説明

テ−プリ−ル並びにこのテ−プリ−ルを装着した磁気テ−プカ−トリッジ

【目的】 テ−プリ−ルの上下いずれか一方のフランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる空気流出用凹溝を設けて、このテ−プリ−ルに高速で巻回されるテ−プの巻き乱れを防止し、このテ−プリ−ルを磁気テ−プカ−トリッジの本体内に装着して、磁気テ−プの巻き乱れがなく、巻き姿が良好で信頼性に優れた磁気テ−プカ−トリッジを得る。
【構成】 テ−プリ−ルの上下いずれか一方のフランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる空気流出用凹溝を設けたテ−プリ−ル、およびこのテ−プリ−ルを磁気テ−プカ−トリッジの本体内に装着し、各テ−プリ−ル間に磁気テ−プを巻回させた磁気テ−プカ−トリッジ

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はテ−プを巻回するテ−プリ−ル並びにこのテ−プリ−ルを装着した磁気テ−プカ−トリッジに関し、さらに詳しくは、テ−プの巻き乱れがなくて巻き姿が良好なテ−プリ−ルと、このテ−プリ−ルに磁気テ−プを巻回させて本体内に装着した磁気テ−プの巻き姿が良好で巻き乱れのない信頼性に優れた磁気テ−プカ−トリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】VTR(ビデオテ−プレコ−ダ)やDAT(デジタルオ−ディオテ−プレコ−ダ)などの磁気記録再生装置において、磁気テ−プを巻き取るときの巻き乱れは、磁気テ−プのエッジ変形を引き起こし、磁気テ−プに記録されたデ−タの信頼性を著しく低下させる原因となる。このため、磁気テ−プ巻き取り時の巻き乱れを防止する方法として、図9に示すように磁気テ−プカ−トリッジ10a内に磁気テ−プ規制ガイド機構13を設けたり(特開昭51−938号)、また図10に示すように磁気テ−プカ−トリッジ10b内に磁気テ−プ8bを巻芯方向に加圧する帯状の案内機構14を設けたり(特開昭51−22420号)して、磁気テ−プ8aおよび8bの巻き取り時の走行を規制することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これら従来の方法では、磁気テ−プ規制ガイド機構13や磁気テ−プ案内機構14を、磁気テ−プ8aまたは8bの裏面あるいは両エッジ部に接触させて走行規制を行っているため、磁気テ−プ8a,8bの送り速度が高速になると、規制ガイド機構13や案内機構14と接触する部分で磁気テ−プ8a,8bに損傷を与えるという問題があり、特に業務用デジタルVTR D2のように、磁気テ−プの巻き取り速度が最大13m/sec (100倍速シャトルモ−ド)にも達する場合は、これら従来の磁気テ−プの走行を規制する方法を用いることができない。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明はかかる問題を解消するため種々検討を行った結果なされたもので、テ−プリ−ルの上下いずれか一方のフランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる空気流出用凹溝を設けることによって、このテ−プリ−ルに高速で巻回されるテ−プの巻き乱れを防止し、テ−プの巻き姿を良好にしたものである。
【0005】また、このように上下いずれか一方のフランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びるに空気流出用凹溝を設けた一対のテ−プリ−ルを、磁気テ−プカ−トリッジの本体内に装着し、各テ−プリ−ル間に磁気テ−プを巻回させることによって、磁気テ−プカ−トリッジにおける磁気テ−プの巻き乱れを防止し、磁気テ−プの巻き姿を良好にして、磁気記録されたデ−タの信頼性が低下したりしないようにしたものである。
