説明

テレフタラメート化合物および組成物、ならびにHIVインテグラーゼ阻害剤としてのそれらの使用

テレフタラメート構造を有する化合物を開示する。また、当該化合物の製造方法、HIVインテグラーゼ活性を調節するための当該化合物の使用方法、ならびに当該化合物を含む医薬組成物および医薬を開示する。また、AIDSまたはHIV感染の病理および/または症状を処置および/または予防および/または阻害および/または改善する当該化合物、医薬組成物および医薬の使用方法を開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2006年5月15日に出願した米国仮出願第60/747,262号の利益を主張し、その全体において出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
発明の分野
化合物、当該化合物の製造方法、当該化合物を含む医薬組成物および医薬、ならびにHIVインテグラーゼ活性に関連する疾患または状態の処置または予防のための当該化合物の使用方法を開示している。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
レトロウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原体である。これらに限定されないが、逆転写酵素、プロテアーゼおよびインテグラーゼを含む様々なウイルス酵素がHIV複製に必要である。とりわけ、HIVインテグラーゼはプロウイルスDNAの宿主細胞ゲノムへの挿入を仲介する。HIV感染細胞において組換えインテグラーゼによって触媒される鎖転移反応の阻害は、インテグラーゼ阻害をもたらし、続くHIV複製を阻害する。HIV複製を阻害するウイルス酵素阻害剤(例えば、ジドブジン(AZT)およびエファビレンツのような逆転写酵素阻害剤;インジナビル(IDV)およびネルフィナビルのようなプロテアーゼ阻害剤)は、AIDSおよび同様の疾患の処置に有用である。
【発明の概要】
【0004】
発明の要約
化合物、当該化合物の製造方法、当該化合物を含む医薬組成物および医薬、ならびにHIVインテグラーゼ活性に関連する疾患または状態の処置または予防のための当該化合物の使用方法を開示している。
【0005】
1つの局面は、
式(I):
【化1】

〔式中、
はH、アルキルまたは置換アルキルであり;
はH、アルキル、置換アルキル、−C(O)−アルキルまたは−C(O)−置換アルキルであり;
はH、アルキル、置換アルキル、−C(O)−アルキルまたは−C(O)−置換アルキルであり;
はH、アルキルまたは置換アルキルであるか;
または−O−R−R−N−は一体となって、所望により置換されている6または7員環を形成し;
はH、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−C置換アルキルであり;
はH、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−C置換アルキルであり;
は所望により置換されたC−Cシクロアルキル、所望により置換された低級ヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールであり;
ここで各置換基は独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、=O、=S、=NH、−SO、ニトロアルキル、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールアルキルアミノ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、グアニジニル、O−カルバミル、N−カルバミル、チオカルバミル、ウリル、イソウリル、チオウリル、イソチオウリル、メルカプト、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、ホスホニル、ホスファチジル、ホスホラミジル、−L−H、−L−アルキル、−L−置換アルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−ペルハロアルキル、−L−アルケニル、−L−置換アルケニル、−L−ヘテロアルケニル、−L−ハロアルケニル、−L−ペルハロアルケニル、−L−アルキニル、−L−置換アルキニル、−L−ヘテロアルキニル、−L−ハロアルキニル、−L−ペルハロアルキニル、−L−シクロアルキル、−L−置換シクロアルキル、−L−ヘテロシクロアルキル、−L−置換ヘテロシクロアルキル、−L−シクロアルケニル、−L−置換シクロアルケニル、−L−ヘテロシクロアルケニル、−L−置換ヘテロシクロアルケニル、−L−シクロアルキニル、−L−置換シクロアルキニル、−L−ヘテロシクロアルキニル、−L−置換ヘテロシクロアルキニル、−L−非置換アリール、−L−ヘテロアリールおよび−L−置換ヘテロアリールから成る群から選択され;
ここで−L−は、結合、−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−、−アルケニレン−、−アルキニレン−、−アリーレン−、−ヘテロアリーレン−、−O−、−S−、−NH−、−C(O)−、−C(S)−、OC(O)−、−C(O)O−、SC(O)−、−C(S)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−C(S)NH−、−NHC(S)−、−S(O)−、−S(O)−または−S(O)NH−であり;
nは0、1または2である〕
の構造を有する化合物、およびその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される溶媒和物である。
【0006】
さらなるまたは別の態様において、RはHではない。さらなるまたは別の態様において、RおよびRはメチルではない。さらなるまたは別の態様において、RはHではなく;そしてRおよびRはメチルではない。さらなるまたは別の態様において、RはHではない。さらなるまたは別の態様において、RはHではなく;RおよびRはメチルではなく;そしてRはHではない。さらなるまたは別の態様において、Rは非置換フェニルではない。さらなるまたは別の態様において、RはHではなく;RおよびRはメチルではなく;RはHではなく;そしてRは非置換フェニルではない。さらなるまたは別の態様において、式(I)の化合物は、RがHであり;そしてRおよびRがメチルであるとき、RはHではなく;そしてRは非置換フェニルではない。
【0007】
さらなるまたは別の態様において、Rはアルキルである。さらなるまたは別の態様において、RはH、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHまたはメチルである。さらなるまたは別の態様において、Rはメチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、RおよびRはHである。さらなるまたは別の態様において、RはH、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHまたはメチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、Rはメチルである。さらなるまたは別の態様において、nは0である。さらなるまたは別の態様において、nは1である。
【0008】
さらなるまたは別の態様において、Rは所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、Rは置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、Rは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである。さらなるまたは別の態様において、Rは非置換フェニルまたは非置換ピリジルである。さらなるまたは別の態様において、Rは、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている。さらなるまたは別の態様において、R
【化2】

から成る群から選択される。
【0009】
さらなるまたは別の態様において、Rはアルキルであり;R=R=R=H;Rは置換フェニルまたは置換ピリジルであり;そしてnは0または1である。さらなるまたは別の態様において、Rはアルキルであり;R=R=R=H;Rは非置換フェニルまたは非置換ピリジルであり;そしてnは0または1である。さらなるまたは別の態様において、−O−R−R−N−は一体となって、所望により置換された、6または7員環を形成する。
【0010】
他の局面は、式(II):
【化3】

〔式中、
はHまたはアルキルであり;
はHまたはアルキルであり;
はHまたはアルキルであり;
はHまたはアルキルであるか;
または−O−R−R−N−は一体となって、所望により置換された、6または7員環を形成し;
は所望により置換されたC−Cシクロアルキル、所望により置換された低級ヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールであり;
ここで各置換基は独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、=O、=S、=NH、−SO、ニトロアルキル、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールアルキルアミノ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、グアニジニル、O−カルバミル、N−カルバミル、チオカルバミル、ウリル、イソウリル、チオウリル、イソチオウリル、メルカプト、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、ホスホニル、ホスファチジル、ホスホラミジル、−L−H、−L−アルキル、−L−置換アルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−ペルハロアルキル、−L−アルケニル、−L−置換アルケニル、−L−ヘテロアルケニル、−L−ハロアルケニル、−L−ペルハロアルケニル、−L−アルキニル、−L−置換アルキニル、−L−ヘテロアルキニル、−L−ハロアルキニル、−L−ペルハロアルキニル、−L−シクロアルキル、−L−置換シクロアルキル、−L−ヘテロシクロアルキル、−L−置換ヘテロシクロアルキル、−L−シクロアルケニル、−L−置換シクロアルケニル、−L−ヘテロシクロアルケニル、−L−置換ヘテロシクロアルケニル、−L−シクロアルキニル、−L−置換シクロアルキニル、−L−ヘテロシクロアルキニル、−L−置換ヘテロシクロアルキニル、−L−非置換アリール、−L−ヘテロアリールおよび−L−置換ヘテロアリールから成る群から選択され;
ここで−L−は、結合、−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−、−アルケニレン−、−アルキニレン−、−アリーレン−、−ヘテロアリーレン−、−O−、−S−、−NH−、−C(O)−、−C(S)−、OC(O)−、−C(O)O−、SC(O)−、−C(S)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−C(S)NH−、−NHC(S)−、−S(O)−、−S(O)−または−S(O)NH−であり;
nは0、1または2である〕
の構造を有する化合物、およびその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される溶媒和物である。
【0011】
さらなるまたは別の態様において、RはHではない。さらなるまたは別の態様において、RおよびRはメチルではない。さらなるまたは別の態様において、RはHではなく;そしてRおよびRはメチルではない。さらなるまたは別の態様において、RはHではない。さらなるまたは別の態様において、RはHではなく;RおよびRはメチルではなく;そしてRはHではない。さらなるまたは別の態様において、Rは非置換フェニルではない。さらなるまたは別の態様において、RはHではなく;RおよびRはメチルではなく;RはHではなく;そしてRは非置換フェニルではない。さらなるまたは別の態様において、式(I)の化合物は、RがHであり;RおよびRがメチルであるとき、RはHではなく;そしてRは非置換フェニルではない。
【0012】
さらなるまたは別の態様において、Rはアルキルである。さらなるまたは別の態様において、RはH、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHまたはメチルである。さらなるまたは別の態様において、Rはメチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、RおよびRはHである。さらなるまたは別の態様において、RはH、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHまたはメチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、Rはメチルである。さらなるまたは別の態様において、nは0である。さらなるまたは別の態様において、nは1である。
【0013】
さらなるまたは別の態様において、Rは所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、Rは置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、Rは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである。さらなるまたは別の態様において、Rは非置換フェニルまたは非置換ピリジルである。さらなるまたは別の態様において、R−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている。さらなるまたは別の態様において、Rは、
【化4】

から成る群から選択される。
【0014】
さらなるまたは別の態様において、Rはアルキルであり;R=R=R=H; Rは置換フェニルまたは置換ピリジルであり;そしてnは0または1である。さらなるまたは別の態様において、Rはアルキルであり;R=R=R=H;Rは非置換フェニルまたは非置換ピリジルであり;そしてnは0または1である。さらなるまたは別の態様において、−O−R−R−N−は一体となって、所望により置換された、6または7員環を形成する。
【0015】
−O−R−R−N−が一体となって、所望により置換された6または7員環を形成するとき、さらなるまたは別の態様は、式(III):
【化5】

〔式中、
はH、アルキルまたは置換アルキルであり;
はH、アルキル、置換アルキル、−C(O)−アルキルまたは−C(O)−置換アルキルであり;
は所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールであり;
ここで各置換基は独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、=O、=S、=NH、−SO、ニトロアルキル、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールアルキルアミノ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、グアニジニル、O−カルバミル、N−カルバミル、チオカルバミル、ウリル、イソウリル、チオウリル、イソチオウリル、メルカプト、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、ホスホニル、ホスファチジル、ホスホラミジル、−L−H、−L−アルキル、−L−置換アルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−ペルハロアルキル、−L−アルケニル、−L−置換アルケニル、−L−ヘテロアルケニル、−L−ハロアルケニル、−L−ペルハロアルケニル、−L−アルキニル、−L−置換アルキニル、−L−ヘテロアルキニル、−L−ハロアルキニル、−L−ペルハロアルキニル、−L−シクロアルキル、−L−置換シクロアルキル、−L−ヘテロシクロアルキル、−L−置換ヘテロシクロアルキル、−L−シクロアルケニル、−L−置換シクロアルケニル、−L−ヘテロシクロアルケニル、−L−置換ヘテロシクロアルケニル、−L−シクロアルキニル、−L−置換シクロアルキニル、−L−ヘテロシクロアルキニル、−L−置換ヘテロシクロアルキニル、−L−非置換アリール、−L−ヘテロアリールおよび−L−置換ヘテロアリールから成る群から選択され;
ここで、−L−は、結合、−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−、−アルケニレン−、−アルキニレン−、−アリーレン−、−ヘテロアリーレン−、−O−、−S−、−NH−、−C(O)−、−C(S)−、OC(O)−、−C(O)O−、SC(O)−、−C(S)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−C(S)NH−、−NHC(S)−、−S(O)−、−S(O)−または−S(O)NH−であり;
nは0、1または2である〕
の構造を有する請求項34の化合物、およびその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される溶媒和物である。
【0016】
さらなるまたは別の態様において、Rはアルキルである。さらなるまたは別の態様において、RはH、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHまたはメチルである。さらなるまたは別の態様において、Rはメチルである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、RはHである。さらなるまたは別の態様において、nは0である。さらなるまたは別の態様において、nは1である。
【0017】
さらなるまたは別の態様において、Rは所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、Rは置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、Rは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである。さらなるまたは別の態様において、Rは非置換フェニルまたは非置換ピリジルである。さらなるまたは別の態様において、R−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている。さらなるまたは別の態様において、Rは、
【化6】

から成る群から選択される。
【0018】
さらなるまたは別の態様において、Rはアルキルであり;RはHであり;Rは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルであり;そしてnは0または1である。
【0019】
他の局面は、HIVインテグラーゼの活性を調節する方法であって、当該HIVインテグラーゼを式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種と接触させる工程を含んで成る方法である。
【0020】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRはアルキルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはHである。さらなるまたは別の態様において、化合物のnは0である。さらなるまたは別の態様において、化合物のnは1である。
【0021】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRは所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは非置換フェニルまたは非置換ピリジルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは、
【化7】

から成る群から選択される。
【0022】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRはアルキルであり;化合物のRはHであり;化合物のRは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルであり;そして化合物のnは0または1である。さらなるまたは別の態様において、化合物を直接HIVインテグラーゼと接触させる。さらなるまたは別の態様において、接触はインビトロで起こる。さらなるまたは別の態様において、接触はインビボで起こる。
【0023】
他の局面は、式(I)、(II)または(III)の化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種を、1種以上の賦形剤と共に含む、医薬組成物である。
【0024】
さらなるまたは別の態様において、1種以上の賦形剤は非経腸投与用である。さらなるまたは別の態様において、1種以上の賦形剤が経口投与用である。
【0025】
他の局面は、動物における免疫不全ウイルス感染の病理および/または症状を予防、阻害または改善する方法であって、当該動物に治療上有効量の式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種を投与することを含んで成る方法である。
【0026】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRがアルキルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはH、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはHまたはメチルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはHである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはメチルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはHである。さらなるまたは別の態様において、化合物のnは0である。さらなるまたは別の態様において、化合物のnは1である。
【0027】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRは所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは非置換フェニルまたは非置換ピリジルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは、
【化8】

から成る群から選択される。
【0028】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRはアルキルであり;化合物のRはHであり;化合物のRは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルであり;そして化合物のnは0または1である。さらなるまたは別の態様において、化合物を直接HIVインテグラーゼと接触させる。さらなるまたは別の態様において、接触はインビトロで起こる。さらなるまたは別の態様において、接触はインビボで起こる。
【0029】
他の局面は、ヒトにおけるAIDSまたはHIV感染の病理および/または症状を予防、阻害または改善する方法であって、当該ヒトに治療上有効量の式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種を投与することを含んで成る方法である。
【0030】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRはアルキルである。さらなるまたは別の態様において、RはH、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、またはtert−ブチルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはHまたはメチルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはHである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはメチルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRはHである。さらなるまたは別の態様において、化合物のnは0である。さらなるまたは別の態様において、化合物のnは1である。
【0031】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRは所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは非置換フェニルまたは非置換ピリジルである。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている。さらなるまたは別の態様において、化合物のRは、
【化9】

から成る群から選択される。
【0032】
さらなるまたは別の態様において、化合物のRはアルキルであり;化合物のRはHであり;化合物のRは置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルであり;そして化合物のnは0または1である。さらなるまたは別の態様において、化合物を直接HIVインテグラーゼと接触させる。さらなるまたは別の態様において、接触はインビトロで起こる。さらなるまたは別の態様において、接触はインビボで起こる。
【0033】
他の局面は、ヒトにおけるAIDSまたはHIV感染の病理および/または症状を予防、阻害または改善する方法であって、当該ヒトに治療上有効量の式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種を、組合せ療法の一部として投与することを含んで成る方法である。
【0034】
さらなるまたは別の態様において、当該方法はさらに、治療上有効量の1種以上の物質を投与することを含み、当該1種以上の物質がAIDSまたはHIV感染の病理および/または症状の予防、阻害または改善に有用である。
【0035】
さらなるまたは別の態様において、当該方法はさらに、治療上有効量の1種以上の物質を投与することを含み、当該1種以上の物質がAIDSまたはHIV感染の病理および/または症状の予防、阻害または改善についてFDAによって承認された治療剤である。
【0036】
さらなるまたは別の態様において、1種以上の物質は、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)、融合阻害剤およびそれらのあらゆる組合せから成る群から選択される。さらなるまたは別の態様において、1種以上の物質は、アバカビル、アムプレナビル、アタザナビル、デラビルジン(DLV)、ジダノシン(ddl)、エファビレンツ、エンフビルチド(T−20)、エムトリシタビン、エムトリシタビン(FTC)、フォサムプレナビル、インジナビル(IDV)、ラミブジン、ラミブジン(3TC)、ロピナビル、ネルフィナビル、ネビラピン、リトナビル、サキナビル、サキナビルメシル酸塩、スタブジン(d4T)、テノフォビルDF、ビリアード、ザルシタビン(ddC)、ジドブジンおよびジドブジン(AZT)、ならびにそれらのあらゆる組合せから成る群から選択される。
【0037】
さらなるまたは別の態様において、当該化合物を1種以上の物質と同時に投与する。さらなるまたは別の態様において、化合物を1種以上の物質と逐次的に投与する。さらなるまたは別の態様において、化合物と1種以上の物質を同じ医薬組成物で投与する。
【0038】
他の局面は、HIVインテグラーゼ活性が疾患または状態の病理および/または症状に寄与する動物における疾患または状態の処置用医薬の製造における、式(I)、(II)または(III)の化合物の使用である。さらなるまたは別の態様において、疾患または状態はAIDSまたはHIV感染である。
【0039】
他の局面は、HIVインテグラーゼ阻害剤としての式(I)、(II)または(III)に対応する化合物、それらのそれぞれのN−オキシドまたは他の薬学的に許容される誘導体、例えばプロドラッグ誘導体、または個々の異性体およびその異性体の混合物の製造方法である。
【0040】
他の局面は、HIVインテグラーゼ活性が疾患または状態の病理および/または症状に寄与する動物の疾患または状態の処置方法に使用するための、式(I)、(II)または(III)の化合物である。さらなるまたは別の態様において、疾患または状態はAIDSまたはHIV感染である。
【0041】
参照による取り込み
本明細書において言及されている全ての文献および特許出願を、それぞれの文献または特許出願が具体的かつ個別に参照により本明細書の一部として記載されているのと同程度に、参照により本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、化合物1とHIVインテグラーゼの2つの可能性のある相互作用モデル(1Aおよび1B)を示す分子モデリングの結果を示す。Glide 2.0 (Schrodinger, Inc, Portland, OR, 2002)を用いて、タンパク質データバンク(pdbコード1FK9)から取得したタンパク質座標で柔軟なドッキングを行う。
【図2】図2はインテグラーゼ活性部位において結合した化合物21の分子モデリングの結果を示す。
【0043】
発明の詳細な説明
例えばHIVインテグラーゼを阻害し、したがってAIDSまたはHIVの処置または予防に広い有用性を有しているテレフタラメートおよび関連化合物を記載する。他の抗HIV薬剤、例えばプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤などとの組合せで用いることができる、より効果的な抗HIV薬剤を提供するための化合物も、記載する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
化学用語
特に記載がない限り、明細書および特許請求の範囲を含む本明細書において用いられている下記用語は、下記定義を有する。明細書および特許請求の範囲に記載されている単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明示的にそうでないことを示していない限り、複数についての言及を含むことに注意するべきである。標準的な化学用語の定義は、参考文献、例えばCarey and Sundberg, Advanced Organic Chemistry 4th Ed., Vols. A (2000) and B (2001), Plenum Press, New York, NYに見出すことができる。特に記載がない限り、当業者の技術範囲内の質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の常套の方法を用いる。
【0045】
本明細書において使用されている下記語句は、それらが使用されている文脈が異なることを示していない限り、一般に下記の意味を有する。
【0046】
「式(I)の化合物」、「式(II)の化合物」、「式(III)の化合物」、「式(I)の構造を有する化合物」、「式(II)の構造を有する化合物」、「式(III)の構造を有する化合物」等は、本明細書に記載の式(I)、(II)または(III)のテレフタラメート化合物およびそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される溶媒和物、および薬学的に許容される配位錯体を含むことを意図する。さらに、式(I)、(II)または(III)の化合物は、置換基の選択によって生じる個々の立体化学異性体およびそれらの混合物を含む。式(I)、(II)または(III)の化合物は、1個以上のキラル中心を含むものもあり、したがってエナンチオマーおよびジアステレオマー形態で存在していてもよい。式(I)、(II)または(III)の化合物は、全ての異性体それ自体、ならびにシスおよびトランス異性体の混合物、ジアステレオマーの混合物およびエナンチオマー(光学異性体)のラセミ混合物を含むことを意味する。さらに、周知の技術を用いて様々な形態を分離させることができ、いくつかの態様は、あるエナンチオマーまたはジアステレオマーの精製または富化種を特徴とし得る。いくつかの式(I)、(II)または(III)の化合物は互変異性型で存在していてもよい。式(I)、(II)または(III)の化合物は、全ての互変異性体を含むことを意味する。
【0047】
「結合」または「単結合」なる用語は、本明細書において使用するとき、より大きな基の一部であり得る2個の原子間の共有結合を意味する。
【0048】
「基」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、分子の特定の部分または官能基を意味する。化学基はしばしば、分子に含まれるまたはそれに付与されている化学物質と理解される。
【0049】
「ハロ」または「ハロゲン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0050】
「炭素鎖」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル基の何れかを意味し、これは直鎖、環状またはそれらのあらゆる組合せである。鎖がリンカーの一部であり、リンカーが核主鎖の一部として1個以上の環を含むとき、鎖長を計算するために、「鎖」は環の下部または上部(両方ではない)を構成する炭素原子のみを含み、環の上または底の長さが等しくないとき、鎖長を決定するために短い方を使用するべきである。鎖がヘテロ原子を主鎖の一部として含むとき、これらの原子は炭素鎖長の一部として計算しない。
【0051】
「アルキル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、置換もしくは非置換炭化水素基を意味し、直鎖、分枝鎖、環状、飽和および/または不飽和特性を含み得る。アルキル基が「不飽和アルキル」基であり得るが、これは少なくとも1個のアルケンまたはアルキン基を含む意味であり、典型的にはアルキル基は「飽和アルキル」基であり、これはアルケンまたはアルキン基を含まない。同様に、アルキル基は環状であり得るが、典型的にはアルキル基は非環式基である。したがって、最も通常、「アルキル」は、好ましくは約1から約30個の炭素原子、より好ましくは約1から約15個の炭素原子、さらに好ましくは約1から約6個の炭素原子を有する、所望により置換された直鎖、または所望により置換された分枝鎖飽和炭化水素モノラジカルを意味する。飽和アルキル基の例には、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシル、ならびにより長いアルキル基、例えばヘプチルおよびオクチルが含まれる。用語に「1から10」のような数値範囲が存在するとき、これは当該範囲の核整数を意味することに注意するべきである;例えば、「1から10個の炭素原子」または「C1−10」または「C−C10」は、当該アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、6個の炭素原子、7個の炭素原子、8個の炭素原子、9個の炭素原子および/または10個の炭素原子から成ることを意味するが、本定義はまた、数値範囲が示されていない用語「アルキル」の発生を含む。
【0052】
「低級アルキル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、数個の炭素原子を含む、例えば1から約6個の炭素原子を含む本明細書に定義のアルキル基を意味する。
【0053】
「置換アルキル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、1個以上(約5個まで、好ましくは約3個まで)の水素原子が、本明細書に定義の置換基群から独立して選択される置換基によって置換されている、本明細書に定義のアルキル基を意味する。
【0054】
「アルキレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記定義のモノラジカルであるアルキルに由来するジラジカルを意味する。アルキレンジラジカルの例には、これらに限定されないが、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−CHCHCH−)、イソプロピレン(−CH(CH)CH−)等が含まれる。
【0055】
「置換アルキレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記定義のモノラジカルである置換アルキルに由来するジラジカルを意味する。
【0056】
「アルケニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、2から約30個の炭素原子、より好ましくは2から約15個の炭素原子、より好ましくは2から約6個の炭素原子を有し、そして1個以上の炭素−炭素二重結合を有する、所望により置換された直鎖、または所望により置換された分枝鎖炭化水素モノラジカルを意味する。アルケニル基の二重結合は、他の不飽和基と結合しないか、または結合することができる。アルケニル基の例には、これらに限定されないが、エテニルまたはビニル(−CH=CH)、1−プロペニルまたはアリル(−CHCH=CH)、イソプロペニル(−C(CH)=CH)、ブテニル、1,3−ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、2−エチルヘキセニル、2−プロピル−2−ブテニル、4−(2−メチル−3−ブテン)−ペンテニル等が含まれる。
【0057】
「低級アルケニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、数個の炭素原子を含む本明細書に定義のアルケニル基、例えば2から約6個の炭素原子を含むものを意味する。
【0058】
「置換アルケニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、1個以上(約5個まで、好ましくは約3個まで)の水素原子が、本明細書に定義の置換基群から独立して選択される置換基によって置換されている、本明細書に定義のアルケニル基を意味する。
【0059】
「アルケニレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記定義のモノラジカルであるアルケニルに由来するジラジカルを意味する。アルケニレンジラジカルの例には、これらに限定されないが、エテニレン(CH=CH)、プロペニレン異性体(例えば、CHCH=CHおよびC(CH)=CH)等が含まれる。
【0060】
「置換アルケニレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記モノラジカルである置換アルケニルに由来するジラジカルを意味する。
【0061】
「アルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、2から約30個の炭素原子、より好ましくは2から約15個の炭素原子、より好ましくは2から約6個の炭素原子を有し、そして1個以上の炭素−炭素三重結合を有する、所望により置換された直鎖、または所望により置換された分枝鎖炭化水素モノラジカルを意味する。アルキニル基の三重結合は、他の不飽和基と結合しないか、または結合することができる。アルキニル基の例には、これらに限定されないが、エチニル(−C≡CH)、2−プロピニル、2−ブチニル、1,3−ブタジイニル、ペンチニル、ヘキシニル、メチルプロピニル、4−メチル−1−ブチニル、4−プロピル−2−ペンチニル、4−ブチル−2−ヘキシニル等が含まれる。
【0062】
「低級アルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、数個の炭素原子を含む本明細書に定義のアルキニル基、例えば2から約6個の炭素原子を含むものを意味する。
【0063】
「置換アルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、1個以上(約5個まで、好ましくは約3個まで)の水素原子が、本明細書に定義の置換基群から独立して選択される置換基によって置換されている、本明細書に定義のアルキニル基を意味する。
【0064】
「アルキニレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記モノラジカルであるアルキニルに由来するジラジカルを意味する。アルキニレンジラジカルの例には、これらに限定されないが、エチニレン(−C≡C−)、プロパルギレン(−CH−C≡C−)等が含まれる。
【0065】
「置換アルキニレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記定義のモノラジカルである、置換アルキニルに由来するジラジカルを意味する。
【0066】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、好ましくは2から約30個の原子、より好ましくは2から約15個の原子、さらに好ましくは2から約15個の原子、さらに好ましくは2から約8個の原子を上記の通り有し、炭素以外の原子(すなわちヘテロ原子)、例えば酸素、窒素、硫黄、セレン、リンまたはそれらの組合せから選択される1個以上の主鎖原子を有する、所望により置換されたアルキル、アルケニルおよびアルキニルモノラジカルをそれぞれ意味する。
【0067】
「低級ヘテロアルキル」、「低級ヘテロアルケニル」、および「低級ヘテロアルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、数個の炭素原子を含む、例えば2から約6個の炭素原子を含む上記定義のヘテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニル基をそれぞれ意味する。
【0068】
「ヘテロアルキレン」、「ヘテロアルケニレン」および「ヘテロアルキニレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記定義のモノラジカルであるヘテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニルに由来するジラジカルをそれぞれ意味する。
【0069】
「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」および「シクロアルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、核環状基が3から約20個の原子、好ましくは3から約15個の原子、より好ましくは4から約10個の原子を有する単環式、二環式、三環式、それ以上の複数環式、多環式または複数縮合環基を含む非芳香族性、所望により置換された環状アルキル、アルケニルおよびアルキニルモノラジカルをそれぞれ意味する。当該用語は、縮合、非縮合、スピロ環式および架橋基を含む。縮合環式基は2から4個の縮合環を含んでいてよく、ここで結合している環はシクロアルキル、シクロアルケニルまたはシクロアルキニル環であり、縮合環中の他の個々の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、芳香族性、ヘテロ芳香族性またはそれらのあらゆる組合せであり得る。シクロアルキル基の例には、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル等、または複数環構造、例えばノルボルニル、アダマンタニル等が含まれる。シクロアルケニル基の非限定的な例は、シクロペンタジエニルである。シクロアルキニル基の非限定的な例は、シクロペンチニルである。
【0070】
「低級シクロアルキル」、「低級シクロアルケニル」および「低級シクロアルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、数個の炭素原子を含む、例えば3から約8個の炭素原子を含む、上記定義のシクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニル基をそれぞれ意味する。
【0071】
「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」および「ヘテロシクロアルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、核環状基が3から約20個の原子、好ましくは3から約15個の原子、より好ましくは4から約10個の原子を有する単環式、二環式、三環式、それ以上の複数環式、多環式または複数縮合環基を含み、炭素以外の原子、例えば酸素、窒素、硫黄、リンまたはそれらの組合せから選択される1個以上の環式環原子を有する非芳香族性、所望により置換された環状ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニルモノラジカルをそれぞれ意味する。当該用語は、縮合、非縮合、スピロ環式および架橋基を含む。縮合環式基は2から4個の縮合環を含んでいてよく、ここで結合している環はヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルまたはヘテロシクロアルキニル環であり、縮合環中の他の個々の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、芳香族性、ヘテロ芳香族性またはそれらのあらゆる組合せであり得る。ヘテロシクロアルキル基の例には、これらに限定されないが、ピロリジニル、1,3−ジオキサラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等が含まれる。ヘテロシクロアルケニル基の非限定的な例には、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピラニル等が含まれる。縮合ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例は、インドリニルである。
【0072】
「低級ヘテロシクロアルキル」、「低級ヘテロシクロアルケニル」および「低級ヘテロシクロアルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、数個の炭素原子を含む、例えば3から約8個の炭素原子を含む、上記定義のヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルおよびヘテロシクロアルキニル基をそれぞれ意味する。
【0073】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、またはそれらの組合せで置換されている本明細書に定義の所望により置換されたアルキル、アルケニルおよびアルキニル基をそれぞれ意味する。ハロアルキル基の非限定的な例は、フルオロメチルおよびブロモエチルである。ハロアルケニル基の非限定的な例は、ブロモエテニルである。ハロアルキニル基の非限定的な例は、クロロエチニルである。
【0074】
「ペルハロ」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、全てのH原子がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、またはそれらの組合せで置換されている基を意味する。したがって、非限定的な例として、「ペルハロアルキル」は全てのH原子がフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、またはそれらの組合せで置換されている本明細書に定義のアルキル基を意味する。ペルハロアルキル基の非限定的な例は、ブロモクロロフルオロメチルである。ペルハロアルケニル基の非限定的な例は、トリクロロエテニルである。ペルハロアルキニル基の非限定的な例は、トリブロモプロピニルである。
【0075】
「脂環」および「脂環式」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、本明細書に定義の、所望により置換された、飽和、部分不飽和または完全不飽和、非芳香族性、全炭素環、環式モノラジカルシクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルのいずれかまたは全てを意味する。これらの用語には縮合、非縮合、スピロ環式、架橋多環式または多環式環基が含まれる。
【0076】
「ヘテロ環」および「ヘテロ環式」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、所望により置換された、ヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、リンまたはそれらの組合せ)を含む、本明細書に定義の、飽和もしくは不飽和、非芳香環モノラジカルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルおよびヘテロシクロアルキニルのいずれかまたは全てを意味する。これらの用語には縮合、非縮合ヘテロ環式基が含まれる。ヘテロ環式基の例には、これらに限定されないが、アゼピニル、アゼパン−2−オニル、アゼチジニル、ジアゼピニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル、ジチアニル、ジチオラニル、ホモピペリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリル、モルホリニル、オキサゼピニル、オキセパニル、オキセタニル、オキシラニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペリジノニル、ピペラジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、キノリジニル、チエタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゼピニル、チエパニル、チオモルホリニル、チオラニル、チオキサニル等が含まれる。
【0077】
「環状」および「員環」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、脂環式、ヘテロ環式、芳香族性、ヘテロ芳香族性および多環式縮合または非縮合環系を含む本明細書に記載のあらゆる環状構造を意味する。「員」なる用語は、環を構成する骨格原子の数を意味する。したがって、例えばピリジン、ピランおよびピリミジンは6員環であり、ピロール、テトラヒドロフランおよびチオフェンは5員環である。
【0078】
「芳香族性」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、結合した不飽和(4n+2)π電子系(nは正の整数である)を有する環式または多環式基を意味し、非局在化π電子系を意味することもある。
【0079】
「アリール」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、所望により置換された、6から約20個の環原子、好ましくは6から約10個の炭素原子の芳香族性、環式炭化水素モノラジカル基を意味し、縮合および非縮合芳香環を含む。縮合芳香環基は、2から4個の縮合環を含んでいてよく、ここで結合している環は芳香環であり、縮合環中の他の個々の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、芳香族性、ヘテロ芳香族性またはそれらのあらゆる組合せであり得る。単環アリール基の非限定的な例にはフェニルが含まれ;縮合環アリール基にはナフチル、アントリル、アズレニルが含まれ;そして非縮合ビアリール基にはビフェニルが含まれる。
【0080】
「低級アリール」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、数個の骨格環炭素原子を含む本明細書に定義のアリール基、例えば6から約10個の骨格環炭素を含むものを意味する。
【0081】
「アリーレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記定義のモノラジカルであるアリール(置換アリールを含む)に由来するジラジカルを意味し、例えばフェニレンのような基が含まれる。
【0082】
「置換アリール」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、1個以上(約5個まで、好ましくは約3個まで)の水素原子が本明細書に定義の基から独立して選択される置換基(アリール置換基の定義によって他に制限されているものを除く)によって置換されている、本明細書に定義のアリール基を意味する。
【0083】
