説明

テレビジョン受像機、及び電子機器

【課題】 高密度実装を図ることができるテレビジョン受像機及び電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器は、筐体と、前記筐体に収容されたヒートシンクと、前記ヒートシンクに向いて曲がった湾曲部を有したヒートパイプと、前記ヒートパイプの湾曲部が差し込まれる切欠き部が設けられたファンケースを有した冷却ファンとを具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷却モジュールを備えたテレビジョン受像機及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機や電子機器は、冷却モジュールを備えることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−97892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレビジョン受像機や電子機器は、高密度実装が要望されている。
【0005】
本発明の目的は、高密度実装を図ることができるテレビジョン受像機及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電子機器は、筐体と、前記筐体に収容されたヒートシンクと、前記ヒートシンクに向いて曲がった湾曲部を有したヒートパイプと、前記ヒートパイプの湾曲部が差し込まれる切欠き部が設けられたファンケースを有した冷却ファンとを具備した。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態に係るテレビジョン受像機の正面図。
【図2】第1実施形態に係る冷却モジュール及び回路基板を示す平面図。
【図3】図2中に示された冷却ファンの斜視図。
【図4】図2中に示された冷却ファンの側面図。
【図5】図2中に示された冷却ファンの平面図。
【図6】図2中に示されたヒートシンク及びヒートパイプの平面図。
【図7】図6中に示された構造から、第1ヒートパイプを取り除いてヒートシンク、第2ヒートパイプ、及びブラケットを示す斜視図。
【図8】図2中に示された冷却モジュールの平面図。
【図9】図8中に示された冷却モジュールのF9−F9線に沿う断面図。
【図10】図9中に示された冷却モジュールのF10−F10線に沿う断面図。
【図11】第2実施形態に係るカバーの斜視図。
【図12】第2実施形態に係る冷却モジュールの側面図。
【図13】第3実施形態に係る電子機器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1乃至図10は、第1実施形態に係るテレビジョン受像機1を開示している。テレビジョン受像機1は、筐体5を有する。筐体5は、図2に示すような回路基板14を収容している。回路基板14は、例えばメイン回路基板である。回路基板14は、第1面14aと、この第1面14aの反対側に位置した第2面(図示しない)とを有する。
【0010】
回路基板14の例えば第2面には、第1及び第2の発熱体15,16が実装されている。第1の発熱体15の一例は、グラフィックチップである。第2の発熱体16の一例は、CPU(Central Processing Unit)である。第2の発熱体16の発熱量は、第1の発熱体15の発熱量よりも大きい。なお第1及び第2の発熱体15,16は、上記例に限らず、放熱が望まれる種々の電子部品が適宜該当する。
【0011】
図2に示すように、テレビジョン受像機1は、冷却モジュール20を搭載している。冷却モジュール20は、冷却ファン21、ヒートシンク22、第1及び第2のヒートパイプ23,24、並びにブラケット25を備えている。ブラケット25は、「保持具」の一例である。
【0012】
回路基板14は、冷却ファン21及びヒートシンク22を避けるための切欠き部14cを有する。切欠き部14cは、冷却ファン21及びヒートシンク22の外形に略沿って切り欠かれている。冷却ファン21及びヒートシンク22は、回路基板14の切欠き部14cに収容され、回路基板14に並んでいる。冷却ファン21及びヒートシンク22の端面は、例えば回路基板14の第1面14aと略同一平面上に位置する。
【0013】
