説明

ツールボックス構造

【課題】ツールボックスの開閉蓋の上面に溜まる水を比較的簡単な構成で排水できるようにするとともに、ボックス本体の底板の底面開口部から水が流入しないようにする。
【解決手段】ボックス本体31には照明装置50が内蔵されており、保護カバー51により保護されている。開閉蓋40に形成された水抜き孔49aからボックス本体31内に流入された水は、保護カバー51で受け止められて、ボックス本体31の底板32に形成された排水孔32cまで導かれた後、ボックス本体31外部に排水される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールボックス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベル等の建設機械では、各種工具類を収納するために、本体フレーム上にツールボックスが設けられている。例えば、特許文献1には、内部に収納空間を有するとともに上部側に開口部が形成されたボックス本体と、ボックス本体の開口部を開閉可能な蓋体とを備えたツールボックス構造が開示されている。この蓋体には、開閉作業時に作業者が把持するためのハンドルが設けられている。また、このツールボックス構造では、ボックス本体と蓋体との隙間にシール部材を設け、雨水や洗車水等がボックス本体内に流入するのを防止している。
【0003】
また、特許文献2には、ツールボックスの容積をさらに拡大するために、ボックス本体の底板に開口部を設け、この開口部が本体フレームの内部と連通するようにボックス本体を本体フレーム上に設置した構成が開示されている。この蓋体には、蓋体をボックス本体に閉塞状態でロックして保持するロック機構が設けられている。
【特許文献1】特開2001−262624号公報
【特許文献2】特開平9−175253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のツールボックス構造では、蓋体を開閉するためのハンドルやロック機構が、蓋体の表面から突出しないように蓋体の一部を窪ませた窪み部分に設けられているため、その窪み部分に雨水や洗車水が溜まってしまうことがある。そして、作業者が蓋体を開く際に窪み部分に水が溜まっていると、作業者の手が水で濡れてしまって不快感を与えてしまうという問題があった。
【0005】
また、別の課題として、特許文献2に記載のツールボックス構造のように、ツールボックスの容量を拡大させるためにボックス本体の底板に開口部を設けた場合には、ボックス本体と本体フレームとの接続部分の隙間から開口部を介して雨水や洗車水等がボックス本体内に流入するおそれがある。そのため、例えば、ボックス本体内に金属製の工具類を収納している場合には、ボックス本体内に流入した水によって工具類が錆び付いてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ツールボックスの開閉蓋の上面に溜まる水を比較的簡単な構成で排水できるようにするとともに、ボックス本体の底板の底面開口部から水が流入しないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明は、開閉蓋に水抜き孔を形成して、開閉蓋の上面に溜まる水をボックス本体内に流入させるとともに、ボックス本体内の照明装置を覆う保護カバーを利用して水をボックス本体外部に排水するようにした。
【0008】
具体的に、本発明は、建設機械の本体フレーム上に設けられ、内部に収納空間を有するとともに上部側に開口部が形成されたボックス本体と、該ボックス本体の開口部を開閉可能な開閉蓋とを備えたツールボックス構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、請求項1の発明は、前記ボックス本体内に設けられ、該ボックス本体の外部に向かって光を照射するための照明装置と、
前記照明装置の周囲を覆うように配置されて該照明装置を保護する保護カバーとを備え、
前記ボックス本体の底板には、その厚さ方向に開口する底面開口部が形成される一方、該底面開口部の周縁部よりも外側位置に排水孔が形成され、
前記ボックス本体は、前記排水孔よりも内側位置で且つ前記底面開口部の周縁部に沿って配置されたシール部材を介して前記本体フレーム上に設置され、
前記開閉蓋には、その上面に溜まる水を前記ボックス本体内に流入させる水抜き孔が形成され、
