羅的なリストであることを意図しない。
【0153】
提供される軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、例えば、対流加熱、水蒸気噴射加熱およびマイクロ波加熱を含め、本質的に任意の種類の調理において使用するのに適切である。いくつかのマイクロ波加熱適用において、例えば、食品は、チーズを加熱して融解させるのに十分な量でかつ十分な期間にわたってマイクロ波エネルギーに曝露され、それによってチーズは融解して均質なチーズ塊を形成する。チーズは通常、種々の電子レンジ(例えば、400〜1000ワットのワット数を有する電子レンジまたは一般家庭の電子レンジである650〜850ワットの全出力電子レンジ)において加熱され得る。チーズは、例えば冷凍または冷蔵された主要料理および前菜を調製するために使用される代表的な電子レンジ調理時間である、0.5〜20分間または0.5〜10分間または2〜5分間から調理時間の範囲にわたって調理され得る。
【0154】
本明細書に開示される軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズは、種々の方法のいずれかを使用して、ちょうど列挙した食品のような食品と合わされ得る。例えば、食品は、融解したチーズ中に浸漬され得る。あるいは、チーズは、従来の食品加工装置を用いて、食品上に散布または積層され得る。このようなプロセスにおいて、チーズは代表的に、最初に粉砕されて比較的小片のチーズまたはシュレッドチーズを形成する。一旦チーズが食品と合わされると、得られる食品は必要に応じて、将来の販売または使用のために冷蔵または冷凍され得る。
【0155】
以下の実施例は、本明細書に開示される方法ならびに軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの特定の局面を例示するために提示される。これらの実施例は、特許請求の範囲を限定するとは解釈されるべきではない。
【実施例】
【0156】
3つの異なるレベルの脱脂粉乳(NDM)(2.5重量%、6.0重量%および12.0重量%)を、粉末形態で直接(実施例a、c、およびeを参照のこと)またはチーズ凝乳に添加されるスラリーの一部として(実施例b、dおよびfを参照のこと)のいずれかで、モッツァレッラチーズ中に組み込んだ。スラリー組成物は、NDM、ならびに塩、クリーム、水およびグルコン酸を含んでいた。ここで、グルコン酸は調理前にスラリーの粘度の減少を引き起こすために加工助剤としてスラリーに添加されて、クッカーおよび他のシステム装置によってスラリーを汲み上げるのをより容易にした。スラリーの実施例(すなわち、実施例b、dおよびf)中で使用されるスラリー成分の相対量を表1にまとめる:
【0157】
【表1】

最終的なチーズ製品は、従来のスターター培養物を含んでおり、組成目標は、水分49.0%、FDB40.0、pH5.35、および塩1.80%であった。RibbonTMチーズ(7×9×2インチ)を押出成形し、そして包装されたチーズサンプルを35°F(1.7℃)で14日間保存し、その後、Urchell CCシュレッダー(Urchell Laboratories、Inc.Indiana,USA)で1.25”〜3”×0.20”×0.095”のおよその寸法に切断した。切断物を個々に冷凍して−20°Fで保存した。2ポンドのサンプルのチーズを取り出し、35°F(1.7℃)で解凍し、4オンスのピザソースを有する標準サイズのピザクラスト上の7オンスのチーズから構成されるコンベヤ焼成ピザ(420°F(215.6℃)で6.5分間、Middleby Marshallオーブン)を含め、2種類の異なるピザ上で融解した。このチーズをまた、3オンスのソースを有する出来合いのクラスト上に配置される5.6オンスの冷凍チーズから構成される冷凍ピザ上に溶融し、そして24時間冷凍した後、家庭用オーブンにおいて425°Fで19分間融解した。
【0158】
次いで、実施例a〜fにおいて生成されたチーズのシュレッド切断品質および溶融グレードを測定した。サービスオーブンピザおよび調理された冷凍ピザ上のチーズの溶融グレードの測定値は、膨れの色、膨れの%、膨れのサイズ、溶融、伸びおよび油の染み出し(oiling−off)の比較を含んでいた。ついては、溶融グレードの測定を20点目盛で行った。10は最良のグレードであり、1は少なすぎ、2は多すぎる。表2は、溶融グレードの評点方式をまとめる:
【0159】
【表2】

チーズのシュレッド品質の測定は、シュレッド品質およびシュレッド圧縮の比較を含んでいた。これらの測定を4点目盛で行った。1は最良であり、4は最も受け入れられない。表3は、実施例A〜Fについての溶融グレードの結果およびシュレッド品質の測定値をまとめる。
【0160】
【表3】

図5A〜Bは、NDMをチーズ凝乳に対して粉末として直接添加した場合と、NDMを液体スラリーの一成分として添加した場合との、最終的なチーズ製品の品質の違いを示す。6%レベルに乾燥粉末NDMを添加することおよび12%レベルに乾燥粉末NDMを添加することは両方とも、図5Aに示すように完成したチーズ中に粉末状の塊を引き起こす。この塊はチーズに劣った風味および感触を与え、また、チーズをシュレッドするために用いられるダイサーの刃に損害を与え得る。対照的に、同じレベルのNDM(すなわち、完成したチーズにおいて6重量%および12重量%のNDM)を有するチーズに添加されるスラリーは、図5Bに示されるように、滑らかで均質な完成したチーズをもたらす。
