説明

テントハウスの脚座構造

【課題】大型倉庫や建築現場等の仮囲いとして用いられるテントハウスの脚座構造に於て、軟弱で凹凸がある接地面であっても容易に設置ができる様にする。
【解決手段】 基台2、座体3、支柱5、高さ調整手段6、緊張手段7とで構成し、とりわけ接地面Aに接地される基台2と、基台2に対して支柱5を起立固定する為の緊張手段7とを設ける。基台2に対して座体3を前後方向に調整移動する為の水平調整手段4を備えていても良い。緊張手段7は、座体3と支柱5との間に介設されたターンバックル26にしても良い。緊張手段7は、基台2に掛止される掛止体27と、掛止体27と支柱5との間に介設されたジャッキベース28とを備えていても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型倉庫や建築現場等の仮囲いとして用いられるテントハウスの脚座構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテントハウスの脚座構造としては、例えば特許文献1に記載されたもののが知られている。
当該テントハウスの脚座構造は、接地面に接地される座体と、座体に直立される支柱と、座体に対して支柱の高さを調整する為の高さ調整手段と、から構成されている。
高さ調整手段は、座体に植設されて支柱の下部に挿入される螺子棒と、これに螺合されて支柱の下面に当合されるハンドルナットとを備えている。
而して、この様なものは、高さ調整手段を備えているので、接地面に対して支柱の高さを調整する事ができる。
【0003】
【特許文献1】特許第3455936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この様なものは、主としてコンクリートやアスファルト等で舗装された比較的強硬で平滑な接地面に設置される様に考えられて、座体の接地面積が比較的小さく設計されていたので、建設現場等の様に軟弱で凹凸がある接地面には容易に設置できなかった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、軟弱で凹凸がある接地面であっても容易に設置ができる様にしたテントハウスの脚座構造を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテントハウスの脚座構造は、基本的には、接地面に接地される基台と、基台に取付られる座体と、座体に直立される支柱と、座体に対して支柱の高さを調整する為の高さ調整手段と、基台に対して支柱を起立固定する為の緊張手段と、から構成した事に特徴が存する。
【0007】
接地面に基台が接地されてその上に座体を介して支柱が樹立される。座体より接地面積と重量が比較的大きい基台が接地面に接地されるので、仮え接地面が軟弱で凹凸があっても、支柱が安定良く樹立される。
高さ調整手段に依り支柱の高さを調整する事ができると共に、緊張手段に依り高さ調整した後の支柱を強固に起立固定する事ができる。
【0008】
基台に対して座体を前後方向に調整移動する為の水平調整手段を備えているのが好ましい。この様にすれば、テントハウスの奥行方向である前後方向に配置された複数の支柱の間隔を容易に調整する事ができる。
【0009】
緊張手段は、座体と支柱との間に介設されたターンバックルであるのが好ましい。この様にすれば、既存のターンバックルをそのまま利用する事ができ、コストの低減を図る事ができる。
【0010】
緊張手段は、基台に掛止される掛止体と、掛止体と支柱との間に介設されたジャッキベースとを備えているのが好ましい。この様にすれば、既存のジャッキベースを利用する事ができ、コストの低減を図る事ができる。然も、基台に対して支柱を所謂直接的に起立固定する事ができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 基台、座体、支柱、高さ調整手段、緊張手段とで構成し、とりわけ接地面に接地される基台と、これに対して支柱を起立固定する為の緊張手段とを設けたので、軟弱で凹凸がある接地面であっても容易に設置ができる。
(2) 接地面に接地される基台と、これに対して支柱を起立固定する為の緊張手段を設けたので、高さ調整手段に依り高さ調整された後の支柱を強固に固定する事ができると共に、複数設置される支柱の高さを簡単に揃える事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一例に係るテントハウスの脚座構造を示す正面図。図2は、図1の側面図。図3は、図1の平面図。図4は、伸長状態を示す図1と同様図である。
【0013】
脚座構造1は、基台2、座体3、水平調整手段4、支柱5、高さ調整手段6、緊張手段7とからその主要部が構成されて居り、テントハウスに適用される。