図3乃至図5に示すように、冷却ファン21は、ファンケース27と、このファンケース27の内部で回転駆動される羽根車28とを有する。ファンケース27は、吸込口31と、吐出口33とを有する。この吸込口31を通じて筐体5内の空気がファンケース27内に取り込まれる。吐出口33は、ヒートシンク22に向かい合っている。この吐出口33からヒートシンク22に向けて空気が吐出される。
【0014】
冷却ファン21の構成について詳しく述べると、ファンケース27は、第1の平板部35と、第2の平板部36と、周壁部37とを有する。第1及び第2の平板部35,36は、それぞれ金属板であり、互いに同じ形状を有する。第1及び第2の平板部35,36は、羽根車28の上下に分かれ、羽根車28にその軸方向、すなわち回転軸の軸方向から向かい合っている。なお本明細書では、冷却モジュール20に関しては、冷却ファン21を水平にした姿勢を基準に上下を定義している。
【0015】
第1の平板部35は、羽根車28の上方に位置し、ファンケース27の天板となる。第2の平板部36は、羽根車28の下方に位置し、ファンケース27の底板となる。吸込口31は、第1及び第2の平板部35,36にそれぞれ設けられている。後述するように、第2の平板部36は、ブラケット25に向かい合う。
【0016】
周壁部37は、第1及び第2の平板部35,36の間に起立した壁部であり、第1及び第2の平板部35,36に例えば溶着などで取り付けられている。周壁部37は、合成樹脂製である。周壁部37は、羽根車28の周囲に沿って設けられている。周壁部37は、羽根車28をその径方向、すなわち回転軸の径方向からU字形に取り囲んでいる。すなわち周壁部37は、吐出口33が開口する方向を除いて、羽根車28を三方向から取り囲んでいる。
【0017】
詳しく述べると、周壁部37は、第1の側壁部41(第1の壁部)、第2の側壁部42(第2の壁部)、及び曲壁部43(第3の壁部)を有する。第1及び第2の側壁部41,42は、吐出口33の両側に分かれている。第1及び第2の側壁部41,42は、それぞれ羽根車28の側方から吐出口33に向けて略直線状に延びている。
【0018】
第1及び第2の側壁部41,42は、吐出口33に隣接している。つまり、第1及び第2の側壁部41,42は、第1及び第2の平板部35,36と協働して吐出口33を規定している。曲壁部43は、吐出口33とは反対側に位置し、第1の側壁部41の端部と第2の側壁部42の端部との間を円弧状に繋いでいる。
【0019】
第2の側壁部42に比べて第1の側壁部41は、羽根車28の回転中心から離れている。すなわち、第2の側壁部42と羽根車28の間の隙間に比べて、第1の側壁部41と羽根車28との間には、大きな隙間が設けられている。
【0020】
図3乃至図5に示すように、本実施形態に係るファンケース27には、切欠き部45が設けられている。切欠き部45は、吐出口33に隣接するように第1の側壁部41の端部(先端部)に切り欠かれている。すなわち切欠き部45は、吐出口33に繋がっている。切欠き部45は、第1のヒートパイプ23の厚さよりも厚い。切欠き部45及び吐出口33は、羽根車28の回転方向に沿って、切欠き部45、吐出口33の順に並んでいる。
【0021】
切欠き部45は、第1の側壁部41の第2の平板部36に臨む端部(下端部)が切り欠かれることで、第1の側壁部41と第2の平板部36との間に設けられている。すなわち切欠き部45は、第2の平板部36と、L形に形成された第1の側壁部41の先端部との間に規定されている。
【0022】
図3乃至図5に示すように、第1の側壁部41には、凹部46(スロープ)が設けられている。凹部46は、切欠き部45に対して吐出口33とは反対側に位置している。第1の側壁部41は、凹部46を外れた平坦部47を有する。凹部46は、平坦部47に対してファンケース27の内側に窪んでいる。
【0023】
すなわち凹部46の表面は、平坦部47の表面に対して段差を有する。凹部46の表面は、切欠き部45に近付くに従いファンケース27の内側により大きく窪むように傾斜している。一方で、凹部46の内面、すなわちファンケース27の内部に臨む面は、平坦部47の内面とひと続きに繋がり、両者の間に段差はない。第1のヒートパイプ23は、凹部46に沿って延びている。すなわち凹部46は、第1のヒートパイプ23に対向している。
【0024】
図6及び図7に示すように、ヒートシンク22は、複数のフィン51が並べられたフィンユニットである。ヒートシンク22の幅は、冷却ファン21の幅と略同じである。つまり、ヒートシンク22は、冷却ファン21の吐出口33よりも大きく、吐出口33の略全面を覆っている。ヒートシンク22は、冷却ファン21の吐出口33との間にほとんど隙間を空けずに配置されている。
