説明

テトラフルオロフ゜ロヘ゜ンとヘ゜ンタフルオロフ゜ロヘ゜ンとの共沸性組成物

提供されるものは、テトラフルオロフ゜ロヘ゜ンとヘ゜ンタフルオロフ゜ロヘ゜ンとを含んでなる共沸性組成物、並びに冷媒組成物、発泡剤組成物、発泡性組成物、フォーム、殺菌組成物、噴霧可能な組成物中の使用を含むその使用、並びにそれを使用するシステム及び方法である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、1,1,1,2-テトラフルオロフ゜ロヘ゜ンと1,1,1,2,3-ヘ゜ンタフルオロフ゜ロヘ゜ンのZ異性体との共沸性組成物、および、その使用を提供する。
【0002】
背景
フルオロカーボンベースの流体は、冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤、熱伝達媒体、及びガス状誘電体を含む多くの適用において工業的に広範囲な用途を見出している。いくつかのこれらの流体の使用に伴って予想される環境問題(これらが有する比較的高い地球温暖化係数を含む)のために、オゾン破壊係数が低いかむしろゼロである流体(例えば、ハイドロフルオロカーボン(「HFC」)など)を使用することが好ましい。したがって、クロロフルオロカーボン(「CFC」)又はハイドロクロロフルオロカーボン(「HCFC」)を含有しない流体の使用が好ましい。さらに、単一成分流体、又は、沸騰及び蒸発によって分留しない共沸混合物の使用が好ましい。さらに、HFC流体の中には、比較的高い地球温暖化係数を有するものがあり、使用特性において所望する性能を維持しつつ、可能な限り低い地球温暖化係数を有するハイドロフルオロカーボン又は他のフッ素化された流体を使用することが好ましい。さらに、単一成分流体、又は、沸騰及び蒸発において実質的に分留されない共沸性混合物の使用が好ましい。しかしながら、共沸混合物の形成が容易に予想できないという事実のために、環境的に安全で分留されない新規混合物を見出すことは難しい。
【0003】
工業界は、代替物を提供し、そしてCFC及びHCFCに対する環境的により安全な置換物と考えられる新しいフルオロカーボンベースの混合物を、長年探している。特に興味深いものは、(両方ともオゾン破壊係数が低い)ハイドロフルオロカーボンと他のフッ素化化合物の両方を含有する混合物である。このような混合物及びその使用が、本発明の主題である。
【0004】
好ましい態様の説明
本発明人は、CFC及びHCFCの代替物に対する長年のニーズを満足することに役立つ数種の組成物を開発した。ある態様によれば、本発明は、1,1,1,2-テトラフルオロフ゜ロヘ゜ン(「HFO-1234yf」)と(Z)-1,1,1,2,3-ヘ゜ンタフルオロフ゜ロヘ゜ン(「HFO-1225yeZ」)とを含んでなる共沸性組成物を提供する。
【0005】
本発明の好ましい組成物は、不燃性であり、比較的低い(好ましくは約1000より少ない、より好ましくは約500より少ない、さらに好ましくは約150より少ない)地球温暖化係数(「GWP」)を示す、両方の傾向がある。したがって、出願人は、このような組成物を、冷媒、エアゾール及び他の用途において、以下のものの置換物を含む多くの適用にて大きな利益をもって使用することができると考えている:
シ゛クロロシ゛フルオロメタン(CFC-12)などのCFC;
クロロシ゛フルオロメタン(HCFC-22)などのHCFC;
テトラフルオロエタン(HFC-134a)などのHFC;および
CFC-12と1,1-シ゛フルオロエタン(HFC-152a)との組合わせなどのHFCとCFCとの組合わせ(CFC-12:HFC-152aの73.8:26.2の質量比の組合わせはR-500として知られる)。
【0006】
さらに、出願人は、驚くべきことにHFO-1234yfとHFO-1225yeZとの共沸性組成物を形成することができることを見出した。したがって、他の態様において、本発明は、共沸性組成物を製造するために有効量のHFO-1234zeとHFO-1225yeZとを組合わせることを含んでなる、共沸性組成物を製造する方法を提供する。
【0007】
さらに、出願人は、本発明の共沸性組成物が、冷媒組成物として又はその中で使用することに関して、本発明の共沸性組成物を優れたものにするような特性を示すことに気づいた。したがって、さらに他の態様において、本発明は、HFO-1234yfとHFO-1225yeZとの共沸性組成物を含んでなる冷媒組成物を提供する。「HFO-1234」との用語は、本明細書において、全てのテトラフルオロフ゜ロヘ゜ンを指すために使用される。テトラフルオロフ゜ロヘ゜ンには、HFO-1234yfとcis-およびtrans-1,1,1,3-ヘ゜ンタフルオロフ゜ロヘ゜ン(HFO-1234ze)との両方を含む。同様に、「HFO-1225」との用語は、本明細書において全てのヘ゜ンタフルオロフ゜ロヘ゜ンを指すために使用される。ヘ゜ンタフルオロフ゜ロヘ゜ンには、(Z)-1,1,1,2,3-ヘ゜ンタフルオロフ゜ロヘ゜ン(HFO-1225yeZ)が含まれる。
【0008】
HFO-1234とHFO-1225のそれぞれの異性体の特性は、少なくともある点で異なり、本発明の共沸性組成物は、HFO-1234yfとHFO-1225yeZとを主にするものの、ある態様において、各種の他の異性体が、おそらく共沸性組成物の本質的な性質を失わない量にて存在してもよいと考えられる。
【0009】
HFO-1234化合物は既知の物質であり、そしてケミカルアブストラクトのデータベースに列挙されている。各種の飽和及び不飽和のハロゲン含有C化合物の触媒的気相フッ素化によるフルオロプロペン(CFCH=CHなど)の製造は、米国特許第2,889,379号;4,798,818号及び4,465,786号に記載されている(これらのそれぞれを、参照により、本明細書に記載されたものとする)。さらに、参照により本明細書に記載されたものとするEP974,571には、1,1,1,3,3-ヘ゜ンタフルオロフ゜ロハ゜ン(HFC-245fa)を気相中でクロムベースの触媒と高温にて、または、液相中でKOH、NaOH、Ca(OH)又はMg(OH)のアルコール性溶液と接触させることによる1,1,1,3-テトラフルオロフ゜ロヘ゜ンの調製を開示している。さらに、本発明による化合物を製造するための方法は、「Process for Producing Fluoropropenes」というタイトルの同時係属中の米国特許出願(代理人文書番号(H0003789(26267)))に一般的に記載され、これも参照により本明細書に記載されたものとする。
【0010】
さらに、出願人は、本発明の共沸性組成物が、熱伝達組成物(自動車用空調システム及びヒートポンプシステム、並びに固定式空調システム及び冷蔵システムの冷媒を含む)、発泡剤、噴射剤及び殺菌剤を含む多くの適用として又はそれにおいて使用するためにこれらを利益あるものにする特性を示すことに気づいた。したがって、さらに他の態様において、本発明は、これらの及び他の使用に伴う組成物及び方法を提供する。
【0011】
共沸性組成物
本明細書において使用する場合、「共沸性」との用語は、その広い意味であって、厳密に共沸である組成物と共沸混合物のように挙動する組成物との両方を含むことを意図している。基本法則によれば、流体の熱力学的状態は、圧力、温度、液体の組成、及び蒸気の組成によって定義される。共沸混合物とは、特定の圧力及び温度において液体組成と蒸気組成とが等しい2以上の成分からなる系である。実際上、これは、共沸混合物の成分が定沸点であり、相変化中に分離することができないことを意味する。
【0012】
本発明の共沸性組成物は、新しい共沸性系を形成しない更なる成分、又は、第1の蒸留留分中には存在しない更なる成分を含むことができる。第1の蒸留留分は、蒸留塔が全還流条件下で安定状態の操作を示した後で採取される第1の留分である。本発明に含まれないように、成分の付加が新しい共沸性系を形成するか否かを確認するための一つの方法は、その成分を含む組成物の試料を、非共沸混合物であれば個々の成分に分離することが予測される条件下で蒸留することである。付加的成分を含有する混合物が非共沸性である場合、付加的成分は、共沸性成分から分留される。混合物が共沸性である場合、ある無限の量の、定沸点であるか単一成分のように挙動する混合物の成分のすべてを含有する第1の留分が得られるものである。
【0013】