【0006】この発明によれば、テ−プリ−ルの上下いずれか一方のフランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる空気流出用凹溝を設けているため、テ−プが高速で巻き取られるとき、その遠心力により空気が空気流出用凹溝を通ってテ−プ巻芯からフランジ外周方向に流れる。
【0007】しかして、テ−プ巻芯からフランジ外周方向に流れる空気の流れによりテ−プ幅方向に規制力が加わり、たとえテ−プ間に空気が巻き込まれて空気膜が形成されても、テ−プの巻き乱れが効果的に防止されて、良好な巻き姿で巻回される。また、テ−プ幅方向への規制を、空気の流れによって非接触で行っているため、高速での巻き取り時にテ−プエッジを損傷させることもない。
【0008】その結果、磁気テ−プカ−トリッジにおいても、磁気テ−プの高速巻き取り時に発生する磁気テ−プの巻き乱れが防止され、磁気テ−プの巻き姿が良好で信頼性に優れた磁気テ−プカ−トリッジが得られる。
【0009】これに対し、空気流出用凹溝のないフランジを用いた従来の磁気テ−プ用テ−プリ−ルでは、磁気テ−プの高速巻き取り時に、磁気テ−プ間に空気が巻き込まれて空気膜が形成され、この空気膜の厚さが磁気テ−プの磁性層表面または裏面の表面粗さ以上になると、磁気テ−プ間に摩擦力が働かなくなり、なんらかの原因で発生した磁気テ−プ幅方向にかかる微小な外力により、磁気テ−プ間ですべりが発生して巻き乱れが生じる。
【0010】
【実施例】以下、この発明に係るテ−プリ−ルおよびこのテ−プリ−ルを装着した磁気テ−プカ−トリッジの実施例を示す図1ないし図8に基づいて説明する。
【0011】図1および図2はこの発明のテ−プリ−ルの一例を示したもので、このテ−プリ−ル1は、下フランジ2と一体成形されたテ−プ巻芯3の上端面に上フランジ4を定着して構成され、上フランジ4の内面にテ−プ巻芯3から上フランジ4の外周近傍にかけて放射状に伸びる5個の直線状の空気流出用凹溝5が等間隔に設けられている。
【0012】また、これら各空気流出用凹溝5のテ−プ巻芯3側内端部に連通する空気流入用貫通孔6が上フランジ4に穿設されている。7はテ−プ8端をテ−プ巻芯3に固定するためのクランクピ−スである。
【0013】しかして、このようなテ−プリ−ル1に、図2に示すようにビデオテ−プ等のテ−プ8が高速で巻き取られるときは、その遠心力により矢印Aで示すように空気流入用貫通孔6から空気が上フランジ4の内側に入り込み、空気流出用凹溝5を通ってテ−プ巻芯3からフランジ4外周方向に矢印Bに示すような空気の流れが生じる。
【0014】このため、テ−プ巻芯3からフランジ4外周方向に流れる空気の流れによりテ−プ幅方向に規制力が加わり、たとえテ−プ8間に空気が巻き込まれて空気膜が形成されても、テ−プ8の巻き乱れが効果的に防止されて、良好な巻き姿でテ−プ8がテ−プリ−ル1に巻回される。また、テ−プ8の幅方向への規制が、空気の流れによって非接触で行われるため、高速での巻き取り時にテ−プエッジを損傷させることもない。
【0015】テ−プリ−ル1はこのようにして構成され、このテ−プリ−ル1にビデオテ−プ8を巻回させて、図3に示すように上下の半割ケ−ス9a,9bを蓋合わせ状にねじで結合して構成された磁気テ−プカ−トリッジの本体ケ−ス10に左右対をなして装着すれば、磁気テ−プカ−トリッジが得られる。
【0016】この磁気テ−プカ−トリッジにおいて、ビデオテ−プ8が高速で巻き取られるときは、回転時の遠心力により空気流入用貫通孔6から空気が上フランジ4の内側に入り込み、空気流出用凹溝5を通ってテ−プ巻芯3からフランジ外周方向に空気の流れが生じる。
