説明

テトラフルオロプロペン組成物およびその使用

本発明は、冷凍、空調、およびヒートポンプシステムで使用するための組成物に関し、本組成物は、テトラフルオロプロペンと、少なくとも1つの他の成分とを含む。本発明の組成物は、伝熱流体、発泡剤、エアロゾル噴射剤、ならびに鎮火および消火剤として、冷却または加熱をもたらすための方法において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2008年11月19日に出願された米国仮特許出願第61/116,029号、および2009年5月21日に出願された米国仮特許出願第61/180,281号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は冷凍、空調、およびヒートポンプシステムにおいて使用するための組成物に関し、本組成物は、テトラフルオロプロペンと、少なくとも1つの他の化合物とを含む。本発明の組成物は、伝熱流体、発泡剤、エアロゾル噴射剤、ならびに鎮火および消火剤として、冷却または加熱をもたらすための方法において有用である。
【背景技術】
【0003】
冷凍産業では、過去数十年の間、モントリオール議定書(Montreal Protocol)の結果として段階的に廃止されつつあるオゾン層破壊性のクロロフルオロカーボン(CFC)およびハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の代替冷媒を見出す努力がなされてきた。ほとんどの冷媒製造業者にとっての解決法は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒の商業化であった。現時点で最も広く使用されている新しいHFC冷媒のHFC−134aは、オゾン層破壊係数がゼロであり、従って、モントリオール議定書の結果としての現在の規制の段階的廃止による影響を受けない。
【0004】
さらなる環境規制は、最終的には、特定のHFC冷媒の世界的な段階的廃止を引き起こし得る。現在、自動車産業は、移動空調で使用される冷媒についての地球温暖化係数に関する規制に直面している。そのために、移動空調市場のための地球温暖化係数が低減された新しい冷媒を突き止めることが現在非常に必要とされている。将来的に規制がより広く適用されれば、例えば固定空調および冷凍システムでは、冷凍および空調産業のすべての分野で使用することができる冷媒に対して、さらにより大きい必要性が感じられるであろう。
【0005】
現在提案されているHFC−134aの代替冷媒としては、HFC−152a、ブタンもしくはプロパンなどの純粋な炭化水素、またはCOなどの「天然」冷媒が挙げられる。これらの提案された代替品の多くは有毒であり、引火性であり、そして/あるいはエネルギー効率が低い。特にHCFC−22、R404A、R407C、およびR410Aに対する新しい代替品も提案されている。従って、新しい代替的な冷媒が探索されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、低いまたはゼロのオゾン層破壊係数、および現在の冷媒と比較してより低い地球温暖化係数の要求を満たす独特の特性を提供する新規の冷媒組成物および伝熱流体組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
HFO−1234yf、HFC−152a、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234zeおよびHFC−32、
HFO−1234zeおよびHFC−125、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−134a、ならびに
HFO−1234ze、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a
を含む組成物からなる群から選択される組成物が開示されている。
【0008】
また、約60重量パーセント以下のHFO−1234yfおよび少なくとも約40重量パーセントのHFC−134aを含む非引火性組成物も開示されている。
【0009】
また、少なくとも約85重量パーセントのHFO−1234yfおよび最大約15重量パーセントまでのHFC−32を含む組成物も開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に記載される実施形態の詳細に取り組む前に、いくつかの用語が定義される、あるいは明確にされる。
【0011】
定義
本明細書で使用される場合、伝熱組成物という用語は、熱源からヒートシンクへ熱を運ぶために使用される組成物を意味する。
【0012】
熱源は、熱を加える、伝達する、移動する、あるいは除去することが望ましい任意の空間、場所、物体または本体であると定義される。熱源の例は、スーパーマーケットにおける冷蔵庫または冷凍庫ケースなどの冷凍または冷却を必要とする空間(開放または閉鎖)、空調を必要とする建物空間、工業用ウォーターチラー、または空調を必要とする自動車の乗員室である。いくつかの実施形態では、伝熱組成物は、伝熱過程を通して一定状態のままであり得る(すなわち、蒸発または凝縮しない)。その他の実施形態では、伝熱組成物は蒸発冷却過程で同様に利用され得る。
【0013】
ヒートシンクは、熱を吸収することができる任意の空間、場所、物体または本体であると定義される。蒸気圧縮冷凍システムは、このようなヒートシンクの一例である。
【0014】
伝熱システムは、特定の空間において加熱または冷却効果を生じるために使用されるシステム(または装置)である。伝熱システムは、移動システムでも固定システムでもよい。
【0015】
伝熱システムの例としては、空調装置、冷凍庫、冷蔵庫、ヒートポンプ、ウォーターチラー、満液式蒸発器(flooded evaporator)冷却装置、直接膨張(direct expansion)冷却装置、ウォークインクーラー、移動冷蔵庫、移動空調ユニット、除湿機、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用される場合、移動伝熱システムは、道路、鉄道、海また空用の輸送ユニット内に組み込まれた任意の冷凍、空調、または加熱装置を指す。さらに、移動冷凍または空調ユニットは、どの移動キャリアからも独立した「共同一貫輸送」システムとして知られる装置を含む。このような共同一貫輸送システムには、「コンテナ」(海上/陸上輸送の組み合わせ)および「スワップボディ」(道路/鉄道輸送の組み合わせ)が含まれる。
【0017】
本明細書で使用される場合、固定伝熱システムは、運転中、定位置に固定されるシステムである。固定伝熱システムは様々な建物内に結合されてもよいし、建物に取り付けられてもよく、あるいはソフトドリンクの自動販売機などのように屋外に配置された独立型の装置であってもよい。これらの固定用途は、固定空調およびヒートポンプであり得る(冷却装置、高温ヒートポンプ、住宅用、商業用または工業用の空調システムを含むがこれらに限定されず、ウィンドウ型、ダクトレス型、ダクト型、パッケージドターミナル型冷却装置、およびルーフトップシステムなどの屋外用であるが建物に接続されたものを含む)。固定冷凍用途では、開示される組成物は、商業用、工業用または住宅用の冷蔵庫および冷凍庫、製氷機、内蔵型クーラーおよび冷凍庫、満液式蒸発器冷却装置、直接膨張冷却装置、ウォークインおよびリーチイン(reach−in)クーラーおよび冷凍庫、ならびに組み合わせシステムを含む装置において有用であり得る。いくつかの実施形態では、開示される組成物は、スーパーマーケットの冷凍システムにおいて使用することができる。さらに、固定用途は二次的なループシステムを用いることができ、これは、主要な冷媒を用いてある場所で冷却を生じ、これを二次的な伝熱流体によって離れた場所に伝達する。
【0018】
冷凍容量(冷却容量と称されることもある)は、循環される冷媒1ポンドあたりの蒸発器における冷媒のエンタルピーの変化、すなわち、所与の時間あたりの蒸発器内の冷媒によって除去される熱を定義するための用語である。冷凍容量は、冷媒または伝熱組成物が冷却をもたらす能力の尺度である。従って、この容量が高いほど得られる冷却は大きい。
【0019】
性能係数(COP)は、除去された熱の量を、サイクルを運転するために必要とされるエネルギー入力で割ったものである。COPが高いほど、エネルギー効率は高い。COPは、エネルギー効率比(EER)、すなわち、特定の内部および外部温度セットにおける冷凍または空調装置に対する効率評価に直接関連する。
【0020】
「過冷却(subcooling)」という用語は、液体の温度を、所与の圧力に対するその液体の飽和点よりも低い温度まで低下させることを意味する。飽和点は蒸気が完全に液体に凝縮する温度であるが、過冷却は、液体を、所与の圧力でより低い温度の液体に冷却し続ける。液体を飽和温度(または泡立ち点温度)よりも低い温度まで冷却することによって、正味の冷凍容量を増大させることができる。過冷却は、それにより、システムの冷凍容量およびエネルギー効率を改善する。過冷却量は、飽和温度よりも下方への冷却の量(度)である。
【0021】
過熱は、蒸気組成物がその飽和蒸気温度(組成物が冷却されたときに、液体の最初の一滴が形成される温度であり、「露点」と呼ばれることもある)よりもどの程度高温まで加熱されるかを定義する用語である。
【0022】
温度勾配(temperature glide)(単に「勾配」と称されることもある)は、過冷却または過熱を除いて、冷媒システムの構成要素内の冷媒による相変化過程の開始温度と終了温度との差の絶対値である。この用語は、近共沸または非共沸組成物の凝縮または蒸発を説明するために使用され得る。
【0023】
共沸組成物とは、単一の物質として挙動する2つ以上の物質の定沸点混合物を意味する。共沸組成物を特徴付ける1つの方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生じる蒸気が、それが蒸発または蒸留される液体と同じ組成を有する、すなわち、混合物が組成の変化を伴わずに蒸留/還流されることである。定沸点組成物は、同じ化合物の非共沸混合物と比べて最高沸点または最低沸点のいずれかを示すので、共沸性と特徴付けられる。共沸組成物は、運転中に冷凍または空調システム内で分画しないであろう。さらに、共沸組成物は、冷凍または空調システムからの漏出時に分画しないであろう。
【0024】
近共沸(near−azeotropic)組成物(一般に「共沸混合物様組成物」とも称される)は、本質的に単一の物質として挙動する2つ以上の物質の実質的に定沸点の液体混合物である。近共沸組成物を特徴付ける1つの方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生じる蒸気が、それが蒸発または蒸留される液体と実質的に同じ組成を有する、すなわち、混合物が実質的な組成の変化を伴わずに蒸留/還流されることである。近共沸組成物を特徴付けるもう1つの方法は、特定の温度における組成物の泡立ち点蒸気圧および露点蒸気圧が実質的に同一であることである。本明細書では、蒸発または沸騰除去などによって組成物の50重量パーセントが除去された後、元の組成物と、元の組成物の50重量パーセントが除去された後に残存する組成物との間の蒸気圧の差が約10パーセント未満であれば、組成物は近共沸性である。
【0025】
非共沸組成物は、単一の物質というよりはむしろ単純な混合物として挙動する2つ以上の物質の混合物である。非共沸組成物を特徴付ける1つの方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生じる蒸気が、それが蒸発または蒸留される液体と実質的に異なる組成を有する、すなわち、混合物が実質的な組成の変化を伴って蒸留/還流されることである。非共沸組成物を特徴付けるもう1つの方法は、特定の温度における組成物の泡立ち点蒸気圧および露点蒸気圧が実質的に異なることである。本明細書では、蒸発または沸騰除去などによって組成物の50重量パーセントが除去された後、元の組成物と、元の組成物の50重量パーセントが除去された後に残存する組成物との間の蒸気圧の差が約10パーセントよりも大きければ、組成物は非共沸性である。
【0026】
本明細書で使用される場合、「潤滑剤」という用語は、組成物または圧縮器に添加されて(そして、任意の伝熱システム内での使用において任意の伝熱組成物と接触されて)、圧縮器に潤滑を提供して部品が動かなくならないようにする助けになるあらゆる材料を意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、相溶化剤は、伝熱システムの潤滑剤中における、開示される組成物のハイドロフルオロカーボンの溶解度を改善する化合物である。いくつかの実施形態では、相溶化剤は、圧縮器への油戻り(oil return)を改善する。いくつかの実施形態では、組成物はシステム潤滑剤と共に使用されて、油を多く含む相の粘度を低下させる。
【0028】
