説明

テンタークリップ

【課題】ピンシートの交換が容易なテンタークリップを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、シート状の被搬送物を保持して搬送するためのテンタークリップ10であって、ピン16が立設されたピンシート12と、取付面34を有する取付部32と、対向面42を有する相手側部材40と、取付部32と相手側部材40との間にピンシート12が保持される保持位置P1とピンシート12の保持が開放される開放位置P2とに取付部32と相手側部材40との相対位置を変更可能な相対位置変更手段50と、ピンシート12と取付面34とにそれぞれ設けられ、互いに嵌合し、保持位置P1でピンシート12と取付部32との取付面34に平行な方向の相対移動を阻止する嵌合部18,36とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛やフィルム等の各種加工処理に際して、布帛やフィルム等の両側縁を保持して搬送するテンタークリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からテンタークリップとして特許文献1に記載のものが知られている。このテンタークリップは、図7に示されるように、複数のピン102が立設されたピンシート104と、このピンシート104を取り付ける取付部106を先端に有するクリップ本体108とを備える。このテンタークリップ100では、ピンシート104が取付部106上に載置された状態で、取付部106に設けられた貫通孔110を通して下方側からネジ112がピンシート104のネジ穴114に螺入され、当該ピンシート104がクリップ本体108に固定される。
【0003】
このテンタークリップ100は、テンター装置において布帛等のシート状の被搬送物の搬送経路の両側に当該搬送経路に沿って並ぶように配置される。このように配置されたテンタークリップ100は、クリップ本体108先端の取付部106に取り付けられたピンシート104のピン102を被搬送物の側縁に刺し通すことにより当該部位を保持し、この状態で搬送経路に沿って移動することにより当該被搬送物を搬送する。
【特許文献1】特開平5−86570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のテンタークリップ100では、被搬送物を搬送するためピンシート104のピン102を被搬送物に刺し通すときに、このピン102が折れ、又は曲がる場合がある。この場合、クリップ本体108からピンシート104を取り外して交換する。このとき、前記テンター装置内には、一般に、余分なスペースがなく、テンター装置に配置された状態のテンタークリップ100に対する作業が行い難い。そのためピンシート104を固定しているネジ112を取付部106の下面側から工具を用いて取り外し又は締め付ける等の作業が行い難く、ピンシート104の交換作業は非常に煩雑となる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、ピンシートの交換が容易なテンタークリップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解消すべく、本発明は、シート状の被搬送物の側縁を保持して搬送するためのテンタークリップであって、複数のピンが立設されたピンシートと、前記ピンシートを取り付け可能な取付面を有する取付部と、前記取付面と対向する対向面を有する相手側部材と、前記取付面が前記対向面と対向するようにして前記相手側部材の下方に前記取付部が位置して当該取付部と当該相手側部材との間に前記ピンシートが保持される保持位置と、前記ピンシートの保持が開放される開放位置とに、前記取付部と前記相手側部材との相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、前記ピンシートと前記取付面とにそれぞれ設けられ、互いに嵌合し、前記保持位置で前記ピンシートと前記取付部との前記取付面に平行な方向の相対移動を阻止する嵌合部とを備えることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、相対位置変更手段により取付部と相手側部材との相対位置を変更するだけで、ピンシートの交換を容易に行うことができる。具体的に、相対位置変更手段によって前記相対位置を開放位置に変更することによりピンシートの保持が開放されるため当該ピンシートをテンタークリップの取付面上に容易に着脱できる一方、前記相対位置を保持位置に変更することによりピンシートが取付部の取付面上に確実に保持される。詳細には、相対位置変更手段によって前記相対位置が開放位置となるよう変更されることにより、ピンシートの保持が開放された状態となるため、当該ピンシートの着脱の制限が開放され、取付面上へのピンシートの着脱が容易になる。そして、相対位置変更手段によって前記相対位置が保持位置となるように変更されるだけで、ピンシートが取付部と相手側部材との間に保持される。即ち、嵌合状態の嵌合部により取付面に沿った方向へのピンシートの取付部(又は相手側部材)に対する相対移動が阻止されると共に、これに垂直な方向への移動が取付部又は相手方部材により阻止される。これにより取付面上にピンシートが保持される。
【0008】
本発明に係るテンタークリップにおいては、前記相対位置変更手段を前記保持位置の状態にロック可能なロック手段を備える構成が好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、ロック手段によって相対位置変更手段が保持位置の状態にロックされ、これによりピンシートが取付面上に保持された状態が確実に維持される。
