説明

テレビ放送表示用の表示制御装置および表示制御装置用プログラム

【課題】テレビ放送用の表示装置が車両に搭載され、その車両が走行しているときでも、テレビ放送局から緊急情報が送信されている場合には、自動的にその緊急情報をドライバが見ることができるようにする。
【解決手段】 車両用ナビゲーション装置1は、ユーザによるテレビ受信の選択がなされており(ステップ415)、かつ自車両が走行中である場合(ステップ420)であっても、テレビ受信装置15が緊急情報を現在受信しており(ステップ435)、かつ、自車両の現在位置または現在位置から目的地までの誘導経路の一部(または全部)が、地域符号部231が限定する地域に入っている場合(ステップ440)は、その受信された緊急情報中の緊急情報本体22に含まれる災害の詳細を画像表示装置13に表示させることを、テレビ放送信号2に基づく映像の表示禁止に優先して行う(ステップ445)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送信号に基づいた情報を画像表示装置に表示させる表示装置および表示装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ放送用の表示装置において、その表示装置が搭載された車両の走行中には画像を表示せず、音声だけを出力する機能を有するものがある。表示装置のこのような機能は、走行強制機能と呼ばれている。
【0003】
また、特許文献1には、車速センサからの車速信号に基づいて車両が走行中であることを判定すると、テレビ画面表示のための入力操作等を受け付ないような状態になり、そのような状態において、ドライバがハンドルに設けられた2つの走行強制解除スイッチを同時にオンすると、上記の入力操作を受け付けるようになるナビゲーション装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−198745
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなナビゲーション装置では、車両が走行しているときに、テレビ放送局から災害情報等の緊急情報を含むテレビ放送信号を送信されたとしても、ドライバは、上記の走行強制解除等の操作等を経なければ、その緊急情報を表示装置で見ることができない。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、テレビ放送用の表示装置が車両に搭載され、その車両が走行しているときでも、テレビ放送局から緊急情報が送信されている場合には、自動的にその緊急情報をドライバが見ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の特徴は、自らが搭載された車両(すなわち自車両)の走行を検出していることに基づいて、テレビ放送信号の示す動画像を画像表示装置が表示することを制限する表示制御装置が、[テレビ放送信号を受信するテレビ受信装置が当該テレビ放送信号中の緊急情報を受信したこと]に基づいて、自車両の走行中に、その受信された緊急情報を、画像表示装置に表示させることである。
【0007】
このように、表示制御装置は、自車両が走行しているときでも、テレビ放送局から緊急情報が送信されている場合には、自動的にその緊急情報を画像表示装置に表示させることで、ドライバがその緊急情報を確認することができる。
【0008】
また、表示制御装置は、テレビ受信装置が受信した緊急情報が有する地域限定情報に限定地域として含まれる地理領域を地図データの示す地図上に表した画像を、画像表示装置に表示させるようになっていてもよい。このようになっているので、ドライバは、緊急情報に係る地理領域を視覚的に把握することができるようになる。
【0009】
また、表示制御装置が、自車両の現在位置を特定することができる場合、テレビ受信装置が受信した緊急情報が有する地域限定情報が、特定した自車両の現在位置をその限定地域として含んでいることに基づいて、緊急情報を画像表示装置に表示させるようになっていてもよい。このようになっていることで、自車両の現在位置を特定する機能との連携によって、ドライバにとって有用性の高い緊急情報を絞り込むことができる。
【0010】
また、表示制御装置が、自車両の現在位置を特定する機能と、特定した自車両の現在位置から目的地までの誘導経路を算出する機能とを有している場合、テレビ受信装置が受信した緊急情報が有する地域限定情報が、算出した誘導経路の一部または全部をその限定地域として含んでいることに基づいて、緊急情報を前記画像表示装置に表示させるようになっていてもよい。このようになっていることで、誘導経路を算出する機能との連携によって、ドライバにとって有用性の高い緊急情報を絞り込むことができる。
【0011】
この場合、さらに表示制御装置は、テレビ受信装置が受信した緊急情報が有する地域限定情報が、算出した誘導経路の一部をその限定地域として含んでいることに基づいて、前記限定地域を迂回する誘導経路を再算出するようになっていてもよい。このようになっていることで、ドライバに対して、緊急情報が示す地域を避けた走行を促すことができるようになる。
【0012】
