ティッシュペーパー包装体
【課題】最上位のティッシュペーパーをケースの取出口より長さ方向へ容易に抜き取ることができ、しかも、従来のティッシュペーパー包装体と大きさが変わらず、全体の形態がいびつになることもないティッシュペーパー包装体を提供する。
【解決手段】ケース2内に積層されるティッシュペーパー30は、第1のシート素材4に対して第2のシート素材5が長さ方向へ位置ずれした状態で重ねられている。第1のシート素材4を全長の半分の位置で第2のシート素材5と一体に二つ折りにして、第2のシート素材5の一端部を前記位置ずれ長さだけ第1のシート素材4の一端部より突出させるとともに、その上のティッシュペーパーの第1のシート素材4の他端部の内側へ突出部Aを折り込むようにして各ティッシュペーパー30を積層する。ケース2には、ティッシュペーパー30の突出部Aが位置する側の端部位置に取出口20が形成されている。
【解決手段】ケース2内に積層されるティッシュペーパー30は、第1のシート素材4に対して第2のシート素材5が長さ方向へ位置ずれした状態で重ねられている。第1のシート素材4を全長の半分の位置で第2のシート素材5と一体に二つ折りにして、第2のシート素材5の一端部を前記位置ずれ長さだけ第1のシート素材4の一端部より突出させるとともに、その上のティッシュペーパーの第1のシート素材4の他端部の内側へ突出部Aを折り込むようにして各ティッシュペーパー30を積層する。ケース2には、ティッシュペーパー30の突出部Aが位置する側の端部位置に取出口20が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装兼収納用のケースの内部に複数のティッシュペーパーが上から順々に抜き取ることが可能なように積層状態で装填されたティッシュペーパー包装体に関するもので、特にこの発明は、ケースの一端部に設けられたティッシュペーパー取出口よりティッシュペーパーを長さ方向へ抜き取ることが可能な構造のティッシュペーパー包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「ポケットティッシュ」と呼ばれる携帯用のティッシュペーパー包装体は、包装用の樹脂フィルムにより形成されたティッシュペーパーの包装兼収納用のケースの内部に、ティッシュペーパーの積層体を装填して成るものである。前記積層体は、2枚1組のティッシュペーパーを複数層に積み重ねられたもので、ケースの上面に設けられたティッシュペーパー取出口(以下、単に「取出口」という。)よりティッシュペーパーを1枚ずつ上方へ抜き取るようになっている。
【0003】
各ティッシュペーパーは、図10および図11に示すように、同じ大きさ(長さL×幅D)の2枚の矩形状のシート素材101,102を重ね合わせたもので、一方の側縁部分103の所定幅t1が表面側へ折り返されるとともに、さらに所定幅t3(t3<t1)が反対方向へ折り返される。他方の側縁部分104についても所定幅t2が裏面側へ折り返されるとともに、さらに所定幅t4(t4<t2)が反対方向へ折り返される。なお、図10および図11において、105,107は山折線を、106,108は谷折線を、それぞれ示す。
【0004】
上記の山折線105,107や谷折線106,108に沿って折り畳まれた2枚1組のティッシュペーパー100を、図12に示すように、半分の長さ(L/2)に二つ折りにし、それを複数層に積み重ねて積層体が構成される。なお、図12において、120はケースを、121はケース120の上面中央に形成された取出口を、それぞれ示しており、この取出口121から最上位に位置するティッシュペーパー100を抜き取るようになっている。
【0005】
上記した構成のティッシュペーパー包装体では、積層されたティッシュペーパー100のそれぞれは互いに係わり合っておらず、ティッシュペーパー100を抜き取る度に、取出口121より指先をケース120内に挿入し、最上位のティッシュペーパー100を摘んで引き出す必要があり、ティッシュペーパー100の抜取りが容易でないという問題がある。特に、残り枚数が少なくなると、最上位に位置するティッシュペーパー100とその下に位置するティッシュペーパー100とを一緒に摘み出してしまうおそれがある。
【0006】
しかも、従来のティッシュペーパー包装体は、ティッシュペーパー100をケース120の上面中央の取出口121より上方へ抜き取る構造であるので、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグや衣服の胸元のポケットに入れている場合、ティッシュペーパー100が必要になると、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグやポケットより取り出した後、それを片手に持った状態でティッシュペーパー100の抜取作業を行う必要がある。
【0007】