テントハウスは、図略しているが、支柱とこれの上部から斜め上方に延出する屋根骨とを備えて両者が着脱可能に連結される主骨体と、主骨体の基端に着脱可能に設けられて接地面に対して主骨体を高さ調整する為の座体と、前後方向に隣接する主骨体間に着脱可能に設けられる適数の筋違体と、前後方向に隣接する主骨体間に着脱可能に設けられる適数の桁体と、これらの外側に張られる膜体とから構成されている。ここで、前後方向とは、テントハウスの奥行方向を言い、左右方向とは、テントハウスの幅方向を言う事にする。
【0014】
基台2は、接地面Aに接地されるもので、この例では、接地面A上に置かれて比較的接地面積が大きい敷板8と、この上に固定されて比較的重量が大きい左右の型材9とを備えている。敷板6は、平板状を呈し、複数のものが接地面A上の前後方向に列置される。型材9は、略H状を呈し、長手方向が前後方向に向けられると共にフランジが水平にされて敷板8の上に載置され、下部フランジと敷板8との間が溶接等に依り部分的に固定されている。
【0015】
座体3は、基台2に取付けられるもので、この例では、平板状を呈し、基台2の型材9に呼応して左右一対にしてあり、型材9の上部フランジの上に置かれている。
【0016】
水平調整手段4は、基台2に対して座体3を前後方向に調整移動する為のもので、この例では、型材9の上部フランジの前後方向に所定間隔毎に多数穿設された左右の貫孔10と、座体3に削設されて多数の貫孔10のうちの複数(4つ)が連通する左右の長孔11と、座体3に重ねられる左右の座金板12と、これらに穿設されて長孔11を介して前後方向に離間する二つの貫孔10に連通する透孔13と、貫孔10と長孔11と透孔13とに挿通されるボルト14と、これに螺合されるナット15とを備えている。
【0017】
支柱5は、座体3に直立されるもので、この例では、左右の縦管16と、これらを連結する適数の横材17及び適数の筋違材18とを備えている。縦管16は、角筒状を呈し、下側が同形状で小径にされている。横材17は、角筒状を呈し、左右の縦管16の下位には、二つのものが設けられている。筋違材18は、角筒状を呈している。
【0018】
高さ調整手段6は、基台2に対して支柱5の高さを調整する為のもので、この例では、ジャッキベースを用いて居り、支柱5の縦管16に呼応して左右に設けられている。高さ調整手段6は、座体3に溶接等に依り固定される座板19と、これに植設されて上部が支柱5の縦管16に挿入される螺子棒20と、これに螺合されて支柱5の縦管16に当合されるハンドルナット21と、支柱5の縦管16に螺設されて螺子棒20を抜止めする抜止めボルト22とを備えている。
【0019】
緊張手段7は、基台2に対して支柱5を起立固定する為のもので、この例では、座体3と支柱5との間に介設されたターンバックルにしてあり、支柱5の縦管16に呼応して左右に設けられて居り、夫々前後一対、合計四つのものにしてある。緊張手段7は、座体3に付設されたブラケット23と、支柱5の下から二番目の横材17に付設されたブラケット24と、これらにボルト・ナット25に依り左右方向軸廻りに回動可能に枢結されたターンバックル26とを備えている。ターンバックル26は、周知の所謂アイ&アイ型で割枠胴式のものを用いて居り、夫々逆螺子が形成された二つのアイボルトと、これらが螺合されて回動操作される割枠胴型のナットとを備えている。
【0020】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
接地面Aに基台2が接地されてその上に座体3を介して支柱5が樹立される。座体3より接地面積と重量が比較的大きい基台2が接地面Aに接地されるので、仮え接地面Aが軟弱で凹凸があっても、支柱5が安定良く樹立される。
【0021】
水平調整手段4のボルト14及びナット15を緩めると共に、座体3を前後方向に移動させた後に再びボルト14及びナット15を締め付けると、基台2に対して支柱5を前後方向に調整移動させる事ができる。この為に、テントハウスの奥行方向(前後方向)に複数配置された支柱5の間隔を容易に調整する事ができる。
【0022】
高さ調整手段6の抜止めボルト22を緩めると共に、ハンドルナット21を回動させた後に再び抜止めボルト22を締め付けると、座体3に対して支柱5の高さを容易に調整する事ができる。この為に、テントハウスの奥行方向(前後方向)に複数配置された支柱5の高さを容易に揃える事ができる。
【0023】
緊張手段7のターンバックル26のナットを回動させると、座体3と支柱5との間が緊張されて支柱5が起立固定される。この時、緊張手段7は、座体3と支柱5との間に介設されているので、これを機能させた後でも、水平調整手段4に依る支柱5の水平移動を行う事ができる。
