説明

テストエレメント上でのサンプルの分析方法および分析システム

【課題】テストエレメントの分析領域が、テストエレメント容器中の分析ユニットに対する分析位置中に位置決めされているかどうかをモニタリングする。
【解決手段】モニタリングが、少なくとも1つの光源からの光で前記分析領域を照射する工程と、前記分析領域で散乱されたまたは反射された光を、検出信号を得るための検出器により検出する工程と、前記検出信号を、評価ユニットにより評価する工程とからなることを特徴とする。前記テストエレメントと前記検出器のあいだに配置された透光性領域の区切りを、光不透明領域を持つ区切りエレメントによって行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析システム中のテストエレメント上でのサンプルの分析方法に関するものであり、特に、テストストリップ上で体液中のグルコースの濃度を測定する分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サンプル、たとえば血液または尿等の体液を分析するためには、分析されるサンプルが、テストエレメント上に置かれまた分析前に前記テストエレメント上に、適当であれば、一つ以上の試薬とテストフィールドで反応するという分析システムを使用することが、普通である。テストエレメントの光学的、特に測光的かつ電気化学的評価は、サンプル中の検体の濃度を迅速に求めるために最も普通に使用されている方法である。サンプル分析用のテストエレメントを用いた分析システムは、分析分野、環境分析および主として医療診断分野において、一般的に使用されている。測光的にまたは電気化学的に評価されるテストエレメントは、特に毛細血管から血糖診断分野において、大いなる価値がある。
【0003】
多くの形式のテストエレメントがある。たとえば、スライドとも呼ばれている実質的に正方形の小さなシートが知られており、そのスライドの真中には、多層テストフィールドがある。ストリップ形状をしている診断用テストエレメントは、テストストリップと呼ばれている。テストエレメントは、たとえば文献DE−A19753847、EP−A0821233、EP−A0821234またはWO97/02487中の先行技術中に総括的に記載されている。
【0004】
サンプルが、サンプル適用部位へ適用されかつサンプル適用部位から離れて分析領域(テストフィールド)中に、毛細管力により移送されるというテストエレメントは、先行技術で公知である。そのようなテストエレメントは、たとえば、DE19753847A1の主題である。
【0005】
テストエレメント上でのサンプルの分析検査に対して、測定位置にテストエレメントを置くためのテストエレメント容器と測定を行い、またこれに基づいて分析結果を求めるための測定評価装置を含んだテストエレメント分析システムが、先行技術で公知である。
【0006】
WO00/19185は、
少なくとも1つの第1光源および1つの第2光源を持つ照明ユニットと、
検出ゾーンが照明ユニットに対向して置かれるような方法で、検出ゾーンを持ったテストエレメントを受け取るための台板と、
検出ゾーンにより反射されまたは検出ゾーンを経由して移送される光を検出する少なくとも1つの検出器を持つ検出ユニットと、
前記2つの光源を作動させかつ検出信号として検出ユニットによって発生した信号を記録する制御ユニットと、
サンプル中に含まれる検体濃度を求めるために、検出信号を評価する評価ユニットとからなるテストエレメントの測光的評価用装置に関するものである。
【0007】
前記テストエレメントを評価位置に載せるために、この位置決め装置は、底に向けて円錐形に傾斜する端末を持った移動可能に設けられたピンを持っている。適当な位置に設けられると、このピンの先端は、テストエレメントのリセス(凹所)に移動され、その結果、テストエレメントは、固定されかつ縦軸方向に位置決めされる。前記ピンは、テストエレメントの存在またはその位置決めを電気的信号で送る働きをすることができる。この目的のために、前記ピンは、電気伝導性方法で具現化されまたたとえば、前記ピンに対して装置の反対側に、コンタクトが設けられる。テストエレメントが無いときには、前記ピンは、バネによりコンタクトに対して押し付けられ、またこれらの2つのエレメント間には電気的接触が作られる。テストエレメントが、挿入されると、それはピンとコンタクトのあいだにそれ自身を押し付けて、その結果、電気的接触が取り消される。しかし、さらにテストエレメントが押されて、溝を経由してテストエレメントに噛み合いまた電気的接触が、再び閉じられる。前記接触は、たとえば、ピンの横型片持ち梁により作動することも出来る。
【0008】
多くの公知の分析システムにおいて、評価ユニットに対するテストエレメントの位置づけは、特にテストエレメントの光学的評価の場合に、決定的な意味を持つ。光学的評価システムに関してテストエレメントの分析領域を相対的に位置決めすることは、分析領域におけるサンプル分析に対して行われる測定の精度および正確さに対して、決定的に重要である。
【0009】
正確な位置決めを確保するために、多くの解が、先行技術で提供されている。WO00/19185A1に従った台板は、ピンが、テストエレメント中のリセス中に噛み込む結果として、縦方向(X方向)におけるテストエレメントの位置決めを確保している。横方向(Y方向)に位置決めするために、前記台板は、ガイドエレメントを持っている。しかしながら、この台板および分析システムでのテストエレメントに対する他の台板において、分析領域(Z方向)関して垂直方向における不正確な位置決めは、排除することが出来ない。例として、ユーザーが、ピンから離れた側でテストエレメントを挙げる事が出来るために、分析システムの分析ユニットに対する分析領域の位置決めが変化して、そのために、分析結果の間違いが多くなる。たとえば、一方の端では、リセスと噛み合い、テストエレメントの他端ではテストエレメント表面に載っている押し下げ装置に噛み合っているピンにより、ストリップタイプのテストエレメントの両端において搭載する場合においてさえ、Z方向の分析領域の不正な位置は、前記テストエレメントが、2つの保持エレメントのあいだに曲げられる場合には起こりうる。従って、テストエレメント上のサンプルの分析用分析システムは、分析システムによる間違った分析結果の指示を避けるために、Z方向でのそのような不正な位置決めを同定可能でなければならない。
【0010】
DE19932846A1は、流体、テストストリップのテストフィールドへ適用されて調べられる流体中の物質ならびに検出されかつ評価されるテストフィールドの反射率または透過率における生じた変化を測定するための測定器中での光学的に評価可能なテストストリップの不正な位置決めを同定する方法を記述している。この場合、測定機器中のテストストリップのテストフィールドに割り当てられる測定フィールドは、テストストリップが測定機器中に挿入される方向で、順に配列され、かつ別個にスキャンされる少なくとも二つの領域に分けられる。前記テストストリップは、少なくとも挿入方向におけるテストフィールドの上流側での挿入方向に互いに後に続く異なる反射率または透過率のゾーンを持っている。前記2つの測定領域に対して得られた測定値間での差が、形成されまた所定の閾値と比較される。閾値を越えた場合には、不正な位置を示す信号が発生する。しかし、この方法は、X方向またはY方向における不正な位置決めを同定するためにのみ役立つ。
