説明

テキスト・電話会議システム及びテキスト・電話会議方法

【課題】テキストによる参加者及び音声による参加者の双方が、だれの発話であるかを識別することができるようにしたテキスト・電話会議システム及び方法を得る。
【解決手段】テキスト・電話会議システム100は、参加者の発話があると、参加者DB102を参照して、発話者以外の会議参加者が利用する機器がPCであるか、IP電話、固定電話であるか示す属性情報を取得し、PCからのテキストによる発話の場合、テキストを、音声合成手段104により、音源DB106からの発話者に対応した音源の種類を用いて、音声データに変換させ、IP電話、固定電話に変換した音声データを配信すると共に、PCを用いる他の会議参加者のPCに元の発話者からのテキストデータを配信し、また、音声による発話の場合、その音声を、音声認識手段105により、テキストに変換させ、PCに変換したテキストを配信すると共に、IP電話、固定電話に元の発話者からの音声を配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスト・電話会議システム及びテキスト・電話会議方法に係り、特に、耳の不自由な人と正常人とが電子会議を行うことを可能にしたテキスト・電話会議システム及びテキスト・電話会議方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体の不自由な人と正常人とが通信会議を行うことを可能とした会議システムの従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、体の不自由な人と正常な人とが通信会議を行うため、音声を文字や点字に変換し、また、文字や点字を音声に変換する手段を備えることにより、体の不自由な人と正常な人との間での通信会議を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−67092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術は、テキストによる参加者が複数人いてテキストによる発話者の1人が発話した場合、音声による参加者が誰の発話なのかを識別することが困難であり、同様に、音声による参加者が複数人いて音声による発話者の1人が発話した場合、テキストによる参加者が誰の発話なのかを識別することが困難であるという問題点を有している。また、前述した従来技術は、テキストによる参加者が複数人いる場合に、テキストによる参加者の発話が同時に行われると、音声合成の際に複数人の発話が混在し、音声による参加者が混乱をしてしまうという問題点を有している。
【0005】
本発明の目的は、前述したような従来技術の問題点を解決し、テキストによる参加者及び音声による参加者の双方が、だれの発話であるかを識別することができるようにしたテキスト・電話会議システム及びテキスト・電話会議方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、テキスト及び音声という異なる2通りの方法で会議に参加が可能な会議システムに関するものである。すなわち、本発明は、ある会議参加者はパーソナルコンピュータや携帯電話等の機器からテキスト入力を行い、会議システムがこれを音声合成によって音声に変換し、他の参加者には音声あるいはテキストによってメッセージを伝達するようにしている。そして、本発明は、音声合成の際に、テキストによる参加者毎に予め指定された音源を用いることにより、音声による参加者がテキストによる発話者を識別することができるようにしている。さらに、本発明は、テキストによる参加者の発言の際に、トークンを取得させるようにすることにより、複数の参加者が同時にテキストを用いて発話することを抑止している。
【0007】
また、本発明は、ある会議参加者は固定電話や携帯電話等の機器から音声による発話を行い、会議システムがこれを音声変換によってテキストに変換し、他の参加者には音声、あるいはテキストによってメッセージを伝達するようにしている。そして、本発明は、テキストの伝達の際には、音声による発話者の情報も付与することにより、他のテキストによる参加者が誰の発話なのかを識別することができるようにしている。
【0008】
具体的には、本発明によれば前記目的は、テキストを用いる参加と音声を用いる参加とが可能なテキスト・電話会議システムにおいて、前記テキスト・電話会議システム全体を制御する会議制御手段と、会議加者毎のデータを保持した参加者データベースと、テキストを音声に変換する音声合成手段と、テキストによる参加者毎の音源の種類を保持した音源データベースと、音声をテキストに変換する音声認識手段とを備え、前記会議制御手段は、参加者からの発話があると、前記参加者データベースを参照して、発話者以外の会議参加者が利用する機器がテキストによる発話を行うPCであるか、音声による発話を行うIP電話、固定電話のどれであるの区分を示した属性情報を取得し、テキストによる発話の場合、そのテキストデータを前記音声合成手段に渡すと共に、PCを用いる他の会議参加者のPCに元の発話者からのテキストデータを配信し、また、音声による発話の場合、その音声データを前記音声認識部に渡すと共に、IP電話、固定電話を用いる他の参加者の用いるIP電話、固定電話に元の発話者からの音声データを配信し、前記音声合成手段は、前記音源データベースを参照して、発話者に対応した音源の種類を用いて、渡された発話者からのテキストデータを音声データに変換し、前記会議制御手段に、IP電話、固定電話を用いる参加者のIP電話、固定電話に変換した音声データを配信させ、前記音声認識手段は、渡された発話者から音声データをテキストデータに変換し、前記会議制御手段に、PCを用いる会議参加者のPCに変換したテキストデータを配信させることにより達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、テキストによる参加者が複数人いる場合、音声による参加者は誰の発話なのかを識別することができ、同様に音声による参加者が複数人いる場合、テキストによる参加者は誰の発話なのかを識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態によるテキスト・電話会議システムを含むネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すネットワークシステムと同一のシステムで、音声による発話が行われた場合の音声及びテキストの流れを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるテキスト・電話会議システムの構成を示すブロック図である。
【図4】テキスト・電話会議システムの会議制御部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】参加者データベースに格納されている参加者毎のデータの内容を説明する図である。
【図6】音源データベースに格納されている音源の内容を説明する図である。
【図7】PCを使用する参加者が複数である場合にトークンによる発話順序の制御動作を説明するシーケンスチャートである。
【図8】トークン管理部でのトークンの払い出しの処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明によるテキスト・電話会議システム及びテキスト・電話会議方法の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態によるテキスト・電話会議システムを含むネットワークシステムの構成を示すブロック図である。この図1では、テキストによる発話が行われた場合のテキスト及び音声の流れをも示している。図2は図1に示すネットワークシステムと同一のシステムで、音声による発話が行われた場合の音声及びテキストの流れを示す図である。
【0013】
図1、図2に示すネットワークシステムは、本発明によるテキスト・電話会議システム100に、IP網200と、公衆網であるPSTN網とが接続されて構成されている。そして、IP網200には、複数のPC201、202及び複数のIP電話210が収容されており、また、PSTN網300には、複数の固定電話301、302が収容されている。
【0014】
なお、図1、2には、IP網200に収容されているのは2台のPC、1台のIP電話であり、PSTN網に収容されているのは2台の固定電話301、302であるとして示しているが、IP網200に収容されるPC、IP電話はさらに多数がIP網200に収容されてよく、また、PSTN網300に収容される固定電話もさらに多数がPSTN網に収容されていてよい。また、以後に説明する本発明の実施形態では、テキスト・電話会議システムを用いる会議に参加するのが、図1、図2に示しているPC201、102、IP電話210、固定電話301、302を使用するユーザであるものとする。
【0015】
次に、図1を参照して、テキストによる発話が行われた場合のテキスト及び音声の流れを説明する。
【0016】
いま、IP網200に収容されるPC201からテキスト入力による発話が行われたものとする。テキスト・電話会議システム100は、前述のテキスト入力による発話を受信すると、この入力されたテキストをPC202にテキストデータのまま送信すると共に、IP電話210及び固定電話301、302には、テキストデータを音声合成によって音声データに変換して送信する。
【0017】
次に、図2を参照して、音声による発話が行われた場合の音声及びテキストの流れを説明する。
【0018】
いま、PSTN300網に収容される固定電話302から音声による発話が行われたものとする。テキスト・電話会議システム100は、前述の音声による発話を受信すると、この入力された音声をIP電話210及び固定電話301に音声のまま送信すると共に、PC201、202にはテキストデータに変換して送信する。
【0019】
図3は本発明の一実施形態によるテキスト・電話会議システム100の構成を示すブロック図である。
【0020】
テキスト・電話会議システム100は、図3に示すように、テキスト・電話会議システム100の全体の制御を行う会議制御部101と、この会議制御部101に接続されている参加者データベース102、トークン管理部103、音声合成部104、音声認識部105、音源データベース106、IP・PSTN識別部107、IP網インタフェース108、PSTN網インタフェース109とにより構成されている。