またこの場合、表示制御装置は、テレビ受信装置がテレビ放送信号中の緊急情報を受信しており、かつ、ユーザが操作装置を用いることで入力された目的地が緊急情報の有する地域限定情報に限定地域として含まれないことに基づいて、入力された目的地を誘導経路算出のための目的地として確定するようになっていてもよい。このようになっていることで、緊急情報が示す地域を避けた目的地の設定を行うことができるようになる。
【0013】
また、この表示制御装置は、テレビ受信装置や画像表示装置をその構成要素として備えていてもよい。
【0014】
また、上記のような本発明の特徴は、表示制御装置用プログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、スピーカ14、テレビ受信装置15、RAM16、ROM17、外部記憶媒体18、および制御回路19を有している。
【0016】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。
【0017】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路19に出力する。
【0018】
画像表示装置13は、制御回路19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0019】
テレビ受信装置15は、制御回路19からの制御に基づいて、その制御によって指定された地上デジタルテレビ放送局からのテレビ放送信号を受信し、この受信したテレビ放送信号中のデータを、制御回路19に出力する。図2に、テレビ受信装置15が受信するテレビ放送信号2の概略的なデータ構成を示す。テレビ放送信号2は、緊急情報記述子21、緊急情報本体22、番組の画像および音声がエンコードされた動画データ23等を含んでいる。
【0020】
緊急情報記述子21および緊急情報本体22は、大規模地震や津波等の災害が発生したときに、テレビ放送局から送信され続けるデータである。緊急情報記述子21は、災害の種別やその災害のあった地域を限定する情報等、災害に関する規定の属性を表すデータである。緊急情報本体22は、災害の内容を緊急情報記述子21よりも具体的に表すデータである。緊急情報本体22としては、例えば各地域の震度、各地域の津波の高さ、各地域の津波の到達時刻等がある。なお、緊急情報記述子21が送信される場合は、常に緊急情報本体22も送信されるようになっている。
【0021】
図3に、地上デジタル放送の規格によって規定される緊急情報記述子21のデータ構成を概略的に示す。緊急情報記述子21は、8ビット長の記述子タグ部211、8ビット長の記述子長部212、および可変長の個別記述子213を有している。記述子タグ部211は、緊急情報記述子21が緊急情報記述子であることを示すための所定のデータ(16進数表現でFCとなる)を含む。記述子長部212は、続く個別記述子213のデータ長を表すデータ値を含んでいる。
【0022】
個別記述子213は、16ビット長のサービス識別部221、1ビット長の開始/終了フラグ部222、1ビット長の信号種別部223、6ビット長の未定義部224、8ビット長の地域符号長部225、および可変長の個別地域記述子226を有している。なお、個別記述子213は、これら各部221〜226から成る組を複数有していてもよい。信号種別部223は、個別記述子213の示す災害の種別を示すデータ値を有している。図4に、この信号種別部223が取り得るデータ値と、それら各データ値の意味付けとの対応関係を示す。この図に示す通り、信号種別部223のデータ値が0である場合、その信号種別部223を有する個別記述子213は、所定の基準を満たす大規模地震についてのデータであり、1である場合、その信号種別部223を有する個別記述子213は、所定の基準を満たす津波についてのデータである。地域符号長部225は、個別地域記述子226のデータ長を表すデータ値を含んでいる。
【0023】
個別地域記述子226は、12ビット長の地域符号部231および4ビット長の未定義部232を有している。なお、個別地域記述子226は、これら各部231〜232から成る組を複数有していてもよい。地域符号部231は、それを含む個別記述子213に係る災害のあった地域を限定する符号データを含んでいる。図5に、地域符号部231が取り得る符号データと、それら各符号データの表す限定地域との対応関係を示す。例えば、符号“0110 1001 1001”は、限定地域が近畿広域圏であることを示し、符号“1010 0110 1010”は、限定地域が静岡県であることを示し、符号“0011 0100 1101”は、全域が限定地域であることを示している。
【0024】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、制御回路19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。地図データは、道路片(リンク)および交差点(ノード)の位置、種別、交差点と道路片との接続関係情報等を含む道路データ、および施設データを有している。また外部記憶媒体18は、図5に示した地域符号部231の地域符号と限定地域の位置範囲との対応関係のデータを有している。
