説明

テトラヒドロフランからのオキサゾリンの製造方法

【課題】ネルフィナビル・メシラートに関するそして含む、HIV−プロテアーゼ阻害剤の合成における化学中間体の製造に関する方法を開示する。
【解決手段】本発明の方法は、テトラヒドラン誘導体をオキサゾリンに転化し、ネルフィナビルの製造のための重要な反応中間体を提供する。さらに、エポキシ−テトラヒドロフランからのキラルアミノアルコールの製造のための方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、HIVに感染した個体の治療に有用であるプロテアーゼ阻害剤ネルフィナビル・メシラートとその遊離塩基の合成における中間体の化学的製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連した背景技術
HIV感染個体のHIV−プロテアーゼ阻害剤による治療は、ヒト組織におけるウイルスの急速な増殖を防止又は阻害する重要な方法として登場している。HIV−プロテアーゼ阻害剤はウイルスにおける重要な酵素経路をブロックして、ウイルス負荷を実質的に減少させ、このことは免疫系の定常な崩壊とその結果の、ヒトの健康に対する不利な影響とを遅らせる。HIV−プロテアーゼ阻害剤ネルフィナビル・メシラートは、HIV感染個体に対する有効な治療であることが判明している。ネルフィナビル・メシラート:
【0003】
【化1】

【0004】
とその製造方法とは米国特許第5,484,926号に開示されており、この特許は本明細書に援用される。
ネルフィナビル・メシラートとその遊離塩基の他の製造方法が報告されている。例えば、PCT/JP96/02756(WO97/11937)は、1,3−ジオキセパン−5−オール又はその誘導体から得ることができるオキサゾリン中間体を用いる、ネルフィナビル・メシラートとその遊離塩基の製造を開示している。PCT/JP96/02757(WO97/11938)は、1,3−ジオキセパン−5−オールをN−ベンジルオキシカルボニル−アミノ−ブタンジオール中間体を介してネルフィナビル・メシラートとその遊離塩基に転化させる関連方法を開示している。これらの方法の各々は、報告によると、ネルフィナビルの製造効率の幾らかの改良を与える。しかし、さらなる改良が望ましいと考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明は、ネルフィナビル・メシラートとその遊離塩基を製造するための効率の良い、費用効果的な方法に関する。詳しくは、本発明の方法はオキサゾリン:
【0006】
【化2】

【0007】
の、テトラヒドロフラン:
【0008】
【化3】

【0009】
からの製造を含み、この製造は、Rが−COR(1)であり、Rが水素、−COR(3)、−SOR(2)又は適当なヒドロキシル保護基であるテトラヒドロフランを親オキソ性求電子性試薬(oxophilic electrophilic reagent)によって、Rが水素、−COR(3)、−SOR(2)又は適当なヒドロキシル保護基であり、Rが水素、−COR(3)又は−SOR(2)であり、R(1)、R(2)及びR(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール基を独立的に表すオキサゾリンを提供するために有効であるように処理することを含む。有利には、本発明の方法はネルフィナビル・メシラートとその遊離塩基を比較的高い収率で提供し、先行技術方法よりも少ない合成工程を用いる。
【0010】
本発明はまた、ネルフィナビル・メシラートとその遊離塩基の製造方法に有用である中間体化合物の作成方法にも関する。さらに、本発明は、本発明によるネルフィナビル・メシラートとその遊離塩基の製造方法に有用であるキラル出発物質の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、アミノ−テトラヒドロフラン誘導体を、ネルフィナビル・メシラートとネルフィナビル遊離塩基の製造に有用であるオキサゾリン中間体に転化させるための新規で、有用な方法を提供する。少なくとも1つのキラル中心を含有する、本発明の発明方法の全ての化合物は、特に指定がない限り、単独の立体異性体、ラセメート並びに/又はエナンチオマー及び/若しくはジアステレオマーの混合物として存在しうる。このような単独の立体異性体、ラセメート及びこれらの混合物の全ては本発明の範囲内であるように意図される。その上、本発明の範囲は、選択された異性体の反応に限定されるとは意図されない。本明細書に述べる反応スキームは、単独のエナンチオマー又はジアステレオマーとして示される化合物を用いて例証されうるが、本発明の方法は、これらの化合物の任意の異性体若しくはラセミ混合物の反応を包含するように意図される。
【0012】
特定の化合物を表すために用いる場合に、“キラル”なる用語は本明細書では、例えば“キラルアミノ−テトラヒドロフラン”なる用語におけるように、この化合物が実質的にエナンチオマー的及び/又はジアステレオマー的純粋であることを意味するために用いられる。実質的にエナンチオマー的純粋である化合物は少なくとも90%の単独異性体を含有し、好ましくは少なくとも95%の単独異性体を含有する。より好ましくは、本発明におけるキラル化合物は少なくとも97.5%の単独異性体を含有し、最も好ましくは、少なくとも99%の単独異性体を含有する。本明細書において単独異性体として同定される化合物は、少なくとも90%の単独異性体を含有する形態で存在する化合物を表すことになっている。“ラセミ体の(racemic)”又は“ラセミ混合物”なる用語は、等量のエナンチオマー化合物の混合物を意味し、エナンチオマー混合物及び/又はエナンチオマー的ジアステレオマー混合物(mixtures of enantiomeric diastereomers)を包含する。
【0013】
本発明の方法は、以下に例示するように、アミノ−テトラヒドロフランIのオキサゾリンIIへの転化を生じる:
【0014】
【化4】

