説明

テトラゾール誘導体の製造

本発明は、ラセミ体のまたはそれらのエナンチオマーとしての式
【化1】


〔式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルである。〕の(S)−ピロリジン−1H−テトラゾール誘導体またはそれらの互変異性体、類似体または塩に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラセミ体のまたはそれらのエナンチオマーとしてのピロリジン−1H−テトラゾール誘導体またはそれらの類似体または塩、この方法により得られた化合物、新規反応物および新規テトラゾール誘導体に関する。
【発明の開示】
【0002】
故に、本発明は、ラセミ体またはエナンチオマーとしての、式
【化1】

〔式中、
、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルであり、そしてRは水素であるか、または分枝C−C−アルキル(これはC−C−アルキルおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る);アリル(これはOH、ハロおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、シンナミル(これはC−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびC−C−アルカノイルオキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、フェニルによりモノ、ジもしくはトリ置換されているC−C−アルキル(ここで、該フェニル環は非置換または置換であるか、例えばtert−C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシから選択される、1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換され得る);C−C−アルカノイルオキシ;アラルカノイルオキシ;フルオレニル;トリ−C−C−アルキル−シリル、またはジ−C−C−アルキル−フェニル−シリルのようなシリル;C−C−アルキル−スルホニル;フェニルスルホニル(ここで、該フェニル環は非置換であるか、または1個以上、例えば2個または3個の、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル−オキシから成る群から選択される置換基で置換されている)のようなアリールスルホニル;C−C−アルカノイル;ベンゾイルおよびエステル化カルボキシから成る群から選択されるか;またはRはカチオンである。〕
の(S)−ピロリジン−1H−テトラゾール誘導体、それらの互変異性体、類似体または塩の製造方法に関する。
【0003】
とりわけ、本発明は、ラセミ体またはエナンチオマーとしての、式
【化2】

〔式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルである。〕
の(S)−ピロリジン−1H−テトラゾール誘導体、それらの互変異性体、類似体もしくは塩の製造方法に関する。
【0004】
上記および下記の対応する残基に使用する定義は、特記しない限り、以下の意味を有する:
有機残基は、例えば;脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基であって、各残基は、互いに独立して、非置換であるかまたは置換されている。
【0005】
脂肪族残基は、例えば、アルキル、アルケニルまたは第2級アルキニルであって、この各々はNH、置換NH、O、またはSによって中断されていてよく;そしてこの各々は非置換であるか、または置換、例えば、モノ−、ジ−またはトリ−置換されていてよい。
【0006】
アルキルは、例えば、C−C20−アルキル、特にC−C10−アルキルである。C−C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルが好ましい。
【0007】
アルケニルは、例えば、C−C20−アルケニル、特にC−C10−アルケニルである。好ましいのはC−C−アルケニル;例えば、2−プロペニルまたは2−または3−ブテニルである。アルケニルは同様にC−C20−アルケニル、特にC−C10−アルケニルである。好ましいのはC−C−アルケニルである。
【0008】
アルキニルは、例えば、C−C20アルキニル、特にC−C10アルキニルである。好ましいのはプロパルギルのようなC−Cアルキニルである。アルキニルは同様にC−C20アルキニル、特にC−C10アルキニルである。好ましいのはC−Cアルキニルである。
【0009】
NH、置換NH、OまたはSにより中断されていてよいアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、特にC−C20−アルコキシ−C−C20−アルキル、−C−C20−アルケニルまたは−C−C20−アルキニル、またはC−C20−アルケニルオキシ−C−C20−アルキル、−C−C20−アルケニルまたは−C−C20−アルキニル、例えば、C−C10−アルコキシ−C−C10−アルキル、−C−C10−アルケニルまたは−C−C10−アルキニル、またはC−C10−アルケニルオキシ−C−C10−アルキル、−C−C10−アルケニルまたは−C−C10−アルキニルである。好ましいのはC−C−アルコキシ−C−C−アルキル、−C−C−アルケニルまたは−C−C−アルキニル、またはC−C−アルケニルオキシ−C−C−アルキル、−C−C−アルケニルまたは−C−C−アルキニルである。
【0010】
置換NHは、例えば、メチル、エチルもしくはプロピルのようなC−C−アルキルで、ベンジルもしくは2−フェネチルのようなフェニル−C−C−アルキルで、またはカルボベンジルオキシもしくはベンジルオキシカルボニルのようなC−C−アルコキシカルボニルで、またはC−C−アルキル−アルカノイル、フェニル−C−C−アルカノイル、ベンゾイル、C−C−アルカンスルホニルもしくはベンゼンスルホニルのようなアシルで置換されているNHである。
【0011】
脂環式残基は、例えば、単、二または多環式である。好ましいのはシクロアルキルおよび二次的シクロアルケニルである(この各々も置換されていてよい)。
シクロアルキルは、特にC−Cシクロアルキルである。好ましいのはシクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0012】
シクロアルケニルは、特にC−Cシクロアルケニルであり、好ましくはシクロペント−2−および−3−エニル、またはシクロヘキシ−2−および−3−エン−イルである。
【0013】
ヘテロ脂環式残基は、例えば、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子、例えばNH、置換NH、O、またはS(この各々も置換されていてよい)で置換されている脂環式残基である。
【0014】
脂環式脂肪族残基は、例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニルで置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニルである。好ましいのはC−C−シクロアルキルまたはC−C−シクロアルケニルで各々置換されたC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−アルキニル、とりわけシクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、またはシクロヘキセニル−メチルである。
【0015】
ヘテロ環式脂肪族残基は、例えば、C−CシクロアルキルまたはC−C−シクロアルケニル(ここで、C−CシクロアルキルまたはC−C−シクロアルケニル各々の1個の炭素原子が、NH、置換NH、O、またはSで置換されている)で各々置換されたC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−アルキニル、とりわけピペリジノ−メチルまたは−エチルである。
【0016】
炭素環式芳香族性残基は、例えば、単または多環式(例えば二環式)またはベンゾ縮環(anellated)炭素環式残基、例えばフェニル、ナフチルであり、またビフェニルでもある(この各々も置換されていてよい)。
【0017】
ヘテロ環式芳香族性残基は、例えば、4個までの、同一または異なる窒素、酸素または硫黄原子のようなヘテロ原子、好ましくは1個、2個、3個または4個の窒素原子、酸素原子または硫黄原子を有する5または6員および単環式ラジカルである(この各々も置換されていてよい)。適当な5員ヘテロアリールラジカルは、例えば、モノアザ、ジアザ、トリアザ、テトラアザ、モノオキサまたはモノチア環状アリールラジカル、例えばピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリルおよびチエニルであり、一方適当な6員ラジカルは特にピリジルである。
【0018】
芳香脂肪族残基(アラルキル)は、例えば、フェニルまたはナフチルにより各々置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−アルキニル、とりわけベンジル、2−フェネチルまたは2−フェニル−エテニルである。
【0019】
ヘテロ芳香脂肪族残基は、例えば、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニルまたはピリジルで各々置換されているC−C−アルキル、C−C−アルケニルまたはC−C−アルキニル、とりわけピリジルメチルである。
【0020】
アルキル、アルケニル、またはアルキニルはまた、例えば脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;炭素環式およびヘテロ環式芳香族性残基から成る群から選択される、例えば置換基で置換されていてもよく;各残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、例えば、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、メルカプト、置換メルカプト、ヒドロキシル、エーテル化ヒドロキシル、カルボキシ、およびアミド化カルボキシから成る群から選択される、1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている。
【0021】
脂環式またはヘテロ脂環式残基もまた、例えば脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;炭素環式およびヘテロ環式芳香族性残基から成る群から選択される、例えば、1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されていてよく;各残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、例えば、ハロゲン;アミノ、置換アミノ、メルカプト、置換メルカプト、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、ヒドロキシル、エーテル化ヒドロキシル、カルボキシ、およびアミド化カルボキシから成る群から選択される、1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている。
【0022】
脂環式−脂肪族残基、ヘテロ脂環式−脂肪族残基、芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基において、各残基(例えば脂環式および脂肪族部分両方)は、互いに独立して、非置換であるか、または、両方の置換基における構造要素において、例えば、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式芳香族性残基、ヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基;ヘテロ芳香脂肪族残基、ハロゲン;アミノ、置換アミノ、メルカプト、置換メルカプト、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、ヒドロキシル、エーテル化ヒドロキシル、カルボキシ、およびアミド化カルボキシから成る群から選択される、1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている。
【0023】
炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基はまた、例えば、1個以上、例えば2個または3個の、例えば脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;炭素環式およびヘテロ環式芳香族性残基から成る群から選択される置換基で置換されていてもよく;各残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、例えば、ハロゲン;アミノ、置換アミノ、メルカプト、置換メルカプト、置換スルホニル、置換スルホニルオキシ、ヒドロキシル、エーテル化ヒドロキシル、カルボキシ、およびアミド化カルボキシから成る群から選択される1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されていてよい。
【0024】
脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基の置換基はまた同様にアセタール化ホルミルでもあり得る。
【0025】
ハロゲンは、特にフッ素、塩素、臭素およびヨウ素のような原子番号53を超えないハロゲンである。
【0026】
置換メルカプトは、例えば、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基で置換されており、各残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、例えば、ハロゲン;アミノ、置換アミノ、メルカプト、置換メルカプト、ヒドロキシル、エーテル化ヒドロキシル、カルボキシ、およびアミド化カルボキシから成る群から選択される1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている。
【0027】
置換スルホニルは、例えば、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基で置換されており、各残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、例えば、ハロゲン;アミノ、置換アミノ、メルカプト、置換メルカプト、ヒドロキシル、エーテル化ヒドロキシル、カルボキシ、およびアミド化カルボキシから成る群から選択される、1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている。好ましいのはメタン−スルホニル、フェニル−スルホニル(該フェニル環は、非置換であるか、または例えばC−C−アルキル(alkly)、C−C−アルコキシ、ハロゲンおよびニトロから成る群から選択される1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている)のようなC−C−アルカン−スルホニル、例えば、フェニルスルホニルまたはトシルである。
【0028】
置換スルホニルオキシは、例えば、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基で置換されており、各残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、例えば、ハロゲン;アミノ、置換アミノ、メルカプト、置換メルカプト、ヒドロキシル、エーテル化ヒドロキシル、カルボキシ、およびアミド化カルボキシから成る群から選択される、1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている。好ましいのはメタン−スルホニルオキシ、フェニル−スルホニルオキシ(該フェニル環は、非置換であるか、または例えばC−C−アルキル(alkly)、C−C−アルコキシ、ハロゲンおよびニトロから成る群から選択される1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている)のようなC−C−アルカン−スルホニルオキシ、例えばフェニルスルホニル(sulfonly)オキシまたはトシルオキシである。
【0029】
エーテル化ヒドロキシは、例えば、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、芳香脂肪族、ヘテロアリール−脂肪族、炭素環式芳香族性またはヘテロ芳香族性アルコールでエーテル化されたヒドロキシである(この各々も置換されていてよい)。
【0030】
エステル化カルボキシは、例えば、アルコキシ−アルキル、−アルケニルおよび−アルキニルのように−O−で中断されていてもよい、アルキル、フェニル−アルキル、アルケニルおよび第2級アルキニルのような脂肪族または芳香脂肪族炭化水素ラジカル由来のアルコールによりエステル化されたカルボキシである。記載し得る例は、C−Cアルコキシ−、フェニル−C−Cアルコキシ−、C−Cアルケニルオキシ−およびC−Cアルコキシ−C−Cアルコキシ−カルボニルである。
【0031】
アミド化カルボキシルは、例えば、アミノ基が非置換であるか、または脂肪族または芳香脂肪族炭化水素ラジカルによりモノ置換もしくは、互いに独立して、ジ置換されているか、またはOで中断されていてもよい、または2個の隣接炭素原子でベンゼン環と縮合していてもよい、2価脂肪族炭化水素ラジカル、特にアルキレンまたは低級アルキレンオキシ−アルキレンでジ置換されているカルバモイルである。記載し得る適当な置換アミノ基の例は、C−Cアルキル−、C−Cアルケニル−、C−Cアルキニル−、フェニル−C−Cアルキル−、フェニル−C−Cアルケニル−、フェニル−C−Cアルキニル−、ジ−C−Cアルキル−、N−C−Cアルキル−N−フェニル−C−Cアルキル−およびジフェニル−C−Cアルキルアミノおよびまたキノール−1−イル、イソキノール−2−イル、C−Cアルキレン−およびC−Cアルキレンオキシ−C−Cアルキレン−アミノである。
【0032】
アルキレンは、例えば、C−C10アルキレン、特に、C−Cアルキレン、例えばメチレン、エチレン、または1,5−ペンチレンである。対応するアルキレンはまた分枝していてもよい。
【0033】
置換アミノは置換カルバモイルに関連して示した意味を有し、そしてさらにアシルアミノであり、例えばC−C−アルカノイル−、フェニル−C−C−アルカノイル−、ベンゾイル−、C−C−アルカンスルホニル−またはベンゼンスルホニルアミノである。
【0034】
アセタール化ホルミルは、例えば、ジ−アルコキシメチルまたはオキシ−アルキレンオキシメチレンである。最も好ましいのは分枝オキシ−アルキレン−オキシ−メチレンであり、ここで、該アルキレン基がオキシ−2,3−ブチレン−オキシ−メチレンまたはオキシ−2,3−ジ−メチル−2,3−ブチレン−オキシ−メチレンのような分枝している。
【0035】
アルカノイルは、例えば、C−C10アルカノイルであり、特にC−Cアルカノイル、例えばアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルまたはピバロイルである。C−Cアルカノイルが好ましい。
【0036】
ハロアルキルスルファモイルは、特にハロ−C−C10アルカンスルファモイルであり、特にC−Cアルカンスルファモイル、例えば、トリフルオロメタン−、ジフルオロメタン−、1,1,2−トリフルオロエタン−またはヘプタフルオロプロパンスルファモイルである。ハロ−C−Cアルカンスルファモイルが好ましい。
【0037】
ピロリルは、例えば、2−または3−ピロリルである。ピラゾリルは3−または4−ピラゾリルである。イミダゾリルは2−または4−イミダゾリルである。トリアゾリルは、例えば、1,3,5−1H−トリアゾル−2−イルまたは1,3,4−トリアゾル−2−イルである。テトラゾリルは、例えば、1,2,3,4−テトラゾール−5−イルであり、フリルは2−または3−フリルであり、そしてチエニルは2−または3−チエニルであり、一方適当なピリジルは2−、3−または4−ピリジルまたは対応するN−オキシド−ピリジルである。
【0038】
アルコキシは、例えば、C−C20アルコキシ、特にC−C10アルコキシである。好ましいのはC−Cアルコキシであり、最も好ましいのは、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシまたはtert−ブチルオキシのようなC−Cアルコキシである。
【0039】
上記および下記の残基の置換基は、好ましくは反応物を妨害する置換基を含まないべきである。
【0040】
好ましいR、RまたはRは、各々、非置換アミノ、モノおよびジ置換アミノ、アジド、アルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換および非置換ベンジル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、シリルオキシ、シアノ、スルホニル、置換メルカプトから成る群から選択され、とりわけ前記の対応する定義中に特記の代表である。
好ましくは、Rは、一つの態様において水素である。
【0041】
あるいは、Rはここで定義の有機残基であり、好ましくは以下から成る群から選択される:
− イソプロピルまたはtert−ブチルのような分枝C−C−アルキル、
− C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得るメチル、例えば1−エトキシエチル、1−メトキシ−1−メチルエチル;
− アリル(これはOH、ハロおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、好ましくはアリル;
− シンナミル(これはC−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびC−C−アルカノイルオキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、好ましくはシンナミル;
− ベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、または1−メチル−1−フェニルエチル(クミル)のようなフェニルでモノ、ジまたはトリ置換されているC−C−アルキル(ここで、該フェニル環は、非置換であるか、または例えばtert−C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシから成る群から選択される1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている);
− C−C−アルカノイルオキシ;
− アラルカノイルオキシ;
− フルオレニル;
− トリ−C−C−アルキル−シリル、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはtert−ブチル−ジメチルシリル、またはジ−C−C−アルキル−フェニル−シリル、例えば、ジメチル−フェニルシリルのようなシリル;
− C−C−アルキル−スルホニル;
− フェニルスルホニル(ここで、該フェニル環は非置換であるか、またはC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル−オキシ;アセチルまたはバレロイルのようなC−C−アルカノイル;ベンゾイルおよびエステル化カルボキシから成る群から選択される1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている)のようなアリールスルホニル。
【0042】
あるいは、Rはカチオンである。例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばLi(I)、Na(I)、K(I)、Rb(I)、Cs(I)、Mg(II)、Ca(II)、Al(III)、Pd(II)、Pt(II)、Cu(I)、Cu(II)およびSr(II)、最も好ましくは、Na(I)、K(I)、Cs(I)またはPd(II)を含む。Rがカチオンであるならば、本発明の化合物は、以下のように示し得る:
【化3】

