ティシュペーパー製品の製造方法
【課題】薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】収納箱内にティシュペーパーの束が収容されているティシュペーパー製品の製造方法であって、マルチスタンド式インターフォルダの複数の折畳み機構部を5〜30機で一組とし、それら各々の一組あたりに対応する幅の二次原反ロールを各々一つセットし、セットされた各二次原反ロールから二次連続シートを繰り出し、その繰り出された二次連続シートに薬液を塗布し、その薬液が塗布された二次連続シートを連続方向にスリットして、各組の折畳み機構部数と同数のティシュペーパー幅と同幅の連続シートを形成し、 そのスリットされた連続シートを各折畳み機構部へ供給して、連続ティシュペーパーの束を製造し、この連続ティシュペーパー束を所定長さに裁断して収納箱に収納するティシュペーパー製品の製造方法により解決される。
【解決手段】収納箱内にティシュペーパーの束が収容されているティシュペーパー製品の製造方法であって、マルチスタンド式インターフォルダの複数の折畳み機構部を5〜30機で一組とし、それら各々の一組あたりに対応する幅の二次原反ロールを各々一つセットし、セットされた各二次原反ロールから二次連続シートを繰り出し、その繰り出された二次連続シートに薬液を塗布し、その薬液が塗布された二次連続シートを連続方向にスリットして、各組の折畳み機構部数と同数のティシュペーパー幅と同幅の連続シートを形成し、 そのスリットされた連続シートを各折畳み機構部へ供給して、連続ティシュペーパーの束を製造し、この連続ティシュペーパー束を所定長さに裁断して収納箱に収納するティシュペーパー製品の製造方法により解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー製品の製造方法、特に薬液が付与されたティシュペーパーが収納箱に収納されたティシュペーパー製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<ティシュペーパー製品>
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取り出し口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる(一枚を取り出すとそれに連続して次ぎの一枚が取出し口から引き出される形式をポップアップ式ともいう)。
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿剤、柔軟剤、などの薬液(通常「ローション薬液」とも呼ばれる)を塗布した薬液塗布タイプのものと、薬液等が塗布されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
薬液が塗布付与されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
薬液付与タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0003】
<ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要>
ティシュペーパー製品の製造の流れは次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールとも称される)を製造する。
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)からなる二次原反ロールを製造する。
次いで、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に供給し、二次連続シートを折畳むとともに順次積層してティシュペーパー束を製造し、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0004】
ここで、特に薬液付与タイプの製品においては、特にインターフォルダの前段において、適宜の設備、例えばプリンタ設備などによって予め一次又は二次原反ロールから一度連続シートを巻きだして薬液を付与し、再度巻取って薬液付与原反ロールを製造する。
なお、従来の薬液付与タイプの製品の製造方法は、下記特許文献1〜3に製造方法や設備が例示されている。
【0005】
<ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類>
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献4、5)とロータリー式インターフォルダ(特許文献6、7)の2種のインターフォルダが使用されている。
【0006】
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献4、5にも示されるように、折り板を有する折畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、各折畳み機構部対して同時にティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次連続シートを2シート並べて連続的に供給すると、各折畳み機構部で二枚の二次連続シートを折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折畳み機構で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成される。ここで折畳み機構部の1機とは、二次連続シートを2シート並べ各シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0007】
一方、ロータリー式インターフォルダは、一対の二次原反ロールから繰り出された各二次連続シートを先端側から回転式の折り板によって折り畳みつつ裁断し、その裁断した各二次原反ロールからのシートが順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。
したがって、このロータリー式インターフォルダでは、連続操業の中で所定の積層枚数のところで適宜マーキングして手動で分割する、あるいは所定積層枚数のところで自動で分割するなどして積層シート束を得る操作を擁する。しかも得られる積層シート束は、二次原反ロールの幅長とほぼ同じ長さの比較的短いものである。このためマルチスタンド式インターフォルダと比較すると生産性には劣る。
具体例を例示すれば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0008】
<従来のティシュペーパー製品とインターフィルダとの関係>
従来、マルチスタンド式インターフォルダは多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられ、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液付与タイプの製造はロータリー式インターフォルダにより製造されるのが一般的である(例えば、下記特許文献1)。
しかし、上述のとおり需要拡大による生産量増加を考慮すると、薬液付与ティシュペーパーにおいてもマルチスタンドインターフォルダでの製造が望まれる。
【0009】
しかし、薬液付与タイプの製品に用いるティシュペーパー束をマルチスタンド式インターフォルダにより製造するには、生産量のほか以下のような技術的な問題点があり困難であった。
【0010】
<薬液付与タイプのティシュペーパー束をマルチスタンド式インターフォルダにより製造する場合の問題点>
マルチスタンド式インターフォルダでは、プライマシンなどに設けたスリッターにより、収納箱に納めるティシュペーパーの幅と同幅にスリットされた二次原反ロールを支持部にセットし、かかる二次原反ロールから連続的に折畳み機構部にいっせいに供給する。
【0011】
そして、原反ロール支持部へ二次原反ロールの取付けは、ティシュペーパーの幅と同幅にスリットされた二次原反ロールを2つ、4つ或いは6つを一つの軸に巻取ってなる二次原反ロールユニット(以下、単にロールユニットともいう)を形成し、かかる多数のロールユニットを原反ロール支持部にセットするようにしている。マルチスタンド式インターフォルダでは多数の折畳み機構部を有するため、多数のロールユニットを取付ける煩雑な操作を有する欠点がある。そして、特に、薬液付与タイプの製品では薬液に起因する水分、油分等が含有されるため二次原反ロールユニットの重量が重く、多数のロールユニットをセットする煩雑さは汎用品よりも増す。さらに、薬液が付与された二次原反ロールは、紙中へ薬液を十分に浸透・分散させるべく所定期間保管して養生させることがあり、また、そのような養生をしない場合でもインターフォルダに供するまでに保管することがある。そして、薬液が塗布された二次原反ロールは、水分、油分等の液分を含むとともに、吸湿しやすいことからロールが変形しやすい傾向にある。このため、多数のロールユニットを形成してマルチスタンド式インターフォルダに用いようとすると、各ロールユニットのロール変形に対応し管理しつつ運転する必要が生ずる。また、多数のロールユニットを用いることから、薬液に起因する品質を各ロールユニットで品質管理も煩雑となる。
【0012】
他方、従来の薬液塗布工程は、フレキソ印刷、グラビア印刷、ロール塗工など、刷版などのロールに薬液を付与し、そのロールを介して薬液を連続シートに付与することとしていた。この方式では、刷版ロール等に均一に薬液を付与する必要性があるため、必然的にある程度の量の薬液をロールに付与しなければならない。すなわち、薄塗りすることができない。このためこの従来の薬液付与工程は、上述の二次原反ロールの変形に拍車をかけるものであり、この従来の薬液塗布方法もマルチスタンド式インターフォルダでの薬液付与ティシュペーパー製品の製造を困難ならしめる副次的な要因の一つである。
【0013】
さらに、上述のロールを介して薬液を付与する方法の場合には、紙と刷版ロールが圧接するため薬液付与時に紙厚が薄くなる。このためべとつかない程度の薬液付与をしようとすると基紙(連続シート)の紙厚を厚くしなければならず、原料コストが高い傾向にある。また、従来の薬液付与工程は、抄紙機に抄紙工程、プライマシンによる積層工程、インターフォルダによる折り工程の他に、別途に薬液付与設備を設置して薬液塗布工程を行なっている。このため、薬液付与設備から次工程のプライマシンやインターフォルダに移送する煩雑な操作を要するとともに、設備コストが極めて高く製品が高価となる原因となっていた。
これらの製品を高価なものとする要因があることも、生産量を多くできない、あるいは汎用品の生産設備を用いてまで生産量の増加させる必要性を消極的なものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−322034号公報
【特許文献2】特表2008−525103号公報
【特許文献3】特開2008−264564号公報
【特許文献4】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献5】特開2006−240750号公報
【特許文献6】特開昭61−37668号公報
【特許文献7】特開平5−124770号公報
【特許文献8】特開2008−245780号公報
【特許文献9】特開2008−183411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明の課題は、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を効率よく製造する方法を提供する。また、薬液付与ティシュペーパーにおける製造コストを低下させ、また、大幅な設備改造を要することなく、既設備の小改良で足り、生産性に極めて優れた製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
収納箱内にティシュペーパーの束が収容されているティシュペーパー製品の製造方法であって、
マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部を5〜30機で一組とし、
各組あたりに対応する幅の二次原反ロールを取付け、
二次原反ロールから二次連続シートを繰り出し、
その繰り出された二次連続シートに薬液を塗布し、
その薬液が塗布された二次連続シートを連続方向にスリットしてティシュペーパー幅と同幅の連続シートを形成し、
そのスリットされた連続シートを各折畳み機構部へ供給して連続ティシュペーパーの束を製造し、
この連続ティシュペーパー束を所定長さに裁断して収納箱に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0017】
〔請求項2記載の発明〕
前記薬液の塗布は、スプレー塗布、インクジェット印刷、カーテン塗工の何れかにより行なう請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【0018】
〔請求項3記載の発明〕
二次原反ロールから繰り出された連続シートの両側縁部を裁断した後に、ティシュペーパーの幅と等幅にスリットする請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0019】
〔請求項4記載の発明〕
前記二次原反ロールの幅を1500〜9200mmとし、ティシュペーパーの幅を150〜250mmとする請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、搾水された湿紙を乾燥して乾紙とした後に巻き取って一次原反ロールを形成し、この一次原反ロールをいわゆるプライマシンによりプライ加工を行なって、ティシュペーパー製品用二次原反ロールを連続的に製造してマルチスタンド式インターフォルダに供給する。
【0021】
そして、そのプライマシンによる加工の際に小幅にスリットした多数の二次原反ロールを製造することなく、折畳み機構部を5〜30機に対応する幅広の二次原反ロール、好ましくプライマシンにてスリット加工しない二次原反ロールをマルチスタンド式インターフォルダにセットすることとした。従って、多数の薬液が付与された小幅二次原反ロールをセットする必要がなく、小幅原反ロール及び薬液付与に起因する品質のばらつき解消される。また、多数の二次原反ロールユニットを原反ロール支持部にセットする煩雑な操作からも解放される。
【0022】
さらに、本発明ではマルチスタンド式インターフォルダ内において、二次原反ロールから繰り出した二次連続シートが折り板機構に供給される前にフレキソ印刷方式等による薬液付与手段を設けて二次連続シートに薬液を付与する。したがって、大幅な設備改造を要することなく、既設の抄造設備及びプライマシンを使用し、マルチスタンド式インターフォルダの一部の改造で足りるので、投資設備費が少ないもので足りる利点がある。
【0023】
しかも、マルチスタンド式インターフォルダ内に薬液付与手段を設けるものであるため、マルチスタンド式インターフォルダの高い生産性を損なわない。また、二次連続シートは薬液付与後、直ちに折り畳まれて所定の寸法に裁断して束とされ、収納箱内に納められることができるから、吸湿によるシートの伸びなどの寸法変化等の問題も生じにくい。
【0024】
また、プライマシンや薬液付与設備などインターフォルダとは別途の薬液塗布設備にて薬液を付与する従来方法と比較すると、薬液が付与された変形しやすい二次原反ロールを当該薬液付与設備からマルチスタンド式インターフォルダに移動し設置する際の、二次原反ロールの変形等のハンドリングの問題がない。
【0025】
さらにスタンドに設置し折畳み加工する際の二次原反ロールの巻きズレの問題も発生しないため、安定した操業が可能である。
【0026】
さらに、薬液付与は、スプレー塗布、インクジェット印刷、カーテン塗工によって行われる場合、これらスプレー塗布、インクジェット印刷、カーテン塗工はいずれも連続シートに直接刷版等が接触しない非接触式の薬液付与方法であり、薬液内に紙粉が混入しないし、紙粉を発生させる要因となる刷版等との摩擦がない。従って、薬液付与時における紙粉に起因する種々の問題が発生しない。さらに、薬液付与工程において薬液が付与されたのち直ちに形成される積層連続シート束は、付与された薬液によって紙粉がシートから離れず、紙粉が発生し難い。
【0027】
特に、スプレー塗布は、連続シート幅方向に適当数のスプレーノズルを設置して、スプレーノズル先端から薬液の粒子を高圧で噴射しシート表面に塗布するものであり、設備が単純で設備コストがかからない特徴がある。
【0028】
また、インクジェット印刷方式はヘッドと呼ばれるノズルを持つ小さなインクタンクに電気信号で振動を与え、そのエネルギーで微小液滴を噴射し、液滴単位で紙表面に「塗布する」、「塗布しない」の選択ができるため薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高い特徴を持つ。
【0029】
カーテン塗工は水平方向に流れる連続シートに垂直に薬液を落下させ、その皮膜をシート表面にそのまま塗布するもので均一な塗布面が得られる特徴がある。この中で設置コストの点ではスプレー塗布が、品質管理の点ではインクジェット印刷が望ましい。
【0030】
加えて、本発明では、一次原反ロールの製造過程で、湿紙をヤンキードライヤーで乾燥することで得られた乾紙をプライマシンによりプライ加工し、そのプライ加工した二次原反ロールをマルチスタンド式インターフォルダに取付け、そのマルチスタンド式インターフォルダ内に薬液塗布工程を設けて積層連続シートに薬液を付与し、直ちに折畳み機構部で折り畳まれる。従って、薬液が紙内部に吸収されてシートのクレープが伸びてしまう前に折畳み加工されるので、薬液付与に起因するシート(紙)の急激な伸びの発生によるシワや紙厚と嵩の減少を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明にかかるティシュペーパー製品の斜視図である。
【図2】本発明にかかるティシュペーパー製品の使用状態の斜視図である。
【図3】そのIII- III断面図である。
【図4】一次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図5】二次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図6】本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダの概略図である。
【図7】本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダの側面概略図である。
【図8】折り板機構部を説明するための斜視図である。
【図9】本発明にかかるフレキソ印刷を行なう形態の説明図である。
【図10】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図11】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図12】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図13】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図14】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図15】本発明にかかる2ロール転写方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図16】本発明において薬液付与手段としてスプレー塗布を用いた構成を示す図である。
【図17】スプレー塗布装置の示す概略図である。
【図18】スプレー塗布装置を示す概略図である。
【図19】スプレー塗布装置を示す概略図である。
【図20】インクジェット印刷機の要部拡大図である。
【図21】インクジェット印刷機の薬液塗布部を示す斜視拡大図である。
【図22】インクジェット印刷機のヘッドの内部を示す拡大断面図である。
【図23】カーテン塗工を説明するための斜視図である。
【図24】コンタクトエンボス加工の説明図である。
【図25】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図26】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図27】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図28】二次連続シートの折り畳み方を示す束断面図である。
【図29】収納工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳説する。
<ティシュペーパー製品>
図1〜3に、本発明にかかるティシュペーパー製品X1を示す。本発明にかかるティシュペーパー製品X1は、複数枚のティシュペーパー1が、折り畳まれ重層されてなるティシュペーパーの束10が、上面2Uに取出口又は取出口形成部21が形成された収納箱2に収納され、使用時にその取出口21からティシュペーパー1の一枚を取り出すと、隣接して積層されている下層の一枚の一部が取出口から露出されるように構成されたものである。
【0033】
[収納箱]
ティシュペーパー1の束10が収納される収納箱2は、カートン箱とも呼ばれる直六面体形状の箱体である。この収納箱2は、製品外観をなすものであり、ティシュペーパー製品X1を示す図1及び図2にも示されているとおり、上面20Uに取出口形成部21である環状のミシン目線21を有する紙箱20と、前記ミシン目線21により囲まれる範囲21aを紙箱内側から覆う樹脂製フィルム22とを有する。
【0034】
紙箱20は、収納箱の外郭をなす紙製の箱体であり、その大きさ、形状、展開形状等は既知の収納箱の紙箱の構成が採用される。
その形状としては、図示例の一対の平行な長手縁20L,20Lとこれらよりも短い一対の平行な短手縁20S,20Sとで構成される長方形の上面2Uを有する直六面体形状が例示でき、その構造としては、上面2U、底面(図示されず)及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有し、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して構成される構造が例示できる。
【0035】
収納箱2の大きさは、ティシュペーパー1の束10より若干大きく、概ね束10の外形よりも1〜20mm程度大きい内形とされる。一般的な収納箱2の大きさを例示すると、概ね長手縁が110〜320mm、短手縁が70〜200mm、高さが40〜150mm程度である。少なくとも本発明においてもこの大きさの収納箱1が採用できる。
