説明

テンショナ

テンショナは、ベース(7)と、ベースに揺動自在に係合するピボットアーム(1)と、ベースとピボットアームの間に係合し、解放方向におけるアームの動きによって負荷を与えられる捻りバネ(9)と、アームの内面(11)に摩擦係合するとともにベースに押圧係合し、ベースのストッパ(71)に当接する減衰機構(8)とを備え、捻りバネがストッパ(71)の周りにおける減衰機構の揺動によって、解放方向に負荷を与えられるとき、減衰機構が径方向の外方に付勢され、アームの内面に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンショナに関し、特に、捻りバネがストッパの周りにおける減衰機構の揺動によって、解放方向に負荷を与えられたとき、径方向の外方に付勢されてアームの内面に係合する減衰機構を有するテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトテンショナの主な目的はエンジンあるいはアクセサリドライブベルトの寿命を延ばすことである。このような自動テンショナに対する最も典型的な使用は、自動車エンジンのフロントエンドアクセサリドライブである。このドライブは、ベルトが空調機、ウォータポンプ、ファンそしてオルタネータに動力を供給するために必要とされる、各アクセサリのためにプーリ滑車を有する。それぞれのアクセサリは動作中、頻繁に動力の大きさを変化させることを要求する。これらの動力の変化はベルトの各スパンの弛緩と緊張を発生させる。ベルトテンショナはこれらの動力の変化を吸収するのに利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この技術の代表は米国特許第6,609,988号明細書であり、これは、エンジンのベルトドライブのための非対称減衰テンショナシステムを開示する。ベルトはクランクシャフト上の駆動プーリといくつかの被駆動プーリとの間に連結される。各被駆動プーリは、オルタネータ、パワーステアリングポンプ、コンプレッサ等のアクセサリに連結される。テンショナは、ベルトの移動方向における重大な有効慣性の最初の要素より前のどこかに配置される。テンショナの偏倚部材はベルトのテンションを維持するために用いられる。テンショナはさらに、エンジンの動作によって引き起こされるベルト振動を減衰させるために減衰機構を備える。テンショナの減衰摩擦は、テンショナアームの移動の方向に従って、不等すなわち非対象である。加速中、負荷が減少する方向におけるテンショナの減衰摩擦は、反対すなわち負荷が増加する方向における減衰摩擦よりも著しく低い。加速中のより低い減衰摩擦により、テンショナアームは、加速によって引き起こされるベルト長さの増大に早く順応する。減速中のより高い減衰摩擦は、テンショナアームが負荷方向に遠ざかりすぎてスリップおよび騒音を生じることを防止する。非対称減衰はまた、動作の全ての位相においてベルトにおける全体的な振動を著しく減少させる。
【0004】
必要なものは、捻りバネがストッパの周りにおける減衰機構の揺動によって、解放方向に負荷を与えられたとき、径方向の外方に付勢されてアームの内面に係合する減衰機構を有するテンショナである。本発明はこの必要性に合致する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な特徴は、捻りバネがストッパの周りにおける減衰機構の揺動によって、解放方向に負荷を与えられるとき、径方向の外方に付勢され、アームの内面に係合する減衰機構を有するテンショナを提供することである。
【0006】
本発明のその他の特徴は、本発明の以下の説明と添付図面により指摘され、明らかになる。
【0007】
本発明は、ベース(7)と、ベースに揺動自在に係合するピボットアーム(1)と、ベースとピボットアームの間に係合し、解放方向におけるアームの動きによって負荷を与えられる捻りバネ(9)と、アームの内面(11)に摩擦係合するとともにベースに押圧係合し、ベースのストッパ(71)に当接する減衰機構(8)とを備え、捻りバネがストッパ(71)の周りにおける減衰機構の揺動によって、解放方向に負荷を与えられるとき、減衰機構が径方向の外方に付勢され、アームの内面に係合するテンショナを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【図1】テンショナの断面図である。
【図2】テンショナの分解図である。
【図3】図1の3−3線における平面図である。
【図4】バネと減衰機構の底部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1はテンショナの断面図である。アーム1はピボット軸3の周りに揺動する。ピボット軸3はベース7内に圧入される。低摩擦ブッシュ2はアーム1と軸3の間に配設される。
【0010】
アーム1はベルト(図示せず)に対して捻りバネ9により付勢される。バネ9の端部91はアーム1に係合する。バネ9はフラットバンドバネであるが、丸鋼バネあるいは他の公知の断面形状を有するワイアを含み、従来公知のいかなるバネも利用できる。
【0011】
