説明

テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法、該製造方法により製造された熱可塑性樹脂用改質剤及び熱可塑性樹脂組成物。

【課題】テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法においてスラリーを安定化し、フリーフロー性、篩通過性に優れたテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を提供する。
【解決手段】テトラフルオロエチレン系樹脂(A)とその他の熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液に、凝析剤を添加し、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)及びその他の熱可塑性樹脂(B)を凝析させてスラリーとした後、スラリーから固形分を回収し、さらに固形分を乾燥させるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法であって、スラリーを60℃以上、熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度より25℃高い温度以下に保持して固形分を回収することを特徴とするテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法、前記製造方法により製造されたテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる熱可塑性樹脂用改質剤及び前記熱可塑性樹脂用改質剤を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラフルオロエチレン系樹脂は、高結晶性で分子間力が低いため、僅かな応力で繊維化する性質を有しており、熱可塑性樹脂に配合した場合、テトラフルオロエチレン系樹脂の繊維化に伴い、溶融張力が向上し、成形加工性、機械特性、滴下防止性が改良されることが知られている。
テトラフルオロエチレン系樹脂を使用する場合、僅かな応力で繊維化が進行するため、テトラフルオロエチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂でテトラフルオロエチレン系樹脂を変性し、取扱性を向上させる手段が提案されている。
【0003】
テトラフルオロエチレン系樹脂を熱可塑性樹脂で変性したテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法としては、特許文献1に、テトラフルオロエチレン系樹脂粒子と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマー粒子とを分散させた分散液を調製した後、分散液中の固形分を凝固して得る方法が記載されている。
また、特許文献2には、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)に応じて凝析温度及び固化温度を調整することにより、安定的なテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2002/090440号パンフレット
【特許文献2】特開2004−224933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法においては、スラリーから粉体を得る際の最適な条件は確立されていなかった。
すなわち、凝析させてスラリーとした後、スラリーから固形分を回収、乾燥するまでの温度が低すぎる場合、スラリー中の固形分において、テトラフルオロエチレン系樹脂の再分散が経時的に進行し、回収したテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体は、フリーフロー性に劣る粉体になるという問題があった。
また、温度が高すぎる場合、回収時にテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体同士の融着が過度に進行し、粗大粒子が多く発生し、回収したテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体は、篩通過性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法において、スラリーを安定化し、フリーフロー性、篩通過性に優れたテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)とその他の熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液に、凝析剤を添加し、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)及びその他の熱可塑性樹脂(B)を凝析させてスラリーとした後、スラリーから固形分を回収し、さらに固形分を乾燥させるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法であって、スラリーを60℃以上、熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度より25℃高い温度以下に保持して固形分を回収することを特徴とするテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法に関する。
また、本発明は、前記テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法により得られるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる熱可塑性樹脂用改質剤に関する。
また、本発明は前記熱可塑性樹脂用改質剤を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、スラリー中の固形分において、テトラフルオロエチレン系樹脂の再分散を防ぐことができる。また、フリーフロー性、篩通過性に優れたテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】フリーフロー性評価に用いた測定器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[テトラフルオロエチレン系樹脂(A)]
本発明におけるテトラフルオロエチレン系樹脂(A)は、テトラフルオロエチレンモノマーを単独重合、又はテトラフルオロエチレンモノマーと共重合成分とを共重合することにより得られるものである。
共重合成分としては、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンに対して、10質量%以下であることが好ましい。
テトラフルオロエチレン系樹脂(A)は、水性分散液として入手可能であり、このような水分散液としては、「フルオン AD−1」、「同AD−936」、「同AD−915L」、「同AD−915E」、「同AD−939L」、「同AD−939E」(商品名、旭硝子社製)、「ポリフロン D−1」、「同D−2」(商品名、ダイキン工業社製)、「テフロン 30J」(商品名、三井デュポンポリフロン社製)等を挙げることができる。これらのテトラフルオロエチレン系樹脂の水分散液は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0011】
