説明

テルペニルシクロヘキサノールの製造方法

本発明は、テルペニルフェノールを使用してテルペニルシクロヘキサノールを製造する方法に関するものである。本発明によるテルペニルフェノールの水素化によるテルペニルシクロヘキサノールの製造方法は、テルペニルフェノールを、残留アルミニウムを含み、かつ、鉄及びクロムの混合物がドープされたラネーニッケル型触媒の存在下において液体相中で水素化することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、テルペニルフェノールからテルペニルシクロヘキサノールを製造する方法である。
【背景技術】
【0002】
ビャクダン油は、その有益な嗅覚的特性のため香水に幅広く使用されている最古の原料の一つである。
【0003】
しかしながら、この天然産物は極めて高価なため、合成代替品が求められている。
【0004】
提案された第1のカテゴリーの一つは、テルペニルシクロヘキサノールからなる。これは、ルイス酸型の触媒の存在下でフェノールとカンフェンとを縮合させ、その後その芳香核を水素化してシクロヘキサノールを生じさせることによって得られる。
【0005】
このタイプの反応を伴う様々な方法が文献に記載されている。
【0006】
特に米国特許第4061686号が挙げられる。この文献には、フリーデル・クラフツ触媒の存在下でピロカテコール又は1,2−ジヒドロキシベンゼンとカンフェンを縮合させてテルペニルピロカテコールの混合物である中間生成物を生じさせることが記載されている。これらの主要生成物は次式に相当する:
【化1】

従来のラネーニッケル触媒を使用して、得られた錯体混合物を水素化することにより、香りの良い多数の異性体の混合物が得られる。
【0007】
2つの主要な異性体は次式に相当する:
【化2】

水素化反応は、200〜250barの水素圧力下において200℃〜300℃、好ましくは225℃〜250℃という高温で実施される。
【0008】
触媒の使用量は、カテコールとカンフェンとの反応生成物の重量の3〜20%を占める。
【0009】
米国特許第4061686号に記載された水素化条件は比較的厳しいため、産業規模で採用するのは困難である。
【0010】
さらに、使用される触媒の量は多い。というのは、実施例9において、350gの基質の水素化に対して30gのラネーニッケルを使用することが示されているからである。
【0011】
出願人の会社は、経済的な観点からさらに有益な方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4061686号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的の一つは、水素化条件を改善すること、特により低温で反応を実施することである。
【0014】
本発明の別の目的は、より少量の触媒を使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
鋭意検討の結果、本発明の主題を構成する、テルペニルフェノールの水素化によるテルペニルシクロヘキサノールの製造方法、該テルペニルフェノールの水素化を、残留アルミニウムを含み、かつ、鉄及びクロムの混合物がドープされたラネーニッケル型触媒の存在下において液体相中で実施することを特徴とする方法を見出した。
【0016】
本発明の方法によれば、本発明に従って規定される触媒を使用することで、水素化反応をより低温で実施することが可能になり、また、得られる混合物の嗅覚的品質を損なうことなく触媒の使用量を減少させることができることが分かった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の方法は次の一般式に相当する基質に適用される:
【化3】

式中:
・Yは次のものを表し:
・水素原子、
・OH基、
・OR基(ここで、Rは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を表す。)、
・Tは、10個の炭素原子を有する二環式テルペニル基を表す。
【0018】
本発明の好ましい形態によれば、使用されるテルペニルシクロヘキサノールは、式(I)(式中、YはOH基又はOR基(Rはメチル又はエチル基を表す。)を表す。)に相当する。
【0019】
テルペニル基Tに関しては、単独で又は混合物として次の基を表す:ボルニル、イソボルニル、カンフィル、イソカンフィル、フェンキル又はイソフェンキル基。
【0020】
