説明

テラヘルツ波伝播装置、及びテラヘルツ波発生部又は検出部の固定部材

【課題】テラヘルツ波の発生及び検出を行うテラヘルツ波発生検出室を有するテラヘルツ波伝播装置において、テラヘルツ波の伝播経路を簡単に調整できるテラヘルツ波発生検出室を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るテラヘルツ波発生検出室200においては、テラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111は、壁面の開口部に挿入され、壁面の外側から固定部材203によって固定される。固定部材203は、凹型固定部材204と、凸型固定部材205とを含む。凹型固定部材204が有する凹面と、凸型固定部材205が有する凸面とを合致させて固定することによって、テラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111を所望の位置及び向きに調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物にテラヘルツ波を照射し、被測定物で反射又は透過されたテラヘルツ波を測定する装置における、テラヘルツ波の発生及び検出を行うための筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物にテラヘルツ波を照射し、被測定物で反射又は透過されたテラヘルツ波を測定することによって、被測定物のテラヘルツ波応答特性(例えば、複素屈折率、複素誘電率等)を測定することができることが知られている。テラヘルツ波は、放物面鏡を用いてコリメート及び集光を行うことによって、テラヘルツ波発生部から被測定物、また被測定物からテラヘルツ波検出部の間の空間を伝播させることができる。テラヘルツ波が空間を伝播する際に、テラヘルツ波は水分に吸収されるため、テラヘルツ波発生検出装置にはテラヘルツ波測定を行う際に水分の影響を低減するための手段が設けられる。
【0003】
特許文献1に記載されているテラヘルツ波発生検出装置900の模式図を図24に示す。なお、図24に示すテラヘルツ波発生検出装置900では、密閉された空間914中の水分を除去するために、除湿部913としてシリカゲルを用いている。レーザ発振器901により発生された光パルスはスプリッタ902によってポンプ光とプローブ光に分割される。ポンプ光は強度変調器903によって強度変調を受け、窓材905aを通してテラヘルツ波発生部906に照射される。プローブ光は光学遅延部904によって遅延され、窓材905bを通してテラヘルツ波検出部912に照射される。テラヘルツ波発生部906により発生されたテラヘルツ波は、第1の軸外し放物面鏡907でコリメートされた後、第2の軸外し放物面鏡908で集光され、窓材905cを通して、被測定物909に入射される。さらに、被測定物909により反射されたテラヘルツ波は、第3の軸外し放物面鏡910でコリメートされた後、第4の軸外し放物面鏡911で集光され、テラヘルツ波検出部912に照射される。テラヘルツ波検出部912は、遅延されたプローブ光と反射されたテラヘルツ波とを受けて、被測定物909のテラヘルツ波応答特性が反映された電気信号を発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−156544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、テラヘルツ波の伝播経路を調整するためには、除湿空間を開放して内部にあるテラヘルツ波発生部、テラヘルツ波検出部又は各放物面鏡の配置を変更し、再度除湿空間を密閉する必要がある。開放と密閉を繰り返すと、密閉状態が悪化する可能性がある。
除湿空間内に該伝播経路が設けられた形態に限らず、一般的なテラヘルツ波発生検出装置においても、テラヘルツ波の伝播経路の調整は各要素の配置変更が必要なため、手間がかかる作業である。従来、個々の要素にそれぞれ調整ステージを設け、該調整ステージを微調整することにより、テラヘルツ波の伝播経路の調整を行うことがある。その場合には、調整作業が複雑であるとともに、装置が大型になるという課題もある。
【0006】
本発明の目的は、テラヘルツ波の伝播経路を簡単に調整できるテラヘルツ波発生検出室を有するテラヘルツ波伝播装置、及びテラヘルツ波発生部又は検出部の固定部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、テラヘルツ波発生検出室を有するテラヘルツ波伝播装置であって、テラヘルツ波発生モジュールと、少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波透過可能な素材で構成されている、被測定物を前記テラヘルツ波発生検出室の外側に載置するためのサンプル載置手段と、前記テラヘルツ波発生検出室内でテラヘルツ波をコリメート及び集光させるための手段と、前記テラヘルツ波発生検出室の一面であり、開口部を有する壁面と、前記テラヘルツ波発生モジュールを固定するための固定部材と、を備え、前記テラヘルツ波をコリメート及び集光させるための手段によって、前記テラヘルツ波発生モジュールから出射されるテラヘルツ波が前記被測定物上に集光され、前記テラヘルツ波発生モジュールは、前記開口部に挿入され、前記固定部材によって、位置及び向きが調整可能に固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様は、テラヘルツ波発生検出室を有するテラヘルツ波伝播装置であって、テラヘルツ波検出モジュールと、少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波透過可能な素材で構成されている、被測定物を前記テラヘルツ波発生検出室の外側に載置するためのサンプル載置手段と、前記テラヘルツ波発生検出室内でテラヘルツ波をコリメート及び集光させるための手段と、前記テラヘルツ波発生検出室の一面であり、開口部を有する壁面と、前記テラヘルツ波検出モジュールを固定するための固定部材と、を備え、前記テラヘルツ波をコリメート及び集光させるための手段によって、前記被測定物から出射されるテラヘルツ波が前記テラヘルツ波検出モジュール上に集光され、前記テラヘルツ波検出モジュールは、前記開口部に挿入され、前記固定部材によって、位置及び向きが調整可能に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、テラヘルツ波発生部及びテラヘルツ波検出部は、テラヘルツ波発生検出室の壁面に設けられた開口部に挿入され、テラヘルツ波発生部及びテラヘルツ波検出部の位置及び向きが調整可能な固定部材によって固定される。これにより、テラヘルツ波発生部及びテラヘルツ波検出部の挿入部分のみを調整することによって、テラヘルツ波の伝播経路を簡単に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出室の上面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出室の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出室の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材の正面図及び側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材の斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る、凸型固定部材の正面図及び側面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る、凸型固定部材の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材と凸型固定部材を組み合わせた状態の側面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材と凸型固定部材を組み合わせた状態の側面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材を壁面に取り付けた状態の断面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