【0025】
各フィン51は、U字形に形成されている。このようなフィン51が複数並べられることで、ヒートシンク22は、冷却ファン21の吐出口33に臨む凹部52が設けられている。凹部52は、ヒートシンク22の略全長に亘るとともに、吐出口33に向けて開口している。冷却ファン21からヒートシンク22に向かう方向における凹部52の深さは、第1及び第2のヒートパイプ23,24の幅の合計よりも大きい。凹部52には、第1及び第2のヒートパイプ23,24が嵌め込まれている。
【0026】
図8に示すように、第1及び第2のヒートパイプ23,24は、互いに略平行に配置されている。第1及び第2のヒートパイプ23,24は、それぞれ冷却ファン21の厚さ方向に潰されて、扁平な断面を有している。
【0027】
第1のヒートパイプ23は、第1の発熱体15と、ヒートシンク22との間に設けられている。第1のヒートパイプ23は、冷却ファン21と第2の発熱体16との間を通って延びている。詳しく述べると、第1のヒートパイプ23は、受熱部23a、放熱部23b、第1の直線部23c、第2の直線部23d、及び湾曲部23eを有する。受熱部23aは、第1の発熱体15に対向し、例えば受熱板54などを介して第1の発熱体15に熱接続されている。受熱部23aは、第1の発熱体15から熱を受ける。
【0028】
放熱部23bは、ヒートシンク22の凹部52に嵌め込まれ、ヒートシンク22に取り付けられている。放熱部23bは、ヒートシンク22に熱接続され、第1の発熱体15からの熱をヒートシンク22に放出する。放熱部23bの冷却ファン21に臨む面は、ヒートシンク22の冷却ファン21に臨む面(後述の主面部55)と略同一面上に位置する。
【0029】
第1及び第2の直線部23c,23dは、冷却ファン21に沿って延びている。詳しく述べると、第1の直線部23cは、受熱部23aに隣接して設けられ、受熱部23aから冷却ファン21の側方に延びている。第1の直線部23cは、ヒートシンク22に近付くに従い冷却ファン21から離れるように、冷却ファン21に対して僅かに傾いて延びている。
【0030】
第2の直線部23dは、第1の直線部23cに隣接して設けられ、第1の直線部23cから第1の側壁部41の凹部46の側方まで延びている。第2の直線部23dは、第1の直線部23cに対して僅かに折れ曲がり、ヒートシンク22に近付くに従い冷却ファン21に近付くように、冷却ファン21に対して僅かに傾いて延びている。
【0031】
図8に示すように、湾曲部23eは、受熱部23aと放熱部23bとの間の例えば一部に設けられている。湾曲部23eは、第2の直線部23dと放熱部23bとの間に設けられている。湾曲部23eは、冷却ファン21の側方からヒートシンク22に向かって円弧状に曲がっている。湾曲部23eは、その曲げ方向、すなわち円弧の内側に向いて、冷却ファン21のファンケース27の切欠き部45に差し込まれている。
【0032】
これにより図8に示すように、ヒートパイプ23の湾曲部23eの少なくとも一部は、ファンケース27の内部に延びている。ヒートパイプ23の少なくとも一部は、第1の側壁部41よりもヒートシンク22の中央部に近い位置で、ヒートシンク22の凹部52に差し込まれてヒートシンク22に接続されている。
【0033】
すなわち、ヒートシンク22は、冷却ファン21の吐出口33に向かい合う主面部55と、当該ヒートシンク22の長手方向の端部となる端部56を有する。第1のヒートパイプ23の少なくとも一部は、端部56からヒートシンク22に差し込まれるのではなく、主面部55からヒートシンク22に差し込まれている。
【0034】
第2のヒートパイプ24は、第1のヒートパイプ23に対して冷却ファン21とは反対側に配置されている。第2のヒートパイプ24は、第2の発熱体16と、ヒートシンク22との間に設けられている。詳しく述べると、第2ヒートパイプ24は、受熱部24a、放熱部24b、第1の湾曲部24c、及び第2の湾曲部24dを有する。受熱部24aは、第2の発熱体16に対向し、例えば受熱板57などを介して第2の発熱体16に熱接続されている。受熱部24aは、第2の発熱体16から熱を受ける。
【0035】
放熱部24bは、ヒートシンク22の凹部52に嵌め込まれ、ヒートシンク22に取り付けられている。放熱部24bは、ヒートシンク22に熱接続され、第2の発熱体16からの熱をヒートシンク22に放出する。
【0036】