【0010】
前記相対位置変更手段は、前記相対位置が前記保持位置から前記開放位置へ変更されるように前記取付部又は前記相手側部材を付勢する付勢手段を備え、前記ロック手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して前記相対位置変更手段を前記保持位置の状態にロック可能に構成されるのが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、ロック手段によって、付勢力に抗して相対位置変更手段を保持位置の状態にロックすることができると共に、この状態からロック手段を解錠するだけで付勢手段によって取付部又は相手側部材が移動し前記相対位置が開放位置となる。
【0012】
また、前記相対位置変更手段は、前記取付部を水平軸回りに回動可能な回動部と、前記回動部に設けられた切欠き部とを有し、前記ロック手段は、前記取付部が前記保持位置のときに前記切欠き部に嵌脱可能に嵌まり込んで前記回動部を係止するように構成されてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、相対位置変更手段の回動部に設けられた切欠き部と、この切欠き部に嵌脱可能に嵌まり込むロック手段とのような簡素な構成により、相対位置変更手段を確実にロックすることができる。
【0014】
また、前記相対位置変更手段は、前記取付部を水平軸回りに回動可能な回動部を有し、この回動部は、前記取付部が前記開放位置のときに前記取付面が当該テンタークリップの先端側を向くように構成されるのが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、取付部が開放位置のとき、即ち、テンタークリップのピンシートの着脱の際に取付面が先端側を向くため、テンタークリップの先端側から取付面上へのピンシートの着脱が行い易くなる。
【0016】
この場合、前記取付部が前記開放位置のときに前記取付面の下端となる部位に水平方向に延びる突条が設けられるのが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、取付面が先端側に向いている開放位置のときに取付面上のピンシートが突条によって下方側から支えられた状態となるため、回動部により取付部の位置が変更されるとき、即ち、取付部が開放位置から保持位置に回動されるとき、又は保持位置から開放位置に回動されるときにピンシートが取付部から落下し難くなる。その結果、ピンシートの交換作業がより容易になる。
【0018】
また、前記相対位置変更手段は、前記保持位置と当該保持位置よりも当該テンタークリップの先端側の位置である開放位置との間において、前記取付部を前記保持位置における姿勢と同一姿勢で且つ前記取付面と平行な方向に往復移動可能に構成されてもよい。
【0019】
かかる構成によっても、相対位置変更手段により取付部の位置を変更するだけで、ピンシートの交換を容易に行うことができる。即ち、相対位置変更手段により取付部を保持位置から開放位置へ同一姿勢で且つ取付面と平行な方向に移動させる(即ち、スライドさせる)ことにより、ピンシートの保持が開放された状態となるため、ピンシートをクリップ本体の取付面上に容易に着脱できる。一方、相対位置変更手段により取付部を開放位置から保持位置へスライドさせることにより、ピンシートが取付部と相手側部材との間に保持されると共に嵌合状態の嵌合部により取付面に沿った方向へのピンシートの取付部(又は相手側部材)に対する相対移動が阻止され、これにより取付面上にピンシートが確実に保持される。
【0020】
また、前記相対位置変更手段は、前記保持位置と当該保持位置よりも前記相手側部材の対向面が前記取付部の取付面から離れた位置である開放位置との間において、前記相手側部材を往復移動可能に構成されてもよい。
【0021】
かかる構成によっても、クリップ本体の相対位置変更手段により相手側部材の位置を変更するだけで、ピンシートの交換を容易に行うことができる。即ち、相対位置変更手段により相手側部材を保持位置から開放位置へ移動させることにより、取付面と対向面との間隔が広がり、この間からピンシートをクリップ本体の取付面上に容易に着脱できる。一方、相対位置変更手段により相手側部材を開放位置から保持位置へ移動させることにより、ピンシートが取付部と相手側部材との間に保持されると共に嵌合状態の嵌合部により取付面に沿った方向へのピンシートの取付部(又は相手側部材)に対する相対移動が阻止され、これにより取付面上にピンシートが確実に保持される。
【発明の効果】
【0022】
以上より、本発明によれば、ピンシートの交換が容易なテンタークリップを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態について、添付図面を参照しつつ説明するが、本実施形態のテンタークリップの説明の前に、当該テンタークリップが配置されるテンター装置の概略について説明する。
【0024】
テンター装置は、布帛(シート状の被搬送物)の乾燥処理工程等で用いられる装置であり、長尺の布帛を幅方向に張設した状態で長手方向に搬送する装置である。このテンター装置は、図1に示されるように、布帛の搬送経路に沿ってその両側に配設された一対の無端状の伝動部材であるチェーン2と、このチェーン2を循環移動させる駆動手段4と、チェーン2に取り付けられる複数のテンタークリップ10とを備える。
