説明

テレビジョンチューナユニット

【課題】端子の数を減らして小型化を図ると共に、実使用状態での中間周波信号によるテレビジョン受信機内の他の回路への影響を無くす。
【解決手段】周波数変換して中間周波信号を出力するチューナ部4と、中間周波信号を復調して少なくとも音声信号を出力する復調部5と、チューナ部4及び復調部5を収納する枠体1と、枠体1に取り付けられて音声信号を外部に出力する端子3aとを備え、端子3aを、復調部5の音声信号出力端5bに接続すると共に、開閉手段7を介してチューナ部4の中間周波信号出力端4bに接続した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案はチューナ部と復調部とを有するテレビジョンチューナユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のテレビジョンチューナユニットを図4に従って説明する。図4は従来のテレビジョンチューナの内部構成を示し、金属製の枠体(ケース)30の一側板30aにはコネクタ31が取り付けられ、また、他の側板30bにはテレビジョン受信機本体のマザー基板(図示せず)に接続される複数の端子32が取り付けられる。枠体30内に収納された回路基板(図示せず)上にはチューナ部33、復調部34等が構成される。
【0003】
チューナ部33内には同調回路、周波数変換回路等が構成される。そして、コネクタ31を介してチューナ部33に入力されたテレビジョン信号は周波数変換回路によって中間周波信号に変換され、中間周波信号は中間周波信号出力端33aから出力される。チューナ部33から出力された中間周波信号はSAWフィルタ35を介して復調部34に入力される。また、中間周波信号の特性を外部の機器によってチェックする必要があることから、中間周波信号出力端33aは端子32aに接続される。
【0004】
復調部34は集積回路によって構成されており、入力された中間周波信号を復調して映像信号、音声信号等を出力する。これらの信号はそれぞれ端子32に出力されるが、音声信号は音声信号出力端34aに出力される。そして、音声信号出力端34aが抵抗36を介して端子32bに接続されると共に、抵抗37によってグランドに接続される。
【0005】
以上のように構成されたテレビジョンチューナユニットはその製造工程において各種の性能がチェックされる。そのため、テレビジョンチューナは測定用のジグ(図示せず)に装着され、各端子からジグの端子に信号が入力されるようになっている。そして、例えば中間周波信号の性能チェックにおいては中間周波信号が端子32aからジグに入力される。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
中間周波信号を外部に出力する端子32aは特性のチェックのために設けられており、実使用状態では使用されることが無い。よってこの端子を他の端子で代用できれば端子数を減らすことができる。また、実使用状態ではこの端子から常に中間周波信号が出力されているので、中間周波信号がテレビジョン受信機内の他の回路に影響を及ぼして妨害を起こすおそれがある。
【0007】
本考案は、端子の数を減らして小型化を図ると共に、実使用状態での中間周波信号によるテレビジョン受信機内の他の回路への影響を無くすことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、周波数変換して中間周波信号を出力するチューナ部と、前記中間周波信号を復調して少なくとも音声信号を出力する復調部と、前記チューナ部及び前記復調部を収納する枠体と、前記枠体に取り付けられて前記音声信号を外部に出力する端子とを備え、前記端子を、前記復調部の音声信号出力端に接続すると共に、開閉手段を介して前記チューナ部の中間周波信号出力端に接続した。
【0009】
また、前記開閉手段をダイオードで構成すると共に前記ダイオードのアノードに固定のバイアス電圧を印加し、エミッタが接地されると共にコレクタが給電抵抗を介してプルアップされたスイッチトランジスタを設け、前記スイッチトランジスタのコレクタと前記ダイオードのカソードとをインダクタンス素子によって相互接続した。
【0010】
また、前記チューナ部にはエミッタが前記中間周波信号出力端に接続されたエミッタフォロワトランジスタを設け、前記ダイオードのアノードを前記中間周波信号出力端に接続した。
