説明

テレビジョン受像機

【課題】TV受像機において、取得したテレテキストデータにおける誤りの発生原因を問わず、誤表示を防止する。
【解決手段】TV受像機のテレテキストデコーダ回路は、デコーダ部と、第1乃至第3バッファメモリと、データ書換え部と、比較制御部とを有する。データ書換え部は、受信したテレテキストデータを第1バッファメモリに記憶させ(S2)、次に受信したテレテキストデータを第2バッファメモリに記憶させ(S4)、次に受信したテレテキストデータを第3バッファメモリに記憶させる(S6)。比較制御部は、第1乃至第3バッファメモリの各々に記憶されたテレテキストを比較し(S7)、全てが一致している場合(S8でYES)、第1バッファメモリに記憶されているテレテキストを出力させる(S9)。一方、2つが一致している場合には(S8でNO、S10でYES)、一致しているテレテキストを第1バッファメモリに記憶させる(S11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレテキストを表示可能なテレビジョン受像機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テレビジョン放送信号の垂直帰線期間等を利用した文字多重(テレテキスト)放送を受信し、受信した情報をディスプレイ等の表示部に表示することができるテレビジョン(以下、TVという)受像機が知られている。この種のTV受像機は、TV放送信号に含まれるテレテキスト信号に基づくテレテキストデータを表示するものであるが、テレテキストデータの取得不良等により画面上に表示される情報に文字化け等の誤表示が発生することがある。
【0003】
これに対して、特許文献1には、誤表示を起こしたくないデータを比較データとして予め記憶し、受信されたテレテキストデータと記憶された比較データとを比較して、これらが一致した場合、そのテレテキストデータを表示しないようにした表示装置が開示されている。しかし、この装置では、予め記憶されたデータの誤表示しか防ぐことができず、また、テレテキスト信号の電界が弱いことに起因する誤表示にしか対応できない。
【0004】
また、特許文献2には、テレテキストデータの種類を判別し、その種類に応じた誤検出/訂正処理を行うことにより誤表示を防ぐことができる表示装置が開示されている。しかし、この特許文献2には、テレテキストデータの種類に対応した誤り検出訂正の具体的な手法が示されていない。また、特許文献3には、テレテキストデータから生成される属性データと、リクエストデータとを比較し、比較結果に基いてテレテキストデータの中から文字データを記憶する表示装置が開示されている。しかし、この表示装置では上記誤表示の問題点を解決することはできない。
【0005】
ところで、特許文献4には、ワイヤレスによる接続環境下において、レスポンス及びGUI表示品位を向上させるテレテキストTV受像機が開示されている。しかし、この種のテレテキストTV受像機では、上記問題点を解決できない。
【特許文献1】特開2007−221210号公報
【特許文献2】特開2006−129097号公報
【特許文献3】特開2005−323291号公報
【特許文献4】特開2005−229482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、取得したテレテキストデータにおける誤りの発生原因を問わず、テレテキストの誤表示を防止することができるTV受像機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、映像信号、及びテレテキスト信号を含むテレビジョン放送信号を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された映像信号及びテレテキスト信号に基づく映像を表示する表示手段と、前記受信手段によって受信されたテレテキスト信号を、前記表示手段に表示させるためのテレテキストデータにデコードするテレテキストデコーダ手段と、装置各部を制御する制御手段とを備えるテレビジョン受像機において、テレテキストデータを記憶する複数のテレテキストデータ記憶手段と、前記複数のテレテキストデータ記憶手段のそれぞれにテレテキストデータを記憶させるテレテキストデータ書込み手段と、前記複数のテレテキスト記憶手段のそれぞれに記憶されたテレテキストデータの内容を比較する比較手段とをさらに備え、前記テレテキストデータ書込み手段は、前記テレテキストデコーダ手段によってデコードされたテレテキストデータを順次、前記複数のテレテキスト記憶手段の各々に記憶させ、前記制御手段は、前記比較手段を用いて前記複数のテレテキストデータ記憶手段の各々に記憶されたテレテキストデータの内容を比較し、その結果、前記複数のテレテキストデータ記憶手段に記憶された全てのテレテキストデータが一致している場合、一致しているテレテキストデータを前記表示手段に表示させ、前記複数のテレテキストデータ記憶手段に記憶された全てのテレテキストデータのうちのいくつかのテレテキストデータが一致している場合、最も一致している数が多いテレテキストデータを前記表示手段に表示させ、前記複数のテレテキストデータ記憶手段に記憶された全てのテレテキストデータが一致していない場合、前記複数のテレテキストデータ記憶手段に記憶された各テレテキストデータのうち、最後に前記テレテキスト記憶手段に記憶されたテレテキストデータを前記表示手段に表示させるものである。