共沸性組成物のもう一つの特徴は、共沸性又は定沸点であるように、ある範囲の同一成分を種々の比率で含有する組成物が存在することである。全てのこのような組成物は、「共沸性」及び「定沸点」との用語に包含されるものと考えられる。例えば、異なった圧力において、与えられた共沸混合物の組成が、組成物の沸点がそうであるように少なくとも僅かに変化することは公知である。したがって、AとBの共沸混合物は、独特の型を表すものの、温度及び/又は圧力によって様々な組成となる。共沸性組成物に対して、共沸性である種々の比率の同一成分を含有するような範囲の組成物が存在するということになる。全てのこのような組成物は、本明細書において使用される共沸性の用語によって包含されると考える。
【0014】
共沸混合物の形成を予測することが不可能であることは、当技術において十分に認識されている(例えば、米国特許第5,648,017号(第3欄、64−65行目)及び米国特許第5,182,040号(第3欄、62−63行目)を参照されたい。その両方を参照により本明細書に記載されたものとする)。出願人は、HFO-1234zeとCF3Iとが共沸性組成物を形成することを予期せずに発見した。
【0015】
ある好ましい態様によれば、本発明の共沸性組成物は、共沸性として有効な量のHFO-1234yfとHFO-1225yeZとを含んでなり、そして好ましくは、これらから本質的になる。「共沸性として有効な量」との用語は、本明細書において使用する場合、他の成分と組合された場合、本発明の共沸性組成物を形成するような個々の成分の量を指す。好ましくは、本発明の共沸性組成物は、約50から100重量パーセントより少ないHFO-1234yfとゼロより多く約50重量パーセントまでのHFO-1225yeZとを含んでなり、好ましくはこれらから本質的になる。より好ましくは、本発明の共沸性組成物は、約65から100重量パーセントより少ないHFO-1234yfとゼロより多く約35重量パーセントまでのHFO-1225yeZとを含んでなり、好ましくはこれらから本質的になる。さらに好ましくは、本発明の共沸性組成物は、約85から100重量パーセントより少ないHFO-1234yfとゼロより多く約15重量パーセントまでのHFO-1225yeZとを含んでなり、好ましくはこれらから本質的になる。さらにより好ましくは、本発明の共沸性組成物は、約93から100重量パーセントより少ないHFO-1234yfとゼロより多く約7重量パーセントまでのHFO-1225yeZとを含んでなり、そして好ましくはこれらから本質的になる。他に示さない限り、本明細書において開示される重量パーセントは、組成物中のHFO-1225yeZとHFO-1234yfとの全重量に基づく。
【0016】
本明細書中に記載される共沸性組成物は、好ましくは約14.2psiaの圧力において約−26℃〜約−30℃の沸点を有する。より好ましいある態様において、本発明の共沸性組成物は、約14.2psiaの圧力において約−27℃〜約−30℃、さらに好ましい態様において約14.2psiaの圧力において約−28℃〜約−29.5℃の沸点を有する。
【0017】
本発明の共沸性組成物は、共沸性として有効な量のHFO-1234yfとHFO-1225yeZとを組合わせることによって製造することができる。組成物を形成するために二つ又はそれより多い成分を混合するために当技術において既知の広い範囲の方法のいずれかを、共沸性組成物を製造するための本発明の方法に使用するために適合することができる。例えば、HFO-1234yfとHFO-1225yeZは、手及び/又は機械によってバッチ、又は連続した反応及び/又は過程の一部として、或いは二つ又はそれより多いこのような工程の組合わせによって、混合、配合、又は他の方法で接触させることができる。本明細書中の開示に照らして、当業者は、過度の実験を行わずに本発明による共沸性組成物を容易に調製することが可能である。
【0018】
組成物の添加剤
本発明の共沸性組成物は、潤滑剤、安定剤、金属不動態化剤、腐食防止剤、可燃性抑制剤等を始めとする各種の所望による添加剤のいずれかをさらに含むことができる。
【0019】
ある態様によれば、本発明の共沸性組成物は、安定剤をさらに含んでなる。本発明の共沸性組成物を安定化するために適した各種の化合物のいずれかを使用することができる。ある種の好ましい安定剤の例として、安定化するジエンベース(diene-based)の化合物、及び/又はフェノール化合物、及び/又は芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、アルケニルエポキシド、及び二つ又はそれより多いこれらの組合わせからなる群から選択されるエポキシドを含んでなる安定剤組成物が挙げられる。
【0020】
「ジエンベースの化合物」との用語が本明細書にて使用する場合、C3−C5ジエン及びいずれもの二つ又はそれより多いC3−C5ジエンの反応によって形成される化合物を指す。C3−C5ジエンの組合わせによって形成されるジエンベースの化合物の場合、組み合された分子は、同一であっても、異なっていてもよい。好ましいある組成物は、分解に対してヨードカーボンを安定化するための使用条件下において有効な量で、少なくとも一つのジエンベースの化合物を含んでなる。使用されるジエンベースの化合物(類)の種類及び性質は、少なくともある程度、組成物中に使用される特別なヨードカーボン化合物(類)、予測される組成物の使用の条件、及び関連する因子に依存しうる。
【0021】
本発明の組成物中に使用するジエンベースの安定剤の量が、例えば、CF3Iのようなヨードカーボン化合物を含む組成物中の事例であることができるような、予測される保存及び/又は使用の条件下で転換の分解を受けることができる組成物中の化合物の種類及び量のような因子によって広く変化し得ると、一般的に考えられている。一般的に、使用される、又は組成物中に使用することを意図するこのような化合物の量に対して有効な量で、ジエンベースの安定剤を使用することが好ましい。本明細書において使用する場合、「有効な量」との用語は、トリフルオロヨードメタンのような関連する化合物を含んでなる組成物に加えられた場合、化合物が、同一の又は同様な条件下で、しかしジエンベースの化合物の非存在下で、同一組成物に対して、さらにゆっくりと及び/又はより少ない程度に分解される、安定化された化合物となるジエンベースの化合物(類)の量を指す。トリフルオロヨードメタンの特別な例において、ある種の過酷な条件下の重要な潜在的分解生成物の一つは、CF3I分子中のヨウ素に対する水素の置換によって形成されるトリフルオロメタンである。同様に水素は、他のヨードカーボンのヨウ素を置換することができ、これによって150より大きいGWP値を有し得る化合物が形成される。これらの分解生成物は、ヨードカーボンを使用する冷媒配合物のGWPを上昇させる効果を有する。したがって、低い地球温暖化係数という目的に反する。有効な量の安定剤は、冷媒組成物のGWPが150より低くあるように、化合物(特にヨードカーボン)の分解量を抑制するものである。GWP値を考慮しなくとも、冷媒組成物の成分の分解は好ましくない。したがって、先に記載した分解生成物の量は、全冷媒組成物の1.0重量%より少ないことが好ましい。ある好ましい態様において、ジエンベースの化合物(類)の量は、その中のヨードカーボン化合物(類)のような分解性の化合物の少なくとも一つが、同一の、しかしジエンベースの化合物が非存在である組成物に対して、SAE J1662(1993年6月に発布)及び/又はASHRAE 97−1983R標準試験によって試験した場合、よりゆっくりと及び/又はより少ない程度に分解する安定化された組成物となるために十分である。例えば、ある好ましい態様において、分解生成物、例えばヨードカーボン中のヨウ素に対する水素の置換によって形成された生成物の量は、組成物を約150℃(約300°F)で約2週間維持した後、約0.9重量%より少ない。
【0022】
ある好ましい態様において、ジエンベースの化合物は、組成物中に、組成物の全重量に基づいて、約0.001%〜約10重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約5重量%、さらに好ましくは0.3重量%〜約4重量%の量で存在する。
【0023】
