説明

テントフレーム

【課題】 大型倉庫や建築現場の仮囲い等として使用されるテントハウスを構成するテントフレームに於て、強風等の大きな外力が作用しても、転倒する危険性がない様にする。
【解決手段】 前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体2と、主骨体2の下部に高さ調整可能に設けられた座体3と、座体3の下部に設けられて接地面Aに接地される所定の重量を備えた錘体4と、錘体4と主骨体2の上部とを連結する索条5とで構成する。座体3は、錘体4に挾持手段23に依り着脱可能に取付けられていても良い。錘体4は、適数の山留材18に依り形成されていても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型倉庫や建築現場の仮囲い等として用いられるテントハウスを構成するテントフレームの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテントフレームとしては、例えば特許文献1に記載されたものや特許文献2に記載されたものが知られている。
前者のものは、基本的には、前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられて接地面に接地される座体と、から構成されている。
後者のものは、基本的には、前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられた座体と、座体の下部に設けられて接地面に接地される基台と、基台に対して主骨体を起立固定する為の緊張手段と、から構成されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3455936号公報
【特許文献1】特開2006−177014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前者のものは、その自重に依り接地面に鎮座され、必要に応じて座体がアンカに依り接地面に固定されるだけであったので、強風等の大きな外力が作用した場合には、転倒する危険性があった。
他方、後者のものは、基台を備えているので、これがウエイト(錘)としてある程度機能するものの、元々ウエイトとして機能させるべく設計されていなかったので、前者のものと同様に、強風等の大きな外力が作用した場合には、転倒する危険性があった。
【0005】
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、強風等の大きな外力が作用しても、転倒する危険性がない様にしたテントフレームを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテントフレームは、基本的には、前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられた座体と、座体の下部に設けられて接地面に接地される所定の重量を備えた錘体と、錘体と主骨体の上部とを連結する索条と、から構成した事に特徴が存する。
【0007】
錘体が接地面に接地されると共に、錘体の上に座体が設けられて座体の上に主骨体が樹立される。錘体と主骨体の上部が索条に依り連結される。
所定の重量を備えた錘体を設けると共に、これと主骨体の上部とを索条に依り連結したので、テントフレームに強風等の大きな外力が作用しても、これが転倒したり、横滑りしたりする事がない。
主骨体に対して座体を調整移動させると、接地面に対して主骨体の高さを調整する事ができる。
錘体が座体の下部に設けられていると共に、索条が錘体と主骨体の上部との間に設けられているので、これらが邪魔になる事がない。その結果、テントフレーム内を有効に活用する事ができる。
【0008】
座体は、錘体に挾持手段に依り着脱可能に取付けられているのが好ましい。この様にすれば、座体と錘体の双方を取付けの為に加工したり傷を付けたりする事がないので、例えば錘体として山留材を利用した場合には、これをレンタルする事ができ、コストの低減を図る事ができる。
【0009】
錘体は、適数の山留材に依り形成されているのが好ましい。この様にすれば、既存の山留材をそのまま利用する事ができ、コストの低減を図る事ができる。
【0010】
索条は、張力を調整する張力調整手段を備えているのが好ましい。この様にすれば、索条の張力を容易に変更できるので、主骨体を迅速且つ適正に樹立させる事ができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 主骨体、座体、錘体、索条とで構成し、とりわけ接地面に接地される所定の重量を備えた錘体を座体の下部に設けると共に、錘体と主骨体の上部とを連結する索条を設けたので、強風等の大きな外力が作用しても、転倒する危険性がない。
(2) 錘体は、座体の下部に設けられていると共に、索条は、錘体と主骨体の上部との間に設けられているので、これらが邪魔になる事がない。その結果、テントフレーム内を有効に活用する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のテントフレームを示す一部を省略した正面図。図2は、図1の要部を拡大した正面図。図3は、図2の横断平面図。図4は、挾持手段の挾持板を示す斜視図である。尚、以下の説明に於て、前後方向とは、テントフレームの奥行方向(図2に於て上下方向)を言い、左右方向とは、テントフレームの幅方向(図2に於て左右方向)を言う事にする。
【0013】
テントフレーム1は、主骨体2、座体3、錘体4、索条5とからその主要部が構成されて居り、テントハウスに適用される。
テントハウスは、接地面Aに設置されるテントフレーム1と、図略しているが、これの外側に張られるテントシート(膜体)とから構成されている。
接地面Aは、コンクリートやアスファルト等で舗装されて比較的強硬で平滑にされている。
【0014】
主骨体2は、前後方向に所定間隔を置いて配列された適数のもので、この例では、直立した支柱6と、これの上部に着脱可能に連結されてこれから斜め上方に延出する屋根骨7とを備えている。
支柱6は、左右の縦管8と、これらを連結する適数の横材9及び適数の筋違材10とを備えている。
屋根骨7は、上下の斜管11と、これらを連結する適数の縦管12及び適数の筋違管13とを備えている。
而して、主骨体2は、前後方向に所定の間隔を置いて適数だけ配列されて居り、前後方向に隣接する主骨体2間には、図略しているが、適数の連結体(筋違体や桁体)が着脱可能に設けられている。従って、テントフレーム1は、この連結体を包含している。