【0008】
請求項2の発明は、前記複数のテレテキストデータ記憶手段は、第1テレテキストデータ記憶手段、第2テレテキストデータ記憶手段、及び第3テレテキストデータ記憶手段から構成されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のテレテキストデータ記憶手段の各々に記憶されたテレテキストデータの内容を比較し、その結果、全てのテレテキストデータが一致している場合、一致しているテレテキストデータを表示手段に表示させる。また、全てのテレテキストデータのうちのいくつかが一致している場合、最も一致している数が多いテレテキストデータを表示手段に表示させ、全てのテレテキストデータが一致していない場合、最後にテレテキスト記憶手段に記憶されたテレテキストデータを表示手段に表示させる。そのため、データの取得不良等により受信したテレテキストデータが誤っている場合であっても、テレテキストデータの内容を比較することにより、取得したテレテキストデータにおける誤りの発生原因を問わず、誤ったテレテキストデータが画面上に表示されることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係るテレビジョン(以下、TVという)受像機について、図1及び図2を参照して説明する。TV受像機1は、テレテキスト信号を含むTV放送信号を受信し、受信したテレテキスト信号に基づくテレテキストを表示部(表示手段)2に表示することができる。
【0011】
図1に示すように、TV受像機1は、表示部2と、TV放送番組の音声を出力可能なスピーカ3と、アンテナ4に接続され、このアンテナ4により受信されるTV放送信号から所望のTV放送番組とテレテキスト信号を取得するチューナ(受信手段)5とを備える。また、TV受像機1は、TV受像機1の筐体外部に露出するように設けられた端子部6と、装置本体とは別体となるリモコン装置7から送信された操作信号を受信する受信部8と、装置各部の制御を行うための制御用マイコン(制御手段)9とをさらに備える。
【0012】
TV受像機1は、制御用マイコン9による制御に基づき、例えばチューナ5により選局されたTV放送番組や、端子部6にケーブルを介して入力される画像・音声等を表示部2やスピーカ3を介して視聴可能にすることができる。
【0013】
表示部2は、チューナ5によって受信された映像信号及びテレテキスト信号に基づく映像とテレテキストを表示するものである。リモコン装置7は、チューナ5によって受信されるTV放送番組を選択するためのチャンネル選択ボタン7aと、スピーカ3から出力される音量を調節するための音量調節ボタン7bと、テレテキスト表示切替ボタン7cとを有する。ユーザによってテレテキスト表示切替ボタン7cが操作されることにより、表示部2上にテレテキストを表示するか否かが設定される。
【0014】
制御用マイコン9は、図2に示すように、TV放送信号に含まれる映像信号を処理する映像信号処理部11と、TV放送信号に含まれるテレテキスト信号を処理するテレテキストデコーダ回路(テレテキストデコーダ手段)12と、合成部13と、映像データを表示部2に出力する映像データ出力部14とを有する。また、制御用マイコン9は、音声信号を処理する音声信号処理部15と、音声データをスピーカ3に出力する音声データ出力部16とをさらに有する。
【0015】
映像信号処理部11は、TV放送信号に含まれる映像信号を表示部2に表示可能な映像データに変換する等の処理を行い、変換した映像データを合成部13に送信する。テレテキストデコーダ回路12は、TV放送信号に含まれるテレテキスト信号を抽出して表示部2に表示可能なデータにデコードし、デコードしたテレテキストデータを合成部13に送信する。
【0016】
合成部13は、映像信号処理部11及びテレテキストデコーダ回路12から送信されたデータをリモコン装置7から送信される指示信号に基づいて合成する。具体的には、例えば、ユーザによってテレテキスト表示切替ボタン7cが操作されることにより、テレテキストの表示がオンに設定されているとき、合成部13は映像データとテレテキストデータを合成して、合成した映像データを映像データ出力部14に送出する。一方、テレテキストの表示がオフに設定されているとき、合成部13は映像信号処理部11から送信された映像データのみを映像データ出力部14に送信する。なお、テレテキストの表示がオンに設定されているとき、合成部13は、映像信号処理部11から送信された映像データと、テレテキストデータとを交互に切替えて表示部2に出力することにより、TV放送番組の映像データとテレテキストとを表示部2に表示させてもよい。
【0017】
音声信号処理部15は、受信したTV放送信号に含まれる音声信号を音声データに変換して、音声データ出力部16に送信する。
【0018】