前記保護カバーは、前記水抜き孔から前記ボックス本体内に流入した水を前記排水孔まで導くように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項1の発明では、ボックス本体内には、その外部に向かって光を照射するための照明装置が設けられる。照明装置の周囲は保護カバーにより覆われて、照明装置が保護される。ボックス本体の底板には、その厚さ方向に開口する底面開口部が形成される。さらに、底面開口部の周縁部よりも外側位置には排水孔が形成される。
【0011】
そして、ボックス本体は、シール部材を介して本体フレーム上に設置される。このシール部材は、排水孔よりも内側位置で且つ底面開口部の周縁部に沿って配置される。開閉蓋には、その上面に溜まる水をボックス本体内に流入させる水抜き孔が形成される。水抜き孔からボックス本体内に流入した水は、保護カバーにより排水孔まで導かれる。
【0012】
このような構成とすれば、開閉蓋の上面に溜まる水を、水抜き孔を介してボックス本体内に流入させた後、保護カバーを介して排水孔から排水することができる。このため、比較的簡単な構成で開閉蓋上面の排水構造を実現することができる。
【0013】
具体的に、開閉蓋の上面、特に、ロック機構やハンドルが設けられた窪み部分に雨水や洗車水等が溜まっていると、作業者が開閉蓋を開く際に作業者の手が水で濡れてしまって不快感を与えてしまうという問題がある。そこで、窪み部分に水抜き孔を形成して窪み部分に溜まる水をボックス本体内に流入させるようにすれば、このような不快感は解消されるが、ボックス本体内に収納している工具類が水で濡れないように、別途排水機構を設ける必要があり、装置構成が複雑になるとともにコストが増大してしまう。
【0014】
これに対し、本発明では、ボックス本体内に予め内蔵している照明装置の保護カバーを、水抜き孔からボックス本体内に流入した水を排水孔まで導く排水板として利用するようにしているから、ボックス本体内に別途排水機構を設ける必要が無く、比較的簡単な構成で開閉蓋の上面に溜まる水を排水することができる。
【0015】
また、ボックス本体と本体フレームとの接続部分にシール部材を設けることで、雨水等が接続部分の隙間から底面開口部を介してボックス本体内に流入してしまうことを確実に防止できる。さらに、排水孔がシール部材よりも外側位置に形成されているから、ボックス本体内に流入した水をシール部材よりも外側位置に排水することができる。すなわち、ボックス本体と本体フレームとの接続部分がシール部材によってシールされているため、排水孔から排水された水が再度ボックス本体内に流入してしまうことがなく、排水作業を確実に行うことができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、
前記照明装置の照射面に対向する前記ボックス本体の側壁には、照明開口部が形成され、
前記排水孔は、前記ボックス本体の底板における前記照明開口部の近傍に形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項2の発明では、ボックス本体の側壁における照明装置の照射面と対向する位置には、照明開口部が形成される。排水孔は、ボックス本体の底板における照明開口部の近傍に形成される。
【0018】
このような構成とすれば、照明開口部を介して雨水等がボックス本体内に流入した場合でも、その近傍に形成された排水孔を介してボックス本体外部に排水することができる。これにより、ボックス本体内に収納している工具類が水に濡れて錆び付くことを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ボックス本体内に予め内蔵している照明装置の保護カバーを、水抜き孔からボックス本体内に流入した水を排水孔まで導く排水板として利用するようにしているから、ボックス本体内に別途排水機構を設ける必要が無く、比較的簡単な構成で開閉蓋の上面に溜まる水を排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
<建設機械の全体構成>
図1は、本発明を適用した建設機械の全体構成を示す側面図である。図1に示すように、この建設機械10は、クローラ式の下部走行体1の上に旋回可能な上部旋回体2(本体フレーム)が搭載された油圧ショベルである。上部旋回体2には、本体フレーム3や、この本体フレーム3にそれぞれ取り付けられる、アタッチメント4、キャブ5、機械室6、カウンターウエイト7等が備えられている。
【0022】
なお、本実施形態では、図1において、図面左側のアタッチメント4が配置された側を車両前側、紙面手前側のキャブ5が配置された側を車両左側とし、以下の説明では前後左右等の方向は特に言及しない限り、これに従うものとする。
【0023】