本明細書で使用される場合、油戻りは、伝熱組成物が伝熱システムを通って潤滑剤を運び、そしてそれを圧縮器に戻す能力を指す。すなわち、使用の際、圧縮器潤滑剤の一部が伝熱組成物によって圧縮器からシステムの他の部分へ運び去られることは珍しくない。このようなシステムでは、潤滑剤が圧縮器に効率良く戻されないと、圧縮器は、最終的には、潤滑の欠如のために動かなくなるであろう。
【0029】
本明細書で使用される場合、「紫外線」色素は、電磁スペクトルの紫外または「近」紫外領域で光を吸収するUV蛍光またはリン光組成物であると定義される。10ナノメートル〜約775ナノメートルの範囲の波長を有する少なくともある程度の放射を放出するUV光による照射下において、UV蛍光色素によって生じる蛍光が検出され得る。
【0030】
引火性は、発火するおよび/または火炎を伝播させる組成物の能力を意味するために使用される用語である。冷媒および他の伝熱組成物について、引火下限(「LFL」)は、ASTM(米国材料試験協会)E681において規定される試験条件下で組成物および空気の均一な混合によって火炎を伝播させることができる伝熱組成物の空気中の最低濃度である。引火上限(「UFL」)は、同じ条件下で、組成物および空気の均一な混合によって火炎を伝播させることができる伝熱組成物の空気中の最高濃度である。引火性試験のASTM E681は、ASHRAE(American Society of Heating,Refrigerating and Air−Conditioning Engineers)によってASHRAE Standard34で指定されるような規定温度で、液相および閉鎖容器内で液体よりも上方に存在する蒸気相において実行される。ASHRAEによって非引火性であると分類されるためには、冷媒は、液体および蒸気相の両方で処方される場合、そして漏出シナリオの間に、ASTM E681の条件下で非引火性でなければならない。
【0031】
地球温暖化係数(GWP)は、二酸化炭素1キログラムの放出と比較して、特定の温室ガス1キログラムの大気中への放出による相対的な地球温暖化寄与を評価するための指数である。GWPは、異なる対象期間に対して計算することができ、所与のガスについての大気寿命の効果を示す。100年の対象期間に対するGWPは、一般的に参照される値である。混合物については、各成分の個々のGWPに基づいて、加重平均を計算することができる。
【0032】
オゾン層破壊係数(ODP)は、物質によって引き起こされるオゾン層破壊の量を指す数である。ODPは、化学物質のオゾンに対する影響を、同様の質量のCFC−11(フルオロトリクロロメタン)の影響と比較した比率である。従って、CFC−11のODPは、1.0であると定義される。その他のCFCおよびHCFCは、0.01〜1.0の範囲のODPを有する。HFCは塩素を含有しないので、ゼロのODPを有する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはこれらのあらゆる他の変形は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、要素のリストを含む組成物、過程、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されず、明確に記載されていないか、あるいはこのような組成物、過程、方法、物品、または装置に固有のその他の要素を含んでいてもよい。さらに、反対する明確な記載がない限り、「または」は包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0034】
「からなる(consisting of)」という移行句は、規定されていないあらゆる要素、工程または成分を排除する。このような句が請求項内にあれば、普通に伴われる不純物を除いて、列挙された以外の材料の包含に対して、この請求項はクローズされるであろう。「からなる(consisting of)」という句が、序文の直後ではなく請求項の本文に現れる場合、その本文に示される要素を限定するだけであり、その他の要素は全体として請求項から排除されない。
【0035】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句は、文字通りに開示されたものに加えて、材料、行程、特徴、成分、または要素を含む組成物、方法または装置を定義するために使用されるが、ただし、これらの付加的に含まれる材料、行程、特徴、成分、または要素は、特許請求された発明の基本的および新規の特徴に実質的に影響を与えることを条件とする。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「含む(comprising)」と「からなる(consisting of)」との間の中間の立場をとる。
【0036】
出願人が「含む(comprising)」などの制約のない用語で発明またはその一部を定義した場合、その説明は(他に記載されない限り)、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」という用語を用いて同様にこのような発明を説明すると解釈されるべきであることは、容易に理解されるはずである。
【0037】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載される要素および成分を説明するために用いられる。これは、単に便宜上、そして本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むと解釈されるべきであり、そしてそうでないことを意味することが明白でない限り、単数は複数も含む。
【0038】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または等価の方法および材料は、開示される組成物の実施形態の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料は以下に記載される。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、特定の一節が引用されない限り、参照によってその全体が援用される。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が支配するであろう。さらに、材料、方法、および実施例は単に例示的であって、限定的であることは意図されない。
【0039】
組成物
テトラフルオロプロペンおよび少なくとも1つの他の化合物を含む組成物が開示されている。テトラフルオロプロペンは、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)または2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)のいずれかでよい。HFO−1234zeは、異なる立体配置異性体、E−(trans−)もしくはZ−(cis−)、または立体異性体として存在し得る。本発明は、単一の立体配置異性体、単一の立体異性体、またはこれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を全て含むことが意図される。
【0040】
HFO−1234zeおよびHFO−1234yfはいずれも当該技術分野において既知の方法によって製造することができる。
【0041】
また開示される組成物は、ジフルオロメタン(HFC−32)、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、およびジフルオロエタン(1,1−ジフルオロエタンまたはHFC−152a)からなる群から選択される他のフッ素化化合物も含有する。テトラフルオロエタンは、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)または1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)であり得る。これらのフッ素化化合物は市販されているか、あるいは当該技術分野において既知の方法によって製造することができる。
【0042】
一実施形態では、
HFO−1234yfおよびHFC−32、
HFO−1234yfおよびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−152a、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−125、
HFO−1234yf、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234zeおよびHFC−32、
HFO−1234zeおよびHFC−125、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−125、ならびに
HFO−1234ze、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a
を含む組成物が開示される。
【0043】
別の実施形態では、
HFO−1234yfおよびHFC−32、
HFO−1234yfおよびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−152a、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−125、
HFO−1234yf、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234zeおよびHFC−32、
HFO−1234zeおよびHFC−125、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−125、ならびに
HFO−1234ze、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a
から本質的になる組成物が開示される。
【0044】
一実施形態では、開示される組成物はどれも、テトラフルオロプロペンが組成物全体の約1重量パーセント〜約99重量パーセントで存在する場合に一般に有用であり得る。別の実施形態では、有用な組成物は、約20重量パーセント〜約99重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。別の実施形態では、有用な組成物は、約40重量パーセント〜約99重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。そしてさらに別の実施形態では、有用な組成物は、約50重量パーセント〜約99重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。
【0045】
本明細書に記載される三元組成物について、一実施形態では、組成物は、約1重量パーセント〜約98重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含むことができる。別の実施形態では、組成物は、約20重量パーセント〜約98重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。別の実施形態では、組成物は、約40重量パーセント〜約98重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。そしてさらに別の実施形態では、組成物は、約50重量パーセント〜約98重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。特定の実施形態では、trans−HFO−1234zeおよびHFC−125を含む開示される組成物は、約80重量パーセント〜約99重量パーセントのtrans−HFO−1234zeおよび約20重量パーセント〜約1重量パーセントのHFC−125を含有する。その他の実施形態では、組成物は、約85重量パーセント〜約95重量パーセントのHFO−1234zeおよび約15重量パーセント〜約5重量パーセントのHFC−125を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、trans−HFO−1234zeおよびHFC−32を含む開示される組成物は、約20重量パーセント〜約90重量パーセントのtrans−HFO−1234zeおよび約80重量パーセント〜約10重量パーセントのHFC−32を含有する。
【0047】
一実施形態では、開示される組成物は、一般に、記載される濃度+/−2重量パーセントで成分が存在する場合に、所望の特性および官能性を保持することが期待される。
【0048】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は近共沸性であることが分かる。テトラフルオロプロペンを含む近共沸組成物は、表1に記載されるように、規定の温度で同定されている。
【0049】
【表1】