【0021】
会議制御部101は、CPU、メモリ、本発明の実施形態での処理に必要なプログラムを格納した記憶装置を備えて構成されており、CPUが記憶装置に格納されているプログラムをメモリにロードして実行することにより、本発明の実施形態での各種処理動作を実現している。
【0022】
図5は参加者データベース102に格納されている参加者毎のデータの内容を説明する図である。
【0023】
参加者データベース102には、参加者毎のデータとして、参加者の氏名、役職名等の識別情報501と、参加者が使用している機器のIPアドレス、電話番号等の宛先アドレス502と、参加者の使用している機器がPCか、IP電話か、固定電話かの区別を示す属性情報503と、参加者がPCからのテキストによる参加の場合に、どのような音源を使用してテキストを音声とするかを示す音声合成音源504とが格納されている。
【0024】
なお、本発明の実施形態によるテキスト・電話会議システム100は、複数種の会議を行わせることができ、この場合、前述したような参加者データベースは、会議の種類毎に設けられる。
【0025】
図6は音源データベース106に格納されている音源の内容を説明する図である。
【0026】
音源データベース106には、テキストによる参加者に割り当てることが可能な音源の種類が複数格納されている。ここでは、例として、音源1として、若い男性の声601、音源2として、若い女性の声602、音源3として、壮年男性の声603を挙げているが、他に種々の音源の種類があってもよい。
【0027】
図4はテキスト・電話会議システム100の会議制御部101での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。テキスト・電話会議システム100での会議は、テキスト・電話会議システム100が、会議の開始を宣言して、それを各参加者に通知した後に、あるいは、参加者からテキスト・電話会議システム100に対して会議を行うアクセスがあったときに開始される。ここでは、まず、会議のためのテキストデータがPC201からテキスト・電話会議システム100に届いたときに開始されるものとして説明する。
【0028】
(1)IP網200からテキスト・電話会議システム100にテキストデータが届くと、IP網インタフェース108がIPパケットとしてテキストデータを受信し、IPプロトコルパケットからペイロード部分と送信元IPアドレスとを抜き出し、ペイロード部分と送信元IPアドレスとを会議制御部101へ転送する。会議制御部101は、この転送を受け、図4に示すフローに従って処理を開始する(ステップ401)。
【0029】
(2)会議制御部101は、処理を開始すると、参加者データベース102を参照して、会議参加者の宛先アドレス情報502(但し、テキストデータによる発話者のものについては除く)と、会議参加者毎の使用機器がPC等によるテキストによる参加であるか、固定電話、IP電話等による音声による参加であるかの区分を示す属性情報503と、発話元参加者を特定する当該発話元参加者の識別情報501と、発話元参加者の音声合成の音源情報504とを取得する(ステップ402)。
【0030】
(3)次に、会議制御部101は、発話元参加者の属性がPCであるか、IP電話または固定電話であるかを判定する(ステップ403)。
【0031】
(4)ここでの説明では、発話元参加者の属性がPC201であるとしているので、ステップ403の判定で、発話元参加者の属性がPCであると判定され、発話元参加者を除く参加者数分について、以下に説明するステップ405〜409の処理を繰り返し、繰り返し処理が終了したらここでの処理を終了し、次の発話を待つ(ステップ404、410、418)。
【0032】
(5)会議制御部101は、繰り返しの処理が開始されると、参加者毎にその参加者の属性が、PCであるか、IP電話または固定電話であるかを判定し、PCによる参加者に対して、元のテキストデータと発話元参加者の識別情報と参加者の宛先情報、ここではPC202の宛先情報とをIP・PSTN識別部107へ転送する。IP・PSTN識別部107は、その参加者のアドレスがIPアドレスであるため、これらをIP網インタフェース108へ転送し、IP網インタフェース108は、これらをIPプロトコルパケットへ変換してIP網200へ送信する。PC201は、これを受信し、発話内容をテキストとして画面表示するが、その際、発話元参加者の識別情報により誰の発話なのかを識別することが可能である(ステップ405、406)。
【0033】
(6)一方、会議制御部101は、ステップ405での判定で、参加者がIP電話、固定電話による参加者であった場合、その参加者に対して、参加者データベース102から得た情報と、発話元参加者の音源情報と、元のテキストデータとを音声合成部104へ転送する(ステップ407)。
【0034】