好ましい態様において、ジエンベースの化合物は、アリルエーテル、プロパジエン、ブタジエン、イソプレン、ミルセンのようなテルペン、テルペン誘導体及び二つ又はそれより多いこれらのいずれもの組合わせからなる群から選択される。本明細書において使用する場合、上に列挙した個々の化合物は、定義した化合物の置換された形態及び未置換の形態の両方を含むことを意図している。ある好ましい態様において、ジエンベースの化合物は、過半数のプロパジエンからなり、さらに好ましくはこれから本質的になる。
【0024】
ある他の好ましい態様において、ジエンベースの化合物は、大部分テルペン、テルペン誘導体又はこれらの組合わせからなり、さらに好ましくはこれから本質的になる。本明細書において使用する場合、「テルペン」との用語は、少なくとも10個の炭素原子から構成され、そして少なくとも一つ(好ましくは少なくとも二つ)のイソプレン部分を含有する化合物を意味する。多くの好ましい態様において、本発明のテルペン化合物は、少なくとも二つのイソプレンC5単位(CH=C(CH)−CH=CH)(それぞれの単位は、置換されているか又は置換されていない)の反応から形成され、したがって本発明のテルペン化合物の多くは、好ましくは少なくとも10個の炭素原子を有し、そして少なくとも一つのイソプレン部分を含む。本明細書において使用する場合、「イソプレン部分」との用語は、置換又は未置換のイソプレンから形成することができる基(ラジカル)を含む分子のいずれもの部分を指す。ある好ましい態様において、置換されていないテルペンが好ましい。
【0025】
多くの好ましい態様において、本発明のテルペン化合物は、少なくとも一つの、修飾又は未修飾のイソプレン分子の頭−尾結合縮合生成物を含んでなる。いずれもの一つ又はそれより多いテルペン化合物が、本発明による使用のために適合され、そして当業者は、本明細書中に含有される教示の観点から、いずれもの特別な適用のためのテルペン化合物(類)の数及び種類を、過度の実験を行わずに選択することが可能であると考えられる。本発明の好ましいテルペンは、分子式(Cを有する、環式又は非環式の、飽和又は不飽和の、置換又は未置換の構造の、nが好ましくは2〜約6(さらに好ましくは2〜4)である炭化水素である。式C1016(置換された形態を含む)を有する本発明によるテルペンは、本明細書において時にモノテルペンと呼ばれ、一方式C1524(置換された形態を含む)を有するテルペンは、本明細書において時にセスキテルペンと呼ばれる。式C2032(置換された形態を含む)を有する本発明によるテルペンは、本明細書において時にジテルペンと呼ばれ、一方式C3048(置換された形態を含む)を有するテルペンは、時にトリテルペンと呼ばれる、等である。30個又はそれより多い炭素を含有するテルペンは、通常二つのテルペン前駆体を規則的なパターンで縮合することによって形成される。全てのこのようなテルペンが本発明による使用のために適合できると考えられるものの、モノテルペンの使用が一般的に好ましい。
【0026】
ある好ましい態様において、本発明の組成物のテルペン化合物(類)は、好ましくは大部分一つ又はそれより多い非環式テルペン化合物を含んでなり、そしてなおさらに好ましくはこれらから本質的になる。非環式テルペンの中で、このような化合物が、頭−尾連結イソプレノイドとして定義される化合物の群であるか、又はこの様式で結合していない化合物の群でありうると考えられる。本発明のある側面による使用のために好ましい非環式テルペンとしては、ミルセン(2−メチル−6−メチレンオクタ−1,7−ジエン)、アロ−シメン(allo−cimene)、ベータ−オシメンが挙げられる。
【0027】
ある態様において、本発明のテルペン化合物は、環式テルペン化合物を含んもよい。環式テルペンの中で、各種の程度の不飽和度を有する一−、二−、三−、又は四環式化合物が本発明による使用のために企図される。
【0028】
本発明の各種の側面に関連する使用のために適合可能なテルペン化合物の例には、全てのこれらの異性体が含まれ、テレベン、ミルセン、リモネン、レチナール、ピネン、メントール、ゲラニオール、ファルネソール、フィトール、ビタミンA、テルピネン、デルタ−3カレン、テルピノレン、フェランドレン、フェンケン等、並びにこれらの配合物を含む。
【0029】
本発明によるテルペン誘導体の例は、ヒドロキシル基又はカルボニル基を含有するアルコール、アルデヒド又はケトンのようなテルペンの酸素含有誘導体、並びに水素化された誘導体を含む。テルペンの酸素含有誘導体は、本明細書において時にテルペノイドと呼ばれる。ある態様において、本発明のジエンベースの化合物は、テルペノイドのカルノシン酸を含んでなる。カルノシン酸は、実験式C2028O4に対応するフェノール系ジテルペンである。これは、シソ科の植物中に天然に存在する。例えば、カルノシン酸は、Salvia officinalis(セージ)及びRosmarinus officinalis(ローズマリー)種の構成物質であり、これは、主として葉に見出される。カルノシン酸は、タイム及びマヨラナ中にも見出される。これは、LindeによってSalvia officinalis中で[Helv.Chim Acta 47,1234(1962)]、そしてWenkert等によってRosmarinus officinalis中で[J.Org.Chem.30,2931(1965)]発見された。次いでこれは、例えばSalvia canariensis[Savona and Bruno,J.Nat.Prod.46,594(1983)]又はSalvia willeana[de la Torre et al.,Phytochemistry 29,668(1990)]のような他のセージの種中で積極的に同定された。これは、さらにSalvia triloba及びSalvia sclarea中にも存在する。
【0030】
いずれもの適した相対量の少なくとも一つのジエンベースの化合物と補助的な所望による安定剤化合物(類)を使用することができる。例えば、ある好ましい態様において、ジエンベースの化合物(類)と他の安定剤化合物(類)との重量比は、約1:99〜約100:0の範囲である。さらに好ましい態様において、ジエンベースの化合物(類)と所望による安定剤の重量比は、約10:1〜約1:1、より好ましくは約2:1〜約1:1、さらにより好ましくは約1:1である。
【0031】
好ましいテルペン安定剤は、2004年12月12日に出願された米国特許仮出願番号60/638,003中に開示され、これを、参照により本明細書に記載されたものとする。
【0032】
各種のフェノール化合物及び/又はエポキシドのいずれは、本発明の組成物中の安定剤として使用するために適している。出願人は、作用理論によって又はそれに対して束縛されることを望むものではないが、本発明のフェノールが、CF3I組成物中のラジカル除去剤として作用し、そしてこれによってこのような組成物の安定性を増加する傾向があると信じられる。本明細書において使用する場合、「フェノール化合物」との用語は、一般的にいずれもの置換又は未置換のフェノールを指す。適したフェノール化合物の例は、一つ又はそれより多く置換された或いは置換されていない環式、直鎖又は分枝鎖の脂肪族置換基を含んでなる、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール;トコフェロール;等を含むアルキル化モノフェノール、t−ブチルヒドロキノン;ヒドロキノンの他の誘導体;等を含むヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);等を含むヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;2,2−又は4,4−ビフェニルジオールの誘導体;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tertブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4,−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4,−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)を含むアルキリデン−ビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tertブチルフェノール)を含む2,2−又は4,4−ビフェニルジオール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−アルファ−ジメチルアミノ−p−クレゾール;4,4−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール);等を含む異種原子を含んでなるビスフェノール;アクリルアミノフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)のようなフェノール;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド;等を含むスルフィド;並びにフェノール系UV吸収及び光安定剤を含む。