説明

テロメアにより開始される細胞シグナル伝達の調節

哺乳動物を、成長停止の不全、アポトーシスの不全または増殖老化の不全から保護するための、Mre11調節因子、タンキラーゼ調節因子、DNA損傷経路調節因子およびMRN複合体形成調節因子の使用。Mre11の調節因子をスクリーニングするための方法が、本出願において、開示される。その方法は、(a)Mre11に対する核酸基質の存在下で、候補調節因子をMre11とインビトロで接触させる工程;および(b)その基質の加水分解を測定し、それにより、対照と比較してその基質の加水分解を変化させることによって調節因子を同定する工程、を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2003年4月11日に出願された国際出願番号PCT/US03/11393の一部係属出願であり、全文を本明細書に引用として援用する。
【0002】
(発明の背景)
(1.技術分野)
本発明は、シグナル伝達経路の制御に関する。より詳しくは、本発明は、テロメア開始配列、アポトーシス、日焼けおよびDNA損傷反応の制御に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.従来技術)
人口が老齢化するに伴って、先進国世界では、ヒトの癌の頻度が増加している。癌のあるタイプと診断における症状の段階において、集中的な研究にもかかわらず近年の罹患率と死亡率は、十分に改善していない。癌の進行中、正常細胞とその組織特異性環境との相互作用の方法が制御される重要な態様である老化現象耐性およびアポトーシスを含む負調節対照に、腫瘍細胞は、ますます独立している。
【0004】
細胞老化は、癌に対する重要な防御であることが示唆されている。多くの事実は、老化現象における染色体の3’末端を複製できないことで生じる進行性のテロメアの短縮とテロメアの機能障害を関連させている。生殖系列細胞およびほとんどの癌細胞では、TTAGGG反復を染色体の3’末端に付加する酵素複合体であるテロメラーゼによるテロメアの長さの維持に、不死が関連している。TTAGGGの連結型反復であるテロメアは、近位テロメア二本鎖DNAで襞が付けられ、テロメア反復結合因子(TRF)、特にTRF2で安定化された約150〜300塩基の3’突出を有する1本鎖ループ構造で終わっている。TRF2(TRF2DN)の優性負型の異所発現がテロメアループ構造を擾乱し、3’突出を露出し、その結果、原発性繊維芽細胞と線維肉腫が老化する。
【0005】
広範囲のDNA損傷またはある種の癌遺伝子の過剰発現により老化を急速に進めることができる。テロメアの長さを酵素的に維持するか、構築するテロメラーゼ逆転写触媒サブユニット(TERT)の異所発現により老化を迂回することが可能で、それによりある種のヒト細胞タイプを不死化するが、これは複製不死化のテロメア依存機構を強く示唆している。さらに、悪性細胞は、一般にTERTを発現し、および/または通常の老化細胞より短いテロメアを有するにもかかわらず、細胞に老化反応を迂回させ、無限に増殖させる変異を含んでいる。しかしながら、ある腫瘍細胞は、様々な抗癌剤に反応して老化し、不死の獲得が必ずしもそのDNA損傷に対する基本的な細胞反応を意味するものでないことを示唆している。
【0006】
ヒト細胞における老化は、p53およびpRb経路に大いに依存している。腫瘍抑制因子p53は、様々な異なった刺激、例えばDNA損傷、転写制御または複製、癌遺伝子形質転換、およびある種の化学療法剤で生じた微小管の脱制御を細胞成長停止またはアポトーシスに変換することにより、細胞ストレス反応機構に鍵となる役割を果たす。活性化されると、p53は、細胞成長停止またはプログラムされた細胞の自殺を引き起こし、一方でゲノムの安定性に重要な制御機構として働く。特に、p53は、細胞集団から遺伝的に損傷した細胞を除去することにより遺伝的安定性を制御し、その主な機能の一つは、腫瘍形成を阻止することである。
【0007】
無傷の腫瘍抑制因子pRb経路は、腫瘍生成を阻止するのに必要である。野生型p53を含まないpRb腫瘍細胞では、pRbの導入が老化を誘導する。頚部癌細胞は、しばしば野生型p53およびpRb遺伝子を維持するが、HPV E6およびE7タンパク質は、p53およびpRb経路をそれぞれ妨害する。ウイルスE2タンパク質の異所発現は、HPV E6およびE7遺伝子転写を抑制し、頚部癌腫細胞株に迅速で顕著な老化反応を誘導するが、これも癌細胞老化における53およびpRbの重要な役割を確認するものである。
【0008】
p53およびpRb経路のみを抑制することが、繊維芽細胞が複製老化を迂回するために十分ではない。実際、SV40T抗原に感染したか、またはp53およびpRb経路を抑制するアデノウイルスEIA+EIBまたはHPV E6+E7の組み合わせを導入したヒト繊維芽細胞は、寿命が延長し、複製老化を逃れる。
【0009】
DNA中の二重鎖の切断は、哺乳動物細胞にとっては細胞毒性が非常に大きい。高度に保存されたMRN複合体が真核細胞中の二重鎖切断の修復に関与している。MRN複合体は、二重鎖切断部位に、それが生成すると直ちに付着する。MRN複合体はまた、テロメア反復結合因子(TRF)に関連した細胞周期のS相中にテロメアに移動する。
【0010】
MRN複合体は、Mre11、Rad50およびNBS(p95)で構成される。Mre11/p95/Rad50の一部としてのMre11は、細胞周期のS相中にテロメア3’突出DNAと会合する。Mre11は、DNA鎖の3’末端に優先的に作用するエキソヌクレアーゼである。Mre11の活性は、ATPアーゼの1種であるRad50との相互作用に依存すると信じられている。Nbs1は、MRN複合体の核局在化の他、二重鎖切断の部位におけるその会合に関与すると信じられている。
【0011】
典型的には、癌は、正常または悪性を問わずすべての増殖細胞を非常に傷つける化学療法および放射線療法等のきわめて毒性の強い治療で処置される。このような治療の副作用には、リンパ系、造血系および腸上皮の重大な損傷の他、脱毛が含まれる。他の副作用には、脱毛が含まれる。より安全でより効果的な癌治療、特に正常であるが増殖性の細胞に対し悪性細胞を優先的に標的とすることによりこれらの副作用のいくつか、またはすべてを避け得る別な治療法が常に必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、Mre11の調節因子のインビトロスクリーニング法であって、Mre11に対する核酸基質の存在下で候補調節因子をインビトロでMre11と接触させ、基質の加水分解を測定する工程を有する方法に関する。対照と比較して基質核酸の加水分解を変化させることにより、調節因子を同定し得る。核酸基質は(TTAGGG)(n=1〜20)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有するオリゴヌクレオチドである。基質核酸の加水分解をUV吸収、標識オリゴマーのゲル分析、または非沈殿性ヌクレオチド塩基の回収により測定し得る。
【0013】
本発明はまた、Mre11に特異的に結合する薬剤のインビトロスクリーニング法であって、候補薬剤をMre11に接触させ、候補薬剤が特異的にMre11に結合するか否かを決める工程を有する方法に関する。Mre11は、固体支持体に付着してもよい。
【0014】
本発明はまた、Mre11の調節因子の細胞に基づくスクリーニング法であって、調節因子が細胞により取り込まれる条件下に候補調節因子とMre11を発現する細胞とを接触させ、細胞増殖、細胞生存能力、細胞形態、SA−b−Gal活性、およびp53およびp95リン酸化を含むがそれに限定されない特性を測定する工程を含む方法に関する。対照と比較して特性を変えることにより調節因子を同定し得る。候補調節因子は、上記に同定したようにMre11に特異的に結合する薬剤でもよい。Mre11は、エキソヌクレアーゼ活性を有するMre11のフラグメント、ホモログ、アナログまたは改変体として発現されてもよい。
【0015】
本発明はまた、タンキラーゼ調節因子のインビトロスクリーニング法であって、タンキラーゼに対する基質の存在下で候補調節因子をインビトロでタンキラーゼと接触させ、基質のリボシル化を測定する工程を有する方法に関する。対照と比較してリボシル化を変化させて調節因子を同定し得る。基質は、TRFを含むペプチドまたはポリペプチドである。基質のリボシル化をUV吸収または基質の標識化することにより測定し得る。
【0016】
本発明はまた、タンキラーゼに特異的に結合する薬剤のインビトロスクリーニング法であって、候補薬剤をタンキラーゼと接触させ、候補薬剤がタンキラーゼと特異的に結合するか否かを決定する方法に関する。タンキラーゼを固体支持体に付着させてもよい。
【0017】
本発明はまた、タンキラーゼの調節因子の細胞に基づくスクリーニング法であって、調節因子が細胞に取り込まれる条件下でタンキラーゼ調節因子とタンキラーゼを発現する細胞とを接触させ、細胞増殖、細胞生存能力、細胞形態、SA−b−Gal活性、およびp53リン酸化およびp95リン酸化を含むがそれに限定されない特性を測定する工程を含む方法に関する。対照と比較して特性を変えることにより調節因子を同定し得る。候補調節因子は、上記のようなタンキラーゼと特異的に結合する薬剤である。タンキラーゼは、リボシラーゼ活性を有するMre11のフラグメント、ホモログ、アナログまたはタンキラーゼの改変体として発現されてもよい。
【0018】
本発明はまた、MRN複合体形成の調節因子のスクリーニング法であって、候補調節因子をインビトロでMre11、Rad50およびNbs1と接触させ、MRN複合体の形成を測定する工程を含む方法に関する。対照と比較してMRN生成を変化させることにより、調節因子を同定し得る。候補調節因子を核酸基質またはMre11のインヒビターの存在でMre11、Rad50およびNbs1と接触させる。核酸は(TTAGGG)(n=1〜20)と少なくとも50%にヌクレオチド同一性を有するオリゴヌクレオチドでよい。MRN複合体の生成を遠心分離、共沈殿または非変性電気泳動により測定し得る。
【0019】
本発明はまた、DNA損傷経路の調節因子の細胞に基づくスクリーニング法であって、調節因子が細胞により取り込まれる条件下、オリゴヌクレオチドの存在でMre11とタンキラーゼとを発現する細胞と候補調節因子とを接触させ、細胞増殖、細胞生存能力、細胞形態、SA−b−Gal活性、およびp53リン酸化およびp95リン酸化を含むがそれに限定されない特性を測定する工程を含む方法に関する。対照と比較して特性を変えることにより調節因子を同定し得る。オリゴヌクレオチドは(TTAGGG)(n=1〜20)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有する。Mre11は、エキソヌクレアーゼ活性を有するMre11のフラグメント、ホモログ、アナログまたは改変体として発現されてもよい。タンキラーゼは、リボシラーゼ活性を有するMre11のフラグメント、ホモログ、アナログまたは改変体として発現されてもよい。
【0020】
上記の細胞に基づくスクリーニング法に使用された細胞は、癌細胞でもよい。上記の細胞に基づくスクリーニング法に使用された細胞は、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路によりテロメアを維持し得る。上記のインビトロおよび細胞に基づくスクリーニング法に記載された候補調節因子は、糖質、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、レチノイド、ステロイド、糖ペプチド、糖タンパク質、または有機低分子であってもよい。
【0021】
本発明はまた、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物の使用に関する。アクチベーターを癌の治療、アポトーシス誘導、細胞老化誘導、日焼け阻害、細胞分化および免疫抑制に使用し得る。アクチベーターは(TTAGGG)(n=1〜20)と少なくとも50%の配列同一性を有するMre11のオリゴヌクレオチドアクチベーターでよい。最初の3’ヌクレオチド結合の約1〜5個を3’→5’ヌクレアーゼで加水分解し得る。
【0022】
本発明はまた、Mer11、タンキラーゼ、DNA損傷経路またはMRN複合体形成のインヒビターを含む組成物の使用を提供する。インヒビターをアポトーシス阻害、細胞老化阻害、生育促進、日焼け促進、細胞分化阻害、癌処置副作用減少に使用し得る。組成物を化学療法またはイオン化放射線と組み合わせて与えてもよい。インヒビターは(TTAGG)(n=1〜20)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有するMre11のオリゴヌクレオチドインヒビターであってもよい。最初の3’ヌクレオチド結合の0〜約10までを3’→5’ヌクレアーゼで加水分解し得る。
【0023】
