説明

テンション装置及び電動カーテン装置

【課題】安定して動作するテンション装置を提供すること。
【解決手段】テンション装置は、ケース13と、ケース13の案内収容部21に案内されてスライド移動可能とされるとともに収容保持されたスライダ22と、スライダ22に軸支されて該スライダ22と一体的にスライド移動可能とされ、ステンレスワイヤー3がかけられる可動プーリー24と、スライダ22をスライド移動方向の一方に付勢するコイルばね25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両に設けられる電動カーテン装置とその電動カーテン装置に設けるテンション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両には、例えばリヤウィンドウに沿ってカーテンを開閉する電動カーテン装置が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。このような電動カーテン装置では、カーテンに連結されるワイヤー(線状部材)の長さが、熱膨張を考慮して設定され、使用時の温度によってはワイヤーに弛みが発生することになる。そして、特許文献1に開示された電動カーテン装置では、電動駆動源にて環状のワイヤーを一方又は他方に引っ張ることでカーテンを開閉可能としながら、引っ張らない側の端部でのみ弛みが発生する構成とし、その弛みが外部に露出しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−318735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような電動カーテン装置においても、例えばカーテンに外力が加えられると、弛んだ部分が引き出されて外部に露出し、見栄えを悪化させる虞があった。そこで、例えば、ディーラーオプションとして電動カーテン装置を取り付ける際に弛みを防止するテンション装置も車両に取り付けることが考えられ、安定して動作する最適なテンション装置、及び、テンション装置を備えた電動カーテン装置が求められることになる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、安定して動作するテンション装置、及びテンション装置を備えた電動カーテン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、ケースと、前記ケースの案内収容部に案内されてスライド移動可能とされるとともに収容保持されたスライダと、前記スライダに軸支されて該スライダと一体的にスライド移動可能とされ、線状部材がかけられる可動プーリーと、前記スライダをスライド移動方向の一方に付勢する付勢手段とを備えたテンション装置を要旨とする。
【0007】
同構成によれば、可動プーリーにかけられた線状部材は、テンションが弱い場合には付勢手段の付勢力によりケース内で可動プーリー及びスライダのスライド移動とともに引っ張られてケース外での弛みが防止される。そして、可動プーリーはスライダに軸支され、そのスライダがケースの案内収容部に案内されてスライド移動可能とされるため、例えば、可動プーリーの軸を直接ケースに対してスライド移動可能とする場合に比べて、可動プーリーを安定してスライド移動させることが可能となる。よって、安定して動作するテンション装置を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のテンション装置と、一方に引っ張られるとカーテンを開動作させ、他方に引っ張られるとカーテンを閉動作させるようにカーテンに連結された前記線状部材と、前記線状部材を引っ張ることが可能な電動駆動源とを備えた電動カーテン装置を要旨とする。
【0009】
同構成によれば、電動駆動源にて一方に引っ張られるとカーテンを開動作させ、電動駆動源にて他方に引っ張られるとカーテンを閉動作させるようにカーテンに連結された線状部材は、前記テンション装置の可動プーリーにかけられることでケース外での弛みが防止される。よって、電動カーテン装置において、カーテンに連結された線状部材が、ケース外で弛んで見栄えが悪化するといったことが防止される。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の電動カーテン装置において、前記カーテンは、その下端が上方向に移動されることで開動作が行われ、その下端が下方向に移動されることで閉動作が行われるように前記線状部材に連結され、前記電動駆動源は、前記カーテンの下方に配設されたことを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、カーテンの下方に配設された電動駆動源が線状部材を引っ張ることでカーテンの下端が上下動されて開閉動作が行われる。このような電動カーテン装置において、前記テンション装置を備えていないと、開状態にあるカーテンの下端と電動駆動源との上下方向の間の露出した位置で上下に亘る線状部材の引っ張られていない側が弛んでしまい見栄えを大幅に悪化させる虞があるが、これを防止することができる。