説明

テントシートの張設装置及び張設方法

【課題】 屋内外での集会や催物や行事等に用いられるテントに係り、とりわけテントシートの張設装置及び張設方法に於て、テントシートの張設や撤収が容易に且つ安全に行える様にする。
【解決手段】 天枠体6とこれを支持する支柱7とを備えたテントフレーム2と、テントフレーム2の天枠体6に張架されるテントシート3と、地上Gから操作可能でテントシート3の略中央をテントフレーム2の天枠体6の略中央に吊上げる吊上げ手段4と、地上Gから操作可能でテントシート3の端部をテントフレーム2の天枠体6の端部に引張る引張り手段5とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば屋内外での集会や催物や行事等で用いられるテントに係り、とりわけテントシートの張設装置及び張設方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテントに於ては、例えば特許文献1に記載されたものが知られて居り、テントシートがテントフレームの天枠体を覆う様にその上側に張られていた。
当該テントシートは、折畳まれたものをテントフレームの天枠体の上側まで持上げた後、順次展開してその端部を天枠体の端部に固定する様にされていた。
【0003】
【特許文献1】特開2004−316103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この様なものは、テントフレームの全高が高い場合には、折畳んだテントシートの重量が比較的大きいので、これをテントフレームの天枠体の上側まで持上げる作業が行い難いと共に、高所でテントシートを展開せねばならないので、危険であった。
又、強風等に依りテントシートを撤収せねばならない場合には、作業者が高所に上って作業を行わねばならなかったので、極めて危険であった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、テントシートの張設や撤収が容易に且つ安全に行える様にしたテントシートの張設装置及び張設方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテントシートの張設装置は、基本的には、天枠体とこれを支持する支柱とを備えたテントフレームと、テントフレームの天枠体に張架されるテントシートと、地上から操作可能でテントシートの略中央をテントフレームの天枠体の略中央に吊上げる吊上げ手段と、地上から操作可能でテントシートの端部をテントフレームの天枠体の端部に引張る引張り手段と、から構成した事に特徴が存する。
【0007】
テントシートは、吊上げ手段に依りその略中央がテントフレームの天枠体の略中央に吊上げられる。吊上げられたテントシートは、引張り手段に依りその端部がテントフレームの天枠体の端部に引張られて展開される。
テントシートは、吊上げ手段に依り吊上げられると共に、引張り手段に依り展張され、吊上げ手段と引張り手段は、地上から操作可能であるので、作業者は、テントフレームの天枠体に上って作業を行う必要がなく、容易且つ安全に作業が行える。強風等でテントシートを撤収せねばならない場合でも、吊上げ手段と引張り手段を用いて前述の逆の要領に依りテントシートを迅速に収縮して降ろす事ができる。
【0008】
吊上げ手段は、テントフレームの天枠体の略中央に設けられる中央吊上げ滑車と、テントフレームの天枠体の端部に設けられる端部吊上げ滑車と、一端がテントシートの略中央に止着されて中央吊上げ滑車と端部吊上げ滑車に掛渡される吊上げロープと、テントフレームに設けられて吊上げロープの他端が掛止される吊上げロープ止めとを備えていると共に、引張り手段は、テントフレームの天枠体の端部に設けられる引張り滑車と、一端がテントフレームの天枠体の端部に止着されて引張り滑車に掛渡される引張りロープと、テントフレームに設けられて引張りロープの他端が掛止される引張りロープ止めとを備えているのが好ましい。この様にすれば、滑車とロープを用いて地上から操作が容易なものを提供する事ができる。
【0009】
吊上げ手段の端部吊上げ滑車と、引張り手段の引張り滑車の一つは、二連滑車で構成されていると共に、吊上げ手段の吊上げロープ止めと、引張り手段の引張りロープ止めの一つは、兼用されているのが好ましい。この様にすれば、個別に設ける必要がないので、構造を簡単化できる。
【0010】
テントシートの略中央をテントフレームの天枠体の略中央下側まで吊上げる第一工程と、吊上げたテントシートの端部をテントフレームの天枠体の端部まで引張ってテントシートを展開する第二工程とを備えているのが好ましい。この様にすれば、テントシートをテントフレームの天枠体の下側に張設する事ができる。