第1の湾曲部24cは、受熱部24aに隣接して設けられ、冷却ファン21を避ける向きに円弧状に曲がっている。第2の湾曲部24dは、第1の湾曲部24cと放熱部24bとの間に設けられ、第1のヒートパイプ23の湾曲部23eと略平行に曲がっている。すなわち第2の湾曲部24dは、ヒートシンク22に向いて円弧状に曲がっている。
【0037】
第2のヒートパイプ24は、第1のヒートパイプ23よりも太く、熱輸送能力が高い。その分、第2のヒートパイプ24は、第1のヒートパイプ23ほど小さく曲げることができず、第1のヒートパイプ23よりも大きな曲率半径で曲がっている。
【0038】
換言すれば、2本のヒートパイプ23,24は、並列に配置されている。第1のヒートパイプ23は、第2のヒートパイプ24と冷却ファン21との間に配置されるとともに、第2のヒートパイプ24よりも小さな曲率半径で曲げられている。すなわち、内側(ファン側)となるヒートパイプ23は、外側となるヒートパイプ24よりも小さな曲率半径で曲げられている。
【0039】
図6乃至図8に示すように、ブラケット25は、ヒートシンク22に固定されるとともに、冷却ファン21が例えばねじ止めなどで取り付けられている。ブラケット25は、ヒートシンク22と冷却ファン21とを一体的に保持している。ブラケット25は、金属製である。ブラケット25は、取付部61と、カバー部62とを有する。取付部61は、冷却ファン21の第2の平板部36と略平行になるように平板状に形成されている。取付部61は、ブラケット25の下方から冷却ファン21の下方に亘って延びており、冷却ファン21が取り付けられる。
【0040】
図7は、説明の便宜上、第1のヒートパイプ23を取り除いた状態のヒートシンク22、第2のヒートパイプ24、及びブラケット25を示す。図7に示すように、カバー部62は、取付部61の側端部に設けられている。カバー部62は、取付部61に対して起立している。
【0041】
図9及び図10に示すように、カバー部62は、冷却ファン21の側方に起立し、ヒートシンク22の側方から冷却ファン21の側方に亘って延びている。カバー部62は、冷却ファン21の第1の側壁部41に対向した第1部分62aと、ヒートシンク22の端部56に対向した第2の部分62bとを有する。
【0042】
図9に示すように、カバー部62は、第1及び第2のヒートパイプ23,24に下方から接触している。カバー部62の第1部分62aは、第1のヒートパイプ23の下方に位置し、第1のヒートパイプ23を支持している。カバー部62の第2部分62bは、第2のヒートパイプ24の下方に位置し、第2のヒートパイプ24を支持している。
【0043】
図9及び図10に示すように、カバー部62は、冷却ファン21の外側から、切欠き部45の少なくとも一部を覆っている。詳しく述べると、カバー部62の第1部分62aは、第1のヒートパイプ23と第2の平板部36との間の隙間を覆っている。換言すれば、第1の側壁部41は、第1の平板部35に臨む端部(上端部)と第2の平板部36に臨む端部(下端部)とのうちで、カバー部62に覆われる方の端部に切欠き部45を設けている。
【0044】
図9及び図10に示すように、カバー部62の端部は、切欠き部45を超えて延びており、第1の側壁部41の凹部46に対向している。すなわち、冷却ファン21からヒートシンク22に向く方向においては、切欠き部45がその全長に亘ってカバー部62に覆われている。
【0045】
このような構成によれば、高密度実装を図ることができる。すなわち、一般的にヒートパイプはその太さによって曲げられる曲率半径の最小が決まっている。このため、ヒートシンクの外に出た部分からヒートパイプを曲げても、ヒートパイプと冷却ファンとの間にはどうしても隙間が出来てしまう。この隙間は高密度実装を阻害するものである。
【0046】
一方で、本実施形態では、ヒートパイプ23の湾曲部23eが差し込まれる切欠き部45が冷却ファン21に設けられている。このため、冷却ファン21に重なる部分からヒートパイプ23を曲げることができる。このため、ヒートパイプ23と冷却ファン21との間の隙間を小さくすることができる。つまり、ヒートパイプ23を冷却ファン21のより近くに配置することができ、冷却モジュール20の小型化、高密度実装化を図ることができる。
【0047】
本実施形態では、ヒートシンク22に取り付けられ、冷却ファン21を保持するブラケット25が、ファンケース27の切欠き部45の少なくとも一部を覆うカバー部62を有している。このため、切欠き部45からの風の漏れが抑制されている。つまり、切欠き部45を設けることによる冷却効率の低下が、冷却ファン21を保持するブラケット25によって抑制されている。