上記した従来のティッシュペーパー包装体の使い勝手をよくするために、先般、ケースの一端部よりティッシュペーパーを抜き取ることができ、そのうえ、最上位のティッシュペーパーを抜き取ると同時にその下のティッシュペーパーの一端部を取出口に導き、次ぎの抜取りに備えて突出させるようにしたものが提案された(例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2007−1622号公報
【0009】
この特許文献1に示されたティッシュペーパー包装体は、図13に示すように、2枚1組のティッシュペーパー100を、一端部110を所定の長さdだけ残して二つ折りにした構造のもので、図14に示すように、前記の一端部110を折り返してその上のティッシュペーパー100の他端部111の内側へ折り込むようにしてティッシュペーパー100が積層されている。
このティッシュペーパー包装体では、最上位のティッシュペーパー100をケース120の端部位置に設けられた取出口122より抜き取るとき、そのティッシュペーパー100がその下のティッシュペーパー100の一端部110を引っ掛けて取出口122に導くので、次のティッシュペーパー100の抜取りが容易となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記した構成のティッシュペーパー包装体では、ティッシュペーパー100の一端部110を折り返すので、ティッシュペーパー100の長さが(L−d)/2となり、従来のティッシュペーパーの長さ(L/2)より短くなり、ティッシュペーパー包装体の大きさが不揃いになるだけでなく、図15に示すように、各ティッシュペーパー100の一端部110が折り返された側の端部の厚みh1(シート6枚の厚み)が他端部の厚みh2(シート4枚の厚み)より厚くなるため、これが積層されると、ティッシュペーパー包装体の全体がいびつな形態となり、商品価値を低下させるという問題がある。
【0011】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、最上位のティッシュペーパーをケースの取出口より長さ方向へ容易に抜き取ることができ、しかも、従来のティッシュペーパー包装体と大きさが揃い、全体の形態もいびつにならないティッシュペーパー包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によるティッシュペーパー包装体は、ティッシュペーパー取出口を有する包装兼収納用のケースの内部にティッシュペーパーの積層体が装填されて成るものであり、各ティッシュペーパーは、第1のシート素材に対して第1のシート素材と同じ大きさの第2のシート素材が長さ方向へ位置ずれした状態で重ねられている。そして、第1のシート素材を全長の半分の位置で第2のシート素材と一体に二つ折りにして、第2のシート素材の一端部を前記位置ずれ長さだけ第1のシート素材の一端部より突出させるとともに、その上に重ねられたティッシュペーパーの第1のシート素材の他端部の内側へ前記突出部分を折り込むようにして各ティッシュペーパーを積層している。前記ケースには、ティッシュペーパーの前記突出部分が位置する側の端部位置に、前記ティッシュペーパー取出口が形成されている。
【0013】
上記した構成のティッシュペーパー包装体では、取出口がケースの端部位置にあるので、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグや衣服の胸元のポケットに入れた状態のままでティッシュペーパーを長さ方向へ抜き取ることができる。しかも、最上位に位置するティッシュペーパーを抜き取るとき、そのティッシュペーパーがその下のティッシュペーパーの一端部の突出部分を引っ掛けて取出口へ導くので、次のティッシュペーパーの抜取りが容易となる。
【0014】
また、第1のシート素材に対して第2のシート素材を長さ方向へ位置ずれした状態で重ね、第1のシート素材を全長の半分の位置で第2のシート素材と一体に二つ折りにして、第2のシート素材の一端部を前記位置ずれ長さだけ第1のシート素材の一端部より突出させ、その突出部分をその上のティッシュペーパーの第1のシート素材の他端部上に折り重ねるので、全体の大きさが従来のティッシュペーパー包装体と同じ大きさになって統一され、しかも、突出部分が折り返された側の端部の厚みと他端部の厚みとが同じになるため、ティッシュペーパー包装体の全体の形態がいびつにならない。
【0015】
上記した構成において、各ティッシュペーパーは、典型的には、一方の側縁部分の所定幅が表面側へ、他方の側縁部分の所定幅が裏面側へ、それぞれ折り返された形態のものであるが、そのような形態に限られるものではない。
【0016】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記ティッシュペーパーの取出口は、ケースに一体形成された蓋により開閉可能である。この実施態様によれば、ティッシュペーパーの一端部の突出部分が取出口から突出しても、蓋で取出口を塞ぐとき、蓋が前記突出部分を覆うので、突出部分が汚れるおそれがない。