【0025】
複数のテンタークリップ10は、それぞれ先端を布帛6の搬送経路に向けた状態で当該搬送経路に沿って等間隔に並ぶようにチェーン2に取り付けられている。そして、搬送経路を挟んで両側の各テンタークリップ10が搬送経路の一方側端部(図1においては上端部)で布帛6の両側縁をそれぞれ保持し、この状態のテンタークリップ10がチェーン2の循環移動に伴って搬送経路に沿って移動し、搬送経路の他方側端部(図1においては下端部)で保持していた布帛6を開放することにより、長尺の布帛6が幅方向に張設された状態で搬送される。
【0026】
次に、テンタークリップについて図2及び図3も参照しつつ説明する。
【0027】
このテンタークリップ10は、複数のピン16が立設されたピンシート12と、このピンシート12が取り付けられるクリップ本体30とを備える。
【0028】
ピンシート12は、テンタークリップ10の先端に位置し、布帛6の側縁にピン16を刺し通して当該部位を保持するのに用いられる。このピンシート12は、板状のシート本体14と、このシート本体14に立設されるピン16とを有する。シート本体14は、クリップ本体30に取り付けられる矩形の板状体であり、長手方向両端部にはシート側嵌合部18が設けられている。このシート側嵌合部18は、本実施形態では、シート本体14をその厚さ方向に貫通する貫通孔により構成されている。
【0029】
ピン16は、前記のように搬送する布帛6の側縁(いわゆる耳部)を刺し通すためのものであり、複数のピン16がシート本体14に立設される。具体的には、シート本体14の幅方向の一方側端部(以下、「先端側端部」と称する。)14aにおいてシート本体14の長手方向に沿って並ぶように立設されている。本実施形態では、複数のピン16が前記長手方向に沿って等間隔に並ぶ列が2列設けられている。各ピン16は、シート本体14に対して直交方向よりも僅かに後端側端部(シート本体の幅方向における先端側端部14aと反対側)14bに向って傾斜している(図4(b)及び図4(c)参照)。ピン16を布帛6に刺し通したときには、当該布帛6がその幅方向に(クリップ本体30の先端側に向かって)張力がかかるが、この傾斜により、ピン16から布帛6が外れ難くなる。
【0030】
クリップ本体30は、チェーン2側を向く後端部30cと、この後端部30cの一方側(先側)につながる台座部30bと、この台座部30bの先側につながる本体先端部30aとを有する。後端部30cには、テンター装置の無端状のチェーン2(図1参照)を上下から挟むようにして当該チェーン2に当該クリップ本体30を固定する固定部70が設けられる。この固定部70によりクリップ本体30がチェーン2に固定されることにより、当該テンタークリップ10は、テンター装置において、布帛を搬送するときに固定部70と反対の端部側(先端側)が布帛の搬送経路側の方向を向くように配置される。台座部30bは、その上端に平面部を有し、この平面部に相手側部材40が取り付けられる。本体先端部30aは、台座部30bよりも一段下がった位置で前方に延びている部位であり、クリップ本体30の幅方向に間隔をおいた一対の支持部材31により構成されている。この本体先端部30aには、取付部32と相対位置変更手段50とが配置される。
【0031】
取付部32は、相対位置変更手段50により保持位置P1と開放位置P2との間を移動可能に構成されている。この保持位置P1は、テンター装置によって駆動されるときの位置であり(図4(c)参照)、開放位置P2は、取付面34に対してピンシート12が着脱可能な位置である(図4(a)参照)。本実施形態では、取付部32が保持位置P1のときは取付面34が上方を向き、開放位置P2のときは取付面34がクリップ本体30の先端側を向く。
【0032】
取付部32は、取付面34が形成された板状の部位であり、この取付面34には、ピンシート12が当該取付面34上に載置されたときに、ピンシート12(シート本体14)のシート側嵌合部18と嵌合する面側嵌合部36が設けられている。この面側嵌合部36と前記のシート側嵌合部18とは、互いに嵌合し、取付部32が保持位置P1のときにピンシート12と取付部32との取付面34に平行な方向の相対移動を阻止する。本実施形態では、面側嵌合部36は、ピンシート12のシート本体14に設けられた貫通孔(シート側嵌合部)18と対応する位置に設けられ、この貫通孔18に嵌入される位置決めピン36により構成されている。
【0033】
また、取付部32の取付面34には突条38が設けられている。この突条38は、取付部32が開放位置P2のときに取付面34の下端となる部位において水平方向に延びている。具体的に、突条38は、取付部32の長手方向に延びるように設けられており、取付面34から面側嵌合部36と同じ向きに突出している。
【0034】
相手側部材40は、取付部32が保持位置P1のときにこの取付部32の取付面34と対向する対向面42を有する。この相手側部材40は、取付部32が保持位置P1のときに、取付面34に取り付けられたピンシート12の当該取付面34からの離間を制限する。本実施形態では、取付部32が保持位置P1のときに取付面34に取り付けられたピンシート12の上方への移動を制限する。具体的に、相手側部材40は、板状の部材であり、その先端部がクリップ本体30の先端側へ向って突出するようにクリップ本体30の台座部30bの上面にネジNにより固定されている。この相手側部材40における台座部30bから突出した先端部の下端には、対向面42が設けられる。この対向面42がピンシート12におけるシート本体14の後端側端部14bの上方に位置し、ピンシート12が上方へ移動しようとしたときにこの対向面42に当接することにより、当該ピンシート12の上方への移動が制限される。
