ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法
【課題】紙力の低い衛生用薄葉紙で高速かつ均一に薬液塗布し、例えばコンタクトエンボスによる破れや断紙、原反の巻きズレを防止し安定して操業できるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法を提供すること。
【解決手段】一次連続シートS1をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とする積層工程51と、積層連続シートS2に対して薬液を付与する薬液塗布工程53と、スリット工程55と、スリットされた各積層連続シートS2を同軸で巻取る巻取り工程56と、を有する。薬液塗布工程53では、積層連続シートS2の両面に薬液付与部53A及び薬液付与部53Bから薬液が付与される。この際、薬液付与部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液付与部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を付与する。
【解決手段】一次連続シートS1をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とする積層工程51と、積層連続シートS2に対して薬液を付与する薬液塗布工程53と、スリット工程55と、スリットされた各積層連続シートS2を同軸で巻取る巻取り工程56と、を有する。薬液塗布工程53では、積層連続シートS2の両面に薬液付与部53A及び薬液付与部53Bから薬液が付与される。この際、薬液付与部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液付与部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を付与する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチスタンド式インターフォルダに供するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーの箱詰め製品は、一般的に、インターフォルダ(折り畳み設備)によって複数の連続するティシュペーパーを折り畳みながら積み重ね、所定の長さに切断するなどしてティシュペーパー束を得、このティシュペーパー束を収納箱(ティシュカートン)内に収納することによって製造される。
【0003】
このようなインターフォルダの例として、下記特許文献1、2に開示されるようなマルチスタンド式インターフォルダや、下記特許文献3、4に開示されるようなロータリー式インターフォルダなどが知られている。
【0004】
マルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法の従来例としては、次のようなものがある。すなわち、抄紙設備において衛生用薄葉紙を抄造して巻き取ることで一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造し、次いで、この一次原反ロールをプライマシンにセットし、複数の一次原反ロールから繰り出した一次連続シートを重ね合わせて巻き取ると共にスリット(幅方向にティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅に分割)し、複数のプライからなる二次原反ロールを製造する。
プライマシンで製造された二次原反ロールは、プライマシンから取り出された後、必要な数だけマルチスタンド式インターフォルダにセットされる。次いで、二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
このようなマルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法は、他の折り畳み設備を用いた製造方法に比べて、多数(通常80〜100基程度)の折畳み機構を有しているため生産性が高いという利点を有している。
【0005】
ところで、近年では、ティシュペーパー製品に保湿剤や香料などの薬液を付与されたものの需要が拡大しており、例えば下記特許文献5〜7に開示されるような製造方法や設備が種々提案されている。このようなティシュペーパー製品は、主にロータリー式インターフォルダで製造されるのが一般的であった(例えば下記特許文献5)。しかし、ロータリー式インターフォルダは、加工方向と垂直方向に折畳みと裁断を同時に行うため、生産性が低いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献2】特開2006−240750号公報
【特許文献3】特開昭61−37668号公報
【特許文献4】特開平5−124770号公報
【特許文献5】特開2004−322034号公報
【特許文献6】特表2008−525103号公報
【特許文献7】特開2008−264564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薬液が付与されたティシュペーパー製品である保湿ティシュペーパーは現在、800トン/月の需要があると言われているが、保湿ティシューの認知率の増加に伴い使用人口及び使用量は増加しつづけている。この為、この使用人口及び使用量の増加に対応すべく、より生産性の高い設備にて、品質的に差別化した保湿ティシュペーパーを生産し、市場に供給する必要が生じるようになった。
【0008】
従って、より生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダでの生産が求められている。マルチスタンド式インターフォルダでの生産能力はその前工程であるプライマシンの生産能力に依存し、プライマシンの生産能力は抄紙マシンの生産能力に基づき設計されている。一般的にマルチスタンド式のインターフォルダの生産能力は高速タイプで300〜500カートン/分程度の生産能力があると言われており、ここから逆算して、プライマシンでは700m/分以上での薬液塗布を伴うプライ原反の生産を行う必要がある。
一般の塗工紙や上級紙の所謂洋紙の塗布・塗工では、ブレードコーターやゲートロールコーター等が採用され、1000m/分を超える生産速度で操業されるが、これらは米坪が40〜170g/m2程度の高い縦強度がある紙であり生産性に特化した塗布設備である。米坪10〜25g/m2程度のクレープ紙とされる衛生用薄葉紙では、比較的強度が低く、また伸び率10〜25%と伸びやすい性質があり、一般洋紙の塗布方法を適用した場合には紙切れ等の問題があり適していなかった。
【0009】
ここで、米坪10〜25g/m2程度のクレープ紙とされる衛生用薄葉紙に対して薬液を塗布する際には、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等の印刷式コーターを適用した塗布、あるいはスプレー方式等を用いることができるが、クレープ紙の凹凸に対応して安定した塗布等を実行する為には、版の柔軟性、薬液の飛散防止、塗布量の調整が容易であること等々の要件からフレキソ印刷方式が適している。しかし、今まで、700m/分以上の高速塗布の必要性がなかったことから、強度が低く伸び易い、凹凸のあるクレープ紙に適した高速塗布のための塗布方式の研究、調査はなされておらず、現状の塗布速度は100〜250m/分程度の速度でしかなかった。
【0010】
つまり、グラビア印刷方式では、グラビアロールが金属製であり、印圧による幅方向での塗布量調整幅がほとんど無いことから、紙の凹凸に対し塗布量を調整する手段を持たず、幅方向で均一に塗布することは事実上できない。また、金属製のグラビアロールに対するクレープ紙の密着性が低く、グラビアロールには紙に転写されない薬液が残り、回転するロールの遠心力により飛散しやすい。さらに、グラビアロール自体を変更することにより塗布量の変更はできるものの、ロール交換の手間が大きいという欠点を有していた。
【0011】
他方、スプレー方式では、スプレーの塗布角による重なり代ができるため、原理的に幅方向に均一に塗布ができず、また、速度が上がるほど紙表面に随伴する風の影響から飛散が多くなる欠点を有していた。
フレキソ方式を適用する場合でも、衛生用薄葉紙に水分を含む薬剤を高速で塗布するには、上記のグラビア方式やスプレー方式での欠点はないものの、単に衛生用薄葉紙に適用するだけでは、薬剤塗布による薬剤中の水分による紙力の低下、伸びによるドローの変化に対する対応の低下、コンタクトエンボス時の紙の破れ、塗布表面の滑りによる巻取り時の巻きずれ、等々の課題があった。
【0012】
そこで、本発明の主たる課題は、マルチスタンド式インターフォルダで利用されるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、紙力や米坪の低い衛生用薄葉紙で高速かつ均一に薬液塗布し、例えばコンタクトエンボスによる破れや断紙、原反の巻きズレを防止し安定して操業できるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して薬液を付与する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを同時に形成する巻取り工程とを有し、
薬液塗布工程がフレキソ印刷式コーターを適用した工程であり、積層連続シートの各表面に対しそれぞれ薬液を付与することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0014】
〔請求項2記載の発明〕
薬液塗布工程とスリット工程との間に、受けロールとコロとの間で積層連続シートを挟んで、積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状の接合部分を形成する接合工程を設け、
前記薬液塗布工程が、それぞれ2ロールフレキソコーターによる少なくとも2つの薬液付与部により薬液を付与する工程とされ、一方の薬液付与部が前記コロと接するシートの側に位置し、他方の薬液付与部が他のシートの側に位置していて、一方の薬液付与部の塗布量を他方の薬液付与部の塗布量より少なくすることを特徴とする請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0015】
これに対し、フレキソ方式の中で2ロールフレキソ方式が高速塗布の可能性があり、本発明にこれを採用することにより700m/分以上の塗布が可能となった。
まずフレキソ方式では、版がゴム製、樹脂性であり、近年のレーザー加工技術により版の加工精度が高く、幅方向での塗布量が均一となるように版の加工が容易である。また2ロール式の採用により、薬液はディップロールからアニロックスロール、アニロックスロールから刷版ロールへと転写される過程で、幅方向での塗布量調整が容易である。表面をセラミックスとしたアニロックスロールのセル容量、線数の変更により、アニロックスロールや版から薬液のミストが飛散することを最小限に抑えることができる。
【0016】
〔請求項3記載の発明〕
積層連続シートを700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る製造方法におけるスリット工程でティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるよう製造されたティシュペーパー製品用二次原反ロールは、この後段でマルチスタンド式インターフォルダに多数セットされる。次いで、マルチスタンド式インターフォルダにセットされた二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
本発明では、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法における積層連続シートに対して薬液を付与するようになっている。このため、プライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に薬液塗布工程を設ける場合と比較して、設備コストを低く抑えることができると共に、製造工程を削減できることから製造時の効率化につながる。また、薬液を付与しないティシュペーパー製品を製造する場合は、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造工程から薬液塗布工程を省略するだけで良いため、設備の切り替えが容易にできる。
【0018】
本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、薬液塗布工程は、積層工程の後であって、且つ、スリット工程の前に行われることが好ましい。というのは、薬液塗布工程が積層工程の前であると、それぞれの一次連続シートに対して薬液を付与するための設備を設けなければならず、他方、スリット工程の後であると、スリット工程によって複数に分割された積層連続シートに対して薬液を付与するため、スリット部から薬液が漏れロールが汚れ、断紙の原因となる。薬液塗布工程が積層工程とスリット工程との間で行われるようになっていると、スリット工程によって分割されていない積層連続シートのみに薬液を付与するための設備を用意すれば良く、薬液のロスが少なく、断紙がなく操業が安定するからである。
