説明

テストステロンおよびプロゲスターゲンを用いたドライアイのための処置

本発明は、治療有効量のプロゲスターゲン、治療有効量のテストステロンおよび薬学的に受容可能なキャリアを有する組成物を用いて、眼の状態を処置するための組成物および方法を包含し、ここで上記組成物は、上記眼の眼瞼部分および/または眼の表面に適用される。別の実施形態において、上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンおよび少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアを含み、結膜を含む眼の表面に適用されるように処方される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、一般に、テストステロンおよびプロゲスターゲンの組み合わせを用いて、眼の状態、特に、ドライアイを処置するための組成物および方法に関する。ここで上記組成物は、眼の眼瞼部分および/または眼の表面に適用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ドライアイ(乾性角結膜炎(「KCS」)としても公知)は、涙液の質および/または量が、目尻の方向(eye decline)へ流れる状態である。ドライアイを有する人々は、眼の結膜領域における炎症、乾燥および/または外来物質の感覚、光感受性、掻痒、熱傷もしくは刺痛、異物感(grittiness)、眼の疲れ、コンタクトレンズの不耐性、および目のかすみを経験し得る。ほぼすべてのドライアイ障害は、涙液薄膜からの水分の喪失の結果である。涙液薄膜からの水分の喪失は、涙液生成の減少および/または涙液の蒸発の増加によって引き起こされ得、このことは、涙液薄膜のムチンもしくは脂質成分の異常の結果であり得る。これらの現象は、同時に起こり得るが、これらの現象はともに、代表的には、311mOsm/Lの正常限界から増大した容量オスモル濃度を生じ、最終的には、杯細胞密度の減少をもたらし得る。杯細胞密度の減少は、粘液の生成に影響を及ぼし、粘液は、涙液薄膜における主要な潤滑剤である。このことは、T細胞活性化による炎症を悪化させ、および/または引き起こし、炎症性サイトカインが放出されることになる。
【0003】
慢性ドライアイを有する患者は、代表的には、T細胞の増大した活性化を経験することも示された。これらT細胞は、以下を生じ得るサイトカインを放出する:(1)天然の涙液の生成を妨害し、涙液生成の減少をもたらす、涙腺に対する神経系の化学物質;(2)涙腺および/または眼の表面における組織損傷;(3)さらなるT細胞の増加;ならびに/あるいは(4)増大した炎症性サイトカイン生成。
【0004】
ドライアイを生じ得る状態としては、シェーグレン症候群、眼瞼炎、マイボーム腺障害、HIV、帯状庖疹、自己免疫疾患、自然な加齢プロセス、糖尿病、長期のコンタクトレンズ装着、乾燥環境、角膜切開を含むかもしくは角膜神経を剥離する外科手術、薬物療法、減少した瞬き、閉じることができない眼瞼、妊娠、多嚢胞性卵巣症候群、酒さ性ざ瘡、狼瘡、強皮症、サルコイドーシス、スチーブンス・ジョンソン症候群、パーキンソン、喫煙、放射線療法、ビタミンA欠乏症、および閉経が挙げられるが、これらに限定されない。原因因子におけるこの広い多様性は、ドライアイの成功裏の処置をもたらすのを特に困難にする。
【0005】
一般に、上記涙液薄膜は、3層から形成される:(1)結膜杯細胞および眼の表面の上皮細胞によって生成され、上記涙液薄膜のアンカーとして働いて、眼への接着を補助する、最も内側の疎水性ムチン層;(2)涙腺によって生成される中間厚の水層(middle thick aqueous layer);および(3)均一な涙液拡散を補助して、涙液蒸発を遅くする、マイボーム腺によって生成される表在性の薄い脂質層。この3層構造は、上記涙液薄膜を安定化し、上記涙液薄膜が眼の水分を保持し、光が眼を透過するための滑らかな表面を作り出し、眼の前面を滋養し、そして傷害および感染からの保護を提供することを可能にする。ドライアイに罹患しているヒト(sufferer)における涙液の質は、代表的には、この保護構造および安定構造が欠損している。
【0006】
患者のドライアイの重篤度を診断および評価するためのいくつかの技術が存在する。それら技術としては、眼表面疾患指数(Ocular Surface Disease Index)(OSDI)問診、涙液層破壊時間(Tear Break−up Time)、涙液染色、涙液薄膜の高さ、およびシルマー試験が挙げられる。非特許文献1および非特許文献2(これらの各々は、その全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。各試験は、患者の涙液薄膜についての種々の情報を提供する。
【0007】
上記症状の重篤度の患者の主観的評価は、標準化されたOSDI問診を使用して記録され得る。この主観的評価は、客観的指標(例えば、涙液層破壊時間(TBUT)試験、およびシルマー試験)によって確認され得る。上記TBUT試験は、上記3層の涙液薄膜が分離するのに要される時間を測定する。短いTBUT試験時間は、涙液の質の低下を示し、ドライアイを示す。非特許文献3(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。上記シルマー試験は、生成される涙液の容積を測定し、数分間にわたって、各々の眼の下眼瞼(結膜嚢)内に小さな濾紙片を配置し、毛細管作用によって、上記濾紙に涙液を吸い取らせることによって行われる。次いで、上記紙を取り外し、水分量をml単位で測定する。代表的には、5分間で10mm未満の測定値は、ドライアイを示す。非特許文献4を参照のこと。
【0008】
ドライアイの現在の処置は、眼の表面に適用するための人工涙液、ならびに/または軟膏およびゲルを含む。これらは、眼の表面に基本的な潤滑を提供する。Restasis(登録商標)点眼剤(ひまし油基剤中のシクロスポリン)は、眼が涙液生成を増大させるのを助けると言われている。他の処置は、一時的および恒久的な涙点閉鎖(punctal occlusion)、局所的アンドロゲン点眼剤、局所的抗生物質、およびポリ不飽和脂肪酸による経口治療を含む。例えば、特許文献1(その全体が本明細書に参考として援用される)は、上記組成物を、眼の付属器に適用することによって、ドライアイの処置のためにアンドロゲンを使用することを開示する。
【0009】
現在のドライアイ処置には欠点がある。例えば、Restasis(登録商標)は、作用の遅い開始を有すると言われているが、患者の約20%の助けになるに過ぎないようであり、重篤なドライアイの場合には、効かないようであり、そして点眼の際の灼熱感のような副作用を有する。涙点プラグを用いると、感染が生じ得、そして外科的除去が必要とされ得る。ステロイドの局所投与は、有害作用(例えば、眼内圧の上昇、緑内障、白内障、および角膜感染の悪化)を有し得る。非特許文献5(その全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0010】
性ステロイドホルモンには、アンドロゲン、エストロゲン、およびプロゲスターゲンの3タイプが存在する。アンドロゲンは、アンドロゲンレセプター
に結合することによって、脊椎動物における男性的な特性の発生および維持を刺激または制御する天然または合成のステロイドホルモンである。これは、男性器の活動および男性の第2次性徴の発生(例えば、精巣形成および精子形成を包含する。アンドロゲンはまた、本来はアナボリック・ステロイドであり、脂肪沈着の阻害および増大した筋肉量を補助する。それらはまた、すべてエストロゲン(女性性ホルモン)の前駆体である。主要でかつ最も周知のアンドロゲンは、テストステロン
であり、これは、ドライアイを処置するために使用されてきた。
【0011】
プロゲスターゲンは、プロゲステロンの活性を有する(すなわち、プロゲステロン(唯一の天然のプロゲスターゲン)に類似の効果を生じる)(例えば、子宮内膜を増殖段階から分泌段階へ変えて、姙娠維持のために最適な子宮内環境を維持することによって、受精卵の受胎および発生のために子宮の準備を整える)ホルモンである。プロゲステロンは、上記ステロイドホルモン経路の最終産物でもあり、コルチゾールの合成における中間体でもある。この経路は、男性および女性の両方で生じる。女性においては、プロゲステロンは、卵巣の黄体および胎盤において生成される。これはまた、男性および女性の両方において、副腎皮質において生成される。プロゲステロンは、エストロゲンとは対照的に、ヒトにおいて穏やかに異化性であり、そしてエストロゲンの作用と平衡をとるものとして考えられ得る。プロゲステロンの生物学的活性は多様であり、しばしば対立している。標的組織に対するその効果は、リガンド活性化転写因子として機能して、標的遺伝子の特異的セットの発現を制御するプロゲステロンレセプターによって媒介される。上記プロゲステロンレセプターは、以下に対するレセプターを含む、核レセプターの大きなファミリーに属する:(i)ステロイドホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、糖質コルチコイド、アンドロゲン、および鉱質コルチコイド);(ii)他の親油性ホルモンおよびリガンド(甲状腺ホルモン、レチノイン酸、9−cisレチノイン酸、ビタミンD、エイコサノイド、脂肪酸、および脂質);ならびに(iii)未知のリガンドを有するオーファンレセプター。上記プロゲステロンレセプターおよびコルチコステロイドレセプターは、高い相同性を、特に、交叉反応性を生じる上記ステロイドホルモンレセプターファミリーのDNA結合ドメイン内で、共有する。プロゲスターゲンの正確な生理学的効果は、他の核レセプター(例えば、糖質コルチコイドレセプター、鉱質コルチコイドレセプター、およびアンドロゲンレセプター)と交叉反応するそれらの可能性に起因して、解釈するのが困難であり得る。