【0011】
また、前記端子と前記復調部の音声信号出力端との間に抵抗を介挿した。
【0012】
【考案の実施の形態】
図面に従って本考案のテレビジョンチューナユニットを説明する。図1において、金属製の枠体(ケース)1の一側板1aにはコネクタ2が取り付けられる。また、他の側板1bにはテレビジョン受信機本体のマザー基板(図示せず)に接続される複数の端子3が取り付けられる。枠体1内に収納された回路基板(図示せず)上にはチューナ部4、復調部5等が構成される。
【0013】
チューナ部4内には同調回路、周波数変換回路、中間周波回路等が構成される。そして、コネクタ2を介してチューナ部4に入力されたテレビジョン信号は周波数変換回路によって中間周波信号に変換される。中間周波信号は中間周波回路に設けられたエミッタフォロワトランジスタ4aのエミッタから中間周波信号出力端4bに出力される。中間周波出力端4bはSAWフィルタ6の入力端に接続されると共に開閉手段であるダイオード7のアノードに接続される。SAWフィルタ6の出力端は復調部5の中間周波信号入力端5aに接続される。また、ダイオード7のカソードは端子3aに接続される。よって、ダイオード7のアノードにはエミッタフォロワトランジスタ4aのエミッタ電圧によって固定の値にバイアスされる。
【0014】
また、チューナ部4にはスイッチトランジスタ4cと制御端4dとが設けられ、スイッチトランジスタ4cのコレクタは給電抵抗4eを介して電源にプルアップされ、エミッタは接地される。そして、制御端4dがインダクタンス素子8によってダイオード7のカソードに接続される。よって、ダイオード7のカソードはスイッチトランジスタ4cのエミッタに直流的に接続される。一方、復調部5は映像信号、音声信号等を出力し、音声信号は音声信号出力端5bから出力される。音声信号出力端5bは抵抗9によって端子3aに接続されると共に、抵抗10によってグランドに接続される。
【0015】
なお、スイッチトランジスタ4cは必ずしもチューナ部4内に設ける必要はなく、チューナ部4の外部に独立して設けてもよい。また、端子3a以外の端子32はそれぞれの使用目的に対応してチューナ部4及び復調部5に接続される。
【0016】
以上の構成において、テレビジョンチューナユニットをテレビジョン受信機等に組み込んで実際に使用するときは、スイッチトランジスタ4cをオフにする。すると、ダイオード7のカソード電位が高くなってこれがオフとなり、図2に示すような接続関係が構成される。従って、端子3aには復調部5からの音声信号のみが出力される。このとき、端子32はインダクタンス素子8と給電抵抗4eとの直列回路によってプルアップされるので音声信号が減衰されることはない。
【0017】
一方、テレビジョンチューナユニットの製造工程において、中間周波信号の特性評価をする時には、スイッチトランジスタ4cをオンにする。すると、ダイオード7のカソード電位が低くなってこれがオンなり、図3に示すような接続関係が構成される。従って、端子3aはチューナ部4の中間周波信号出力端4aに接続されるので、中間周波信号は端子3aに出力される。この時、端子3aには復調部5からの音声信号も出力されるが、音声信号は中間周波信号に対して周波数が大きく離れているので音声信号の影響はほとんど受けることがない。また、端子3aと音声出力端5bとの間には抵抗9が介在しているので、中間周波信号が復調部5側に大きく漏れることがなく、中間周波信号への影響が少ない。さらに、端子3aにはインダクタンス8が接続されているので減衰も少ない。
【0018】
【考案の効果】
以上説明したように、周波数変換して中間周波信号を出力するチューナ部と、中間周波信号を復調して少なくとも音声信号を出力する復調部と、チューナ部及び復調部を収納する枠体と、枠体に取り付けられて音声信号を外部に出力する端子とを備え、端子を、復調部の音声信号出力端に接続すると共に、開閉手段を介してチューナ部の中間周波信号出力端に接続したので、開閉手段の開閉によって端子には音声信号又は中間周波信号を出力できる。よって、テレビジョン受信機に組み込んで使用する時には開閉手段を開状態にすることによって、音声信号を受信機内に導出することが出来、その場合は中間周波信号が端子に出力されないので、受信機内のたの回路に影響を及ぼさない。また、製造工程等において、中間周波信号の特性を評価するときには開閉手段を閉状態にすれば端子から中間周波信号を取り出せる。