【0017】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記ケースの上面中央にティッシュペーパーの第2の取出口がさらに設けられている。この実施態様によれば、ティッシュペーパーをケースの端部または上面のいずれの取出口からも抜き取ることができ、使い勝手が一層向上する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグや衣服の胸元のポケットに入れた状態のままでティッシュペーパーをケースの取出口より抜き取ることができる。しかも、ティッシュペーパーを抜き取るとき、そのティッシュペーパーがその下のティッシュペーパーの一端部の突出部分を引っ掛けて取出口に導出させるので、次のティッシュペーパーの抜取りが容易となる。
また、この発明に係るティッシュペーパー包装体は、従来のものと大きさが同じで不揃いにならず、さらに、突出部分が折り返された側の端部の厚みと他端部の厚みとが同じになり、全体の形態がいびつになることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、この発明の一実施例であるティッシュペーパー包装体1の外観を示している。
図示例のティッシュペーパー包装体1は、袋状をなす包装兼収納用のケース2の内部にティッシュペーパー30の積層体3が装填されたものである。ケース2は、包装用の樹脂フィルムにより製作されており、両端部は熱溶着された封着部21,22となっている。ケース2の上面の一方の端部位置にはティッシュペーパー取出口20がほぼ全幅にわたって形成されている。最上位に位置するティッシュペーパー30の突出部A(詳細は後述する)は取出口20より突出し、その他のティッシュペーパー30の突出部Aはケース2の内部において前記取出口20の側の端部に折込み状態になっている。
【0020】
前記積層体3は、図2に示すように、複数のティッシュペーパー30がそれぞれその上のティッシュペーパー30と互いに係わり合った状態で積層されたものである。各ティッシュペーパー30は、図3および図4に示すように、同じ矩形状でありかつ同じ大きさ(長さL×幅D)の2枚のシート素材4,5を重ね合わせたもので、第1のシート素材4に対して第2のシート素材5が長さ方向へ位置ずれした状態で重ねられている。なお、第1のシート素材4の両側縁41,42と第2のシート素材5の両側縁51,52とは揃えられている。
【0021】
上記した2枚1組のティッシュペーパー30は、第2のシート素材5の一端部53が前記位置ずれ長さdだけ第1のシート素材4の一端縁43より突出している。一方、第1のシート素材4の他端部44は前記位置ずれ長さdだけ第2のシート素材5の他端縁54より突出している。したがって、第1、第2の各シート素材4,5のそれぞれの厚みがsのとき、ティッシュペーパー30の厚みは、第2のシート素材5の一端部53が突出した部分(以下「突出部A」という。)および第1のシート素材4の他端部44が突出した部分(以下「突出部B」という。)に相当する部分がsであり、各突出部A,Bを除く部分Cが2sである。
【0022】
上記した構成のティッシュペーパー30は、第1、第2の各シート素材4,5の一方の側縁部分45,55の所定幅t1が表面側へ折り返されるとともに、さらに、その所定幅t3(t3<t1)が反対方向へ折り返されている。第1、第2の各シート素材4,5の他方の側縁部分46,56についても所定幅t2が裏面側へ折り返されるとともに、さらに、その所定幅t4(t4<t2)が反対方向へ折り返されている。なお、図3および図4において、31,33は山折線を、32,34は谷折線を、それぞれ示す。
【0023】
各山折線31,33および各谷折線32,34に沿って折り畳まれたティッシュペーパー30において、図5〜図7に示すように、第1のシート素材4をその全長の半分(L/2)の位置で二つ折りにするとともに、これと一体に第2のシート素材5を折り返し、第2のシート素材5の一端部53の突出部分Aを第1のシート素材4の一端縁43より突出させている。
各ティッシュペーパー30における第2のシート素材5の突出部Aは、図8に示すように、その上に重ねられたティッシュペーパー30の第1のシート素材4の突出部Bの内側に重なるように折り込まれて、各ティッシュペーパー30が積層されている。
【0024】
上記した構成のティッシュペーパー包装体では、第1のシート素材4を第2のシート素材5と一体に半分の長さに二つ折りにし、第1のシート素材4より突出する第2のシート素材5の突出部Aを折り返すので、ティッシュペーパー30の長さがL/2となり、従来のティッシュペーパー包装体と大きさを揃えることができる。