【0050】
本発明の組成物の特定のものは非共沸組成物である。非共沸組成物は、共沸または近共沸混合物を超える特定の利点を有し得る。非共沸組成物の温度勾配は、向流熱交換器配置において利点を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、冷媒の引火性を測定するための標準試験であるASTM(米国材料試験協会)E681−2004を用いて決定される場合に非引火性である。
【0052】
一実施形態では、組成物は、約60℃において約60重量パーセント以下のHFO−1234yfおよび少なくとも約40重量パーセントのHFC−134aを含む非引火性組成物である。
【0053】
別の実施形態では、組成物は、約100℃において約53重量パーセント以下のHFO−1234yfおよび少なくとも約47重量パーセントのHFC−134aを含む非引火性組成物である。
【0054】
一実施形態では、いくらかの温度勾配を有する冷媒混合物は業界において容認され得る、あるいはさらに、本明細書において前述したような利点がある。R407Cは、勾配を有する市販の冷媒製品の一例である。本明細書に開示される特定の組成物は、R407Cの温度勾配に近い温度勾配を有する冷媒組成物を提供することが実証されている。
【0055】
一実施形態では、組成物は、少なくとも約85重量パーセントのHFO−1234yfおよび最大約15重量パーセントまでのHFC−32を含む。このような組成物は最小限の温度勾配を有し、R407Cと同様のレベルの冷却容量およびエネルギー効率を保持することが実証されている。別の実施形態では、組成物は、少なくとも約90重量パーセントのHFO−1234yfおよび最大約10重量パーセントまでのHFC−32を含む。別の実施形態では、組成物は、少なくとも約95重量パーセントのHFO−1234yfおよび最大約5重量パーセントまでのHFC−32を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、テトラフルオロプロペンおよびフッ素化化合物に加えて、開示される組成物は、任意的な他の成分を含んでいてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中の任意的な他の成分(本明細書では、添加剤とも呼ばれる)は、潤滑剤、色素、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、ペルフルオロポリエーテル、摩耗防止剤、極圧添加剤、腐食および酸化防止剤、金属表面エネルギー低下剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、発泡調節剤、粘度指数改善剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調整剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含むことができる。実際には、これらの任意的な他の成分の多くはこれらのカテゴリーの1つまたは複数に当てはまり、1つまたは複数の性能特性を達成するために役立つ性質を有し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の添加剤は、組成物全体に対して少量で、開示される組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、開示される組成物中の添加剤濃度の量は、約0.1重量パーセント未満から約5重量パーセントまでもの全添加剤である。いくつかの実施形態では、添加剤は、約0.1重量パーセント〜約3.5重量パーセントの間の量で、開示される組成物中に存在する。開示される組成物のために選択される添加剤成分は、実用性および/または個々の装置部品またはシステムの要求に基づいて選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、鉱油(鉱物起源の油)、合成潤滑剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの潤滑剤を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、さらに、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、ポリαオレフィン、ポリアルキレングリコール、二塩基酸エステル、ポリエステル、ネオペンチルエステル、ポリビニルエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、フッ素化化合物、リン酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの潤滑剤を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、冷凍または空調装置と共に使用するために適切なものから選択される少なくとも1つの潤滑剤を含む。いくつかの実施形態では、開示される組成物は、圧縮冷凍潤滑の分野において容易に分かるものから選択される少なくとも1つの合成油を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの任意的な成分は、鉱油潤滑剤である。いくつかの実施形態では、鉱油潤滑剤は、パラフィン(線状炭素鎖飽和炭化水素、分枝炭素鎖飽和炭化水素、およびこれらの混合物を含む)、ナフテン(飽和環状および環構造を含む)、芳香族化合物(1つまたは複数の環を含有する不飽和炭化水素を有するものであり、ここで、1つまたは複数の環は交互の炭素−炭素二重結合を特徴とする)、および非炭化水素(硫黄、窒素、酸素およびこれらの混合物などの原子を含有する分子)、ならびにこれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の合成潤滑剤を含有することができる。いくつかの実施形態では、合成潤滑剤は、アルキル置換芳香族化合物(線状アルキル基、分枝状アルキル基、または線状および分枝状アルキル基の混合物によって置換されたベンゼンまたはナフタレンなどであり、一般的にアルキルベンゼンと称されることが多い)、合成パラフィンおよびナフテン、ポリ(αオレフィン)、ポリグリコール(ポリアルキレングリコールを含む)、二塩基酸エステル、ポリエステル、ネオペンチルエステル、ポリビニルエーテル(PVE)、シリコーン、ケイ酸エステル、フッ素化化合物、リン酸エステル、ならびにこれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、少なくとも1つの市販の潤滑剤を含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、BVM100N(BVA Oilsによって販売されるパラフィン系鉱油)、Suniso(登録商標)1GS、Suniso(登録商標)3GSおよびSuniso(登録商標)5GS(Crompton Co.によって販売されるナフテン系鉱油)、Sontex(登録商標)372LT(Pennzoilによって販売されるナフテン系鉱油)、Calumet(登録商標)RO−30(Calumet Lubricantsによって販売されるナフテン系鉱油)、Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150およびZerol(登録商標)500(Shrieve Chemicalsによって販売される線状アルキルベンゼン)、およびHAB22(Nippon Oilによって販売される分枝状アルキルベンゼン)、Castrol(登録商標)100(Castrol,英国)などのポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemical,Midland、Michigan)からのRL−488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの潤滑剤を含有する。
【0065】
その他の実施形態では、潤滑剤の少なくとも1つは、さらに、ハイドロフルオロカーボン冷媒と共に使用するために設計され、圧縮冷凍および空調装置の運転条件下で本明細書に開示される組成物と混和性である潤滑剤を含む。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、所与の圧縮器の要求と、潤滑剤がさらされるであろう環境とを考慮することによって選択される。
【0066】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、全組成物の5.0重量パーセント未満の量で存在する。その他の実施形態では、潤滑剤の量は、全組成物の約0.1〜3.5重量パーセントの間である。
【0067】
本明細書に開示される組成物についての上記の重量比にかかわらず、いくつかの伝熱システムでは、組成物は使用中にこのような伝熱システムの1つまたは複数の装置部品から付加的な潤滑剤を獲得し得ることが理解される。例えば、いくつかの冷凍、空調およびヒートポンプシステムでは、潤滑剤は圧縮器および/または圧縮器潤滑剤だめに充填され得る。このような潤滑剤はこのようなシステムの冷媒中に存在する任意の潤滑剤添加剤に付加的なものであり得る。使用中、冷媒組成物は圧縮器内にあるときに、ある量の装置潤滑剤を取り込み、冷媒−潤滑剤組成を出発の比率から変化させ得る。
【0068】
このような伝熱システムでは、潤滑剤の大部分がシステムの圧縮器部分に存在する場合でも、システム全体は、組成物の約75重量パーセントもの量からわずか約1.0重量パーセントまでが潤滑剤である全組成物を含有し得る。一実施形態では、いくつかのシステム(例えばスーパーマーケットの冷凍陳列ケース)において、システムは約3重量パーセントの潤滑剤(システムの充填前に冷媒組成物中に存在するあらゆる潤滑剤のほかに)および97重量パーセントの冷媒を含有し得る。別の実施形態では、いくつかのシステム(例えば、移動空調システム)において、システムは約20重量パーセントの潤滑剤(システムの充填前に冷媒組成物中に存在するあらゆる潤滑剤のほかに)および約80重量パーセントの冷媒を含有し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、少なくとも1つの色素を含む。いくつかの実施形態では、開示される組成物は、少なくとも1つの紫外線(UV)色素を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、蛍光色素である少なくとも1つのUV色素を含む。いくつかの実施形態では、記載される組成物は、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン、および前記色素の誘導体、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される蛍光色素である少なくとも1つのUV色素を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、約0.001重量パーセント〜約1.0重量パーセントのUV色素を含有する。その他の実施形態では、UV色素は全組成物の約0.005重量パーセント〜約0.5重量パーセントの量で存在し、他の実施形態では、UV色素は全組成物の0.01重量パーセント〜約0.25重量パーセントの量で存在する。
【0072】
いくつかの実施形態では、UV色素は、装置(例えば、冷凍ユニット、空調装置またはヒートポンプ)内の漏出点において、またはその近くで色素の蛍光を観察できるようにすることによって、組成物の漏れを検出するために有用な成分である。色素からのUV発光、例えば蛍光を紫外光の下で観察することができる。従って、このようなUV色素を含有する組成物が装置の所与の点から漏出すれば、漏出点または漏出点の近くで蛍光を検出することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、記載される組成物は、さらに、開示される組成物中の1つまたは複数の色素の溶解度を改善するように選択された少なくとも1つの可溶化剤を含有する。いくつかの実施形態では、色素対可溶化剤の重量比は、約99:1〜約1:1の範囲である。
【0074】
いくつかの実施形態では、開示される組成物中の可溶化剤は、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(ジプロピレングリコールジメチルエーテルなど)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、またはこれらの混合物など)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1−トリフルオロアルカン、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの相溶化剤は、1つまたは複数の潤滑剤と開示される組成物との相溶性を改善するように選択される。いくつかの実施形態では、相溶化剤は、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(ジプロピレングリコールジメチルエーテルなど)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、またはこれらの混合物など)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテル、1,1,1−トリフルオロアルカン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0076】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の可溶化剤および/または相溶化剤は、炭素、水素および酸素のみを含有するエーテル(ジメチルエーテル(DME)など)からなる炭化水素エーテルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0077】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、5〜15個の炭素原子を含有する少なくとも1つの線状または環状の脂肪族または芳香族炭化水素相溶化剤を含む。いくつかの実施形態では、相溶化剤は少なくとも1つの炭化水素からなる群から選択され、その他の実施形態では、相溶化剤は、少なくともペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン(Exxon Chemical(米国)から商標Isopar(登録商標)H(高純度C11〜C12イソパラフィン系)、Aromatic150(C〜C11芳香族)、Aromatic200(C〜C15芳香族)およびNaptha140で市販されている)、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される炭化水素である。