【0017】従って、テ−プ巻芯3からフランジ外周方向に流れる空気の流れによりテ−プ幅方向に規制力が加わり、たとえビデオテ−プ8間に空気が巻き込まれて空気膜が形成されても、ビデオテ−プ8の巻き乱れが効果的に防止されて、良好な巻き姿でビデオテ−プ8がテ−プリ−ル1に巻回される。また、ビデオテ−プ8の幅方向への規制が、空気の流れによって非接触で行われるため、高速での巻き取り時にビデオテ−プ8のエッジを損傷させることもない。
【0018】なお、11は上方の半割ケ−ス9aに設けられたビデオテ−プ巻量視認用の透明窓であり、12は上方の半割ケ−ス9aに開閉可能に枢支されて、本体ケ−ス10の前面を蓋する前蓋である。
【0019】このようにこの発明のテ−プリ−ルは、磁気テ−プカ−トリッジに装着して使用されるほか、種々の磁気テ−プや磁気テ−プ以外のテ−プを巻回するテ−プリ−ルに広く適用でき、磁気テ−プ巻回用としては、さらに、2インチビデオテ−プ、1インチビデオテ−プ、オ−ディオオ−プンリ−ルテ−プ、オ−ディオディジタルマスタリングテ−プ、コンピュ−タテ−プ等のオ−プンリ−ル方式や、VHS、Beta、8mmビデオ、Hi8、Uマチック、BETACAM、BETACAM−SP、D1、D2等のカ−トリッジタイプのものなどに適用できる。
【0020】以上の図1および図2に示すテ−プリ−ル1は、特に、上フランジ4の内面にテ−プ巻芯3からフランジ外周にかけて放射状に伸びる直線状の空気流出用凹溝5を設けるとともに、この空気流出用凹溝5に連通する空気流入用貫通孔6を上フランジ4に穿設しているため、テ−プ8が高速で巻き取られるとき、その遠心力により空気流入用貫通孔6から空気がフランジ内に入り込み、空気流出用凹溝5を通ってテ−プ巻芯3からフランジ外周方向に空気の流れが生じやすい。
【0021】その結果、テ−プ巻芯3からフランジ外周方向に一段と良好に流れる空気の流れによりテ−プ幅方向に充分な規制力が加わり、テ−プの巻き乱れがより効果的に防止されて、一段と良好な巻き姿で巻回され、磁気テ−プカ−トリッジにあっては、磁気テ−プの高速巻き取り時に発生する磁気テ−プの巻き乱れが一段と効果的に防止されて、磁気テ−プの巻き姿が良好で一段と信頼性に優れた磁気テ−プカ−トリッジが得られる。
【0022】しかして、図1および図2に示すテ−プリ−ル1のように、上フランジ4の内面に空気流出用凹溝5とともに空気流出用凹溝5に連通する空気流入用貫通孔6を穿設しておくのが好ましいが、空気流入用貫通孔6は必ずしも必要でなく、図4および図5に示すように、下フランジ2に直線状の空気流出用凹溝5aや5bが設けられていても、これら空気流出用凹溝5aや5bを通ってテ−プ巻芯3からフランジ外周方向に空気が流れ、テ−プの巻き乱れが防止されて、良好な巻き姿で巻き取られる。
【0023】そして、磁気テ−プカ−トリッジにあっては、磁気テ−プの高速巻き取り時に発生する磁気テ−プの巻き乱れが防止されて、磁気テ−プの巻き姿が良好で信頼性に優れた磁気テ−プカ−トリッジが得られる。従って、空気流入用貫通孔を設けなくても良好な結果が得られ、また空気流出用凹溝は上下いずれのフランジに設けてもよい。
【0024】なお、図4に示すテ−プリ−ル1aは、空気流入用貫通孔を設けず、下フランジ2の内面に5個の直線状の空気流出用凹溝5aを凹設した以外は、図1および図2に示すテ−プリ−ル1と同様にして構成され、図5に示すテ−プリ−ル1bは、空気流入用貫通孔を設けず、下フランジ2の内面に対をなす突条51,51を突設して5対の直線状の空気流出用凹溝5bを形成した以外は、図1および図2に示すテ−プリ−ル1と同様にして構成されている。
【0025】図6ないし図8は、この発明のテ−プリ−ルのその他の例を示したもので、図6に示すテ−プリ−ル1cは、空気流入用貫通孔を設けず、下フランジ2の内面に5個のスパイラル状の空気流出用凹溝5cを凹設した以外は、図1および図2に示すテ−プリ−ル1と同様にして構成され、図7に示すテ−プリ−ル1dは、空気流入用貫通孔を設けず、下フランジ2の内面に対をなす突条52,52を突設して5対のスパイラル状の空気流出用凹溝5dを形成した以外は、図1および図2に示すテ−プリ−ル1と同様にして構成されている。