実際には、出発テルペニルフェノールは、位置異性体とテルペニル異性体との混合物であり、その結果、得られる水素化生成物は異性体の混合物でもある。
【0021】
したがって、用語「テルペニルフェノール」とは、ボルニルフェノール、イソボルニルフェノール、カンフィルフェノール、イソカンフィルフェノール、フェンキルフェノール及びイソフェンキルフェノール異性体の混合物をいう。これらのテルペニル基は、芳香核の自由位置の全てで生じることができる。
【0022】
これら様々な異性体の割合は、出発基質の性質及びテルペニルフェノールの製造条件による。
【0023】
文献に記載された様々な方法に従って製造できるテルペニルフェノールが本発明の方法に関与する。
【0024】
これは、フリーデル・クラフツ触媒の存在下でのフェノールとカンフェンとの縮合反応に関連する。
【0025】
使用することのできる触媒の例としては、特に、三弗化硼素、例えば三塩化アルミニウム、塩化第二鉄又は塩化亜鉛などの金属ハロゲン化物、硫酸、ゼオライト及びクレーが挙げられる。
【0026】
該反応に好適な触媒は三弗化硼素である。
【0027】
後者が気体の場合には、本発明に従っておよそ20〜70重量%の三弗化硼素を含む三弗化硼素錯体を用いることが好ましい。
【0028】
特に、錯体の例としては、三弗化硼素をエチルエーテル、酢酸、アセトニトリルから選択される溶媒、好ましくはフェノールと共に含む錯体が挙げられる。
【0029】
ゼオライト触媒の選択に関しては、好ましくは広幅の細孔を有するゼオライトが用いられる。特に、ゼオライトの好ましい例としては、ゼオライトβ、ゼオライトY及びモルデナイト(全て酸の状態)が挙げられる。
【0030】
縮合反応に好適な別の触媒は、クレー、特にモンモリロナイト、特にSud−Chemieが販売する、クレーK10及びK20などのクレーよりなる群から構成される。
【0031】
フェノールと反応するカンフェンは市販の製品である。一般的に、これは、カンフェンとトリシクレンとの混合物であり、トリシクレンは、該混合物の重量の多くとも10%の含有量、好ましくは多くとも7%の含有量で存在する。
【0032】
カンフェンと反応するフェノール化合物は、好ましくは次式に相当する:
【化4】

式中、Yは式(I)について与えた意味を有する。
【0033】
フェノールのモル数対カンフェンのモル数の比は、1〜4、好ましくは1〜2の範囲にある。
【0034】
ルイス酸触媒の量に関して、触媒の量は、選択される触媒による。
【0035】
触媒が塩又は錯化塩の状態にある場合には、その使用量は、例えば、フェノール化合物1モル当たり0.05〜25gの範囲にあることができ、クレー又はゼオライト型の触媒については、その量は、フェノール化合物1モル当たり0.1〜1gである。
【0036】
反応は、出発基質の物性に応じて有機溶媒の存在下又は非存在下で実施できる。
【0037】
この溶媒は、本発明の反応条件下では不活性であるように選択しなければならない。該溶媒は、出発フェノール基質を溶解させる特性を有しなければならない。
【0038】
この処理過程で好適な溶媒の例としては、脂肪族又は脂環式炭化水素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
炭化水素の例としては、脂肪族炭化水素、特にパラフィン、例えば、特にシクロヘキサンが挙げられる。
【0040】
ハロゲン化炭化水素に関しては、特に、過塩素化炭化水素などのハロゲン化脂肪族又は芳香族炭化水素、例えば、特に、テトラクロルメタン、部分塩素化炭化水素、例えばジクロルメタン、トリクロルメタン又はジクロルエタン、モノクロルベンゼン、1,2−ジクロルベンゼン、1,3−ジクロルベンゼン、1,4−ジクロルベンゼン又は異なるクロルベンゼンの混合物が挙げられる。
【0041】
フェノールとカンフェンとの反応は、有利には20℃〜200℃、好ましくは20℃〜180℃の範囲の温度で実施される。
【0042】
本発明の方法は、概して大気圧で実施されるが、ただし、大気圧よりも僅かに高い又は低い圧力も好適な場合がある。
【0043】
反応時間は、例えば、2〜24時間、好ましくは2〜12時間の間で変更できる。
【0044】
反応の終了時に、触媒、固/液分離技術、好ましくは該触媒が不均一である場合にはろ過により除去し、又は触媒が均一の場合には、水溶液加水分解操作、次いで沈降による液/液分離で除去する。
【0045】
触媒を除去した後に、過剰量で使用したフェノール化合物を蒸留により回収し、そしてこれをリサイクルすることができ、本発明の方法に従って蒸留濃縮物に水素化操作を施す。
