チーム設計支援システム
【課題】チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、設計者に負担をかけることなく、参照用設計データを最新の状態に保つ仕組みを提供する。
【解決手段】データベースサーバ100は、特定の部品について検討中の設計データ群および現在の有効設計データをIDで管理する代替データテーブル120を有し、各CAD端末200は、ロードされた設計データの中から、CADコマンドに応じて操作対象となる部品に係る設計データを取得し、取得した設計データのうち、参照用設計データを抽出し、代替データテーブル120に基づいて、抽出した参照用設計データが有効設計データでない参照用設計データに対して代替となる有効参照用設計データと置き換えを行い、有効参照用設計データが代替データテーブル120に反映されている場合に、当該各CAD端末200にロードされている有効参照用設計データを最新化する。
【解決手段】データベースサーバ100は、特定の部品について検討中の設計データ群および現在の有効設計データをIDで管理する代替データテーブル120を有し、各CAD端末200は、ロードされた設計データの中から、CADコマンドに応じて操作対象となる部品に係る設計データを取得し、取得した設計データのうち、参照用設計データを抽出し、代替データテーブル120に基づいて、抽出した参照用設計データが有効設計データでない参照用設計データに対して代替となる有効参照用設計データと置き換えを行い、有効参照用設計データが代替データテーブル120に反映されている場合に、当該各CAD端末200にロードされている有効参照用設計データを最新化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の設計者がデータベースサーバから各設計者の各CAD端末にロードされた設計データを介して設計作業をチーム形式で行うチーム設計支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばデジタル一眼レフカメラや複合機の設計のように設計対象が比較的多数の部品から構成されるものを設計する場合、対象を複数の設計単位に分割し、その後は各部位を同時に並行して設計を行うチーム形式のチーム設計支援システムが導入されている。このようなチーム形式によるチーム設計支援システムにおいては、複数の設計者がデータ処理用の各クライアントCAD端末において各部位の設計を同時並行して進めることができるので、設計の効率化や設計期間の短縮化を図ることが可能となる。
【0003】
ただし、チーム設計においては、隣接する接続部分等、他者の設計担当部位との干渉しあう部分が必ず生じる。例えば、モータ駆動ユニットの設計においては、筐体との固定用取付け穴の位置や、モータの放熱性及び組立性を考慮した隣接ユニットとのスペース等、他者の設計部品の形状を見ながら、自分の担当部品の設計を行う必要がある。そのため、他人が設計中の部品の設計データをできるだけ最新のデータに保つことが望まれている。例えば、図2の設計者AがCAD端末200−1のID番号「20」の設計データに対して修正・保存を実行した直後は、CAD端末200−2にロードされたID番号「20」の設計データにはその修正内容が反映されていない古いデータであるため、問題となる。
【0004】
このため、例えば、下記の特許文献1では、CADシステムでチーム形式の設計を行うのに際して、各部品ごとにその部品を設計・修正している設計者とその部品を参照している設計者とを登録するという手段を採っている。これにより、参照部品に対して修正がなされた場合には、その修正をリアルタイムで表示させる方法が知られている。
【0005】
また、CADシステムでチーム形式の設計を行う際の、他者が所有する参照部品の更新方法に関して、下記の特許文献2では、定期的にあるいは更新専用コマンドの入力をトリガとして、DB(データベース)からデータを配信する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−242174号公報
【特許文献2】特開2002−366589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CAD端末の扱う設計データは、データ容量が非常に大きい。そのため、クライアントであるCAD端末にロードされている設計データをデータベース上に格納されている最新の設計データに更新する際、CAD端末上の操作ができないという制約から、設計者の設計作業が中断されてしまう。更新時間は、更新部品データ数と相関関係にあるため、更新対象データの数はなるべく最小限に抑え、かつ、設計者の意図しないタイミングでの作業中断にならないことが望まれる。
【0008】
また、チーム形式でのCAD端末を用いた設計作業において、各設計者のクライアントのCAD端末上には、自己の設計担当部品に加え、それに関連する多数の隣接部品をロードし、ディスプレイ上に表示している。設計作業は、これら表示された部品群の中から特定の部位にフォーカスして行われ、設計者は、フォーカスする部位を変えながら設計を進めていく。
【0009】
しかしながら、前記背景技術で挙げた特許文献1で示されたリアルタイムで更新する方法では、いずれかの設計者が自己の担当する部品の修正を行ったとき、その部品を参照している全設計者のクライアント端末にその部品が修正された旨と修正内容が通知される。そのため、設計者が設計作業中にフォーカスしていない参照部品に対しての通知がなされる場合が想定され、その場合の通知は、有益なものとはならず、設計作業を阻害することになるという課題がある。さらに、このフォーカスしていないが、更新通知された参照部品に対してクライアント端末上のロードデータの更新を実施すると、設計者の設計作業をさらに中断してしまう。
【0010】
また、データの更新実施方法に関して、前記背景技術で挙げた特許文献2で示されたような、更新専用コマンドを実施する方法あるいは定期的な更新方法の場合、ロードされている参照データが最新ではない場合があるという課題がある。
【0011】
一方で、設計者は、設計中の同一の部品に対して、複数の代替案となる設計データを作成し、比較検討している。そのため、同一の部品に対して複数の検討中設計データが存在し、ある時点における、それらの中で有効な設計データ(以後、「有効設計データ」と呼ぶ)が1点、残りが無効な設計データとなっている。設計者は、日々の設計業務のなかでこれら複数の検討中の設計データの中から有効設計データを変更している。そのため、それら複数の代替設計データのうち、どの設計データが有効設計データであるかを示す最新情報を他人に伝える必要がある。
【0012】
従来、有効設計データを変更した場合、その部品データを参照している設計者にはその旨を口頭で伝達し、それを受けて、参照設計者は、無効な設計データを有効設計データに置き換える作業を行っていた。しかしながら、この方法では、手間がかかる上に、情報伝達がうまくされずに不採用となった無効な設計データを参照し続けた結果、設計作業の後戻りが発生するというリスクがある。
【0013】
この課題に対して、前記背景技術で挙げた特許文献1及び特許文献2の方法では、有効設計データが検討中であった他の設計データに変更された場合、その事実が通知されず、解決されない。これは、現在、参照している設計データが有効設計データか否か、無効な場合に代替となる有効設計データはどれかという情報が管理されていないためである。
【0014】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、設計者に負担をかけることなく、参照用設計データを最新の状態に保つ仕組みを提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、特定の部品に対する複数の代替設計データのうち、有効設計データが他のデータに変更された場合、設計者が意図せず無効な設計データを参照することによる設計の後戻りが発生することを防止することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のチーム設計支援システムは、複数のCAD端末と、前記複数のCAD端末における各CAD端末に接続されたデータベースサーバとを有し、複数の設計者が前記データベースサーバから各設計者の前記各CAD端末にロードされた設計データを介して設計作業をチーム形式で行うチーム設計支援システムであって、前記データベースサーバは、特定の部品について検討中の設計データ群および現在の有効設計データをIDで管理するための代替データテーブルを有し、前記各CAD端末は、前記ロードされた設計データの中から、CADコマンドに応じて、操作対象となる部品に係る設計データを取得する操作対象部品取得手段と、前記操作対象部品取得手段により取得した設計データのうち、参照用設計データを抽出する参照用設計データ抽出手段と、前記代替データテーブルに基づいて、前記参照用設計データ抽出手段により抽出した参照用設計データが有効設計データか否かを判定する有効判定手段と、前記有効判定手段により有効設計データでないと判定された参照用設計データに対して、代替となる有効参照用設計データと置き換えを行う構成編集手段と、前記有効参照用設計データが前記代替データテーブルに反映されている場合に、当該各CAD端末にロードされている前記有効参照用設計データを最新化する最新化手段とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、設計者に負担をかけることなく、参照用設計データを最新の状態に保つことができる。また、チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、特定の部品に対する複数の代替設計データのうち、有効設計データが他のデータに変更された場合、設計者が意図せず無効な設計データを参照することによる設計の後戻りが発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るチーム設計支援システムのシステム構成の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示すチーム設計支援システムのうち、DBサーバ内の設計データベースと複数のCAD端末との関係の一例を示す模式図である。
【図3】図1に示す代替データテーブルのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図4】図1に示すCAD端末の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態を示し、設計者AがCAD端末上にロードしている設計データをCADツールにより表示出力装置上に表示した表示例を示す模式図である。
【図6】実施形態における設計データのバウンディングボックスの一例を示す模式図である。
【図7】図5の形状表示部に示す部品設計例の各設計データのバウンディングボックスを破線にて重ねて示した模式図である。
【図8】図1に示すDBサーバに保持されている設計データベース、代替データテーブル、CAD端末上にロードされている設計データの状態の一例を示す模式図である。