また、上記した積層構造によれば、シート1枚の厚みの突出部Aをシート1枚の厚みの突出部B上を折り重ねるので、突出部Aが折り返された側の端部の厚みh1(シート4枚の厚み)と他端部の厚みh2(シート4枚の厚み)とが等しくなり、ティッシュペーパー包装体の全体がいびつな形態にならない。
【0025】
上記した実施例では、ケース2に設けられる取出口20は、ティッシュペーパー30の前記突出部Aが位置する側の端部位置に、ほぼ全幅にわたる切断線を形成し、その切断線に沿ってケース2を切り開くことによって形成されるもので、取出口20より導出された突出部Aは外部に露出した状態になるが、図9に示す実施例のように、ケース2の端部位置に開設した取出口20を、ケース2と一体形成された蓋23によって開閉可能となすこともできる。
この実施態様によれば、ティッシュペーパー30の突出部Aが取出口20から突出して外部に露出しても、蓋23により取出口20を塞ぐとき、蓋23が突出部Aをその上から覆うので、突出部Aが汚れるおそれはない。
【0026】
また、上記した各実施例では、ティッシュペーパーの前記突出部Aが位置する側の端部位置に1箇所だけ取出口20が形成されているが、これに限らず、ケース2の上面中央に第2の取出口24(図1参照)をさらに設けることもできる。この実施態様によれば、ティッシュペーパー30をケース2の端部または上面のいずれの取出口20,24からも抜き取ることができる。
【0027】
上記した構成のティッシュペーパー包装体では、取出口20がケース2の端部位置にあるので、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグや衣服の胸元のポケットに入れた状態のままでティッシュペーパー30を長さ方向(図1の矢印の方向)へ抜き取ることができ、しかも、最上位に位置するティッシュペーパー30を抜き取るとき、そのティッシュペーパー30がその下のティッシュペーパー30の一端部の突出部Aを引っ掛けて取出口20へ導くので、次のティッシュペーパー30の抜取りが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一実施例であるティッシュペーパー包装体の外観を示す斜視図である。
【図2】ティッシュペーパーを積層した状態を示す説明図である。
【図3】ティッシュペーパーを展開した状態を示す平面図である。
【図4】ティッシュペーパーの正面図である。
【図5】ティッシュペーパーを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図6】図5のX−X線に沿う断面図である。
【図7】図5のY−Y線に沿う断面図である。
【図8】上下のティッシュペーパーの係わり状態を示す説明図である。
【図9】他の実施例であるティッシュペーパー包装体の外観を示す斜視図である。
【図10】従来のティッシュペーパーを展開した状態を示す平面図である。
【図11】従来のティッシュペーパーの正面図である。
【図12】従来のティッシュペーパーを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図13】特許文献1に示された従来例のティッシュペーパーを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図14】図13の従来例のティッシュペーパーを積層した状態を示す説明図である。
【図15】図13の従来例における上下のティッシュペーパーの係わり状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ティッシュペーパー包装体
2 ケース
20 取出口
30 ティッシュペーパー
4 第1のシート素材
5 第2のシート素材
A 突出部
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装兼収納用のケースの内部に複数のティッシュペーパーが上から順々に抜き取ることが可能なように積層状態で装填されたティッシュペーパー包装体に関するもので、特にこの発明は、ケースの一端部に設けられたティッシュペーパー取出口よりティッシュペーパーを長さ方向へ抜き取ることが可能な構造のティッシュペーパー包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「ポケットティッシュ」と呼ばれる携帯用のティッシュペーパー包装体は、包装用の樹脂フィルムにより形成されたティッシュペーパーの包装兼収納用のケースの内部に、ティッシュペーパーの積層体を装填して成るものである。前記積層体は、2枚1組のティッシュペーパーを複数層に積み重ねられたもので、ケースの上面に設けられたティッシュペーパー取出口(以下、単に「取出口」という。)よりティッシュペーパーを1枚ずつ上方へ抜き取るようになっている。
【0003】