【0025】
制御回路(コンピュータに相当する)19は、ROM17および外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM16および外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、スピーカ14、およびテレビ受信装置15と信号の授受を行う。
【0026】
制御回路19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路探索処理、経路案内処理等がある。
【0027】
現在位置特定処理は、現在位置特定プログラム60を実行することで、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0028】
誘導経路探索処理は、誘導経路算出プログラム70を実行することで、操作スイッチ群12からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。
【0029】
経路案内処理は、経路案内プログラム80を実行することで、外部記憶媒体18から地図データを読み出し、算出された誘導経路、目的地、経由地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置13に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達した等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号をスピーカ14に出力する処理である。
【0030】
また、制御回路19は、その作動中に、図6にフローチャートとして示すプログラム400を、他のプログラムと並列的に常時実行している。制御回路19は、このプログラム400の実行においては、まずステップ415で、ドライバ等のユーザがテレビ受信の選択を行った状態であるか否かを判定する。テレビ受信の選択を行った状態とは、具体的には、操作スイッチ群12に対してテレビ表示要求のための所定の操作があった後に、そのテレビ表示を終了するための所定の操作があるまでの期間における状態をいう。テレビ放送信号2を受信していれば続いてステップ420を実行し、受信していなければ再度ステップ415を実行する。したがって、テレビ受信の選択がない状態では、画像表示装置13は、他のナビゲーション装置用のプログラムの処理に従った表示(例えば地図表示、メニュー表示等)を行う。
【0031】
ステップ420では、自車両が走行中であるか否かを判定する。なお、自車両の車速は、位置検出器11の車速センサからの信号に基づいて特定する。自車両が走行中である場合、続いてステップ435を実行し、走行中でない場合、続いてステップ430で、テレビ放送信号2中の動画データ23等に基づくテレビ放送画像を、通常の方法で画像表示装置13に表示させ、またテレビ放送音声をスピーカ14に表示させ、その後ステップ415を実行する。このように、テレビ受信が選択され、自車両が停止している間は、ステップ415、420、430がこの順で繰り返されることにより、画像表示装置13がテレビ番組の画像を表示し続ける。
【0032】
ステップ435では、テレビ受信装置15が緊急情報記述子21を現受信している否かを、テレビ受信装置15から受けるデータの内容に基づいて判定する。緊急情報記述子21を受信していれば続いてステップ440を実行し、受信していなければ続いてステップ450を実行する。
【0033】
ステップ450では、画像表示装置13が現在テレビ放送信号2に基づく番組映像等を表示させていれば、その表示を消去させ、その後ステップ415を実行する。ただし、テレビ放送信号2に基づく音声は、スピーカ14に出力させる。このステップ450の処理によって、テレビ放送信号2に基づく動画像表示が禁止されることになる。
【0034】
ステップ440では、現在位置特定処理によって特定した自車の現在位置が、緊急情報記述子21中の地域符号部231の示す地域(以下対象地域と記す)に含まれるか否かを、図5に示した対応関係のデータを外部記憶媒体18から読み出して参照することで、判定する。なお、現在制御回路19が経路案内処理を行っている場合、現在の誘導経路の一部または全部が対象地域に入っているか否かも判定する。自車両の現在位置または現在位置から目的地までの誘導経路の一部(または全部)が対象地域に入っている場合、続いてステップ445を実行し、そうでない場合、続いてステップ450を実行する。
【0035】
ステップ445では、テレビ受信装置15が受信したテレビ放送信号2のうち、緊急情報記述子21および緊急情報本体22に基づく情報のみを画像表示装置13に表示させる。図7〜図9に、この場合において画像表示装置13がその表示画面30に表す画像の例を示す。
【0036】