〔式中、R、RおよびRはここで定義の通りである。〕。
【0043】
Rの最も好ましい例は、H、tert−ブチル、メチル、イソプロピル、ベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、1−メチル−1−フェニルエチル、トリフェニルメチル、(p−メトキシフェニル)−ジフェニルメチル、ベンジルオキシメチル、アリルおよびシンナミル、ならびに上記の通りのその置換誘導体、特にフェニル置換誘導体を含む。
【0044】
式(I)の化合物が少なくとも1個の酸基、すなわち5−テトラゾリル基を含むため、塩基との塩を形成できる。塩基との適当な塩は、例えば、金属塩、またはアンモニアまたは有機アミンとの塩である。対応する分子内塩もさらに形成され得る。式(I)の化合物は、X線結晶構造回折により確認された通り、双性イオン形で存在できる。式(I)の化合物が、例えば、少なくとも1個の塩基性中心を含むならば、酸付加塩であり得る。これは、例えば強無機酸、強有機カルボン酸、または有機スルホン酸と形成される。
【0045】
式(I)の化合物は、エナンチオマー的にまたはジアステレオマー的に純粋な形で化合物の合成における有機触媒として使用できる。
【0046】
式(I)の化合物のエナンチオマー的に純粋な形は>99%eeである。
式(I)の化合物のジアステレオマー的に純粋な形は>99%eeである。
式(I)の化合物の互変異性体は、式の化合物である。
【0047】
好ましいは、ラセミ体またはエナンチオマーとしての、式
【化4】

のピロリジン−1H−テトラゾール、それらの互変異性体、それらの類似体もしくはそれらの塩である。
【0048】
とりわけ好ましいのは、ラセミ体またはエナンチオマーとしての、式
【化5】

のピロリジン−1H−テトラゾール、それらの互変異性体、類似体またはそれらの塩であり、これらは例えばアルドール反応、ニトロアルドール反応、マンニッヒ型反応、α−アミノ化反応、α−ヒドロキシル化反応、ミカエル反応、におけるキラル化合物の製造における、およびエナンチオピュアな化合物の合成における有機触媒として使用でき、将来的にエナンチオピュアな化合物の合成においてより広い適用を有するであろう。
【0049】
とりわけ好ましいのは、
【化6】

またはそれらの互変異性体もしくは塩である。
【0050】
また好ましいのは、ラセミ体またはエナンチオマーとしての、式
【化7】

〔式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルであり、そしてRは水素またはtert−ブチル、メチル、イソプロピル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、1−メチル−1−フェニルエチル、トリフェニルメチル、(p−メトキシフェニル)−ジフェニルメチル、ベンジルオキシメチル、アリルおよびシンナミルである。〕
の化合物、それらの互変異性体もしくは塩である。
【0051】
また好ましいのは、ラセミ体またはそれらのエナンチオマーとしての、式
【化8】

〔式中、
、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルであり、そしてRは、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばLi(I)、Na(I)、K(I)、Rb(I)、Cs(I)、Mg(II)、Ca(II)、Al(III)、Pd(II)、Pt(II)、Cu(I)、Cu(II)およびSr(II)のカチオンである。〕
の化合物またはそれらの互変異性体である。
【0052】
テトラゾール誘導体を、種々のニトリルと有機アジドの反応により比較的良い収率で製造できることは、当分野で既知である。対応するアジドの代表は、例えば、いくつかの毒性側面を有する有機錫アジドである。それらは製造過程で特別の注意を払って取り扱わねばならず、環境問題の原因となり、そして排水からのそれらのリサイクルのために相当な量の付加的工程を必要とし、それによりさらに製造費用が増加する。トリアルキルアンモニウムアジドまたはテトラアルキルアンモニウムアジドを使用するテトラゾール形成法は、反応容器中で高温で爆発の危険を有する揮発性の昇華物を形成し得、故に大規模製造での取り扱いは容易ではない。
【0053】
上記の欠点を避ける変法、新規試薬および中間体の開発に対する強い要求がある。とりわけ、対応する有機錫アジドを、十分に高収率でのテトラゾールの製造において価値のある代替物である別の試薬に置き換えるために多くの努力が成されている。
【0054】
本発明は、ラセミ体またはそれらのエナンチオマーとしての、式
【化9】

〔式中、
、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルであり、そしてRは水素であるか、分枝C−C−アルキル(これはC−C−アルキルおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る);アリル(これはOH、ハロおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、シンナミル(これは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびC−C−アルカノイルオキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、フェニルによりモノ、ジもしくはトリ置換されているC−C−アルキル(ここで、該フェニル環は非置換であるか、または1個以上、例えば2個または3個の、例えばtert−C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシから成る群から選択される置換基で置換されている)、C−C−アルカノイルオキシ;アラルカノイルオキシ;フルオレニル;トリ−C−C−アルキル−シリル、またはジ−C−C−アルキル−フェニル−シリルのようなシリル;C−C−アルキル−スルホニル;フェニルスルホニル(ここで、フェニル環は非置換であるか、または1個以上、例えば2個または3個の、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル−オキシから成る群から選択される置換基で置換されている)のようなアリールスルホニル;C−C−アルカノイル;ベンゾイルおよびエステル化カルボキシから成る群から選択されるか;またはRはカチオンである。〕
の(S)−ピロリジン−1H−テトラゾール誘導体、それらの互変異性体、類似体またはそれらの塩の製造方法であって;
【0055】
(i)式
【化10】

