説明

テキスタイルコーティング用の組成物

(A)Siに結合されたヒドロキシ基を有するオルガノポリシロキサンと、(B)Siに結合された水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、(C)白金触媒と、(D)補強性充填剤と、(E)場合により、非補強性充填剤と、(F)場合により、Siに結合されたヒドロキシル基とSiに結合された水素原子との白金触媒による反応を室温で遅延させる抑制剤とを含有する組成物であって、但し、オルガノポリシロキサン(A)が、500〜100000000mPa・sの25℃での粘度を有し、白金触媒(C)が、リン酸トリスアミド配位子を含まず、補強性充填剤(D)が、組成物の全質量に対して少なくとも3質量%の量で含まれており、非補強性充填剤(F)が、補強性充填剤(D)よりも少量で含まれており、付着助剤としての反応性シランの使用及びSiに結合されたヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基の縮合反応を促進する付加的な触媒の使用を除く前記組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Siに結合したヒドロキシル基を有するオルガノポリシロキサン及びSiに結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンを含有する組成物並びにその製造方法に関する。更に、本発明は、前記組成物からなるコーティングなどの成形体、テキスタイル平面状構造物(textile Flaechengebilde)などの基材上でのコーティングの製造方法並びにコーティングされたテキスタイル平面状構造物に関する。
【0002】
SiOH官能性オルガノポリシロキサンとSiH官能性オルガノポリシロキサンとの反応によるシリコーンネットワークの形成は長い間知られている。
【0003】
US3,922,443号Aは、OH末端を有するジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる組成物であって、好ましくは紙用コーティングのために使用され、1000ppmまでの白金金属ハロゲン化物を触媒として含有する前記組成物を記載している。
【0004】
US4,071,644号Aは、離型コーティングの製造のための、OH末端を有するジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる溶剤不含の組成物であって、好ましくはスズ含有触媒によって架橋される前記組成物を記載している。
【0005】
US4,028,298号Aは、OH末端を有するジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの縮合反応によって架橋するシロキサン混合物からなる付着防止コーティングであって、前記混合物が触媒としてリン酸トリスアミド配位子を有するPt(II)−クロリド錯体を含有する前記コーティングを記載している。
【0006】
US4,262,107号Aは、OH末端を有するジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの縮合反応によって架橋するシロキサン混合物であって、ロジウムベースの触媒を含有する前記混合物を記載している。
【0007】
EP0103639号A1は、離型コーティングの製造のための、OH末端を有するジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなる溶剤不含の組成物であって、縮合反応の促進のために、高い分子量(200000〜400000g/モル;0.5質量%)のビニル末端を有するポリシロキサンゴムを含有する前記組成物を記載している。
【0008】
EP0186439号A2は、OH末端を有するジオルガノポリシロキサン(100mPas〜100000Pas)及びオルガノハイドロジェンポリシロキサン(1〜100mPas)の縮合反応によって架橋するシロキサン混合物であって、触媒として白金金属を含有し、かつ抑制剤としてビス(2−メトキシイソプロピル)マレエートを含有する前記混合物を記載している。
【0009】
US5,036,117号Aは、OH末端を有するジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの縮合反応によって架橋するシロキサン混合物であって、好ましくは100〜300ppmの白金触媒と、抑制剤としてのマレイン酸ジエステルもしくはフマル酸ジエステルと、ポットライフ延長剤としての有機化合物(例えば第一級アルコールもしくは第二級アルコール)とを含有する前記混合物を記載している。
【0010】
US2007/0027286号A1は、OH末端を有するジオルガノポリシロキサン及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンの縮合反応によって架橋するシロキサン混合物であって、触媒としてイリジウム錯体を含有する前記混合物を記載している。
【0011】
US5,705,445号Aは、SiOH基を有するポリシロキサンとSiH基を有するポリシロキサンとの乳化重合によって形成され、かつ付着助剤として20質量%までの反応性オルガノアルコキシシラン、例えばカルボキシル基、エポキシ基又はアミド基を有する前記シランを含有するテキスタイルのコーティング用の水性シリコーンエマルジョンを記載している。
【0012】