前記アタッチメント4は、上部旋回体2の前部中央に起伏可能に支持されており、本体フレーム3の略中央位置に設けられた一対の縦板(図示せず)に回動可能に支持された略く字形状のブーム11と、このブーム11の長手方向に延びてブーム11に回動可能に支持されたアーム12と、このアーム12に回動可能に支持されたバケット13とを有している。
【0024】
前記キャブ5は、その内部に運転シートや各種制御機器、操作機器等が装備された矩形箱型の運転室であり、アタッチメント4の左側に隣接して位置するように上部旋回体2の前部左側に配設されている。
【0025】
前記機械室6は、上部旋回体2の後部に左右両側間にわたって配設されている。機械室6の後側の左右両側間にわたる部分にはカウンターウエイト7が配設されている。そして、図2にも示すように、機械室6の右前方部分には、作動油を貯留する作動油タンク23が配設されている。そして、この作動油タンク23の前側に隣接するように、燃料を貯留する燃料タンク24が配設されている。機械室6は、一群の本体カバー17で覆われている。燃料タンク24の上部には、燃料供給口24aが設けられている。
【0026】
また、前記燃料タンク24の前側上部には、図3にも示すように、後述するツールボックス30の上面にオーバーラップするように膨出した膨出カバー18が設けられている。膨出カバー18の前側には、ツールボックス30の開閉蓋40を燃料タンク24側に開いたときに干渉しないように、その一部が窪んだ凹部18aが形成されている。
【0027】
前記上部旋回体2の上面には、ボンネット26が設けられている。このボンネット26は、上側に膨出した矩形ドーム形状をしており、開閉可能に取り付けられている。そして、このボンネット26の下方には、定期的に点検が行われる複数の点検部位が位置するようにエンジン等の配置が工夫されている。例えば、ラジエータの水漏れを点検する部位やエンジンのベルトの張り具合を点検する部位、エンジンオイルのレベルゲージを点検する部位など、定期点検が必要な部分がこのボンネット26の下方に集約的に配設されている。
【0028】
前記燃料タンク24の前側に隣接する位置には、各種工具類を収納可能なツールボックス30が配設されている。このツールボックス30の上面は、前側から後側に向かって斜め上方に傾斜して燃料タンク24の上面よりも一段低く形成されている。そして、このツールボックス30を利用して作業者がその後方の機械室6の上面に昇降するための昇降ステップを構成している。このツールボックス30の具体的な構成については後述する。
【0029】
前記ツールボックス30の前側下部に位置する本体フレーム3の部分には、作業者が最初に足を載せるための踏み台27が前方に突出するように設けられている。
【0030】
ここで、作業者の昇降を補助するために、金属パイプをアーチ状に屈曲形成したハンドレール28が設けられている。ハンドレール28は、その下端部が本体フレーム3の右角部に、その上端部が燃料タンク24の前面にそれぞれ取り付けられていて、燃料タンク24の右側面側をツールボックス30に沿って略前後方向に延びている。
【0031】
また、前記ツールボックス30を昇降ステップとして利用して燃料タンク24の上面に昇った作業者の安全性を確保するために、燃料タンク24の上面には、金属パイプを逆U字状に屈曲形成した安全柵29が設けられている。
【0032】
<ツールボックス構造>
次に、本発明の特徴部分である、ツールボックス構造について説明する。図3は、本実施形態に係るツールボックスの全体構造を示す斜視図、図4はツールボックスの開閉蓋を開いた状態を示す斜視図、図5はツールボックスの分解斜視図である。図3〜図5に示すように、このツールボックス30は、各種工具類を収納するためのものであり、内部に収納空間S1を有するとともに上部側に開口部31aが形成されたボックス本体31と、ボックス本体31の開口部を開閉可能な開閉蓋40とを備えている。この開閉蓋40は、前側から後側に向かって斜め上方に傾斜した状態でボックス本体31に取り付けられている。
【0033】
図5に示すように、前記ボックス本体31は、底板32、前側板33、後側板34、左側板35、及び右側板36を組み合わせることにより中空の箱状に形成されている。ここで、前側板33及び後側板34は、底板32の前後両端部をプレス加工により折り曲げることでそれぞれ立設させて形成されたものである。すなわち、底板32、前側板33、及び後側板34は、1枚の金属板により一体形成されている。このように、底板32、前側板33、及び後側板34を1枚の金属板により一体形成することで、各板材を溶接等により接合した場合に比べて、安定した剛性を確保することができる。
【0034】