【0036】
紙箱20の素材としては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする既知の紙素材が採用できる。好適には、紙箱の素材は、坪量250〜500g/m2、好適には350〜400g/m2のコートボール紙である。
【0037】
なお、紙箱は、図示はしないが、花柄、螺旋模様、波模様、ドット模様、亀甲模様、星模様、十字模様、幾何学模様など適宜の文字・図形・絵・記号の単体又はこれらの組み合わせにより構成される適宜の模様を採用することができる。紙箱外面に対する模様の付与は、グラビア印刷等の既知の印刷方法により行うことができる。
【0038】
他方、紙箱20の上面2Uに形成されるミシン目線21は環状をなし、既知の方法及びカットタイ比で形成され、これにより囲まれる範囲の具体的形状については必ずしも限定されない。ただし、収納箱2においては、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形が代表的であり、取出し性、利便性が高いことから、本発明においても多くの既存の製造ラインで製造可能なこの形状が好適である。
【0039】
他方、前記樹脂製フィルム22は、前記ミシン目線により囲まれる範囲のサイズより大きく、例えば、矩形や楕円形であり、紙箱上面の内面側において、特に環状ミシン目線21の切り剥がしに影響がないように、環状ミシン目線21の外側で接着されている。この樹脂性フィルム22の好適な素材は、ポリエチレンフィルムであるが、ポリプロピレン、ポリエステルなども例示できる。
【0040】
樹脂製フィルム22の厚みは、10〜200μmが適する。10μm未満では、強度的に不足し、ティシュペーパー1の取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、強度の問題はないものの、取り出し難くなり、またコスト高となる。
【0041】
他方、この樹脂製フィルム22には、スリット24が形成されており、このスリット24はミシン目線21により囲まれる範囲に位置されている。
【0042】
従って、図1及び2に示されるとおり、前記環状ミシン目線に沿ってそのミシン目線21により囲まれる範囲21aを切り剥がすことにより、紙箱上面2Uに取り出口が形成されるとともに、前記樹脂製フィルム22及びそれに形成されたスリット24が取出口25を介して露出される。なお、前記スリット24の長さは、適宜の長さとすることができ、既知の環状ミシン目線21との大きさの関係で適するとされる長さが採用できる。
【0043】
収納箱2に束として収納されているティシュペーパー1は、前記スリット24を介して取出口25から一枚ずつ取り出される。そして、当該スリット24によって、取出口25から露出されるティシュペーパーの一部が支持されてカートン箱内部に落ち込むことが防止されるようになっている。
【0044】
[ティシュペーパーの束の基本構成]
本発明のティシュペーパー1の束10は、ティシュペーパー1が折り畳まれ、積層されてなるものである。より具体的には、図3からも理解されるように、方形のティシュペーパー1が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁1eが上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されている。なお、ここで実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0045】
本積層構造のティシュペーパー1の束10は、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、摩擦により上方に引きずられて持ち上げられる。そして、かかる構造のティシュペーパー1の束10は、その最上面が上述の上面2Uに取出口25等を有する収納箱2の当該上面に向かいあって収納され、前記取出口25、特にスリット24から最初の一枚(最上面に位置する一枚)が引き出されたときに、その直近下方に位置する他の一枚の一部が露出される。なお、本発明のおけるティシュペーパー1の積層枚数が限定されないが、この種の製品の一般的な積層枚数を例示すれば、120〜240枚である。
【0046】
<ティシュペーパー製品の製造方法>
次に、上記のティシュペーパー製品X1の本発明にかかる特徴的な製造方法について説明する。
[抄紙工程〔一次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
本発明に用いる二次原反ロールの製造方法について説明する。二次原反ロールを製造するには、図4に示す抄紙設備例X2により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0047】
まず、ヘッドボックスか31らパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト34に移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0048】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シート)とする(乾燥工程)。
【0049】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39を有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0050】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X2の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0051】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0052】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0053】
ここで、一次原反ロールJRを構成する一次連続シートS1は、後にティシュペーパー1に加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパー1と同等の坪量となる。従って、これを考慮して一次原反シートS1は具体的にはJIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2、好ましくは12〜20g/m2、より好ましくは13〜16g/m2とする。坪量が10g/m2未満であると、ティシュペーパー1の柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、ティシュペーパー1が硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとするのが望ましい。
【0054】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー1となる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパー1となりやすくなる。
【0055】
また、一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0056】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0057】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。
【0058】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0059】
(紙料)
ここで、一次原反ロール(一次原反シート)の原料となる紙料について説明すると、紙料は繊維原料としてパルプを主原料とするスラリー(パルプスラリー)に適宜の薬品を添加したものである。
【0060】
本発明においては、原料パルプは特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0061】
なかでも原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、ローション薬液との相性がよく、塗布後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0062】
紙料に添加する薬品例としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、粘剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などが挙げられる、なお、これらの薬品は、適宜の工程で湿紙に付与してもよい。
【0063】
[プライ工程〔二次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
(プライ加工)
抄紙工程で製造された一次原反ロールJRは、必要に応じて、図5に示す二次原反ロールの製造設備X3(以下、プライマシンともいう)に移送しプライ加工を行なう。
プライマシンX3は、一次原反ロールJRを2つ以上セット可能であり、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)は、その連続方向に沿って積層して積層連続シートとする重ね合わせ部51に供給されるように構成されている。
【0064】
ここで、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ積層連続シートS2の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS2の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS2の表面となり、他方の表面が積層連続シートS2の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS2の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0065】
プライマシンX3は、重ね合わせ部51の後段に、積層連続シートS2を巻取って二次原反ロールRとするための巻取り手段56が設けられている。この巻取り手段56は、積層連続シートS2を巻き取り手段56に案内しつつ巻取るための一対のワインディングドラムを有している。これら2つのワインディングドラム56A,56Aが二次原反ロールRの外周面に接して積層連続シートS2を案内しつつ巻き取りを補助する。
【0066】
ここで、プライマシンX3においては巻き取り部56の前段にスリット手段55を設けて、積層連続シートS2を連続方向にスリットして適宜の幅とした後に巻取ることで二次原反ロールRの幅を適宜調整することが可能である。例えば、積層連続シートS2の連続方向側縁部をカットするようにスリットして、適宜の幅に調整することができる。
【0067】
本発明の二次原反ロールRの幅は、マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部5〜30機あたり一つの二次原反ロールを用いること及びティシュペーパーの幅(150〜250mm)を考慮すると1500〜9200mmである。
【0068】
従って、この範囲となるようにスリットすることができる。但し、本発明は幅広の二次原反ロールRを用いることを可能とする発明であり、ここでスリット等を行なわず、一次原反ロールJRの幅と実質的に同幅の二次原反ロールRを製造し、そのままインターフォルダの原反ロール支持部にセットするのが操作、設備が簡易となるから望ましい。従って、スリットなどは行なわないほうが望ましい態様である。一次原反ロールJRの幅が過度に大きい場合など、後述するインターフォルダの二次原反ロール支持部との関係で必要となる場合にのみスリット工程を設ければよい。
【0069】
(カレンダー加工)
他方、プライマシンX3においては、重ね合わせ部51から巻き取り部56までの間にカレンダー部52を,52一つ以上設けて積層連続シートS2をカレンダー加工することができる。
【0070】
カレンダー部52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
【0071】
カレンダー部の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
【0072】
二つ以上のカレンダー部を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置することができる。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味する(以下同じ)。
【0073】
カレンダー加工におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
【0074】
本実施形態に係る二次原反ロールRの製造設備X3又は製造方法においては、加工速度は100〜1100m/分、好ましくは350〜1050m/分、より好ましくは450〜1000m/分とする。マルチスタンド式インターフォルダの生産性との関係により100m/分未満だと十分な生産性とは言えず本願発明の効果が得られがたくなる。他方、1100m/分超過であると安定的に生産するのが困難となる。
【0075】
[折畳み工程〔マルチスタンド式インターフォルダにおける工程〕]
プライマシンX3にて製造された二次原反ロールRは、図6〜8に示すように示すように、一対の折り板71,71を具備する折畳み機構部70がライン流れ方向に多数(通常80〜120基)並設された構造を有するマルチスタンド式インターフォルダX4の原反ロール支持部71に回動自在に取付けられる。
【0076】
ここで本発明のティシュペーパーの製造方法においては、特徴的に、以下のようにして源太ロール支持部に取付けられた二次原反ロールRから繰り出した二次連続シートS3を折畳み機構部70へ供給する。
【0077】
まず、図6〜8からも理解されるように、前記マルチスタンド式インターフォルダX4の隣接する複数の折畳み機構部70,70を5〜30機を一組(図6では5機)として、各組あたりに対応する幅の二次原反ロールR一つを原反ロール支持部71にセットする。
【0078】
ここで、各組の折畳み機構部の数はすべて同一である必要はない。例えば、200枚積層のティシュペーパー製品を製造する場合、100機の折畳み機構部を可動させるので、この場合には、30機×3組+10機の組合わせとすることができる。これに応じて、本発明においては、マルチスタンド式インターフォルダで用いる二次原反ロールの幅がすべて同一である必要もない。また、複数の抄紙設備X1を有し異なる幅の一次原反ロールJRを製造可能であるならば、そのような異なる幅の一次原反ロールJRから製造されるそれと同幅の異なる幅の二次原反ロールを用いることができるようにする観点から、各組の折畳み機構部の数を異なるようにしてもよい。
【0079】
なお、二次原反ロールRの生産性、マルチスタンド式インターフォルダX4での操業安定性及び薬液塗布の幅方向のムラの発生等を考慮すると、好ましくは5機〜17機、より好ましくは5〜10機を一組とする。
【0080】
ここで、対応する幅について説明する。図8に示すようにマルチスタンド式インターフォルダでは、折畳み機構部70が有する二つの折り板71,71の各折り板で一枚の連続シートを折り畳む。従って、一つの折畳み機構部70には、連続シートS5,S5を2つ供給する。また、折り板で折り畳まれる連続シートは、後にティシュペーパーとなるものであり、マルチスタンド式インターフォルダでは、この折り畳まれる連続シートの幅とティシュペーパー束を構成するティシュペーパーの幅とは同じである。従って、折り板機構部1機あたり、ティシュペーパーの幅の2倍幅分の原反ロールの幅が対応する。
【0081】
従って、本発明における対応する幅とは、(組内の折畳み機構部の数)×(ティシュペーパーの幅)×2を意味する。5機の折畳み機構部を一組とするのであれば、ティシュペーパー製品に納められるティシュペーパーの幅の10倍の幅の二次原反ロールRを取付ける。すなわち、折畳み機構部5機に対応する幅は、ティシュペーパーの幅の10倍の幅である。もちろん二次原反ロールRの幅は一次原反ロールの幅を超えることはないし、ロール側縁部を余剰部分としてトリムする場合には、この余剰分を含めた長さが対応する幅となる。
【0082】
次に、二次原反ロールRから繰り出された二次連続シートS3には、連続的に薬液付与工程で薬液を塗布する。この薬液付与工程及び薬液付与手段90の詳細は後述する。
【0083】
次にその薬液が塗布された二次連続シートS4をスリット手段160にて連続方向にスリットして、必要な数のティシュペーパー幅と同幅の複数の連続シートS5,S5…を形成する。マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部は、1機当たり2つの折り板を有し2枚のティシュペーパーと同幅の連続シートを折り畳むため、各組の折畳み機構部数×2枚の連続シートS5にスリットする。そして、かかるスリットを経てティシュペーパー1の幅とされた連続シートS5をそれぞれ二枚ずつ折畳み機構部70へと供給し、連続ティシュペーパー束10Cを製造する。
【0084】
次いで、この連続ティシュペーパー束10Cをカッター部170にて所定長さに裁断してティシュペーパー束10とする。ここで本発明における生産性については、この連続ティシュペーパー束10Cを裁断するカッターの処理速度によって定まる。現状ではカッターの処理速度は50〜120m/分である。そして、この速度は、上述の抄紙設備X1、プライマシンX3と比較すると遅い。そして、遅くても十分に高い生産性を発揮する。
【0085】
この理由は、マルチスタンド式インターフォルダX4では、通常折畳み機構部が80〜120機と多数あり、ここで使用される二次原反ロールの幅の総和は、抄紙設備X1やプライマシンで抄紙・加工される二次原反ロールの10〜30倍程度となるからである。すなわち、マルチスタンド式インターフォルダは、処理速度が遅くとも、二次原反ロールの消費速度は早いのである。
【0086】
従って、本発明の従ってインターフォルダ内での薬液付与、スリット、コンタクトエンボスを行なうことは、プライマシンや印刷設備等で行なうよりも極めて低速度で行なうこととなる。この低速で薬液塗布、スリット加工等ができるということは、高速に起因する塗布ムラ、スリットムラ、機器の故障等が発生し難くなるという有利な効果を奏する。また、塗布精度、スリット精度、コスト面でも優れたものとなる。
【0087】
[薬液付与工程]
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、上述のとおり原反ロール支持部71にセットした所定の幅広の二次原反ロールRから繰り出した二次連続シートS3に対してまず薬液を塗布する(図7参照)。ここで、本発明では薬液塗布工程の後にシートを巻取る工程がない。従って薬液含有に起因して発生するシートを巻取る際の巻きズレは、本発明の生産方法では発生しえない。これは本発明の生産方法の効果の一つである。
【0088】
薬液の塗布は、フレキソ印刷、グラビア印刷、カーテン塗工、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液付与手段を採用できる。但し、フレキソ印刷とグラビア印刷とでは、刷版の柔軟性、薬液の飛散防止、塗布量の調整が容易である等の要件からフレキソ印刷のほうが適する。さらに、紙面に刷版ロール等を接触させないことから紙厚の低下を招かないという点で、刷版ロール等を用いず直接的に薬液を紙面に付与する非接触形の塗布形態であるカーテン塗工、スプレー塗工、インクジェット印刷がより適する。
【0089】
ここで、非接触式の塗布形態は、刷版ロールを用いる印刷と比較すると高速で走行するシートに塗布するとムラが生じやすい傾向にある。本発明においては上述のとおり二次連続シートを繰り出す速度がインターフォルダX4のカッター部170の速度によって律速され、その速度を遅くもできる。従って、非接触式の塗布手段におけるムラ発生をもの防止することが可能である。ここで、特に好ましく採用できる薬液付与手段は設備設置コスト、設備設置面積を小面積にすることが可能なスプレー塗工、薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高いインクジェット印刷である。
【0090】
また、薬液付与手段90においては付与中の薬液の飛散防止等のために、例えば二次連続シートS3に対する薬液付与部分近傍をフード9Fなどで覆うのが望ましい。特に、スプレー塗布やカーテン塗工では、噴霧された薬液の飛散、噴霧方向の安定性、カーテン膜の安定形成において周囲の気流の関係を受けやすいことからかかるフード等を設けるのが特に望ましい。
【0091】
なお、本発明においてフレキソ印刷、カーテン塗工、スプレー塗布、インクジェット印刷を採用した場合の具体例は後述する。
【0092】
薬液塗布手段90は、単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくすることができるため、加工速度を高速とすることができ、上下方向に並設すると水平方向における設置スペースを小さくすることができる。
【0093】
また、本発明においては、薬液塗布手段はインターフォルダX4の原反ロール支持部71にセットする二次原反ロールの数に応じた数以上とすることができる。もちろん、複数の薬液手段で共用可能な機構については共有することができる、例えば、スプレー塗布やチャンバー方式の印刷機における薬液を貯留しておく薬液タンクや配管等がその例である。
【0094】
ここで、薬液の塗布量は、両面の合計の薬液塗布量は、0.3〜5.0g/m2とされ、好ましくは1.0〜4.0g/m2とされる。3.9g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。0.3g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。
なお、本発明においては、表裏面において薬液付与量が異なるようにしてもよい。
【0095】
薬液付与工程で付与する薬液については、粘度は40℃で1〜700mPa・sが望ましい。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)である。1mPa・sより小さいと薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと安定した塗布量とするコントロールがしにくくなる。