本発明はまた、(TTAGG)(n=1〜20)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有し、少なくとも1個の非加水分解性ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドを有する組成物に関する。最初の3’ヌクレオチド結合のゼロから約10までをNre11等の3’→5’ヌクレアーゼで加水分解し得る。オリゴヌクレオチドは、TTAGGと少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有する。オリゴヌクレオチドは、配列GTTAGGGTTAGを有してもよい。非加水分解性結合は、ホスホロチオエートであってもよい。オリゴヌクレオチドは、PNAであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明は、3’テロメア突出配列のMre11媒介加水分解が、老化、日焼けおよびアポトーシス等のDNA損傷に対する細胞の保護反応に重要な信号伝達カスケードを開始するという発見に基づいている。理論に制約されず、本発明者らは、UV照射、DNAに対する酸化損傷等のDNA損傷、またはDNAに対する発癌性付加物の生成、または加齢に関連するテロメアの短縮が、TTAGGGの反復を有する3’突出配列を露出するテロメアループを不安定化すると信じている。次いでテロメア関連タンパク質が配列依存の方法で突出と会合し、Mre11/p95/Rad50複合体に対する「アンカー」として作用する。Mre11は、次に3’末端からテロメア突出を加水分解し始め、Rad50ATPアーゼの活性化を引き起こす。Rad50の活性化は、リン酸化によるタンキラーゼの活性化、ある種の空間配置の変化、または他の気候をもたらし、次いでATMおよび多分ATR等の他のキナーゼを活性化する。ATMは、次にp95、およびp53等の他のDNA損傷反応エフェクターをリン酸化し、最終的に細胞周期停止の生物的終点、遺伝子誘導、アポトーシスおよび/または老化をもたらす。
【0025】
提案されたシグナル伝達経路におけるMre11およびタンキラーゼの役割に基づいて、Mer11、タンキラーゼ、DNA損傷経路またはMRN複合体形成アクチベーターは、DNA損傷またはテロメアループ破壊の存在にかかわらずDNA損傷反応経路を活性化すると期待される。これは、テロメアホモログオリゴヌクレオチド(T−オリゴ)がMre11の基質となり、DNA損傷またはテロメアループ破壊がなくてもアポトーシス、老化または成長の停止をもたらすことを示す本明細書中の実施例で示されている。
【0026】
同様に、Mre11のインヒビター、タンキラーゼ、DNA損傷経路またはMRN複合体形成は、DNA損傷またはテロメアループ破壊があってもシグナル伝達経路を阻害すると期待される。これは、アポトーシスおよび成長停止が、以下によるDNA損傷およびテロメアループ破壊を生じる条件下で疎外されることを示す本明細書中の実施例で示されている:(i)Mre11の拮抗剤として作用する非加水分解性T−オリゴ、(ii)Mre11タンパク質レベルのRNAi媒介減少;および(iii)タンキラーゼタンパク質レベルのRNAi媒介減少。
【0027】
本発明の製品、組成物および方法を開示し説明する前に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、制限的であることを意図するものではないことを理解する必要がある。明細書および付属のクレームで使用される場合、“a”、“an”および“the”は、文脈で明瞭に示されない限り複数の参照対象を含むことに注意しなければならない。
【0028】
本出願を通じて、特許または文献を引用する場合、本発明が所属する最新の技術を完全に説明するためにこれらの文献の全文を本明細書に引用して援用する。
【0029】
(1.定義)
本明細書で用いる用語「アクチベーター」とは、タンパク質を活性化する、またはタンパク質の活性を増加する任意の物質を意味する。
【0030】
本明細書で用いる用語「投与」とは、ある調節因子の投薬量を説明するために用いられた場合、薬剤の1回の投薬または複数回の投薬を意味する。
【0031】
本明細書で用いる用語「アナログ」とは、ペプチドまたはポリペプチドに対する意味で使用された場合、少なくとも1個の非標準アミノ酸または通常のアミノ酸のセットから構造的変化を有するペプチドまたはポリペプチドを意味し、オリゴヌクレオチドに対する意味で使用された場合、ホスホジエステルヌクレオチド間結合以外の少なくとも1つのヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドを意味する。
【0032】
本明細書で用いる用語「抗体」とは、クラスIgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE、またはFab、F(ab’)、Fdを含むそのフラグメントまたは誘導体、および1本鎖抗体、二重特異性抗体、二特異性抗体、二価抗体およびその誘導体を意味する。抗体は、所望のエピトープまたはそのエピトープ由来の配列に対し十分な結合特異性を示すモノクローン抗体、ポリクローン抗体、親和性精製抗体またはその混合物であってもよい。抗体は、キメラ抗体でもよい。少なくとも1個の公知の薬品、ペプチドまたはポリペプチド種の付加で抗体を誘導体化してもよい。抗体を化合物と結合してもよい。
【0033】
本明細書で用いる用語「アポトーシス」とは、細胞質の細胞小器官の完全性を保ちながら細胞容積の連続的な縮小;光学または電子顕微鏡で観察したクロマチンの凝縮(すなわち核凝縮);および/または遠心沈降分析で観察したヌクレオソームサイズフラグメントへのDNA開裂を含む細胞死のある形式を意味するが、それに限定されない。食細胞による無傷の細胞フラグメント(アポトーシス体)の飲み込みを伴う、細胞の膜の完全性が失われた場合に細胞死が生じる。
【0034】
本明細書で用いる用語「癌の処置」とは、化学療法および放射線療法を含むがそれに限定されない、公知の任意の処置を意味する。
【0035】
本明細書で用いる用語「との組み合わせ」とは、調節因子の投与およびその他の処置を説明するために使用された場合、調節因子をその他の処置と共に、またはその後で投与し得ることを意味する。
【0036】
本明細書で用いる用語「誘導体」とは、ペプチドまたはポリペプチドの状況に用いられた場合、1次構造(アミノ酸またはアミノ酸アナログ)中の異なったペプチドまたはポリペプチドを意味し;オリゴヌクレオチドの状況に用いられた場合、核酸配列中の異なったオリゴヌクレオチドを意味する。例えば、ペプチドまたはポリペプチドの誘導体は、翻訳後修飾の1形式であるグリコシル化で異なっていてもよい。例えば、ペプチドまたはポリペプチドが異種系中での発現のためにグリコシル化パターンを示してもよい。少なくとも1つの生物活性が維持される場合、これらのペプチドまたはポリペプチドは、本発明による誘導体である。その他の誘導体には、共有結合で修飾されたNまたはC末端を有する融合ペプチドまたは融合ポリペプチド、PEG化ペプチドまたはポリペプチド、脂質部分と会合したペプチドまたはポリペプチド、アルキル化ペプチドまたはポリペプチド、アミノ酸側鎖官能基を経由して他のペプチド、ポリペプチドまたは化合物に結合したペプチドまたはポリペプチド、および当技術で理解し得ると思われるその他の修飾が含まれるが、それに限定されない。
【0037】
本明細書で用いる用語「フラグメント」とは、ペプチドまたはポリペプチドの状況で用いられた場合、好ましくは長さで約5〜300個のアミノ酸、より好ましくは長さで約8〜50個のアミノ酸の任意のペプチドまたはポリペプチドのフラグメントを意味し;オリゴヌクレオチドの状況で用いられた場合、好ましくは長さで約2〜250個のヌクレオチド、好ましくは長さで約2〜20のヌクレオチドの任意のオリゴヌクレオチドのフラグメントを意味する。ペプチドまたはポリペプチドフラグメントの代表的な例は、長さで8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、32、33、34、35、36、37、38、29、40、42、42、43、44、45、46、47、48、49または50個のアミノ酸である。オリゴヌクレオチドフラグメントの代表的な例は、長さで2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のヌクレオチドである。
【0038】
本明細書で用いる用語「ホモログ」とは、ペプチドまたはポリペプチドの状況で用いられた場合、共通の進化の祖先を共有するか、それに対し少なくとも50%の同一性を有するペプチドまたはポリペプチドを意味し;オリゴヌクレオチドの状況で用いられた場合、共通の進化の祖先を共有するか、それに対し少なくとも50%の同一性を有するオリゴヌクレオチドを意味する。
【0039】
本明細書で用いる用語「阻害」とは、タンパク質の活性を意味する場合、酵素の活性を阻止、抑制、抑止または除去することを意味する。
【0040】
本明細書で用いる用語「処置」または「処置する」とは、哺乳動物をある病状から保護することを指す場合、その病状を予防、抑制、抑止または除去することを意味する。病状を予防することには、その病状を発症する前に本発明の組成物を哺乳度物に投与することが含まれる。病状を抑制することには、病状の誘発後であるがその臨床症状が現れる前に哺乳動物に本発明の組成物を投与することが含まれる。病状を抑止することには、病状が悪化することを低減する、または予防するように、臨床症状が現れた後に本発明の組成物を哺乳動物に投与することが含まれる。病状を除去することには、哺乳動物がその病状をもはや発症しないように、臨床病状が現れた後に本発明の組成物を投与することが含まれる。
【0041】
本明細書で用いる用語「改変体」とは、ペプチドまたはポリペプチドの状況で用いられた場合、アミノ酸の挿入、欠失または保存的置換によりアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物活性を維持することを意味し、オリゴヌクレオチドの状況で用いられた場合、ヌクレオチドの挿入、欠失または保存的置換によりヌクレオチド配列が異なるが、少なくとも1つの生物活性を維持することを意味する。本発明の目的では、「生物活性」には特定の抗体に結合する能力が含まれるが、それに限定されない。
【0042】
(2.調節因子)
本発明は、Mre11活性の調節因子に関する。調節因子は、Mre11活性を誘導または増加し得る。調節因子はまた、Mre11活性を阻害または減少し得る。調節因子は、人工的に合成された化合物、または天然起源化合物であってよい。調節因子は、低分子量化合物、オリゴヌクレオチド、ポリペプチドまたはペプチド、またはそのフラグメント、アナログ、ホモログ、改変体またはその誘導体であってよい。
【0043】
オリゴヌクレオチド調節因子は、(TTAGGG)(n=1〜333)と少なくとも50%〜100%の同一性を有するオリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドは、1本鎖、2本鎖、またはその組み合わせの形を含み得るが、それに制限されない。オリゴヌクレオチドは、約2〜200ヌクレオチドの1本鎖3’末端を有することが好ましい。オリゴヌクレオチドは、ESTであってもよい。オリゴヌクレオチドのアナログ、誘導体、フラグメント、ホモログまたは改変体も具体的に考えられる。
【0044】
実施例に示されるように、本発明のあるオリゴヌクレオチドは、増殖の阻害および細胞中のアポトーシスの誘導を生じるが、本発明の他のオリゴヌクレオチドは、生育停止の阻害およびアポトーシスの阻害を生じる。オリゴヌクレオチドの活性のこの違いは、3’加水分解性ヌクレオチド間結合の数に依存性であった。3’加水分解性ヌクレオチド間結合の数を変えることにより、オリゴヌクレオチドの効果が変化した。
【0045】
理論に制約されず、本発明者らは、オリゴヌクレオチドがMRN複合体で認識され、3’エキソヌクレアーゼMre11に対する基質となると信じている。その結果、3’非加水分解性ヌクレオチド間結合を有するオリゴヌクレオチドがMre11の拮抗剤またはインヒビターとして作用する。Mre11活性のレベルを決定する他の因子には、3’非加水分解性ヌクレオチド間結合の全濃度、塩基配列およびG含有量が含まれるが、それに限定されない。
【0046】
(i)結合が生理学的条件下でMre11により加水分解性であるホスホジエステル結合またはそのアナログである場合、および(ii)ヌクレオチドに対しすべてのヌクレオチド間結合も加水分解性である場合、ヌクレオチドに対し3’である加水分解性ヌクレオチド間結合の数にかかわらず、その結合が生理学的条件下で非加水分解性である場合、ヌクレオチド間結合は、本発明の目的では、加水分解性と考えられる。非加水分解性ヌクレオチド間結合の代表例には、ホスホロチオエート結合およびペプチド核酸結合(PNA)が含まれるが、それに限定されない。
【0047】
本発明のある実施形態では、オリゴヌクレオチドは、加水分解性ヌクレオチド間結合を有する。オリゴヌクレオチドは、1〜約200個の加水分解性ヌクレオチド間結合を有し得る。オリゴヌクレオチドは、0〜約199個の非加水分解性ヌクレオチド間結合を有してもよい。