【0048】
本実施形態では、ファンケース27は、第1の側壁部41に設けられた凹部46を有する。この凹部46がない場合、ヒートパイプ23と冷却ファン21との接触を避けるために、部品公差などを考慮して、切欠き部45を大きく切り欠く必要がある。しかしながら、本実施形態のような凹部46を設けることで、ヒートパイプ23と冷却ファン21との接触可能性を小さくしつつ、切欠き部45をより小さくすることができる。切欠き部45を小さくすることができれば、風の漏れが少なくなるので冷却効率の向上を図ることができる。
【0049】
そして上記凹部46の表面が切欠き部45に近付くに従いファンケース27の内側により大きく窪むように傾斜していると、ヒートパイプ23と冷却ファン21との接触可能性を小さく維持しつつ、切欠き部45をさらに小さくすることができる。
【0050】
本実施形態では、ファンケース27は、平板部36と、この平板部36に取り付けられた周壁部37とを有する。切欠き部45は、周壁部37の平板部36に臨む端部が切り欠かれることで、周壁部37と平板部36との間に設けられている。このような構成によれば、周壁部37の真ん中に切欠き部45を設ける場合よりも、周壁部37のファンケース27の剛性を確保しやすく、さらに成形しやすい。
【0051】
本実施形態では、切欠き部45及び吐出口33は、羽根車28の回転方向に沿って、切欠き部45、吐出口33の順に並んでいる。これによれば、切欠き部45に差し込まれたヒートパイプ23により多くの風を当てることができるので、冷却効率が向上する。また、より多くの風量を確保するために、第1の側壁部41と羽根車28との間のスペースは、第2の側壁部42と羽根車28との間のスペースに比べて大きい。つまりファンケース27のなかで第1の側壁部41の近くは、ヒートパイプ23を通す空間を比較的確保しやすい。
【0052】
本実施形態では、ヒートシンク22は、冷却ファン21の吐出口33に臨むとともに、ヒートパイプ23が差し込まれる凹部52が設けられている。これによれば、ファンケース27の内部を延びたヒートパイプ23を、第1の側壁部41よりもヒートシンク22の中央部に近い位置でヒートシンク22に接続しやすい。
【0053】
本実施形態では、カバー部62は、冷却ファン21の第1の側壁部41に対向する部分(第1の部分61a)を有し、この部分がヒートパイプ23に接触してヒートパイプ23を支持している。これによれば、ヒートシンク22の側方だけでなく、冷却ファン21の側方でもヒートパイプ23がブラケット25によって支持されるので、冷却モジュール20の全体の剛性が向上する。
【0054】
本実施形態では、第1のヒートパイプ23は、第2のヒートパイプ24と冷却ファン21との間に配置されるとともに、第2のヒートパイプ24よりも小さな曲率半径で曲げられている。これによれば、複数のヒートパイプ23,24をより小さな実装面積内に収めることができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るテレビジョン受像機1について、図11及び図12を参照して説明する。なお上記第1実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0056】
図11は、本実施形態に係るカバー71を示す。カバー71は、例えばスポンジやゴム、またはフィルム部材などからなり、弾性または可撓性を有する。カバー71は、例えばその中央部に切り込み部71aが設けられている。
【0057】
図12は、冷却モジュール20へのカバー71の取り付け構造を示す。なお図12では、説明の便宜上、カバー71にはハッチングを施してある。図12に示すように、カバー71は、切り込み部71aに第1のヒートパイプ23を挿入させるようにして冷却ファン21またはブラケット25に取り付けられている。すなわち、カバー71は、切り込み部71aが第1のヒートパイプ23の外形に追従して開くことで、第1のヒートパイプ23に密接する。
【0058】
カバー71は、切欠き部45の少なくとも一部を覆う。カバー71は例えば第1のヒートパイプ23の上方に生じる第1ヒートパイプ23と第1の側壁部41との間の隙間、及び第1のヒートパイプ23と凹部46との間の隙間を覆う。
【0059】