【0161】
本明細書に記載される実施例および実施携帯が例示の目的だけのためにあること、およびこれらを考慮すれば、様々な改変または変更が当業者に示唆されて、本出願および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることが理解される。本発明のチーズは、本明細書に記載される方法によって、または本発明のチーズとして同じ物理的特性もしくは科学的特性を有する完成したチーズ製品を生産する任意の他の方法によって、製造され得る。本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかも個々の刊行、特許または特許出願がそれゆえ参考として援用されると具体的かつ個々に示されたかのように、全ての目的のために、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は、スラリーを使用してチーズ製品を製造する一般的な方法の一例を示す。
【図2A】図2A〜図2Cは、スラリーを使用してチーズ製品を製造する一般的な方法の異なる例を示す。
【図2B】図2A〜図2Cは、スラリーを使用してチーズ製品を製造する一般的な方法の異なる例を示す。
【図2C】図2A〜図2Cは、スラリーを使用してチーズ製品を製造する一般的な方法の異なる例を示す。
【図3A】図3Aおよび図3Bは、チーズを調製するための本明細書に開示される特定の方法の他の例を模式的な形態で示す。図3Aは、スラリーがチーズの加熱塊と合わされる方法を示す。
【図3B】図3Aおよび図3Bは、チーズを調製するための本明細書に開示される特定の方法の他の例を模式的な形態で示す。図3Bは、スラリーが凝乳または凝乳前駆と合わされる方法を示す。
【図4A】図4A〜図4Eは、様々な種類のチーズを調製するための様々な例示的なシステムを示す。図4Aは、特定の製造システムの主要サブシステムを示す。
【図4B】図4A〜図4Eは、様々な種類のチーズを調製するための様々な例示的なシステムを示す。図4Bは、スラリーをチーズの加熱塊と合わせることによってチーズを調製するために用いられ得るシステムを示す。
【図4C】図4A〜図4Eは、様々な種類のチーズを調製するための様々な例示的なシステムを示す。図4Cは、スラリーが凝乳または凝乳前駆と合わされる、チーズを調製するために設計された別のシステムを示す。
【図4D】図4A〜図4Eは、様々な種類のチーズを調製するための様々な例示的なシステムを示す。図4Dおよび図4Eは、それぞれ、どのようにして成分が平行様式または連続様式でチーズに導入され得るかについての例を図示する。
【図4E】図4A〜図4Eは、様々な種類のチーズを調製するための様々な例示的なシステムを示す。図4Dおよび図4Eは、それぞれ、どのようにして成分が平行様式または連続様式でチーズに導入され得るかについての例を図示する。
【図5A】図5Aは、完成したチーズの断面サンプルを示す。
【図5B】図5Bは、完成したチーズの断面サンプルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チーズ製品を調製する方法であって、以下:
(a)1以上の成分を含むスラリーを提供する工程;
(b)該スラリーをチーズ前駆物質と合わせて混合物を形成する工程;および
(c)該混合物を加工して該チーズ製品を形成する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記チーズ前駆物質が、チーズ凝乳成分、チーズ凝乳成分の混合物、凝塊、チーズ凝乳、濃縮乳およびチーズの加熱塊からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チーズ前駆物質が、非低温殺菌乳、低温殺菌乳およびクリームからなる群から選択されるチーズ凝乳成分である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
チーズ前駆物質が、低温殺菌乳、スターターおよびクリームを含んでいる混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
チーズ前駆物質が、凝塊である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
チーズ前駆物質が、未加工のチーズ凝乳である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
チーズ前駆物質が、軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの加熱塊である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