【0019】
また、積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状の接合部分を形成する接合工程が、薬液塗布工程とスリット工程との間に存在しているが、この接合工程を実施するに際しては、受けロールとコロとの間で積層連続シートを挟んで、積層連続シートを接合している。
尚、積層連続シートに対して層間剥離を防止する為の接合工程としては、圧着や接着等の手段であっても良いが、接合工程を例えば積層連続シートに対してライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程としても良い。このようなコンタクトエンボス工程が、薬液塗布工程とスリット工程との間に存在している場合、このコンタクトエンボス工程を実施するに際しては、受けロールとコロとの間で積層連続シートを挟んで、コンタクトエンボスを施すことになる。
【0020】
ここで、接合工程の一例のコンタクトエンボス工程を薬液塗布工程の前で行なうと、積層連続シートにおけるコンタクトエンボスが施された部分と施されていない部分とが形成された状態で薬液が付与される。このため薬液の付与量にムラが生じて、薬液が多く付与された部分と少なく付与された部分の伸び率に違いが生じ、ティシュペーパー製品のしわとなり見栄えが悪くなる。
また、コンタクトエンボス工程がスリット工程後であると、製品幅にスリットの入った積層連続シートに対してコンタクトエンボスを付与することとなるため、連続する製品幅の積層シートの端部に2箇所(2ライン)のコンタクトエンボスがなされることになる結果として、スリットしないライン全幅でのコンタクトエンボス加工と比較し断紙しやすくなる。
【0021】
他方、前述の薬液塗布工程はフレキソ印刷式コーターを適用した工程とするが、この薬液塗布工程においては、例えばコンタクトエンボス工程である接合工程で用いられるコロと対向する側であるコロと接するシートの塗布量をコロと非対向とされる他のシートの塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートの両面からそれぞれ積層連続シートに対して薬液を付与している。そして、スリット工程においてスリットされた各積層連続シートを上記のコロと対向した側を外周側として同軸で巻取り工程において巻取ることで、ティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを同時に形成している。
【0022】
従って、巻取り工程で用いられる巻き取りドラムの外周側になる面の塗布量をドラム内周側になる面の塗布量より少なくすることで、巻き取り時に蛇行なく二次原反ロールを巻き取ることができる。つまり、巻き取り時に用いられる2つのワインディングドラムに接する面への塗布量が少なくなることから、この部分が抵抗となることで、2つのワインディングドラムとの間で滑り難くなって、蛇行なく巻き取りドラムに高速で巻け、スリット後の二次原反ロールとなる衛生用薄葉紙製品が巻きズレを起こして、使えなくなる問題を回避できるようになる。
この一方、例えば接合の一種であるコンタクトエンボス加工用のコロと対向する積層連続シートの面側の塗布量をコロと非対向とされる他の面側の塗布量に対して少なくすることで、薬液塗布工程後のコンタクトエンボス加工の際にも、紙が破れにくくなる利点がある。
【0023】
上記に伴い、この後に二次原反ロールとなってマルチスタンド式インターフォルダで加工される間(8時間以上)に、二次原反ロールの内側面に塗布された薬液とされるローション剤が二次原反ロールの外周面に転移し、両外側面は均一な表面性が得られて、表裏差のない均一なティシュー品質が得られるようになる。さらに、スリット工程前の幅広い積層連続シートに薬液を付与することになるので、積層連続シートの幅方向の塗布量が均一であり、ローション剤の飛散が少なく歩留が高くなる。
【0024】
以上より、本発明に係る衛生用薄葉紙製品用二次原反ロールの製造方法によれば、紙力の低い家庭紙で高速かつ均一に薬液塗布し、例えばコンタクトエンボスによる破れや断紙、原反の巻きズレを防止し安定して操業できることになる。
【0025】
また、薬液塗布工程が、それぞれ2ロールフレキソコーターによる少なくとも2つの薬液付与部により薬液を付与する工程とされ、一方の薬液付与部がコロと接するシートの側に位置し、他方の薬液付与部が他のシートの側に位置していて、一方の薬液付与部の塗布量が他方の薬液付与部の塗布量より少なくされている。これに伴い、フレキソ形式とされることで、版が樹脂であり弾力性があるため衛生用薄葉紙に多少の凹凸があっても印圧での塗布量調整が可能となるので、グラビア印刷のような金属ロール、あるいはスプレー方式で塗布するよりも積層連続シートにシワが入り難くなり、かつ、幅方向で均一に塗布することが可能となる。
【0026】
他方、フレキソ印刷を応用した2ロールフレキソコーターを用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、刷版の線数や面積率を設定することで一つのアニロックスロールで幅広い粘度の薬液を安定的かつ均一に塗布することができるようになる。高速塗布を行なう場合のフレキソ樹脂版の線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線である。
【0027】
本発明では、薬液塗布工程に際して、2ロールフレキソコーターを適用し塗布量が幅方向に、そして時間的に(流れ方向で)安定させることができるために、本発明の例えばコンタクトエンボスのコロに対向する面には塗布量を少なくしてコンタクトエンボス部の破れ防止、かつ同じ面を外側にしてワインディングドラムと接するようにし巻きズレ防止の効果が発揮できる。また、塗布量が安定していることが、衛生用薄葉紙に部分的に弱い部分を作ることを回避させ、高速塗布および加工が可能になる。
【0028】
さらに、温度変化等の外的環境の変化に対応して薬液の塗布量が幅方向で変わる可能性があり、随時調整する必要もある。つまり、薬液の温度管理は行うものの、外部の温度変化等の外的要因や紙粉、エアーの混入による薬液の粘度が変化することで幅方向の塗布量にばらつきが生じると、幅方向で紙の伸びが違ってくることから巻きずれや原反の形状不良等の発生が考えられる。グラビア印刷ではこのような過度の塗布等による巻きずれを改善するための調整が困難となる。この結果として、塗布量の調整範囲が広く且つ調整が容易なフレキソ印刷がグラビア印刷より有利となる。
【0029】
さらに、高速印刷に対応できるフレキソ形式であれば、アニロックスロールに対し刷版を薬液物性に応じて、あるいは必要な塗布量に応じて選定するだけで、1.0〜7.0g/m2の範囲の塗布量変更ができるので、積層連続シートを700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートを巻き取れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図2】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図3】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、側面から見た状態を示している。
【図4】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図5】折り畳まれたティシュペーパーの縦断面図である。
【図6】(a)ティシュペーパー束を収納箱に収納している様子を示す図である。(b)収納箱に収納されたティシュペーパーの取出す様子を示す一部破断図である。
【図7】折り板に関する部位の要部拡大斜視図である。
【図8】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図9】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図10】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図11】二次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図12】図11で示す薬液付与手段周辺の要部拡大図である。
【図13】コンタクトエンボス手段によって積層連続シートにコンタクトエンボスを付与している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態を説明する。なお、図中の矢印HDは水平方向を、矢印LDは上下方向を示している。
〔一次原反ロールの製造方法〕
一次原反ロールの製造方法の一例を、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、ワイヤーパートを経た湿紙Wがボトムフェルト111に載せられて移送され、その後、トップフェルト110及びボトムフェルト111に挟持されたまま、トップロール112とボトムロール113の間を通過し搾水される。その後、搾水された湿紙Wは、トップフェルト110に載せられた状態で、タッチロール116を介してヤンキードライヤー115の表面に付着させられる。そして、湿紙Wは、ヤンキードライヤー115によって乾燥され、ドクターブレード117により引き剥がされた後、巻き取られることで一次原反ロールJRとされる。
この抄紙に際しては、例えば、分散剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料などの適宜の薬品を添加することができる。
なお、本一次原反ロールの製造方法においては、ドクターブレード117により引き剥がされた後でカレンダー手段118によって平滑化処理を施すこともできる。
【0032】
〔ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備〕
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1(プライマシンX1)は、上述の製造方法などで製造された一次原反ロールJRを、少なくとも2つ以上セット可能とされており、これらの一次原反ロールJRから繰り出した一次連続シートS1を、その連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とするプライ手段51を有している。
【0033】
プライ手段51の後段には、プライ手段51から流れてくる積層連続シートS2に対して薬液を付与する一対の薬液付与手段53が設けられており、これらの薬液付与手段53の後段には、並設された複数のカッターから成り、薬液付与手段53から移送されてきた積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段55が配置されている。そして、スリット手段55の後段には、スリット手段55によってスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを形成する巻取り手段56が設けられている。ここで、この巻取り手段56は、スリットされた各積層連続シートS2を二次原反ロールRに案内するための2つのワインディングドラム56Aを有していて、これら2つのワインディングドラム56Aが二次原反ロールRの外周面に接して積層連続シートS2を案内している。
【0034】
(カレンダー手段)
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1には、積層連続シートS2をカレンダー処理するカレンダー手段52を一つ以上設けることもできる。
カレンダー手段52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーの事である。
カレンダー手段52の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
二つ以上のカレンダー手段52を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味している。
カレンダー処理条件におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるシートの品質すなわちシートの紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
また、カレンダー手段52の設置位置は特に限定されないが、プライ手段51の後段であって且つ薬液付与手段53の前段や、薬液付与手段53の後段であって且つコンタクトエンボス手段54の前段とすることができる。
【0035】
(薬液付与手段)