【図9】実施形態を示し、設計者が検討用設計データ作成時に実行される代替データテーブル作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】図9に示すフローチャートの処理の後、設計者AがID番号「30」の設計データの形状を□に変更し保存したデータ状態を示す模式図である。
【図11】実施形態を示し、設計者が有効設計データを変更する際の処理手順のフローチャートである。
【図12】図11に示すフローチャートの処理の後の設計データベース、代替データテーブル、CAD端末上にロードされたデータ状態を示す模式図である。
【図13】実施形態を示し、参照用設計データの更新処理の処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0019】
図1は、実施形態に係るチーム設計支援システムのシステム構成の一例を示す模式図である。図1に示すチーム設計支援システムは、DBサーバ(データベースサーバ)100と、複数のCAD端末200−1〜200−3とがLAN(Local Area Network)やインターネットなどの通信回線を介して通信可能に接続されている。図1に示す例では、CAD端末200は、CAD端末200−1〜200−3までの3つで構成されている。そして、図1に示すチーム設計支援システムは、複数の設計者がDBサーバ100から各設計者の各CAD端末200にロードされた部品に係る設計データを介して設計作業をチーム形式で行う。そして、各設計者は、各CAD端末200を操作することによって、DBサーバ100内に格納される各部品の設計を行う。また、DBサーバ100内には、設計データベース110と、代替データテーブル120が格納される。
【0020】
図2は、図1に示すチーム設計支援システムのうち、DBサーバ100内の設計データベース110と複数(2つ)のCAD端末200−1及び200−2との関係の一例を示す模式図である。
【0021】
CAD端末200−1及び200−2は、DBサーバ100における設計データベース110からCAD設計データをロードする。そして、ユーザ指示に応じてロードされた設計データを変更し、ユーザ指示に基づき実行される保存コマンドに基づき変更後の設計データを設計データベース110にアップロードし、設計データベース110における設計データを更新する。設計データベース110には、部品の最新の形状を表す設計データが、その部品のID番号(識別子)及び編集権限を有する者(所有者)と関連付けられて記憶されている。ここで、設計データベース110における設計データの所有者情報として示される所有者とは、各設計者にユニークに割り当てられたCADツールのユーザ情報であり、CADツールを使用する設計者に対して1対1で対応している。
【0022】
設計者A及び設計者Bは、それぞれが使用するCAD端末200−1及びCAD端末200−2に、設計する部品、参照する部品を設計データベース110から取得する。
【0023】
なお、ID番号「20」の設計データに関して、設計者Aは所有者であるため、修正及び保存が許可されるが、設計者Bは所有者ではないため、参照のみが許可され、修正及び保存は許可されない。このようにロードされた設計データには、設計者自身が所有して編集権限を有し設計を担当する設計データである担当設計データと、他者が所有し担当設計データの設計のために参照する参照用設計データとがある。
【0024】
現在、図2(データロード時)に示すID番号「10」及び「20」の設計データが、CAD端末200−1及びCAD端末200−2にそれぞれ取得されている状態とする。
【0025】
ここで、設計者AがCAD端末200−1上でID番号「20」の部品データを△から▲に修正し、保存コマンドを実行すると、設計データベース110に修正内容が反映され、図2(保存時)に示す設計データ状態となる。この時点では、CAD端末200−2上にロードされたID番号「20」の設計データは、その修正内容が反映されていない古いデータ△である。
【0026】
設計者BがCAD端末200−2上で意図的に更新コマンドを実行すると、CAD端末200−2上にロードされたID番号「20」の古い設計データ△に対して、設計データベース110から最新状態の設計データ▲に更新される。即ち、図2(リロード時)に示す設計データ状態となる。なお、ロードされた設計データは、CAD端末200−1及びCAD端末200−2上の記憶装置(RAMなどの主記憶装置や、ハードディスクなどの補助記憶装置)に記憶される。
【0027】
図3は、図1に示す代替データテーブル120のデータ構造の一例を示す模式図である。代替データテーブル120は、ある特定の部品に関して検討中の複数の設計データ群(代替データグループ)と、それら複数の検討中の設計データ群の中における現在の有効設計データ(有効メンバ)のリストを識別子であるID番号にて管理するテーブルである。
【0028】
ここで、代替データグループとは、同一の部品に関して検討中の複数の設計データのことであり、メンバとは、同一代替データグループに属する個々の設計データのことであり、有効メンバとは、検討中の複数の設計データの中における有効設計データである。代替データグループに属する設計データのうちの1つが有効メンバとなる。代替データテーブル上では、設計データを設計データベース110のID番号にて管理する。例えば、ID番号「400」は、ある同一の設計部品に関する検討中の設計データが設計データベース110のID番号「10」、「20」、「30」の設計データであり、現在は、ID番号「30」の設計データが有効設計データであることを表している。
【0029】
この代替データテーブル120が管理する情報により、有効設計データが検討中であった他の設計データに変更された場合に、参照している他の設計者にその事実を伝えることが可能になる。このため、不採用となった無効な設計データを参照し続けた結果、設計作業の後戻りが発生するというリスクを回避できる。参照用設計データの更新処理方法については後述する。
【0030】
図4は、図1に示すCAD端末200の内部構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、CAD端末200は、バス210、入力インターフェース220、キーボード及びマウス230、出力インターフェース240、CRT及びLCD250、CPU260、及び、メモリ270を有して構成されている。
【0031】
バス210には、入力インターフェース220、出力インターフェース240、CPU(中央演算処理装置)260、及び、メモリ(RAM/ROM)270がそれぞれ接続されている。また、バス210には、入力インターフェース220を介してキーボード及びマウス230等の入力装置が接続され、出力インターフェース240を介してCRT及びLCD250等の表示出力装置が接続されている。
【0032】
入力インターフェース220は、キーボード及びマウス230等の入力装置からの入力情報をCAD端末200の内部に入力するものである。キーボード及びマウス230等の入力装置は、例えばユーザの操作にしたがって、入力情報をCAD端末200の内部に入力するためのものである。
【0033】
出力インターフェース240は、CRT及びLCD250等の表示出力装置に出力情報を出力(表示)する。CRT及びLCD250等の表示出力装置は、出力情報を出力(表示)する。
【0034】
CPU260は、メモリ270に記憶されているプログラム等を実行することにより、CAD端末200を統括的に制御する。
【0035】
メモリ270内部には、操作対象部品取得部271、参照用設計データ抽出部272、有効判定部273、構成編集部274、最新判定部275、代替データテーブル編集部276、及び、CADツール277の各プログラム等が記憶されている。これらの各プログラム等は、CPU260に実行されることによって機能する。
以下に、操作対象部品取得部271、参照用設計データ抽出部272、有効判定部273、構成編集部274、最新判定部275、代替データテーブル編集部276の各機能について説明する。
【0036】
操作対象部品取得部271は、ロードされた設計データの中から設計者によって実施されるCADコマンドに応じて、操作(処理)の対象となる設計データを検出(抽出)して取得する。
図5に示す部品設計例を用いて説明する。
図5は、実施形態を示し、設計者AがCAD端末200上にロードしている設計データをCADツール277により表示出力装置上に表示した表示例を示す模式図である。
【0037】
図5において、形状表示部42は、CAD端末200上にロードされている設計データの形状を表示し、構成表示部43は、CAD端末200上にロードしている設計データのリストを所有者情報と合わせて表示する。各設計データは、設計データベース110にて管理されている所有者情報を紐付けてCAD端末200上にロードされているため、CAD端末200上にロードされている設計データに紐付けられている所有者情報が表示される。
【0038】
図5上にて斜線で示した設計データ32及び設計データ37が担当設計データである。また、設計データ31、設計データ33、設計データ34、設計データ35、設計データ36、設計データ38、設計データ39、及び、設計データ40は、参照用設計データとする。
【0039】
このCAD端末200上で設計データ31と設計データ32との間の寸法41を図るために、寸法測定コマンドを実行する場合を想定する。この場合、コマンド実施対象となる寸法41に関係する設計データは設計データ31及び設計データ32である。そして、ユーザによって寸法計測対象である寸法41が指示されると、操作対象部品取得部271は、寸法計測対象と接触する部品の設計データを検出(抽出)して取得する。
【0040】
別の例を示す。
干渉チェックコマンドの実行においては、特定の部品データ(部品A)に対して、干渉のチェック対象となる部品データ群(部品群B)を指定する必要があるが、この場合、操作対象部品取得部271は、部品Aと部品群Bを取得する。図5に示す部品設計例を用いて説明する。
【0041】
設計データ32が他部品と干渉しているか否かを確認するために、設計データ32に対して干渉チェックコマンドを実行した場合を想定する。干渉チェックコマンドの実行においては、設計データ32に対して、ロードしている全設計データをチェック対象とすると、形状データが詳細過ぎ、シミュレーションの計算時間が過大になってしまう。このため、一般的には、事前処理として、ロードしている全形状データを単純なバウンディングボックスと置き換え、バウンディングボックス同士の干渉を判定する。
【0042】
つまり、まず、設計データ32の形状を簡略化したバウンディングボックスを用いて、全設計データのバウンディングボックスに対して干渉の判定を行い、設計データ32のバウンディングボックスと干渉するバウンディングボックスを持つ設計データを検出する。次に、設計データ32そのものを用いて、検出された設計データそのものに対して干渉チェックを行う。ここで、バウンディングボックスとは、部品形状全体を含む境界線を指している。
【0043】
図6は、実施形態における設計データのバウンディングボックスの一例を示す模式図である。
例えば、図6において、破線331が設計データ33のバウンディングボックスとなる。
【0044】
図7は、図5の形状表示部42に示す部品設計例の各設計データのバウンディングボックスを破線にて重ねて示した模式図である。
干渉チェックコマンドに関する操作対象部品取得部271は、前記の設計データ32のバウンディングボックスと重なっているバウンディングボックスを持つ設計データを検出(抽出)して取得する。