外因性水の非存在下でチーズ凝乳の塊を加熱することによって、前記軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの加熱塊を調製することをさらに包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スラリーが、チーズ凝乳を欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記スラリーが、1以上の類似チーズ成分を欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1以上の成分が、脱脂粉乳、乳タンパク質、酸性度調節物質、酸、固化防止剤、消泡剤、着色剤、乳化剤、酵素調製物、香料、硬化剤、食用タンパク質、ゲル化剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、安定剤、澱粉、増粘剤、油、脂肪、チーズ粉末、塩、栄養補助剤、酸、酵素、栄養補助食品、炭水化物、ビタミンおよびミネラルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1以上の成分が、プロクリーム、ホエイクリーム、乳固形分、食材および食品からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記スラリーを加熱すること、前記スラリーを高剪断条件に供すること、前記スラリーを均質化すること、および前記スラリーの水分含量を調整することからなる群から選択される1以上のプロセスを実施することによって前記スラリーを加工する工程をさらに包含し、ここで、該加工が、合わせる前に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記スラリーを加工する工程が、該スラリーを加熱することを含み、そして合わせる工程が、該スラリーを、チーズ凝乳の加熱塊と合わせることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スラリーを加工する工程が、
該スラリーを約90°F〜約300°Fまで加熱すること;
該スラリーを高剪断条件に供すること;
該スラリーを均質化すること;および
該スラリーの水分含量を約5〜95重量%に調整すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スラリーが、該スラリーに蒸気を直接注入することにより加熱される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記スラリーが、間接的な熱源により加熱される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
合わせる工程が、1以上の乾燥成分と前記スラリーおよびチーズ凝乳の加熱塊とを混合することを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記スラリーおよび前記チーズ前駆物質の組成が、最終的なチーズ製品が少なくとも約70%の複合水分および湿乳脂肪含有量を有するように制御され、そして加工する工程が、塩水溶液中で前記混合物を冷却すること、および該塩水溶液から取り出された後約5分〜48時間以内に凍結することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記加工する工程が、前記混合物を粉砕して小さな粒子にすること、該粒子を凍結すること、および該粒子を水分損失前に包装することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記チーズ製品が、54〜80重量パーセントの無脂肪基準水分(MFFB)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記チーズ製品が、60重量パーセントを超えるMFFBを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製するための方法であって、以下の工程:
a)スラリーを、加熱した均質な軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの塊と合わせて混合物を形成する工程;
b)該混合物を成形し冷却して該チーズを形成する工程
を包含し、ここで、該スラリーは、該軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズが、(i)約0.5〜20重量%の澱粉濃度、または(ii)約0.5〜25重量%の脱脂粉乳濃度、または(iii)約0.5〜20重量%のガム濃度もしくはセルロース濃度という特徴のうちの1つ以上を含むに充分な澱粉または脱脂粉乳を含んでいる、方法。
【請求項24】
前記方法が、前記チーズに乾燥粉末成分を添加する工程を包含する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
乾燥粉末成分が、脱脂粉乳、乳タンパク質、酸性度調節物質、酸、固化防止剤、消泡剤、着色剤、乳化剤、酵素調製物、香料、硬化剤、食用タンパク質、ゲル化剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、安定剤、澱粉、増粘剤、油、脂肪、チーズ粉末、塩、栄養補助剤、酸、酵素、栄養補助食品、炭水化物、ビタミンおよびミネラルからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