このような構成によれば、上記第1実施形態と同様に、高密度実装を図ることができる。さらに本実施形態では、冷却効率の向上を図ることができる。すなわち、ヒートパイプ23と冷却ファン21との接触を避けるために、部品公差なども考慮して切欠き部45はヒートパイプ23よりも一回り大きく設けられている。このため、この切欠き部45から風が漏れる可能性がある。しかしながら、本実施形態のようなカバー71を備えると、切欠き部45からの風の漏れが少なくなり、冷却効率を向上させることができる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る電子機器81について、図13を参照して説明する。なお上記第1実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0061】
図13に示すように、電子機器81は、例えばノートブック型パーソナルコンピュータである。なお本実施形態が適用可能な電子機器は、上記に限定されるものではない。本実施形態は、例えば録画再生装置、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などを含む種々の電子機器に広く適用可能である。
【0062】
図13に示すように、電子機器81は、本体ユニット2と、表示ユニット3と、ヒンジ4とを備えている。本体ユニット2は、メインボードを搭載した電子機器本体である。本体ユニット2は、筐体5を備えている。筐体5は、上壁6、下壁7、及び周壁8を有し、扁平な箱状に形成されている。
【0063】
下壁7は、電子機器81を机上に置いた時に、その机上の面に向かい合う。下壁7は、上面に対して略平行になる。上壁6は、下壁7との間に空間を空けて、下壁7と略平行(すなわち略水平)に広がる。上壁6には、キーボード9が取り付けられている。周壁8は、下壁7に対して起立し、下壁7の周縁部と上壁6の周縁部との間を繋いでいる。
【0064】
表示ユニット3は、ヒンジ4によって、本体ユニット2の後端部に回動可能(開閉可能)に連結されている。表示ユニット3は、本体ユニット2を上方から覆うように倒された閉じ位置と、本体ユニット2に対して起こされた開き位置との間で回動可能である。
【0065】
図13に示すように、表示ユニット3は、表示筐体11と、この表示筐体11に収容された表示パネル12とを備えている。表示パネル12の表示画面12aは、表示筐体11の前壁に設けられた開口部11aを通じて外部に露出可能になっている。
【0066】
本体ユニット2の筐体5は、図2に示すような回路基板14を収容している。回路基板14は、例えばメイン回路基板である。回路基板14は、例えば上面となる第1面14aと、この第1面14aの反対側に位置し、例えば下面となる第2面(図示しない)とを有する。
【0067】
電子機器81の筐体5は、さらに冷却モジュール20を収容している。冷却モジュール20は、上記第1実施形態と同様である。すなわち冷却モジュール20は、冷却ファン21、ヒートシンク22、第1及び第2のヒートパイプ23,24、並びにブラケット25を備えている。冷却ファン21のファンケース27は、第1のヒートパイプ23の湾曲部23eが差し込まれる切欠き部45を有する。
【0068】
このような構成によれば、上記第1実施形態と同様に、高密度実装を図ることができる。なお本実施形態に係る冷却モジュール20に、上記第2実施形態と同様のカバー71を備えてもよい。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0070】
例えば、ヒートパイプ23は、必ずしも第1の側壁部41よりもヒートシンク22の中央部に近い位置でヒートシンク22に接続されていなくてもよい。ファンケース27に切欠き部45が設けられ、ヒートパイプ23が切欠き部45に差し込まれるだけで、冷却モジュール20の小型化及び高密度実装化を図ることができる。ブラケット25は必須の構成ではなく、省略可能である。
【0071】
第1の側壁部41は、凹部46が設けられていなくてもよい。切欠き部45は、平板部36に臨む端部ではなく、第1の側壁部41の中央部に設けられていてもよい。切欠き部45は、第1の側壁部41に代えて、第2の側壁部42に設けられてもよい。ブラケット25のカバー部62は、ヒートパイプ23,24を支持していなくてもよい。第2のヒートパイプ24は必須の構成ではなく、省略可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…テレビジョン受像機、5…筐体、15,16…発熱体、21…冷却ファン、22…ヒートシンク、23…第1のヒートパイプ、23e…湾曲部、24…第2のヒートパイプ、25…ブラケット(保持具)、27…ファンケース、28…羽根車、33…吐出口、36…平板部、37…周壁部、45…切欠き部、46…凹部、52…凹部、62…カバー部、71…カバー、81…電子機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容された発熱体と、
