説明

テキスタイル材料の処理

本発明は、難燃性を付与するためにテキスタイル材料を処理する方法を提供する。この方法は、前記材料にポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物である処理剤の水溶液を含浸させる工程;前記の含浸された材料を乾燥させる工程;前記の乾燥させた被含浸材料をアンモニアによって硬化させて、該材料の繊維内に物理的に固定された水に不溶の硬化ポリマーを生成させる工程; 前記硬化ポリマーを酸化して三価リン乃至五価リンに転化させる工程;及び該材料を洗浄し且つ乾燥させる工程:を含み、工程(d)及び(e)の一方又は両方が水性廃液の同時生成をもたらすものであり;そして前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが工程(c)の間に0.8以上増大するように条件を調節するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性を付与するためにテキスタイル材料(布帛)を処理する方法であって、この方法の際に生成する廃液(排出液)の組成を制御するのにも適合する前記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース系(例えば綿)材料を含めたテキスタイル材料の難燃化処理のための既知の方法は、該材料にポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物である処理剤の水溶液を含浸させることから成る。この化合物は、塩、例えばテトラキス(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム塩であることができる。この化合物はまた、縮合物、例えばテトラキス(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム塩と尿素のような窒素含有化合物との縮合物であることもできる。含浸の後に、前記材料を乾燥させ、次いでアンモニアによって硬化させて、該材料の繊維内に物理的に固定された水に不溶の硬化ポリマーを生成させる。硬化の後に、このポリマーを酸化して三価リンを五価リンに転化させ、この材料を洗浄し且つ乾燥させる。
【0003】
かかる方法は、例えば英国特許第2205868号、同第2290562号及び同第2294479号の各明細書に記載されている。
【0004】
硬化プロセスにおいて、アンモニアガスは材料が通されるチャンバー中に直接通してもよく、また、アンモニアガスを前記チャンバー内で前記材料中に通すのも好ましい。英国特許第1439608号及び同第1439609号の両明細書には、かかる方法に用いるための装置が記載されており、この装置は、密閉チャンバー、前記材料が通るこのチャンバーへの入口シール及び出口シール、前記チャンバー中に配置される導管(duct)から成り、該導管は1個以上のオリフィスを有し、気体状アンモニアは該オリフィスを通して供給され、次いで各オリフィス上を通過する材料中に通され、前記チャンバーは、凝縮した水が材料上に滴下するのを防止するための手段を有する。このタイプのユニット(装置)を、以下においては標準硬化ユニットと称する。
【0005】
英国特許第2252570号明細書には、高速硬化ユニットが記載されており、このユニットにおいては、処理される材料の量に対するアンモニア供給量が正確に制御され、硬化用チャンバーは前もってアンモニアで満たされて、アンモニア供給量に対するアンモニア使用量のどんなに僅かな変化をも斟酌したアンモニア貯蔵槽を提供する。このタイプのユニットを、以下においては高速硬化ユニットと称する。
【0006】
しかしながら、ポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物で材料を処理する既知の方法においては、水溶性の含リン物質がかなりの割合で存在する廃液がもたらされることが確認された。水溶性の含リン物質は有害物質と見なされることがある。従って、多くの国の環境基準では、環境中に放出される前の廃液中に含まれ得るこのようなリンの量に対して制限が設けられている。
【0007】
このことは、かかる方法を実施する時には水に可溶な含リン物質を除去するために廃液を処理することが必要であるということを意味し、これは費用及び複雑さを増加させる。
【0008】
「水溶性の含リン物質」と言った場合、これは25℃において少なくとも10g/リットルの溶解度を有する物質を意味する。
【0009】
特に、この廃液は通常、主要な水溶性含リン物質として、THPOを有する。このTHP塩の除去は、長時間にわたる過酷な酸化処理、例えば酸性条件下での過酸化水素による酸化又はUV下での過酸化水素による酸化を伴う傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】英国特許第2205868号明細書
【特許文献2】英国特許第2290562号明細書
【特許文献3】英国特許第2294479号明細書
【特許文献4】英国特許第1439608号明細書
【特許文献5】英国特許第1439609号明細書
【特許文献6】英国特許第2252570号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、生成する廃液中に存在する水溶性の含リン物質をもっと容易に除去され/過酷な処理を必要とせずに除去できる物質の形のものにすることができる技術に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1の局面において、難燃性を付与するためのテキスタイル材料の処理方法を提供する。この方法は、次の工程:
(a)前記材料にポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物である処理剤の水溶液を含浸させ;
(b)前記の含浸された材料を乾燥させ;
(c)前記の乾燥させた被含浸材料をアンモニアによって硬化させて、該材料の繊維内に物理的に固定された水に不溶の硬化ポリマーを生成させ;
(d)前記硬化ポリマーを酸化して三価リンを五価リンに転化させ;
(e)該材料を洗浄し且つ乾燥させる:
を含み、
工程(d)及び(e)の一方又は両方が水性廃液の同時生成をもたらすものであり;そして
前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが工程(c)の間に0.8又はそれ以上増大するように条件を調節する。
【0013】
本発明はまた、第2の局面において、テキスタイル材料に対する難燃化処理において生成する廃液中に存在するリンの量を減らすために、硬化の間に原子比N:Pを0.8又はそれ以上増大させることを採用することを提供する。
【0014】
本発明はまた、第3の局面において、テキスタイル材料に対する難燃化処理において生成する廃液中に1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及びその誘導体の形で存在するリンの量を増やすために、硬化の間に原子比N:Pを0.8又はそれ以上増大させることを採用することを提供する。
【0015】
前記の第2の局面及び第3の局面において、難燃化処理は、セルロース系(例えば綿)材料を含めたテキスタイル材料の難燃化処理のための任意の方法、例えばポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物である処理剤の水溶液を前記材料に含浸させ、次いで乾燥させ、アンモニアによって硬化させて、該材料の繊維内に物理的に固定された水に不溶の硬化ポリマーを生成させ、次いでこのポリマーを酸化して三価リンを五価リンに転化させることから成る方法であることができる。
【0016】
1つの実施形態において、難燃化処理は、第1の局面において規定した工程(a)〜(e)を含む方法であることができる。
【0017】
本発明は、第4の局面において、1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体の製造方法を提供する。この方法は、次の工程:
(a)前記材料にポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物である処理剤の水溶液を含浸させ;
(b)前記の含浸された材料を乾燥させ;
(c)前記の乾燥させた被含浸材料をアンモニアによって硬化させて、該材料の繊維内に物理的に固定された水に不溶の硬化ポリマーを生成させ;
(d)前記硬化ポリマーを酸化して三価リンを五価リンに転化させ;
(e)該材料を洗浄し且つ乾燥させる:
を含み、
工程(d)及び(e)の一方又は両方が水性廃液の同時生成をもたらすものであり;そして
前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが工程(c)の間に0.8又はそれ以上増大して、前記水性廃液が1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体を含有するように条件を調節する。
【0018】
驚くべきことに、本発明の方法を実施した場合、廃液中のリンは、主として1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン(PTA)及び/又はその誘導体の形にある。特に、1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン(PTA)が存在することができ、且つ/又は1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタンオキシド(PTAO)が存在することができ、且つ/又はPTAOのN−メチル形態(Me−PTAO)が存在することができ、且つ/又はPTAOのN−オキシド形態が存在することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
存在する1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン(PTA)の誘導体の正確な形態は、採用する条件に依存するだろう。例えば、PTAOのN−メチル形態は、硬化工程の間又はその後に多量のホルムアルデヒドが存在する下で生成するものと信じられる。
【0020】
1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタンオキシド(PTAO)、PTAOのN−メチル形態(Me−PTAO)及びPTAOのN−オキシド形態以外のPTAの誘導体が存在していることも可能である。
【0021】
1つの実施形態において、廃液中の水溶性含リン物質の50重量%若しくはそれ以上、例えば55重量%若しくはそれ以上、60重量%若しくはそれ以上、70重量%若しくはそれ以上、80重量%若しくはそれ以上、又は90重量%若しくはそれ以上が1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体(以下、「PTA種」と称する)の形で存在していることができる。
【0022】