出装置の概略図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出室の上面図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出室の側面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出室の斜視図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材の正面図及び側面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材の斜視図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る、凸型固定部材の正面図及び側面図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る、凸型固定部材の斜視図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材と凸型固定部材を組み合わせた状態の側面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る、凹型固定部材を壁面に取り付けた状態の断面図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出室の側面図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る、テラヘルツ波発生検出室の斜視図である。
【図24】従来のテラヘルツ波発生検出装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0012】
各図中の破線は、パルス光及びテラヘルツ波の伝播経路、又は部材中で隠れて見えない部分の形状を表すものである。各図中の矢印は、パルス光及びテラヘルツ波の進行方向、を表すものである。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出室200を含むテラヘルツ波発生検出装置100の概略図である。ここで、テラヘルツ波発生検出装置とは、被測定物にテラヘルツ波を照射して、被測定物のテラヘルツ波応答特性を検出する装置を指す。テラヘルツ波発生検出室とは、テラヘルツ波の発生、テラヘルツ波の被測定物への入射、及び被測定物上で反射又は透過されたテラヘルツ波の検出を行うための筐体を指す。また、該テラヘルツ波発生検出室と、該テラヘルツ波発生検出室の外側に設けられる部材(例えば、サンプル載置台)とを含んだ構成を、テラヘルツ波伝播装置と呼ぶ。
【0014】
なお、本発明の独自の構成は、テラヘルツ波発生検出室200にある。したがって、テラヘルツ波発生検出装置100のうち、テラヘルツ波発生検出室200以外の部分、つまりテラヘルツ波発生部に入力するためのポンプ光を生成して伝送する部分、及びテラヘルツ波検出部へ入力するためのプローブ光を生成して伝送する部分は、本発明の本質ではない。テラヘルツ波発生検出室200以外の部分は、本明細書に記載する装置構成に限らず、テラヘルツ波の発生及び検出が可能でさえあれば、任意の装置構成が適用できる。
【0015】
テラヘルツ波発生検出装置100は、レーザ発振器101と、レーザ発振器101により発生された光パルス102をポンプ光103とプローブ光104に分割するスプリッタ105とを有する。
【0016】
レーザ発振器101として、Erドープファイバレーザ、Ybドープファイバレーザ、チタンサファイアレーザ等、目的とするテラヘルツ波を発生するためのパルス光が生成できる任意のレーザ発振器を用いることができる。Erドープファイバレーザを用いる場合は、例えばパルス幅17fs、繰り返し周波数50MHz、平均強度110mWのパルス光を発生する。
【0017】
レーザ発振器101により発生された光パルス102は、スプリッタ105に入射される。スプリッタ105は、光パルス102を、ポンプ光103とプローブ光104とに分割し、2方向に出射する。
【0018】
スプリッタ105からポンプ光103が分割されて出射される側には、強度変調器106が設けられる。強度変調器106は、ポンプ光103の強度変調を行って出射し、それと共に同期検波のための参照信号114をロックインアンプ115に出力する。強度変調器106として、チョッパ、音響光学素子(AOM)や電気光学変調器(EOM)等を用いることができる。
【0019】
強度変調器106から変調されたポンプ光103が出射される側には、テラヘルツ波発生部107が設けられる。テラヘルツ波発生部107は、テラヘルツ波発生検出室200の一面に挿入して設けられる。テラヘルツ波発生部107は、強度変調器106により変調されたポンプ光103を受けて、入射テラヘルツ波108を発生する。テラヘルツ波発生部107として、DAST結晶等、テラヘルツ波が発生可能な非線形結晶を用いてもよいし、低温成長GaAs光伝導アンテナデバイス等の光伝導アンテナデバイスを用いてもよい。
【0020】
入射テラヘルツ波108は、テラヘルツ波発生検出室200を介して被測定物109に入射される。さらに入射テラヘルツ波108が被測定物109で反射されることにより、出射テラヘルツ波110として出射される。出射テラヘルツ波110は、テラヘルツ波発生検出室200を介してテラヘルツ波検出部111に入射される。
【0021】
スプリッタ105からプローブ光104が分割されて出射される側には、光学遅延部112が設けられる。光学遅延部112は、例えば、駆動部により駆動可能なミラーを有しており、上記駆動部を駆動させることにより、プローブ光104に所定の遅延を付与するようにミラーを移動させることができる。すなわち、テラヘルツ波の測定を行う際には、光学遅延部112を駆動しながらポンプ光103とプローブ光104との時間差を調整する。なお、本実施形態では1台のレーザ発振器101からの光パルスを2つに分割し、遅延させる構成にしているが、2台のレーザ発振器からそれぞれ異なる繰り返し周波数を持つ光パルスを発生させ、非同期サンプリングを行う構成にしてもよい。その場合には、駆動部を省略した構成にすることが可能となる。
【0022】
光学遅延部112から遅延されたプローブ光104が出射される側には、テラヘルツ波検出部111が設けられる。テラヘルツ波検出部111は、光学遅延部112により遅延されたプローブ光104と被測定物109から出射される出射テラヘルツ波110とを受けて、電流信号113を出力する。テラヘルツ波検出部111として、低温成長GaAs光伝導アンテナデバイス等の光伝導アンテナデバイスを用いてもよいし、非線形結晶を用いてEO検出を行ってもよい。
【0023】
ロックインアンプ115は、強度変調器106及びテラヘルツ波検出部111に接続され、強度変調器106から出力された参照信号114とテラヘルツ波検出部111から出力された電流信号113とを受けて同期検波を行うことにより、被測定物109のテラヘルツ波応答特性を検出する。テラヘルツ波検出部111とロックインアンプ115の間に、電流信号113を増幅するための電流増幅器を設けることが好ましい。なお、本実施形態においては高感度検出を目的としてロックインアンプを用いているが、電流信号が十分に強い場合、又はスキャン速度が十分に大きい場合には、ロックインアンプを用いず、電流信号を直接検出してもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出室200の上面図である。図2においては、被測定物109及びサンプル載置面220は、紙面鉛直方向の手前側にあるため、図示されない。図3は、図2に示すテラヘルツ波発生検出室200をA−A線から見た側面図である。図4は、図2に示すテラヘルツ波発生検出室200内における各放物面鏡の配置とテラヘルツ波の伝播経路を模式的に示す斜視図である。
【0025】
テラヘルツ波発生検出室200は、除湿空間201の中に、除湿部202と、放物面鏡206と、放物面鏡207と、放物面鏡208と、放物面鏡209とを備える。
【0026】
除湿空間201は、上面は少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波を広帯域で透過する基板(例えば、Tsurupica(登録商標)基板)で構成されているサンプル載置面220によって、他の面は大気及び水分を通さない金属又はガラス製の板によって囲まれた密閉空間である。サンプル載置面220において、該テラヘルツ波が通過する部分以外は、金属であってもよい。板同士はOリング等の大気及び水分を通さない部材を用いて密閉又は溶接する。