乾燥粉末またはスラリーの形態の複数の成分が、0.5〜25%が前記チーズ前駆物質に添加された合わせたレベルまたは個々のレベルになるように添加される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記チーズの澱粉濃度が、約0.5〜20重量%であり、そして該澱粉の第1部分が前記スラリーに由来し、そして該澱粉の第2部分が、前記乾燥粉末の添加に由来する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの調製において使用するための過熱したスラリーを調製するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)液体および1以上のGRAS成分を一緒にブレンドしてスラリーを形成する工程;ならびに
b)該スラリーを約90°F〜約300°Fの温度まで加熱し、そして高剪断条件に該スラリーを供すること、該スラリーを均質化すること、および該スラリーの水分含量を調整することからなる群から選択される1以上のさらなる加工工程を実施することによって、該スラリーを加工する工程
を包含する、方法。
【請求項29】
加工する工程が、前記スラリーを高剪断条件に供すること、該スラリーを均質化すること、および該スラリーの水分含量を約5〜95重量%に調整することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記水分含量が、水分検出器に応答するエバポレーターユニットを用いて調整され、そして調整することが、該水分検出器を用いて該スラリーの水分含量をモニタリングし、それによって、該水分検出器が、該スラリーの水分含量が約5〜95重量%に調整されるように、該エバポレーターユニットを制御することを包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの製造システムであって、該システムは、以下:
(a)スラリー調製システムであって、(i)液体と1以上の安全と一般に認定された(GRAS)成分とを一緒にブレンドしてスラリーを形成するために適応したブレンダー、および(ii)該ブレンダーから該スラリーを受け取るために作動するように配置されており、かつ該スラリーを約90°F〜約300°Fの温度まで加熱するのに適応したクッカー、とを備える、スラリー調製システム;
(b)該スラリー調製システムから該スラリーを受け取るために作動するように配置されており、かつ該スラリーと軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの加熱塊とを混合して混合物を形成するのに適応した、第1ミキサー;ならびに
(c)該混合物を受け取るために作動するように配置されており、かつ最終的なチーズ製品を形成するのに適応した、最終加工システム
を備える、システム。
【請求項32】
前記スラリー調製システムが、スラリー混合および水分制御サブシステムをさらに備えており、該サブシステムは、以下のユニット:
(i)該スラリーを高剪断条件に供するのに適応した剪断ポンプ;
(ii)該スラリー中の水と1以上の成分とを均質化するのに適応したホモジナイザー;および
(iii)該スラリーの水分含量を約5〜95重量%に調整するのに適応したエバポレーター
のうちの1つ以上を備え、ここで、該サブシステムは、該クッカーと連絡しており、かつ該第1ミキサーと該サブシステム内のユニットとは流体連絡している、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記サブシステムが、前記ユニットのうちの少なくとも2つを備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記サブシステムが、前記ユニットのうちの3つ全てを備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記剪断ポンプが、前記ヒーターから前記スラリーを受け取るために作動するように配置されており、かつ、前記ホモジナイザーと連絡しており;
該ホモジナイザーは、該剪断ポンプと前記エバポレーターとの間に作動するように配置されており、かつ該剪断ポンプから該スラリーを受け取るのに適しており;そして、
該エバポレーターは、該ホモジナイザーから該スラリーを受けるように作動するように配置されており、かつ前記第1ミキサーと連絡している、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
第2ミキサーをさらに備え、該第2ミキサーが、(i)その中に導入されるチーズ凝乳の塊を加熱および捏和してチーズ凝乳の加熱塊を生成するのに適しており、そして(ii)第2ミキサー中で生成される該チーズ凝乳の加熱塊が該第1ミキサーに運搬され得るように、該第1ミキサーと連絡している、請求項32のシステム。
【請求項37】
エバポレーターユニットが、フラッシュ真空容器である、請求項32に記載システム。
【請求項38】
チーズ前駆物質と混合されるスラリーを調製するためのシステムであって、該システムが、以下:
a)スラリーを調製するのに適応したブレンダーであって、該スラリーが、水および1以上の安全と一般に認定された(GRAS)成分を含む、ブレンダー;
b)該スラリーを約90°F〜約300°Fの温度まで加熱するのに適応したクッカー;および
c)スラリー混合および水分制御サブシステムであって、該サブシステムは、以下のユニット:
(i)該スラリーを高剪断条件に供するのに適応した剪断ポンプ;