【0015】
式中、Rは水素又は−COR(1)であり:Rは水素、−COR(3)、−SOR(2)又は適当なヒドロキシル保護基であり;Rは水素、−COR(3)又は−SOR(2)であり;これらにおいてR(1)、R(2)又はR(3)は置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、へテロシクロアルキル又はヘテロアリール基を独立的に表す。
【0016】
本明細書で用いる限り、“アルキル”なる用語は、好ましくは1〜8個の、より好ましくは1〜6個の、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を表す。“C−Cアルキル”なる用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキルを表す。C−Cアルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、neo−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等を包含する。“C−Cアルキル”なる用語は、その定義の範囲内に、“C−Cアルキル”なる用語を包含する。
【0017】
“シクロアルキル”なる用語は、好ましくは5〜14個の環炭素原子を有する飽和又は部分的不飽和単独若しくは多重炭素環を含む基を表す。典型的なシクロアルキルは、3〜7個の、好ましくは3〜6個の炭素原子を有する単環を包含し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル等を包含する。典型的なシクロアルキルはC−Cシクロアルキルであり、これは5〜7個の炭素原子を含有する炭化水素環構造である。
【0018】
“アリール”なる用語は、6、10、14又は18個の環炭素原子を含有する芳香族一価単環状、二環状又は三環状ラジカルを含み、これらのラジカルに非置換であっても、下記置換基の1つ又はそれより多くによって置換されてもよい1つ又はそれより多くのシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロアリール基が縮合することができる基を表す。アリール基の具体的な例は、非限定的に、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、フルオレン−2−イル、インダン−5−イル等を包含する。
【0019】
“ヘテロシクロアルキル”なる用語は、飽和又は不飽和であり、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18個の環原子を含有し、窒素、酸素及び硫黄から選択された1、2、3、4又は5個のヘテロ原子を包含する非芳香族一価単環状、二環状又は三環状ラジカルを含み、これらのラジカルに非置換であっても、下記置換基の1つ又はそれより多くによって置換されてもよい1つ又はそれより多くのシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基が縮合することができる基を表す。ヘテロシクロアルキル基の具体的な例は、非限定的に、アゼチジニル、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロ−2H−1,4−チアジニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−オキサチオラニル、1,3−オキサチアニル、1,3−ジチアニル、アザビシクロ[3.2.1]オクチル、アザビシクロ[3.3.1]ノニル、アザビシクロ[4.3.0]ノニル、オキサビシクロ[2.2.1]ヘプチル、1,5,9−トリアザシクロドデシル等を包含する。
【0020】
“ヘテロアリール”なる用語は、窒素、酸素及び硫黄から選択された1、2、3、4又は5個のヘテロ原子を含めて、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18個の環原子を含有する芳香族一価単環状、二環状又は三環状ラジカルを含み、これらのラジカルに非置換であっても、下記置換基の1つ又はそれより多くによって置換されてもよい1つ又はそれより多くのシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基又はアリール基が縮合することができる基を表す。ヘテロアリール基の具体的な例は、非限定的に、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フリル、イソチアゾリル、フラザニル、イソキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チアントレニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチエニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル(quinoxyalinyl)、キンゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル及びフェノキサジニルを包含する。
【0021】
本発明では、上記アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール基の各々は1つ又はそれより多くの置換基によって置換されることができる。置換基自体が本発明の方法と適合しない場合には、これらの方法に用いられる反応条件に安定である適当な保護基によって置換基を保護することができる。方法の反応シーケンスにおける適当な点において保護基を除去して、所望の中間体又は目的化合物を提供することができる。適当な保護基と、このような適当な保護基を用いて種々な置換基を保護し、脱保護する方法は当業者に周知であり;これらの例はT.Green&P.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis(第2版、1991)に見出すことができ、この文献はその全体において本明細書に援用される。場合によっては、本発明の方法に用いられる反応条件下で反応性であるように、置換基を特に選択することができる。これらの状況下で、反応条件は選択された置換基を、本発明の方法における中間体化合物に有用であるか又は目的化合物における所望の置換基である別の置換基に転化させる。
【0022】
アルキル基中に存在しうる典型的な置換基は、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロ(NO)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、ジアルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アルカノイル、アシルオキシ、アロイル、アロイルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオを包含し、この場合に上記置換基中に存在するアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール部分のいずれもさらに、アルキル、アリール、ニトロ(NO)、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ又はアリールチオの1つ又はそれより多くによって置換されうる。上記アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール基上に存在しうる典型的な置換基は、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ニトロ(NO)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、ジアルキルアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アルカノイル、アシルオキシ、アロイル、アロイルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオを包含し、この場合に上記置換基中に存在するアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール部分のいずれもさらに、アルキル、アリール、ニトロ(NO)、アミノ、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ又はアリールチオの1つ又はそれより多くによって置換されうる。
【0023】
“ハロゲン”及び“ハロ”なる用語は、クロロ、フルオロ、ブロモ又はヨード置換基を表す。
典型的な置換アルキルは、ハロ(C−C)アルキルを包含し、これはそれに付着した1〜3個のハロゲン原子と共に1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキルを表す。典型的なハロ(C−C)アルキル基はクロロメチル、2−ブロモエチル、1−クロロイソプロピル、3−フルオロプロピル、2,3−ジブロモブチル、3−クロロイソブチル、ヨード−t−ブチル、トリフルオロメチル等を包含する。他の典型的な置換アルキルはヒドロキシ(C−C)アルキルであり、これはそれに付着したヒドロキシ基と共に1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキルを表す。典型的なヒドロキシ(C−C)アルキル基はヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシイソプロピル、4−ヒドロキシブチル等を包含する。さらに他の典型的な置換アルキルは、C−Cアルキルチオ(C−C)アルキルであり、これはそれに付着したC−Cアルキルチオ基を有する直鎖又は分枝鎖(C−C)アルキル基である。典型的なC−Cアルキルチオ(C−C)アルキルはメチルチオメチル、エチルチオメチル、プロピルチオプロピル、sec−ブチルチオメチル等を包含する。他の典型的な置換アルキルはヘテロシクロアルキル(C−C)アルキル又はヘテロアリール(C−C)アルキルであり、これはヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール基が付着した、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキルである。典型的なヘテロシクロアルキル(C−C)アルキル及びヘテロアリール(C−C)アルキル基はピロリルメチル、キノリニルメチル、1−インドリルエチル、2−フリルエチル、3−チエン−2−イルプロピル、1−イミダゾリルイソプロピル、4−チアゾリルブチル等を包含する。さらに他の典型的な置換アルキルはアリール(C−C)アルキルであり、これはそれに付着したアリール基と共に1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキルである。典型的なアリール(C−C)アルキル基はフェニルメチル(ベンジル)、2−フェニルエチル、3−ナフチル−プロピル、1−ナフチルイソプロピル、4−フェニルブチル等を包含する。
【0024】
典型的な置換アリールは、ハロゲン、ヒドロキシル、モルホリノ(C−C)アルコキシカルボニル、ピリジル(C−C)アルコキシカルボニル、ハロ(C−C)アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C)アルキルアミノカルボニル、アミノ、C−Cアルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ又は式−(CH−R[式中、aは1、2、3若しくは4であり、Rはヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−Cアルコキシカルボニル、アミノ、カルバモイル、C−Cアルキルアミノ若しくはジ(C−C)アルキルアミノである]で示される基から独立的に選択される、1つ又はそれより多くの置換基、好ましくは1〜3個の置換基によって置換されたフェニル又はナフチル環を包含する。
【0025】
典型的な置換ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールは、ハロゲン、ハロ(C−C)アルキル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−Cアルコキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C)アルキルカルバモイル、N−(C−C)アルキルアミノカルボニル、アミノ、C−Cアルキルアミノ、ジ(C−C)アルキルアミノ又は構造−(CH−R[式中、aは1、2、3若しくは4であり、Rはヒドロキシ、C−Cアルコキシ、カルボキシ、C−Cアルコキシカルボニル、アミノ、カルバモイル、C−Cアルキルアミノ若しくはジ(C−C)アルキルアミノである]で示される基から独立的に選択される、1、2又は3個の置換基によって置換されたものでありうる。
【0026】
置換ヘテロシクロアルキルの例は、非限定的に、3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリニルと、6−N−t−ブチルカルボキサミドオクタヒドロ−チエノ[3,2−c]ピリジニルを包含する。置換ヘテロアリールの例は、非限定的に、3−メチルイミダゾリル、3−メトキシピリジル、4−クロロキノリニル、4−アミノチアゾリル、8−メチルキノリニル、6−クロロキノキサリニル、3−エチルピリジル、6−メトキシベンズイミダゾリル、4−ヒドロキシフリル、4−メチルイソキノリニル、6,8−ジブロモキノリニル、4,8−ジメチルナフチル、2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、N−メチル−キノリン−2−イル、2−t−ブトキシカルボニル−1,2,3,4−イソキノリン−7−イル等を包含する。
【0027】
一般的にいえば、テトラヒドロフランIからオキサゾリンIIへの転化は、Rが−COR(1)であり、Rが水素、−COR(3)、−SOR(2)又は適当なヒドロキシル保護基であるテトラヒドロフランを、テトラヒドロフラン開環を促進する親オキソ性求電子性試薬によって処理することによって行なわれ、Rが水素、−COR(3)、−SOR(2)又は適当なヒドロキシル保護基であり、Rが水素、−COR(3)又は−SOR(2)であるオキサゾリンを生成する。したがって、本発明の方法に(Rとして)用いるために適切であると考えられるヒドロキシル保護基は、本明細書に述べる親オキソ性求電子性試薬又は試薬組み合わせに安定であるようなヒドロキシル保護基を包含する。適当な保護基と、このような適当な保護基を用いてヒドロキシル置換基を保護し、脱保護する方法とは当業者に周知であり;これらの例はT.Green&P.Wuts、上記文献に見出されうる。
【0028】
典型的には、本発明の方法の第1工程は、任意の適当な転化方法を用いた、既知アミノ−テトラヒドロフランAからのキラルテトラヒドロフランアミドBの形成を含む。このような転化方法の例はT.Green&P.Wuts、上記文献に見出されることができ、適当な酸ハロゲン化物、R(1)COX[式中、Xはハロゲンである]による塩基の存在下での処理、適当な酸R(1)COOHによる適当なカップリング剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下での処理等を包含する。好ましくは、この反応は酸塩化物を用いてトリエチルアミン塩基の存在下で行なわれる。
【0029】
【化5】

【0030】
本発明の1実施態様では、キラルテトラヒドロフランアミドBのヒドロキシル部分はRによって置換されることができ、この場合、Rは−SOR(2)又は上記で定義したような適当な保護基である。好ましくは、ヒドロキシル部分はアルキル又はアリールスルホネート(−SOR(2))に、より好ましくはメシラート又はトシラートに転化される。このような−SOR(2)基を形成するための方法は当業者に周知であり、任意の適当な慣用的方法を用いて達成されうる。このような慣用的方法の例も、T.Green&P.Wuts、上記文献に見出されることができる。好ましくは、反応はメタンスルホニルクロリド又はp−トルエンスルホニルクロリドを用いて、トリエチルアミン塩基の存在下で行なわれる。
【0031】
【化6】

【0032】
このヒドロキシ置換キラルテトラヒドロフランアミドCを次に、キラルオキサゾリンDに転化させることができる。この転化は、テトラヒドロフラン開環とオキサゾリン環形成とを促進する親オキソ性求電子性試薬を用いて、行なわれうる。本明細書で用いる限り、“親オキソ性求電子性試薬”なる用語は単独の試薬、又は組み合わせたときにテトラヒドロフラン開環とオキサゾリン環形成とを促進する親オキソ性求電子性中間体を生成する試薬セットを意味する。親オキソ性求電子性試薬の例は、非限定的に、適当な親オキソ性ルイス酸(例えば、金属ハロゲン化物ルイス酸、例えば四塩化チタン、又は強力な親オキソ性プロトン酸(protic acid)、例えばトリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid))、適当な酸無水物、適当な酸無水物若しくは適当な酸ハロゲン化物と適当なルイス酸との組み合わせを包含する。適当な無水物及び酸ハロゲン化物は、任意の慣用的なアルキル若しくはアリールカルボン酸又はスルホン酸の無水物及び酸ハロゲン化物(例えば、酸塩化物)並びに強酸の無水物、例えば無水トリフルオロメタンスルホン酸を包含する。適当なルイス酸は例えば四塩化チタン、三塩化アルミニウム等のような、周知の金属ハロゲン化物ルイス酸と、例えば硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のような、強力なプロトン酸とを包含する。一般に、オキサゾリンを形成するためのテトラヒドロフラン−アミドと親オキソ性求電子性試薬との反応は、非限定的に、酢酸エチル、イソプロピルアセテート、ジクロロメタン、ベンゼン及びトルエンを含めた非プロトン性溶媒中、−40℃〜70℃の温度において約1〜約20モル当量の親オキソ性求電子性試薬(テトラヒドロフラン−アミドを基準にして)を用いて行なわれうる。
【0033】
この反応の過程において、テトラヒドロフランの開環時に形成される第1級ヒドロキシル部分は、この反応に用いられる酸の“カチオン”部分によって置換された状態になりうる。親オキソ性求電子性試薬としてルイス酸又は強力なプロトン酸を用いる場合には、酸の“カチオン部分”がHであるために又はこのような試薬を用いて形成される任意の中間体の迅速な加水分解がこの生成物を生じるために、生成するオキサゾリンは非置換第1級ヒドロキシル部分(RがHである場合)を含有する。生成するヒドロキシル部分を慣用的な方法を用いて任意の技術上認知された(art-recognized)誘導体(例えば、アルキル化によるエーテル、アシル化によるエステル、アルキル−若しくはアリール−オキシカルボニルクロリド又はその同等物による処理によるカーボネート、イソシアネート(isocyante)による処理によるカルバメート、等)に転化させることができる。
【0034】
ネルフィナビル及びネルフィナビル・メシラートの製造のためには、適当な無水物、例えば無水テトラフルオロメタンスルホン酸を含む親オキソ性求電子性試薬による処理又は無水物若しくは酸ハロゲン化物とルイス酸との組み合わせによる処理によって、テトラヒドロフランアミドをオキサゾリン−エステル誘導体に転化させることが好ましい。このような試薬はアシリウムイオン中間体を生成することができ、当該技術分野で周知である。例えば、任意に適当なプロトン酸による処理によって又は適当な酸ハロゲン化物と適当なルイス酸との処理によって、適当なアシリウム中間体をin situで製造することができる。適当な酸無水物、酸ハロゲン化物及びルイス酸は本明細書で上述した通りである。これらの試薬を用いる反応の過程では、テトラヒドロフランの開環時に形成される第1級ヒドロキシル部分は、この反応に用いられる無水物又は酸ハロゲン化物のアルキル若しくはアリールカルボキシル部分(上記でRとして例示、この場合Rは上記で定義した通りの−COR(3)である)によって置換された状態になる。本明細書に例証するように、有用な親オキソ性求電子性試薬組み合わせは無水酢酸と硫酸とから成る。したがって、本発明の方法のこの実施態様では、生成するオキサゾリンはアセチル化第1級ヒドロキシル部分を含有する。
【0035】
一般に、テトラヒドロフラン−アミドからオキサゾリンへの転化は、親オキソ性求電子性試薬組み合わせの各試薬の過剰なモル当量を用いて達成されうる。この反応は、非限定的に、酢酸エチル、イソプロピルアセテート、ジクロロメタン、ベンゼン及びトルエンを包含する非プロトン性溶媒中、−40℃〜70℃の温度において約1〜約20モル当量の適当な酸と約1〜約20モル当量の適当な無水物(テトラヒドロフラン−アミドを基準にして)とを用いて、及び酸無水物と酸とを約1:5から約5:1(無水物:酸)までの相対的モル比率で用いて行なわれうる。好ましくは、この転化は過剰なモル当量の親オキソ性求電子性試薬、即ち、少なくとも2〜約20モル当量の親オキソ性求電子性試薬を用いて達成されうる。より好ましくは、この反応は約2〜約20モル当量の酸と約2〜約20モル当量の適当な無水物とを用いて行なわれることができ、この場合に無水物の、酸に対する比率は約1:1から約5:1までである。例えば、本明細書で例証するように、この転化は7.5当量の強酸と15当量の酸無水物とを用いて達成されうる(即ち、この場合に、無水物の、酸に対する比率は2:1(約1.5:1から約3:1までの範囲内)である)。
【0036】
PCT/JP96/02756(WO97/11937)(これの開示は本明細書に援用される)に開示されているように、生成するオキサゾリンDはネルフィナビルの製造に有用な中間体、特に化合物20と19の製造に用いられうる、
【0037】
【化7】