【0046】
例えばラネ−ニッケル型の触媒をこの水素化工程で使用する。
【0047】
従来から還元反応、特に水素化反応で使用されているラネーニッケルは、一般的には以下で説明する方法に従って製造される触媒である。
【0048】
ニッケル−アルミニウム合金を、25〜75重量%のニッケル及び25〜75重量%のアルミニウムを含む混合物(ただし、一般に、同量の比が好ましい)を溶融させることによって製造する。融点は、好ましくは1100℃〜1700℃で選択される。
【0049】
その後、溶融合金を、型に流し込み、そして周囲温度(15〜25℃)にまで冷却することによって、一般的にはインゴットの形で固化させる。
【0050】
次の操作において、インゴットを砕き、そして粉末の状態の合金が得られるまで磨砕する。
【0051】
その後、アルミニウムの一部を溶解させることを可能にし、それによって多孔質の微細構造を生じさせる塩基処理を実施する。
【0052】
得られた触媒は、特定の比表面積及び不定の残留アルミニウム含有量を有するニッケルクリスタリットの凝集体から構成される。
【0053】
塩基による攻撃は、好ましくはアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウム(例えば20〜30重量%)及び過剰の塩基の濃縮溶液を使用して実施され、その際、塩基/合金(Alとして表される)のモル比は、好ましくは1〜1.3である。
【0054】
この操作は、好ましくは50℃〜100℃の間で選択される温度で実施される。
【0055】
触媒が水性懸濁液中の粉末の状態で得られ、そしてこれをアルミン酸アルカリ金属を含む水性相から分離する。
【0056】
この触媒は、通常は過剰の塩基を除去するために洗浄される。
【0057】
本発明に従うドープラネーニッケルは、ドープ剤の鉄及びクロムを溶融Ni−Al先駆合金に又はニッケル及びアルミニウムと同時に添加しつつ、上記の製造方法に従って製造される。金属ドーピングを伴う。
【0058】
ドープ剤の使用量は、以下で規定する組成を示す触媒が得られるような量である。
【0059】
本発明の方法で使用する触媒は、有利には次のものを含む:
・1〜5重量%のクロム
・1〜5重量%の鉄
・5〜10重量%のアルミニウム
・80〜93重量%のニッケル。
【0060】
好ましくは、本発明の方法で使用する触媒は次のものを含む:
・1.5〜3重量%のクロム
・1〜4重量%の鉄
・5〜7重量%のアルミニウム
・86〜92.5重量%のニッケル。
【0061】
上で定義された組成を有する本発明の触媒は、通常、10〜40μmの範囲の篩いによって測定される粒度を有する微粉末の状態で与えられる。
【0062】
この触媒は自然発火性触媒であるため、9〜11のpH及び30〜50重量%の濃度範囲を有する塩基性の水性懸濁液の状態で保存され、反応に導入される。
【0063】
本発明の方法によれば、テルペニルフェノールの水素化は、定義されたラネ−ニッケルの存在下で実施される。
【0064】
金属の重量対式(I)の化合物の重量の比で表される水素化触媒の使用量は、例えば、1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%の範囲にあることができる。
【0065】
反応は、好ましくはそのままの状態で実施されるが、媒体を扱うことが困難な場合には有機溶媒を使用することも除外されない。溶媒の例としては、アルコール類、例えばイソプロパノールが挙げられる。
【0066】
本発明の方法は、180℃〜250℃、特に190℃〜220℃にわたる範囲の温度内で選択される温度で実施される。
【0067】
この反応は、大気圧よりも僅かに高い圧力から数十バールの圧力までを範囲とする水素圧力下で行われる。有利には、この水素圧力は、18〜30bar、より好ましくは20〜25barの範囲である。
【0068】
反応の終了時に、次式に相当するテルペニルシクロヘキサノール異性体の混合物:
【化5】

(式中:
・Y’は、Yが水素原子を表す場合には水素原子を表し、
・Y’は、YがOR基を表す場合には水素原子を表し、
・Y’は、YがOH基を表す場合にはOH基を表す。)
が得られる。
【0069】
YがOR基の場合、本発明の方法に従う水素化操作の間に、アルコールROHの形成に相当するアルコーリシス反応も起こるが、このアルコールは、水素化の間に連続又は逐次パージ操作によって除去しなければならない。
【0070】