【0096】
本発明に用いるや薬液の成分としては、ポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものであるのが望ましい。
【0097】
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
【0098】
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0099】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0100】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0101】
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
【0102】
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0103】
(フレキソ印刷)
薬液塗布工程において、薬液付与手段90としてフレキソ印刷機を用いた例は図9〜15に示す。フレキソ印刷は樹脂性の弾力性がある刷版を用いるため二次連続シートS3の表面にクレープの多少の凹凸があっても印圧で調整可でありムラのない塗布が可能で、二次連続シートS3にシワが入り難くなる。また、一つのロールで幅広い薬液の粘度に対応でき、管理、設備メンテナンスの点で利点がある。
【0104】
ここで、本発明における二次連続シートS3に薬液を付与する場合、十分な薬液付与量としつつインターフォルダで操業性を悪化させないことを考慮すると、フレキソ刷版ロールの線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0105】
アニロックスロールの線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗布量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
【0106】
ここで、本発明では、前段の薬液付与工程において安定的に薬液が付与できることが重要であり、操業安定性に関わる上記刷版ロール及びアニロックロールの線数は重要である。なぜなら、薬液付与工程において不備があると、その後段の折畳み工程もストップするからである。従って、上記操業性を悪化させない各ロールの線数は、薬液付与量以外にも重要な意義を有する。
【0107】
なお、貯留タンクに貯留した薬液をアニロックスロールへ薬液を移行させる方式としては、ドクターチャンバー形式、タッチロール形式など適宜の方法が採られる。これらのフレキソ印刷の各方式を採用した形態例を詳述する。
【0108】
<ドクターチャンバー方式の実施形態例>
フキレソ印刷におけるドクターチャンバー形式を本発明に適用した形態例を図10〜図15を参照しながら説明する。本形態例では、二次連続シートS3の表裏面に薬液を付与すべく二つのフレキソ印刷機91A,91Bを用いている。各印刷機91A,91Bにおいては、薬液の入っているドクターチャンバー92A,92Bが回転可能なアニロックスロール93A,93Bと対向して配置されおり、ドクターチャンバー92A,92Bからアニロックスロール93A,93Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール93A,93Bと接し且つ二次連続シートS3の一面とも接する刷版ロール94A,94Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール93A,93Bから刷版ロール94A,94Bに薬液を受け渡すようになっている。そして、二次連続シートS3を挟んでこの刷版ロール94A,94Bと対向する弾性ロール95A,95Bとで二次連続シートS3に圧力を付与しつつ、刷版ロール95A,95Bから積層連続シートに薬液を塗布する。
【0109】
各ドクターチャンバー92A,92Bは、供給ホース96及び返送ホース97を介して薬液Lを貯留する貯留タンク98と連結されており、薬液循環経路の一部を構成する(以下、各印刷機91A,91Bについて同様の構成を説明するについては、ドクターチャンバー91A(91B)のように一方を括弧書きで表記する場合がある)。なお、貯留タンク98は、各ドクターチャンバーで92A,92B共有することができる。図示はしないが、薬液循環経路を循環する薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、ドクターチャンバー92A、92B等の塗布装置内で薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための中間タンクや配管ヒーター、二次連続シートS3の幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサー等を設置することができる。
【0110】
貯留タンク98からドクターチャンバー91A(91B)への薬液供給は、供給ポンプ99によって供給ホース96を介して加圧供給で行われ、薬液の押出量(流量)は、調整弁100の開閉により調整される。また、ドクターチャンバー91A(91B)から、貯留タンク98への薬液の返送は、吸引ポンプ101によって返送ホース97を介して行なわれる。
【0111】
また、ドクターチャンバー91A(91B)は、薬液が貯留されるチャンバー部102及びブレード103,104を具備する。チャンバー部102はアニロックスロール93A(93B)側の端部が開口しているとともに供給ホース96及び返送ホース97とが接続部105,106を介して連結されており、各ホース96,97を介して行なわれる薬液循環の際に薬液Lを貯留してアニロックスロール93A(93B)に供給する。他方、ブレード103,104は、アニロックスロール93A(93B)と当接するように設けられ、アニロックスロール93A(93B)に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行い、アニロックスロール93A(93B)への薬液の供給量を一定とする。
【0112】
他方、図11に示すように、薬液Lの返送路となる返送ホース97とチャンバー部102との接続部106の上面には、所定径の開口部分である孔部106aが形成されており、この孔部106aにより接続部内の薬液Lが外気接触し、吸引ポンプ101による薬液Lの吸引を行っても、薬液Lが外気接触して、チャンバー部102内の内圧を外気圧に近づけることができるように構成されている。これによってドクターチャンバー内の内圧変動が抑えられている。なお、当該孔部106aは、チャンバー部102の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、チャンバー部102の上面に連通するように形成してもよい。孔部106aは、チャンバー部102の薬液Lの液面より上方であれば、側面に設けてもよい。
【0113】
また、孔部106aにはチャンバー部102への薬液供給過多を判別するための判別手段が設けられる。判別手段は、例えば、孔部106a側を下端として、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材106bが例示でき、薬液Lを循環する過程で、薬液Lが孔部を介して当該チューブ106b内に流入するか否かを目視により確認することができる。チューブ106b内への流入が確認された場合は、チャンバー部102に貯留される薬液量が過多になっている(アニロックスロール91A(91B)に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁100操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することができる。なお、チューブ106bは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部106aの作用を相殺してしまうことはない。
【0114】
なお、チューブ106bの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部106bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。また、チューブ106bの上端或いは孔部にエアーフィルタを設置して紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。
【0115】
なお、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態は、これを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成してもよい。本形態の場合、マルチスタンド式インターフォルダにて印刷塗布を行なうので、複数の印刷機を管理する必要がある。したがって、自動判別及び判別結果の報知は使用者自身が行う負担を極めて軽減する点で重要であるので詳述する。
【0116】
この例は、図12に示すように孔部106aの周縁を上方向に延出させた円筒状部106cにセンサ106dを取付け、このセンサ106dからの信号を受けて報知部から判別結果を報知する。
【0117】
センサ106dは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、当該センサ06dの設けられた高さ位置(図12に示すy1)に達したか否かを検知する。
【0118】
報知部106eは、例えば、スピーカ等であり、センサ106dにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、上記センサ106dの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行う。
【0119】
本例では、過多の状態に至った場合には、使用者は報知部106eによりその旨を知ることができ、調整弁100を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
【0120】
さらに、図13に示すように、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態の判別は、自動判別機能に加えて、円筒状部106cにニードルバルブ及びオリフィスを備えるニードルバルブ構造の調整部106fを設けて、孔部106bの外気と接触する部分の開口の量を調整するように構成することができる。このように調整部106fにより、孔部106bの実質的な開口量を調整することにで、チャンバー部102内の内圧変動量に応じて、孔部106bの開口量を適宜に調整することができる。従って、センサ103eにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、検出位置に達したときに、薬液Lの押出量の調整で対処するだけでなく、調整部106fによる孔部106bの実質的な開口量の調整によって、孔部106bのエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、チャンバー部102内の内圧変動を抑える対処が可能となる。これにより、内圧変動によるチャンバー部102内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール93A(93B)上の薬液Lのドクターチャンバー92A(92B)側への吸込み等も好適に防止され、薬液Lの循環が促進される。
【0121】
他方、ドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機は、アニロックスロール93A(93B)は、ドクターチャンバー92A(92B)のブレード103,104と当接するように設けられ、ドクターチャンバー92A(92B)のチャンバー部102の開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
【0122】
刷版ロール94A(94B)は、周面がゴム材などの樹脂製材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(図10に示す点P1,点P2)がアニロックスロール93A(93B)及び弾性ロール95A(95B)(に巻きつけられる積層連続シートS3)の周面に当接するように設けられ、回動可能に構成されている。
【0123】
刷版ロール94A(94B)は、弾性ロール95A(95B)がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール93A(93B)をr1方向に回動させる。刷版ロール94A(94B)は、アニロックスロール93A(93B)の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS3に転写する。アニロックスロール93A(93B)により吸着された薬液Lがアニロックスロール93A(93B)の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール94A(94B)の周面に移送させることで、積層連続シートS3に薬液Lを均一に転写することができる。
【0124】
弾性ロール95A(95B)は、刷版ロール94A(94B)に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が付与されることで回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS3を把持できるように構成されている。そのため、弾性ロール95A(95B)は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS3を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール94A(94B)及びアニロックスロール93A(93B)を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール94A(94B)より薬液Lを転写させることができる。
【0125】
なお、弾性ロール95A(95B)の回動の向きは、図10においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール93A(93B)及び刷版ロール94A(94B)は図10とは逆方向(つまり、アニロックスロール93A(93B):r2方向、刷版ロール94A(94B):r1方向)に回動する。
【0126】
ここで、図10に示す例では、チャンバー部102に供給ホース96及び返送ホース97が各一つのみ繋がる構成であるが、チャンバー部102内における幅方向の薬液Lを均質にすべく、好ましく図14(A)〜(C)に示す構造を例示できる。その図14(A)は、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール93A(93B)に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー92A(92B)の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ供給ホース96が連結され、中央部に返送ホース97に繋がる構造例である。図14(B)は、幅方向Dに3つの供給ホース96と2つの返送ホース97とが交互に等間隔で繋がる構造例である。図14(C)は、チャンバー部102の上側寄りの複数箇所にそれぞれ供給ホース96が繋がり、下側寄りの複数箇所にそれぞれ返送ホース97繋がる構造例である。
【0127】
<2ロール転写方式の実施形態例>
次いで、フキレソ印刷における2ロール転写形式を適用した形態例を図15を参照しながら説明する。本形態例でも、二次連続シートS3の表裏面に薬液Lを付与すべく二つのフレキソ印刷機91C,91Dを用いている。各印刷機91C,91Dにおいては、薬液Lの入っている薬液タンク98C,98Dに回転可能な絞りロールでもあるディップロール92C,92Dが浸され、このディップロール92C,92Dが薬液タンク98C,98D外で回転可能なアニロックスロール93C,93Dに接しており、適当に薬液量が調整され量の薬液をアニロックスロール93C,93Dに受け渡す。薬液Lをアニロックスロール93C,93Dに受け渡すに、ディップロール92C,92Dを介することから2ロール転写方式と称される。ここで、ディップロール92C,92Dは薬液タンク98C,98Dから薬液Lを取り上げるとともに過剰な薬液をそのままアニロックスロール93C,93Dに受け渡さないようにする調整する役割を果たす。
【0128】
アニロックスロール93C,93Dは刷版ロール94C,94Dに接しており、ディップロール92C,92Dから転写された薬液Lを刷版ロール94C,94Dに受け渡す。刷版ロール94C,94Dは回転可能に設置され、アニロックスロール93C,93Dと接しているとともに、二次連続シートS3の一面とも接しており、二次連続シートS3を挟んで対向する弾性ロール95C,95Dとで二次連続シートS3に圧力を付与しつつ二次連続シートS3に薬液Lを塗布する。
【0129】
この2ロール転写方式においては、アニロックスロール93C、93Dに対してドクターブレードを設けても良く、この場合、薬液Lを均一に塗布できる、アニロックスロール93C、93Dから薬液Lが飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、ドクターブレードを手入れしたり交換したりしなければならないというデメリットが有る。
【0130】
なお、薬液タンク98C,98Dには、図示はしないが、薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための配管ヒーター、二次積層連続シートの幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0131】
<1ロール転写形式の実施形態>
次いで、フキレソ印刷における1ロール転写形式を本発明に適用した形態例を説明する。この例は、前述のフ2ロール転写形式からディップロールを省略したものである(図面は省略する)。この場合、アニロックスロールが、それぞれ薬液タンクに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロールに対しては、アニロックスロール表面の薬液を掻き取るドクターブレードを設置する。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0132】
(スプレー塗布)
薬液付与工程において薬液付与手段90としてスプレー塗布装置110,110を用いた例を図16〜19を参照しながら説明する。本形態例では、図16に示すように、二次連続シートS3の表裏面に薬液が付与されるようにスプレー塗布装置を設けることができる。このように表裏面にスプレー塗布するにおいては、図示例のように側方から二次連続シートS2の表裏面に噴霧可能にペーパーランを設計する形態、二次連続シートの表裏面に上下から噴霧する形態、上方から表裏面に噴霧するようにペーパーランを設計する形態、二次連続シートの積層を一度剥離させて、各連続シートにスプレーした後、再度積層する形態等を採ることができる。
なお、スプレー塗布では、周囲薬液が飛散することから、他の工程への影響を防止すべく、塗布部分を被覆するフード9Fを設けるのがよい。
【0133】
ここで、スプレー塗布は、具体的にはノズル式噴霧方式、ローターダンプニング噴霧方式等を採用することができる。ノズル式噴霧方式における噴霧用ノズルの型式としては、環状に噴霧する空円錐型ノズル、円形状に噴霧する充円錐型ノズル、正方形状に噴霧する充角錐型、充矩型ノズル、扇型ノズル等が挙げられ、薬液が二次連続シートの幅方向に対して均一に噴霧されるように、ノズル径、ノズル数、ノズル配列パターン、ノズル配置数、あるいは噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、および噴霧液の濃度、粘度などを適宜選択して使用することができる。
【0134】
また、ノズル式噴霧装置において霧化する方法については、一流体方式、または二流体方式の2種類の方式を選択して使用することができる。このうち一流体噴霧方式は、噴霧する薬液に対して圧搾空気を用いて直接圧力をかけてノズルから霧滴噴射する、または噴出口付近のノズル側面に開けた微細な穴からノズル内に空気を吸引して霧滴噴射する方式である。また、二流体噴霧方式は、ノズル内部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する内部混合型、ノズル外部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する外部混合型、微霧化した霧滴粒子を相互に衝突させて、霧滴粒子をさらに均質化・微粒子化する衝突型等の方式が挙げられる。
【0135】
他方、ローターダンプニング噴霧方式については、高速回転する円盤上に噴霧する液を送り出し、円盤の遠心力によって液を微霧滴化するのであり、円盤の回転数変更によって霧滴粒子径の制御を行い、円盤上への送液量変更によって噴霧液量(付与量)の制御を行なう。ものである。ローターダンプニング塗布装置は、少ない量の噴霧液量を霧滴の飛散を抑えつつ、顔料塗被紙表面に均一に塗布することができ、かつ噴霧速度や霧の粒子径等の調整が容易である利点がある。
【0136】
薬液を二次連続シート表面に均一に噴霧付与するためには、霧化された薬液の霧滴粒子径はできる限り微小であることが好ましい。しかしながら、霧滴が細かくなりすぎると噴霧した空気の跳ね返りや二次連続シート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、霧滴が二次連続シート表面に付着しにくくなる。このため、噴霧付与方式においては噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、噴霧速度を、加えて二流体方式の場合には、噴霧用の薬液と圧搾空気の混合比、および薬液の濃度や粘度等を適宜調節し、付与条件に適した粒子径に調節することができ、さらに噴霧時に随伴空気の影響が大きい場合は、随伴空気を除去するための吸引装置や邪魔板(整流板)、上述のフード等の設置、および噴霧ノズル先端に高電圧を加えて霧滴粒子を帯電させて、顔料塗被紙への霧適の付着性を向上させる荷電電極(静電噴霧方式)などを追加してもよい。
【0137】
二次連続シート表面に塗布されずにミストとして浮遊している霧滴粒子は、吸引・回収して再度噴霧することができる。
【0138】