【0048】
他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、非加水分解性ヌクレオチド間結合を有する。オリゴヌクレオチドは、1〜約200個の非加水分解性ヌクレオチド間結合を有し得る。オリゴヌクレオチドはまた、加水分解性ヌクレオチド間結合を有してもよい、オリゴヌクレオチドは、0〜約5個の加水分解性ヌクレオチド間結合を有し得る。好ましいオリゴヌクレオチドは、本明細書、および本明細書に引用して援用する、2002年4月12日付け係属米国出願第10/122,630号に記載のT−オリゴである。
【0049】
(b.タンキラーゼの調節因子)
本発明はまた、タンキラーゼ活性調節因子に関する。この調節因子は、タンキラーゼ活性を誘導する。この調節因子はまた、タンキラーゼ活性を阻害し得る。調節因子は、人工的に合成した化合物、または天然起源の化合物である。調節因子は、低分子量化合物、ポリペプチドまたはペプチド、またはそのアナログ、ホモログ、改変体または誘導体であってもよい。
【0050】
(c.DNA損傷経路の調節因子)
本発明はまた、DNA損傷経路の調節因子に関する。調節因子は、DNA損傷経路を誘発し得る。この調節因子は、また、DNA損傷経路を阻害し得る。調節因子は、人工的に合成した化合物、または天然起源の化合物である。調節因子は、低分子量化合物、ポリペプチドまたはペプチド、またはそのアナログ、ホモログ、改変体または誘導体であってもよい。
【0051】
(d.MRN複合体形成の調節因子)
本発明はまた、MRN複合体形成の調節因子に関する。調節因子は、MRN複合体の形成を誘発し得る。この調節因子はまた、MRN複合体の形成を阻害し得る。調節因子は、人工的に合成した化合物、または天然起源の化合物である。調節因子は、低分子量化合物、ポリペプチドまたはペプチド、またはそのアナログ、ホモログ、改変体または誘導体であってもよい。
【0052】
(3.組成物)
本発明はまた、上記のような調節因子を有する組成物に関する。この組成物は、Mre11アクチベーターを含み得る。組成物はまた、タンキラーゼアクチベーターを含み得る。組成物はまた、Mre11のインヒビターを含み得る。組成物はまた、タンキラーゼのインヒビターを含み得る。組成物はまた、少なくとも1種の本発明の調節因子を含み得る。組成物はまた。別な治療薬と共に少なくとも1種の調節因子を含み得る。
【0053】
本発明のある実施形態では、組成物は、本発明のオリゴヌクレオチドを有する。オリゴヌクレオチドは、加水分解性ヌクレオチド間結合または非加水分解性ヌクレオチド間結合、またはその組み合わせを有してもよい。他の好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、Mre11のインヒビターである。上記のように、オリゴヌクレオチドの活性を調節して、加水分解性ヌクレオチド間結合の全濃度に基づきMre11を誘導または阻害し得る。
【0054】
(a.処方)
本発明の組成物は、通常の方法で配合された錠剤または糖錠である。例えば、経口投与用の錠剤およびカプセルは、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤および湿潤剤を含むがそれに限定されない通常の賦形剤を含み得る。結合剤には、シロップ、アカシアガム、ゼラチン、ソルビトール、タラガカンスガム、澱粉糊およびポリビニルピロリドンが含まれるが、それに限定されない。充填剤には、ラクトース、糖、微結晶性セルロース、トウモロコシ澱粉、燐酸カルシウムおよびソルビトールが含まれるが、それに限定されない。潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールおよびシリカが含まれるが、それに限定されない。崩壊剤には、澱粉およびナトリウム澱粉グリコレートが含まれるが、それに限定されない。湿潤剤には、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれるが、それに限定されない。
【0055】
本発明の組成物は、水性または油性懸濁液、溶液、乳化物、シロップおよびエリキシルを含むがそれに限定されない液体配合物であってもよい。組成物はまた、使用前に水または適当なビヒクルで構成するための乾燥製品として配合してもよい。このような液体配合物は、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクルおよび保存剤を含むがそれに限定されない添加物を含んでもよい。懸濁剤には、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、および水素化食用油が含まれるが、それに限定されない。乳化剤には、レシチン、ソルビタンモノオレエートおよびアカシアガムが含まれるが、それに限定されない。非水性ビヒクルには、食用油、アーモンド油、分別ココナッツ油、油性エステル、プロピレングリコールおよびエチルアルコールが含まれるが、それに限定されない。保存剤には、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸およびソルビン酸が含まれるが、それに限定されない。
【0056】
本発明の組成物は、座薬としても調合され、ココアバターまたはグリセリドを含むがそれに限定されない座薬ベースを含み得る。本発明の組成物は、吸入用に調合され、乾燥粉末またはジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタン等の推進剤を用いるエアゾルの形で投与し得る溶液、懸濁液または乳化物を含む形であるが、それに限定されない。本発明の組成物はまた、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、医用ギブス、パッチまたは膜を含むがそれに限定されない水性または非水性ビヒクルを含む経皮調製物として調合してもよい。
【0057】
本発明の組成物はまた、注射または連続注入を含むがそれに限定されない方法による非経口投与用に調合し得る。注射用の調製物は、懸濁液、溶液、または油性または水性ビヒクル中の乳化物であり、懸濁剤、安定化剤および分散剤を含むがそれに限定されない調合剤を含み得る。滅菌無パイロジェン水を含むがそれに限定されない適当なビヒクルで再構成するための粉末中で組成物を提供してもよい。
【0058】
本発明の組成物は、移植または筋肉内注射で投与し得る貯蔵調製物として調合してもよい。組成物は、適当なポリマーまたは疎水性材料(例えば受用し得る油中の乳化物として)、イオン交換樹脂を用いるか、または難溶性誘導体として(例えば難溶性塩として)調合し得る。
【0059】
本発明の組成物はまた、リポソーム調製物として調合してもよい。リポソーム調製物は、関連する細胞または角質層に侵入し、細胞膜と融合してリポソームの内容物を細胞内に配送するリポソームを含むことができる。例えば、Yaroshの米国特許第5,077,211、Redziniakらの米国特許第4,621,023、またはRedziniakらの米国特許第4,508,703号に記載されたようなリポソームを使用できる。皮膚の病状を標的とすることを意図する本発明の組成物を、哺乳動物の皮膚をUVまたは参加的損傷を生じる薬剤に暴露前、暴露中または暴露後に投与することができる。その他の適当な配合にニオソームを用いることができる。ニオソームは、角質を横切って化合物を輸送するに有効な、リポソームに似た脂質ビヒクルである。
【0060】
(4.処置法)
(a.Mre11アクチベーター、タンキラーゼアクチベーター、DNA損傷経路アクチベーターまたはMRN複合体形成アクチベーター)
Mre11、タンキラーゼ、DNA損傷経路またはMRN複合体形成を誘導または増加する本発明の調節因子を単独で、または他の処置と組み合わせて、成長停止、アポトーシスまたは増殖老化不全に関連する病状の処置に使用し得る。このような病状の代表例には、癌および例えば乾癬におけるケラチン細胞または繊維芽細胞肥大性廃痕およびケロイド、またはある種の自己免疫疾患の症例におけるリンパ球サブセット等の正常粋を超える細胞の良性成長等の過剰増殖疾患が含まれるが、それに限定されない。これらの方法で処置される癌の形式は、様々な形で現れ、例えば頚部癌、リンパ腫、骨肉腫、メラノーマ、および皮膚に生じる他の癌、および白血病等の体の様々な細胞型および器官に生じる。この処置が目指す癌細胞のタイプは、乳房、肝臓、前立腺、膵臓、卵巣、膀胱、子宮、結腸、脳、食道、胃および胸腺である。調節因子はまた日焼けの阻害、細胞分化の促進および免疫抑制に使用し得る。
【0061】
本発明のある実施形態では、加水分解性ヌクレオチド間結合を有する本発明のオリゴヌクレオチドを、処置を必要とする患者にオリゴヌクレオチドを投与することにより、成長停止、アポトーシスまたは増殖老化の不全に関連する病状の処置に使用する。オリゴヌクレオチドは、非加水分解性ヌクレオチド間結合を有してもよい。上記で議論したように、オリゴヌクレオチドの活性を調節して、加水分解性ヌクレオチド間結合の全濃度に基づいて成長停止またはアポトーシスを誘導し得る。オリゴヌクレオチドを本発明の調節因子、または他の処置と組み合わせて投与してもよい。
【0062】
好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドを頚部癌、リンパ腫、骨肉種、メラノーマ、皮膚癌、白血病、乳癌、肺癌、肝癌、前立腺癌、膵臓癌、卵巣癌、膀胱癌、子宮癌、直腸癌、脳腫瘍、食道癌、胃癌および胸腺癌でなる群から選ばれる癌の処置に使用する。
【0063】
T−オリゴは、免疫抑制の公知の調節因子であるTNF−αおよびIL10の上方制御により、マウスモデルにおけるUV照射と同様な有効性でアレルギー性接触過敏症の誘導または誘発を防止することが可能である。従って、Mre11の局所または全身アクチベーターは、例えば乾癬または湿疹等のリンパ球媒介皮膚疾患の他、リューマチ性関節炎、多発性硬化症、紅斑性狼瘡等のリンパ球媒介全身性疾患、および多くの他の疾患の処置におけるステロイド療法に変わり得る。
【0064】
(b.Mre11、タンキラーゼ、DNA損傷経路またはMRN複合体形成のインヒビター)
Mre11、タンキラーゼ、DNA損傷経路またはMRN複合体複合体形成の活性を阻害または減少する本発明の調節因子は、単独または他の処置と組み合わせて使用し、成長停止、アポトーシスまたは増殖老化に関連する病状を処置し得る。このような病状の代表例にはUV光線への暴露、および正常組織に対する化学療法および放射線療法等の癌処置の副作用、または日光に暴露された正常皮膚における日焼け反応が含まれるが、それに制限されない。細胞分化を阻害するためにも調節因子を使用し得る。
【0065】
他の実施形態では、非加水分解性ヌクレオチド間結合を有する本発明のオリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドをそのような処置を必要とする患者に投与することにより、成長停止またはアポトーシスに関連する病状を処置するために使用される。オリゴヌクレオチドは、加水分解性ヌクレオチド間結合も含み得る。上記に議論したように、オリゴヌクレオチドの活性を調節して、加水分解性ヌクレオチド間結合の全濃度に基づき成長停止またはアポトーシスを処置し得る。オリゴヌクレオチドを本発明の調節因子または他の処置と組み合わせて投与してもよい。
【0066】
ある好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドがUV光線への暴露、および化学療法および放射線療法等の癌処置の副作用でなる群から選ばれた病状を処置するために使用される。
【0067】
(c.投与)
本発明の組成物を経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、経吸入、経頬、またその組み合わせを含むがそれに限定されない任意の方法で投与し得る。非経口投与には、静脈内、動脈内、腹膜内、皮下、筋肉内、腱鞘内、および骨関節内を含むがそれに限定されない。
【0068】
(d.投薬量)
治療に使用するに必要な組成物の治療有効量は、治療する病状、活性を必要とする時間の長さ、および患者の年齢と状態によって変化し、最終的には、担当医によって決定される。しかしながら、一般に成人の治療に用いられる投薬量は、典型的には、1日あたり0.001mg/kg〜200mg/kgの範囲である。投薬量は、1日当たり約1μg/kg〜約100μg/kgでもよい。通常は、所望の投薬量を1回で投薬されるか、適当な間隔で複数回の投薬、例えば1日あたり2回、3回、4回またはそれ以上である。複数回の投薬が望ましいか、必要である。
【0069】