【0026】さらに、図8に示すテ−プリ−ル1eは、上フランジ4の内面に5個のスパイラル状の空気流出用凹溝5eを凹設し、これら空気流出用凹溝5eに連通する空気流入用貫通孔6aを上フランジ4に穿設した以外は、図1および図2に示すテ−プリ−ル1と同様にして構成されている。
【0027】これら図6ないし図8に示すように、上下いずれかのフランジに形成される空気流出用凹溝は、スパイラル状であってもよく、図6および図7のように空気流出用凹溝5cや5dを設けたり、図8のように空気流出用凹溝5eとともに空気流出用凹溝5eと連通する空気流入用貫通孔6aを設けると、図1ないし図5に示す直線状の空気流出用凹溝を設けた場合と、同じ効果が発揮される。
【0028】しかしながら、これら図6ないし図8に示すテ−プリ−ル1c、1d,1eを使用する場合は、スパイラルの巻き方向が、テ−プ巻き取り時のテ−プリ−ルの回転方向で、テ−プ巻き芯部からフランジ外周部への空気流出方向となるようにする必要がある。
【0029】なお、以上図1ないし図8で示したテ−プリ−ルでは、いずれも上下いずれかのフランジの内面に、テ−プ巻芯からフランジの外周近傍にかけて放射状に伸びる5個の空気流出用凹溝を等間隔で設けているが、これらの空気流出用凹溝の数や配置は特に限定されず、偶数個の空気流出用凹溝を対称に設けてもよく、また適数個の空気流出用凹溝を等間隔にせず不規則に配置してもよい。
【0030】さらに、これらの空気流出用凹溝は少なくとも1個以上設ければその効果が発揮され、適宜増減できる。また、これらの空気流出用凹溝は、上下フランジの外周近傍からさらに延長して上下フランジの外周端縁まで設けてもよい。
【0031】さらに、各空気流出用凹溝に連通する空気流入用貫通孔を設ける場合は、テ−プ巻芯側内端部のみに限らず、1個の空気流出用凹溝に対して2個以上の空気流入用貫通孔を設けて、それらを連通させてもよい。
【0032】以下、この発明のテ−プリ−ルを装着した磁気テ−プカ−トリッジの試験例について説明する。
試験例1 α−Fe磁性粉末 600重量部 エスレックCN(積水化学工業社製、塩化ビニル−酢酸ビニ 80 〃 ル−ビニルアルコ−ル共重合体)
パンデックスT−5250(大日本インキ化学工業社製、ウ 30 〃 レタンエラストマ−)
コロネ−トL(日本ポリウレタン工業社製、三官能性低分子 10 〃 量イソシアネ−ト化合物)
メチルイソブチルケトン 400 〃 トルエン 400 〃この組成物をボ−ルミル中で72時間混合分散して磁性塗料を調製した。次いで、この磁性塗料を厚さ 9.8μmのポリエステルフイルム上に、塗布、乾燥して厚さが13μmの磁性層を形成し、19mm幅に裁断して、長さ1670mのビデオテ−プをつくった。
【0033】次いで、このようにして得られたビデオテ−プ8を、図1および図2に示すテ−プリ−ル1に巻回し、このビデオテ−プ8を巻回した一対のテ−プリ−ル1を、図3に示すビデオ用磁気テ−プカ−トリッジの本体ケ−ス10内に装着して、ビデオ用磁気テ−プカ−トリッジを作成した。
【0034】試験例2試験例1と同様にしてビデオテ−プをつくり、このビデオテ−プ8を、図4に示すテ−プリ−ル1aに巻回し、このビデオテ−プ8を巻回した一対のテ−プリ−ル1aを、図3に示すのと同じビデオ用磁気テ−プカ−トリッジの本体ケ−ス10内に装着して、ビデオ用磁気テ−プカ−トリッジを作成した。
【0035】試験例3試験例1と同様にしてビデオテ−プをつくり、このビデオテ−プ8を、図5に示すテ−プリ−ル1bに巻回し、このビデオテ−プ8を巻回した一対のテ−プリ−ル1bを、図3に示すのと同じビデオ用磁気テ−プカ−トリッジの本体ケ−ス10内に装着して、ビデオ用磁気テ−プカ−トリッジを作成した。