図17には、ノズル式噴霧方式、特に二流体方式の薬液噴霧装置110を示した。この装置110は、中心に薬液通路110Aが、その周囲にエアー通路110Bが形成され、薬液通路110A先端から噴出された薬液Lを、エアー通路110Bから吐出されたエアーにより微霧化するものであり、ほぼ円錐形状に薬液Lを噴霧するようにしたものである。110Cは外部の保護ケーシングであり、紙粉などからノズルを保護すると共に、必要によりパージエアー通路を通すエアーによりノズルの清掃を行なうことができるようにしたものである。この種の薬液噴霧装置110は二次連続シートS3の幅方向に一つ又は複数間隔を置いて設けることができる。
【0139】
前述のように噴霧した薬液の跳ね返りや二次連続シート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、霧滴が二次連続シート表面に付着しにくくなるため、図18に示すように、一流体方式又は二流体方式の薬液噴霧手段(噴霧ノズル)の周囲から、ケーシング153Eに形成したエアー供給路から噴出させるエアー110Gにより、薬液噴霧手段(噴霧ノズル)からの噴霧薬液を取り囲むようにして薬液が二次連続シートに好適に付与することができる。
【0140】
図19は、ローターダンプニング噴霧装置120の例である。これは必要により設けられる覆い収納室内120Aに、回転ローター120Bを設け、回転ローターの噴出口120Cから薬液を二次連続シートS3に噴霧付与するようにしたものである。
【0141】
(インクジェット印刷)
薬液塗布工程において、薬液付与手段90としてインクジェット印刷機130を用いた例を図20〜22を参照しながら説明する。
図示例のとおり、本形態では、インクジェット形式とされる薬液塗布部130A,130Bは薬液の入っているタンク131A,131Bを有していて、このタンク131A,131Bが薬液を噴射し得るインクジェットヘッド132A,132Aに配管を介して接続された構造とされている。これに伴って、このタンク131A,131Bから供給ポンプ(図示しない)によりインクジェットヘッド132A,132Bに薬液を供給するようになっている。
【0142】
図21に示すように、このインクジェットヘッド132A(132B)の被塗布材である二次連続シートS3と対向する部分には、この二次連続シートS3の幅分に少なくとも対応する形で、複数のノズル孔134を直線的に並んで設けているノズル板133A(133B)が配置された構造になっている。
【0143】
そして、図22に示すように、このインクジェットヘッド132A,132B内には、噴射ユニット135が各ノズル孔に対応して複数配置されている。つまり、この噴射ユニット135は、ノズル孔134から射出する為の薬液を一時的に貯める流体室136と、この流体室136を挟んでノズル板133A(133B)と対向する部分に配置された振動板137と、この振動板137に当接して流体室136外に配置され且つピエゾ素子等により形成される圧電素子138とにより、構成されている。
【0144】
尚、振動板138は、例えばステンレス鋼等の金属製の板材により形成されていて、圧電素子138からの振動を流体室136に伝達し易い構造なっている。また、圧電素子68には、配線を介して図示しない制御装置が接続されていて、この制御装置から所定の間隔で圧電素子138に電圧が付与されるようになっている。
【0145】
従って、タンク131A(131B)からインクジェットヘッド132A(132B)に供給された薬液は、各ノズル孔134に対応して存在する流体室136内に送り込まれるようになっていて、必要に応じて制御装置が圧電素子138に電圧を加えることで、各ノズル孔134から一斉に薬液が噴射されることになり、これに伴い、積層連続シートS3の一方の面における幅分全体に亘って薬液が塗布されことになる。
【0146】
尚、上記実施形態では、インクジェット形式として、オンデマンド方式でピエゾ素子を採用した構造とされているが、サーマルジェット型を採用しても良い。更に、オンデマンド方式の替りに連続して噴射可能なコンティニュアス方式の噴射装置を採用しても良い。
【0147】
(カーテン塗工)
薬液塗布工程において、薬液付与手段90としてカーテンコーター140を用いた例を説明する。カーテンコーター140としては、例えば、図23に示される従来既知のカーテンコーターが使用できる。なお、カーテンコーターは、薬液の膜を垂下させることから、二次連続シートの表裏面に塗工する場合には二次連続シートの表裏面が上方に位置するようにペーパーランを設計して各面に塗工する。
【0148】
図23に示されるカーテンコーター1においては、予め調製された薬液Lは、塗液貯蔵タンクより給液ポンプ等によってコーターヘッド141へ送られる。前記コーターヘッド1412の内部は、マニホールド141aおよびスリット141bからなり、それぞれ高精度の仕上げが施されている。供給された疑似接着剤は、前記マニホールド141aに満たされ、更にスリット141bに送られるときに通過する狭い間隙において、給液ポンプの送液による動圧の影響が軽減され、幅方向における圧力分布が均一化され、リップ142より流出し、垂直なカーテン膜143Lを形成する。
【0149】
幅方向でプロファイルが均一となった垂直カーテン膜143Lは、連続走行している二次連続シートS3と接触し、二次連続シートS3に塗工される。ここでエッジガイド144はコーターヘッド141の幅を超えず、更に二次連続シートS3の幅を超えて設けられ、垂直カーテン膜は二次連続シートS3の幅を超えて形成される。垂直カーテン膜143Lが二次連続シートS3の幅を超えて形成されているのは、垂直カーテン膜143Lの両端部における薬液Lの厚塗りを防止するためである。二次連続シートS3の幅を超えて流下する薬液Lは、受液槽145に回収され、塗液貯蔵タンクに戻された後再び塗工される。また、二次連続シートS3が切断され塗工が中断された場合も、薬液Lは受液槽145に回収されるように構成されている。
【0150】
連続走行している二次連続シートS3と垂直カーテン膜143Lとの接触部(以後、「塗工部」という。)には二次連想シートS3に同伴する空気流を遮蔽し、カーテン周辺の空気の回流などで垂直カーテン膜143Lが乱れることなく二次連増シートS3に達するようにするため遮風板146が設けられている。また、二次連続シートS3の搬送方向は、塗工部の直前でロール147により方向転換することにより、二次連続シートS2に同伴する空気の塗工部への影響を最小限にとどめるように構成されている。なお、安定した状態で塗工するためには、二次連続シートS3からコーターヘッド141下部の流出部までの高さがある程度必要とされるが、安定に適した高さは60〜300mm、好ましくは100〜250mm、更に好ましくは120〜180mmである。
【0151】
〔コンタクトエンボス工程〕
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、二次原反ロールRから繰り出された二次連続シートS3、S4に対してコンタクトエンボスを付与することができる。コンタクトエンボスは、二枚の連続シート(プライ)の剥離をし難くするエンボス加工の一種である。
【0152】
コンタクトエンボスは、スリット工程の前段、好ましくはスリット手段160の前段であって薬液付与手段90の後段、すなわち二次連続シートS4に対して行なうのが望ましい。薬液付与後であれば薬液付与に起因するゆるみ、層剥離が生じ難く、また、スリット前であるほうがシートのばたつきがなく操業トラブルのおそれが小さいからである。
【0153】
ここで、コンタクトエンボスを付与するためのコンタクトエンボス手段150は、本形態では図24に示すように、金属ロール又は弾性ロールである受けロール154Bと表面に細かい凸部154Cを有する金属製で硬質のコロ154Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、二次連続シートS4におけるティシュペーパーの幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部154Cと、受けロール154Bとの間で二次連続シートS4を挟みつつ搬送することで、二次連続シートS4に対して、二次連続シートS4の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
【0154】
このようにコンタクトエンボスCEを付与することによって、複数の一次連続シート(図示例ではS11、S12)を積層して成る二次連続シートS4の層間剥離が効果的に防止される。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシュペーパーの端部が層間剥離し難くなるように、ティシュペーパー1の幅を考慮して、すなわち後段のスリット幅を考慮して両側部に位置するように形成するのが望ましい。
【0155】
コンタクトエンボス手段150でコンタクトエンボスCEを付与する場合、二次連続シートS3に対して薬液を塗布した後、0.3〜2.5秒、好ましくは0.3〜1.0秒以内にコンタクトエンボスCEを付与するのがよい。0.3秒未満であると薬液が原紙に十分吸収されないため、受けロール154Bやコロ154Aに薬液が付着して断紙したり、受けロール154Bやコロ154Aに汚れが付着したりする。2.5秒を超えると、薬液を塗布した二次連続シートS4のクレープが伸びきるため、その後で工程シワが生じにくくなり、嵩高なティシュペーパー製品を得づらくなる。また、二次連続シートS4が伸びきるとドロー変動に対応できる伸びが無くなり、また吸湿、吸水により引張強度が低下しているため、断紙し易くなり操業性が落ちるという問題もある。
【0156】
また、このコンタクトエンボス工程において、本実施形態ではコロ154Aとして表面に細かい凸部154Cを有した金属製で硬質のコロを用いたが、二次連続シートS4に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
【0157】
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部154Cの先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
【0158】
他方、凸部の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、凸部を1列に配置してコンタクトエンボスを連続して付与する他に、凸部を2列以上の複数列配置することも考えられる。そして、コンタクトエンボスを緊密に複数列付与するように凸部が配置された群を複数並べて、複数のコンタクトエンボス群を付与するようにしても良い。尚、接合工程としては、上記のように機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合しても良い。
【0159】
なお、図示はしないが薬液付与手段90とコンタクトエンボス手段150との間に、二次連続シートS4のテンションを制御するテンションコントロール手段を設けることもできる。このテンションコントロール手段は例えば円筒形状のロールから形成されており、二次連続シートS4の撓み具合に合わせて上下動可能とされている。
【0160】
(スリット工程)
本発明のティシュペーパー製品の製造方法においては、図7及び8に示すとおり、二次原反ロール支持部71から繰り出された二次原反ロールS3に薬液を塗布した後、折り板機構部70に供給する前にティシュペーパー1の幅の連続シートS5にスリットするスリット工程を有する。
【0161】
スリット加工を行なうスリット手段は、具体的には図示しないが、プライマシンで採用されているのと同様に、二次連続シートの幅方向にティシュペーパー幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段とすることができる。スリットされた各二次連続シートS5,S5は折畳み機構へと供給される。
【0162】
(折畳み工程機構部)
マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部71の動作について説明する。図9に折畳み機構部を、図25〜図28に折畳みの仕組みを図示する。本発明のマルチスタンド式インターフォルダX4は、上述のとおり折り板72を有する折畳み機構部70がライン流れ方向に多数(通常80〜120基)並設された構造を有し、原反ロール支持部71へセットされた二次原反ロールRから繰り出された二次連続シートは、薬液を付与され最終的にティシュペーパーの幅にスリットされて折畳み機構部70に供給される。
【0163】
折畳み機構部70には、折り板72が一対2つ具備されており各折板72,72に対して二次連続シートS5a,S5bがガイドローラ74、ガイド丸棒部材75を介して送られる。各折り板72,72の下方には、それよりもライン上流側の折畳み機構部70で折り畳みながら積み重ねられた連続ティシュペーパー束10Cが位置しており、この連続ティシュペーパー束10Cに当該折畳み機構部70で折り畳まれた二次連続シートS5a,S5bが関連づけられて積み重ねられる。そしてこれらの連続ティシュペーパー束10Cはコンベアによって順次下流へと送られるように構成されている。すなわち、上流に位置する折畳み機構部70から下流に位置する折畳み機構部70へと行くにしたがって連続ティシュペーパー束10Cの積層数が多くなっていく。なお、この種の折り板72,72…を用いた折畳み機構部70は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。
【0164】
さらに、折畳み機構部70での折畳みについて詳述すると、図27に示すようにして、折畳み機構部70に供給された各連続する二次連続シートS5a,S5bを、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する連続する二次連続シートS5a,S5bの側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。このとき、図24〜図26に示すように、折畳み機構部70においては、各折り板72,72に対して、連続する二次連続シートS5a,S5bが案内され、この際、連続する二次連続シートS5a、S5bは、ガイド丸棒部材75,75によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0165】
折り板72,72に案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の連続する二次連続シートS5aとし、上側に重なっている連続する二次連続シートを第2の連続する二次連続シートS5bとすると、これら連続する二次連続シートは、図9及び図24に示すように、第1の連続する二次連続シートS5aの第2の連続する二次連続シートS5bと重なっていない側端部e1が、折り板72の側板72eによって、第2の連続する二次連続シートS5bの上側に折り返されるとともに、図9及び図25に示すように、第2の連続する二次連続シートS5bの第1の連続する二次連続シートS5aと重なっていない側端部e2が、折り板72のスリット72sから折板P下に引き込まれるようにして下側に折り返される。
【0166】
この際、図9及び図25に示すように、上流の折り板において折り畳みながら積み重ねられた連続する二次連続シートS5aの側端部e3(e1)が、折り板のスリットから第2の連続する二次連続シートの折り返し部分間に案内される。
【0167】
このようにして、各連続する二次連続シートは、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する連続する二次連続シートの側端部相互が掛け合わされる。
【0168】
〔裁断工程〕
以上のようにしてマルチスタンド式インターフォルダX4の各折り板機構部70,70…に折畳み重ねられた薬液含有の連続ティシュペーパー束10Cは、図6に示すように、最下流の折り板機構部70の後段のカッター部170において流れ方向に所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束10とされる。ここで、カッター部における処理速度は50〜120m/分であり、本発明においては係るカッターの処理速度によって原反ロール支持部71にセットされた二次原反ロールRからの二次連続シートS2の繰り出し速度が定まる。
【0169】
『収納工程』
ティシュペーパー束の収納箱への収納例について説明する。なお、ティシュペーパー束の収納箱への収納方法は、この例に限定されず既知の方法を採用することができる。
裁断工程によって裁断されて形成されたティシュペーパー束は、図29に示すように、マルチスタンド式インターフォルダX4の後段の収納設備において収納箱2に収納される。
【0170】
具体的には、上述の上面2U、底面及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有する収納箱を、底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uが開いた状態、すなわち端面が開口された状態に半完成の状態に組立てるとともに、その開口部に対面するようにインターフォルダX4から送られてくるティシュペーパー束10の裁断面を付き合わせる。
【0171】
そして付き合わせたならば、ティシュペーパー束10をプッシュロッド等によって収納箱内へ押し込む。ティシュペーパー束10が収納箱内に押し込まれたら、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着する。
この接着によって本発明のティシュペーパー製品X1の製造は完了する。
【0172】
なお、本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダX4では、連続ティシュペーパー束10Cは、流れ方向が縦方向(MD方向)、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、連続ティシュペーパー束10Cを所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束10を構成するティシュペーパー1の紙の方向は、図示のとおり、ティシュペーパー1の折り畳み部の延在方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0173】
したがって、上述のように収納箱2に収納された本発明によって製造されるティシュペーパー製品X1は、図2に示すように、ティシュペーパー1を収納箱2から引き出す際には、その引き出し方向がティシュペーパーの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【符号の説明】
【0174】
X1…ティシュペーパー製品、1…ティシュペーパー、1e…ティシュペーパーの折り返し辺の縁、10…ティシュペーパー束、2…収納箱、2U…収納箱(紙箱)上面、2S…収納箱(紙箱)の側面、20L…収納箱(紙箱)の長手縁、20S…収納箱(紙箱)の短手縁、21…取出口形成部(ミシン目線)、22…フィルム、23B…底面側端面片、23S…側面端面片、23U…上面側端面片、24…スリット、25…取出口、
X2…抄紙設備、JR…一次原反ロール(ジャンボロール)、W…湿紙、S1…乾燥原紙(一次連続シート)、31…ヘッドボックス、32…ワイヤーパート、32w…ワイヤ、333…プレスパート、33F…フェルト、34,35…脱水ロール、36…ヤンキードライヤー、36C…ヤンキードライヤーフード、37…ドクターブレード、38…巻き取り手段、39…ワインディングドラム。
X3…プライマシン、S11 ,S12…一次連続シート、S2…二次連続シート、51…重ね合わせ部、56…巻き取り手段、
70〜80…インターフォルダ
X4…マルチスタンド式インターフォルダ、S3〜S5…二次連続シート、70…折り畳み機構部、71・・・原反ロール支持部、72…折り板、73,74…ガイドローラ、75…ガイド丸棒部材、10C…連続ティシュペーパー束、
L…薬液、90…薬液付与手段、9F…フード、91A〜91F…フレキソ印刷機、92A,92B…ドクターチャンバー、92C,92D…ディップロール(絞りロール)、93A,93B,93C,93D…アニロックスロール、94A,94B,94C,94D…刷版ロール、95A,95B,95C,95D…弾性ロール、96…供給ホース、97…返送ホース、98…貯留タンク、98C,98D…薬液タンク、99…供給ポンプ、100…調整弁、101…吸引ポンプ、102…チャンバー部、103,104…ブレード、105…供給ホースとチャンバー部との接続部、106…返送ホースとチャンバー部との接続部、106a…孔部、106b…判別手段(チューブ)、106c…円筒状部、106d…センサ、106e…報知部、106…調整部、
110…二流体方式のノズル式薬液噴霧装置、110A…薬液通路、110B、110F…エアー通路、110C、110E…保護ケーシング、110D…パージエアー通路、110G…圧空、120…ローターダンプニング噴霧装置。
130…インクジェット、131A,131B…インクタンク、132A,132B…インクジェットヘッド、133A,133B…ノズル板、134…ノズル孔、135…噴射ユニット、136…流体室、137…振動板、138…圧電素子、
140…カーテンコーター、141…コーターヘッド、141a…マニホールド、141b…スリット、リップ…142、143L…カーテン膜、144…エッジガイド、145…受液槽、146…遮風板、147…ロール、
CE…コンタクトエンボス、150…コンタクトエンボス手段、154A…コロ(エンボスロール)、154B…受けロール、154C…エンボス凸部、
160…スリット手段、 170…カッター部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー製品の製造方法、特に薬液が付与されたティシュペーパーが収納箱に収納されたティシュペーパー製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<ティシュペーパー製品>
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取り出し口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる(一枚を取り出すとそれに連続して次ぎの一枚が取出し口から引き出される形式をポップアップ式ともいう)。
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿剤、柔軟剤、などの薬液(通常「ローション薬液」とも呼ばれる)を塗布した薬液塗布タイプのものと、薬液等が塗布されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