(7)音声合成部104は、元のテキストデータを発話元参加の音声合成の音源情報に基づいて音源データベース106を用いて音声へ変換する。図6に示して説明したように、音源データベース106には、様々な音源が格納されているので、発話元参加者毎に音源を分けることにより、他の会議参加者が誰の発話なのかを識別できるようにしている。音声合成部104は、変換された音声を会議制御部101へ返し、会議制御部101は、変換された音声を取得する(ステップ408)。
【0035】
(8)会議制御部101は、音声データと、宛先アドレス情報とをIP・PSTN識別部107へ転送する。IP・PSTN識別部107は、転送されてきた宛先アドレス情報に基づいて、宛先アドレスがIPアドレスであればIP網インタフェース108へ振り分け、宛先アドレスが電話番号であればPSTN網インタフェース109へ振り分けて、転送されてきた音声データと、宛先アドレス情報とを転送する。IP網インタフェース108は、転送されてきたデータをIPプロトコルパケットへ変換してIP網200のIP電話210へ送信する。これを受信したIP電話210は、音声データとしてこれを受信し、音声により誰の発話なのかを識別することが可能である。一方、PSTN網インタフェース109は、転送されてきたデータをPSTNフレームに変換してPSTN網300の固定電話301または302へ送信する。これを受信した電話301または302による参加者は、音声により誰の発話なのかを識別することが可能である(ステップ409)。
【0036】
(9)ステップ404、410で指定される繰り返し処理が終了し、PSTN網300から、例えば固定電話302の利用者からの音声データが届くと、PSTNインタフェース109は、PSTN網のフレームとして音声データを受信し、ペイロード部分と送信元電話番号とを取り出し、このペイロード部分と送信元電話番号とを会議制御部101に転送する。会議制御部101は、この転送を受け、図4に示すフローに従って処理を開始する(ステップ401)。
【0037】
(10)会議制御部101は、処理を開始すると、参加者データベース102を参照して、会議参加者の宛先アドレス情報502(但し、音声による発話者のものについては除く)と、会議参加者毎の使用機器がPC等によるテキストによる参加であるか、固定電話、IP電話等による音声による参加であるかの区分を示す属性情報503と、発話元参加者を特定する当該発話元参加者の識別情報501とを取得する(ステップ402)。
【0038】
(11)次に、会議制御部101は、発話元参加者の属性がPCであるか、IP電話または固定電話であるかを判定する(ステップ403)。
【0039】
(12)ここでの説明では、発話元参加者の属性が固定電話302であるとしているので、ステップ403の判定で、発話元参加者の属性が固定電話であると判定され、発話元参加者を除く参加者数分について、以下に説明するステップ412〜416の処理を繰り返し、繰り返し処理が終了したらここでの処理を終了し、次の発話を待つ(ステップ411、417、418)。
【0040】
(13)会議制御部101は、繰り返しの処理が開始されると、参加者毎にその参加者の属性が、PCであるか、IP電話または固定電話であるかを判定し、PCによる参加者に対しては、元の音声データを音声認識部105へ転送する(ステップ413)。
【0041】
(14)音声認識部105は、転送されてきた音声をテキストデータに変換し、会議制御部101へ返す。会議制御部101は、変換されたテキストデータを取得する(ステップ414)。
【0042】
(15)会議制御部101は、変換されたテキストデータと宛先IPアドレスと送信元識別情報とをIP・PSTN識別部107へ転送する。IP・PSTN識別部107は、アドレスがIPアドレスであるため、転送されてきたこれらの情報をIP網インタフェース108へ転送する。IP網インタフェース108は、転送されてきたテキストデータと宛先IPアドレスとをIPプロトコルパケットへ変換してIP網200に収容されている、例えばPC201に送信し、PC201がこれを受信する。PC201を使用する参加者は、発話元参加者の識別情報により誰の発話なのかを識別することが可能である(ステップ415)。
【0043】
(16)一方、会議制御部101は、ステップ412での判定で、参加者がIP電話、固定電話による参加者であった場合、そのIP電話・固定電話による参加者に対して、音声データと宛先情報とをIP・PSTN識別部107へ転送する。IP・PSTN識別部107は、アドレス情報がIPアドレスであれば、発話元からの音声データと宛先情報とをIP網インタフェース108へ転送する。IP網インタフェース108は、発話元からの音声データと宛先情報とをIPプロトコルパケットへ変換してIP網200へ送信する。IP電話210はこれを受信する。IP電話210のを利用する参加者は、音声として発話者からの発話内容を聞くことができるため、声色等により発話者を識別することが可能である。また、IP・PSTN識別部107は、アドレス情報が固定電話の電話番号であった場合、会議参加者毎の属性情報、アドレス情報、発話元参加者の識別情報501と元の音声データとをPSTN網インタフェース109へ転送する。PSTN網インタフェース109は、これをPSTN網300に収容されている固定電話301へ送信する。これを受信した固定電話301の利用者は、音声により誰の発話なのかを識別することが可能である(ステップ416)。