WO2006/083339号A1は、テキスタイル表面のコーティング用の樹脂で充填された付加架橋性のシリコーン混合物であって、ネットワークを形成するシランもしくはシロキサンに加えて付着を媒介する添加剤が、好ましくは種々の化合物の組み合わせとして添加されている前記混合物を記載している。前記物質には、高反応性シラン、例えば(メタ)アクリルオキシ官能性のアルコキシシランもしくはエポキシ官能性のアルコキシシランなどのシランが含まれる。
【0013】
US2007/054137号Aは、付加架橋性のシリコーン組成物であって、例えばSiOH基を有するポリシロキサンなどの縮合架橋性の反応相手をも含む前記組成物を記載している。白金系の触媒に加えて、また、縮合触媒が、好ましくはジルコニウム化合物もしくはチタン化合物の形で含まれており、同様に付着助剤として高反応性のシランが、例えばビニル含有の、エポキシ含有の、アクリル含有のもしくはアセトキシ含有のアルコキシシランなどのシランが含まれている。
【0014】
US2005/205829号A1は、テキスタイル表面のためのシリコーンコーティングであって、摩擦係数の低下のためにポリアミド樹脂粒子もしくは60質量%までのシロキサン樹脂及び30質量%までのCaCO3を含有し、かつ付着助剤として、例えばエポキシ官能性シランもしくはアルコキシ官能性シランを含有する前記コーティングを記載している。
【0015】
WO2006/134400号A1は、縮合架橋性のもしくは付加架橋性のオルガノポリシロキサン組成物であって、充填剤としてカオリンを含有し、かつ付着助剤として、例えばエポキシ官能性シランもしくはアルコキシ官能性シランを含有してよい前記組成物を記載している。
【0016】
WO02/061200号A1は、シリコーンによるテキスタイルコーティングのための方法であって、テキスタイル下地への良好な被覆と、できるだけ低い摩擦係数を有する表面を得るために、前記コーティングは2つの工程において塗布される前記方法を記載している。
【0017】
WO01/12895号A1は、最大で15g/m2のシリコーンコーティングであって、できるだけ低い摩擦係数をコーティングされた織物上で得るために、非補強性の充填剤に加えて、任意にシリカなどの補強性充填剤を最大で3質量%の量で含有する前記コーティングを記載している。
【0018】
EP0953675号A2は、テキスタイルコーティング用のシリコーン組成物であって、できるだけ低い摩擦係数をコーティングされた織物上で得るために、補強性充填剤、例えば疎水化ケイ酸などの充填剤に加えて、更に付加的に他の充填剤を、層状の形態の補強性充填剤に対して少なくとも二倍量で含有する前記組成物を記載している。
【0019】
前記の公知の組成物は、一連の欠点を有する。例えば、触媒として、ロジウムなどの非常に高価な化合物が使用されるか、又は多量の白金が使用される。環境的に憂慮される又は毒性の物質、例えばスズ化合物又はリン酸トリスアミド配位子といった物質の使用は、同様、混合物の所望の特性の達成のために添加される添加剤の必要性、例えばより迅速な硬化のためにビニル官能性ポリシロキサンを又はポットライフ調節剤としての第一級もしくは第二級アルコールを必要とするという欠点がある。
【0020】
しばしば、いわゆる付着助剤(Haftvermittler)として添加される、加水分解可能な基又は別の反応性基を有するシラン化合物は、かかる系のコストを高め、そして更に、それらは充填剤との混合物において、例えば高分散性ケイ酸などの充填剤との混合物において、粘度の部分的に著しい増加を引き起こすという欠点を有する。それによって、該混合物の加工性は困難になり、又は良好な流動挙動を要求する特定の加工法に至っては実施不可能になる。
【0021】
白金族からの化合物に加えて、ヒドロキシシランもしくはヒドロキシシロキサンあるいはアルコキシシラン化合物もしくはアルコキシシロキサン化合物の縮合反応を促進する更なる触媒(例えばジルコニウム化合物又はチタン化合物)を含有する組成物は、ポットライフが多くの用途について低すぎること、もしくは粘度上昇が引き起こされること、といった欠点を有する。それによって、かかる混合物の加工性は困難になり、又は十分に長いポットライフ及び/又は良好な流動挙動を要求する特定の加工法に至っては実施不可能になる。
【0022】
また、シリコーン層を複数の加工段階においてテキスタイル支持体上に塗布するかかる方法も欠点がある。それというのも、これらの加工様式は、全シリコーン層を一回でテキスタイル表面上に塗布する方法よりも時間と費用がよりかかるからである。
【0023】
従って、本発明の課題は、上述の欠点を取り除き、かつ先行技術を改善すること、特にできるだけ容易に配合できかつ加工でき、そして低い摩擦係数と基材上での、特にテキスタイル基材上での良好な付着性を有するコーティングを産する組成物を提供することと、本発明による組成物をテキスタイル表面のコーティングのためにできるだけ容易に使用できるための方法を提供することである。
【0024】
前記課題は本発明によって解決される。
【0025】
本発明の対象は、
(A)Siに結合されたヒドロキシ基を有するオルガノポリシロキサンと、
(B)Siに結合された水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、
(C)白金触媒と、
(D)補強性充填剤と、
(E)場合により、非補強性充填剤と、
(F)場合により、Siに結合されたヒドロキシル基とSiに結合された水素原子との白金触媒による反応を室温で遅延させる抑制剤と、
を含有する組成物であって、但し、
オルガノポリシロキサン(A)が、500〜100000000mPa・sの25℃での粘度を有し、