薬液が塗布付与されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
薬液付与タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0003】
<ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要>
ティシュペーパー製品の製造の流れは次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールとも称される)を製造する。
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)からなる二次原反ロールを製造する。
次いで、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートをインターフォルダと呼ばれる折畳み設備に供給し、二次連続シートを折畳むとともに順次積層してティシュペーパー束を製造し、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0004】
ここで、特に薬液付与タイプの製品においては、特にインターフォルダの前段において、適宜の設備、例えばプリンタ設備などによって予め一次又は二次原反ロールから一度連続シートを巻きだして薬液を付与し、再度巻取って薬液付与原反ロールを製造する。
なお、従来の薬液付与タイプの製品の製造方法は、下記特許文献1〜3に製造方法や設備が例示されている。
【0005】
<ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類>
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献4、5)とロータリー式インターフォルダ(特許文献6、7)の2種のインターフォルダが使用されている。
【0006】
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献4、5にも示されるように、折り板を有する折畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、各折畳み機構部対して同時にティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次連続シートを2シート並べて連続的に供給すると、各折畳み機構部で二枚の二次連続シートを折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折畳み機構で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成される。ここで折畳み機構部の1機とは、二次連続シートを2シート並べ各シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0007】
一方、ロータリー式インターフォルダは、一対の二次原反ロールから繰り出された各二次連続シートを先端側から回転式の折り板によって折り畳みつつ裁断し、その裁断した各二次原反ロールからのシートが順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。
したがって、このロータリー式インターフォルダでは、連続操業の中で所定の積層枚数のところで適宜マーキングして手動で分割する、あるいは所定積層枚数のところで自動で分割するなどして積層シート束を得る操作を擁する。しかも得られる積層シート束は、二次原反ロールの幅長とほぼ同じ長さの比較的短いものである。このためマルチスタンド式インターフォルダと比較すると生産性には劣る。
具体例を例示すれば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0008】
<従来のティシュペーパー製品とインターフィルダとの関係>
従来、マルチスタンド式インターフォルダは多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられ、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液付与タイプの製造はロータリー式インターフォルダにより製造されるのが一般的である(例えば、下記特許文献1)。
しかし、上述のとおり需要拡大による生産量増加を考慮すると、薬液付与ティシュペーパーにおいてもマルチスタンドインターフォルダでの製造が望まれる。
【0009】
しかし、薬液付与タイプの製品に用いるティシュペーパー束をマルチスタンド式インターフォルダにより製造するには、生産量のほか以下のような技術的な問題点があり困難であった。
【0010】
<薬液付与タイプのティシュペーパー束をマルチスタンド式インターフォルダにより製造する場合の問題点>
マルチスタンド式インターフォルダでは、プライマシンなどに設けたスリッターにより、収納箱に納めるティシュペーパーの幅と同幅にスリットされた二次原反ロールを支持部にセットし、かかる二次原反ロールから連続的に折畳み機構部にいっせいに供給する。
【0011】
そして、原反ロール支持部へ二次原反ロールの取付けは、ティシュペーパーの幅と同幅にスリットされた二次原反ロールを2つ、4つ或いは6つを一つの軸に巻取ってなる二次原反ロールユニット(以下、単にロールユニットともいう)を形成し、かかる多数のロールユニットを原反ロール支持部にセットするようにしている。マルチスタンド式インターフォルダでは多数の折畳み機構部を有するため、多数のロールユニットを取付ける煩雑な操作を有する欠点がある。そして、特に、薬液付与タイプの製品では薬液に起因する水分、油分等が含有されるため二次原反ロールユニットの重量が重く、多数のロールユニットをセットする煩雑さは汎用品よりも増す。さらに、薬液が付与された二次原反ロールは、紙中へ薬液を十分に浸透・分散させるべく所定期間保管して養生させることがあり、また、そのような養生をしない場合でもインターフォルダに供するまでに保管することがある。そして、薬液が塗布された二次原反ロールは、水分、油分等の液分を含むとともに、吸湿しやすいことからロールが変形しやすい傾向にある。このため、多数のロールユニットを形成してマルチスタンド式インターフォルダに用いようとすると、各ロールユニットのロール変形に対応し管理しつつ運転する必要が生ずる。また、多数のロールユニットを用いることから、薬液に起因する品質を各ロールユニットで品質管理も煩雑となる。
【0012】
他方、従来の薬液塗布工程は、フレキソ印刷、グラビア印刷、ロール塗工など、刷版などのロールに薬液を付与し、そのロールを介して薬液を連続シートに付与することとしていた。この方式では、刷版ロール等に均一に薬液を付与する必要性があるため、必然的にある程度の量の薬液をロールに付与しなければならない。すなわち、薄塗りすることができない。このためこの従来の薬液付与工程は、上述の二次原反ロールの変形に拍車をかけるものであり、この従来の薬液塗布方法もマルチスタンド式インターフォルダでの薬液付与ティシュペーパー製品の製造を困難ならしめる副次的な要因の一つである。
【0013】
さらに、上述のロールを介して薬液を付与する方法の場合には、紙と刷版ロールが圧接するため薬液付与時に紙厚が薄くなる。このためべとつかない程度の薬液付与をしようとすると基紙(連続シート)の紙厚を厚くしなければならず、原料コストが高い傾向にある。また、従来の薬液付与工程は、抄紙機に抄紙工程、プライマシンによる積層工程、インターフォルダによる折り工程の他に、別途に薬液付与設備を設置して薬液塗布工程を行なっている。このため、薬液付与設備から次工程のプライマシンやインターフォルダに移送する煩雑な操作を要するとともに、設備コストが極めて高く製品が高価となる原因となっていた。
これらの製品を高価なものとする要因があることも、生産量を多くできない、あるいは汎用品の生産設備を用いてまで生産量の増加させる必要性を消極的なものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−322034号公報
【特許文献2】特表2008−525103号公報
【特許文献3】特開2008−264564号公報
【特許文献4】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献5】特開2006−240750号公報
【特許文献6】特開昭61−37668号公報
【特許文献7】特開平5−124770号公報
【特許文献8】特開2008−245780号公報
【特許文献9】特開2008−183411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明の課題は、薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を効率よく製造する方法を提供する。また、薬液付与ティシュペーパーにおける製造コストを低下させ、また、大幅な設備改造を要することなく、既設備の小改良で足り、生産性に極めて優れた製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
収納箱内にティシュペーパーの束が収容されているティシュペーパー製品の製造方法であって、
マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部を5〜30機で一組とし、
各組あたりに対応する幅の二次原反ロールを取付け、
二次原反ロールから二次連続シートを繰り出し、
その繰り出された二次連続シートに薬液を塗布し、
その薬液が塗布された二次連続シートを連続方向にスリットしてティシュペーパー幅と同幅の連続シートを形成し、
そのスリットされた連続シートを各折畳み機構部へ供給して連続ティシュペーパーの束を製造し、
この連続ティシュペーパー束を所定長さに裁断して収納箱に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0017】
〔請求項2記載の発明〕
前記薬液の塗布は、スプレー塗布、インクジェット印刷、カーテン塗工の何れかにより行なう請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【0018】
〔請求項3記載の発明〕
二次原反ロールから繰り出された連続シートの両側縁部を裁断した後に、ティシュペーパーの幅と等幅にスリットする請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【0019】
〔請求項4記載の発明〕
前記二次原反ロールの幅を1500〜9200mmとし、ティシュペーパーの幅を150〜250mmとする請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、搾水された湿紙を乾燥して乾紙とした後に巻き取って一次原反ロールを形成し、この一次原反ロールをいわゆるプライマシンによりプライ加工を行なって、ティシュペーパー製品用二次原反ロールを連続的に製造してマルチスタンド式インターフォルダに供給する。
【0021】
そして、そのプライマシンによる加工の際に小幅にスリットした多数の二次原反ロールを製造することなく、折畳み機構部を5〜30機に対応する幅広の二次原反ロール、好ましくプライマシンにてスリット加工しない二次原反ロールをマルチスタンド式インターフォルダにセットすることとした。従って、多数の薬液が付与された小幅二次原反ロールをセットする必要がなく、小幅原反ロール及び薬液付与に起因する品質のばらつき解消される。また、多数の二次原反ロールユニットを原反ロール支持部にセットする煩雑な操作からも解放される。
【0022】
さらに、本発明ではマルチスタンド式インターフォルダ内において、二次原反ロールから繰り出した二次連続シートが折り板機構に供給される前にフレキソ印刷方式等による薬液付与手段を設けて二次連続シートに薬液を付与する。したがって、大幅な設備改造を要することなく、既設の抄造設備及びプライマシンを使用し、マルチスタンド式インターフォルダの一部の改造で足りるので、投資設備費が少ないもので足りる利点がある。
【0023】
しかも、マルチスタンド式インターフォルダ内に薬液付与手段を設けるものであるため、マルチスタンド式インターフォルダの高い生産性を損なわない。また、二次連続シートは薬液付与後、直ちに折り畳まれて所定の寸法に裁断して束とされ、収納箱内に納められることができるから、吸湿によるシートの伸びなどの寸法変化等の問題も生じにくい。
【0024】
また、プライマシンや薬液付与設備などインターフォルダとは別途の薬液塗布設備にて薬液を付与する従来方法と比較すると、薬液が付与された変形しやすい二次原反ロールを当該薬液付与設備からマルチスタンド式インターフォルダに移動し設置する際の、二次原反ロールの変形等のハンドリングの問題がない。
【0025】
さらにスタンドに設置し折畳み加工する際の二次原反ロールの巻きズレの問題も発生しないため、安定した操業が可能である。
【0026】
さらに、薬液付与は、スプレー塗布、インクジェット印刷、カーテン塗工によって行われる場合、これらスプレー塗布、インクジェット印刷、カーテン塗工はいずれも連続シートに直接刷版等が接触しない非接触式の薬液付与方法であり、薬液内に紙粉が混入しないし、紙粉を発生させる要因となる刷版等との摩擦がない。従って、薬液付与時における紙粉に起因する種々の問題が発生しない。さらに、薬液付与工程において薬液が付与されたのち直ちに形成される積層連続シート束は、付与された薬液によって紙粉がシートから離れず、紙粉が発生し難い。
【0027】
特に、スプレー塗布は、連続シート幅方向に適当数のスプレーノズルを設置して、スプレーノズル先端から薬液の粒子を高圧で噴射しシート表面に塗布するものであり、設備が単純で設備コストがかからない特徴がある。
【0028】
また、インクジェット印刷方式はヘッドと呼ばれるノズルを持つ小さなインクタンクに電気信号で振動を与え、そのエネルギーで微小液滴を噴射し、液滴単位で紙表面に「塗布する」、「塗布しない」の選択ができるため薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高い特徴を持つ。
【0029】
カーテン塗工は水平方向に流れる連続シートに垂直に薬液を落下させ、その皮膜をシート表面にそのまま塗布するもので均一な塗布面が得られる特徴がある。この中で設置コストの点ではスプレー塗布が、品質管理の点ではインクジェット印刷が望ましい。
【0030】
加えて、本発明では、一次原反ロールの製造過程で、湿紙をヤンキードライヤーで乾燥することで得られた乾紙をプライマシンによりプライ加工し、そのプライ加工した二次原反ロールをマルチスタンド式インターフォルダに取付け、そのマルチスタンド式インターフォルダ内に薬液塗布工程を設けて積層連続シートに薬液を付与し、直ちに折畳み機構部で折り畳まれる。従って、薬液が紙内部に吸収されてシートのクレープが伸びてしまう前に折畳み加工されるので、薬液付与に起因するシート(紙)の急激な伸びの発生によるシワや紙厚と嵩の減少を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明にかかるティシュペーパー製品の斜視図である。
【図2】本発明にかかるティシュペーパー製品の使用状態の斜視図である。
【図3】そのIII- III断面図である。
【図4】一次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図5】二次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図6】本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダの概略図である。
【図7】本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダの側面概略図である。
【図8】折り板機構部を説明するための斜視図である。
【図9】本発明にかかるフレキソ印刷を行なう形態の説明図である。
【図10】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図11】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図12】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図13】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図14】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図15】本発明にかかる2ロール転写方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図16】本発明において薬液付与手段としてスプレー塗布を用いた構成を示す図である。
【図17】スプレー塗布装置の示す概略図である。
【図18】スプレー塗布装置を示す概略図である。
【図19】スプレー塗布装置を示す概略図である。
【図20】インクジェット印刷機の要部拡大図である。
【図21】インクジェット印刷機の薬液塗布部を示す斜視拡大図である。
【図22】インクジェット印刷機のヘッドの内部を示す拡大断面図である。
【図23】カーテン塗工を説明するための斜視図である。
【図24】コンタクトエンボス加工の説明図である。
【図25】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図26】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図27】二次連続シートの折り畳み方を示す斜視図である。
【図28】二次連続シートの折り畳み方を示す束断面図である。
【図29】収納工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳説する。
<ティシュペーパー製品>
図1〜3に、本発明にかかるティシュペーパー製品X1を示す。本発明にかかるティシュペーパー製品X1は、複数枚のティシュペーパー1が、折り畳まれ重層されてなるティシュペーパーの束10が、上面2Uに取出口又は取出口形成部21が形成された収納箱2に収納され、使用時にその取出口21からティシュペーパー1の一枚を取り出すと、隣接して積層されている下層の一枚の一部が取出口から露出されるように構成されたものである。
【0033】
[収納箱]
ティシュペーパー1の束10が収納される収納箱2は、カートン箱とも呼ばれる直六面体形状の箱体である。この収納箱2は、製品外観をなすものであり、ティシュペーパー製品X1を示す図1及び図2にも示されているとおり、上面20Uに取出口形成部21である環状のミシン目線21を有する紙箱20と、前記ミシン目線21により囲まれる範囲21aを紙箱内側から覆う樹脂製フィルム22とを有する。
【0034】
紙箱20は、収納箱の外郭をなす紙製の箱体であり、その大きさ、形状、展開形状等は既知の収納箱の紙箱の構成が採用される。
その形状としては、図示例の一対の平行な長手縁20L,20Lとこれらよりも短い一対の平行な短手縁20S,20Sとで構成される長方形の上面2Uを有する直六面体形状が例示でき、その構造としては、上面2U、底面(図示されず)及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有し、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して構成される構造が例示できる。
【0035】
収納箱2の大きさは、ティシュペーパー1の束10より若干大きく、概ね束10の外形よりも1〜20mm程度大きい内形とされる。一般的な収納箱2の大きさを例示すると、概ね長手縁が110〜320mm、短手縁が70〜200mm、高さが40〜150mm程度である。少なくとも本発明においてもこの大きさの収納箱1が採用できる。
【0036】
紙箱20の素材としては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする既知の紙素材が採用できる。好適には、紙箱の素材は、坪量250〜500g/m2、好適には350〜400g/m2のコートボール紙である。
【0037】
なお、紙箱は、図示はしないが、花柄、螺旋模様、波模様、ドット模様、亀甲模様、星模様、十字模様、幾何学模様など適宜の文字・図形・絵・記号の単体又はこれらの組み合わせにより構成される適宜の模様を採用することができる。紙箱外面に対する模様の付与は、グラビア印刷等の既知の印刷方法により行うことができる。
【0038】
他方、紙箱20の上面2Uに形成されるミシン目線21は環状をなし、既知の方法及びカットタイ比で形成され、これにより囲まれる範囲の具体的形状については必ずしも限定されない。ただし、収納箱2においては、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形が代表的であり、取出し性、利便性が高いことから、本発明においても多くの既存の製造ラインで製造可能なこの形状が好適である。
【0039】
他方、前記樹脂製フィルム22は、前記ミシン目線により囲まれる範囲のサイズより大きく、例えば、矩形や楕円形であり、紙箱上面の内面側において、特に環状ミシン目線21の切り剥がしに影響がないように、環状ミシン目線21の外側で接着されている。この樹脂性フィルム22の好適な素材は、ポリエチレンフィルムであるが、ポリプロピレン、ポリエステルなども例示できる。
【0040】
樹脂製フィルム22の厚みは、10〜200μmが適する。10μm未満では、強度的に不足し、ティシュペーパー1の取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、強度の問題はないものの、取り出し難くなり、またコスト高となる。
【0041】
他方、この樹脂製フィルム22には、スリット24が形成されており、このスリット24はミシン目線21により囲まれる範囲に位置されている。
【0042】
従って、図1及び2に示されるとおり、前記環状ミシン目線に沿ってそのミシン目線21により囲まれる範囲21aを切り剥がすことにより、紙箱上面2Uに取り出口が形成されるとともに、前記樹脂製フィルム22及びそれに形成されたスリット24が取出口25を介して露出される。なお、前記スリット24の長さは、適宜の長さとすることができ、既知の環状ミシン目線21との大きさの関係で適するとされる長さが採用できる。
【0043】