【0027】
サンプル載置面220の除湿空間201の外側に、被測定物が設置できる。サンプル載置面220に被測定物を固定するための固定手段を設けてもよい。サンプル載置面220の上に直接被測定物を設置せず、サンプル載置面220の上に少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波を広帯域で透過する素材で構成されたサンプル載置台を設け、その上に被測定物を載置しても良い。
【0028】
除湿空間201を囲む壁面のうちの1面である壁面219には、開口部214及び215が設けられる。テラヘルツ波発生部107は、開口部214に挿入されて設けられ、さらに壁面219の外側から固定部材203によって固定される。テラヘルツ波検出部111は、開口部215に挿入されて設けられ、さらに壁面219の外側から固定部材203によって固定される。固定部材203は、壁面219上に設けられる凹型固定部材204と、テラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111上に設けられる凸型固定部材205とを含む。凹型固定部材204が有する凹面と、凸型固定部材205が有する凸面とを摺動可能に勘合させることによって、テラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111を所望の位置及び向きに調整して、除湿空間201を密閉することができる。
【0029】
除湿空間201を囲む壁面のうちの1面である壁面216には、放物面鏡206と放物面鏡207とが設けられる。除湿空間201を囲む壁面のうちの1面である壁面217には、放物面鏡208と放物面鏡209とが設けられる。
【0030】
放物面鏡206、放物面鏡207、放物面鏡208及び放物面鏡209は、軸外し放物面鏡で構成される。放物面鏡206は、放物面鏡208に対して、互いの反射面が向き合うように配置される。放物面鏡207は、放物面鏡209に対して、互いの反射面が向き合うように配置される。テラヘルツ波発生部107からの入射テラヘルツ波108は、放物面鏡206によってコリメートされ、放物面鏡208によって集光され、その後被測定物109に対して入射される。さらに入射テラヘルツ波108は、被測定物109上で反射されて出射テラヘルツ波110として出射される。出射テラヘルツ波110は、放物面鏡209によってコリメートされ、放物面鏡207によって集光され、その後テラヘルツ波検出部111に対して入射される。
【0031】
放物面鏡206と放物面鏡208の間、及び放物面鏡207と放物面鏡209の間には、ポンプ光を除去するためのフィルタを設けてもよい。例えば、フィルタにはゲルマニウム基板、ブラックポリエチレン等を用いることができる。フィルタを設けることにより、被測定物109又はテラヘルツ波検出部111にポンプ光が入射されて破壊されたり、ポンプ光により雑音が発生したりすることを防ぐ又は低減することができる。
【0032】
各構成要素は、テラヘルツ波発生部107からの入射テラヘルツ波108を放物面鏡206及び放物面鏡208を介して被測定物109の測定対象箇所に照射し、さらに出射された出射テラヘルツ波110を放物面鏡209及び放物面鏡207を介してテラヘルツ波検出部111に入力できるように配置する必要がある。各構成要素の配置は、軸外し放物面鏡の反射方向を基に、幾何光学を用いて計算するか、又は光線解析ソフトを用いることによって、決定してもよい。各構成要素の配置は、光路を調べるための実験を行うことによって、決定してもよい。
【0033】
除湿部202は、内部に水分除去剤を有することで除湿を行うように構成されてよい。除湿空間201は除湿空間201の外部に通じる水分除去剤を交換するための開口部を備えてもよく、その開口部から水分除去剤の入れ替えを行うことができる。水分除去剤を交換するための開口部は、水分除去剤の交換を行った後に密閉できるように構成される。水分除去剤としてはシリカゲルを用いることができる。シリカゲルの粉が付着するのを防ぐために、シリカゲルは目の細かい袋に封入されていることが望ましい。水分除去剤として、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、シリカアルミナゲル等の水分が除去できる任意の物質を利用してもよい。
【0034】
一方で、除湿部202は、機械式の除湿器でもよい。除湿部202は、除湿空間201の外部に通じる開口部を備えてもよく、その開口部を除湿空間201の外部に設置された機械式の除湿器に連結してもよい。機械式の除湿器を除湿空間201の内部に備えてもよい。
【0035】
除湿部202の入れ替え等によってテラヘルツ波の伝播経路に影響を及ぼすことを防ぐため、除湿部202が設けられる壁面218は、テラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111が固定されている壁面219、ならびに各放物面鏡が固定されている壁面216及び217とは異なる壁面であることが好ましい。
【0036】
本実施形態においては、テラヘルツ波発生検出室200は直方体状であるが、除湿空間201が密閉可能な構成であれば形状は直方体に限らず、任意の形状でよい。
【0037】
図5から図8に固定部材203が備える凹型固定部材204及び凸型固定部材205を図示する。該図中で斜線部は、同一の球面の一部であることを示す。つまり、凹型固定部材204の斜線部は、凸型固定部材205の斜線部に合致させると、隙間なく密着する。
【0038】
図5は、凹型固定部材204の正面図及び側面図を示す。図6は凹型固定部材204の斜視図を示す。凹型固定部材204は、球面の一部である凹型球面部210と、貫通部211とを有する。
【0039】
貫通部211の径は、テラヘルツ波発生部107を固定する場合にはテラヘルツ波発生部107の径よりも、テラヘルツ波検出部111を固定する場合にはテラヘルツ波検出部111の径よりも、大きい。つまり、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111を貫通部211に挿入する際に、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111の側面に余裕があるように構成する。それにより、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111を傾けて、つまりあおり方向に調整して固定することができる。
【0040】
貫通部211の径が大きいほど、あおり方向の角度の最大値を大きく設定できるため、所望のあおり方向の角度の値に応じて貫通部211の径を設定する。
【0041】
図7は、凸型固定部材205の正面図及び側面図を示す。図8は凸型固定部材205の斜視図を示す。図7及び図8には、凸型固定部材205をテラヘルツ波発生部107に取り付けた状態の図を示しているが、テラヘルツ波検出部111に取り付けた場合にも同様となる。凸型固定部材205は、球面の一部である凸型球面部212と、貫通部213とを有する。
【0042】
凸型固定部材205をテラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111に固定する位置は、B方向変えることができる。B方向の位置を変更することによって、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111が壁面219上で固定される位置を、壁面219の垂直方向に対して調整することができる。テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111は、凸型固定部材205の貫通部213に挿入され、壁面219の垂直方向について所望の位置に調整した状態で、ねじ、接着剤等の任意の接着手段により、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111の側面と凸型固定部材205の貫通部213の側面との間で隙間なく固定される。
【0043】