特に、驚くべきことに、本発明の方法を実施する時に、廃液中の水溶性含リン物質の70〜80重量%又はそれ以上、例えば80〜90重量%又はそれ以上が、PTA種の形で存在することができるということがわかった。これは非常に有利なことである。と言うのも、アミンであるこのようなPTA種は廃液から容易に取り除くことができ、過酷な除去条件を特に必要としないからである。例えば、このような種は、イオン交換技術によって容易に除去することができる。
【0023】
PTA種は特に1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン(PTA)、1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタンオキシド(PTAO)、PTAOのN−メチル形態(Me−PTAO)及びPTAOのN−オキシド形態から選択される1種以上の物質種であることができる。
【0024】
当業者は、N及びPレベルを測定するための方法を知っており、従って硬化工程(c)の前及び後の両方についてN:P比を測定するための方法を知っている。例えば、Pレベルを測定するためには重量分析及び比色分析を挙げることができ、Nレベルを測定するためにはケルダール分析及び比色分析を挙げることができる。
【0025】
好ましい実施形態において、本発明の第1又は第4の局面の方法は、水性廃液から1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体を取り除く(取り出す)工程をさらに含む。
【0026】
前記水性廃液は、工程(d)から若しくは工程(e)から又は工程(d)及び工程(e)の両方からのものであることができる。好ましい実施形態においては、工程(d)からの水性廃液と工程(e)からの水性廃液とを一緒にし、次いでこの一緒にした廃液から1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体を取り除く。
【0027】
廃液中に存在する1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体の一部又は全部を、水性廃液から取り除くことができる。1つの実施形態においては、廃液中に存在するPTAの25重量%若しくはそれ以上、例えば50重量%若しくはそれ以上、好ましくは70重量%若しくはそれ以上、例えば75重量%若しくはそれ以上、80重量%若しくはそれ以上、90重量%若しくはそれ以上、95重量%若しくはそれ以上、又は99重量%若しくはそれ以上が取り除かれる。
【0028】
1つの実施形態において、PTA種は、イオン交換を用いて取り除かれる。これは好適には強酸カチオン交換樹脂、例えば硫酸カチオン交換樹脂であることができる。任意の好適な流量を用いることができる。床容量/時間(BV/hr)で表わした時に、例えば8〜100BV/hrの流量、例えば約20〜40BV/hrの流量を用いることができる。
【0029】
別の実施形態において、ホスフィンであるPTA種は、有機溶剤、例えばクロロホルム及びエタノールを用いて取り除くことができ、次いで廃液を蒸発させることによって濃縮することができる。
【0030】
別の実施形態において、反応性濾過システムを用いることができる。これは特にPTA種がホスフィンオキシドである場合に用いることができる。かかるシステムにおいては、濾過システムに用いられる濾過媒体(例えば砂)上にコーティングが用いられ、このコーティングは懸案のPTA種を吸着するものとして選択される。例えば、水和酸化第二鉄コーティングのような第二鉄コーティングを選択することができる。
【0031】
また、凝集濾過のような他の濾過方法も検討することができる。
【0032】
PTA種は、工程(c)の後の任意の工程において取り除くことができる。
【0033】
第1の局面の方法において、PTA種は例えば、工程(c)の後であって工程(d)の前に取り除くことができ、又は好ましくは工程(d)の後に取り除くこともできる。後者の場合、PTA種は工程(e)の前、間又は後に取り除くことができる。
【0034】
1つの実施形態において、PTA種は工程(e)の後に取り除かれる。
【0035】
PTA種は、取り除いた後に単離することができる。
【0036】
1つの実施形態においては、前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが工程(c)の間に0.9又はそれ以上、好ましくは1.0又はそれ以上、より一層好ましくは1.1又はそれ以上、例えば1.2又はそれ以上、特に好ましくは1.3又はそれ以上増大するように条件を調節する。好ましい実施形態において、増分は1.4又はそれ以上、例えば1.5又はそれ以上である。
【0037】
前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが工程(c)の間に少なくとも0.8であって2.0まで、例えば少なくとも0.9であって1.9まで、例えば少なくとも1.0であって1.8まで、例えば少なくとも1.2であって1.7までだけ増大するように条件を調節することができる。
【0038】
1つの好ましい実施形態においては、前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが工程(c)の間に少なくとも1.2であって2.0まで、例えば少なくとも1.3であって1.9まで、例えば少なくとも1.4であって1.8までだけ増大するように条件を調節する。
【0039】
当業者であれば、材料中のN:P比は酸化及び洗浄工程(d)及び(e)の間に多少低下することを理解するであろう。従って、硬化の後のN:P比とは、工程(c)を実施した後であってしかし工程(d)の酸化を行う前に測定した比を指す。特に、この比は工程(d)の酸化の直前に測定することができる。