【0012】
プロゲスターゲンは、他の性ホルモンとの(例えば、種々のタイプのレセプターに対して作用することによる)との交叉反応性を有し得るが、本発明に関して、プロゲスターゲンは、プロゲステロンの活性を主に有する分子である。
【0013】
プロゲスターゲンは、:(1)流産の予防において;(2)種々の癌(例えば、乳癌、腎臓癌、および子宮頸癌)を処置するため;(3)月経障害および他の婦人科的障害を処置するため;(4)経口避妊薬として;(5)全身性ホルモン置換療法(HRT)において;(6)食欲および重篤な体重の喪失ならびに/またはAIDSおよび/もしくは癌に起因する筋肉喪失を処置するため;そして(7)抗アンドロゲンとして、使用される。これら障害の処置において、プロゲスターゲンは、多くの形態(例えば、丸剤、注射剤、膣坐剤および皮膚クリーム剤)で使用される。
【0014】
本発明は、プロゲスターゲンとテストステロンとの使用は、予測外にも、ドライアイの処置の改善をもたらすという発見に帰する。本発明までは、プロゲスターゲンは、ドライアイを処置するために使用されてこなかった。さらに、少なくとも1種のプロゲスターゲンおよびテストステロンを有する組成物がドライアイを処置するために眼の眼瞼部分および/または眼の表面に適用される処置は、現在存在しない。
【0015】
本発明者らは、治療有効量のプロゲステロンおよびテストステロンを用いた眼の経皮的処置が、特定の眼の疾患(特に、ドライアイ)を緩和するにあたって驚くべきことに有効であることが発見された。いかなる現在理解されている作用様式にも拘束されることは望まないが、この効果は、一般に全身的ホルモン活性とは無関係であると考えられている。従って、驚くべきことに、有効な結果は、低レベルのホルモンで得られ得る。この免疫内分泌相互作用の目的は、以下のことである:(a)隣り合う涙腺組織においてリンパ球浸潤を減少させ、それによって、腺房細胞および管細胞の免疫媒介性の破壊およびリンパ球圧縮(lymphocyte compression)を緩和すること;(b)副涙腺および/または眼瞼の涙腺が基礎的な涙液容積を分泌することを可能にすること;ならびに(c)これらのホルモンへの全身性の曝露と並行して起こる副作用を避けること。実質的に、上記組成物の経皮的処置は、涙腺組織の機能的領域を生じ得、それによって、涙液生成を増強し、そして特定の眼の状態(特に、ドライアイ)を矯正し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,659,985号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Milder,B,The Lacrimal System,Appleton−Century−Crofts,Chapter 8,1993
【非特許文献2】Schirmer,O Studien Zur Physiologie and Pathologie der Tranenabsonderdung und Tranenabfuh,Arch kiln ophthalmol,1903;56:197−291
【非特許文献3】Lempら,Factors Affecting Tear Film Break Up in Normal Eyes,Arch Ophthalmol 1973;89:103−105
【非特許文献4】Schirmer,O Studien zur physiologie and pathologie der tranenabsonderdung und tranenabfuh,Arch kiln ophthalmol,1903;56:197−291
【非特許文献5】Butcherら,Bilateral Cataracts and Glaucoma lnduced by Long Term Use of Steroid Eye Drops,BMJ,1994;309:43
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、眼の状態(特に、ドライアイ)を処置するための組成物送達選択および方法に関する。ここで上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンと少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアを含む。このような状態はまた、レーザーまたは他のタイプの眼の外科手術から生じる効果を含み得る。
【0019】
プロゲスターゲンおよびテストステロンで個体の全身性処置を最小化するかまたは回避するように、上記組成物を処方することが、本発明の目的である。さらに、上記プロゲスターゲンおよびテストステロンの新規な投与は、経口薬物投与で遭遇する欠点(例えば、胃腸管に存在する流体による薬物の分解および/または肝臓における初回通過による不活性化(first−pass inactivation))を回避する。
【0020】
さらに、本発明は、ドライアイの経皮的処置のための組成物および方法に関し、ここで上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンを有する。プロゲスターゲンおよびテストステロンの量は、所望される処置量、眼の疾患の重篤度、および上記組成物の処方において使用されるキャリアに基づいて変動する。さらに、上記薬学的に受容可能なキャリアは、性ステロイドホルモンの皮膚および経皮的送達に対する局所適用で使用するため当該分野で公知であるか、または結膜への送達に適していることが公知である任意のキャリアを含み得る。眼の眼瞼部分への上記プロゲスターゲンおよびテストステロンの適用は、副涙腺組織および主要な涙腺組織に直接作用し得、そしてこれら組織における腺の炎症を抑制し得る。
【0021】
本発明の特定の実施形態の目的は、ドライアイを処置するための組成物を調製することである。ここで上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンを有する。
【0022】
一実施形態において、上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンと、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアを含み、そして経皮的適用のために開発される。上記組成物は、上眼瞼および下眼瞼ならびに内眼角および外眼角を含む眼の眼瞼部分に適用されるべき経皮的処方物である。眼の眼瞼部分への経皮的適用が好ましい。なぜなら、プロゲスターゲンおよびテストステロンは、その後標的腺と相互作用し得る皮膚をわたって容易に吸収されるようであるからである。
【0023】
別の実施形態において、上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンおよび少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアを含み、結膜を含む眼の表面に適用されるように処方される。
【0024】
他の実施形態において、上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロン、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリア、ならびに少なくとも1種のエストロゲンを含み、そして経皮的適用のために開発される。
【0025】
一実施形態において、上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロン、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリア、ならびに少なくとも1種のエストロゲンを含み、そして眼の表面への適用のために開発される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(詳細な説明)
本発明の実施形態に関する言及が、ここで詳細になされる。本発明は、実施形態とともに記載されるが、本発明をそれら実施形態に限定することは意図しないことが理解される。対照的に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の趣旨および範囲内に含まれ得る、代替物、改変物および等価物を網羅することが意図される。
【0027】
