説明

テレビジョン受信機

【課題】弱電界の時でもテレビジョン信号を受信中は画面をブルーバックに切り替えることなく、テレビジョン信号が完全に入力されなくなった時に画面をブルーバックに切り替えるようにする。
【解決手段】入力されたテレビジョン信号を処理してビデオ信号及び音声信号を出力するチューナ部1と、テレビ画面に現れるビデオ信号又は/及びスピーカに出力される音声信号を消すミュート回路2とを備え、チューナ部1にテレビジョン信号が入力されているか否かを判別すると共に画面切替回路2の切替動作を制御する判別回路4を設け、判別回路4がテレビジョン信号の入力無しと判別したときにのみ画面切替回路2によってブルーバック信号を出力した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、テレビジョン信号が入力されないときにテレビ画面のビデオ信号を消したりテレビ音声信号を消すようにしたテレビジョン受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のテレビジョン受信機の要部の回路を図2に示す。チューナ部31に入力されたテレビジョン信号(RF)はミキサ31aによって中間周波信号に変換され、中間周波信号はビデオ検波器31bに入力される。ビデオ検波器31bには発振器31bから同期検波用の局部発振信号が入力される。そして、ビデオ検波器31bからは同期信号を含むビデオ信号と音声信号とが出力される。ビデオ信号はイコライザアンプ31dを経てチューナ部31から出力される。
【0003】
チューナ部31から出力されたビデオ信号は画面切替回路32の一方の入力端に入力されると共に、同期信号判別回路33に入力される。同期信号判別回路33はビデオ信号に含まれる同期信号の有無を判別する。一方、画面切替回路32の他方の入力端にはブルーバック信号発生回路34から出力されるブルーバック信号も入力される。ブルーバック信号はテレビ画面を青色に表示するための信号であり、チューナ部31からビデオ信号が出力されないときにビデオ信号に代わって画面に出力される。そのため、同期信号判別回路33が同期信号無しと判別したときには画面切替回路32を制御してブルーバック信号を画面に出力するようにしている。この結果、画面に現れていたビデオ信号がミュートされ、変わりにブルーバック信号が現れるので見苦しいノイズが現れることはない。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
上記構成において、チューナ部に入力されるテレビジョン信号のレベルが低い弱電界の時には、ビデオ信号中のノイズ成分レベルが大きくなり同期信号がノイズに埋もれる場合がある。その結果、まだ十分に観賞に堪え得る画面が得られるにも関わらず、同期信号判別回路が同期信号無しと判別して画面がミュートされてブルーバックに切り替えられてしまうことがあり、一般ユーザには不満が残るという問題があった。
【0005】
本考案は、弱電界の時でもテレビジョン信号を受信中はテレビ画面やテレビ音声をミュートすることなく、テレビジョン信号が完全に入力されなくなった時にはじめてミュートを働かせてテレビ画面を消す、あるいはテレビ音声を消すようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、本考案では、入力されたテレビジョン信号を処理してビデオ信号及び音声信号を出力するチューナ部と、テレビ画面に現れる前記ビデオ信号又は/及びスピーカに出力される前記音声信号を消すミュート回路とを備え、前記チューナ部に前記テレビジョン信号が入力されているか否かを判別すると共に前記ミュート回路のミュート動作を制御する判別回路を設け、前記判別回路が前記テレビジョン信号の入力無しと判別したときにのみ前記ミュート回路によって前記ビデオ信号又は/及び前記音声信号を消すようにした。
【0007】
また、前記チューナ部は前記テレビジョン信号を検波して前記ビデオ信号及び前記音声信号を出力する検波器と、前記ビデオ信号からAGC電圧を生成するAGC電圧発生回路と、前記検波器に局部発振信号を供給する発振器と、前記発振器の発振周波数ズレに対応してAFT電圧を生成するAFT電圧発生回路とを設け、前記判別回路は前記AGC電圧が入力されると共に、前記AGC電圧が最大レベル以上のときにのみ論理レベル1を出力する第一の比較回路と、前記AFT電圧が入力されると共に、前記AFT電圧が最大レベル以上のときにのみ論理レベル1を出力する第二の比較回路と、前記第一及び第二の比較回路の出力の論理和を求めるAND回路とで構成され、前記AND回路によって前記ミュート回路を制御した。
【0008】
【考案の実施の形態】
本考案のテレビジョン受信機を図1に従って説明する。チューナ部1に入力されたテレビジョン信号(RF)はミキサ1aによって中間周波信号に変換され、中間周波信号は利得制御される中間周波増幅器1bによって所定レベルまで増幅された後に検波器1cに入力される。検波器1cには発振器1dから同期検波用の局部発振信号が入力される。そして、検波器1bからは同期信号を含むビデオ信号と音声信号とが出力される。ビデオ信号はイコライザアンプ1eを経てチューナ部1から出力される。
【0009】
また、チューナ部1にはビデオ信号が入力されると共にAGC電圧を生成するAGC電圧発生回路4fと発振器1dの発振周波数の変動に対応してAFT電圧を出力するAFT電圧発生回路1gとが設けられている。AGC電圧は検波器1cから出力されるビデオ信号のレベルに依存しておよそ1ボルトから4ボルトまでの範囲で変化するが、ビデオ信号のレベルが低いほど大きく(MAX4ボルト)なる。
【0010】
そして、このAGC電圧によって中間周波増幅器1bの利得が制御され、その出力レベルが一定となる。よって、チューナ部1にテレビジョン信号が入力されている時のAGC電圧はその最大レベル(4ボルト)以下の範囲で出力され、テレビジョン信号が入力されないと、即ちビデオ検波器1cに中間周波信号が入力されないと、最大レベル以上の電圧(例えばほぼ5ボルトの電源電圧)まで上昇する。