〔式中、可変基R、RおよびRは上記で定義の意味を有する。〕
の化合物と、式(R)(R)M−N(IIb)〔式中、RおよびRは、互いに独立して、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基のような有機残基であり、各残基は、互いに独立して、非置換であるかまたは置換されており;そしてMはホウ素またはアルミニウムであり;そしてZは保護基である。〕のアジドを反応させ、そして
(ii)得られる式(IA)または(IB)の化合物を単離する
ことを含む、方法に関する。
【0056】
本発明はまた、ラセミ体またはエナンチオマーとしての、式
【化11】

〔式中、Rは有機残基である。〕
のピロリジン−1H−テトラゾール誘導体、それらの互変異性体、類似体もしくは塩の製造方法であって;
(i)式
【化12】

〔式中、可変基R、RおよびRは上記で定義の意味を有する。〕
の化合物と、式(R)(R)M−N(IIb)〔式中、RおよびRは、互いに独立して、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基のような有機残基であり、各残基は、互いに独立して、非置換であるかまたは置換されており;そしてMはホウ素またはアルミニウムであり;そしてZは保護基である。〕、のアジドを反応させ、そして
(ii)得られる式(I)の化合物を単離する
ことを含む、方法に関する。
【0057】
保護基Zは、例えば、ペプチド化学において、とりわけピロリジンの保護の化学において慣用のアミノ保護基(参照:“Protective groups in Organic Synthesis”, 5th. Ed. T. W. Greene & P. G. M. Wuts)である。好ましい保護基は、例えば、(i)ベンジルのような、フェニルでモノ−、ジ−またはトリ置換されているC−C−アルキル、(または)ベンズヒドリルまたはトリチル(ここで、フェニル環は非置換であるか、または1個以上、例えば2個または3個の、例えばC−C−アルキル、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル−オキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、およびCFから成る群から選択される残基で置換されている);フェニル−C−C−アルコキシカルボニル;およびアリルまたはシンナミルを含む。
【0058】
とりわけ好ましいのは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(carbony)(Fmoc)、ベンジルオキシメチル(BOM)、ピバロイル−オキシ−メチル(POM)、トリクロロエトキシ(ethxoy)カルボニル(Troc)、1−アダマンチルオキシカルボキシル(carbonxyl)(Adoc)だけでなく、またベンジル、クミル、ベンズヒドリル、トリチル、アリルでもある。Zはまたトリアルキル(alkly)シリル、とりわけトリメチルシリル、tert.−ブチル−ジメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリメチルシリル(sily)エトキシメチル(SEM)のようなシリル、およびまた置換スルホニルまたは置換スルフェニルでもある。置換スルホニルトルオールスルホニルクロライド(Tos−Cl)。置換スルフェニル。
【化13】

【0059】
好ましくは、可変基R、RまたはRの置換基が各々式(IIb)の化合物との反応の間に妨害しない式(IIa)の化合物を使用する。
【0060】
好ましい式(R)(R)M−N(IIb)のアジドは、Mがアルミニウムまたはホウ素であり、RおよびRが、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ジイソブチル、tert−ブチルもしくはn−オクチルのようなC−C−アルキル;アリルもしくはクロチルのようなC−Cアルケニル、シクロヘキシルのようなC−C−シクロアルキル;ベンジルもしくは2−フェネチルのようなフェニル−C−C−アルキル;シンナミルのようなフェニル−C−Cアルケニル、またはシクロプロピルメチルもしくはシクロヘキシルメチルのようなC−C−シクロアルキル−C−C−アルキルである対応する化合物である。同様に、RおよびRは、互いに独立して、フェニル−C−Cアルケニルである。
とりわけ好ましいアジドは実施例に記載のものである。
【0061】
式(IIb)のアジドと式(IIa)のニトリルのモル比は5から1、好ましくは、3から1、最も好ましくは、1,8から1または1,2から1の範囲である。
【0062】
不活性溶媒、希釈剤またはそれらの混合物を選択すべきであり、これは出発物質または中間体と反応し得ないことを意味する。適当な溶媒は、例えば、C−C10−アルカン、例えばヘプタン、シクロヘキサンのようなシクロアルカンのような、脂肪族、シクロ脂肪族および芳香族性炭化水素;およびメチル−シクロヘキサンまたは1,3−ジメチル−シクロヘキサンのようなアルキル化C−Cシクロアルカン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、またはメシチレンのようなアルキル化ベンゼン;クロロベンゼン、o−、m−またはp−クロロトルエン、ジクロロベンゼン、およびトリフルオロメチルベンゼンのようなハロゲン化芳香族性溶媒(これは、例えばC−CアルキルまたはC−Cアルコキシでさらに置換されていてよい);およびハロゲン化炭化水素、例えば、クロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族性化合物から成る群から選択される。さらなる溶媒は、テトラヒドロフランのようなエーテルである。さらに、適当な溶媒、希釈剤またはそれらの混合物は、本反応条件下で使用するのに十分に高い沸点を有すべきである。
【0063】
好ましい溶媒または希釈剤は、脂肪族炭化水素、例えば、ヘプタンまたはn−オクタンのようなC−Cアルカン;芳香族性炭化水素、例えば、トルエンまたはキシレンのようなC−Cアルキルで置換されたフェニル、またはそれらの混合物である。
【0064】
反応温度は、好ましくは、室温から溶媒、希釈剤またはそれらの混合物の沸点までの温度範囲であり、例えば、反応温度範囲は、反応物の反応性および組み合わせに依存して、約20℃から約170℃、好ましくは、約60℃から約130℃または約140℃である。当業者は、対応する適当な溶媒および希釈剤系ならびに選択した溶媒系および反応物に合う反応条件を十分に選択することができる。
【0065】
反応は、最も好ましくは無水条件下で行う。
本発明の好ましい態様において、本発明は、80℃から120℃、好ましくは60℃から80℃の温度範囲で、またはとりわけいくつかの不安定な保護基の場合、好ましくは30℃から50℃の間で行う。
【0066】
単離工程は、慣用の単離方法に従い、得られる式(I)の化合物またはそれらの互変異性体もしくは塩の反応混合物からの結晶化または反応混合物のクロマトグラフィーにより、例えば、得られる化合物を反応混合物からの結晶化により − 望むならば、または必要であるならば、後処理後、とりわけ抽出により − または反応混合物のクロマトグラフィーにより行う。この文脈はまた作業実施例も参照のこと。
【0067】
ラセミ体またはエナンチオマーとしての、Rが有機残基である式(I)の化合物、それらの互変異性体、類似体もしくはそれらの塩の製造のための本発明の方法の変法は;
(a)式
【化14】

〔式中、可変基R、RおよびRは上記で定義の意味を有し、そしてZは保護基である。〕
の化合物と、式(R)(R)M−N(IIb)(式中、RおよびRは上記で定義の意味を有する)のアジドを反応させ、
(b)得られる式(IIc)
【化15】