即ち、一対のカーテンが左右方向の両端に寄せられて開状態とされる電動カーテン装置では、上下に亘る線状部材の引っ張られていない側が弛んだとしても両端に寄せられたカーテンに隠れるようにすることで見栄えが大幅に悪化することがなくテンション装置の効果は小さいが、上記構成の電動カーテン装置では大きな効果を得ることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項2又は3に記載の電動カーテン装置において、前記ケースには、該ケース外と前記可動プーリーとの間の前記線状部材の向きを変えるための不動プーリーが前記可動プーリーの前段と後段にそれぞれ設けられ、該不動プーリーは、前記ケースに対して同軸上で軸支され軸方向に並設されたことを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、ケースには、該ケース外と可動プーリーとの間の線状部材の向きを変えるための不動プーリーが可動プーリーの前段と後段にそれぞれ設けられるため、線状部材が引っ張られる際の摩擦を低減させることができる。そして、不動プーリーは、ケースに対して同軸上で軸支され軸方向に並設されるため、該軸方向から見たテンション装置(ケース)の小型化を図ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の電動カーテン装置において、前記可動プーリーの軸は、前記不動プーリーの軸に対して捩れの位置にあり、前記軸方向に並設された前記不動プーリーから前記可動プーリーに向かう線状部材同士の軸方向の段差に基づく捩れた力を受けない方向に傾斜して保持されたことを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、可動プーリーの軸は、不動プーリーの軸に対して捩れの位置にあり、軸方向に並設された不動プーリーから可動プーリーに向かう線状部材同士の軸方向の段差に基づく捩れた力を受けない方向に傾斜して保持されるため、可動プーリー、スライダ及び案内収容部に捩れた力が加わり難い構成とすることができる。よって、請求項4に記載の発明の効果を得ながら、可動プーリーを安定してスライド移動させることが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の電動カーテン装置において、前記線状部材は、環状であって、前記電動駆動源は、正逆駆動されることで線状部材を一方又は他方に引っ張ることが可能とされ、前記可動プーリーは、前記電動駆動源からの一方側の線状部材と他方側の線状部材とに対応して一対設けられ、前記ケースに対して同軸上で軸支され軸方向に並設されたことを要旨とする。
【0017】
同構成によれば、線状部材は、環状であって、電動駆動源は、正逆駆動されることで線状部材を一方又は他方に引っ張ることが可能とされるため、1つの電動駆動源でカーテンの開閉動作を行うことができる。そして、電動駆動源からの一方側の線状部材と他方側の線状部材とに対応して一対設けられる可動プーリーは、ケースに対して同軸上で軸支され軸方向に並設されるため、該軸方向から見たテンション装置(ケース)の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、安定して動作するテンション装置、及びテンション装置を備えた電動カーテン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態における電動カーテン装置の概略構成図。
【図2】本実施の形態におけるテンション装置の一部分解斜視図。
【図3】(a)(b)本実施の形態におけるテンション装置の動作を説明するための模式図。
【図4】別例におけるテンション装置を説明するための模式図。
【図5】別例におけるテンション装置の斜視図。
【図6】別例におけるテンション装置の一部断面斜視図。
【図7】(a)別例におけるテンション装置の一部を不動プーリーの軸方向から見た説明図。(b)別例におけるテンション装置の一部を不動プーリーの軸直交方向から見た説明図。
【図8】別例におけるテンション装置の一部分解斜視図。
【図9】(a)別例におけるテンション装置の一部を不動プーリーの軸方向から見た説明図。(b)別例におけるテンション装置の一部を不動プーリーの軸直交方向から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を車両リヤウィンドウ用の電動カーテン装置に具体化した一実施の形態を図1〜図3に従って説明する。
図1に示すように、ハッチバック車の後部ドアパネル1に設けられる電動カーテン装置は、電動駆動源としてのプーリー駆動モータ2と、線状部材としてのステンレスワイヤー3と、複数のプーリー4と、カーテンとしての遮光ロールスクリーン5と、テンション装置6とを備える。
【0021】