【0078】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、少なくとも1つの高分子相溶化剤を含む。いくつかの実施形態では、開示される組成物は、フッ素化および非フッ素化アクリレートのランダムコポリマーであるものから選択される少なくとも1つの高分子相溶化剤を含み、ここで、ポリマーは、式CH=C(R)CO、CH=C(R)C、およびCH=C(R)CXR(式中、Xは酸素または硫黄であり、R、R、およびRは、HおよびC〜Cアルキル基からなる群から独立して選択され、R、R、およびRは、CおよびFを含有する炭素鎖ベースの基からなる群から独立して選択される)で表される少なくとも1つのモノマーの繰り返し単位を含み、さらに、H、Cl、エーテル酸素、またはチオエーテル、スルホキシド、もしくはスルホン基の形態の硫黄、およびこれらの混合物を含有してもよい。このような高分子相溶化剤の例としては、E.I.du Pont de Nemours & Co.(Wilmington,DE,19898,米国)から商標Zonyl(登録商標)PHSで市販されているものが挙げられる。Zonyl(登録商標)PHSは、40重量パーセントのCH=C(CH)COCHCH(CFCFF(Zonyl(登録商標)フルオロメタクリレートまたはZFMとも称される)(式中、mは1〜12、主に2〜8である)と、60重量パーセントのメタクリル酸ラウリル(CH=C(CH)CO(CH11CH、LMAとも称される)との重合によって製造されるランダムコポリマーである。
【0079】
いくつかの実施形態では、相溶化剤成分は、潤滑剤の金属への接着を低減するような方法で、熱交換器内に見出される金属の銅、アルミニウム、鋼、または他の金属およびこれらの金属合金の表面エネルギーを低下させる添加剤を約0.01〜30重量パーセント(相溶化剤の全量を基準として)含有する。金属表面エネルギー低下添加剤の例としては、DuPontから商標Zonyl(登録商標)FSA、Zonyl(登録商標)FSP、およびZonyl(登録商標)FSJで市販されているものが挙げられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、さらに、金属表面不活性化剤を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの金属表面不活性化剤は、アレオキサリル(areoxalyl)ビス(ベンジリデン)ヒドラジド(CAS登録番号6629−10−3)、N,N’−ビス(3,5−di−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルヒドラジン(CAS登録番号32687−78−8)、2,2’−オキサミドビス−エチル−(3,5−di−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(CAS登録番号70331−94−1)、N,N’−(ジサリシクリデン(disalicyclidene))−1,2−ジアミノプロパン(CAS登録番号94−91−7)、ならびにエチレンジアミン四酢酸(CAS登録番号60−00−4)およびその塩、そしてこれらの混合物からなる群から選択される。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、さらに、ヒンダードフェノール、チオホスフェート、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、オルガノホスフェート、またはホスファイト、アリールアルキルエーテル、テルペン、テルペノイド、エポキシド、フッ素化エポキシド、オキセタン、アスコルビン酸、チオール、ラクトン、チオエーテル、アミン、ニトロメタン、アルキルシラン、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン性液体、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの安定剤を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの安定剤は、トコフェロール、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、モノチオホスフェートおよびジチオホスフェート(Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerland(以下、「Ciba」)から商標Irgalube(登録商標)63で市販)、ジアルキルチオリン酸エステル(Cibaからそれぞれ商標Irgalube(登録商標)353およびIrgalube(登録商標)350で市販)、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、(Cibaから商標Irgalube(登録商標)232で市販)、アミンホスフェート(Cibaから商標Irgalube(登録商標)349(Ciba)で市販)、ヒンダードホスファイト(CibaからIrgafos(登録商標)168で市販)およびトリス−(ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(Cibaから商標Irgafos(登録商標)OPHで市販)、(Di−n−オクチルホスファイト)およびイソデシルジフェニルホスファイト(Cibaから商標Irgafos(登録商標)DDPPで市販)、トリアルキルホスフェート(トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、およびトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなど)、トリアリールホスフェート(トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、およびトリキシレニルホスフェートを含む)、および混合アルキル−アリールホスフェート(イソプロピルフェニルホスフェート(IPPP)、およびビス(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(TBPP)を含む)、ブチル化トリフェニルホスフェート(Syn−O−Ad(登録商標)8784をはじめとする商標Syn−O−Ad(登録商標)で市販されているものなど)、tert−ブチル化トリフェニルホスフェート(商標Durad(登録商標)620で市販されているものなど)、イソプロピル化トリフェニルホスフェート(商標Durad(登録商標)220およびDurad(登録商標)110で市販されているものなど)、アニソール、1,4−ジメトキシベンゼン、1,4−ジエトキシベンゼン、1,3,5−トリメトキシベンゼン、ミルセン、アロオシメン、リモネン(特に、d−リモネン)、レチナール、ピネン、メントール、ゲラニオール、ファルネソール、フィトール、ビタミンA、テルピネン、デルタ−3−カレン、テルピノレン、フェランドレン、フェンケン、ジペンテン、カラテノイド(caratenoid)(リコペン、ベータカロテンなど)、およびキサントフィル(ゼアキサンチンなど)、レチノイド(ヘパキサンチンおよびイソトレチノインなど)、ボルナン、1,2−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、n−ブチルグリシジルエーテル、トリフルオロメチルオキシラン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)オキシラン、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン(OXT−101(Toagosei Co.,Ltd)など)、3−エチル−3−((フェノキシ)メチル)−オキセタン(OXT−211(Toagosei Co.,Ltd)など)、3−エチル−3−((2−エチル−ヘキシルオキシ)メチル)−オキセタン(OXT−212(Toagosei Co.,Ltd)など)、アスコルビン酸、メタンチオール(メチルメルカプタン)、エタンチオール(エチルメルカプタン)、補酵素A、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、グレープフルーツメルカプタン((R)−2−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)プロパン−2−チオール))、システイン((R)−2−アミノ−3−スルファニル−プロパン酸)、リポアミド(1,2−ジチオラン−3−ペンタンアミド)、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−[2,3(または3,4)−ジメチルフェニル]−2(3H)−ベンゾフラノン(Cibaから商標Irganox(登録商標)HP−136で市販)、ベンジルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジイソプロピルアミン、ジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート(Cibaから商標Irganox(登録商標)PS802(Ciba)で市販)、ジドデシル3,3’−チオプロピオネート(Cibaから商標Irganox(登録商標)PS800で市販)、ジ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(Cibaから商標Tinuvin(登録商標)770で市販)、ポリ−(N−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジルスクシネート(Cibaから商標Tinuvin(登録商標)622LD(Ciba)で市販)、メチルビスタローアミン、ビスタローアミン、フェノール−アルファ−ナフチルアミン、ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(DMAMS)、トリス(トリメチルシリル)シラン(TTMSS)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2,5−ジフルオロベンゾフェノン、2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン、2−アミノベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、ベンジルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィド、イオン性液体、ならびにこれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、室温(約25℃)で液体である有機塩からなる群から選択される少なくとも1つのイオン性液体安定剤を含み、これらの塩は、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、およびトリアゾリウム、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるカチオンと、[BF]−、[PF]−、[SbF]−、[CFSO]−、[HCFCFSO]−、[CFHFCCFSO]−、[HCClFCFSO]−、[(CFSON]−、[(CFCFSON]−、[(CFSOC]−、[CFCO]−、およびF−、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されるアニオンとを含有する。いくつかの実施形態では、イオン性液体安定剤は、emimBF(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート)、bmimBF(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラボレート)、emimPF(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)、およびbmimPF(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)(これらは全てFluka(Sigma−Aldrich)から入手可能である)からなる群から選択される。
【0084】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの安定剤はヒンダードフェノールであり、これは、1つまたは複数の置換または環状、直鎖、または分枝状の脂肪族置換基を含むフェノールを含む任意の置換フェノール化合物であり、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tertブチルフェノール、トコフェロールなどを含むアルキル化モノフェノールと、ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン(t−ブチルヒドロキノンを含む)、ヒドロキノンのその他の誘導体などと、4,4’−チオ−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tertブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4メチル−6−tert−ブチルフェノール)などを含むヒドロキシル化チオジフェニルエーテルと、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−または4,4−ビフェノールジオールの誘導体、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tertブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tertブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール、2,2−または4,4−ビフェニルジオール(2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)を含む)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、または2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、へテロ原子を含むビスフェノール(2,6−ジ−tert−アルファ−ジメチルアミノ−p−クレゾール、4,4−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)を含む)などを含むアルキリデン−ビスフェノールと、アシルアミノフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)と、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−di−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィドを含むスルフィドと、これらの混合物および組み合わせなどである。
