説明

テスタ

【課題】テスタ本体を安定した箇所へ設置できない状況で、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定を行なうことが必要な場合、一人では測定できないため助けが必要となり、一人がテスタ本体を持ち、もう一人が両方のプローブを測定物へ当てて、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定を行なうこと必要となり、極めて不便である。本発明は、テスタ本体を安定設置して測定する場所がない場合でも、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定を行なうことが容易に行なえるようにするための技術を提供するものである。
【解決手段】テストリードを用いて測定物の電圧、電流、電気抵抗等を測定するテスタにおいて、テスタ本体の非磁性材で構成された裏壁の内側には、裏壁を通過する磁力によってテスタ本体を磁性体の他物に吸着保持する磁石を収納したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定物の電圧、電流、電気抵抗等を測定するテスタに関する。
【背景技術】
【0002】
測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定対称を切り替える測定切替スイッチ部及びデジタル表示面を具備するテスタ本体に対して、プローブケーブルを介して測定プローブを接続すると共に、表示駆動ケーブルを介してデジタル表示器を接続したテスタがある。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平05−249142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなテスタを用いて測定物の電圧、電流、電気抵抗等を測定する場合、テスタ本体を安定した箇所へ略水平に設置した状態で、一方の手で測定プローブの一方を持ち、他方の手で測定プローブの他方を持って、この両方のプローブを測定物へ当てて、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定を行なうのが一般的である。
【0004】
このため、テスタ本体を安定した箇所へ設置して測定することが必要であり、そのような設置場所があれば問題ないが、時としてそのような箇所場所がない状況で、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定を行なうことが必要な場合がある。その場合は、一人では測定できないため、助けが必要となり、一人がテスタ本体を持ち、もう一人が両方のプローブを測定物へ当てて、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定を行なうこと必要となり、極めて不便である。
【0005】
本発明は、テスタ本体を略水平に設置して測定する場所がない場合でも、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定を行なうことが容易に行なえるようにするための技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定対称を切り替えるスイッチ操作部、表示部、電気回路部を箱体に収めたテスタ本体から延びたテストリードを用いて測定物の電圧、電流、電気抵抗等を測定するテスタにおいて、前記テスタ本体の非磁性材で構成された裏壁の内側には、前記裏壁を通過する磁力によって前記テスタ本体を磁性体の他物に吸着保持する磁石を収納したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のテスタは、テスタ本体の裏壁は非磁性体で構成されていて、その裏壁の内側に裏壁を通過する磁力によってテスタ本体を磁性体の他物に吸着保持するように作用する磁石を収納したものである。これによって、テスタ本体を安定に設置して測定する場所がない場合でも、付近の磁性体の部分へテスタ本体を磁石によって吸着させれば、両方の手でもってテストリードを操作できるため、容易に測定ができることとなる。
【0008】
また、本発明では、磁石はテスタ本体の裏壁の外面に存在しないため、テスタの使用中や保管中等において磁石の磁力によって吸着される鉄粉等は、磁石に付着せず裏壁の外面に付着するため、磁石に付着した場合に比して、鉄粉等を拭き取りによる除去がし易くなり、掃除が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定対称を切り替えるスイッチ操作部、表示部、電気回路部を箱体に収めたテスタ本体から延びたテストリードを用いて測定物の電圧、電流、電気抵抗等を測定するテスタにおいて、前記テスタ本体の非磁性材で構成された裏壁の内側には、前記裏壁を通過する磁力によって前記テスタ本体を磁性体の他物に吸着保持する磁石を収納した構成であり、本発明の実施例を以下に記載する。
【実施例1】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明に係るテスタの正面図、図2は本発明に係るテスタの裏面図、図3は本発明に係るテスタの右側面図。図4は本発明に係るテストリードを引き出した状態のテスタの下側から見た斜視図である。
【0011】
本発明の実施形態を図に基づき説明する。本発明に係るテスタ1は、電気機器や電気部品等の測定物の電圧、電流、電気抵抗等を測定するものであり、測定対称を切り替えるスイッチ操作部3、表示部4、電気回路部5を箱体6に収めたテスタ本体2と、テスタ本体2から延びたテストリード7等を備えている。表示部4には電圧、電流、電気抵抗等の値を示す弧状配置の目盛部4Bと、その下側内部に収納した計器部(図示せず)の作動によって左右に弧状に振れる指針4Aが設けられている。このため、測定に応じてこの計器部が作動して指針4Aが振れて、そのときの測定値を目盛部4Bで指し示す。この場合、周囲の磁界による誤作動がないようにするために、この計器部と指針4Aは非磁性材で構成されている。
【0012】