の化合物から保護基を除去し、そして
(c)得られる式(I)の化合物を単離する
ことを含む。
【0068】
本発明の変法において、Rが分枝C−C−アルキル(これはC−C−アルキルおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る);アリル(これはOH、ハロおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、シンナミル(これは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびC−C−アルカノイルオキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、フェニルによりモノ、ジもしくはトリ置換されているC−C−アルキル(ここで、該フェニル環は非置換であるか、または例えばtert−C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシから成る群から選択される1個以上、例えば2個または3個の、置換基で置換されている);アラルカノイルオキシ;フルオレニル;トリ−C−C−アルキル−シリル、またはジ−C−C−アルキル−フェニル−シリルのようなシリル;C−C−アルキル−スルホニル;フェニルスルホニル(ここで、該フェニル環は非置換であるか、またはC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル−オキシから成る群から選択される1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている)のようなアリールスルホニル;C−C−アルカノイル;ベンゾイルおよびエステル化カルボキシから成る群から選択されるならば、この基を、下記の通り、好ましくは工程(i)の後に挿入し得る。
【0069】
適当な基Rの、テトラゾール環のN−1位またはN−2位への挿入のために、酸性または塩基性条件を使用することが可能である。これらの基は、それらが有機触媒反応において機能を有するため官能基であるか、またはそれは同時に保護基および官能基であり得る。例えば、t−Bu、クミルまたはベンズヒドリルのような残基Rは、テトラゾール環に強酸性条件下で挿入できる。適当には、工程(i)について上記と同様の不活性溶媒、好ましくはジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素を使用する。使用できる酸はトリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、濃塩酸、硫酸などである。
【0070】
この基の挿入中、異性体の混合物(N−1およびN−2位)が、出発物質の互変異性体に従い、観察される。しかしながら、t−Buまたはクミル、ベンズヒドリルまたはトリチル基のような大きな基を挿入するとき、N−2異性体が主生成物である。
これとは対照的に、塩基性条件を使用するとき、異なる比率の混合物が得られる。
【0071】
塩基性条件は、メチルエチル、イソプロピル、アリルまたはベンジルのような小さな基を挿入するために特に好ましい。この基は、好ましくはピロリジン環のCbzまたはBocのような保護基を除去する前に導入する。塩基性条件は、例えば不活性溶媒中の炭酸カリウムのような無機塩基である。適当には、工程(i)について上記と同様の、好ましくはアセトニトリル、THF、ジオキサン、DMFまたはNMPを使用する。R−X(式中、XはIのようなハロである)のような対応するアルキル化剤を室温で添加してよい。
【0072】
アルキル基の導入の他の方法は、ここに記載の中性条件下の、R−NH−N=N−トリルのようなN−アルキルトリアゼンの使用である。
【0073】
Rがカチオンであるそれぞれの本発明の化合物は、置換されていない、すなわちRが水素である式(I)の化合物から、NaOH、NaOMe、KOH、Pd(OAc)、またはCsOHのような対応する塩基を使用して形成できる。
【0074】
本発明の好ましい変法において、テトラゾール環の形成(a)および保護基の除去(b)を、適当な反応条件を選択するならば、一工程で行うことができる。例えば、ZがBoc−保護基であり、反応を酸性(<pH2)水性系で行うならば、Boc基が除去され、その結果化合物(I)がワンポット反応順序で得られる。
【0075】
水素化触媒は、例えば、ラネイニッケルのようなニッケル、および貴金属またはそれらの誘導体、例えば酸化物、例えば酸化パラジウム、酸化プラチナまたは酸化白金であり、それらは、望むならば支持物質、例えば炭素または炭酸カルシウムに適用でき、例えば、プラチナ/炭素である。水素または水素ドナーでの水素化は、好ましくは1から約100気圧および約−80°から約200℃の温度で、特に室温から約100℃で行い得る。
【0076】
対応するアミノ保護基の除去方法は当業者に既知であり、とりわけ“Protective groups in Organic Synthesis”, 5th. Ed., T. W. Greene & P. G. M. Wutsに記載されている。対応する方法は、引用により本明細書に包含する。
【0077】
保護基の除去は、使用した保護基に適合すべき適当な反応条件を使用して行う。例えば、Zがベンジルオキシカルボニルであるならば、該保護基を水素化の下、とりわけ水素化触媒の存在下で、または過剰のジアルキルアルミニウム試薬で除去する。
【0078】
保護基を、ピロリジン窒素から、HCl、HBr、CFCOOH(Boc、Adoc、Cbz基)のような穏やかな乃至強酸性での処理により、または触媒(例えばBOM、Cbz、Bn、クミル、など)存在下の水素化または移動水素化により除去できる。Fmoc保護基は、穏やかな条件下モルホリンまたはピペリジンのような塩基で、またはテトラブチルアンモニウムフルオリドにより、室温で短時間で開裂できる。シリル基のような保護基は、酸処理により、またはフルオリドイオンでの処理により除去できる。
【0079】
式(IIa)の化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法を使用して製造できる。
【0080】
好ましいのは、R、R、Rがn−アルキル、分枝アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ベンジル、置換ベンジル、アリル、カルボキシアルキル、置換アミノ、アジド、アリールスルホニル、メルカプト、置換メルカプトである式(IIa)の化合物である。好ましいのは、イソプロピル、とりわけ4−イソプロピルのようなC−C−アルキル、フェニル、とりわけ5−フェニル、シアノ、とりわけ5−シアノ(cynao)、カルボ−C−C−アルコキシ、とりわけ5−カルボ−エトキシ、ハロゲン、とりわけ4−フルオロ、さらにアミノ、置換アミノ、アジド、アリール、ヒドロキシル、エステル化ヒドロキシル、メルカプト、置換メルカプト、トリ−アルキル−シリルオキシである。
【0081】
好ましくは、可変基Rの置換基が式(IIb)の化合物との反応の間に妨害しない式(IIa)の化合物を使用する。
【0082】
式(IIa)の化合物は、好ましくはRが上記で定義の通りである対応する化合物である。
【0083】
好ましい式(R)(R)M−N(IIb)のアジドは、Mがアルミニウムまたはホウ素であり、RおよびRが、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ジイソブチル、tert−ブチルもしくはn−オクチルのようなC−C−アルキル;アリルもしくはクロチルのようなC−Cアルケニル、シクロヘキシルのようなC−C−シクロアルキル;ベンジルもしくは2−フェネチルのようなフェニル−C−C−アルキル;シンナミルのようなフェニル−C−Cアルケニル、またはシクロプロピルメチルもしくはシクロヘキシルメチルのようなC−C−シクロアルキル−C−C−アルキルである、対応する化合物である。同様に、RおよびRが、互いに独立して、フェニル−C−Cアルケニルである。
とりわけ好ましいアジドは実施例に記載のものである。
【0084】
式(IIb)のアジドと式(IIa)のニトリルのモル比は5から1、好ましくは、3から1、最も好ましくは、1,8から1または1,2から1の範囲である。
【0085】
不活性溶媒、希釈剤またはそれらの混合物を選択すべきであり、これは出発物質または中間体と反応し得ないことを意味する。適当な溶媒は、例えば、C−C10−アルカン、例えばヘプタン、シクロヘキサンのようなシクロアルカンのような脂肪族、シクロ脂肪族および芳香族性炭化水素;およびメチル−シクロヘキサンまたは1,3−ジメチル−シクロヘキサンのようなアルキル化C−Cシクロアルカン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、またはメシチレンのようなアルキル化ベンゼン;クロロベンゼン、o−、m−またはp−クロロトルエン、ジクロロベンゼン、およびトリフルオロメチルベンゼンのようなハロゲン化芳香族性溶媒(これは、例えばC−CアルキルまたはC−Cアルコキシでさらに置換されていてよい);およびハロゲン化炭化水素、例えば、クロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族性化合物から成る群から選択される。さらなる溶媒は、テトラヒドロフランのようなエーテルである。さらに、適当な溶媒、希釈剤またはそれらの混合物は、本反応条件下で使用するのに十分に高い沸点を有すべきである。
【0086】
好ましい溶媒または希釈剤は、脂肪族炭化水素、例えば、ヘプタンまたはn−オクタンのようなC−Cアルカン;芳香族性炭化水素、例えば、トルエンまたはキシレンのようなC−Cアルキルで置換されたフェニル、またはそれらの混合物である。
【0087】
反応温度は、好ましくは、室温から溶媒、希釈剤またはそれらの混合物の沸点までの温度範囲であり、例えば、反応温度範囲は、反応物の反応性および組み合わせに依存して、約20℃から約170℃、好ましくは、約60℃から約130℃または約140℃である。当業者は、対応する適当な溶媒および希釈剤系ならびに選択した溶媒系および反応物に合う反応条件を十分に選択することができる。
【0088】
反応は、最も好ましくは無水条件下で行う。
本発明の好ましい態様において、本発明は、80℃から120℃、好ましくは60℃から80℃の温度範囲で、またはとりわけいくつかの不安定な保護基の場合、好ましくは30℃から50℃の間で行う。
【0089】
単離工程は、慣用の単離方法に従い、得られる式(I)の化合物またはそれらの互変異性体もしくは塩の反応混合物からの結晶化または反応混合物のクロマトグラフィーにより、例えば、得られる化合物を反応混合物からの結晶化により − 望むならば、または必要であるならば、後処理後、とりわけ抽出により − または反応混合物のクロマトグラフィーにより行う。この文脈はまた作業実施例も参照のこと。
【0090】
本発明の好ましい態様において、式(I)の化合物の(S)−または(R)−エナンチオマー各々を得ることができる。式(IIa)の化合物の対応するエナンチオマーを使用するか、または式(I)の化合物の得られるラセミ体を対応するエナンチオマーに分割できる。
【0091】
本発明の他の好ましい態様は、式(Ib')
【化16】

の(S)−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールそれらの互変異性体もしくは塩の製造方法であって;
(a)式(IIa')
【化17】

〔式中、Zは保護基である。〕
の化合物と、式(R)(R)M−N(IIb)〔式中、可変基R、RおよびMは上記および下記と同じ意味を有する。〕のアジドを反応させ、
(b)得られる式(IIc')
【化18】

の化合物中の保護基を除去し、そして
(c)式(Ib')の化合物を単離する
ことを含む、方法に関する。
【0092】
工程(a)および(b)の反応条件は、式(IIc)の化合物の単離を避けるために選択する。
【0093】
本発明は、例えば
a)S. Ley et al., Synlett, 2005(4)611;
b)H. Yamamoto et al., Proc. Nat. Acad. Sc. 101, 5374(2004)
c)I. Arvidsson et al., Tetrah. Asymm. 15, 1831(2004)
d)C. F. Barbas et al., Org. Lett. 7, 867(2005)
e)A. Cordova et al., Tetrahedron Lett., 46, 3385(2005)
に記載のような、有機触媒のための、式(I)、(I')、(I”)、(I"')、(Ib)、(Ib')、(Ic)または(Ic')の化合物の使用に関する。
【0094】
式(IIa)の化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法を使用して製造できる。
【0095】
式(IIb)のアジドは、例えば、式(R)(R)M−X(IIc)(式中、Mはアルミニウムまたはホウ素であり、RおよびRは上記で定義の意味を有し、そしてXは脱離基、例えばフルオリド、クロライド、ブロマイドまたはアイオダイドのようなハロゲン;またはアルカンスルホネート、例えばメタンスルホネートのようなスルホネート;ハロゲン化アルカンスルホネート、例えばトリフルオロメタンスルホネート、芳香族性スルホネート、例えばトシレートである)の化合物と、アジド、好ましくはリチウム、ナトリウムまたはカリウムアジドのようなアルカリ金属アジドの反応により、製造できる。
【0096】
式(IIb)のアジドの形成は、特に、不活性溶媒または希釈剤またはそれらの混合物の存在下、0℃から120℃の温度範囲で行う。本反応は、最も好ましくは無水条件下で行う。
【0097】
好ましいアジドは、RおよびRが、互いに独立して、エチル、イソ−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルまたはn−オクチルのようなC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルキルまたはベンジルまたは2−フェネチルのようなアリール−C−C−アルキルであり;そしてMがホウ素またはアルミニウムである、式(IIb)の化合物を含む。対応する代表例は、ジメチルアルミニウムアジド、ジエチルアルミニウムアジド、ジイソプロピルアルミニウムアジド、ジプロピルアルミニウムアジド、ジイソブチルアルミニウムアジド、ジブチルアルミニウムアジド、ジシクロヘキシルアルミニウムアジド、ジエチルホウ素アジド、ジイソプロピルホウ素アジド、ジプロピルホウ素アジド、ジイソブチルホウ素アジド、ジブチルホウ素アジドまたはジシクロヘキシルホウ素アジド、さらにジフェニルホウ素アジドのようなジアリールホウ素アジドである。
【0098】
置換基の種類に応じて、反応性置換基もまたアジドと反応し得ることは当然である。例えば、芳香族性ヒドロキシ基またはベンジルヒドロキシル基を式(IIb)のアジドと反応させ得るが、得られる金属または有機金属基でマスクされたヒドロキシ官能基を、例えば酸により除去し、式(I)の化合物を得ることができ;したがって、この状況下で、高い用量の式(IIa)の化合物を使用する必要がある。エステル基は、式(IIb)の化合物とアシル−アジドを形成するはずであり、一方エポキシ環構造は式(IIb)の化合物で開環するはずである。しかしながら、当業者は、特異的反応性置換基を有する出発化合物を、これらの置換基がシアノ官能基の代わりにアジドと反応する恐れがあるため、使用できないと予想できるか、または当業者は、対応する副反応を理解しているとき、対応する反応基を保護し、後に対応する保護基を、それ自体既知の慣用法を使用して除去するであろう。
【0099】
本発明は、本発明のいずれかの方法に従い得られた化合物に関する。
【0100】
実施例は本発明の態様を概説するが、本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0101】
実施例1:
(S)−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル
【化19】