【0011】
EP1213579A2は、分析ユニットを用いてテストエレメントの評価をすることによりサンプル流体の分析をシステムに関するものであり、テストエレメントは、分析位置にある台板により、分析ユニットに対して位置決めされ、また前記システムは、さらに、テストエレメントの分析領域が、分析ユニットに関して正しく位置決めされるかどうかモニタリングする為の位置モニタリングユニットを含んでいる。前記位置モニタリングユニットは、テストエレメントの領域、好ましくは分析領域を照射する光源と、前記領域により反射される光を検出するための検出器と評価ユニットとを含む。この場合光源および検出器は、テストエレメントの正しい位置決めの場合での検出器においての特に反射された放射の光強度が、不正な位置決めの場合の光強度とは異なり、また前記評価ユニットは、検出器における光強度の理由によって起こりうる不正な位置決めを同定するという方法で、互いに対して位置決めされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、分析システム中のテストエレメント上でのサンプル分析方法および先行技術の欠点を避ける分析テストエレメント上でのサンプル分析用の分析システムを提供することである。特に、本発明による方法および本発明による分析システムの場合に、意図は、Z方向でのテストエレメントの分析領域の不正な位置決めを同定することである。さらに、本発明による方法および本発明による分析システムは、特に分析システムのテストエレメント容器中のZ方向へのテストエレメントを曲げる場合に、EP1213579A2に従ったシステムと方法と比較することにより、Z方向での不正な位置決めに対してより敏感に反応するように意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的は、
テストエレメントの分析領域が、テストエレメント容器中の分析ユニットに対する分析位置中に置かれているかどうかをモニタリングすることからなり、前記モニタリングが、
少なくとも1つの光源からの光で前記分析領域を照射する工程と、
前記分析領域で散乱されたまたは反射された光を、検出信号を得るための検出器により検出する工程と、
前記検出信号を、評価ユニットにより評価する工程とからなることを特徴とする、テストエレメント容器および分析ユニットを持っている分析システムのテストエレメント上でのサンプル分析方法による本発明により達成される。
さらに、前記テストエレメントと前記検出器のあいだに配置された透光性領域を、光不透明領域を持つ区切りエレメントによって区切りを行い、前記区切りエレメントは、前記テストエレメント容器中のZ方向で不正な位置に配置されるテストエレメントの分析領域において散乱されまたは反射された光が、前記光不透明領域上で原則的に衝突しかつ前記検出器到達しないという方法で、前記光源および前記検出器に対して位置決めされる。前記検出器の前記検出信号は、制限値が目的値に達しない場合には、Z方向の不正な位置を確かめるための少なくとも1つの所定の制限値と比較される。
【0014】
この場合、分析システムのテストエレメント容器は、テストエレメント上でのサンプル分析の間前記テストエレメントを受け取りまた台板として働くその部分である。前記分析ユニットは、テストエレメント容器中でテストエレメントの分析用に役立つ分析システムの部品部分、特にテストエレメントの分析領域を照射することによる分析および反射されまたは伝達された放射の評価を達成する光学的測定装置である。
【0015】
本発明による方法は、サンプル分析用に設けられまたテストエレメント容器中に配列されているテストエレメントを用いて行われる。この目的のために、分析ユニットに対して、テストエレメントを、手動でまたは自動でテストエレメント容器中に位置決めしてきた。本発明によれば、テストエレメントの分析領域が、分析ユニットに対する分析位置に、位置決めされるかどうかを確かめるために、モニタリングを行う。この場合、分析位置は、テストエレメントの分析領域中のサンプル分析を行うために設けられているテストエレメント容器中のテストエレメントのその位置である。従って、それは、Z方向には分析領域の不正な位置決めは、まったく無いという、特に分析ユニットに対して、X方向、Y方向およびZ方向における分析領域の不正な位置決めは、まったく無いというテストエレメント容器中のテストエレメントの位置そのものである。
【0016】
本発明にかかわる分析領域は、サンプルが分析されるテストエレメントの領域である。好ましくは、前記領域は、サンプル中に含まれている検体と反応しまたそれにより、検出可能な変化を引き起こす試薬システムを含んでいる。前記分析に対しては、サンプルを分析領域に接触させ、前記サンプルを、たとえば、毛細管ギャップにより、サンプル適用位置から分析領域に向けて移送する。
【0017】
本発明によれば、テストエレメントの分析領域が、テストエレメント容器中の分析ユニットに対する分析位置中に位置決めされているかどうかをモニタリングすることは、
少なくとも1つの光源からの光で前記分析領域を照射する工程と、
前記分析領域で散乱されたまたは反射された光を、検出信号を得るための検出器により検出する工程と、
分析結果を得るために、前記検出信号を、評価ユニットにより評価する工程とからなる。
【0018】
本発明における光源は、たとえば白熱灯などの実質的に連続発光スペクトル持つ光源ならびにたとえば発光ダイオードなどのいわゆるバンドスペクトルを持つ光源である。特に、発光ダイオードは、バッテリーで駆動する機器に対して重要な相対的に高い効率を持っているために、携帯型分析システムに使用するために適している。さらに、発光ダイオードは、可視光領域においてまた赤外領域においても一連の波長範囲に対して得られる。好ましくは、本発明に対しては、使用は、光が検体と反応した後、分析領域によって大いに吸収される波長範囲にある放射の主要な部分を発光する光源と見なされている。一例として、レーザーダイオードは、光源として使用可能である。本発明においては、光源は、好ましくは連続的に作動され、光源が作動される時間の、0.5秒未満の時間周期であることが好ましい。
【0019】
ホトダイオード、ホトトランジスタまたは光起電力エレメントなどの先行技術で公知の半導体部品は、本発明中では、検出器として使用されることが好ましい。
【0020】