調節因子の投薬量は、約1μg/kg、25μg/kg、50μg/kg、75μg/kg、100μg/kg、125μg/kg、150μg/kg、175μg/kg、200μg/kg、225μg/kg、250μg/kg、275μg/kg、300μg/kg、325μg/kg、350μg/kg、375μg/kg、400μg/kg、425μg/kg、450μg/kg、475μg/kg、500μg/kg、525μg/kg、550μg/kg、575μg/kg、600μg/kg、625μg/kg、650μg/kg、675μg/kg、700μg/kg、725μg/kg、750μg/kg、775μg/kg、800μg/kg、825μg/kg、850μg/kg、875μg/kg、900μg/kg、925μg/kg、950μg/kg、975μg/kgまたは1mg/kgを含むが、それに限定されない任意の投薬量であってもよい。
【0070】
(5.スクリーニング法)
本発明はまた、Mre11活性の調節因子を同定するスクリーニング法に関する。本発明はまた、タンキラーゼ活性の調節因子を同定するスクリーニング法に関する。本発明は、さらにMRN複合体形成の調節因子を同定するスクリーニング法に関する。さらに、本発明は、DNA損傷経路の調節因子を同定するスクリーニング法に関する。スクリーニング法をインビトロ、細胞ベース、遺伝的およびインビボ分析を含むがそれに限定されないフォーマットで実行し得る。
【0071】
Mre11調節因子またはタンキラーゼ調節因子を、場合に応じてMre11またはタンキラーゼに特異的に結合する基質をスクリーニングすることにより同定し得る。免疫沈澱およびアフィニティークロマトグラフィーを含むがそれに限定されないいくつかの標準法を用いて、当業者は、特異的結合基質をインビトロで同定し得る。また、酵母2−ハイブリッドおよびファージ表現を含むがそれに限定されない遺伝的スクリーニングを用いて、当業者は、特異的結合基質を同定し得る。また、Mre11またはタンキラーゼをチップ(例えばガラス、プラスチックまたはシリコン)を含むがそれに限定されない高スループット法を用いて当業者は、特異的結合基質を同定し得る。
【0072】
Mre11調節因子またはタンキラーゼ調節因子を、場合に応じてMre11またはタンキラーゼの活性を調節する基質をインビトロでスクリーニングすることにより同定し得る。Mre11またはタンキラーゼを予想される調節因子と接触させ、予想される調節因子がMre11またはタンキラーゼの活性を変化させるかどうかを場合に応じて決定することにより、調節因子を同定し得る。Mre11の核酸基質の加水分解を測定することにより、Mer11の活性を測定し得る。核酸の加水分解をUV吸収の測定、および好ましくは、標識オリゴのゲル分析または非沈殿性ヌクレオチド塩基の回収を含むがそれに限定されない方法により測定し得る。タンキラーゼの活性を、TRF1を含むがそれに限定されないペプチドまたはポリペプチドのリン酸化を測定することにより測定し得る。
【0073】
Mre11、Rad50およびNbs1を組み合わせ、対照と比較してMRN複合体形成に対する候補調節因子の効果を測定することにより、MRN複合体形成の調節因子をインビトロで同定し得る。遠心分離、共沈殿および非変性電気泳動を含むがそれに限定されないいくつかの標準法を用いてMRN複合体の形成を測定し得る。
【0074】
細胞ベース分析でMre11またはタンキラーゼの活性を調節する基質をスクリーニングすることにより、Mre11調節因子またはタンキラーゼ調節因子を同定し得る。DNA損傷経路の調節因子も同様に同定し得る。細胞を疑わしい調節因子と接触させ、疑わしい調節因子がアポトーシスレベル、老化、またはp53またはp95のリン酸化を変化させるかどうかを測定して、調節因子を同定し得る。上記で議論したように、候補調節因子は、Mre11またはタンキラーゼと特異的に結合する物質であると思われる。アポトーシスの調節をFACS分析におけるサブG/Gピークのサイズの測定、TUNEL分析、DNAラダー分析、アネキシン分析、またはELISA分析を含むがそれに限定されない方法により測定し得る。老化に関連するβ−ガラクトシダーゼ活性の測定、または細胞収量の増加またはpRbリン酸化またはマイトジェン刺激後の3H−チミジンの取り込み不能を測定することにより、老化の調節を測定し得る。p53プロモーター駆動CATまたはルシフェラーゼコンストラクト読み出しにより、またはp21等のp53−制御遺伝子生成物の誘導によりセリン15またはセリン37におけるリン酸化を測定することにより、p53活性の調節を測定し得る。ウェスタンブロット分析におけるp95バンドの移動により、またはS相停止を検出するためのFACS分析により、セリン343におけるp95のリン酸化を測定することによりp95活性の調節を測定し得る。また、インビボ腫瘍形成を調節する物質をスクリーニングすることにより、Mre11調節因子またはタンキラーゼ調節因子を同定し得る。
【0075】
細胞ベース分析で任意の細胞を使用し得る。本発明で使用するための細胞には、哺乳動物細胞を含まれることが好ましく、ヒトおよびヒト以外の霊長類細胞が含まれることがより好ましい。適当な細胞の代表例には、1次(正常)ヒト皮膚繊維芽細胞、上皮ケラチン細胞、メラニン形成細胞、および対応する不死化形質転換細胞株;および1次不死化または形質転換マウス細胞株が含まれるがそれに限定されない。タンパク質リン酸化の量を比色分析、発色分析、蛍光分析およびウェスタンブロットを含むがそれに限定されない当業界の標準法により測定し得る。
【0076】
予期される調節因子を細胞に添加する混合等の条件は、アポトーシスまたは信号伝達を妨害する他の調節化合物が基本的に存在しない場合、細胞がアポトーシスまたは信号伝達を行わない条件である。有効な条件には、適当な媒体、温度、pHおよび細胞成長を可能にする酸素条件が含まれるが、それに限定されない。適当な媒体は、典型的には、成長因子および同化可能炭素、窒素および燐源の他、適当な塩、ミネラル、金属、およびビタミン等の栄養物を含む固体または液体媒体であり、細胞がアポトーシスまたは信号伝達を示し得るように細胞を培養できる有効媒体である。例えば、哺乳動物細胞では、媒体は10%のウシ胎児結成を含むDulbeccoの修飾Eagle培地である。
【0077】
各細胞を組織培養フラスコ、試験管、マイクロタイターディッシュ、およびペトリプレートを含むがそれに限定されない様々な容器中で培養し得る。培養を細胞に対して適当な温度、pHおよび二酸化炭素含有量で行う。このような培養条件も当業者の範囲内である。
【0078】
予期される調節因子を細胞に加える方法には、エレクトロポーレーション、ミクロインジェクション、細胞発現(すなわち裸の核酸、組み換えウイルス、レトロウイルス発現ベクターおよびアデノウイルス発現を用いる)、因子の培地への添加、イオン対因子の使用、および細胞を透過性にするための洗剤の使用が含まれる。
【0079】
候補調節因子は、糖質、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、DNAおよびDNAフラグメントを含むポリヌクレオチド、RNAおよびRNAフラグメント等、脂質、レチノイド、ステロイド、糖ペプチド、糖タンパク質、プロテオグリカン等;または「低分子量」有機化合物等の天然起源分子のアナログまたは誘導体等の天然起源分子でよい。用語「低分子量有機化合物」は、一般的に分子量約1000以下、好ましくは、約500以下を有する有機化合物を指す。
【0080】
候補調節因子は、コンビナトリーケミストリー技術、発酵法、植物および細胞抽出法等を含むがそれに限定されない手段で調整される、または得られるライブラリー(すなわち化合物のコレクション)中に存在し得る。コンビナトリアルライブラリーの作成法は、公知である。例えばE.R.Felder、Chimia、1994、48、512−541;Gallopら、J.Med.Chem.1994、37、1233−1251;R.A.Goughten、Trend Genet.1993、9、235−239;Houghtonら、Nature、199、354、84−86;Lamら、Nature、1991、354、82−84;Carellら、Chem.Biol.1995、3、171−183;Maddenら、Perspectives in Drug Discovery and Design、2、269−282;Cwirlaら、Biochemistry、1990、87、6378−6382;Brennerら、Proc.NALT.Acad.Sci.USA、1992、89、5381−5383;Gordonら、J.Med.Chem.1994、37、1385−1401;Leblら、Biopolymers、1995、37、177−198;およびそれらの中に引用された参考文献参照。
【0081】
本発明は、以下の非制限的実施例に示された多様な局面を有する。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
(オリゴヌクレオチドがアポトーシスを誘発し得る)
テロメア突出反復配列(TTAGGG;配列番号1)に相同のオリゴヌクレオチド、配列(11mer−1:pGTTAGGGTTAG;配列番号2)のオリゴヌクレオチド、この配列に相補性のオリゴヌクレオチド(11mer−2:pCTAACCCTAAC;配列番号3)、およびテロメア配列に関係しないオリゴヌクレオチド(11mer−3:pGATCGATCGAT;配列番号4)を、テロメア破壊に応じてアポトーシスを行うと報告されているヒトT細胞株であるJurkat細胞の培養に添加した。対照細胞の25〜30%と比較して、48時間以内に40μMの配列番号5で処理した細胞の50%がS相に集積し(p<0.0003、ノンペアt−試験、図1A〜1D参照)、対照の2〜3%と比較して、72時間でこれらの細胞の13%がサブG/G含有率で測定してアポトーシス性であった(p<0.0007、ノンペアt−試験、図1E〜1H参照)。対照の3〜5%と比較して、96時間で11mer−1処理細胞の20±3%がアポトーシス性であった(p<0.0001、ノンペアt−試験)。その奇妙な効果の説明として11mer−1の優先的な取り込みを排除するため、Jurkat細胞を3’末端にフルオレセインホスホルアミダイトで標識したオリゴヌクレオチドで処理し、次いで共焦点顕微鏡およびFACS分析に供した。細胞の蛍光強度は、4時間および24時間処理後で同じであった。ウェスタン分析は11mer−1添加後の24時間でp53の増加を示したが、11mer−2または11mer−3では増加せず、E2F1転写因子のレベルが同時に増加したが、この因子は、アポトーシスの誘導でp53と協力し、ヒト繊維芽細胞でp53に依存して老化表現型を誘導する他、S相チェックポイントを制御することが知られている。
【0083】
(実施例2)
(テロメア突出ホモログ11mer−1のホスホロチオエートバージョンは、アポトーシスを誘導しない)
Jurkatヒト細胞の培養を希釈液、11mer−1(配列番号1)またはホスホロチオエート11mer−1(11mer−1−S)のいずれかで96時間処理し、細胞を集めFACS分析用に処理した。0.4μM(図2A〜2C)および40μM(図2D〜2F)の2種類の濃度を試験した。0.4μMでは、オリゴヌクレオチドのいずれも予期されたJurkat細胞の対数的に成育する細胞周期グラフに影響しなかった。40μMでは、11mer−1は、サブG/Gピークで示される広範囲のアポトーシスを誘導したが、11mer−1−Sは、影響しなかった。
【0084】
(実施例3)
(11mer−1のホスホロチオエートバージョンは、ホスフェート骨格11mer−1によるS−相停止の誘導を妨害する)
ケラチン細胞株の培養(SSC12F、100,000細胞/38cm)を11mer−1(配列番号2)のみ、または濃度を増加させた11mer−1−Sの存在で、11mer−1により48時間処理した。実施例1で先に示したように、11mer−1は、FACS(Becton−Dickinson FacScan)で示されるS−相停止を誘導した。対照である希釈剤で処理した細胞と比較して、細胞の43%がS相であった。しかしながら、ホスホロチオエート11mer−1の濃度を増加してこれらの培養に加えると、停止した細胞の数は、より少なかった(図3A〜3D)。この停止の完全な阻害が11mer−1:11mer−1−Sの比が2:1である場合に見られた。11mer−1−S自体は、S−相停止を誘導しなかった。
【0085】
(実施例4)
(テロメアオリゴヌクレオチドのホスホロチオエート型は、構成的UV誘導色素沈着を誘導し、メラニン生成を刺激しない)
S91mer−ウスメラニン細胞の培養(100,000細胞/cm)を100μMのpTpTまたはホスホロチオエートpTpT(図4)、または40μMの11mer−1またはホスホロチオエート11mer−1(11mer−1−S)(図5)で6日間処理し、細胞を集め計数し、メラニン含有量を分析した。pTpTおよび11mer−1は、これらの細胞中でメラニン生成を刺激したが(それぞれ図4および図5)、pTspTおよび11mer−1−Sは、刺激しなかった(それぞれ図4および図5)。さらに、pTspT(図4)および11mer−1−S(図5)は、これらの細胞中の構成的色素沈着を減少し、テロメア修復/複製中にこの配列を慢性的に暴露するとメラニン生成に対する定常的な低い信号を提供し、この信号がpTspTおよび11mer−1−Sで妨害されることを示唆している。