各ティッシュペーパーは、図10および図11に示すように、同じ大きさ(長さL×幅D)の2枚の矩形状のシート素材101,102を重ね合わせたもので、一方の側縁部分103の所定幅t1が表面側へ折り返されるとともに、さらに所定幅t3(t3<t1)が反対方向へ折り返される。他方の側縁部分104についても所定幅t2が裏面側へ折り返されるとともに、さらに所定幅t4(t4<t2)が反対方向へ折り返される。なお、図10および図11において、105,107は山折線を、106,108は谷折線を、それぞれ示す。
【0004】
上記の山折線105,107や谷折線106,108に沿って折り畳まれた2枚1組のティッシュペーパー100を、図12に示すように、半分の長さ(L/2)に二つ折りにし、それを複数層に積み重ねて積層体が構成される。なお、図12において、120はケースを、121はケース120の上面中央に形成された取出口を、それぞれ示しており、この取出口121から最上位に位置するティッシュペーパー100を抜き取るようになっている。
【0005】
上記した構成のティッシュペーパー包装体では、積層されたティッシュペーパー100のそれぞれは互いに係わり合っておらず、ティッシュペーパー100を抜き取る度に、取出口121より指先をケース120内に挿入し、最上位のティッシュペーパー100を摘んで引き出す必要があり、ティッシュペーパー100の抜取りが容易でないという問題がある。特に、残り枚数が少なくなると、最上位に位置するティッシュペーパー100とその下に位置するティッシュペーパー100とを一緒に摘み出してしまうおそれがある。
【0006】
しかも、従来のティッシュペーパー包装体は、ティッシュペーパー100をケース120の上面中央の取出口121より上方へ抜き取る構造であるので、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグや衣服の胸元のポケットに入れている場合、ティッシュペーパー100が必要になると、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグやポケットより取り出した後、それを片手に持った状態でティッシュペーパー100の抜取作業を行う必要がある。
【0007】
上記した従来のティッシュペーパー包装体の使い勝手をよくするために、先般、ケースの一端部よりティッシュペーパーを抜き取ることができ、そのうえ、最上位のティッシュペーパーを抜き取ると同時にその下のティッシュペーパーの一端部を取出口に導き、次ぎの抜取りに備えて突出させるようにしたものが提案された(例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2007−1622号公報
【0009】
この特許文献1に示されたティッシュペーパー包装体は、図13に示すように、2枚1組のティッシュペーパー100を、一端部110を所定の長さdだけ残して二つ折りにした構造のもので、図14に示すように、前記の一端部110を折り返してその上のティッシュペーパー100の他端部111の内側へ折り込むようにしてティッシュペーパー100が積層されている。
このティッシュペーパー包装体では、最上位のティッシュペーパー100をケース120の端部位置に設けられた取出口122より抜き取るとき、そのティッシュペーパー100がその下のティッシュペーパー100の一端部110を引っ掛けて取出口122に導くので、次のティッシュペーパー100の抜取りが容易となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記した構成のティッシュペーパー包装体では、ティッシュペーパー100の一端部110を折り返すので、ティッシュペーパー100の長さが(L−d)/2となり、従来のティッシュペーパーの長さ(L/2)より短くなり、ティッシュペーパー包装体の大きさが不揃いになるだけでなく、図15に示すように、各ティッシュペーパー100の一端部110が折り返された側の端部の厚みh1(シート6枚の厚み)が他端部の厚みh2(シート4枚の厚み)より厚くなるため、これが積層されると、ティッシュペーパー包装体の全体がいびつな形態となり、商品価値を低下させるという問題がある。
【0011】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、最上位のティッシュペーパーをケースの取出口より長さ方向へ容易に抜き取ることができ、しかも、従来のティッシュペーパー包装体と大きさが揃い、全体の形態もいびつにならないティッシュペーパー包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によるティッシュペーパー包装体は、ティッシュペーパー取出口を有する包装兼収納用のケースの内部にティッシュペーパーの積層体が装填されて成るものであり、各ティッシュペーパーは、第1のシート素材に対して第1のシート素材と同じ大きさの第2のシート素材が長さ方向へ位置ずれした状態で重ねられている。そして、第1のシート素材を全長の半分の位置で第2のシート素材と一体に二つ折りにして、第2のシート素材の一端部を前記位置ずれ長さだけ第1のシート素材の一端部より突出させるとともに、その上に重ねられたティッシュペーパーの第1のシート素材の他端部の内側へ前記突出部分を折り込むようにして各ティッシュペーパーを積層している。前記ケースには、ティッシュペーパーの前記突出部分が位置する側の端部位置に、前記ティッシュペーパー取出口が形成されている。