【0040】
好ましくは、工程(c)の後に前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが2.3又はそれ以上、例えば2.4又はそれ以上、例えば2.5又はそれ以上、例えば2.6又はそれ以上になるように条件を調節する。1つの実施形態において、硬化工程(c)の後の前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pは、2.3から3.5まで、例えば2.4から3.0までとする。
【0041】
調節することができる条件は、好適には、
(i)工程(c)における硬化のために選択される硬化ユニット;
(ii)工程(c)における硬化の際に選択される布帛の移動速度;
(iii)工程(c)における硬化のために用いられるアンモニアの量:
である。
【0042】
当業者であればわかるように、これらの条件は、処理されるべき材料のタイプを考慮に入れて選択することができる。しかしながら、材料によっては、アンモニア硬化の間のN:P比の増大をより大きくするために、以下のように条件を調節することができる:
【0043】
(i)工程(c)における硬化のために選択される硬化ユニット
【0044】
工程(c)において、標準硬化ユニット又は高速硬化ユニットを用いることができる。高速硬化ユニットを使用するとN:P比が増大するだろう。
【0045】
(ii)工程(c)における硬化の際に選択される布帛の移動速度
【0046】
硬化チャンバーは通常は1〜20mの布帛を収容する。標準硬化ユニットは通常約1mの布帛を収容することができるのに対して、高速硬化ユニットは通常約15mの布帛を収容することができる。
【0047】
採用する移動速度が低いほど、N:P比が増大する。
【0048】
標準硬化ユニットについては、5〜15m/分の移動速度を選択することができる。5〜10m/分、例えば5〜8m/分の移動速度を選択するのが好ましい。
【0049】
高速硬化ユニットについては、15〜60m/分の移動速度を選択することができる。15〜40m/分、例えば15〜25m/分の移動速度を選択するのが好ましい。
【0050】
(iii)工程(c)における硬化のために用いられるアンモニアの量
【0051】
工程(c)の間にN:P比を増大させるためには、選択する投入アンモニアと布帛上の処理剤中のリンとの間のモル関係が、標準硬化ユニットにおいては3.2:1又はそれ以上、そして高速硬化ユニットについては1.9:1又はそれ以上であるのが好ましい。
【0052】
標準硬化ユニットについては、選択する投入アンモニアと布帛上の処理剤中のリンとの間のモル関係が3.3:1又はそれ以上、例えば3.4:1又はそれ以上であるのが好ましい。
【0053】
高速硬化ユニットについては、選択する投入アンモニアと布帛上の処理剤中のリンとの間のモル関係が2.0:1又はそれ以上、例えば2.1:1又はそれ以上であるのが好ましい。
【0054】
好ましい条件
【0055】
従って、硬化ユニットが標準硬化ユニット又は高速硬化ユニットであるように選択し、使用するユニットのタイプに鑑みて、
・工程(c)における硬化の間の布帛の移動速度、及び
・投入アンモニアと布帛上の処理剤中のリンとの間のモル関係
の一方又は両方を選択するのが好ましい。
【0056】
1つの実施形態において、調節される条件は、
1.工程(c)において標準硬化ユニットを用いるか高速硬化ユニットを用いるかを選択し;次いで
2.工程(c)における硬化の際に、標準硬化ユニットについては5〜15m/分、高速硬化ユニットについては15〜60m/分の低い布帛移動速度を選択し;そして
3.投入アンモニアと布帛上の処理剤中のリンとの間のモル関係を、標準硬化ユニットについては3.2:1又はそれ以上、高速硬化ユニット1.9:1又はそれ以上となるように選択する:
ものである。
【0057】
好ましい実施形態において、調節される条件は、
1.工程(c)において標準硬化ユニットを用いるか高速硬化ユニットを用いるかを選択し;
2.工程(c)における硬化の際に、標準硬化ユニットについては5〜10m/分、高速硬化ユニットについては15〜40m/分の低い布帛移動速度を選択し;そして
3.投入アンモニアと布帛上の処理剤中のリンとの間のモル関係を、標準硬化ユニットについては3.3:1又はそれ以上、高速硬化ユニット2.0:1又はそれ以上になるように選択する:
ものである。
【0058】
本発明の方法/使用のその他の好ましい/随意の特徴を、以下に説明する。
【0059】
(A)用いるポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物
【0060】
ポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物は好適にはテトラ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物であることができる。
【0061】
ポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物において、各ヒドロキシオルガノ基は、1〜9個の炭素原子を有するα−ヒドロキシオルガノ基、特に次式のものであるのが好ましい。
HOC−(R12)−