本明細書で言及される場合、用語「プロゲスターゲン」とは、天然および合成のプロゲステロン、天然および合成のプロゲスターゲン(これは、ときおり、当該分野で「プロゲスチン」といわれる)、酢酸メドロキシプロゲステロン(メドリゾン)、ノルエチンドロン(またはノルエチステロン)、酢酸ノルエチンドロン、酢酸メゲストロール、17−a−ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、およびノルゲストレル、ならびにこれらの誘導体を包含するが、これらに限定されない。天然のプロゲステロンは、いかなる重篤な臨床的副作用も有さないし、いかなる毒性レベルも同定されない。さらに、プロゲスターゲンは、米国薬局方によって認識されるプロゲステロンの3つの形態、すなわち、プロゲステロンUSP(微粉化)、プロゲステロンUSP(可溶性微結晶)、およびプロゲステロンUSP(粉砕化)を含む。これら形態の各々は、本発明で使用され得、好ましくは、プロゲステロンUSP(粉砕化)が使用され得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「テストステロン」とは、IUPAC名称(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン、およびδ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン、ならびにそれらの異性体を有する化合物をいう。テストステロンは、メルクインデックス、エントリー番号9322、1569頁、第12版(1996)(これは本明細書に参考として援用される)において列挙される。テストステロンは、当業者の知識を使用して、天然供給源からか、またはあるプロセスを使用して合成によってかのいずれかで得られるかあるいは調製され得る。さらに、用語「テストステロン」とは、同じかもしくは類似の生理学的活性を提供することが公知のテストステロンから合成によって誘導体化される多くの密接に関連したアンドロゲン様化合物(androgenic compound)をもいう。このような化合物としては、テストステロンエステル(salt)(例えば、酢酸エステル、エナント酸エステル、シピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、プロピオン酸エステル、およびウンデカン酸エステル)、酢酸シプロテロン、ダナゾール、フィナステリド、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、およびテストラクトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「エストロゲン」および「エストロゲン様ホルモン」とは、エストロゲンレセプターに結合することによって主に生物学的作用もしくは薬理的活性を発揮する任意の物質(天然もしくは合成)をいう。例としては、17−β−エストラジオール、17−α−エストラジオール、エストリオール、エストロン、および植物性エストロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。これらエストロゲンは、例えば、結合体化ウマエストロゲン、エステル化エストロゲン、エチニルエストラジオールなどを形成するように誘導体化または修飾され得る。エステル化エストロゲンの例としては、以下が挙げられるが、それらに限定されない:エストラジオール−3,17−ジアセテート、エストラジオール−3−アセテート、エストラジオール−17−アセテート、エストラジオール−3,17−ジバレレート、エストラジオール−3−バレレート、エストラジオール−17−バレレート。選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERMS)、例えば、Eli Lillyからの商標名Evista(登録商標)などの下で入手可能なラロキシフェンもまた含まれる。上記エストロゲンはまた、塩(例えば、エストロゲン硫酸ナトリウム)、異性体、またはプロドラッグとして存在し得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「眼の眼瞼部分」とは、上眼瞼および下眼瞼の外部部分ならびに内眼角および外眼角である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「投与」および「投与する」とは、交換可能に使用され得、そして薬物を被験体に提示、適用または導入して、所望の生理学的応答を達成する作用をいう。
【0032】
本明細書で使用される場合、「キャリア」および「薬学的に受容可能なキャリア」は、交換可能に使用され得、そして任意の液体、ゲル、軟膏、溶媒、液体、希釈剤、流動性軟膏基剤、リポソーム、ミセル、巨大ミセルなどであって、有害な生理的応答を引き起こすことなく生きている動物もしくはヒトの組織と接触するのに適しており、かつ有害な様式で上記組成物の他の成分と相互作用しないものをいう。多くのキャリア成分は、局所処方物を作製することにおける使用について知られている(例えば、ゼラチン、ポリマー、脂肪および油、レシチン、コラーゲン、アルコール、水など)。
【0033】
本明細書で使用される場合、「疾患」および「状態」とは、交換可能に使用され得、そして1種以上の物理的徴候もしくは心理的徴候、症状、または実験的知見であって、病気、欠損、または満足行く状態の他の異常な状態を示すものをいう。
【0034】
用語「処方物」および「組成物」とは、本明細書で交換可能に使用され、そしてゲル、クリーム、ローション、液剤または軟膏を含む、実務家に使用可能な任意の形態であり得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「皮膚(skin)」、「皮膚表面」、「皮膚(derma)」、「表皮」および類似の用語は、本明細書で交換可能に使用され、そして表皮を含む被験体の眼の眼瞼部分の外側の皮膚のみをいう。
【0036】
本明細書で使用される場合、「有効量」または「薬理学的に有効な量」とは、その意図された目的もしくは効果を達成するに十分な物質の量をいう。種々の生物学的因子は、送達された物質がその意図された仕事を行う能力に影響を及ぼし得る。従って、「有効量」とは、このような生物学的因子に依存し得る。これらの要因の中には、使用されるキャリア、活性成分の耐性、誘発される応答、使用されることが所望される単位用量投与の回数、年齢、大きさ、およびレシピエントの性別、ならびに上記レシピエントによって使用される他の薬物療法が含まれる。さらに、上記量の有効性の決定は、当業者の知識および能力の範囲内である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「重量%」および「% w/w」とは、組成物全体に対して示される成分(上記組成物のうち、その成分が一部分である)の量をいう。一例として、20% w/wの量のプロゲステロンは、プロゲステロンの量が上記プロゲステロンを含む全処方物の重量の20%であることをいう。
【0038】
用語「局所的処方物」および「経皮的処方物」とは、プロゲスターゲンおよびテストステロンが、皮膚表面への直接的適用のために配置され得、有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンが皮膚表面に放出される組成物を意味する。局所的処方物の例としては、軟膏、クリーム、ゲル、経皮的パッチ、スプレーおよびパスタ剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
用語「経皮的」とは、プロゲスターゲンおよびテストステロンの皮膚表面を介する移動を容易にする投与経路をいう。ここで経皮的組成物は、皮膚表面に投与される。経皮的投与は、皮膚表面に経皮的調製物の適用、貼付、塗り広げること、付着させること、注ぐこと、圧迫、摩擦などによって達成され得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、「治療的効果」とは、ある程度までは達成される所望の結果をいう。
【0041】
濃度、量、可溶性、および他の数値データは、本明細書において、範囲形式で提示され得る。このような範囲形式は、単に便宜上および簡潔さのために使用されるに過ぎず、上記範囲の限界として明確に記載される数値のみならず、各数値および部分範囲が明確に記載されているかのように、すべての上記個々の数値もしくはその範囲内に包含される部分範囲を含むこともまた、柔軟に解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0042】
(好ましい実施形態)
本発明は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンと、薬学的に受容可能なキャリアとを有する組成物を作製し使用する方法である。好ましい実施形態によれば、上記組成物は、ドライアイを処置するために使用される。他の実施形態は、組成物およびドライアイを処置することにおけるその使用である。ここで上記組成物は、治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンと、薬学的に受容可能なキャリアとを含む。1つの好ましい実施形態において、上記組成物は、経皮的使用のために調製される。別の好ましい実施形態において、上記組成物は、眼の表面への局所適用のために調製される。
【0043】
(ホルモン)
投与されるべきプロゲスターゲンおよびテストステロンの量は、上記患者の年齢、上記疾患状態の持続時間、処置されるべき特定の状態、投与頻度、および投与経路に依存する。
【0044】
さらに、上記組成物中のプロゲスターゲンおよびテストステロンの量は、使用される薬学的に受容可能なキャリアおよび処置のための患者に送達される所望の濃度に依存して変動する。
【0045】
上記プロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の経皮的送達および局所適用は、ステロイドホルモンの経口的使用および/または注射によって局所的に引き起こされる全身性の副作用をほとんど有さないか全く有さない。上記プロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の濃度は、上記組成物が適用される領域および眼の標的とされた構造に影響を及ぼすに十分高いが、全身性ホルモン処置と関連する代表的な副作用を防止するに十分低いべきである。
