説明

テルミサルタン及び利尿剤を含有する二層錠剤

【課題】本発明は、溶解錠剤マトリックス中に分散する3〜50質量%のテルミサルタンを含む第一層、及び崩壊錠剤マトリックス中に利尿剤を含む第二層を含有する二層医薬錠剤ならびにその製造方法に関する。
【解決手段】成分の総量が100%となる
(a) 基本薬剤:テルミサルタンのモル比が1:1〜10:1の基本薬剤
(b) 最終組成物の約1〜20質量%の界面活性剤又は乳化剤
(c) 25〜70質量%の水溶性希釈剤、及び
(d) 任意に0〜20質量%のさらなる賦形剤及び/又は補助薬
を含有する溶解マトリックス中に分散した、3〜50質量%のテルミサルタンを含む第一層、及び崩壊錠剤マトリックス中に利尿剤を含む第二層を含有する二層医薬錠剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、例えば、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)のような利尿剤と結合した顆粒状又は粉末状のアンギオテンシンII受容体拮抗薬テルミサルタンを含有する、代替二層(bilayer)医薬錠剤製剤に関する。さらに、本発明は前記二層錠剤の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
INNテルミサルタンは、EP-A-502314に開示されるとおり、高血圧及び他の医学的兆候の治療のために開発されたアンギオテンシンII受容体拮抗薬である。化学名は、4'-[2-n-プロピル-4-メチル-6-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)-ベンゾイミダゾール-1-イルメチル]-ビフェニル-2-カルボン酸であり、以下の構造を有する。
【化1】

テルミサルタンは一般に生産され、遊離酸型で供給される。WO00/43370に開示されるとおり、結晶性(crystalline)テルミサルタンが、異なる融点を有する二つの多形体型において存在する。熱と湿気の影響下で、より低温で融解する多形体Bは、より高温で融解する多形体Aへ不可逆的に変形する。両型は、pH1〜7間の胃腸管の生理的pH範囲で、水溶液系中の非常に乏しい溶解性によって特徴づけられる。
【0003】
テルミサルタンは、Micardis(登録商標)という商品名で市場にて入手できる。遊離酸型から開始する、市場投入されたテルミサルタンは、高価な噴霧乾燥工程を用いて生産する。遊離酸型は溶解性に乏しいため、代替テルミサルタン製剤の調製は困難である。
アミロライド、クロロタリドン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド及びピレタニドといった利尿剤は、浮腫及び高血圧の治療において使用される治療剤である。高血圧の処置において相乗的な治療効果を実現するため、場合により異なる作用方式に基づいて作用する高血圧治療剤と結合する。好ましい利尿剤はヒドロクロロチアジド(HCTZ)である。HCTZの化学名は6-クロロ-3,4-ジヒドロ-2H-1,2,4-ベンゾチアジアジン-7-スルホンアミド-1,1-二酸化物であり、以下の構造を有する。
【化2】

本発明の目的は、テルミサルタン、及び十分な安定性を兼ね備えた、必要とされる急速な溶解及び速やかな薬剤放出特性を呈するHCTZのような利尿剤を含有する、固定投与量併用薬剤(fixed dose combination drug)を提供することである。概して、速やかな放出を意図した薬剤の固定投与量併用は、必要な賦形剤との粉末混合物の生成又は二つの有効成分の共顆粒化(co-granulate)によって調製され、通常対応する単一薬剤の基本製剤調製を維持し、第二薬剤成分を加えるのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/028505号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テルミサルタン及びHCTZの結合に伴い、この研究方法は、例えば従来のテルミサルタン製剤の成分であるメグルミン(N-メチル-D-グルカミン)のような基本化合物とHCTZの不相溶性、及び崩壊錠剤マトリックスからの溶解と比較した、溶解マトリックスからのHCTZの溶解率低下によって、実行不可能であった。
不相溶性の課題を克服するいくつかの生薬の研究方法(galenical approaches)が調査されてきた。古典的な研究方法は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリビニルピロリドンのような水溶性ポリマーを含むポリマー溶液で、流動床粒化機においてHCTZ粒子を被覆する方法であり、それによって混合及び圧縮の間、HCTZ粒子とテルミサルタン製剤との接触表面範囲が減少する。けれども、これらの手段により、圧縮した錠剤におけるテルミサルタン製剤とHCTZの接触範囲を、十分な程度まで減少させ、任意の長期貯蔵寿命を獲得することが不可能であった。その上、テルミサルタン製剤における被覆されたHCTZを含有する錠剤からのHCTZの溶解率は、ポリマーのゲル形成特性によってさらに減少した。
【0006】