【0038】
式中、R(4)は置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール基であり、R(5)は置換された又は置換されないNH−アルキル、NH−アリール、O−アルキル又はO−アリール基であって、これらにおいて各アルキル若しくはアリール部分は非置換であっても、上記置換基によって置換されていてもよい。
【0039】
好ましくは、R(4)は
【0040】
【化8】

【0041】
であり、R(5)はN−t−ブチルである。
本発明の方法の他の実施態様では、テトラヒドロフラン−アミドBをオキサゾリンEに直接転化させることができる。このアミドを上記方法と同様な方法で処理することができる。例えば、テトラヒドロフラン−アミドBを例えば無水酢酸及び硫酸のような適当な酸の存在下で適当な酸無水物によって直接処理して、オキサゾリンジエステルEを形成することができる。生成するオキサゾリンの各ヒドロキシル部分は、反応に用いられる無水物のアルキル若しくはアリールカルボキシル部分(−COR(3)として例示、この場合R(3)は上記で定義した通りである)によって置換された状態になる。したがって、この方法に無水酢酸が用いられる場合には、生成するオキサゾリンの両ヒドロキシル部分はアセチル化されることになる。
【0042】
【化9】

【0043】
オキサゾリンジエステルEのアルキル若しくはアリールカルボキシル部分の各々を慣用的方法を用いて、例えば適当な溶媒中での適当な塩基による処理によって除去して、オキサゾリンジオールFを形成することができる。この加水分解を行なうために適した塩基は当該技術分野において周知であり、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を包含する。この加水分解に適した溶媒も同様に当該技術分野において周知であり、非限定的に低級アルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)を包含する。エステルを加水分解するための他の慣用的方法の例は、T.Green&P.Wuts,上記文献に見出すことができる。
【0044】
【化10】

【0045】
オキサゾリンジオールFから化合物19を介したネルフィナビルへの転化は、2(R),3−ジヒドロキシ−1(R)−フェニルスルファニルメチル−プロピル)−カルバミン酸ベンジルエステルからネルフィナビル・メシラート及びその遊離塩基への転化に関してPCT/JP96/02757(WO97/11938)に述べられている方法と同様な方法で行なわれうる。PCT/JP96/02757(WO97/11938)の開示は本明細書に援用される。例えば、オキサゾリンジオールFの第1級及び第2級ヒドロキシル部分の選択的官能化は、最初に第1級ヒドロキシル部分を適当なヒドロキシル保護基を用いて選択的に保護することによって達成されうる。適当なヒドロキシル保護基と、このような保護基を用いてヒドロキシル置換基を保護し、脱保護する方法とは当業者に周知であり;これらの例はT.Green&P.Wuts,上記文献に見出すことができる。好ましくは、第1級ヒドロキシル部分をパラ−ニトロベンゾエートエステルとして保護する。その後に、第2級ヒドロキシル部分を脱離基(leaving group)への転化によって官能化することができる。本明細書で用いる“脱離基”なる用語は、置換反応において結合の破壊によって分子から脱離する任意の基を意味する。脱離基の例は、非限定的に、置換又は非置換アリール若しくはアルキルスルホニルハライドを用いて作成される置換又は非置換アリールスルホネート及びアルキルスルホネートを包含する。好ましくは、ヒドロキシル部分をメシラートに転化させる。このスルホニル化保護オキサゾリンを次に、PCT/JP96/02757に記載されているように、3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリン(PHIQ)の添加によって化合物20に転化させることができる。
【0046】
本発明の方法の好ましい実施態様では、R(1)は
【0047】
【化11】

【0048】
[式中、Rはフェノール性ヒドロキシル保護基である]であり、これの例はT.GreenとP.Wuts、上記文献に見出すことができる。本発明の最も好ましい実施態様では、R(1)は
【0049】
【化12】

【0050】
であり、この場合にフェノール性ヒドロキシル部分を保護するために用いられるアセチル部分は、EをFを転化させるために用いられる加水分解条件に対して反応性である。したがって、本発明のこの実施態様では、オキサゾリンFは、R(1)が
【0051】
【化13】

【0052】
であるトリオールである。
オキサゾリントリオールのフェノール性、第1級及び第2級ヒドロキシル部分の選択的官能化は、最初にフェノール性ヒドロキシル部分を適当なヒドロキシル保護基を用いて選択的に保護することによって達成されうる。好ましくは、フェノール性ヒドロキシル部分をパラ−ニトロベンゾエートエステルとして保護する。次に、第1級ヒドロキシル部分を同じ又は異なる保護基を用いて保護することができる。同じ保護基を用いる場合に、フェノール性ヒドロキシル部分と第1級ヒドロキシル部分とを単一工程で保護することができる。その後に、第2級ヒドロキシル部分をメシラートへの転化によって官能化することができる。次に、スルホニル化二保護オキサゾリンをPCT/JP96/02757に述べられている方法と同様な方法で、3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリン(PHIQ)の添加によって化合物20に転化させることができる。
【0053】
本発明はまた、4−ヒドロキシル部分が本明細書で上述したキラルテトラヒドロフラン−アミドBの立体化学とは反対の(opposite)立体化学を有するキラルテトラヒドロフラン−アミドの製造方法も提供する。この方法は、キラルテトラヒドロフラン−アミドBを、2当量の塩基を用いる置換若しくは非置換スルホニル化試薬による処理によって縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリンGに転化させることを含む。この反応は、非限定的に酢酸エチル、イソプロピルアセテート、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン等を包含する適当な溶媒中、−78℃〜100℃の温度において行なわれうる。
【0054】
【化14】

【0055】
次に、この縮合複素環Gを、非限定的に水性の塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸等を包含する水性の酸による処理によってキラルテトラヒドロフランアミドHに転化させることができる。この反応は、非限定的に水、アルコール性溶媒又はこれらの混合物を包含する適当な溶媒中で−40℃〜100℃の温度において行なうことができ、この場合に適当なアルコール性溶媒は、非限定的に、例えばメタノール、イソプロパノール、エタノール等のような低級アルカノールを包含する。
【0056】
【化15】

【0057】
テトラヒドロフラン−アミドHを、上記方法に従って、酸無水物と酸とによる処理によってオキサゾリンジエステルJに転化させることができる。ジオールKを形成するためのオキサゾリンジエステルJのアルキル若しくはアリールカルボキシル部分の加水分解は、上記方法に従って達成されうる。
【0058】
【化16】

【0059】
生成するオキサゾリンジオールKの第1級ヒドロキシル部分を、上述したように、置換又は非置換アリール若しくはアルキルスルホニルハライドによる処理による脱離基への転化によって官能化することができる。好ましくは、第1級ヒドロキシルをトシラート又はメシラートに転化させる。この官能化オキサゾリンを慣用的な条件下、塩基の存在中で求核試薬、3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリン(PHIQ)によって処理すると、化合物19が得られる。化合物19からネルフィナビルへの転化はPCT/JP96/02757に述べられている方法と同様な方法で達成されうる。
【0060】
本発明の他の実施態様では、テトラヒドロフラン−アミドH:
【0061】
【化17】

【0062】
を、R(10)が任意の適当なヒドロキシル保護基でありうる保護されたテトラヒドロフラン−アミドLに転化させることができる。
【0063】
【化18】

【0064】
保護されたテトラヒドロフラン−アミドLを次に、親オキソ性ルイス酸、親オキソ性プロトン酸又は無水トリフルオロメタンスルホン酸による処理によって保護されたオキサゾリンMに直接転化させることができ、この場合にR(10)はヒドロキシル部分に対する任意の適当な保護基であり、R(11)はH又は置換アルキルスルホニルである。
【0065】
【化19】

【0066】
保護されたオキサゾリンMからネルフィナビルへの転化は、本明細書で上述した方法と同様な方法で行なわれうる。
本発明はさらに、キラルアミノ−テトラヒドロフランA又はその塩:
【0067】
【化20】

【0068】
の製造方法であって、アキラル縮合エポキシ−テトラヒドロフランN:
【0069】
【化21】

【0070】
をアミン試薬によって処理して、化合物O又はP又はこれらの混合物を形成することを含む前記方法を提供する。この反応は、例えばメタノール、イソプロパノール、エタノール等のようなアルコール性溶媒又は例えばイソプロピルアセテート、酢酸エチル、テトラヒドロフラン等のような非プロトン性溶媒を非限定的に包含する、適当な溶媒中で−50℃〜100℃の温度において行なわれうる。
【0071】
【化22】

【0072】
この方法に用いられるアミン試薬はキラルアミノ化試薬でも、アキラルアミノ化試薬でもよい。アミノ化試薬がキラルである(即ち、R(6)がキラル部分である)場合には、形成されるアミノ−テトラヒドロフラン混合物はジアステレオマー混合物であり、これを慣用的な手法を用いて処理して、分離されたアミノ−テトラヒドロフラン・ジアステレオマーを得ることができる。異性体を分離した後に、キラルアミノ化試薬のキラル部分を除去して、各々の分割されたアミノ−テトラヒドロフラン・エナンチオマー又はその塩を得ることができる。この分離の目的のために、置換基R(6)は、実質的にエナンチオマー的純粋である、キラル中心を有する適当な窒素保護基である。好ましくは、R(6)は少なくとも97.5%の単独異性体から構成され、より好ましくは、少なくとも99%の単独異性体から構成される。さらに、R(6)窒素保護基は、キラルアミノ−テトラヒドロフラン1をラセミ化しないような条件下で除去可能でなければならない。好ましくは、R(6)は実質的にエナンチオマー的純粋な、置換された又は置換されないアルカノイル、アロイル、アリールアルキルカルボニル、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルであり、これらにおいてアルキル、アリール又はヘテロアリール部分は上記アルキル、アリール又はヘテロアリール部分のいずれかによって置換されることができる。最も好ましくは、R(6)は
【0073】
【化23】