ある種の好ましいフェノールは、トコフェロール、BHT、ヒドロキノン、等のようなアルキル化されたモノフェノールを含む。ある種の特に好ましいフェノールは、トコフェロール、等を含む。殆どのフェノールは、商業的に入手可能である。単一のフェノール化合物及び/又は二つ又はそれより多いフェノールの混合物を、本発明の組成物中で使用することができる。各種のエポキシドのいずれもは、本発明の組成物中で使用するために適している。出願人は、あらゆる作用理論によって又はそれに対して束縛されることを望むものではないが、本発明のエポキシドが、特にCF3Iのようなヨードカーボン化合物を含有する組成物中で酸除去剤として作用し、これによってこのような組成物の安定性を増加する傾向があると信じられる。単一の芳香族エポキシド及び/又は二つ又はそれより多い芳香族エポキシドの混合物を、本発明の組成物中で使用することができる。
【0033】
適した芳香族エポキシドの例は、以下の式I:
【0034】
【化1】

【0035】
によって定義されるものを含み、
式中:Rは、水素、ヒドロキシル、アルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、又は以下の式:
【0036】
【化2】

【0037】
であり;そして
Arは、置換又は未置換のフェニレン或いはナフチレン部分である。ある種の好ましい式Iの芳香族エポキシドは、Arがフェニレン、或いはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アリールアルキル、ヒドロキシル、異種原子部分、等を含む一つ又はそれより多い置換基で置換されたフェニレンを含む。Arが、未置換又は置換のフェニレンである式Iの適した化合物の例は、ブチルフェニルグリシジルエーテル;ペンチルフェニルグリシジルエーテル;ヘキシルフェニルグリシジルエーテル;ヘプチルフェニルグリシジルエーテル;オクチルフェニルグリシジルエーテル;ノニルフェニルグリシジルエーテル;デシルフェニルグリシジルエーテル;グリシジルメチルフェニルエーテル;1,4−ジグリシジルフェニルジエーテル;4−メトキシフェニルグリシジルエーテル;これらの誘導体;等を含む。
【0038】
ある種の他の好ましい式Iの芳香族エポキシドは、Arがナフチレンであるか、或いはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アリールアルキル、ヒドロキシル、異種原子部分、等を含む一つ又はそれより多い置換基で置換されたナフチレンであるものを含む。Arが置換又は未置換のナフチレンである式Iの適した化合物の例は、ナフチルグリシジルエーテル;1,4−ジグリシジルナフチルジエーテル;これらの誘導体;等を含む。
【0039】
他の適した芳香族エポキシドの例としては、2,2’[[[5−ヘプタデカフルオロオクチル]1,3フェニレン]ビス[[2,2,2トリフルオロメチル]エチリデン]オキシメチレン]ビスオキシラン;等のようなビスオキシランが挙げられる。
【0040】
ある好ましい態様において、本発明において使用するための芳香族エポキシドは、Arが、フェニレン、置換されたフェニレン、ナフチレン、又は置換されたナフチレンである式Iのエポキシドを含んでなる。さらに好ましくは、芳香族エポキシドは、Arがフェニレン又は置換されたフェニレンである式Iのエポキシドを含んでなる。ある種のさらに好ましい芳香族エポキシドの例は、ブチルフェニルグリシジルエーテル、等を含む。
【0041】
各種のアルキル及び/又はアルケニルエポキシドのいずれもは、本発明の組成物における使用のために適している。適したアルキル及びアルケニルエポキシドの例は、以下の式II:
【0042】
【化3】

【0043】
のものを含み、
式中、Ralkは、置換又は未置換のアルキル又はアルケニル基である。式IIのある種の好ましいエポキシドは、Ralkが、約1〜約10個の炭素原子(より好ましくは約1〜約6個)の炭素原子を有するアルキル基であるアルキルエポキシド化合物を含んでなり、そしてここにおいてアルキルは、置換されていないか、或いはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アリールアルキル、ヒドロキシル、異種原子部分、等を含む一つ又はそれより多い置換基でさらに置換されていることができる。式IIのこのような好ましいアルキルエポキシドの例は、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、等、並びにフッ素化及び過フッ素化されたアルキルエポキシド、等を含む。ある種のさらに好ましいアルキルエポキシドは、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、等を含んでなる。
【0044】
式IIのある種の他の好ましいエポキシドは、Ralkが、約1〜約10個の炭素原子(より好ましくは約1〜約6個)の炭素原子を有するアルケニル基であり、そしてここにおいてアルケニルが、置換されていないか、或いはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アリールアルキル、ヒドロキシル、異種原子部分、等を含む一つ又はそれより多い置換基でさらに置換されていることができるアルケニルエポキシド化合物を含んでなる。このような好ましい式IIのアルケニルエポキシドの例は、アリルグリシジルエーテル、フッ素化及び過フッ素化されたアルケニルエポキシド、等を含む。さらに好ましいアルケニルエポキシドは、アリルグリシジルエーテル、等を含む。単一のアルキルエポキシド又はアルケニルエポキシド及び/又は二つ又はそれより多いこれらの組合わせを、本発明の組成物中で使用することができる。
【0045】
ある他の好ましい態様において、本発明の組成物中の酸除去剤として使用するためのアルキルエポキシドは、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを含んでなる。本発明において使用するために適したポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの例は、SACHEM(Europe)から商業的に入手可能なエーテルを含む。
【0046】
さらに、ある態様において、本発明において使用するためのエポキシドは、二つ又はそれより多い芳香族、アルキル、及び/又はアルケニル置換基の組合わせを含んでなる。このようなエポキシドは、一般的に「多置換エポキシド」と呼ばれる。
【0047】
ある好ましい態様によれば、本発明において使用するための安定剤は、一つ又はそれより多いジエンベースの化合物(好ましくはテルペン及び/又はテルペンベースの化合物)を含んでなる。ある態様において、安定剤は、このようなジエンベースの化合物(類)を、少なくとも一つの亜リン酸化合物、及び/又は少なくとも一つのフェノール化合物、及び/又は少なくとも一つの芳香族、アルキル、又はアルケニルエポキシドとの組合わせで含んでなる。フェノール及びエポキシドの適した組合わせの例は:トコフェロール及びアリルグリシジルエーテル、BHT及びグリシジルブチルエーテル、等を含んでなる安定剤を含む。ある特別に好ましい組合わせは:トコフェロール及びアリルグリシジルエーテル、等を含んでなる安定剤を含む。ある態様において、好ましい安定剤は、少なくとも一つのジエンベースの化合物を、少なくとも一つの亜リン酸化合物との組合わせで含んでなる。
【0048】
いずれもの適した相対的量の少なくとも一つのフェノール化合物及び少なくとも一つの芳香族、アルキル、又はアルケニルエポキシドを、好ましい安定剤中で使用することができる。例えば、フェノール化合物(類)と芳香族又はフッ素化されたアルキルエポキシド(類)の重量比は、約1:99〜約99:1で変化することができる。ある好ましい態様において、フェノール化合物(類)と芳香族、アルキル、アルケニル、多置換又はフッ素化アルキルエポキシド(類)の重量比は、約30〜約1、さらに好ましくは約7〜約1、さらに好ましくは約2〜約1、そしてなおさらに好ましくは約1:1である。