「ヘテロアリール」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、約5から約20個の骨格環原子、好ましくは5から約10個の環原子を含み、そして炭素以外の原子(すなわちヘテロ原子)、例えば酸素、窒素、硫黄、セレン、リンまたはそれらの組合せから選択される1個以上(1から10個、好ましくは約1から約4個)の環原子を含む、所望により置換された、芳香族性、環式モノラジカルを意味し、そして縮合および非縮合芳香環を含む。用語ヘテロアリールには、少なくとも1個のヘテロ原子を有する所望により置換された縮合および非縮合ヘテロアリール基を意味する。縮合ヘテロアリール基は、2から4個の縮合環を含んでいてよく、ここで結合している環はヘテロ芳香環であり、縮合環中の他の個々の環は脂環式、ヘテロ環式、芳香族性、ヘテロ芳香族性またはそれらのあらゆる組合せであり得る。用語ヘテロアリールには、5から約12個の骨格環原子を有する縮合および非縮合ヘテロアリール、ならびに5から約10個の骨格環原子を有するものも含まれる。ヘテロアリール基の例には、これらに限定されないが、アクリジニル、ベンゾ[1,3]ジオキール、ベンゾイミダゾリル、ベンズインダゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、クロメニル、シノリニル、フラニル、フラザニル、フロピリジニル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インドリジニル、インドリジニル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、プテリジニル、ピラジル、ピラゾリル、ピリジル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、(1,2,3,)−および(1,2,4)−トリアゾリル等、および適当であるとき、それらのオキシド、例えばピリジル−N−オキシドが含まれる。
【0084】
「低級ヘテロアリール」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、数個の骨格環原子を含む上記定義のヘテロアリール、例えば5から約10個の骨格環原子を含むものを意味する。
【0085】
「ヘテロアリーレン」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、上記定義のモノラジカル、ヘテロアリール(置換ヘテロアリールを含む)に由来するジラジカルを意味し、例えば2,6−ピリジレン、2,4−ピリジレン、1,2−キノリニレン、1,8−キノリニレン、1,4−ベンゾフラニレン、2,5−ピリドニレン、2,5−インドニル等である。
【0086】
「置換ヘテロアリール」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、1個以上(約5個まで、好ましくは約3個まで)の水素原子が本明細書に定義の基から独立して選択される置換基(ヘテロアリール置換基の定義によって他に制限されているものを除く)によって置換されている、本明細書に定義のアリール基を意味する。
【0087】
上記定義の用語は、適当であるとき、それらの所望により置換された誘導体を含むことを意図する。
【0088】
「所望の」または「所望により」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、続く記載事象または状況が、生じ得るかまたは生じないが、生じる必要がないことを意味し、そして当該記載は事象または状況が生じた例および生じなかった例を含む。
【0089】
「所望により置換された」なる用語は、本明細書において使用するとき、置換されているか、または置換されていない基を意味する。所望により置換された基は、非置換(例えば−CHCH)、完全置換(例えば−CFCF)、モノ置換(例えば−CHCHF)または完全置換とモノ置換の間のあらゆるレベルで置換(例えば−CHCF)されていてよい。
【0090】
「置換基」または「置換された」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、分子上の他の基を置換するために用いることができる基を意味する。かかる基は化学分野の当業者に既知であり、これらに限定されないが、下記群またはそのサブセットから独立して選択される1個以上のものが含まれる:ハロゲン、−CN、−NO、−N、=O、=S、=NH、−SO、ニトロアルキル、モノおよびジ置換アミノ基を含むアミノ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、グアニジニル、O−カルバミル、N−カルバミル、チオカルバミル、ウリル、イソウリル、チオウリル、イソチオウリル、メルカプト、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、ホスホニル、ホスファチジル、ホスホラミジル、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールアルキルアミノ、−L−H、−L−アルキル、−L−置換アルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−ペルハロアルキル、
−L−アルケニル、−L−置換アルケニル、−L−ヘテロアルケニル、−L−ハロアルケニル、−L−ペルハロアルケニル、−L−アルキニル、−L−置換アルキニル、−L−ヘテロアルキニル、−L−ハロアルキニル、−L−ペルハロアルキニル、−L−シクロアルキル、−L−置換シクロアルキル、−L−ヘテロシクロアルキル、−L−置換ヘテロシクロアルキル、−L−シクロアルケニル、−L−置換シクロアルケニル、−L−ヘテロシクロアルケニル、−L−置換ヘテロシクロアルケニル、−L−シクロアルキニル、−L−置換シクロアルキニル、−L−ヘテロシクロアルキニル、−L−置換ヘテロシクロアルキニル、−L−アリール、−L−置換アリール、−L−ヘテロアリールおよび−L−置換ヘテロアリール(ここで、−L−は、結合、−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−、−アルケニレン−、−アルキニレン−、−アリーレン−、−ヘテロアリーレン−、−O−、−S−、−NH−、−C(O)−、−C(S)−、OC(O)−、−C(O)O−、SC(O)−、−C(S)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−C(S)NH−、−NHC(S)−、−S(O)−、−S(O)−または−S(O)NH−である);これらは全て、特に規定されない限り、さらに所望により置換された、および保護された化合物であり得る。上記置換基の保護された化合物を形成し得る保護基は、当業者に既知であり、文献、例えばGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY (1999) and Kocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY (1994) に見出すことができる(参照によりそれらの全体を本明細書の一部とする)。
【0091】
1個以上の置換基を含むあらゆる基について、立体的に実施不可能および/または合成的に不可能であるあらゆる置換または置換パターン(例えば、置換アルキルは所望により置換されたシクロアルキル基を含み、これは所望により置換されたアルキル基を含むように定義されており、潜在的に無限である)を誘導することを意図しないことは、当業者に理解されよう。したがって、R、R、R、R、R、RおよびRについて記載された置換基は、一般に、最大分子量約1,000ダルトン、より典型的には約500ダルトン(巨大分子置換基が明らかに例えばポリペプチド、多糖類、ポリエチレングリコール、DNA、RNA等を意図している場合を除く)を有するものと理解するべきである。
【0092】
「保護基」なる用語は、本明細書において使用するとき、保護基が除去されるまで反応性の基のいくつかまたは全てを阻止し、当該基が化学反応に酸化することを妨げる化学基を意味する。関係する方法および具体的な基は、当業者に既知であり、文献源、例えばGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed. (1999) John Wiley & Sons, New York, NYに容易に見出すことができる(参照によりその全体を本明細書の一部とする)。
【0093】
化学基をそれらの常套の左から右に記載した化学式によって特定するとき、それらは右から左に構造を記載して得られる化学的に同一の置換基を等しく包含する;例えば、−CHO−は−OCH−と等しい。
【0094】
医薬用語
製剤、組成物または成分に関する「許容される」なる用語は、本明細書において使用するとき、処置する対象の一般的健康に対する持続的な有害な影響を有さないことを意味する。
【0095】
「薬学的に許容される」なる用語は、本明細書において使用するとき、単独または組合せにおいて、化合物の生物学的活性または特性を破壊することなく、そして比較的非毒性である物質を意味する。したがって、式(I)、(II)または(III)の化合物を含む医薬送達組成物の薬学的に許容される成分(例えば塩、担体、賦形剤または希釈剤)は、(1)薬剤を送達するための送達組成物の他の成分と適合性であるべきであり;そして(2)送達組成物を動物(例えばヒト)に治療的に使用することを意図するとき、有害な副作用、例えば毒性、刺激性およびアレルギー性応答を誘発するべきでない。副作用は、それらのリスクが薬剤によってもたらされる利益を上回るとき不当であり、すなわち物質は、望ましくない生物学的影響を引き起こすことなく、またはそれが含まれる組成物の成分のいずれかと有害な形態での相互作用なしに、個体に投与され得る。
【0096】
化合物の「薬学的に許容される塩」なる用語は、本明細書において使用するとき、薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩は、式(I)、(II)または(III)の化合物の生物学的効果および特性を保持し、そして生物学的またはその他において、望ましくないものではない塩である。いくつかの場合において、式(I)、(II)または(III)の化合物はアミノおよび/またはカルボキシル基、あるいはそれらに類似の基のために、酸性および/または塩基性塩を形成することができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基から製造することができる。無機塩基に由来する塩には、例示のみを目的として、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩が含まれる。有機塩基に由来する塩には、これらに限定されないが、1級、2級もしくは3級アミン、例えばアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、ジ置換シクロアルキルアミン、トリ置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、ジ置換シクロアルケニルアミン、トリ置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、ヘテロ環式アミン、ジヘテロ環式アミン、トリヘテロ環式アミン、アミン上の少なくとも2個の置換基が異なっており、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式等から成る群から選択される混合ジ−およびトリ−アミンが含まれる。2または3個の置換基がアミノ窒素と一体となって、ヘテロ環式またはヘテロアリール基を形成するアミンも含まれる。薬学的に許容される酸付加塩を、無機および有機酸から製造することができる。無機酸に由来する塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が含まれる。有機酸に由来する塩には、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエン−スルホン酸塩、サリチル酸塩等が含まれる。
【0097】
「プロドラッグ」なる用語は、本明細書において使用するとき、体内の代謝プロセスによって薬剤または化合物が薬理学的に活性な形態に変換される薬剤または化合物を意味する。
【0098】
「代謝産物」なる用語は、本明細書において使用するとき、化合物が代謝されたときに形成される化合物の誘導体を意味する。
【0099】
「活性代謝産物」なる用語は、本明細書において使用するとき、化合物が代謝されたときに形成される、生物学的に活性な化合物の誘導体を意味する。
【0100】
「代謝される」なる用語は、本明細書において使用するとき、生物によって特定の物質が変化させられるプロセスの総和を意味する(これらに限定されないが、加水分解反応および酵素による触媒反応が含まれる)。例えば、シトクロームP450は様々な酸化および還元反応を触媒するが、ウリジンジホスフェートグルクロニルトランスフェラーゼは活性化グルクロン酸分子を芳香族性アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミンおよび遊離スルフィドリル基への変換を触媒する。代謝についてのさらなる情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)から得ることができる。
【0101】
「医薬組合せ」なる用語は、本明細書において使用するとき、1種以上の有効成分の混合または組合せによってもたらされる生成物を意味し、固定されたおよび固定されていない有効成分の組合せ剤を含む。「固定された組合せ剤」なる用語は、有効成分、例えば少なくとも1種の式(I)、(II)または(III)の化合物と共薬剤を、患者に同時に、1個の物質または投与形の形態で、いずれも投与することを意味する。「固定されていない組合せ剤」なる用語は、有効成分、例えば少なくとも1種の式(I)、(II)または(III)の化合物と共薬剤を、患者に同時に、並行して、または逐次的に、特定の間隔期限なく、別個の物質として投与することを意味し、かかる投与によって2種の化合物の効果レベルが患者体内で提供される。後者はまた、カクテル療法、例えば3種以上の有効成分の投与に適用される。
【0102】
「有効量」または「治療上有効量」なる用語は、本明細書において使用するとき、処置を必要とする哺乳類に投与したとき、ある程度処置する疾患または状態の1種以上の症状を回復するのに十分な投与する薬剤または化合物の量を意味する。結果は、疾患の徴候、症状または原因の減少および/または軽減、または生物学的システムのあらゆる他の所望の変化であり得る。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患において臨床的に顕著な減少を提供するために必要な本明細書に記載の化合物を含む組成物の量である。治療上有効量は処置する対象および疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、具体的な化合物、従う投与レジメン、投与のタイミング、投与方法などに依存して変化するが、これらは全て当業者によって容易に決定され得る。いずれかの個体の症例における適当な有効量は、用量漸増試験のような技術を用いて決定することができる。
【0103】
「上昇する」または「上昇」なる用語は、本明細書において使用するとき、所望の効果の能力または期間の向上または延長を意味する。したがって、治療剤の効果の延長について、「上昇」なる用語は、システムに対する他の治療剤の効果を、能力または期間について向上または延長させる能力を意味する。「上昇有効量」なる用語は、本明細書において使用するとき、所望のシステムにおける他の治療薬剤の効果を向上させるのに適した量を意味する。
【0104】
「調節する」または「調節」なる用語は、本明細書において使用するとき、標的と直接または間接的に相互作用して、標的の活性を変化させる、例えば例示のみを目的として、標的の活性を上昇させる、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を延長させることを意味する。
【0105】
「調節剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、標的と直接または間接的に相互作用する分子を意味する。相互作用には、これらに限定されないが、アゴニストおよびアンタゴニストの相互作用が含まれる。
【0106】
「共投与」等の用語は、本明細書において使用するとき、選択された治療薬剤を1人の患者に投与することを意味し、薬剤を同一もしくは異なる投与経路または同一もしくは異なる時間で投与する処置レジメンを含むことを意図する。
【0107】
「医薬組成物」なる用語は、本明細書において使用するとき、活性化合物と他の化学成分、例えば担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤および/または賦形剤の混合物を意味する。
【0108】
「担体」、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、化合物の細胞または組織への取り込みを促進する比較的非毒性の化学化合物または薬剤を意味する。それらには、いずれかまたは全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等が含まれる。薬学的に活性な物質のための媒体および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。常套の媒体または薬剤が有効成分と非適合性である場合を除き、治療組成物におけるその使用は考慮される。補助的有効成分も組成物に含めることができる。
【0109】
「対象」または「患者」なる用語には、哺乳類および哺乳類以外を含む。哺乳類の例には、これらに限定されないが、哺乳類クラスのあらゆるメンバー:ヒト、非ヒト霊長類、例えばチンパンジー、および他の類人猿およびサル種;家畜、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;ウサギ、イヌおよびネコの様な家畜;げっ歯類、例えばラット、マウスおよびモルモットを含む実験動物等が含まれる。哺乳類以外には、これらに限定されないが、鳥類、魚類などが含まれる。本明細書によって提供される方法および組成物の1つの態様において、哺乳類はヒトである。
【0110】
「処置する」、「処置すること」または「処置」なる用語は、本明細書において使用するとき、疾患もしくは状態症状を少なくとも部分的に軽減、低減または改善すること、さらなる症状を少なくとも部分的に予防すること、症状の基礎となる代謝性病因を軽減または予防すること、疾患または状態を少なくとも部分的に阻害すること、例えば疾患もしくは状態の進行を停止させること、疾患もしくは状態を少なくとも部分的に回復させること、疾患もしくは状態の退行を少なくとも部分的に引き起こすこと、疾患もしくは状態によって引き起こされる状態を少なくとも部分的に回復させること、または疾患もしくは状態の症状を少なくとも部分的に停止させることを意味する。したがって、哺乳類におけるあらゆる疾患の処置は、下記のいずれか、全てまたは組合せを含む、少なくとも部分的な治療的または予防的効果を提供するべきである:
a)疾患発症の予防、すなわち疾患の臨床的症状の進行を引き起こさないこと;
b)疾患発症の遅延、すなわち疾患の臨床的症状の進行をより遅い時間に引き起こさせること;
c)疾患発症の重症度の減少、すなわち発症する疾患の臨床的症状をより低い重症度とすること;
c)発症中の疾患の軽減、すなわち臨床的症状の退行を引き起こすこと;
e)発症中の疾患の停止、すなわち臨床的症状の削除を引き起こすこと;および/またはd)通常の生理的機能の上昇。
【0111】
「キット」および「製品」なる用語は、類義語として使用する。
【0112】
生物学的活性および有用性
例えばHIVインテグラーゼを阻害し、したがってAIDSまたはHIVの処置または予防に広い有用性を有しているテレフタラメートおよび関連化合物を記載する。式(I)、(II)または(III)の化合物はまた、より効果的な抗HIV薬剤を提供するため、他の抗HIV薬剤、例えばプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、融合阻害剤などとの組合せで用いることができる。
【0113】
レトロウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原菌である。HIVはCD4細胞(例えばヘルパーT細胞、マクロファージおよび樹状細胞)を標的とし、これらの免疫担当細胞を破壊して免疫不全を引き起こす。したがって、生物においてHIVを根絶するか、またはその増殖を抑制する医薬は、AIDSの処置または予防に有用である。
【0114】
HIVウイルスはエンベロープタンパク質に被覆された内核(またはカプシド)を含む。内核は、HIVのゲノム物質と共にHIV複製に必要な3つの酵素、すなわち逆転写酵素、インテグラーゼおよびプロテアーゼを含み、これはRNAの2つの同一のストランドから成る。一般に、HIVは9個の遺伝子を有する(細菌では500個以上、ヒトでは約20,000−25,000個)。HIV遺伝子の3個、gag、polおよびenvは、新たなウイルス粒子のための構造タンパク質の製造に必要な情報を含む。他の6個の遺伝子、tat、rev、nef、vif、vprおよびvpuは、HIVが細胞に感染し、新たなウイルスのコピーを作成するか、または疾患を引き起こす能力を制御するタンパク質をコードする。
【0115】
一般に、HIVはヒト細胞内でのみ複製し得る。このプロセスは、典型的には、ウイルス粒子が潜在的宿主細胞と遭遇し、HIVウイルスエンベロープが宿主細胞膜と融合するときに開始する。HIV粒子の内容物であるRNA−インテグラーゼ複合体が細胞質に放出される。細胞内に入ると、HIV酵素逆転写酵素がウイルスRNAを、ヒトゲノム材料として適合性である全長二本鎖DNAに変換する。このDNAが細胞核に輸送され、HIV酵素インテグラーゼによってヒトDNAに接合される。結合されると、HIV DNAはプロウイルスとして知られる。HIVプロウイルスは、細胞内で長い間休眠し得る。しかし、細胞が活性化されると、これはヒト遺伝子と同じ方法でHIV遺伝子を処理する。第1にそれはそれらをメッセンジャーRNAに(ヒト酵素を用いて)変換する。次にメッセンジャーRNAが核の外に運搬され、新たなHIVタンパク質および酵素を製造するための設計図として使用される。細胞によって製造されたメッセンジャーRNAのストランドは、遺伝物質の完全な複製である。これらを新たに製造されたHIVタンパク質および新たなウイルス粒子を製造するための酵素を集めて、細胞から放出される。酵素プロテアーゼは、HIVのライフサイクルのこの段階で、タンパク質の長ストランドをより小さな、成熟ウイルス核を構成するために使用される破片に切断することによって、中心的な役割を果たす。新たな成熟HIV粒子は他の細胞に感染する用意がされており、再度複製プロセスを開始する。このようにしてウイルスは人体に急速に拡散する。
【0116】
したがって、様々なウイルス酵素がHIV複製に必要である。これらの酵素は抗ウイルス剤の標的として注目されており、様々な抗HIV薬が開発されている。現在のFDA承認の抗HIV薬は全て、HIV−1プロテアーゼの阻害(例えばインジナビル、ネルフィナビル)、逆転写酵素の阻害(例えばジドブジン、ジダノシン、ラミブジン)、またはウイルス侵入の阻害に基づく。さらに、複数薬剤組合せ療法が使用されている。例えば、2種の逆転写酵素阻害剤(ジドブジンおよびジダノシン)の使用、および2種の逆転写酵素阻害剤(ジドブジンおよびラミブジン)とプロテアーゼ阻害剤(ネルフィナビル)の組合せの組合せ使用が臨床的に適用されている。かかる複数薬剤組合せ療法は、AIDS治療の主流になりつつある。
【0117】
しかし、これらの薬剤のいくつかは、肝臓機能不全またはCNS障害(例えば目眩)のような副作用を引き起こすことが知られている。さらに、これらの薬剤に対する耐性の発生が、AIDSの管理のための増加している問題となっている。Imamichi, Curr. Pharm. Des. (2004) 10: 4039; De Clercq, J. Med. Chem. (2005) 48: 1297参照。さらに悪いことに、複数薬剤組合せ療法に対して多剤耐性を示すHIV株の出現が観察されている。
【0118】
したがって、新たな作用機構を有する新規な、安全な抗HIV薬が早急に必要とされている。HIVインテグラーゼはHIV DNAの宿主染色体DNAへの取り込みに必須の酵素である。Esposito et al, Adv. Virus Res. (1999) 52: 319; Dyda et al, Science (1994) 266: 1981参照。HIVインテグラーゼは有望な抗HIV標的として10年以上にわたって認識されてきたが、HIVインテグラーゼ阻害剤は未だFDA承認を得ていない。Pommier et al, Nat. Rev. Drug Discovery (2005) 4: 236; Anthony, Curr. Top. Med. Chem. (2004) 4: 979; Johnson et al, Curr. Top. Med. Chem. (2004) 4: 1059; Pommier et al, Nature Rev. Drug Discovery (2005) 4: 236および Nair, Frontiers Med. Chem. (2005) 2: 3参照。少なくとも5種の小分子HIVインテグラーゼ阻害剤が臨床試験に入っている(1つはフェーズIIで中断している)。これらおよび他のHIVインテグラーゼ阻害剤の詳細は、CotelleのRecent Patents on Anti-infective Drug Discovery, (2006) 1: 1-15(参照によりその全体を本明細書の一部とする)において再考の対象である。この分野の1つの大きな課題は、抗HIV活性を有するHIVインテグラーゼを選択的に阻害する化合物の同定である。HIV複製の強力な阻害剤でもある新規HIVインテグラーゼ阻害剤のシリーズを記載する。
【0119】
式(I)、(II)または(III)の化合物の製造法
本明細書の式(I)、(II)または(III)の化合物を、当業者に既知の標準的な合成技術を用いて、または本明細書に記載の方法と既知の方法を組み合わせて、合成することができる。さらに、本明細書に存在する溶媒、温度および他の反応条件は、当業者の実施および知識に従って変化し得る。
【0120】
本明細書の式(I)、(II)または(III)の化合物の合成に用いる出発物質は、市販源、例えばAldrich Chemical Co. (Milwaukee, Wis.)、Sigma Chemical Co. (St. Louis, Mo.)から入手できるか、または出発物質を合成することができる。本明細書に記載の化合物および異なる置換基を有する他の関連化合物を、当業者に既知の、例えばMarch, Advanced Organic Chemistry 4th Ed. (1992) John Wiley & Sons, New York, NY; Carey and Sundberg, Advanced Organic Chemistry 4th Ed., Vols. A (2000) and B (2001) Plenum Press, New York, NY 、および Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed. (1999) John Wiley & Sons, New York, NY(参照によりそれらの全体を本明細書の一部とする)に記載の技術および材料を用いて合成することができる。本明細書に記載の化合物の一般的な製造方法は、当該技術分野で既知の反応に由来していてもよく、反応を、本明細書によって提供される式に見出される様々な基を導入するために、当業者に理解される適当な試薬および条件を用いて修飾することができる。指針として、下記合成方法を用いることができる。
【0121】
求核試薬と求電子試薬の反応による共有結合の形成
本明細書に記載の化合物を、新たな官能基または置換基を形成させる様々な求電子試薬または求核試薬を用いて修飾することができる。「共有結合およびその前駆体の例」と題した表2は、入手し、様々な利用可能な求電子試薬および求核試薬の組合せの指針として用いることができる共有結合および前駆体官能基の選択される例を列記している。前駆体官能基は、求電子基および求核基として示される。
表1:共有結合およびその前駆体の例
【表1】