【0086】
(実施例5)
(ホスホロチオエートpTspTは、UV誘発メラニン生成を阻害する)
S91細胞の2重の培養(100,000細胞/cm)を偽照射、またはリサーチラジオメータ(モデルIL1700A、International Light、Nweburyport、MA)を用いる285±5nmで計測して、1kWキセノンアークソーラーシミュレーター(XMN1000−21、Oprical Radiation、Azuza、CA)からの5mJ/cmの太陽シミュレーション光で照射した。2枚の偽照射プレートに100μMのpTspTを追加し、2種の照射培養も同様にpTspTで処理した。1週間後、細胞を集めて計数し、細胞ペレットを1NのNaOHに溶解し475nmの光学濃度を測定してメラニン含量を分析した。UV照射によりこれらの細胞中のメラニン含有量は、2倍になった。しかしながら、この反応は、pTspTを加えることにより妨害された(図6)。さらに、図4および5に示したデータと同様、これらの細胞の構成的メラニン生成がpTspTにより偽照射培養中で減少した。
【0087】
(実施例6)
(活性には、T−オリゴの加水分解が必要である)
配列番号2に基づくオリゴヌクレオチドを合成した。オリゴヌクレオチド1を完全にホスホロチオエート骨格で合成した。オリゴヌクレオチド2は、各末端に2個のホスホロチオエート骨格を有し、中央の他の結合は、ホスホジエステル結合であった。オリゴヌクレオチド3は、5’末端に2個のホスホロチオエート結合を有し(5’末端をブロック)、オリゴヌクレオチド4は、3’末端に2個のホスホロチオエート結合を有し(3’末端をブロック)、残りの結合は、ホスホジエステル結合であった。図7参照。
【0088】
これらのオリゴヌクレオチドを正常新生児繊維芽細胞に加えた。48時間後、細胞を集め、ウェスタンブロットによりp53セリン15リン酸化およびp95/Nbs1リン酸化を測定した。他の培養をオリゴヌクレオチドの存在で1週間放置し、老化関連β−ガラクトシダーゼ活性で染色した(SA−β−Gal)。β−ガラクトシダーゼ陽性細胞を計数し、全細胞の割合として表した(図8)。
【0089】
ヌクレアーゼが接近し得る3’末端を有するオリゴヌクレオチドは、p53およびp95/Nbs1リン酸化等の刺激「初期」反応で、最も効果的であった。しかしながら、ヌクレアーゼが接近し得る5’末端を有するオリゴヌクレオチドも1週間後に老化表現型を誘導し得るが、48時間でリン酸化反応を誘導せず、3’→5’ヌクレアーゼ感受性が老化誘導活性に好ましいことを示唆している。
【0090】
(実施例7)
(Mre11タンパク質レベルのダウンレギュレーションは、T−オリゴの反応を妨害する)
正常ヒト新生児繊維芽細胞を10ピコモルのMre11siRNAまたは10ピコモルの対照(発現したヒト配列中に相同が見出されない)のいずれかで処理した。siRNA感染の日に培養皿は、約60%の密集であった。製造業者のプロトコールに従い、Lipofectamine2000(Invitrigen、Caelsbad、CA)を用いて感染を行った。感染混合物を細胞に5時間作用させ、次いで新鮮な培地のみに交換した。翌日、感染プロトコールを繰り返した。翌日、二重培養をT−オリゴまたは負対照としての希釈液のみで処理した。48時間後に細胞を集め、ホスホp95セリン343(Cell Signaling Technology、Beverly、MA)、Mre11(GnenTex、San Antonio、TX)、ホスホロp53セリン(Cell Signaling Technology、Beverly)およびトータルp53(Oncogene、San Diego、CA)特異性抗体を用いてタンパク質を分析した(図9)。Hela細胞溶解物をMre11に対する正の対照として用いた。10GyIRに暴露、または偽照射し、1時間後に集めた正常繊維芽細胞をp53およびp95/Nbs1リン酸化に対する正の対照とした。濃度計でオートラジオグラフィーを分析し、T−オリゴに対する値を希釈液処理試料に対する値として表した(図10および図11)。負荷に対して補正後、MRE11レベルが有意に減少した細胞では、T−オリゴに対するホスホp53反応が減少し、ホスホp95/Nbs1反応がないことが明らかである。
【0091】
(実施例8)
(p53およびpRb経路双方の不活性化がR2F繊維芽細胞でT−オリゴ誘導老化を逃れるために必要である)
(オリゴヌクレオチド)
2種のオリゴヌクレオチドを使用したが。1つは、テロメア突出のホモログ(pCTAACCCTAAC;配列番号3)であり、もう1つは、負の対照として用いた、それに相補性(pCTAACCCTAAC;配列番号3)であった。これらのオリゴマーは、Midland Certified Reagent Company(Midland、Texas)により合成された。オリゴヌクレオチドを前記のように調製した(Ellerら、[2003]テロメア3’突出特異性DNAによるp95/Nbs−1媒介S相チェックポイント(Induction of a p95/Nbs−1−Mediated S−Phase Checkpoint by Telomere Specific DNA)、Faseb J17,152−162)。
【0092】
(細胞起源および培養)
R2F新生皮膚繊維芽細胞、および誘導されたp53DD、cdk4R24Cおよび53DD/cdkR24C被形質導入体( G.Rheinwaldからの寛大な贈り物)は、機能性p53経路、pRb経路および双方の経路がそれぞれ欠けている。
【0093】
(老化関連β−ガラクトシダーゼ染色)
細胞を希釈液のみ、40μMのT−オリゴまたは40μMの相補性オリゴで1週間、液を取り替えないで処理した。次いで細胞を2%ホルムアルデヒド/2%グルタルアルデヒド中で3〜5分固定し、文献記載(Dimriら、[1995]インビボでの培養および老化皮膚中で老化ヒト細胞を同定するバイオマーカー(A Biomarker that Identifies Senescent Human Cells in Culture abd in Aging Skin in vivo)、Proc.NALT.Acad.Sci.USA、92,9363−9367)通りに37℃(大気中のCO)で終夜、新鮮な老化関連β−Gal(SA−β−Gal)染色液でインキュベーションした。
【0094】
(ウェスタンブロット分析および抗体)
以前に報告(Ellerら、[1996]DNA損傷がメラミン形成を促進する(DNA Damage Enhances Melanogenesis)、Proc.NALT.Acad.Sci.USA、93,1087−1092)されているようにウェスタンブロット分析を行った。以下の抗体を使用した:DO−1(Ab−6)抗p53(Oncogene Research Products、Cambridge、MA)、抗ホスホp53(ser15)(Cell Signaling Technology、Beverly、MA)、抗ホスホpRb(ser795、ser807/811)(Cell Signaling Technology、Beverly、MA)、抗cdk4(Cell Signaling Technology、Beverly、MA)および抗アクチン(Santa Cruz Biotechnology、CA)。
【0095】
(クローン原性分析)
ヒト繊維芽細胞を希釈液のみ、40μMのT−オリゴまたは40μMの相補性オリゴで1週間処理し、トリプシン処理を行って計数した。300個の細胞を60mmの培養皿中に3重に接種し、完全倍地中で週に2回培地を交換して2週間インキュベーションした。次いで細胞を100%メタノール中で5分間固定した。メタノールを除去し、培養皿を水で短時間濯いだ。コロニーをPBS中の4%(w/v)メチレンブルー溶液中で染色し、再度水で1回洗浄し計数した。
【0096】
(BrdU取り込み分析)
Permanoxチャンバースライド上で培養したHT−1080線維肉腫細胞を希釈剤、40μMのT−オリゴおよび40μMの相補性オリゴで4日間培養し、製造業者が提供するプロトコールに従って5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BrdU)標識および検出キット(Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN)を用いてDNA合成を分析した。簡単に言えば、細胞をBrdUで1時間標識し、固定して抗BrdUモノクローン抗体でインキュベーションした。抗マウスIgアルカリホスファターゼとインキュベーション後、光学顕微鏡で発色反応を検出した。
【0097】
(テロメアの長さ)
HT−1080細胞を希釈剤、40μMのT−オリゴおよび40μMの相補性オリゴで4日間処理し、次いでDNeasy Tissue Kit(Qiagen、Valencia、CA)を用いてゲノムDNAを単離した。製造業者が提供するプロトコールに従い、Telo TTAGGG Telomere Length Assay(Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN)を用いてテロメア長を決定した。簡単に言えば、1μgの精製ゲノムDNAをHinf1/Rsa1で消化し、0.8%アガロースゲル上でDNAフラグメントを分離し、次いでサザンブロットのためにナイロン膜上に移し、テロメア反復に特異的なジゴキシゲニン(DIG)標識プローブとハイブリダイズし、抗DIGアルカリホスファターゼでインキュベーションした。末端制限フラグメント(TRF)を化学発光で検出した。露光したX−線フィルムを濃度計で走査して平均TRF長を計算し、先に報告(Harleyら、[1990]ヒト繊維芽細胞の老化中にテロメアが短縮する(Telomers Shorten during Aging of Human Fibroblast)、Nature、345,458−460)されたように計算した。
【0098】
(結果)
老化繊維芽細胞は、特徴的に大きく平坦な形態を示し、老化関連β−ガラクトシダーゼ(SA−β−Gal)活性が増加する。TRF2DNの異所発現は、テロメアループ構造を破壊し、p53およびpRb経路を活性化することにより老化を誘導する。TRF2DN誘導を阻止するためには、ヒト細胞中のp53およびpRb経路の双方を妨害することが必要である。
【0099】
p53経路および/またはpRb経路が欠失するように遺伝子操作された細胞株をT−オリゴ誘導老化に含まれるシグナル伝達経路を分析するために使用した。p53の転写トランス活性化ドメインが欠失し、内因性野生型p53タンパク質に結合し不活性化する劣勢改変体p53(p53DD)の異所発現により、p53経路の不活性化を行った。p53の転写標的であるp21/SD11タンパク質は、p53DDを発現するように変換されたR2F繊維芽細胞中では、検出レベル以下であった(データ示さず)。p16を結合できないp16不感性改変体cdk4(cdk4R24C)の異所発現により、pRb経路の破壊を行い、そのpRbタンパク質の制御を破壊した。双方の経路の抑制を双方の改変体(p53DD/cdk4R24C)の異所発現により行った。p53DDおよびcdk4R24Cの発現をウェスタンブロットで確認し、p53とcdk4タンパク質の過剰発現を示したが、これは、ヒトケラチン細胞がこれらの改変体で形質導入されるという以前の報告と一致している。
【0100】
細胞を希釈剤または40μMのT−オリゴで1週間処理し、SA−β−Gal活性を分析した。正常新生児包皮繊維芽細胞親株(R2F)を生の対照として用いた。予期されるように、T−オリゴ処理R2F繊維芽細胞は、希釈剤処理対照細胞と比較して大きく広がった形態とSA−β−Gak活性を示した(それぞれ65±7%および8±1%のSA−Gal陽性細胞、p<0.01:図12bおよび12c)。同様に、p53DD R2F繊維芽細胞では、T−オリゴへの1週間の暴露により、T−オリゴ処理R2F繊維芽細胞は、希釈剤処理対照細胞と比較して大きく広がった形態とSA−β−Gak活性を示し(それぞれ45±4%および6±2%のSA−Gal陽性細胞、p<0.01:図12bおよび12c)、p53経路のみの不活性化は、T−オリゴ誘導老化の抑制に不十分であることを示している。T−オリゴは、cd4R24CR2F繊維芽細胞中に、希釈剤処理細胞と比較して老化表現型を誘導し(それぞれ60±5%および7±3%、p<0.01:図12bおよび12c)、pRb経路のみを弱めることもT−オリゴ誘導老化の抑制に十分でないことを示している。しかしながら、R2F繊維芽細胞がp53DDとcd4R24Cとの双方を発現するように形質導入された場合、T−オリゴは、希釈剤処理細胞と比較して老化表現型を誘導することができず(それぞれ7±1%および5±2%、p<0.01:図12bおよび12c)、p53とpRb経路の双方を弱めることがヒト繊維芽細胞中でT−オリゴ誘導老化を完全に抑制するために必要であること示している。従って、TRF2DNにより誘導される連続継代培養または老化後のT−オリゴ誘導老化の条件は、複製老化の条件と同じである。