もう一つの研究方法は、テルミサルタン及びHCTZ用の分離した被膜被覆錠剤を、カプセルに充填できる大きさ及び形で製造することであった。投与量を2〜4の個々の小さな錠剤をテルミサルタンに、1〜2の小さな錠剤をHCTZへ分けることにより、サイズ1〜0の長さのカプセルに充填できる。しかしながら、この研究により、テルミサルタンの薬剤溶解率は、大きなカプセルの外殻のタイムラグ効果により、単一の場合と比べ減少した。その上、患者の服用遵守と関連して、長さがゼロのカプセルは信頼できないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の簡単な要約)
本発明に従って、テルミサルタン及び利尿剤を含有する固定投与量併用薬剤の調製における従来の研究に関連した上記の課題は、
(a) 基本薬剤:テルミサルタンのモル比が1:1〜10:1の基本薬剤
(b) 最終組成物の約1〜20 質量%の界面活性剤又は乳化剤
(c) 25〜70質量%の水溶性希釈剤、及び
(d) 任意に質量0〜20%のさらなる賦形剤及び/又は補助薬
を含有する溶解錠剤マトリックス中に分散した3〜50質量%のテルミサルタンを含む第一層、及び崩壊錠剤マトリックス中に利尿剤を含む第二錠剤層を含有する、二層医薬錠剤により解決しうる。
本発明に従った二層錠剤は、不十分な水溶性テルミサルタンの十分なpH-独立溶解を提供し、それにより薬剤の溶解を生理的なpHレベルにおいて容易にし、同様に急速な崩壊マトリックスからの速やかな利尿剤の放出を提供する。同時に、二層錠剤構造は、テルミサルタン製剤の基本的構成要素を伴うHCTZのような利尿剤の不相溶性が原因となる、安定性の課題を克服する。
さらなる局面において、本発明は、本発明に従った二層錠剤の製造過程に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
WO2004/028505により、テルミサルタンの溶解性は、
(a) 基本薬剤:テルミサルタンのモル比が1:1〜10:1の基本薬剤
(b) 最終組成物の約1〜20 質量%の界面活性剤又は乳化剤
(c) 25〜70質量%の水溶性希釈剤、及び
(d) 任意に0〜20質量%の賦形剤及び/又は補助薬
を含有する溶解マトリックス中に分散した3〜50質量%のテルミサルタンを含有する医薬組成物による、数百の要因によって引き上げることができ、成分の総量は100%になる。
【0009】
従来のテルミサルタン製剤の成分であるメグルミンのような基本化合物を伴う、HCTZのような利尿剤の既知の不相溶性の課題は、本発明に従った二層錠剤を調製することにより解決でき、制御下で不相溶性を保つ。
「溶解錠剤マトリックス」という用語は、生理的水溶性媒質へ容易に溶解する速やかな放出(急速な溶解)特性を有する医薬錠剤基本(base)製剤を意味する。
有効成分テルミサルタンは、医薬上許容される塩が使用されるが、一般にその遊離酸型で供給される。さらなる過程における湿潤及び溶解を容易にするため、例えばふるいにかけるなどして、出発材料から塊りを除去することが好ましい。
【0010】
実質的に、非結晶テルミサルタンは当業者に知られた好適な方法により製造することができ、例えば、水溶液を冷凍乾燥し、流動床における担体粒子の被覆及び糖ペレット又は他の担体における溶媒堆積などが挙げられる。しかしながら、好ましくは、テルミサルタンは流動床顆粒化などの従来の湿潤顆粒化方法によって調製する。
好適な基本薬剤の特定の例は、NaOH及びKOHのような水酸化アルカリ金属、さらにNaHCO3、KHCO3、Na2CO3、K2CO3、Na2HPO4、K2HPO4、アルギニンのような塩基性アミノ酸、及びメグルミン(N-メチル-D-グルカミン)である。
【0011】
界面活性剤及び乳化剤はイオン又は非イオンであり、後者が好ましい。界面活性剤及び乳化剤の特定の例はポロキサマー(poloxamers)又はプルロニック、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエトキシレート化(polyethoxylated)及び水素化ヒマシ油等である。
ポロキサマー又はプルロニックに関して、非イオン界面活性剤及び乳化剤として好適であると、参考のために組み込まれたThe Merck Index、12thedition、1996に定義されている。好適なポロキサマーは約2,000〜12,000の平均分子量を有し、好ましくは4,000〜10,000、より好ましくは6,000〜10,000、最も好ましくは8,000〜9,000である。特定のポロキサマーの例はポロキサマー182LF、ポロキサマー331及びポロキサマー188である。
【0012】
好適な水溶性希釈剤の特定の例は、炭水化物、例えば、グルコースのような単糖、スクロースのようなオリゴ糖、及びエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、リビトール及びキシリトールのような糖アルコールである。マンニトール、エリトリトール、ソルビトール及びスクロースが好ましい希釈剤である。
他の賦形剤及び/又は補助薬は、例えば、結合剤、担体、潤滑剤、流量制御剤、結晶化抑制剤、可溶化剤及び着色剤から選択される。
【0013】