次に、テレテキストデコーダ回路12の構成について、図3を参照して説明する。テレテキストデコーダ回路12は、テレテキスト信号抽出部21と、テレテキスト信号をデコードするデコーダ部22とを有する。また、テレテキストデコーダ回路12は、メモリ部(複数のテレテキストデータ記憶手段)23にデータを記憶させるためのデータ書換え部(テレテキストデータ書込み手段)24と、比較制御部(比較手段)25と、合成部13にテレテキストデータを出力するデータ出力部26とをさらに有する。
【0019】
テレテキスト信号抽出部21は、チューナ5から受信したTV放送信号に含まれるテレテキスト信号を抽出する。デコーダ部22は、テレテキスト信号抽出部21によって抽出したテレテキスト信号を表示部2に表示可能なテレテキストデータにデコードする。
【0020】
メモリ部23は、第1バッファメモリ(第1テレテキストデータ記憶手段)23a、第2バッファメモリ(第2テレテキストデータ記憶手段)23b、及び第3バッファメモリ(第3テレテキストデータ記憶手段)23cから構成され、第1バッファメモリ乃至第3バッファメモリは各々、テレテキストデータを記憶するものである。
【0021】
データ書換え部24は、デコーダ部22によってデコードされたテレテキストデータをメモリ部23の第1乃至第3のバッファメモリ23a〜23cに順次記憶させる。
【0022】
比較制御部25は、第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cのそれぞれに記憶されたテレテキストデータの内容を比較し、その結果により、表示部2に表示させるテレテキストデータを制御する処理を行うものである。この処理の詳細については後述する。また、比較制御部25は、データ書換え部24に動作指示を行うことにより、例えば、データ書換え部24を制御して、第3バッファメモリに記憶されているテレテキストデータの内容を第1バッファメモリに記憶させることができる。データ出力部26は、第1バッファメモリ23aに記憶されているテレテキストデータを取得して合成部13に出力するものである。
【0023】
次に、テレテキストデコーダ回路12によるテレテキストデータの出力処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは説明の便宜上、テレテキスト信号抽出部によるテレテキスト信号の抽出処理及び、デコーダ部22によるデコード処理の説明については省略する。
【0024】
まず、データ書換え部24は、デコーダ部22からテレテキストデータを受信すると(S1)、受信したテレテキストデータを第1バッファメモリ23aに記憶させ(S2)、次にデコーダ部22からテレテキストデータを受信すると(S3)、受信したテレテキストデータを第2バッファメモリ23bに記憶させる(S4)。その後、データ書換え部24は、デコーダ部22からテレテキストデータを受信すると(S5)、受信したテレテキストデータを第3バッファメモリ23cに記憶させる(S6)。
【0025】
そして、比較制御部25は、第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cの各々に記憶されたテレテキストデータの内容を比較し(S7)、第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cに記憶された全てのテレテキストデータが一致している場合(S8でYES)、第1バッファメモリ23aに記憶されているテレテキストデータをデータ出力部26により合成部13に出力する(S9)。そして、その後、上記S3以降の処理が繰り返される。
【0026】
一方、第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cに記憶された全てのテレテキストデータのうちの2つのテレテキストデータが一致している場合には(S8でNO、S10でYES)、比較制御部25は、データ書換え部24を制御することにより、一致しているテレテキストデータを第1バッファメモリ23aに記憶させる(S11)。そして、上記S9に示したように、データ出力部26によって第1バッファメモリ23aに記憶されているデータが合成部13に出力される。
【0027】
また、第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cに記憶された全てのテレテキストデータが一致していない場合(S10でNO)、比較制御部25は、第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cに記憶された各テレテキストデータのうち、最後に記憶されたテレテキストデータを第1バッファメモリ23aに記憶する。具体的には、例えば、第3バッファメモリ23cに記憶されたテレテキストデータが最後に記憶されたテレテキストデータである場合、比較制御部25は、データ書換え部24を制御することにより、第3バッファメモリ23cに記憶されたテレテキストデータを第1バッファメモリ23aに記憶させる(S12)。そして、上記S9に示したように、第1バッファメモリ23aに記憶されているデータがデータ出力部26によって合成部13に出力される。