【0074】
である。
アミノ化試薬が例えばアンモニアのようなアキラルである場合には、形成されたアミノ−テトラヒドロフラン混合物はエナンチオマー混合物であり、これはキラル試薬によって、アミノ−テトラヒドロフランのジアステレオマー混合物を得るために有効であるように処理することができ、この場合にキラル試薬はキラル補助置換基(chiral auxiliary substituent)を含有する。このジアステレオマー混合物を慣用的な手法を用いて処理して、分離したアミノ−テトラヒドロフラン・ジアステレオマーを提供することができる。異性体を分離した後に、分離したアミノ−テトラヒドロフラン・ジアステレオマーの各々からキラル補助置換基を分離して、分割されたアミノ−テトラヒドロフラン・エナンチオマー又はその塩を得ることができる。
【0075】
立体異性体の分離に有用な典型的な手法は、Enantiomers,Racemates and Resolutions,J.Jacques,A.Collet,S.Wilen,Krieger Pub.Co.,(1991)Malabar,FLに述べられており、これの開示は本明細書に援用される。このような分離手法の例は結晶化、クロマトグラフィー等を包含する。有利には、この方法によって製造されるキラルアミノ−テトラヒドロフランは実質的にエナンチオマー的純粋であり、少なくとも90%の単独異性体を含有し、好ましくは少なくとも95%の単独異性体を含有する。より好ましくは、この方法によって製造されるキラルアミノ−テトラヒドロフランは少なくとも97.5%の単独異性体を含有し、最も好ましくは、少なくとも99%の単独異性体を含有する。
【0076】
具体的には、本発明は
【0077】
【化24】

【0078】
[式中、R(1)は、上記で定義したように、置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールである]の製造方法を提供する。好ましくは、R(1)は置換若しくは非置換フェニル、又は置換若しくは非置換C−Cアルキルである。より好ましくは、R(1)は置換フェニル又はCFである。最も好ましくは、R(1)は
【0079】
【化25】

【0080】
である。
R(2)は置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールである。好ましくは、R(2)は置換された又は置換されないアルキル又はアリールである。より好ましくは、R(2)はメチル、フェニル又はトリルである。最も好ましくは、R(2)はメチルである。R(3)は置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールである。好ましくは、R(3)は置換された又は置換されないアルキル又はアリールである。より好ましくは、R(3)はメチル又はフェニルである。最も好ましくは、R(3)はメチルである。
【0081】
この方法の好ましい実施態様は、
(1)アミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩:
【0082】
【化26】

【0083】
を、このアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩をテトラヒドロフラン−アミド2:
【0084】
【化27】

【0085】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミド2を、このテトラヒドロフラン−アミド2をテトラヒドロフランアミド−スルホネート3:
【0086】
【化28】

【0087】
に転化させるために有効であるように処理する工程であって、テトラヒドロフラン−アミド2を少なくとも1モル当量のスルホニル化試薬によって処理し、続いて塩基によって処理する段階的処理を含み、塩基による処理に用いられる塩基のモル当量がスルホニル化試薬のモル当量より少ない前記工程と;及び
(3)テトラヒドロフランアミド−スルホネート3を、このテトラヒドロフランアミド−スルホネート3をオキサゾリン18に転化させるために有効であるように処理する工程と
を含む。
【0088】
好ましくは、テトラヒドロフラン−アミド2を最初に置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニルクロリドによって、続いて1モル当量未満(スルホニルクロリドの量に関して)の塩基によって、このテトラヒドロフラン−アミド2をテトラヒドロフランアミド−スルホネート3に転化させるために有効であるように処理することができ、テトラヒドロフランアミド−スルホネート3を親オキソ性求電子性試薬によって、このテトラヒドロフランアミド−スルホネート3をオキサゾリン18に転化させるために有効であるように処理することができる。
【0089】
本発明はさらに、化合物19:
【0090】
【化29】

【0091】
[式中、R(4)は置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールであり、R(5)は置換された又は置換されないNH−アルキル、NH−アリール、O−アルキル又はO−アリール基であり、これらにおいて各アルキル又はアリール部分は上記置換基によって置換されても、置換されなくてもよい]の製造方法を提供する。最も好ましくは、R(4)は
【0092】
【化30】

【0093】
であり、R(5)はN−t−ブチルである。
この方法は下記工程:
(1)アミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩:
【0094】
【化31】

【0095】
を、このアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩をテトラヒドロフラン−アミド2:
【0096】
【化32】

【0097】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミド2をテトラヒドロフランアミド−スルホネート3:
【0098】
【化33】

【0099】
に転化させるために有効であるように処理する工程であって、テトラヒドロフラン−アミド2を少なくとも1モル当量のスルホニル化試薬によって、続いて塩基によって処理する段階的処理を含み、塩基による処理に用いられる塩基のモル当量がスルホニル化試薬のモル当量より少ない前記工程と;及び
(3)テトラヒドロフランアミド−スルホネート3をこのテトラヒドロフランアミド−スルホネート3をオキサゾリン18:
【0100】
【化34】

【0101】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(4)オキサゾリン18を、このオキサゾリン18を化合物20:
【0102】
【化35】

【0103】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(5)化合物20を、この化合物20を化合物19に転化させるために有効であるように処理する工程と
から成る。
【0104】
好ましくは、テトラヒドロフラン−アミド2を最初に置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニルクロリドによって、続いて1モル当量未満(スルホニルクロリドの量に関して)の塩基によって、このテトラヒドロフラン−アミド2をテトラヒドロフランアミド−スルホネート3に転化させるために有効であるように処理することができ、テトラヒドロフランアミド−スルホネート3を親オキソ性求電子性試薬によって、このテトラヒドロフランアミド−スルホネート3をオキサゾリン18に転化させるために有効であるように処理することができる;オキサゾリン18を3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリンによって、オキサゾリン18を化合物20に転化させるために有効であるように処理することができ、化合物20はPCT/JP96/02756(WO97/11937)に述べられている方法に従って化合物19に転化させることができる。
【0105】
本発明の他の方法は、化合物20:
【0106】
【化36】

【0107】
の製造方法であって、
(1)アミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩:
【0108】
【化37】

【0109】
を、このアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩をテトラヒドロフラン−アミド2:
【0110】
【化38】

【0111】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミド2を、このテトラヒドロフラン−アミド2をオキサゾリントリエステル4:
【0112】
【化39】

【0113】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(3)オキサゾリントリエステル4を、このオキサゾリントリエステル4をオキサゾリントリオール5:
【0114】
【化40】

【0115】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(4)オキサゾリン5を、このオキサゾリントリオール5を化合物6又は化合物7:
【0116】
【化41】

【0117】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(5)化合物7を、この化合物7を化合物8:
【0118】
【化42】

【0119】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(6)化合物8を、この化合物8を化合物20に転化させるために有効であるように処理する工程と
を含み、R(7)がヒドロキシル部分に対する任意の適当な保護基である前記方法を含む。適当なヒドロキシル保護基と、このような適当な保護基を用いてヒドロキシル置換基を保護し、脱保護する方法とは当業者に周知であり;これらの例はT.Green&P.Wuts、上記文献に見出すことができる。好ましくは、R(7)はトリアルキルシリル、ジアルキル−モノアリールシリル、ジアリール−モノアリールシリル、置換又は非置換アロイル若しくはアルカノイルである。好ましくは、R(7)はトリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ベンゾイル、パラ−ニトロベンゾイル、トリイソプロピルシリル等である。最も好ましくは、R(7)はパラ−ニトロベンゾイル(PNB)部分である。
【0120】
好ましくは、テトラヒドロフラン−アミド2を親オキソ性求電子性試薬によって、このテトラヒドロフラン−アミド2をオキサゾリントリエステル4に転化させるために有効であるように処理することができる。オキサゾリントリエステル4を加水分解して、オキサゾリントリオール5を得ることができる。オキサゾリントリオール5のフェノール性ヒドロキシル部分を適当なヒドロキシル保護基によって、このオキサゾリントリオール5を保護されたオキサゾリン6に転化させるために有効であるように保護することができる。或いは、オキサゾリントリオール5のフェノール性ヒドロキシル部分と第1級ヒドロキシル部分の両方を適当なヒドロキシル保護基によって、オキサゾリントリオール5を二保護オキサゾリン7に転化させるために有効であるように保護することができる。二保護オキサゾリン7を置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニル化試薬によって、このオキサゾリン7をスルホニル化二保護オキサゾリン8に転化させるために有効であるように処理することができる。スルホニル化二保護オキサゾリン8を3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリンによって、オキサゾリン8を化合物20に転化させるために有効であるように処理することができる。
【0121】
本発明によるさらに他の方法は、化合物19:
【0122】
【化43】

【0123】
の製造方法を含む。
この方法は
(1)アミノ−テトラヒドロフラン1:
【0124】
【化44】

【0125】
又はその塩をテトラヒドロフラン−アミド2:
【0126】
【化45】

【0127】
に転化させる工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミド2をオキサゾリントリエステル4:
【0128】
【化46】

【0129】
に転化させる工程と;
(3)オキサゾリントリエステル4をオキサゾリントリオール5:
【0130】
【化47】

【0131】
に転化させる工程と;
(4)オキサゾリントリオール5を二保護オキサゾリン7:
【0132】
【化48】

【0133】
に転化させる工程と
を含み、二保護オキサゾリン7はPCT/JP96/02757に述べられている方法を用いて化合物19を介してネルフィナビルに転化させることができる。
【0134】
例えば、二保護オキサゾリン7は下記工程:
(1)二保護オキサゾリン7をスルホニル化二保護オキサゾリン8:
【0135】
【化49】