【0085】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、少なくとも1つのトレーサーを含有する。いくつかの実施形態では、開示される組成物中のトレーサー添加剤は、同じ種類の化合物または異なる種類の化合物からの2つ以上のトレーサー化合物からなる。
【0086】
いくつかの実施形態では、トレーサー成分またはトレーサーブレンドは、約50重量百万分率(ppm)〜約1000ppmの全濃度で組成物中に存在する。その他の実施形態では、トレーサー化合物またはトレーサーブレンドは、約50ppm〜約500ppmの全濃度で存在する。その他の実施形態では、トレーサー化合物またはトレーサーブレンドは、約100ppm〜約300ppmの全濃度で存在する。
【0087】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、重水素化ハイドロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒドおよびケトン、亜酸化窒素およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのトレーサーを含む。開示される組成物のいくつかの実施形態は、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプタン、ヨードトリフルオロメタン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(NO)およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのトレーサーを含む。いくつかの実施形態では、トレーサー添加剤は、2つ以上のハイドロフルオロカーボン、または1つもしくは複数のペルフルオロカーボンと組み合わせた1つのハイドロフルオロカーボンを含有するトレーサーブレンドである。
【0088】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのトレーサー組成物は、組成物の希釈、汚染またはその他の変更をどれも検出可能にするように予め決定された量で、開示される組成物に添加される。
【0089】
その他の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、さらに、ペルフルオロポリエーテルを含むことができる。ペルフルオロポリエーテルの共通の特徴は、ペルフルオロアルキルエーテル部分の存在である。ペルフルオロポリエーテルは、ペルフルオロポリアルキルエテルと同義である。頻繁に使用されるその他の同義語としては、「PFPE」、「PFAE」、「PFPE油」、「PFPE流体」、および「PFPAE」が挙げられる。いくつかの実施形態では、ペルフルオロポリエーテルは、CF−(CF−O−[CF(CF)−CF−O]j’−R’fの式を有し、DuPontから商標Krytox(登録商標)で市販されている。直前の式において、j’は2〜100(両端を含む)であり、R’fは、CFCF、C3〜C6ペルフルオロアルキル基、またはこれらの組み合わせである。
【0090】
Ausimont(Milan,Italy)、およびMontedison S.p.A.(Milan,Italy)から、それぞれ商標Fomblin(登録商標)およびGalden(登録商標)で市販されており、ペルフルオロオレフィンの光酸化によって製造されるその他のPFPEも使用可能である。
【0091】
商標Fomblin(登録商標)−Yで市販されているPFPEは、CFO(CFCF(CF)−O−)m’(CF−O−)n’−R1fの式を有することができる。また、CFO[CFCF(CF)O]m’(CFCFO)o’(CFO)n’−R1fも適切である。式中、R1fはCF、C、C、またはこれらの2つ以上の組み合わせであり、(m’+n’)は8〜45(両端を含む)であり、m/nは20〜1000(両端を含む)であり、o’は1であり、(m’+n’+o’)は8〜
45(両端を含む)であり、m’/n’は20〜1000(両端を含む)である。
【0092】
商標Fomblin(登録商標)−Zで市販されているPFPEは、CFO(CFCF−O−)p’(CF−O)q’CFの式を有することができ、式中、(p’+q’)は40〜180であり、p’/q’は0.5〜2である(両端を含む)。
【0093】
ダイキン工業株式会社(日本)から商標DemnumTMで市販されている別の群のPFPEも使用することができる。これは、2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンの連続的なオリゴマー化およびフッ素化によって製造することができ、F−[(CF−O]t’−R2fの式が得られる。式中、R2fはCF、C、またはこれらの組み合わせであり、t’は2〜200(両端を含む)である。
【0094】
いくつかの実施形態では、PFPEは官能化されていない。非官能化ペルフルオロポリエーテルでは、末端基は、分枝状または直鎖ペルフルオロアルキルラジカル末端基であり得る。このようなペルフルオロポリエーテルの例はCr’(2r’+1)−A−Cr’(2r’+1)の式を有することができ、式中、各r’は独立して3〜6であり、AはO−(CF(CF)CF−O)w’、O−(CF−O)x’(CFCF−O)y’、O−(C−O)w’、O−(C−O)x’(C−O)y’、O−(CF(CF)CF−O)x’(CF−O)y’、O−(CFCFCF−O)w’、O−(CF(CF)CF−O)x’(CFCF−O)y’−(CF−O)z’、またはこれらの2つ以上の組み合わせでよく、好ましくは、AはO−(CF(CF)CF−O)w’、O−(C−O)w’、O−(C−O)x’(C−O)y’、O−(CFCFCF−O)w’、またはこれらの2つ以上の組み合わせであり、w’は4〜100であり、x’およびy’はそれぞれ独立して1〜100である。特定の例としては、F(CF(CF)−CF−O)−CFCF、F(CF(CF)−CF−O)−CF(CF、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このようなPFPEでは、ハロゲン原子の最大30%までが、例えば塩素原子などのフッ素以外のハロゲンであり得る。
【0095】
その他の実施形態では、ペルフルオロポリエーテルの2つの末端基は、独立して、同じまたは異なる基によって官能化されてもよい。官能化PFPEは、ペルフルオロポリエーテルの2つの末端基の少なくとも1つにおいて、そのハロゲン原子の少なくとも1つがエステル、ヒドロキシル、アミン、アミド、シアノ、カルボン酸、スルホン酸またはこれらの組み合わせから選択される基によって置換されたPFPEである。
【0096】
いくつかの実施形態では、代表的なエステル末端基には、−COOCH、−COOCHCH、−CFCOOCH、−CFCOOCHCH、−CFCFCOOCH、−CFCFCOOCHCH、−CFCHCOOCH、−CFCFCHCOOCH、−CFCHCHCOOCH、−CFCFCHCHCOOCHが含まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、代表的なヒドロキシル末端基には、−CFOH、−CFCFOH、−CFCHOH、−CFCFCHOH、−CFCHCHOH、−CFCFCHCHOHが含まれる。
【0098】
いくつかの実施形態では、代表的なアミン末端基には、−CFNR、−CFCFNR、−CFCHNR、−CFCFCHNR、−CFCHCHNR、−CFCFCHCHNRが含まれ、ここで、RおよびRは独立してH、CH、またはCHCHである。
【0099】
いくつかの実施形態では、代表的なアミド末端基には、−CFC(O)NR、−CFCFC(O)NR、−CFCHC(O)NR、−CFCFCHC(O)NR、−CFCHCHC(O)NR、−CFCFCHCHC(O)NRが含まれ、ここで、RおよびRは独立してH、CH、またはCHCHである。
【0100】
いくつかの実施形態では、代表的なシアノ末端基には、−CFCN、−CFCFCN、−CFCHCN、−CFCFCHCN、−CFCHCHCN、および−CFCFCHCHCNが含まれる。
【0101】
いくつかの実施形態では、代表的なカルボン酸末端基には、−CFCOOH、−CFCFCOOH、−CFCHCOOH、−CFCFCHCOOH、−CFCHCHCOOH、−CFCFCHCHCOOHが含まれる。
【0102】
いくつかの実施形態では、スルホン酸末端基は、−S(O)(O)OR、−S(O)(O)R、−CFOS(O)(O)OR、−CFCFOS(O)(O)OR、−CFCHOS(O)(O)OR、−CFCFCHOS(O)(O)OR、−CFCHCHOS(O)(O)OR、−CFCFCHCHOS(O)(O)OR、−CFS(O)(O)OR、−CFCFS(O)(O)OR、−CFCHS(O)(O)OR、−CFCFCHS(O)(O)OR、−CFCHCHS(O)(O)OR、−CFCFCHCHS(O)(O)OR、−CFOS(O)(O)R、−CFCFOS(O)(O)R、−CFCHOS(O)(O)R、−CFCFCHOS(O)(O)R、−CFCHCHOS(O)(O)R、−CFCFCHCHOS(O)(O)Rからなる群から選択され、ここで、RはH、CH、CHCH、CHCF、CF、またはCFCFであり、RはCH、CHCH、CHCF、CF、またはCFCFである。
【0103】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、ブチル化トリフェニルホスフェート(BTPP)、または他のアルキル化トリアリールリン酸エステル、例えば、Akzo ChemicalsからのSyn−0−Ad(登録商標)8478、トリクレシルホスフェートおよび関連化合物などの、トリアリールホスフェート類のEP(極圧)潤滑性添加剤のメンバーである添加剤を含む。さらに、金属ジアルキルジチオホスフェート(例えば、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(または、ZDDP)(市販のLubrizol1375およびこの類の化学物質の他のメンバーを含む)も開示される組成物の組成において使用される。その他の摩耗防止添加剤には、天然物油および非対称性ポリヒドロキシル潤滑添加剤、例えば市販のSynergol TMS(International Lubricants)などが含まれる。
【0104】
いくつかの実施形態では、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、および水捕捉剤、ならびにこれらの混合物などの安定剤が含まれる。このカテゴリーのこのような添加剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エポキシド、およびこれらの混合物を含むことができるが、これらに限定されない。腐食防止剤には、ドデシルコハク酸(DDSA)、アミンホスフェート(AP)、オレオイルサルコシン、イミダゾン誘導体および置換スルホネート(sulfphonates)が含まれる。
【0105】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、所望の量の個々の成分を混ぜ合わせるための任意の便利な方法によって調製することができる。好ましい方法は、所望の成分量を秤量し、その後、適切な容器内で成分を混ぜ合わせることである。所望される場合には、攪拌が使用されてもよい。
【0106】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、(i)少なくとも1つの冷媒容器から冷媒組成物の1つまたは複数の成分のある量を回収することと、(ii)前記1つまたは複数の回収された成分の再使用を可能にするために不純物を十分に除去することと、(iii)場合により、前記回収された量の成分の全てまたは一部を、少なくとも1つの付加的な冷媒組成物または成分と混ぜ合わせることとを含む方法によって調製することができる。
【0107】
冷媒容器は、冷凍装置、空調装置またはヒートポンプ装置内で使用されていた冷媒ブレンド組成物が貯蔵されるどんな容器であってもよい。前記冷媒容器は、冷媒ブレンドが使用された冷凍装置、空調装置またはヒートポンプ装置であってもよい。さらに、冷媒容器は、回収された冷媒ブレンド成分を捕集するための貯蔵容器(加圧ガスシリンダーを含むがこれに限定されない)であってもよい。
【0108】
残留冷媒は、冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分を移すために知られている任意の方法によって冷媒容器から外に出すことができる任意の量の冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分を意味する。
【0109】
不純物は、冷凍装置、空調装置またはヒートポンプ装置におけるその使用のために冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分中に存在するあらゆる成分であり得る。このような不純物は、冷凍潤滑剤(本明細書で前述されたものである)、冷凍装置、空調装置またはヒートポンプ装置から出てきた可能性のある微粒子(金属、金属塩またはエラストマー粒子を含むがこれらに限定されない)、および冷媒ブレンド組成物の性能に悪影響を与える可能性のあるあらゆる他の汚染物質を含むが、これらに限定されない。
【0110】
このような不純物は、冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分が使用されるであろう装置の性能に悪影響を与えることなく冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分の再使用を可能にするように十分に除去され得る。
【0111】
所与の製品に要求される仕様を満たす組成物を生じるために、付加的な冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分を残留冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分に提供することが必要なこともある。例えば、冷媒ブレンドが特定の重量百分率範囲の3つの成分を有する場合、組成物を仕様限界の範囲内に回復させるために、成分の1つまたは複数を所与の量で添加することが必要なこともある。
【0112】
本発明の組成物は、ゼロオゾン層破壊係数および低地球温暖化係数(GWP)を有する。さらに、本発明の組成物は、現在使用されている多くのハイドロフルオロカーボン冷媒よりも小さい地球温暖化係数を有するであろう。本発明の一態様は、1000未満、500未満、150未満、100未満、または50未満の地球温暖化係数を有する冷媒を提供することである。
【0113】
使用方法