ここで、各R1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、水素又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル又はエチルを表わす。好ましくは、R1は水素であり、1つの実施形態においては、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム(THP)化合物におけるように、R1及びR2の両方が水素である。
【0062】
ポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物は、1つの好ましい実施形態においては、テトラキス(ヒドロキシアルキル)ホスホニウム塩であることができる。
【0063】
また、別の好ましい実施形態においてポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物は、テトラキス(ヒドロキシアルキル)ホスホニウム塩と窒素含有化合物との縮合物であることができる。
【0064】
好ましくは、本方法は、THP塩又はTHP縮合物を用いる。
【0065】
原則として、存在する他の成分に悪影響を及ぼさないアニオンを有する任意の水溶性THP塩を用いることができる。好ましくは、式THPXのテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩を用いる。ここで、Xはクロリド、サルフェート、ブロミド、ヨージド、ホスフェート、アセテート、オキサレート、シトレート、ボレート、クロレート、ラクテート、ニトレート、フルオリド、カーボネート又はホルメートである。
【0066】
THP縮合物は、THPと尿素やアミンのような有機窒素化合物との水溶性又は弱水溶性コポリマーである。1つの実施形態において、前記縮合物は、THPと尿素、C1〜C20アルキルアミン、ジシアンジアミド、チオ尿素又はグアニジンとのコポリマーである。THP対窒素化合物のモル比は、THP:窒素化合物として、例えば2:1又はそれ以上、例えば3:1又はそれ以上、好ましくは4:1又はそれ以上、例えば5:1又はそれ以上、例えば5:1〜7:1であることができる。
【0067】
THP縮合物は、リン化合物が25℃において少なくとも0.5g/リットルの濃度まで水溶性である限りにおいて、2個以上のリン原子を含有することができる。かかるリン化合物は、リン原子1個当たりに合計少なくとも2個、通常は少なくとも1個のヒドロキシメチル基を有し、好ましくはリン原子1個当たりに少なくとも2個のヒドロキシメチル基を有する。THP縮合物において、リン原子を互いに結合させる基は、式−R−、−R−O−、−R−O−R−、−R−NH−R又は−R−R''−Rのものであることができる。ここで、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基であり、R''はジ若しくはポリアミド又はアミン若しくはジ若しくはポリアミン(例えば尿素、C1〜C20アルキルアミン、ジシアンジアミド、チオ尿素又はグアニジン等)から窒素に結合した2個の水素原子を取り除くことによって形成される残基である。リン原子1個当たりに2個又はそれ以上、例えば3個のヒドロキシアルキル基を有するかかる化合物は、THP塩と尿素又はC1〜C20アルキルアミンのような一般式R''H2の化合物との例えば40〜120℃に加熱することによる自己縮合によって、作ることができる。
【0068】
(B)ポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物の使用量
【0069】
当業者であれば、処理されるべき布帛(特に布帛密度)及びその予定される最終用途(特に被処理布帛が満たす必要がある規格及び耐久性の基準)に基づいて、ポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物の適量を容易に選択することができるであろう。
【0070】
工程(a)において水性含浸用溶液中に用いられるポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物の量は通常、30〜50%のアドオンを与えるように計算される。これは、ピックアップ率に基づいて、選択されるべき処理溶液中のポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物の適当な濃度を必要とする。例えば、50%溶液を使用することによって、80%のピックアップ率について40%のアドオンが達成されるだろう。
【0071】
工程(a)において水性含浸用溶液中に用いられるポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物の量は、(THP+イオンとしての重量で表わして)例えば5〜50%であることができる。所望ならば、この溶液には、湿潤剤、例えばノニオン性又はカチオン性湿潤剤を含有させることができる。
【0072】
(C)硬化工程(c)の前の布帛の水分含有率
【0073】
工程(b)において、材料を任意の好適なレベルまで、例えば0〜20%まで乾燥させることができる(この百分率は、布帛の重量の増加及び含浸させた化学物質の重量から計算される)。
【0074】
1つの実施形態においては、前記材料を3〜15%、例えば4〜8%の残留水分含有率まで乾燥させる。
【0075】
これらの値は、導電率計から得られるような値よりもむしろ実際の水分含有率値である。当業者であれば理解できるように、導電率計を用いて得た水分値は存在するイオンからの寄与分を考慮に入れて調節しなければならない。
【0076】
乾燥は、ステンターオーブン又はオーバーヒート缶(例えばスチーム缶)中で実施することができる。これは、例えば80〜120℃に好適な時間(例えば1分〜10分)加熱することを伴うものであることができる。