本発明においては、区切りエレメントは、分析領域で散乱されまたは反射された光が、検出器まで通過できる透光性領域を区切る。この場合、Z方向での分析領域の不正な位置決めの場合には、テストエレメントの分析領域において散乱されまたは反射される光源からの光は、原則的には前記区切りエレメントの光不透明領域上で衝突するという方法で、前記区切りエレメントは、光源および検出器に対して位置決めされる。結果として、散乱されまたは反射された光の主な部分は、それが、検出器に衝突しないという方法で、光不透明領域によってブロックされる。従って、Z方向での分析領域の不正な位置決めの場合には、検出器の検出信号は、定められた制限値以下になる。従って、少なくとも1つの所定の制限値を持った検出信号は、前記制限信号が目標に達しない場合に、同定できる。
【0021】
本発明によれば、分析領域で散乱されまたは反射された光は、検出信号を得るために、検出器により検出される。本発明に関連して、散乱されまたは反射された光は、散乱されまたは分散して反射された光に関することが好ましく、特に散乱されまたは分散して反射されたまたは正常に反射された光に関することが好ましい。この場合、反射は、それが、二つの媒体間の界面で衝突するとき、光の逆流である。散乱は、ある媒体中を光が通過するとき、小さな粒子により生じる偏向である。分散反射の場合には、入射する(特に、方向性をもった方法で)光は、多くの方向で散乱される方法で、放射戻りをされる。反射率の法則は、正常反射(正常、方向性、正反射性)に対しては、真である。本発明による方法において、分析領域が、分析位置に位置決めされているかどうかをモニタリングするために、検出器は、分析領域で反射された光、分析領域において分散して反射された光、または分析領域で散乱された光および分析領域で分散して反射された光、特に好ましくは、散乱された光を検出する。
【0022】
本発明においては、たとえば、光学的分析システム中に存在する光学窓の光不透明性フレーミング(framing)は、区切りエレメントとしての働きをする。
【0023】
本発明による方法は、テストエレメントの分析領域の不正位置決めが、分析結果の間違いが多くなる分析システムで使用されることが好ましい。特に、これらは、サンプルの測光的分析用光学測定システムである。本発明による方法は、男女の患者が操作できる相対的に小さな分析システムに使用されることが好ましい。このようなシステムは、EP−B0618443中の例に対して記載されている。本発明は、その縦軸に沿って曲げられまたたとえば、リセス中に噛み合せるピンおよび、適切ならば、テストエレメント表面に載っている押し下げ装置により、片端のみまたは両端で搭載されるテストエレメントが、使用されるそれらのシステムに対して、特に重要である。
【0024】
本発明においては、区切りエレメントの使用は、Z方向で不正に位置決めされるテストエレメントの分析領域において散乱されまたは反射された光強度の著しい削減という有意義な結果となり、その結果、前記不正位置決めは、得られた検出信号をベースとして、高い信頼性を持って同定できる。
【0025】
さらに、本発明は、分析ユニットと、前記分析ユニットに対してテストエレメント容器中に置かれて分析されるテストエレメントを持つ分析テストエレメント上でのサンプル分析システムに関する。前記分析システムは、テストエレメントの分析領域が、テストエレメント容器中の分析ユニットに対する分析位置中に置かれているかどうかをモニタリングするためのモニタリングユニットを持つテストエレメントと、光を用いて前記分析領域を照射するための少なくとも1つの光源を含むモニタリングユニットと、検出信号を得るために前記分析領域で散乱されたまたは反射された光を検出するための検出器と、評価ユニットとを持っている。区切りエレメントが、前記テストエレメント容器中に配置されたテストエレメントと前記検出器のあいだに配置され、前記区切りエレメントは、光不透明領域を持っている。前記区切りエレメントは、前記テストエレメント容器中のZ方向で不正な位置に配置されるテストエレメントの分析領域において散乱されまたは反射された光が、前記光不透明領域上で原則的に衝突しかつ前記検出器に到達しないという方法で、前記光源および前記検出器に対して位置づけられている。前記評価ユニットは、少なくとも1つの所定の制限値と前記検出信号を比較することにより、制限値が目的値に達しない場合には、Z方向の分析領域の不正な位置を同定する比較ユニットを含んでいる。本発明による前記分析システムは、特に本発明による方法を行うために使用できる。
【0026】
前記モニタリングユニットは、分析システムの分析ユニットに対応しても良い。この場合、少なくとも1つの光源および検出器は、分析領域の位置決めモニタリング用におよび分析領域中のサンプル分析用の両方に使用される。しかし、別のモニタリングユニットおよび分析ユニットが、本発明による分析システム中に存在しても良い。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、Z方向でのテストエレメントの分析領域の不正な位置決めの場合での検出信号に対して、相対的反射率に対する制限値、好ましくは、第2光源(たとえば、分析光源およびモニタリング光源)の相対的反射率間の差に対する制限値をあらかじめ定める。この場合、相対的反射率(ダミー値)は、サンプルの無い分析位置中で位置決めされたテストエレメントの分析領域の散乱反射(または、分散反射)された光(特に、分散反射された光)の強度と、テストエレメント容器中の分析位置に位置決めされているかどうかをモニタリングするときに検出器により検出される光の強度との比である。ダミー値測定は、サンプルの適用前に測定をスタートさせて求めるのが好ましい。前記ダミー値測定の際に、もしテストエレメントが、既にZ方向にずれているときには、この不正位置決めも、本発明による方法により(たとえば、本発明による分析システムにより)同定できる。
【0028】
本発明の一つの好ましい実施形態にしたがって、テストエレメント容器中での分析位置に位置決めされたテストエレメント上のサンプル分析は、
少なくとも1つの光源からの光で前記分析領域を照射する工程と、
前記分析領域で散乱されたまたは反射された光を、検出信号を得るための検出器により検出する工程と、
分析結果を得るために、前記検出信号を、評価ユニットにより評価する工程とからなる。
【0029】
この分析は、本発明による分析システムの分析ユニットにより行われる。これは、測光分析を含み、それは、分析領域に含まれる試薬とサンプル中の検体との反応の結果として、分析領域で散乱されたまたは反射された(特に、散乱されたまたは分散して反射された)光の光強度が、サンプル中の検体濃度に依存した測定可能な変化を経験するという事実に基づいている。この場合、サンプル分析用に使用される光源は、テストエレメントの位置決めをモニタリングするために使用される光源と同一であっても良い。しかし、サンプルを分析するために使用されるさらなる光源を使用しても良い。検出信号は、分析領域で散乱されたまたは(分散して)反射されかつもしテストエレメントが、正しい分析位置中の分析システムのテストエレメント容器中に位置決めされると、区切りエレメントの光透過性領域を経由して通過する放射から生じる。