結合剤は、乾燥結合剤の群及び/又は湿潤顆粒化結合剤の群から選択され、医薬組成物のために選ばれた生産過程に左右される。好適な乾燥結合剤は、例えば、セルロース粉末、結晶性セルロース、微結晶性セルロース(microcrystalline cellulose)又は軽質(light)無水ケイ酸等である。湿潤顆粒化結合剤の特定の例は、トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(コポビドン)及びヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体である。
【0014】
好適な崩壊剤は、例えば、グリコール酸澱粉ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び乾燥トウモロコシ澱粉である。
【0015】
他の賦形剤及び補助薬は、使用する場合、好ましくはセルロース粉末、結晶性セルロース又は微結晶性セルロース、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、二塩基性リン酸カルシウム、トウモロコシ澱粉、予めゼラチン化された澱粉、ポリビニルピロリドン(ポビドン)等の希釈剤及び担体、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、グリセロールトリべへナート等の潤滑剤、コロイド状シリカ、軽質無水ケイ酸、結晶性セルロース、滑石等の流量制御剤、ポビドン等の結晶化抑制剤、染料及び赤又は黄酸化鉄のような顔料、二酸化チタン、滑石等を含む着色剤、及び二以上のこれら賦形剤及び/又は補助薬の混合物から選択される。
【0016】
本発明に従ったテルミサルタンを含む第一錠剤層は、4.4mg/100mLより高い濃度までの不十分な水溶性テルミサルタンの可溶化を提供し、それによって生理的なpHレベルでの薬剤の溶解を容易にし、また急速な崩壊マトリックスからの速やかな放出を提供する。
成分 (b)、界面活性剤又は乳化剤の存在は、本発明に従った二層錠剤層調製のための噴霧乾燥の代わりである、流動床顆粒化のような簡素化した生産過程を使用するためと同様、有効成分の溶解を達成するために重要である。
好ましい実施例において、本発明に従った医薬組成物は、
(a) 基本薬剤:テルミサルタンのモル比が1.5:1〜5:1の基本薬剤
(b) 最終組成物の約1〜10質量%の非イオン性界面活性剤又は乳化剤
(c) 35〜60質量%の水溶性希釈剤、及び
(d) 任意に0〜20質量%のさらなる賦形剤及び/又は補助薬
を含有する溶解マトリックス中に分散したテルミサルタン10〜35質量%を含有し、成分の総量は100%になる。
上記に言及したすべての特定の成分(a)〜(d)は好ましい実施例において使用することができるのに対し、
・好ましい基本薬剤がNaOH、KOH、アルギニン及びメグルミンであり、
・好ましい非イオン性界面活性剤又は乳化剤がポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリエトキシレート化及び水素化ヒマシ油から選択され、
・好ましい水溶性希釈剤がスクロース、エリトリトール、ソルビトール、マンニトール及びキシリトールから選択され、及び、
・好ましい任意のさらなる賦形剤及び/又は補助薬は、結晶性セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル-セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマー、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、コロイド状シリカ、滑石、ポビドン及び着色剤から選択される。
【0017】
より好ましい実施例において、本発明に従った医薬組成物は、
(a) 基本薬剤:テルミサルタンのモル比が2.1:1〜3:1である基本薬剤
(b) 最終組成物の約2〜7質量%の非イオン性界面活性剤又は乳化剤
(c) 35〜50質量%の水溶性希釈剤、及び
(d) 任意に0〜20質量%のさらなる賦形剤及び/又は補助薬
を含有する溶解マトリックス中に分散したテルミサルタン15〜25質量%を含有し、成分の総量は100%になる。
上記に言及したすべての特定の成分(a)〜(d)はより好ましい実施例において使用することができるのに対し、
・最も好ましい基本薬剤がメグルミンであり、
・最も好ましい非イオン性界面活性剤がポロキサマーから選択され、
・最も好ましい水溶性希釈剤がマンニトール、エリトリトール、ソルビトール及びスクロースから選択され、及び
・最も好ましい任意のさらなる賦形剤及び/又は補助薬は、結晶性セルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムから選択される。
本発明のいずれの実施例においても、1以上の非イオン性界面活性剤又は乳化剤、水溶性希釈剤及び賦形剤及び/又は補助薬が存在しうる。
【0018】