【0049】
いずれもの適した有効量の安定剤を、本発明の組成物中に使用することができる。本明細書において使用する場合、「安定化に有効な量」との用語は、トリフルオロヨードメタンを含んでなる組成物に加えられた場合、その中のトリフルオロヨードメタンが、同一又は同様な条件下で、本来の組成物に対してよりゆっくりした及び/又はより少ない程度に分解する、安定化された組成物となる本発明の安定剤の量を指す。ある好ましい態様において、安定剤の「安定化に有効量」は、ヨードカーボンであるトリフルオロヨードメタンのような分解性の化合物を含んでなる組成物に加えられた場合、分解性化合物が、SAE J1662(1993年6月に発布)及び/又はASHRAE 97−1983Rの標準的試験の少なくとも一つ、又は両方の条件下で、本来の組成物に対してよりゆっくりと及び/又はより少ない程度に分解する、安定化された組成物となる量を含んでなる。あるさらに好ましい態様において、安定剤の「安定化に有効な量」は、トリフルオロヨードメタンを含んでなる組成物に加えられた場合、SAE J1662(1993年6月に発布)及び/又はASHRAE 97−1983Rの少なくとも一つの標準的試験下で、鉱油中のシ゛クロロシ゛フルオロメタン(R-12)を含んでなる匹敵する組成物の安定性より、良好でなくとも、少なくとも同程度に良好な安定性を有する組成物となる量を含んでなる。本発明において使用するためのある好ましい有効な量の安定剤は、本発明の組成物中のトリフルオロヨードメタンの全重量に基づいて、約0.001〜約10、さらに好ましくは約0.01〜約5、なおさらに好ましくは約0.3〜約4重量パーセント、そしてなおさらに好ましくは約0.3〜約1重量パーセントを含んでなる。
【0050】
ある好ましい態様において、本発明の組成物は、潤滑剤をさらに含んでなる。各種の慣用的な及び慣用的ではない潤滑剤のいずれをも本発明の組成物中で使用することができる。潤滑剤に対する重要な要求事項は、冷媒システムで使用する場合、圧縮機が潤滑されるように、システムの圧縮機への十分な潤滑剤の戻りがなければならない。したがって、いずれもの与えられたシステムのための潤滑剤の安定性は、一部冷媒/潤滑剤の特質によって、そして一部使用することが意図されたシステムの特長によって決定される。一般的にハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒、クロロフルオロカーボン冷媒及びハイドロクロロフルオロカーボン冷媒を使用する又は使用するように設計された通常の冷蔵機中で使用されるために適した潤滑剤の例は、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン(時にPABと呼ばれる)、ポリオールエステル(時にPOEと呼ばれる)、ポリアルキレングリコール(時にPAGと呼ばれる)、ポリアルキレングリコールエステル(時にPAGエステルと呼ばれる)、ポリビニルエーテル(時にPVEと呼ばれる)、ポリ(アルファ−オレフィン)(時にPAOと呼ばれる)、及びハロカーボン油、特にポリ(クロロトリフルオロエチレン)等を含む。パラフィン系油又はナフテン系油を含んでなる鉱油は、商業的に入手可能である。商業的に入手可能な鉱油は、WitcoからのWitco LP250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015を含む。商業的に入手可能なポリアルキルベンゼン潤滑剤は、Zerol 150(登録商標)を含む。商業的に入手可能なエステルは、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコールを含む。商業的に入手可能なPAGは、Fordから入手可能な自動車用PAG冷媒圧縮機油を含み、同様な製品はDowから入手可能である。商業的に入手可能なPAOは、CPI EngineeringからのCP−4600を含む。商業的に入手可能なPVEは、Idemitsu Kosanから入手可能である。商業的に入手可能なPAGエステルは、Chryslerから入手可能である。他の有用なエステルは、リン酸エステル、二塩基性酸エステル、及びフルオロエステルを含む。
【0051】
HFCを使用するか使用するよう設計された冷蔵システム、特に圧縮式冷蔵、空調(特に自動車用空調に対して)及びヒートポンプを含んでなるシステムに対して、PAG、PAGエステル、PVE、及びPOEを潤滑剤として使用することが一般的に好ましい。CFC又はHCFCを使用するか使用するよう設計された冷蔵システムに対して、潤滑剤として鉱油又はPABを使用することが一般的に好ましい。ある好ましい態様において、本発明の潤滑剤は、一定の酸素と炭素の比を持つ炭素、水素及び酸素から構成される有機化合物であり、そして使用される量との組合わせで、冷媒との有効な溶解性及び/又は混和性を与えて、圧縮機への潤滑剤の十分な戻りを確保するために含まれる。この溶解性又は混和性は、好ましくは約−30℃〜70℃の少なくとも一つの温度で存在する。
【0052】
PAG及びPAGエステルは、これらが現時点で自動車用空調システムの純正器機のような特別の適用において使用されているために、ある態様において非常に好ましい。ポリオールエステルは、これらが、現時点で住宅用、商業用、及び工業用の空調及び冷蔵のような特別の非自動車用適用において使用されているために、他のある態様において非常に好ましい。もちろん異なった種類の潤滑剤の異なった混合物を使用することができる。
【0053】
組成物の使用
本発明の組成物は、広い範囲の適用に用途を有する。例えば、本発明に含まれるものは、熱伝達への適用、フォーム及び発泡剤への適用、噴射剤への適用、噴射性組成物への適用、殺菌への適用、及びその他に関連する、本発明の共沸性組成物を含んでなる方法及び組成物である。
【0054】
本発明の熱伝達組成物は、一般的に熱伝達への適用における、即ち、加熱及び/又は冷却媒体としての使用のために適合される。本発明の組成物が本発明の共沸性組成物を一つ又はそれより多い他の化合物との組合わせで、又は広い範囲の量の化合物の組合わせで含むことができることを意図しているが、冷媒組成物を含む本発明の熱伝達組成物が本発明の共沸性組成物から本質的になり、そしていくつかの態様においてはこれらからなることが一般的に好ましい。
【0055】
本発明の熱伝達組成物は、空調(固定式及び移動式の両方の空調システムを含む)、冷蔵、ヒートポンプシステム、等を含むような広い範囲の冷蔵システムのいずれにおいても使用することができる。ある好ましい態様において、本発明の組成物は、例えばHFC-134aのようなHFC冷媒、又は例えばHCFC-22のようなHCFC冷媒で使用するために本来設計された冷蔵システム中で使用される。本発明の好ましい組成物は、慣用的なHFC冷媒のように低いか又はそれより低いGWP、及びそのような冷媒のように高いか又はそれより高い能力、並びにそのような冷媒と実質的に同様であるか、又は実質的に一致する、そして好ましくはそのように高いか又はそれより高い能力を含む、HFC-134a及び他のHFC冷媒の好ましい特質の多くを示す傾向がある。特に、出願人は、本発明の組成物が、比較的低い(好ましくは約1000より少ない、より好ましくは約500より少ない、さらに好ましくは約150より少ない)地球温暖化係数(「GWP」)を示す傾向があることを認識している。さらに、本発明の組成物が比較的一定の沸点を有するため、R-404A又はHFC-32とHFC-125とHFC-134aとの組合わせ(HFC-32:HFC-125:HFC-134aの約23:25:52の重量比の組合わせはR-407Cと呼ばれる)のような、多くの適用において冷媒として使用されるある種の慣用的なHFCより、本発明の組成物はより好ましいものとなる。本発明の熱伝達組成物は、HFC-134、HFC-152a、HFC-22、R-12及びR-500に対する代替物として特に好ましい。
【0056】