収納箱2に束として収納されているティシュペーパー1は、前記スリット24を介して取出口25から一枚ずつ取り出される。そして、当該スリット24によって、取出口25から露出されるティシュペーパーの一部が支持されてカートン箱内部に落ち込むことが防止されるようになっている。
【0044】
[ティシュペーパーの束の基本構成]
本発明のティシュペーパー1の束10は、ティシュペーパー1が折り畳まれ、積層されてなるものである。より具体的には、図3からも理解されるように、方形のティシュペーパー1が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁1eが上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されている。なお、ここで実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0045】
本積層構造のティシュペーパー1の束10は、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、摩擦により上方に引きずられて持ち上げられる。そして、かかる構造のティシュペーパー1の束10は、その最上面が上述の上面2Uに取出口25等を有する収納箱2の当該上面に向かいあって収納され、前記取出口25、特にスリット24から最初の一枚(最上面に位置する一枚)が引き出されたときに、その直近下方に位置する他の一枚の一部が露出される。なお、本発明のおけるティシュペーパー1の積層枚数が限定されないが、この種の製品の一般的な積層枚数を例示すれば、120〜240枚である。
【0046】
<ティシュペーパー製品の製造方法>
次に、上記のティシュペーパー製品X1の本発明にかかる特徴的な製造方法について説明する。
[抄紙工程〔一次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
本発明に用いる二次原反ロールの製造方法について説明する。二次原反ロールを製造するには、図4に示す抄紙設備例X2により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0047】
まず、ヘッドボックスか31らパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト34に移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0048】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シート)とする(乾燥工程)。
【0049】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39を有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0050】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X2の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0051】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0052】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0053】
ここで、一次原反ロールJRを構成する一次連続シートS1は、後にティシュペーパー1に加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパー1と同等の坪量となる。従って、これを考慮して一次原反シートS1は具体的にはJIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2、好ましくは12〜20g/m2、より好ましくは13〜16g/m2とする。坪量が10g/m2未満であると、ティシュペーパー1の柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、ティシュペーパー1が硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとするのが望ましい。
【0054】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー1となる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパー1となりやすくなる。
【0055】
また、一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0056】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0057】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。
【0058】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0059】
(紙料)
ここで、一次原反ロール(一次原反シート)の原料となる紙料について説明すると、紙料は繊維原料としてパルプを主原料とするスラリー(パルプスラリー)に適宜の薬品を添加したものである。
【0060】
本発明においては、原料パルプは特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0061】
なかでも原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、ローション薬液との相性がよく、塗布後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。
【0062】
紙料に添加する薬品例としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、粘剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などが挙げられる、なお、これらの薬品は、適宜の工程で湿紙に付与してもよい。
【0063】
[プライ工程〔二次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
(プライ加工)
抄紙工程で製造された一次原反ロールJRは、必要に応じて、図5に示す二次原反ロールの製造設備X3(以下、プライマシンともいう)に移送しプライ加工を行なう。
プライマシンX3は、一次原反ロールJRを2つ以上セット可能であり、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)は、その連続方向に沿って積層して積層連続シートとする重ね合わせ部51に供給されるように構成されている。
【0064】
ここで、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ積層連続シートS2の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS2の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS2の表面となり、他方の表面が積層連続シートS2の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS2の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0065】
プライマシンX3は、重ね合わせ部51の後段に、積層連続シートS2を巻取って二次原反ロールRとするための巻取り手段56が設けられている。この巻取り手段56は、積層連続シートS2を巻き取り手段56に案内しつつ巻取るための一対のワインディングドラムを有している。これら2つのワインディングドラム56A,56Aが二次原反ロールRの外周面に接して積層連続シートS2を案内しつつ巻き取りを補助する。
【0066】
ここで、プライマシンX3においては巻き取り部56の前段にスリット手段55を設けて、積層連続シートS2を連続方向にスリットして適宜の幅とした後に巻取ることで二次原反ロールRの幅を適宜調整することが可能である。例えば、積層連続シートS2の連続方向側縁部をカットするようにスリットして、適宜の幅に調整することができる。
【0067】
本発明の二次原反ロールRの幅は、マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部5〜30機あたり一つの二次原反ロールを用いること及びティシュペーパーの幅(150〜250mm)を考慮すると1500〜9200mmである。
【0068】
従って、この範囲となるようにスリットすることができる。但し、本発明は幅広の二次原反ロールRを用いることを可能とする発明であり、ここでスリット等を行なわず、一次原反ロールJRの幅と実質的に同幅の二次原反ロールRを製造し、そのままインターフォルダの原反ロール支持部にセットするのが操作、設備が簡易となるから望ましい。従って、スリットなどは行なわないほうが望ましい態様である。一次原反ロールJRの幅が過度に大きい場合など、後述するインターフォルダの二次原反ロール支持部との関係で必要となる場合にのみスリット工程を設ければよい。
【0069】
(カレンダー加工)
他方、プライマシンX3においては、重ね合わせ部51から巻き取り部56までの間にカレンダー部52を,52一つ以上設けて積層連続シートS2をカレンダー加工することができる。
【0070】
カレンダー部52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
【0071】
カレンダー部の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
【0072】
二つ以上のカレンダー部を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置することができる。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味する(以下同じ)。
【0073】
カレンダー加工におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
【0074】
本実施形態に係る二次原反ロールRの製造設備X3又は製造方法においては、加工速度は100〜1100m/分、好ましくは350〜1050m/分、より好ましくは450〜1000m/分とする。マルチスタンド式インターフォルダの生産性との関係により100m/分未満だと十分な生産性とは言えず本願発明の効果が得られがたくなる。他方、1100m/分超過であると安定的に生産するのが困難となる。
【0075】
[折畳み工程〔マルチスタンド式インターフォルダにおける工程〕]
プライマシンX3にて製造された二次原反ロールRは、図6〜8に示すように示すように、一対の折り板71,71を具備する折畳み機構部70がライン流れ方向に多数(通常80〜120基)並設された構造を有するマルチスタンド式インターフォルダX4の原反ロール支持部71に回動自在に取付けられる。
【0076】
ここで本発明のティシュペーパーの製造方法においては、特徴的に、以下のようにして源太ロール支持部に取付けられた二次原反ロールRから繰り出した二次連続シートS3を折畳み機構部70へ供給する。
【0077】
まず、図6〜8からも理解されるように、前記マルチスタンド式インターフォルダX4の隣接する複数の折畳み機構部70,70を5〜30機を一組(図6では5機)として、各組あたりに対応する幅の二次原反ロールR一つを原反ロール支持部71にセットする。
【0078】
ここで、各組の折畳み機構部の数はすべて同一である必要はない。例えば、200枚積層のティシュペーパー製品を製造する場合、100機の折畳み機構部を可動させるので、この場合には、30機×3組+10機の組合わせとすることができる。これに応じて、本発明においては、マルチスタンド式インターフォルダで用いる二次原反ロールの幅がすべて同一である必要もない。また、複数の抄紙設備X1を有し異なる幅の一次原反ロールJRを製造可能であるならば、そのような異なる幅の一次原反ロールJRから製造されるそれと同幅の異なる幅の二次原反ロールを用いることができるようにする観点から、各組の折畳み機構部の数を異なるようにしてもよい。
【0079】
なお、二次原反ロールRの生産性、マルチスタンド式インターフォルダX4での操業安定性及び薬液塗布の幅方向のムラの発生等を考慮すると、好ましくは5機〜17機、より好ましくは5〜10機を一組とする。
【0080】
ここで、対応する幅について説明する。図8に示すようにマルチスタンド式インターフォルダでは、折畳み機構部70が有する二つの折り板71,71の各折り板で一枚の連続シートを折り畳む。従って、一つの折畳み機構部70には、連続シートS5,S5を2つ供給する。また、折り板で折り畳まれる連続シートは、後にティシュペーパーとなるものであり、マルチスタンド式インターフォルダでは、この折り畳まれる連続シートの幅とティシュペーパー束を構成するティシュペーパーの幅とは同じである。従って、折り板機構部1機あたり、ティシュペーパーの幅の2倍幅分の原反ロールの幅が対応する。
【0081】
従って、本発明における対応する幅とは、(組内の折畳み機構部の数)×(ティシュペーパーの幅)×2を意味する。5機の折畳み機構部を一組とするのであれば、ティシュペーパー製品に納められるティシュペーパーの幅の10倍の幅の二次原反ロールRを取付ける。すなわち、折畳み機構部5機に対応する幅は、ティシュペーパーの幅の10倍の幅である。もちろん二次原反ロールRの幅は一次原反ロールの幅を超えることはないし、ロール側縁部を余剰部分としてトリムする場合には、この余剰分を含めた長さが対応する幅となる。
【0082】
次に、二次原反ロールRから繰り出された二次連続シートS3には、連続的に薬液付与工程で薬液を塗布する。この薬液付与工程及び薬液付与手段90の詳細は後述する。
【0083】
次にその薬液が塗布された二次連続シートS4をスリット手段160にて連続方向にスリットして、必要な数のティシュペーパー幅と同幅の複数の連続シートS5,S5…を形成する。マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部は、1機当たり2つの折り板を有し2枚のティシュペーパーと同幅の連続シートを折り畳むため、各組の折畳み機構部数×2枚の連続シートS5にスリットする。そして、かかるスリットを経てティシュペーパー1の幅とされた連続シートS5をそれぞれ二枚ずつ折畳み機構部70へと供給し、連続ティシュペーパー束10Cを製造する。
【0084】
次いで、この連続ティシュペーパー束10Cをカッター部170にて所定長さに裁断してティシュペーパー束10とする。ここで本発明における生産性については、この連続ティシュペーパー束10Cを裁断するカッターの処理速度によって定まる。現状ではカッターの処理速度は50〜120m/分である。そして、この速度は、上述の抄紙設備X1、プライマシンX3と比較すると遅い。そして、遅くても十分に高い生産性を発揮する。
【0085】
この理由は、マルチスタンド式インターフォルダX4では、通常折畳み機構部が80〜120機と多数あり、ここで使用される二次原反ロールの幅の総和は、抄紙設備X1やプライマシンで抄紙・加工される二次原反ロールの10〜30倍程度となるからである。すなわち、マルチスタンド式インターフォルダは、処理速度が遅くとも、二次原反ロールの消費速度は早いのである。
【0086】
従って、本発明の従ってインターフォルダ内での薬液付与、スリット、コンタクトエンボスを行なうことは、プライマシンや印刷設備等で行なうよりも極めて低速度で行なうこととなる。この低速で薬液塗布、スリット加工等ができるということは、高速に起因する塗布ムラ、スリットムラ、機器の故障等が発生し難くなるという有利な効果を奏する。また、塗布精度、スリット精度、コスト面でも優れたものとなる。
【0087】
[薬液付与工程]
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、上述のとおり原反ロール支持部71にセットした所定の幅広の二次原反ロールRから繰り出した二次連続シートS3に対してまず薬液を塗布する(図7参照)。ここで、本発明では薬液塗布工程の後にシートを巻取る工程がない。従って薬液含有に起因して発生するシートを巻取る際の巻きズレは、本発明の生産方法では発生しえない。これは本発明の生産方法の効果の一つである。
【0088】
薬液の塗布は、フレキソ印刷、グラビア印刷、カーテン塗工、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液付与手段を採用できる。但し、フレキソ印刷とグラビア印刷とでは、刷版の柔軟性、薬液の飛散防止、塗布量の調整が容易である等の要件からフレキソ印刷のほうが適する。さらに、紙面に刷版ロール等を接触させないことから紙厚の低下を招かないという点で、刷版ロール等を用いず直接的に薬液を紙面に付与する非接触形の塗布形態であるカーテン塗工、スプレー塗工、インクジェット印刷がより適する。
【0089】
ここで、非接触式の塗布形態は、刷版ロールを用いる印刷と比較すると高速で走行するシートに塗布するとムラが生じやすい傾向にある。本発明においては上述のとおり二次連続シートを繰り出す速度がインターフォルダX4のカッター部170の速度によって律速され、その速度を遅くもできる。従って、非接触式の塗布手段におけるムラ発生をもの防止することが可能である。ここで、特に好ましく採用できる薬液付与手段は設備設置コスト、設備設置面積を小面積にすることが可能なスプレー塗工、薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高いインクジェット印刷である。
【0090】
また、薬液付与手段90においては付与中の薬液の飛散防止等のために、例えば二次連続シートS3に対する薬液付与部分近傍をフード9Fなどで覆うのが望ましい。特に、スプレー塗布やカーテン塗工では、噴霧された薬液の飛散、噴霧方向の安定性、カーテン膜の安定形成において周囲の気流の関係を受けやすいことからかかるフード等を設けるのが特に望ましい。
【0091】
なお、本発明においてフレキソ印刷、カーテン塗工、スプレー塗布、インクジェット印刷を採用した場合の具体例は後述する。
【0092】
薬液塗布手段90は、単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくすることができるため、加工速度を高速とすることができ、上下方向に並設すると水平方向における設置スペースを小さくすることができる。
【0093】
また、本発明においては、薬液塗布手段はインターフォルダX4の原反ロール支持部71にセットする二次原反ロールの数に応じた数以上とすることができる。もちろん、複数の薬液手段で共用可能な機構については共有することができる、例えば、スプレー塗布やチャンバー方式の印刷機における薬液を貯留しておく薬液タンクや配管等がその例である。
【0094】
ここで、薬液の塗布量は、両面の合計の薬液塗布量は、0.3〜5.0g/m2とされ、好ましくは1.0〜4.0g/m2とされる。3.9g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。0.3g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。
なお、本発明においては、表裏面において薬液付与量が異なるようにしてもよい。
【0095】
薬液付与工程で付与する薬液については、粘度は40℃で1〜700mPa・sが望ましい。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)である。1mPa・sより小さいと薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと安定した塗布量とするコントロールがしにくくなる。
【0096】
本発明に用いるや薬液の成分としては、ポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものであるのが望ましい。
【0097】
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
【0098】
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0099】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0100】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0101】
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
【0102】
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0103】
(フレキソ印刷)
薬液塗布工程において、薬液付与手段90としてフレキソ印刷機を用いた例は図9〜15に示す。フレキソ印刷は樹脂性の弾力性がある刷版を用いるため二次連続シートS3の表面にクレープの多少の凹凸があっても印圧で調整可でありムラのない塗布が可能で、二次連続シートS3にシワが入り難くなる。また、一つのロールで幅広い薬液の粘度に対応でき、管理、設備メンテナンスの点で利点がある。
【0104】
ここで、本発明における二次連続シートS3に薬液を付与する場合、十分な薬液付与量としつつインターフォルダで操業性を悪化させないことを考慮すると、フレキソ刷版ロールの線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0105】
アニロックスロールの線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗布量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
【0106】
ここで、本発明では、前段の薬液付与工程において安定的に薬液が付与できることが重要であり、操業安定性に関わる上記刷版ロール及びアニロックロールの線数は重要である。なぜなら、薬液付与工程において不備があると、その後段の折畳み工程もストップするからである。従って、上記操業性を悪化させない各ロールの線数は、薬液付与量以外にも重要な意義を有する。
【0107】
なお、貯留タンクに貯留した薬液をアニロックスロールへ薬液を移行させる方式としては、ドクターチャンバー形式、タッチロール形式など適宜の方法が採られる。これらのフレキソ印刷の各方式を採用した形態例を詳述する。