【0030】
テストエレメントの分析領域が分析位置中におよびサンプル分析のために位置決めされているかどうかをモニタリングするために、同一の検出器が使用される。
【0031】
本発明の一つの好ましい実施形態にしたがって、サンプル分析が、
a)テストエレメントの分析領域が、前記テストエレメント容器中での分析位置に位置決めされているかどうかをモニタリングする工程と、
b)前記分析領域中での光度測定により検出可能な変化を得るために、サンプルを前記分析領域に接触させる工程と、
c)前記分析領域の第1ゾーンを照射するために、前記分析ユニットの第1分析光源の作動を行いまた前記分析領域により散乱されるまたは反射される光を、第1分析信号を得るために検出する工程と、
d)第1ゾーンに対して相殺する方法で配置される前記分析領域の第2ゾーンを照射するために、前記分析ユニットの第2分析光源を作動させまた前記分析領域により散乱されるまたは反射される光を、第2分析信号を得るために検出する工程と、
e)比較結果を得るための評価ユニットにより、第1分析信号および第2分析信号を比較し、また第1分析信号または第2分析信号の評価によりサンプル中に含まれる検体濃度を求めるために、評価結果に基づいて、第1分析信号または第2分析信号を選択する工程を含む。
【0032】
前記方法は、工程a)の前に手動でまたは自動で行うことが出来る更なる工程a0)テストエレメント容器中にテストエレメントを導入することを含むことが好ましい。
【0033】
前記工程の順序は、本方法においては、この順に固定されてはいない。たとえば、工程a)は、時間的に後の時点で実行してもよい。さらに、この工程を多数回行うことも出来る。工程b)も、工程a0)の前にまたは工程a)の前に実行してもよい。
【0034】
二つの分析光源により照射される分析領域の二つのゾーンは、それらが部分的にオーバーラップし、または分析領域で互いに別々になるように配置することが出来る。たとえば、Y方向に互いに沿って並んでいる分析領域のゾーンは、二つの分析光源により照らされる。二つの分析光源の助けを借りて行われる前記方法は、サンプル中の検体濃度の評価により適したゾーンを、分析領域中で選択する働きをする。
【0035】
たとえば、分析領域において、測光的に検出可能な変化によって、大きな程度に減衰された分析信号が、サンプルの分析に選択される。この方法は、分析結果が、分析領域上に完全に存在しているゾーンから発している信号から得られることを確かなものとするために行われる。そのような方法は、たとえばWO00/19185A1中に記述されており、本発明は、表現的にはこれを参照している。
【0036】
本発明の一つの好ましい実施形態にしたがって、本発明による前記方法は、
i)前記テストエレメントのサンプル適用位置にサンプルを適用する工程と、
ii)前記分析領域の第1部分領域を照射するために、少なくとも1つの分析光源を作動させまた検出信号を得るための検出器により、前記分析領域により散乱されるまたは反射される光を検出する工程と、
iii)前記分析領域の第2部分領域を照射するために、モニタリング光源の作動を行いまた前記分析領域により散乱されるまたは反射される光を、第2検出信号を得るための検出器により検出する工程と、
iv)第2検出信号マイナス第1検出信号から求められる差の値を、所定の第1の差の値が越えている場合に、サンプルの不充分な投与量を同定するための評価ユニットにより、所定の第1の差の値とを比較する工程を含む。
【0037】
勿論、工程iii)および工程ii)も、逆の順序で行うことが出来る。サンプルの不充分な投与を同定するためのそのような方法は、たとえば、EP0819943A2中に記載されており、ここでは、本発明は、表現的には、それを参照している。第1および第2部分領域は、互いに離れたまたは完全には重ならない分析領域の部分領域である。
【0038】
サンプルは、好ましくは、最初は分析領域の第一部分領域にまたその後、第二部分領域に到達する方法で、サンプルが、適用後分析領域中のサンプル適用位置に広がっていく。不充分な投与量の場合、たとえば、サンプルは、分析領域の第二部分領域には、まったく到達せず、または部分的にのみ到達し、その結果、所定の第一差の値を越える第2検出信号マイナス第1検出信号から求められる差の値が生じる。このことは、第二部分領域においては、散乱能力または反射率は、第一部分領域中の場合である程度までは、サンプルによって減少されないという事実から生じている。もし過度に少量のサンプルをテストエレメントに適用すると、そのときには、前記評価は、分析領域が特定量のサンプルで充分にカバーされていることを常に仮定しているから、このことは、間違いの多い分析結果を招くことになる。
【0039】
本発明の一つの好ましい実施形態にしたがって、本発明による前記方法は、
i)前記テストエレメントのサンプル適用位置にサンプルを適用する工程と、
ii)前記分析領域の第1部分領域を照射するために、少なくとも1つの分析光源を作動させまた検出信号を得るための検出器により、前記分析領域により散乱されるまたは反射される光を検出する工程と、
iii)前記分析領域の第2部分領域を照射するために、モニタリング光源の作動を行いまた前記分析領域により散乱されるまたは反射される光を、第2検出信号を得るための検出器により検出する工程と、
iv)テストエレメント容器中のZ方向での不正な位置を同定するために、第2検出信号マイナス第1検出信号から求められる差の値を、所定の第2差の値と比較する工程とを含む。
【0040】
工程iii)および工程ii)も、逆の順序で行うことが出来る。単独で、または上述した不充分な投与量でのモニタリングと組み合わせて行うことも出来るこの方法においては、第一検出信号および第二検出信号は、テストエレメント容器中のZ方向での分析領域の不正な位置を同定するための評価ユニットによって、比較される。そのような不正な位置は、第2検出信号マイナス第1検出信号から形成される所定の第二の差の値が、目標に達しない場合に同定される。この場合、Z方向で不正な位置に配置される分析領域において散乱されまたは反射されたモニタリング光源からの光が、前記区切りエレメントの前記光不透明領域上で原則的に衝突しかつZ方向で不正な位置に配置される分析領域において散乱されまたは反射された分析光源からの光が、前記透光領域上で原則的に衝突するという方法で、区切りエレメントは、位置決めされる。結果として、Z方向でのテストエレメントの分析領域の不正な位置決めの場合には、分析領域において散乱されまたは反射されたモニタリング光源からの光が、それが検出器に到達しないという方法で、前記光不透明領域によってブロックされる。それに反して、Z方向での不正な位置決めにもかかわらず、分析領域において散乱されまたは反射されたモニタリング光源からの光が、前記区切りエレメントの透光領域上で原則的に衝突しかつ前記領域を経由して、検出器に向けて通過する。このことから、不正な位置決めの結果として、第一検出信号は、実質的には変化せずに残るが、第二検出信号は、当然減少することになり、その結果、第2検出信号マイナス第1検出信号から形成される所定の第2の差の値は、求められた差の値によって、目標を達せず、それから、Z方向で分析領域の不正な位置を同定できる。この方法の利点は、適当であれば、不充分投与同定に対して既に存在する分析光源およびモニタリング光源、ならびに前記光源による二つの部分領域の照射から生じる検出器の検出信号を、不充分投与モニタリングのみならず、Z方向での分析領域の位置のモニタリング用に、使用できる。従って、評価ユニットの比較ユニットを対応してプログラム作成することのみが、必要であり、その結果、検出信号差と所定の第2の差の値との比較が行われる(検出信号差と所定の第1の差の値との比較に追加して、または代替として)。