【0046】
眼瞼領域に適用される場合、上記組成物中のプロゲスターゲンの量は、約2%〜約30%の範囲に及び得る。別の実施形態において、上記組成物中のプロゲスターゲンの量は、約10%〜約20%の範囲に及び得る。なお別の実施形態において、上記組成物中のプロゲスターゲンの量は、約12%〜約18%の範囲に及び得る。別の実施形態において、上記組成物中のプロゲスターゲンの量は、約10%〜約30%の範囲に及び得る。なお別の実施形態において、上記組成物中のプロゲスターゲンの量は、約15%〜約25%の範囲に及び得る。別の実施形態において、上記組成物中のプロゲスターゲンの量は、約15%である。
【0047】
眼の表面に適用される場合、上記組成物中のプロゲスターゲンの量は、約0.001重量%〜20重量%の範囲に及び得る。一実施形態において、眼の表面に適用するための組成物中のプロゲスターゲンの量は、約0.1重量%〜約10重量%の範囲に及び得る。なお別の実施形態において、眼の表面に適用するための組成物中のプロゲスターゲンの量は、約2%である。なお別の実施形態において、眼の表面に適用するための組成物中のプロゲスターゲンの量は、約5%である。
【0048】
眼瞼領域に適用される場合、上記組成物中のテストステロンの量は、約0.01%〜約30%の範囲に及び得る。別の実施形態において、上記組成物中のテストステロンの量は、約1%〜約5%の範囲に及び得る。なお別の実施形態において、上記組成物中のテストステロンの量は、約15%である。
【0049】
眼の表面に適用される場合、上記組成物中のテストステロンの量は、約0.001重量%〜20重量%の範囲に及び得る。一実施形態において、眼の表面への適用のための組成物中のテストステロンの量は、約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは、約.4%〜約6%、より好ましくは、約.8%〜約5%の範囲に及び得る。なお別の実施形態において、眼の表面への適用のための組成物中のテストステロンの量は、約2%である。
【0050】
上記組成物は、患者のニーズおよび/または状態の重篤度(しかしこれらに限定されない)に依存して、1日に1回以上適用され得る。一実施形態において、上記組成物は、1日に1回適用される。別の実施形態において、上記組成物は、1日に2回適用される。1日あたりに各々の眼に適用される上記プロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の量は、ドライアイの重篤度および/または適用回数(しかし、これらに限定されない)に依存して変化する。一実施形態において、1日あたりに各々の眼に適用される上記プロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の量は、約25mg〜約500mgの範囲に及び得る。代替的実施形態において、1日あたりに各々の眼に適用される上記プロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の量は、約100mg〜約400mgである。なお代替の実施形態において、1日あたりに各々の眼に適用される上記プロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の量は、より好ましくは、約160mgである。
【0051】
本発明はまた、他の皮膚処置成分(例えば、日焼け止め剤、ビタミン、植物抽出物、および保湿剤が挙げられるが、これらに限定されない)との組み合わせにおいて使用され得る。
【0052】
上記プロゲスターゲンおよびテストステロンは、リポソームまたはマイクロエマルジョンの使用によって、本発明の組成物に含めるために調製され得る。上記プロゲスターゲンおよびテストステロンは、リポソーム中に被包され得、それによって、一貫した吸収率を有する送達ビヒクルを作り出し得る。マイクロエマルジョンはまた、プロゲステロンおよびテストステロンのための送達ビヒクルとして使用され得る。Paulら,Curr.Sci.,April 25,2001,80(8):990−1001(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0053】
一実施形態において、上記組成物は、少なくとも1種のエストロゲンをさらに含む。投与されるべきエストロゲンの量は、患者の年齢、疾患状態の持続時間、処置されるべき特定の状態、投与頻度、および投与経路に依存し得る。さらに、上記組成物中のエストロゲンの量は、使用される薬学的に受容可能なキャリアおよび処置のために患者に送達される所望の濃度に依存して変動する。一実施形態において、エストロゲンの量は、非常に低いかまたは最低限度である。一実施形態において、上記組成物中のエストロゲンの量は、約0.01%〜約30%の範囲に及び得る。一実施形態において、上記組成物中のエストロゲンの量は、約0.25%〜約10%の範囲に及び得る。一実施形態において、上記組成物中のエストロゲンの量は、約0.25%〜約5%の範囲に及び得る。一実施形態において、上記組成物中のエストロゲンの量は、約0.25%である。
【0054】
(薬学的に受容可能なキャリア)
本発明の処方物で使用するための薬学的に受容可能なキャリアは、化粧品分野および製薬分野で周知であり、そして水;有機溶媒、アルコール、皮膚から容易に蒸発し得る低級アルコール、エタノール、グリコール、グリセリン、脂肪族アルコール、水と有機溶媒の混合物、水とアルコールの混合物、有機溶媒(例えば、アルコールおよびグリセリン)の混合物、脂質ベースの物質(例えば、脂肪酸)、アシルグリセロール、油、鉱油、天然源もしくは合成源の脂肪、ホスホグリセリド、スフィンゴ脂質、ワックス、DMSO、タンパク質ベースの物質(例えば、コラーゲンおよびゼラチン)、揮発性および/または不揮発性のケイ素ベースの物質、シクロメチコン、ジメチコノール(demethiconol)、ジメチコンコポリオール(Dow Corning)、炭化水素ベースの物質(例えば、ワセリンおよびスクアラン)、徐放性ビヒクル(例えば、マイクロスポンジおよびポリマーマトリクス)、懸濁剤、乳化剤のようなビヒクル、および他のビヒクルならびに皮膚への投与に適したビヒクル成分、ならびに上記で同定されているかまたはさもなければ当該分野で公知の局所的ビヒクル成分の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
上記薬学的に受容可能なキャリアはまた、当該分野で公知の市販される中性基剤であり得る。中性基剤は、それ自体、顕著な治療効果を全く有さない。それは活性な薬学的成分を運ぶに過ぎないが、いくらかのビヒクルは、他のものより優れた容易さまたは有効性のためにそのように行い得る。中性基剤は、皮膚を軟らかくし、そして/または清浄にするために化粧品として使用されるクリームであり得る。例としては、Eucerin(登録商標)(Beiersdorf Aktiengesellschaft Corp.,Hamburg,Germany)、Aquaphor(登録商標)(Beiersdorf Aktiengesellschaft Corp.,Hamburg,Germany)、およびリポソームビヒクルが挙げられる。好ましい中性基剤は、Vanicream(登録商標)(Pharmaceutical Specialties,Inc.,Rochester,MN)である。Vanicream(登録商標)は、精製水、白色ワセリン、セテアリルアルコール、およびセテアリス−20、ソルビトール溶液、プロピレングリコール、シメチコン、グリセリルモノステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ソルビン酸およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)から構成される。
【0056】
上記薬学的に受容可能なキャリアは、Pluronic Lecithin Organogel(PLO)のような経皮的ゲルであり得る。Murdan,A Review of Pluronic Lecithin Organogel as a Topical and Transdermal Drug Delivery System,Hospital Pharmacist,July/August 2005,Vol.12,pp.267−270(これは、その全体が本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記薬学的に受容可能なキャリアはまた、少なくとも1種の界面活性剤を含む。上記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤から選択され得るが、これらに限定されない。上記界面活性剤が非イオン性である場合、これは、ポリソルベート、ポロキサマー、アルコールエトキシレート、エチレングリコール−プロピレングリコールブロックコポリマー、脂肪酸アミド、アルキルフェノールエトキシレート、またはリン脂質からなる群より選択され得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記薬学的に受容可能なキャリアはまた、キレート剤(エデト酸塩、類似のエデト酸二ナトリウム塩、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、およびエデト酸二カリウムが挙げられるが、これらに限定されない)を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記薬学的に受容可能なキャリアはまた、洗い出しまたは洗い流しを遅らせるための増粘剤(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、およびデキストラン)を含む。