4.875gの顆粒状ナトリウムアジド(75mmol)を、28mlのジエチルアルミニウムクロライド(75mmol、キシレン中2.7モル濃度)の冷溶液(0℃)に添加し、混合物を室温で4〜7時間撹拌する。11.5gの(S)−2−シアノ−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(50mmol)を、次いで、固体として、アルゴン下0℃で、ジエチルアルミニウムアジド溶液に添加し、混合物を54℃(外部温度)、50℃(内部温度)に暖め、その温度で7−9時間撹拌する。完全な変換後、反応混合物を、0℃で、10.350gの亜硝酸ナトリウム(150mmol)を含む85mlのNaOH(7%;150mmol)の溶液に滴下する。40のHCl(6N)を、0℃で冷却しながら、pH2.5まで添加する。生成物を5回50mlずつの酢酸エチルで洗浄する。溶媒を除去して、粗残基を得て、それを80mlの酢酸エチルに再溶解し、4回60mlずつの炭酸カリウム(10%)で洗浄する。水性相を、0℃で、HCl(6N)でpH2.5まで処理し、4回100mlずつの酢酸エチルで抽出する。溶媒を除去して、油状物を得て、それは冷蔵庫中で白色固体に固化する。
分析:反応をHPLCで追跡する:混合物のサンプル(約0.15ml)を0.5mlのHCl 1Nでクエンチし;0.2mlのアセトニトリルを添加し、有機相をHPLCで確認する。
M.p.:84−86℃、発熱分解の開始:204℃、最大253℃。
EI−MS:274;272;230;HPLC:Hewlett Packard、溶媒。HPO(1%)、アセトニトリル;流速:2ml/分;注入:5.0μl;波長220nm、40℃。カラム:Merck, Chromolith Performance RP-18e 100−4.6mm:5.465分;TLC:(溶離剤:トルエン/酢酸エチル(Etylacetate)/酢酸20:20:1):R=0.22;UV:(アセトニトリル,0.10000g/L中)236.75nm最小、257.89nm最大;IR:3000−2400cm−1;s1694cm−1;s1443cm−1;s1404cm−1;s1132cm−1ラマン:s1005cm−1HNMR:(500MHz;DMSO)2.1 ppm(m, 1H);2.28 ppm(m, 2H);2.82 ppm(m, 1H);3.56 ppm(m, 2H), 4.98 ppm( m, 2H);5.18 ppm(m, 1H);7.21 ppm(m, 5H)。
【0102】
実施例2:
2−(1H−テトラゾール−5−イル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化20】

390mgの顆粒状ナトリウムアジド(6mmol)を、0℃で、2.4mlのジエチルアルミニウムクロライド(6mmol、トルエン中2.5モル濃度)の溶液に添加し、混合物を室温で4〜7時間撹拌する。981mgの2−シアノ−ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(5mmol)を、ジエチルアルミニウムアジド溶液にr.t.で添加する。混合物を20〜30時間、40℃で撹拌する。完全な変換後、混合物を1.24gのNaNO(18mmol)を含む25mlのKHSO(10%)の冷溶液(0℃)に滴下し、4回25mlずつの酢酸エチルで抽出する。溶媒を除去して、1.4gの粗生成物を得て、それを再び20mlの酢酸エチルに溶解する。この相を数回KCO(10%)で洗浄して、生成物を水性相にカリウム塩として抽出する。塩基性水性相を、Boc基の分解を避けるために0℃でKHSO溶液でpH5まで注意深く処理し、生成物を次いで数回の少しずつの酢酸エチルで洗浄する。溶媒を除去して、生成物を白色固体として得る。
EI−MS:238;140m/z;[α]=−75.68°(MeOH中、c=0.63);TLC:(溶離剤:トルエン/酢酸エチル(Etylacetate)/酢酸20:20:1):R=0.22;IR:s1669cm−1;s1423cm−1;m1372cm−1;1160cm−1ラマン:m1553cm−1;s1450cm−1H−NMR(500MHz;DMSO):120℃:1.29 ppm(s, 9H);1.91 ppm(m, 3H);2.34 ppm(m, 1H);3.49 ppm(m, 2H);5.1 ppm(m, 1H);
【0103】
実施例3:
(S)−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾール
【化21】

250mlのエタノール中の15.33gの(S)−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(56.1mmol)および10%パラジウム/炭をH下で、室温で4〜6時間撹拌する。混合物をセライトを通して濾過し、セライトを最初にエタノールおよび次いで少量の酢酸で洗浄する。濾液を蒸発させて、ほとんど純粋な生成物である7.65gの結晶を得る。粗生成物を熱エタノールから再結晶して、室温に冷却後に純粋(S)−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールを得る。
EI−MS:139;111;83;70;43m/z;[α]=−9.5°(MeOH中、c=0.63);TLC:(溶離剤:ブタノール/水/酢酸3:3:1):R=0.25;
H−NMR(500MHz, DMSO):2.05(m;3H);2.33(m, 1H);3.26(m;2H);4.77(dd;1H);9.19 ppm(NH2:双性イオン形);
13C−NMR:23.2 ppm;29.9 ppm;44.3. ppm;54.2 ppm;171.1 ppm。双性イオン形はX線により確認
【0104】
実施例4
(2S)−1−ピロリジンカルボン酸−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニルメチルエステル
【化22】

390mgの顆粒状ナトリウムアジド(6mmol)を、0℃で、6mlのジメチルアルミニウムクロライド(6mmol、ヘキサン中1M)の溶液に添加し、混合物を室温で4〜7時間撹拌する。921mgの(2S)−ピロリジンカルボン酸−2−シアノ−フェニルメチルエステル(4mmol)の2mlのトルエン溶液を、0℃でアジドに添加し、混合物を40℃(外部温度)、37℃(内部温度)に暖め、一晩撹拌する。過剰のアジドを破壊するために、混合物を、0℃で、1.24gの亜硝酸ナトリウム(18mmol)を含む15mlのNaOH(5%;18mmol)の溶液に滴下する。HCl(6N)を0℃で冷却下にゆっくり添加し、pHを2.5に調製する。生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を次いでビカーボネート(15%)で水性相に抽出する。水性相を、0℃で、HCl(6N)でpH2.5まで処理し、生成物を酢酸エチルで抽出する。溶媒を除去して、純粋生成物を得て、それは真空中で白色結晶として固化する。
M.p.:84−86℃、発熱点:204℃−291.38℃、最大253℃;EI−MS:274;272;230;HPLC:Hewlett Packard、溶媒。HPO(0.5%)、アセトニトリル;流速:2ml/分;注入:5.0μl;波長220nm、40℃。カラム:Merck, Chromolith Performance RP-18e 100−4.6mm:5.465分;TLC:(溶離剤:トルエン/酢酸エチル(Etylacetate)/酢酸20:20:1):R=0.22;UV:(アセトニトリル,0.10000g/L中)236.75nm最小、257.89nm最大;IR:3000−2400cm−1;s1694cm−1;s1443cm−1;s1404cm−1;s1132cm−1ラマン:s1005cm−1HNMR:(500MHz;d6-DMSO)2.1 ppm(m, 1H);2.28 ppm(m, 2H);2.82 ppm(m, 1H);3.56 ppm(m, 2H), 4.98 ppm( m, 2H);5.18 ppm(m, 1H);7.21 ppm(m, 5H);
【0105】
実施例5
(2R)−1−ピロリジンカルボン酸−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニルメチルエステル
【化23】

方法:EtAlN
390mgの顆粒状ナトリウムアジド(6mmol)を、2.22mlのジエチルアルミニウムクロライド(6mmol、キシレン中2.7M)の冷溶液に添加し、混合物を室温で4〜7時間撹拌する。921mgの(2R)−ピロリジンカルボン酸−2−シアノ−フェニルメチルエステル(4mmol)を、0℃でアジドに添加し、混合物を54℃(外部温度)、50℃(内部温度)に暖め、6〜10時間撹拌する。
過剰のアジドを破壊するために、混合物を、0℃で、1.035gの亜硝酸ナトリウム(15mmol)を含む8.5mlのNaOH(7%;15mmol)の溶液に滴下する。HCl(6N)を、0℃で冷却下、ゆっくり添加して、pHを2.5に調節する。生成物を酢酸エチルで抽出する。溶媒を除去して、1.40gの粗生成物を得る。粗物質を酢酸エチルに溶解する。生成物を次いで炭酸カリウム(10%)で水性相に抽出する。水性相を、0℃で、HCl(6N)でpH2.5まで処理し、生成物を酢酸エチルで抽出する。溶媒を除去して、790mgの生成物を無色油状物として得る。
分析:反応をHPLCで追跡する:混合物のサンプル(約0.15ml)を0.5mlのHCl 1Nでクエンチし;0.2mlのアセトニトリルを添加し、有機相をHPLCでチェックする。
【0106】
実施例6
(2S)−1H−テトラゾール−5−2−ピロリジニル
【化24】

1.820gの顆粒状ナトリウムアジド(28mmol)を、0℃で、10.3mlのジエチルアルミニウムクロライド(28mmol、キシレン中2.7M)の溶液に添加し、混合物を室温で4〜7時間撹拌する。3.920gの2−シアノ−ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(20mmol)の2.5mlのトルエン溶液を、0℃でアジドに添加し、混合物を50℃(外部温度)、45℃(内部温度)に暖め、8〜14時間撹拌する。
混合物を、0℃で、HCl(6N)の滴下によりpH1までクエンチし、一晩撹拌する。水性相を固体炭酸カリウムでpH6.5まで中和し、蒸発させる。エタノールを添加し、混合物を2〜6時間撹拌する。混合物を濾過し、溶媒を除去して、2.8gの生成物を得る。粗物質をエタノールから結晶化して、2.26gの生成物を白色結晶として、81%の収率で得る。
【0107】
実施例7
【化25】

1.82mgの顆粒状ナトリウムアジド(28mmol)を、0℃で、10.4mlのジメチルアルミニウムクロライド(28mmol、キシレン中2.7M)の溶液に添加し、混合物を室温で4〜7時間撹拌する。2.3gの(S)−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル10mmol)の3mlのトルエン溶液を、0℃で、アジドに添加する。混合物を80℃(内部温度)に暖め、48時間撹拌する。
混合物を、0℃で、HCl(2N)に滴下する。溶液を固体炭酸カリウムでpH6.5に中和し、溶媒を除去する。エタノールを添加し、混合物を2〜6時間撹拌する。混合物を濾過し、溶媒を除去して、2.66gの白色生成物を得る。生成物をエタノールから結晶化して、生成物を白色結晶として得る。
発熱範囲:269−365℃(最大:275℃;EI−MS:139[M];111[M−N];83 [CHCN H];70[CHN H];43[NHCNH];[α]=−10.3°(MeOH中、c=0.63);TLC:(溶離剤:ブタノール(Buthanol)/水/酢酸3:3:1):R=0.25;H−NMR(500MHz, DMSO):2.05(m;3H);2.33(m, 1H);3.26(m;2H);4.77(dd;1H);9.19 ppm(NH2:双性イオン形(switterionic form);双性イオン形はX線により確認。
【0108】
実施例8:
メチル−5−(S)−ピロリジン(2−イル−テトラゾール)
【化26】