図9は、テラヘルツ波発生部107を凹型固定部材204及び凸型固定部材205を用いて固定した状態の側面図を示す。テラヘルツ波検出部111を固定する場合にも同様となる。凹型球面部210と凸型球面部212とを合致させることによって、凹型固定部材204と凸型固定部材205とが隙間なく密着され、互いに摺動させることができる。
【0044】
テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111の径より、貫通部211の径が大きく構成されているため、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111をC方向に傾けて、つまりあおり方向に調整して固定することができる。C方向は、凹型球面部210と凸型球面部212とが合致し、隙間が発生しない限りにおいて任意の方向でよい。つまり、図9に記載の凹型固定部材204及び凸型固定部材205では凹凸面として球面を採用しているため、C方向は球面に沿った全方向になり得る。
【0045】
C方向への角度を変更することによって、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111が壁面219上で固定される際のあおり方向の角度を調整することができる。凹型固定部材204と凸型固定部材205とは、あおり方向に所望の角度を付けた状態で、ねじ、接着剤等の任意の接着手段により、隙間なく固定される。例えば、接着剤で固定する際には、凹型固定部材204と凸型固定部材205を所望のあおり角度に調整した状態で、該調整した状態を保持したまま一旦凹型固定部材204と凸型固定部材205とを引き離し、凹型固定部材204の凹型球面部210と凸型固定部材205の凸型球面部212とに接着剤を塗布してから再度密着させることで、凹型固定部材204と凸型固定部材205と固定することができる。
【0046】
図10は、テラヘルツ波発生部107を凹型固定部材204及び凸型固定部材205を用いてあおり方向に一例の角度を付けて固定した状態の側面図を示す。あおり方向の角度の大きさは、凹型球面部210と凸型球面部212との間に隙間ができず、凹型固定部材204の貫通部211の内壁にテラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111が干渉しない範囲で任意の大きさでよい。
【0047】
図11は、凹型固定部材204を壁面219に固定した状態の断面図を示す。凹型固定部材204は、凹型固定部材204の貫通部211が壁面219の開口部214に連通する状態で固定される。開口部214の径は、貫通部211の径より大きい。
【0048】
貫通部211の径より、開口部214の径が大きく構成されているため、D方向、つまり壁面219の平行方向に対して調整することができる。D方向の位置を変更することによって、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111が壁面219上で固定される位置を、壁面219の平行方向に対して調整することができる。D方向への移動量は、固定するテラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111が、開口部214の内壁に干渉しない範囲において、任意である。凹型固定部材204と壁面219とは、壁面219の平行方向について所望の位置に調整した状態で、ねじ、接着剤等の任意の接着手段により、凹型固定部材204と壁面219との間を隙間なく固定される。
【0049】
上述のように、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111と、凸型固定部材205と、凹型固定部材204と、壁面219とを固定することで、テラヘルツ波発生部107又はテラヘルツ波検出部111の位置及び向きを調整した状態で、除湿空間201を大気及び水分が侵入しないように密閉することができる。
【0050】
本実施形態ではテラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111の形状を円柱状としているが、側面に凸型固定部材205が固定可能な形状であり、テラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111の位置及び向きの調整に干渉しない形状であれば、四角柱状、三角柱状等、任意の形状が適用できる。
【0051】
本実施形態では凹型固定部材204及び凸型固定部材205の形状を円筒状としているが、それぞれ凹型球面部210及び凸型球面部212を有する構造であり、テラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111の位置及び向きの調整に干渉しない形状であれば、四角筒状、三角筒状等、任意の形状が適用できる。
【0052】
(第2の実施形態)
図12は、本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出室400を含むテラヘルツ波発生検出装置300の概略図である。図1に記載のテラヘルツ波発生検出装置100では、ポンプ光103及びプローブ光104は、それぞれテラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111まで空間伝播されているのに対して、本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出装置300においては、ポンプ光303及びプローブ光304は、それぞれテラヘルツ波発生部307及びテラヘルツ波検出部311まで、光ファイバを用いて伝播される。そのため、テラヘルツ波発生検出装置300では、光が空間伝播される部分はテラヘルツ波発生検出室400の内部に限られる。光が空間伝播する部分は光軸を安定化して測定の信頼性を高めるために剛性のある素材で構成する必要があるが、それ以外の部分の剛性は落としてもよい。したがって、テラヘルツ波発生検出装置300の構成では光が空間伝播しない部分、つまりテラヘルツ波発生検出室400以外の部分の剛性を落としても、測定の信頼性を低下させずに軽量化することが可能である。
【0053】
本実施形態では、テラヘルツ発生検出装置300の各々の構成要素を光ファイバデバイスとし、該構成要素の各々を光ファイバにて接続して空間伝播部を排除している。従って、光パルスの伝播部となる光ファイバをコンパクトに巻くことができるため、装置の小型化、安定化を図ることができる。また、本実施形態では、上記各構成要素を接続している光ファイバは偏光保持ファイバ(PMF)であることが望ましい。従って、環境変化、ファイバの曲げに対して、生成される光パルスの強度、パルス波形、偏光方向を安定にすることができる。
【0054】
テラヘルツ波発生検出装置300は、レーザ発振器301と、レーザ発振器301により発生された光パルス302をポンプ光303とプローブ光304に分割するスプリッタ305とを有する。
【0055】
レーザ発振器301は、例えばパルス幅500fs、繰り返し周波数100MHz、平均強度40mWのパルス光を発生する。
【0056】
レーザ発振器301により発生された光パルス302は、スプリッタ305に入射される。スプリッタ305は、光パルス302を、ポンプ光303とプローブ光304との2つに分岐する。
【0057】
スプリッタ305からポンプ光303が分岐される側の出射端には、強度変調器306がPMFにより接続される。強度変調器306は、ポンプ光303の強度変調を行って出射し、それと共に同期検波のための参照信号314をロックインアンプ315に出力する。
【0058】
光ファイバカプラ320aは、2つの入射端と、1つの出射端とを有し、2つの入射端の一方と、強度変調器306の出射端とがPMFにより接続されており、2つの入射端の他方と、励起レーザ319aとがPMFにより接続されており、上記2つの入射端のそれぞれから入射された光を上記出射端から出射する。励起レーザ319aは、後述するファイバ増幅器321に増幅機能を持たせるための励起光を発振する。
【0059】