ベルトはアイドラプーリ4に係合する。アイドラプーリ4はプーリを回転させるベアリング10を有する。アイドラプーリ4はベアリング10とボルト6を介してアーム1に枢支される。ダストシールド5はベアリング10に異物が侵入するのを防止する。
【0012】
バネ9の端部92は減衰機構8に係合する。減衰機構8は摩擦材料81を備える。摩擦材料81は従来公知の適当な摩擦材料である。摩擦材料81は従来公知の適当な接着剤を用いてフレーム部材82に取付けられる。フレーム部材82は典型的には曲げ加工された金属板であるが、他の適当な材料であってもよい。好ましい実施形態では、金属板は「薄壁」材料であり、例えば20ゲージの材料である。
【0013】
要求される減衰あるいは抵抗トルクを発生するために、減衰機構8はベース7に対してバネ9により付勢され、これにより減衰機構8をアーム1に摩擦係合させる作用を生じる。これは、動作においてバネ9がアーム1によって、解放方向に負荷を与えられるからである。バネ9が解放するとき、各巻きは外側に広がり、これにより減衰機構8を押圧してアーム1の内面11に摩擦係合させる。
【0014】
図3は図1の3−3線における平面図である。動作において減衰機構8は圧縮方向に負荷を与えられ、これにより薄壁構造を使用可能にする。すなわちバネ9はアーム1とベース7の間に圧縮状態で保持され、これにより減衰機構8をベース7に押圧する。
【0015】
摩擦材料81は特色として約120°から約200°までの円弧αにわたって延びる。好ましい実施形態では、円弧αは約180°である。
【0016】
バネ9は減衰機構8をベース7のストッパ71に対し、押圧して係合させる。ストッパ71は径方向の内側部分83の半径Rにおいて減衰機構に接触するように配置される。半径Rは、減衰機構8の位置に比べてストッパ71を径方向の内側に保持しつつ、ストッパ71をアーム1から十分なクリアランスを持たせるように配置させる。
【0017】
このようにストッパ71を部分83に係合させることにより、動作の間にピボットとしてストッパ71を用いることにより径方向の外側に移動するという減衰機構の性能を高める。すなわち端部92によって減衰機構8に付与されるバネ力Fはストッパ71の周りのトルクを発生させ、これは延いては減衰機構8を部分的に回転させ、あるいはストッパ71の周りに揺動させる。
【0018】
外表面のバネ9は減衰機構8を径方向に支持するとともに押圧し、これにより摩擦材料81をアーム1の内面11に対して径方向の外方に接触させ、摩擦減衰を発生させる。テンショナが動作するとき、摩擦減衰はアーム1の振動を減衰させる。
【0019】
ベース7はボア31を介して係合されるボルトの使用によってエンジン(図示せず)に強固に取付けられる。
【0020】
図4はバネと減衰機構の底面の斜視図である。端部92は部分83の内面においてフレーム部材82に係合する。巻き93の直径は巻き94の直径よりも僅かに大きい。これにより、バネの端部92がフレーム部材82の中に挿入される。巻き94に対する巻き93の直径の差異は、フレーム部材82の材料の厚さに略等しい。巻き94はさらに、部分83に当接する部位によって支持される。端部92は同様にフレーム82の長さに沿って押圧し、これにより減衰機構8と材料81を押圧してベース7(図示せず)に対して摩擦係合させる。
【0021】
本発明の1つの形態が説明されたが、当業者がここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(7)と、
前記ベースに揺動自在に係合するピボットアーム(1)と、
前記ベースと前記ピボットアームの間に係合し、解放方向における前記アームの動きによって負荷を与えられる捻りバネ(9)と、
アームの内面(11)に摩擦係合するとともに前記ベースに押圧係合し、前記ベースのストッパ(71)に当接する減衰機構(8)とを備え、
前記捻りバネが前記ストッパ(71)の周りにおける前記減衰機構の揺動によって、解放方向に負荷を与えられるとき、前記減衰機構が径方向の外方に付勢され、前記アームの内面に係合するテンショナ。
【請求項2】
前記軸が取付け部材に係合するためのボアを備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記減衰機構が約180°の長さの円弧αを有するアームの内面に係合可能な摩擦材料(81)を備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記捻りバネがフラットバンドバネである請求項1に記載のテンショナ。
【請求項5】
前記ストッパ(71)が径方向の内側部分(83)において前記減衰機構に係合する請求項1に記載のテンショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515225(P2013−515225A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546266(P2012−546266)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2011/021488
【国際公開番号】WO2011/090919
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】