【0013】
上記した構成のティッシュペーパー包装体では、取出口がケースの端部位置にあるので、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグや衣服の胸元のポケットに入れた状態のままでティッシュペーパーを長さ方向へ抜き取ることができる。しかも、最上位に位置するティッシュペーパーを抜き取るとき、そのティッシュペーパーがその下のティッシュペーパーの一端部の突出部分を引っ掛けて取出口へ導くので、次のティッシュペーパーの抜取りが容易となる。
【0014】
また、第1のシート素材に対して第2のシート素材を長さ方向へ位置ずれした状態で重ね、第1のシート素材を全長の半分の位置で第2のシート素材と一体に二つ折りにして、第2のシート素材の一端部を前記位置ずれ長さだけ第1のシート素材の一端部より突出させ、その突出部分をその上のティッシュペーパーの第1のシート素材の他端部上に折り重ねるので、全体の大きさが従来のティッシュペーパー包装体と同じ大きさになって統一され、しかも、突出部分が折り返された側の端部の厚みと他端部の厚みとが同じになるため、ティッシュペーパー包装体の全体の形態がいびつにならない。
【0015】
上記した構成において、各ティッシュペーパーは、典型的には、一方の側縁部分の所定幅が表面側へ、他方の側縁部分の所定幅が裏面側へ、それぞれ折り返された形態のものであるが、そのような形態に限られるものではない。
【0016】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記ティッシュペーパーの取出口は、ケースに一体形成された蓋により開閉可能である。この実施態様によれば、ティッシュペーパーの一端部の突出部分が取出口から突出しても、蓋で取出口を塞ぐとき、蓋が前記突出部分を覆うので、突出部分が汚れるおそれがない。
【0017】
この発明の好ましい一実施態様においては、前記ケースの上面中央にティッシュペーパーの第2の取出口がさらに設けられている。この実施態様によれば、ティッシュペーパーをケースの端部または上面のいずれの取出口からも抜き取ることができ、使い勝手が一層向上する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグや衣服の胸元のポケットに入れた状態のままでティッシュペーパーをケースの取出口より抜き取ることができる。しかも、ティッシュペーパーを抜き取るとき、そのティッシュペーパーがその下のティッシュペーパーの一端部の突出部分を引っ掛けて取出口に導出させるので、次のティッシュペーパーの抜取りが容易となる。
また、この発明に係るティッシュペーパー包装体は、従来のものと大きさが同じで不揃いにならず、さらに、突出部分が折り返された側の端部の厚みと他端部の厚みとが同じになり、全体の形態がいびつになることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、この発明の一実施例であるティッシュペーパー包装体1の外観を示している。
図示例のティッシュペーパー包装体1は、袋状をなす包装兼収納用のケース2の内部にティッシュペーパー30の積層体3が装填されたものである。ケース2は、包装用の樹脂フィルムにより製作されており、両端部は熱溶着された封着部21,22となっている。ケース2の上面の一方の端部位置にはティッシュペーパー取出口20がほぼ全幅にわたって形成されている。最上位に位置するティッシュペーパー30の突出部A(詳細は後述する)は取出口20より突出し、その他のティッシュペーパー30の突出部Aはケース2の内部において前記取出口20の側の端部に折込み状態になっている。
【0020】
前記積層体3は、図2に示すように、複数のティッシュペーパー30がそれぞれその上のティッシュペーパー30と互いに係わり合った状態で積層されたものである。各ティッシュペーパー30は、図3および図4に示すように、同じ矩形状でありかつ同じ大きさ(長さL×幅D)の2枚のシート素材4,5を重ね合わせたもので、第1のシート素材4に対して第2のシート素材5が長さ方向へ位置ずれした状態で重ねられている。なお、第1のシート素材4の両側縁41,42と第2のシート素材5の両側縁51,52とは揃えられている。
【0021】