プーリー駆動モータ2は、後部ドアパネル1においてリヤウィンドウ1aの下方に組み付けられ、自身の駆動プーリーを正逆駆動することで、その駆動プーリーにかけられたステンレスワイヤー3を一方(矢印A方向)又は他方(矢印B方向)に択一的に引っ張ることが可能とされている。尚、図1では、プーリー駆動モータ2を正駆動させると、ステンレスワイヤー3はプーリー駆動モータ2(駆動プーリー)部分で時計回りに送られて一方(矢印A方向)に引っ張られ、プーリー駆動モータ2を逆駆動させると、ステンレスワイヤー3はプーリー駆動モータ2部分で反時計回りに送られて他方(矢印B方向)に引っ張られる。
【0022】
ステンレスワイヤー3は、環状であって、前記プーリー駆動モータ2の駆動プーリーにかけられるとともに、後部ドアパネル1の略四隅に配置されるプーリー4にかけられて設けられる。詳しくは、本実施の形態のステンレスワイヤー3は、図1に示すように、プーリー駆動モータ2から左下隅、左上隅、右上隅、右下隅までこの順で延びるように各プーリー4にかけられ、更に折り返されて右上隅、左上隅、左下隅、そしてプーリー駆動モータ2に帰ってくるように各プーリー4にかけられている。
【0023】
そして、ステンレスワイヤー3は、プーリー駆動モータ2にて一方(矢印A方向)に引っ張られると遮光ロールスクリーン5を開動作させ、他方(矢印B方向)に引っ張られると遮光ロールスクリーン5を閉動作させるように遮光ロールスクリーン5に連結されている。詳しくは、この遮光ロールスクリーン5は、後部ドアパネル1においてリヤウィンドウ1aの上方に固定され、遮光生地5aを巻き取り可能なロール部5bを有し、その(遮光生地5aの)下端に設けられたボトムバー5cが上方向に移動されることで開動作が行われ、同ボトムバー5cが下方向に移動されることで閉動作が行われるものである。そして、ボトムバー5cの一端と他端がステンレスワイヤー3の折り返される前の往路と折り返された後の復路とにそれぞれ固定されることで、プーリー駆動モータ2が正駆動されると遮光ロールスクリーン5が開動作され、プーリー駆動モータ2が逆駆動されると遮光ロールスクリーン5が閉動作される構成とされている。
【0024】
テンション装置6は、後部ドアパネル1においてリヤウィンドウ1aの下方であってプーリー駆動モータ2の近傍位置(左下隅のプーリー4との間)に組み付けられている。
テンション装置6は、図2に示すように、ケース本体11とケースカバー12とからなるケース13を備える。ケース本体11には、上方側(ケースカバー12側)から見て左右対称の一対の収容凹部11aが形成されている。各収容凹部11aには、互いに離間する方向であって左右外側に延びる案内構成部11bが形成されている。そして、本実施の形態では、収容凹部11aを閉塞するケースカバー12(その内側面)の案内収容部21と対応した部分と、案内構成部11bとによって略四角筒状の案内収容部21が構成されている。
【0025】
各案内収容部21には、該案内収容部21に案内されて(前記左右方向に)スライド移動可能とされるスライダ22が収容保持されている。スライダ22は、一対の側壁が無い略箱状に形成され、その上下の壁に軸23の両端が圧入保持され、該スライダ22内において前記軸23に可動プーリー24が回転可能に軸支されている。又、本実施の形態の各スライダ22には、相対向する側であって、各収容凹部11aを仕切る仕切り板部11c側に延びる円柱部22aが形成されている。
【0026】
又、各収容凹部11aには、スライダ22をスライド移動方向の一方であって、前記左右外側に付勢する付勢手段としてのコイルばね25が収容保持されている。コイルばね25は、前記円柱部22aに遊嵌(外嵌)されつつ圧縮された状態で保持されている。
【0027】
又、各収容凹部11aには、ケース13外と可動プーリー24との間のステンレスワイヤー3の向きを変えるための不動プーリー26が可動プーリー24の前段と後段にそれぞれ回転可能に設けられている。詳しくは、収容凹部11aには、前記左右方向と直交する両方向の外部に連通する一対の連通孔11dが形成され、該連通孔11dと可動プーリー24との間のステンレスワイヤー3の摩擦を低減させつつ向きを変えるために収容凹部11a毎に2つずつの不動プーリー26が設けられている。
【0028】
このように構成されたテンション装置6の各可動プーリー24には、プーリー駆動モータ2(図2参照)からの一方側の(開動作時、正駆動で一方に引っ張られる)ステンレスワイヤー3aと、プーリー駆動モータ2からの他方側の(閉動作時、逆駆動で他方に引っ張られる)ステンレスワイヤー3bとがそれぞれかけられることになる。尚、前記後部ドアパネル1におけるリヤウィンドウ1aの下方や上方には、プーリー駆動モータ2等を覆う図示しない後方ドアトリムが設けられる。
【0029】
次に、上記のように構成された電動カーテン装置の作用について説明する。
まずプーリー駆動モータ2を正駆動させステンレスワイヤー3(3a)が一方(矢印A方向)に引っ張られると遮光ロールスクリーン5が開動作される。このとき、使用時の温度によっては、引っ張らない側のステンレスワイヤー3(3b)のテンションが弱くなるが、図3(a)で模式的に示すように、コイルばね25の付勢力によりケース13(図2参照)内で可動プーリー24及びスライダ22(図2参照)のスライド移動とともに引っ張られてケース13外での弛みが防止される。