光ファイバカプラ320aの出射端と、ファイバ増幅器321の入射端とがPMFにより接続されている。該ファイバ増幅器321は、分散特性が正常分散値を有するエルビウム添加ファイバであることが望ましい。このように、正常分散のエルビウム添加ファイバを増幅ファイバとして用いることにより、パルス分裂などの測定性能に悪影響を及ぼす非線形効果を低減することができる。ファイバ増幅器321は、励起用レーザダイオードである励起レーザ319aからの励起光が光ファイバカプラ320aを介して注入されることにより、ポンプ光303を増幅することができる。ファイバ増幅器321により、ポンプ光303のパワーを、テラヘルツ発生に必要なパワーまで増幅させる。
【0060】
ファイバ増幅器321が偏光保持ファイバではない場合、偏波コントローラをファイバ増幅器321の前に設置して偏波を調整してもよい。ファイバ増幅器321を多段構成にし、それぞれ偏波コントローラを設置してもよい。また、各ファイバ増幅器の後(ファイバ増幅器の出力側)には戻り光を防ぐためにアイソレータを挿入するとよい。
【0061】
ファイバ増幅器321の出射端と、ファイバ圧縮器322とがPMFを介して接続されている。該ファイバ圧縮器322は、大口径の定偏波フォトニッククリスタルファイバ等のラージモードエリアファイバであり、入射されたポンプ光303のパルス幅を50fsに圧縮するように構成されている。
【0062】
スプリッタ305からプローブ光304が分岐される側の出射端には、遅延ラインスキャナ317がPMFにより接続されている。該遅延ラインスキャナ317は、テラヘルツ波検出用のプローブ光304を所定の遅延時間だけ遅延させるように構成されている、ファイバピグテール付のインライン型の遅延ラインスキャナである。該遅延ラインスキャナ317は、駆動部により駆動可能なミラーを有しており、上記駆動部を駆動させることにより、プローブ光304に所定の遅延を付与するようにミラーを移動させることができる。すなわち、テラヘルツ波の測定を行う際には、遅延ラインスキャナ317を駆動しながらポンプ光303とプローブ光304との時間差を調整する。
【0063】
遅延ラインスキャナ317と、インライン型の光路長調整器318の入射端とがPMFにより接続されている。該光路長調整器318は、手動により位置を変位可能なミラーを有している。該ミラーの位置を変位させることにより、プローブ光304の光路長を調節することができる。この光路長調整器318は、ポンプ光303とプローブ光304の光路長を調整するときに用いるもので、一度調整してしまえばその後測定の度に時間差を調整する必要はない。
【0064】
光ファイバカプラ320bは、2つの入射端と、1つの出射端とを有し、2つの入射端の一方と、光路長調整器318の出射端とがPMFにより接続されており、2つの入射端の他方と、励起レーザ319bとがPMFにより接続されており、上記2つの入射端のそれぞれから入射された光を上記出射端から出射する。該励起レーザ319bは、後述するファイバ増幅器323に増幅機能を持たせるための励起光を発振する。
【0065】
光ファイバカプラ320bの出射端と、ファイバ増幅器323の入射端とがPMFにより接続されている。該ファイバ増幅器323は、異常分散特性を有するファイバ増幅器および正常分散特性を有するファイバ増幅器を2段に設けた構造を有してもよい。すなわち、ファイバ増幅器323へのプローブ光304の入射側に異常分散特性を有する第1のファイバ増幅器が設けられており、プローブ光304の進行方向の後段側には、正常分散特性を有する第2のファイバ増幅器が設けられている。このような構成により、本実施形態では、ファイバ増幅器323は、励起用レーザダイオードである励起レーザ319bからの励起光が光ファイバカプラ320bを介して注入されることにより、プローブ光304のパワーを、テラヘルツ検出に必要なパワーまで増幅することができる。
【0066】
ファイバ増幅器323の出射端と、ファイバ圧縮器324の入射端とがPMFにより接続されている。該ファイバ圧縮器324は、シングルモード光ファイバであり、該シングルモード光ファイバにより、上記ファイバ増幅器323から出射されたプローブ光304をパルス圧縮することができる。本実施形態では、ファイバ圧縮器324は、プローブ光304のパルス幅を50fsまで細くするように構成されている。
【0067】
ファイバ圧縮器322の出射端は、テラヘルツ波発生部307に接続されている。テラヘルツ波発生部307は、ファイバ圧縮器322によりパルス幅が細くされたポンプ光303を受けて、入射テラヘルツ波308を発生する。テラヘルツ波発生部307として、DAST結晶等、テラヘルツ波が発生可能な非線形結晶を用いてもよいし、低温成長GaAs光伝導アンテナデバイス等の光伝導アンテナデバイスを用いてもよい。テラヘルツ波発生部307の種類に応じて、PPLN(Periodically Poled Lithium Niobate)等の波長変換素子を備えてもよい。
【0068】
テラヘルツ波発生部307は、テラヘルツ波発生検出室400の一面に挿入して設けられる。テラヘルツ波発生部307により発生された入射テラヘルツ波308は、テラヘルツ波発生検出室400を介して被測定物309に照射される。さらに入射テラヘルツ波308が被測定物309で反射されることにより、出射テラヘルツ波310が出射される。出射テラヘルツ波310は、テラヘルツ波発生検出室400を介してテラヘルツ波検出部311に照射される。
【0069】
ファイバ圧縮器324の出射端は、テラヘルツ波検出部311に接続されている。テラヘルツ波検出部311は、ファイバ圧縮器324によりパルス幅が細くされたプローブ光304と、被測定物309からの出射テラヘルツ波310とを受けて、電流信号313を出力する。テラヘルツ波検出部311として、低温成長GaAs光伝導アンテナデバイス等の光伝導アンテナデバイスを用いてもよいし、非線形結晶を用いてEO検出を行ってもよい。テラヘルツ波検出部311の種類に応じて、PPLN(Periodically Poled Lithium Niobate)等の波長変換素子を備えてもよい。
【0070】
ロックインアンプ315は、強度変調器306及びテラヘルツ波検出部311に接続され、強度変調器306から出力される参照信号314とテラヘルツ波検出部311から出力される電流信号313とを受けて同期検波を行うことにより、被測定物309のテラヘルツ波応答特性を検出する。テラヘルツ波検出部311とロックインアンプ315の間に、電流信号313を増幅するための電流増幅器を設けることが好ましい。なお、本実施形態においては高感度検出を目的としてロックインアンプを用いているが、電流信号が十分に強い場合、又はスキャン速度が十分に大きい場合には、ロックインアンプを用いず、電流信号を直接検出してもよい。
【0071】
広帯域テラヘルツ波の発生には、高パワーかつ細いパルス幅の光パルスが必要となる。しかしながら、高パワーかつ細いパルス幅の光パルスをレーザ発振器から発生させ光ファイバ等の非線形デバイス中を伝播させる場合、光パルスの伝播時に波長分散の効果や非線形光学効果によりパルス幅が広がってしまい、テラヘルツ波発生部及びテラヘルツ波検出部に到達するまでに細いパルス幅が維持できないことがある。それに対して、本実施形態によれば、レーザ発振器301からはテラヘルツ波発生及び検出のために最終的に必要となる値よりも低いパワーかつ広いパルス幅を有する光パルスを発生し、テラヘルツ波発生部307及びテラヘルツ波検出部311の直前に設けられるファイバ増幅器321、323及びファイバ圧縮器322、324により、光パルスを高パワーかつ細いパルス幅にする。この構成によって、より高パワーかつ細いパルスの光パルスをテラヘルツ波発生部307及びテラヘルツ波検出部311に入射し、広帯域テラヘルツ波の発生が可能になる。
【0072】
図13は、本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出室400の上面図である。図13においては、被測定物309及びサンプル載置面220は、紙面鉛直方向の手前側にあるため、図示されない。図14は、図13に示すテラヘルツ波発生検出室400をE−E線から見た側面図である。図15は、図13に示すテラヘルツ波発生検出室400内における各放物面鏡の配置とテラヘルツ波の伝播経路を模式的に示す斜視図である。
【0073】
テラヘルツ波発生検出室400は、除湿空間201の中に、除湿部202と、放物面鏡406と、放物面鏡407と、該放物面鏡406及び該放物面鏡407より大きい放物面鏡408とを備える。第1の実施形態と異なる点は、テラヘルツ波の伝播に必要な放物面鏡の数が、4つから3つに削減されている点である。そのため、以下では放物面鏡に係る部分のみ説明を行い、その他の要素については第1の実施形態と同様である。