【0011】
また、発振器1dは電圧制御発振器で構成され、中間周波信号が検波器1cに入力されている時には映像中間周波数と同じ周波数で発振するようにロックされており、その状態ではAFT電圧発生回路1gからは中心電圧2.5ボルトのAFT電圧が出力される。もし、発振周波数が映像中間周波数からずれると、そのズレを補正するようにAFT電圧は2.5ボルト以上又は以下に1ボルト〜4ボルトの範囲で変化し、その変化によって常に発振周波数が映像中間周波数に一致するように制御される。従って、中間周波信号がビデオ検波器1cに入力されないと、AFT電圧がミュート電圧(例えばほぼ5ボルトの電源電圧)まで上昇する。そして、発振周波数は映像中間周波数とはかけ離れた周波数に変化することがある。
【0012】
チューナ部1から出力されたビデオ信号及び音声信号はミュート回路2の一方の入力端に入力される。また、ミュート回路2の他方の入力端にはブルバック信号発生回路3から出力されるブルーバック信号が入力される。ブルーバック信号はテレビ画面を青色に表示するための信号であり、チューナ部1からビデオ信号が出力されないときにビデオ信号に代わって画面に出力されるものである。そして、ミュート回路2はビデオ信号又はブルーバック信号のいずれかを出力するように判別回路4によって制御される。
【0013】
チューナ部1から出力されるAGC電圧とAFT電圧とはテレビジョン信号の有無を判別するための判別回路4に入力される。判別回路4は、AGC電圧が最大レベル以上に上昇したときにのみ論理レベル1を出力する第一の比較回路4aと、AFT電圧が最大レベル以上に上昇したときにのみ論理レベル1を出力する第二の比較回路4bと、二つの比較回路4a、4bの論理和を演算すると共にその結果によって画面切替回路2を制御するAND回路4cとを有する。
【0014】
第一の比較回路4aに入力されるAGC電圧はAGC電圧の変化範囲の最大レベル(4ボルト)と比較される。そして、最大レベルを越えれば出力論理レベルは1となる。また、第二の比較回路4bに入力されるAFT電圧もAFT電圧の最大レベル(4ボルト)と比較され、最大レベルを越えれば出力論理レベルが1となる。そして、画面切替回路2はAND回路4cの出力論理レベルが0の時はチューナ部1から入力されているビデオ信号を後段の映像回路等に出力し、出力論理レベルが1となれば、ブルーバック信号発生器3から入力されたいるブルーバック信号を後段の映像回路等に出力するように制御される。
【0015】
以上の構成において、チューナ部1にテレビジョン信号が入力されていれば、検波器1cには中間周波信号が入力され、それによってAGC電圧発生回路1fから正常な変化範囲のAGC電圧が出力されるがその値は最大レベル以下となる。また、AFT電圧発生回路は中心電圧2.5ボルトを出力する。よって、AND回路4cの出力は論理レベル0となる。これによって、画面切替回路2はチューナ部1からのビデオ信号を後段の映像回路等に出力し、弱電界の状態であってもテレビ画面には受信したテレビジョン信号の映像が出力される。
【0016】
一方、チューナ部1にテレビジョン信号が入力されないと、AGC電圧発生回路1fは正常なAGC電圧の最大値を越える電圧を発生すると共に、AFT電圧発生回路1gも最大の4ボルトを越える電圧を発生し、これによってAND回路4cの出力は論理レベル1となる。この結果、画面切替回路2はビデオ信号に変わってブルーバック信号を後段の映像回路等に出力し、テレビ画面は青色一色に切り替えられる。
【0017】
本考案では、AGC電圧とAFT電圧とを判別回路4に入力し、それらの電圧によってテレビジョン信号の有無を判別しているので、ビデオ信号に含まれるノイズに左右されずにテレビジョン信号の有無を判別できる。
なお、以上までは、主としてビデオ信号のミュートについて説明したが、これを音声信号に対して適用することもできる。その場合は、ミュート回路によって音声信号を大きく減衰することでスピーカに出力しないようにする。
【0018】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案では、チューナ部にテレビジョン信号が入力されているか否かを判別すると共にミュート回路のミュート動作を制御する判別回路を設け、判別回路がテレビジョン信号の入力無しと判別したときにのみミュート回路によってビデオ信号又は/及び音声信号を消すようにしたので、テレビジョン信号が入力されていれば弱電界の受信状態であってもビデオ信号に含まれるノイズに左右されずにテレビジョン信号を画面に表示し、音声を出力できる。
【0019】
また、判別回路はAGC電圧が入力され、AGC電圧が最大レベル以上のときにのみ論理レベル1を出力する第一の比較回路と、AFT電圧が入力され、AFT電圧が最大レベル以上のときにのみ論理レベル1を出力する第二の比較回路と、第一及び第二の比較回路の出力の論理和を求めるAND回路とで構成され、AND回路によって画面切替回路を制御したので、AGC電圧及びAFT電圧がそれぞれ最大レベル以上になることで、テレビジョン信号が入力されていないことを確実に判別できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のテレビジョン受信機の要部の回路図である。
【図2】従来のテレビジョン受信機の要部の回路図である。
【符号の説明】
1 チューナ部
1a ミキサ
1b 中間周波増幅器
1c ビデオ検波器
1d 発振器
1e イコライザアンプ
1f AGC電圧発生回路
1g AFT電圧発生回路
2 ミュート回路
3 ブルーバック信号発生回路
4 判別回路
4a 第一の比較回路
4b 第二の比較回路
4c AND回路