本明細書に開示される組成物は、伝熱組成物、エアロゾル噴射剤、起泡剤、発泡剤、溶媒、洗浄剤、キャリア流体、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよびポリウレタン用の膨張剤、気体誘電体、消火剤、および鎮火剤として有用である。さらに、液体または気体の形態で、開示される組成物は、熱源からヒートシンクへ熱を運ぶために使用される作動流体としての機能も果たすことができる。このような伝熱組成物は、流体が相変化(すなわち、液体から気体、そして反対または逆方向)を受けるサイクルにおける冷媒としても有用である。
【0114】
本明細書に開示される組成物は、R134a(またはHFC−134a、1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、R22(またはHCFC−22、クロロジフルオロメタン)、R404A(44重量パーセントのR125、52重量パーセントのR143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、および4.0重量パーセントのR134aのブレンドに対するASHRAE名称)、R407A、R407B、R407C、R407D、およびR407E(異なる成分濃度におけるR134a、R125(ペンタフルオロエタン)、およびR32(ジフルオロメタン)のブレンドに対するASHRAE名称)、R408A(7重量パーセントのR125、46重量パーセントのR143a、および47重量パーセントのR22のブレンドに対するASHRAE名称)、R410A(50重量パーセントのR125および50重量パーセントのR32のブレンドに対するASHRAE名称)、R413A(R218、R134a、およびイソブタンを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R417A(46.6重量パーセントのR125、50.0重量パーセントのR134a、および3.4重量パーセントのn−ブタンのブレンドに対するASHRAE名称)、R419A(R125、R134aおよびDMEを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R422A、R422B、R422CおよびR422D(異なる成分濃度におけるR125、R134a、イソブタンのブレンドに対するASHRAE名称)、R423A(R134aおよび1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(R227ea)を含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R424A(R125、R134a、イソブタン、n−ブタン、およびイソペンタンを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R426A(R125、R134a、n−ブタン、およびイソペンタンを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R427A(15重量パーセントのR32、25重量パーセントのR125、50重量パーセントのR134a、および10重量パーセントのR143aのブレンドに対するASHRAE名称)、R428A(R125、R143a、プロパンおよびイソブタンを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R430A(R152aおよびイソブタンを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R434A(R125、R134a、R143a、およびイソブタンを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R437A(R125、R134a、n−ブタン、およびn−ペンタンを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R438A(R32、R125、R134a、n−ブタン、およびイソペンタンを含有するブレンドに対するASHRAE名称)、R507AおよびR507B(異なる成分濃度におけるR125およびR143aのブレンドに対するASHRAE名称)、ならびにR508AおよびR508B(異なる成分濃度におけるトリフルオロメタン(R23)およびヘキサフルオロエタン(R116)のブレンドに対するASHRAE名称)を含むがこれらに限定されない、現在使用されている冷媒に対する低GWP(地球温暖化係数)代替品として有用であり得る。
【0115】
さらに、本明細書に開示される組成物は、R12(CFC−12、ジクロロジフルオロメタン)またはR502(51.2重量パーセントのCFC−115(クロロペンタフルオロエタン)および48.8重量パーセントのHCFC−22のブレンドに対するASHRAE名称)の代替品として有用であり得る。
【0116】
多くの場合、代替冷媒は、異なる冷媒のために設計された元の冷凍装置において使用可能であれば最も有用である。特に、本明細書に開示される組成物は、特に、元の装置においてR12、R134a、R22、R404A、R407A、R407C、R408A、R410A、R413A、R417A、R419A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R428A、R430A、R434A、R437A、R438A、R502、R507A、R507B、およびR508の代替品として有用であり得る。さらに、本明細書に開示される組成物は、特に、R12、R134a、R22、R404A、R407A、R407C、R408A、R410A、R413A、R417A、R419A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R428A、R430A、R434A、R437A、R438A、R502、R507A、R507B、およびR508の代替品として、これらの冷媒のために設計されたいくらかのシステム修正を有する装置において有用であり得る。さらに、本明細書に開示される組成物は、これらの新しい組成物のために特に修正されるか、あるいは完全にこれらの新しい組成物のために製造された装置において、上述の冷媒のいずれかを置換するために有用であり得る。
【0117】
多くの用途において、開示される組成物のいくつかの実施形態は冷媒として有用であり、少なくとも代替品が探索されている冷媒に匹敵する冷却性能(冷却容量およびエネルギー効率を意味する)を提供する。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、多数の伝熱組成物のために設計されたあらゆる容積式圧縮器システムに有用である。さらに、開示される組成物の多くは、前述の冷媒と同様の性能を提供するために、容積式圧縮器を用いる新しい装置において有用である。
【0119】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物を凝縮させ、その後、冷却すべき本体の近くで前記組成物を蒸発させることを含む、冷却をもたらすための方法が本明細書において開示される。
【0120】
別の実施形態では、加熱すべき本体の近くで本明細書に開示される組成物を凝縮させ、その後、前記組成物を蒸発させることを含む、加熱をもたらすための方法が本明細書において開示される。
【0121】
いくつかの実施形態では、上記で開示される組成物の使用には、冷却をもたらすための方法において組成物を伝熱組成物として使用することが含まれ、ここで、組成物は初めに加圧下で冷却および貯蔵され、より暖かい環境にさらされると、組成物は周囲の熱のいくらかを吸収して膨張し、従ってそのより暖かい環境が冷却される。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、特に、冷却装置、高温ヒートポンプ、住宅用、商業用または工業用の空調システム(住宅用ヒートポンプを含む)を含むがこれらに限定されず、ウィンドウ型、ダクトレス型、ダクト型、パッケージドターミナル型冷却装置、およびルーフトップシステムなどの屋外用であるが建物に接続されたものを含む空調用途において有用であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、特に、商業用、工業用または住宅用の冷蔵庫および冷凍庫、製氷機、内蔵型クーラーおよび冷凍庫、スーパーマーケットのラックおよび分配システム、満液式蒸発器冷却装置、直接膨張冷却装置、ウォークインおよびリーチインクーラーおよび冷凍庫、ならびに組み合わせシステムなどにおける、高温、中温または低温の冷凍およびその他の特定の使用を含む冷凍用途において有用であり得る。
【0124】
さらに、いくつかの実施形態では、開示される組成物は、二次的な伝熱流体の使用によって遠隔地に冷却を提供する二次的なループシステム内の主要な冷媒として機能することができる。
【0125】
別の実施形態では、置換すべき冷媒および潤滑剤を含有する伝熱システムを再充填するための方法が提供され、前記方法は、潤滑剤の大部分を前記システム内に保持しながら、置換すべき冷媒を伝熱システムから除去し、本明細書に開示される組成物の1つを伝熱システムに導入することを含む。
【0126】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含む熱交換システムが提供され、前記システムは、空調装置、冷凍庫、冷蔵庫、ウォーターチラー、満液式蒸発器冷却装置、直接膨張冷却装置、ウォークインクーラー、ヒートポンプ、移動冷蔵庫、移動空調ユニット、およびこれらの組み合わせを有するシステムからなる群から選択される。
【0127】
別の実施形態では、冷凍、空調、またはヒートポンプ装置内の高GWP冷媒を置換するための方法が提供され、前記高GWP冷媒は、R134a、R22、R12、R404A、R410A、R407A、R407C、R413A、R417A、R422A、R422B、R422CおよびR422D、R423A、R427A、R507A、R507B、R502、およびR437Aからなる群から選択され、前記方法は、本明細書に開示される組成物を、前記高GWP冷媒を使用する、使用した、または使用するように設計された前記冷凍、空調、またはヒートポンプ装置に提供することを含む。ここで、前記組成物は、
HFO−1234yfおよびHFC−32、
HFO−1234yfおよびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−152a、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−125、
HFO−1234yf、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234zeおよびHFC−32、
HFO−1234zeおよびHFC−125、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−125、ならびに
HFO−1234ze、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a
からなる群から選択される。
【0128】
別の実施形態では、高GWP冷媒を置換するための方法は、さらに、前記高GWP冷媒を使用する、使用した、または使用するように設計された前記冷凍、空調、またはヒートポンプ装置に組成物を提供することを含むことができ、ここで、組成物は、
HFO−1234yfおよびHFC−32、
HFO−1234yfおよびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−152a、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−125、
HFO−1234yf、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234zeおよびHFC−32、
HFO−1234zeおよびHFC−125、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−152a、
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−134a、
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−125、ならびに
HFO−1234ze、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a
からなる群から選択される。
【0129】
蒸気圧縮冷凍、空調、またはヒートポンプシステムには、蒸発器、圧縮器、凝縮器、および膨張装置が含まれる。蒸気圧縮サイクルは、1つの工程で冷却効果を生じ、そして異なる行程で加熱効果を生じる多段階工程において、冷媒を再使用する。サイクルは、以下のように簡単に説明することができる。液体冷媒は膨張装置を通って蒸発器に入り、そして液体冷媒は蒸発器内で環境から熱を回収することによって低温で沸騰し、ガスを形成して冷却をもたらす。低圧ガスは圧縮器に入り、圧縮器においてガスが圧縮され、その圧力および温度が上昇される。より高圧(圧縮)ガス状の冷媒は次に凝縮器に入り、凝縮器において冷媒は凝縮され、その熱を環境に放出する。冷媒は膨張装置に戻り、液体は、膨張装置を通って、凝縮器内のより高圧レベルから蒸発器内の低圧レベルへ膨張し、このようにして、サイクルが繰り返される。
【0130】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物を含有する伝熱システムが提供されている。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含有する冷凍、空調、またはヒートポンプ装置が開示される。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含有する固定冷凍、空調、またはヒートポンプ装置が開示される。さらに別の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含有する移動冷凍または空調装置が開示される。
【0131】
別の実施形態では、本発明の組成物を伝熱流体組成物として使用する方法が開示される。本方法は、前記組成物を熱源からヒートシンクへ輸送することを含む。
【実施例】
【0132】
本明細書に開示される概念は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することのない以下の実施例において、さらに説明されるであろう。
【0133】
実施例1
蒸気漏出の影響
約23℃の温度で初期組成物が容器に充填され、組成物の初期蒸気圧が測定される。初期組成物の50重量パーセントが除去されるまで、温度を一定に保持しながら組成物を容器から漏出させ、この時点で、容器内に残存している組成物の蒸気圧が測定される。結果は表2に示される。
【0134】
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
【表4】