【0024】
次に、本発明の第二例を、図5乃至図8に基づいて説明する。
図5は、本発明の第二例に係るテントハウスの脚座構造を示す正面図。図6は、図5の側面図。図7は、図5の平面図。図8は、伸長状態を示す図5と同様図である。
第二例は、支柱5と緊張手段7を第一例とは異ならせたものである。
つまり、支柱5は、縦管16間の最下位に設けられる横材17を、水平板と垂直板とを備えた断面略倒立T型を呈するものにしている。
緊張手段7は、基台2に掛止される掛止体27と、これと支柱5との間に介設されたジャッキベース28とを備えたものにしている。
掛止体27は、左右の型材9の上部フランジに下から跨って掛止されて中央に通孔が穿設された掛止板29と、これの上部中央に溶接等に依り付設されて通孔に連通する角筒状の筒体30と、掛止板29の上部に付設されて略L型を呈する前後の補強材31とを備えている。
ジャッキベース28は、支柱5の最下位の横材17にボルト・ナット32に依り取付けられる取付板33と、これに溶接等に依り固定される座板34と、これに植設されて掛止体27の筒体30及び掛止板28の通孔に挿通される螺子棒35と、座板34と螺子棒35に跨って付設された左右のリブ36と、螺子棒35に螺合されて掛止体27に当合される二つのハンドルナット37とを備えている。
【0025】
この様なものは、単一のジャッキベース28を用いる事に依り支柱5を起立固定する事ができ、四つのターンバックル26を用いる第一例に比べてその個数を大幅に削減でき、より一層のコストダウンを図る事ができる。然も、基台2と支柱5との間に介設しているので、直接支柱5を固定する事ができ、極めて効果的である。
【0026】
尚、基台2は、先の例では、敷板8と型材9とで構成したが、これに限らず、適宜変更する事ができる。
水平調整手段4は、先の例では、座体3を前後方向に調整移動するものであったが、これに限らず、例えば座体3を左右方向に調整移動するものや座体3を前後方向及び左右方向に調整移動するものでも良い。
水平調整手段4は、先の例では、長孔11を座体3に形成したが、これに限らず、例えば長孔11を基台2の型材9に形成しても良い。
支柱5の横材17は、先の例では、角筒状や断面略倒立T型であったが、これに限らず、例えばこれ以外の形状でも良い。
緊張手段7は、先の例では、座体3と支柱5との間や基台2の型材9と支柱5との間に介設したが、これに限らず、例えば基台2の敷板8と支柱5との間に介設しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一例に係るテントハウスの脚座構造を示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1の平面図。
【図4】伸長状態を示す図1と同様図。
【図5】本発明の第二例に係るテントハウスの脚座構造を示す正面図。
【図6】図5の側面図。
【図7】図5の平面図。
【図8】伸長状態を示す図5と同様図。
【符号の説明】
【0028】
1…脚座構造、2…基台、3…座体、4…水平調整手段、5…支柱、6…高さ調整手段、7…緊張手段、8…敷板、9…型材、10…透孔、11…長孔、12…座金板、13…透孔、14…ボルト、15…ナット、16…縦管、17…横材、18…筋違材、19…座板、20…螺子棒、21…ハンドルナット、22…抜止めボルト、23…ブラケット、24…ブラケット、25…ボルト・ナット、26…ターンバックル、27…掛止体、28…ジャッキベース、29…掛止板、30…筒体、31…補強材、32…ボルト・ナット、33…取付板、34…座板、35…螺子棒、36…リブ、37…ハンドルナット、A…接地面。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面に接地される基台と、基台に取付られる座体と、座体に直立される支柱と、座体に対して支柱の高さを調整する為の高さ調整手段と、基台に対して支柱を起立固定する為の緊張手段と、から構成した事を特徴とするテントハウスの脚座構造。
【請求項2】
基台に対して座体を前後方向に調整移動する為の水平調整手段を備えている請求項1に記載のテントハウスの脚座構造。
【請求項3】
緊張手段は、座体と支柱との間に介設されたターンバックルである請求項1に記載のテントハウスの脚座構造。
【請求項4】
緊張手段は、基台に掛止される掛止体と、掛止体と支柱との間に介設されたジャッキベースとを備えている請求項1に記載のテントハウスの脚座構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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