【0060】
一実施形態において、1種以上の透過性促進剤は、本発明の組成物中に含まれ得る。透過性促進剤のタイプとしては、リン脂質、テルペン、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、脂肪エステル、脂肪アミン、アゾン様化合物、脂肪酸のナトリウム塩、ポリエチレングリコールモノラウレート(「PEGML」)、グリセロールモノラウレート、レシチン、1−置換アザシクロヘプタン−2−オン、特に、1−n−ドデシルシクロアザ−シクロヘプタン−2−オン(Nelson Research & Development Co.,Irvine,Calif.の商標名Azone(登録商標)の下で入手可能)、低級アルカノール(例えば、エタノール)、SEPA(登録商標)、コール酸、タウロコール酸、胆汁酸タイプの促進剤(enhancer)、および界面活性剤(例えば、Tergitol(登録商標)、Nonoxynol−9(登録商標)およびTWEEN−80(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態はさらに、上記組成物において使用される場合、1種以上の保存剤を含み得る。上記保存剤は、多くの理由で望まれ得る。その理由としては、貯蔵寿命の増加、化学的変化からの上記組成物の保護、および微生物作用からの上記組成物の保護が挙げられる。用語、保存剤は、眼科分野において一般に理解されている意味を有する。保存剤は、複数回使用の眼科用調製物における細菌の汚染作用を防止するために使用され得、そして限定することは意図されないが、例としては、塩化ベンザルコニウム、安定化オキシクロロ複合体(そうでなければ、Purite(登録商標)として公知)、酢酸フェニル水銀、クロロブタノール、ベンジルアルコール、パラベン、抗酸化剤、抗微生物剤、抗真菌剤、およびチメロサールが挙げられる。
【0062】
上記薬学的に受容可能なキャリアはさらに、適用される処方物の安定性もしくは有効性を改善するために適用される成分(例えば、保存剤、抗酸化剤、皮膚浸透促進剤、徐放性物質など)を含み得る。このようなビヒクルおよびビヒクル成分の例は、当該分野で周知である。
【0063】
(使用方法)
眼の眼瞼部分への本発明のプロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の局所適用は、作用部位への活性成分の容易な適用および経皮的送達を可能にする。上記作用部位としては、角膜および結膜を含む眼の表面;涙腺および副涙腺;ならびにマイボーム腺が挙げられ得るが、これらに限定されない。経皮的送達の上記形態は、上記薬物の全身的使用によって引き起こされる副作用なしで有効な処置を提供する。プロゲステロンおよびテストステロンの全身的使用のこれら副作用としては、胃の不調、痙攣、乳房圧痛、うとうと状態、眩暈、頭痛、片頭痛、嘔吐、下痢、便秘、疲労、皮疹、および低レベルの高密度リポタンパク質(HDL)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0064】
本発明の局所的組成物はまた、角膜および結膜を含む(眼瞼領域から区別される場合)眼の表面に適用され得る。この場合において、上記組成物は、代表的には、点眼剤もしくは軟膏の形態である。眼の表面への本発明の局所適用は、患者のニーズおよび/または状態の重篤度(しかし、これらに限定されない)に基づいて、1日に1回またはそれ以上頻繁に適用され得る。一実施形態において、上記局所適用は、1日に約2回から約3回、眼の表面に適用される。別の実施形態において、上記局所適用は、1日に約4回から約8回の間で、眼の表面に適用される。上記プロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の数滴が、各適用に対して必要とされる場合、眼の表面に適用され得る。
【0065】
いかなる特定の理論にも限定されず、眼の眼瞼部分への上記プロゲスターゲンおよびテストステロン組成物の局所適用は、ドライアイ疾患に罹患した領域(涙腺および副涙腺が挙げられるが、これらに限定されない)への活性成分の経皮的送達を可能にすると考えられる。さらに、上記プロゲスターゲンは、涙腺および副涙腺、ならびに眼の他の領域に位置するプロゲステロンレセプターに作用し得る。さらに、上記プロゲスターゲンは、アポトーシスに起因して、生存可能なT細胞を減少させ得、このことは、続いて、眼の表面および/または眼瞼の炎症状態を減少させる。
【0066】
代表的には、患者は、処置の開始の約3〜7日以内に、ドライアイ症状の改善を経験し、そして約7日以内に安定した状態を達成する。しかし、改善のプロフィールは、使用されるホルモンの量およびその適用頻度に依存する。
【0067】
いくつかの実施形態において、上記組成物は、1種以上の第2の治療上活性な薬剤を含む。上記第1の治療上活性な薬剤は、ドライアイの症状、またはその根底にある原因のいずれかを処置するにあたって有用であり得る任意の薬物であり得る。さらに、上記第2の治療上活性な薬剤は、上記疾患が関連するか否かに拘わらず、ドライアイ疾患と同時に生じ得る任意の疾患を予防または処置するにあたって有用である任意の薬物であり得る。本発明の別の有用な局面において、上記第2の治療上活性な薬剤は、その使用の副作用としてドライアイ疾患を引き起こし得るか寄与し得るかまたは悪化させ得る局所的眼科用組成物において使用される薬物であり得る。この局面において、本発明は、上記副作用を低下または排除するにあたって有用である。
【0068】
上記1種以上の第2の治療上活性な薬剤は、ヌクレオチドプリン作動性レセプターアゴニスト、例えば、ウリジン5’−トリホスフェート、ジヌクレオチド、シチジン5’−ジホスフェート(diphosphosphate)、アデノシン5’−ジホスフェート、P1−(シチジン5’−)−P−(ウリジン5’−)テトラホスフェート、P1,P4−ジ(ウリジン5’)−テトラホスフェート、またはそれらの治療上有効なアナログもしくは誘導体から選択され得るが、これらに限定されない。これらは、涙液分泌、特に涙液の粘液層に影響を及ぼし得るので、ドライアイ疾患を処置するにあたって可能性を有し得る。
【0069】
上記1種以上の第2の治療上活性な薬剤は、ニコチン作用性レセプターアゴニスト(例えば、ニコチンおよびそのアナログ、トランス−メタニコチンおよびそのアナログ、エピバチジンおよびそのアナログ)、ピリドール誘導体、ピペリジンアルカロイド(例えば、ロベリンおよびそのアナログ)、特定のパラ−アルキルチオフェノール誘導体、ならびにイミダクロプリドおよびそのアナログ(これらは、結膜杯細胞によるムチン分泌を刺激すると考えられるので、ドライアイを処置するにあたって有用であり得る)から選択され得るが、これらに限定されない。
【0070】
上記1種以上の第2の治療上活性な薬剤は、テトラサイクリン、テトラサイクリンの誘導体もしくはアナログ、または化学的に修飾されたテトラサイクリン(これらは、遅延した涙液クリアランスの矯正を補助すると考えられる)から選択されるが、これらに限定されない。
【0071】
上記1種以上の第2の治療上活性な薬剤は、コルチコステロイド(例えば、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、フルオロメトロン、酢酸フルオロメトロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ヒドロキシメチルプロゲステロン、リメキソロン(rimexolane)、ブデソニド、およびチキソトルコールピバレート(tixocortol pivalatein)から選択され得るが、これらに限定されない。これらは、ドライアイを処置するにあたって有用であると考えられる。
【0072】
上記1種以上の第2の治療上活性な薬剤は、ドライアイを処置するにあたって有用であり得るヒト涙腺腺房上皮(例えば、トランスホーミング増殖因子β(TGF−β)を含む増殖因子またはサイトカイン)の生成物から選択され得るが、これらに限定されない。
【0073】
上記1種以上の第2の治療上活性な薬剤は、シクロスポリンおよびシクロスポリン誘導体(例えば、シクロスポリンA、シクロスポリンB、シクロスポリンC、シクロスポリンDおよびシクロスポリンG)から選択され得るが、これらに限定されない。
【0074】
本発明は、特定の実施形態に関して記載されてきたものの、変更および改変は、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることが意図される。
【実施例】
【0075】
(実施例1)
ドライアイ症状を有する30名の患者を、プロゲステロン組成物の有効性を決定するために、麻酔剤とともに、涙液層破壊時間試験およびシルマー試験を使用して試験する。上記患者はまた、ドライアイ重篤度の上記患者の知覚を評価するために、OSDI問診を完了する。各患者の眼内圧もまた、上記プロゲステロン組成物の適用前および後に決定する。上記プロゲステロン組成物は、Vanicream(登録商標)において15% プロゲステロンである。
【0076】
各患者に、上記プロゲステロン組成物を適用する前に、彼らの眼瞼を清潔にするように指示する。少量の上記クリーム(約50mg〜約100mg)を、上記クリーム剤がもはや見えなくなるまで、各々の眼の上眼瞼および下眼瞼に適用する。上記クリームを、1日に2回、すなわち、1回は朝に、1回は就寝時に適用する。