ある他の好ましい態様において、本発明の組成物は、CFC冷媒で使用するために本来設計された冷蔵システムにおいて使用される。本発明の好ましい冷蔵組成物は、CFC冷媒と共に慣用的に使用される鉱油、ポリアルキルベンゼン、ポリアルキレングリコール油、等のような潤滑剤を含有する冷蔵システム中で使用することができ、或いはHFC冷媒と共に慣例的に使用される他の潤滑剤と共に使用することができる。本明細書において使用する場合、「冷蔵システム」との用語は、一般的に冷却を得るために冷媒を使用するいずれものシステム又は装置、或いはこのようなシステム又は装置のいずれもの部分若しくは一部を指す。このような冷蔵システムは、例えば空調機、電気冷蔵庫、チラー(遠心圧縮機を使用するチラーを含む)、運送用冷蔵システム、商業的冷蔵システム等を含む。
【0057】
多くの既存の冷蔵システムは、現時点で既存の冷媒に関して使用するために適合され、そして本発明の組成物は、多くのこのようなシステムにおける使用のために、システムの変更を伴うか又は伴わないかのいずれかで適合可能であると信じられる。多くの適用において、本発明の組成物は、現時点である種の冷媒に基づいた小さいシステムにおける代替物質として、例えば小さい冷却能力を必要とする利益を与え、そしてこれによって比較的小さい圧縮機の排出量に対する必要性を決定することができる。さらに、例えば効率上の理由から、より高い能力の冷媒を置換えるために、本発明のより低い能力の冷媒組成物を使用することが好ましい態様において、本発明のこのような態様は潜在的な利益を与える。したがって、ある態様において、HFC-143a;CFC-12;HCFC-22;HFC-152a;ヘ゜ンタフルオロエタン(HFC-125)、トリフルオロエタン(HFC-143a)及びテトラフルオロエタン(HFC-134a)の組合わせ(HFC-125:HFC-143a:HFC-134aの約44:52:4の重量比の組合わせはR-404Aと呼ばれる);HFC-32とHFC-125とHFC-134aとの組合わせ(HFC-32:HFC-125:HFC-134aの約23:25:52の重量比の組合わせはR-407Cと呼ばれる);フッ化メチレン(HFC-32)とヘ゜ンタフルオロエタン(HFC-125)との組合わせ(HFC-32:HFC-125の約50:50の重量比の組合わせはR-410Aと呼ばれる);CFC-12と1,1-シ゛フルオロエタン(HFC-152a)との組合わせ(CFC-12:HFC-152aの73.8:26.2の重量比の組合わせはR-500と呼ばれる);並びに、HFC-125とHFC-143aとの組合わせ(HFC-125:HFC-143aの約50:50の重量比の組合わせはR-507Aと呼ばれる)のような既存の冷媒の代替物質として、本発明の組成物、特に実質的な比率の本発明の共沸性組成物を含んでなる、そしていくつかの態様においては、それから本質的になる組成物を使用することが好ましい。ある態様において、本発明の組成物を、R-407Aと呼ばれるHFC-32:HFC-125:HFC-134aの約20:40:40の重量比、又は、R-407Dと呼ばれる約15:15:70の重量比の組合わせから形成される冷媒の代替物質に関連して使用することも有利となりうる。また、本発明の組成物は、エアゾール、発泡剤等のような他の適用においても、上述の組成物に対する代替物質として適していると信じられる。
【0058】
ある種の適用において、本発明の冷媒は、より大きい排出量の圧縮機の利益のある使用を潜在的に可能にし、これによって、他の冷媒(HFC-134aなど)より良好なエネルギー効率になる。したがって、本発明の冷媒組成物は、冷媒の置換の適用において、エネルギーベースで競合的利益を達成する可能性を与える。
【0059】
本発明の組成物が、さらに商業的な空調及び冷蔵システムに関連して典型的に使用されるチラーにおいても利益を有する(本来のシステム又はCFC-12、HCFC-22、HFC-134a、HFC-152a、R-500及びR-507Aのような冷媒に対する代替物質として使用された場合のいずれか)と考えられる。このような態様のあるものにおいて、約0.5〜約30%、そしてある場合には、より好ましくは0.5%〜約15重量%、さらに好ましくは約0.5〜約10重量%の補助的な可燃性抑制剤を本発明の組成物に含めることが好ましい。これに関連して、本発明の組成物のHFO-1234及び/又はHFO-1225成分のあるものが、ある態様において組成物中の他の成分に対して可燃性抑制剤として作用し得ることは注目される。したがって、組成物中の可燃性抑制剤機能を有するHFO-1234とHFO-1225以外の成分は、本明細書において時に補助的可燃性抑制剤と呼ばれるものである。
【0060】
ある態様において、例えばHFC、HCFC及びCFCを始めとする共溶媒を、本発明の熱伝達組成物中に含ませることができ、これには、以下の1以上が含まれる(そのあらゆる及び全ての異性体が含まれる):
トリクロロフルオロメタン(CFC-11)
シ゛クロロシ゛フルオロメタン(CFC-12)
シ゛フルオロメタン(HFC-32)
ヘ゜ンタフルオロエタン(HFC-125)
1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)
1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)
シ゛フルオロエタン(HFC-152a)
1,1,1,2,3,3,3-ヘフ゜タフルオロフ゜ロハ゜ン(HFC-227ea)
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロフ゜ロハ゜ン(HFC-236fa)
1,1,1,3,3-ヘ゜ンタフルオロフ゜ロハ゜ン(HFC-245fa)
1,1,1,3,3-ヘ゜ンタフルオロフ゛タン(HFC-365mfc)

CO
【0061】
上記に記述した成分のいずれも、並びに本発明の組成物中に含むことができるいずれもの付加的な成分の相対的な量は、組成物に対する特別な適用に依存する量で本発明の組成物中に組込むことができ、そして全てのこのような相対的な量は、好ましくはこのような成分が、本明細書中に記載されるHFO-1234とHFO-1225との共沸性の性質を失わないことを条件として、本明細書の範囲内と考えられる。
【0062】
したがって、本発明の方法、システム及び組成物は、自動車用空調システム及び装置、商業的冷蔵システム及び装置、チラー(遠心圧縮機を使用するシステムを含む)、住宅用冷蔵庫及び冷凍庫、一般的空調システム、ヒートポンプ等に関連する使用のために適合される。
【0063】
本発明の冷媒組成物を冷蔵システムに導入するための広い範囲の方法のいずれもを本発明において使用することができる。例えば、一つの方法は、冷媒容器を冷蔵システムの低圧側に接続し、そして冷蔵システムの圧縮機のスイッチを入れて、冷媒をシステム内に吸込むことを含む。このような態様において、冷媒容器を、システム内に入った冷媒組成物の量をモニターすることができるように、秤の上に置くことができる。所望の量の冷媒組成物がシステム内に導入されたとき、給送を停止する。別の方法として、当業者にとって既知の広い範囲の給送道具が商業的に入手可能である。したがって、上記の開示に照らして、当業者は、本発明の冷媒組成物を、本発明による冷蔵システムに過度の実験を行わずに容易に導入することが可能であるものである。
【0064】
ある他の態様によれば、本発明は、本発明の冷媒を含んでなる冷蔵システム及び本発明の組成物を凝縮及び/又は蒸発することにより、加熱又は冷却を生じる方法を提供する。ある好ましい態様において、直接又は間接的のいずれかで他の流体を、或いは物体を直接又は間接的に冷却することを含む冷却するための方法は、本発明の共沸性組成物を含んでなる冷媒組成物を凝縮させ、そしてその後、前記の溶媒組成物を冷却される物品の近辺で蒸発させることを含んでなる。本明細書において使用する場合、「物体」との用語は、無生物の対象だけでなく、さらに一般的に動物の組織、そして特にヒトの組織を含む生きた組織をも指すことを意図している。例えば、本発明のある側面は、鎮痛技術、予備麻酔、又は治療される物体の温度を減少することを含む治療の一部としてのような一つ又はそれより多い治療の目的のためのヒトの組織への本発明の組成物の適用を含む。ある態様において、物体に対する適用は、好ましくは本発明の組成物を一方向排出弁及び/又はノズルを有する加圧容器中の液体の形態の圧力下で用意し、そして液体を加圧容器から噴霧又は他の方法によって放出し、物体に組成物を適用することを含んでなる。液体が噴霧された表面から蒸発するときに、表面は冷却される。
【0065】