【0036】試験例4試験例1と同様にしてビデオテ−プをつくり、このビデオテ−プ8を、図6に示すテ−プリ−ル1cに巻回し、このビデオテ−プ8を巻回した一対のテ−プリ−ル1cを、図3に示すのと同じビデオ用磁気テ−プカ−トリッジの本体ケ−ス10内に装着して、ビデオ用磁気テ−プカ−トリッジを作成した。
【0037】試験例5試験例1と同様にしてビデオテ−プをつくり、このビデオテ−プ8を、図7に示すテ−プリ−ル1dに巻回し、このビデオテ−プ8を巻回した一対のテ−プリ−ル1dを、図3に示すのと同じビデオ用磁気テ−プカ−トリッジの本体ケ−ス10内に装着して、ビデオ用磁気テ−プカ−トリッジを作成した。
【0038】試験例6試験例1と同様にしてビデオテ−プをつくり、このビデオテ−プ8を、図8に示すテ−プリ−ル1eに巻回し、このビデオテ−プ8を巻回した一対のテ−プリ−ル1eを、図3に示すのと同じビデオ用磁気テ−プカ−トリッジの本体ケ−ス10内に装着して、ビデオ用磁気テ−プカ−トリッジを作成した。
【0039】試験例7試験例1と同様にしてビデオテ−プをつくり、このビデオテ−プを、従来の上フランジに空気流出用凹溝および空気流入用貫通孔が形成されていないテ−プリ−ルに巻回した以外は、試験例1と同様にしてビデオテ−プ用磁気テ−プカ−トリッジを作成した。
【0040】各試験例で得られたビデオテ−プ用磁気テ−プカ−トリッジを、ソニ−社製;デジタルVTR D2(DVR−18)に装填し、シャトルモ−ドで1〜100倍速(テ−プ巻き取り速度:0.13〜13m/sec )まで速度を変化させてシャトルサ−チ走行を行った。そして、各種巻き取り速度で走行後、各磁気テ−プカ−トリッジ内の巻き取り側テ−プリ−ルを取り出し、上フランジ4を取り外したのち、テ−プ巻芯3から約10mmはなれた部分のビデオテ−プ8上エッジの半径方向の断面形状における中心線平均粗さ(Ra)を、表面粗さ計(東京精密社製;サ−フコム1000A)で測定し、ビデオテ−プの巻き乱れを調べた。
【0041】ビデオテ−プの巻き乱れ度は、テ−プ巻き取り速度0.13m/sec で走行後のエッジ半径方向断面の中心線平均粗さ(Ra)を基準として、各テ−プ巻き取り速度で走行後のエッジ半径方向断面の中心線平均粗さ(Ra)の最大値との相対比を求めて評価し、各試験例におけるビデオテ−プの巻き乱れ度の指標とした。下記表1はその結果である。
【0042】


【0043】上記表1から明らかなように、試験例7で得られたビデオテ−プ用磁気テ−プカ−トリッジは巻き乱れ度が3以上であるのに対し、この発明で得られたビデオテ−プ用磁気テ−プカ−トリッジ(試験例1〜6)は、いずれも巻き乱れ度が1〜2と試験例7に比して小さく、ビデオテ−プの巻き乱れが効果的に防止されている。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のテ−プリ−ルによれば、テ−プ巻き取り時のテ−プの巻き乱れを充分に防止して、良好な巻き姿でテ−プを巻き取ることができ、このテ−プリ−ルを装着したこの発明の磁気テ−プカ−トリッジは、磁気テ−プの巻き乱れが効果的に防止されて、磁気テ−プが良好な巻き姿で巻き取られ、信頼性が向上されることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のテ−プリ−ルの一実施例を示す一部切欠拡大斜視図である。
【図2】図1に示すテ−プリ−ルの断面図である。
【図3】この発明のテ−プリ−ルを装着したビデオ用磁気テ−プカ−トリッジの一実施例を示す斜視図である。
【図4】この発明のテ−プリ−ルの他の実施例を示す一部切欠拡大斜視図である。
【図5】この発明のテ−プリ−ルの他の実施例を示す一部切欠拡大斜視図である。