(ii)該スラリー中の前記水と前記1以上の成分とを混合するのに適応したホモジナイザー;および
(iii)該スラリーの水分含量を約5〜95重量%に調整するのに適応したエバポレーターユニット
のうちの1つ以上を備える、サブシステム
を備え、ここで、該サブシステムの該ユニットは、流体連絡しており、かつ該ブレンダー、ヒーター、およびスラリー混合および水分制御サブシステムは流体連絡している、システム。
【請求項39】
軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ製品であって、以下の特徴:
(i)11重量%より高い脱脂粉乳濃度、または
(ii)11重量%より高い澱粉濃度、または
(iii)11重量%より高いガム濃度もしくはセルロース濃度
のうちの1つ以上を有する、軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ製品。
【請求項40】
軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ製品であって、以下の特徴:
(i)10重量%より高い脱脂粉乳濃度、または
(ii)10重量%より高い澱粉濃度、または
(iii)10重量%より高いガム濃度もしくはセルロース濃度
のうちの1つ以上を有する、軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ製品。
【請求項41】
前記特徴のうちの少なくとも2つを有する、請求項40に記載の軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ製品。
【請求項42】
前記特徴のうちの3つ全てを有する、請求項40に記載の軟質または硬質/半硬質の熟成または未熟成のチーズ製品。
【請求項43】
軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズの調製において使用するためのスラリーであって、該スラリーが、約90°F〜約300°Fの温度を有する、スラリー。
【請求項44】
前記スラリーが、脱脂粉乳、乳タンパク質、酸性度調節物質、酸、固化防止剤、消泡剤、着色剤、乳化剤、酵素調製物、香料、硬化剤、食用タンパク質、ゲル化剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、安定剤、澱粉、増粘剤、油、脂肪、チーズ粉末、塩、栄養補助剤、酸、酵素、栄養補助食品、炭水化物、ビタミンおよびミネラルからなる群から選択される1以上の成分を有する、請求項43に記載のスラリー。
【請求項45】
前記スラリーが、プロクリーム、ホエイクリーム、乳固形分、食品および食品からなる群から選択される1以上の成分を有する、請求項43に記載のスラリー。
【請求項46】
軟質チーズまたは硬質/半硬質チーズを調製するための方法であって、以下の工程:
(a)チーズ製造システムを提供する工程であって、該システムは、
(i)ブレンダー、および該ブレンダーからスラリーを受け取るために作動するように配置されたクッカーを備える、スラリー調製システム;
(ii)該スラリー調製システムから該スラリーを受け取って混合物を形成するために作動するように配置された、第1ミキサー;ならびに
(iii)該混合物を受け取るために作動するように配置されており、かつ最終的なチーズ製品を形成するために適応した、最終加工システム
を備えている、工程;
(b)液体および1以上の成分を該ブレンダーに導入する工程;
(c)該液体および該1以上の成分を一緒にブレンドして該スラリーを形成する工程;
(d)該スラリーを該ブレンダーから該クッカーまで輸送し、該スラリーを約90°F〜約300°Fの温度になるまで調理する工程;
(e)該スラリーを該クッカーから該ミキサーまで移動し、該スラリーをチーズの加熱塊と合わせて該混合物を形成する工程;ならびに
(f)該混合物を該最終加工システムへ移し、該混合物を加工して軟質チーズ製品または硬質/半硬質チーズ製品を形成する工程
を包含する、方法。
【請求項47】
前記チーズ製造システムが、スラリー混合および水分制御サブシステムをさらに備え、ここで、該スラリー混合および水分制御サブシステムは、前記ブレンダーおよび前記クッカーと流体連絡しており、そして、互いに流体連絡している剪断ポンプおよびエバポレーターを備えており、該クッカーからの該スラリーは、前記ミキサーに運搬される前に該スラリー混合および水分制御サブシステムに通され、それによって、該スラリーは、該剪断ポンプによる高剪断条件に供され、そして該スラリーの水分含量は該エバポレーターにより調整される、請求項46に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2007−535932(P2007−535932A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511491(P2007−511491)
【出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/015270
【国際公開番号】WO2005/107486
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(591242210)レプリノ フーズ カンパニー (6)
【Fターム(参考)】