【0045】
この場合、設計データ32とバウンディングボックスが重なっている設計データ群は、設計データ31、設計データ33及び設計データ37である。操作対象部品取得部271は、ロードされた全設計データから、設計データ31、設計データ33及び設計データ37を検出(抽出)して取得する。
【0046】
参照用設計データ抽出部272は、操作対象部品取得部271により取得された設計データそれぞれに対して、部品の所有者が自己か否かを判定し、自己の所有しない設計データを抽出する。
【0047】
本実施形態では、参照用設計データ抽出部272は、操作対象部品取得部271により取得された設計データの所有者情報に示される所有者とCADツール277を使用中のユーザ情報とが一致しない設計データを抽出する。
【0048】
上記の図5に示す部品設計例を用いて説明した寸法測定コマンド実施時の例では、参照用設計データ抽出部272は、操作対象部品取得部271により取得された設計データ31と設計データ32から、所有者が他者である設計データ31を抽出して取得する。
【0049】
操作対象部品取得部271と参照用設計データ抽出部272により、設計者のCAD端末200にロードされている全設計データ群の中から、該当のCADコマンド実施前に更新処理を実施する必要のある最小限数の設計データを抽出することができる。上記の図5に示す部品設計例を用いて説明した寸法測定コマンド実施時の例では、CAD端末200上にロードされている設計データ数が10の中から寸法測定コマンド実施前に更新が必要な設計データ31を抽出することができる。
【0050】
有効判定部273は、対象の設計データが有効な設計データか否かを判定する。本実施形態では、代替データテーブル120のメンバ欄を検索し、CAD端末200にロードされた対象の設計データのID番号が存在しない場合、及び、存在する場合の該当の行の有効メンバ欄に対象の設計データの識別IDが登録されている場合に、有効であると判定される。代替データテーブル120のメンバ欄に対象の設計データのID番号が存在しない場合に、有効設計データとして検出されるのは、該当の設計部品に対して、検討中の代替設計データが存在しないと判断できるためである。
【0051】
構成編集部274は、ロードされた設計データの構成情報を編集する。
【0052】
最新判定部275は、対象のロードされた設計データが対応する設計データベース110内の設計データに対して、設計データに紐付くバージョン情報を用いて最新か否かを判定する。ここで、バージョン情報とは、設計データ作成時が1であり、その設計データが更新される度にインクリメントされる整数値である。
【0053】
代替データテーブル編集部276は、設計者からの入力に応じて、代替データテーブル120上の情報を編集する機能である。
【0054】
なお、図4において、有効判定部273、代替データテーブル編集部276は、CAD端末200上に構成されているが、例えば、DBサーバ100上に置いてもよいし、機能を分割して一方をCAD端末200上に、他方をDBサーバ100上に置いてもよい。
【0055】
CADツール277は、設計データを作成するためのものである。
【0056】
以上のような構成のチーム設計支援システムの動作に関して、検討用設計データ作成時の代替データテーブル120の作成フローチャート、有効設計データを変更する際のフローチャート、参照設計データの更新フローチャートのそれぞれについて以下に説明する。
【0057】
ここでは、CAD端末200−1の設計者Aが設計担当であるID番号「20」の設計データを、CAD端末200−2の設計者Bが参照しながら、設計者Bが設計担当であるID番号「10」の部品を設計する場合を想定して説明する。
【0058】
図8は、図1に示すDBサーバ100に保持されている設計データベース110、代替データテーブル120、CAD端末200−1上にロードされている設計データ及びCAD端末200−2上にロードされている設計データの状態の一例を示す模式図である。
CAD端末200−1には、ID番号「20」の設計データが、CAD端末200−2には、ID番号「10」及び「20」の設計データがそれぞれロードされている。
【0059】
図9は、実施形態を示し、設計者が検討用設計データ作成時に実行される代替データテーブル作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
設計者が検討用設計データを作成する際、既存の設計データのコピー(複写)を行い、このコピーされた設計データに対して編集作業を行うことがほとんどである。そのため、本実施形態においては、既存のコピーコマンド(複写コマンド)が実行され、コピー処理終了後、代替データテーブル120の作成処理を開始する。
【0060】
まず、設計者AがCAD端末200−1において、既存のID番号「20」の設計データに対してコピーコマンド(複写コマンド)を実行する。そうすると、ステップS11において、CPU260(或いは代替データテーブル編集部276)は、ユーザ指示に応じたコマンドを実施し、CADツール277がID番号「30」の設計データを作成する。設計者Aが、コピー処理を行うことが目的であればここで処理を終了する。検討用設計データを作成することが目的の場合には、次に、代替データテーブル作成処理に移る。どちらの処理に進むかは、設計者にダイアログにより確認することが好適である。以後、後者の場合を想定して説明する。
【0061】
続いて、ステップS12において、CPU260(或いは代替データテーブル編集部276)は、DBサーバ100に対して、代替データテーブル120において複写元となったID番号「20」の設計データが属している代替データグループが存在するか否かの判定依頼を行う。これに対して、ステップS121において、DBサーバ100は、CAD端末200に対して、代替データテーブル120における、複写元が属している代替データグループの検索結果を返す。これは、代替データテーブル120におけるメンバ欄を参照し、複写元となったID番号「20」の設計データが格納されているか否かによりわかる。
【0062】
続いて、ステップS13において、CPU260(或いは代替データテーブル編集部276)は、ID番号「20」の設計データが属している代替データグループが存在するか否かを判断する。この判断の結果、ID番号「20」の設計データが属している代替データグループが存在する場合には、ステップS14に進む。
【0063】
ステップS14に進むと、代替データテーブル編集部276は、DBサーバ100に対して、その代替データグループのメンバに、ID番号「30」の設計データ(複写データ)を追加依頼する。これに対して、ステップS141において、DBサーバ100は、代替データテーブル120に対して、ID番号「30」の設計データをその代替データグループのメンバにとして追加する。これにより、コピーによって作成されたID番号「30」の設計データは、コピー元のID番号「20」の設計データと同じ検討中のデータグループに属することになる。
【0064】
一方、ステップS13の判断の結果、ID番号「20」の設計データが属している代替データグループが存在していない場合、ステップS15に進む。
ステップS15に進むと、代替データテーブル編集部276は、DBサーバ100に対して、代替データグループを新規で作成し、有効メンバ欄に複写元のID番号「20」の設計データ、メンバ欄に複写元のID番号「20」の設計データと複写したID番号「30」の設計データを設定依頼する。これに対して、DBサーバ100は、代替データテーブル120に対して、代替データグループを新規で作成し、有効メンバ欄に複写元のID番号「20」の設計データ、メンバ欄に複写元のID番号「20」の設計データと複写したID番号「30」の設計データを設定する。これにより、複写元となったID番号「20」の設計データとID番号「30」の設計データが現在検討中の設計データであり、ID番号「20」の設計データが有効設計データであるということになる。本実施形態においては後者の場合である。
図10は、図9に示すフローチャートの処理の後、設計者AがID番号「30」の設計データの形状を□に変更し保存したデータ状態を示す模式図である。
【0065】
このように、特定の部品に対する複数の代替設計データを管理する代替データテーブル120を作成する処理を、既存のコピーコマンド処理後に自動で処理することにより、設計者に負担をかけないで行うことができる。
【0066】
図11は、実施形態を示し、設計者が有効設計データを変更する際の処理手順のフローチャートである。
ここでは、設計者Aが検討中のID番号「20」の設計データとID番号「30」の設計データに対して、それまで有効設計データとしていたID番号「20」の設計データを無効な設計データとし、その代替として、ID番号「30」の設計データを有効設計データに変更する場合を想定して説明する。ID番号「20」の設計データとID番号「30」の設計データが検討中の設計データであることは、代替データテーブル120で、ID番号「400」で管理されているとする(図10参照)。
【0067】
まず、設計者AがCAD端末200−1において、ID番号「20」の設計データを選択した状態で、有効設計データ変更コマンドを実行する。そうすると、ステップS21において、例えばCPU260は、選択されているID番号「20」の設計データが属する代替データグループを代替データテーブル120に対して検索し、グループID、有効メンバ、メンバの情報をDBサーバ100に問合せを行う。これに対して、ステップS211において、DBサーバ100は、代替データテーブル120に対して、選択されているID番号「20」の設計データがメンバに含まれる代替データグループを検索し、結果を返す。
【0068】
続いて、ステップS22において、例えばCPU260は、ユーザに有効設計データを選択させる入力ダイアログをCRT及びLCD250等の表示出力装置に表示する。ここで、有効設計データの候補は、取得したメンバ情報からわかる。設計者Aは、有効設計データをID番号「30」の設計データに変更したいのであるから、この入力ダイアログ上でID番号「30」の設計データを有効設計データとして選択・指定し、OKボタンを押下する。
【0069】
続いて、ステップS23において、代替データテーブル編集部276は、DBサーバ100に対して、S22で指定されたID番号「30」の設計データを代替データテーブル120のID番号「400」の代替データグループの有効設計データ欄に記憶する。そして、ステップS231において、DBサーバ100は、代替データテーブル120に対して、有効メンバを書き換える処理を行う。
【0070】
以上の処理により、代替データテーブル120のID番号「400」の代替データグループにおける情報が、ID番号「20」の設計データとID番号「30」の設計データが現在検討中の設計データであり、ID番号「30」の設計データが有効設計データであるという意味に書き換わった。
図12は、図11に示すフローチャートの処理の後の設計データベース110、代替データテーブル120、CAD端末200−1及びCAD端末200−2上にロードされたデータ状態を示す模式図である。
【0071】
図13は、実施形態を示し、参照用設計データの更新処理の処理手順のフローチャートである。
【0072】