【図6】この発明のテ−プリ−ルの他の実施例を示す一部切欠拡大斜視図である。
【図7】この発明のテ−プリ−ルの他の実施例を示す一部切欠拡大斜視図である。
【図8】この発明のテ−プリ−ルの他の実施例を示す一部切欠拡大斜視図である。
【図9】従来の磁気テ−プカ−トリッジの一例を示す内面図である。
【図10】従来の磁気テ−プカ−トリッジの他の例を示す内面図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,1d,1e テ−プリ−ル
2 下フランジ
3 テ−プ巻芯
4 上フランジ
5,5a,5b,5c,5d,5e 空気流出用凹溝
51,52 突条
6,6a 空気流入用貫通孔
8 テ−プ(ビデオテ−プ)
10 本体ケ−ス

【特許請求の範囲】
【請求項1】 テ−プリ−ルの上下いずれか一方のフランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる空気流出用凹溝を設けたことを特徴とするテ−プリ−ル
【請求項2】 空気流出用凹溝が、フランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて凹設した直線状の凹溝である請求項1記載のテ−プリ−ル
【請求項3】 空気流出用凹溝が、フランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる突条を並設して形成した直線状の凹溝である請求項1記載のテ−プリ−ル
【請求項4】 空気流出用凹溝が、フランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて凹設したスパイラル状の凹溝である請求項1記載のテ−プリ−ル
【請求項5】 空気流出用凹溝が、フランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる突条を並設して形成したスパイラル状の凹溝である請求項1記載のテ−プリ−ル
【請求項6】 テ−プリ−ルのフランジに、さらに空気流出用凹溝に連通する空気流入用貫通孔を穿設した請求項1ないし5記載のテ−プリ−ル
【請求項7】 磁気テ−プカ−トリッジの本体内に、テ−プリ−ルの上下いずれか一方のフランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる空気流出用凹溝を設けた一対のテ−プリ−ルを装着し、各テ−プリ−ル間に磁気テ−プを巻回させてなる磁気テ−プカ−トリッジ
【請求項8】 空気流出用凹溝が、フランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて凹設した直線状の凹溝である請求項7記載の磁気テ−プカ−トリッジ
【請求項9】 空気流出用凹溝が、フランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる突条を並設して形成した直線状の凹溝である請求項7記載の磁気テ−プカ−トリッジ
【請求項10】 空気流出用凹溝が、フランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて凹設したスパイラル状の凹溝である請求項7記載の磁気テ−プカ−トリッジ
【請求項11】 空気流出用凹溝が、フランジの内面にテ−プ巻芯からフランジ外周にかけて放射状に伸びる突条を並設して形成したスパイラル状の凹溝である請求項7記載の磁気テ−プカ−トリッジ
【請求項12】 テ−プリ−ルのフランジに、さらに空気流出用凹溝に連通する空気流入用貫通孔を穿設した請求項7ないし11記載の磁気テ−プカ−トリッジ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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