流体又は物体を加熱するためのある好ましい方法は、本発明の共沸性組成物を含んでなる冷媒組成物を、加熱される流体又は物体の近辺で凝縮させ、そしてその後、前記の冷媒組成物を蒸発させることを含んでなる。本明細書中の開示に照らして、当業者は、過度の実験を行わずに本発明により物品を加熱及び冷却することが容易に可能となるものである。
【0066】
出願人は、本発明のシステムにおいて、多くの重要な冷蔵システムの性能パラメータが、R-134aに対するパラメータに比較的近いことを見出している。多くの既存の冷蔵システムが、R-134aに対して、又はR-134aと同様な特性を持つ他の冷媒に対して設計されているために、当業者は、R-134a又は同様な冷媒に対する代替物質としてシステムの比較的最小の変更を伴って使用することができる低いGWP及び/又は低いオゾン消費冷媒の実質的な利益を認識するものである。ある態様において、本発明が、既存のシステム中の冷媒を本発明の組成物と、システムの実質的な変更を伴わずに置換することを含んでなる改装方法を提供することが考えられる。ある好ましい態様において、置換え工程は、システムの実質的な再設計を必要とせず、そして本発明の冷媒を受入れるために機器の主要部分を置き換える必要がないという意味で簡単な置き換え(drop-in replacement)である。ある好ましい態様において、この方法は、システムの能力が、置換前のシステムの能力の少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約85%、さらに好ましくは少なくとも約90%である簡単な置き換えを含んでなる。ある好ましい態様において、この方法は、システムの吸入圧力及び/又は吐出圧力、より好ましくは両方が、置換前のシステムの能力の少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%である簡単な置き換えを含んでなる。ある好ましい態様において、この方法は、システムの質量流量(mass flow)が、置換前のシステムの能力の少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%である簡単な置き換えを含んでなる。
【0067】
もう一つの態様において、本発明の共沸性組成物は、単独で又は既知の噴射剤との組合わせのいずれかで、噴霧可能な組成物の噴射剤として使用することができる。噴射剤組成物は、本発明の共沸性組成物を含んでなり、より好ましくは本発明の共沸性組成物から本質的になり、さらに好ましくは本発明の共沸性組成物からなる。不活性成分、溶媒、及び他の物質といっしょに噴霧される活性成分も、噴霧可能な混合物中に存在することができる。好ましくは、噴射可能な組成物はエアゾールである。噴霧される適した活性物質は、制約されるものではないが、デオドラント、香水、ヘアスプレー、クリーニング溶媒、及び乳液のような化粧品物質、並びに抗喘息薬物のような医薬物質を含む。「医薬物質」との用語は、治療、診断、鎮痛、及び同様な治療に関して有効である、又は少なくとも有効であると信じられるいずれもの、そして全ての物質を含むためにその最も広い意味において本明細書において使用され、そしてこのようなものは、例えば薬物及び生物学的に活性な物質を含む。
【0068】
本発明のなおもう一つの態様は、一つ又はそれより多い本発明の共沸性組成物を含んでなる発泡剤に関する。一般的に、発泡剤は、本発明の共沸性組成物を、広い範囲の量で含むことができる。しかしながら、発泡剤が、本発明の共沸性組成物を、発泡剤の少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも約15重量%の量で含んでなることが一般的に好ましい。ある好ましい態様において、発泡剤は、少なくとも約50重量%の本発明の共沸性組成物を含んでなり、そしてある態様において、発泡剤は、本発明の共沸性組成物から本質的になる。ある好ましい態様において、発泡剤は、本発明の組成物に加えて、一つ又はそれより多い共発泡剤、充填剤、蒸気圧改質剤、難燃剤、安定剤及び同様なアジュバントを含む。
【0069】
他の態様において、本発明は、発泡性組成物を提供する。本発明の発泡性組成物は、一般的に気泡構造を有するフォームを形成することが可能な一般的に一つ又はそれより多い成分及び本発明による発泡剤を含む。ある態様において、一つ又はそれより多い成分は、フォーム及び/又は発泡性組成物を形成することが可能な熱硬化性組成物を含んでなる。熱硬化性組成物の例は、ポリウレタン及びポリイソシアヌラートフォーム組成物、そしてさらにフェノール系フォーム組成物を含む。このような熱硬化性フォームの態様において、一つ又はそれより多い本発明の組成物は、発泡剤として、又はその一部として、或いは好ましくは適当な条件下で反応及び/又は発泡することが可能な一つ又はそれより多い成分を含んで、フォーム又は気泡構造を形成する、二つ又はそれより多い部分の発泡性組成物の一部として発泡性組成物中に含まれる。ある他の態様において、一つ又はそれより多い成分は、熱可塑性物質、特に熱可塑性ポリマー及び/又は樹脂を含んでなる。熱可塑性フォーム成分の例は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリオレフィン、並びにこれらから形成されたフォーム、好ましくは低密度フォームを含む。ある態様において、熱可塑性発泡性組成物は、押出し成型可能な組成物である。
【0070】
特に本明細書中に含有される開示の観点から、本発明の発泡剤が形成され及び/又は発泡性組成物に加えられる順序及び方法が、一般的に本発明の操作性に影響しないことは当業者によって認識されるものである。例えば、押出し可能なフォームの場合、発泡剤の各種の成分、及び本発明の組成物の成分でさえ、押出器機への導入に先立って混合されないか、又は成分が押出機器中の同一位置に加えられないことさえ可能である。したがって、ある態様において、発泡剤の一つ又はそれより多い成分が、発泡剤の一つ又はそれより多い他の成分の添加の場所の上流である押出機の第1の位置に導入することが、成分が押出機中でいっしょになり、及び/又はこの方法でさらに効果的に操作されるものであることへの期待を伴って好ましいことであることができる。しかしながら、ある態様において、発泡剤の二つ又はそれより多い成分が、前もって混合され、そして直接又はプレミックス(これは、次いで発泡性組成物の他の部分に加えられる)の一部としてのいずれかにより、いっしょに発泡性組成物に導入される。
【0071】
また、本発明は、フォーム、そして好ましくは本発明の組成物を、好ましくは発泡剤の一部として含有するポリマーフォーム処方から調製された独立気泡フォームにも関する。
【0072】
ある好ましい態様において、分散剤、気泡安定剤、界面活性剤及び他の添加剤も、さらに本発明の発泡剤組成物中に組込むことができる。界面活性剤は、所望により、しかし好ましくは気泡安定剤として働くために加えられる。いくつかの代表的な物質は、DC−193、B−8404、及びL−5340の名称で市販され、これらは、一般的に、米国特許第2,834,748号、2,917,480号、及び2,846,458号中に開示されているもののようなポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコ−ポリマーであり、これらのそれぞれは、本明細書中に参考文献として援用される。発泡剤混合物に対する他の所望による添加剤は、リン酸トリ(2−クロロエチル)、リン酸トリ(2−クロロプロピル)、リン酸トリ(2,3−ジブロモプロピル)、リン酸トリ(1,3−ジクロロプロピル)、リン酸ジアンモニウム、各種のハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、三水素化アルミニウム、ポリ塩化ビニル、等のような燃焼防止剤又は抑制剤を含むことができる。
【0073】
本明細書中に参考文献として援用される「Polyurethanes Chemistry and Technology」(Volume I and II,Saunders and Frish,1962,John Wiley and Sons,New York,NY)中に記載されているもののような当技術において公知の方法のいずれもを、本発明のフォームの態様に使用するか、又は使用するために適合することができる。
【0074】
本発明の共沸性組成物の他の使用は、溶媒、洗浄剤、等としての使用を含む。当業者は、本発明の組成物を、過度の実験を行うことなく、容易にこのような使用のために適合することが可能であるものである。