【0035】
相対位置変更手段50は、取付面34と対向面42とが対向するようにして相手側部材40の下方に取付部32が位置する保持位置P1と、取付面34と対向面42とが対向せずピンシート12の取付面34からの着脱が可能になる開放位置P2とに、取付部32を移動可能に構成される。具体的に、相対位置変更手段50は、取付部32を保持位置P1と開放位置P2との間で回動可能に構成される。そして、相対位置変更手段50は、取付部32を回動させたときに相手側部材40と干渉することがなく、且つ取付部32が保持位置P1のときに取付部32の取付面42を通る平面と対向面42を通る平面との間隔がシート本体14の厚みよりも小さくなるように当該取付部32を回動可能に構成される。この相対位置変更手段50は、第1の水平軸52と、この第1の水平軸52回りに取付部32を回動可能な回動部54と、この回動部54に設けられた切欠き部54aとを有する。さらに、相対位置変更手段50は、保持位置P1から開放位置P2へ向けて取付部32を付勢する付勢手段56も有する。
【0036】
第1の水平軸52は、クリップ本体30の本体先端部30aに設けられている。具体的には、第1の水平軸52は、本体先端部30aを構成する一対の支持部材31間に架設され、クリップ本体30の幅方向に沿って且つ水平に延びる軸部材である。
【0037】
回動部54は、取付部32に接続され、第1の水平軸52に回動可能に取り付けられている。この回動部54が第1の水平軸52回りに一方の方向に回動することによって、取付部32が開放位置P2に移動し、この位置で取付面34がクリップ本体30の先端側を向く(図4(a)参照)。一方、回動部54が開放位置P2から第1の水平軸52回りに他方の方向に回動することによって取付部32が保持位置P1に移動し、この位置で取付面34が上方に位置する相手側部材40の対向面42と対向する方向を向く(図4(c)参照)。
【0038】
切欠き部54aは、取付部32の回動に伴って回動し、取付部32が保持位置P1のときにロック手段60の係止部62aが嵌まり込むような位置に設けられている(図4(c)参照)。具体的には、切欠き部54aは、回動部54の外周部から回動中心側(第1の水平軸52側)に向って凹んでいる。この凹部(切欠き部54a)は、ロック手段60の係止部62aが嵌まり込むことで、当該係止部62aに当接することにより回動部54が係止される当接面を含んでいる。
【0039】
付勢手段56は、本実施形態では、ねじりコイルばねによって構成されている。この付勢手段(ねじりコイルばね)56は、第1の水平軸52の周囲を囲うように配設され、一端が回動部54(取付部32)に固定され、他端がクリップ本体30の本体先端部30a(支持部材31)に固定されている。付勢手段56がこのように配置されることにより、取付部32が保持位置P1から開放位置P2へ向う方向(図4(c)において反時計回り)に付勢される。
【0040】
ロック手段60は、付勢手段56による付勢力に抗して取付部32が保持位置P1の状態の回動部54をロック可能に構成されるものであり、このロック手段60は、第2の水平軸64と、この第2の水平軸64回りに回動可能なロック本体部66と、このロック本体部66を付勢するロック用付勢手段68とを備える。
【0041】
第2の水平軸64は、クリップ本体30の本体先端部30aにおいて、第1の水平軸52と平行に設けられている。この第2の水平軸64も、本体先端部30aを構成する一対の支持部材31間に架設され、クリップ本体30の幅方向に沿って且つ水平に延びる軸部材である。
【0042】
ロック本体部66は、取付部32が保持位置P1のときに回動部54の切欠き部54aに嵌脱可能に嵌まり込む係止部62aと、回動部54のロックを解除するときに係止部62aを引き起こす際に指等を掛けることができる突起部62bとを有する。
【0043】
ロック用付勢手段68は、ロック本体部66を第2の水平軸64回りに当該ロック本体部66の係止部62aが常に回動部54に押し当てられる方向(図4(a)においては、時計回り)に付勢する。
【0044】
このように構成されるテンタークリップ10では、以下のようにしてピンシート12がクリップ本体30に取り付けられ、又は外される。
【0045】
先ず、取付部32が保持位置P1の場合は、ロック本体部66の突起部62bに指を掛けてロック本体部66を第2の水平軸64回りに回動させる。そうすると、係止部62aが起き上がって、嵌まり込んでいた切欠き部54aから外れる。このようにしてロック手段60が解除されると、付勢手段56の付勢力により、回動部54が第1の水平軸52回りに回動して取付部32が保持位置P1から開放位置P2に移動(回動)する。
【0046】
取付部32が開放位置P2の状態(図4(a)参照)でピンシート12が取付面34に載置される。このとき、テンター装置に配置されたテンタークリップ10では、取付部32が開放位置P2に移動すると、取付面34が布帛の搬送経路側を向くため、ピンシート12の取付面34への着脱が容易になる。具体的に、テンター装置内では、テンタークリップは、その先端を布帛の搬送経路側に向けて配置される。そして、テンター装置内には、種々の装置が配置されており、布帛の搬送経路としての空間以外には空間が少ない。そのため、取付部32が開放位置P2のときに取付面34が布帛の搬送経路に向くことにより、当該搬送経路側からピンシート12の着脱作業を行うことができるため、当該作業が行い易くなる。