【0011】
テントシートの略中央がテントフレームの天枠体の略中央下側に位置すべく折畳み状態のテントシートをテントフレームの天枠体の略中央下側まで吊上げる第一工程と、吊上げた折畳み状態のテントシートをテントフレームの天枠体の略中央上側に位置すべく反転させる第二工程と、反転されたテントシートの端部をテントフレームの天枠体の端部まで引張ってテントシートを展開する第三工程とを備えているのが好ましい。この様にすれば、テントシートをテントフレームの天枠体の上側に張設する事ができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 天枠体とこれを支持する支柱とを備えたテントフレームと、テントフレームの天枠体に張架されるテントシートと、地上から操作可能でテントシートの略中央をテントフレームの天枠体の略中央に吊上げる吊上げ手段と、地上から操作可能でテントシートの端部をテントフレームの天枠体の端部に引張る引張り手段とで構成したので、テントシートの張設や撤収が容易に且つ安全に行える。
(2) テントシートの略中央をテントフレームの天枠体の略中央下側まで吊上げると共に、テントシートの端部をテントフレームの天枠体の端部まで引張る様にしたので、テントシートを均等に展開する事ができ、テントシートを迅速且つ確実に張設する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るテントシートの張設装置を示す斜視図。図2は、展開したテントシートを示す斜視図。図3は、テントシートを吊上げようとする状態を示す正面図。図4は、テントシートを吊上げた状態を示す図3と同様図。図5は、テントシートを展開させようとする状態を示す図3と同様図。図6は、テントシートを天枠体の下側に展開させた状態を示す図3と同様図。図7は、折畳み状態に保たれたテントシートを吊上げようとする状態を示す正面図。図8は、テントシートを吊上げた状態を示す図7と同様図。図9は、吊上げられたテントシートを反転させた状態を示す図7と同様図。図10は、反転させたテントシートを展開させようとする状態を示す図7と同様図。図11は、テントシートを天枠体の上側に展開させた状態を示す図7と同様図である。
【0014】
張設装置1は、テントフレーム2、テントシート3、吊上げ手段4、引張り手段5とからその主要部が構成されている。
【0015】
テントフレーム2は、天枠体6とこれを支持する支柱7とを備えたもので、この例では、平面方形(正方形)を呈する天枠体6と、これに折畳み可能に設けられた支柱7とを備えて居り、特許文献1に記載されたものを利用している。
天枠体6は、平面方形(正方形)を呈すべく配された縦横の梁材8と、隣接する梁材8同士を連結する継手9と、対角線上に位置する継手9間に着脱可能に架設される二つの索条(ワイヤロープ)10と、一方の索条10のみに設けられて張力を調節する張力調節器(ターンバックル)11とを備えている。
支柱7は、上部が天枠体6の各継手9に挿脱且つ折畳み可能に取付けられていると共に、下部には、座体12が着脱可能に取付けられている。
【0016】
テントシート3は、テントフレーム2の天枠体6に張架されるもので、この例では、天枠体6と同様な形状(正方形)及び大きさを備えて居り、ビニール等のシート材料で作製されている。
テントシート3の四辺中程には、同部分をテントフレーム2の天枠体6に着脱可能に取付ける為の帯状着脱具(バックル付ベルト)13が付設されている。
【0017】
吊上げ手段4は、地上Gから操作可能でテントシート3の略中央をテントフレーム2の天枠体6の略中央に吊上げるもので、この例では、テントフレーム2の天枠体6の略中央に設けられる中央吊上げ滑車14と、テントフレーム2の天枠体6の端部に設けられる端部吊上げ滑車15と、一端がテントシート3の略中央に止着されて中央吊上げ滑車14と端部吊上げ滑車15に掛渡される吊上げロープ16と、テントフレーム2に設けられて吊上げロープ16の他端が掛止される吊上げロープ止め17とを備えている。
中央吊上げ滑車14は、天枠体6の二つの索条10の交点箇所に略U型のシャックル(ネジ止めシャックル)18を介して着脱可能に掛止されている。端部吊上げ滑車15は、天枠体6の各継手9に形成した貫孔(図示せず)の一つに略U型のシャックル(ネジ止めシャックル)19を介して着脱可能に掛止されている。吊上げロープ16は、ビニールロープ等が用いられる。吊上げロープ止め17は、帯板の両側をL状に折り曲げた形状を呈して居り、支柱7の中位に付設されている。
【0018】