【0077】
(D)工程(c)の後であって工程(d)の前に採用されるバッチング(batching)時間
【0078】
前記材料は、酸化の前に任意の好適な時間、例えば1時間又はそれ以上、バッチングすることができる。
【0079】
標準硬化ユニットにおいては、30分〜8時間、例えば1〜8時間のバッチング時間を好適に採用することができる。
【0080】
高速硬化ユニットにおいては、0〜8時間、例えば1〜8時間のバッチング時間を好適に採用することができる。
【0081】
(E)テキスタイル材料
【0082】
テキスタイル材料は、実質的に100%セルロース系繊維(例えば綿、亜麻布(リネン)、黄麻(ジュート)、ヘッセン(バーラップ)又は再生セルロース系材料)から成ることができる。
【0083】
また、テキスタイル材料は、セルロース系繊維と非セルロース系繊維との両方を含むこともできる。非セルロース系繊維は、例えばウール又はシルク繊維であることができ、また、ポリエステル、ポリアミド、アクリル又はアラミド繊維のような合成繊維を含むこともできる。
【0084】
1つの実施形態において、テキスタイル材料は、実質的にセルロース系(例えば綿)繊維から作られたものであることができる。
【0085】
別の実施形態において、テキスタイル材料は、綿繊維及びポリエステル繊維から作られたもの、例えば綿繊維60%及びポリエステル繊維40%から作られたものであることができる。
【0086】
テキスタイル材料は、50〜1000g/m2、例えば150〜400g/m2の重量を有するものであるのが好ましい。
【0087】
(F)その他の硬化条件
【0088】
工程(c)において、材料が通されるチャンバー中にアンモニアガスを直接通すこともでき、また、チャンバー内で材料中にアンモニアガスを注入することもできる。
【0089】
典型的には、標準硬化ユニットは50〜60℃の温度において運転することができ、高速硬化ユニットは45〜80℃の温度において運転することができる。一般的に、60〜〜80℃のようなより高い温度は、N:P比の増大をもたらすことができる。しかしながら、実施上は、硬化工程の温度を厳密に制御するための範囲は、傾向的に言うとほとんどない。
【0090】
新たなアンモニアガスは希釈されていないのが好ましいが、しかし30容量%までの水蒸気又は空気で希釈してもよい。導管からチャンバー中に送出されるアンモニアガスは、10〜120℃であることができるが、しかし100℃以下、例えば40〜50℃の温度であるのが好ましい。
【0091】
以下,本発明を非限定的実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0092】
調製例A:硬化させるべき布帛の調製
【0093】
テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド(THPC)と尿素との予備縮合物を調製した。この予備縮合物を水で希釈して、25%THP+イオンの等価物の溶液を得た。
【0094】
バット染めされた160cm幅で280g/m2の重量の綿ドリル(drill)1000mをこの溶液に通してパジングしてほぼ80%のウェットピックアップを得た。この布帛を次いでパジングマングル(パジング機)と連携させたステンター乾燥器を用いて乾燥させた。ステンターは約100℃の温度に設定し、速度は実際の布帛水分含有率が4〜8%となるように調節した。
【0095】
例1:標準硬化ユニット
【0096】
硬化条件
【0097】
調製例Aに従って調製された布帛を、標準硬化ユニット中で、アンモニア対リンの比として3.3:1のアンモニア供給速度を用い且つ12m/分の速度で、硬化させた。
【0098】
酸化条件
【0099】
硬化させた布帛を、過酸化水素希溶液を用いてジグ酸化させた。
【0100】
試験
【0101】
布帛サンプルを硬化の前後において採取した。窒素対リンの比(N:P)の増大を測定するために、サンプル中のN及びPレベルを測定した。
【0102】
過酸化水素処理工程から得られた水性廃液をP31NMRによって分析して、PTA種から成る存在する水溶性P種の割合を測定した。
【0103】
結果
【0104】
硬化後の布帛N:P増分=1.5
P31NMRで観察されたPTA種のレベル=80%
【0105】
例2:標準硬化ユニット
【0106】
硬化条件
【0107】
調製例Aに従って調製された布帛を、標準硬化ユニット中で、アンモニア対リンの比として3.3:1のアンモニア供給速度を用い且つ20m/分の速度で、硬化させた。
【0108】
酸化条件
【0109】
硬化させた布帛を、過酸化水素希溶液を用いてジグ酸化させた。
【0110】
試験
【0111】
布帛サンプルを硬化の前後において採取した。窒素対リンの比(N:P)の増大を測定するために、サンプル中のN及びPレベルを測定した。
【0112】
過酸化水素処理工程から得られた水性廃液をP31NMRによって分析して、PTA種から成る存在する水溶性P種の割合を測定した。
【0113】
結果
【0114】
硬化後の典型的な布帛N:P増分=1.1
P31NMRで観察されたPTA種の典型的なレベル=30%
【0115】
結論
【0116】
例1との比較から、速度を増大させると、N:P比の増分が小さくなり、PTA種の量が少なくなることがわかる。
【0117】
例3:高速硬化ユニット
【0118】
硬化条件
【0119】
調製例Aに従って調製された布帛を、高速硬化ユニット中で、アンモニア対リンの比として2:1のアンモニア供給速度を用い且つ40m/分の速度で、硬化させた。