【0074】
除湿空間201を囲む壁面のうちの1面である壁面216には、放物面鏡406と放物面鏡407とが設けられる。除湿空間201を囲む壁面のうちの1面である壁面217には、放物面鏡408が設けられる。
【0075】
放物面鏡406、放物面鏡407及び放物面鏡408は、軸外し放物面鏡である。放物面鏡406は、放物面鏡408に対して、互いの反射面が向き合うように配置される。放物面鏡407は、放物面鏡408に対して、互いの反射面が向き合うように配置される。放物面鏡406からの入射テラヘルツ波は、放物面鏡408の中心点Zを通らない位置に入射するように配置される。この構成により、放物面鏡406からの入射テラヘルツ波308は、放物面鏡408の中心点Zを通らない部分において集光され、被測定物309に対して0度より大きい入射角をもって入射する。被測定物309の測定対象箇所が平面であれば、入射テラヘルツ波308は、被測定物309上で入射角と同じ反射角で反射されて出射テラヘルツ波310として出射され、放物面鏡408上の入射時とは別の部分(つまり、放物面鏡408の反射面上で中心点Zについて反対側の部分)においてコリメートされる。この構成を実現するために、放物面鏡408の大きさは、放物面鏡406からのコリメート光を入射し、かつ放物面鏡407へのコリメート光を出射するために十分な大きさ(例えば、放物面鏡408の直径は放物面鏡406の直径と放物面鏡407の直径との和よりも大きい)であることが望ましい。
【0076】
放物面鏡406と放物面鏡408の間、及び放物面鏡407と放物面鏡408の間には、ポンプ光を除去するためのフィルタを設けてもよい。例えば、フィルタにはゲルマニウム基板、ブラックポリエチレン等を用いることができる。フィルタを設けることにより、被測定物309又はテラヘルツ波検出部311にポンプ光が入射されて破壊されたり、ポンプ光により雑音が発生したりすることを防ぐ又は低減することができる。
【0077】
各構成要素は、テラヘルツ波発生部307からの入射テラヘルツ波308を放物面鏡406及び放物面鏡408を介して被測定物309の測定対象箇所に照射し、さらに出射された出射テラヘルツ波310を放物面鏡408及び放物面鏡407を介してテラヘルツ波検出部311に入力できるように配置する必要がある。各構成要素の配置は、軸外し放物面鏡の反射方向を基に、幾何光学を用いて計算するか、又は光線解析ソフトを用いることによって、決定してもよい。各構成要素の配置は、光路を調べるための実験を行うことによって、決定してもよい。
【0078】
図16から図19に固定部材403が備える凹型固定部材404及び凸型固定部材405を図示する。図5から図8に示す固定部材203は球面を合致させて密着させるのに対して、固定部材403は円柱面(円柱の側面部分を指す)を合致させて密着させるという違いがある。該図中で斜線部は、同一の円柱面の一部であることを示す。つまり、凹型固定部材404の斜線部は、凸型固定部材405の斜線部に合致させると、隙間なく密着され、互いに摺動させることができる。
【0079】
図16は、凹型固定部材404の正面図及び側面図を示す。図17は凹型固定部材404の斜視図を示す。凹型固定部材404は、円柱面の一部である凹型円柱面部410と、貫通部411とを有する。
【0080】
貫通部411の径は、テラヘルツ波発生部307を固定する場合にはテラヘルツ波発生部307の径よりも、テラヘルツ波検出部311を固定する場合にはテラヘルツ波検出部311の径よりも、大きい。つまり、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311を貫通部411に挿入する際に、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311の側面に余裕があるように構成する。それにより、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311を傾けて、つまりあおり方向に調整して固定することができる。
【0081】
貫通部411の径が大きいほど、あおり方向の角度の最大値を大きく設定できるため、所望のあおり方向の角度の値に応じて貫通部411の径を設定する。
【0082】
図18は、凸型固定部材405の正面図及び側面図を示す。図19は凸型固定部材405の斜視図を示す。図18及び図19には、凸型固定部材405をテラヘルツ波発生部307に取り付けた状態の図を示しているが、テラヘルツ波検出部311に取り付けた場合にも同様となる。凸型固定部材405は、円柱面の一部である凸型円柱面部412と、貫通部413とを有する。
【0083】
凸型固定部材405をテラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311に固定する位置は、B方向に変えることができる。B方向の位置を変更することによって、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311が壁面219上で固定される位置を、壁面219の垂直方向に対して調整することができる。テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311は、凸型固定部材405の貫通部413に挿入され、壁面219の垂直方向について所望の位置に調整した状態で、ねじ、接着剤等の任意の接着手段により、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311の側面と凸型固定部材405の貫通部413の側面との間で隙間なく固定される。
【0084】
図20は、テラヘルツ波発生部307を凹型固定部材404及び凸型固定部材405を用いて固定した状態の側面図を示す。テラヘルツ波検出部311を固定する場合にも同様となる。凹型円柱面部410と凸型円柱面部412とを合致させることによって、凹型固定部材404と凸型固定部材405とが隙間なく密着される。
【0085】
テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311の径より、貫通部411の径が大きく構成されているため、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311をC方向に傾けて、つまりあおり方向に調整して固定することができる。C方向は、凹型円柱面部410と凸型円柱面部412とが合致し、隙間が発生しない限りにおいて任意の方向でよい。凹凸面として球面を採用している図9に記載の凹型固定部材204及び凸型固定部材205とは異なり、本実施形態においては、図20に記載のように、凹型固定部材404及び凸型固定部材405では凹凸面として円柱面を採用しているため、C方向は円柱面に沿った一方向のみに制限される。さらに好ましくは、凹型固定部材404及び凸型固定部材405の間に、凹型固定部材404の凹型円柱面部410に対して第一の方向に摺動し、かつ凸型固定部材405の凸型円柱面部412に対して該第一の方向とは異なる第二の方向に摺動する、追加の固定部材を設けてもよい。該追加の固定部材は、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311を挿入するための貫通部を有し、凹型固定部材404及び凸型固定部材405に隙間なく密着されるように構成される。この構成によれば、C方向は一方向に制限されず、該第一の方向及び該第二の方向への二つの摺動を組み合わせてC方向を所望の方向に設定することができる。
【0086】
C方向への角度を変更することによって、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311が壁面219上で固定される際のあおり方向の角度を調整することができる。凹型固定部材404と凸型固定部材405とは、あおり方向に所望の角度を付けた状態で、ねじ、接着剤等の任意の接着手段により、隙間なく固定される。例えば、接着剤で固定する際には、凹型固定部材404と凸型固定部材405を所望のあおり角度に調整した状態で、該調整した状態を保持したまま一旦凹型固定部材404と凸型固定部材405とを引き離し、凹型固定部材404の凹型円柱面部410と凸型固定部材405の凸型円柱面部412とに接着剤を塗布してから再度密着させることで、凹型固定部材404と凸型固定部材405と固定することができる。