【0028】
上述したように、本実施形態に係るTV受像機1によれば、第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cの各々に記憶されたテレテキストデータの内容を比較し、その結果、全てのテレテキストデータが一致している場合、一致しているテレテキストデータを表示部2に表示させる。また、第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cに記憶されたテレテキストデータのうちのいくつかが一致している場合、最も一致している数が多いテレテキストデータを表示部2に表示させ、全てのテレテキストデータが一致していない場合、最後に第1乃至第3バッファメモリ23a〜23cのうちのいずれかに記憶されたテレテキストデータを表示部2に表示させる。そのため、データの取得不良等により受信したテレテキストデータが誤っている場合であっても、テレテキストデータの内容を比較することにより、取得したテレテキストデータにおける誤りの発生原因を問わず、誤ったテレテキストデータが画面上に表示されるのを防ぐことができる。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態において、テレテキストデータを記憶するバッファメモリは4つ以上であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係るTV受像機の構成を示すブロック図。
【図2】上記TV受像機の制御用マイコンの構成を示すブロック図。
【図3】上記制御用マイコンのテレテキストデコーダ回路の構成を示すブロック図。
【図4】上記テレテキストデコーダ回路によるテレテキストデータの出力処理を示すフローチャート。
【0031】
1 TV受像機(テレビジョン受像機)
2 表示部(表示手段)
5 チューナ(受信手段)
9 制御用マイコン(制御手段)
12 テレテキストデコーダ回路(テレテキストデコーダ手段)
22 デコーダ部(テレテキストデコーダ手段)
23 メモリ部(複数のテレテキストデータ記憶手段)
24 データ書換え部(テレテキストデータ書込み手段)
25 比較制御部(比較手段)
23a 第1バッファメモリ(第1テレテキストデータ記憶手段)
23b 第2バッファメモリ(第2テレテキストデータ記憶手段)
23c 第3バッファメモリ(第3テレテキストデータ記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号、及びテレテキスト信号を含むテレビジョン放送信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された映像信号及びテレテキスト信号に基づく映像を表示する表示手段と、
前記受信手段によって受信されたテレテキスト信号を、前記表示手段に表示させるためのテレテキストデータにデコードするテレテキストデコーダ手段と、
装置各部を制御する制御手段とを備えるテレビジョン受像機において、
テレテキストデータを記憶する複数のテレテキストデータ記憶手段と、
前記複数のテレテキストデータ記憶手段のそれぞれにテレテキストデータを記憶させるテレテキストデータ書込み手段と、
前記複数のテレテキスト記憶手段のそれぞれに記憶されたテレテキストデータの内容を比較する比較手段とをさらに備え、
前記テレテキストデータ書込み手段は、前記テレテキストデコーダ手段によってデコードされたテレテキストデータを順次、前記複数のテレテキスト記憶手段の各々に記憶させ、
前記制御手段は、
前記比較手段を用いて前記複数のテレテキストデータ記憶手段の各々に記憶されたテレテキストデータの内容を比較し、その結果、
前記複数のテレテキストデータ記憶手段に記憶された全てのテレテキストデータが一致している場合、一致しているテレテキストデータを前記表示手段に表示させ、
前記複数のテレテキストデータ記憶手段に記憶された全てのテレテキストデータのうちのいくつかのテレテキストデータが一致している場合、最も一致している数が多いテレテキストデータを前記表示手段に表示させ、
前記複数のテレテキストデータ記憶手段に記憶された全てのテレテキストデータが一致していない場合、前記複数のテレテキストデータ記憶手段に記憶された各テレテキストデータのうち、最後に前記テレテキスト記憶手段に記憶されたテレテキストデータを前記表示手段に表示させることを特徴とするテレビジョン受像機。
【請求項2】
前記複数のテレテキストデータ記憶手段は、第1テレテキストデータ記憶手段、第2テレテキストデータ記憶手段、及び第3テレテキストデータ記憶手段から構成されることを特徴とする請求項1に記載のテレビジョン受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−109569(P2010−109569A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278342(P2008−278342)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】