第二錠剤層組成物は、急速な崩壊錠剤マトリックス中に利尿剤を含む。好ましい実施例において、崩壊錠剤マトリックスは充填剤、結合剤、崩壊剤及び任意に他の賦形剤及び補助薬を含有する。利尿剤は通常、任意に細かく粉砕、釘粉砕(peg-milled)又は微粉化した形である細かい結晶性粉末として用いられる。例えば、ヒドロクロロチアジドの粒経分布は、乾燥分散システム(Sympatec Helos/Rodos, 焦点距離100mm)におけるレーザー光散乱法により測定されるように、好ましくは以下のとおりである。
d10:=20μm、好ましくは2〜10μm
d50: 5〜50μm、好ましくは10〜30μm
d90: 20〜100μm、好ましくは40〜80μm
【0019】
充填剤は、好ましくはD-マンニトール、エリトリトール(erytthritol)、無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース及び一水化物ラクトースから選択される。
結合剤は、乾燥結合剤の群、及び/又は湿潤顆粒化結合剤の群から選択され、第二錠剤層に選ばれる生産過程に左右される。好適な乾燥結合剤は、例えば、セルロース粉末及び微結晶性セルロース等である。湿潤顆粒化結合剤の特定の例は、トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(コポビドン)及びヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル-セルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体である。
【0020】
好適な崩壊剤は、例えば、グリコール酸塩ナトリウム澱粉、クロスポビドン、クロスカルメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び乾燥トウモロコシ澱粉であり、グリコール酸塩ナトリウム澱粉が好ましい。
他の賦形剤及び補助薬は、使用される場合、好ましくはセルロース粉末、微結晶性セルロース、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、二塩基性リン酸塩カルシウム、トウモロコシ澱粉、予めゼラチン化した澱粉、ポリビニルピロリドン(ポビドン)等のような希釈剤及び担体、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸塩ナトリウム、グリセロールトリベヘナート等のような潤滑剤、コロイド状シリカ、滑石等のような流量制御剤、ポビドン等のような結晶化抑制剤、プルロニック、ポビドン等のような可溶化剤、染料及び赤又は黄酸化鉄のような顔料、二酸化チタン、滑石等を含む着色剤、クエン酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム、第二リン酸ナトリウム(dibasic sodium phosphate)等のようなpH制御剤、プルロニック、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエトキシレート化及び水素化ヒマシ油等のような界面活性剤及び乳化剤、及び2以上のこれらの賦形剤及び/又は補助薬の混合物から選択される。
【0021】
第二錠剤層組成物は一般に1.5〜35質量%、好ましくは2〜25質量% の有効成分、25〜85質量%、好ましくは35〜75質量% の充填剤、1〜40質量%、好ましくは10〜30質量% の結合剤、0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量% の湿潤顆粒化結合剤、及び1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%の崩壊剤を含有する。他の賦形剤及び/又は補助薬は、一般に第一錠剤層組成物と同量で使用される。
このようにして得られた錠剤は、さらに従来の技術を用いて加工され、例えば、最終製剤の溶解特性へマイナスに影響しない、当業者に知られた好適な被膜を用いて被膜できる。例えば、錠剤は、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート及び核錠上のポリエチレングリコールのような可塑剤を加えた高分子(polymeric)メタクリル酸のような被膜形成ポリマーによって、水分保護のための被膜被覆を供給されうる。ポリマーは水溶性であるが、溶液の速度は核錠水分保護の余裕があるほど遅い。同様の水溶性及び同程度の水分保護の供給を提供する他のポリマーも使用しうる。
その上、被覆が投与形の崩壊/溶解に実質的な効果を有することなく、被覆された投与量の形が生理化学的に安定しているという条件で、蜜蝋、セラック、セルロースアセテートフタル酸塩、ポリビニルアセテートフタル酸塩、ゼインのような薬剤は、ポリエチレングリコールのような可塑剤を加えた好適な溶媒へ溶解され、錠剤へ適用されうる。
投与形が被覆された後、糖被覆が密閉した医薬的投与形に適用しうる。糖被覆はスクロース、デキストロース、ソルビトール等又はその混合物を含有する。任意で、着色剤又は乳白剤が糖溶液へ加えられる。
【0022】
流量制御剤は、好ましくは本発明に従った錠剤製剤の製造のため添加しない。なぜなら、これらの薬剤は、錠剤製造において使用される高圧縮との併用で、錠剤の溶解又は崩壊を悪化させるためである。従って、錠剤製剤において、さらなる賦形剤及び/又は補助薬の含有量は好ましくは低い範囲にあり、例えば最終製剤の0.1〜5質量%の範囲、好ましくは0.3〜2質量%であり、低量の潤滑剤のみ存在しうるべきであるからである。