【0137】
【表5】

【0138】
【表6】

【0139】
【表7】

【0140】
【表8】

【0141】
【表9】

【0142】
表2に記載される組成物は、50重量パーセントが除去された後に残存する組成物が約10パーセント未満である場合に近共沸性である。
【0143】
実施例2
勾配の低下
HFO−1234yfおよびHFC−32を含有する組成物の温度勾配およびその他の冷却性能パラメータが決定され、R407C(23重量%のHFC−32、25重量%のHFC125および5重量%のHFC−134aを含有する冷媒ブレンドに対するASHRAE名称)と比較して表3に示される。勾配、圧力、放出温度、COP(エネルギー効率)および冷却容量は、以下の条件に対して決定される。
蒸発器温度 41°F(5℃)
凝縮器温度 104°F(40℃)
過冷却量 41°F(5℃)
戻りガス温度 59°F(15℃)
圧縮器効率 70%
【0144】
【表10】

【0145】
R407Cは、現在、上記の表に報告されるような勾配さえ有する市販の冷媒製品である。このデータは、15重量パーセント以下のHFC−32濃度が、R407Cの温度勾配(特定の用途において容認されている量である)により接近して到達することを示す。
【0146】
実施例3
引火性
引火性化合物は、ASTM(米国材料試験協会)E681−2004において、電子点火源を用いて試験することによって同定することができる。引火性を決定し、引火性であるならば引火下限(LFL)および引火上限(UFL)を見出すために、種々の空気中濃度において、101kPa(14.7psia)、50パーセント相対湿度、および60℃または100℃で、このような引火性試験を本開示の組成物について実施した。結果は表4に与えられる。
【0147】
【表11】

【0148】
結果は、約60重量パーセント以下のHFO−1234yfを含み、残りがHFC−134aである組成物が60℃で非引火性であることを示す。さらに、約53重量パーセント以下のHFC−1234yfを含み、残りがHFC−134aである組成物は、100℃で非引火性である。非引火性であるフルオロオレフィンを含むこれらの組成物は、冷媒または伝熱流体組成物としてより容認できる候補である。
【0149】
実施例4
地球温暖化係数
開示される組成物のいくつかについての地球温暖化係数(GWP)の値は、HCFC−22、HFC−134a、R404A、R407C、R410Aおよびその他の現在使用されている冷媒のGWP値と比較して表5に記載される。参考のために純粋な成分のGWPが記載される。2つ以上の成分を含有する組成物のGWP値は、個々の成分のGWP値の加重平均として計算される。HFCの値は、「Climate Change 2007−IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)Fourth Assessment Report on Climate Change」から、「Working Group 1 Report:The Physical Science Basis」という表題のセクション、第2章、212−213頁、表2.14から引用される。HFO−1234yfの値は、Papadimitriouら,Physical Chemistry Chemical
Physics,2007年,第9巻,1−13頁に発表された。特に、100年の対象期間のGWP値が使用される。
【0150】
【表12】

【0151】
【表13】

【0152】
本明細書に開示される多数の組成物(表5に記載されるものなど)は、HCFC−22
、HFC−134a、R404A、R407C、および/またはR410Aなどに対するより低GWPの代替案を提供する。
【0153】
実施例5
冷却性能
表6は、HCFC−22、HFC−134a、HFO−1234yf、R410A、およびR407Cと比較して、いくつかの例示的な組成物の性能を示す。表6において、Evap Presは蒸発器圧力であり、Cond Presは凝縮器圧力であり、Comp Disch Tは圧縮器放出温度であり、COPは性能係数(エネルギー効率に類似)であり、CAPは容量である。データは以下の条件に基づく。
蒸発器温度 45°F(7.2℃)
凝縮器温度 110°F(43.3℃)
過冷却量 2.8°F(5℃)
戻りガス温度 65°F(18℃)
圧縮器効率 70%
【0154】
冷却容量およびエネルギー効率の決定には蒸発器の過熱エンタルピーが含まれることに注意する。
【0155】
【表14】

【0156】
記載されるいくつかの組成物は、HFC−134a、HFO−1234yfよりも大きい容量を有し、R407Cの容量の10%範囲内である。エネルギー効率(COPで示される)は、R407Cの効率の2%範囲内である。
【0157】
実施例6
加熱性能
表7は、HCFC−22、HFC−134a、HFO−1234yf、およびR410Aと比較して、いくつかの例示的な組成物の性能を示す。表7において、Evap Presは蒸発器圧力であり、Cond Presは凝縮器圧力であり、Comp Disch Tは圧縮器放出温度であり、COPは性能係数(エネルギー効率に類似)であり、CAPは容量である。データは以下の条件に基づく。
凝縮器温度 20°F(−6.7℃)
蒸発器温度 80°F(26.7℃)
過冷却量 10°F(5.6℃)
戻りガス温度 65°F(18℃)
圧縮器効率 70%
【0158】
【表15】