チーム設計におけるCAD端末200を用いた設計においては、設計者Bは、自己の担当する部品の設計に際して、他者である設計者Aの担当する部品と干渉していないことを常時意識ながら設計データの編集を行っている。一般的なCAD端末200においては、部品間の干渉箇所を解析し、提示する干渉チェック機能が備わっている。設計者は、設計データ間の干渉確認のために、この干渉チェック機能を利用する場合が多い。
【0073】
設計者Bが、自己の担当するID番号「10」の設計データが近傍の部品と干渉していないことを確認することを目的として、干渉チェックコマンドを実行する場合を想定する。現在、設計者BがCAD端末200−2上にID番号「10」の担当設計データと設計者Aが所有しているID番号「20」の参照用設計データをロードしている図12の状態を想定する。ただし、設計者BがCAD端末200−2上に設計データをロードした後で、設計者Aが有効設計データをID番号「20」の設計データからID番号「30」の設計データへ変更しているとする。
【0074】
設計者Bが干渉チェックのCADコマンドを実行すると、このCADコマンドの実行を契機として、そのCADコマンド自体の実行の前に、図13の処理が実施される。
【0075】
図13の処理では、まず、ステップS31において、操作対象部品取得部271は、ロードされた設計データの中から、ユーザにより指示されるCADコマンドに応じて、操作対象(処理対象)となる部品に係る設計データを抽出して取得する。
【0076】
干渉チェックコマンド実行時のステップS31では、操作対象部品取得部271が、ID番号「10」の設計データの形状を簡略化したバウンディングボックスを用いて、全設計データのバウンディングボックスに対して干渉の判定を行う。そして、ID番号「10」の設計データのバウンディングボックスと干渉するバウンディングボックスを持つ設計データを抽出する。本実施形態では、ここで抽出された設計データが干渉チェックコマンドの処理対象の設計データとなり、ステップS39にて、ID番号「10」の設計データそのものを用いて、ここで抽出された設計データそのものに対して干渉チェックを行う処理を行う。ステップS31の処理により、ID番号「20」の設計データが抽出されたと想定する。なお、本実施形態では、干渉チェックコマンドを例として取り上げているため、ステップS31における操作対象部品取得部271の処理が前記処理内容となるが、ユーザ指示により実施されるCADコマンド毎に、処理対象となる設計データ抽出方法は異なる。
【0077】
続いて、ステップS32において、参照用設計データ抽出部272は、ステップS31で抽出された設計データそれぞれに対して、部品の所有者が自己か否かを判定し、自己の所有しない設計データ(参照用設計データ)を抽出する。本実施形態では、設計データベース110に基づいて、ステップS31において取得された設計データの所有者情報に示される所有者と、CADツール使用中のユーザ情報とが一致しない設計データ(即ち、所有者が他人の設計データ)を抽出する。具体的には、ID番号「20」が抽出された設計データとする。
【0078】
ステップS31、ステップS32の処理により、設計者のCAD端末にロードされている全設計データ群の中から、該当のCADコマンド実施前に更新処理(最新化処理)を実施する必要のある最小限数の設計データを抽出することができる。これにより、CAD端末200−2上にロードされている全設計データを更新する場合に比べ、更新対象の設計データ数が削減され、更新時間の短縮化がなされる。
【0079】
設計データベース110への更新問合せ処理内容は、有効チェックと更新チェックの2点である。まず、ステップS33において、有効判定部273は、ID番号「20」の設計データが有効設計データか否かのチェックを設計データベース110(DBサーバ100)に対して依頼する。具体的には、代替データテーブル120のメンバ欄を検索し、対象設計データのID番号が存在しない場合、及び、存在する場合の該当の代替データグループの有効メンバ欄に対象設計データのID番号が登録されている場合、有効設計データであると判断できる。ステップS331において、DBサーバ100は、代替データテーブル120に基づいて設計データの有効チェックを実施し、その結果を依頼してきたCAD端末200に返す。
【0080】
続いて、ステップS34において、例えば有効判定部273は、ステップS33の依頼の結果、ステップS32で抽出された参照用設計データは有効であるか否かの判断を行う。ここでの判断は、DBサーバ100内の代替データテーブル120に基づいて行われる。
【0081】
ステップS34の判断の結果、設計データは有効ではない(無効である)場合には、ステップS35に進む。
ステップS35に進むと、例えばCPU260は、ステップS33及びステップS331にて参照した代替データテーブル120における該当の代替データグループの有効メンバ欄に格納されている有効設計データのID番号情報に対応する設計データ(ここでは、ID番号「30」の設計データ)を設計データベース110からロードする。また、構成編集部274は、CAD端末200−1上にロードされている設計データの構成情報に対して、ステップS33及びステップS331で無効と判定された参照用設計データを外し、ロードされたID番号「30」の有効参照用設計データを構成に追加する。ステップS35の処理では、実行前に設計者にダイアログ等により処理を行うか否かの確認を行ってもよい。
【0082】
ステップS35の処理が終了した場合、或いは、ステップS34で設計データは有効であると判断された場合には、ステップS36に進む。
ステップS36に進むと、最新判定部275は、ステップS32で抽出されたID番号「20」の参照用設計データが最新状態か否かを設計データに紐付くバージョン情報を用いてDBサーバ100に対して判定依頼する。そして、ステップS361において、DBサーバ100は、参照用設計データの最新チェックを行って、その結果を依頼元のCAD端末200に返す。
【0083】
続いて、ステップS37において、例えば最新判定部275は、参照用設計データが最新か否かを判断する。具体的には、ロードされているID番号「20」の参照用設計データのバージョン情報と、 設計データベース110に格納されているID番号「20」の参照用設計データのバージョン情報とを比較し、前者のバージョン情報の値が小さくない場合、最新と判定できる。
【0084】
ステップS37の判断の結果、CAD端末200−1上にロードされている参照用設計データが最新でない場合には、ステップS38に進む。
ステップS38に進むと、例えばCPU260は、設計データベース110内の該当する最新の設計データを再ロードし、更新(最新化)する。ここで、例えば、ステップS35の処理を経てステップS38の処理を行う場合には、有効参照用設計データが代替データテーブル120に反映されている場合に、当該各CAD端末200にロードされている有効参照用設計データを更新(最新化)する。
【0085】
また、ステップS38の処理が終了した場合、或いは、ステップS37の判断の結果、CAD端末200−1上にロードされている参照用設計データが最新である場合、図13のフローチャートの処理を終了する。
【0086】
以上の処理の終了後に、CAD端末200−2上にロードされている設計データを使用して干渉チェックコマンドの処理を開始する。そのため、干渉チェックコマンドの実行対象となる参照用設計データは最新の状態である。
【0087】
このように本実施形態では、チーム設計において他人の設計データを参照している場合においても、更新対象データ数を必要最小限に抑えることで、更新時の設計者に与えるストレスを最小限に抑えつつ、最新状態で作業を継続できる。
【0088】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。
即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。
【0089】
なお、前述した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0090】
100 DB(データベース)サーバ、110 設計データベース、120 代替データテーブル、200−1〜200−3 CAD端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の設計者がデータベースサーバから各設計者の各CAD端末にロードされた設計データを介して設計作業をチーム形式で行うチーム設計支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばデジタル一眼レフカメラや複合機の設計のように設計対象が比較的多数の部品から構成されるものを設計する場合、対象を複数の設計単位に分割し、その後は各部位を同時に並行して設計を行うチーム形式のチーム設計支援システムが導入されている。このようなチーム形式によるチーム設計支援システムにおいては、複数の設計者がデータ処理用の各クライアントCAD端末において各部位の設計を同時並行して進めることができるので、設計の効率化や設計期間の短縮化を図ることが可能となる。
【0003】
ただし、チーム設計においては、隣接する接続部分等、他者の設計担当部位との干渉しあう部分が必ず生じる。例えば、モータ駆動ユニットの設計においては、筐体との固定用取付け穴の位置や、モータの放熱性及び組立性を考慮した隣接ユニットとのスペース等、他者の設計部品の形状を見ながら、自分の担当部品の設計を行う必要がある。そのため、他人が設計中の部品の設計データをできるだけ最新のデータに保つことが望まれている。例えば、図2の設計者AがCAD端末200−1のID番号「20」の設計データに対して修正・保存を実行した直後は、CAD端末200−2にロードされたID番号「20」の設計データにはその修正内容が反映されていない古いデータであるため、問題となる。
【0004】
このため、例えば、下記の特許文献1では、CADシステムでチーム形式の設計を行うのに際して、各部品ごとにその部品を設計・修正している設計者とその部品を参照している設計者とを登録するという手段を採っている。これにより、参照部品に対して修正がなされた場合には、その修正をリアルタイムで表示させる方法が知られている。
【0005】
また、CADシステムでチーム形式の設計を行う際の、他者が所有する参照部品の更新方法に関して、下記の特許文献2では、定期的にあるいは更新専用コマンドの入力をトリガとして、DB(データベース)からデータを配信する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−242174号公報
【特許文献2】特開2002−366589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CAD端末の扱う設計データは、データ容量が非常に大きい。そのため、クライアントであるCAD端末にロードされている設計データをデータベース上に格納されている最新の設計データに更新する際、CAD端末上の操作ができないという制約から、設計者の設計作業が中断されてしまう。更新時間は、更新部品データ数と相関関係にあるため、更新対象データの数はなるべく最小限に抑え、かつ、設計者の意図しないタイミングでの作業中断にならないことが望まれる。
【0008】