【0044】
(17)テキスト・電話会議システム100は、ステップ411、417による全ての参加者に対する処理の繰り返しを終了すると、次の発話を待ち、次の発話があればステップ401からの処理を繰り返す。
【0045】
前述した処理の例において、参加者からの発話が転送されてくる度に、会議制御部101が参加者データベース102を参照するとして説明しているが、本発明は、処理の開始時に、会議制御部101が会議参加者全員のデータを参加者データベース102から取得し、システムが有する図示しないメモリに予め保持しておくようにすることができる。このようにすることにより、テキスト・電話会議システム100が、複数の異なる会議を制御可能に構成されている場合に、参加者データベース102へのアクセス時の競合を回避することができ、また、参加者からの発話が転送されてくる度に、参加者データベース102を参照するよりも高速に参加者の情報にアクセスすることが可能となる。
【0046】
図7はPCを使用する参加者が複数である場合にトークンによる発話順序の制御動作を説明するシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。図7により説明するシーケンスは、PCを使用する参加者が複数おり、これらが同時に発話する状況を考慮したものである。音声の場合と異なり、テキストの入力には通常時間を要するため、テキストから音声への変換の際に複数人の発話が混在してしまうことが考えられるため、本発明の実施形態は、発話の混在を回避するために順序制御を行うこととしている。
【0047】
(1)いま、PC201を利用する参加者とPC202を利用する参加者とのそれぞれからテキストの入力による発話があったものとする。そして、PC201が、まず、テキスト・電話会議システム100に対してトークンの発行を要求すると、テキスト・電話会議システム100のトークン管理部103は、トークンの払い出し可能であればトークンを払い出し、PC201にトークンを返送する(ステップ701、702)。
【0048】
(2)次に、PC201に続いてPC202がトークンの発行を要求しても、テキスト会議システム100のトークン管理部103は、トークンの払い出しが不可能であるためトークンを払い出しを行わない。この場合、PC201による参加者は発話が可能であるが、PC202による参加者は発話を行うことができない(ステップ703)。
【0049】
(3)トークンを取得したPC201による参加者が発話すると、テキスト・電話会議システム100は、他の参加者にPC201による参加者の発話を転送する。この他の参加者へのPC201による参加者の発話の転送は、図4に示して説明したフローに従って行われる(ステップ704、705)。
【0050】
(4)PC201は、発話が完了するとトークンを開放して、テキスト・電話会議システム100にトークンを返す。テキスト・電話会議システム100は、トークン待ちをしているPC202にトークンを払い出す(ステップ706、707)。
【0051】
(5)テキスト・電話会議システム100からトークンを受け取ったPC202は、発話することができる。そして、PC202による参加者が発話すると、テキスト・電話会議システム100は、ステップ705での処理と同様に、他の参加者にこれを転送し、PC202は、発話が完了するとトークンをテキスト会議システム100に返す(ステップ708〜710)。
【0052】
本発明の実施形態では、前述したような処理を行うことにより、PCを使用する参加者同士で排他的に発話をすることが可能となり、PCを使用する参加者からのテキストが音声に変換されたときに、会話が混在してしまうことを回避させることができる。
【0053】
図8はトークン管理部103でのトークンの払い出しの処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0054】
(1)トークン管理部103は、処理を開始すると、まず、自トークン管理部103の状態をトークンありとして、次に、参加者からのメッセージを待つ(ステップ801〜803)。
【0055】
(2)トークン管理部103は、参加者からのメッセージを受信すると、メッセージ内容が、トークンの要求であるか、トークンの開放であるかを判定する(ステップ804、805)。
【0056】
(3)ステップ805の判定で、メッセージがトークンの要求であった場合、トークン管理部103は、トークンがあるか否かを判定し、トークンがあった場合、要求元参加者の識別情報を記憶し、トークンを払い出し、状態をトークンなしとし、ステップ803からの処理に戻って、参加者からのメッセージ待ちからの処理を繰り返す(ステップ806〜808)。
【0057】
(4)ステップ806の判定で、トークンがなかった場合、要求元参加者の識別情報を要求待ち参加者として記憶し、ステップ803からの処理に戻って、参加者からのメッセージ待ちからの処理を繰り返す(ステップ809)。
【0058】