【0023】
本発明に従った二層錠剤は、一般的に10〜160mg、好ましくは40〜80mgのテルミサルタン、5〜50mg、好ましくは6.25〜25mgの利尿剤を含む。現在、好ましい形は40/6.25mg、40/12.5mg、80/12.5mg及び80/25mgのテルミサルタン及びHCTZをそれぞれ含有する二層錠剤である。
例えば、本発明に従ったテルミサルタン層の全組成は、基本医薬組成物と上述の比例した組成が満たされるという条件で、以下の範囲内において異なる。
テルミサルタン10〜160mg;
メグルミン又はアルギニン10〜160mg、又は
NaOH2〜33mg、又は
KOH3〜46mg、又は
NaHCO3、KHCO3、Na2CO3、K2CO3、Na2HPO4又はK2HPO44〜80mg、
非イオン性界面活性剤又は乳化剤2〜100mg、
水溶性希釈剤20〜400mg、及び
さらなる賦形剤及び/又は補助薬0〜80mg、
好ましくは
テルミサルタン20〜80mg、
メグルミン10〜90mg、又は
NaOH4〜16mg、又は
KOH6〜23mg、
ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリエトキシレート化及び水素化ヒマシ油、特に好ましくはポロキサマーから選択される非イオン性界面活性剤又は乳化剤2〜40mg、 グルコース、スクロース、エリトリトール、ソルビトール、マンニトール及びキシリトールから選択される水溶性希釈剤40〜200mg、又は
結晶性セルロース、軽質無水ケイ酸、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル-セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸塩ナトリウム、コロイド状シリカ、滑石、ポビドン及び着色剤から選択される、さらなる賦形剤及び/又は補助薬0.1〜40mg、
及び最も好ましくは
テルミサルタン40〜80mg、
メグルミン20〜80mg、
ポロキサマー、特に好ましくはポロキサマー188から選択される非イオン性界面活性剤又は乳化剤5〜30mg、
マンニトール、エリトリトール、ソルビトール及びスクロースから選択される水溶性希釈剤70〜180mg、及び
結晶性セルロース、軽質無水ケイ酸及びステアリン酸マグネシウムから選択される、さらなる賦形剤及び/又は補助薬0.1〜20mgである。
【0024】
HCTZは、本発明に従ったテルミサルタン錠剤製剤の成分である基本薬剤と不相溶である。この課題は、発明の第一局面下で、上述の医薬組成物から調製された錠剤層を含む第一テルミサルタン、及び崩壊錠剤マトリックスにおける利尿剤を含む第二錠剤層を含有する二層医薬錠剤によって克服することができる。
第二錠剤層組成物は一般的に、1.5〜35質量%、好ましくは2〜25質量%の有効成分; 25〜85質量%、好ましくは35〜75質量%の充填剤;10〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の乾燥結合剤;0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%の湿潤顆粒化結合剤;及び1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%の崩壊剤を含有する。他の賦形剤及び補助薬は、一般的に第一錠剤層組成物と同量で使用される。充填剤はD-マンニトール、エリトリトール、無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース及び一水化物ラクトースから選択されうる。
本発明の錠剤は吸湿性が極めて低くなる傾向があり、PVC-ブリスター、PVC/PVDC-ブリスター又はアルミホイルブリスターパック、ポリプロピレンチューブ、ガラス瓶及びHDPE瓶のような防湿性包装材料で包装しうる。
【0025】
本発明のさらなる目的は、以下の二層錠剤を製造する方法に向けられている。本発明に従ったテルミサルタンを含有する錠剤層は、例えば、水溶液の凍結乾燥、流動床における担体粒子の被覆、及び糖ペレット又は他の担体上の溶媒堆積など、当業者に知られた好適な方法で調製することができる。しかしながら、好ましくは、医薬組成物は例えば流動床顆粒化方法(A)、又は代案として、以下に明細に記載される噴霧乾燥方法(B)といった顆粒化方法を用いて調製される。より複雑でなく、費用のかからない流動床顆粒化方法(A)が好ましい。
【0026】
次の処理のテルミサルタンが正常に溶解し、実質的に非結晶形に変形する間、初期の結晶形態及び粒経は、得られた医薬組成物の物質的及び生物薬剤学的特性にとってほとんど重要でない。
第一の実施例において、流動床顆粒化方法(A)は本発明に従った医薬組成物の調製のために使用でき、以下の工程に特徴づけられる。
(i) 水溶液としての顆粒化液体を、水またはエタノール及び水の混合溶液へ、以下の成分と共にテルミサルタン3〜50質量%を溶解することにより調製する工程
(a) 基本薬剤:テルミサルタンのモル比が1:1〜10:1における基本薬剤