【0015】
座体3は、主骨体2の下部に高さ調整可能に設けられたもので、この例では、スクリュベース(ジャッキベース)にしてあり、主骨体2の支柱6の下部に設けられた左右のものにしてあり、夫々平面略正方形で板状を呈する座板14と、これに植設されて上部が支柱6の縦管8に着脱可能に挿入される螺子棒15と、これに螺合されて支柱6の縦管8の下面に当合されるハンドルナット16と、支柱6の縦管8に螺設されて螺子棒15を抜止めする抜止めボルト17とを備えている。
【0016】
錘体4は、座体3の下部に設けられて接地面Aに接地される所定の重量を備えたもので、この例では、適数の山留材18に依り形成されて居り、主骨体2の支柱6の縦管8に呼応して左右に二つづつ設けられていると共に、接地面Aの上に載置されている。
山留材18は、鋼製で断面略H型を呈して居り、上下のフランジ19とこれらの間を連結するウェブ20と、両フランジ19の長手方向に所定間隔毎に多数穿設された左右の貫孔21とを備えている。
而して、二つの山留材18は、長手方向が前後方向に向けられると共にフランジ19が水平にされて上下に重ねられて居り、貫孔21を利用してボルト・ナット等の締結具22に依り連結されている。
【0017】
錘体4を為す上位の山留材18の上には、高さ調整手段となる座体3の座板14が載置される。そして、座体3の座板14は、挾持手段23に依り錘体4に着脱可能に取付けられる。
挾持手段23は、座体3の座板14の上から覆われる挾持板24と、錘体4の山留材18の上部フランジ19と挾持板24とを挾持する左右の挾持具25とを備えている。
挾持板24は、左右方向に長尺な板状を呈し、中程の下面には座体3の座板14の厚さより若干小さい深さの凹溝26が形成されていると共に、前後一側(後側)には座体3の螺子棒15を回避する為の切欠27が形成されている。挾持具25は、ブルマン(登録商標)と称されるクランプにしてあり、略C型を呈する本体と、これの両端部に対向して螺合された一対のボルトとを備えている。
【0018】
索条5は、錘体4と主骨体2の上部とを連結するもので、この例では、ワイヤロープにしてあり、一端が錘体4を為す上位の山留材18に設けたアイボルト等の止結具(図示せず)に止結されていると共に、他端が主骨体2の屋根骨7の基端部に設けたアイボルト等の止結具(図示せず)に止結されている。
【0019】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
錘体4が接地面Aに接地されると共に、錘体4の上に座体3が挾持手段23に依り取付けられて座体3の上に主骨体2が樹立される。錘体4と主骨体2の上部が索条5に依り連結される。
所定の重量を備えた錘体4を設けると共に、これと主骨体2の上部とを索条5に依り連結したので、テントフレーム1に強風等の大きな外力が作用しても、これが転倒したり、横滑りしたりする事がない。
【0020】
座体3の抜止めボルト17を緩めると共に、ハンドルナット16を回動させた後に再び抜止めボルト17を締め付けると、接地面Aに対して主骨体2の高さを調整する事ができる。この為に、テントフレーム1の奥行方向(前後方向)に複数配置された主骨体2の高さを容易に揃える事ができる。
錘体4が座体3の下部に設けられていると共に、索条5が錘体4と主骨体2の上部との間に設けられて居り、錘体4と索条5が主骨体2の設置領域から大きくはみ出る事がないので、これらが邪魔になる事がない。その結果、テントフレーム1内を有効に活用する事ができる。
【0021】
尚、主骨体2は、先の例では、支柱6と屋根骨7が着脱可能に連結されるものであったが、これに限らず、例えばこれらが一体的なものでも良い。
座体3は、先の例では、ジャッキベースを用いたが、これに限らず、例えば他の構造のものを用いても良い。
座体3は、先の例では、錘体4に挾持手段23に依り着脱可能に取付けていたが、これに限らず、例えばボルト・ナット等の締結具に依り着脱可能に取付けても良い。
錘体4は、先の例では、既存の山留材18を用いたが、これに限らず、例えば専用のものを用いても良い。
索条5は、先の例では、ワイヤロープであったが、これに限らず、例えばチェーン等でも良い。
索条5は、先の例では、錘体4と主骨体2の屋根骨7の基端部との間に介設したが、これに限らず、例えば錘体4と主骨体2の支柱6の上部との間に介設しても良い。
索条5は、先の例では、張力を調整する手段を備えていなかったが、これに限らず、例えばターンバックル等の張力調整手段を備えていても良い。張力調整手段は、例えば索条の途中に介設したり、索条と錘体との間に介設する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のテントフレームを示す一部を省略した正面図。
【図2】図1の要部を拡大した正面図。
【図3】図2の横断平面図。
【図4】挾持手段の挾持板を示す斜視図。
【符号の説明】
【0023】
1…テントフレーム、2…主骨体、3…座体、4…錘体、5…索条、6…支柱、7…屋根骨、8…縦管、9…横材、10…筋違材、11…斜管、12…縦管、13…筋違管、14…座板、15…螺子棒、16…ハンドルナット、17…抜止めボルト、18…山留材、19…フランジ、20…ウエブ、21…貫孔、22…締結具、23…挾持手段、24…挾持板、25…挾持具、26…凹溝、27…切欠、A…接地面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に所定間隔を置いて配列された適数の主骨体と、主骨体の下部に高さ調整可能に設けられた座体と、座体の下部に設けられて接地面に接地される所定の重量を備えた錘体と、錘体と主骨体の上部とを連結する索条と、から構成した事を特徴とするテントフレーム。
【請求項2】
座体は、錘体に挾持手段に依り着脱可能に取付けられている請求項1に記載のテントフレーム。
【請求項3】
錘体は、適数の山留材に依り形成されている請求項1に記載のテントフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−150082(P2009−150082A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327420(P2007−327420)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(500094381)株式会社サンエープロテント (24)
【Fターム(参考)】