【0136】
に転化させる工程と;
(2)スルホニル化二保護オキサゾリン8を化合物20:
【0137】
【化50】

【0138】
に転化させる工程と;
(3)化合物20を化合物19に転化させる工程と
を含む方法によって、化合物19に転化させることができる。
【0139】
好ましくは、テトラヒドロフラン−アミド2を親オキソ性求電子性試薬によって、このテトラヒドロフラン−アミド2をオキサゾリントリエステル4に転化させるために有効であるように処理することができる。オキサゾリントリエステル4を加水分解して、オキサゾリントリオール5を得ることができる。オキサゾリントリオール5のフェノール性ヒドロキシル部分と第1級ヒドロキシル部分とを適当なヒドロキシル保護基によって、このオキサゾリントリオール5を二保護オキサゾリン7に転化させるために有効であるように保護することができる。二保護オキサゾリン7を置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニル化試薬によって、このオキサゾリン7をスルホニル化二保護オキサゾリン8に転化させるために有効であるように処理することができる。スルホニル化二保護オキサゾリン8を3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリンによって、オキサゾリン8を化合物20に転化させるために有効であるように処理することができる。
【0140】
本発明によるさらに他の方法は、化合物19:
【0141】
【化51】

【0142】
の製造方法に関し、この方法は、
(1)アミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩をテトラヒドロフラン−アミドに転化させる工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミド2を縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリン9:
【0143】
【化52】

【0144】
に転化させる工程と;
(3)縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリン9をテトラヒドロフラン−アミド10:
【0145】
【化53】

【0146】
に転化させる工程と;
(4)テトラヒドロフラン−アミド10をオキサゾリントリエステル11:
【0147】
【化54】

【0148】
に転化させる工程と;
(5)オキサゾリントリエステル11をオキサゾリントリオール12:
【0149】
【化55】

【0150】
に転化させる工程と;
(6)オキサゾリントリオール12を官能化オキサゾリン13:
【0151】
【化56】

【0152】
[式中、R(8)はそれが付着する酸素と共に適当な脱離基を形成し、R(9)はH又はR(8)である]
に転化させる工程と;
(7)官能化オキサゾリン13を化合物20:
【0153】
【化57】

【0154】
に転化させる工程と;
(8)化合物20を化合物19:
【0155】
【化58】

【0156】
に転化させる工程と
を含む。
好ましくは、テトラヒドロフラン−アミド2を置換又は非置換アルキル又はアリールスルホニル化試薬によって、このテトラヒドロフラン−アミド2を縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリン9に転化させるために有効であるように処理することができる。この縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリン9を加水分解して、テトラヒドロフラン−アミド10を得ることができる。テトラヒドロフラン−アミド10を親オキソ性求電子性試薬によって、このテトラヒドロフラン−アミド10をオキサゾリントリエステル11に転化させるために有効であるように処理することができる。オキサゾリントリエステル11を加水分解して、オキサゾリントリオール12を得ることができる。オキサゾリントリオール12を置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニル化試薬による処理によって、オキサゾリン12を官能化スルホニル化オキサゾリン13に転化させるために有効であるように官能化することができる。オキサゾリン13を3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリンによって、このオキサゾリンを化合物20に転化させるために有効であるように処理することができる。
【0157】
本発明の他の方法は化合物20:
【0158】
【化59】

【0159】
の製造方法を含む、この方法は下記工程:
(1)アミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩:
【0160】
【化60】

【0161】
を、このアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩をテトラヒドロフラン−ヒドロキシ−アミド10:
【0162】
【化61】

【0163】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−ヒドロキシ−アミド10を、このテトラヒドロフラン−アミド10のヒドロキシル部分を保護して、保護されたテトラヒドロフラン−アミド21:
【0164】
【化62】

【0165】
を形成するために有効であるように処理する工程と;
(3)保護されたテトラヒドロフラン−アミド21を、この保護されたテトラヒドロフラン−アミド21を保護されたオキサゾリン22:
【0166】
【化63】

【0167】
に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(4)保護されたオキサゾリン22を、このオキサゾリン22を化合物20に転化させるために有効であるように処理する工程と
を含み、この場合にR(10)はヒドロキシル部分に対する任意の適当な保護基であり、R(11)はH又は置換アルキルスルホニルである。
【0168】
適当なR(10)ヒドロキシル保護基と、このような適当な保護基を用いてヒドロキシル置換基を保護し、脱保護する方法とは当業者に周知であり、これらの例はT.Green&P.Wuts、上記文献に見出すことができる。
【0169】
好ましくは、テトラヒドロフラン−アミド10のヒドロキシル部分を適当なヒドロキシル保護基によって、このテトラヒドロフラン−アミド10を、R(10)が任意の適当な保護基である保護されたテトラヒドロフラン−アミド21に転化させるために有効であるように保護することができる。保護されたテトラヒドロフラン−アミド21を親オキソ性求電子性試薬によって、この保護されたテトラヒドロフラン−アミド21を保護されたオキサゾリン22に転化させるために有効であるように処理することができる。好ましくは、テトラヒドロフラン−アミド21を親オキソ性ルイス酸、親オキソ性プロトン酸又は無水トリフルオロメタンスルホン酸によって処理する。
【0170】
本発明の他の方法は、キラルアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩を実質的にジアステレオマー的純粋な形で製造する方法に関する。
この方法は、(1)縮合エポキシ−テトラヒドロフラン14:
【0171】
【化64】

【0172】
をアミノ−テトラヒドロフランの立体異性体混合物に転化させる工程と;(2)アミノ−テトラヒドロフランの立体異性体混合物を、このアミノ−テトラヒドロフランの立体異性体を分割するために有効であるように処理する工程と;(3)アミノ−テトラヒドロフランの分割された立体異性体1及び1’又はその塩:
【0173】
【化65】

【0174】
を単離する工程とを含む。
エポキシ−テトラヒドロフラン14をアミノ化試薬によって処理して、アミノ−テトラヒドロフラン1及び1’の立体異性体混合物を形成することができる。
【0175】
本明細書に述べるように、本発明の化合物は塩として用いることができる。塩は製薬的に受容される塩でありうる。“製薬的に受容される塩”なる用語は、遊離酸及び塩基の生物学的有効性と性質とを保有し、及び/又は生物学的に若しくはその他の点でも問題を起こしそう(undesirable)でないような塩を意味する。
【0176】
製薬的に受容される塩の例は、非限定的に、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ニトロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、フェニルスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩及びマンデル酸塩を包含する。本明細書で上述した化合物の任意の製薬的に受容される塩を製造することができるが、好ましい塩はp−トルエンスルホン酸塩である。
【0177】
本発明の発明方法の化合物が塩基である場合に、酸による遊離塩基の処理を含めた、当該技術分野で知られた任意の適当な方法によって、所望の塩を製造することができる。このような処理は、非限定的に、例えばハロゲン、擬ハロゲン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、水酸化物イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、過塩素酸イオンのような無機イオン及び関連する複合無機アニオン並びに例えばカルボン酸イオン、スルホン酸イオン、炭酸水素イオン及び炭酸イオンのような有機イオンを包含しうる対イオンと共に、プロトン化塩基としての塩を形成する。本発明の方法に有用な典型的な酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸と、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、例えばグルクロン酸及びガラクツロン酸のようなピラノシジル酸(pyranosidyl acid)、例えばクエン酸及び酒石酸のようなα−ヒドロキシ酸、例えばアスパラギン酸及びグルタミン酸のようなアミノ酸、例えば安息香酸及びシンナミン酸(cinnamic acid)のような芳香族酸、例えばp−トルエンスルホン酸、フェニルスルホン酸又はメタンスルホン酸のようなスルホン酸等をのような有機酸とを包含する。
【0178】
本発明の発明方法の化合物が酸である場合には、例えばアミン(第1級、第2級又は第3級)又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属水酸化物等のような、無機又は有機塩基による遊離酸の処理を含めた、当該技術分野に知られた任意の適当な方法によって、所望の塩を製造することができる。適当な塩の具体的な例は、例えばグリシン及びアルギニンのようなアミノ酸、アンモニア、第1級、第2級及び第3級アミン、例えばピペリジン、モルホリン及びピペラジンのような環状アミンに由来する有機塩と、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムに由来する無機塩とを包含する。
【0179】
本発明はまた、ネルフィナビル・メシラート及びネルフィナビル遊離塩基の製造に特に有用である中間体を製造するための新規で、有用な方法を提供する。特に有用な中間体は化合物19’及び20’である。以下に例示するように、これらの化合物はキラルテトラヒドロフラン化合物1’又は2’から製造することができる。
【0180】
化合物18’は以下のスキームIに例示する反応シーケンスによって製造することができる。本発明の方法のこの実施態様では、キラルアミノ−テトラヒドロフラン1’を3−アセトキシ−2−メチルベンゾイルクロリド(AMBC)によって、アミド、(12−アセトキシ−3−メチルベンズアミド2’)又はその塩を形成するために有効な条件下で処理する。生成したアミド、テトラヒドロフラン−アミド2’をメタンスルホニルクロリドによって、テトラヒドロフラン−アミド2’の第2級アルコールを誘導体化するために有効な条件下、例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下において処理して、単離する必要のない中間体メシラート テトラヒドロフランアミド−スルホネート3’を得ることができる。例えば、この反応はテトラヒドロフラン2’を最初に少なくとも1モル当量のメタンスルホニルクロリドによって処理し、続いて1モル当量未満(メタンスルホニルクロリドの量に関して)のトリエチルアミンを添加することによって行なうことができる。次に、テトラヒドロフランアミド−スルホネート3’を例えば無水酢酸のような無水物と、例えば硫酸のような強酸とによって、化合物18’を製造するために有効な条件下で処理することができる。例えば、テトラヒドロフランアミド−スルホネート3’を15モル当量の無水酢酸と、7.5モル当量の例えば硫酸のような強酸とによって処理して、化合物18’を製造することができる。この処理工程に有用な他の強酸はトリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、リン酸等を包含する。
【0181】
スキームI
【0182】
【化66】