引張り手段5は、地上Gから操作可能でテントシート3の端部をテントフレーム2の天枠体6の端部に引張るもので、この例では、テントフレーム2の天枠体6の端部(四隅)に設けられる引張り滑車20と、一端がテントシート3の端部(四隅)に止着されて引張り滑車20に掛渡される引張りロープ21と、テントフレーム2に設けられて引張りロープ21の他端が掛止される引張りロープ止め22とを備えている。
引張り滑車20は、天枠体6の各継手9に形成した貫孔(図示せず)に略U型のシャックル(ネジ止めシャックル)19を介して着脱可能に掛止されている。引張りロープ21は、ビニールロープ等が用いられて居り、一端がテントシート3の隅部に止着されている。吊上げロープ止め22は、帯板の両側をL状に折り曲げた形状を呈して居り、支柱7の中位に付設されている。
【0019】
而して、吊上げ手段4の端部吊上げ滑車15と、引張り手段5の引張り滑車20の一つは、二連滑車で構成されていると共に、吊上げ手段4の吊上げロープ止め17と、引張り手段5の引張りロープ止め22の一つは、兼用されている。
【0020】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
テントシート3は、吊上げ手段4に依りその略中央がテントフレーム2の天枠体6の略中央に吊上げられる。この時、テントシート3は、容易に拡がる様にされた折畳み状態(図1,3参照)、拡がらない様に保たれた折畳み状態(図7参照)、予め拡げた状態(図示せず)の何れであっても良い。吊上げられたテントシート3は、引張り手段5に依りその端部(四隅)がテントフレーム2の天枠体6の端部(四隅)に引張られて展開される。
【0021】
テントシート3をテントフレーム2の天枠体6の下側に張設する場合は、次の方法で行われる。
(1) 容易に拡がる様にされた折畳み状態のテントシート3をテントフレーム2の天枠体6の略中央の下方に位置する地上Gに置いた後、テントシート3の略中央に一端が止着された吊上げロープ16を中央吊上げ滑車14と端部吊上げ滑車15に掛渡する(図3参照)。この場合、テントフレーム2の高さが高い場合には、脚立等を利用して天枠体6の下側から吊上げロープ16の掛渡を行う(以下同様)。
(2) 吊上げロープ16の他端を引張って吊上げロープ止め17に掛止する事に依りテントシート3の略中央をテントフレーム2の天枠体6の略中央下側まで吊上げる(図4参照)。
(3) テントシート3の端部に一端が止着された引張りロープ21を引張り滑車20に掛渡する(図5参照)。この場合、テントフレーム2の高さが高い場合には、脚立等を利用して天枠体6の下側から引張りロープ21の掛渡を行う(以下同様)。
(4) 引張りロープ21の他端を引張って引張りロープ止め22に掛止する事に依り吊上げたテントシート3の端部をテントフレーム2の天枠体6の端部まで引張ってテントシート3をテントフレーム2の天枠体6の下側に展開する(図6参照)。
【0022】
テントシート3をテントフレーム2の天枠体6の上側に張設する場合は、次の方法で行われる。
(1) 引張りロープ21等を利用して拡がらない様に保たれた折畳み状態のテントシート3をテントフレーム2の天枠体6の略中央の下方に位置する地上Gに置いた後、テントシート3の略中央に一端が止着された吊上げロープ16を中央吊上げ滑車14と端部吊上げ滑車15に掛渡する(図7参照)。
(2) 吊上げロープ16の他端を引張って吊上げロープ止め17に掛止する事に依り折畳み状態のテントシート3をテントフレーム2の天枠体6の略中央下側まで吊上げる(図8参照)。
(3) 吊上げられた折畳み状態のテントシート3をテントフレーム2の天枠体6の上側に反転させる(図9参照)。
(4) テントシート3の端部に一端が止着された引張りロープ21を引張り滑車20に掛渡する(図10参照)。
(5) 引張りロープ21の他端を引張って引張りロープ止め22に掛止する事に依りテントシート3の端部をテントフレーム2の天枠体6の端部まで引張ってテントシート3をテントフレーム2の天枠体6の上側に展開する(図11参照)。
【0023】
テントシート3は、地上Gから操作可能な吊上げ手段4に依り吊上げられると共に、同じく地上Gから操作可能な引張り手段5に依り展張されるので、作業者は、テントフレーム2の天枠体6に上って作業を行う必要がなく、容易且つ安全に作業が行える。
強風等でテントシート3を撤収せねばならない場合でも、吊上げ手段4と引張り手段5を用いて前述の逆の要領に依りテントシート3を迅速に収縮して降ろす事ができる。
【0024】
尚、テントフレーム2の天枠体6は、先の例では、平面正方形であったが、これに限らず、例えば平面長方形や平面円形等であっても良い。
テントフレーム2の天枠体6は、先の例では、索条10を用いたが、これに限らず、例えば中央を通る棧材等を用いても良い。
テントフレーム2の支柱7は、先の例では、折畳み可能であったが、これに限らず、例えば折畳み不能なものでも良い。