【0087】
あおり方向の角度の大きさは、凹型円柱面部410と凸型円柱面部412との間に隙間ができず、凹型固定部材404の貫通部311の内壁にテラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311が干渉しない範囲で任意の大きさでよい。
【0088】
図21は、凹型固定部材404を壁面219に固定した状態の断面図を示す。凹型固定部材404は、凹型固定部材404の貫通部411が壁面219の開口部214に連通する状態で固定される。開口部214の径は、貫通部411の径より大きい。
【0089】
貫通部411の径より、開口部214の径が大きく構成されているため、D方向、つまり壁面219の平行方向に対して調整することができる。D方向の位置を変更することによって、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311が壁面219上で固定される位置を、壁面219の平行方向に対して調整することができる。D方向への移動量は、固定するテラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311が、開口部214の内壁に干渉しない範囲において、任意である。凹型固定部材404と壁面219とは、壁面219の平行方向について所望の位置に調整した状態で、凹型固定部材404と壁面219との間でねじ、接着剤等の任意の接着手段により、隙間なく固定される。
【0090】
上述のように、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311と、凸型固定部材405と、凹型固定部材404と、壁面219とを固定することで、テラヘルツ波発生部307又はテラヘルツ波検出部311の位置及び向きを調整した状態で、除湿空間201を大気及び水分が侵入しないように密閉することができる。
【0091】
本実施形態ではテラヘルツ波発生部307及びテラヘルツ波検出部311の形状を四角柱状としているが、側面に凸型固定部材405が固定可能な形状であり、テラヘルツ波発生部307及びテラヘルツ波検出部311の位置及び向きの調整に干渉しない形状であれば、円柱状、三角柱状等、任意の形状が適用できる。
【0092】
本実施形態では凹型固定部材404及び凸型固定部材405の形状を四角筒状としているが、それぞれ凹型円柱面部410及び凸型円柱面部412を有する構造であり、テラヘルツ波発生部307及びテラヘルツ波検出部311の位置及び向きの調整に干渉しない形状であれば、円筒状、三角筒状等、任意の形状が適用できる。
【0093】
(第3の実施形態)
図22は、本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出室500a及び500bの側面図である。図23は、図22に示すテラヘルツ波発生検出室500a及び500b内における各放物面鏡の配置とテラヘルツ波の伝播経路を模式的に示す斜視図である。上面図は図2と変わりがないため、省略する。
【0094】
図3に記載のテラヘルツ波発生検出室200には、テラヘルツ波発生部107及びテラヘルツ波検出部111の両方が備えられ、テラヘルツ波の反射測定を行うのに対して、図22に示す本実施形態に係るテラヘルツ波発生検出室500a及び500bにおいては、テラヘルツ波発生検出室500aがテラヘルツ波発生部107を、テラヘルツ波発生検出室500bがテラヘルツ波検出部111をそれぞれ備え、テラヘルツ波の透過測定を行う。テラヘルツ波発生検出室500a及び500b以外の部分については、第1の実施形態又は第2の実施形態の構成を用いてもよいし、テラヘルツ波の発生及び検出が可能な任意の装置構成でもよい。
【0095】
テラヘルツ波発生検出室500aは、除湿空間501aの中に、除湿部502aと、放物面鏡206と、放物面鏡208とを備える。テラヘルツ波発生検出室500bは、除湿空間501bの中に、除湿部502bと、放物面鏡207と、放物面鏡209とを備える。
【0096】
除湿空間501aは、被測定物に対する面が、少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波を広帯域で透過する基板(例えば、Tsurupica(登録商標)基板)で構成されているサンプル対向面520aによって、他の面は大気及び水分を通さない金属又はガラス製の板によって囲まれた密閉空間である。サンプル対向面520aにおいて、該テラヘルツ波が通過する部分以外は、金属であってもよい。板同士はOリング等の大気及び水分を通さない部材を用いて密閉又は溶接する。
【0097】
除湿空間501bは、被測定物に対する面が、少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波を広帯域で透過する基板(例えば、Tsurupica(登録商標)基板)で構成されているサンプル対向面520bによって、他の面は大気及び水分を通さない金属又はガラス製の板によって囲まれた密閉空間である。サンプル対向面520bにおいて、該テラヘルツ波が通過する部分以外は、金属であってもよい。板同士はOリング等の大気及び水分を通さない部材を用いて密閉又は溶接する。
【0098】
サンプル対向面520aとサンプル対向面520bとの間に、被測定物を載置するためのサンプル載置台521が設けられる。サンプル載置台521は、少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波を広帯域で透過する基板(例えば、Tsurupica(登録商標)基板)で構成される。サンプル対向面521において、該テラヘルツ波が通過する部分以外は、金属であってもよい。サンプル載置台521を設けず、直接サンプル対向面520aの上に被測定物を載置してもよい。
【0099】
除湿空間501aを囲む壁面のうちの1面である壁面519aには、開口部514が設けられる。テラヘルツ波発生部107は、開口部514に挿入されて設けられ、さらに壁面519aの外側から固定部材によって固定される。除湿空間501bを囲む壁面のうちの1面である壁面519bには、開口部515が設けられる。テラヘルツ波検出部111は、開口部515に挿入されて設けられ、さらに壁面519bの外側から固定部材によって固定される。該固定部材は、第1の実施形態に係る固定部材203でもよいし、第2の実施形態に係る固定部材403でもよい。
【0100】
除湿空間501a内には軸外し放物面鏡である放物面鏡206と放物面鏡208とが設けられる。放物面鏡206は、放物面鏡208に対して、互いの反射面が向き合うように配置される。除湿空間501b内には軸外し放物面鏡である放物面鏡207と放物面鏡209とが設けられる。放物面鏡207は、放物面鏡209に対して、互いの反射面が向き合うように配置される。テラヘルツ波発生部107からの入射テラヘルツ波108は、放物面鏡206によってコリメートされ、放物面鏡208によって集光され、その後被測定物109に対して入射される。さらに入射テラヘルツ波108は、被測定物109を透過されて出射テラヘルツ波110として出射される。出射テラヘルツ波110は、放物面鏡209によってコリメートされ、放物面鏡207によって集光され、その後テラヘルツ波検出部111に対して入射される。
【0101】
放物面鏡206と放物面鏡208の間、及び放物面鏡207と放物面鏡209の間には、ポンプ光を除去するためのフィルタを設けてもよい。例えば、フィルタにはゲルマニウム基板、ブラックポリエチレン等を用いることができる。フィルタを設けることにより、被測定物109又はテラヘルツ波検出部111にポンプ光が入射されて破壊されたり、ポンプ光により雑音が発生したりすることを防ぐ又は低減することができる。
【0102】
各構成要素は、テラヘルツ波発生部107からの入射テラヘルツ波108を放物面鏡206及び放物面鏡208を介して被測定物109の測定対象箇所に照射し、さらに出射された出射テラヘルツ波110を放物面鏡209及び放物面鏡207を介してテラヘルツ波検出部111に入力できるように配置する必要がある。各構成要素の配置は、軸外し放物面鏡の反射方向を基に、幾何光学を用いて計算するか、又は光線解析ソフトを用いることによって、決定してもよい。各構成要素の配置は、光路を調べるための実験を行うことによって、決定してもよい。
【0103】