実際には、本発明に従う方法は、ステンレススチール製のオートクレーブに、式(I)の化合物と、触媒と、溶媒(水)とを導入し、続いて、通常のパージ操作後に、このオートクレーブを適当な水素圧力にすることによって実施される。その後、吸収が終わるまでこのオートクレーブの内容物を撹拌しながら適当な温度にする。水素の消費が終わったら、水素化反応時に形成された水及び/又はアルコールを除去するために反応器をパージする。このオートクレーブの圧力は、軽質アルコールが形成された場合には該アルコールを除去することを可能にする連続パージ操作により反応時間全体にわたって一定に維持できる。
【0071】
反応の終了時に、このオートクレーブを冷却し、脱気する。
【0072】
その後、反応混合物を従来の方法で処理してテルペニルシクロヘキサノールを回収する。
【0073】
そのために、所定量の有機溶媒、好ましくは、例えばイソプロパノールなどの低分子量のアルコールを添加して反応混合物を流体化させることができる。
【0074】
その後、従来の固/液分離技術、好ましくはろ過によって触媒を分離し、そしてろ過液からテルペニルシクロヘキサノールを特に蒸留によって回収する。
【0075】
以下に、本発明の実施例を与えるが、これらは単なる例示であり、その特徴を限定するものではない。
【0076】
実施例においては、テルペニルグアイアコールの転化率を、転化したテルペニルグアイアコールのモル数対装入されたテルペニルグアイアコールのモル数の比と定義する。
【実施例】
【0077】
例1
1.テルペニルグアイアコールの製造
751gのグアイアコール及び441gの溶融カンフェンを2リットルの撹拌ステンレススチール反応器に連続的に導入する。
撹拌を実施し、溶液を得る。
続いて、Sud−Chemie社製の11gのクレーK10を添加する。
媒体が直ちに茶色に変化し、そして徐々に150℃に加熱する。
これらの条件下で3時間にわたり保持する。
これらの条件下では、カンフェン及びその異性体のいずれもガスクロマトグラフィー(GC)ではもはや検出されない。
続いて、温度を60℃に戻し、そして反応媒体をセライト(珪藻土)の床に通してろ過して触媒を除去する。
その後、ろ過液を2リットルの蒸留フラスコに装入し、そして過剰のグアイアコールを20mbar水銀の減圧下においておよそ100℃で蒸留する。
続いて、上記テルペニルグアイアコール異性体の錯体混合物、すなわち、ボルニルグアイアコール異性体、イソボルニルグアイアコール異性体、カンフィルグアイアコール異性体、イソカンフィルグアイアコール異性体、フェンキルグアイアコール異性体及びイソフェンキルグアイアコール異性体の混合物682gを得る。
【0078】
2.テルペニルグアイアコールの水素化
テルペニルグアイアコール268g及び1.6重量%のクロムと、1.0重量%の鉄と、5.5重量%のアルミニウムと、残部のニッケルとを含むラネーニッケル型触媒2.9gを750mLステンレス製オートクレーブに導入する。
続いて、反応器を窒素及び水素でパージする。
次いで、この反応器を20barの水素下で加圧し、撹拌を実施し、そして200℃への加熱を徐々に実施する。
この温度で、反応器のヘッドスペースをパージして、ラネーニッケル型の触媒と共に導入された水を除去する。
この反応器を再度20barの水素下で加圧し、そしてこの反応器内の圧力を一定に維持しつつ(20bar)水素化を実施する。
定期的に、水素化の速度が減少したら水素の供給を中断し、反応器のヘッドスペースをパージして、反応で形成されたメタノールと軽質生成物とを除去する。
反応中に、6回のパージ操作を実施し、そして水素化の全時間は6時間である。
GCによりテルペニルグアイアコールの全てが反応したことが分かったら、加熱を中止し、そして反応器を窒素でパージする。こうして、100%のテルペニルグアイアコールが転化した。
温度を60℃に戻し、そして50mLのイソプロパノールを導入して粘度を減少させる。
続いて、反応媒体をセライトに通してろ過して触媒を除去する。
2mbarの水銀の減圧下において135〜165℃で蒸留した後に、テルペニルシクロヘキサノール異性体の錯体混合物(ボルニルシクロヘキサノール異性体、イソボルニルシクロヘキサノール異性体、カンフィルシクロヘキサノール異性体、イソカンフィルシクロヘキサノール異性体、フェンキルシクロヘキサノール異性体及びイソフェンキルシクロヘキサノール異性体の混合物)212gが得られる。この混合物は、嗅覚的品質に合致する。
テルペニル単位は水素化の間には異性化されない。
【0079】
比較例2
水素化を例1と同様に実施したが、ただしDegussa社が販売する、モリブデンがドープされ、6.5重量%未満のアルミニウムを含む触媒BK111Wを使用した。