上記した2枚1組のティッシュペーパー30は、第2のシート素材5の一端部53が前記位置ずれ長さdだけ第1のシート素材4の一端縁43より突出している。一方、第1のシート素材4の他端部44は前記位置ずれ長さdだけ第2のシート素材5の他端縁54より突出している。したがって、第1、第2の各シート素材4,5のそれぞれの厚みがsのとき、ティッシュペーパー30の厚みは、第2のシート素材5の一端部53が突出した部分(以下「突出部A」という。)および第1のシート素材4の他端部44が突出した部分(以下「突出部B」という。)に相当する部分がsであり、各突出部A,Bを除く部分Cが2sである。
【0022】
上記した構成のティッシュペーパー30は、第1、第2の各シート素材4,5の一方の側縁部分45,55の所定幅t1が表面側へ折り返されるとともに、さらに、その所定幅t3(t3<t1)が反対方向へ折り返されている。第1、第2の各シート素材4,5の他方の側縁部分46,56についても所定幅t2が裏面側へ折り返されるとともに、さらに、その所定幅t4(t4<t2)が反対方向へ折り返されている。なお、図3および図4において、31,33は山折線を、32,34は谷折線を、それぞれ示す。
【0023】
各山折線31,33および各谷折線32,34に沿って折り畳まれたティッシュペーパー30において、図5〜図7に示すように、第1のシート素材4をその全長の半分(L/2)の位置で二つ折りにするとともに、これと一体に第2のシート素材5を折り返し、第2のシート素材5の一端部53の突出部分Aを第1のシート素材4の一端縁43より突出させている。
各ティッシュペーパー30における第2のシート素材5の突出部Aは、図8に示すように、その上に重ねられたティッシュペーパー30の第1のシート素材4の突出部Bの内側に重なるように折り込まれて、各ティッシュペーパー30が積層されている。
【0024】
上記した構成のティッシュペーパー包装体では、第1のシート素材4を第2のシート素材5と一体に半分の長さに二つ折りにし、第1のシート素材4より突出する第2のシート素材5の突出部Aを折り返すので、ティッシュペーパー30の長さがL/2となり、従来のティッシュペーパー包装体と大きさを揃えることができる。
また、上記した積層構造によれば、シート1枚の厚みの突出部Aをシート1枚の厚みの突出部B上を折り重ねるので、突出部Aが折り返された側の端部の厚みh1(シート4枚の厚み)と他端部の厚みh2(シート4枚の厚み)とが等しくなり、ティッシュペーパー包装体の全体がいびつな形態にならない。
【0025】
上記した実施例では、ケース2に設けられる取出口20は、ティッシュペーパー30の前記突出部Aが位置する側の端部位置に、ほぼ全幅にわたる切断線を形成し、その切断線に沿ってケース2を切り開くことによって形成されるもので、取出口20より導出された突出部Aは外部に露出した状態になるが、図9に示す実施例のように、ケース2の端部位置に開設した取出口20を、ケース2と一体形成された蓋23によって開閉可能となすこともできる。
この実施態様によれば、ティッシュペーパー30の突出部Aが取出口20から突出して外部に露出しても、蓋23により取出口20を塞ぐとき、蓋23が突出部Aをその上から覆うので、突出部Aが汚れるおそれはない。
【0026】
また、上記した各実施例では、ティッシュペーパーの前記突出部Aが位置する側の端部位置に1箇所だけ取出口20が形成されているが、これに限らず、ケース2の上面中央に第2の取出口24(図1参照)をさらに設けることもできる。この実施態様によれば、ティッシュペーパー30をケース2の端部または上面のいずれの取出口20,24からも抜き取ることができる。
【0027】
上記した構成のティッシュペーパー包装体では、取出口20がケース2の端部位置にあるので、ティッシュペーパー包装体をハンドバッグや衣服の胸元のポケットに入れた状態のままでティッシュペーパー30を長さ方向(図1の矢印の方向)へ抜き取ることができ、しかも、最上位に位置するティッシュペーパー30を抜き取るとき、そのティッシュペーパー30がその下のティッシュペーパー30の一端部の突出部Aを引っ掛けて取出口20へ導くので、次のティッシュペーパー30の抜取りが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一実施例であるティッシュペーパー包装体の外観を示す斜視図である。
【図2】ティッシュペーパーを積層した状態を示す説明図である。
【図3】ティッシュペーパーを展開した状態を示す平面図である。
【図4】ティッシュペーパーの正面図である。
【図5】ティッシュペーパーを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図6】図5のX−X線に沿う断面図である。
【図7】図5のY−Y線に沿う断面図である。
【図8】上下のティッシュペーパーの係わり状態を示す説明図である。
【図9】他の実施例であるティッシュペーパー包装体の外観を示す斜視図である。
【図10】従来のティッシュペーパーを展開した状態を示す平面図である。
【図11】従来のティッシュペーパーの正面図である。