また、チーム形式でのCAD端末を用いた設計作業において、各設計者のクライアントのCAD端末上には、自己の設計担当部品に加え、それに関連する多数の隣接部品をロードし、ディスプレイ上に表示している。設計作業は、これら表示された部品群の中から特定の部位にフォーカスして行われ、設計者は、フォーカスする部位を変えながら設計を進めていく。
【0009】
しかしながら、前記背景技術で挙げた特許文献1で示されたリアルタイムで更新する方法では、いずれかの設計者が自己の担当する部品の修正を行ったとき、その部品を参照している全設計者のクライアント端末にその部品が修正された旨と修正内容が通知される。そのため、設計者が設計作業中にフォーカスしていない参照部品に対しての通知がなされる場合が想定され、その場合の通知は、有益なものとはならず、設計作業を阻害することになるという課題がある。さらに、このフォーカスしていないが、更新通知された参照部品に対してクライアント端末上のロードデータの更新を実施すると、設計者の設計作業をさらに中断してしまう。
【0010】
また、データの更新実施方法に関して、前記背景技術で挙げた特許文献2で示されたような、更新専用コマンドを実施する方法あるいは定期的な更新方法の場合、ロードされている参照データが最新ではない場合があるという課題がある。
【0011】
一方で、設計者は、設計中の同一の部品に対して、複数の代替案となる設計データを作成し、比較検討している。そのため、同一の部品に対して複数の検討中設計データが存在し、ある時点における、それらの中で有効な設計データ(以後、「有効設計データ」と呼ぶ)が1点、残りが無効な設計データとなっている。設計者は、日々の設計業務のなかでこれら複数の検討中の設計データの中から有効設計データを変更している。そのため、それら複数の代替設計データのうち、どの設計データが有効設計データであるかを示す最新情報を他人に伝える必要がある。
【0012】
従来、有効設計データを変更した場合、その部品データを参照している設計者にはその旨を口頭で伝達し、それを受けて、参照設計者は、無効な設計データを有効設計データに置き換える作業を行っていた。しかしながら、この方法では、手間がかかる上に、情報伝達がうまくされずに不採用となった無効な設計データを参照し続けた結果、設計作業の後戻りが発生するというリスクがある。
【0013】
この課題に対して、前記背景技術で挙げた特許文献1及び特許文献2の方法では、有効設計データが検討中であった他の設計データに変更された場合、その事実が通知されず、解決されない。これは、現在、参照している設計データが有効設計データか否か、無効な場合に代替となる有効設計データはどれかという情報が管理されていないためである。
【0014】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、設計者に負担をかけることなく、参照用設計データを最新の状態に保つ仕組みを提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、特定の部品に対する複数の代替設計データのうち、有効設計データが他のデータに変更された場合、設計者が意図せず無効な設計データを参照することによる設計の後戻りが発生することを防止することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のチーム設計支援システムは、複数のCAD端末と、前記複数のCAD端末における各CAD端末に接続されたデータベースサーバとを有し、複数の設計者が前記データベースサーバから各設計者の前記各CAD端末にロードされた設計データを介して設計作業をチーム形式で行うチーム設計支援システムであって、前記データベースサーバは、特定の部品について検討中の設計データ群および現在の有効設計データをIDで管理するための代替データテーブルを有し、前記各CAD端末は、前記ロードされた設計データの中から、CADコマンドに応じて、操作対象となる部品に係る設計データを取得する操作対象部品取得手段と、前記操作対象部品取得手段により取得した設計データのうち、参照用設計データを抽出する参照用設計データ抽出手段と、前記代替データテーブルに基づいて、前記参照用設計データ抽出手段により抽出した参照用設計データが有効設計データか否かを判定する有効判定手段と、前記有効判定手段により有効設計データでないと判定された参照用設計データに対して、代替となる有効参照用設計データと置き換えを行う構成編集手段と、前記有効参照用設計データが前記代替データテーブルに反映されている場合に、当該各CAD端末にロードされている前記有効参照用設計データを最新化する最新化手段とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、設計者に負担をかけることなく、参照用設計データを最新の状態に保つことができる。また、チーム形式でCAD端末を用いて設計を行う際に、特定の部品に対する複数の代替設計データのうち、有効設計データが他のデータに変更された場合、設計者が意図せず無効な設計データを参照することによる設計の後戻りが発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るチーム設計支援システムのシステム構成の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示すチーム設計支援システムのうち、DBサーバ内の設計データベースと複数のCAD端末との関係の一例を示す模式図である。
【図3】図1に示す代替データテーブルのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図4】図1に示すCAD端末の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態を示し、設計者AがCAD端末上にロードしている設計データをCADツールにより表示出力装置上に表示した表示例を示す模式図である。
【図6】実施形態における設計データのバウンディングボックスの一例を示す模式図である。
【図7】図5の形状表示部に示す部品設計例の各設計データのバウンディングボックスを破線にて重ねて示した模式図である。
【図8】図1に示すDBサーバに保持されている設計データベース、代替データテーブル、CAD端末上にロードされている設計データの状態の一例を示す模式図である。
【図9】実施形態を示し、設計者が検討用設計データ作成時に実行される代替データテーブル作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】図9に示すフローチャートの処理の後、設計者AがID番号「30」の設計データの形状を□に変更し保存したデータ状態を示す模式図である。
【図11】実施形態を示し、設計者が有効設計データを変更する際の処理手順のフローチャートである。
【図12】図11に示すフローチャートの処理の後の設計データベース、代替データテーブル、CAD端末上にロードされたデータ状態を示す模式図である。
【図13】実施形態を示し、参照用設計データの更新処理の処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0019】
図1は、実施形態に係るチーム設計支援システムのシステム構成の一例を示す模式図である。図1に示すチーム設計支援システムは、DBサーバ(データベースサーバ)100と、複数のCAD端末200−1〜200−3とがLAN(Local Area Network)やインターネットなどの通信回線を介して通信可能に接続されている。図1に示す例では、CAD端末200は、CAD端末200−1〜200−3までの3つで構成されている。そして、図1に示すチーム設計支援システムは、複数の設計者がDBサーバ100から各設計者の各CAD端末200にロードされた部品に係る設計データを介して設計作業をチーム形式で行う。そして、各設計者は、各CAD端末200を操作することによって、DBサーバ100内に格納される各部品の設計を行う。また、DBサーバ100内には、設計データベース110と、代替データテーブル120が格納される。
【0020】
図2は、図1に示すチーム設計支援システムのうち、DBサーバ100内の設計データベース110と複数(2つ)のCAD端末200−1及び200−2との関係の一例を示す模式図である。
【0021】
CAD端末200−1及び200−2は、DBサーバ100における設計データベース110からCAD設計データをロードする。そして、ユーザ指示に応じてロードされた設計データを変更し、ユーザ指示に基づき実行される保存コマンドに基づき変更後の設計データを設計データベース110にアップロードし、設計データベース110における設計データを更新する。設計データベース110には、部品の最新の形状を表す設計データが、その部品のID番号(識別子)及び編集権限を有する者(所有者)と関連付けられて記憶されている。ここで、設計データベース110における設計データの所有者情報として示される所有者とは、各設計者にユニークに割り当てられたCADツールのユーザ情報であり、CADツールを使用する設計者に対して1対1で対応している。
【0022】
設計者A及び設計者Bは、それぞれが使用するCAD端末200−1及びCAD端末200−2に、設計する部品、参照する部品を設計データベース110から取得する。
【0023】
なお、ID番号「20」の設計データに関して、設計者Aは所有者であるため、修正及び保存が許可されるが、設計者Bは所有者ではないため、参照のみが許可され、修正及び保存は許可されない。このようにロードされた設計データには、設計者自身が所有して編集権限を有し設計を担当する設計データである担当設計データと、他者が所有し担当設計データの設計のために参照する参照用設計データとがある。
【0024】
現在、図2(データロード時)に示すID番号「10」及び「20」の設計データが、CAD端末200−1及びCAD端末200−2にそれぞれ取得されている状態とする。
【0025】
ここで、設計者AがCAD端末200−1上でID番号「20」の部品データを△から▲に修正し、保存コマンドを実行すると、設計データベース110に修正内容が反映され、図2(保存時)に示す設計データ状態となる。この時点では、CAD端末200−2上にロードされたID番号「20」の設計データは、その修正内容が反映されていない古いデータ△である。
【0026】
設計者BがCAD端末200−2上で意図的に更新コマンドを実行すると、CAD端末200−2上にロードされたID番号「20」の古い設計データ△に対して、設計データベース110から最新状態の設計データ▲に更新される。即ち、図2(リロード時)に示す設計データ状態となる。なお、ロードされた設計データは、CAD端末200−1及びCAD端末200−2上の記憶装置(RAMなどの主記憶装置や、ハードディスクなどの補助記憶装置)に記憶される。
【0027】
図3は、図1に示す代替データテーブル120のデータ構造の一例を示す模式図である。代替データテーブル120は、ある特定の部品に関して検討中の複数の設計データ群(代替データグループ)と、それら複数の検討中の設計データ群の中における現在の有効設計データ(有効メンバ)のリストを識別子であるID番号にて管理するテーブルである。
【0028】