(b) およそ1〜20質量%の量の非イオン性界面活性剤又は乳化剤
(ii) 予めの混合工程を含め、任意に10〜20質量%の乾燥結合剤と共に、25〜70質量%の水溶性希釈剤を流動床造粒機へ設置する工程
(iii) 造粒機に設置された成分上に噴霧するための顆粒化液体を使用した流動床顆粒化を実行する工程
(iv) 顆粒化の完成後得られた顆粒を乾燥及び、任意にふるいにかける工程
(v) 最終組成物を調製するため、さらなる賦形剤及び/又は補助薬と顆粒を任意に配合する工程、及び
(vi) こうして得られた顆粒を、限定された粒経分布の粉末状組成物を製造するため、任意に粉砕する工程
また、すべての所定の百分率量(percentage amounts)は調製される最終組成物に関する。
【0027】
特定の成分及び比例する量に関する方法の好ましい実施例は、発明の第一局面に関して以下に開示するものに完全に一致する。
工程(ii)の予め混合する工程において、約60〜120℃の温度の空気入口が使用されうる。
顆粒化工程(iii)において、約80〜100℃の温度の入口が使用されうる。
噴霧率は、バッチサイズと同様に使用される造粒機の型に大きく左右され、当業者によって慣例により調整しうる。単に例えると、400〜1000mL/分の噴霧率は、200kgの顆粒バッチに好適である。より低い又は高い噴霧率が同様に使用されうる。
工程(iv)の乾燥工程において、約60〜120℃の温度の入口、及び約1〜30分の乾燥の継続時間が使用されうる。
工程(iv)のふるいにかける工程において、メッシュサイズが0.5〜3mmのふるいが好適である。
任意な粉砕工程(vi)は、当業者によって慣例的に実行されうる。
【0028】
第二の実施例において、噴霧乾燥工程(B)は本発明に従った医薬組成物の調製のために使用でき、以下の工程に特徴づけられる。
(i) 水溶性噴霧溶液を、水またはエタノール及び水の混合溶液へ、以下の成分と共に3〜50質量%のテルミサルタンを溶解することにより調製する工程
(a) 基本薬剤:テルミサルタンのモル比が1:1〜10:1である基本薬剤
(b) およそ1〜20質量%の量の非イオン性界面活性剤又は乳化剤
(ii) 前記水溶性噴霧溶液を噴霧乾燥し、噴霧乾燥顆粒を得る工程
(iii) 前記噴霧乾燥顆粒を25〜70質量%の水溶性希釈剤と混合し、予めの混合物を得る工程
(iv) 任意に、前記予めの混合物を潤滑剤と混合する工程
(v) 任意に、さらなる賦形剤及び/又は補助薬を工程(i)〜(iv)のいずれかに加える工程
また、すべての所定の百分率量は調製される最終組成物に関する。
【0029】
こうして得られた粉末状の組成物における、特別な粒経分布を調節する必要がある場合、従来の粉砕工程が適用され、好ましくは工程(iv)に従った潤滑剤の任意の添加の前である。さらに、粉末状の組成物は、従来の顆粒化技術を適用する顆粒状の組成物に変換しうる。
特定の成分及び比例する量に関する方法の好ましい実施例は、発明の第一局面に関して以下に開示するものに完全に一致する。
方法(B)の好ましい実施例において、テルミサルタンの水溶性アルカリ溶液は、有効成分を、水酸化ナトリウム又はメグルミンのような1以上の基本薬剤の助けを借りて、水またはエタノール及び水の混合溶液へ溶解することにより調製する。任意に再結晶抑制剤が添加されうる。出発水溶液の乾物含量は、一般的には10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%である。
【0030】
水溶液はその後室温又は好ましくは、噴霧圧力が例えば1〜4バールの並流又は向流噴霧乾燥器で、例えば50及び100℃の間で上昇する温度にて噴霧乾燥する。概して、噴霧乾燥状態は好ましくは残留湿度が5質量%、好ましくは3.5質量%である噴霧乾燥顆粒が分離サイクロンにおいて得られるような方法で選ばれる。そのために、噴霧乾燥器の空気出口温度は、噴霧圧力、噴霧率、空気入口温度等の他の方法パラメータが相応に調整されるに限り、好ましくは80及び90℃の間の数値で保たれる。
得られた噴霧乾燥顆粒は、好ましくは以下の粒経分布を有する細かい粉末である。
d10: =20μm、好ましくは=10μm
d50: =80μm、好ましくは20〜55μm
d90: =350μm、好ましくは50〜150μm
噴霧乾燥後、噴霧乾燥顆粒に含まれた賦形剤と同様有効成分(テルミサルタン)は、検出可能な結晶性のない、実質上の非晶状態にある。物質的観点から、噴霧乾燥顆粒は凝固溶液又は好ましくは>50℃、より好ましくは>80℃のガラス転移温度Tgであるガラスである。
【0031】
潤滑剤は、最終組成物の質量に基づき、一般的に0.1〜5質量%、好ましくは0.3〜2質量%の量で予めの混合物に添加する。
混合は二段階において実行され、つまり、第一の混合工程においては、噴霧乾燥顆粒及び希釈剤を、例えば高せん断混合機又は自由落下配合機を用いて混合し、及び第二の混合工程においては、潤滑剤を好ましくはまた高せん断の状態下で予めの混合物と配合する。
しかしながら、本発明の方法はこれらの混合手順に限定されず、一般的に、代替の混合手順が、中間ふるいを伴う容器混合などの混合手順を含有する方法の、いずれの工程においても用いることができる。