【0047】
ピンシート12が取付面34に載置されるときに、当該ピンシート12のシート側嵌合部(貫通孔)18に取付面34の面側嵌合部(位置決めピン)36が嵌入するようにピンシート12が取付面34に取り付けられる。
【0048】
ピンシート12が取付面34に取り付けられた状態(図4(b)参照)で、取付部32が開放位置P2から保持位置P1へ回動させられる。このとき、取付部32が保持位置P1から開放位置P2へ移動するように付勢手段56によって回動部54が常に付勢されているため、この付勢力に抗しつつ取付部32が回動させられる。
【0049】
このようにして取付部32が保持位置P1、即ち、取付面34が上方を向いて相手側部材40の対向面42と対向する位置に到達すると、取付部32の回動に伴って回動した切欠き部54aにロック本体部66の係止部62aが嵌まり込む。このとき、ロック本体部66の係止部62aは、ロック用付勢手段68によって常に回動部54の外周部に押し付けられるように付勢されているため、係止部62aの位置に切欠き部54aが回動してくると、前記付勢力によって係止部62aが切欠き部54aに嵌め込まれる。このように切欠き部54aに係止部62aが嵌まり込むことにより回動部54は、係止される。
【0050】
このとき、上方を向いた取付面34上には、ピンシート12が取り付けられており、取付面34と当該取付面34と対向する対向面42との間にシート本体14(詳細には、シート本体14の後端側端部14b)が位置する状態となる。この状態では、ピンシート12は、対向面42によって上方への移動が制限された状態となっている。しかも、シート本体14のシート側嵌合部(貫通孔)18と取付面34の面側嵌合部(位置決めピン)36とが互いに嵌合しているため、ピンシート12と取付部32との取付面34に平行な方向の相対移動が阻止される。このようにピンシート12の各方向への移動が制限されることにより、取付面34上にピンシート12が保持される(図4(c)参照)。
【0051】
ピンシート12をクリップ本体30から取り外すときには、ロック手段60を解除するだけで取付部32が開放位置P2に回動し、ピンシート12の保持が開放されてピンシート12を取り外すことが可能となる。
【0052】
以上のようなテンタークリップ10では、クリップ本体30の相対位置変更手段50により取付部32の位置を変更する(回動させる)だけで、ピンシート12の交換を容易に行うことができる。即ち、相対位置変更手段50によって取付部32の開放位置P2に変更することによりピンシート12の保持が開放されるため当該ピンシート12をクリップ本体30の取付面上に容易に着脱できる一方、取付部32を保持位置P1に変更することによりピンシート12が取付部32の取付面34上に確実に保持される。
【0053】
詳細には、相対位置変更手段50によって取付部32が開放位置P2となるよう変更されることにより、ピンシート12の保持が開放された状態となるため、当該ピンシート12の着脱の制限が開放され、取付面34上へのピンシート12の着脱が容易になる。そして、相対位置変更手段50によって取付部32が保持位置P1となるように変更されるだけで、ピンシート12が取付部32と相手側部材40との間に保持される。即ち、嵌合状態のシート本体14のシート側嵌合部18と取付面34の面側嵌合部36とにより取付面34に沿った方向へのピンシート12の取付部32(又は相手側部材40)に対する相対移動が阻止されると共に、これに垂直な方向への移動を取付部32又は相手側部材40により阻止される。これにより取付面34上にピンシート12が保持される。
【0054】
テンタークリップ10にロック手段60が設けられることで、取付部32が保持位置P1にロックされ、これによりピンシート12が取付面34上に保持された状態が確実に維持される。
【0055】
さらに、テンタークリップ10に回動部54を付勢する付勢手段56及びロック手段60が設けられることにより、付勢力に抗して取付部32を保持位置P1に確実にロックすることができると共にこの状態からロック手段60を開錠するだけで付勢手段56によって取付部32を開放位置P2に容易に移動することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、相対位置変更手段50の回動部54に設けられた切欠き部54aと、この切欠き部54aに嵌脱可能に嵌まり込むロック手段60(係止部62a)とのような簡素な構成により、相対位置変更手段50を確実にロックすることができる。
【0057】
また、取付部32が開放位置P2のときに取付面34が当該クリップ本体30の先端側を向くように当該取付部32を回動可能に構成することにより、ピンシート12のクリップ本体30への着脱の際に取付面34が先端側を向くため、先端側から取付面34へのピンシート12の着脱作業が行い易くなる。これにより、テンター装置にテンタークリップ10が配置された状態においてもピンシート12の交換が行い易くなる。
【0058】
即ち、テンター装置において、テンタークリップ10が配置されている位置の上下位置には各種装置が配置されているため、上下方向からテンタークリップ10に対する作業が行い難い。しかし、テンター装置において、テンタークリップ10の先端側には布帛6を搬送するための搬送経路(搬送空間)が確保されているため、この方向からテンタークリップ10に対して作業を行うことにより、他の方向からテンタークリップ10に対して作業を行うよりも容易に行える。そのため、ピンシート12の取付面34への着脱の際に、テンタークリップ10の先端側に取付面34が向くように構成されることにより、当該テンタークリップ10がテンター装置に配置された状態であってもピンシート12の交換作業を容易に行うことができる。