白金触媒(C)が、リン酸トリスアミド配位子を含まず、
補強性充填剤(D)が、組成物の全質量に対して少なくとも3質量%の量で含まれており、
非補強性充填剤(F)が、補強性充填剤(D)よりも少量で含まれており、
付着助剤としての反応性シランの使用並びにSiに結合されたヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基の縮合反応を促進する付加的な縮合触媒の使用を除く前記組成物である。
【0026】
オルガノポリシロキサン(A)としては、好ましくは一般式I
【化1】

[式中、
1は、一価の、脂肪族の、置換もしくは非置換のC1〜C10−炭化水素基を意味し、
2は、ヒドロキシ基、アルコキシ基を意味し、
aは、0、1、2又は3の値を意味し、
bは、0、1、2又は3の値を意味するが、但し、a+bの合計は、≦3である]の単位からの直鎖状もしくは分枝鎖状のオルガノポリシロキサン(但し、平均して少なくとも2個のヒドロキシ基である基R2が一分子あたりに存在する)が使用される。
【0027】
オルガノポリシロキサンは、末端位に及び/又は側鎖位にSiに結合されたヒドロキシル基を有してよい。
【0028】
非置換の炭化水素基R1のための例は、C1〜C10−アルキル基、C1〜C10−アルカリール基もしくはC1〜C10−アラルキル基であってそのアルキル部が飽和の基又はC1〜C10−アリール基である。アルキル基R1のための例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基及びシクロヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル基である。アルカリール基R1のための例は、α−及びβ−フェニルエチル基である;アラルキル基R1のための例は、ベンジル基及び2,4−ジエチルベンジル基である;アリール基R1のための例は、フェニル基及びナフチル基である。
【0029】
好ましくは、R1は、C1〜C6−アルキル基及びフェニル基、特にメチル基及びエチル基、特に好ましくはメチル基を意味する。
【0030】
置換された炭化水素基Rのための例は、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、3−クロロ−n−プロピル基、2−エチルブロミド基、3−プロピルブロミド基及び3−グリシドキシプロピル基である。好ましくは、基R1は、非置換である。
【0031】
アルコキシル基R2のための例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基及びイソブトキシ基である。好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ基を意味する。好ましくは、R2は、ヒドロキシル基を意味する。
【0032】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(A)は、少なくとも90モル%の、特に少なくとも95モル%の一般式Iで示され合計a+bが2の単位を有する。
【0033】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(A)は、少なくとも60モル%の、特に少なくとも80モル%の、殊に少なくとも90モル%の一般式Iで示されbが0の値を有する単位を有する。
【0034】
Siに結合されたヒドロキシル基を有するオルガノポリシロキサン(A)は、好ましくは、1分子あたりに少なくとも2個のヒドロキシ基を有する。好ましくは、前記オルガノポリシロキサン(A)は、末端位のヒドロキシ基を有する。オルガノポリシロキサン(A)は、好ましくは少なくとも500mPa・sの、有利には1000mPa・s〜108mPa・sの、特に有利には5000mPa・s〜5×106mPa・sの25℃での平均粘度を有する。オルガノポリシロキサン(A)は、186〜1000000g/モルの分子量Mn(数平均)を有していてよい。好ましくは、260〜500000g/モルの範囲である。前記配合物は、狭い分子量分布を有するポリマーを基礎とすることもできるが、種々の分子量を有するポリマーを使用してもよい。鎖中にSiに結合されたヒドロキシ基を有するポリマーは、配合物中で使用もしくは共用することができる。オルガノポリシロキサン(A)は、また、いわゆるT官能及び/又はQ官能を含んでもよく、従ってシリコーン樹脂とも呼称される。
【0035】
本発明により使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、かかるオルガノポリシロキサン(A)の個々の1種であっても、そのオルガノポリシロキサン(A)の少なくとも2種からの混合物であってもよい。
【0036】
オルガノポリシロキサン(A)として好ましいのは、一般式Ia
【化2】

[式中、R1は、それについて上述した意味を有し、nは、10〜5000の、好ましくは100〜2000の整数である]で示されるオルガノポリシロキサンである。
【0037】
オルガノポリシロキサン(A)は、本発明による組成物の全質量に対して、1〜95質量%の量で含まれていてよい。好ましくは、オルガノポリシロキサン(A)は、50〜90質量%の量で含まれていてよい。
【0038】
オルガノポリシロキサン(B)としては、好ましくは、一般式II
【化3】

[式中、
3は、一価の、脂肪族の、置換もしくは非置換のC1〜C10−炭化水素基を意味し、
4は、水素を意味し、
cは、0、1、2又は3の値を意味し、かつ