【0019】
また、開閉手段をダイオードで構成すると共にダイオードのアノードに固定のバイアス電圧を印加し、エミッタが接地されると共にコレクタが給電抵抗を介してプルアップされたスイッチトランジスタを設け、スイッチトランジスタのコレクタとダイオードのカソードとをインダクタンス素子によって相互接続したので、端子に中間周波信号を出力するときにはインダクタンス素子の介在によって中間周波信号がスイッチトランジスタ側に漏れず、中間周波信号の減衰も防げる。
【0020】
また、チューナ部にはエミッタが中間周波信号出力端に接続されたエミッタフォロワトランジスタを設け、ダイオードのアノードを中間周波信号出力端に接続したので、ダイオードにはエミッタフォロワトランジスタから固定のバイアス電圧が供給される。よって、ダイオードのオン/オフ制御が簡単になる。
【0021】
また、端子と復調部の音声信号出力端との間に抵抗を介挿したので、端子に中間周波信号を出力するときに、中間周波信号が復調部側に入力されず、信号の減衰も無く、また復調部が中間周波信号によって影響を受けることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のテレビジョンチューナユニットの内部構成の説明図である。
【図2】本考案のテレビジョンチューナユニットの内部構成の接続図である。
【図3】本考案のテレビジョンチューナユニットの内部構成の接続図である。
【図4】従来のテレビジョンチューナユニットの内部構成の説明図である。
【符号の説明】
1 枠体
1a、1b 側板
2 コネクタ
3、3a 端子
4 チューナ部
4a エミッタフォロワトランジスタ
4b 中間周波信号出力端
4c スイッチトランジスタ
4d 制御端
4e 給電抵抗
5 復調部
5a 中間周波信号入力端
5b 音声信号出力端
6 SAWフィルタ
7 開閉手段(ダイオード)
8 インダクタンス素子
9、10 抵抗

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
周波数変換して中間周波信号を出力するチューナ部と、前記中間周波信号を復調して少なくとも音声信号を出力する復調部と、前記チューナ部及び前記復調部を収納する枠体と、前記枠体に取り付けられて前記音声信号を外部に出力する端子とを備え、前記端子を、前記復調部の音声信号出力端に接続すると共に、開閉手段を介して前記チューナ部の中間周波信号出力端に接続したことを特徴とするテレビジョンチューナユニット。
【請求項2】
前記開閉手段をダイオードで構成すると共に前記ダイオードのアノードに固定のバイアス電圧を印加し、エミッタが接地されると共にコレクタが給電抵抗を介してプルアップされたスイッチトランジスタを設け、前記スイッチトランジスタのコレクタと前記ダイオードのカソードとをインダクタンス素子によって相互接続したことを特徴とする請求項1に記載のテレビジョンチューナユニット。
【請求項3】
前記チューナ部にはエミッタが前記中間周波信号出力端に接続されたエミッタフォロワトランジスタを設け、前記ダイオードのアノードを前記中間周波信号出力端に接続したことを特徴とする請求項2に記載のテレビジョンチューナユニット。
【請求項4】
前記端子と前記復調部の音声信号出力端との間に抵抗を介挿したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のテレビジョンチューナユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】実用新案登録第3097065号(U3097065)
【登録日】平成15年7月30日(2003.7.30)
【発行日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【考案の名称】テレビジョンチューナユニット
【国際特許分類】
【評価書の請求】有
【出願番号】実願2003−1956(U2003−1956)
【出願日】平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)