【0041】
本発明において、少なくとも1つの分析光源およびモニタリング光源は、連続して作動されていることが好ましい。さらに、モニタリング光源は、分析領域中のサンプルの存在を同定するために使用することができ、またその目的のために、第二領域の照射のためのモニタリング光源の作動ならびに第二領域(ダミー値との比較)により散乱されるまたは反射される光中の変化の検出が可能になる。この方法で分析領域中のサンプルの存在を同定するとすぐに、たとえば、テストエレメントの正確な位置決めのための、サンプルを分析するための、および/または不充分投与モニタリングのための種々の測定を、使用する分析システム中で自動的に開始することが出来る。
【0042】
本発明の一つの好ましい実施形態にしたがって、本発明による前記方法は、次の工程の1つまたはそれ以上を含む。
1.ダミー値測定(第一分析光源、第二分析光源および/またはモニタリング光源からの、分析領域により散乱されるまたは反射される光の検出。テストエレメント上にはサンプルは、存在しない)
2.湿潤同定(サンプルの存在を同定するために、分析領域により散乱されるまたは反射されるモニタリング光源からの光中の変化の検出)
3.待ち時間(サンプルの存在を同定後、分析領域中のサンプルの分布を確実にするために、特定の時間が経過する間待機)
4.反応速度測定(サンプルからの検体と分析領域中に含まれる試薬との反応のあいだでの、第一分析光源および/または第二分析光源からの、分析領域により散乱されるまたは反射される光の検出)
5.第一分析光源または第二分析光源の1つから分析領域の適当な選択稼動か(分析領域において散乱されるまたは反射される選択された分析光源からの検出光から生じる分析信号が、特にサンプル中に含まれる検体濃度を求めるために、サンプルの分析に使用される)
6.不充分投与モニタリング(分析光源およびモニタリング光源からの散乱されるまたは反射される光から生じる第一検出信号および第二検出信号それぞれを比較することにより、第2検出信号マイナス第1検出信号から形成される所定の第1の差の値を越えている場合に、サンプルの不充分な投与量を同定する)
7.テストエレメント容器中のZ方向でのテストエレメントの分析領域の位置決めのモニタリング(もし、所定の第2の差の値が目標を達成しない場合に、分析光源およびモニタリング光源からの散乱されるまたは反射される光から生じる第一検出信号および第二検出信号それぞれを、Z方向での分析領域の不正な位置を同定するための第2の差の値と比較すること)。
【0043】
この方法の7項目の記述工程の順序は、この場合変更出来る。例として、位置決めモニタリング工程7を、ダミー値測定工程1後、湿潤同定工程2後、待機工程3後、反応速度測定工程4後、選択工程5後、不充分投与モニタリング工程6後または複数の前記工程の後に行うことが出来る。
【0044】
前記反応速度測定は、分析領域中に含まれる試薬とサンプル中に含まれる検体の反応が、終了したときを同定可能にするために使用される。検出器の検出値の充分な安定性は、この場合終了基準と定義される。
【0045】
さらに、本発明は、前記テストエレメント容器中でテストエレメントの分析領域の第1部分領域を照射するための分析光源と、テストエレメントの分析領域の第2部分領域を照射するためのモニタリング光源と、それぞれ第1検出信号および第2検出信号を得るために、分析光源とモニタリング光源から、分析領域により散乱されまたは反射される光を検出するための少なくとも1つの検出器を含み、
前記区切りエレメントは、Z方向で不正な位置に配置される分析領域において散乱されまたは反射されたモニタリング光源からの光が、区切りエレメントの前記光不透明領域上で原則的に衝突しかつZ方向で不正な位置に配置される分析領域において散乱されまたは反射された分析光源からの光が、区切りエレメントの透光領域上で原則的に衝突するという方法で、位置決めされ、前記評価ユニットは、第2検出信号マイナス第1検出信号から形成される所定の差の値が、目標を達成しない場合には、前記テストエレメント容器中のZ方向で、分析領域の不正な位置を同定する比較ユニットを含んでいる。区切りエレメントの値凹する配置は、透光領域と光不透明領域のあいだの境界コースを、とりわけ、分析領域の照らされた部分領域の空間と、またZ方向での最大可能な不正確な位置決めと合わせることにより、達成されるであろう。
【0046】
テストエレメント容器中Z方向でのテストエレメントの分析領域の不正確な位置決めが、本発明による方法によりまたは本発明による分析システムによって同定される場合には、そのときは、前記分析システムは、光学的、音響のまたは触覚のエラーメッセージを出力し、その結果、ユーザーは、不正な位置決めを修正できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明を、図面を参照し、以下詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明による方法または本発明による分析システムに使用できるストリップタイプのテストエレメントを示す。
【0049】
テストエレメント1は、サンプル分析用の働きをする分析領域2を含んでいる。さらに、テストエレメント1は、前記テストエレメントは、リセス3を含んでおり、その中には、分析システムのピンが、前記分析システムのテストエレメント容器中のX方向およびY方向において、テストエレメント1を位置決めしかつ固定するために、噛み合うことが出来る。
【0050】