テストリード7は、テスタ本体2内の電気回路部5に接続された2本のリード線8A、8Bと、このリード線8A、8Bの先にそれぞれ接続された測定用プローブ9A、9Bとからなる。リード線8A、8Bは、電気回路部5に対して、取り外し自在に差し込まれる接続端子方式でもよいが、実施例のものは電気回路部5に対して半田付けやネジ止め等によって固定的に接続された状態であり、図4に示すように、テスタ本体2の下側側面から引き出された状態である。
【0013】
テスタ本体2は、表壁(又は表板)2Aと裏壁(又は裏板)2Bと中間周囲壁2Cとで構成され、正面視において表壁2Aと裏壁2Bは、四隅の部分が曲面(R)をなす略矩形をなす縦長形状の同じ平面積を有しているが、中間周囲壁2Cは表壁2Aと裏壁2Bの周縁よりも段差12をもって内側に入った位置に配置されており、テストリード7、即ち、2本のリード線8A、8Bとその先のプローブ9A、9Bが、表壁2Aと裏壁2Bの周縁より外側に出ない状態で、中間周囲壁2Cに巻きつけて収納される構成である。
【0014】
プローブ9A、9Bの直径はリード線8A、8Bの直径よりも大きいため、テスタ本体2の右側面にプローブ9A、9Bを収納するために、テスタ本体2の右側面における表壁2Aと裏壁2Bの周縁に対する中間周囲壁2Cの段差12を大きくして、プローブ9A、9Bが表壁2Aと裏壁2Bの周縁より外側に出ない状態で収納できるようにしている。そして、テスタ本体2の左側面、上側面、及び下側面の段差12は、テスタ本体2の右側面の段差12よりも小さく、リード線8A、8Bが表壁2Aと裏壁2Bの周縁より外側に出ない状態で収納できるようにしている。
【0015】
このようにして、図2に示すように、テスタ本体2の下側面の中間周囲壁2Cから引き出されたリード線8A、8Bを、テスタ本体2の左側面、上側面、及び右側面から下側面を巡って一周するように巻きつけた後、更に、左側面から上側面に沿って巻きつけ、プローブ9A、9Bをテスタ本体2の右側面に沿った配置状態に収納する。このプローブ9A、9Bの収納は、表壁2Aと裏壁2Bの周縁部に形成した切り欠き10A、10Bに、プローブ9A、9Bのそれぞれの鍔部11A、11Bを嵌合係止させることによって、テスタ本体2の右側面に沿ってプローブ9A、9Bが保持される。
【0016】
裏壁2Bの右側周縁部には弧状の切り欠き13を形成し、テスタ本体2の右側面に収納されたプローブ9A、9Bに、テスタ本体2の裏側から指が掛かるようにして、プローブ9A、9Bの取り外しを容易にしている。
【0017】
テスタ本体2の裏壁2Bの内側面には、上下位置の中間周囲壁2Cの内側に沿って、テスタ本体2内の上下位置に左右に長く配置されるように、磁石14を収納している。この磁石14は、裏壁2Bを通過する磁力によって、テスタ本体2を磁性体の他物に吸着保持する吸着力を持つ磁石であり、上部又は下部の磁石14一つの吸着力によって、その作用が達成できるものである。このため、裏壁2Bは、非磁性材で構成され、磁石14は、裏壁2Bの内側に接着又はその他の手段にて取り付けられる。
【0018】
テスタ本体2は、表壁(又は表板)2Aと裏壁(又は裏板)2Bと中間周囲壁2Cとを合成樹脂や金属の非磁性材で構成することもでき、また、表壁(又は表板)2Aと中間周囲壁2Cとを磁性材で構成し、裏壁(又は裏板)2Bを合成樹脂や金属の非磁性材で構成することもできる。
【0019】
このような構成によって、裏板2Bを通過する磁石14の磁力によって、テスタ本体2を磁性体の他物に吸着保持することができるため、テスタ本体2を安定に設置して測定するような場所がない場合でも、付近の磁性体の部分へテスタ本体2を磁石14によって吸着させれば、両方の手でもってテストリード7を操作できるため、容易に測定ができることとなる。
【0020】
また、磁石14はテスタ本体2の裏壁2Bの外面に存在しないため、テスタ1の使用中や保管中等において、磁石14の磁力によって吸着される鉄粉等は、磁石14に付着せず裏壁2Bの外面に付着するため、裏壁2Bの外面を布などによって拭き取ることによって鉄粉等を拭き取り除去できる。このため、磁石14に鉄粉等が付着した場合に比して、鉄粉等の拭き取りによる除去がし易くなり、掃除が容易となる。裏壁2Bの外面が略平坦面であればなお好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々の変更が考えられ、それに係る種々の実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るテスタの正面図である。(実施例1)
【図2】本発明に係るテスタの裏面図である。(実施例1)
【図3】本発明に係るテスタの右側面図である。(実施例1)
【図4】本発明に係るテストリードを引き出した状態のテスタの下側から見た斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0023】
1・・・・テスタ
2・・・・テスタ本体
2A・・・テスタ本体の表壁(表板)
2・・・・テスタ本体の裏壁(裏板)
2・・・・テスタ本体の周囲壁
3・・・・スイッチ操作部
4・・・・表示部
5・・・・電気回路部
6・・・・箱体
7・・・・テストリード
8A、8B・・・・リード線
9A、9B・・・・プローブ
10A、10B・・切り欠き
11A、11B・・鍔部
12・・・段差
13・・・切り欠き
14・・・磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定物の電圧、電流、電気抵抗等の測定対称を切り替えるスイッチ操作部、表示部、電気回路部を箱体に収めたテスタ本体から延びたテストリードを用いて測定物の電圧、電流、電気抵抗等を測定するテスタにおいて、前記テスタ本体の非磁性材で構成された裏壁の内側には、前記裏壁を通過する磁力によって前記テスタ本体を磁性体の他物に吸着保持する磁石を収納したことを特徴とするテスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−64611(P2008−64611A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242988(P2006−242988)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(596163264)株式会社カスタム (1)
【Fターム(参考)】