方法(A)又は(B)により得られた異なる組成物の顆粒のバッチは、対象の組成物を調整するため合わせて配合でき、必要な場合、例えば好適なカプセル充填機を用いたカプセルへの充填、又は好適な錠剤輪転機を用いた直接圧縮等、さらなる処理のための最終組成物を使用/摂取できる最終製剤へ調整するため、その上潤滑剤のようなさらなる賦形剤及び/又は補助薬と配合できる。
【0032】
直接圧縮のため、最終組成物は構成要素成分の乾燥混合、例えば高輝度混合機又は自由落下配合機によって調製されうる。一方、最終組成物は、湿潤顆粒化結合剤の水溶液を予めの混合物に添加し、続いて得られた湿潤顆粒を、例えば流動床乾燥器又は乾燥チャンバーにおいて乾燥する湿潤顆粒化技術を用いて調製されうる。乾燥した混合物をふるいにかけ、その後、例えばタンブリング混合機又は自由落下配合機を用いて潤滑剤を混ぜ、圧縮のための組成物が準備できる。
本発明の第二の局面下で言及した二層錠剤は、以下の方法により調製できる。
(i) 以下に記載された流動床顆粒化方法(A)又は噴霧乾燥(B)の使用により、テルミサルタンを含有する第一錠剤層組成物を提供する工程
(ii) a) 利尿剤を崩壊錠剤マトリックス、及び任意にさらなる賦形剤及び/又は補助薬の構成要素と混合、顆粒化、乾燥及びふるいにかけ、
(b) 潤滑剤を混ぜ、第二錠剤層のための最終配合を得る
ことにより、第二錠剤層組成物を提供する工程
(iii) 第一又は第二錠剤層組成物を錠剤プレス機へ導入する工程
(iv) 前記錠剤層組成物を圧縮し、錠剤層を形成する工程
(v) 他の錠剤層組成物を錠剤プレス機へ導入する工程、及び
(vi) 両錠剤層組成物を圧縮し、二層錠剤を形成する工程。
【0033】
本発明に従った二層錠剤の調製のため、第一及び第二錠剤層組成物は、例えば二層錠剤化方式における高速輪転機等二層錠剤プレスにおいて、通常の方法によって圧縮できる。
しかしながら、第一錠剤層へ過度の圧縮力を費やさないよう注意しなければならない。好ましくは、第一錠剤層を圧縮する間に適用される圧縮力:第一及び第二錠剤両層を圧縮する間に適用される圧縮力の比率は、1:10〜1:2の範囲である。例えば、第一錠剤層は1〜10kNの適度な力で圧縮できるのに対し、第一その上第二層の主な圧縮は8〜30kNの力で行われる。
【0034】
二層錠剤圧縮の間、二つの層の間の十分な結合形成は、距離引力(分子間力)及び粒子間の機械的連結により達成する。
第一及び第二錠剤層間の交差汚染を防止するため(HTCZの分解につながる)、顆粒残留物は、錠剤化の間、錠剤化チャンバー内のダイテーブル(die table)の強力な吸気によって、注意深く除去しなければならない。
得られた二層錠剤は有効成分を急速に放出し、主としてpH-独立形式であり、60分間未満以内に発生する完全な放出及び45分間未満以内に発生する主要画分の完全な放出を伴う。二層錠剤の溶解/崩壊速度論は異なる方法で制御されうる。例えば、双方の層は同時に溶解/崩壊しうる。しかしながら、好ましくは、利尿剤を含む第二錠剤層は最初に崩壊するのに対し、テルミサルタンを含む第一錠剤層は平行に又はその後に溶解する。通常、薬の負荷量の少なくとも80%、及び典型的に少なくとも90%が45分間後に溶解する。
本発明をさらに例証するため、以下の制限のない実施例が挙げられる。
【実施例】
【0035】
(実施例)
実施例1:製剤例 テルミサルタン+HCTZ
(表1)

【0036】
実施例2:T40+H12.5FDCの製造例
1.テルミサルタン層
1.1 顆粒化液体又は噴霧溶液
精製水約10.8kgを、20〜40℃間の温度でステンレススチール容器へ計量した。続いて、ポロキサマー188(ポリオキシエチレン[160]ポリオキシプロピレン[30]グリコール)0.96kg、メグルミン4.8kg及びテルミサルタン4.8kg(多形体A及びBの混合物)を精製水へ実質上透明な溶液が得られるまで強く攪拌し溶解した。総量は約18Lであった。
1.2 顆粒化、乾燥及びふるいにかける
D-マンニトール9.66kg及び黄酸化鉄16.8g(黄酸化鉄は予めふるっておいた)を、顆粒化液体21.36kg(乾燥質量10.56kgを含む)を噴霧した流動床造粒機へ設置した。その後、精製水約0.5Lで噴霧し、乾燥工程及びふるいにかける工程へ続いた。
プロセスデータ 予めの混合:
空気入口温度:80〜100℃
予めの混合終了:Gut温度約65℃
プロセスデータ 顆粒化:
空気入口温度:80〜100℃
噴霧率:50〜300g/分
プロセスデータ 乾燥工程:
空気入口温度:80〜100℃
乾燥終了:Gut温度70℃以上
乾燥期間:約5分間
プロセスデータ ふるいにかける工程:
顆粒を、例えば1.5mmのメッシュサイズの振動又は共粉砕(comil)ふるい機を用いて、ふるいにかけた。
1.3 錠剤製剤の調製のための最終混合
ふるいにかけた顆粒の20.2368kg2バッチを、10〜20分間に10rpm回転する好適な混合機を用いて混合し、約15分間に10rpm回転する好適な混合機を用いて最終混合物を生産し、最終的にステアリン酸マグネシウム360gと配合する混合バッチ40.4736kgを得た。
【0037】
2.HCTZ層
2.1 顆粒化液体又は噴霧溶液
精製水約9kgを好適なステンレススチール容器へ計量した。続いて、HPC-L0.72kgを精製水へ実質上透明な溶液が得られるまで強く攪拌し溶解した。