【表2】

【0122】
保護基の使用
記載の反応において、最終生成物において望まれる反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を保護して反応への望ましくない参加を阻止する必要があり得る。保護基を用いて反応性基のいくつかまたは全てを遮断し、保護基が除去されるまでかかる基の化学反応への参加を阻止する。各保護基が異なる手段で除去され得ることが好ましい。完全に別の反応条件下で切断される保護基は、別個の除去の要求を満足する。保護基は酸、塩基および加水分解によって除去され得る。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタールおよびt−ブチルジメチルシリルのような基は、酸不安定であり、加水分解で除去し得るCbz基および塩基不安定であるFmoc基で保護されたアミノ基の存在するカルボキシおよびヒドロキシ反応基を保護するために使用することができる。カルボン酸およびヒドロキシ反応基は、酸不安定な基、例えばt−ブチルカルバメートでまたは酸および塩基に安定であるが加水分解によって除去可能なカルバメートで保護されたアミンの存在下で、塩基不安定な基、例えばこれらに限定されないが、メチル、エチル、およびアセチルで遮断され得る。
【0123】
カルボン酸およびヒドロキシ反応基はまた、加水分解によって除去可能な保護基、例えばベンジル基で遮断することができるが、酸と水素結合することができるアミン基は塩基不安定な基、例えばFmocで遮断することができる。カルボン酸反応基は、本明細書に例示の単純なエステル化合物に変換することによって保護することができるか、またはそれらは酸化によって除去可能な保護基、例えば2,4−ジメトキシベンジルで遮断することができるが、共に存在するアミノ基はフッ化物不安定なシリルカルバメートで遮断することができる。
【0124】
アリル遮断基は酸性−および塩基性保護基の存在下において、前者が安定であり金属またはpi−酸触媒によって除去し得るため、有用である。例えば、アリル−遮断カルボン酸を、Pd−触媒反応で、酸不安定なt−ブチルカルバメートまたは塩基不安定なアセテートアミン保護基の存在下で、脱保護することができる。さらに他の形態の保護基は、化合物または中間体に結合することができる樹脂である。基を樹脂に結合すると、官能基が遮断され、反応できない。樹脂から解放されると、官能基は反応に利用可能である。
【0125】
いくつかの態様において、遮断/保護基は下記群から選択され得る:
【化10】

【0126】
他の保護基および保護基の作成および除去に適用可能な技術についての詳細な説明は、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed. (1999) John Wiley & Sons, New York, NY, and Kocienski, Protective Groups (1994) Thieme Verlag, New York, NYに記載されている(それらの全体を、参照により本明細書の一部とする)。
【0127】
1つの態様において、スキーム1に従って、N−ベンジル−ヒドロキシベンズアミド誘導体を、対応するカルボン酸からカップリング剤としてHATUを用い、その後メトキシ基をボロントリブロマイドを用いて除去して製造する。
【化11】

スキーム1.N−ベンジル−ヒドロキシベンズアミド誘導体(化合物2−6)の製造
試薬および条件:i)PhCHNH(1.2当量)、HATU(1.2当量)、DCM、25℃、1h、90%;
ii)BBr(2.0当量)、DCM、−78℃、2h、50〜75%。
【0128】
さらなるまたは別の態様において、メチル4−(ベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート誘導体を製造する。2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸モノメチルエステルのカテコールからの合成は、Chen et al, Org. Prep. Proced. Int. (1999) 31: 106 および Gramer et al, Org. Lett. (2001) 3: 2827に報告されている(参照により本明細書の一部とする)。スキーム1が高圧および長反応時間を含み得るため、より実際的で別の経路もスキーム2に示すとおり確立される。カテコールから出発し、第1に2個のヒドロキシ基をMOMエーテルとして保護する。n−ブチルリチウムで0℃でリチオ化し、その後炭酸ジオキシドを加えて対応するビス−カルボン酸をリチウム塩として得る。還流メタノール中でトリメチルシリルクロライド処理してジメチルおよびモノメチルエステルを2:1の比および合わせて80%の収率で得る。ジエステルは、重炭酸ナトリウムを用いて容易に1酸に変換される。1酸を過剰の塩化チオニル、その後様々なベンジルアミンで処理して、所望の生成物を得る。Nメチル化合物(化合物19)およびフェニル化合物(化合物20)を同じ化学を用いて製造する。
【化12】

スキーム2.メチル4−(ベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート誘導体(化合物1および7−18)の合成
試薬および条件:i)NaH(2.5当量)、DMF、25℃;ii)MOMCl(2.5当量)、EtO、85%;
iii)n−BuLi(3.5当量)、TMEDA(3.5当量)、エーテル、0−25℃、30分、CO
iv)TMSCl(10当量)、MeOH、還流、16h、80%;v)水性NaHCO(1.0当量)、0℃、30分、62%;
vi)SOCl(5.0当量)、THF、45℃、12h;vii)ArCHNH(5.0当量)、CHCl、50〜70%
【0129】
さらなるまたは別の態様において、アミドNおよびその隣接ヒドロキシ酸素がカルボニル基を介して結合している固体化合物21を、スキーム3に従って製造する。
【化13】