【0077】
平均ベースライン試験スコアは、以下のとおりである:
【0078】
【表1】

左眼および右眼のスコアを平均して、各患者について1つの値を得る。
【0079】
処置の3週間後の上記試験スコアは、以下のとおりである:
【0080】
【表2】

上記左眼および右眼のスコアを平均して、各患者について1つの値を得る。
【0081】
上記TBUT試験は、処置の3週間後に、0.01のp値で有意な改善を示す。上記シルマー試験は、改善に向かって陽性の傾向を示すが、有意差(significant significance)には達しなかった。眼内圧試験は、眼内圧の変化を何ら示さない。患者報告(OSDI)は、処置の3週間後に、症状の21%改善と関連して、0.05のp値で上記プロゲステロンクリームの使用後、彼らのドライアイ症状における改善を認めた。
【0082】
上記患者はいずれも、上記プロゲステロンクリームの使用による副作用を全く報告せず、アレルギー反応も報告しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライアイを処置するための組成物であって、該組成物は、
治療有効量のプロゲスターゲン;
治療有効量のテストステロン;および
薬学的に受容可能なキャリア;
を含み、ここで該組成物は、眼の眼瞼部分に適用される、組成物。
【請求項2】
前記プロゲスターゲンはプロゲステロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記プロゲスターゲンは、プロゲステロンの誘導体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記プロゲスターゲンは合成プロゲスターゲンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記プロゲスターゲンは、酢酸メドロキシプロゲステロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記プロゲスターゲンはノルエチンドロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記プロゲスターゲンは酢酸ノルエチンドロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記プロゲスターゲンは酢酸メゲストロールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記プロゲスターゲンは17−a−ヒドロキシプロゲステロンカプロエートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記プロゲスターゲンはノルゲストレルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、約25mg〜約500mgの間の量で適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物は、約100mg〜約400mgの量で適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、約160mgの量で適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記プロゲスターゲンは、約2%〜約30%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記プロゲスターゲンは、約10%〜約30%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記プロゲスターゲンは、約15%〜約25%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記プロゲスターゲンは約15%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記プロゲステロンは、約2%〜約30%の濃度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
前記プロゲステロンは、約10%〜約30%の濃度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項20】
前記プロゲステロンは、約15%〜約25%の濃度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項21】
前記プロゲステロンは、約15%の濃度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物は1日に1回適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物は、1日に少なくとも2回適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物の約50mg〜約100mgが、各々の眼に適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物の約80mgが、各々の眼に適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記薬学的に受容可能なキャリアはクリームである、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記薬学的に受容可能なキャリアは軟膏である、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記薬学的に受容可能なキャリアはゲルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記薬学的に受容可能なキャリアは液剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記薬学的に受容可能なキャリアはエマルジョンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記薬学的に受容可能なキャリアはローションである、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記薬学的に受容可能なキャリアは実質的に密封性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
透過性促進剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
日焼け止め剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
保湿剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
ビタミンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
植物抽出物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
前記テストステロンは、(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン、(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン異性体、δ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン、δ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン異性体、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
前記テストステロンは、酢酸エステル、エナント酸エステル、シピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、プロピオン酸エステル、およびウンデカン酸エステルのようなテストステロンエステル、酢酸シプロテロン、ダナゾール、フィナステリド、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、およびテストラクトンからなる群より選択されるアンドロゲン様化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
ドライアイを処置するための組成物であって、該組成物は、
プロゲスターゲン;
テストステロン;および
薬学的に受容可能なクリームキャリア、
を含み、ここで該プロゲスターゲンの処置量は、約2%〜約30%の間の濃度で存在し、該テストステロンの処置量は、約0.01%〜30%の間の濃度で存在し、該組成物は、眼の眼瞼部分に適用される、組成物。
【請求項41】
前記プロゲスターゲンは、約10%〜約30%の濃度で存在する、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記プロゲスターゲンは、約15%〜約25%の濃度で存在する、請求項40に記載の組成物。
【請求項43】
前記プロゲスターゲンは、約15%の濃度で存在する、請求項40に記載の組成物。
【請求項44】
前記テストステロンは、1%〜約5%の濃度で存在する、請求項40に記載の組成物。
【請求項45】