【0030】
又、プーリー駆動モータ2を逆駆動させステンレスワイヤー3(3b)が他方(矢印B方向)に引っ張られると遮光ロールスクリーン5が閉動作される。このとき、使用時の温度によっては、引っ張らない側のステンレスワイヤー3(3a)のテンションが弱くなるが、図3(b)で模式的に示すように、コイルばね25の付勢力によりケース13(図2参照)内で可動プーリー24及びスライダ22(図2参照)のスライド移動とともに引っ張られてケース13外での弛みが防止される。
【0031】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)可動プーリー24にかけられたステンレスワイヤー3は、テンションが弱い場合にはコイルばね25の付勢力によりケース13内で可動プーリー24及びスライダ22のスライド移動とともに引っ張られてケース13外での弛みが防止される。そして、可動プーリー24はスライダ22に軸支され、そのスライダ22がケース13の案内収容部21に案内されてスライド移動可能とされるため、例えば、可動プーリーの軸を直接ケースに対してスライド移動可能とする場合に比べて、可動プーリー24を安定してスライド移動させることが可能となる。よって、安定して動作するテンション装置を提供することができる。
【0032】
(2)プーリー駆動モータ2にて一方に引っ張られると遮光ロールスクリーン5を開動作させ、プーリー駆動モータ2にて他方に引っ張られると遮光ロールスクリーン5を閉動作させるように遮光ロールスクリーン5に連結されたステンレスワイヤー3は、テンション装置6の可動プーリー24にかけられることでケース13外での弛みが防止される。よって、電動カーテン装置において、遮光ロールスクリーン5に連結されたステンレスワイヤー3が、ケース13外で弛んで見栄えが悪化するといったことが防止される。
【0033】
(3)遮光ロールスクリーン5の下方に配設されたプーリー駆動モータ2がステンレスワイヤー3を引っ張ることで遮光ロールスクリーン5の下端(ボトムバー5c)が上下動されて開閉動作が行われる。このような電動カーテン装置において、テンション装置6を備えていないと、開状態にある遮光ロールスクリーン5の下端とプーリー駆動モータ2との上下方向の間の露出した位置で上下に亘るステンレスワイヤー3の引っ張られていない側が弛んでしまい見栄えを大幅に悪化させる虞があるが、これを防止することができる。即ち、一対のカーテンが左右方向の両端に寄せられて開状態とされる電動カーテン装置では、上下に亘る線状部材の引っ張られていない側が弛んだとしても両端に寄せられたカーテンに隠れるようにすることで見栄えが大幅に悪化することがなくテンション装置6の効果は小さいが、上記構成の電動カーテン装置では大きな効果を得ることができる。
【0034】
(4)ケース13には、該ケース13外と可動プーリー24との間のステンレスワイヤー3の向きを変えるための不動プーリー26が可動プーリー24の前段と後段にそれぞれ設けられるため、ステンレスワイヤー3が引っ張られる際の摩擦を低減させることができる。
【0035】
(5)ステンレスワイヤー3は、環状であって、プーリー駆動モータ2は、正逆駆動されることでステンレスワイヤー3を一方又は他方に引っ張ることが可能とされるため、1つのプーリー駆動モータ2(電動駆動源)で遮光ロールスクリーン5の開閉動作を行うことができる。
【0036】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、各収容凹部11aは仕切り板部11cにて仕切られ、可動プーリー24毎にコイルばね25が設けられる構成としたが、これに限定されず、例えば、図4に模式的に示すように、変更してもよい。即ち、この例(図4参照)では、可動プーリー24は、上記実施の形態と同様に一対設けられ、同一直線上でスライド移動可能とされている。そして、上記実施の形態の仕切り板部11cを設けずに、一対の可動プーリー24は、単一のコイルばね31(付勢手段)により互いに離間する方向に付勢されている。このようにすると、可動プーリー24毎に付勢手段を設けるものに比べて、付勢手段の数を少なくすることができる。
【0037】
・上記実施の形態では、ケース13外と可動プーリー24との間のステンレスワイヤー3の向きを変えるために可動プーリー24の前段と後段にそれぞれ設けられた不動プーリー26を異なる軸線上に軸支させたが、これに限定されず、図5〜図7に示すように、一対の不動プーリー26をケース41に対して同軸上で軸支して軸方向に並設してもよい。尚、図5〜図7(a),(b)では、上記実施の形態と略同様に作用する部材に同様の符号を付している。
【0038】