スキーム3.化合物21の合成
試薬および条件:i)ClCOEt(3.0当量)、EtN(5.0当量)、DCM、0−25℃、30分;
ii)PhCHNH(4.0当量)、0−25℃、12h、2工程で70%。
【0130】
さらなる化合物の形態
親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオンアルカリ土類金属イオンまたはアルミニウムイオンによって置換されるか;または有機塩基に配位するとき、式(I)、(II)または(III)の化合物を薬学的に許容される塩形として製造することができる。さらに、塩形の記載の化合物を、出発物質または中間体の塩を用いて製造することができる。
【0131】
式(I)、(II)または(III)の化合物を、遊離塩基形の化合物を、これらに限定されないが、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸等;および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、Q−トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸およびムコン酸を含む薬学的に許容される無機または有機酸と反応させて薬学的に許容される酸付加塩(薬学的に許容される塩の1つのタイプである)を製造することができる。
【0132】
あるいは、式(I)、(II)または(III)の化合物を、遊離酸形の化合物を、これらに限定されないが、有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等、および無機塩基、例えば水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等を含む薬学的に許容される無機または有機塩基と反応させて、薬学的に許容される塩基付加塩として(薬学的に許容される塩の1つのタイプである)製造することができる。
【0133】
薬学的に許容される塩に対する言及は、それらの溶媒付加形または結晶形、とりわけ溶媒和物または多形を含むことが理解されるべきである。溶媒和物は化学量論量または非化学量論量の溶媒を含み、薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノール等での結晶化プロセス中に形成され得る。水和物は、溶媒が水であるときに形成され、あるいはアルコール和物は溶媒がアルコールであるときに形成される。式(I)、(II)または(III)の化合物の溶媒和物を、本明細書に記載のプロセス中に簡便に製造または形成することができる。例示のみを目的として、式(I)、(II)または(III)の化合物の水和物を、水性/有機性溶媒混合物から、これらには限定されないが、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールを含む有機溶媒を用いて再結晶化によって簡便に製造することができる。さらに、本明細書において提供される化合物は、非溶媒和物ならびに溶媒和物形態で存在し得る。一般に、溶媒和物形は非溶媒和物形と、化合物の目的および本明細書において提供される方法について、同等であると理解される。
【0134】
式(I)、(II)または(III)の化合物には多形としても知られる結晶形が含まれる。多形には、化合物の同じ構成要素の異なる結晶充填配列が含まれる。多形は通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学特性および電気的特性、安定性ならびに溶解度を有する。様々な因子、例えば再結晶溶媒、結晶化速度および貯蔵温度によって、優勢な1個の結晶形態が生じ得る。
【0135】
式(I)、(II)または(III)の化合物は、窒素含有ヘテロ環または窒素含有ヘテロアリール、例えばピリジン基を含み得る。式(I)、(II)または(III)の化合物はそれらの非酸化形態または酸化形態、すなわちN−オキシドとして存在し得ることを理解するべきである。非酸化形態は式(I)、(II)または(III)の化合物のN−オキシドから、還元剤、例えばこれらに限定されないが、硫黄、硫黄ジオキシド、トリフェニルホスフィン、ホウ化水素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、3塩化リン、トリブロマイド等で、好適な不活性有機溶媒、例えばこれらに限定されないが、アセトニトリル、エタノール、水性ジオキサン等中で0から80℃で処理して製造することができる。
【0136】
式(I)、(II)または(III)の化合物をプロドラッグとして製造することができる。プロドラッグは、一般的に、対象に投与し、吸収された後、何らかのプロセス、例えば代謝経路による変換によって活性な、またはより活性な種に変換される薬剤前駆体である。いくつかのプロドラッグは、活性を低下させるおよび/または溶解性もしくは他の特性を薬剤に付与する化学基をプロドラッグ上に有する。プロドラッグから化学基が切断および/または修飾されると、活性薬剤が生じる。いくつかの場合、それらは親薬剤よりも投与が用意であるため、プロドラッグはしばしば有用である。それらは例えば、親はそうではないが、経口投与によって生物学的に利用可能であり得る。プロドラッグはまた、親薬剤よりも医薬組成物中において改善された溶解性を有し得る。これらに限定されないが、プロドラッグの例は、水溶性が移動にとって有害である細胞膜間の移動を促進するが、水溶性が有利である細胞内において代謝的にカルボン酸に加水分解されて化学物質となるエステルとして投与される、式(I)、(II)または(III)の化合物である。さらなるプロドラッグの例は、ペプチドが代謝されて活性基が現れる酸性基と結合した短ペプチド(ポリアミノ酸)であり得る。
【0137】
プロドラッグを、部位特異的組織への薬剤移動を向上させるための修飾物質として用いるための、可逆的薬剤誘導体として設計し得る。最新のプロドラッグの設計は、水が基本的な溶媒である領域を標的とするための治療化合物の効果的な水溶性の上昇である。例えば、Fedorak et al, Am. J. Physiol. (1995) 269, G210-218; McLoed et al, Gastroenterol (1994) 106, 405-413; Hochhaus et al, Biomed. Chrom, (1992) 6, 283-286; Larsen and Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics (1987) 37, 87; Larsen et al, Int. J. Pharmaceutics (1988) 47, 103; Sinkula et al, J. Pharm. Sci. (1975) 64, 181-210; Higuchi and Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series; and Roche, Bioreversible Carriers in Drug Design (1987) American Pharmaceutical Association and Pergamon Press参照、全てそれらの全体について参照により本明細書の一部とする。
【0138】
さらに、式(I)、(II)または(III)の化合物のプロドラッグ誘導体を、当業者に既知の方法で製造することができる(さらに詳細な説明については、例えばSaulnier et al, Bioorg. and Med. Chem. Lett. (1994) 4, p. 1985参照)。例示のみを目的として、適当なプロドラッグを、式(I)、(II)または(III)の非誘導体化合物を適当なカルバミル化剤、例えばこれらに限定されないが、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカルボネート等と反応させて製造することができる。本明細書に記載の化合物のプロドラッグ形態(当該プロドラッグはインビボで代謝されて本明細書に記載の誘導体を産生する)が本明細書の範囲に含まれる。実際、いくつかの本明細書に記載の化合物は他の誘導体または活性化合物のプロドラッグであり得る。
【0139】
式(I)、(II)または(III)の化合物の芳香環部分の位置は様々な代謝反応に影響されやすく、したがって芳香環構造に適当な置換基、例えば例示のみを目的として、ハロゲンを導入することによって、この代謝経路を減少、最小、排除することができる。
【0140】
他の態様において、本明細書に記載の化合物を同位体(例えば放射性同位体)または他の方法、例えばこれらに限定されないが、発色もしくは蛍光基、生物発光ラベルまたは化学発光ラベルを用いて標識化することができる。式(I)、(II)または(III)の化合物は1個以上のキラル中心を有していてもよく、各中心がRまたはS立体配置で存在し得る。本明細書に記載の化合物には、あらゆるジアステレオマー、エナンチオマーおよびエピマー形態、ならびにそれらの適当な混合物が含まれる。式(I)、(II)または(III)の化合物を、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させてジアステレオマー化合物の対を形成し、ジアステレオマーを分離させ、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって、それらの個々の立体異性体として製造することができる。エナンチオマーの分割を本明細書に記載の化合物の共有結合性ジアステレオマー誘導体を用いて行うことができるが、分割可能な複合体(例えば結晶性ジアステレオマー塩)が好ましい。ジアステレオマーは異なる物理的特性(例えば融点、沸点、溶解度、反応性等)を有しており、これらの違いを利用して容易に分離することができる。ジアステレオマーをキラルクロマトグラフィーによって、または好ましくは、溶解度の違いに基づく分離/分割技術によって分離することができる。光学的に純粋なエナンチオマーを、分割剤と共に、ラセミ化を起こさないあらゆる実際的な方法で回収する。化合物の立体異性体のラセミ混合物からの分割に適用可能な技術のより詳細な説明は、Jacques, Collet and Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions (1981) John Wiley & Sons, New York, NYに見出すことができる(その全体を参照により本明細書の一部とする)。
【0141】
さらに、本明細書によって提供される化合物および方法は、幾何異性体として存在していてもよい。本発明によって提供される化合物および方法には、cis、trans、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)異性体ならびにそれらの適当な混合物が含まれる。いくつかの状況において、化合物は互変異性体として存在し得る。本明細書に記載の式に含まれる全ての互変異性体は、本明細書の化合物および方法によって提供される。本明細書によって提供される化合物および方法のさらなる態様において、1つの製造工程から得られたエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物、組合せまたは相互変換も、本明細書に記載の適用のために有用であり得る。
【0142】
医薬組成物/製剤/投与
医薬組成物は、本明細書において使用するとき、式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種と他の化学成分、例えば担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤との混合物を意味する。医薬組成物は化合物の生物への投与を促進する。式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種を含む医薬組成物を、医薬組成物として治療上有効量で、あらゆる常套の形態および経路、例えばこれらに限定されないが、静脈内、経口、直腸、エアロゾル、非経腸、目、肺、経皮、経膣、経耳、経鼻および局所投与によって投与することができる。
【0143】
全身的方法、例えば化合物を臓器に直接注射によるよりも、むしろしばしばデポ製剤または徐放製剤において、局所で医薬組成物を投与し得る。さらにまた、式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種を標的薬剤送達系、例えば臓器特異的抗体でコーティングされたリポソーム中に含む医薬組成物を投与することができる。当該リポソームは臓器を標的とし、選択的に取り込まれる。さらに、式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種を含む医薬組成物を、即時放出製剤の形態で、持続放出製剤の形態で、または中間放出製剤の形態で提供し得る。
【0144】
経口投与のために、式(I)、(II)または(III)の化合物を、活性化合物と当該技術分野において周知の薬学的に許容される担体または賦形剤を組み合わせて容易に製剤することができる。かかる担体によって、本明細書に記載の化合物を錠剤、粉末、ピル、糖衣錠、カプセル剤、液体製剤、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁液等として、処置される患者による経口摂取のために、製剤することができる。
【0145】
経口使用のための医薬製剤は、1種以上の固体賦形剤と1種以上の本明細書に記載の化合物を混合し、所望により得られた混合物を製粉し、そして所望により錠剤または糖衣錠核をえるために適当な助剤を加えた後、顆粒の混合物を処理して、得ることができる。好適な賦形剤はとりわけ、増量剤、例えばラクトース、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えば:トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ポテトスターチ、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム;または他のもの、例えば:ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)もしくはリン酸カルシウムである。所望により、崩壊剤、例えば架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを加えることができる。
【0146】
糖衣錠核は、好適なコーティングを施される。このため、濃糖溶液を用い、これは所望によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。染料または顔料を、活性化合物投与量の異なる組合せを同定または特徴付けるため、錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
【0147】
経口的に使用することができる医薬製剤は、ゼラチンの押し込み式カプセル剤、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールで製造した軟密封カプセル剤を含む。押し込み式カプセル剤は、ラクトースのような増量剤、デンプンのような結合剤および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、および所望により安定化剤と共に、有効成分を含み得る。軟カプセル剤において、活性化合物を好適な液体、例えば脂肪脂、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁することができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与のための全ての製剤は、かかる投与に適する投与量であるべきである。
【0148】
頬側または舌下投与のために、組成物は常套の方法で製剤した錠剤、トローチまたはゲルの形態を取り得る。非経腸注射は、ボーラス注射または連続輸液を含み得る。式(I)、(II)または(III)の医薬組成物は、油または水性ビークル中の滅菌懸濁液、溶液またはエマルジョンとして、非経腸注射に適した形態であり、そして懸濁剤、安定化剤および/または分散剤のような製剤を含み得る。非経腸投与のための医薬製剤には、水溶形態の活性化合物の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁液を、適当な油性注射懸濁液として製造することができる。好適な親油性溶媒またはビークルには脂肪油、例えばゴマ油または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、またはリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を上昇させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランが含まれ得る。所望により、懸濁液はまた、適当な安定化剤、または化合物の溶解度を上昇させて高濃度溶液の製造を可能にする薬剤を含んでいてもよい。あるいは、有効成分は好適なビークル、例えば滅菌ピロゲンフリー水で使用前に構成するための粉末であってもよい。
【0149】
式(I)、(II)または(III)の化合物を局所的に投与することができ、そして様々な局所投与組成物、例えば溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、香油、クリームまたは軟膏に製剤することができる。かかる医薬組成物は、可溶化剤、安定化剤、等張性促進剤、バッファーおよび保存剤を含み得る。
【0150】
式(I)、(II)または(III)の化合物の経皮投与に適した製剤は、経皮送達デバイスまたは経皮送達パッチを用いることができ、親油性エマルジョンまたはポリマーまたは粘着剤に溶解および/または分散させた緩衝化水溶液であり得る。かかるパッチは、薬剤の連続的、脈動的またはオンデマンド送達のために構成することができる。さらに、式(I)、(II)または(III)の化合物の経皮送達を、イオン泳動(電気泳動)パッチ等の手段で達成することができる。さらに、経皮パッチは式(I)、(II)または(III)の化合物の制御された送達を提供し得る。吸収速度は速度調節膜を用いることによって、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルにトラップすることによって低下させることができる。逆に、吸収促進剤を用いて吸収を増加させることができる。吸収促進剤または単体には、皮膚通過を補助する吸収可能な薬学的に許容される溶媒が含まれ得る。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、所望により担体と共に化合物を含むリザーバー、所望により化合物を宿主の皮膚に制御されたおよび予め決定された速度で長期間にわたって送達するための速度制御バリア、およびデバイスを皮膚に接着させる手段を含むバンデージの形態である。
【0151】
吸入による投与のために、式(I)、(II)または(III)の化合物はエアロゾル、噴霧製剤または粉末の形態であり得る。式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種を含む医薬組成物は、簡便には、加圧パックまたは噴霧器から、好適なプロペラント、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスと共にエアロゾルスプレー形態で送達することができる。加圧エアロゾルの場合、計量された量を送達するバルブを提供することによって、投与単位が決定され得る。例示のみを目的として、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物および好適な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含む吸入器または吸入装置に用いるために、製剤することができる。
【0152】
式(I)、(II)または(III)の化合物はまた、常套の座薬基剤、例えばココアバターまたは他のグリセリドならびに合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、PEG等を含む、かん腸、直腸ゲル、直腸泡、直腸エアロゾル、座薬、ジェル座薬、または停留かん腸のような直腸組成物に製剤することができる。組成物の座薬形態において、低融点ワックス、例えばこれらに限定されないが、所望によりココアバターとの組合せにおける、脂肪酸グリセリドの混合物が最初に融解する。
【0153】
本明細書によって提供される処置方法または使用の実施において、本発明によって提供される治療上有効量の式(I)、(II)または(III)の化合物を、処置する疾患または状態を有する哺乳類に、医薬組成物で投与する。好ましくは、哺乳類はヒトである。治療上有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康、使用する化合物の能力および他の因子に依存して、広く変化し得る。化合物を単独で、または1種以上の治療薬との組合せで混合組成物として使用することができる。
【0154】
医薬組成物を常套の方法で、賦形剤および活性化合物の製剤への処理を容易にする薬学的に使用することができる助剤を含む、1種以上の生理的に許容される担体を用いて製剤することができる。適当な製剤は、選択した投与経路に依存する。あらゆる周知の技術、担体および賦形剤を好適に、そして当業者に理解されるとおり、使用することができる。式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種を含む医薬組成物を、常套の方法、例えば例示のみを目的として、常套の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、製粉、乳化、カプセル封入、トラップまたは圧縮プロセスによって製造することができる。
【0155】
医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および有効成分として少なくとも1種の本明細書に記載の有利酸もしくは遊離塩基形、または薬学的に許容される塩形の式(I)、(II)または(III)の化合物を含む。さらに、本明細書に記載の方法および医薬組成物は、同じタイプの活性を有するこれらの化合物のN−オキシド、結晶形(多形ともしられている)ならびに活性な代謝産物の使用を含む。いくつかの状況において、化合物は互変異性体として存在していてもよい。全ての互変異性体は本発明の化合物の範囲に含まれる。さらに、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和物形または水、エタノール等のような薬学的に許容される溶媒との溶媒和物形で存在していてもよい。本発明の化合物の溶媒和物形も本明細書に記載されていると理解される。さらに、医薬組成物は他の医薬または薬剤、担体、アジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解プロモーター、浸透圧を調節するための塩、および/またはバッファーを含み得る。さらに、医薬組成物はまた、他の治療上有用な物質を含み得る。
【0156】
本明細書に記載の化合物を含む組成物の製造方法は、化合物を1種以上の不活性な、薬学的に許容される賦形剤または担体製剤して、固体、半固体または液体とすることを含む。固体組成物には、これらに限定されないが、粉末、錠剤、崩壊性顆粒、カプセル剤、カプセルおよび座薬が含まれる。液体組成物には、化合物が溶解している溶液、化合物を含むエマルジョン、または本明細書に記載の化合物を含むリポソーム、ミセルまたはナノ粒子を含む溶液が含まれる。半固体組成物には、これらに限定されないが、ゲル、懸濁液およびクリームが含まれる。組成物は液体溶液もしくは懸濁液、使用前に液体の溶液または懸濁液とするのに適した固体、またはエマルジョンであり得る。これらの組成物はまた、少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化剤等を含んでいてもよい。
【0157】
本明細書に記載の医薬組成物の要約は、例えばRemington, The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed. (1995) Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania.; Hoover, Remington’s Pharmaceutical Sciences (1975) Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania; Liberman and Lachman, Pharmaceutical Dosage Forms (1980) Marcel Decker, New York, N.Y.; and Lippincott, Williams & Wilkins, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th Ed. (1999)に見出すことができる(これらの全てを、それらの全体において、参照により本明細書の一部とする)。
【0158】
投与方法および処置方法
式(I)、(II)または(III)の化合物を、HIVインテグラーゼ活性が疾患の病理および/または症状に寄与する疾患または状態の処置用、最も典型的にはAIDSまたはHIV感染の処置用医薬の製造に、使用することができる。処置を必要とする対象におけるAIDSまたはHIV感染を処置するための方法には、当該対象に治療上有効量の少なくとも1種の式(I)、(II)または(III)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0159】
少なくとも1種の式(I)、(II)または(III)の化合物を含む、本明細書に記載の医薬組成物を、予防的および/または治療的処置のために投与することができる。治療適用において、組成物を、AIDSまたはHIV感染を既に有する患者に、疾患または状態の症状を治療するまたは少なくとも停止させるのに十分な量で投与する。この使用に有効な量は、これらに限定されないが、疾患または状態の重症度およびコース、以前の治療、患者の健康状態、体重および薬剤に対する応答、ならびに処置する医師の判断を含む多くの因子に依存する。かかる治療上有効量を常套の実験(これに限定されないが、用量漸増試験を含む)によって決定することは、当業者に周知である。
【0160】
患者の状態が改善しない症例において、医師の裁量によって、化合物の投与を慢性的に、すなわち患者の疾患の症状または状態を改善、あるいは制御または制限するためん、患者の人生全体を含む長い期間、投与することができる。患者の状態が改善しない症例において、医師の裁量によって、化合物の投与を継続的にまたは一次的に、ある長さの時間延長することができる(すなわち「休薬日」)。
【0161】
患者の状態の改善が生じると、所望により維持用量を投与する。続いて、投与の用量または頻度、あるいはそのいずれもを、症状の関数として、改善された疾患または状態を維持するレベルに減少させることができる。しかし、患者は、症状の再発のため、長期の断続的処置を必要とし得る。
【0162】
例として、治療上有効量の本明細書に記載の化合物(またはその薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、および薬学的に許容される溶媒和物)の少なくとも1種を、他の治療薬との組合せで投与することが適当であり得る。実際、少なくとも3種の抗HIV薬を含む組合せ療法がAIDSの標準処置となっている。例示のみを目的として、本明細書の化合物の1種を投与された患者が経験する1つの副作用が炎症であるとき、抗炎症剤を初期治療薬剤と組み合わせて投与することが適当であり得る。あるいは、例示のみを目的として、本明細書に記載の化合物の1種の治療効果が、アジュバントの投与によって向上し得る(すなわち、アジュバントそれ自体は小さな治療効果のみを有するが、他の治療薬剤と組み合わせることによって、患者に対する全体の治療効果が向上する)。あるいは、例示のみを目的として、患者が経験する利益は、治療効果をこれまた有する他の治療薬剤と共に(これはまた治療レジメンを含む)本発明の化合物の1種を投与することによって上昇し得る。
【0163】
患者が経験する全体の利益は2種の治療薬剤の和であり得るか、または患者は相乗的利益を経験し得る。例えば、式(I)、(II)または(III)の化合物とHIVおよびAIDSの処置に用いられる他の物質によって相乗効果が生じ得る。最も典型的には、本明細書に記載の式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種を、他の抗HIVまたは抗AIDS治療剤と共投与する。最も好ましくは他の治療剤は、HIVまたはAIDSの予防または処置についてFDAによって承認されている。かかる治療薬剤は、HIV/AIDS処置において知られている既存の作用機構のいずれか、例えばヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)、融合阻害剤または何らかの他の機構によって作用し得る。HIVまたはAIDSの予防用または処置用薬剤には、これらに限定さされないが、アバカビル、AGENERASE(登録商標)、アムプレナビル、アタザナビル、COMBIVIR(登録商標)、CRIXIVAN(登録商標)、デラビルジン(DLV)、ジダノシン(ddl)、エファビレンツ、エンフビルチド(T−20)、エムトリシタビン、エムトリシタビン(FTC)、EMTRIVA(登録商標)、EPIVIR(登録商標)、EPZICOM(商標)、FORTORASE(登録商標)、FORTOVASE(登録商標)、フォサムプレナビル、FUZEON(登録商標)、HIVID(登録商標)、HIVID(登録商標)ddc、インジナビル(IDV)、INVIRASE(登録商標)、KALETRA(登録商標)、ラミブジン、ラミブジン(3TC)、LEXIVA(登録商標)、ロピナビル、ネルフィナビル、ネビラピン、NORVIR(登録商標)、RESCRIPTOR(登録商標)、RETROVIR(登録商標)、REYATAZ(登録商標)、リトナビル、サキナビル、サキナビルメシル酸塩、スタブジン(d4T)、SUSTIVA(登録商標)、テノフォビルDF、TRIZIVIR(登録商標)、TRUVADA(登録商標)、VIDEX(登録商標)、VIRACEPT(登録商標)、VIRAMUNE(登録商標)、ビリアード、ザルシタビン(ddC)、ZERIT(登録商標)、ジドブジン、ジドブジン(AZT)、ZIAGEN(登録商標)が含まれる。しかし、式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種と患者に有利な効果を提供する他の治療薬剤のいずれかを含む組合せ療法も考慮される。
【0164】
本明細書に記載の化合物を他の治療剤と組み合わせて投与するとき、共投与化合物の用量は当然、様々な要因、例えばこれらに限定されないが、使用する共薬剤のタイプ、使用する具体的な薬剤、処置する疾患または状態、処置する疾患または状態の重症度等に依存して変化する。さらに、1種以上の薬学的活性剤と共投与するとき、本明細書で提供される化合物は薬学的活性剤と同時または逐次的に投与され得る。逐次的に投与するとき、担当医師は薬学的活性剤と組合せた適当な投与シーケンスを決定する。
【0165】
何れの場合においても、任意の順序または同時に、複数の治療薬剤(その少なくとも1種は本明細書に記載の化合物の1種である)を投与することができる。同時であるとき、複数治療薬剤を1個の単一の形態で、または複数の形態で(例示のみを目的として、1個のピルとして、または2個の別個のピルとして)投与することができる。治療薬剤の一方を複数用量で投与することができるか、またはいずれもを複数用量として投与することができる。同時でないとき、複数投与間の時間は0週間以上から4週間以下に変化し得る。さらに、組合せ方法、組成物および製剤は、2種の薬剤のみの使用に限定されない;複数の治療組合せも想定される。
【0166】
式(I)、(II)または(III)の化合物、および式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種を含むあらゆる治療組合せを、HIVウイルスに曝される前、間または後に投与することができ、組成物投与の時点を変更することができる。したがって、例えば化合物を予防的に使用することができ、HIVウイルスに感染していないがウイルスに曝露されたか、ウイルスに曝露された疑いのある対象に投与することができる。例示のみを目的として、医療従業者(例えば医師、看護師、検査技師)がHIVを含み得るかまたは含んでいないかも知れない検体に事故で(例えば針を刺すか、または検体をこぼすことによって)曝され得る。式(I)、(II)または(III)の化合物の少なくとも1種を、感染の危険を予防するまたは低下させるために投与する。同様に、いくつかの態様において、本明細書に記載の式(I)、(II)または(III)の化合物を、HIVウイルスに(例えば性的接触、針の共有、出産によって)曝されたかまたは曝された疑いがあるが、疾患の症状が未だ発症していない対象に予防的に使用することができる。他の態様において、式(I)、(II)または(III)の化合物を予防的に使用することができ、疾患または状態の発生を予防するため、状態または疾患の傾向がある対象に継続的に投与することができる。化合物および組成物を、症状の発症の間またはその後可能な限り速やかに、対象に投与することができる。
【0167】
化合物の投与を、ウイルス曝露または症状の発症の最初の48時間以内に、好ましくはウイルス曝露または症状の発症の最初の48時間以内に、より好ましくはウイルス曝露または症状の発症の最初の6時間以内に開始することができる。初期投与はあらゆる実際的な経路、例えば静脈内注射、ボーラス注射、5分から約5時間の輸液、ピル、カプセル剤、経皮パッチ、頬側送達等、またはそれらの組合せにより得る。化合物は好ましくは、ウイルスに曝露後または曝露が疑われた後、あるいは疾患または状態の発症が検出もしくは疑われた後、行いうる限り速やかに投与し、疾患の処置に必要な時間の長さは例えば、約1週間から約1年である。処置の長さは各対象について異なっていてよく、長さは既知の基準を用いて決定することができる。例えば、少なくとも1種の化合物または少なくとも1種の化合物を含む製剤を、少なくとも2週間、約1ヶ月間から約15年まで、投与することができる。
【0168】
さらなるまたは別の態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、正確な用量の1回投与に好適な単位投与形態であり得る。単位投与形態において、製剤を、1種以上の化合物の適当な量を含む単位用量に分割する。単位投与形は、製剤の別個の量を含むパッケージの形態であり得る。非限定的な例は、パッケージ錠剤またはカプセル材、およびバイアルもしくはアンプル中粉末である。水性懸濁液組成物を単回用量の再密封できない容器にパッケージすることができる。あるいは、典型的には組成物中n保存剤を含む場合に、複数用量の再密封可能な容器を用いることができる。例示のみを目的として、非経腸注射用製剤は、これに限定されないが、アンプルを含む単位投与形態で、またはさらなる保存剤を含むとき、複数用量容器中に存在し得る。
【0169】
いくつかの態様において、本明細書に記載の式(I)、(II)または(III)の化合物の適当な1日用量は、約0.01から5mg/kg体重であり得る。これに限定されないがヒトを含む大型哺乳類における望ましい1日用量は、約0.5mgから約100mgの範囲であり、簡便には分割用量で、例えばこれに限定されないが、1日4回まで、または遅延形態で投与する。好適な経口投与用単位投与形態は、約1から50mgの有効成分を含む。上記範囲は単なる提案であり、個々の処置レジメンに応じて変化し得る数値は大きく、これらの推奨される値からかなり逸脱することは一般的である。かかる用量は、これらに限定されないが、使用する化合物の活性、処置する疾患または状態、投与経路、処置する疾患または状態の重症度および実施者の判断のような様々な変更可能部分に依存して変化し得る。
【0170】
いくつかの態様において、かかる治療レジメンの毒性および治療効果を、これらに限定されないが、LD50(集団の50%が死ぬ用量)およびED50(集団の50%に治療上有効である用量)の決定を含む、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって測定することができる。毒性と治療効果の用量比は治療指標であり、そしてこれをLD50とED50の比として表現することができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータを、ヒトに使用する用量範囲の製剤に使用することができる。かかる化合物の用量は、好ましくは最小の毒性を有するED50を含む濃度を中心とした範囲内である。用量は、使用する投与形態および利用する投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。
【0171】
製造業者のキット/製品
本明細書に記載の治療適用に使用するために、製造業者のキットおよび製品も本明細書に記載する。かかるキットは、担体、パッケージ、または1個以上の容器、例えばバイアル、チューブ等を受け取るために区分された容器を含んでいてよく、各容器は本明細書に記載の方法に用いる個別の要素の1個を含む。好適な容器には、例えばビン、バイアル、シリンジおよび試験管が含まれる。容器を様々な材料、例えばガラスまたはプラスティックから形成することができる。
【0172】
例えば、容器は本明細書に記載の1種以上の化合物を、所望により組成物または本明細書に記載の他の薬剤との組合せで含んでいてよい。容器は所望により、滅菌アクセスポート(例えば容器が静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって刺すことができるストッパーを有するバイアル)を有する。かかるキットは所望により、同定する記載もしくはラベルを有する化合物、または本明細書に記載の方法におけるその使用に関する指示書を含む。
【0173】
キットは典型的には、商業上および本明細書に記載した化合物を使用する立場の使用者から望まれる、1種以上の諸物質(例えば、所望により濃縮形態の薬物、および/またはデバイス)を各々有する1個以上のさらなる容器が含まれる。かかる物質の非限定的な例には、これらに限定されないが、バッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ;担体、パッケージ、容器、バイアルおよび/または成分を記載したチューブラベルおよび/または使用のための指示書、および使用のための指示を含む添付文書が含まれる。指示書のセットも典型的には含まれる。
【0174】
ラベルは容器上にまたは容器に関連して存在し得る。ラベルを形成する文字、数字または他の記号が容器それ自体に取り付けられ、鋳込まれまたは彫り込まれているとき、ラベルは容器上に存在し得る;容器または容器を固定する担体中に添付文書としてそれが存在するとき、ラベルは容器に関連し得る。ラベルを用いて、成分が特定の治療適用に使用されるべきであることを指示し得る。ラベルはまた、本明細書に記載の方法のような成分の使用のための指示も示し得る。
【実施例】
【0175】
実施例
下記実施例は、式(I)、(II)または(III)の化合物を製造し、その有効性および安全性を試験するための説明的方法を提供する。これらの実施例は、説明のみを目的として提供しており、本発明によって提供される特許請求の範囲を限定しない。本明細書に記載および特許請求されている全ての方法を、この開示を元に、過度の実験を行うことなく行い、実施することができる。特許請求の範囲の概念、精神および範囲から離れることなく、本明細書に記載の方法および工程もしくは工程の順序に、バリエーションを適用可能であることが、当業者に明らかである。かかる同様の置換および修飾の全てが、当業者に明らかであり、特許請求の範囲の精神、範囲および概念の範囲内であると見なす。
【0176】
実施例1 − メチル4−(ベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物1)の合成
【化14】