【0075】
実施例
本発明は、さらに以下の実施例において例示され、これは、例示を意図したものであり、いずれかの方法ででも制約するものではない。
【0076】
実施例1
頂部に凝縮器を持ち、石英温度計K96S4771を備えた、真空ジャケットされた管からなる沸点測定器を使用する。約17gのHFO-1234yfを沸点測定器に入れ、次いで、HFO-1225yeZを、少量の測定された増分にて加えた。HFO-1225yeZがHFO-1234yfに加えられたとき、温度降下が観察され、二成分の最小沸点共沸混合物が形成されたことを示した。約0より大きく約50重量パーセントまでのHFO-1225yeZにおいて、組成物の沸点は約3℃又はそれより少なく変化した。表1に示した二成分混合物を研究したところ、組成物の沸点は約3℃又はそれより少なく変化した。組成物は、この範囲において共沸特性及び/又は共沸性特性を示す。
【0077】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のHFO-1234yfとHFO-1225yeZとを含んでなる共沸性組成物。
【請求項2】
約50から100重量パーセントより少ないHFO-1234yfと
ゼロより多く約50重量パーセントまでのHFO-1225yeZと
から本質的になる、請求項1に記載の共沸性組成物。
【請求項3】
約93から100重量パーセントより少ないHFO-1234yfと
ゼロより多く約7重量パーセントまでのHFO-1225yeZと
から本質的になる、請求項1に記載の共沸性組成物。
【請求項4】
約14.2psiaの圧力において、約−26℃〜約−30℃の沸点を有する、請求項1に記載の共沸性組成物。
【請求項5】
約14.2psiaの圧力において、約−27℃〜約−30℃の沸点を有する、請求項2に記載の共沸性組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物と、
補助潤滑剤、相溶化剤、界面活性剤、補助燃焼抑制剤、可溶化剤、分散剤、気泡安定剤、化粧品、研磨剤、医薬、洗浄剤、燃焼防止剤、着色剤、化学的殺菌剤、安定剤、ポリオール、ポリオールプレミックス成分およびこれらの2以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのアジュバントと
を含んでなる組成物。
【請求項7】
請求項10に記載の組成物を含んでなり、前記アジュバントが少なくとも一つの潤滑剤を含んでなる熱伝達組成物。
【請求項8】
前記補助潤滑剤が、鉱油、シリコーン油、ポリアルキルベンゼン(PAB)、ポリオールエステル(POE)、ポロアルキレングリコール(PAG)、ポリアルキレングリコールエステル(PAGエステル)、ポリビニルエーテル(PVE)、ポリ(α−オレフィン)(PAO)、及びこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の熱伝達組成物。
【請求項9】
前記アジュバントが、少なくとも一つの相溶化剤をさらに含む、請求項12に記載の熱伝達組成物。
【請求項10】
約0.5〜約5重量パーセントの前記少なくとも一つの相溶化剤を含んでなる、請求項13に記載の熱伝達組成物。
【請求項11】
加えられた前記補助潤滑剤(類)が、熱伝達組成物の約5〜約50重量パーセントの量で存在する、請求項12に記載の熱伝達組成物。
【請求項12】
一つ又はそれより多い補助燃焼抑制剤を含んでなる、請求項11に記載の熱伝達組成物。
【請求項13】
加えられた前記一つ又はそれより多い燃焼抑制剤(類)が、熱伝達組成物の約0.5%〜約30重量%の量で存在する、請求項16に記載の熱伝達組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の共沸性組成物を含んでなる、熱伝達組成物。
【請求項15】
少なくとも約50重量%の請求項1記載の共沸性組成物を含んでなる、熱伝達組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の熱伝達組成物による冷媒を含んでなる冷蔵システム。
【請求項17】
自動車用空調システム、住宅用空調システム、商業用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、商業用冷蔵庫システム、商業用冷凍庫システム、チラー空調システム、チラー冷蔵庫システム、ヒートポンプシステム、及び一つ又はそれより多いこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の冷蔵システム。
【請求項18】
請求項1に記載の共沸性組成物を含んでなる発泡剤。
【請求項19】
少なくとも約5重量%の請求項1に記載の共沸性組成物を含んでなる発泡剤。
【請求項20】
フォームを形成することが可能な一つ又はそれより多い成分と
請求項1に記載の共沸性組成物と
を含んでなる発泡性組成物。
【請求項21】
前記フォームを形成することが可能な一つ又はそれより多い成分が、熱可塑性フォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、低密度ポリエチレンフォーム、押出し成型熱可塑性フォーム、ポリウレタンフォーム、及びポリイソシアヌレートフォームからなる群から選択されるフォームを形成することが可能な一つ又はそれより多い成分を含んでなる、請求項20に記載の発泡性組成物。
【請求項22】
分散剤、気泡安定剤、界面活性剤、燃焼防止剤及び2以上のこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含んでなる、請求項21に記載の発泡性組成物。
【請求項23】
請求項22に記載の発泡性組成物から形成されるフォーム。
【請求項24】
請求項23に記載のフォームを含んでなる独立気泡フォーム。
【請求項25】
冷媒システムに含有された既存の冷媒を置換する方法であって、
前記既存の冷媒の少なくとも一部を前記システムから除去し、
請求項1に記載の共沸性組成物を含んでなる冷媒組成物を前記システムに導入することによって、前記既存の冷媒の少なくとも一部を置換すること
を含んでなる、上記方法。
【請求項26】
前記既存の冷媒が、HFC-134a、R-12、R-500、HFC-152a、及びHFC-22並びにこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記既存の冷媒が、HFC-134a、HFC-143a、HFC-125、HFC-32及びこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記既存の冷媒が、HFC-143a、HFC-125、HFC-32及びこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記既存の冷媒システムが、自動車用空調システム、住宅用空調システム、商業用空調システム、住宅用冷蔵庫システム、住宅用冷凍庫システム、商業用冷蔵庫システム、商業用冷凍庫、チラー空調システム、チラー冷蔵システム、ヒートポンプシステム、及び二つ又はそれより多いこれあの組合わせからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
請求項10に記載の前記冷媒が、約1000より大きくない地球温暖化係数(GWP)を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項31】
噴霧する物質と
請求項1に記載の共沸性組成物を含んでなる噴射剤と
を含んでなる噴霧可能な組成物。
【請求項32】
エアゾールの形態の、請求項40に記載の噴霧可能な組成物。
【請求項33】
物品を滅菌する方法であって、請求項1に記載の組成物を含んでなる組成物と前記物品を接触させることを含んでなる、上記方法。

【公表番号】特表2007−532767(P2007−532767A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508632(P2007−508632)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/013183
【国際公開番号】WO2005/103188
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】