【0101】
(実施例9)
(p53およびpRb経路双方の不活性化は、HT−1080細胞中のT−オリゴ誘導老化を逃れるために必要である)
TRF2DNは、ヒト線維肉腫HT−1080細胞で老化表現型を誘導すると報告されている。テロメア3’突出DNA(T−オリゴ)への暴露もこれらの細胞中で老化を誘導するか否かを決定するため、HT−1080細胞(American Type Cell Culture Collection;Manassas、VA)を希釈剤単独、T−オリゴまたは対照としての相補性オリゴで4日間処理し、SA−β−Gal活性を分析した。T−オリゴ処理細胞のみが広がった形態とSA−β−Gal活性の増加を示した(図13a)。T−オリゴ処理培養は、希釈剤または相補対照オリゴ処理培養より多いSA−β−Gal陽性細胞を含んでいた(それぞれ80±7%および6±3%、p<0.01;図13b)。また、BrdUの取り込みの顕著な現象で示されるように、希釈または対照オリゴ処理細胞でなく、T−オリゴ処理細胞のみが増殖しなかった(それぞれ7±2%、90±8%および85±10%、p<0.01;図13cおよび13d)。
【0102】
(実施例10)
(テロメアオリゴヌクレオチドがpRbのリン酸化を阻止する)
HT−180細胞は、機能性pRbを有することが知られているが、p53経路は、p16が欠失する結果としてそれが欠けている。本発明者らは、次に、HT−1080細胞におけるそのリン酸化を阻止することによりT−オリゴ処理がpRbを活性化するか否かを調べた。ウェスタンブロット分析により、T−オリゴに反応してセリン780、セリン790およびセリン807/811上でpRbリン酸化が著しく選択的に減少することが分かった(図13e)。興味あることに、p16が欠失する腫瘍中では、pRbは、無傷で起毛製であることが多い。これらの細胞中では、cdk4の脱制御は、pRb過剰リン酸化をもたらし、際限のない細胞成長と腫瘍形成が行われる。cdk2でなくCdk4の活性化がセリン780およびセリン795上でpRbをきわめて効果的にリン酸化する。この発見は、T−オリゴがp16のない場合に、多分他のINK4ファミリーメンバーの誘導によりcdk4活性を阻害することを示唆しており、pRb制御の複雑なネットワーク中でp16が必須の役割でないことを示し、またpRbが絶対的な下流エフェクターであると単純にみなすことができないことを示唆している。
【0103】
(実施例11)
(テロメアオリゴヌクレオチドの効果は、可逆的でない)
T−オリゴを除くことが線維肉腫の老化表現型を反転するか否かを試験するため、HT−1080細胞の平行培養を希釈剤または40μMのT−オリゴまたは40μMの相補対照オリゴで4日間処理した。次いでオリゴヌクレオチド処理をそれ以上行わず、細胞に新鮮な完全培地を与えた。1および2日後に、T−オリゴ前処理細胞は、大きくなった形態とSA−β−Gal活性の増加をまだ示し(図14a)、DNA合成を再開しなかった(図14b)。ウェスタン分析も、pRbタンパク質も活性を維持している、すなわちT−オリゴ前処理細胞における阻害状態であることを示していた(図14c)。
【0104】
T−オリゴ処理の細胞成長に対する長期効果を決めるため、HT−1080ヒト線維肉腫細胞を希釈液のみ、40μMのT−オリゴまたは40μMの相補対照オリゴのいずれかで1週間処理し、次いで同じ数の細胞を再接種し、それ以上処理せずに培地を週2回、2週間交換し、次いでメチレンブルーで染色した(図15a)。相補オリゴ処理細胞と比較して(希釈液処理の90.5±9.4%)、T−オリゴで前処理した細胞のクローン形成能は、ほとんど完全に抑制された(希釈液処理対照の5.7±1.9%、p<0.01;図15b)。これらのデータは、この悪性細胞株におけるT−オリゴ誘導老化が可逆的でないことを示している。
【0105】
(実施例12)
(テロメアオリゴヌクレオチドの平均テロメア長さに対する効果)
HT−1080細胞における平均テロメア長さ(MTL)に対する影響を決定するため、老化表現型が容易に観察される時間に相当する、T−オリゴで処理した4日後に細胞を分析した。希釈液処理(5.61kb)または相補オリゴ処理対照(5.51kb)と比較して、T−オリゴは、MTL(5.56kb)を変えなかった(図16)。計算されたMTLにおける100bp以下の差は、実験変動の範囲内であり、有意ではない。これは、TRF2DNによるテロメアの破壊後に見られたように、4週間までの繊維芽細胞のT−オリゴによる処理は、テロメア3’突出の分解をもたらさないという観察と一致している(データ示さず)。テロメアループの破壊は、MTLの急速な短縮と3’突出の消化を生じることが知られているので、T−オリゴがMTLに影響せず、または3’突出の消化を生じずに類似または同一の信号伝達を開始すると言う事実は、テロメアループ破壊がなくても、すなわちDNA損傷がなくても、T−オリゴが3’突出配列の露出を真似ることを示している。
【0106】
(実施例13)
(T−オリゴ反応にPARP活性が必要である)
T−オリゴに反応するPARPの役割を調べるため、40μMのT−オリゴまたは対照としての等量の希釈剤を加える前に、2種の異なったインヒビターである3−アミノベンズアミド(3AB、2.5mM)または1,5−ジヒドロキシキノリン(IQ、100μM)の一つで2時間、繊維芽細胞を前処理した。T−オリゴまたは希釈液(D)を添加後、各インヒビターの追加用量を細胞に与えた。繊維芽細胞を3ABおよびT−オリゴで処理し、次いで48時間後にウェスタンブロット用に細胞を集めた。p53セリン15の全p53、p21およびp53のリン酸化(p53活性を示す)のT−オリゴ誘発アップレギュレーションは、すべて、3ABの存在で減少した(図17A)。
【0107】
IQで前処理した繊維芽細胞も、T−オリゴの添加後24時間でセリン15上の全p53およびp53リン酸化の減少を示した(データ示さず)。全p53、p53ホスホセリン15およびp21のT−オリゴ媒介誘導の妨害に対するIQの影響は、T−オリゴ添加後48時間残留した。これらのデータは、T−オリゴに対するp53反応が上流のPARP活性を必要とすることを示している。
【0108】
(実施例14)
(PARPインヒビターがp53活性化およびTRF2DNによる誘導を阻止する)
新生児繊維芽細胞をAdTRF2Dまたは負の対照としてのAdGFPで処理した。感染の2時間前に、細胞を希釈剤、3AB(2.5mM)またはIQ(100μM)で処理した。3日後、c−myc−タグTRF2DN(感染を確認するため)、p53セリン15リン酸化およびp21誘導に対するウェスタン分析のために細胞を集めた。図17Fのレーン2をレーン4および6と比較すると、3ABおよびIQの双方がTRF2DNに反応してp53リン酸化とp21とを減少させたことを示す。
【0109】
(実施例15)
(T−オリゴの効果は、テロメラーゼに依存しない)
Saos−2細胞は、多分、テロメラーゼ陰性であるがALT経路によりテロメアを維持する骨肉種細胞株である。Soas−2細胞株を希釈液または40μMの指定されたオリゴヌクレオチドで処理し、FACS分析のために48時間後に細胞を集めた。ホモログヌクレオチドのみが細胞のS相停止を生じた(図18a)。さらに、テロメア突出オリゴヌクレオチドは、IRによる他にp95/Nbs1のリン酸化を誘導した(図18b)この結果は、テロメア陰性細胞中のT−オリゴの効果がテロメア陽性悪性細胞株中の反応と同じであること示す。
【0110】
(実施例16)
(PARPタンキラーゼレベルのダウンレギュレーションがT−オリゴの反応を妨害する)
ヒト繊維芽細胞のペア培養をタンキラーゼsiRNA、非特異性siRNAで1回処理するか、第2対照として模擬感染した。2日後、siRNA処理細胞中のタンキラーゼレベルが顕著に減少した時点で、培養に11mer−1(pGTTAGGGTTAG;並列番号2)または相補配列11mer−2を補充した。さらに24時間後、細胞を集め、セリン343でのp95リン酸化に特異的な抗体を用いてウェスタンブロットのために加工し、活性化ATMキナーゼによるp95修飾を示した。フィルムを濃度測定に供し、各グループの細胞に対する希釈液対照を任意の単位で1.0とした(図19)。予期されたように、正常なタンキラーゼレベルを有する細胞では、T−オリゴ処理細胞は、リン酸化p95の量が2倍であったが、対照オリゴ処理または希釈液処理細胞中の増加は、わずか30〜40%であった。しかしながら、タンキラーゼノックダウン群では、11−mer−1処理細胞は、p95リン酸化の増加を示さなかった(レベル1.1対1.0、対照に対しては、1.3)。これらのデータは、テロメア会合PARPであるタンキラーゼが、ATM活性化とそれに続く修飾(リン酸化)を引き起こし、処理細胞のS相停止(Ellerら、FASEB J、2003)を生じるT−オリゴ信号を形質導入するために必要であることを示している。
【0111】
(実施例17)
(T−オリゴは、p53の非ATM媒介リン酸化を生じる)
正常新生児繊維芽細胞を希釈液または40μM(11mer−1)で4、6、8、19、24および24時間処理し、p53ホスホセリン37特異性抗体を用いるウェスタンブロットのために集めた。偽およびIR照射(10Gy)繊維芽細胞をそれぞれ陰性および陽性対照として使用した。p53セリン37に対応するバンド強度の増加が早くも8時間で検出され、48時間では、希釈液(D)処理試料と比較してT−オリゴ(T)処理資料中できわめて顕著であった。
【0112】
上記に示すように、T−オリゴは、セリン上でp53のリン酸化を生じる。セリン53におけるリン酸化は、ATMで媒介される。図20は、T−オリゴもセリン37上でp53のリン酸化を生じることを示している。セリン37におけるp53のリン酸化は、ATM関連(ATR)キナーゼまたはDNA−PKキナーゼのいずれかで媒介されるが、ATMで媒介されることは、知られていない。従って、p53セリン37の例は、経路活性化のまた別なまカーであり、これらのキナーゼの少なくとも1つがMre11活性化の下流標的である。さらに、Mre11経路を活性化する治療効果の多くは、擬似UV的であり、UVは、ATRとDNA−PKの双方を活性化するがATMを活性化しないことが知られている。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1A〜1Hは、希釈剤(図1Aおよび1E);40μMの11mer−1pGTTAGGGTTAG(配列番号2:図1Bおよび1F);40μMの11mer−2pCTAACCCTAAC(配列番号3:図1Cおよび11G);40μMの11mer−3GATCGATCGAT(配列番号4:図1Dおよび1H)で処理したプロピジウムイオダイド染色Jurkat細胞(不死化Tリンパ球)のFACS分析を示す。分析前48時間(図1A〜1D)または72時間(図1E〜1H)にJurket細胞を上記因子で48時間処理した。
【図2】図2A〜2Fは、以下の細胞への添加のために蛍光活性化細胞分類の結果を示すグラフである:図2A、希釈剤;図2B、0.4μMの11mer−1;図2C、0.4μMの11mer−1−S;図2D、希釈剤;図2E、0.4μMの11mer−1;図2F、0.4μMの11mer−1−S。
【図3】図3A〜3Gは、以下の細胞への添加のグラフために蛍光活性化細胞分類の結果を示すグラフである:図3A、希釈剤;図3B、0.4μMの11mer−1;図3C、10μMの11mer−1および1μMの11mer−1−S;図3D、10μMの11mer−1および5μMの11mer−1−S;図3E、10μMの11mer−1および10μMの11mer−1−S;図3F、20mMの11mer−1;図3G、10μMの11mer−1−S。
【図4】図4は、希釈剤、pTpTまたはTspTで処理した細胞のメラニン含有量(pg/細胞)を示す棒グラフである。
【図5】図5は、希釈剤、11mer−1、11mer−1−Sで処理した細胞のメラニン含有量(pg/細胞)を示す棒グラフである。
【図6】図6は、偽処理(照射なし、オリゴヌクレオチドなし)、または紫外線(UV)、または照射なしでpTspT投与、またはUVを照射しpTspTを投与した細胞のメラニン含有量(pg/細胞)を示す棒グラフである。
【図7】図7は、ホスホロチオエート結合で合成した、ヌクレオチド配列番号2のオリゴヌクレオチドのダイアグラムである。
【図8】図8は、図7に示す、β−ガラクトシダーゼ活性にする細胞染色陽性で示される、正常新生児ヒト繊維芽細胞の培養で老化を生じるホスホチオエートオリゴヌクレオチド1、2、3および4の効果の試験の結果を示す棒グラフである。オリゴヌクレオチド「11−1」は、全体がホスホジエステルで合成された配列番号2で処理された繊維芽細胞培養を示す。「ディル(Dil)」は、オリゴヌクレオチドを含まない希釈財で処理された繊維芽細胞培養を示す。
【図9】図9〜11は、ダウンレギュレーションMer11タンパク質レベルがT−オリゴの反応を妨害することを示す。
【図10】図9〜11は、ダウンレギュレーションMer11タンパク質レベルがT−オリゴの反応を妨害することを示す。