ここで、前記前側板33の高さは、後側板34の高さよりも低くなるように設定されている。そして、前側板33の上端部は、斜め上方内側に向かって折り曲げられ、開閉蓋40と連続する傾斜面を形成している。また、後側板34の上端部は、水平方向内側に向かって折り曲げられ、後述する第2ステップ34aの踏み面の一部を形成している。
【0035】
前記左側板35及び右側板36は、底板32、前側板33、及び後側板34の左右両端部を覆うように、略台形形状に形成されている。また、左側板35及び右側板36の周縁部は、プレス加工によりボックス内方に折り曲げられている。具体的に、この折り曲げ部分は、底板32、前側板33、及び後側板34の左右両端の周縁部に嵌め込み可能な大きさに設定されている。
【0036】
そして、前記底板32、前側板33、及び後側板34の左右両端部にそれぞれ左側板35及び右側板36の折り曲げ部分が嵌め込まれた後、溶接等により接合されることで、箱状のボックス本体31が形成される。
【0037】
このように、前記底板32、前側板33、及び後側板34を1枚の金属板により一体形成して、その左右両端部に左側板35及び右側板36を接合した構成とすることで、構成部材の在庫管理を簡単化することができる。すなわち、建設機械10の機種毎にツールボックス30の幅方向のサイズが変更される場合であっても、一体形成された部材(底板32、前側板33、及び後側板34)のみをサイズ変更して、左側板35及び右側板36を共通部材として用いればよいため、構成部材の種類を減らすことができる。
【0038】
前記ボックス本体31の開口部31aの周縁には、シール性を有する樹脂材やゴム材等により形成されたウェザーストリップ37が設けられている。具体的に、ボックス本体31の開口部31aの四隅は円弧状に形成されていて、1本の長尺状のウェザーストリップ37が開口部31aの周縁に沿って取り付けられている。そして、このウェザーストリップ37が、開閉蓋40を閉じた状態で押圧されて弾性変形することにより、ボックス本体31と開閉蓋40との隙間をシールするようになっている。
【0039】
前記ボックス本体31の底板32には、その板厚方向に開口する略正方形状の底面開口部32aが形成されている。底面開口部32aの四隅には、図示しない締結ボルトを挿通させてボックス本体31を本体フレーム3に締結固定するための取付孔32bが形成されている。
【0040】
前記本体フレーム3における、ボックス本体31の底面開口部32aに対応する位置には、その上面から段差状に窪んだ段差部3a(図7参照)が形成されている。その段差部3aの周縁部には、シール部材45が配置されている。ボックス本体31は、シール部材45を介して本体フレーム3上に設置され、ボックス本体31の収納空間S1と本体フレーム3の段差空間S2とが連通している。
【0041】
このような構成とすれば、ボックス本体31の収納空間S1に加えて、本体フレーム3の段差部3aの段差空間S2を収納スペースとして有効に利用することができ、ツールボックス30内部の収納スペースを拡大することができる。さらに、ボックス本体31の底面開口部32aの周縁部にシール部材45を設けることで、ボックス本体31と本体フレーム3との接続部分の隙間から底面開口部32aを介してボックス本体31内に雨水等が流入することを確実に防止できる。
【0042】
図6は、ツールボックスの内部構造を示す平面断面図、図7は側面断面図である。図6及び図7に示すように、ボックス本体31の底板32における前側板33寄りの位置で且つ底面開口部32aよりも外側位置には、排水孔32cが形成されている。この排水孔32cは、ボックス本体31内に流入した水を外部に排水するためのものであり、シール部材45よりも外側位置に形成されている。
【0043】
すなわち、前記排水孔32cからボックス本体31外部に排水された水は、ボックス本体31と本体フレーム3との接続部分の隙間を介して再びボックス本体31内に流入しようとしても、接続部分に設けられたシール部材45によりシールされるようになっている。これにより、排水作業を確実に行うことができる。
【0044】
図3に示すように、前記開閉蓋40は、ボックス本体31の後側板34の上端部にヒンジ41を介して開閉可能に取り付けられている。これにより、開閉蓋40の手前側を持ち上げて燃料タンク24側に開くことで、ツールボックス30内に収納された各種工具類を取り出すことができるようになっている。この開閉蓋40は、ボックス本体31の前側板33から後側板34に向かって斜め上方に傾斜した傾斜面を構成している。
【0045】
前記開閉蓋40には、その傾斜方向の略中央位置に第1ステップ40aが凹設されている。この第1ステップ40aは、作業者が本体フレーム3上に昇降する際に、踏み台27(図2参照)に続いて足を載せるためのものであり、その前端部には、滑り止めや作業者の靴底の泥等を落とすための凹凸部40bが設けられている。