【図12】従来のティッシュペーパーを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図13】特許文献1に示された従来例のティッシュペーパーを折り畳んだ状態を示す平面図である。
【図14】図13の従来例のティッシュペーパーを積層した状態を示す説明図である。
【図15】図13の従来例における上下のティッシュペーパーの係わり状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ティッシュペーパー包装体
2 ケース
20 取出口
30 ティッシュペーパー
4 第1のシート素材
5 第2のシート素材
A 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティッシュペーパー取出口を有する包装兼収納用のケースの内部にティッシュペーパーの積層体が装填されて成るティッシュペーパー包装体であって、
各ティッシュペーパーは、第1のシート素材に対して第1のシート素材と同じ大きさの第2のシート素材が長さ方向へ位置ずれした状態で重ねられており、
第1のシート素材を全長の半分の位置で第2のシート素材と一体に二つ折りにして、第2のシート素材の一端部を前記位置ずれ長さだけ第1のシート素材の一端部より突出させるとともに、その上に重ねられたティッシュペーパーの第1のシート素材の他端部の内側へ前記突出部分を折り込むようにして各ティッシュペーパーを積層しており、
前記ケースには、ティッシュペーパーの前記突出部分が位置する側の端部位置に、前記ティッシュペーパー取出口が形成されて成るティッシュペーパー包装体。
【請求項2】
各ティッシュペーパーは、一方の側縁部分の所定幅が表面側へ、他方の側縁部分の所定幅が裏面側へ、それぞれ折り返されている請求項1に記載されたティッシュペーパー包装体。
【請求項3】
前記ティッシュペーパー取出口は、ケースに一体形成された蓋により開閉可能である請求項1または2に記載されたティッシュペーパー包装体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載されたティッシュペーパー包装体であって、前記ケースの上面中央にティッシュペーパーの第2の取出口がさらに設けられているティッシュペーパー包装体。
【請求項1】
ティッシュペーパー取出口を有する包装兼収納用のケースの内部にティッシュペーパーの積層体が装填されて成るティッシュペーパー包装体であって、
各ティッシュペーパーは、第1のシート素材に対して第1のシート素材と同じ大きさの第2のシート素材が長さ方向へ位置ずれした状態で重ねられており、
第1のシート素材を全長の半分の位置で第2のシート素材と一体に二つ折りにして、第2のシート素材の一端部を前記位置ずれ長さだけ第1のシート素材の一端部より突出させるとともに、その上に重ねられたティッシュペーパーの第1のシート素材の他端部の内側へ前記突出部分を折り込むようにして各ティッシュペーパーを積層しており、
前記ケースには、ティッシュペーパーの前記突出部分が位置する側の端部位置に、前記ティッシュペーパー取出口が形成されて成るティッシュペーパー包装体。
【請求項2】
各ティッシュペーパーは、一方の側縁部分の所定幅が表面側へ、他方の側縁部分の所定幅が裏面側へ、それぞれ折り返されている請求項1に記載されたティッシュペーパー包装体。
【請求項3】
前記ティッシュペーパー取出口は、ケースに一体形成された蓋により開閉可能である請求項1または2に記載されたティッシュペーパー包装体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載されたティッシュペーパー包装体であって、前記ケースの上面中央にティッシュペーパーの第2の取出口がさらに設けられているティッシュペーパー包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−254781(P2008−254781A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99905(P2007−99905)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【特許番号】特許第4031520号(P4031520)
【特許公報発行日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(307012344)株式会社構造総研 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【特許番号】特許第4031520号(P4031520)
【特許公報発行日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(307012344)株式会社構造総研 (6)
【Fターム(参考)】
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