この触媒を2.9g使用し、12回のパージ操作及び12時間の水素化の後に、装入したテルペニルグアイアコールの僅か45%しか所期の生成物には転化しないことが分かった。
【0080】
比較例3
水素化を例1と同様に実施したが、ただし7%のアルミニウム及び0.16%の鉄を含むActivated Metalが販売する触媒A 5000を使用した。
この触媒を2.9g使用し、12回のパージ操作及び12時間の水素化の後に、装入したテルペニルグアイアコールの僅か38%しか所期の生成物に転化しないことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テルペニルフェノールの水素化によるテルペニルシクロヘキサノールの製造方法であって、該テルペニルフェノールの水素化を、残留アルミニウムを含み、かつ、鉄及びクロムの混合物がドープされたラネーニッケル型触媒の存在下において液体相中で実施することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記テルペニルフェノールが次の一般式に相当することを特徴とする、請求項1に記載の方法:
【化1】

式中:
・Yは、
・水素原子、
・OH基、
・OR基(ここで、Rは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を表す。)
を表し、
・Tは、10個の炭素原子を有する二環式テルペニル基を表す。
【請求項3】
前記テルペニルフェノールが式(I)(式中、YはOH基又はOR基(Rはメチル又はエチル基を表す。)を表す。)に相当することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記テルペニルフェノールが式(I)(式中、Tは単独又は混合物としての次の基の一つを表す:ボルニル、イソボルニル、カンフィル、イソカンフィル、フェンキル又はイソフェンキル基。)に相当することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記式(I)に相当するテルペニルフェノールがテルペニルグアイアコールであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ラネーニッケル型触媒が
・1〜5重量%のクロム
・1〜5重量%の鉄
・5〜10重量%のアルミニウム
・80〜93重量%のニッケル
を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ラネーニッケル型触媒が
・1.5〜3重量%のクロム
・1〜4重量%の鉄
・5〜7重量%のアルミニウム
・86〜92.5重量%のニッケル
を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒を、9〜11のpH及び30〜50重量%の濃度範囲を有する塩基性の水性懸濁液の状態で反応器に導入することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
金属の重量対式(I)の化合物の重量の比で表される前記水素化触媒の使用量が1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記水素化反応を180℃〜250℃、好ましくは190℃〜220℃の間で選択される温度で実施することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
水素圧力が18〜30bar、好ましくは20〜25barの範囲にあることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
式(I)(式中、YはOR基を表す。)に相当するテルペニルフェノールの水素化反応の間に形成されたアルコールROHを除去することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2012−524749(P2012−524749A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506477(P2012−506477)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055245
【国際公開番号】WO2010/122043
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】