【0046】
また、前記開閉蓋40の上端部には、補助ステップ板42が取り付けられている。この補助ステップ板42は、第1ステップ40aに続いて作業者が足を載せるための第2ステップ34aを構成するものであり、ボックス本体31の後側板34の上部側の第2ステップ34aに連続して水平方向に突出することで踏み面を形成している。これにより、第2ステップ34aの踏み代が拡大されるため、作業者の昇降時の安全性を確保する上で有利となる。
【0047】
また、前記補助ステップ板42は、開閉蓋40に対して締結ボルト43で締結されることで、着脱自在とされている。そして、補助ステップ板42の前端部は、上方に折り曲げられて立設するとともに、その上端縁部に滑り止めや作業者の靴底の泥等を落とすための凹凸部42aが形成されている。
【0048】
前記開閉蓋40における第1ステップ40aの右側位置には、ボックス本体31の開口部31aを開閉蓋40で閉じた状態でロックして保持するためのロック機構46が設けられている。
【0049】
図7に示すように、前記ロック機構46は、キーシリンダ47と、キーシリンダ47の開閉操作に連動して開位置と閉位置とに切り替え可能なフック部48とを備えている。
【0050】
また、前記ボックス本体31の右側板36の上部側には、ボックス内方に突出した係合板36aが設けられており、フック部48が閉位置に位置付けられているときには、フック部48と係合板36aとが係合して開閉蓋40がロックされた状態となる。
【0051】
ここで、前記ロック機構46におけるキーシリンダ47の手前側には、作業者が開閉蓋40を開閉する際に指を引っかけやすくするために段差状に窪んだロック段差部49が形成されている。そして、このロック段差部49の底部には、ボックス本体31内部に貫通する水抜き孔49aが形成されている。
【0052】
このように、前記ロック段差部49の底部に水抜き孔49aを設けることで、雨水等がロック段差部49に溜まることなくボックス本体31内に流入される。そのため、作業者が開閉蓋40を開く際に作業者の手が濡れてしまって不快感を与えてしまうことが防止できる。
【0053】
図6及び図7に示すように、前記ボックス本体31内部には、ボックス本体31の外部に向かって光を照射するための照明装置50が設けられている。具体的に、この照明装置50は、ボックス本体31の前側板33寄りに配置されている。また、この前側板33には、照明装置50の照射面に対向する位置に、照明開口部33aが形成されている。
【0054】
前記照明開口部33aは、図3にも示すように、上下方向に間隔をあけて形成された2つの長孔で形成されている。そして、照明装置50から照射された光が、照明開口部33aを介して建設機械10の前方に照射されるようになっている。
【0055】
ここで、前記ボックス本体31の底板32における照明開口部33aの近傍には、上述した排水孔32cが形成されている。そのため、照明開口部33aを介して雨水等がボックス本体31内に流入した場合でも、その近傍に形成された排水孔32cを介してボックス本体31外部に排水することができるようになっている。これにより、ボックス本体内に収納している工具類が水に濡れて錆び付くことを防止することができる。
【0056】
前記照明装置50の周囲は、保護カバー51により覆われている。具体的に、この保護カバー51は、照明装置50の左右両側面及び後側面を覆う側壁部51aと、照明装置50の底面を覆う底面部51bとで構成されている。ここで、底面部51bは、後側から前側に向かって下方に傾斜した傾斜面を構成している。また、底面部51bの前側端と、ボックス本体31の前側板33との間には隙間が設けられており、底面部51bの傾斜面に沿って流れる水がボックス本体31の底板32に形成された排水孔32cまで導かれるようになっている。
【0057】
前記照明装置50は、保護カバー51の側壁部51aと、ボックス本体31の前側板33とによって、その前後左右方向の全面が囲まれて保護されている。ここで、照明装置50の上部側は、保護カバー51によっては覆われておらず、露出した状態となっている。
【0058】
前記保護カバー51の側壁部51aの後端部の位置は、開閉蓋40のロック段差部49に形成された水抜き孔49aの位置よりも、側面視で後方に位置するように設定されている。これにより、保護カバー51が、水抜き孔49aからボックス本体31内に流入した水を受け止める排水板として機能するようになっている。
【0059】
以下、図7を用いて、雨水等が水抜き孔49aや照明開口部33aを介してボックス本体31内に流入した後、排水孔32cから排水されるまでの水の流通経路について説明する。なお、水の流通経路は、二点鎖線で記載した矢印で示すものとする。