dは、0又は1の値を意味するが、但し、合計c+dは、≦3である]の単位からの直鎖状もしくは分枝鎖状のオルガノポリシロキサン(但し、平均して少なくとも2個の基R4が一分子あたりに存在する)が使用される。
【0039】
オルガノポリシロキサン(B)は、側鎖位で及び/又は末端位でSiに結合された水素原子を有してよい。
【0040】
非置換の炭化水素基R3のための例は、C1〜C10−アルキル基、C1〜C10−アルカリール基もしくはC1〜C10−アラルキル基であってそのアルキル部が飽和の基又はC1〜C10−アリール基である。アルキル基R3のための例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基及びシクロヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル基である。アルカリール基R3のための例は、α−及びβ−フェニルエチル基である;アラルキル基R3のための例は、ベンジル基及び2,4−ジエチルベンジル基である;アリール基R3のための例は、フェニル基及びナフチル基である。好ましくは、R3は、C1〜C6−アルキル基及びフェニル基、特にメチル基及びエチル基を意味する。
【0041】
置換された炭化水素基R3のための例は、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、3−クロロ−n−プロピル基、2−エチルブロミド基、3−プロピルブロミド基及び3−グリシドキシプロピル基である。
【0042】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(B)は、少なくとも90モル%、特に少なくとも95モル%の一般式IIで示され合計c+dが2である単位を有する。
【0043】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(B)は、5〜100モル%の、好ましくは20〜100モル%の一般式IIで示され合計c+dが2でありかつdが1の値を有する単位を有する。
【0044】
Siに結合された水素原子を有するオルガノポリシロキサン(B)は、好ましくは、1分子あたりに少なくとも2個のSiH結合を有する。好ましくは、オルガノポリシロキサン(B)は、末端位(=末端)のSiH結合よりも多くの側鎖位(=側方)のSiH結合を有する。オルガノポリシロキサン(B)は、好ましくは0.25mPa・s〜10000mPa・sの、有利には5mPa・s〜5000mPa・sの、特に有利には10mPa・s〜1000mPa・sの25℃での平均粘度を有する。オルガノポリシロキサン(B)は、130〜1000000g/モルの分子量Mn(数平均)を有していてよい。好ましくは、500〜100000g/モルの範囲である。殊に好ましくは、1000〜10000g/モルの範囲である。前記配合物は、狭い分子量分布を有するポリマーを基礎とすることもできるが、種々の分子量を有するポリマーを使用してもよい。
【0045】
本発明により使用される、SiH結合を有するオルガノポリシロキサン(B)は、かかるSiH結合を有するオルガノポリシロキサンの個々の1種であっても、そのオルガノポリシロキサンの少なくとも2種からの混合物であってもよい。
【0046】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(B)は、一般式IIa
【化4】

[式中、
1は、それについて上述の意味を有し、
gは、0又は1、好ましくは0であり、
kは、0又は1〜500の整数、好ましくは0〜300の整数であり、
lは、0又は1〜200の整数、好ましくは10〜100の整数であるが、但し、合計l+kは、1〜500の整数である]のオルガノポリシロキサン(但し、平均して1分子あたり少なくとも2個のSiに結合された水素原子が含まれている)である。
【0047】
本発明の範囲では、式(IIa)は、k個の単位−(R12SiO)−とl個の単位−(R1HSiO)−とが、任意に、例えばブロックとして又は統計的に、オルガノポリシロキサン分子中に分布していてよいことを意味するべきである。
【0048】
オルガノポリシロキサン(B)は、それぞれ使用されるオルガノポリシロキサン(A)の全質量に対して、0.05〜30質量%の量で、好ましくは0.1〜20質量%の量で、特に好ましくは0.5〜10質量%の量で使用することができる。
【0049】
本発明による組成物は、成分(A)及び(B)を、種々の量比で含有してよい。その際、成分(A)に由来するSiOH基の量の、成分(B)に由来するSiH基の量に対する化学量論的なモル比は、10対1〜1対100であってよい。好ましくは、SiOH基の、SiH基に対する化学量論的なモル比は、1対1〜1対70、殊に有利には1対10〜1対50である。
【0050】