ここで、代替データグループとは、同一の部品に関して検討中の複数の設計データのことであり、メンバとは、同一代替データグループに属する個々の設計データのことであり、有効メンバとは、検討中の複数の設計データの中における有効設計データである。代替データグループに属する設計データのうちの1つが有効メンバとなる。代替データテーブル上では、設計データを設計データベース110のID番号にて管理する。例えば、ID番号「400」は、ある同一の設計部品に関する検討中の設計データが設計データベース110のID番号「10」、「20」、「30」の設計データであり、現在は、ID番号「30」の設計データが有効設計データであることを表している。
【0029】
この代替データテーブル120が管理する情報により、有効設計データが検討中であった他の設計データに変更された場合に、参照している他の設計者にその事実を伝えることが可能になる。このため、不採用となった無効な設計データを参照し続けた結果、設計作業の後戻りが発生するというリスクを回避できる。参照用設計データの更新処理方法については後述する。
【0030】
図4は、図1に示すCAD端末200の内部構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、CAD端末200は、バス210、入力インターフェース220、キーボード及びマウス230、出力インターフェース240、CRT及びLCD250、CPU260、及び、メモリ270を有して構成されている。
【0031】
バス210には、入力インターフェース220、出力インターフェース240、CPU(中央演算処理装置)260、及び、メモリ(RAM/ROM)270がそれぞれ接続されている。また、バス210には、入力インターフェース220を介してキーボード及びマウス230等の入力装置が接続され、出力インターフェース240を介してCRT及びLCD250等の表示出力装置が接続されている。
【0032】
入力インターフェース220は、キーボード及びマウス230等の入力装置からの入力情報をCAD端末200の内部に入力するものである。キーボード及びマウス230等の入力装置は、例えばユーザの操作にしたがって、入力情報をCAD端末200の内部に入力するためのものである。
【0033】
出力インターフェース240は、CRT及びLCD250等の表示出力装置に出力情報を出力(表示)する。CRT及びLCD250等の表示出力装置は、出力情報を出力(表示)する。
【0034】
CPU260は、メモリ270に記憶されているプログラム等を実行することにより、CAD端末200を統括的に制御する。
【0035】
メモリ270内部には、操作対象部品取得部271、参照用設計データ抽出部272、有効判定部273、構成編集部274、最新判定部275、代替データテーブル編集部276、及び、CADツール277の各プログラム等が記憶されている。これらの各プログラム等は、CPU260に実行されることによって機能する。
以下に、操作対象部品取得部271、参照用設計データ抽出部272、有効判定部273、構成編集部274、最新判定部275、代替データテーブル編集部276の各機能について説明する。
【0036】
操作対象部品取得部271は、ロードされた設計データの中から設計者によって実施されるCADコマンドに応じて、操作(処理)の対象となる設計データを検出(抽出)して取得する。
図5に示す部品設計例を用いて説明する。
図5は、実施形態を示し、設計者AがCAD端末200上にロードしている設計データをCADツール277により表示出力装置上に表示した表示例を示す模式図である。
【0037】
図5において、形状表示部42は、CAD端末200上にロードされている設計データの形状を表示し、構成表示部43は、CAD端末200上にロードしている設計データのリストを所有者情報と合わせて表示する。各設計データは、設計データベース110にて管理されている所有者情報を紐付けてCAD端末200上にロードされているため、CAD端末200上にロードされている設計データに紐付けられている所有者情報が表示される。
【0038】
図5上にて斜線で示した設計データ32及び設計データ37が担当設計データである。また、設計データ31、設計データ33、設計データ34、設計データ35、設計データ36、設計データ38、設計データ39、及び、設計データ40は、参照用設計データとする。
【0039】
このCAD端末200上で設計データ31と設計データ32との間の寸法41を図るために、寸法測定コマンドを実行する場合を想定する。この場合、コマンド実施対象となる寸法41に関係する設計データは設計データ31及び設計データ32である。そして、ユーザによって寸法計測対象である寸法41が指示されると、操作対象部品取得部271は、寸法計測対象と接触する部品の設計データを検出(抽出)して取得する。
【0040】
別の例を示す。
干渉チェックコマンドの実行においては、特定の部品データ(部品A)に対して、干渉のチェック対象となる部品データ群(部品群B)を指定する必要があるが、この場合、操作対象部品取得部271は、部品Aと部品群Bを取得する。図5に示す部品設計例を用いて説明する。
【0041】
設計データ32が他部品と干渉しているか否かを確認するために、設計データ32に対して干渉チェックコマンドを実行した場合を想定する。干渉チェックコマンドの実行においては、設計データ32に対して、ロードしている全設計データをチェック対象とすると、形状データが詳細過ぎ、シミュレーションの計算時間が過大になってしまう。このため、一般的には、事前処理として、ロードしている全形状データを単純なバウンディングボックスと置き換え、バウンディングボックス同士の干渉を判定する。
【0042】
つまり、まず、設計データ32の形状を簡略化したバウンディングボックスを用いて、全設計データのバウンディングボックスに対して干渉の判定を行い、設計データ32のバウンディングボックスと干渉するバウンディングボックスを持つ設計データを検出する。次に、設計データ32そのものを用いて、検出された設計データそのものに対して干渉チェックを行う。ここで、バウンディングボックスとは、部品形状全体を含む境界線を指している。
【0043】
図6は、実施形態における設計データのバウンディングボックスの一例を示す模式図である。
例えば、図6において、破線331が設計データ33のバウンディングボックスとなる。
【0044】
図7は、図5の形状表示部42に示す部品設計例の各設計データのバウンディングボックスを破線にて重ねて示した模式図である。
干渉チェックコマンドに関する操作対象部品取得部271は、前記の設計データ32のバウンディングボックスと重なっているバウンディングボックスを持つ設計データを検出(抽出)して取得する。
【0045】
この場合、設計データ32とバウンディングボックスが重なっている設計データ群は、設計データ31、設計データ33及び設計データ37である。操作対象部品取得部271は、ロードされた全設計データから、設計データ31、設計データ33及び設計データ37を検出(抽出)して取得する。
【0046】
参照用設計データ抽出部272は、操作対象部品取得部271により取得された設計データそれぞれに対して、部品の所有者が自己か否かを判定し、自己の所有しない設計データを抽出する。
【0047】
本実施形態では、参照用設計データ抽出部272は、操作対象部品取得部271により取得された設計データの所有者情報に示される所有者とCADツール277を使用中のユーザ情報とが一致しない設計データを抽出する。
【0048】
上記の図5に示す部品設計例を用いて説明した寸法測定コマンド実施時の例では、参照用設計データ抽出部272は、操作対象部品取得部271により取得された設計データ31と設計データ32から、所有者が他者である設計データ31を抽出して取得する。
【0049】
操作対象部品取得部271と参照用設計データ抽出部272により、設計者のCAD端末200にロードされている全設計データ群の中から、該当のCADコマンド実施前に更新処理を実施する必要のある最小限数の設計データを抽出することができる。上記の図5に示す部品設計例を用いて説明した寸法測定コマンド実施時の例では、CAD端末200上にロードされている設計データ数が10の中から寸法測定コマンド実施前に更新が必要な設計データ31を抽出することができる。
【0050】
有効判定部273は、対象の設計データが有効な設計データか否かを判定する。本実施形態では、代替データテーブル120のメンバ欄を検索し、CAD端末200にロードされた対象の設計データのID番号が存在しない場合、及び、存在する場合の該当の行の有効メンバ欄に対象の設計データの識別IDが登録されている場合に、有効であると判定される。代替データテーブル120のメンバ欄に対象の設計データのID番号が存在しない場合に、有効設計データとして検出されるのは、該当の設計部品に対して、検討中の代替設計データが存在しないと判断できるためである。
【0051】
構成編集部274は、ロードされた設計データの構成情報を編集する。
【0052】
最新判定部275は、対象のロードされた設計データが対応する設計データベース110内の設計データに対して、設計データに紐付くバージョン情報を用いて最新か否かを判定する。ここで、バージョン情報とは、設計データ作成時が1であり、その設計データが更新される度にインクリメントされる整数値である。
【0053】
代替データテーブル編集部276は、設計者からの入力に応じて、代替データテーブル120上の情報を編集する機能である。
【0054】
なお、図4において、有効判定部273、代替データテーブル編集部276は、CAD端末200上に構成されているが、例えば、DBサーバ100上に置いてもよいし、機能を分割して一方をCAD端末200上に、他方をDBサーバ100上に置いてもよい。
【0055】
CADツール277は、設計データを作成するためのものである。
【0056】
以上のような構成のチーム設計支援システムの動作に関して、検討用設計データ作成時の代替データテーブル120の作成フローチャート、有効設計データを変更する際のフローチャート、参照設計データの更新フローチャートのそれぞれについて以下に説明する。
【0057】
ここでは、CAD端末200−1の設計者Aが設計担当であるID番号「20」の設計データを、CAD端末200−2の設計者Bが参照しながら、設計者Bが設計担当であるID番号「10」の部品を設計する場合を想定して説明する。
【0058】
図8は、図1に示すDBサーバ100に保持されている設計データベース110、代替データテーブル120、CAD端末200−1上にロードされている設計データ及びCAD端末200−2上にロードされている設計データの状態の一例を示す模式図である。
CAD端末200−1には、ID番号「20」の設計データが、CAD端末200−2には、ID番号「10」及び「20」の設計データがそれぞれロードされている。
【0059】
図9は、実施形態を示し、設計者が検討用設計データ作成時に実行される代替データテーブル作成処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
設計者が検討用設計データを作成する際、既存の設計データのコピー(複写)を行い、このコピーされた設計データに対して編集作業を行うことがほとんどである。そのため、本実施形態においては、既存のコピーコマンド(複写コマンド)が実行され、コピー処理終了後、代替データテーブル120の作成処理を開始する。
【0060】