【図11】図9〜11は、ダウンレギュレーションMer11タンパク質レベルがT−オリゴの反応を妨害することを示す。
【図12A】図12は、p53およびpRb経路の双方がヒト繊維芽細胞におけるT−オリゴ誘導老化に寄与することを示す。図12a:p53DDおよびcdk4R24Cのイムノブロット解析。30μgの全タンパク質を用い、全p53およびcdk4に対し標識したウェスタンブロットによるタンパク質分析のために細胞を集めた。レーン1、2、3および4は、それぞれ、R2F、R2F(p53DD)、R2F(cdk4R24C)、およびR2F(p53DD/cdk4R24C)繊維芽細胞由来のタンパク質を含む。負荷対照としてβ−アクチンを用いた。
【図12B】図12は、p53およびpRb経路の双方がヒト繊維芽細胞におけるT−オリゴ誘導老化に寄与することを示す。図12b:p53およびpRb経路のT−オリゴ誘導SA−β−Gal活性への寄与。R2F繊維芽細胞および誘導された被形質導入体を希釈剤または40μMのT−オリゴで1週間処理し、次いでSA−β−Gal活性を分析した。
【図12C】図12は、p53およびpRb経路の双方がヒト繊維芽細胞におけるT−オリゴ誘導老化に寄与することを示す。図12c:SA−β−Gal陽性細胞の定性分析。SA−β−Gal活性を発現する細胞を計数し、培養中の全細胞の割合として提示した。3回の独立の実験から、3個の代表的フィールドから平均と標準偏差を計算した。
【図13A】図13は、ヒト線維肉腫HT−1080細胞のT−オリゴへの暴露が老化を誘導することを示す。図13a:T−オリゴへの暴露がSA−β−Gal活性を増加する。HT−1080細胞を希釈剤のみ、または40μMのT−オリゴ、または相補対照オリゴで4日間処理し、次いで染色しSA−β−Gal活性を分析した。
【図13B】図13は、ヒト線維肉腫HT−1080細胞のT−オリゴへの暴露が老化を誘導することを示す。図13b:SA−β−Gal陽性細胞の定量分析。SA−β−Gal活性を計数し、培養中の全細胞の割合として表した。平均値と標準偏差を3回の独立の実験それぞれからの3つの代表的フィールドから計算した。
【図13C】図13は、ヒト線維肉腫HT−1080細胞のT−オリゴへの暴露が老化を誘導することを示す。図13c:細胞増殖に対するT−オリゴの効果。細胞を図12中のように4日間処理し、BrdU取り込みによりDNA合成を分析した。
【図13D】図13は、ヒト線維肉腫HT−1080細胞のT−オリゴへの暴露が老化を誘導することを示す。図13d:BrdU取り込みの定量分析。暗黒色核は、核DNAに取り込まれたBrdUを示す。BrdU陽性細胞を計算し、培養中の全細胞の割合として表した。平均値と標準偏差を3回の独立の実験それぞれからの3つの代表的フィールドから計算した。
【図13E】図13は、ヒト線維肉腫HT−1080細胞のT−オリゴへの暴露が老化を誘導することを示す。図13a:T−オリゴへの暴露がSA−β−Gal活性を増加する。HT−1080細胞を希釈剤のみ、または40μMのT−オリゴ、または相補対照オリゴで4日間処理し、次いで染色しSA−β−Gal活性を分析した。図13e:pRbリン酸化に対するT−オリゴの効果。細胞を図13a中の様に処理し、30μgの全タンパク質を用い、pRb−ser780、ser795およびser807/811(それぞれセリン780、セリン795およびセリン807/811でリン酸化したpRb)に対し標識してウェスタンブロットによるタンパク質分析のために集めた。レーンD、TおよびCは、希釈液、T−オリゴおよび相補オリゴそれぞれで処理した細胞由来のタンパク質を含む。β−アクチンを付加対照として使用した。
【図14A】図14は、T−オリゴ除去のヒト線維肉腫HT−1080細胞中の老化表現型に対する持続効果を示す。平行培養を図13aに記載のように処理した。次いで細胞をPBSで一回洗浄し、それ以上処理せず完全培地で24時間または48時間再培養した。図14a:SA−β−Gal活性。細胞をSA−β−Gal活性に対して染色した。
【図14B】図14は、T−オリゴ除去のヒト線維肉腫HT−1080細胞中の老化表現型に対する持続効果を示す。平行培養を図13aに記載のように処理した。次いで細胞をPBSで一回洗浄し、それ以上処理せず完全培地で24時間または48時間再培養した。図14b:細胞周期停止。BrdUの取り込みを分析した。
【図14C】図14は、T−オリゴ除去のヒト線維肉腫HT−1080細胞中の老化表現型に対する持続効果を示す。平行培養を図13aに記載のように処理した。次いで細胞をPBSで一回洗浄し、それ以上処理せず完全培地で24時間または48時間再培養した。図14c:pRbのリン酸化および活性化。図13eに記載のように免疫ブロット分析を行った。
【図15A】図15は、ヒト線維芽細胞肉腫HT−1080細胞のクローン原性に対するT−オリゴへ長時間暴露した効果を示す。細胞を希釈剤、40μMのT−オリゴまたは相補オリゴで1週間処理し、分析した。図15a:染色皿の外観。
【図15B】図15は、ヒト線維芽細胞肉腫HT−1080細胞のクローン原性に対するT−オリゴへ長時間暴露した効果を示す。細胞を希釈剤、40μMのT−オリゴまたは相補オリゴで1週間処理し、分析した。図15B:クローン原性能の定量。3回培養のコロニーを計数し、希釈液処理対照の割合としてプロットした。
【図16】図16は、ヒト線維肉腫HT−1080細胞におけるテロメア平均長さに対するT−オリゴの効果を示す。細胞を図13aに示すように処理した。レーン1、2および3は、希釈液(D)、T−オリゴ(T)または相補オリゴ(C)で処理した細胞由来のゲノムDNAを含む。レーン4および5は、高分子量(H)および低分子量(L)標準テロメアDNAを含む。
【図17】図17は、T−オリゴおよびTRFDNが同じ経路を経由するDNA損傷反応を開始することを示す。グラフは、希釈剤対照を100%とした、ウェスタンブロットの濃度計測定値を示す。図9f:レーン1、希釈液、GFP;レーン2:希釈液、TRF2DN;レーン3:3AB、GFP;レーン4:3AB、TRF2DN;レーン5:IQ、GFP;レーン6:IQ、TRF2DN。
【図18】図18は、T−オリゴの効果がテロメアに依存しないことを示す。図18a:細胞周期の各相における細胞の割合と標準偏差が各条件の3回の愛用から計算された、3回の実験の代表的な実験の一つ由来のFACSグラフ。図18b:ホスホp95/Nbs1に対する抗体特異性のウェスタンブロット。レーン1、2および3は、それぞれ希釈液、11mer−1または11mer−2で処理した細胞由来のタンパク質を含む。対照細胞を10GyのIRで照射(+)するか、偽照射(−)した。
【図19】図19は、ダウンレギュレーションタンキラーゼタンパク質レベルがT−オリゴ反応を妨害することを示す。上のパネルは、濃度計の測定値、下のパネルは、ウェスタンブロットを示す。
【図20】図20は、T−オリゴがセリン37上のp53のリン酸化を生じることを示す。希釈剤または40μMで示された時間処理後、p53ホスホセリン37特異性抗体を用いて正常新生児細胞に対しウェスタンブロット分析を行った。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mre11の調節因子をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(a)Mre11に対する核酸基質の存在下で、候補調節因子をMre11とインビトロで接触させる工程;および
(b)該基質の加水分解を測定し、それにより、対照と比較して該基質の加水分解を変化させることによって調節因子を同定する工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記核酸基質は、(TTAGGG)(n=1〜20)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有するオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸基質の加水分解を、UV吸収または放射性標識の放出により測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Mre11に特異的に結合する薬剤をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(a)候補薬剤をMre11と接触させる工程;および
(b)候補薬剤はMre11と特異的に結合するか否かを決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項5】
Mre11は、固体支持体に付着している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Mre11の調節因子をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(a)Mre11を発現する細胞を提供する工程;
(b)候補調節因子を、該調節因子が該細胞により取り込まれる条件下で該細胞と接触させる工程;および
(c)細胞増殖、細胞生存能力、細胞形態、SA−β−Gal活性およびp53リン酸化、p95リン酸化からなる群より選択される該細胞の特性を測定し、それによって、対照と比較して該特性を変化させることによって調節因子を同定する工程;
を含む、方法。
【請求項7】
前記候補調節因子は、Mre11に特異的に結合する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記Mre11は、Mre11フラグメント、Mre11ホモログ、Mre11アナログまたはMre11改変体である、請求項1〜7のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記Mre11のフラグメント、Mre11ホモログ、Mre11アナログまたはMre11改変体は、エキソヌクレアーゼ活性を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞の特性は、細胞増殖である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記細胞の特性は、細胞の生存能力である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞の特性は、細胞形態である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞の特性は、SA−β―Gal活性である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞の特性は、p53のリン酸化またはp95のリン酸化である、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞は、癌細胞である、請求項6〜7および9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞は、癌細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記候補調節因子は、糖質、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、レチノイド、ステロイド、糖ペプチド、糖タンパク質、プロテオグリカン、および有機低分子からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記候補調節因子は、糖質、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、レチノイド、ステロイド、糖ペプチド、糖タンパク質、プロテオグリカン、および有機低分子からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
タンキラーゼの調節因子をスクリーニングする方法であって、該方法は、
(a)タンキラーゼに対する基質の存在下で、候補調節因子をタンキラーゼとインビトロで接触させる工程;および
(b)該基質のリボシル化を測定し、それによって、対照と比較して該基質のリボシル化を変化させることによって、調節因子を同定する工程;
を包含する、方法。
【請求項24】
前記基質は、ペプチドまたはポリペプチドである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記基質は、TRF1である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記基質のリボシル化を、UV吸収または前記基質の標識化により測定する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
タンキラーゼに特異的に結合する薬剤をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(a)候補結合剤をタンキラーゼと接触させる工程;および