即ち、この例では、ケース41の中央に不動プーリー収容部41aが形成されている。又、ケース41の左右両方には、不動プーリー収容部41aの内側面から左右両方に延びる案内収容部41bが形成されている。各案内収容部41bの終端は、蓋41cにて閉塞されている。各案内収容部41bには、該案内収容部41bに案内されて(前記左右方向に)スライド移動可能とされるスライダ22(可動プーリー24)が収容保持されている。各案内収容部41bには、スライダ22をスライド移動方向の一方であって、前記左右外側に付勢する付勢手段としてのコイルばね42が収容保持されている。このコイルばね42は、スライダ22を前記蓋41c側に引っ張るようにそれらに連結されて設けられている。そして、前記不動プーリー収容部41aには、ケース41外と可動プーリー24との間のステンレスワイヤー3の向きを変えるために可動プーリー24の前段と後段にそれぞれ設けられる不動プーリー26が、同軸上で軸支され軸方向に並設されている。
【0039】
又、この例では、可動プーリー24の軸23は、不動プーリー26の軸に対して捩れの位置にあり、前記軸方向に並設された不動プーリー26から可動プーリー24に向かうステンレスワイヤー3同士の軸方向の段差(図7(b)参照)に基づく捩れた力を受けない方向に(不動プーリー26の軸に対して)傾斜して保持されている。言い換えると、可動プーリー24と不動プーリー26が並ぶ方向(前記左右方向)から見て、一方(上方)の不動プーリー26から可動プーリー24を介して他方(下方)の不動プーリー26に達するステンレスワイヤー3が一直線状(最短距離)となるように、可動プーリー24の軸23が不動プーリー26の軸に対して傾斜して保持されている。即ち、この例では、前記可動プーリー24の不動プーリー26に対する傾きが保持されるようにスライダ22を案内する前記案内収容部41bが、前記可動プーリー24の不動プーリー26に対する傾きに応じて傾いた4角形状の収容部とされている。
【0040】
このようにすると、不動プーリー26は、ケース41に対して同軸上で軸支され軸方向に並設されるため、該軸方向から見たテンション装置(ケース41)の小型化を図ることができる。
【0041】
又、可動プーリー24の軸23は、前記軸方向に並設された不動プーリー26から可動プーリー24に向かうステンレスワイヤー3同士の軸方向の段差に基づく捩れた力を受けない方向に傾斜して保持されるため、可動プーリー24、スライダ22及び案内収容部41bに捩れた力が加わり難い構成とすることができる。即ち、可動プーリー24の軸23が不動プーリー26の軸に対して傾斜せずに平行とされると、不動プーリー26から可動プーリー24に向かうステンレスワイヤー3同士の軸方向の段差に基づいて可動プーリー24(ひいてはスライダ22及び案内収容部41b)が捩れた力を受けてしまうがこの捩れた力を受け難くすることができる。よって、可動プーリー24を安定してスライド移動させることが可能となる。
【0042】
・上記実施の形態及び別例(図5等)では、一対の可動プーリー24を異なる軸線上に軸支させたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、一対の可動プーリー24を同軸上で軸支して軸方向に並設してもよい。
【0043】
尚、図8では、上記実施の形態や別例と略同様に作用する部材に同様の符号を付している。
即ち、この例では、上記実施の形態のケース13を左右方向の中央で分割した形状の分割ケース51aが上下方向に積層されてケース51が構成され、一対の可動プーリー24(図8中、上方の一つのみ図示)が同軸上で軸支されて軸方向に並設されている。
【0044】
このようにすると、一対設けられる可動プーリー24は、ケース51に対して同軸上で軸支され軸方向に並設されるため、該軸方向から見たテンション装置(ケース)の小型化を図ることができる。
【0045】
又、上記別例(図5〜図7参照)は、図9に示すように、全ての(4つの)不動プーリー26が同軸上で軸支され軸方向に並設される構成に変更してもよい。又、この例(図9参照)では、一対の可動プーリー24(スライダ22)が不動プーリー26の軸に対して同様に傾斜した状態で重ねられて並設されている。このようにすると、不動プーリー26の軸方向から見たテンション装置(ケース)の更なる小型化を図ることができる。
【0046】
・上記実施の形態では、カーテン(遮光ロールスクリーン5)の下端(ボトムバー5c)が上下動されることで開閉動作が行われる電動カーテン装置に具体化したが、一対のカーテン(生地)が左右方向の両端に寄せられて開状態とされる電動カーテン装置に具体化してもよい。
【0047】
・上記実施の形態では、不動プーリー26が可動プーリー24の前段と後段にそれぞれ設けられるテンション装置6としたが、これに限定されず、例えば、不動プーリー26を備えていないテンション装置6に変更してもよい。
【0048】
・上記実施の形態では、プーリー駆動モータ2(電動駆動源)は、正逆駆動されることで環状のステンレスワイヤー3を一方又は他方に引っ張ることが可能とされるとしたが、これに限定されず、例えば、非環状のステンレスワイヤーの両端をそれぞれ別の電動駆動源で引っ張ることが可能とされた電動カーテン装置に変更してもよい。