まず、設計者AがCAD端末200−1において、既存のID番号「20」の設計データに対してコピーコマンド(複写コマンド)を実行する。そうすると、ステップS11において、CPU260(或いは代替データテーブル編集部276)は、ユーザ指示に応じたコマンドを実施し、CADツール277がID番号「30」の設計データを作成する。設計者Aが、コピー処理を行うことが目的であればここで処理を終了する。検討用設計データを作成することが目的の場合には、次に、代替データテーブル作成処理に移る。どちらの処理に進むかは、設計者にダイアログにより確認することが好適である。以後、後者の場合を想定して説明する。
【0061】
続いて、ステップS12において、CPU260(或いは代替データテーブル編集部276)は、DBサーバ100に対して、代替データテーブル120において複写元となったID番号「20」の設計データが属している代替データグループが存在するか否かの判定依頼を行う。これに対して、ステップS121において、DBサーバ100は、CAD端末200に対して、代替データテーブル120における、複写元が属している代替データグループの検索結果を返す。これは、代替データテーブル120におけるメンバ欄を参照し、複写元となったID番号「20」の設計データが格納されているか否かによりわかる。
【0062】
続いて、ステップS13において、CPU260(或いは代替データテーブル編集部276)は、ID番号「20」の設計データが属している代替データグループが存在するか否かを判断する。この判断の結果、ID番号「20」の設計データが属している代替データグループが存在する場合には、ステップS14に進む。
【0063】
ステップS14に進むと、代替データテーブル編集部276は、DBサーバ100に対して、その代替データグループのメンバに、ID番号「30」の設計データ(複写データ)を追加依頼する。これに対して、ステップS141において、DBサーバ100は、代替データテーブル120に対して、ID番号「30」の設計データをその代替データグループのメンバにとして追加する。これにより、コピーによって作成されたID番号「30」の設計データは、コピー元のID番号「20」の設計データと同じ検討中のデータグループに属することになる。
【0064】
一方、ステップS13の判断の結果、ID番号「20」の設計データが属している代替データグループが存在していない場合、ステップS15に進む。
ステップS15に進むと、代替データテーブル編集部276は、DBサーバ100に対して、代替データグループを新規で作成し、有効メンバ欄に複写元のID番号「20」の設計データ、メンバ欄に複写元のID番号「20」の設計データと複写したID番号「30」の設計データを設定依頼する。これに対して、DBサーバ100は、代替データテーブル120に対して、代替データグループを新規で作成し、有効メンバ欄に複写元のID番号「20」の設計データ、メンバ欄に複写元のID番号「20」の設計データと複写したID番号「30」の設計データを設定する。これにより、複写元となったID番号「20」の設計データとID番号「30」の設計データが現在検討中の設計データであり、ID番号「20」の設計データが有効設計データであるということになる。本実施形態においては後者の場合である。
図10は、図9に示すフローチャートの処理の後、設計者AがID番号「30」の設計データの形状を□に変更し保存したデータ状態を示す模式図である。
【0065】
このように、特定の部品に対する複数の代替設計データを管理する代替データテーブル120を作成する処理を、既存のコピーコマンド処理後に自動で処理することにより、設計者に負担をかけないで行うことができる。
【0066】
図11は、実施形態を示し、設計者が有効設計データを変更する際の処理手順のフローチャートである。
ここでは、設計者Aが検討中のID番号「20」の設計データとID番号「30」の設計データに対して、それまで有効設計データとしていたID番号「20」の設計データを無効な設計データとし、その代替として、ID番号「30」の設計データを有効設計データに変更する場合を想定して説明する。ID番号「20」の設計データとID番号「30」の設計データが検討中の設計データであることは、代替データテーブル120で、ID番号「400」で管理されているとする(図10参照)。
【0067】
まず、設計者AがCAD端末200−1において、ID番号「20」の設計データを選択した状態で、有効設計データ変更コマンドを実行する。そうすると、ステップS21において、例えばCPU260は、選択されているID番号「20」の設計データが属する代替データグループを代替データテーブル120に対して検索し、グループID、有効メンバ、メンバの情報をDBサーバ100に問合せを行う。これに対して、ステップS211において、DBサーバ100は、代替データテーブル120に対して、選択されているID番号「20」の設計データがメンバに含まれる代替データグループを検索し、結果を返す。
【0068】
続いて、ステップS22において、例えばCPU260は、ユーザに有効設計データを選択させる入力ダイアログをCRT及びLCD250等の表示出力装置に表示する。ここで、有効設計データの候補は、取得したメンバ情報からわかる。設計者Aは、有効設計データをID番号「30」の設計データに変更したいのであるから、この入力ダイアログ上でID番号「30」の設計データを有効設計データとして選択・指定し、OKボタンを押下する。
【0069】
続いて、ステップS23において、代替データテーブル編集部276は、DBサーバ100に対して、S22で指定されたID番号「30」の設計データを代替データテーブル120のID番号「400」の代替データグループの有効設計データ欄に記憶する。そして、ステップS231において、DBサーバ100は、代替データテーブル120に対して、有効メンバを書き換える処理を行う。
【0070】
以上の処理により、代替データテーブル120のID番号「400」の代替データグループにおける情報が、ID番号「20」の設計データとID番号「30」の設計データが現在検討中の設計データであり、ID番号「30」の設計データが有効設計データであるという意味に書き換わった。
図12は、図11に示すフローチャートの処理の後の設計データベース110、代替データテーブル120、CAD端末200−1及びCAD端末200−2上にロードされたデータ状態を示す模式図である。
【0071】
図13は、実施形態を示し、参照用設計データの更新処理の処理手順のフローチャートである。
【0072】
チーム設計におけるCAD端末200を用いた設計においては、設計者Bは、自己の担当する部品の設計に際して、他者である設計者Aの担当する部品と干渉していないことを常時意識ながら設計データの編集を行っている。一般的なCAD端末200においては、部品間の干渉箇所を解析し、提示する干渉チェック機能が備わっている。設計者は、設計データ間の干渉確認のために、この干渉チェック機能を利用する場合が多い。
【0073】
設計者Bが、自己の担当するID番号「10」の設計データが近傍の部品と干渉していないことを確認することを目的として、干渉チェックコマンドを実行する場合を想定する。現在、設計者BがCAD端末200−2上にID番号「10」の担当設計データと設計者Aが所有しているID番号「20」の参照用設計データをロードしている図12の状態を想定する。ただし、設計者BがCAD端末200−2上に設計データをロードした後で、設計者Aが有効設計データをID番号「20」の設計データからID番号「30」の設計データへ変更しているとする。
【0074】
設計者Bが干渉チェックのCADコマンドを実行すると、このCADコマンドの実行を契機として、そのCADコマンド自体の実行の前に、図13の処理が実施される。
【0075】
図13の処理では、まず、ステップS31において、操作対象部品取得部271は、ロードされた設計データの中から、ユーザにより指示されるCADコマンドに応じて、操作対象(処理対象)となる部品に係る設計データを抽出して取得する。
【0076】
干渉チェックコマンド実行時のステップS31では、操作対象部品取得部271が、ID番号「10」の設計データの形状を簡略化したバウンディングボックスを用いて、全設計データのバウンディングボックスに対して干渉の判定を行う。そして、ID番号「10」の設計データのバウンディングボックスと干渉するバウンディングボックスを持つ設計データを抽出する。本実施形態では、ここで抽出された設計データが干渉チェックコマンドの処理対象の設計データとなり、ステップS39にて、ID番号「10」の設計データそのものを用いて、ここで抽出された設計データそのものに対して干渉チェックを行う処理を行う。ステップS31の処理により、ID番号「20」の設計データが抽出されたと想定する。なお、本実施形態では、干渉チェックコマンドを例として取り上げているため、ステップS31における操作対象部品取得部271の処理が前記処理内容となるが、ユーザ指示により実施されるCADコマンド毎に、処理対象となる設計データ抽出方法は異なる。
【0077】
続いて、ステップS32において、参照用設計データ抽出部272は、ステップS31で抽出された設計データそれぞれに対して、部品の所有者が自己か否かを判定し、自己の所有しない設計データ(参照用設計データ)を抽出する。本実施形態では、設計データベース110に基づいて、ステップS31において取得された設計データの所有者情報に示される所有者と、CADツール使用中のユーザ情報とが一致しない設計データ(即ち、所有者が他人の設計データ)を抽出する。具体的には、ID番号「20」が抽出された設計データとする。
【0078】
ステップS31、ステップS32の処理により、設計者のCAD端末にロードされている全設計データ群の中から、該当のCADコマンド実施前に更新処理(最新化処理)を実施する必要のある最小限数の設計データを抽出することができる。これにより、CAD端末200−2上にロードされている全設計データを更新する場合に比べ、更新対象の設計データ数が削減され、更新時間の短縮化がなされる。
【0079】
設計データベース110への更新問合せ処理内容は、有効チェックと更新チェックの2点である。まず、ステップS33において、有効判定部273は、ID番号「20」の設計データが有効設計データか否かのチェックを設計データベース110(DBサーバ100)に対して依頼する。具体的には、代替データテーブル120のメンバ欄を検索し、対象設計データのID番号が存在しない場合、及び、存在する場合の該当の代替データグループの有効メンバ欄に対象設計データのID番号が登録されている場合、有効設計データであると判断できる。ステップS331において、DBサーバ100は、代替データテーブル120に基づいて設計データの有効チェックを実施し、その結果を依頼してきたCAD端末200に返す。
【0080】
続いて、ステップS34において、例えば有効判定部273は、ステップS33の依頼の結果、ステップS32で抽出された参照用設計データは有効であるか否かの判断を行う。ここでの判断は、DBサーバ100内の代替データテーブル120に基づいて行われる。
【0081】
ステップS34の判断の結果、設計データは有効ではない(無効である)場合には、ステップS35に進む。