(5)ステップ805の判定で、メッセージがトークンの開放であった場合、トークン管理部103は、解放されたトークンを持って自トークン管理部103の状態をトークンありとし、要求待ちの参加者がいるか否かを判定する(ステップ810、811)。
【0059】
(6)ステップ811の判定で、要求待ちの参加者があった場合、要求元参加者識別情報を記憶して、要求待ちであった要求元参加者にトークンを払い出し、要求待ち参加者情報を削除する。但し、要求待ち参加者が複数ある場合、例えば、要求を出した順に払い出す等とする。その後、自トークン管理部103の状態をトークンなしとする(ステップ812、813)。
【0060】
(7)ステップ811の判定で、要求待ちの参加者がいなかった場合、あるいは、ステップ813の処理の後、ステップ803からの処理に戻って、参加者からのメッセージ待ちからの処理を繰り返す。
【符号の説明】
【0061】
100 テキスト・電話会議システム
101 会議制御部
102 参加者データベース
103 トークン管理部
104 音声合成部
105 音声認識部
106 音源データベース
107 IP・PSTN識別部
108 IP網インタフェース
109 PSTN網インタフェース
200 IP網
201、202 PC
210 IP電話
300 PSTN網(公衆回線交換電話網)
301、302 固定電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキストを用いる参加と音声を用いる参加とが可能なテキスト・電話会議システムにおいて、
前記テキスト・電話会議システム全体を制御する会議制御手段と、会議加者毎のデータを保持した参加者データベースと、テキストを音声に変換する音声合成手段と、テキストによる参加者毎の音源の種類を保持した音源データベースと、音声をテキストに変換する音声認識手段とを備え、
前記会議制御手段は、参加者からの発話があると、前記参加者データベースを参照して、発話者以外の会議参加者が利用する機器がテキストによる発話を行うPCであるか、音声による発話を行うIP電話、固定電話のどれであるの区分を示した属性情報を取得し、テキストによる発話の場合、そのテキストデータを前記音声合成手段に渡すと共に、PCを用いる他の会議参加者のPCに元の発話者からのテキストデータを配信し、また、音声による発話の場合、その音声データを前記音声認識部に渡すと共に、IP電話、固定電話を用いる他の参加者の用いるIP電話、固定電話に元の発話者からの音声データを配信し、
前記音声合成手段は、前記音源データベースを参照して、発話者に対応した音源の種類を用いて、渡された発話者からのテキストデータを音声データに変換し、前記会議制御手段に、IP電話、固定電話を用いる参加者のIP電話、固定電話に変換した音声データを配信させ、
前記音声認識手段は、渡された発話者から音声データをテキストデータに変換し、前記会議制御手段に、PCを用いる会議参加者のPCに変換したテキストデータを配信させることを特徴とするテキスト・電話会議システム。
【請求項2】
請求項1記載のテキスト・電話会議システムにおいて、
前記PCを用いる会議参加者のPCへは、発信元参加者の氏名、役職名を示す識別情報を、発話元のテキストデータ及び発話元の音声データを変換したテキストデータに付加して配信することを特徴とするテキスト・電話会議システム。
【請求項3】
請求項1記載のテキスト・電話会議システムにおいて、
トークン管理手段をさらに備え、
前記トークン管理手段は、テキストによる発話を行う参加者のPCが複数ある場合、発話要求の順序に応じてトークンを払い出し、トークンを取得した参加者のPCからの発話を許容することを特徴とするテキスト・電話会議システム。
【請求項4】
テキストを用いる参加と音声を用いる参加とが可能なテキスト・電話会議システムにおける会議方法において、
前記テキスト・電話会議システムは、
参加者の発話があると、参加者データベースを参照して、発話者以外の会議参加者が利用する機器がテキストによる発話を行うPCであるか、音声による発話を行うIP電話、固定電話のどれであるの区分を示した属性情報を取得し、テキストによる発話の場合、そのテキストデータを、音声合成手段により、音源データベースからの発話者に対応した音源の種類を用いて、音声データに変換させ、IP電話、固定電話を用いる参加者のIP電話、固定電話に変換した音声データを配信すると共に、PCを用いる他の会議参加者のPCに元の発話者からのテキストデータを配信し、また、音声による発話の場合、その音声データを、前記音声認識手段により、テキストデータに変換させ、PCを用いる会議参加者のPCに変換したテキストデータを配信すると共に、IP電話、固定電話を用いる他の参加者の用いるIP電話、固定電話に元の発話者からの音声データを配信することを特徴とするテキスト・電話会議方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−257116(P2012−257116A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129450(P2011−129450)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】