前記テストステロンは、約15%の濃度で存在する、請求項40に記載の組成物。
【請求項46】
ドライアイを処置するための組成物であって、該組成物は、
治療有効量のプロゲスターゲン;
治療有効量のテストステロン;および
薬学的に受容可能なキャリア;
を含み、ここで該組成物は、眼の表面に適用される、組成物。
【請求項47】
前記テストステロンは、(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン、(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン異性体、δ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン、δ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン異性体、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記テストステロンは、酢酸エステル、エナント酸エステル、シピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、プロピオン酸エステル、およびウンデカン酸エステルのようなテストステロンエステル、酢酸シプロテロン、ダナゾール、フィナステリド、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、およびテストラクトンからなる群より選択されるアンドロゲン様化合物である、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記プロゲスターゲンはプロゲステロンである、請求項46に記載の組成物。
【請求項50】
前記プロゲスターゲンはプロゲステロンの誘導体である、請求項46に記載の組成物。
【請求項51】
前記プロゲスターゲンは合成プロゲスターゲンである、請求項46に記載の組成物。
【請求項52】
前記プロゲスターゲンは酢酸メドロキシプロゲステロンである、請求項46に記載の組成物。
【請求項53】
前記プロゲスターゲンはノルエチンドロンである、請求項46に記載の組成物。
【請求項54】
前記プロゲスターゲンは酢酸ノルエチンドロンである、請求項46に記載の組成物。
【請求項55】
前記プロゲスターゲンは酢酸メゲストロールである、請求項46に記載の組成物。
【請求項56】
前記プロゲスターゲンは、17−a−ヒドロキシプロゲステロンカプロエートである、請求項46に記載の組成物。
【請求項57】
前記プロゲスターゲンはノルゲストレルである、請求項46に記載の組成物。
【請求項58】
前記プロゲスターゲンは、約0.01%〜約10%の濃度で存在する、請求項46に記載の組成物。
【請求項59】
前記プロゲスターゲンは、約2%の濃度で存在する、請求項46に記載の組成物。
【請求項60】
前記組成物は、1日に1回適用される、請求項46に記載の組成物。
【請求項61】
前記組成物は、1日に少なくとも2回適用される、請求項46に記載の組成物。
【請求項62】
前記組成物は、1日に少なくとも約4回適用される、請求項46に記載の組成物。
【請求項63】
前記組成物は、1日に約4回〜1日に約8回の間で適用される、請求項46に記載の組成物。
【請求項64】
前記薬学的に受容可能なキャリアはクリームである、請求項46に記載の組成物。
【請求項65】
前記薬学的に受容可能なキャリアは軟膏である、請求項46に記載の組成物。
【請求項66】
前記薬学的に受容可能なキャリアはゲルである、請求項46に記載の組成物。
【請求項67】
前記薬学的に受容可能なキャリアは液剤である、請求項46に記載の組成物。
【請求項68】
前記薬学的に受容可能なキャリアはエマルジョンである、請求項46に記載の組成物。
【請求項69】
前記薬学的に受容可能なキャリアはローションである、請求項46に記載の組成物。
【請求項70】
前記薬学的に受容可能なキャリアは実質的に密封性である、請求項46に記載の組成物。
【請求項71】
前記組成物は、透過性促進剤をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項72】
前記組成物は、日焼け止め剤をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項73】
前記組成物は、保湿剤をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項74】
前記組成物は、ビタミンをさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項75】
前記組成物は、植物抽出物をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項76】
ドライアイを処置するための組成物であって、該組成物は、
プロゲスターゲン;
テストステロン;および
薬学的に受容可能なキャリア;
を含み、ここで該プロゲスターゲンの処置量は、約0.01%〜約10%の間の濃度で存在し、該テストステロンの処置量は、約0.001%〜20%の間の濃度で存在し、該組成物は、眼の表面に適用される、組成物。
【請求項77】
前記プロゲステロン濃度の処置量は、約2%である、請求項76に記載の組成物。
【請求項78】
前記テストステロン濃度の処置量は、約0.001重量%〜20重量%の間である、請求項76に記載の組成物。
【請求項79】
ドライアイを処置するための方法であって、該方法は、
治療有効量のプロゲスターゲンおよびテストステロンならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を、眼の麼部や部分に適用する工程、
を包含する、方法。
【請求項80】
前記テストステロンは、(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン、(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン異性体、δ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン、δ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン異性体、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記テストステロンは、酢酸エステル、エナント酸エステル、シピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、プロピオン酸エステル、およびウンデカン酸エステルのようなテストステロンエステル、酢酸シプロテロン、ダナゾール、フィナステリド、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、およびテストラクトンからなる群より選択されるアンドロゲン様化合物である、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記プロゲスターゲンはプロゲステロンである、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
前記プロゲスターゲンはプロゲステロンの誘導体である、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記プロゲスターゲンは合成プロゲスターゲンである、請求項79に記載の方法。
【請求項85】
前記プロゲスターゲンは酢酸メドロキシプロゲステロンである、請求項79に記載の方法。
【請求項86】
前記プロゲスターゲンはノルエチンドロンである、請求項79に記載の方法。
【請求項87】
前記プロゲスターゲンは酢酸ノルエチンドロンである、請求項79に記載の方法。
【請求項88】
前記プロゲスターゲンは酢酸メゲストロールである、請求項79に記載の方法。
【請求項89】
前記プロゲスターゲンは、17−a−ヒドロキシプロゲステロンカプロエートである、請求項79に記載の方法。
【請求項90】
前記プロゲスターゲンはノルゲストレルである、請求項79に記載の方法。
【請求項91】
前記組成物は、約25mg〜約500mgの間の量で適用される、請求項79に記載の方法。
【請求項92】
前記組成物は、約100mg〜約400mgの間の量で適用される、請求項79に記載の方法。
【請求項93】
前記組成物は、約160mgの量で適用される、請求項79に記載の方法。
【請求項94】
前記プロゲスターゲンは、約2%〜約30%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項95】
前記プロゲスターゲンは、約10%〜約30%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項96】
前記プロゲスターゲンは、約15%〜約25%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項97】
前記プロゲスターゲンは、約15%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項98】
前記プロゲステロンは、約2%〜約30%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項99】
前記プロゲステロンは、約10%〜約30%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項100】