【0060】
図7に示すように、雨水等が、前記開閉蓋40の上面、より詳しくは、ロック段差部49に溜まった後、水抜き孔49aを介してボックス本体31内に流入する。水抜き孔49aからボックス本体31内に流入した水は、保護カバー51で受け止められて、保護カバー51の側壁部51aと照明装置50との間を流れる。
【0061】
そして、前記保護カバー51の側壁部51aに沿って流れた水は、底面部51bの傾斜面に沿って前方に流れる。底面部51bの前側端から流下した水は、ボックス本体31の底板32に形成された排水孔32cを介してボックス本体31外部に排水される。
【0062】
一方、前記照明開口部33aからも、雨水等がボックス本体31内に流入する。照明開口部33aから流入した水は、前側板33に沿って流下して、排水孔32cを介してボックス本体31外部に排水される。
【0063】
このような構成とすれば、ボックス本体31に予め内蔵している照明装置50の保護カバー51を、水抜き孔49aからボックス本体31内に流入した水を排水孔32cまで導く排水板として利用することで、ボックス本体31内に別途排水機構を設ける必要が無く、比較的簡単な構成で、開閉蓋40のロック段差部49に溜まる水を排水することができる。そのため、作業者が開閉蓋40を開く際に作業者の手が水で濡れてしまって不快感を与えてしまうことがなく好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、ツールボックスの開閉蓋の上面に溜まる水を比較的簡単な構成で排水できるようにするとともに、ボックス本体の底板の底面開口部から水が流入しないようにすることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を適用した建設機械の全体構成を示す側面図である。
【図2】建設機械の要部を示す側面図である。
【図3】ツールボックスの全体構造を示す斜視図である。
【図4】ツールボックスの開閉蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図5】ツールボックスの分解斜視図である。
【図6】ツールボックスの内部構造を示す平面断面図である。
【図7】ツールボックスの内部構造を示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0066】
3 本体フレーム
10 建設機械
30 ツールボックス
31a 開口部
31 ボックス本体
32 底板
32a 底面開口部
32c 排水孔
33a 照明開口部
40 開閉蓋
45 シール部材
49a 水抜き孔
50 照明装置
51 保護カバー
S1 収納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の本体フレーム上に設けられ、内部に収納空間を有するとともに上部側に開口部が形成されたボックス本体と、該ボックス本体の開口部を開閉可能な開閉蓋とを備えたツールボックス構造であって、
前記ボックス本体内に設けられ、該ボックス本体の外部に向かって光を照射するための照明装置と、
前記照明装置の周囲を覆うように配置されて該照明装置を保護する保護カバーとを備え、
前記ボックス本体の底板には、その厚さ方向に開口する底面開口部が形成される一方、該底面開口部の周縁部よりも外側位置に排水孔が形成され、
前記ボックス本体は、前記排水孔よりも内側位置で且つ前記底面開口部の周縁部に沿って配置されたシール部材を介して前記本体フレーム上に設置され、
前記開閉蓋には、その上面に溜まる水を前記ボックス本体内に流入させる水抜き孔が形成され、
前記保護カバーは、前記水抜き孔から前記ボックス本体内に流入した水を前記排水孔まで導くように構成されていることを特徴とするツールボックス構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記照明装置の照射面に対向する前記ボックス本体の側壁には、照明開口部が形成され、
前記排水孔は、前記ボックス本体の底板における前記照明開口部の近傍に形成されていることを特徴とするツールボックス構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−185256(P2010−185256A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31554(P2009−31554)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】