実施例1a: 1,2−ビス−メトキシメトキシ−ベンゼンの製造
NaH(鉱油中60%、11g、0.25mol)をカテコール(11g、0.1mol)のDMF/エーテル(1:1、800ml)溶液に、3回で加える。反応混合物を30分間攪拌し、塩化メトキシメチル(MOM−Cl;19ml、0.25mol)を加える。混合物をさらに2時間、室温で攪拌し、0℃で水(500ml)をゆっくりと加えてクエンチする。混合物をヘキサン(3×500ml)で抽出し、合併した有機層を水および塩水でそれぞれ洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、生成物18gを得る(90%); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.16(m, 2H), 6.95(m, 2H), 5.24(s, 4H), 3.52(s, 6H).
【0177】
実施例1b: 2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸モノメチルおよびジメチルエステルの製造
n−BuLi(136.4mmol)を1,2−ビス−メトキシメトキシ−ベンゼン(9g、45.5mmol)およびテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA;21ml、136.5mmol)のエーテル(500m)溶液に、0℃でゆっくりと加える。混合物を室温に温め、30分間攪拌する。乾燥COを反応混合物に1時間バブルする。エーテルを真空下で除去し、得られた黄色残渣を無水メタノール(300ml)に懸濁させる。クロロトリメチルシラン(160ml)を室温で加える。混合物を一晩還流させ、0℃に冷却し、水(300ml)を加える。沈殿を濾過によって単離師、メタノールおよび水から再結晶化して2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸ジメチルエステル(5.7g、55%)および2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸モノメチルエステル(2.4g、25%)を得る;2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸ジメチルエステル: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.5(br, s, 1H), 7.27(s, 2H), 3.90(s, 6H), MS m/z 227 [M+H]+;2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸モノメチルエステル: 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.92(s, 1H), 7.17(d, 1H), 6.91(d, 1H), 3.85(s, 3H), MS m/z 213 [M+H]+.
【0178】
実施例1c: メチル4−(ベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物1)の製造
塩化チオニル(1.5ml)を2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸モノメチルエステル(300mg、1.42mmol)の無水THF(18ml)溶液に加える。混合物を45℃で12時間攪拌し、その後THFおよび過剰のSOClを真空下で除去する。残渣をCHCl(10ml)で希釈し、ベンジルアミンのCHCl(15ml)溶液に0℃でゆっくりと加える。反応混合物を室温に2時間温め、その後水(10ml)を加える。溶媒を真空下で除去し、得られた残渣をEtOAcで抽出する。合併した有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮して粗生成物を得て、これをシリカのクロマトグラフィーで精製して表題生成物(220mg、52%)を得る;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.2(s, 1H), 10.9(s, 1H), 7.37(m, 5H), 7.32(d, 1H), 7.03(d, 1H), 6.95(br, 1H), 4.66(d, 2H), 3.98(s, 3H), MS m/z 302 [M+H]+.
【0179】
実施例2 − N−ベンジル−2,3−ジヒドロキシベンズアミド(化合物2)の合成
【化15】