2.2 顆粒化、乾燥又はふるいにかける
HCTZ3kg、D-マンニトール10.32kg、結晶性セルロース2.64kg及び黄酸化鉄16.8g(黄酸化鉄は予めふるっておいた)を、顆粒化液体9.72kg(乾燥質量0.72kgを含む)を噴霧した流動床造粒機へ設置した。その後、精製水約0.5Lで噴霧し、乾燥工程及びふるいにかける工程へ続いた。
プロセスデータ 予めの混合:
空気入口温度:80〜100℃
予めの混合終了:Gut温度約60℃
プロセスデータ 顆粒化:
空気入口温度:80〜100℃
噴霧率:200〜400g/分
プロセスデータ 乾燥工程:
空気入口温度:80〜100℃
乾燥終了:Gut温度70℃以上
プロセスデータ ふるいにかける工程:
顆粒は、例えば1.5mmのメッシュサイズの振動又は共粉砕ふるい機を用いて、ふるいにかけた。
2.3 錠剤製剤の調製のための最終混合
ふるいにかけた顆粒の16.6968kgバッチを、15分間に10rpm回転する好適な混合機を用いて最終混合物を生産し、ステアリン酸マグネシウム120gと混合した。
【0038】
3. 錠剤圧縮
好適な回転錠剤プレス機(つまり、二層及び/又は三層錠剤プレス機)を用いて、錠剤圧縮のためのテルミサルタン層及びHCTZ層の最終混合物を二層錠剤へ圧縮した。目的質量は、T40+H12.5FDCにつき約240mgであった。
T40+H12.5FDCの錠剤化のプロセスパラメータ:

錠剤硬度は主要圧縮力の変動に適合しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分の総量が100%となる
(a) 基本薬剤:テルミサルタンのモル比が1:1〜10:1の基本薬剤
(b) 最終組成物の約1〜20質量%の界面活性剤又は乳化剤
(c) 25〜70質量%の水溶性希釈剤、及び
(d) 任意に0〜20質量%のさらなる賦形剤及び/又は補助薬
を含有する溶解マトリックス中に分散した、3〜50質量%のテルミサルタンを含む第一層、及び崩壊錠剤マトリックス中に利尿剤を含む第二層を含有する二層医薬錠剤。
【請求項2】
溶解錠剤マトリックスが速やかな放出特性を有する、請求項1記載の二層医薬錠剤。
【請求項3】
溶解マトリックスの基本薬剤がNaOH及びKOHのような金属水酸化物であり、又はNaHCO3, KHCO3, Na2CO3, K2CO3, Na2HPO4, K2HPO4、アルギニンのような塩基性アミノ酸、及びメグルミン(N-メチル-D-グルカミン)から選択される、請求項1記載の二層医薬錠剤。
【請求項4】
界面活性剤及び乳化剤がポロキサマー又はプルロニック、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエトキシレート化及び水素化ヒマシ油から選択される、請求項1記載の二層医薬製剤。
【請求項5】
溶解マトリックスの水溶性希釈剤が、炭水化物、例えば、グルコースのような単糖、スクロースのようなオリゴ糖、及びエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、リビトール及びキシリトールのような糖アルコールから選択される、請求項1記載の二層医薬錠剤。
【請求項6】
溶解マトリックスの他の賦形剤及び/又は補助薬が、結合剤、担体、潤滑剤、流量制御剤、結晶化抑制剤、可溶化剤及び着色剤から選択される、請求項1記載の二層医薬錠剤。
【請求項7】
利尿剤を含む崩壊錠剤マトリックスが、充填剤、結合剤、崩壊剤及び、任意に他の賦形剤及び補助薬を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の二層医薬錠剤。
【請求項8】
他の賦形剤及び補助薬が担体、希釈剤、潤滑剤、流量制御剤、可溶化剤、着色剤、pH制御剤、界面活性剤及び乳化剤から選択される、請求項7に記載の二層医薬錠剤。
【請求項9】
10〜160mg、好ましくは20〜80mgのテルミサルタン、及び5〜50mg、好ましくは6.25〜25mgの利尿剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の二層医薬錠剤。
【請求項10】
利尿剤がヒドロクロロチアジドである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の二層医薬錠剤。
【請求項11】
請求項1に記載の第一錠剤層を調製するための流動床顆粒化方法。
【請求項12】
第一錠剤層を圧縮する間に適用される圧縮力:第一及び第二錠剤両層を圧縮する間に適用される圧縮力の比率が、1:10〜1:2の範囲である、請求項1に記載の二層錠剤の調製方法。

【公開番号】特開2013−82754(P2013−82754A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−23562(P2013−23562)
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2008−541736(P2008−541736)の分割
【原出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】