【0183】
ルーチンの実験によって、本明細書に述べる全ての化合物を製造するために有効である反応条件(溶媒、反応時間、温度等)を決定することは、当業者の通常の熟練の範囲内と見なされる。例えば、感湿性の酸塩化物、AMBCと、スルホニルクロリド、メシルクロリドとを用いるアミノ−テトラヒドロフラン1’から化合物19への転化のための上記反応は、好ましくは、非プロトン性溶媒(即ち、水でもアルコールでもない溶媒)中で行なわれる。好ましくは、非プロトン性溶媒は例えば酢酸エチル、イソプロピルアセテート、トルエン、ベンゼン等のような非プロトン性溶媒である。
【0184】
以下のスキームIIの反応シーケンスに例示した化合物20’の製造は、アミノ−テトラヒドロフラン1’又はその製薬的に受容される塩から製造することもできる。上記反応シーケンスにおけるように、このシーケンスの第1工程はアミド中間体、テトラヒドロフラン−アミド2’の形成を含む。このアミド中間体を、例えば無水酢酸のような無水物と、例えば硫酸のような強酸とによって直接処理して、オキサゾリントリエステル4’を形成することができる。オキサゾリントリエステル4’の各アセトキシ部分を適当な溶媒中での適当な塩基による処理によって除去して(加水分解して、対応ヒドロキシル部分を得る)、オキサゾリントリオール5’を形成することができる。この加水分解を行なうために適した塩基は当該技術分野において知られており、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を包含する。この加水分解を行なうために適した溶媒も同様に当該技術分野において知られており、低級アルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)を包含する。
【0185】
有利には、オキサゾリントリオール5’のフェノール性ヒドロキシル部分、第1級ヒドロキシル部分及び第2級ヒドロキシル部分を、以下に例示するように、選択的に保護することができる。例えば、p−ニトロベンゾイルクロリドを用いて、フェノール性ヒドロキシル部分をp−ニトロベンゾエート、化合物6’として保護することができる。次に、化合物6’の第1級ヒドロキシル部分を同じ又は異なる保護基を用いて選択的に保護することができる。或いは、オキサゾリントリオール5’のフェノール性ヒドロキシル部分と第1級ヒドロキシル部分の両方をp−ニトロベンゾイルクロリドを用いて保護して、ジ−p−ニトロベンゾエート、化合物7’を形成することができる。このプロセスを2当量のp−ニトロベンゾイルクロリドを用いて単一工程で、又は上述したような段階的プロセスで行なうことができる。
【0186】
スキームII
【0187】
【化67】

【0188】
スキームIIIに例示するように、化合物7’をメタンスルホニルクロリド(他の置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニルクロリドも使用可能であるが)によって例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下で処理して、化合物8’を得た、これは炭酸カリウムとメタノールとの存在下で3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリン(PHIQ)の添加によって化合物20’に転化させることができる。チオフェノールによってさらに処理して、ネルフィナビルを得た。スルホニルクロリドと塩基とによる化合物7’の処理は慣用的な条件を用いて行なうことができる。
【0189】
スキームIII
【0190】
【化68】

【0191】
アミノ−テトラヒドロフラン1’からのテトラヒドロフラン−アミド2’の形成から出発して化合物19’を製造するための代替え反応シーケンスは、以下のスキームIVに例示するように、縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリン9’の形成を含む。テトラヒドロフラン−アミド2’をメタンスルホニルクロリド(他の置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニルクロリドも使用可能であるが)によって例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下で処理して、新規な縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリン9’を得る。このオキサゾリンの酸処理はテトラヒドロフラン−アミド10’を生成する、この場合に4−ヒドロキシル部分の立体化学は出発物質のテトラヒドロフラン2’の立体化学の反対である。例えば硫酸又は硝酸のような強酸の存在下での無水酢酸によるテトラヒドロフラン−アミド10’の処理は化合物11’、トリアセテートを生成する。このトリアセテートの加水分解はトリオール12’を生成する。
【0192】
スキームIV
【0193】
【化69】

【0194】
スキームVに例示するように、トリオール12’をメタンスルホニルクロリド又は他の置換若しくは非置換アルキル若しくはアリールスルホニルクロリドによって例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下で処理して、第1級トシラート(primary tosylate)、化合物13’を得る。このトシラートを求核試薬、3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリン(PHIQ)によって塩基の存在下、慣用的な条件下で処理すると、化合物19’が得られる。化合物19’からネルフィナビルへの転化は慣用的な条件下で、例えばチオフェノールによる処理によって達成されうる。
【0195】
スキームV
【0196】
【化70】

【0197】
スキームVIに例示する、本発明の他の実施態様は、縮合エポキシ−テトラヒドロフラン14からのアミノアルコール1の製造を提供する。少なくとも97.5%の単独エナンチオマーを含有する(S)−α−メチルベンジルアミン又は他のキラルアミンによる1の処理は、エポキシドの開環を生じて、ジアステレオマー化合物15’と16’の混合物を生成する。この反応は例えばイソプロピルアミンと水との混合物のような適当な溶媒を用いて行なうことができる。これらのジアステレオマーの結晶化によって、選択的に化合物15’が得られる。化合物15’のベンジル部分の脱保護は慣用的な方法、例えば水素化分解(炭素付き5%パラジウムの存在下での水素)を用いて行なうことができる。アミノアルコール1は吸湿性であるので、これを塩として、例えばp−トルエンスルホン酸塩17として単離することが好ましい。
【0198】
スキームVI
【0199】
【化71】

【0200】
或いは、キラルアミノ−テトラヒドロフラン1を縮合エポキシ−テトラヒドロフラン14から水性アンモニア、アキラル試薬を用いて製造して、ラセミ体1と1’との混合物を得ることができ、この混合物を、スキームVIIに例示するように、慣用的な分割手法を用いて分割することができる。例えば、ラセミ体アミノ−化合物をキラル酸によって処理して、ジアステレオマー混合物を形成することができ、次に、この混合物を結晶化又はクロマトグラフィーによって分離することができる。中和と、抽出による仕上げ処理によって、ジアステレオマー的純粋なアミノ−テトラヒドロフラン1が得られ、キラル酸が回収される。
【0201】
スキームVII
【0202】
【化72】

【0203】
ラセミ体アミノ−テトラヒドロフラン1の分割に用いることができるキラル酸は、L−酒石酸、(1R)−(−)−10−ショウノウスルホン酸、L−2−ピロリドン−5−カルボン酸、(−)−ジ−O,O’−ベンゾイル−L−酒石酸、(−)−モノ−(1R)−メチルフタレート、S(+)マンデル酸、L−アスパラギン酸、(−)−ジ−O,O’−ベンゾイル−L−酒石酸モノ(ジメチルアミド)、(−)−2、3:4、6−ジ−O−イソプロピリデン−2−ケト−L−グロン酸、L(−)−リンゴ酸及びD(−)−キニン酸を包含する。
【0204】
本明細書に述べる化合物が例えば安定な及び準安定な結晶形並びに等方性及び非晶質形のような種々な形態で存在しうることが理解され、これらの形態の全てが本発明の範囲内に包含される。
【0205】
本明細書で用いる限り、“PHIQ”なる用語は試薬、3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリンを意味し、“AMBC”は試薬、3−アセトキシ−2−メチルベンゾイルクロリドを意味し、“MTBE”は溶媒、メチルt−ブチルエーテルを意味し、“MIBK”は溶媒、メチルイソブチルケトンを意味し、“PNB”はp−ニトロベンゾイル部分を意味する。
【実施例】
【0206】
実施例1
(3R,4S)4−アミノ−テトラヒドロ−フラン−3−オールトルエン−4−スルホン酸塩17の合成
(S)−α−メチルベンジルアミン(304g,2.51mol)と3,4−エポキシテトラヒドロフラン14(200g,2.32mol)とを2−プロパノール(1L)と水(1L)中に溶解した。この溶液を撹拌しながら18時間、加熱還流させた。2−プロパノール(約1L)を減圧下で除去し、水(1L)を加えた。生成したスラリーを室温において16時間撹拌して、濾過した。白色固体を水(500ml)によって洗浄し、次に真空オーブン中で室温において一定の重量になるまで乾燥させて、粗化合物15’(170.1g)を得た。この固体を60℃の2−プロパノール(354ml)とヘプタン(1L)中に溶解することによって、この粗物質を再結晶した。この溶液に55℃において純粋な化合物15’を接種して、この溶液を18時間にわたって室温に冷却させた。固体を濾過し、ヘプタン(200ml)によって洗浄し、真空オーブン中で室温において一定の重量になるまで乾燥させて、純粋な化合物15’(123.2g,26%)を得た。
【0207】
2L Parrフラスコに純粋な化合物15’(120.7g)と、2−プロパノール(840ml)と、炭素付き5%パラジウム(12g)とを装入した。このフラスコを水素ガスの26psiにおいて44時間振とうした。追加の炭素付き5%パラジウム(6g)を加えて、混合物を水素ガスの26psiにおいて20時間振とうした。この混合物をCeliteに通して濾過し、これを2−プロパノール(200ml)によって洗浄した。Celiteに通しての濾過と洗浄を繰り返した。
【0208】
この溶液にパラ−トルエンスルホン酸(110.8g)を加え、溶液を減圧下で1Lになるまで濃縮した。メチル−t−ブチルエーテル(MTBE,1.5L)を加えて、得られた固体を濾過し、MTBE(250ml)によって洗浄し、真空オーブン中で40℃において一定重量になるまで乾燥させて、純粋な化合物17(138g,86%)を得た。
【0209】
実施例2
酢酸3−(4R−ヒドロキシ−テトラヒドロ−フラン−3S−イルカルバモイル)−2−メチル−フェニルエステル2’の合成
アミン塩17(25.0g,90.9mmol)と、AMBC(3−アセトキシ−2−メチルベンゾイルクロリド,20.4g,95.9mmol)とを室温において酢酸エチル(188ml)中でスラリー化した。水浴で冷却しながら、トリエチルアミン(25.9ml,186.1mmol)を、温度を25℃未満に維持するために充分な速度で加えた。このスラリーを室温において1時間45分間撹拌し、90.8mmolのテトラヒドロフラン−アミド2’の懸濁液を得た。
【0210】
実施例3
(2R)−1−アセトキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾル−4−イル)−2−メタンスルホニルオキシエタン18’の合成
実施例2の反応生成物混合物(90.8mmolのテトラヒドロフラン−アミド2’を含有)を氷/アセトン浴中で冷却し、メタンスルホニルクロリド(17.6ml,227mmol)を1回で加えた。トリエチルアミン(19ml,136.2mmol)を、内部温度を10℃未満に維持するために充分な速度で滴加した。無水酢酸(129ml,1362mmol)を1回で加え、冷却浴を除去した。硫酸(98%,38ml,681mmol)を15分間間隔で3回に分けて加えた。混合物を室温において17時間撹拌した。1Lの水中の炭酸水素ナトリウム(305g,3632mmol,40当量)の懸濁液を調製した。これの上に酢酸エチル(250ml)を載せた。上記からの反応混合物を炭酸水素ナトリウムスラリーに2時間にわたって滴加した。層を分離し、水層を酢酸エチル(200ml)によって洗浄した。一緒にした有機層を飽和炭酸水素ナトリウム(200ml)とブライン(200ml)とによって洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させて、90.8mmolの油状物18’を得た。
【0211】
実施例4
(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−[(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾル−4−イル]−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸t−ブチルアミド20’の合成
実施例3の粗生成物、(2R)−1−アセトキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾル−4−イル)−2−メタンスルホニルオキシエタン18’(1.98kg、3.30mol)をメタノール(6.50L)と水(6.50L)との混合溶媒中に懸濁させ、(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸t−ブチルアミド(642g,2.62mol)と炭酸カリウム(1.36kg,9.81mol)とを連続的に加え、これに続いて、50℃において5.5時間撹拌した。水(6.50L)を加えて、反応混合物を室温に冷却し、生じた結晶を濾過によって回収した。これらの粗結晶を再び水(6.50L)中に懸濁させて、撹拌し、洗浄し、濾過によって回収した。得られた結晶をメチルイソブチルケトン(10.0L)中に再懸濁させ、この懸濁液に対して共沸蒸留による脱水(azeotropic dehydration)を行なった。得られたスラリーを室温に冷却して、結晶を濾過によって回収して、902g(1.07mol)の標題化合物を無色結晶として得た。
【0212】
本発明に用いるために適した他の塩基は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を包含する。この反応は、非限定的にアルコール性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)、水、酢酸エチル、イソプロピルアセテート等を包含する、適当な溶媒又は適当な溶媒混合物中、−78℃〜100℃の温度において行なうことができる。好ましくは、反応は上述したように行なわれる。
【0213】
実施例5
(3S,4aS,8aS)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイル−アミノ)−4−フェニルチオブチル]デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸t−ブチルアミド19’の合成
実施例4におけるように得られた(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−[(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾル−4−イル]−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸t−ブチルアミド(701g,1.53mol)をメチルイソブチルケトン(7.00L)中に懸濁させ、チオフェノール(314ml,3.06mol)と炭酸水素カリウム(76.6g,0.765mol)とを加えた。この混合物を窒素雰囲気下で12時間加熱還流させた。反応の完成後に、トルエン(7.00L)を加えて、沈殿した結晶を濾過によって回収し、トルエンによって洗浄した。これらの粗結晶をアセトンと水(1:1)の混合溶媒中で、加熱しながら、洗浄して、695g(1.22mol)の標題化合物(80%収率)を無色結晶として得た。
【0214】
特定の実施例を用いて、種々な好ましい実施態様に関して本発明を説明したが、特許請求の範囲において定義したような、本発明の範囲及び要旨から逸脱せずに、種々な変化及び修正がなされうることを当業者はルーチンの実験によって認識するであろう。
【0215】
本発明の態様
限定されるわけではないが、本発明は好ましくは以下の態様を含む。
[態様1] オキサゾリン:
【0216】
【化73】