ステップS35に進むと、例えばCPU260は、ステップS33及びステップS331にて参照した代替データテーブル120における該当の代替データグループの有効メンバ欄に格納されている有効設計データのID番号情報に対応する設計データ(ここでは、ID番号「30」の設計データ)を設計データベース110からロードする。また、構成編集部274は、CAD端末200−1上にロードされている設計データの構成情報に対して、ステップS33及びステップS331で無効と判定された参照用設計データを外し、ロードされたID番号「30」の有効参照用設計データを構成に追加する。ステップS35の処理では、実行前に設計者にダイアログ等により処理を行うか否かの確認を行ってもよい。
【0082】
ステップS35の処理が終了した場合、或いは、ステップS34で設計データは有効であると判断された場合には、ステップS36に進む。
ステップS36に進むと、最新判定部275は、ステップS32で抽出されたID番号「20」の参照用設計データが最新状態か否かを設計データに紐付くバージョン情報を用いてDBサーバ100に対して判定依頼する。そして、ステップS361において、DBサーバ100は、参照用設計データの最新チェックを行って、その結果を依頼元のCAD端末200に返す。
【0083】
続いて、ステップS37において、例えば最新判定部275は、参照用設計データが最新か否かを判断する。具体的には、ロードされているID番号「20」の参照用設計データのバージョン情報と、 設計データベース110に格納されているID番号「20」の参照用設計データのバージョン情報とを比較し、前者のバージョン情報の値が小さくない場合、最新と判定できる。
【0084】
ステップS37の判断の結果、CAD端末200−1上にロードされている参照用設計データが最新でない場合には、ステップS38に進む。
ステップS38に進むと、例えばCPU260は、設計データベース110内の該当する最新の設計データを再ロードし、更新(最新化)する。ここで、例えば、ステップS35の処理を経てステップS38の処理を行う場合には、有効参照用設計データが代替データテーブル120に反映されている場合に、当該各CAD端末200にロードされている有効参照用設計データを更新(最新化)する。
【0085】
また、ステップS38の処理が終了した場合、或いは、ステップS37の判断の結果、CAD端末200−1上にロードされている参照用設計データが最新である場合、図13のフローチャートの処理を終了する。
【0086】
以上の処理の終了後に、CAD端末200−2上にロードされている設計データを使用して干渉チェックコマンドの処理を開始する。そのため、干渉チェックコマンドの実行対象となる参照用設計データは最新の状態である。
【0087】
このように本実施形態では、チーム設計において他人の設計データを参照している場合においても、更新対象データ数を必要最小限に抑えることで、更新時の設計者に与えるストレスを最小限に抑えつつ、最新状態で作業を継続できる。
【0088】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。
即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明に含まれる。
【0089】
なお、前述した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0090】
100 DB(データベース)サーバ、110 設計データベース、120 代替データテーブル、200−1〜200−3 CAD端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のCAD端末と、前記複数のCAD端末における各CAD端末に接続されたデータベースサーバとを有し、複数の設計者が前記データベースサーバから各設計者の前記各CAD端末にロードされた設計データを介して設計作業をチーム形式で行うチーム設計支援システムであって、
前記データベースサーバは、
特定の部品について検討中の設計データ群および現在の有効設計データをIDで管理するための代替データテーブルを有し、
前記各CAD端末は、
前記ロードされた設計データの中から、CADコマンドに応じて、操作対象となる部品に係る設計データを取得する操作対象部品取得手段と、
前記操作対象部品取得手段により取得した設計データのうち、参照用設計データを抽出する参照用設計データ抽出手段と、
前記代替データテーブルに基づいて、前記参照用設計データ抽出手段により抽出した参照用設計データが有効設計データか否かを判定する有効判定手段と、
前記有効判定手段により有効設計データでないと判定された参照用設計データに対して、代替となる有効参照用設計データと置き換えを行う構成編集手段と、
前記有効参照用設計データが前記代替データテーブルに反映されている場合に、当該各CAD端末にロードされている前記有効参照用設計データを最新化する最新化手段と
を有することを特徴とするチーム設計支援システム。
【請求項2】
前記データベースサーバは、前記設計データを所有者および前記IDと関連付けて記憶する設計データベースを更に有し、
前記参照用設計データ抽出手段は、前記操作対象部品取得手段により取得した設計データのうち、前記設計データベースに基づき前記所有者が他者である設計データを前記参照用設計データとして抽出することを特徴とする請求項1に記載のチーム設計支援システム。
【請求項3】
前記有効判定手段は、前記参照用設計データ抽出手段により抽出した参照用設計データが、前記代替データテーブルのメンバとして登録されていない場合、および、前記代替データテーブルの有効メンバとして登録されている場合に、当該参照用設計データが前記有効設計データであると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のチーム設計支援システム。
【請求項4】
前記各CAD端末は、前記代替データテーブルの編集の処理を行う代替データテーブル編集手段を更に有し、
前記代替データテーブル編集手段は、
設計者が既存の設計データに対して複写コマンドを実行した場合に、複写元が属している代替データグループがあるかを前記代替データテーブルに基づき判定し、
前記判定の結果、前記複写元が属している代替データグループがある場合に、該当する代替データグループのメンバに、複写により作成された設計データを追加し、
一方、前記判定の結果、前記複写元が属している代替データグループがない場合に、前記代替データテーブルに代替データグループを新規に作成し、その有効メンバとして前記複写元を設定し、そのメンバとして前記複写元と前記複写により作成された設計データを設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチーム設計支援システム。
【請求項5】
干渉チェックを含むCADコマンドの実行を契機として、当該干渉チェックを含むCADコマンドの実行の前に、当該干渉チェックを含むCADコマンドの操作対象となる、前記ロードされた設計データのうち、前記有効参照用設計データの前記最新化を行い、その後に、当該干渉チェックを含むCADコマンドの実行を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチーム設計支援システム。
【請求項1】
複数のCAD端末と、前記複数のCAD端末における各CAD端末に接続されたデータベースサーバとを有し、複数の設計者が前記データベースサーバから各設計者の前記各CAD端末にロードされた設計データを介して設計作業をチーム形式で行うチーム設計支援システムであって、
前記データベースサーバは、
特定の部品について検討中の設計データ群および現在の有効設計データをIDで管理するための代替データテーブルを有し、
前記各CAD端末は、
前記ロードされた設計データの中から、CADコマンドに応じて、操作対象となる部品に係る設計データを取得する操作対象部品取得手段と、
前記操作対象部品取得手段により取得した設計データのうち、参照用設計データを抽出する参照用設計データ抽出手段と、
前記代替データテーブルに基づいて、前記参照用設計データ抽出手段により抽出した参照用設計データが有効設計データか否かを判定する有効判定手段と、
前記有効判定手段により有効設計データでないと判定された参照用設計データに対して、代替となる有効参照用設計データと置き換えを行う構成編集手段と、
前記有効参照用設計データが前記代替データテーブルに反映されている場合に、当該各CAD端末にロードされている前記有効参照用設計データを最新化する最新化手段と
を有することを特徴とするチーム設計支援システム。
【請求項2】
前記データベースサーバは、前記設計データを所有者および前記IDと関連付けて記憶する設計データベースを更に有し、
前記参照用設計データ抽出手段は、前記操作対象部品取得手段により取得した設計データのうち、前記設計データベースに基づき前記所有者が他者である設計データを前記参照用設計データとして抽出することを特徴とする請求項1に記載のチーム設計支援システム。
【請求項3】
前記有効判定手段は、前記参照用設計データ抽出手段により抽出した参照用設計データが、前記代替データテーブルのメンバとして登録されていない場合、および、前記代替データテーブルの有効メンバとして登録されている場合に、当該参照用設計データが前記有効設計データであると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のチーム設計支援システム。
【請求項4】
前記各CAD端末は、前記代替データテーブルの編集の処理を行う代替データテーブル編集手段を更に有し、
前記代替データテーブル編集手段は、
設計者が既存の設計データに対して複写コマンドを実行した場合に、複写元が属している代替データグループがあるかを前記代替データテーブルに基づき判定し、
前記判定の結果、前記複写元が属している代替データグループがある場合に、該当する代替データグループのメンバに、複写により作成された設計データを追加し、
一方、前記判定の結果、前記複写元が属している代替データグループがない場合に、前記代替データテーブルに代替データグループを新規に作成し、その有効メンバとして前記複写元を設定し、そのメンバとして前記複写元と前記複写により作成された設計データを設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチーム設計支援システム。
【請求項5】
干渉チェックを含むCADコマンドの実行を契機として、当該干渉チェックを含むCADコマンドの実行の前に、当該干渉チェックを含むCADコマンドの操作対象となる、前記ロードされた設計データのうち、前記有効参照用設計データの前記最新化を行い、その後に、当該干渉チェックを含むCADコマンドの実行を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のチーム設計支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−256103(P2012−256103A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127385(P2011−127385)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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