一般法:
メチル化工程:(S)−2−(メチル−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル:N−1、およびN−2異性体の製造
50ml、三頚丸底フラスコに、0℃で、20mlの塩化メチレンに溶解した2.73gのZ−S−2−(2H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(10mmol)、および2.238gの固体3−メチル−1−p−トリルトリアゼン(15mmol)を入れる。混合物を徐々に室温に暖め、1.5時間撹拌する。混合物を0℃に冷却し、15mlのHCl(2N)でクエンチする。生成物を2回15mlずつの塩化メチレンで抽出する。溶媒を除去して、3.08gのピンク色油状物を得て、それはN−1−およびN−2異性体両方を含む。粗物質を酢酸エチルに溶解し、クロマトグラフ(溶離剤:ヘキサン/酢酸エチル)に付し、純粋(S)−2−(メチル−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル、N−2異性体、およびN−1異性体を、70:30の比率で油状物として得る。
【0109】
水素化:メチル−5−(S)−ピロリジン(2−イル−テトラゾール)の製造
1.5gの(S)−2−(2−メチル−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(5.23mmol)および0.3gのパラジウム/炭(10%)の30mlのエタノール溶液を、水素下、室温で2〜3時間撹拌する。触媒をセライトを通した濾過により除去し、セライトを2回8mlずつのエタノール、次いで3mlの酢酸、および1回2mlの水で洗浄する。濾液を回転蒸発(45℃;170〜30mbar)により濃縮し、真空で、室温で2〜5時間(3.7・10−1mbar)乾燥させて、所望の2−メチル−5−(S)−ピロリジン−2H−テトラゾール(N−2異性体)を黄色油状物として得る。
【0110】
(S)−2−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(N−2異性体)
EI−MS:310=[M+Na];288=[MH];244=[MH−CO]HPLC(Hewlett Packard、溶媒。HPO(0.5%)、アセトニトリル;流速:2ml/分;注入:5.0μl;波長220nm、40℃。カラム:Merck, Chromolith Performance RP-18e 100−4.6mm:8.030分;IR:透過型FTIR顕微鏡:w3064−3033cm−1;w2957−2880cm−1;s1704cm−1;s1412cm−1;m1116cm−1;m740cm−1;w699cm−1UV:エタノール中0.1g/L:a)λmax258mn;b)λmax205mn H−NMR:(DMSO, 400MHz)1.95 ppm(m;3H);2.35 ppm(m;1H);3.5 ppm(m;2H);4.25 ppm(s, CH3)および4.28 ppm(s;CH3)回転異性体;4.97 ppm(dd;1H);5.15 ppm(m, 2H);7.00 ppm(br, 1H);7.27ppm(m;4H);
【0111】
(S)−2−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(N−1異性体):
EI−MS:310=[M+Na];288=[MH];HPLC(Hewlett Packard、溶媒。HPO(0.5%)、アセトニトリル;流速:2ml/分;注入:5.0μl;波長220nm、40℃。カラム:Merck, Chromolith Performance RP-18e 100−4.6mm 7.080分;IR:透過型FTIR顕微鏡:w3056cm−1;w2900cm−1;s1703cm−1;m1110cm−1;m751cm−1;w704cm−1ラマン:s1002cm−1H−NMR:(DMSO, 400MHz)2.02 ppm(m;2H);2.17 ppm(m;1H);2.32 ppm(m;1H);2.32 ppm(m;1H);3.54 ppm(m;2H);3.81 ppm(s, CH3)および4.10 ppm(s;CH3)回転異性体;4.97 ppm(dd;2H);5.21 ppm(m, 2H);6.99 ppm(br, 1H);7.33 ppm(m;4H)
【0112】
2−メチル−5−(S)−ピロリジン−2H−テトラゾール(N−2異性体):(油状物)
HPLC(Hewlett Packard、溶媒。HPO(0.5%)、アセトニトリル;流速:2ml/分;注入:5.0μl;波長220nm、40℃。カラム:Merck, Chromolith Performance RP-18e 100−4.6mm 0.803分;H−NMR:(DMSO, 400MHz)1.85 ppm(m, 1H);1.96 ppm(m, 1H), 2.18 ppm(m, 1H), 2.97 ppm(m, 2H), 4.35 ppm(m, 3H), 4.50 ppm(dd, 1H;J3=7.4 Hz);
【0113】
1−メチル−5−(S)−ピロリジン−1H−テトラゾール(N−1異性体):
Mp:148−150℃;HPLC(Hewlett Packard、溶媒。HPO(0.5%)、アセトニトリル;流速:2ml/分;注入:5.0μl;波長220nm、40℃。カラム:Merck, Chromolith Performance RP-18e 100−4.6mm 0.874分;H−NMR:(DMSO, 400MHz)1.75 ppm(m, 1H);1.85 ppm(m, 1H), 2.13 ppm(m, 2H), 2.30ppm(br, NH);2.76ppm(m, 1H);2.92 ppm(m, 1H), 4.08 ppm(m, 3H), 4.53 ppm(dd, 1H;J3=7.7 Hz);
【0114】
実施例9:
2−tブチル−5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール
【化27】

100ml、三頚丸底フラスコに、0℃で、5.56gのR−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾール(40mmol)および34.2mlのトリフルオロ酢酸(444mmol)を入れる。次いで、2.6mlの硫酸(95−97%)、および5.92gのt−ブタノール(80mmol)の8mlの塩化メチレン溶液を添加する。混合物を室温で一晩撹拌する。混合物を20mlの氷水でクエンチし、生成物を3回20mlずつの塩化メチレンで抽出する。水性相を固体炭酸カリウムでpH8.5まで処理し、20mlずつの塩化メチレンで再抽出する。合わせた有機相を3回25mlずつのNaOH(0.5Nで抽出する)。溶媒を除去して、2−tブチル−5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾールを黄色油状物として得る。
【0115】
2−tブチル−5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール
Ka=8;EI−MS:218=[M+Na];196=[MH];70=[CN]IR:透過型FTIR顕微鏡:m3328cm−1;s2983cm−1;w1500cm−1;m1025cm−1H−NMR:(CDCl3, 400MHz)1.69 ppm(s, 9H);1.9 ppm(m, 3H), 2.22 ppm(m, 1H), 2.39 ppm(br, NH), 2.97 ppm(m, 1H), 3.15ppm(m, 1H), 4.45 ppm(dd, 1H;J3=7 Hz);
【0116】
実施例10:
(R)−2−(2−tブチル−2H−テトラゾール−5−イル)ピロリジニウムクロライド
【化28】

5ml 丸底フラスコに、0℃で、195mgの2−tBu−5−(R)−2−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール(1mmol)の2mlの塩化メチレン溶液、および0.5mlのHCl(2N)(1mmol)を入れる。混合物を5分、室温で撹拌し、次いで溶媒を除去して、(R)−2−(2−tブチル−2H−テトラゾール−5−イル)ピロリジニウムクロライドをピンク色結晶物質として得る。
【0117】
(R)−2−(2−tブチル−2H−テトラゾール−5−イル)ピロリジニウムクロライド:
Mp=160−164℃;136℃で分解開始;EI−MS:196=[M+H];140=[MH−tBu];70=[ CN]IR:透過型FTIR顕微鏡:s2980−2458cm−1;s1410cm−1;s1375cm−1H−NMR:(DMSO, 400MHz)1.75 ppm(s, 9H), 2.23 ppm(m, 2H), 2.43 ppm(m, 1H), 2.55 ppm(m, 1H), 3.63 ppm(m, 2H), 5.19 ppm(m, 1H), 9.81 ppm(br, 1H), 10.9 ppm(br, 1H)
【0118】
実施例11:
R−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールナトリウム塩
方法A:
【化29】

25ml 丸底フラスコに、r.t.で、417mgのR−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾール(3mmol)の6mlのメタノール溶液を入れる。170mgのナトリウムメチラート(3mmol)を添加し、得られる溶液を1時間撹拌する。溶媒を除去し、生成物を真空でr.t.で3時間乾燥させる。
【0119】
方法B:
【化30】

10ml フラスコに、r.t.で、3mlのNaOH(1N)に溶解した417mgの(R)−5−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール(3mmol)および1mlのメタノールを入れる。無色溶液を20分、室温で撹拌し、次いで溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、484mgの白色結晶物質を得る。生成物を1.5mlのメタノールに60℃で再溶解し、無色溶液を2.5mlのジエチルエーテルで処理する。溶液を最初に0℃で冷却し、生成物が3時間、r.t.で、開放フラスコ中で静置後に結晶化する。生成物を濾過し、1mlのジエチルエーテルで洗浄して、白色結晶物質を得る。
【0120】
R−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールナトリウム塩:
Mp:62−64℃;IR:透過型FTIR顕微鏡:s3375−2500cm−1;s1606cm−1;s1440cm−1H−NMR(DMSO;600MHz):1.9 ppm(m, 3H);2.17 ppm(m, 1H);3.10 ppm(m, 2H);4.55ppm(dd, 1H, J3=7.3 Hz, 7.5 Hz);13C−NMR(DMSO;150MHz):24.03 ppm;31.02 ppm;45.05 ppm;54.70 ppm;166.30 ppm。
【0121】
実施例12:
2−(1−メチル−1−フェニル−エチル)5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール
【化31】

50ml、三頚丸底フラスコに、r.t.で、アルゴン雰囲気下、4.16gのR−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾール(30mmol)および4mlのトリフルオロ酢酸を入れて、黄色溶液を得る。溶液を20mlの塩化メチレンで希釈し、次いで4.55mlのα−メチルスチレン(35mmol)をr.t.で5分にわたり2回に分けて添加する。均質な黄色混合物をr.t.で24時間撹拌する。混合物を分液漏斗に移し、4回20mlずつのNaOH(1N)、および1回20mlの水で洗浄し、トリフルオロ酢酸を除去する。有機相を蒸発させて、油状物を得て、それは20分室温に放置すると結晶化する。白色結晶物質を少量のヘキサンで洗浄して過剰のメチルスチロールを除去し、純粋生成物を得る。
【0122】
2−(1−メチル−1−フェニル−エチル)5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール
Mp:38−40℃;HPLC:(Hewlett Packard、溶媒。HPO(0.5%)、アセトニトリル;流速:2ml/分;注入:5.0μl;波長220nm、40℃。カラム:Merck, Chromolith Performance RP-18e 100−4.6mm:4.8分;EI−MS:258 [MH];140[MH−クミル];119 [クミル]IR:透過型FTIR顕微鏡:m3267cm−1;s2950cm−1;w1600cm−1;s1497cm−1;s1448cm−1;s766cm−1;s697cm−1H−NMR:(DMSO、400MHz)1.98 ppm(m;3H, J=7.5 Hz);2.17 ppm(s;6H);2.2ppm(s;1H);2.27 ppm(m;1H);3.04 ppm(m;1H);3.19 ppm(m, 1H)4.51ppm(dd;1H, J=7.5Hz);7.10ppm(m, 2H);7.31 ppm(m, 3H);13C−NMR:(DMSO, 150MHz)25.3 ppm;28.6 ppm;31.3 ppm;46.2 ppm;53.16 ppm;67.8 ppm;124.5 ppm;127.6 ppm;128.6 ppm;144.2 ppm;168.8 ppm。構造をX線回折で確認。
【0123】
実施例13:
イソプロピル−5−(R)−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾール
【化32】