第一ゾーン4は、テストエレメント1の分析領域2中に描かれており、前記第一ゾーンは、第一分析光源(LED1A)により照らされる。第二ゾーン5は、さらに分析領域中にマークされ、また前記第二ゾーンは、第二分析光源(LED1B)からの光で照射される。前記第一ゾーン4および前記第二ゾーン5は、テストエレメント1のY方向で互いに沿って配置されている。前記第一ゾーン4または前記第二ゾーン5は、分析領域の第一部分領域6を表している。さらに、分析領域2の第二部分領域7は、モニタリング光源(LED2)により照らされる。第二部分領域7は、第一部分領域6よりもサンプル適用位置8からさらに離れている。サンプルが、サンプル適用位置8に適用された後、それは、好ましくは毛細管ギャップ(図示せず)によって、分析領域2に向けて移される。従って、サンプルは、第二ゾーン5の第一ゾーン一により形成される分析領域の第一部分領域6に到達する。その後、サンプルは、第二部分領域7に到達し、それは、モニタリング光源によって照射される。サンプルが、第二部分領域7に到達するとすぐに、散乱能力またはその反射率が変化して、その結果、第二部分領域7が、モニタリング光源で照射されるときに、第二部分領域7により散乱されるまたは反射される光の強度変化が、検出され、その結果、第二部分領域7および分析領域2中のサンプルの存在を、検出信号の変化に基づいて同定できる。
【0051】
分析システムのテストエレメント容器中でZ方向でのテストエレメント1の分析領域2の不正確な位置決めを同定するために、たとえば、二つの分析光源の一つが、分析領域2の第一部分領域6中の前記第一ゾーン4または前記第二ゾーン5を照射するために作動され、また第一検出信号を得るために、分析領域2により散乱されるまたは反射される光を、検出器によって検出する。その後、モニタリング光源が、分析領域2の第二部分領域7を照射するために、作動され、また第二検出信号を得るために、分析領域2により散乱されるまたは反射される光が、検出器により、適当ならば、同じ検出器により検出される。第一検出信号および第二検出信号が、続いて比較され、第二検出信号マイナス第一検出信号から、差の値が求められる。このことは、分析システムの評価ユニット内で行われる。所定の第2の差の値が、この求められた差の値によって目標を達成しない場合には、Z方向での分析領域2の不正な位置が、同定される(図の面に垂直)。このことは、前記区切りエレメントが、Z方向で不正な位置に配置される分析領域において散乱されまたは反射されたモニタリング光源からの光が、区切りエレメントの前記光不透明領域上で原則的に衝突しかつZ方向で不正な位置に配置される分析領域2において散乱されまたは反射された分析光源からの光が、区切りエレメントの透光領域上で原則的に衝突するという方法で、位置決めされているという事実から、追随している。従って、第二部分領域7中で散乱されるまたは反射されるモニタリング光源からの光が、区切りエレメントの光不透明領域によって検出器によりブロックされ、また第一部分領域6中で散乱されるまたは反射される分析光源からの光は、区切りエレメントの透光領域を経由して、検出器上に散乱されるまたは(好ましくは、分散して)反射される。このことは、大きく減少した第二検出信号と大きく一定の第一検出信号を生じることとなり、その結果、第二検出信号マイナス第一検出信号から形成される差の値は、所定の第2の差の値の目標を達成しない。従って、Z方向でのテストエレメント1の分析領域2の不正確な位置は、この比較により同定される。
【0052】
それに反して、第二検出信号マイナス第一検出信号から形成される差が、所定の第1の差の値を越えるとき、この場合には、第二検出信号は、第一検出信号よりも高く変わるから、サンプルの不充分投与は、同定される。
【0053】
図2Aは、分析位置に位置決めされたテストエレメントの分析領域を持った本発明による分析システムを示している。
【0054】
分析システム9は、光源11および検出器12を含む分析ユニット10を持っている。テストエレメント1は、テストエレメント容器13中に挿入され、前記テストエレメントは、ピン23によって、X方向およびY方向に位置決めされかつ固定され、ピンは、テストエレメント1においてリセス3中で噛み合う。図2Aにおいて、テストエレメント1は、分析位置に置かれている。この位置で、テストエレメント1および特にその分析領域2は、Z方向で分析ユニット10に対して正確に位置づけられている。光源11からの光は、区画テストエレメント15の透光性領域14を経由して、テストエレメント1の分析領域2へと通過する。この場合、透光領域14は、区切りエレメント15の光不透明領域16によって枠組みされた窓である。光源11からの光は、テストエレメント1の分析領域2において、散乱されまたは反射され、もう一度区切りエレメント15の透光領域14を経由して通過しまた散乱されるまたは(好ましくは分散して)反射される光の少なくとも1部は、検出信号を発生させるために検出器12に衝突する。
【0055】
図2B中に図示された分析システムは、同じ参照シンボルで示される図2Aに図示されたのと同じ構成部品を含んでいる。
【0056】
分析システム1は、力作用Fのために固定されているが、このように、Z方向での分析領域2の不正な位置決めを生じることになる。結果として、光源11によって発射されかつ区切りエレメント15の透光領域14を経由して通過する光は、分析領域2において散乱されまたは(好ましくは分散して)反射されるが、前記散乱されまたは反射される光は、区切りエレメント15の光不透明領域16のために、もはや検出器12に到達できない。従って、検出器12の検出信号の比較は、制限値は、目標を達成していないことを表しており、その結果、Z方向での分析領域2の不正な位置決めは、同定可能になる。
【0057】
図3は、分析領域の第二部分領域が、モニタリング光源により照射されまた分析領域の第一部分領域が、分析光源によって照射されるとき、検出される第二検出信号マイナス第一検出信号から形成されるグラフで示される差の値を示している。
【0058】
この場合、相対反射率間の差はY軸上にプロットされ、また測定の数はX軸上にプロットされる。曲がったテストストリップを持ったサンプルの無い測定(ダミー値測定)およびサンプル有りの測定を表している。測定1から6は、サンプルの無い分析位置で正しく位置決めされたテストエレメントの場合(ダミー値測定)に測定された相対的反射率の差
[△rR=rR(LED2)−rR(LED1)=rR(モニタリング光源)−rR(分析光源)]
を示している。この場合、LED2の相対的反射率は、LED1の相対的反射率よりいくらか小さくて、このようにして、相対的反射率間の差は、ほぼ−0.12になることが、認識される。この差は、とりわけ、異なった光学経路からまた二つの光源からの光の異なる波長から生じる。
【0059】
テストストリップが、曲げられる(測定7から9および11から12)場合、LED2の相対的反射率は、テストエレメントの分析領域において散乱されまたは反射される放射が、区切りエレメントによって検出器に対してブロックされているから、大きく減少する。それに反して、LED1の相対的反射率は、テストストリップの曲げによって、ほとんど影響されない。従って、相対的反射率間の差は、大いに減少して、ほぼ−0.6となる。従って、Z方向でのこのテストエレメントの分析領域の不正な位置決めは、もし相対的反射率のこの差を、たとえば、この測定された差信号により目的を達しない差の値の−0.3と比較した場合、同定できることになる。
【0060】