吊上げ手段4と引張り手段5は、先の例では、定滑車だけを用いたが、これに限らず、例えば定滑車と動滑車を組合わせても良い。この様にすれば、より小さな力でテントシート3を動かす事ができる。
引張り手段5の引張りロープ21は、先の例では、その一端がテントシート3の隅部に止着したが、これに限らず、例えばテントシート3の辺部等に止着しても良い。この場合、引張り手段5の引張り滑車20も、テントシート3に対応したテントフレーム2の天枠体6の辺部等に設けるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るテントシートの張設装置を示す斜視図。
【図2】展開したテントシートを示す斜視図。
【図3】テントシートを吊上げようとする状態を示す正面図。
【図4】テントシートを吊上げた状態を示す図3と同様図。
【図5】テントシートを展開させようとする状態を示す図3と同様図。
【図6】テントシートを天枠体の下側に展開させた状態を示す図3と同様図。
【図7】折畳み状態に保たれたテントシートを吊上げようとする状態を示す正面図。
【図8】テントシートを吊上げた状態を示す図7と同様図。
【図9】吊上げられたテントシートを反転させた状態を示す図7と同様図。
【図10】反転させたテントシートを展開させようとする状態を示す図7と同様図。
【図11】テントシートを天枠体の上側に展開させた状態を示す図7と同様図。
【符号の説明】
【0026】
1…張設装置、2…テントフレーム、3…テントシート、4…吊上げ手段、5…引張り手段、6…天枠体、7…支柱、8…梁材、9…継手、10…索条、11…張力調節器、12…座体、13…帯状着脱具、14…中央吊上げ滑車、15…短部吊上げ滑車、16…吊上げロープ、17…吊上げロープ止め、18…シャックル、19…シャックル、20…引張り滑車、21…引張りロープ、22…引張りロープ止め、G…地上。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天枠体とこれを支持する支柱とを備えたテントフレームと、テントフレームの天枠体に張架されるテントシートと、地上から操作可能でテントシートの略中央をテントフレームの天枠体の略中央に吊上げる吊上げ手段と、地上から操作可能でテントシートの端部をテントフレームの天枠体の端部に引張る引張り手段と、から構成した事を特徴とするテントシートの張設装置。
【請求項2】
吊上げ手段は、テントフレームの天枠体の略中央に設けられる中央吊上げ滑車と、テントフレームの天枠体の端部に設けられる端部吊上げ滑車と、一端がテントシートの略中央に止着されて中央吊上げ滑車と端部吊上げ滑車に掛渡される吊上げロープと、テントフレームに設けられて吊上げロープの他端が掛止される吊上げロープ止めとを備えていると共に、引張り手段は、テントフレームの天枠体の端部に設けられる引張り滑車と、一端がテントフレームの天枠体の端部に止着されて引張り滑車に掛渡される引張りロープと、テントフレームに設けられて引張りロープの他端が掛止される引張りロープ止めとを備えている請求項1に記載のテントシートの張設装置。
【請求項3】
吊上げ手段の端部吊上げ滑車と、引張り手段の引張り滑車の一つは、二連滑車で構成されていると共に、吊上げ手段の吊上げロープ止めと、引張り手段の引張りロープ止めの一つは、兼用されている請求項2に記載のテントシートの張設装置。
【請求項4】
テントシートの略中央をテントフレームの天枠体の略中央下側まで吊上げる第一工程と、吊上げたテントシートの端部をテントフレームの天枠体の端部まで引張ってテントシートを展開する第二工程とを備えた事を特徴とするテントシートの張設方法。
【請求項5】
テントシートの略中央がテントフレームの天枠体の略中央下側に位置すべく折畳み状態のテントシートをテントフレームの天枠体の略中央下側まで吊上げる第一工程と、吊上げた折畳み状態のテントシートをテントフレームの天枠体の略中央上側に位置すべく反転させる第二工程と、反転されたテントシートの端部をテントフレームの天枠体の端部まで引張ってテントシートを展開する第三工程とを備えた事を特徴とするテントシートの張設方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−7943(P2008−7943A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176174(P2006−176174)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(500094381)株式会社サンエープロテント (24)
【Fターム(参考)】