積層連続シートS2に対して薬液を付与する薬液塗布工程は、薬液付与手段53により実行されるが、具体的には、この薬液付与手段53はそれぞれフレキソ形式による2つの薬液付与部53A、53Bにより構成され、これら2つの薬液付与部53A、53Bにより薬液を付与するようにされている。そして、積層連続シートS2を700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤をこれら薬液付与手段53A、53Bによって両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布している。
【0036】
つまり、図11及び図12に示すように一方のフレキソ形式とされる薬液付与部53Aは、薬液の入っている薬液タンク61Aにディップロールである絞りロール62Aが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク61A外において絞りロール62Aと接しつつアニロックスロール63Aが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している圧胴65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液付与部53Aが後述するコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。
【0037】
また、図11及び図12に示すように他方のフレキソ形式とされる薬液付与部53Bは、薬液の入っている薬液タンク61Bにディップロールである絞りロール62Bが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク61B外において絞りロール62Bと接しつつアニロックスロール63Bが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Bと接し且つ積層連続シートS2の他の面とも接する刷版ロール64Bが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している圧胴65Bとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液付与部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。
【0038】
従って、積層連続シートS2の両面に薬液付与部53A及び薬液付与部53Bから薬液がそれぞれ付与されるが、この際、薬液付与部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液付与部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を付与している。
【0039】
但し、両面の合計塗布量は、前述のように1.5〜5g/m2であり、プライ原反ロールである二次原反ロールRの外周面の塗布量が、二次原反ロールRの内周面の塗布量より少なくされている。そして、紙の両面に対するローション剤の合計塗布量の内、二次原反ロールRの外周面への塗布量は、全体の20%以上で50%未満が良いが、具体的な値は、二次原反ロールRの滑りと品質のバランス、シートの厚みやローション剤の浸透性、転移性により最適条件が異なるので、上記の範囲で変化する。
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
【0040】
従って、本実施の形態によれば、フレキソ形式を用いて版が樹脂であり弾力性があるため衛生用薄葉紙に多少の凹凸があっても印圧で調整可となるので、グラビア印刷のような金属ロールで塗布するよりも積層連続シートS2にシワが入り難くなる。他方、フレキソ印刷を応用したフレキソ形式を用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるようになる。具体的には、積層連続シートS2を700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートS2を巻き取れるようになる。
【0041】
尚、本実施の形態において使用する原紙は1プライで、米坪10〜25g/m2、クレープ率10〜30%とされ、同じく2プライで、伸び10〜25%、乾燥紙力縦が200〜700cN/25mm、乾燥紙力横が100〜300cN/25mm、原紙の湿潤紙力は横が50〜150cN/25mmの衛生薄葉紙である。
【0042】
本実施の形態のように、にフレキソ印刷を用いる場合、ドクターチャンバー方式、もしくは、2ロール方式のものなどを用いることも考えられる。また、薬液付与手段53は単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくなるため、加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。
【0043】
薬液付与手段53の前後に配置される手段(図11の例ではカレンダー手段52及びコンタクトエンボス手段54)は、相互に近接して配置することが好ましい。そうすることによって、薬液が付与されないティシュペーパー製品を製造する場合には、積層連続シートS2を薬液付与手段53の前段から後段に直接移送し、薬液付与手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけでよくなるため、薬液付与の有無を容易に切り替えることが可能となる。例えば、図11に示すティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1では、薬液が付与されないティシュペーパー製品を製造する場合、図11において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に直接移送し、薬液付与手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
【0044】
また、付随する薬液付与手段53の要件としては、以下のものが考えられる。
薬液タンク61A、61B等の塗布装置内で循環する薬液に含まれる紙粉やエアーのろ過装置を設置する必要があるが、ろ過装置としてはフィルターで紙粉等を除去することが考えられる。さらに、薬液タンク61A、61B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させる必要が考えられるが、薬液タンク61A、61Bに繋がる中間タンク及び配管にヒーターを設置することが考えられる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する必要が考えられるが、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。
【0045】
(薬液)
塗布する薬液について、粘度は高速加工を行う観点から40℃で1〜700mPa・sが望ましい。1mPa・sより小さいとアニロックスロール、刷版ロール、グラビアロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや薄葉紙への塗布量をコントロールしにくくなる。成分はポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬剤を0.01〜22%含むものとする。
【0046】
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0047】
(コンタクトエンボス手段)
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1には、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54を設けることができる。そして、このコンタクトエンボス手段54により、積層連続シートS2に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分であるコンタクトエンボスCEを形成するための接合工程が実行される。
【0048】
ここで、コンタクトエンボス手段54は、図13に示すように、受けロールである圧胴54Bと表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロ54Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、積層連続シートS2におけるティシュペーパー製品の幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部54Cと圧胴54Bとの間で積層連続シートS2を挟みつつ搬送することで、積層連続シートS2に対して、積層連続シートS2の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
尚、このコンタクトエンボスCEを施すコロ54Aと対向した側の面を外周側として前述の巻取り手段56が、積層連続シートS2を巻取ることになる。
【0049】
このようにコンタクトエンボスCEを付与することによって、複数の一次連続シートS1を積層して成る積層連続シートS2の層間剥離を防止する。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシュペーパー製品の端部が層間剥離し難くなるように、ティシュペーパー製品の幅方向両側部に位置するよう形成されることが好ましい。
なお、コンタクトエンボス手段54の設置箇所は特に限定されないが、薬液付与手段53の後段であって且つスリット手段55の前段や、カレンダー手段52の後段であって且つ薬液付与手段53の前段や、薬液付与手段53の後段であるカレンダー手段52の後段であって且つスリット手段55の前段とすることができる。
また、この接合工程において、本実施形態ではコロとして表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロ54Aを用いたが、積層連続シートS2に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロ54Aの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
【0050】
(一次連続シート)
一次連続シートS1の原料パルプは、特に限定されず、ティシュペーパー製品の用途に応じて適宜の原料パルプを選択して使用することができる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0051】
特に原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=2:8〜8:2がよく、特に、NBKP:LBKP=4:6〜7:3が望ましい。
【0052】
一次連続シートS1は、JIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2とされ、好ましくは12〜20g/m2とされ、より好ましくは13〜16g/m2とされる。坪量が10g/m2未満であると、柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。
また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は2プライで80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとされる。
【0053】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%であるのが好ましく、12〜25%であるのがより好ましく、13〜20%であるのが特に好ましい。クレープ率が10%未満であると、加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー製品となる。クレープ率が30%以上であると、加工時のシートの張力コントロールが難しくシワが発生したり、また肌触りの悪いティシュペーパー製品となる。
【0054】
一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張が低過ぎると、製造時に破れや伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0055】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、紙力剤を内添(ドライヤーパートよりも前の段階、例えばパルプスラリーに添加)する、パルプのフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、NBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の手法を適宜組み合わせることができる。
【0056】
乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0057】
〔ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法〕
次に、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法の一例を説明する。本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は、例えば、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1を用いて行うことができる。
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートS1をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して一対の薬液付与手段53で薬液を付与し(薬液塗布工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
【0058】
なお、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法では、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1と同様に、積層工程の後段であって且つ薬液塗布工程の前段に、積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理する平滑化工程を設けることもできる。また、薬液塗布工程の後段であって且つスリット工程の前段に、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54で層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程を設けることもできる。
【0059】
本実施形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法においては、加工速度は100〜900m/分とされ、好ましくは350〜850m/分とされ、より好ましくは450〜800m/分とされる。1200m/分超過であると、積層連続シートS2が断紙する頻度が高くなり、薬液塗布工程では刷版ロールやアニロックスロール表面のローション剤の幅方向の不均一性により、薬液の塗布ムラが生じる可能性があり、またローション剤の飛散が多くなる。
【0060】
本実施形態に係る衛生用薄葉紙製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法においては、薬液を積層連続シートS2の両面に塗布する場合、両面の合計の薬液塗布量は、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.5〜4.0g/m2とされる。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、ワインディングドラムで巻き取りの際に巻きズレを起こしたり、また品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.5g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布面との差異を感じられなくなってしまう。
【0061】
なお、両塗布面への塗布量に大きな差異があると、表裏差を生じてしまうことから、一方の塗布量が全体の20%以上で50%未満が良い。塗布後にプライ原反で保管されてから折り加工されるまでの時間(8時間以上)に、両塗布面は接していることから、しだいに両者の薬液量は均等化していき表裏差は改善される。
薬液を積層連続シートの片面のみに塗布する場合、薬液の塗布は、巻きズレを起こしにくいことからS1への塗布がよい。塗布量は、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.5〜4.0g/m2とされる。
塗布量は、操業中にプライ後の薬液を塗布しない場合の各々のシート米坪と、対応する塗布した直後の各々のシート米坪との差異により算出した。
(塗布量g/m2)=(塗布直後の米坪g/m2)−(塗布しない場合の米坪g/m2)
両表層の塗布量、もしくは両面の塗布量の合計とは、プライされたティシュペーパーのシートの単位面積当たりの塗布量の合計であり、各シートの塗布量を加算したものとする。
【0062】
〔マルチスタンド式インターフォルダ〕
上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法で製造された二次原反ロールRは、マルチスタンド式インターフォルダに多数セットされ、セットされた二次原反ロールRから二次連続シートを繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシュペーパー束が製造される。以下では、そのマルチスタンド式インターフォルダの一例について説明する。
【0063】
図2及び図3に、マルチスタンド式インターフォルダの一例を示した。図中の符号2は、マルチスタンド式インターフォルダ1の図示しない二次原反ロール支持部にセットされた二次原反ロールR,R…を示している。この二次原反ロールR,R…は、必要数が図示平面と直交する方向(図2における水平方向、図3における紙面前後方向)に横並びにセットされている。各二次原反ロールRは、上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法でティシュペーパー製品幅にスリットが入れられており、ティシュペーパー製品の複数倍幅、図示例では2倍幅で巻き取られ、セットされている。
【0064】
二次原反ロールRから巻き出された連続する帯状の二次連続シート3A及び3Bは、ガイドローラG1、G1等のガイド手段に案内されて折畳機構部20へ送り込まれる。また、折畳機構部20には、図4に示すように、折板P,P…が必要数並設されてなる折板群21が備えられている。各折板Pに対しては、一対の連続する二次連続シート3A又は3Bを案内するガイドローラG2,G2やガイド丸棒部材G3,G3が、それぞれ適所に備えられている。さらに、折板P,P…の下方には、折り畳みながら積み重ねられた積層帯30を受けて搬送するコンベア22が備えられている。
【0065】
この種の折板P,P…を用いた折畳機構は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。この種の折畳機構は、図5に示すように、各連続する二次連続シート3A,3B…を、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する連続する二次連続シート3A,3B…の側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。
【0066】
図7〜図10に、折畳機構部20の特に折板Pに関する部位を、詳しく示した。本折畳機構部20においては、各折板Pに対して、一対の連続する二次連続シート3A及び3Bが案内される。この際、連続する二次連続シート3A及び3Bは、ガイド丸棒部材G3,G3によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0067】
折板Pに案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の連続する二次連続シート3Aとし、上側に重なっている連続する二次連続シートを第2の連続する二次連続シート3Bとすると、これら連続する二次連続シート3A及び3Bは、図5及び図8に示すように、第1の連続する二次連続シート3Aの第2の連続する二次連続シート3Bと重なっていない側端部e1が、折板Pの側板P1によって、第2の連続する二次連続シート3Bの上側に折り返されるとともに、図5及び図9に示すように、第2の連続する二次連続シート3Bの第1の連続する二次連続シート3Aと重なっていない側端部e2が、折板PのスリットP2から折板P下に引き込まれるようにして下側に折り返される。この際、図5及び図10に示すように、上流の折板Pにおいて折り畳みながら積み重ねられた連続する二次連続シート3Aの側端部e3(e1)が、折板PのスリットP2から第2の連続する二次連続シート3Bの折り返し部分間に案内される。このようにして、各連続する二次連続シート3A,3B…は、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する連続する二次連続シート3A及び3Bの側端部相互が掛け合わされ、したがって、製品使用時において、最上位のティシュペーパーを引き出すと、次のティシュペーパーの側端部が引き出されることになる。
【0068】
以上のようにしてマルチスタンド式インターフォルダ1で得られた積層帯30は、図2に示すように、後段の切断手段41において流れ方向FLに所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束30aとされ、図6(a)に示すように、このティシュペーパー束30aは、更に後段設備において収納箱Bに収納される。なお、以上のようなマルチスタンド式インターフォルダ1では、積層帯30の紙の方向は、流れ方向FLに沿って縦方向(MD方向)となっており、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、積層帯30を所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、図6(a)に示すように、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0069】
図6(b)に、収納箱Bにティシュペーパー束30aを収納して成る製品の一例を示した。収納箱Bの上面にはミシン目Mが設けられており、このミシン目Mで収納箱B上面の一部を破断することにより収納箱Bの上面が開口するようになっている。この開口は中央にスリットを有するフィルムFによって覆われており、このフィルムFに設けられたスリットを介してティシュペーパーTを取出すことができるようになっている。
ところで、前述したように、ティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となるため、図6(b)に示すように、ティシュペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシュペーパーTの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、マルチスタンド式インターフォルダで用いられるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造に適用できるものである。
【符号の説明】
【0071】
51・・・プライ手段(積層工程)
52・・・カレンダー手段(平滑化工程)
53・・・薬液付与手段(薬液塗布工程)
53A・・・薬液付与部
53B・・・薬液付与部
54・・・コンタクトエンボス手段(コンタクトエンボス工程)
54A・・・コロ
55・・・スリット手段(スリット工程)
56・・・巻き取り手段(巻き取り工程)
S1・・・一次連続シート
S2・・・積層連続シート
JR・・・一次原反ロール
R・・・二次原反ロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチスタンド式インターフォルダに供するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーの箱詰め製品は、一般的に、インターフォルダ(折り畳み設備)によって複数の連続するティシュペーパーを折り畳みながら積み重ね、所定の長さに切断するなどしてティシュペーパー束を得、このティシュペーパー束を収納箱(ティシュカートン)内に収納することによって製造される。
【0003】
このようなインターフォルダの例として、下記特許文献1、2に開示されるようなマルチスタンド式インターフォルダや、下記特許文献3、4に開示されるようなロータリー式インターフォルダなどが知られている。
【0004】
マルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法の従来例としては、次のようなものがある。すなわち、抄紙設備において衛生用薄葉紙を抄造して巻き取ることで一次原反ロール(一般にジャンボロールともいわれている)を製造し、次いで、この一次原反ロールをプライマシンにセットし、複数の一次原反ロールから繰り出した一次連続シートを重ね合わせて巻き取ると共にスリット(幅方向にティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅に分割)し、複数のプライからなる二次原反ロールを製造する。