[熱可塑性樹脂(B)]
本発明における熱可塑性樹脂(B)は、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂(B)の組成、分子量、粒子径、合成方法等は特に規定されず、単量体(b)を重合して得られる重合体であれば良い。
熱可塑性樹脂(B)を構成する単量体(b)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体を挙げることができる。尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を示す。これらの単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの単量体の中でも、乳化重合の容易性、テトラフルオロエチレン系樹脂との複合化の点で、アルキル(メタ)アクリレート系単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル系単量体が好ましい。
【0012】
熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)については、特に限定されないが、40〜80℃の範囲であることが好ましい。熱可塑性樹脂(B)のTgが40℃以上であれば、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)との混合樹脂とした場合の粉体取扱性に優れる。また、熱可塑性樹脂(B)のTgが80℃以下であれば、固形分回収の際微粉が発生せず良好な粉体特性を有するテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得ることができる。
【0013】
熱可塑性樹脂(B)の水性分散液は、公知の重合方法、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、微細懸濁重合、懸濁重合により、熱可塑性樹脂(B)を構成する単量体を重合することで得ることができる。
重合方法は、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)とその他の熱可塑性樹脂(B)との混合が容易であることから、乳化重合、ソープフリー乳化重合が好ましく、乳化重合がより好ましい。
乳化重合やソープフリー乳化重合等の重合方法を用いる場合、熱可塑性樹脂(B)の粒子構造は単層構造であっても多層構造であってもよいが、多層構造の場合、製造コストの観点から、3層以下であることが好ましい。
【0014】
乳化重合における乳化剤は、公知の乳化剤を用いることができ、例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、高分子乳化剤、反応性アニオン性乳化剤、反応性ノニオン性乳化剤が挙げられる。
アニオン性乳化剤としては、例えば、「ニューコール560SF」、「同562SF」、「同707SF」、「同707SN」、「同714SF」、「同723SF」、「同740SF」、「同2308SF」、「同2320SN」、「同1305SN」、「同271A」、「同271NH」、「同210」、「同220」、「同RA331」、「同RA332」(商品名、日本乳化剤(株)製);「ラテムルB−118E」、「レベノールWZ」、「ネオペレックスG15」(商品名、花王(株)製);「ハイテノールN08」(商品名、第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、「ノニポール200」、「ニューポールPE−68」(商品名、三洋化成工業(株)製)が挙げられる。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドンが挙げられる。
反応性アニオン性乳化剤としては、例えば、「Antox MS−60」、「同MS−2N」(商品名、日本乳化剤(株)製);「エレミノールJS−2」(商品名、三洋化成工業(株)製);「ラテムルS−120」、「同S−180」、「同S−180A」、「同PD−104」(商品名、花王(株)製);「アデカリアソープSR−10」、「同SE−10」(商品名、(株)ADEKA製);「アクアロンKH−05」、「同KH−10」、「同HS−10」(商品名、第一工業製薬(株))が挙げられる。
反応性ノニオン性乳化剤としては、「アデカリアソープNE−10」、「同ER−10」、「同NE−20」、「同ER−20」、「同NE−30」、「同ER−30」、「同NE−40」、「同ER−40」(商品名、(株)ADEKA製)、「アクアロンRN−10」、「同RN−20」、「同RN−30」、「同RN−50」(商品名、第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
これらの乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
重合開始剤は、公知の重合開始剤を用いることができ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物;2,2’−アゾビス−{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス−{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス−{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス−[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩、2,2’−アゾビス−[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩、2,2’−アゾビス−[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]及びその塩、2,2’−アゾビス−{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩、2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)及びその塩、2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピンアミジン)及びその塩、2,2’−アゾビス−[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]及びその塩等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。また、乳化重合により単量体(b)の重合を行う場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の還元剤を上記過硫酸化合物や上記有機過酸化物と組み合わせて用いることもできる。
これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明における熱可塑性樹脂(B)の質量平均分子量は、5000〜500万であることが好ましく、7000〜100万であることがより好ましく、8000〜20万であることが更に好ましく、1万〜10万の範囲であることが最も好ましい。
熱可塑性樹脂(B)の質量平均分子量が5000以上であると、熱可塑性樹脂(B)が充分なガラス転移温度を有し、得られるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の粉体取扱性が良好となる。また、熱可塑性樹脂(B)の質量平均分子量が500万以下であると、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)との分散性に優れ、得られる成形体の表面外観に優れる傾向がある。
熱可塑性樹脂(B)の質量平均分子量を調整する方法としては、重合開始剤量や連鎖移動剤量を調整する等の、公知の方法を挙げることができる。
【0017】
連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤を用いることができ、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等のメルカプタン;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の使用量としては、特に限定されるものではなく、用いる連鎖移動剤の種類や単量体成分の組成に応じて適宜設定すればよい。
【0018】
熱可塑性樹脂(B)の水中での質量平均粒子径は、30〜1000nmであることが好ましく、30〜500nmであることがより好ましく、30〜300nmであることが更に好ましく、30〜100nmであることが最も好ましい。
熱可塑性樹脂(B)の質量平均粒子径が30nm以上であると、乳化重合により製造することが可能である。また、熱可塑性樹脂(B)の質量平均粒子径が1000nm以下であると、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の粒子を熱可塑性樹脂(B)粒子により高度に被覆でき、得られるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の粉体特性に優れる。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂(B)の水性分散液は、1種を単独で用いてもよく、組成、分子量、粒子径等の異なる2種以上の水性分散液を併用してもよい。
【0020】
[テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体]
本発明のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体は、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)とその他の熱可塑性樹脂(B)と含有する粉体である。
本発明おけるテトラフルオロエチレン系樹脂(A)とその他の熱可塑性樹脂(B)の組成比は特に限定されず、任意の割合で混合することができる。割合としては、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の含有量が20〜80質量部、その他の熱可塑性樹脂(B)の含有量が80〜20質量部(ただし、(A)と(B)の合計は100質量部)であることが好ましい。テトラフルオロエチレン(A)の含有量が20質量部以上であれば、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を添加する熱可塑性樹脂の特性を低下させない添加量で十分な改質効果を発現できる。テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の含有量が80質量部以下であれば、安定に凝析回収が可能である。
【0021】
[テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造]
本発明のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体は、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)とその他の熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液に、凝析剤を添加し、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)及びその他の熱可塑性樹脂(B)を凝析させてスラリーとした後、スラリーから固形分を回収し、さらに固形分を乾燥させて製造することができる。
テトラフルオロエチレン系樹脂(A)とその他の熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液は、例えば、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の水性分散液及び熱可塑性樹脂(B)の水性分散液を混合するラテックスブレンド法、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の水性分散液中で単量体(b)を重合して熱可塑性樹脂(B)を得る存在下重合法により得ることができる。
これらの方法の中でも、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)への熱履歴が少なく、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の凝集が抑制され、得られるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の粉体特性が優れることから、ラテックスブレンド法が好ましい。
【0022】
得られたテトラフルオロエチレン系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液に、凝析剤を添加して凝析させてスラリーとする。
凝析剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸;蟻酸、酢酸等の有機酸;硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム等の無機塩が挙げられる。これらの凝析剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0023】
凝析剤の量は特に規定されないが、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液中の固形分を100質量部とした時、0.05〜1.0質量部であることが好ましい。凝析剤の量が0.05質量部以上であれば、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液中の固形分を全量凝析沈下できる。また、凝析剤の量が1.0質量部以下であれば、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の粗大な粒子の発生を抑制することができる。凝析剤の量として、0.05〜0.7質量部がより好ましく、0.05〜0.5質量部が更に好ましい。