実施例2a: N−ベンジル−2,3−ジメトキシベンズアミドの製造
2,3−ジメトキシ安息香酸(1当量)、ベンジルアミン(1.2当量)およびHATU(1.2当量)をジクロロメタン中で1時間、室温で反応させてN−ベンジル−2,3−ジメトキシベンズアミド(90%)を得る。
【0180】
実施例2b: N−ベンジル−2,3−ジヒドロキシベンズアミド(化合物2)の製造
N−ベンジル−2,3−ジメトキシベンズアミド(1当量)およびBBr(2当量)をジクロロメタン中で2時間、−78℃で反応させてN−ベンジル−2,3−ジヒドロキシベンズアミド(50−75%)を得る。
【0181】
実施例3 − N−ベンジル−3−ヒドロキシベンズアミド(化合物3)の合成
【化16】

表題化合物を、化合物2(実施例2)と同じ方法で、3−メトキシ安息香酸を2,3−ジメトキシ安息香酸の代わりに用いて製造する。
【0182】
実施例4 − N−ベンジル−2−ヒドロキシベンズアミド(化合物4)の合成
【化17】

表題化合物を、化合物2(実施例2)と同じ方法で、2−メトキシ安息香酸を2,3−ジメトキシ安息香酸の代わりに用いて製造する。
【0183】
実施例5 − N−ベンジル−6−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミド(化合物5)の合成
【化18】

表題化合物を、化合物2(実施例2)と同じ方法で、6−メトキシピリジン−2−カルボン酸を2,3−ジメトキシ安息香酸の代わりに用いて製造する。
【0184】
実施例6 − N−ベンジル−2−ヒドロキシピリジン−3−カルボキサミド(化合物6)の合成
【化19】

表題化合物を、化合物2(実施例2)と同じ方法で、2−メトキシピリジン−3−カルボン酸を2,3−ジメトキシ安息香酸の代わりに用いて製造する。
【0185】
実施例7 − メチル4−(2−メトキシベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物7)の合成
【化20】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(2−メトキシフェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.8 (s, 1H), 10.9(s, 1H), 7.34(d, 1H), 7.31(t, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.12(br, 1H), 6.96(t, 1H), 6.92(d, 2H), 4.64(d, 2H), 3.97(s, 3H), 3.91(s, 3H); ESMS m/z 332 [M+H]+.
【0186】
実施例8 − メチル4−(3−メトキシベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物8)の合成
【化21】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(3−メトキシフェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.2 (s, 1H), 10.9(s, 1H), 7.32(d, 1H), 7.27(t, 1H), 7.03 (d, 1H), 6.94(d, 1H),6.95(br, 1H), 6.89(s, 1H), 6.86(dd, 1H), 4.63(d, 2H), 3.98(s, 3H), 3.81(s, 3H); ESMS m/z 332 [M+H]+.
【0187】
実施例9 − メチル4−(4−メトキシベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物9)の合成
【化22】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(4−メトキシフェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.3 (s, 1H), 10.9(s, 1H), 7.31(d, 1H), 7.29(d, 2H), 6.99 (d, 1H), 6.90(d, 2H), 6.85(br,1H), 4.59(d, 2H), 3.97(s, 3H), 3.81(s, 3H); ESMS m/z 332 [M+H]+.
【0188】
実施例10 − メチル4−(2−ニトロベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物10)の合成
【化23】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(2−ニトロフェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.0 (s, 1H), 10.9(s, 1H), 8.11(dd, 1H), 7.76(dd, 1H), 7.71(br, 1H), 7.66(dt, 1H), 7.51(dt, 1H), 7.33(d, 1H), 7.06(d, 1H), 4.89(d, 2H), 3.97(s, 3H); ESMS m/z 347 [M+H]+.
【0189】
実施例11 − メチル4−(3−ニトロベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物11)の合成
【化24】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(3−ニトロフェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.0 (s, 1H), 9.99(s, 1H), 8.22(s, 1H), 8.17(d, 2H), 7.73(d, 1H), 7.55(t, 1H), 7.46(br, 1H), 7.38(d, 1H), 7.22(d, 1H), 4.77(d, 2H), 3.99(s, 3H).; ESMS m/z 347 [M+H]+.
【0190】
実施例12 − メチル4−(4−ニトロベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物12)の合成
【化25】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(4−ニトロフェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.0 (s, 1H), 9.87(s, 1H), 8.22(d, 2H), 7.53(d, 2H), 7.47(br, 1H), 7.38(d, 1H), 7.23(d, 1H), 4.78(d, 2H), 3.99(s, 3H); ESMS m/z 347 [M+H]+.
【0191】
実施例13 − メチル4−(2−(トリフルオロメチル)ベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物13)の合成
【化26】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(2−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.0(s, 1H), 10.7(s, 1H), 7.69(d, 1H), 7.64(d, 1H), 7.56(t,1H), 7.43(t, 1H), 7.33(d, 1H), 7.17(br, 1H), 7.07(d, 1H), 4.84(d, 2H), 3.98(s, 3H); ESMS m/z 370 [M+H]+.
【0192】
実施例14 − メチル4−(3−(トリフルオロメチル)ベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物14)の合成
【化27】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(3−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.0(s, 1H), 10.4(s, 1H), 7.60(s, 1H), 7.57(d, 2H), 7.49(t,1H), 7.36(d, 1H), 7.24(br, 1H), 7.15(d, 1H), 4.73(d, 2H), 3.98(s, 3H); ESMS m/z 370 [M+H]+.
【0193】
実施例15 − メチル4−(4−(トリフルオロメチル)ベンジルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物15)の合成
【化28】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(4−(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.0(s, 1H), 10.4(s, 1H), 7.62(d, 2H), 7.48(d, 2H), 7.36(d, 1H), 7.24(br, 1H), 7.15(d, 1H), 4.73(d, 2H), 3.98(s, 3H); ESMS m/z 370 [M+H]+.
【0194】
実施例16 − メチル4−((ピリジン−2−イル)メチルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物16)の合成
【化29】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(ピリジン−2−イル)methanアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.4(s, 1H), 10.4(s, 1H), 9.59(t,1H), 8.60(d,1H), 7.96(t, 1H), 7.52(d, 1H), 7.74(t, 1H), 7.44(d, 1H), 7.28(d, 1H), 4.68(d, 2H), 3.91(s, 3H); ESMS m/z 303 [M+H]+.
【0195】
実施例17 − メチル4−((ピリジン−3−イル)メチルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物17)の合成
表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(ピリジン−3−イル)methanアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.4(s, 1H), 10.4(s, 1H), 9.55(t,1H), 8.71(s,1H), 8.62(d, 1H), 8.06(d, 1H), 7.64(dd, 1H), 7.39(d, 1H), 7.26(d, 1H), 4.60(d, 2H), 3.90(s, 3H); ESMS m/z 303 [M+H]+.
【0196】
実施例18 − メチル4−((ピリジン−4−イル)メチルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物18)の合成
【化30】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で、(ピリジン−4−イル)メタンアミンをベンジルアミンの代わりに用いて製造する; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.3(s, 1H), 10.5(s, 1H), 9.61(t,1H), 8.71(d, 2H), 7.69(d, 2H), 7.42(d, 1H), 7.29(d, 1H), 4.68(d, 2H), 3.91(s, 3H); ESMS m/z 303 [M+H]+.
【0197】
実施例19 − メチル4−(N−ベンジル−N−メチルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物19)の合成
【化31】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で製造する; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.7(s, 1H), 9.64, 9.61(2s, 1H), 7.1-7.4(m, 6H), 6.76(d, 1H), 4.68, 4.33(2s, 2H), 3.91, 3.89(2s, 3H), 2.84, 2.72(2s, 3H); ESMS m/z 316 [M+H]+.
【0198】
実施例20 − メチル4−(フェニルカルバモイル)−2,3−ジヒドロキシベンゾエート(化合物20)の合成
【化32】

表題化合物を、化合物1(実施例1)と同じ方法で製造する; 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.6(s, 1H), 10.5(s, 2H), 7.70(d, 2H), 7.43(d, 1H), 7.38(t, 2H), 7.31(d, 1H), 7.15(t, 1H), 3.91(s, 3H); ESMS m/z 288 [M+H]+.
【0199】
実施例21 − 3−ベンジル−8−ヒドロキシ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−7−カルボン酸メチルエステル(化合物21)の合成
【化33】

エチルクロロホルメート(0.35ml、3.5mmol)を2,3−ジヒドロキシ−テレフタル酸モノメチルエステル(実施例1に従って製造;212mg、1.0mmol)およびトリエチルアミン(0.7ml、5.0mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液に、−10℃で滴下する。混合物を室温に3時間温め、0℃に冷却し、ベンジルアミン(0.44ml、4.0mmol)を加える。混合物を室温で一晩攪拌し、溶媒を真空下で除去する。得られた残渣を酢酸エチルおよび水で分配する。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出する。合併した有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、蒸発させて粗生成物を得て、これをシリカのクロマトグラフィーで精製して表題化合物(305mg、93%)を得る; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.2(s, 1H), 7.78(d, 1H), 7.54(m, 3H), 7.32(m, 3H), 5.21(s, 2H), 4.02(s, 3H); 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 169.5, 160.0, 150.0, 147.3, 142.0, 135.3, 129.4(2C), 128.6(2C), 128.3, 125.2, 118.6, 117.4, 116.2, 53.2, 46.0. MS m/z 328 [M+H]+.
【0200】
備考:化合物21の構造はHMBCおよびROESY試験に基づいて確立される:ケミカルシフト11.2ppmのプロトンピークは下記別構造には存在し得ない炭素12、15および13のHMBC相関ピークを示す。炭素7のプロトンは、別の構造で、また存在し得ないHMBCにおける4つの異なる炭素に相関するピークを有する。最後に、ROESYにおいて11.2ppmのプロトンから炭素7のプロトンに予期される可視クロスピークは存在しない。
【化34】

【0201】
実施例22 − 抗HIV活性の調査
HIV治療薬剤は細胞におけるHIVの増殖を阻害し、それ自体、HIV抗ウイルス活性の細胞利用アッセイが開発されている。例えば、Pauwels et al, Nature (1990) 343: 470-4はHIV感染細胞と試験化合物のインキュベート、および続く比色分析法による細胞生存率の測定によってHIV−1複製の阻害についてのEC50を得ることが記載されている。
【0202】
抗HIV活性を観察すると、作用機構アッセイを行ってどのように治療薬剤が細胞増殖を阻害しているかを決定することができる。本明細書に記載の化合物1−21を3つの異なるアッセイでスクリーニングして、それらの抗HIV活性を評価する。
【0203】
スクリーニング1: ハイスループット細胞利用HIVルシフェラーゼレポーター感染アッセイ(He et al, Bioorg. Med Chem. Lett. (2006) 16参照)によって、初期HIV感染事象の阻害剤を同定する。結果を、最大可能応答の50%を生み出すモル濃度、EC50(μM)として表現して下記表2に示す。
【0204】
スクリーニング2:HIV−1インテグラーゼ株トランスファーアッセイ(Wang et al, J. Biomol. Screen. (2005) 10: 456参照)によって、HIVインテグラーゼによる抗HIV活性を同定する。結果を、最大可能阻害応答の50%を生み出すモル濃度、IC50(μM)として表現して下記表2に示す。
【0205】
スクリーニング3:細胞毒性アッセイによって、HEK293T細胞に対する阻害活性を測定する。結果を表2に示す。
表2. 化合物1−21の抗HIVおよび細胞毒性評価
【表3】

【0206】
実施例23 − NNRTI抵抗性変異体に対する活性
選択した化合物を、主要なNNRTI抵抗性変異体に対してアッセイする。結果を下記表3に示す。
表3. NNRTI抵抗性変異体の阻害(EC50
【表4】

【表5】

【0207】
実施例24 − 分子モデリング試験:化合物1とHIV−1インテグラーゼのドッキング
分子モデリング試験を、本明細書に記載の阻害剤とHIVインテグラーゼタンパク質の相互作用をより良く理解するために行う。柔軟なドッキング試験を、Glide 2.0(Schrodinger, Inc, Portland, OR, 2002)を用いて、タンパク質データバンク(pdb コード 1FK9)からのタンパク質座標を用いて行う。
【0208】
当該試験は、化合物1とインテグラーゼについて2つの主要な可能性のある結合形体を示唆する(図1)。第1のモデル(図1A)において、分子はエステルおよび隣接ヒドロキシル基を介して金属イオンと配位する。アミド窒素は隣接ヒドロキシル基と分子内水素結合を形成し、これはD64との水素結合に関与する。
【0209】
第2のモデル(図1B)において、ヒドロキシル基がいずれも金属イオンと配位し、残基D64がアミド窒素および隣接ヒドロキシル基と水素結合する。いずれのモデルも、化合物1と金属イオンの明らかな配位を示し、分子内水素結合を介して化合物が硬化するため(モデルAにおいて)または残基D64との水素結合(モデルBにおいて)のために、アミド窒素の重要性を示唆する。
【0210】
実施例25 − 分子モデリング試験:化合物21とHIV−1インテグラーゼのドッキング
相互作用形態をさらに調査するため、アミドとその隣接ヒドロキシル基がカルボニル基を介して結合して6員環を形成している硬化化合物21を製造する。生物学的試験は、化合物21が細胞および酵素アッセイのいずれもの活性を維持していることを示す(表2、上記実施例22参照)。何らかの具体的な理論に縛られることを望まないが、化合物21がアミド水素を欠いても活性を維持しているという事実は、モデルでの窒素の役割がヒドロキシル基との分子内水素結合を介した硬化であるため、モデル1がより可能性があることを示唆する。同じ効果が化合物21において達成される。対照的に、モデル2BはアミドがD64との水素結合に関与しており、したがってその除去は活性の減少をもたらすであろう。
【0211】
さらに、タンパク質−リガンド複合体のエネルギーを、Prime(Schrodinger, Inc.)を用いて計算する。モデル1Aのタンパク質−リガンド複合体は1Bよりも約7kcal/mol低いと計算され、このことは1Aが式(I)、(II)または(III)の化合物とHIVインテグラーゼ酵素の相互作用についてより可能性のあるモデルであることをさらに支持する。
【0212】
本明細書に記載の実施例および態様は、説明のみを目的としており、その範囲内の様々な修飾または変化が当業者に示唆されており、本明細書および特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることは、理解される。本明細書において言及した全ての出版物、特許および特許出願は、あらゆる目的のため、参照により本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、
はH、アルキルまたは置換アルキルであり;
はH、アルキル、置換アルキル、−C(O)−アルキルまたは−C(O)−置換アルキルであり;
はH、アルキル、置換アルキル、−C(O)−アルキルまたは−C(O)−置換アルキルであり;
はH、アルキルまたは置換アルキルであるか;
または−O−R−R−N−は一体となって、所望により置換されている6または7員環を形成し;
はH、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−C置換アルキルであり;
はH、ハロゲン、C−CアルキルまたはC−C置換アルキルであり;
は所望により置換されたC−Cシクロアルキル、所望により置換された低級ヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールであり;
ここで各置換基は独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、=O、=S、=NH、−SO、ニトロアルキル、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールアルキルアミノ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、グアニジニル、O−カルバミル、N−カルバミル、チオカルバミル、ウリル、イソウリル、チオウリル、イソチオウリル、メルカプト、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、ホスホニル、ホスファチジル、ホスホラミジル、−L−H、−L−アルキル、−L−置換アルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−ペルハロアルキル、−L−アルケニル、−L−置換アルケニル、−L−ヘテロアルケニル、−L−ハロアルケニル、−L−ペルハロアルケニル、−L−アルキニル、−L−置換アルキニル、−L−ヘテロアルキニル、−L−ハロアルキニル、−L−ペルハロアルキニル、−L−シクロアルキル、−L−置換シクロアルキル、−L−ヘテロシクロアルキル、−L−置換ヘテロシクロアルキル、−L−シクロアルケニル、−L−置換シクロアルケニル、−L−ヘテロシクロアルケニル、−L−置換ヘテロシクロアルケニル、−L−シクロアルキニル、−L−置換シクロアルキニル、−L−ヘテロシクロアルキニル、−L−置換ヘテロシクロアルキニル、−L−非置換アリール、−L−ヘテロアリールおよび−L−置換ヘテロアリールから成る群から選択され;
ここで−L−は、結合、−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−、−アルケニレン−、−アルキニレン−、−アリーレン−、−ヘテロアリーレン−、−O−、−S−、−NH−、−C(O)−、−C(S)−、OC(O)−、−C(O)O−、SC(O)−、−C(S)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−C(S)NH−、−NHC(S)−、−S(O)−、−S(O)−または−S(O)NH−であり;
nは0、1または2である〕
の構造を有する化合物、およびその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される溶媒和物。
【請求項2】
がアルキルである、請求項1の化合物。
【請求項3】
がHである、請求項1の化合物。
【請求項4】
がHである、請求項1の化合物。
【請求項5】
およびRがHである、請求項1の化合物。
【請求項6】
がHである、請求項1の化合物。
【請求項7】
nが0である、請求項1の化合物。
【請求項8】
nが1である、請求項1の化合物。
【請求項9】
が所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項1の化合物。
【請求項10】
が置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項1の化合物。
【請求項11】
が置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである、請求項1の化合物。
【請求項12】
が非置換フェニルまたは非置換ピリジルである、請求項1の化合物。
【請求項13】
がC−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NOまたはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている、請求項1の化合物。
【請求項14】