プライマシンで製造された二次原反ロールは、プライマシンから取り出された後、必要な数だけマルチスタンド式インターフォルダにセットされる。次いで、二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
このようなマルチスタンド式インターフォルダを用いた製造方法は、他の折り畳み設備を用いた製造方法に比べて、多数(通常80〜100基程度)の折畳み機構を有しているため生産性が高いという利点を有している。
【0005】
ところで、近年では、ティシュペーパー製品に保湿剤や香料などの薬液を付与されたものの需要が拡大しており、例えば下記特許文献5〜7に開示されるような製造方法や設備が種々提案されている。このようなティシュペーパー製品は、主にロータリー式インターフォルダで製造されるのが一般的であった(例えば下記特許文献5)。しかし、ロータリー式インターフォルダは、加工方向と垂直方向に折畳みと裁断を同時に行うため、生産性が低いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献2】特開2006−240750号公報
【特許文献3】特開昭61−37668号公報
【特許文献4】特開平5−124770号公報
【特許文献5】特開2004−322034号公報
【特許文献6】特表2008−525103号公報
【特許文献7】特開2008−264564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薬液が付与されたティシュペーパー製品である保湿ティシュペーパーは現在、800トン/月の需要があると言われているが、保湿ティシューの認知率の増加に伴い使用人口及び使用量は増加しつづけている。この為、この使用人口及び使用量の増加に対応すべく、より生産性の高い設備にて、品質的に差別化した保湿ティシュペーパーを生産し、市場に供給する必要が生じるようになった。
【0008】
従って、より生産性の高いマルチスタンド式インターフォルダでの生産が求められている。マルチスタンド式インターフォルダでの生産能力はその前工程であるプライマシンの生産能力に依存し、プライマシンの生産能力は抄紙マシンの生産能力に基づき設計されている。一般的にマルチスタンド式のインターフォルダの生産能力は高速タイプで300〜500カートン/分程度の生産能力があると言われており、ここから逆算して、プライマシンでは700m/分以上での薬液塗布を伴うプライ原反の生産を行う必要がある。
一般の塗工紙や上級紙の所謂洋紙の塗布・塗工では、ブレードコーターやゲートロールコーター等が採用され、1000m/分を超える生産速度で操業されるが、これらは米坪が40〜170g/m2程度の高い縦強度がある紙であり生産性に特化した塗布設備である。米坪10〜25g/m2程度のクレープ紙とされる衛生用薄葉紙では、比較的強度が低く、また伸び率10〜25%と伸びやすい性質があり、一般洋紙の塗布方法を適用した場合には紙切れ等の問題があり適していなかった。
【0009】
ここで、米坪10〜25g/m2程度のクレープ紙とされる衛生用薄葉紙に対して薬液を塗布する際には、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等の印刷式コーターを適用した塗布、あるいはスプレー方式等を用いることができるが、クレープ紙の凹凸に対応して安定した塗布等を実行する為には、版の柔軟性、薬液の飛散防止、塗布量の調整が容易であること等々の要件からフレキソ印刷方式が適している。しかし、今まで、700m/分以上の高速塗布の必要性がなかったことから、強度が低く伸び易い、凹凸のあるクレープ紙に適した高速塗布のための塗布方式の研究、調査はなされておらず、現状の塗布速度は100〜250m/分程度の速度でしかなかった。
【0010】
つまり、グラビア印刷方式では、グラビアロールが金属製であり、印圧による幅方向での塗布量調整幅がほとんど無いことから、紙の凹凸に対し塗布量を調整する手段を持たず、幅方向で均一に塗布することは事実上できない。また、金属製のグラビアロールに対するクレープ紙の密着性が低く、グラビアロールには紙に転写されない薬液が残り、回転するロールの遠心力により飛散しやすい。さらに、グラビアロール自体を変更することにより塗布量の変更はできるものの、ロール交換の手間が大きいという欠点を有していた。
【0011】
他方、スプレー方式では、スプレーの塗布角による重なり代ができるため、原理的に幅方向に均一に塗布ができず、また、速度が上がるほど紙表面に随伴する風の影響から飛散が多くなる欠点を有していた。
フレキソ方式を適用する場合でも、衛生用薄葉紙に水分を含む薬剤を高速で塗布するには、上記のグラビア方式やスプレー方式での欠点はないものの、単に衛生用薄葉紙に適用するだけでは、薬剤塗布による薬剤中の水分による紙力の低下、伸びによるドローの変化に対する対応の低下、コンタクトエンボス時の紙の破れ、塗布表面の滑りによる巻取り時の巻きずれ、等々の課題があった。
【0012】
そこで、本発明の主たる課題は、マルチスタンド式インターフォルダで利用されるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、紙力や米坪の低い衛生用薄葉紙で高速かつ均一に薬液塗布し、例えばコンタクトエンボスによる破れや断紙、原反の巻きズレを防止し安定して操業できるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して薬液を付与する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを同時に形成する巻取り工程とを有し、
薬液塗布工程がフレキソ印刷式コーターを適用した工程であり、積層連続シートの各表面に対しそれぞれ薬液を付与することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0014】
〔請求項2記載の発明〕
薬液塗布工程とスリット工程との間に、受けロールとコロとの間で積層連続シートを挟んで、積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状の接合部分を形成する接合工程を設け、
前記薬液塗布工程が、それぞれ2ロールフレキソコーターによる少なくとも2つの薬液付与部により薬液を付与する工程とされ、一方の薬液付与部が前記コロと接するシートの側に位置し、他方の薬液付与部が他のシートの側に位置していて、一方の薬液付与部の塗布量を他方の薬液付与部の塗布量より少なくすることを特徴とする請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【0015】
これに対し、フレキソ方式の中で2ロールフレキソ方式が高速塗布の可能性があり、本発明にこれを採用することにより700m/分以上の塗布が可能となった。
まずフレキソ方式では、版がゴム製、樹脂性であり、近年のレーザー加工技術により版の加工精度が高く、幅方向での塗布量が均一となるように版の加工が容易である。また2ロール式の採用により、薬液はディップロールからアニロックスロール、アニロックスロールから刷版ロールへと転写される過程で、幅方向での塗布量調整が容易である。表面をセラミックスとしたアニロックスロールのセル容量、線数の変更により、アニロックスロールや版から薬液のミストが飛散することを最小限に抑えることができる。
【0016】
〔請求項3記載の発明〕
積層連続シートを700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る製造方法におけるスリット工程でティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるよう製造されたティシュペーパー製品用二次原反ロールは、この後段でマルチスタンド式インターフォルダに多数セットされる。次いで、マルチスタンド式インターフォルダにセットされた二次原反ロールから二次連続シートを繰り出して、折畳機構部へ送り込み、ここで折り畳みながら積み重ね、その後、所定の長さに切断されてティシュペーパー束とし、収納箱内に収納する。
本発明では、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法における積層連続シートに対して薬液を付与するようになっている。このため、プライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に薬液塗布工程を設ける場合と比較して、設備コストを低く抑えることができると共に、製造工程を削減できることから製造時の効率化につながる。また、薬液を付与しないティシュペーパー製品を製造する場合は、ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造工程から薬液塗布工程を省略するだけで良いため、設備の切り替えが容易にできる。
【0018】
本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、薬液塗布工程は、積層工程の後であって、且つ、スリット工程の前に行われることが好ましい。というのは、薬液塗布工程が積層工程の前であると、それぞれの一次連続シートに対して薬液を付与するための設備を設けなければならず、他方、スリット工程の後であると、スリット工程によって複数に分割された積層連続シートに対して薬液を付与するため、スリット部から薬液が漏れロールが汚れ、断紙の原因となる。薬液塗布工程が積層工程とスリット工程との間で行われるようになっていると、スリット工程によって分割されていない積層連続シートのみに薬液を付与するための設備を用意すれば良く、薬液のロスが少なく、断紙がなく操業が安定するからである。
【0019】
また、積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状の接合部分を形成する接合工程が、薬液塗布工程とスリット工程との間に存在しているが、この接合工程を実施するに際しては、受けロールとコロとの間で積層連続シートを挟んで、積層連続シートを接合している。
尚、積層連続シートに対して層間剥離を防止する為の接合工程としては、圧着や接着等の手段であっても良いが、接合工程を例えば積層連続シートに対してライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程としても良い。このようなコンタクトエンボス工程が、薬液塗布工程とスリット工程との間に存在している場合、このコンタクトエンボス工程を実施するに際しては、受けロールとコロとの間で積層連続シートを挟んで、コンタクトエンボスを施すことになる。
【0020】
ここで、接合工程の一例のコンタクトエンボス工程を薬液塗布工程の前で行なうと、積層連続シートにおけるコンタクトエンボスが施された部分と施されていない部分とが形成された状態で薬液が付与される。このため薬液の付与量にムラが生じて、薬液が多く付与された部分と少なく付与された部分の伸び率に違いが生じ、ティシュペーパー製品のしわとなり見栄えが悪くなる。
また、コンタクトエンボス工程がスリット工程後であると、製品幅にスリットの入った積層連続シートに対してコンタクトエンボスを付与することとなるため、連続する製品幅の積層シートの端部に2箇所(2ライン)のコンタクトエンボスがなされることになる結果として、スリットしないライン全幅でのコンタクトエンボス加工と比較し断紙しやすくなる。
【0021】
他方、前述の薬液塗布工程はフレキソ印刷式コーターを適用した工程とするが、この薬液塗布工程においては、例えばコンタクトエンボス工程である接合工程で用いられるコロと対向する側であるコロと接するシートの塗布量をコロと非対向とされる他のシートの塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートの両面からそれぞれ積層連続シートに対して薬液を付与している。そして、スリット工程においてスリットされた各積層連続シートを上記のコロと対向した側を外周側として同軸で巻取り工程において巻取ることで、ティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを同時に形成している。
【0022】
従って、巻取り工程で用いられる巻き取りドラムの外周側になる面の塗布量をドラム内周側になる面の塗布量より少なくすることで、巻き取り時に蛇行なく二次原反ロールを巻き取ることができる。つまり、巻き取り時に用いられる2つのワインディングドラムに接する面への塗布量が少なくなることから、この部分が抵抗となることで、2つのワインディングドラムとの間で滑り難くなって、蛇行なく巻き取りドラムに高速で巻け、スリット後の二次原反ロールとなる衛生用薄葉紙製品が巻きズレを起こして、使えなくなる問題を回避できるようになる。
この一方、例えば接合の一種であるコンタクトエンボス加工用のコロと対向する積層連続シートの面側の塗布量をコロと非対向とされる他の面側の塗布量に対して少なくすることで、薬液塗布工程後のコンタクトエンボス加工の際にも、紙が破れにくくなる利点がある。