一般法:
アルキル化工程:(R)−イソプロピル−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステルの製造
機械的撹拌装置を備えた200ml、三頚丸底フラスコに、r.t.で、12.3gのZ−R−2−(2H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(45mmol)の130mlのアセトニトリル溶液、および24.84gの炭酸カリウム(180mmol)を入れる。5分後、9.28mlの2−ヨードプロパン(90mmol)を添加し、混合物を3日間撹拌する。混合物を500mlフラスコに移し、アセトニトリルをロータリーエバポレーターで除去する。40mlの水(pH8.5)を添加し、生成物を4回50mlずつの酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を1回40mlの水で洗浄する。溶媒を除去して、オレンジ色油状物を得て、それはN−1およびN−2異性体両方含む。粗物質をクロマトグラフ(溶離剤:酢酸エチル/ヘキサン1:3)に付し、純粋(R)−イソプロピル−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル、N−1異性体、および純粋N−2異性体フラクションを約30:70の比で得る。
【0124】
水素化:イソプロピル−5−(R)−ピロリジン(2−イル−テトラゾール)の製造
0.73gの(R)−2−(2−イソプロピル−2H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(2.32mmol)および80mgのパラジウム/炭(10%)の15mlのエタノール溶液を、水素下、室温で8時間撹拌する。触媒をセライトを通した濾過により除去し、セライトを2回10mlずつのエタノール、次いで10mlのアセティック・メチレン・クロライド(acetic methylene chloride)で洗浄する。濾液を回転蒸発(45℃;170〜30mbar)により濃縮し、真空で室温で2〜5時間(3.7・10−1mbar)乾燥させて、所望の純粋2−イソプロピル−5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾールを黄色油状物として得る。
【0125】
(R)−2−(2−イソプロピル−2H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;N−2異性体
EI−MS:338=[M+Na];316=[MH];272=[MH−CO]IR:透過型FTIR顕微鏡:m3033−2880cm−1;s1707cm−1;s1412cm−1;s1356cm−1;m1180cm−1;m1116cm−1;m1025cm−1ラマン液体:m3062−2880cm−1;m1029cm−1;s1003cm−1UV:エタノール中0.1g/L:a)λmax 258nm;Abs=0.0141;ε(1%、1cm)=14;b)λmax 205nm;Abs=0.4191;ε(1%、1cm)=419;H−NMR:(DMSO, 400MHz)1.51 ppm(m;6H, 2回転異性体, J3=6.5 Hz);1.95 ppm(m;3H);2.33 ppm(m;1H);3.53 ppm(m, 2H), 4.95 ppm(m;3H);5.20 ppm(dd;1H, J3=8 Hz);7.02 ppm(m, 1H);7.25 ppm(m, 2H);7.36ppm(m;2H);
【0126】
(R)−2−(1−イソプロピル−1H−テトラゾール−5−イル)−ピロリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル;N−1異性体:
EI−MS:338=[M+Na];316=[MH]IR:透過型FTIR顕微鏡:w3064cm−1;m2983−2882cm−1;s1703cm−1;w1587−1499cm−1;s1414cm−1;s1357cm−1;m1123cm−1;w1028cm−1ラマン液体:m3063−2945cm−1;s1003cm−1UV:エタノール中0.1g/L:a)λmax258mn Abs=0.007;ε(1%、1cm)=7;b)λmax205mn Abs=0.3200;ε(1%、1cm)=320;H−NMR:(DMSO, 400MHz):1.30 ppm(d, 6H;J=6.5 Hz 回転異性体);1.53 ppm(d, 6H, J=6.5Hz 回転異性体), 1.90 ppm(m, 2H), 2.2. ppm(m, 2H), 3.58 ppm(m, 2H);4.90 ppm(, 1H), 5.31 ppm(m, 1H), 6.97n ppm(m, 1H), 7. 35 ppm(m, 4H)
【0127】
1−イソプロピル−5−(R)−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾール:N−1異性体:
H−NMR:(DMSO, 400MHz):1.51 ppm(d, 6H 回転異性体 J3=6.6 Hz);1.56 ppm(d, 6H 回転異性体, J3=6.5 Hz);2.0 ppm(m, 2H);2.29 ppm(m, 2H);5.03 ppm(m, 1H, J3=6.5 Hz);5.16 ppm(dd, 1H, J3=7.5 Hz)
【0128】
2−イソプロピル−5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール:N−2異性体:
EI−MS:182=[MH];113=[MH−C4H7N];70=[CN]IR:透過型FTIR顕微鏡:m3342cm−1;s2983−2940cm−1;s1458cm−1;s1063cm−1ラマン:s1450cm−1H−NMR:(DMSO, 400MHz):1.55 ppm(d, 6H, J3=6.8 Hz);1.85 ppm(, 3H), 2.15 ppm(m, 2H), 3.1 ppm(br, 1H);4.33 ppm(br NH), 4.43 ppm(dd, 1H, J3=7.3 Hz;6.8 Hz), 5.07 ppm(sep, 1H, J3=6.7 Hz);13C−NMR:(DMSO, 400MHz)21.84 ppm;23.17 ppm;30.96 ppm;46.04 ppm;53.02 ppm;55.73 ppm;167.32 ppm。
【0129】
実施例14
2−[(1−メチル−1−フェニル−エチル)−2H−テトラゾール−5−イル]ピロリジニウムサッカリネート
【化33】

10ml 丸底フラスコに128mgの2−(メチル−1フェニル−エチル)−5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール(0.5mmol)、および91mgのo−安息香酸スルフイミド(0.5mmol)の2mlの塩化メチレンを入れ、無色溶液を得る。溶媒を除去して無色油状物を得て、それを0.5mlの塩化メチレンおよび1mlのジエチルエーテルに溶解する。生成物は、r.t.で、3時間、開放フラスコ中で静置後結晶化する。白色結晶物質を濾過し、1mlのジエチルエーテル/塩化メチレン(3:1)で洗浄して、110mgの生成物を得る。母液を密閉フラスコ中で一晩静置する。生成物を濾過して、110mgが2回目の分として得られる。
【0130】
2−[(1−メチル−1−フェニル−エチル)−2H−テトラゾール−5−イル]ピロリジニウムサッカリネート
Mp:108−111℃;EI−MS:258 [M];140 [M−クミル];182 [M]IR:透過型顕微鏡:w 3060cm−1;w2990−2900cm−1;w 2800−2300cm−1;s1651cm−1;s1152cm−1(SO2);s770cm−1;s759cm−1UV:エタノール中、c=0.1g/L:a)λmax=201.19nm;b)λmax=264.07nm;H−HNMR(DMSO, 400 Mz):2.13 ppm(s, 6H);2.07 ppm(m, 2H);2.31ppm(m, 2H);3.35 ppm(m, 2H);5.04 ppm(dd, 1H, J3=8Hz), 7.13 ppm(m, 2H), 7.30 ppm(m, 1H);7.34ppm(m, 2H);7.59 ppm(m, 3H), 7.66 ppm(m, 1H);9.48(br, 2H, NH2+)、13C−NMR(DMSO, 150MHz):23.06ppm;28.66 ppm;28.92 ppm;45.32 ppm;53.19 ppm;69.00ppm;119.17 ppm, 122.56 ppm;124.7 ppm;127.94 ppm;128.6 ppm, 131.16 ppm, 131.67 ppm;134.48ppm, 143.51 ppm;145.00 ppm;161.81 ppm;167.53 ppm。
【0131】
実施例15
R−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールカリウム塩
【化34】

10mlフラスコに、r.t.で、347mgの(R)−5−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール(2.5mmol)、および140mgのKOH(2.5mmol)の4mlのメタノール溶液を入れる。無色溶液を20分、室温で撹拌し、次いで溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、440mgの白色結晶物質を得る。生成物を1.5mlのメタノールに60℃で再溶解し、無色溶液を2.5mlのジエチルエーテルで処理する。溶液を最初に0℃で冷却し、生成物が3時間、r.t.で、開放フラスコ中で静置後結晶化する。生成物を濾過し、1mlのジエチルエーテルで洗浄して、白色結晶物質を得る。
【0132】
R−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールカリウム塩
Mp=58−62℃;HNMR(400MHz, DMSO)1.69 ppm(m, 3H), 192 ppm(m, 1H), 2.66ppm(m, 1H), 3.02 ppm(m, 1H), 4.09 ppm(dd, 1H, J3=6.8Hz)
【0133】
実施例16
R−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールパラジウム(II)錯体
【化35】

10ml、一頚丸底フラスコに、r.t.で、139mgの(R)−5−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール(1mmol)、およびTHF/水(2:1)の1.5mlの溶液に溶解した112mgの酢酸パラジウム(0.5mmol)を入れる。混合物を撹拌下50℃に暖める。生成物が室温で2時間静置後に結晶化する。生成物を濾過し、形成した酢酸を除去するために真空で乾燥させる。
【0134】
R−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールパラジウム(II)錯体:
Mp:268−271℃(分解);IR:透過型顕微鏡:s3132cm−1;m1404cm−1、s1129cm−1UV:エタノール中、c=0.1g/L:a)λmax=203.74nm;b)λmax=287.96nm;H−NMR(400MHz, DMSO):1.87 ppm(m, 3H);2.44 ppm(m, 1H);3.44 ppm(m, 2H);4.51 ppm(dd, 1H, J3=7.3 H);7.57 ppm(m, NH+);13C−NMR(DMSO, 150MHz):26.38 ppm, 31.00 ppm;52.22 ppm, 56.86 ppm;167.24 ppm。
【0135】
実施例17
(R)−2−(2−tブチル−2H−テトラゾール−5−イル)ピロリジニウムトリフルオロアセテート
【化36】

10ml 丸底フラスコに、r.t.で、390mgの2−tBu−5−(R)−2−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール(2mmol)の2mlの塩化メチレン溶液、次いで228mg トリフルオロ酢酸(2mmol)を添加する。混合物を5分、室温で撹拌し、次いで溶媒を除去して、生成物を褐色結晶物質として得る。
【0136】
(R)−2−(2−tブチル−2H−テトラゾール−5−イル)ピロリジニウムトリフルオロアセテート:
Mp=87−90℃;EI−MS:196=[MH−TFA];140=[MH−tBu−TFA]IR:透過型FTIR顕微鏡:m2990−2600cm−1;s1674cm−1;w1430cm−1;s1200−1140cm−1;m798cm−1;m722cm−1H−NMR:(DMSO, 400MHz)1.72 ppm(s, 9H), 2.26 ppm(m, 2H), 2.45 ppm(m, 1H), 2.55 ppm(m, 1H), 3.63 ppm(m, 2H), 5.17 ppm(dd, 1H, J3=7Hz, 7.3 Hz), 8.99 ppm(br, 1H), 10.33 ppm(br, 1H)。構造をX線回折で確認。
【0137】
実施例18:
R−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールセシウム塩
【化37】