図7の場合においては、画像表示装置13は、制御回路19の制御に従って、表示画面30中の上端部305と下端部305に、緊急情報本体22の内容を表すテロップを表示している。また、表示画面30の中央部310には、テレビ放送信号2からの動画データ23に基づく映像は表示せず、ユーザが操作スイッチ群12を用いて選択操作可能な災害地表示ボタン320を表示する。また、図8においては、中央部310に、現在地を含む地図を表示させるようになっている。また、ステップ445においては、制御回路19は、災害地表示ボタン320のユーザによる選択を検出すると、図9に示すような表示を画像表示装置13に行わせる。このとき画像表示装置13は、地域符号部231に示された対象地域330を、地図データの示す地図に重ねて、色分け等で強調表示する。なお、ステップ445において、テレビ放送信号2に基づく音声を、スピーカ14に出力させるようになっていてもよい。
【0037】
続いてステップ455では、現在経路案内処理を行っているか否かを判定し、行っている場合は続いてステップ460を実行し、行っていない場合は続いてステップ415を実行する。
【0038】
ステップ460では、現在地から目的地までの誘導経路の一部または全部が対象地域に入っているので、この対象地域を避けて現在位置から目的地に到達するような誘導経路を再度算出する。ただし、現在地が対象地域に入っている場合は、最も短い距離で、または最も早く、対象地域から抜け出せるような誘導経路を再算出する。また、目的地が対象地域に入っている場合は、現在の誘導経路の終端を、目的地から、その誘導経路上の対象地域の境界の手前に変化させる。ステップ460に続いては、ステップ415を実行する。
【0039】
以上のようなプログラム400を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、ユーザによるテレビ受信の選択がなされており(ステップ415参照)、かつ自車両が走行中であることに基づいて(ステップ420参照)、テレビ受信装置15が受信したテレビ放送信号2に基づく動画等の映像を画像表示装置13に表示することを禁止する(ステップ450参照)。
【0040】
ただし、ユーザによるテレビ受信の選択がなされており、かつ自車両が走行中である場合であっても、テレビ受信装置15が緊急情報を現在受信しており(ステップ435参照)、かつ、自車両の現在位置または現在位置から目的地までの誘導経路の一部(または全部)が、地域符号部231が限定する地域に入っている間(ステップ440参照)は、その受信された緊急情報中の緊急情報本体22に含まれる災害の詳細を画像表示装置13に表示させることを、テレビ放送信号2に基づく映像の表示禁止に優先して行い続ける(ステップ445参照)。
【0041】
このように、車両用ナビゲーション装置1は、自車両が走行しているときでも、テレビ放送局から緊急情報が送信されている場合には、自車両の現在位置を特定する機能や誘導経路を算出する機能との連携によって、ドライバにとって有用性の高い緊急情報を絞り込んだ上で、自動的にその緊急情報を画像表示装置に表示させるので、ドライバはその緊急情報を見ることができる。
【0042】
また、このときの緊急情報本体22の内容の画像表示装置13への表示は、図7および図8に示すように画像表示装置13の表示画面30の上端部305および下端部に文字テロップを表示させるようになっていてもよいし、ユーザの災害地表示要求の操作に基づいて、図9に示すようにその災害領域を地図データの示す地図上に表した画像を表示させるようになっていてもよい。このようになっていれば、ドライバは、緊急情報に係る地理領域を視覚的に把握することができるようになる。
【0043】
また車両用ナビゲーション装置1は、テレビ受信装置15が緊急情報を現在受信しており(ステップ435参照)、かつ、自車両の現在位置または現在位置から目的地までの誘導経路の一部(または全部)が、地域符号部231が限定する地域に入っている場合(ステップ440参照)に、経路案内処理を実行していれば(ステップ455参照)、その限定地域を迂回するような誘導経路を再算出する(ステップ460参照)。このようになっていることで、ドライバに対して、緊急情報が示す地域を避けた走行を促すことができるようになる。
【0044】
また制御回路19は、誘導経路算出プログラム70の一部として、図10にフローチャートとして示すプログラム500を実行するようになっている。このプログラム500を実行することで、制御回路19は、誘導経路算出処理のうち、目的地の入力の受付から目的地の確定までの処理を実現する。制御回路19は、このプログラム500の実行において、まずステップ510で、ユーザの操作スイッチ群12に対する目的地入力操作を待ち、入力があると、続いてステップ515で、プログラム400のステップ420と同様に、テレビ受信装置15が緊急情報を現在受信しているか否かを判定する。緊急情報が受信されている場合、続いてステップ520を実行し、されていない場合、続いてステップ540を実行する。
【0045】
ステップ520では、直前のステップ515で受け付けた目的地が災害地、すなわちステップ510で受信した緊急情報記述子21中の地域符号部231によって限定される地域に含まれるか否かを判定し、含まれる場合、続いてステップ530を実行し、含まれない場合、続いてステップ540を実行する。
【0046】