測定10の場合、テストストリップは、かなりの程度曲げられたので、それは、分析システム中のピンによって機械的固定を行いまた前記分析システムは、光スイッチの関連した開口部のおかげで、欠点を同定したし、従って、測定は行われない。
【0061】
測定13から17において、テストエレメントの分析領域は、底に含まれている検体の濃度によって、相対的反射率間の差に影響を与えるサンプルを含んでいた。この濃度依存性の理由のため、相対的反射率間の差は、ここでは、約−0.17である。しかしながら、これらの差の値は、テストストリップの屈曲から減少される差の値から、明確に未だ異なっている。
【0062】
図4は、本発明による分析システム中の区切りエレメントの配置を概略的に示している。
【0063】
この場合、前記分析システムは、モニタリング光源17と分析光源18を含んでおり、そこからの光は、レンズ19を経由しておよび区切りエレメント15の透光領域14を経由して、テストエレメント1の分析領域上に衝突する。ダイアフラム20は、光が、二つの光源17および18から直接検出器12上に放射されるのを防ぐために、二つの光源17および18および検出器のあいだに配置されている。分析システムのテストエレメント容器中に正しく位置決めされた分析領域21の場合に、分析光源18からの光は、分析領域2の第一部分的領域6上に衝突し、そこで散乱されまたは(好ましくは分散して)反射され、また部分的には、検出器12に到達する。モニタリング光源17からの光は、分析領域2の第二部分領域7上に衝突し、そこで散乱されまたは(好ましくは分散して)反射され、また同様に、部分的に検出器12上に衝突する。従って、得られる検出信号間の差は、所定の第二差の値の上にある。Z方向22での不正な位置における分析領域を持つテストエレメントの場合、分析光源18からの光は、第一部分的領域6上に衝突し、そこで散乱されまたは(好ましくは分散して)反射され、また部分的には、検出器12に通過する。モニタリング光源17からの光は、不正な位置22中の分析領域の第二部分領域7上に衝突し、そこで散乱されまたは(好ましくは分散して)反射されるが、区切りエレメント15の透光領域16が、これを妨げるから、検出器12まで通過しない。従って、二つの検出信号間の差は、所定の第二差の値の下にあり、その結果、分析領域22の不正な位置決めは、同定される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による方法または本発明による分析システムに使用のためのテストエレメントを示す。
【図2A】分析位置に位置決めされたテストエレメントの分析領域を持った本発明による分析システムを示す。
【図2B】Z方向で不正に位置決めされる曲げられたテストエレメントの分析領域を持った図2Aに従う本発明による分析システムを示す。
【図3】分析光源およびモニタリング光源からの光の相対的反射率の差の値を表すグラフを示す。
【図4】本発明による方法および本発明による分析システム中の区切りエレメントの配置を概略的に示す。
【符号の説明】
【0065】
1 テストエレメント
2 分析領域
3 リセス
4 第一ゾーン
5 第二ゾーン
6 第一部分領域
7 第二部分領域
8 サンプル適用場所
9 分析システム
10 分析ユニット/モニタリングユニット
11 光源
12 検出器
13 テストエレメント容器
14 透光性領域
15 区切りエレメント
16 光不透明領域
17 モニタリング光源
18 分析光源
19 レンズ
20 ダイアフラム
21 正しく位置決めされた分析領域
22 不正位置における分析領域
23 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストエレメント(1)の分析領域(2)が、テストエレメント容器(13)中の分析ユニット(10)に対する分析位置中に位置決めされているかどうかをモニタリングすることからなり、前記モニタリングが、
少なくとも1つの光源(11、17)からの光で前記分析領域(2)を照射する工程と、
前記分析領域(2)で散乱されたまたは反射された光を、検出信号を得るための検出器(12)により検出する工程と、
前記検出信号を、評価ユニットにより評価する工程とからなることを特徴とする、テストエレメント容器(13)および分析ユニット(10)を持っている分析システム(9)のテストエレメント(1)上でのサンプル分析方法であって、
前記テストエレメント(1)と前記検出器(12)のあいだに配置された透光性領域(14)を、光不透明領域(16)を持つ区切りエレメント(15)によって区切りを行い、前記区切りエレメント(15)は、前記テストエレメント容器(13)中のZ方向で不正な位置に配置されるテストエレメント(1)の分析領域(22)において散乱されまたは反射された光が、前記光不透明領域(16)上で原則的に衝突しかつ前記検出器(12)到達しないという方法で、前記光源(11、17)および前記検出器(12)に対して位置決めされることを特徴とする区切りにより、また制限値が目的値に達しない場合には、Z方向の不正な位置を確かめるための少なくとも1つの所定の制限値と、前記検出信号を比較することによることを特徴とする方法。
【請求項2】
Z方向の前記テストエレメント(1)の前記分析領域(2)の不正な位置の場合に、テストエレメント(1)の前記分析領域(2)において散乱されまたは広く反射される光の相対的反射率に対応する前記検出器に対する制限値が、あらかじめ定められることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記テストエレメント容器(13)中での分析位置に位置決めされたテストエレメント(1)上のサンプル分析は、
少なくとも1つの光源(11、17、18)からの光で前記分析領域(2)を照射する工程と、
前記分析領域(2)で散乱されたまたは反射された光を、検出信号を得るための検出器(12)により検出する工程と、
分析結果を得るために、前記検出信号を、評価ユニットにより評価する工程とからなることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記テストエレメント(1)の前記分析領域(2)が、分析位置に置かれるまたサンプルを分析するために置かれているかどうかをモニタリングするために、同一の検出器(12)を使用することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
サンプル分析が、
a)テストエレメント(1)の分析領域(2)が、前記テストエレメント容器(13)中での分析位置に位置決めされているかどうかをモニタリングする工程と、
b)前記分析領域(2)中での光度測定により検出可能な変化を得るために、サンプルを前記分析領域(2)に接触させる工程と、
c)前記分析領域(2)の第1ゾーン(4)を照射するために、前記分析ユニット(10)の第1分析光源(18)の作動を行いまた前記分析領域(2)により散乱されるまたは反射される光を、第1分析信号を得るために検出する工程と、