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
入力されたテレビジョン信号を処理してビデオ信号及び音声信号を出力するチューナ部と、テレビ画面に現れる前記ビデオ信号又は/及びスピーカに出力される前記音声信号を消すミュート回路とを備え、前記チューナ部に前記テレビジョン信号が入力されているか否かを判別すると共に前記ミュート回路のミュート動作を制御する判別回路を設け、前記判別回路が前記テレビジョン信号の入力無しと判別したときにのみ前記ミュート回路によって前記ビデオ信号又は/及び前記音声信号を消すようにしたことを特徴とするテレビジョン受信機。
【請求項2】
前記チューナ部は前記テレビジョン信号を検波して前記ビデオ信号及び前記音声信号を出力する検波器と、前記ビデオ信号からAGC電圧を生成するAGC電圧発生回路と、前記検波器に局部発振信号を供給する発振器と、前記発振器の発振周波数ズレに対応してAFT電圧を生成するAFT電圧発生回路とを設け、前記判別回路は前記AGC電圧が入力されると共に、前記AGC電圧が最大レベル以上のときにのみ論理レベル1を出力する第一の比較回路と、前記AFT電圧が入力されると共に、前記AFT電圧が最大レベル以上のときにのみ論理レベル1を出力する第二の比較回路と、前記第一及び第二の比較回路の出力の論理和を求めるAND回路とで構成され、前記AND回路によって前記ミュート回路を制御したことを特徴とするテレビジョン受信機。

【図1】
image rotate



【図2】
image rotate


【登録番号】実用新案登録第3098063号(U3098063)
【登録日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【発行日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【考案の名称】テレビジョン受信機
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2003−2992(U2003−2992)
【出願日】平成15年5月26日(2003.5.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【氏名又は名称原語表記】ALPS ELECTRIC CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1−7,Yukigaya−Otsukacho,Ota−ku,Tokyo 145−8501 JAPAN