前記プロゲステロンは、約15%〜約25%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項101】
前記プロゲステロンは、約15%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項102】
前記テストステロンは、1%〜約5%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項103】
前記テストステロンは、約15%の濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
【請求項104】
前記組成物は、1日に1回適用される、請求項79に記載の方法。
【請求項105】
前記組成物は、1日に少なくとも2回適用される、請求項79に記載の方法。
【請求項106】
前記組成物の約50mg〜約100mgが各々の眼に適用される、請求項79に記載の方法。
【請求項107】
前記組成物の約80mgが各々の眼に適用される、請求項79に記載の方法。
【請求項108】
前記薬学的に受容可能なキャリアはクリームである、請求項79に記載の方法。
【請求項109】
前記薬学的に受容可能なキャリアは軟膏である、請求項79に記載の方法。
【請求項110】
前記薬学的に受容可能なキャリアはゲルである、請求項79に記載の方法。
【請求項111】
前記薬学的に受容可能なキャリアは液剤である、請求項79に記載の方法。
【請求項112】
前記薬学的に受容可能なキャリアはエマルジョンである、請求項79に記載の方法。
【請求項113】
前記薬学的に受容可能なキャリアはローションである、請求項79に記載の方法。
【請求項114】
前記薬学的に受容可能なキャリアは実質的に密封性である、請求項79に記載の方法。
【請求項115】
前記組成物は、透過性促進剤をさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項116】
前記組成物は、日焼け止め剤をさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項117】
前記組成物は、保湿剤をさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項118】
前記組成物は、ビタミンをさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項119】
前記組成物は、植物抽出物をさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項120】
ドライアイを処置するための方法であって、該方法は、
プロゲスターゲンおよびテストステロンならびに薬学的に受容可能なクリームキャリアを含む組成物を適用する工程;
を包含し、ここで該プロゲスターゲンは、約2%〜約30%の間の濃度で存在し、前記テストステロンは、約0.01%〜約30%の間の濃度で存在し、該組成物は、眼の眼瞼部分に適用される、方法。
【請求項121】
前記プロゲスターゲンは、約10%〜約30%の濃度で存在する、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記プロゲスターゲンは、約15%〜約25%の濃度で存在する、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
前記プロゲスターゲンは、約15%の濃度で存在する、請求項120に記載の方法。
【請求項124】
前記テストステロンは、約1%〜約5%の濃度で存在する、請求項111に記載の方法。
【請求項125】
前記テストステロンは、約15%の濃度で存在する、請求項111に記載の方法。
【請求項126】
眼を処置するための方法であって、該方法は、
治療有効量のプロゲスターゲン、治療有効量のテストステロン、および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を、眼の表面に適用する工程、
を包含する、方法。
【請求項127】
前記プロゲスターゲンはプロゲステロンである、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記プロゲスターゲンは、プロゲステロンの誘導体である、請求項126に記載の方法。
【請求項129】
前記プロゲスターゲンは合成プロゲスターゲンである、請求項126に記載の方法。
【請求項130】
前記プロゲスターゲンは、酢酸メドロキシプロゲステロンである、請求項126に記載の方法。
【請求項131】
前記プロゲスターゲンはノルエチンドロンである、請求項126に記載の方法。
【請求項132】
前記プロゲスターゲンは酢酸ノルエチンドロンである、請求項126に記載の方法。
【請求項133】
前記プロゲスターゲンは酢酸メゲストロールである、請求項126に記載の方法。
【請求項134】
前記プロゲスターゲンは17−a−ヒドロキシプロゲステロンカプロエートである、請求項126に記載の方法。
【請求項135】
前記プロゲスターゲンはノルゲストレルである、請求項126に記載の方法。
【請求項136】
前記プロゲスターゲンは、約0.01%〜約10%の濃度で存在する、請求項126に記載の方法。
【請求項137】
前記プロゲスターゲンは、約2%の濃度で存在する、請求項126に記載の方法。
【請求項138】
前記プロゲステロンは、約0.01%〜約10%の濃度で存在する、請求項126に記載の方法。
【請求項139】
前記プロゲステロンは、約2%の濃度で存在する、請求項126に記載の方法。
【請求項140】
前記組成物は、1日に1回適用される、請求項126に記載の方法。
【請求項141】
前記組成物は、1日に少なくとも2回適用される、請求項126に記載の方法。
【請求項142】
前記組成物は、1日に少なくとも約4回適用される、請求項126に記載の方法。
【請求項143】
前記組成物は、1日に約4回から1日に約8回の間で適用される、請求項126に記載の方法。
【請求項144】
前記薬学的に受容可能なキャリアはクリームである、請求項126に記載の方法。
【請求項145】
前記薬学的に受容可能なキャリアは軟膏である、請求項126に記載の方法。
【請求項146】
前記薬学的に受容可能なキャリアはゲルである、請求項126に記載の方法。
【請求項147】
前記薬学的に受容可能なキャリアは液剤である、請求項126に記載の方法。
【請求項148】
前記薬学的に受容可能なキャリアはエマルジョンである、請求項126に記載の方法。
【請求項149】
前記薬学的に受容可能なキャリアはローションである、請求項126に記載の方法。
【請求項150】
前記薬学的に受容可能なキャリアは実質的に密封性である、請求項126に記載の方法。
【請求項151】
前記組成物は、透過性促進剤をさらに含む、請求項126に記載の方法。
【請求項152】
前記組成物は、日焼け止め剤をさらに含む、請求項126に記載の方法。
【請求項153】
前記組成物は、保湿剤をさらに含む、請求項126に記載の方法。
【請求項154】
前記組成物は、ビタミンをさらに含む、請求項126に記載の方法。
【請求項155】
前記組成物は、植物抽出物をさらに含む、請求項126に記載の方法。
【請求項156】
前記テストステロンは、(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン、(17)−17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン異性体、δ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン、δ−4−アンドロステン−17−オール−3−オン異性体、およびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項126に記載の方法。
【請求項157】
前記テストステロンは、酢酸エステル、エナント酸エステル、シピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、プロピオン酸エステル、およびウンデカン酸エステルのようなテストステロンエステル、酢酸シプロテロン、ダナゾール、フィナステリド、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、およびテストラクトンからなる群より選択されるアンドロゲン様化合物である、請求項126に記載の方法。
【請求項158】
眼の状態を処置するための方法であって、該方法は、
プロゲスターゲンおよびテストステロンならびに薬学的に受容可能なクリームキャリアを含む組成物を適用する工程
を包含し、ここで該プロゲスターゲンは、約0.1%〜約10%の間の濃度で存在し、該テストステロンは、約0.001%〜20%の間の濃度で存在し、該組成物は、眼の表面に適用される、方法。

【公表番号】特表2010−511730(P2010−511730A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540453(P2009−540453)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/086517
【国際公開番号】WO2008/070728
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509157292)サザン カレッジ オブ オプトメトリー (2)
【Fターム(参考)】