【0023】
上記に伴い、この後に二次原反ロールとなってマルチスタンド式インターフォルダで加工される間(8時間以上)に、二次原反ロールの内側面に塗布された薬液とされるローション剤が二次原反ロールの外周面に転移し、両外側面は均一な表面性が得られて、表裏差のない均一なティシュー品質が得られるようになる。さらに、スリット工程前の幅広い積層連続シートに薬液を付与することになるので、積層連続シートの幅方向の塗布量が均一であり、ローション剤の飛散が少なく歩留が高くなる。
【0024】
以上より、本発明に係る衛生用薄葉紙製品用二次原反ロールの製造方法によれば、紙力の低い家庭紙で高速かつ均一に薬液塗布し、例えばコンタクトエンボスによる破れや断紙、原反の巻きズレを防止し安定して操業できることになる。
【0025】
また、薬液塗布工程が、それぞれ2ロールフレキソコーターによる少なくとも2つの薬液付与部により薬液を付与する工程とされ、一方の薬液付与部がコロと接するシートの側に位置し、他方の薬液付与部が他のシートの側に位置していて、一方の薬液付与部の塗布量が他方の薬液付与部の塗布量より少なくされている。これに伴い、フレキソ形式とされることで、版が樹脂であり弾力性があるため衛生用薄葉紙に多少の凹凸があっても印圧での塗布量調整が可能となるので、グラビア印刷のような金属ロール、あるいはスプレー方式で塗布するよりも積層連続シートにシワが入り難くなり、かつ、幅方向で均一に塗布することが可能となる。
【0026】
他方、フレキソ印刷を応用した2ロールフレキソコーターを用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、刷版の線数や面積率を設定することで一つのアニロックスロールで幅広い粘度の薬液を安定的かつ均一に塗布することができるようになる。高速塗布を行なう場合のフレキソ樹脂版の線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線である。
【0027】
本発明では、薬液塗布工程に際して、2ロールフレキソコーターを適用し塗布量が幅方向に、そして時間的に(流れ方向で)安定させることができるために、本発明の例えばコンタクトエンボスのコロに対向する面には塗布量を少なくしてコンタクトエンボス部の破れ防止、かつ同じ面を外側にしてワインディングドラムと接するようにし巻きズレ防止の効果が発揮できる。また、塗布量が安定していることが、衛生用薄葉紙に部分的に弱い部分を作ることを回避させ、高速塗布および加工が可能になる。
【0028】
さらに、温度変化等の外的環境の変化に対応して薬液の塗布量が幅方向で変わる可能性があり、随時調整する必要もある。つまり、薬液の温度管理は行うものの、外部の温度変化等の外的要因や紙粉、エアーの混入による薬液の粘度が変化することで幅方向の塗布量にばらつきが生じると、幅方向で紙の伸びが違ってくることから巻きずれや原反の形状不良等の発生が考えられる。グラビア印刷ではこのような過度の塗布等による巻きずれを改善するための調整が困難となる。この結果として、塗布量の調整範囲が広く且つ調整が容易なフレキソ印刷がグラビア印刷より有利となる。
【0029】
さらに、高速印刷に対応できるフレキソ形式であれば、アニロックスロールに対し刷版を薬液物性に応じて、あるいは必要な塗布量に応じて選定するだけで、1.0〜7.0g/m2の範囲の塗布量変更ができるので、積層連続シートを700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートを巻き取れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】一次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図2】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図3】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、側面から見た状態を示している。
【図4】マルチスタンド式インターフォルダの一例を示す概略図であり、正面から見た状態を示している。
【図5】折り畳まれたティシュペーパーの縦断面図である。
【図6】(a)ティシュペーパー束を収納箱に収納している様子を示す図である。(b)収納箱に収納されたティシュペーパーの取出す様子を示す一部破断図である。
【図7】折り板に関する部位の要部拡大斜視図である。
【図8】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図9】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図10】二次連続シート(ティシュペーパー)の折り畳み方を示す要部拡大斜視図である。
【図11】二次原反ロールの製造設備、製造方法を示す概略図である。
【図12】図11で示す薬液付与手段周辺の要部拡大図である。
【図13】コンタクトエンボス手段によって積層連続シートにコンタクトエンボスを付与している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態を説明する。なお、図中の矢印HDは水平方向を、矢印LDは上下方向を示している。
〔一次原反ロールの製造方法〕
一次原反ロールの製造方法の一例を、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、ワイヤーパートを経た湿紙Wがボトムフェルト111に載せられて移送され、その後、トップフェルト110及びボトムフェルト111に挟持されたまま、トップロール112とボトムロール113の間を通過し搾水される。その後、搾水された湿紙Wは、トップフェルト110に載せられた状態で、タッチロール116を介してヤンキードライヤー115の表面に付着させられる。そして、湿紙Wは、ヤンキードライヤー115によって乾燥され、ドクターブレード117により引き剥がされた後、巻き取られることで一次原反ロールJRとされる。
この抄紙に際しては、例えば、分散剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ水等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料などの適宜の薬品を添加することができる。
なお、本一次原反ロールの製造方法においては、ドクターブレード117により引き剥がされた後でカレンダー手段118によって平滑化処理を施すこともできる。
【0032】
〔ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備〕
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1(プライマシンX1)は、上述の製造方法などで製造された一次原反ロールJRを、少なくとも2つ以上セット可能とされており、これらの一次原反ロールJRから繰り出した一次連続シートS1を、その連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とするプライ手段51を有している。
【0033】
プライ手段51の後段には、プライ手段51から流れてくる積層連続シートS2に対して薬液を付与する一対の薬液付与手段53が設けられており、これらの薬液付与手段53の後段には、並設された複数のカッターから成り、薬液付与手段53から移送されてきた積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット手段55が配置されている。そして、スリット手段55の後段には、スリット手段55によってスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを形成する巻取り手段56が設けられている。ここで、この巻取り手段56は、スリットされた各積層連続シートS2を二次原反ロールRに案内するための2つのワインディングドラム56Aを有していて、これら2つのワインディングドラム56Aが二次原反ロールRの外周面に接して積層連続シートS2を案内している。
【0034】
(カレンダー手段)
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1には、積層連続シートS2をカレンダー処理するカレンダー手段52を一つ以上設けることもできる。
カレンダー手段52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーの事である。
カレンダー手段52の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
二つ以上のカレンダー手段52を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味している。
カレンダー処理条件におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるシートの品質すなわちシートの紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
また、カレンダー手段52の設置位置は特に限定されないが、プライ手段51の後段であって且つ薬液付与手段53の前段や、薬液付与手段53の後段であって且つコンタクトエンボス手段54の前段とすることができる。
【0035】
(薬液付与手段)
積層連続シートS2に対して薬液を付与する薬液塗布工程は、薬液付与手段53により実行されるが、具体的には、この薬液付与手段53はそれぞれフレキソ形式による2つの薬液付与部53A、53Bにより構成され、これら2つの薬液付与部53A、53Bにより薬液を付与するようにされている。そして、積層連続シートS2を700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤をこれら薬液付与手段53A、53Bによって両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布している。
【0036】
つまり、図11及び図12に示すように一方のフレキソ形式とされる薬液付与部53Aは、薬液の入っている薬液タンク61Aにディップロールである絞りロール62Aが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク61A外において絞りロール62Aと接しつつアニロックスロール63Aが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Aと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール64Aが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している圧胴65Aとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液付与部53Aが後述するコンタクトエンボス手段54のコロ54Aと対向し且つ、前述のワインディングドラム56Aとも対向する積層連続シートS2の面側に位置している。
【0037】
また、図11及び図12に示すように他方のフレキソ形式とされる薬液付与部53Bは、薬液の入っている薬液タンク61Bにディップロールである絞りロール62Bが浸されつつ回転可能に設置されている。さらに、薬液タンク61B外において絞りロール62Bと接しつつアニロックスロール63Bが、回転可能に設置されており、また、このアニロックスロール63Bと接し且つ積層連続シートS2の他の面とも接する刷版ロール64Bが回転可能に設置されていて、積層連続シートS2を挟んで対向している圧胴65Bとで積層連続シートS2に圧力を付与している。
そして、本実施の形態では、この薬液付与部53Bがコロ54Aと非対向とされ且つ、前述のワインディングドラム56Aとも非対向となる積層連続シートS2の他の面側に位置している。
【0038】
従って、積層連続シートS2の両面に薬液付与部53A及び薬液付与部53Bから薬液がそれぞれ付与されるが、この際、薬液付与部53Aによるコロ54Aと対向する積層連続シートS2の面側の塗布量を薬液付与部53Bによる他の面側の塗布量に対して少なくしつつ、積層連続シートS2の両面からそれぞれ積層連続シートS2に対して薬液を付与している。
【0039】
但し、両面の合計塗布量は、前述のように1.5〜5g/m2であり、プライ原反ロールである二次原反ロールRの外周面の塗布量が、二次原反ロールRの内周面の塗布量より少なくされている。そして、紙の両面に対するローション剤の合計塗布量の内、二次原反ロールRの外周面への塗布量は、全体の20%以上で50%未満が良いが、具体的な値は、二次原反ロールRの滑りと品質のバランス、シートの厚みやローション剤の浸透性、転移性により最適条件が異なるので、上記の範囲で変化する。