d)第1ゾーン(4)に対して相殺する方法で配置される前記分析領域(2)の第2ゾーン(5)を照射するために、前記分析ユニット(10)の第2分析光源(18)を作動させまた前記分析領域(2)により散乱されるまたは反射される光を、第2分析信号を得るために検出する工程と、
e)比較結果を得るための評価ユニットにより、第1分析信号および第2分析信号を比較し、また第1分析信号または第2分析信号の評価によりサンプル中に含まれる検体濃度を求めるために、評価結果に基づいて、第1分析信号または第2分析信号を選択する工程を含むことを特徴とする請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
i)前記テストエレメント(1)のサンプル適用位置(8)にサンプルを適用する工程と、
ii)前記分析領域(2)の第1部分領域(6)を照射するために、少なくとも1つの分析光源(18)を作動させまた検出信号を得るための検出器(12)により、前記分析領域(2)により散乱されるまたは反射される光を検出する工程と、
iii)前記分析領域(2)の第2部分領域(7)を照射するために、モニタリング光源(17)の作動を行いまた前記分析領域(2)により散乱されるまたは反射される光を、第2検出信号を得るための検出器(12)により検出する工程と、
iv)第2検出信号マイナス第1検出信号から求められる差の値を、所定の第1の差の値が越えている場合に、サンプルの不充分な投与量を同定するための評価ユニットにより、所定の第1の差の値とを比較する工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
i)前記テストエレメント(1)のサンプル適用位置(8)にサンプルを適用する工程と、
ii)前記分析領域(2)の第1部分領域(6)を照射するために、少なくとも1つの分析光源(18)を作動させまた検出信号を得るための検出器(12)により、前記分析領域(2)により散乱されるまたは反射される光を検出する工程と、
iii)前記分析領域(2)の第2部分領域(7)を照射するために、モニタリング光源(17)の作動を行いまた前記分析領域(2)により散乱されるまたは反射される光を、第2検出信号を得るための検出器(12)により検出する工程と、
v)第2検出信号マイナス第1検出信号から求められる差の値を、所定の第2差の値が目的に達しない場合に、前記テストエレメント容器(13)中のZ方向の前記分析領域(2)の不正な位置を同定するための評価ユニットにより、所定の第1の差の値とを比較し、前記区切りエレメント(15)は、Z方向で不正な位置に配置される分析領域(22)において散乱されまたは反射されたモニタリング光源(17)からの光が、前記区切りエレメント(15)の前記光不透明領域(16)上で原則的に衝突しかつZ方向で不正な位置に配置される分析領域(22)において散乱されまたは反射された分析光源(18)からの光が、前記透光領域(14)上で原則的に衝突するという方法で、位置決めされることを特徴とする比較工程とを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの分析光源(18)およびモニタリング光源(17)が、順次作動されることを特徴とする請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
前記分析領域(2)の部分領域(7)を照射するために、光源(17)を作動させまた前記分析領域(2)中のサンプルの存在を同定するために、前記部分領域(7)により散乱されまたは反射される光の変化を、検出器(12)によって検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
分析ユニット(10)と、前記分析ユニット(10)に対してテストエレメント容器(13)中に置かれて分析されるテストエレメント(1)であって、テストエレメント(1)の分析領域(2)が、テストエレメント容器(13)中の分析ユニット(10)に対する分析位置中に置かれているかどうかをモニタリングするためのモニタリングユニット(16)を持つテストエレメント(1)と、光を用いて前記分析領域(2)を照射するための少なくとも1つの光源(11、17)を含むモニタリングユニット(10)と、検出信号を得るために前記分析領域(2)で散乱されたまたは反射された光を検出するための検出器(12)と、評価ユニットとを持っている分析テストエレメント(1)上でのサンプル分析システムであって、
区切りエレメント(15)が、前記テストエレメント容器(13)中に配置されたテストエレメント(1)と前記検出器(12)のあいだに配置され、前記区切りエレメント(15)は、前記テストエレメント容器(13)中のZ方向で不正な位置に配置されるテストエレメント(1)の分析領域(22)において散乱されまたは反射された光が、前記光不透明領域(16)上で原則的に衝突しかつ前記検出器(12)到達しないという方法で、前記光源(11、17)および前記検出器(12)に対して位置づけられ、前記評価ユニットは、少なくとも1つの所定の制限値と前記検出信号を比較することにより、制限値が目的値に達しない場合には、Z方向の分析領域の不正な位置を同定する比較ユニットを含んでいることを特徴とする分析システム。
【請求項11】
前記テストエレメント容器(13)中でテストエレメント(1)の分析領域(2)の第1部分領域(6)を照射するための分析光源(18)と、テストエレメント(1)の分析領域(2)の第2部分領域(7)を照射するためのモニタリング光源(17)と、それぞれ第1検出信号および第2検出信号を得るために、分析光源(18)とモニタリング光源(17)から、分析領域(2)により散乱されまたは反射される光を検出するための少なくとも1つの検出器(12)を含み、
前記区切りエレメント(15)は、Z方向で不正な位置に配置される分析領域(22)において散乱されまたは反射されたモニタリング光源(17)からの光が、区切りエレメント(15)の前記光不透明領域(16)上で原則的に衝突しかつZ方向で不正な位置に配置される分析領域(22)において散乱されまたは反射された分析光源(18)からの光が、区切りエレメント(15)の透光領域(14)上で原則的に衝突するという方法で、位置決めされ、前記評価ユニットは、第2検出信号マイナス第1検出信号から形成される所定の差の値が、目標を達成しない場合には、前記テストエレメント容器(13)中のZ方向で、分析領域(22)の不正な位置を同定する比較ユニットを含んでいることを特徴とする請求項10記載の分析システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−116441(P2008−116441A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−212437(P2007−212437)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】