【0120】
酸化条件
【0121】
硬化させた布帛を、過酸化水素希溶液を用いてジグ酸化させた。
【0122】
試験
【0123】
布帛サンプルを硬化の前後において採取した。窒素対リンの比(N:P)の増大を測定するために、サンプル中のN及びPレベルを測定した。
【0124】
過酸化水素処理工程から得られた水性廃液をP31NMRによって分析して、PTA種から成る存在する水溶性P種の割合を測定した。
【0125】
結果
【0126】
硬化後の典型的な布帛N:P増分=1.6
P31NMRで観察されたPTA種の典型的なレベル=80%
【0127】
例4:高速硬化ユニット
【0128】
硬化条件
【0129】
調製例Aに従って調製された布帛を、高速硬化ユニット中で、アンモニア対リンの比として1:1のアンモニア供給速度を用い且つ40m/分の速度で、硬化させた。
【0130】
酸化条件
【0131】
硬化させた布帛を、過酸化水素希溶液を用いてジグ酸化させた。
【0132】
試験
【0133】
布帛サンプルを硬化の前後において採取した。窒素対リンの比(N:P)の増大を測定するために、サンプル中のN及びPレベルを測定した。
【0134】
過酸化水素処理工程から得られた水性廃液をP31NMRによって分析して、PTA種から成る存在する水溶性P種の割合を測定した。
【0135】
結果
【0136】
硬化後の布帛N:P増分=1.0
P31NMRで観察されたPTA種のレベル=14%
【0137】
結論
【0138】
例3との比較から、アンモニア供給比を減らすと、N:P比の増分が小さくなり、PTA種の量が少なくなることがわかる。
【0139】
例5:実験室規模の高速硬化ユニット
【0140】
処理条件
【0141】
テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド(THPC)と尿素との予備縮合物を調製した。この予備縮合物を水で希釈して、25%THP+イオンの等価物の溶液を得た。
【0142】
バット染めされた45cm幅で280g/m2の重量の綿ドリル10mをこの溶液に通してパジングしてほぼ80%のウェットピックアップを得た。この布帛を次いでパジングマングル(パジング機)と連携させた実験室用BENZ乾燥器を用いて乾燥させた。BENZ乾燥器は約100℃の温度に設定し、乾燥時間は1分とした。乾燥後に、布帛を水分含有率が4〜8%となるように空気中で再び状態調節した。
【0143】
この布帛を次いで、実験室規模の高速硬化ユニット中で、アンモニア対リンの比として2:1のアンモニア供給速度を用い且つ5m/分の速度で、硬化させた。
【0144】
試験
【0145】
布帛サンプルを硬化の前後において採取した。窒素対リンの比(N:P)の増大を測定するために、サンプル中のN及びPレベルを測定した。
【0146】
硬化の後に採取したサンプルの1つを水で洗浄し、水抽出物をP31NMRによって分析して、PTA種から成る存在する水溶性P種の割合を測定した。
【0147】
また、過酸化水素処理工程から得られた水性廃液もP31NMRによって分析して、PTA種から成る存在する水溶性P種の割合を測定した。
【0148】
結果
【0149】
硬化後の布帛N:P増分=1.6
硬化後に水抽出物についてP31NMRで観察されたPTA種のレベル=80%
ジグ酸化からの廃液についてP31NMRで観察されたPTA種のレベル=80%
【0150】
例6:PTA種の除去
【0151】
例1からの廃液を、存在するPTA種を取り除くために処理した。
【0152】
方法
【0153】
強酸カチオン交換樹脂100ミリリットルを含有させたカラムに、2リットルの廃液を、3リットル/時間の流量(30BV/時間)を用いて通した。
【0154】
P31NMRを用いて、カラムからのその後の廃液を分析した。
【0155】
樹脂を10%硫酸で再生し、PTA種を溶出させた。
【0156】
結果
【0157】
カラムからの廃液のP31NMRは、例1からの廃液中に存在するPTA種の100%がカラム処理によって廃液から取り除かれたことを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性を付与するためにテキスタイル材料を処理するための方法であって、次の工程:
(a)前記材料にポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物である処理剤の水溶液を含浸させ;
(b)前記の含浸された材料を乾燥させ;
(c)前記の乾燥させた被含浸材料をアンモニアによって硬化させて、該材料の繊維内に物理的に固定された水に不溶の硬化ポリマーを生成させ;
(d)前記硬化ポリマーを酸化して三価リンを五価リンに転化させ;
(e)該材料を洗浄し且つ乾燥させる:
を含み、
工程(d)及び(e)の一方又は両方が水性廃液の同時生成をもたらすものであり;そして
前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが工程(c)の間に0.8又はそれ以上増大するように条件を調節する、前記方法。
【請求項2】
1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体の製造方法であって、次の工程:
(a)前記材料にポリ(ヒドロキシオルガノ)ホスホニウム化合物である処理剤の水溶液を含浸させ;
(b)前記の含浸された材料を乾燥させ;
(c)前記の乾燥させた被含浸材料をアンモニアによって硬化させて、該材料の繊維内に物理的に固定された水に不溶の硬化ポリマーを生成させ;
(d)前記硬化ポリマーを酸化して三価リンを五価リンに転化させ;