具体的には、片面毎の塗布量を変えるだけでなく、フレキソ版の線数を15〜40線程度、頂点面積率を20〜40%程度の薬液が飛散しない程度に粗くすることが考えられ、このようにすることで、塗布直後はドット柄が残り、瞬間的に塗布部分と未塗布部分ができるようになる。
【0040】
従って、本実施の形態によれば、フレキソ形式を用いて版が樹脂であり弾力性があるため衛生用薄葉紙に多少の凹凸があっても印圧で調整可となるので、グラビア印刷のような金属ロールで塗布するよりも積層連続シートS2にシワが入り難くなる。他方、フレキソ印刷を応用したフレキソ形式を用いることにより、加工速度が高速であっても塗布量を安定させることができ、また、一つのロールで幅広い薬液の粘度を安定的に塗布することができるようになる。具体的には、積層連続シートS2を700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布する際にも、塗布が均一で蛇行無く積層連続シートS2を巻き取れるようになる。
【0041】
尚、本実施の形態において使用する原紙は1プライで、米坪10〜25g/m2、クレープ率10〜30%とされ、同じく2プライで、伸び10〜25%、乾燥紙力縦が200〜700cN/25mm、乾燥紙力横が100〜300cN/25mm、原紙の湿潤紙力は横が50〜150cN/25mmの衛生薄葉紙である。
【0042】
本実施の形態のように、にフレキソ印刷を用いる場合、ドクターチャンバー方式、もしくは、2ロール方式のものなどを用いることも考えられる。また、薬液付与手段53は単数或いは複数設置することができ、複数設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設しても良く、水平方向を含めたこれらの設置方向を組み合わせて配置しても良い。水平方向に並設すると抱き角度を小さくなるため、加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。
【0043】
薬液付与手段53の前後に配置される手段(図11の例ではカレンダー手段52及びコンタクトエンボス手段54)は、相互に近接して配置することが好ましい。そうすることによって、薬液が付与されないティシュペーパー製品を製造する場合には、積層連続シートS2を薬液付与手段53の前段から後段に直接移送し、薬液付与手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけでよくなるため、薬液付与の有無を容易に切り替えることが可能となる。例えば、図11に示すティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1では、薬液が付与されないティシュペーパー製品を製造する場合、図11において二点鎖線で示すように、積層連続シートS2をカレンダー手段52からコンタクトエンボス手段54に直接移送し、薬液付与手段53を通さずに積層連続シートS2を流すだけで良い。
【0044】
また、付随する薬液付与手段53の要件としては、以下のものが考えられる。
薬液タンク61A、61B等の塗布装置内で循環する薬液に含まれる紙粉やエアーのろ過装置を設置する必要があるが、ろ過装置としてはフィルターで紙粉等を除去することが考えられる。さらに、薬液タンク61A、61B等の塗布装置内で薬液の温度をコントロールし、薬液粘度を安定させる必要が考えられるが、薬液タンク61A、61Bに繋がる中間タンク及び配管にヒーターを設置することが考えられる。他方、操業中に積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理する必要が考えられるが、例えば赤外線の検査機等を用いて常に幅方向の水分量とバラツキをチェックするようにできる。
【0045】
(薬液)
塗布する薬液について、粘度は高速加工を行う観点から40℃で1〜700mPa・sが望ましい。1mPa・sより小さいとアニロックスロール、刷版ロール、グラビアロール等のロール上で薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと各ロールや薄葉紙への塗布量をコントロールしにくくなる。成分はポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬剤を0.01〜22%含むものとする。
【0046】
ポリオールはグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類を含む。
機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシューに柔軟性を与えたり表面を滑らかにする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を助けたり、維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
薬液塗布時の温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0047】
(コンタクトエンボス手段)
ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1には、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボスを付与するコンタクトエンボス手段54を設けることができる。そして、このコンタクトエンボス手段54により、積層連続シートS2に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分であるコンタクトエンボスCEを形成するための接合工程が実行される。
【0048】
ここで、コンタクトエンボス手段54は、図13に示すように、受けロールである圧胴54Bと表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロ54Aとが所定の圧力を有して相互に外周面同士を当接しつつ、それぞれ回転可能に設置されている。そして、積層連続シートS2におけるティシュペーパー製品の幅方向中央に該当する部分に対して、左右各2つずつ存在する凸部54Cと圧胴54Bとの間で積層連続シートS2を挟みつつ搬送することで、積層連続シートS2に対して、積層連続シートS2の連続方向に沿って層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスCEを施すようになっている。
尚、このコンタクトエンボスCEを施すコロ54Aと対向した側の面を外周側として前述の巻取り手段56が、積層連続シートS2を巻取ることになる。
【0049】
このようにコンタクトエンボスCEを付与することによって、複数の一次連続シートS1を積層して成る積層連続シートS2の層間剥離を防止する。なお、コンタクトエンボスCEは、ティシュペーパー製品の端部が層間剥離し難くなるように、ティシュペーパー製品の幅方向両側部に位置するよう形成されることが好ましい。
なお、コンタクトエンボス手段54の設置箇所は特に限定されないが、薬液付与手段53の後段であって且つスリット手段55の前段や、カレンダー手段52の後段であって且つ薬液付与手段53の前段や、薬液付与手段53の後段であるカレンダー手段52の後段であって且つスリット手段55の前段とすることができる。
また、この接合工程において、本実施形態ではコロとして表面に細かい凸部54Cを有した金属製で硬質のコロ54Aを用いたが、積層連続シートS2に対して層間剥離を防止するライン状の接合部分が形成できればよく、例えばコロ54Aの替りに、表面に細かい針状の部材を有したローラをコロとすることもできる。
【0050】
(一次連続シート)
一次連続シートS1の原料パルプは、特に限定されず、ティシュペーパー製品の用途に応じて適宜の原料パルプを選択して使用することができる。原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0051】
特に原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=2:8〜8:2がよく、特に、NBKP:LBKP=4:6〜7:3が望ましい。
【0052】
一次連続シートS1は、JIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2とされ、好ましくは12〜20g/m2とされ、より好ましくは13〜16g/m2とされる。坪量が10g/m2未満であると、柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。
また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は2プライで80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとされる。
【0053】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%であるのが好ましく、12〜25%であるのがより好ましく、13〜20%であるのが特に好ましい。クレープ率が10%未満であると、加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー製品となる。クレープ率が30%以上であると、加工時のシートの張力コントロールが難しくシワが発生したり、また肌触りの悪いティシュペーパー製品となる。
【0054】
一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張が低過ぎると、製造時に破れや伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0055】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、紙力剤を内添(ドライヤーパートよりも前の段階、例えばパルプスラリーに添加)する、パルプのフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、NBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の手法を適宜組み合わせることができる。
【0056】
乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0057】
〔ティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法〕
次に、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法の一例を説明する。本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法は、例えば、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1を用いて行うことができる。
図11に示すように、本発明に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法においては、プライ手段51で複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートS1をその連続方向に沿って積層して積層連続シートS2とし(積層工程)、この積層連続シートS2に対して一対の薬液付与手段53で薬液を付与し(薬液塗布工程)、スリット手段55によって積層連続シートS2をティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットし(スリット工程)、次に、スリット工程でスリットされた積層連続シートS2を同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールRを、巻き取り手段56によって形成する。
【0058】
なお、本形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法では、上述したティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備X1と同様に、積層工程の後段であって且つ薬液塗布工程の前段に、積層連続シートS2に対して一対のカレンダー手段52で平滑化処理する平滑化工程を設けることもできる。また、薬液塗布工程の後段であって且つスリット工程の前段に、積層連続シートS2に対してコンタクトエンボス手段54で層間剥離を防止するライン状のコンタクトエンボスを施すコンタクトエンボス工程を設けることもできる。
【0059】
本実施形態に係るティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法においては、加工速度は100〜900m/分とされ、好ましくは350〜850m/分とされ、より好ましくは450〜800m/分とされる。1200m/分超過であると、積層連続シートS2が断紙する頻度が高くなり、薬液塗布工程では刷版ロールやアニロックスロール表面のローション剤の幅方向の不均一性により、薬液の塗布ムラが生じる可能性があり、またローション剤の飛散が多くなる。