【0059】
また、取付部32が開放位置P2のときに取付面34の下端となる部位に水平方向に延びる突条38が設けられることにより、取付部32の回動の際に、当該取付部32からピンシート12が落下し難くなる。即ち、取付部32が開放位置P2のときに取付面34に取り付けられたピンシート12が突条38によって下方側から支えられた状態となるため(図4(b)参照)、回動部54により取付部32を開放位置P2から保持位置P1に回動させ、又は保持位置P1から開放位置P2に回動させるときにピンシート12が取付部32から落下し難くなる。その結果、ピンシート12の交換作業がより容易になる。
【0060】
次に、本発明の第2実施形態について図5(a)乃至図5(c)も参照しつつ説明するが、上記第1実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成ついてのみ詳細に説明する。
【0061】
本実施形態に係るテンタークリップ10aは、第1実施形態同様にピンシート12とクリップ本体30とを備える。そして、このクリップ本体30は、取付部32と、相手側部材40と、相対位置変更手段150とを有する。
【0062】
相対位置変更手段150は、取付部32を保持位置P1と開放位置P3との間で移動させるように構成される。ここで、開放位置P3は、保持位置P1における取付部32を同一姿勢で且つクリップ本体30の先端側に向って取付面34と平行な方向に移動させた位置である(図5(a)参照)。この相対位置変更手段150は、一対のガイド部材72を有する。
【0063】
一対のガイド部材72は、クリップ本体30の本体先端部30aに支持部材74を介して取り付けられ、取付部32を前後方向にスライド可能に保持するものである。具体的に、一対のガイド部材72は、取付部32の両側部をスライド可能に保持し、この取付部32を保持位置P1と開放位置P3との間でスライド可能に構成される。
【0064】
また、相対位置変更手段150は、付勢手段(図示省略)も有し、この付勢手段は、ガイド部材72に保持される取付部32を保持位置P1から開放位置P3へ移動させるように付勢する。さらに、相対位置変更手段150は、ロック手段(図示省略)も有し、このロック手段は、付勢手段による付勢力に抗して保持位置P1に位置する取付部32をロック可能に構成される。
【0065】
このように構成されるテンタークリップ10aでは、以下のようにしてピンシート12がクリップ本体30に取り付けられる。
【0066】
先ず、取付部32が保持位置P1の場合は、ロック手段が解除され、付勢手段の付勢力により取付部32が一対のガイド部材72に案内されて、保持位置P1から開放位置P3へ取付部32が移動(スライド)する。
【0067】
取付部32が開放位置P3の状態(図5(a)参照)で、シート側嵌合部18と面側嵌合部36とが嵌合するようにピンシート12が取付面34に取り付けられる。
【0068】
そして、ピンシート12が取付面34に取り付けられた状態(図4(b)参照)で、取付部32が開放位置P3から保持位置P1へスライドさせられる。このとき、取付部32が保持位置P1から開放位置P3へ移動するように付勢手段によって常に付勢されているため、この付勢力に抗しつつ取付部32がスライドさせられる。
【0069】
このようにして取付部32が保持位置P1に到達すると、取付部32がロック手段によりロックされる。このとき、第1実施形態同様に、上方を向いた取付面34上のピンシート12が取付面34と当該取付面34と対向する対向面42との間に位置する状態となり、取付面34上にピンシート12が保持される(図5(c)参照)。
【0070】
以上のような、取付部32をその姿勢を維持しつつスライドさせるよう構成されるテンタークリップ10aでも、第1実施形態同様に、クリップ本体30の相対位置変更手段150により取付部32の位置を変更するだけで、ピンシート12の交換を容易に行うことができる。即ち、相対位置変更手段150により取付部32を保持位置P1から開放位置P3へ同一姿勢で水平方向にスライドさせることにより、ピンシート12の保持が開放された状態となるため、ピンシート12をクリップ本体30の取付面34上に着脱できる。一方、相対位置変更手段150により取付部32を開放位置P3から保持位置P1へスライドさせることにより、ピンシート12が取付部32と相手側部材40との間に保持されると共に嵌合状態のシート側嵌合部18及び面側嵌合部36により取付面34に沿った方向へのピンシート12の取付部32(又は相手側部材40)に対する相対移動が阻止され、これにより取付面34上にピンシート12が保持される。
【0071】
また、テンタークリップ10aに取付部32を付勢する付勢手段及びロック手段が設けられることにより、付勢力に抗して取付部32を保持位置P1に確実にロックすることができる共に、この状態からロック手段を開錠するだけで付勢手段によって取付部32を開放位置P3に容易に移動することができる。
【0072】
次に、本発明の第3実施形態について図6(a)乃至図6(c)も参照しつつ説明するが、上記第1及び第2実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成ついてのみ詳細に説明する。
【0073】
本実施形態に係るテンタークリップ10bは、第1及び第2実施形態同様にピンシート12とクリップ本体30とを備える。そして、このクリップ本体30は、取付部32と、相手側部材240と、相対位置変更手段250とを有する。