【0024】
凝析の際の、凝析剤添加後の水性分散液の量は特に限定されないが、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液の量を100質量部とした時、50質量部から300質量部であることが好ましい。凝析剤添加後の水性分散液の量が50質量部以上であれば、凝析の際に粗大粒子の発生を抑制できる。また、300質量部以下であれば、スラリーを長時間放置してもテトラフルオロエチレン系樹脂(A)の再分散が起こりにくい。凝析剤添加後の水性分散液の量としては、100〜200質量部が好ましく、100〜150質量部が更に好ましい。
【0025】
凝析の手順は特に規定されず、凝析剤を含む水溶液中にテトラフルオロエチレン(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液を滴下しても良く、逆に、水性分散液中に凝析剤を含む水溶液を滴下してもよい。凝析方法としては、凝析剤を含む水溶液中にテトラフルオロエチレン(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液を滴下する方法が好ましい。
【0026】
凝析温度は特に規定されず、任意の温度で凝析すれば良い。好ましい凝析温度としては、熱可塑性樹脂(B)のTgを考慮し、熱可塑性樹脂(B)のTgよりも20〜30℃高い温度で行うと良い。
【0027】
テトラフルオロエチレン系樹脂(A)及び熱可塑性樹脂(B)を凝析させてスラリーとした後、さらに、スラリーを凝析温度よりも高い温度で一定時間保持する固化工程を含んでいても良い。固化工程を有すると、粉体特性に優れるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得ることができる。
固化温度は特に規定されず、凝析温度よりも高い温度で行うと良い。固化温度は、熱可塑性樹脂(B)のTgよりも30〜40℃高い温度が好ましい。固化温度がこの温度範囲であれば、粉体特性に優れるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得ることができる。
【0028】
固化工程の時間は特に限定されないが、1〜120分程度であることが好ましい。固化時間が1分以上であれば、得られるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の粉体特性を向上させることができる。固化時間が120分程度までであれば、生産性を低下せずに製造を行うことができる。固化時間として、1分以上60分未満が好ましく、1分以上45分未満が更に好ましい。
【0029】
本発明のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法は、凝析後のスラリー又は凝析後さらに固化工程を経たスラリーを、60℃以上、熱可塑性樹脂(B)のTgより25℃高い温度以下に保持することを特徴とする。スラリーを60℃以上に保持することにより、凝析沈殿した固形分からのテトラフルオロエチレン系樹脂(A)の再分散を抑制することができ、得られるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体のフリーフロー性が向上する。また、スラリーを熱可塑性樹脂(B)のTgより25℃高い温度以下に保持することにより、スラリーから固形分を回収する際に固形分同士の融着を抑制することができ、篩通過性の高い粉体を得ることができる。スラリーの保持温度としては、65℃以上、熱可塑性樹脂(B)のTgより20℃高い温度以下であることが好ましく、70℃以上、熱可塑性樹脂(B)のTgより20℃高い温度以下であることがさらに好ましい。
【0030】
尚、上記TgとしてはFoxの計算式により求められる計算ガラス転移温度を使用する。Foxの式とは、以下に示すような、共重合体のガラス転移温度(℃)と、共重合単量体のそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度(℃)との関係式である。

1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
[式中、Wiはモノマーiの質量分率、TgiはモノマーiのホモポリマーのTg(℃)を示す。]

尚、ホモポリマーのTgとしては、具体的には、「Polymer Handbook 3rd Edition」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION、1989年)に記載された値を使用することができる。
【0031】
スラリーから固形分を回収する手段としては、公知の真空濾過機、遠心脱水機、加圧脱水機等を用いることが出来る。また、これらは複数組み合わせて用いても良い。
【0032】
回収された固形分を乾燥する手段としては、公知の乾燥処理機を用いることができる。乾燥処理機としては、例えば、気流乾燥機、流動乾燥機、熱風乾燥機、圧搾脱水押出機を挙げることができる。また、これらは複数組み合わせて用いても良い。
【0033】
乾燥後のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の含水率は、特に限定されないが、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を熱可塑性樹脂に配合し、溶融混練する際の発泡抑制等の観点から、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0034】
乾燥後のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体には、更なる粉体特性付与のため、各種無機微粒子を添加することができる。添加できる無機微粒子としては、例えば、「アエロジル 90」、「同130」、「同150」、「同200」、「同300」、「同380」、「同972」、「同974」、「同104」、「同106」、「同202」(商品名、日本アエロジル(株)製)を挙げることができる。これらの無機微粒子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
本発明の製造方法によって製造されたテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体は、各種熱可塑性樹脂用の改質剤として使用することができる。
【0036】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に前述のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる熱可塑性樹脂用改質剤を配合した組成物である。