【0060】
本実施形態に係る衛生用薄葉紙製品用二次原反ロールの製造設備又は製造方法においては、薬液を積層連続シートS2の両面に塗布する場合、両面の合計の薬液塗布量は、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.5〜4.0g/m2とされる。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙したり、ワインディングドラムで巻き取りの際に巻きズレを起こしたり、また品質的にべたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.5g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布面との差異を感じられなくなってしまう。
【0061】
なお、両塗布面への塗布量に大きな差異があると、表裏差を生じてしまうことから、一方の塗布量が全体の20%以上で50%未満が良い。塗布後にプライ原反で保管されてから折り加工されるまでの時間(8時間以上)に、両塗布面は接していることから、しだいに両者の薬液量は均等化していき表裏差は改善される。
薬液を積層連続シートの片面のみに塗布する場合、薬液の塗布は、巻きズレを起こしにくいことからS1への塗布がよい。塗布量は、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.5g/m2とされ、より好ましくは2.5〜4.0g/m2とされる。
塗布量は、操業中にプライ後の薬液を塗布しない場合の各々のシート米坪と、対応する塗布した直後の各々のシート米坪との差異により算出した。
(塗布量g/m2)=(塗布直後の米坪g/m2)−(塗布しない場合の米坪g/m2)
両表層の塗布量、もしくは両面の塗布量の合計とは、プライされたティシュペーパーのシートの単位面積当たりの塗布量の合計であり、各シートの塗布量を加算したものとする。
【0062】
〔マルチスタンド式インターフォルダ〕
上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法で製造された二次原反ロールRは、マルチスタンド式インターフォルダに多数セットされ、セットされた二次原反ロールRから二次連続シートを繰り出して折り畳むと共に積層することによってティシュペーパー束が製造される。以下では、そのマルチスタンド式インターフォルダの一例について説明する。
【0063】
図2及び図3に、マルチスタンド式インターフォルダの一例を示した。図中の符号2は、マルチスタンド式インターフォルダ1の図示しない二次原反ロール支持部にセットされた二次原反ロールR,R…を示している。この二次原反ロールR,R…は、必要数が図示平面と直交する方向(図2における水平方向、図3における紙面前後方向)に横並びにセットされている。各二次原反ロールRは、上述のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造設備、製造方法でティシュペーパー製品幅にスリットが入れられており、ティシュペーパー製品の複数倍幅、図示例では2倍幅で巻き取られ、セットされている。
【0064】
二次原反ロールRから巻き出された連続する帯状の二次連続シート3A及び3Bは、ガイドローラG1、G1等のガイド手段に案内されて折畳機構部20へ送り込まれる。また、折畳機構部20には、図4に示すように、折板P,P…が必要数並設されてなる折板群21が備えられている。各折板Pに対しては、一対の連続する二次連続シート3A又は3Bを案内するガイドローラG2,G2やガイド丸棒部材G3,G3が、それぞれ適所に備えられている。さらに、折板P,P…の下方には、折り畳みながら積み重ねられた積層帯30を受けて搬送するコンベア22が備えられている。
【0065】
この種の折板P,P…を用いた折畳機構は、例えば、米国特許4052048号特許明細書等によって公知の機構である。この種の折畳機構は、図5に示すように、各連続する二次連続シート3A,3B…を、Z字状に折り畳みながら、かつ隣接する連続する二次連続シート3A,3B…の側端部相互を掛け合わせながら積み重ねる。
【0066】
図7〜図10に、折畳機構部20の特に折板Pに関する部位を、詳しく示した。本折畳機構部20においては、各折板Pに対して、一対の連続する二次連続シート3A及び3Bが案内される。この際、連続する二次連続シート3A及び3Bは、ガイド丸棒部材G3,G3によって、側端部相互が重ならないように位置をずらされながら案内される。
【0067】
折板Pに案内された時点で下側に重なっている連続する二次連続シートを第1の連続する二次連続シート3Aとし、上側に重なっている連続する二次連続シートを第2の連続する二次連続シート3Bとすると、これら連続する二次連続シート3A及び3Bは、図5及び図8に示すように、第1の連続する二次連続シート3Aの第2の連続する二次連続シート3Bと重なっていない側端部e1が、折板Pの側板P1によって、第2の連続する二次連続シート3Bの上側に折り返されるとともに、図5及び図9に示すように、第2の連続する二次連続シート3Bの第1の連続する二次連続シート3Aと重なっていない側端部e2が、折板PのスリットP2から折板P下に引き込まれるようにして下側に折り返される。この際、図5及び図10に示すように、上流の折板Pにおいて折り畳みながら積み重ねられた連続する二次連続シート3Aの側端部e3(e1)が、折板PのスリットP2から第2の連続する二次連続シート3Bの折り返し部分間に案内される。このようにして、各連続する二次連続シート3A,3B…は、Z字状に折り畳まれるとともに、隣接する連続する二次連続シート3A及び3Bの側端部相互が掛け合わされ、したがって、製品使用時において、最上位のティシュペーパーを引き出すと、次のティシュペーパーの側端部が引き出されることになる。
【0068】
以上のようにしてマルチスタンド式インターフォルダ1で得られた積層帯30は、図2に示すように、後段の切断手段41において流れ方向FLに所定の間隔をおいて裁断(切断)されてティシュペーパー束30aとされ、図6(a)に示すように、このティシュペーパー束30aは、更に後段設備において収納箱Bに収納される。なお、以上のようなマルチスタンド式インターフォルダ1では、積層帯30の紙の方向は、流れ方向FLに沿って縦方向(MD方向)となっており、流れ方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となっている。このため、積層帯30を所定の長さに切断して得られたティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、図6(a)に示すように、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向に沿って縦方向(MD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となる。
【0069】
図6(b)に、収納箱Bにティシュペーパー束30aを収納して成る製品の一例を示した。収納箱Bの上面にはミシン目Mが設けられており、このミシン目Mで収納箱B上面の一部を破断することにより収納箱Bの上面が開口するようになっている。この開口は中央にスリットを有するフィルムFによって覆われており、このフィルムFに設けられたスリットを介してティシュペーパーTを取出すことができるようになっている。
ところで、前述したように、ティシュペーパー束30aを構成するティシュペーパーの紙の方向は、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って横方向(CD方向)となるため、図6(b)に示すように、ティシュペーパーTを収納箱Bから引き出す際には、その引き出し方向は、ティシュペーパーTの横方向(CD方向)と沿うようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、マルチスタンド式インターフォルダで用いられるティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造に適用できるものである。
【符号の説明】
【0071】
51・・・プライ手段(積層工程)
52・・・カレンダー手段(平滑化工程)
53・・・薬液付与手段(薬液塗布工程)
53A・・・薬液付与部
53B・・・薬液付与部
54・・・コンタクトエンボス手段(コンタクトエンボス工程)
54A・・・コロ
55・・・スリット手段(スリット工程)
56・・・巻き取り手段(巻き取り工程)
S1・・・一次連続シート
S2・・・積層連続シート
JR・・・一次原反ロール
R・・・二次原反ロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して薬液を付与する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを同時に形成する巻取り工程とを有し、
薬液塗布工程がフレキソ印刷式コーターを適用した工程であり、積層連続シートの各表面に対しそれぞれ薬液を付与することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項2】
薬液塗布工程とスリット工程との間に、受けロールとコロとの間で積層連続シートを挟んで、積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状の接合部分を形成する接合工程を設け、
前記薬液塗布工程が、それぞれ2ロールフレキソコーターによる少なくとも2つの薬液付与部により薬液を付与する工程とされ、一方の薬液付与部が前記コロと接するシートの側に位置し、他方の薬液付与部が他のシートの側に位置していて、一方の薬液付与部の塗布量を他方の薬液付与部の塗布量より少なくすることを特徴とする請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項3】
積層連続シートを700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項1】
一次原反ロールから連続的にティシュペーパー製品用の複数の二次原反ロールを製造するティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法であって、
複数の一次原反ロールから繰り出される一次連続シートをその連続方向に沿って積層して積層連続シートとする積層工程と、
積層連続シートに対して薬液を付与する薬液塗布工程と、
積層連続シートをティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅となるようにスリットするスリット工程と、
スリットされた各積層連続シートを同軸で巻取ってティシュペーパー製品の製品幅又はその複数倍幅の複数の二次原反ロールを同時に形成する巻取り工程とを有し、
薬液塗布工程がフレキソ印刷式コーターを適用した工程であり、積層連続シートの各表面に対しそれぞれ薬液を付与することを特徴とするティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項2】
薬液塗布工程とスリット工程との間に、受けロールとコロとの間で積層連続シートを挟んで、積層連続シートに対して層間剥離を防止するライン状の接合部分を形成する接合工程を設け、
前記薬液塗布工程が、それぞれ2ロールフレキソコーターによる少なくとも2つの薬液付与部により薬液を付与する工程とされ、一方の薬液付与部が前記コロと接するシートの側に位置し、他方の薬液付与部が他のシートの側に位置していて、一方の薬液付与部の塗布量を他方の薬液付与部の塗布量より少なくすることを特徴とする請求項1に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【請求項3】
積層連続シートを700m/分以上の速度で搬送しつつ、薬液とされるローション剤を両面の合計で1.5g〜5g/m2の塗布量で塗布することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のティシュペーパー製品用二次原反ロールの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−136504(P2011−136504A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298604(P2009−298604)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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