ヒートシンクと、
前記発熱体から熱を受ける受熱部と、前記ヒートシンクに熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部との間で前記ヒートシンクに向いて曲がった湾曲部とを有したヒートパイプと、
前記ヒートシンクに向かい合う吐出口と、この吐出口に隣接した壁部と、前記吐出口に隣接して前記壁部に切り欠かれ、前記ヒートパイプの湾曲部が差し込まれる切欠き部とが設けられたファンケースを有し、前記ヒートパイプの少なくとも一部が前記ファンケースの内部に延びて前記壁部よりも前記ヒートシンクの中央部に近い位置で前記ヒートシンクに接続された冷却ファンと、
前記ヒートシンクに固定され、前記冷却ファンが取り付けられた取付部と、この取付部に対して起立し、前記冷却ファンの外側から前記切欠き部の少なくとも一部を覆うカバー部とを有した保持具と、
を具備したテレビジョン受像機。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記ファンケースは、前記壁部に設けられ、前記切欠き部に対して前記吐出口とは反対側に位置するとともに、当該ファンケースの内側に窪んだ凹部を有し、
前記ヒートパイプは、前記凹部に沿って延びたテレビジョン受像機。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記凹部は、前記切欠き部に近付くに従い前記ファンケースの内側により大きく窪むように傾斜した表面を有したテレビジョン受像機。
【請求項4】
請求項1または請求項3の記載において、
前記冷却ファンは、羽根車を有し、
前記ファンケースは、前記保持具に向かい合う平板部と、この平板部に取り付けられ、前記羽根車をその径方向から取り囲む周壁部とを有し、前記切欠き部は、前記周壁部の前記平板部に臨む端部が切り欠かれることで、前記周壁部と前記平板部との間に設けられたテレビジョン受像機。
【請求項5】
請求項4の記載において、
前記切欠き部及び前記吐出口は、前記羽根車の回転方向に沿って、前記切欠き部、前記吐出口の順に並んだテレビジョン受像機。
【請求項6】
請求項1または請求項5の記載において、
前記ヒートシンクは、前記冷却ファンの吐出口に臨むとともに、前記ヒートパイプが差し込まれる凹部が設けられたテレビジョン受像機。
【請求項7】
請求項1または請求項6の記載において、
前記カバー部は、前記冷却ファンの壁部に対向する部分を有し、この部分が前記ヒートパイプに接触して前記ヒートパイプを支持したテレビジョン受像機。
【請求項8】
請求項1または請求項7の記載において、
前記ヒートシンクに取り付けられた第2のヒートパイプを備え、
前記ヒートパイプは、前記第2のヒートパイプと前記冷却ファンとの間に配置されるとともに、前記第2のヒートパイプよりも小さな曲率半径で曲げられたテレビジョン受像機。
【請求項9】
請求項1または請求項8の記載において、
前記冷却ファンまたは前記ブラケットに取り付けられ、前記切欠き部の少なくとも一部を覆うカバーを備えたテレビジョン受像機。
【請求項10】
筐体と、
前記筐体に収容されたヒートシンクと、
前記ヒートシンクに向いて曲がった湾曲部を有したヒートパイプと、
前記ヒートパイプの湾曲部が差し込まれる切欠き部が設けられたファンケースを有した冷却ファンと、
を具備した電子機器。
【請求項11】
請求項10の記載において、
前記ヒートシンクに取り付けられた保持具を備え、この保持具が前記ファンケースの切欠き部の少なくとも一部を覆うカバー部を有した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−104891(P2012−104891A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249146(P2010−249146)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】