【0074】
相手側部材240は、相対位置変更手段250により保持位置P1と開放位置P4との間を移動可能に構成されている。この開放位置P4は、保持位置P1よりも相手側部材240の対向面42が取付部32の取付面34から離れた位置である(図6(a)参照)。具体的には、開放位置P4は、保持位置P1における相手側部材40を同一姿勢で且つクリップ本体30(台座部30b)の垂直上方へ移動させた位置である(図6(a)参照)。
【0075】
相対位置変更手段250は、本実施形態では、相手側部材40を保持位置P1と開放位置P4との間で移動させることにより、取付部32と相手側部材40との相対位置を変更する。この相対位置変更手段250は、付勢手段76とロック手段(図示せず)とを有する。
【0076】
付勢手段76は、クリップ本体30の台座部30bと相手側部材240とを接続し、自然状態で相手側部材240が開放位置P4となるように相手側部材240を支持する。この付勢手段76は、相手側部材240が保持位置P1から開放位置P4に移動するように相手側部材240を付勢する。本実施形態では、付勢手段76は、コイルバネにより構成されている。このコイルバネ(付勢手段76)は、一端が台座部30bに固定され、他端が相手側部材40に固定されている。ロック手段は、付勢手段76による付勢力に抗して保持位置P1に位置する相手側部材240をロック可能に構成される。尚、本実施形態において、取付部32は、取付面34が上方を向くように支持部材78を介してクリップ本体30の本体先端部30aに固定されている。
【0077】
このように構成されるテンタークリップ10bでは、以下のようにしてピンシート12がクリップ本体30に取り付けられる。
【0078】
先ず、相手側部材240が保持位置P1の場合は、ロック手段が解除され、付勢手段76の付勢力により、保持位置P1から開放位置P4へ相手側部材240が移動する。
【0079】
相手側部材240が開放位置P4の状態(図6(a)参照)となることで間隔が大きくなった取付部32と相手側部材240との間から、ピンシート12が取付面34に取り付けられる。
【0080】
そして、ピンシート12が取付面34に取り付けられた状態(図6(b)参照)で、相手側部材240が開放位置P4から保持位置P1へ押し下げられる。このとき、相手側部材240が保持位置P1から開放位置P4へ移動するように付勢手段76によって常に付勢されているため、この付勢力に抗しつつ相手側部材240が押し下げられる。
【0081】
このようにして相手側部材240が保持位置P1に到達すると、この相手側部材240がロック手段によりロックされる。このとき、第1及び第2実施形態同様に、上方を向いた取付面34上のピンシート12が取付面34と当該相手側部材240の対向面42との間に位置する状態となり、取付面34上にピンシート12が保持される(図6(c)参照)。
【0082】
ピンシート12をクリップ本体30から取り外すときには、ロック手段を解除するだけで相手側部材40が開放位置P4に上昇し、ピンシート12の保持が開放されてピンシート12を取り外すことが可能となる。
【0083】
以上のような、相手側部材240を押し下げるよう構成されるテンタークリップ10aでは、相対位置変更手段250により相手側部材40の位置を変更するだけで、ピンシート12の交換を容易に行うことができる。即ち、相対位置変更手段250により相手側部材240を保持位置P1から開放位置P4へ上昇させることにより、取付面34と対向面42との間隔が大きくなってピンシート12の保持が開放された状態となるため、ピンシート12をクリップ本体30の取付面34上に着脱できる。一方、相対位置変更手段250により相手側部材240を開放位置P4から保持位置P1へ押し下げることにより、ピンシート12が取付部32と相手側部材40との間に保持されると共に嵌合状態のシート側嵌合部18及び面側嵌合部36により取付面34に沿った方向へのピンシート12の取付部32(又は相手側部材40)に対する相対移動が阻止され、これにより取付面34上にピンシート12が保持される。
【0084】
また、テンタークリップ10bに相手側部材240を付勢する付勢手段76及びロック手段が設けられることにより、付勢力に抗して相手側部材240を保持位置P1に確実にロックすることができる共に、この状態からロック手段を開錠するだけで付勢手段76によって相手側部材240を開放位置P4に容易に移動することができる。
【0085】
尚、本発明のテンタークリップは、上記の第1乃至第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0086】
相対位置変更手段は、保持位置と開放位置とに取付部32と相手側部材240(又は40)との相対位置を変更可能な構成であれば、第1乃至第3実施形態の構成に限定されない。例えば、相対位置変更手段は、第1乃至第3実施形態では、取付部32又は相手側部材240の一方を移動させることにより、取付部32と相手側部材240(又は40)との相対位置を変更しているが、取付部32と相手側部材240(又は40)との両者を移動させるように構成されてもよい。
【0087】
取付部32の回動方向やスライド方向も第1及び第2実施形態の方向に限定されない。例えば、取付部32がクリップ本体30の幅方向に取付面34を向けるように回動し、又は、前記幅方向にスライドするように相対位置変更手段が構成されてもよい。また、取付部32の移動が回動や水平方向のスライド移動に限定されず、例えば、姿勢を維持した状態で上下に移動可能に相対位置変更手段が構成されてもよい。