ステップ530では、「目的地が災害地です」という文字や音声を画像表示装置13およびスピーカ14に出力させることで、ユーザに対して警告を行い、その後ステップ510で再度ユーザの目的地入力を受け付ける。
【0047】
ステップ540では、直前に入力された目的地を、誘導経路算出のための目的地として確定し、現在位置からその確定した目的地に対する誘導経路の算出を開始し、その後プログラム500の実行を終了する。
【0048】
以上のようなプログラム500を制御回路19が実行することで、車両用ナビゲーション装置1は、誘導経路算出処理において、ユーザによって目的地の入力を受け付けたときに(ステップ510参照)、テレビ受信装置15が緊急情報を受信しており(ステップ515参照)、かつ地域符号部231が限定する地域に目的地が含まれている場合(ステップ520参照)、当該目的地は災害地域内である旨の警告表示を行い(ステップ530参照)、再度目的地入力を受け付ける(ステップ510参照)。そして、テレビ受信装置15が緊急情報を受信していない場合や、地域符号部231が限定する地域に目的地が含まれていない場合は、その入力された目的地を誘導経路算出対象の目的地として確定し(ステップ540参照)、その確定した目的地に対する誘導経路の算出を開始する。
【0049】
このようになっていることで、ユーザは、入力した目的地が緊急情報の示す災害地域であることを容易に知ることができるようになり、また、緊急情報が示す災害地域を避けた目的地の設定を行うことができるようになる。
【0050】
なお、上記の実施形態において、車両用ナビゲーション装置1が表示制御装置に相当し、現在位置特定プログラム60、誘導経路算出プログラム70、プログラム400およびプログラム500が表示制御装置用プログラムに相当する。また、緊急情報記述子21および緊急情報本体22が、緊急情報に相当し、地域符号部231が地域限定情報に相当する。また、制御回路19が、プログラム400のステップ415を実行することで走行検出手段として機能し、ステップ450を実行することで表示制限手段として機能し、ステップ445を実行することで緊急情報表示制御手段として機能し、現在位置特定プログラム60を実行することで現在位置特定手段として機能し、誘導経路算出プログラム70およびプログラム400のステップ460を実行することで誘導経路算出手段として機能する。
【0051】
(他の実施形態)
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各構成要素の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0052】
例えば、テレビ受信装置15は、地上デジタルでなくとも、他のデジタルテレビ放送規格によるテレビ放送信号を受信するようになっていてもよい。
【0053】
また、緊急情報としては、地震、津波、洪水等の災害に関するものでなくとも、空港封鎖、幹線道路封鎖等、緊急に広範囲な通知が必要な事態に関するものであれば足りる。
【0054】
また、制御回路19は、ステップ445では、緊急情報と併せて動画データ23に基づく動画像の表示を行ってもよい。特に、動画データ23がその緊急情報に関係のあるもの(例えば災害ニュース)である場合に、動画像の表示を行うようになっていてもよい。また、動画像がその緊急情報に関係のあるものであるか否かは、テレビ放送局から送信される放送信号中の番組内容データ等から特定すればよい。
【0055】
また、制御回路19は、ステップ450では、テレビ放送信号2に基づく映像の画像表示装置13への表示を完全に禁止せずとも、動画の表示のみを禁止するようになっていてもよい。すなわちステップ450では、テレビ放送信号2に基づく映像の画像表示装置13を通常の場合(すなわちステップ430の場合)よりも制限するようになっていれば足りる。
【0056】
また、制御回路19は、プログラム500の実行においては、地域符号部231が限定する地域に目的地が含まれている場合であっても、ユーザが2度続けてその目的地を入力する等、ユーザが強くその目的地に進入する意志を示す操作スイッチ群12に対する操作があった場合は、その目的地を誘導経路算出対象の目的地として確定するようになっていてもよい。
【0057】
なお、上記の実施形態においては、車両用ナビゲーション装置1が、本発明の表示制御装置の一例として挙げられているが、車両用ナビゲーション装置に限らず、例えば、人が携帯できるような携帯型ナビゲーション装置としても実現可能である。また、表示制御装置は、自車両が走行しているか否かを、車速センサやシフト位置センサ等からの信号に基づいて特定できるようになっていれば、必ずしもナビゲーション装置でなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成図である。
【図2】テレビ放送信号2中のデータ構成の概略図である。
【図3】緊急情報記述子21のデータ構成の概略図である。
【図4】信号種別部223中のデータ値とそのデータ値の示す意味合いとの対応関係を表す図表である。
【図5】地域符号部231中のデータ値とそのデータ値の示す限定地域との対応関係を表す図表である。
【図6】制御回路19が実行するプログラム400のフローチャートである。