白金触媒(C)としては、白金及び/又はその化合物が使用される。かかる触媒のための例は、金属の白金及び微粉砕された白金であって、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムもしくは活性炭などの担体上に存在してよいもの、白金の化合物もしくは錯体、例えば白金ハロゲン化物、例えばPtCl4、H2PtCl6*6H2O、Na2PtCl4*4H2O、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体、白金−アルキン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコレート錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、白金−ケトン錯体、例えばH2PtCl6*6H2Oとシクロヘキサノンからの反応生成物、白金−ビニルシロキサン錯体、特に白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体であって検出可能な無機的に結合したハロゲンの含量を有するものもしくは有さないもの、ビス(ガンマピコリン)−白金二塩化物並びに四塩化白金とオレフィン及び第一級アミンもしくは第二級アミン又は第一級アミン及び第二級アミンとの反応生成物、例えば1−オクテン中に溶解された四塩化白金とs−ブチルアミンとからの反応生成物、又はアンモニウム−白金錯体、1成分系用の白金触媒、例えばマイクロカプセル化された白金錯体又は、例えば白金−アセチリド錯体である。
【0051】
白金触媒は、それぞれ、元素の白金として計算して成分(A)及び(B)の全質量に対して、好ましくは0.5〜500質量ppm(百万質量部あたりの質量割合)の量で、特に2〜400質量ppmの量で、殊に5〜100質量ppmの量で使用される。
【0052】
補強性充填剤(D)としては、好ましくは熱分解法により製造されたケイ酸又は沈降ケイ酸が使用される。特に好ましくは、熱分解法により製造されたケイ酸であって、例えばオルガノシランもしくはハロゲンシランでの処理(EP378785号B1と同様)によって部分的にもしくは完全に疎水性化されており、かつ少なくとも50m2/gの、特に少なくとも100m2/gの、特に好ましくは少なくとも120m2/gの好ましいBET表面積を有するケイ酸が使用される。充填剤の量は、本発明による組成物全体の3〜60質量%を成してよく、その際、5〜45質量%が好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
【0053】
付加的に、該組成物は、例えば石英、炭酸カルシウム、珪藻土又はパーライトなどの非補強性充填剤(E)を、それぞれ補強性充填剤(D)の量よりも少ない量で含有してもよい。
【0054】
非補強性充填剤(E)は、補強性充填剤(D)100質量部あたり1〜90質量部の量で使用でき、その際、それらの併用は好ましくない。
【0055】
抑制剤(F)としては、白金触媒(C)によって触媒される反応相手(A)と(B)の反応を室温で遅延もしくは遮断する当業者に公知の化合物が使用される。このための例は、アセチレン系不飽和のアルコール、例えば3−メチル−1−ブチン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール及び3−メチル−1−ペンチン−3−オールである。ビニルシロキサンベースの抑制剤のための例は、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシロキサン並びにビニル基を有するポリシロキサン、オリゴシロキサン及びジシロキサンである。不飽和ジカルボン酸ベースの抑制剤のための例は、フマル酸ジエステル又はマレイン酸ジエステル、例えばビス(2−メトキシイソプロピル)マレエートである。
【0056】
抑制剤(F)は、それぞれ、本発明による組成物の全質量に対して、好ましくは0.01〜2質量%の量で、有利には0.05〜1.5質量%の量で使用される。
【0057】
本発明による組成物は、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び場合により(E)及び(F)の混合によって製造される。成分(A)、(B)、(C)、(D)及び場合により(E)及び(F)の混合に際しての順序は、決定的ではないものの、しかしながら成分(B)をそれ以外の成分の混合物に最後に添加することが好ましい。
【0058】
本発明の対象は、更に、本発明による組成物を硬化させることによって製造される成形体である。
【0059】
成形品は、射出成形または流し込み成形で製造することができる。SiOH基を含むオルガノポリシロキサン(A)とSiH基を有するオルガノポリシロキサン(B)との縮合反応によって生ずる水素の放出に基づき、その際には、フォーム状の成形体を作成することができる。
【0060】
好ましくは、本発明による組成物は、コーティング又は被覆の製造のために使用される。
【0061】
従って、本発明の対象は、本発明による組成物を、コーティングされるべき基材上に塗布して、引き続き該組成物を硬化させることによってコーティングを製造する方法である。
【0062】
本発明による組成物は、好ましくは、テキスタイル平面状構造物、例えば織物、フリース、メリヤス、穀物の束(Gelege)、フェルト、ニットウェア(Wirkware)又はたて編み生地(Kettwirkware)などの構造物のコーティングのために使用される。テキスタイル面状構造物は、天然繊維、例えば綿、羊毛、絹等から、あるいは、また、合成繊維、例えばポリエステル、ポリアミド、アラミド等から製造されたものであってよい。更にテキスタイルは、鉱物繊維、例えばガラスもしくはシリケート、又は金属繊維から製造されていてもよい。また、種々の繊維型からの混合物も可能である。
【0063】
本発明による組成物でコーティングされたテキスタイル面状構造物は、工業的使用、例えばベルトコンベア、コンペンセイタ、防護服、遮蔽、絶縁分野又はエアバックに使用することができる。しかしながら、本発明による組成物を用いて、高性能テキスタイル分野、例えばパラグライダー、熱気球、パラシュート、アウトドアウェア、スポーツ用テキスタイル、レジャーウェア、レジャー製品、例えばテントもしくはリュックサック、帆及びストリートウェアを処理することもできる。