【0049】
・上記実施の形態では、付勢手段をコイルばね21(41b)としたが、これに限定されず、略同様に付勢することができれば、他の付勢手段に変更してもよい。
・上記実施の形態では、テンション装置6を備えた電動カーテン装置に具体化したが、これに限定されず、テンション装置6を電動カーテン装置以外の他の装置に備えさせて具体化してもよい。
【0050】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項2乃至5のいずれか1項に記載の電動カーテン装置において、前記線状部材は、環状であって、前記電動駆動源は、正逆駆動されることで線状部材を一方又は他方に引っ張ることが可能とされ、前記可動プーリーは、前記電動駆動源からの一方側の線状部材と他方側の線状部材とに対応して一対設けられ、同一直線上でスライド移動可能とされるとともに単一の前記付勢手段により互いに離間する方向に付勢されたことを特徴とする電動カーテン装置。
【0051】
同構成によれば、線状部材は、環状であって、電動駆動源は、正逆駆動されることで線状部材を一方又は他方に引っ張ることが可能とされるため、1つの電動駆動源でカーテンの開閉動作を行うことができる。そして、電動駆動源からの一方側の線状部材と他方側の線状部材とに対応して一対設けられる可動プーリーは、同一直線上でスライド移動可能とされるとともに単一の付勢手段により互いに離間する方向に付勢されるため、可動プーリー毎に付勢手段を設けるものに比べて、付勢手段の数を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0052】
2…プーリー駆動モータ(電動駆動源)、3…ステンレスワイヤー(線状部材)、5…遮光ロールスクリーン(カーテン)、6…テンション装置、13,41,51…ケース、21,41b…案内収容部、22…スライダ、23…軸、24…可動プーリー、25,31,42…コイルばね(付勢手段)、26…不動プーリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの案内収容部に案内されてスライド移動可能とされるとともに収容保持されたスライダと、
前記スライダに軸支されて該スライダと一体的にスライド移動可能とされ、線状部材がかけられる可動プーリーと、
前記スライダをスライド移動方向の一方に付勢する付勢手段と
を備えたことを特徴とするテンション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のテンション装置と、
一方に引っ張られるとカーテンを開動作させ、他方に引っ張られるとカーテンを閉動作させるようにカーテンに連結された前記線状部材と、
前記線状部材を引っ張ることが可能な電動駆動源と
を備えたことを特徴とする電動カーテン装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動カーテン装置において、
前記カーテンは、その下端が上方向に移動されることで開動作が行われ、その下端が下方向に移動されることで閉動作が行われるように前記線状部材に連結され、
前記電動駆動源は、前記カーテンの下方に配設されたことを特徴とする電動カーテン装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電動カーテン装置において、
前記ケースには、該ケース外と前記可動プーリーとの間の前記線状部材の向きを変えるための不動プーリーが前記可動プーリーの前段と後段にそれぞれ設けられ、該不動プーリーは、前記ケースに対して同軸上で軸支され軸方向に並設されたことを特徴とする電動カーテン装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電動カーテン装置において、
前記可動プーリーの軸は、前記不動プーリーの軸に対して捩れの位置にあり、前記軸方向に並設された前記不動プーリーから前記可動プーリーに向かう線状部材同士の軸方向の段差に基づく捩れた力を受けない方向に傾斜して保持されたことを特徴とする電動カーテン装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の電動カーテン装置において、
前記線状部材は、環状であって、
前記電動駆動源は、正逆駆動されることで線状部材を一方又は他方に引っ張ることが可能とされ、
前記可動プーリーは、前記電動駆動源からの一方側の線状部材と他方側の線状部材とに対応して一対設けられ、前記ケースに対して同軸上で軸支され軸方向に並設されたことを特徴とする電動カーテン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−14884(P2013−14884A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146464(P2011−146464)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】