【図7】画像表示装置13の表示画面30における災害情報の表示例を示す図である。
【図8】画像表示装置13の表示画面30における災害情報の表示例を示す図である。
【図9】画像表示装置13の表示画面30における災害情報の表示例を示す図である。
【図10】制御回路19が実行するプログラム500のフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1…車両用ナビゲーション装置、2…テレビ放送信号、11…位置検出器、
12…操作スイッチ群、13…画像表示装置、14…スピーカ、
15…テレビ受信装置、16…RAM、17…ROM、18…外部記憶媒体、
19…制御回路、21…緊急情報記述子、22…緊急情報本体、23…動画データ、
30…表示画面、60…現在位置特定プログラム、70…誘導経路算出プログラム、
80…経路案内プログラム、305…上端側緊急情報表示部、310…中央部、
315…下端側緊急情報表示部、320…災害地表示ボタン、
330…災害地領域表示、400、500…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行していることを検出する走行検出手段と、
前記走行検出手段が自車両の走行を検出していることに基づいて、テレビ放送信号の示す動画像を画像表示装置が表示することを制限する表示制限手段と、
前記テレビ放送信号を受信するテレビ受信装置が前記テレビ放送信号中の緊急情報を受信したことに基づいて、前記走行検出手段が自車両の走行を検出しているときに、前記テレビ受信装置が受信した前記緊急情報を、前記画像表示装置に表示させる緊急情報表示制御手段と、を備えた表示制御装置。
【請求項2】
前記緊急情報表示制御手段は、前記テレビ受信装置が受信した前記緊急情報が有する地域限定情報に限定地域として含まれる地理領域を地図データの示す地図上に表した画像を、前記画像表示装置に表示させることを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
自車両の現在位置を特定する現在位置特定手段を備え、
前記緊急情報表示制御手段は、前記テレビ受信装置が受信した前記緊急情報が有する地域限定情報が、前記現在位置特定手段が特定した自車両の現在位置をその限定地域として含んでいることに基づいて、前記緊急情報を前記画像表示装置に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
自車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記現在位置特定手段が特定した自車両の現在位置から目的地までの誘導経路を算出する誘導経路算出手段と、を備え、
前記緊急情報表示制御手段は、前記テレビ受信装置が受信した前記緊急情報が有する地域限定情報が、前記誘導経路算出手段が算出した前記誘導経路の一部または全部をその限定地域として含んでいることに基づいて、前記緊急情報を前記画像表示装置に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記誘導経路算出手段は、前記テレビ受信装置が受信した前記緊急情報が有する地域限定情報が、算出した前記誘導経路の一部をその限定地域として含んでいることに基づいて、前記限定地域を迂回する誘導経路を再算出することを特徴とする請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記誘導経路算出手段は、前記テレビ受信装置が前記テレビ放送信号中の緊急情報を受信しており、かつ、ユーザが操作装置を用いることで入力された目的地が前記緊急情報の有する地域限定情報に限定地域として含まれないことに基づいて、前記入力された目的地を誘導経路算出のための目的地として確定することを特徴とする請求項4または5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記テレビ受信装置を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記画像表示装置を備えたことを特徴とする特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項9】
自車両が走行していることを検出する走行検出手段、
前記走行検出手段が自車両の走行を検出していることに基づいて、テレビ放送信号の示す動画像を画像表示装置が表示することを制限する表示制限手段、
前記テレビ放送信号を受信するテレビ受信装置が前記テレビ放送信号中の緊急情報を受信したことに基づいて、前記テレビ受信装置が受信した前記緊急情報を、前記画像表示装置に表示させる緊急情報表示制御手段、としてコンピュータを機能させる表示制御装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−242889(P2006−242889A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62355(P2005−62355)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】