【化2】

から成る群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項15】
がアルキルであり;
=R=R=H;
が置換フェニルまたは置換ピリジルであり;そして
nが0または1である、請求項1の化合物。
【請求項16】
がアルキルであり;
=R=R=H;
が非置換フェニルまたは非置換ピリジルであり;そして
nが0または1である、請求項1の化合物。
【請求項17】
−O−R−R−N−が一体となって、所望により置換された、6または7員環を形成する、請求項1の化合物。
【請求項18】
式(II):
【化3】

〔式中、
はHまたはアルキルであり;
はHまたはアルキルであり;
はHまたはアルキルであり;
はHまたはアルキルであるか;
または−O−R−R−N−は一体となって、所望により置換された、6または7員環を形成し;
は所望により置換されたC−Cシクロアルキル、所望により置換された低級ヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールであり;
ここで各置換基は独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、=O、=S、=NH、−SO、ニトロアルキル、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールアルキルアミノ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、グアニジニル、O−カルバミル、N−カルバミル、チオカルバミル、ウリル、イソウリル、チオウリル、イソチオウリル、メルカプト、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、ホスホニル、ホスファチジル、ホスホラミジル、−L−H、−L−アルキル、−L−置換アルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−ペルハロアルキル、−L−アルケニル、−L−置換アルケニル、−L−ヘテロアルケニル、−L−ハロアルケニル、−L−ペルハロアルケニル、−L−アルキニル、−L−置換アルキニル、−L−ヘテロアルキニル、−L−ハロアルキニル、−L−ペルハロアルキニル、−L−シクロアルキル、−L−置換シクロアルキル、−L−ヘテロシクロアルキル、−L−置換ヘテロシクロアルキル、−L−シクロアルケニル、−L−置換シクロアルケニル、−L−ヘテロシクロアルケニル、−L−置換ヘテロシクロアルケニル、−L−シクロアルキニル、−L−置換シクロアルキニル、−L−ヘテロシクロアルキニル、−L−置換ヘテロシクロアルキニル、−L−非置換アリール、−L−ヘテロアリールおよび−L−置換ヘテロアリールから成る群から選択され;
ここで−L−は、結合、−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−、−アルケニレン−、−アルキニレン−、−アリーレン−、−ヘテロアリーレン−、−O−、−S−、−NH−、−C(O)−、−C(S)−、OC(O)−、−C(O)O−、SC(O)−、−C(S)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−C(S)NH−、−NHC(S)−、−S(O)−、−S(O)−または−S(O)NH−であり;
nは0、1または2である〕
の構造を有する化合物、およびその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される溶媒和物。
【請求項19】
がアルキルである、請求項18の化合物。
【請求項20】
がHである、請求項18の化合物。
【請求項21】
がHである、請求項18の化合物。
【請求項22】
およびRがHである、請求項18の化合物。
【請求項23】
がHである、請求項18の化合物。
【請求項24】
nが0である、請求項18の化合物。
【請求項25】
nが1である、請求項18の化合物。
【請求項26】
が所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項18の化合物。
【請求項27】
が置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項18の化合物。
【請求項28】
が置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである、請求項18の化合物。
【請求項29】
が非置換フェニルまたは非置換ピリジルである、請求項18の化合物。
【請求項30】
がC−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NOまたはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている、請求項18の化合物。
【請求項31】

【化4】

から成る群から選択される、請求項18の化合物。
【請求項32】
がアルキルであり;
=R=R=H;
が置換フェニルまたは置換ピリジルであり;そして
nが0または1である、請求項18の化合物。
【請求項33】
がアルキルであり;
=R=R=H;
が非置換フェニルまたは非置換ピリジルであり;そして
nが0または1である、請求項18の化合物。
【請求項34】
−O−R−R−N−が一体となって、所望により置換された、6または7員環を形成する、請求項18の化合物。
【請求項35】
式(III):
【化5】

〔式中、
はH、アルキルまたは置換アルキルであり;
はH、アルキル、置換アルキル、−C(O)−アルキルまたは−C(O)−置換アルキルであり;
は所望により置換されたシクロアルキル、所望により置換されたヘテロシクロアルキル、所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールであり;
ここで各置換基は独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−N、=O、=S、=NH、−SO、ニトロアルキル、アミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジアリールアルキルアミノ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、グアニジニル、O−カルバミル、N−カルバミル、チオカルバミル、ウリル、イソウリル、チオウリル、イソチオウリル、メルカプト、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、ホスホニル、ホスファチジル、ホスホラミジル、−L−H、−L−アルキル、−L−置換アルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−ペルハロアルキル、−L−アルケニル、−L−置換アルケニル、−L−ヘテロアルケニル、−L−ハロアルケニル、−L−ペルハロアルケニル、−L−アルキニル、−L−置換アルキニル、−L−ヘテロアルキニル、−L−ハロアルキニル、−L−ペルハロアルキニル、−L−シクロアルキル、−L−置換シクロアルキル、−L−ヘテロシクロアルキル、−L−置換ヘテロシクロアルキル、−L−シクロアルケニル、−L−置換シクロアルケニル、−L−ヘテロシクロアルケニル、−L−置換ヘテロシクロアルケニル、−L−シクロアルキニル、−L−置換シクロアルキニル、−L−ヘテロシクロアルキニル、−L−置換ヘテロシクロアルキニル、−L−非置換アリール、−L−ヘテロアリールおよび−L−置換ヘテロアリールから成る群から選択され;
ここで、−L−は、結合、−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−、−アルケニレン−、−アルキニレン−、−アリーレン−、−ヘテロアリーレン−、−O−、−S−、−NH−、−C(O)−、−C(S)−、OC(O)−、−C(O)O−、SC(O)−、−C(S)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−C(S)NH−、−NHC(S)−、−S(O)−、−S(O)−または−S(O)NH−であり;
nは0、1または2である〕
の構造を有する請求項34の化合物、およびその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグ、薬学的に許容される溶媒和物。
【請求項36】
がアルキルである、請求項35の化合物。
【請求項37】
がHである、請求項35の化合物。
【請求項38】
nが0である、請求項35の化合物。
【請求項39】
nが1である、請求項35の化合物。
【請求項40】
が所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項35の化合物。
【請求項41】
が置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項35の化合物。
【請求項42】
が置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである、請求項35の化合物。
【請求項43】
が非置換フェニルまたは非置換ピリジルである、請求項35の化合物。
【請求項44】
がC−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている、請求項35の化合物。
【請求項45】

【化6】

を含む群から選択される、請求項35の化合物。
【請求項46】
がアルキルであり;
がHであり;
が置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルであり;そして
nが0または1である、請求項35の化合物。
【請求項47】
HIVインテグラーゼの活性を調節する方法であって、
HIVインテグラーゼを式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらの各々の薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種と接触させることを含む方法。
【請求項48】
化合物のRがアルキルである、請求項47の方法。
【請求項49】
化合物のRがHである、請求項47の方法。
【請求項50】
化合物のnが0である、請求項47の方法。
【請求項51】
化合物のnが1である、請求項47の方法。
【請求項52】
化合物のRが所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項47の方法。
【請求項53】
化合物のRが置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項47の方法。
【請求項54】
化合物のRが置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである、請求項47の方法。
【請求項55】
化合物のRが非置換フェニルまたは非置換ピリジルである、請求項47の方法。
【請求項56】
化合物のRが、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている、請求項47の方法。
【請求項57】
化合物のRが、
【化7】

から成る群から選択される、請求項47の方法。
【請求項58】
化合物のRがアルキルであり;
化合物のRがHであり;
化合物のRが置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルであり;そして
化合物のnが0または1である、請求項47の方法。
【請求項59】
化合物を直接HIVインテグラーゼと接触させる、請求項47の方法。
【請求項60】
接触がインビトロで起こる、請求項47の方法。
【請求項61】
接触がインビボで起こる、請求項47の方法。
【請求項62】
式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種を、1種以上の賦形剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項63】
1種以上の賦形剤が非経腸投与用である、請求項62の医薬組成物。
【請求項64】
1種以上の賦形剤が経口投与用である、請求項62の医薬組成物。
【請求項65】
動物における免疫不全ウイルス感染の病理および/または症状を予防、阻害または改善する方法であって、
当該動物に治療上有効量の式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種を投与することを含んで成る方法。
【請求項66】
化合物のRがアルキルである、請求項65の方法。
【請求項67】
化合物のRがHである、請求項65の方法。
【請求項68】
化合物のnが0である、請求項65の方法。
【請求項69】
化合物のnが1である、請求項65の方法。
【請求項70】
化合物のRが所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項65の方法。
【請求項71】
化合物のRが置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項65の方法。
【請求項72】
化合物のRが置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである、請求項65の方法。
【請求項73】
化合物のRが非置換フェニルまたは非置換ピリジルである、請求項65の方法。
【請求項74】
化合物のRが、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている、請求項65の方法。
【請求項75】
化合物のRが、
【化8】

から成る群から選択される、請求項65の方法。
【請求項76】
化合物のRがアルキルであり;
化合物のRがHであり;
化合物のRが置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルであり;そして
化合物のnが0または1である、請求項65の方法。
【請求項77】
ヒトにおけるAIDSまたはHIV感染の病理および/または症状を予防、阻害または改善する方法であって、
当該ヒトに治療上有効量の式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種を投与することを含んで成る方法。
【請求項78】
化合物のRがアルキルである、請求項77の方法。
【請求項79】
化合物のRがHである、請求項77の方法。
【請求項80】
化合物のnが0である、請求項77の方法。
【請求項81】
化合物のnが1である、請求項77の方法。
【請求項82】
化合物のRが所望により置換されたアリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項77の方法。
【請求項83】
化合物のRが置換アリールまたは所望により置換されたヘテロアリールである、請求項77の方法。
【請求項84】
化合物のRが置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルである、請求項77の方法。
【請求項85】
化合物のRが非置換フェニルまたは非置換ピリジルである、請求項77の方法。
【請求項86】
化合物のRが、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、OH、NO、またはNHから選択される少なくとも1個の基で置換されている、請求項77の方法。
【請求項87】
化合物のRが、
【化9】

から成る群から選択される、請求項77の方法。
【請求項88】
化合物のRがアルキルであり;
化合物のRがHであり;
化合物のRが置換フェニルまたは所望により置換されたピリジルであり;そして
化合物のnが0または1である、請求項77の方法。
【請求項89】
ヒトにおけるAIDSまたはHIV感染の病理および/または症状を予防、阻害または改善する方法であって、
当該ヒトに治療上有効量の式(I)、(II)または(III)の構造を有する化合物、またはそれらのそれぞれの薬学的に許容される塩、薬学的に活性な代謝産物、薬学的に許容されるプロドラッグまたは薬学的に許容される溶媒和物の少なくとも1種を、組合せ療法の一部として投与することを含んで成る方法。
【請求項90】
治療上有効量の1種以上の物質を投与することをさらに含み、当該1種以上の物質がAIDSまたはHIV感染の病理および/または症状の予防、阻害または改善に有用である、請求項89の方法。
【請求項91】
治療上有効量の1種以上の物質を投与することをさらに含み、当該1種以上の物質がAIDSまたはHIV感染の病理および/または症状の予防、阻害または改善についてFDAによって承認された治療剤である、請求項89の方法。
【請求項92】
1種以上の物質が、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)、融合阻害剤およびそれらのあらゆる組合せから成る群から選択される、請求項90または91の方法。
【請求項93】
1種以上の物質が、アバカビル、アムプレナビル、アタザナビル、デラビルジン(DLV)、ジダノシン(ddl)、エファビレンツ、エンフビルチド(T−20)、エムトリシタビン、エムトリシタビン(FTC)、フォサムプレナビル、インジナビル(IDV)、ラミブジン、ラミブジン(3TC)、ロピナビル、ネルフィナビル、ネビラピン、リトナビル、サキナビル、サキナビルメシル酸塩、スタブジン(d4T)、テノフォビルDF、ビリアード、ザルシタビン(ddC)、ジドブジンおよびジドブジン(AZT)、ならびにそれらのあらゆる組合せから成る群から選択される、請求項90または91の方法。
【請求項94】
化合物を1種以上の物質と同時に投与する、請求項90または91の方法。
【請求項95】
化合物を1種以上の物質と逐次的に投与する、請求項90または91の方法。
【請求項96】
化合物と1種以上の物質を同じ医薬組成物で投与する、請求項90または91の方法。
【請求項97】
HIVインテグラーゼ活性が疾患または状態の病理および/または症状に寄与する動物における疾患または状態の処置用医薬の製造における、式(I)、(II)または(III)の化合物の使用。
【請求項98】
疾患または状態がAIDSまたはHIV感染である、請求項97の使用。
【請求項99】
HIVインテグラーゼ阻害剤としての式(I)、(II)または(III)に対応する化合物、それらのそれぞれのN−オキシドまたは他の薬学的に許容される誘導体、例えばプロドラッグ誘導体、または個々の異性体およびその異性体の混合物の製造方法。
【請求項100】
HIVインテグラーゼ活性が疾患または状態の病理および/または症状に寄与する動物の疾患または状態の処置方法に使用するための、式(I)、(II)または(III)の化合物。
【請求項101】
疾患または状態がAIDSまたはHIV感染である、請求項100の化合物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−537521(P2009−537521A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510947(P2009−510947)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/009540
【国際公開番号】WO2008/073138
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】