【0108】
<ドクターチャンバー方式の実施形態例>
フキレソ印刷におけるドクターチャンバー形式を本発明に適用した形態例を図10〜図15を参照しながら説明する。本形態例では、二次連続シートS3の表裏面に薬液を付与すべく二つのフレキソ印刷機91A,91Bを用いている。各印刷機91A,91Bにおいては、薬液の入っているドクターチャンバー92A,92Bが回転可能なアニロックスロール93A,93Bと対向して配置されおり、ドクターチャンバー92A,92Bからアニロックスロール93A,93Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール93A,93Bと接し且つ二次連続シートS3の一面とも接する刷版ロール94A,94Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール93A,93Bから刷版ロール94A,94Bに薬液を受け渡すようになっている。そして、二次連続シートS3を挟んでこの刷版ロール94A,94Bと対向する弾性ロール95A,95Bとで二次連続シートS3に圧力を付与しつつ、刷版ロール95A,95Bから積層連続シートに薬液を塗布する。
【0109】
各ドクターチャンバー92A,92Bは、供給ホース96及び返送ホース97を介して薬液Lを貯留する貯留タンク98と連結されており、薬液循環経路の一部を構成する(以下、各印刷機91A,91Bについて同様の構成を説明するについては、ドクターチャンバー91A(91B)のように一方を括弧書きで表記する場合がある)。なお、貯留タンク98は、各ドクターチャンバーで92A,92B共有することができる。図示はしないが、薬液循環経路を循環する薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、ドクターチャンバー92A、92B等の塗布装置内で薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための中間タンクや配管ヒーター、二次連続シートS3の幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサー等を設置することができる。
【0110】
貯留タンク98からドクターチャンバー91A(91B)への薬液供給は、供給ポンプ99によって供給ホース96を介して加圧供給で行われ、薬液の押出量(流量)は、調整弁100の開閉により調整される。また、ドクターチャンバー91A(91B)から、貯留タンク98への薬液の返送は、吸引ポンプ101によって返送ホース97を介して行なわれる。
【0111】
また、ドクターチャンバー91A(91B)は、薬液が貯留されるチャンバー部102及びブレード103,104を具備する。チャンバー部102はアニロックスロール93A(93B)側の端部が開口しているとともに供給ホース96及び返送ホース97とが接続部105,106を介して連結されており、各ホース96,97を介して行なわれる薬液循環の際に薬液Lを貯留してアニロックスロール93A(93B)に供給する。他方、ブレード103,104は、アニロックスロール93A(93B)と当接するように設けられ、アニロックスロール93A(93B)に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行い、アニロックスロール93A(93B)への薬液の供給量を一定とする。
【0112】
他方、図11に示すように、薬液Lの返送路となる返送ホース97とチャンバー部102との接続部106の上面には、所定径の開口部分である孔部106aが形成されており、この孔部106aにより接続部内の薬液Lが外気接触し、吸引ポンプ101による薬液Lの吸引を行っても、薬液Lが外気接触して、チャンバー部102内の内圧を外気圧に近づけることができるように構成されている。これによってドクターチャンバー内の内圧変動が抑えられている。なお、当該孔部106aは、チャンバー部102の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、チャンバー部102の上面に連通するように形成してもよい。孔部106aは、チャンバー部102の薬液Lの液面より上方であれば、側面に設けてもよい。
【0113】
また、孔部106aにはチャンバー部102への薬液供給過多を判別するための判別手段が設けられる。判別手段は、例えば、孔部106a側を下端として、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材106bが例示でき、薬液Lを循環する過程で、薬液Lが孔部を介して当該チューブ106b内に流入するか否かを目視により確認することができる。チューブ106b内への流入が確認された場合は、チャンバー部102に貯留される薬液量が過多になっている(アニロックスロール91A(91B)に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁100操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することができる。なお、チューブ106bは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部106aの作用を相殺してしまうことはない。
【0114】
なお、チューブ106bの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部106bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。また、チューブ106bの上端或いは孔部にエアーフィルタを設置して紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。
【0115】
なお、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態は、これを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成してもよい。本形態の場合、マルチスタンド式インターフォルダにて印刷塗布を行なうので、複数の印刷機を管理する必要がある。したがって、自動判別及び判別結果の報知は使用者自身が行う負担を極めて軽減する点で重要であるので詳述する。
【0116】
この例は、図12に示すように孔部106aの周縁を上方向に延出させた円筒状部106cにセンサ106dを取付け、このセンサ106dからの信号を受けて報知部から判別結果を報知する。
【0117】
センサ106dは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、当該センサ06dの設けられた高さ位置(図12に示すy1)に達したか否かを検知する。
【0118】
報知部106eは、例えば、スピーカ等であり、センサ106dにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、上記センサ106dの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行う。
【0119】
本例では、過多の状態に至った場合には、使用者は報知部106eによりその旨を知ることができ、調整弁100を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
【0120】
さらに、図13に示すように、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態の判別は、自動判別機能に加えて、円筒状部106cにニードルバルブ及びオリフィスを備えるニードルバルブ構造の調整部106fを設けて、孔部106bの外気と接触する部分の開口の量を調整するように構成することができる。このように調整部106fにより、孔部106bの実質的な開口量を調整することにで、チャンバー部102内の内圧変動量に応じて、孔部106bの開口量を適宜に調整することができる。従って、センサ103eにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、検出位置に達したときに、薬液Lの押出量の調整で対処するだけでなく、調整部106fによる孔部106bの実質的な開口量の調整によって、孔部106bのエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、チャンバー部102内の内圧変動を抑える対処が可能となる。これにより、内圧変動によるチャンバー部102内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール93A(93B)上の薬液Lのドクターチャンバー92A(92B)側への吸込み等も好適に防止され、薬液Lの循環が促進される。
【0121】
他方、ドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機は、アニロックスロール93A(93B)は、ドクターチャンバー92A(92B)のブレード103,104と当接するように設けられ、ドクターチャンバー92A(92B)のチャンバー部102の開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
【0122】
刷版ロール94A(94B)は、周面がゴム材などの樹脂製材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(図10に示す点P1,点P2)がアニロックスロール93A(93B)及び弾性ロール95A(95B)(に巻きつけられる積層連続シートS3)の周面に当接するように設けられ、回動可能に構成されている。
【0123】
刷版ロール94A(94B)は、弾性ロール95A(95B)がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール93A(93B)をr1方向に回動させる。刷版ロール94A(94B)は、アニロックスロール93A(93B)の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS3に転写する。アニロックスロール93A(93B)により吸着された薬液Lがアニロックスロール93A(93B)の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール94A(94B)の周面に移送させることで、積層連続シートS3に薬液Lを均一に転写することができる。
【0124】
弾性ロール95A(95B)は、刷版ロール94A(94B)に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が付与されることで回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS3を把持できるように構成されている。そのため、弾性ロール95A(95B)は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS3を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール94A(94B)及びアニロックスロール93A(93B)を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール94A(94B)より薬液Lを転写させることができる。
【0125】
なお、弾性ロール95A(95B)の回動の向きは、図10においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール93A(93B)及び刷版ロール94A(94B)は図10とは逆方向(つまり、アニロックスロール93A(93B):r2方向、刷版ロール94A(94B):r1方向)に回動する。
【0126】
ここで、図10に示す例では、チャンバー部102に供給ホース96及び返送ホース97が各一つのみ繋がる構成であるが、チャンバー部102内における幅方向の薬液Lを均質にすべく、好ましく図14(A)〜(C)に示す構造を例示できる。その図14(A)は、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール93A(93B)に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー92A(92B)の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ供給ホース96が連結され、中央部に返送ホース97に繋がる構造例である。図14(B)は、幅方向Dに3つの供給ホース96と2つの返送ホース97とが交互に等間隔で繋がる構造例である。図14(C)は、チャンバー部102の上側寄りの複数箇所にそれぞれ供給ホース96が繋がり、下側寄りの複数箇所にそれぞれ返送ホース97繋がる構造例である。
【0127】
<2ロール転写方式の実施形態例>
次いで、フキレソ印刷における2ロール転写形式を適用した形態例を図15を参照しながら説明する。本形態例でも、二次連続シートS3の表裏面に薬液Lを付与すべく二つのフレキソ印刷機91C,91Dを用いている。各印刷機91C,91Dにおいては、薬液Lの入っている薬液タンク98C,98Dに回転可能な絞りロールでもあるディップロール92C,92Dが浸され、このディップロール92C,92Dが薬液タンク98C,98D外で回転可能なアニロックスロール93C,93Dに接しており、適当に薬液量が調整され量の薬液をアニロックスロール93C,93Dに受け渡す。薬液Lをアニロックスロール93C,93Dに受け渡すに、ディップロール92C,92Dを介することから2ロール転写方式と称される。ここで、ディップロール92C,92Dは薬液タンク98C,98Dから薬液Lを取り上げるとともに過剰な薬液をそのままアニロックスロール93C,93Dに受け渡さないようにする調整する役割を果たす。
【0128】
アニロックスロール93C,93Dは刷版ロール94C,94Dに接しており、ディップロール92C,92Dから転写された薬液Lを刷版ロール94C,94Dに受け渡す。刷版ロール94C,94Dは回転可能に設置され、アニロックスロール93C,93Dと接しているとともに、二次連続シートS3の一面とも接しており、二次連続シートS3を挟んで対向する弾性ロール95C,95Dとで二次連続シートS3に圧力を付与しつつ二次連続シートS3に薬液Lを塗布する。
【0129】
この2ロール転写方式においては、アニロックスロール93C、93Dに対してドクターブレードを設けても良く、この場合、薬液Lを均一に塗布できる、アニロックスロール93C、93Dから薬液Lが飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、ドクターブレードを手入れしたり交換したりしなければならないというデメリットが有る。
【0130】
なお、薬液タンク98C,98Dには、図示はしないが、薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための配管ヒーター、二次積層連続シートの幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0131】
<1ロール転写形式の実施形態>
次いで、フキレソ印刷における1ロール転写形式を本発明に適用した形態例を説明する。この例は、前述のフ2ロール転写形式からディップロールを省略したものである(図面は省略する)。この場合、アニロックスロールが、それぞれ薬液タンクに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロールに対しては、アニロックスロール表面の薬液を掻き取るドクターブレードを設置する。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0132】
(スプレー塗布)
薬液付与工程において薬液付与手段90としてスプレー塗布装置110,110を用いた例を図16〜19を参照しながら説明する。本形態例では、図16に示すように、二次連続シートS3の表裏面に薬液が付与されるようにスプレー塗布装置を設けることができる。このように表裏面にスプレー塗布するにおいては、図示例のように側方から二次連続シートS2の表裏面に噴霧可能にペーパーランを設計する形態、二次連続シートの表裏面に上下から噴霧する形態、上方から表裏面に噴霧するようにペーパーランを設計する形態、二次連続シートの積層を一度剥離させて、各連続シートにスプレーした後、再度積層する形態等を採ることができる。
なお、スプレー塗布では、周囲薬液が飛散することから、他の工程への影響を防止すべく、塗布部分を被覆するフード9Fを設けるのがよい。
【0133】
ここで、スプレー塗布は、具体的にはノズル式噴霧方式、ローターダンプニング噴霧方式等を採用することができる。ノズル式噴霧方式における噴霧用ノズルの型式としては、環状に噴霧する空円錐型ノズル、円形状に噴霧する充円錐型ノズル、正方形状に噴霧する充角錐型、充矩型ノズル、扇型ノズル等が挙げられ、薬液が二次連続シートの幅方向に対して均一に噴霧されるように、ノズル径、ノズル数、ノズル配列パターン、ノズル配置数、あるいは噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、および噴霧液の濃度、粘度などを適宜選択して使用することができる。
【0134】
また、ノズル式噴霧装置において霧化する方法については、一流体方式、または二流体方式の2種類の方式を選択して使用することができる。このうち一流体噴霧方式は、噴霧する薬液に対して圧搾空気を用いて直接圧力をかけてノズルから霧滴噴射する、または噴出口付近のノズル側面に開けた微細な穴からノズル内に空気を吸引して霧滴噴射する方式である。また、二流体噴霧方式は、ノズル内部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する内部混合型、ノズル外部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する外部混合型、微霧化した霧滴粒子を相互に衝突させて、霧滴粒子をさらに均質化・微粒子化する衝突型等の方式が挙げられる。
【0135】
他方、ローターダンプニング噴霧方式については、高速回転する円盤上に噴霧する液を送り出し、円盤の遠心力によって液を微霧滴化するのであり、円盤の回転数変更によって霧滴粒子径の制御を行い、円盤上への送液量変更によって噴霧液量(付与量)の制御を行なう。ものである。ローターダンプニング塗布装置は、少ない量の噴霧液量を霧滴の飛散を抑えつつ、顔料塗被紙表面に均一に塗布することができ、かつ噴霧速度や霧の粒子径等の調整が容易である利点がある。
【0136】
薬液を二次連続シート表面に均一に噴霧付与するためには、霧化された薬液の霧滴粒子径はできる限り微小であることが好ましい。しかしながら、霧滴が細かくなりすぎると噴霧した空気の跳ね返りや二次連続シート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、霧滴が二次連続シート表面に付着しにくくなる。このため、噴霧付与方式においては噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、噴霧速度を、加えて二流体方式の場合には、噴霧用の薬液と圧搾空気の混合比、および薬液の濃度や粘度等を適宜調節し、付与条件に適した粒子径に調節することができ、さらに噴霧時に随伴空気の影響が大きい場合は、随伴空気を除去するための吸引装置や邪魔板(整流板)、上述のフード等の設置、および噴霧ノズル先端に高電圧を加えて霧滴粒子を帯電させて、顔料塗被紙への霧適の付着性を向上させる荷電電極(静電噴霧方式)などを追加してもよい。
【0137】
二次連続シート表面に塗布されずにミストとして浮遊している霧滴粒子は、吸引・回収して再度噴霧することができる。
【0138】
図17には、ノズル式噴霧方式、特に二流体方式の薬液噴霧装置110を示した。この装置110は、中心に薬液通路110Aが、その周囲にエアー通路110Bが形成され、薬液通路110A先端から噴出された薬液Lを、エアー通路110Bから吐出されたエアーにより微霧化するものであり、ほぼ円錐形状に薬液Lを噴霧するようにしたものである。110Cは外部の保護ケーシングであり、紙粉などからノズルを保護すると共に、必要によりパージエアー通路を通すエアーによりノズルの清掃を行なうことができるようにしたものである。この種の薬液噴霧装置110は二次連続シートS3の幅方向に一つ又は複数間隔を置いて設けることができる。
【0139】
前述のように噴霧した薬液の跳ね返りや二次連続シート表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、霧滴が二次連続シート表面に付着しにくくなるため、図18に示すように、一流体方式又は二流体方式の薬液噴霧手段(噴霧ノズル)の周囲から、ケーシング153Eに形成したエアー供給路から噴出させるエアー110Gにより、薬液噴霧手段(噴霧ノズル)からの噴霧薬液を取り囲むようにして薬液が二次連続シートに好適に付与することができる。
【0140】
図19は、ローターダンプニング噴霧装置120の例である。これは必要により設けられる覆い収納室内120Aに、回転ローター120Bを設け、回転ローターの噴出口120Cから薬液を二次連続シートS3に噴霧付与するようにしたものである。
【0141】
(インクジェット印刷)
薬液塗布工程において、薬液付与手段90としてインクジェット印刷機130を用いた例を図20〜22を参照しながら説明する。
図示例のとおり、本形態では、インクジェット形式とされる薬液塗布部130A,130Bは薬液の入っているタンク131A,131Bを有していて、このタンク131A,131Bが薬液を噴射し得るインクジェットヘッド132A,132Aに配管を介して接続された構造とされている。これに伴って、このタンク131A,131Bから供給ポンプ(図示しない)によりインクジェットヘッド132A,132Bに薬液を供給するようになっている。
【0142】
図21に示すように、このインクジェットヘッド132A(132B)の被塗布材である二次連続シートS3と対向する部分には、この二次連続シートS3の幅分に少なくとも対応する形で、複数のノズル孔134を直線的に並んで設けているノズル板133A(133B)が配置された構造になっている。
【0143】