除湿部502a、502bは、内部に水分除去剤を有することで除湿を行うように構成されてよい。除湿空間501a、501bは、それぞれ除湿空間501a、501bの外部に通じる水分除去剤を交換するための開口部を備えてもよく、その開口部から水分除去剤の入れ替えを行うことができる。水分除去剤を交換するための開口部は、水分除去剤の交換を行った後に密閉できるように構成される。水分除去剤としてはシリカゲルを用いることができる。シリカゲルの粉が付着するのを防ぐために、シリカゲルは目の細かい袋に封入されていることが望ましい。水分除去剤として、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、シリカアルミナゲル等の水分が除去できる任意の物質を利用してもよい。
【0104】
一方で、除湿部502a、502bは、機械式の除湿器でもよい。除湿部502a、502bは、除湿空間501a、501bの外部に通じる開口部を備えてもよく、その開口部を除湿空間501a、501bの外部に設置された機械式の除湿器に連結してもよい。機械式の除湿器を除湿空間501a、501bの内部に備えてもよい。
【0105】
除湿部502a、502bの入れ替え等によってテラヘルツ波の伝播経路に影響を及ぼすことを防ぐため、除湿部502a、502bが設けられる壁面518a、518bは、テラヘルツ波発生部107が固定されている壁面519a、テラヘルツ波検出部111が固定されている壁面519b、及び各放物面鏡が固定されている壁面とは異なる壁面であることが好ましい。
【0106】
上述の各実施形態においては、テラヘルツ波発生部又はテラヘルツ波検出部に凸面を有する固定部材を設け、壁面に凹面を有する固定部材を設けているが、テラヘルツ波発生部又はテラヘルツ波検出部に凹面を有する固定部材を設け、壁面に凸面を有する固定部材を設けてもよい。その場合でも、上述の各実施形態における凸面と凹面の構造を逆転させるのみで本発明の作用を奏することができ、逆転後の構造は当業者には容易に理解できるであろう。
【符号の説明】
【0107】
100 テラヘルツ波発生検出装置
101、301 レーザ発振器
102、302 光パルス
103、303 ポンプ光
104、304 プローブ光
105、305 スプリッタ
106、306 強度変調器
107、307 テラヘルツ波発生部
108、308 入射テラヘルツ波
109、309 被測定物
110、310 出射テラヘルツ波
111、311 テラヘルツ波検出部
112 光学遅延部
113、313 電流信号
114、314 参照信号
115、315 ロックインアンプ
200、400 テラヘルツ波発生検出室
201、501a、501b 除湿空間
202、502a、502b 除湿部
203、403 固定部材
204、404 凹型固定部材
205、405 凸型固定部材
206、207、208、209、406、407、408 放物面鏡
210 凹型球面部
211、213、411、413 貫通部
212 凸型球面部
214、215、514、515 開口部
216、217、218、219、518a、518b、519a、519b 壁面
220 サンプル載置面 317 遅延ラインスキャナ
318 光路長調整器
319a、319b 励起レーザ
320a、320b 光ファイバカプラ
321、323 ファイバ増幅器
322、324 ファイバ圧縮器
410 凹型円柱面部
412 凹型円柱面部
520a、520b サンプル対向面
521 サンプル載置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ波発生検出室を有するテラヘルツ波伝播装置であって、
テラヘルツ波発生モジュールと、
少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波透過可能な素材で構成されている、被測定物を前記テラヘルツ波発生検出室の外側に載置するためのサンプル載置手段と、
前記テラヘルツ波発生検出室内でテラヘルツ波をコリメート及び集光させるための手段と、
前記テラヘルツ波発生検出室の一面であり、開口部を有する壁面と、
前記テラヘルツ波発生モジュールを固定するための固定部材と、
を備え、
前記テラヘルツ波をコリメート及び集光させるための手段によって、前記テラヘルツ波発生モジュールから出射されるテラヘルツ波が前記被測定物上に集光され、
前記テラヘルツ波発生モジュールは、前記開口部に挿入され、前記固定部材によって、位置及び向きが調整可能に固定されている
ことを特徴とするテラヘルツ波伝播装置。
【請求項2】
テラヘルツ波発生検出室を有するテラヘルツ波伝播装置であって、
テラヘルツ波検出モジュールと、
少なくともテラヘルツ波が通過する部分がテラヘルツ波透過可能な素材で構成されている、被測定物を前記テラヘルツ波発生検出室の外側に載置するためのサンプル載置手段と、
前記テラヘルツ波発生検出室内でテラヘルツ波をコリメート及び集光させるための手段と、
前記テラヘルツ波発生検出室の一面であり、開口部を有する壁面と、
前記テラヘルツ波検出モジュールを固定するための固定部材と、
を備え、
前記テラヘルツ波をコリメート及び集光させるための手段によって、前記被測定物から出射されるテラヘルツ波が前記テラヘルツ波検出モジュール上に集光され、
前記テラヘルツ波検出モジュールは、前記開口部に挿入され、前記固定部材によって、位置及び向きが調整可能に固定されている
ことを特徴とするテラヘルツ波伝播装置。
【請求項3】
前記固定部材が、凸型曲面部を有する、前記テラヘルツ波発生モジュール又は前記テラヘルツ波検出モジュールの側面を取り囲んで設けられる凸型固定部材と、凹型曲面部及び貫通部を有する、前記貫通部が前記開口部に連通するように前記壁面の外側に設けられる凹型固定部材と、を備え、
前記テラヘルツ波発生モジュール又は前記テラヘルツ波検出モジュールが、前記凹型固定部材の前記貫通部及び前記壁面の前記開口部に挿入され、前記凸型固定部材の前記凸型曲面部と、前記凹型固定部材の前記凹型曲面部とが篏合することによって固定される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のテラヘルツ波伝播装置。
【請求項4】
前記凹型固定部材の前記貫通部の径は、前記テラヘルツ波発生モジュール又は前記テラヘルツ波検出モジュールの径より大きく、
前記テラヘルツ波発生モジュール又は前記テラヘルツ波検出モジュールを傾けて固定することによって、前記テラヘルツ波発生モジュール又は前記テラヘルツ波検出モジュールのあおり角度を調整可能である
ことを特徴とする請求項3に記載のテラヘルツ波伝播装置。
【請求項5】
前記凹型固定部材の前記貫通部の径は、前記壁面の前記開口部の径より大きく、
前記凹型固定部材は、前記壁面の外側に沿って取り付け位置を変えることが可能であり、
前記凹型固定部材の取り付け位置を変えることによって、前記テラヘルツ波発生モジュール又は前記テラヘルツ波検出モジュールの固定位置を調整可能である、
ことを特徴とする請求項3に記載のテラヘルツ波伝播装置。
【請求項6】
前記凸型固定部材の前記凸型曲面部は、球面の一部であり、
前記凹型固定部材の前記凹型曲面部は、前記球面の一部である、
ことを特徴とする請求項3に記載のテラヘルツ波伝播装置。
【請求項7】
前記凸型固定部材の前記凸型曲面部は、円柱面の一部であり、
前記凹型固定部材の前記凹型曲面部は、前記円柱面の一部である、
ことを特徴とする請求項3に記載のテラヘルツ波伝播装置。
【請求項8】
前記テラヘルツ波発生検出室は水分が侵入できないように密閉されており、
前記テラヘルツ波発生検出室内に除湿手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のテラヘルツ波伝播装置。
【請求項9】
前記サンプル載置手段は、前記テラヘルツ波発生検出室の一面である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のテラヘルツ波伝播装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−68528(P2013−68528A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207421(P2011−207421)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】