本発明のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる熱可塑性樹脂用改質剤を配合する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂が挙げられる。また、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーも挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる改質剤の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂組成物を100質量部とした時、0.1〜5質量部であることが好ましい。テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる改質剤が0.1質量部以上あれば、改質効果を付与することができる。テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる改質剤が5質量部以下であれば、添加される熱可塑性樹脂の特性を大幅に低下させない。添加量としては、0.2〜4質量部がより好ましく、0.2〜3質量部がさらに好ましい。
【0038】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、難燃剤、充填剤、安定化剤、滑剤、発泡剤等の添加剤を含んでもよい。
【0039】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の混合方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、押出混練、ロール混練等の溶融混練法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の配合方法は、特に限定されることはなく、熱可塑性樹脂、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる改質剤及び必要に応じて添加剤等を、一括で混合してもよく、熱可塑性樹脂の一部とテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる改質剤の全量及び必要に応じて添加剤の全量を混合してマスターバッチを製造した後、残りの熱可塑性樹脂を混合してもよい。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は用途に応じ各種成形加工することができる。
成形方法は、公知の成形方法を用いることができ、例えば、押出成形、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形、熱成形、発泡成形、真空成形、溶融紡糸が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を示す。
[評価方法]
実施例、比較例における各評価は、以下の方法により実施した。
【0042】
(1)重合率
熱可塑性樹脂(B)の水性分散液1gをアセトン10gで希釈した試料を作製し、ガスクロマトグラフ(機種名「7890」、アジレント・テクノロジー(株)製)、カラム(商品名「HP−5」、内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm、アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、水性分散液中に残存する単量体(b)量を測定した。残存する単量体(b)量から単量体(b)の重合率を算出した。内部標準物質としては、メチルイソブチルケトンを用いた。
【0043】
(2)質量平均粒子径
熱可塑性樹脂(B)の水性分散液をイオン交換水で希釈した試料を作製し、粒度分布計(機種名「CHDF2000型」、MATEC社製)を用いて測定を行った。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。即ち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性をほぼ中性とし、流速1.4ml/分、圧力約4000psi(2600KPa)、温度35℃の条件で、ラテックス固形分濃度約3%の希釈試料0.1mlを測定に用いた。標準粒子径物質としては、粒子径既知の単分散ポリスチレンを20〜800nmの範囲で合計12点用いた。
【0044】
(3)質量平均分子量
熱可塑性樹脂(B)の水性分散液を乾燥させた固形分のテトラヒドロフラン可溶分を試料として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(機種名「HLC−8220」、東ソー(株)製)、カラム(商品名「TSK−GEL SUPER HZM−M」、東ソー(株)製)を用い、溶離液テトラヒドロフラン、温度40℃の条件で測定した。質量平均分子量は、標準ポリスチレンによる検量線から求めた。
【0045】
(4)スラリー安定性
実施例1〜4、比較例1〜4のスラリーを、攪拌しながら所定の温度で2時間保持した。2時間経過後、攪拌を停止し、5分間保持した。5分経過後のスラリーを目視で観察し、上澄み液の状態を以下の基準で判定した。
○:上澄み液は透明であり、凝析後のスラリーの状態を保持していると判断される
×:上澄み液が白濁しており、凝析後のスラリーの状態を保持していないと判断される
【0046】
(5)フリーフロー性(粉体特性)
図1にフリーフロー性評価に用いた測定器の概略図を示す。この測定器は、受け皿1がセットされる台座2と、筒口にシャッター3が設けられたロート4と台座2の上方にロート4を保持する支持具5が固定された支柱6とから構成されるものである。この測定器を用いたフリーフロー性の評価は、以下の手順で行った。
まず、測定器を水平な場所に設置し、ロート4のシャッター3を閉じ、ロート4に100gのテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を均一に入れた。次いで、シャッターを開けて粉体を落下させ、すぐに台座2上にあらかじめ風袋が測定された受け皿1をセットした。受け皿1のセットと同時に、ストップウォッチで時間の計測を始め、10秒後に受け皿1を測定器から外した。粉体の入った受け皿を計量し、10秒間に落下した粉体の量を求めた。以上の測定を2回行い、10秒間に落下した粉体の量の平均値を求め、これをフリーフロー性(g/10秒)とした。
【0047】
(6)篩通過性
テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体100質量部を、8メッシュの篩に通過させ、通過した試料量で篩通過性を評価した。
【0048】
[テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体製造用原料の調製]
(テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の水性分散液)
テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の水性分散液として、以下のものを用いた。
(A−1):「フルオン AD939E」(商品名、旭硝子社製、固形分濃度:60質量%)
(A−2):「フルオン AD939L」(商品名、旭硝子社製、固形分濃度:60質量%)
【0049】
(熱可塑性樹脂(B)の水性分散液)
<B−1>