【0088】
また、保持位置におけるピンシートと取付部との取付面に平行な方向の相対移動を阻止する嵌合部も、第1乃至第3実施形態の構成に限定されない。例えば、上記実施形態では、シート本体14に設けられた貫通孔18と取付面34に設けられた位置決めピン36とにより構成されているが、突条とこれが嵌合する溝部等により構成されてもよい。
【0089】
また、第1乃至第3実施形態の相対位置変更手段においては、取付部32又は相手側部材40を保持位置P1から開放位置へ移動するように付勢する付勢手段が設けられているが、この付勢手段はなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態に係るテンター装置での布帛の搬送状態を示す概略構成図である。
【図2】同実施形態に係るテンタークリップの斜視図である。
【図3】同実施形態に係るテンタークリップのクリップ本体からピンシートを外した状態の分解斜視図である。
【図4】同実施形態に係るテンタークリップのクリップ本体の取付部にピンシートを保持させる手順を示す図である。
【図5】第2実施形態に係るテンタークリップのクリップ本体の取付部にピンシートを保持させる手順を示す図である。
【図6】第3実施形態に係るテンタークリップのクリップ本体の取付部にピンシートを保持させる手順を示す図である。
【図7】従来のテンタークリップの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
10 テンタークリップ
12 ピンシート
18 シート側嵌合部(貫通孔)
30 クリップ本体
32 取付部
34 取付面
36 面側嵌合部(位置決めピン)
40 相手側部材
42 対向面
50 相対位置変更手段
P1 保持位置
P2 開放位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被搬送物の側縁を保持して搬送するためのテンタークリップであって、
複数のピンが立設されたピンシートと、
前記ピンシートを取り付け可能な取付面を有する取付部と、
前記取付面と対向する対向面を有する相手側部材と、
前記取付面が前記対向面と対向するようにして前記相手側部材の下方に前記取付部が位置して当該取付部と当該相手側部材との間に前記ピンシートが保持される保持位置と、前記ピンシートの保持が開放される開放位置とに、前記取付部と前記相手側部材との相対位置を変更可能な相対位置変更手段と、
前記ピンシートと前記取付面とにそれぞれ設けられ、互いに嵌合し、前記保持位置で前記ピンシートと前記取付部との前記取付面に平行な方向の相対移動を阻止する嵌合部とを備えることを特徴とするテンタークリップ。
【請求項2】
前記相対位置変更手段を前記保持位置の状態にロック可能なロック手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のテンタークリップ。
【請求項3】
前記相対位置変更手段は、前記相対位置が前記保持位置から前記開放位置へ変更されるように前記取付部又は前記相手側部材を付勢する付勢手段を備え、
前記ロック手段は、前記付勢手段による付勢力に抗して前記相対位置変更手段を前記保持位置の状態にロック可能に構成されることを特徴とする請求項2に記載のテンタークリップ。
【請求項4】
前記相対位置変更手段は、前記取付部を水平軸回りに回動可能な回動部と、前記回動部に設けられた切欠き部とを有し、
前記ロック手段は、前記取付部が前記保持位置のときに前記切欠き部に嵌脱可能に嵌まり込んで前記回動部を係止するように構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載のテンタークリップ。
【請求項5】
前記相対位置変更手段は、前記取付部を水平軸回りに回動可能な回動部を有し、この回動部は、前記取付部が前記開放位置のときに前記取付面が当該テンタークリップの先端側を向くように構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のテンタークリップ。
【請求項6】
前記取付部が前記開放位置のときに前記取付面の下端となる部位に水平方向に延びる突条が設けられることを特徴とする請求項5に記載のテンタークリップ。
【請求項7】
前記相対位置変更手段は、前記保持位置と当該保持位置よりも当該テンタークリップの先端側の位置である開放位置との間において、前記取付部を前記保持位置における姿勢と同一姿勢で且つ前記取付面と平行な方向に往復移動可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のテンタークリップ。
【請求項8】
前記相対位置変更手段は、前記保持位置と当該保持位置よりも前記相手側部材の対向面が前記取付部の取付面から離れた位置である開放位置との間において、前記相手側部材を往復移動可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のテンタークリップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−149992(P2010−149992A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329962(P2008−329962)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】