【0217】
からのテトラヒドロフラン:
【0218】
【化74】

【0219】
の製造方法であって、Rが−COR(1)であり、Rが水素、−COR(3)、−SOR(2)又は適当なヒドロキシル保護基であるテトラヒドロフランを親オキソ性求電子性試薬によって、Rが水素、−COR(3)、−SOR(2)又は適当なヒドロキシル保護基であり、Rが水素、−COR(3)又は−SOR(2)であり、R(1)、R(2)及びR(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール基を独立的に表すオキサゾリンを生成するために有効であるように処理することを含む前記方法。
【0220】
[態様2] テトラヒドロフランを約1〜約20モル当量の親オキソ性求電子性試薬によって処理することを含む、態様1記載の方法。
[態様3] 前記親オキソ性求電子性試薬が約1〜約20モル当量の適当な酸と約1〜約20モル当量の適当な酸無水物との組み合わせを含み、該無水物と該酸とが約1:5から約5:1までの相対的モル比率でそれぞれ用いられる、態様1記載の方法。
【0221】
[態様4] 前記親オキソ性求電子性試薬が約2〜約20モル当量の適当な酸と約2〜約20モル当量の適当な酸無水物との組み合わせを含み、該無水物と該酸とが約1:1から約5:1までの相対的モル比率でそれぞれ用いられる、態様1記載の方法。
【0222】
[態様5] 前記親オキソ性求電子性試薬が約7.5モル当量の適当な酸と15モル当量の適当な酸無水物とを含む、態様1記載の方法。
[態様6] 前記テトラヒドロフランを無水物によって酸性条件下で処理して、前記オキサゾリンを形成する、態様1記載の方法。
【0223】
[態様7] 式:
【0224】
【化75】

【0225】
[式中、R(1)、R(2)及びR(3)は置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを独立的に表す]を有するオキサゾリンの製造方法であって、
(1)式:
【0226】
【化76】

【0227】
を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、前記アミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【0228】
【化77】

【0229】
を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを置換された又は置換されないアルキル若しくはアリールスルホニル化試薬によって処理して、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【0230】
【化78】

【0231】
を有するテトラヒドロフランアミド−スルホネートに転化させる工程であって、テトラヒドロフラン−アミドを少なくとも1モル当量のスルホニル化試薬によって処理し、続いて塩基によって処理する段階的処理を含み、塩基による処理に用いられる塩基のモル当量がスルホニル化試薬のモル当量より少ない前記工程と;
(3)テトラヒドロフランアミド−スルホネートを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフランアミド−スルホネートを前記オキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と
を含む前記方法。
【0232】
[態様8] 式:
【0233】
【化79】

【0234】
を有するオキサゾリンジオールの製造方法であって、
(1)式:
【0235】
【化80】

【0236】
を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【0237】
【化81】

【0238】
を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【0239】
【化82】

【0240】
を有するオキサゾリンジエステルに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(3)オキサゾリンジエステルを加水分解して、R(1)及びR(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを独立的に表す前記オキサゾリンジオールを得る工程と
を含む前記方法。
【0241】
[態様9] 式:
【0242】
【化83】

【0243】
を有するオキサゾリンジオールの製造方法であって、
(1)式:
【0244】
【化84】

【0245】
を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【0246】
【化85】

【0247】
を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニル化試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【0248】
【化86】

【0249】
を有する縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(3)縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリンを加水分解して、式:
【0250】
【化87】

【0251】
を有するテトラヒドロフラン−アミドを得る工程と;
(4)テトラヒドロフラン−アミドを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【0252】
【化88】

【0253】
を有するオキサゾリンジエステルに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(5)オキサゾリンジエステルを加水分解して、R(1)及びR(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを独立的に表す前記オキサゾリンジオールを得る工程と
を含む前記方法。
【0254】
[態様10] 式:
【0255】
【化89】

【0256】
[式中、R(1)は置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールであり、R(10)は適当なヒドロキシル保護基であり、R(11)はH又は置換アルキルスルホニルである]を有するオキサゾリンの製造方法であって、
(1)式:
【0257】
【化90】

【0258】
を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【0259】
【化91】

【0260】
を有するテトラヒドロフラン−ヒドロキシ−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−ヒドロキシ−アミドを、このヒドロキシ−アミドのヒドロキシル部分を保護するために有効であるように処理して、式:
【0261】
【化92】

【0262】
を有する保護されたテトラヒドロフラン−アミドを形成する工程と;
(3)保護されたテトラヒドロフラン−アミドを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを前記保護されたオキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と
を含み、前記親オキソ性求電子性試薬が親オキソ性ルイス酸、親オキソ性プロトン酸又は無水トリフルオロメタンスルホン酸から選択される前記方法。
【0263】
[態様11] ネルフィナビルの製造方法であって、
(1)式:
【0264】
【化93】

【0265】
を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【0266】
【化94】

【0267】
を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを式:
【0268】
【化95】

【0269】
を有するテトラヒドロフランアミド−スルホネートに転化させるように処理する工程であって、テトラヒドロフラン−アミドを少なくとも1モル当量のスルホニル化試薬によって処理し、続いて塩基によって処理する段階的処理を含み、塩基による処理に用いられる塩基のモル当量がスルホニル化試薬のモル当量より少ない前記工程と;
(3)テトラヒドロフラン−アミドスルホネートを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフランアミド−スルホネートを式:
【0270】
【化96】

【0271】
を有するオキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(4)オキサゾリンを、前記オキサゾリンを式:
【0272】
【化97】

【0273】
を有する化合物に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(5)前記化合物をネルフィナビルに転化させる工程と
を含み、R(2)及びR(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールから独立的に選択され、R(5)が置換された又は置換されないNH−アルキル、NH−アリール、O−アルキル又はO−アリール基であって、これらにおいて各アルキル若しくはアリール部分は置換されていても、非置換であってもよい前記方法。
【0274】
[態様12] ネルフィナビルの製造方法であって、
(1)式:
【0275】
【化98】

【0276】
を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【0277】
【化99】

【0278】
を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【0279】
【化100】

【0280】
を有するオキサゾリントリエステルに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(3)オキサゾリントリエステルを加水分解して、式:
【0281】
【化101】

【0282】
を有するオキサゾリントリオールを得る工程と;
(4)オキサゾリントリオールを適当なヒドロキシル保護基によって、前記オキサゾリントリオールを式:
【0283】
【化102】

【0284】
を有する二保護オキサゾリンに転化させるために有効であるように保護する工程と;
(5)二保護オキサゾリンを置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニル化試薬によって、前記オキサゾリンを式:
【0285】
【化103】

【0286】
を有するスルホニル化二保護オキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(6)スルホニル化二保護オキサゾリンを3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリンによって、前記オキサゾリンを式:
【0287】
【化104】

【0288】
を有する化合物に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(7)前記化合物をネルフィナビルに転化させる工程と
を含み、R(2)及びR(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールから独立的に選択され、R(5)が置換された又は置換されないNH−アルキル、NH−アリール、O−アルキル又はO−アリール基であって、これらにおいて各アルキル若しくはアリール部分は置換されていても、非置換であってもよく、R(7)が任意の適当なヒドロキシル保護基である前記方法。
【0289】
[態様13] ネルフィナビルの製造方法であって、
(1)式:
【0290】
【化105】

【0291】
を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【0292】
【化106】

【0293】
を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニル化試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【0294】
【化107】

【0295】
を有する縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(3)縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリンを加水分解して、式:
【0296】
【化108】

【0297】
を有するテトラヒドロフラン−アミドを得る工程と;
(4)テトラヒドロフラン−アミドを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【0298】
【化109】

【0299】
を有するオキサゾリントリエステルに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(5)オキサゾリントリエステルを加水分解して、式:
【0300】
【化110】

【0301】
を有するオキサゾリントリオールを得る工程と;
(6)オキサゾリントリオールを置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニル化試薬によって、前記オキサゾリンを式:
【0302】
【化111】

【0303】
を有する保護されたオキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(7)保護されたオキサゾリンを3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリンによって、前記オキサゾリンを式:
【0304】
【化112】