そして、図22に示すように、このインクジェットヘッド132A,132B内には、噴射ユニット135が各ノズル孔に対応して複数配置されている。つまり、この噴射ユニット135は、ノズル孔134から射出する為の薬液を一時的に貯める流体室136と、この流体室136を挟んでノズル板133A(133B)と対向する部分に配置された振動板137と、この振動板137に当接して流体室136外に配置され且つピエゾ素子等により形成される圧電素子138とにより、構成されている。
【0144】
尚、振動板138は、例えばステンレス鋼等の金属製の板材により形成されていて、圧電素子138からの振動を流体室136に伝達し易い構造なっている。また、圧電素子68には、配線を介して図示しない制御装置が接続されていて、この制御装置から所定の間隔で圧電素子138に電圧が付与されるようになっている。
【0145】
従って、タンク131A(131B)からインクジェットヘッド132A(132B)に供給された薬液は、各ノズル孔134に対応して存在する流体室136内に送り込まれるようになっていて、必要に応じて制御装置が圧電素子138に電圧を加えることで、各ノズル孔134から一斉に薬液が噴射されることになり、これに伴い、積層連続シートS3の一方の面における幅分全体に亘って薬液が塗布されことになる。
【0146】
尚、上記実施形態では、インクジェット形式として、オンデマンド方式でピエゾ素子を採用した構造とされているが、サーマルジェット型を採用しても良い。更に、オンデマンド方式の替りに連続して噴射可能なコンティニュアス方式の噴射装置を採用しても良い。
【0147】
(カーテン塗工)
薬液塗布工程において、薬液付与手段90としてカーテンコーター140を用いた例を説明する。カーテンコーター140としては、例えば、図23に示される従来既知のカーテンコーターが使用できる。なお、カーテンコーターは、薬液の膜を垂下させることから、二次連続シートの表裏面に塗工する場合には二次連続シートの表裏面が上方に位置するようにペーパーランを設計して各面に塗工する。
【0148】
図23に示されるカーテンコーター1においては、予め調製された薬液Lは、塗液貯蔵タンクより給液ポンプ等によってコーターヘッド141へ送られる。前記コーターヘッド1412の内部は、マニホールド141aおよびスリット141bからなり、それぞれ高精度の仕上げが施されている。供給された疑似接着剤は、前記マニホールド141aに満たされ、更にスリット141bに送られるときに通過する狭い間隙において、給液ポンプの送液による動圧の影響が軽減され、幅方向における圧力分布が均一化され、リップ142より流出し、垂直なカーテン膜143Lを形成する。
【0149】
幅方向でプロファイルが均一となった垂直カーテン膜143Lは、連続走行している二次連続シートS3と接触し、二次連続シートS3に塗工される。ここでエッジガイド144はコーターヘッド141の幅を超えず、更に二次連続シートS3の幅を超えて設けられ、垂直カーテン膜は二次連続シートS3の幅を超えて形成される。垂直カーテン膜143Lが二次連続シートS3の幅を超えて形成されているのは、垂直カーテン膜143Lの両端部における薬液Lの厚塗りを防止するためである。二次連続シートS3の幅を超えて流下する薬液Lは、受液槽145に回収され、塗液貯蔵タンクに戻された後再び塗工される。また、二次連続シートS3が切断され塗工が中断された場合も、薬液Lは受液槽145に回収されるように構成されている。
【0150】
連続走行している二次連続シートS3と垂直カーテン膜143Lとの接触部(以後、「塗工部」という。)には二次連想シートS3に同伴する空気流を遮蔽し、カーテン周辺の空気の回流などで垂直カーテン膜143Lが乱れることなく二次連増シートS3に達するようにするため遮風板146が設けられている。また、二次連続シートS3の搬送方向は、塗工部の直前でロール147により方向転換することにより、二次連続シートS2に同伴する空気の塗工部への影響を最小限にとどめるように構成されている。なお、安定した状態で塗工するためには、二次連続シートS3からコーターヘッド141下部の流出部までの高さがある程度必要とされるが、安定に適した高さは60〜300mm、好ましくは100〜250mm、更に好ましくは120〜180mmである。
【0151】
〔コンタクトエンボス工程〕
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、二次原反ロールRから繰り出された二次連続シートS3、S4に対してコンタクトエンボスを付与することができる。コンタクトエンボスは、二枚の連続シート(プライ)の剥離をし難くするエンボス加工の一種である。
【0152】
コンタクトエンボスは、スリット工程の前段、好ましくはスリット手段160の前段であって薬液付与手段90の後段、すなわち二次連続シートS4に対して行なうのが望ましい。薬液付与後であれば薬液付与に起因するゆるみ、層剥離が生じ難く、また、スリット前であるほうがシートのばたつきがなく操業トラブルのおそれが小さいからである。
【0153】
ここで、コンタクトエンボスを付与するためのコンタクトエンボス手段150は、本形態では図24に示すように、金属ロール又は弾性ロールである受けロール154Bと表面に細かい凸部154Cを有する金属製で硬質のコロ154Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、二次連続シートS4におけるティシュペーパーの幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部154Cと、受けロール154Bとの間で二次連続シートS4を挟みつつ搬送することで、二次連続シートS4に対して、二次連続シートS4の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
【0154】
このようにコンタクトエンボスCEを付与することによって、複数の一次連続シート(図示例ではS11、S12)を積層して成る二次連続シートS4の層間剥離が効果的に防止される。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシュペーパーの端部が層間剥離し難くなるように、ティシュペーパー1の幅を考慮して、すなわち後段のスリット幅を考慮して両側部に位置するように形成するのが望ましい。
【0155】
コンタクトエンボス手段150でコンタクトエンボスCEを付与する場合、二次連続シートS3に対して薬液を塗布した後、0.3〜2.5秒、好ましくは0.3〜1.0秒以内にコンタクトエンボスCEを付与するのがよい。0.3秒未満であると薬液が原紙に十分吸収されないため、受けロール154Bやコロ154Aに薬液が付着して断紙したり、受けロール154Bやコロ154Aに汚れが付着したりする。2.5秒を超えると、薬液を塗布した二次連続シートS4のクレープが伸びきるため、その後で工程シワが生じにくくなり、嵩高なティシュペーパー製品を得づらくなる。また、二次連続シートS4が伸びきるとドロー変動に対応できる伸びが無くなり、また吸湿、吸水により引張強度が低下しているため、断紙し易くなり操業性が落ちるという問題もある。
【0156】
また、このコンタクトエンボス工程において、本実施形態ではコロ154Aとして表面に細かい凸部154Cを有した金属製で硬質のコロを用いたが、二次連続シートS4に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
【0157】
さらに、接合する為の手段としては上記例に限定されず、凸部154Cの先端形状が、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状のものをコロとして用いても良く、凸部の先端形状が、細長い線状、細く斜めに伸びる線状等のものをコロとして用いても良い。
【0158】
他方、凸部の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、凸部を1列に配置してコンタクトエンボスを連続して付与する他に、凸部を2列以上の複数列配置することも考えられる。そして、コンタクトエンボスを緊密に複数列付与するように凸部が配置された群を複数並べて、複数のコンタクトエンボス群を付与するようにしても良い。尚、接合工程としては、上記のように機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合しても良い。
【0159】
なお、図示はしないが薬液付与手段90とコンタクトエンボス手段150との間に、二次連続シートS4のテンションを制御するテンションコントロール手段を設けることもできる。このテンションコントロール手段は例えば円筒形状のロールから形成されており、二次連続シートS4の撓み具合に合わせて上下動可能とされている。
【0160】
(スリット工程)
本発明のティシュペーパー製品の製造方法においては、図7及び8に示すとおり、二次原反ロール支持部71から繰り出された二次原反ロールS3に薬液を塗布した後、折り板機構部70に供給する前にティシュペーパー1の幅の連続シートS5にスリットするスリット工程を有する。
【0161】
スリット加工を行なうスリット手段は、具体的には図示しないが、プライマシンで採用されているのと同様に、二次連続シートの幅方向にティシュペーパー幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段とすることができる。スリットされた各二次連続シートS5,S5は折畳み機構へと供給される。
【0162】
(折畳み工程機構部)
マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部71の動作について説明する。図9に折畳み機構部を、図25〜図28に折畳みの仕組みを図示する。本発明のマルチスタンド式インターフォルダX4は、上述のとおり折り板72を有する折畳み機構部70がライン流れ方向に多数(通常80〜120基)並設された構造を有し、原反ロール支持部71へセットされた二次原反ロールRから繰り出された二次連続シートは、薬液を付与され最終的にティシュペーパーの幅にスリットされて折畳み機構部70に供給される。
【0163】
折畳み機構部70には、折り板72が一対2つ具備されており各折板72,72に対して二次連続シートS5a,S5bがガイドローラ74、ガイド丸棒部材75を介して送られる。各折り板72,72の下方には、それよりもライン上流側の折畳み機構部70で折り畳みながら積み重ねられた連続ティシュペーパー束10Cが位置しており、この連続ティシュペーパー束10Cに当該折畳み機構部70で折り畳まれた二次連続シートS5a,S5bが関連づけられて積み重ねられる。そしてこれらの連続ティシュペーパー束10Cはコンベアによって順次下流へと送られるように構成されている。すなわち、上流に位置する折畳み機構部70から下流に位置する折畳み機構部70へと行くにしたがって連続ティシュペーパー束10Cの積層数が多くなっていく。なお、この種の折り板72,72…を用いた折畳み機構部70は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。
【0164】
さらに、折畳み機構部70での折畳みについて詳述すると、図27に示すようにして、折畳み機構部70に供給された各連続する二次連続シートS5a,S5bを、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する連続する二次連続シートS5a,S5bの側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。このとき、図24〜図26に示すように、折畳み機構部70においては、各折り板72,72に対して、連続する二次連続シートS5a,S5bが案内され、この際、連続する二次連続シートS5a、S5bは、ガイド丸棒部材75,75によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0165】
折り板72,72に案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の連続する二次連続シートS5aとし、上側に重なっている連続する二次連続シートを第2の連続する二次連続シートS5bとすると、これら連続する二次連続シートは、図9及び図24に示すように、第1の連続する二次連続シートS5aの第2の連続する二次連続シートS5bと重なっていない側端部e1が、折り板72の側板72eによって、第2の連続する二次連続シートS5bの上側に折り返されるとともに、図9及び図25に示すように、第2の連続する二次連続シートS5bの第1の連続する二次連続シートS5aと重なっていない側端部e2が、折り板72のスリット72sから折板P下に引き込まれるようにして下側に折り返される。
【0166】
この際、図9及び図25に示すように、上流の折り板において折り畳みながら積み重ねられた連続する二次連続シートS5aの側端部e3(e1)が、折り板のスリットから第2の連続する二次連続シートの折り返し部分間に案内される。
【0167】
このようにして、各連続する二次連続シートは、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する連続する二次連続シートの側端部相互が掛け合わされる。
【0168】
〔裁断工程〕
以上のようにしてマルチスタンド式インターフォルダX4の各折り板機構部70,70…に折畳み重ねられた薬液含有の連続ティシュペーパー束10Cは、図6に示すように、最下流の折り板機構部70の後段のカッター部170において流れ方向に所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束10とされる。ここで、カッター部における処理速度は50〜120m/分であり、本発明においては係るカッターの処理速度によって原反ロール支持部71にセットされた二次原反ロールRからの二次連続シートS2の繰り出し速度が定まる。
【0169】
『収納工程』
ティシュペーパー束の収納箱への収納例について説明する。なお、ティシュペーパー束の収納箱への収納方法は、この例に限定されず既知の方法を採用することができる。
裁断工程によって裁断されて形成されたティシュペーパー束は、図29に示すように、マルチスタンド式インターフォルダX4の後段の収納設備において収納箱2に収納される。
【0170】
具体的には、上述の上面2U、底面及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有する収納箱を、底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uが開いた状態、すなわち端面が開口された状態に半完成の状態に組立てるとともに、その開口部に対面するようにインターフォルダX4から送られてくるティシュペーパー束10の裁断面を付き合わせる。
【0171】
そして付き合わせたならば、ティシュペーパー束10をプッシュロッド等によって収納箱内へ押し込む。ティシュペーパー束10が収納箱内に押し込まれたら、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着する。
この接着によって本発明のティシュペーパー製品X1の製造は完了する。
【0172】
なお、本発明にかかるマルチスタンド式インターフォルダX4では、連続ティシュペーパー束10Cは、流れ方向が縦方向(MD方向)、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、連続ティシュペーパー束10Cを所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束10を構成するティシュペーパー1の紙の方向は、図示のとおり、ティシュペーパー1の折り畳み部の延在方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0173】
したがって、上述のように収納箱2に収納された本発明によって製造されるティシュペーパー製品X1は、図2に示すように、ティシュペーパー1を収納箱2から引き出す際には、その引き出し方向がティシュペーパーの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【符号の説明】
【0174】
X1…ティシュペーパー製品、1…ティシュペーパー、1e…ティシュペーパーの折り返し辺の縁、10…ティシュペーパー束、2…収納箱、2U…収納箱(紙箱)上面、2S…収納箱(紙箱)の側面、20L…収納箱(紙箱)の長手縁、20S…収納箱(紙箱)の短手縁、21…取出口形成部(ミシン目線)、22…フィルム、23B…底面側端面片、23S…側面端面片、23U…上面側端面片、24…スリット、25…取出口、
X2…抄紙設備、JR…一次原反ロール(ジャンボロール)、W…湿紙、S1…乾燥原紙(一次連続シート)、31…ヘッドボックス、32…ワイヤーパート、32w…ワイヤ、333…プレスパート、33F…フェルト、34,35…脱水ロール、36…ヤンキードライヤー、36C…ヤンキードライヤーフード、37…ドクターブレード、38…巻き取り手段、39…ワインディングドラム。
X3…プライマシン、S11 ,S12…一次連続シート、S2…二次連続シート、51…重ね合わせ部、56…巻き取り手段、
70〜80…インターフォルダ
X4…マルチスタンド式インターフォルダ、S3〜S5…二次連続シート、70…折り畳み機構部、71・・・原反ロール支持部、72…折り板、73,74…ガイドローラ、75…ガイド丸棒部材、10C…連続ティシュペーパー束、
L…薬液、90…薬液付与手段、9F…フード、91A〜91F…フレキソ印刷機、92A,92B…ドクターチャンバー、92C,92D…ディップロール(絞りロール)、93A,93B,93C,93D…アニロックスロール、94A,94B,94C,94D…刷版ロール、95A,95B,95C,95D…弾性ロール、96…供給ホース、97…返送ホース、98…貯留タンク、98C,98D…薬液タンク、99…供給ポンプ、100…調整弁、101…吸引ポンプ、102…チャンバー部、103,104…ブレード、105…供給ホースとチャンバー部との接続部、106…返送ホースとチャンバー部との接続部、106a…孔部、106b…判別手段(チューブ)、106c…円筒状部、106d…センサ、106e…報知部、106…調整部、
110…二流体方式のノズル式薬液噴霧装置、110A…薬液通路、110B、110F…エアー通路、110C、110E…保護ケーシング、110D…パージエアー通路、110G…圧空、120…ローターダンプニング噴霧装置。
130…インクジェット、131A,131B…インクタンク、132A,132B…インクジェットヘッド、133A,133B…ノズル板、134…ノズル孔、135…噴射ユニット、136…流体室、137…振動板、138…圧電素子、
140…カーテンコーター、141…コーターヘッド、141a…マニホールド、141b…スリット、リップ…142、143L…カーテン膜、144…エッジガイド、145…受液槽、146…遮風板、147…ロール、
CE…コンタクトエンボス、150…コンタクトエンボス手段、154A…コロ(エンボスロール)、154B…受けロール、154C…エンボス凸部、
160…スリット手段、 170…カッター部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納箱内にティシュペーパーの束が収容されているティシュペーパー製品の製造方法であって、
マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部を5〜30機で一組とし、
各組あたりに対応する幅の二次原反ロールを取付け、
二次原反ロールから二次連続シートを繰り出し、
その繰り出された二次連続シートに薬液を塗布し、
その薬液が塗布された二次連続シートを連続方向にスリットしてティシュペーパー幅と同幅の連続シートを形成し、
そのスリットされた連続シートを各折畳み機構部へ供給して連続ティシュペーパーの束を製造し、
この連続ティシュペーパー束を所定長さに裁断して収納箱に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項2】
前記薬液の塗布は、スプレー塗布、インクジェット印刷、カーテン塗工の何れかにより行なう請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項3】
二次原反ロールから繰り出された連続シートの両側縁部を裁断した後に、ティシュペーパーの幅と等幅にスリットする請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項4】
前記二次原反ロールの幅を1500〜9200mmとし、ティシュペーパーの幅を150〜250mmとする請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項1】
収納箱内にティシュペーパーの束が収容されているティシュペーパー製品の製造方法であって、
マルチスタンド式インターフォルダの折畳み機構部を5〜30機で一組とし、
各組あたりに対応する幅の二次原反ロールを取付け、
二次原反ロールから二次連続シートを繰り出し、
その繰り出された二次連続シートに薬液を塗布し、
その薬液が塗布された二次連続シートを連続方向にスリットしてティシュペーパー幅と同幅の連続シートを形成し、
そのスリットされた連続シートを各折畳み機構部へ供給して連続ティシュペーパーの束を製造し、
この連続ティシュペーパー束を所定長さに裁断して収納箱に収納することを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項2】
前記薬液の塗布は、スプレー塗布、インクジェット印刷、カーテン塗工の何れかにより行なう請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項3】
二次原反ロールから繰り出された連続シートの両側縁部を裁断した後に、ティシュペーパーの幅と等幅にスリットする請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項4】
前記二次原反ロールの幅を1500〜9200mmとし、ティシュペーパーの幅を150〜250mmとする請求項1記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2011−212255(P2011−212255A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83739(P2010−83739)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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