(e)該材料を洗浄し且つ乾燥させる:
を含み、
工程(d)及び(e)の一方又は両方が水性廃液の同時生成をもたらすものであり;そして
前記材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが工程(c)の間に0.8又はそれ以上増大して、前記水性廃液が1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体を含有するように条件を調節する、前記方法。
【請求項3】
テキスタイル材料に対する難燃化処理において生成する廃液中に存在するリンの量を減らすための、硬化の間の0.8又はそれ以上の原子比N:Pの増大の利用。
【請求項4】
テキスタイル材料に対する難燃化処理において生成する廃液中に1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及びその誘導体の形で存在する水溶性含リン物質の量を増やすための、硬化の間の0.8又はそれ以上の原子比N:Pの増大の利用。
【請求項5】
前記1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン誘導体が1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタンオキシド、そのN−メチル形態及びそのN−オキシド形態から選択される、請求項1若しくは2に記載の方法又は請求項4に記載の利用。
【請求項6】
前記水性廃液から1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体を取り除く工程をさらに含む、請求項1、2又は5に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)において得られた前記水性廃液中に存在する1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体の70重量%又はそれ以上を該水性廃液から取り除く、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)において得られた前記水性廃液中に存在する1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体の90重量%又はそれ以上を該水性廃液から取り除く、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体をイオン交換によって取り除く、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記1,3,5−トリアザ−7−ホスファアダマンタン及び/又はその誘導体を廃液から取り除いた後に単離する、請求項6〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程(c)の間に材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが1.0又はそれ以上増大するように条件を調節する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法又は利用。
【請求項12】
工程(c)の間に材料上に存在するN及びPの原子比N:Pが少なくとも1.4から2.0までだけ増大するように条件を調節する、請求項11に記載の方法又は利用。
【請求項13】
前記の調節される条件が
(i)工程(c)における硬化のために選択される硬化ユニット;
(ii)工程(c)における硬化の際に選択される布帛の移動速度;
(iii)工程(c)における硬化のために用いられるアンモニアの量:
である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法又は利用。
【請求項14】
前記の調節される条件が、
1.工程(c)において標準硬化ユニットを用いるか高速硬化ユニットを用いるかを選択し;次いで
2.工程(c)における硬化の際に、標準硬化ユニットについては5〜15m/分、高速硬化ユニットについては15〜60m/分の低い布帛移動速度を選択し;そして
3.投入アンモニアと布帛上の処理剤中のリンとの間のモル関係を、標準硬化ユニットについては3.2:1又はそれ以上、高速硬化ユニットについては1.9:1又はそれ以上となるように、選択する:
ものである、請求項13に記載の方法又は利用。
【請求項15】
前記の調節される条件が、
1.工程(c)において標準硬化ユニットを用いるか高速硬化ユニットを用いるかを選択し;
2.工程(c)における硬化の際に、標準硬化ユニットについては5〜10m/分、高速硬化ユニットについては15〜40m/分の低い布帛移動速度を選択し;そして
3.投入アンモニアと布帛上の処理剤中のリンとの間のモル関係を、標準硬化ユニットについては3.3:1又はそれ以上、高速硬化ユニットについては2.0:1又はそれ以上になるように、選択する:
ものである、請求項14に記載の方法又は利用。

【公表番号】特表2012−510571(P2012−510571A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538920(P2011−538920)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064419
【国際公開番号】WO2010/063524
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】