(b)候補薬剤がタンキラーゼに特異的に結合するか否かを決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項28】
タンキラーゼは、固体支持体に付着している、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
タンキラーゼの調節因子をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(a)タンキラーゼを発現する細胞を提供する工程;
(b)候補調節因子を、該調節因子が細胞により取り込まれる条件下で該細胞と接触させる工程;および
(c)細胞増殖、細胞生存能力、細胞形態、SA−β−Gal活性およびp53リン酸化、p95リン酸化からなる群より選択される該細胞の特性を測定し、それによって、対照と比較して該特性を変化させることにより調節因子を同定する工程;
を包含する、方法。
【請求項30】
前記調節因子は、タンキラーゼに特異的に結合する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記タンキラーゼは、リボシル化活性を有する、タンキラーゼフラグメント、タンキラーゼホモログ、タンキラーゼアナログまたはタンキラーゼ改変体である、請求項23〜30のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記タンキラーゼフラグメント、タンキラーゼホモログ、タンキラーゼアナログまたはタンキラーゼ改変体は、リボシル化活性を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞の特性は、細胞増殖である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞の特性は、細胞生存能力である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞の特性は、細胞形態である、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞の特性は、SA−β−Gal活性である、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞の特性は、p53のリン酸化またはp95のリン酸化である、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞は、癌細胞である、請求項29〜30および32〜37のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞は、癌細胞である、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記候補調節因子は、糖質、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、レチノイド、ステロイド、糖ペプチド、糖タンパク質、プロテオグリカン、および有機低分子からなる群より選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記候補調節因子は、糖質、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、レチノイド、ステロイド、糖ペプチド、糖タンパク質、プロテオグリカン、および有機低分子からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
MRN複合体形成の調節因子をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(a)候補調節因子を、Mre11、Rad50およびNbs1とインビトロで接触させる工程;ならびに
(b)MRN複合体の形成を測定し、それによって、対照と比較して該MRN複合体の形成を変化させることにより調節因子を同定する工程
を包含する、方法。
【請求項47】
核酸基質またはMre11インヒビターの存在下で、候補調節因子をMre11、Rad50およびNbs1と接触させる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記核酸は、(TTAGGG)(n=1〜20)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
MRN複合体の形成を、遠心分離、共沈殿または非変性電気泳動により測定する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
DNA損傷経路の調節因子をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(a)Mre11とタンキラーゼとを発現する細胞を提供する工程;
(b)候補調節因子を、該調節因子が細胞に取り込まれる条件下で、オリゴヌクレオチドの存在下にて該細胞と接触させる工程;
(c)細胞増殖、細胞生存能力、細胞形態、SA−β−Gal活性およびp53リン酸化、p95リン酸化からなる群より選択される該細胞の特性を測定し、それによって、対照と比較して該特性を変化させることにより調節因子を同定する工程
を包含し、該オリゴヌクレオチドは、(TTAGGG)(n=1〜20)と少なくとも50%の核酸配列同一性を有する、方法。
【請求項51】
前記Mre11は、Mre11フラグメント、Mre11ホモログ、Mre11アナログまたはMre11改変体である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記Mre11の前記Mre11フラグメント、Mre11ホモログ、Mre11アナログまたはMre11改変体は、エキソヌクレアーゼ活性を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記タンキラーゼは、タンキラーゼフラグメント、タンキラーゼホモログ、タンキラーゼアナログまたはタンキラーゼ改変体である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記タンキラーゼは、タンキラーゼフラグメント、タンキラーゼホモログ、タンキラーゼアナログまたはタンキラーゼ改変体は、リボシル化活性を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記細胞の特性は、細胞増殖である、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記細胞の特性は、細胞生存能力である、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記細胞の特性は、細胞形態である、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記細胞の特性は、SA−β−Gal活性である、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞の特性は、p53リン酸化またはp95リン酸化である、請求項50に記載の方法。
【請求項60】
前記細胞は、癌細胞である、請求項50〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞のテロメアは、テロメラーゼ逆転写酵素またはALT経路により維持される、請求項61に記載の方法。
【請求項62】
前記候補調節因子は、糖質、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、脂質、レチノイド、ステロイド、糖ペプチド、糖タンパク質、プロテオグリカン、および有機低分子からなる群より選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項63】
癌を処置するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項64】
アポトーシスを誘導するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項65】
細胞老化を誘導するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項66】
日焼けを阻害するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、阻害法。
【請求項67】
細胞分化を促進するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項68】
免疫抑制を促進するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項69】
前記アクチベーターは、(TTAGGG)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有するMre11のオリゴヌクレオチドアクチベーターであり、少なくとも最初のx個の3’−ヌクレオチド結合は、3’→5’ヌクレアーゼにより加水分解可能であり、ここで、n=1〜20であり、xは、約1〜約10である、請求項63〜68のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
アポトーシスを阻害するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、阻害法。
【請求項71】
細胞老化を阻害するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項72】
成長を促進するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項73】
日焼けを促進するための法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項74】
細胞分化を阻害するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項75】
癌処置の副作用を低減するための方法であって、該方法は、
そのような処置を必要とする被験体に、Mre11アクチベーターを含む組成物、タンキラーゼアクチベーターを含む組成物、DNA損傷経路アクチベーターを含む組成物、またはMRN複合体形成アクチベーターを含む組成物を投与する工程
を包含する、方法。
【請求項76】
前記組成物を、化学療法またはイオン化放射線と組み合わせて与える、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記インヒビターは、(TTAGGG)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有するMre11のオリゴヌクレオチドインヒビターであり、少なくとも最初のx個の3’−ヌクレオチド結合は、3’→5’ヌクレアーゼにより加水分解可能であり、n=1〜20であり、xは、約0〜約10である、請求項70〜76に記載の方法。
【請求項78】
(TTAGGG)と少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有するオリゴヌクレオチドと、少なくとも1個の非加水分解性ヌクレオチド間結合とを有する組成物であって、少なくとも最初のx個の3’−ヌクレオチド結合は、3’→5’ヌクレアーゼにより加水分解可能であり、n=1〜20であり、xは、約0〜約10である、組成物。
【請求項79】
前記3’→5’ヌクレアーゼは、Mre11である、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
前記オリゴヌクレオチドは、TTAGGGと少なくとも50%のヌクレオチド配列同一性を有する、請求項78に記載の組成物。
【請求項81】
前記オリゴヌクレオチドは、配列GTTAGGGTTAGを有する、請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
前記非加水分解性結合は、ホスホロチオエートである、請求項78に記載の組成物。
【請求項83】
前記オリゴヌクレオチドは、PNAである、請求項78に記載の組成物。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−525162(P2007−525162A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508599(P2006−508599)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/000819
【国際公開番号】WO2004/094655
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(595094600)トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティ (37)
【Fターム(参考)】