【0159】
記載されるいくつかの組成物は、HCFC−22の容量の7%範囲内の容量を有する。これらの組成物のエネルギー効率(COPで示される)は、HCFC−22よりも良いか、あるいはHCFC−22の効率の4%範囲内である。
【0160】
実施例7
加熱性能
表8は、HCFC−22、およびHFO−1234yf/HFC−32の組成物と比較して、いくつかの例示的な組成物の性能を示す。表8において、Evap Presは蒸発器圧力であり、Cond Presは凝縮器圧力であり、Comp Disch Tは圧縮器放出温度であり、COPは性能係数(エネルギー効率に類似)であり、CAPは容量である。データは以下の条件に基づく。
蒸発器温度 32℃
凝縮器温度 −12℃
過冷却量 9℃
戻りガス温度 −9℃
圧縮器効率 70%
【0161】
【表16】

【0162】
加熱モードでは、79〜85重量%のHFO−1234yfおよび15〜21重量%のHFC−32の組成物は、R−22と同等のエネルギー効率およびR−22の88〜97%の容量を有する。またこれらの組成物は150未満の100年GWPを有し、ヒートポンプにおけるR−22の優れた低GWP代替品であり得ることが示される。
【0163】
実施例8
冷却性能
表9は、HFC−134aと比較して、いくつかの例示的な組成物の性能を示す。表9において、Evap Presは蒸発器圧力であり、Cond Presは凝縮器圧力であり、Comp Disch Tは圧縮器放出温度であり、COPは性能係数(エネルギー効率に類似)であり、CAPは冷却容量であり、Avg.Temp.glideは蒸発器および凝縮器における温度勾配の平均であり、GWPは地球温暖化係数である。データは以下の条件に基づく。
蒸発器温度 −10℃
凝縮器温度 40.0℃
過冷却量 6℃
戻りガス温度 10℃
圧縮器効率 70%
【0164】
冷却容量およびエネルギー効率の決定に、蒸発器の過熱エンタルピーが含まれないことに注意する。
【0165】
【表17】

【0166】
HFC−134aのGWP値は、「Climate Change 2007−IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)Fourth Assessment Report on Climate Change」から、「Working Group 1 Report:The Physical Science Basis」という表題のセクション、第2章、212−213頁、表2.14から引用される。HFO−1234yfの値は、Papadimitriouら,Physical Chemistry Chemical Physics,2007年,第9巻,1−13頁に発表された。特に、100年の対象期間のGWP値が使用される。HFC−134aおよびHFO−1234yfを含有する組成物のGWP値は、個々の成分のGWP値の加重平均として計算される。
【0167】
表9のデータは、HFO−1234ze/HFC−125組成物が、HFC−134aと同様の性能を有するHFC−134aの代替品としの役割を果たし得ることを示す。特に、これらの組成物は、適合するエネルギー効率(COPで示される)、システム内の圧力および温度を、より低いGWP値およびごくわずかな冷却容量の低下と共に提供する。その上、組成物は全て比較的低い温度勾配を有し、特定の組成物は、現時点では決定されていないGWPの規制要件に基づいて選択され得る。
【0168】
実施例9
冷却性能
表10は、CO、R404A(HFC−125、HFC−134a、およびHFC−143aを含有する混合物に対するASHRAE名称)、R410A(HFC−32およびHFC−125を含有する混合物に対するASHRAE名称)およびHFC−32と比較して、特定の組成物の性能を示す。表10において、Evap Presは蒸発器圧力であり、Cond Presは凝縮器圧力であり、Comp Disch Tは圧縮器放出温度であり、COPは性能係数(エネルギー効率に類似)であり、CAPは容量であり、Avg.Temp.glideは蒸発器および凝縮器における温度勾配の平均であり、GWPは地球温暖化係数である。データは以下の条件に基づく。
蒸発器温度 −35℃
凝縮器温度 −6℃
過冷却量 0℃
戻りガス温度 −25℃
圧縮器効率 70%
【0169】
冷却容量およびエネルギー効率の決定に、蒸発器の過熱エンタルピーが含まれないことに注意する。
【0170】
【表18】

【0171】
HFCのGWP値は、「Climate Change 2007−IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)Fourth Assessment Report on Climate Change」から、「Working Group 1 Report:「The Physical Science Basis」という表題のセクション、第2章、212−213頁、表2.14から引用される。HFO−1234yfの値は、Papadimitriouら,Physical Chemistry Chemical Physics,2007年,第9巻,1−13頁に発表された。特に、100年の対象期間のGWP値が使用される。2つ以上の成分を含有する組成物のGWP値は、個々の成分のGWP値の加重平均として計算される。
【0172】
63重量%のHFO−1234yfおよび37重量%のHFC−32を含有する組成物は、実際に、R404Aに対して改善されたCOPおよび容量を示し、著しくより低いGWPも有する。27.5重量%のHFO−1234yfおよび72.5重量%のHFC−32を含有する組成物はR410AのCOPおよび容量に匹敵し、共沸混合物様挙動を示す非常に低い温度勾配を有し、著しくより低いGWPも有する。テトラフルオロプロペン(HFO−1234yfおよびHFO−1234zeの両方)およびHFC−32の混合物は全て、COと比較して改善されたCOP(エネルギー効率)を有し、多くは、同様に、R404AおよびR410Aと比較して改善されたCOPを有することに注意する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HFO−1234yf、HFC−152a、およびHFC−134a;
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−152a;
HFO−1234yf、HFC−125、およびHFC−134a;
HFO−1234yf、HFC−32、およびHFC−134a;
HFO−1234yf、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a;
HFO−1234zeおよびHFC−32;
HFO−1234zeおよびHFC−125;
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−152a;
HFO−1234ze、HFC−125、およびHFC−134a;
HFO−1234ze、HFC−32、およびHFC−134a;ならびに
HFO−1234ze、HFC−32、HFC−125、およびHFC−134a;
を含む組成物からなる群から選択される組成物。
【請求項2】
約20質量パーセント〜約90質量パーセントのtrans−HFO−1234zeおよび約80質量パーセント〜約10質量パーセントのHFC−32;ならびに
約80質量パーセント〜約99質量パーセントのtrans−HFO−1234zeおよび約20質量パーセント〜約1質量パーセントのHFC−125;
から選択される組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFO−1234yf、約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFC−152a、および約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFC−134a;
約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFO−1234yf、約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFC−152a、および約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFC−125;
約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFO−1234yf、約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFC−125、および約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFC−134a;
約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFO−1234yf、約1質量パーセント〜約4質量パーセントのHFC−32、および約1質量パーセント〜約98質量パーセントのHFC−134a;
約1質量パーセント〜約55重量パーセントのHFO−1234yf、約45質量パーセント〜約98質量パーセントのHFC−32、および約1質量パーセント〜約55質量パーセントのHFC−134a;
約1質量パーセント〜約97質量パーセントのHFO−1234yf、約1質量パーセント〜約97質量パーセントのHFC−134a、約1質量パーセント〜約97質量パーセントのHFC−125、および約1質量パーセント〜約5質量パーセントのHFC−32;
約1質量パーセント〜約35質量パーセントのHFO−1234yf、約1質量パーセント〜約40質量パーセントのHFC−134a、約30〜78質量パーセント〜約97質量パーセントのHFC−125、および約6質量パーセント〜約39質量パーセントのHFC−32;または
約1質量パーセント〜約50質量パーセントのHFO−1234yf、約1質量パーセント〜約40質量パーセントのHFC−134a、約1質量パーセント〜約50質量パーセントのHFC−125、および約40質量パーセント〜約97質量パーセントのHFC−32;
を含む近共沸組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
60℃において約60質量パーセント以下のHFO−1234yfおよび少なくとも約40質量パーセントのHFC−134aを含む不燃組成物。
【請求項5】
100℃において約53質量パーセント以下のHFO−1234yfおよび少なくとも約47質量パーセントのHFC−134aを含む不燃組成物。
【請求項6】
少なくとも約78質量パーセントのHFO−1234yfおよび最大で約22質量パーセントまでのHFC−32を含む組成物。
【請求項7】
少なくとも約85質量パーセントのHFO−1234yfおよび最大で約15質量パーセンまでのHFC−32を含む組成物。
【請求項8】
鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、ポリαオレフィン、ポリアルキレングリコール、二塩基酸エステル、ポリエステル、ネオペンチルエステル、ポリビニルエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、フッ素化化合物、リン酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの滑剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物を凝縮させ、該組成物をその後冷却すべき本体の近くで蒸発させることを含む、冷却をもたらすための方法。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物を加熱すべき本体の近くで凝縮させ、該組成物をその後蒸発させることを含む、加熱をもたらすための方法。
【請求項11】
R12、R134a、R22、R404A、R407A、R407C、R408A、R410A、R413A、R417A、R419A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R428A、R430A、R434A、R437A、R438A、R502、R507A、R507B、およびR508を使用するシステム、これらを使用したシステム、またはこれらを使用するように設計されたシステムにおいて、R12、R134a、R22、R404A、R407A、R407C、R408A、R410A、R413A、R417A、R419A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R428A、R430A、R434A、R437A、R438A、R502、R507A、R507B、およびR508を置換するための方法であって、請求項1に記載の組成物を該システムに提供することを含む、上記方法。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を含有する冷凍、空調またはヒートポンプ装置。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物を含有する業務用空調装置。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物を含有する固定式冷蔵システム。

【公表番号】特表2012−509390(P2012−509390A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537566(P2011−537566)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/064921
【国際公開番号】WO2010/059677
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】