【0064】
更に、鉱物材料、プラスチック、天然物質、紙、木材又は金属からのシート又は表面のコーティングのためにも、本発明による組成物を使用することができる。
【0065】
本発明による組成物をコーティングされるべき基材上に塗布することは、液状物質からコーティングを製造するために適しかつ多くの公知の任意の様式で、例えば刷毛塗り、浸し塗り、塗工、流し塗り、吹き付け塗布、ローラ塗布、印刷、ナイフ被覆もしくはブレード被覆、フーラード法、押出法又はスプレー法によって行うことができる。
【0066】
テキスタイル平面状構造物は、本発明による組成物によって種々のコーティング厚さで被覆することができる。混合物の硬化に際してガス状の水素が形成されるので、該コーティングは、狙い通りに規定の大きさと分布の気泡、開口部もしくは細孔をもって形成することができる。そのためには、例えば粘度、SiH基及び/又はSiOR基のモル量、ポットライフ又は層厚を、相応して選択することができる。閉じた層を生成させるためには、本発明による組成物は、好ましくは1〜50μmの薄い層で塗布される。
【0067】
本発明による組成物の乾燥と硬化もしくは加硫は、好ましくは、熱気もしくは赤外線によって又は別のエネルギー源によって加熱することができる通常の加熱路内で行われる。好ましい温度範囲は50〜200℃である。幾つかのテキスタイル種は特に温度安定性ではないので、温度の上限は、大抵は、テキスタイルの温度安定性によって制限される。乾燥炉内での滞留時間は、加熱路内の温度に依存し、かつ10秒〜30分の時間が好ましい。
【0068】
ガラス繊維製の織物は、切断箇所で非常に激しくほつれるが、その切断縁のほつれは、本発明による組成物での処理によって回避される。
【0069】
微細なガラス繊維を破壊することによって生じるガラス塵は、本発明による組成物での仕上げ処理によって固定される。更に、このようにして仕上げ処理されたガラス繊維は、弾性特性を示す。
【0070】
本発明による組成物のテキスタイルコーティングとしての加工に際して、驚くべきことに、本発明により作成されたシリコーンコーティングが、通常は、いわゆる付着助剤、例えば低分子量の有機官能性シランもしくは他の縮合反応を促進する化合物、例えばスズ化合物、ジルコニウム化合物もしくはチタン化合物を含有するような縮合架橋性のシロキサン混合物又は付加架橋性のシロキサン混合物で知られるものを用いた場合のみ達成される非常に良好な機械的特性を有することが確認された。工学的装置、特にエアバッグのために使用されるシリコーンコーティングされたテキスタイル織物の製造のために驚くべきことに確認された特性が特に好ましい。かかる用途のために、好ましくは、合成繊維、例えばポリアミドもしくはポリエステルなどの繊維は、エアバッグを推進剤で膨らませるときの高い機械的負荷及び熱的負荷に耐える表面を得るために、シリコーンでコーティングされる。そのために、該コーティングは、非常に良好にテキスタイル下地上に付着せねばならず、広い温度範囲で柔軟でなければならず、重ね合わせた場合に多湿貯蔵でも及び/又は高温でも粘着してはならず、かつできるだけ低い表面摩擦(低い摩擦係数)を有さねばならない。
【0071】
実施例:
コーティングされたテキスタイル面の示される測定値は、引用されたISO規格に相応して測定されたものである。これらの試験法は、特に工学的テキスタイルの製造の分野で、殊にエアバッグの製造において確立されており(このためには、"Anforderungen und Pruefbedingungen Luftsack−Material(エアバッグ材料の必要条件と試験条件)",EASC 9904 0180 des European Airbag Standardization Committee(欧州エアバッグ標準化委員会のEASC 9904 0180),Ausgabe A08(A08版)を参照のこと)、前記試験法は、比較的容易な手段によってコーティング安定性の評価を可能にする。
【0072】
試験法"Scrub(こすり)"(ISO 5981)では、コーティングされた織物の繰り返しの同時の折り曲げと摩擦に対する耐久性が試験される。テキスタイルサンプルの繰り返しの変形運動の依然として損傷に至らない最大回数(サイクル)が示される。この値が高ければそれだけ、コーティングは良好である。
【0073】
"付着性"では、コーティングされた表面上で互いに固く貼り付けられた2つのテキスタイルサンプルを互いに分離するために必要な力(N/5cm)が測定される。その際、前記テキスタイル上に塗布されたコーティングは一般に剥離する。その測定値は、テキスタイル表面と塗布されて硬化されたコーティングとの結合の強さについての情報を提供する。その測定値が高ければそれだけ、コーティングは良好である。
【0074】
摩擦係数(いわゆるCOF、ISO 8295)は、表面を重ねて互いに動かした場合の、滑沢特性と付着特性とに関するコーティング表面の状態についての尺度である。このために、コーティングを有する2つのコーティングされたテキスタイルサンプルが重ねられ、おもりで荷重がかけられる。上にあるサンプルを下にあるサンプル上で引っ張るのに必要となる力から、摩擦係数が導かれる。その係数は、静止摩擦係数値(静止状態からの運動)と動摩擦係数値(一定速度での運動)として示される。この値が低ければそれだけ、該コーティングはエアバッグ分野での使用に関して良好である。
【0075】
実施例1:
末端ジメチルシラノール基を有する25℃で20000mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン32kgと、末端ジメチルシラノール基を有する25℃で80000mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン24kgと、末端ジメチルシラノール基を有する25℃で1000mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン28kgとを、混練機中で、WACKER HDK(登録商標)SKS−130型のBET表面積130m2/gを有する疎水性化された高分散性の熱分解法ケイ酸16kgと一緒に低減された圧力下で混合する。引き続き、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール50gと、白金ジビニルテトラメチルシロキサン錯体をジメチルポリシロキサン中にとかしたもの0.11kg(組成物の全質量に対して12ppmの白金含量に相当)とを、連続的に混合しつつ添加する。該混合物を、完全に混合されるまで15分にわたって更に撹拌する。
【0076】
こうして得られた材料100gを、トリメチルシリル末端基を有する25℃で25mPa sの粘度を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン7gと混合する。この混合物を、ドクターブレードを用いてポリアミド6.6製の織物(470dtex;185g/m2の加工前質量)上にコーティングし、そして循環空気炉(Umluftofen)中で170℃で約2分にわたり加硫させる。
【0077】
こうしてコーティングされた織物は、27g/m2のコーティング質量を示し、かつ以下の測定値を示す:
こすり: 1900サイクル(ISO 5981)
付着性: 280N/5cm(ISO 53530)
摩擦係数(ISO 8295):
0.2642(静止摩擦係数)
0.1614(動摩擦係数)
【0078】
実施例2:
末端ジメチルシラノール基を有する25℃で20000mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン44kgと、末端ジメチルシラノール基を有する25℃で80000mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン44kgとを、混練機中で、WACKER HDK(登録商標)SKS−130型のBET表面積130m2/gを有する疎水性化された高分散性の熱分解法ケイ酸12kgと一緒に低減された圧力下で混合する。引き続き、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール50gと、白金ジビニルテトラメチルシロキサン錯体をジメチルポリシロキサン中にとかしたもの0.11kg(組成物の全質量に対して12ppmの白金含量に相当)とを、連続的に混合しつつ添加する。
【0079】
該混合物を、完全に混合されるまで15分にわたって更に撹拌する。
【0080】
こうして得られた材料100gを、トリメチルシリル末端基を有する25℃で25mPa sの粘度を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン7gと混合する。
【0081】
この混合物を、ドクターブレードを用いてポリアミド6.6製の織物(470dtex;185g/m2の加工前質量)上にコーティングし、そして循環空気炉中で170℃で約2分にわたり加硫させる。
【0082】
こうしてコーティングされた織物は、28g/m2のコーティング質量を示し、かつ以下の測定値を示す:
こすり: 1700サイクル(ISO 5981)
付着性: 220N/5cm(ISO 53530)
摩擦係数(ISO 8295):
0.1249(静止摩擦係数)
0.0678(動摩擦係数)
【0083】
実施例3:
末端ジメチルシラノール基を有する25℃で50000mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン88kgを、羽根型撹拌機中で、WACKER HDK(登録商標)SKS−130型のBET表面積130m2/gを有する疎水性化された高分散性の熱分解法ケイ酸12kgと一緒に混合する。引き続き、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール50gと、白金ジビニルテトラメチルシロキサン錯体をジメチルポリシロキサン中にとかしたもの0.11kg(組成物の全質量に対して12ppmの白金含量に相当)とを、連続的に混合しつつ添加する。該混合物を、完全に混合されるまで15分にわたって更に撹拌する。こうして得られた材料100gを、トリメチルシリル末端基を有する25℃で25mPa sの粘度を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン5gと混合する。この混合物を、ドクターブレードを用いてポリアミド6.6製の織物(470dtex;185g/m2の加工前質量)上にコーティングし、そして循環空気炉中で170℃で約2分にわたり加硫させる。こうしてコーティングされた織物は、28g/m2のコーティング質量を示し、かつ以下の測定値を示す:
こすり: 1800サイクル(ISO 5981)
付着性: 230N/5cm(ISO 53530)
摩擦係数(ISO 8295):
0.126(静止摩擦係数)
0.065(動摩擦係数)
【0084】
比較例1:
末端ジメチルビニルシリル基を有する25℃で900mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン12.2kgと、末端ジメチルビニルシリル基を有する25℃で7000mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン7.3kgと、末端ジメチルビニルシリル基を有する25℃で20400mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン45kgと、末端ジメチルビニルシリル基を有する25℃で1000mPa sの粘度を有する直鎖状ジメチルポリシロキサン12.5kgとを、溶解機で、WACKER HDK(登録商標)SKS−130型のBET表面積130m2/gを有する疎水性化された高分散性の熱分解法ケイ酸19kgと一緒に混合する。引き続き、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール25gと、白金ジビニルテトラメチルシロキサン錯体をジメチルポリシロキサン中にとかしたもの0.25kg(組成物の全質量に対して28ppmの白金含量に相当)と、セリウム−2−エチルヘキサノエート溶液(ナフサ中40%)42gとを、連続的に混合しつつ添加する。
【0085】
該混合物を、完全に混合されるまで15分にわたって更に撹拌する。
【0086】
こうして得られた材料100gを、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン1g及びトリメチルシリル末端基を有する25℃で25mPa sの粘度を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン4gと混合する。
【0087】
この混合物を、ドクターブレードを用いてポリアミド6.6製の織物(470dtex;185g/m2の加工前質量)上にコーティングし、そして循環空気炉中で170℃で約2分にわたり加硫させる。
【0088】
こうしてコーティングされた織物は、26g/m2のコーティング質量を示し、かつ以下の測定値を示す:
こすり: 1100サイクル(ISO 5981)
付着性: 220N/5cm(ISO 53530)
摩擦係数(ISO 8295):
0.3142(静止摩擦係数)
0.1788(動摩擦係数)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)Siに結合されたヒドロキシ基を有するオルガノポリシロキサンと、
(B)Siに結合された水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、
(C)白金触媒と、
(D)補強性充填剤と、
(E)場合により、非補強性充填剤と、
(F)場合により、Siに結合されたヒドロキシル基とSiに結合された水素原子との白金触媒による反応を室温で遅延させる抑制剤と、
を含有する組成物であって、但し、
オルガノポリシロキサン(A)が、500〜100000000mPa・sの25℃での粘度を有し、
白金触媒(C)が、リン酸トリスアミド配位子を含まず、
補強性充填剤(D)が、組成物の全質量に対して少なくとも3質量%の量で含まれており、
非補強性充填剤(F)が、補強性充填剤(D)よりも少量で含まれており、
付着助剤としての反応性シランの使用並びにSiに結合されたヒドロキシル基及び/又はアルコキシ基の縮合反応を促進する付加的な縮合触媒の使用を除く前記組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物を製造する方法において、請求項1に定義される成分(A)、(B)、(C)、(D)及び場合により(E)及び(F)を互いに混合することを特徴とする前記方法。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物を硬化させることによって製造される成形体。
【請求項4】
硬化が50〜200℃の温度で行われることを特徴とする、請求項3に記載の成形体。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の成形体であって、それがコーティング又は被覆であることを特徴とする前記成形体。
【請求項6】
コーティングの製造方法であって、請求項1に記載の組成物を、コーティングされるべき基材上に塗布し、引き続き該組成物を硬化させることによって行う前記方法。
【請求項7】
硬化を50〜200℃の温度で行うことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基材がテキスタイル平面状構造物であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
テキスタイル平面状構造物がエアバッグ材料であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
コーティングされたテキスタイル平面状構造物であって、テキスタイル平面状構造物が請求項1に記載の組成物でコーティングされていることを特徴とする前記テキスタイル平面状構造物。

【公表番号】特表2012−526164(P2012−526164A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508993(P2012−508993)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055696
【国際公開番号】WO2010/127977
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】