10mlフラスコに、r.t.で、4mlの水に溶解した417mgの(R)−5−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール(3mmol)、および504mgの水酸化セシウム一水和物(3mmol)を入れる。無色溶液を20分、室温で撹拌し、次いで溶媒をロータリーエバポレーターで除去して、810mgの白色結晶物質を得る。生成物を1.5mlのメタノールに、50℃で再溶解し、無色溶液を2.5mlのジエチルエーテルで処理する。溶液を最初に0℃で冷却し、そして生成物は3時間、r.t.で開放フラスコ中で静置後結晶化する。生成物を濾過し、1mlのジエチルエーテルで洗浄して、白色結晶物質を得る。
【0138】
R−5−ピロリジン−2−イル−1H−テトラゾールセシウム塩:
Mp=55−58℃;H−NMR:(DMSO, 400MHz)1.71 ppm(m, 3H), 1.94 ppm(m, 1H), 2.70 ppm(m, 1H), 3.04ppm(m, 1H), 4.12 ppm(dd, 1H, J3=6.8Hz)
【0139】
実施例19:
(R)−2−[(1−メチル−1−フェニル−エチル)−2H−テトラゾール−5−イル]ピロリジニウムトリフルオロアセテート
【化38】

10ml 丸底フラスコに、r.t.で、514mgの2−(メチル−1フェニル−エチル)−5−(R)−ピロリジン−2−イル−2H−テトラゾール(2mmol)の2mlの塩化メチレン溶液を入れ、次いで228mg トリフルオロ酢酸(2mmol)を添加する。混合物を5分、室温で撹拌し、次いで溶媒を除去して、生成物を白色結晶物質として得る。
【0140】
(R)−2−[(1−メチル−1−フェニル−エチル)−2H−テトラゾール−5−イル]ピロリジニウムトリフルオロアセテート
Mp:128−130℃;H−NMR(DMSO, 400MHz):2.14 ppm(s, 6H);2.20ppm(m, 2H);2.43 ppm(m, 1H);2.54 ppm(m, 1H);5.12 ppm(dd, 1H, J3=7.3 Hz;7 Hz);7.09ppm(m, 2H), 7.30 ppm(m, 3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラセミ体、またはそれらのエナンチオマーとしての式
【化1】

〔式中、
、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルであり、そしてRは水素であるか、または分枝C−C−アルキル、メチル(これはC−C−アルキルおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る);アリル(これはOH、ハロおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換され得る)、シンナミル(これは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシおよびC−C−アルカノイルオキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されている)、フェニルによりモノ、ジもしくはトリ置換されているC−C−アルキル(ここで、該フェニル環は非置換であるか、例えばtert−C−C−アルキルまたはC−C−アルコキシから選択される、1個以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている);C−C−アルカノイルオキシ;アラルカノイルオキシ;フルオレニル;トリ−C−C−アルキル−シリル、またはジ−C−C−アルキル−フェニル−シリルのようなシリル;C−C−アルキル−スルホニル;フェニルスルホニル(ここで、該フェニル環は非置換であるか、または1個以上、例えば2個または3個の、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル−オキシから成る群から選択される置換基で置換されている)のようなアリールスルホニル;C−C−アルカノイル;ベンゾイルおよびエステル化カルボキシから成る群から選択されるか;またはRはカチオンである。〕
の(S)−ピロリジン−1H−テトラゾール誘導体またはそれらの互変異性体、類似体または塩の製造方法であって;
(i)式
【化2】

〔式中、可変基R、RおよびRは上記で定義の意味を有する。〕
の化合物と、
式(R)(R)M−N(IIb)〔式中、RおよびRは、互いに独立して、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基のような有機残基であり、各残基は、互いに独立して、非置換であるかまたは置換されており;そしてMはホウ素またはアルミニウムであり;そしてZは保護基である。〕のアジドを反応させ、そして
(ii)得られる式(IA)または(IB)の化合物を単離する
ことを含む、方法。
【請求項2】
ラセミ体のまたはそれらのエナンチオマーとしての式
【化3】

〔式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルである。〕
の(S)−ピロリジン−1H−テトラゾール誘導体またはそれらの互変異性体、類似体または塩の製造方法であって;
(i)式
【化4】

〔式中、可変基R、RおよびRは上記で定義の意味を有する。〕
の化合物と、式(R)(R)M−N(IIb)〔式中、RおよびRは、互いに独立して、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基のような有機残基であり、各残基は、互いに独立して、非置換であるかまたは置換されており;そしてMはホウ素またはアルミニウムであり;そしてZは保護基である。〕のアジドを反応させ、そして
(ii)得られる式(I)の化合物を単離する
ことを含む、方法。
【請求項3】
ラセミ体のまたはそれらのエナンチオマーとしての、Rが有機残基である式(I)の化合物またはそれらの互変異性体、類似体または塩の製造方法であって;
(a)式
【化5】

〔式中、可変基R、RおよびRは上記で定義の意味を有し、そしてZは保護基である。〕
の化合物と、式(R)(R)M−N(IIb)(式中、RおよびRは上記で定義の意味を有する)のアジドを反応させ、
(b)得られる式(IIc)
【化6】

の化合物から保護基を除去し、そして
(c)得られる式(I)の化合物を単離する
ことを含む、方法。
【請求項4】
ラセミ体のまたはそれらのエナンチオマーとしての式
【化7】

のピロリジン−1H−テトラゾールまたはそれらの互変異性体、類似体または塩の製造のための、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
、RおよびRが、互いに独立して、水素、ハロゲン、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基であり、各残基は、互いに独立して、非置換であるかまたは置換されている式(I)、(I')、(I”)、(I"')、(I"'A)、(I"'B)、(IAa)、(IBa)、(Ia)、(Ia')、(IAb)、(Bb)、(Ib)または(Ib')の化合物の製造のための、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
、RおよびRが、互いに独立して、水素;アルキル、アルケニルまたは第2級アルキニル(この各々はNH、置換NH、O、またはSによって中断されていてよく;そして、その各々は非置換であるか、例えば、モノ−、ジ−またはトリ−置換されていてよい);シクロアルキルおよび二次的シクロアルケニル(この各々もまた置換されていてよい);脂環式残基(ここで、少なくとも1個の炭素原子がNH、置換NH、O、またはSにより置換されており、その各々はまた置換されていてよい);シクロアルキルまたはシクロアルケニルで置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニル;単または多環式またはベンゾ縮環した(anellated)炭素環式残基(これもまた置換されていてよい);5または6員かつ単環式ラジカル(これは、窒素、酸素および硫黄原子から選択される1個から4個までの同一または異なるヘテロ原子を有し、この各々はまた置換されていてよい、式(I)、(I')、(I”)、(I"')、(I"'A)、(I"'B)、(IAa)、(IBa)、(Ia)、(Ia')、(IAb)、(Bb)、(Ib)または(Ib')の化合物の製造のための、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
、RおよびRが、互いに独立して、水素;ハロゲンである、式(I)、(I')、(I”)、(I"')、(I"'A)、(I"'B)、(IAa)、(IBa)、(Ia)、(Ia')、(IAb)、(Bb)、(Ib)または(Ib')の化合物の製造のための、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が水素であり、そしてRおよびRが、互いに独立して、水素、ハロゲン、脂肪族残基、脂環式残基、ヘテロ脂環式残基;脂環式−脂肪族残基;ヘテロ脂環式−脂肪族残基;炭素環式またはヘテロ環式芳香族性残基;芳香脂肪族残基またはヘテロ芳香脂肪族残基であり、各残基は、互いに独立して、非置換であるかまたは置換されている、式(I)、(I')、(I”)、(I"')、(I"'A)、(I"'B)、(IAa)、(IBa)、(Ia)、(Ia')、(IAb)、(Bb)、(Ib)または(Ib')の化合物の製造のための、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
が水素であり、そしてRおよびRが、互いに独立して、水素;アルキル、アルケニルまたは第2級アルキニル(この各々はNH、置換NH、O、またはSによって中断されていてよく;そしてその各々は非置換であるかまたは置換、例えば、モノ−、ジ−またはトリ−置換されていてよい);シクロアルキルおよび二次的シクロアルケニル(この各々も置換されていてよい);脂環式残基(ここで、少なくとも1個の炭素原子がNH、置換NH、O、またはSにより置換されており、その各々はまた置換されていてよい);シクロアルキルまたはシクロアルケニルで置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニル;単または多環式またはベンゾ縮環している炭素環式残基(これも置換されていてよい);5または6員および単環式ラジカル(これは、窒素、酸素および硫黄原子から選択される1個から4個までの同一または異なるヘテロ原子を有し、この各々はまた置換されていてよい)である、式(I)、(I')、(I”)、(I"')、(I"'A)、(I"'B)、(IAa)、(IBa)、(Ia)、(Ia')、(IAb)、(Bb)、(Ib)または(Ib')の化合物の製造のための、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
が水素であり、そしてRおよびRが、互いに独立して、水素;ハロゲンである、式(I)、(I')、(I”)、(I"')、(I"'A)、(I"'B)、(IAa)、(IBa)、(Ia)、(Ia')、(IAb)、(Bb)、(Ib)または(Ib')の化合物の製造のための、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
【化8】

またはそれらの互変異性体もしくは塩の製造のための、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
Mがアルミニウムまたはホウ素であり、RおよびRが、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ジイソブチル、tert−ブチルまたはn−オクチルのようなC−C−アルキル;アリルまたはクロチルのようなC−Cアルケニル、C−C−シクロヘキシルのようなシクロアルキル;ベンジルまたは2−フェネチルのようなフェニル−C−C−アルキル;シンナミルのようなフェニル−C−Cアルケニル、またはシクロプロピルメチルもしくはシクロヘキシルメチルC−C−シクロアルキル−C−C−アルキルである、式(R)(R)M−N(IIb)のアジドを使用する、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】

【化9】

の化合物またはそれらの互変異性体もしくは塩。
【請求項14】
ラセミ体のまたはそれらのエナンチオマーとしての式
【化10】

〔式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルであり、そしてRは水素またはtert−ブチル、メチル、イソプロピル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、1−メチル−1−フェニルエチル、トリフェニルメチル、(p−メトキシフェニル)−ジフェニルメチル、ベンジルオキシメチル、アリルおよびシンナミルである。〕
の化合物またはそれらの互変異性体、類似体または塩。
【請求項15】
ラセミ体またはそれらのエナンチオマーとしての、式
【化11】

〔式中、
、RおよびRは、互いに独立して、水素、ハロゲンまたは有機ラジカルであり、そしてRは、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばLi(I)、Na(I)、K(I)、Rb(I)、Cs(I)、Mg(II)、Ca(II)、Al(III)、Pd(II)、Pt(II)、Cu(I)、Cu(II)およびSr(II)のカチオンである〕
の化合物またはそれらの互変異性体。
【請求項16】
式(I)、(I')、(I”)、(I"')、(Ia)、(Ia')、(Ib)または(Ib')
【化12】

またはそれらの互変異性体もしくは塩の、例えばアルドール反応、ニトロアルドール反応、マンニッヒ型反応、α−アミノ化反応、α−ヒドロキシル化反応、ミカエル反応におけるキラル化合物の製造における、およびエナンチオピュアな化合物の合成における有機触媒としての使用。

【公表番号】特表2009−506984(P2009−506984A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521862(P2008−521862)
【出願日】平成18年7月17日(2006.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007000
【国際公開番号】WO2007/009716
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】