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、水186部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、硫酸第一鉄0.00016部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.00048部、アスコルビン酸0.384部を投入し、容器内を窒素置換した。次いで、内温を73℃まで昇温させ、iso−ブチルメタクリレート78.4部、ブチルアクリレート1.6部、クメンヒドロパーオキシド0.16部、n−オクチルメルカプタン0.8部の単量体混合物を1時間かけて滴下し、更に同温で1時間保持して、熱可塑性樹脂(B)の水性分散液(B−1)を得た。
ガスクロマトグラフより、単量体の重合率は99.9%以上であった。得られた熱可塑性樹脂(B−1)の質量平均粒子径は70nm、質量平均分子量は3万、Tgは53℃であった。
【0050】
<B−2>
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、水186部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、硫酸第一鉄0.00016部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.00048部、アスコルビン酸0.384部を投入し、容器内を窒素置換した。次いで、内温を73℃まで昇温させ、メチルメタクリレート64.0部、ブチルアクリレート16.0部、クメンヒドロパーオキシド0.16部、n−オクチルメルカプタン0.8部の単量体混合物を1時間かけて滴下し、更に同温で1時間保持して、熱可塑性樹脂(B)の水性分散液(B−2)を得た。
ガスクロマトグラフより、単量体の重合率は99.9%以上であった。得られた熱可塑性樹脂(B−2)の質量平均粒子径は70nm、質量平均分子量は3万、Tgは57℃であった。
【0051】
[実施例1]
攪拌機、熱伝対を備えた反応容器に硫酸アルミニウム0.144部、イオン交換水225部を投入し、75℃(凝析温度:熱可塑性樹脂(B−1)のTg+22℃)まで昇温した。一方、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の水性分散液(A−1)50質量部と、熱可塑性樹脂(B)の水性分散体(B−1)100質量部とを常温で混合し、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液を得た。得られた水性分散液を75℃の硫酸アルミニウム水溶液に10分かけて滴下し、固形物を凝析させた。次いで、90℃(固化温度:熱可塑性樹脂(B−1)のTg+37℃)まで内部を昇温させ、この状態を10分間保持した。このようにして得たスラリーを攪拌しながら放冷し、70℃(保持温度)で2時間保持した。2時間後、攪拌を停止し5分後のスラリーの状態について目視で確認した。保持後のスラリーは白濁することなく、良好なスラリー状態を保持していた。このスラリーを濾過、脱水処理し、70℃で一晩静置乾燥した。乾燥後の粉について、フリーフロー性と篩通過性を評価した。評価結果を表1に示した。
【0052】
[実施例2,3]
テトラフルオロエチレン系樹脂(A)の水性分散液及び熱可塑性樹脂(B)の水性分散液を表1記載の割合にて混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得た。評価結果を表1に示した。
【0053】
[実施例4]
スラリー保持温度を80℃に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得た。評価結果を表1に示した。
【0054】
[比較例1,2]
スラリー保持温度を表1記載の温度に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得た。評価結果を表1に示した。
【0055】
[比較例3,4]
スラリー保持温度を表1記載の温度に変えた以外は、実施例2と同様の操作を行い、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得た。評価結果を表1に示した。
【0056】
【表1】

A−1:「フルオン AD939E」(商品名、旭ガラス(株)製、固形分濃度:60質量%)
A−2:「フルオン AD939L」(商品名、旭ガラス(株)製、固形分濃度:60質量%)
【0057】
表1から明らかなように、実施例1〜4では、スラリーの安定性が高く、テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体のフリーフロー性、篩通過性も良好であった。
一方、比較例1及び3は、スラリーの保持温度が60度未満であったため、スラリー安定性、得られた粉体のフリーフロー性が劣っていた。
また、比較例2及び4は、スラリーの保持温度が熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度より25℃高い温度を超えていたため、得られた粉体の篩通過性が劣っていた。
【0058】
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の製造方法を用いれば、フリーフロー性、篩通過性に優れたテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体を得ることができる。当該テトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体は、各種熱可塑性樹脂用の改質剤として使用できるため、各種家電用材料、OA機器材料、自動車用材料、電線材料、医療用材料などの改質に有用である。
【0060】
【符号の説明】
【0061】
1 受け皿
2 台座
3 シャッター
4 ロート
5 支持
6 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラフルオロエチレン系樹脂(A)とその他の熱可塑性樹脂(B)とを含む水性分散液に、凝析剤を添加し、テトラフルオロエチレン系樹脂(A)及びその他の熱可塑性樹脂(B)を凝析させてスラリーとした後、スラリーから固形分を回収し、さらに固形分を乾燥させるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法であって、
スラリーを60℃以上、熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度より25℃高い温度以下に保持して固形分を回収することを特徴とするテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体の製造方法により得られるテトラフルオロエチレン系樹脂含有粉体からなる熱可塑性樹脂用改質剤。
【請求項3】
請求項2に記載の熱可塑性樹脂用改質剤を含む熱可塑性樹脂組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−233095(P2012−233095A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102980(P2011−102980)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】