【0305】
を有する化合物に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(8)前記化合物をネルフィナビルに転化させる工程と
を含み、R(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールから選択され、R(5)が置換された又は置換されないNH−アルキル、NH−アリール、O−アルキル又はO−アリール基であって、これらにおいて各アルキル若しくはアリール部分は置換されていても、非置換であってもよく、R(8)が置換された又は置換されないアルキル若しくはアリールスルホニルであり、R(9)が水素又はR(8)である前記方法。
【0306】
[態様14] ネルフィナビルの製造方法であって、
(1)式:
【0307】
【化113】

【0308】
を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【0309】
【化114】

【0310】
を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを、このテトラヒドロフラン−アミドを式:
【0311】
【化115】

【0312】
を有する保護されたテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(3)保護されたテトラヒドロフラン−アミドを、親オキソ性ルイス酸、親オキソ性プロトン酸又は無水トリフルオロメタンスルホン酸から選択された親オキソ性求電子性試薬によって、このテトラヒドロフラン−アミドを式:
【0313】
【化116】

【0314】
を有する保護されたオキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(4)保護されたオキサゾリンを3S,4aR,8aR−3−N−t−ブチルカルボキサミドデカヒドロイソキノリンによって、前記オキサゾリンを式:
【0315】
【化117】

【0316】
を有する化合物に転化させるために有効であるように処理する工程と;
(5)前記化合物をネルフィナビルに転化させる工程と
を含み、R(1)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールであり、R(5)が置換された又は置換されないNH−アルキル、NH−アリール、O−アルキル又はO−アリール基であって、これらにおいて各アルキル若しくはアリール部分は置換されていても、非置換であってもよく、R(10)が適当なヒドロキシル保護基であり、R(11)がH又は置換アルキルスルホニルである前記方法。
【0317】
[態様15] R(1)がCF、置換若しくは非置換フェニル又はC−Cアルキルである、態様1〜10のいずれか1項に記載の方法。
[態様16] R(1)が
【0318】
【化118】

【0319】
である、態様1〜10のいずれか1項に記載の方法。
[態様17] テトラヒドロフランを約1〜約20モル当量の親オキソ性求電子性試薬によって処理することを含む、態様7〜9又は11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0320】
[態様18] 前記親オキソ性求電子性試薬が約1〜約20モル当量の適当な酸と約1〜約20モル当量の適当な酸無水物との組み合わせを含み、該無水物と該酸とが約1:5から約5:1までの相対的モル比率でそれぞれ用いられる、態様7〜9又は11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0321】
[態様19] 前記親オキソ性求電子性試薬が約2〜約20モル当量の適当な酸と約2〜約20モル当量の適当な酸無水物との組み合わせを含み、該無水物と該酸とが約1:1から約5:1までの相対的モル比率でそれぞれ用いられる、態様7〜9又は11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0322】
[態様20] 前記親オキソ性求電子性試薬が約7.5モル当量の適当な酸と15モル当量の適当な酸無水物とを含む、態様7〜9又は11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0323】
[態様21] R(3)がメチル又はフェニルである、態様7〜9又は11〜13のいずれか1項に記載の方法。
[態様22] 前記テトラヒドロフラン−アミドを酢酸と硫酸とによって処理して、前記オキサゾリンを形成する、態様7〜9又は11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0324】
[態様23] R(3)がメチルである、態様15記載の方法。
[態様24] アミノ−テトラヒドロフランを式:R(1)COX[式中、Xはクロロ又はブロモであり、R(1)は
【0325】
【化119】

【0326】
である]を有する化合物によって処理して、テトラヒドロフラン−アミドを形成する、態様7〜10のいずれか1項に記載の方法。
[態様25] R(5)がHN−t−Buである、態様11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【0327】
[態様26] R(7)がトリアルキルシリル、ジアルキル−モノアリールシリル、ジアリール−モノアルキルシリル、置換された又は置換されないアロイル又はアルカノイルである、態様12記載の方法。
【0328】
[態様27] R(7)がトリメチルシリル、tert−ブチル−ジメチルシリル、ベンゾイル、又はパラ−ニトロベンゾイルである、態様12記載の方法。
[態様28] R(7)がパラ−ニトロベンゾイルである、態様12記載の方法。
【0329】
[態様29] R(8)が置換された又は置換されないアルキル若しくはアリールスルホニルである、態様13記載の方法。
[態様30] R(8)がp−トルエンスルホニルである、態様13記載の方法。
【0330】
[態様31] キラルアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩:
【0331】
【化120】

【0332】
の製造方法であって、
(1)式:
【0333】
【化121】

【0334】
を有するエポキシ−テトラヒドロフランをアミノ化試薬によって処理して、式:
【0335】
【化122】

【0336】
を有するアミノ−テトラヒドロフランの立体異性体混合物を形成する工程と;
(2)アミノ−テトラヒドロフラン混合物を、アミノ−テトラヒドロフラン立体異性体を分離するために有効であるように処理する工程と;
(3)R(6)が水素又は適当な窒素保護基であるアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩を単離する工程と
を含む前記方法。
【0337】
[態様32] アミノ−テトラヒドロフラン1が実質的にエナンチオマー的純粋である、態様31記載の方法。
[態様33] R(6)が置換された又は置換されないアルカノイル、アロイル、アリールアルキルカルボニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルであり、これらにおいてアルキル、アリール又はヘテロアリールは置換されている又は非置換である、態様31記載の方法。
【0338】
[態様34] アミノ化試薬がキラルアミノ化試薬である、態様31記載の方法。
[態様35] R(6)が
【0339】
【化123】

【0340】
である、態様34記載の方法。
[態様36] アミノ−テトラヒドロフラン立体異性体を結晶化又はクロマトグラフィーによって分離することを含む、態様34記載の方法。
【0341】
[態様37] 分離したアミノ−テトラヒドロフラン立体異性体からR(6)置換基を除去することをさらに含む、態様36記載の方法。
[態様38] アミノ化試薬がアキラルアミノ化試薬である、態様31記載の方法。
【0342】
[態様39] アミノ−テトラヒドロフラン混合物をキラル補助試薬によって処理して、ジアステレオマーのアミノ−テトラヒドロフランを生成することをさらに含む、態様38記載の方法。
【0343】
[態様40] アミノ−テトラヒドロフランジアステレオマーを結晶化又はクロマトグラフィーによって分離することを含む、態様39記載の方法。
[態様41] 分離したアミノ−テトラヒドロフラン立体異性体からキラル補助試薬を除去することをさらに含む、態様40記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

を有するオキサゾリンジオールの製造方法であって、
(1)式:
【化2】

を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【化3】

を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【化4】

を有するオキサゾリンジエステルに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(3)オキサゾリンジエステルを加水分解して、R(1)及びR(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを独立的に表す前記オキサゾリンジオールを得る工程と
を含む前記方法。
【請求項2】
式:
【化5】

を有するオキサゾリンジオールの製造方法であって、
(1)式:
【化6】

を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【化7】

を有するテトラヒドロフラン−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−アミドを置換又は非置換アルキル若しくはアリールスルホニル化試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【化8】

を有する縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(3)縮合テトラヒドロフラニルオキサゾリンを加水分解して、式:
【化9】

を有するテトラヒドロフラン−アミドを得る工程と;
(4)テトラヒドロフラン−アミドを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを式:
【化10】

を有するオキサゾリンジエステルに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(5)オキサゾリンジエステルを加水分解して、R(1)及びR(3)が置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールを独立的に表す前記オキサゾリンジオールを得る工程と
を含む前記方法。
【請求項3】
式:
【化11】

[式中、R(1)は置換された又は置換されないアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールであり、R(10)は適当なヒドロキシル保護基であり、R(11)はH又は置換アルキルスルホニルである]を有するオキサゾリンの製造方法であって、
(1)式:
【化12】

を有するアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を、このアミノ−テトラヒドロフラン又はその塩を式:
【化13】

を有するテトラヒドロフラン−ヒドロキシ−アミドに転化させるために有効であるように処理する工程と;
(2)テトラヒドロフラン−ヒドロキシ−アミドを、このヒドロキシ−アミドのヒドロキシル部分を保護するために有効であるように処理して、式:
【化14】

を有する保護されたテトラヒドロフラン−アミドを形成する工程と;
(3)保護されたテトラヒドロフラン−アミドを親オキソ性求電子性試薬によって、前記テトラヒドロフラン−アミドを前記保護されたオキサゾリンに転化させるために有効であるように処理する工程と
を含み、前記親オキソ性求電子性試薬が親オキソ性ルイス酸、親オキソ性プロトン酸又は無水トリフルオロメタンスルホン酸から選択される前記方法。
【請求項4】
キラルアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩:
【化15】

の製造方法であって、
(1)式:
【化16】

を有するエポキシ−テトラヒドロフランをアミノ化試薬によって処理して、式:
【化17】

を有するアミノ−テトラヒドロフランの立体異性体混合物を形成する工程と;
(2)アミノ−テトラヒドロフラン混合物を、アミノ−テトラヒドロフラン立体異性体を分離するために有効であるように処理する工程と;
(3)R(6)が水素又は適当な窒素保護基であるアミノ−テトラヒドロフラン1又はその塩を単離する工程と
を含む前記方法。
【請求項5】
アミノ−テトラヒドロフラン1が実質的にエナンチオマー的純粋である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
R(6)が置換された又は置換されないアルカノイル、アロイル、アリールアルキルカルボニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルであり、これらにおいてアルキル、アリール又はヘテロアリールは置換されている又は非置換である、請求項4記載の方法。
【請求項7】
アミノ化試薬がキラルアミノ化試薬である、請求項4記載の方法。
【請求項8】
R(6)が
【化18】

である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
アミノ−テトラヒドロフラン立体異性体を結晶化又はクロマトグラフィーによって分離することを含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
分離したアミノ−テトラヒドロフラン立体異性体からR(6)置換基を除去することをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
アミノ化試薬がアキラルアミノ化試薬である、請求項4記載の方法。
【請求項12】
アミノ−テトラヒドロフラン混合物をキラル補助試薬によって処理して、ジアステレオマーのアミノ−テトラヒドロフランを生成することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
アミノ−テトラヒドロフランジアステレオマーを結晶化又はクロマトグラフィーによって分離することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
分離したアミノ−テトラヒドロフラン立体異性体からキラル補助試薬を除去することをさらに含む、請求項13記載の方法。

【公開番号】特開2008−7522(P2008−7522A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244609(P2007−244609)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【分割の表示】特願2001−531813(P2001−531813)の分割
【原出願日】平成12年10月19日(2000.10.19)
【出願人】(500281453)アグロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】